説明

燃料ペレット、燃料ペレットの製造方法及び製造装置

【課題】家電製品から回収されるポリウレタンを燃料として有効利用する。
【解決手段】ウレタンフォームを破砕して得られる粉状のポリウレタンを圧縮成形して作成される燃料ペレットである。この燃料ペレットは、嵩比重が0.45〜0.55、残留塩素濃度が0.3重量パーセント以下にそれぞれ設定されている。また、燃料ペレットは、長さと直径の比が4〜15である円柱状に成形されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄された家電製品から回収されるウレタンフォームを破砕して得られる粉状のポリウレタンを圧縮成形して形成される燃料ペレット、燃料ペレットの製造方法及び燃料ペレットの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄された家電製品から回収されるプラスチックの処理が大きな問題になっている。なかでも、冷蔵庫や冷凍庫に断熱材として使用される硬質ウレタンフォーム、特に、フロン発泡ウレタンフォームは、例え粉状に破砕した後でも残留塩素濃度が高いため燃料として利用しにくい、また軽量であるため嵩ばり易く輸送に難があるという問題がある。
廃棄された家電製品から生じるプラスチックを有効利用する方法として、下記の特許文献1には、熱溶融可燃物を粉砕後、加熱溶融して液化し、さらに脱塩素剤を添加することで脱塩素を行い、その後、冷却・固形化して燃料を製造する方法が開示されている。
また、下記特許文献2には、廃棄された家電製品から回収された熱可塑性プラスチック粉砕物と、廃棄された家電製品を破砕後、選別して得られた冷蔵庫断熱材を粉砕しかつそこからフロンを除去した粉砕物とを混合し、造粒することによって造粒合成樹脂材を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−13062号公報
【特許文献2】特開2000−140794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1に記載された技術を、廃棄された家電製品から回収される断熱用のポリウレタンに適用しようとしても、ポリウレタンは熱硬化性であって加熱しても溶融しないため、上記の方法を適用することができない。
また、特許文献2に記載された技術を、廃棄された家電製品である例えば冷蔵庫から回収されるポリウレタンに適用しようとする場合、フロンを用いたポリウレタン発泡材では、フロンを除去した後において仮に再度粉砕したとしても残留塩素濃度が1.0重量パーセント以上であって、燃料適合残留塩素濃度(一般的に0.3wt%以下)にはならない。このため、製造された造粒合成樹脂材は、残留塩素許容濃度の高い高炉燃料あるいは鉄還元剤等としての使用には支障がないものの、一般的なボイラーあるいはセメントキルンあるいは焼却炉等では燃料として使用できない。
【0005】
ところで、廃棄された家電製品から回収されるポリウレタンは、フロン(R11及びフロン141b)発泡由来のものが80%程度を占め、20%程度がシクロペンタン(C10)発泡由来のものである。このように回収されるポリウレタンは全国で約2万トンにも及ぶものと推定されるが(平成20年度回収処理冷蔵庫273万台、1台あたりポリウレタン排出量平均7〜8kg/台)、これらは再利用されることなくそのほとんどが焼却処分されており、そのコストは年間6〜10億円にも上ると見られる。
一部には、シクロペンタン発泡ポリウレタンをセメント燃料あるいは焼却炉燃料に利用している例も見受けられるが、回収されるポリウレタンの大部分を占めるフロン発泡ポリウレタンは、残留塩素分が燃料適合基準(0.3wt%以下)を満たしておらず、石炭に匹敵するカロリーを保有しているにもかかわらず、燃料利用が進んでいない。
【0006】
冷蔵庫を粗破砕して風力選別等で分離されたポリウレタン破砕片は嵩比重0.035程度であり、燃料利用あるいは廃棄(焼却)処分を行うため廃棄物処理(焼却)施設へ運搬するにも、輸送コストが無視できない程高くなる。このため、家電リサイクルプラントでは減容化を行っているが、その主流は、ポリウレタン破砕片を再破砕して粉状(嵩比重0.06程度)にし、このポリウレタン粉体を圧縮成形してスポンジケーキ状(嵩比重0.16程度)に減容する方法である。
ポリウレタン圧縮成形には、一般的に油圧プレスが用いられるが、その際、例えば直径500mm程度のケーキを成形するのに10〜25MPaの高圧を必要とし、そのため220kw程度の大型の電動機を用いる必要がある。このため、圧縮成型のための消費電力は大きい。
ポリウレタン破砕片(嵩比重0.035)、ポリウレタン粉体(嵩比重0.06)、スポンジケーキ状(嵩比重0.16)いずれの形状のポリウレタンも軽量であるため飛散しやすく、特に減容された粉体やスポンジケーキ状のものは粉塵の発生に起因するハンドリングに難点があり、受け入れ側にも飛散防止・粉塵対策等の負担が要求されることも、燃料利用が進まない理由の一つである。
【0007】
以上のように、廃棄された家電製品から回収されるポリウレタンは、その大部分を占めるフロン発泡ポリウレタンの残留塩素分が燃料適合基準を満たしていないこと、ポリウレタンの嵩比重が小さく輸送コストが嵩むこと、仮にスポンジケーキ状に成形したとしてもハンドリングに難点がある等の理由で、燃料として利用されておらず焼却処分されているのが現状であり、これら家電製品から回収されるポリウレタンの有効利用化が強く望まれていた。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであって、家電製品から回収されるポリウレタンを燃料として有効利用できる燃料ペレット、並びに燃料ペレットの製造方法及び燃料ペレットの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明は、以下の手段を提案している。
すなわち、本発明に係る燃料ペレットは、ウレタンフォームを破砕して得られる粉状のポリウレタンを圧縮成形して形成される燃料ペレットであって、嵩比重が0.45〜0.55、残留塩素濃度が0.3重量パーセント以下にそれぞれ設定されていることを特徴とする。
【0010】
前記のように構成された燃料ペレットによれば、残留塩素濃度が0.3重量パーセント以下に設定されているので、通常の焼却炉やボイラーの燃料用として利用することができる。ちなみに、燃料ペレットの残留塩素濃度が0.3重量パーセントを越えると、残留塩素許容濃度の高い高炉燃料あるいは鉄還元剤等の特殊な燃料としてしか使用できない。また、前記燃料ペレットは、嵩比重が0.45〜0.55と充分圧密されており、輸送の際のコストを低減できるとともに、粉塵の発生を抑制できる。仮に、燃料ペレットの嵩比重が0.45未満であると、輸送コストが高くなり、しかも圧縮が足りず粉塵の発生を抑制できない。また、燃料ペレットの嵩比重が0.55を超える場合であると、圧縮のためのコストがあまりに高くなって現実的でない。
【0011】
なお、燃料ペレットは、長さと直径の比が4〜15である円柱状に形成されていることが好ましい。
この場合、円柱状に成形されていると、取り扱いが容易でありかつ乾燥や冷却効率にも優れるものとなる。仮に、長さと直径の比が4未満であると高い圧密が行えない。また、長さと直径の比が15を越えると成形の際に脱気効率が低下し、残留塩素濃度を0.3重量パーセント以下に設定するのが困難になり、余分な設備が必要になるためコストアップすることが懸念される。
【0012】
本発明に係る燃料ペレットの製造方法は、請求項1または2に記載の燃料ペレットを製造する製造方法であって、廃棄された家電製品から回収されたウレタンフォームを10mm以下の粉状のポリウレタンに破砕する破砕工程と、前記粉状のポリウレタンをリング状のダイと該ダイの内側に配置されたプレスロールとの間に介在させて、前記ダイに形成した成形用孔から押し出すことにより燃料ペレットを圧縮成形する圧縮工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
前記のように構成された燃料ペレットの製造方法によれば、粒状のポリウレタンを、プレスロールとダイとの間で直接燃料ペレットを圧縮成形するので、プレス機を利用してポリウレタン粉体を圧縮成形によりスポンジケーキ状に形成する場合に比べて、効率良く圧縮することができ、もって燃料ペレットの嵩比重を0.45〜0.55に容易に設定できる。また、成形用孔から押し出しながら圧縮するので脱気効率の面でも優れ、フロン発泡のポリウレタン材であっても、強制加熱や脱塩素剤を使用することなく、残留塩素濃度を0.3重量パーセント以下に設定するのが可能となる。
【0014】
なお、前記圧縮工程中の前記粉状のポリウレタンの温度が140℃〜160℃の範囲にあることが好ましい。
この場合、比較的低い温度条件下(ポリウレタンの引火点約310℃、発火点約410℃)で燃料ペレットを圧縮成形するので、圧縮加工中のポリウレタンの安全性が高まる。
【0015】
また、前記圧縮工程が、大気より圧力が147Pa〜245Pa低い負圧雰囲気中で行われることが好ましい。
この場合、負圧条件下で圧縮加工するので、圧縮中にポリウレタンから分離するガス(フロン並びに水蒸気)を速やかに除去することができ、脱気効率をより高めることができる。なお、147Paより負圧が低いと、脱気効率が低下し、ポリウレタン粉体からガスやエアーが抜けにくくなる。また、245Paより負圧が高いと、ポリウレタン粉体がブロアー等の負圧源側へ流れる量が多くなり、燃料ペレット形成の歩留まりが低下するおそれが生じる。
【0016】
また、前記圧縮工程の後に、圧縮成形された加温状態の燃料ペレットを冷却する冷却工程を備えることが好ましい。
この場合、圧縮成形された燃料ペレットを適宜冷却することができ、その後の燃料ペレットの保管において発熱等の危険性を排除することができる。
【0017】
本発明に係る燃料ペレットの製造装置は、粉状のポリウレタンをリング状のダイと該ダイの内側に配置されたプレスロールとの間に介在させて、前記ダイに形成した成形用孔から押し出すことにより燃料ペレットを圧縮成形する造粒手段と、該造粒手段に粉状のポリウレタンを供給するポリウレタン供給手段と、前記造粒手段で圧縮成形された燃料ペレットを冷却する冷却手段と、前記造粒手段で圧縮成形された燃料ペレットを前記冷却手段に搬送する搬送手段と、前記造粒手段と前記搬送手段を囲んで形成される空間を所定の負圧雰囲気に保つ負圧手段を備えることを特徴とする。
【0018】
前記のように構成された燃料ペレットの製造装置によれば、前述した本発明に係る燃料ペレットの製造方法を好適に実施することができ、もって、本発明にかかる燃料ペレットを製造することができる。
また、前記造粒手段には、燃料ペレットを圧縮成形する造粒部内へ不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段、前記造粒部内で火炎が発生した場合に火炎が造粒部外へ広がるのを抑止する第1の遮断・抑止手段及び前記造粒部内で生じた爆発の影響が造粒部外へ広がるのを抑止する第2の抑止手段がそれぞれ付設されていることが好ましい。
この場合、造粒部に防災上の対策を施しているので、シクロペンタン発泡のポリウレタンを処理するのに好適である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の燃料ペレットによれば、通常の焼却炉やボイラー等の燃料用として利用することができる。また、嵩比重が0.45〜0.55に設定されているので、充分圧密されており、輸送の際のコストを低減できるとともに、粉塵の発生を抑制でき、同時にハンドリング性も向上する。
また、本発明の燃料ペレットの製造方法によれば、プレス機を利用してポリウレタン粉体を圧縮成形によりスポンジケーキ状にする場合に比べて、効率良く圧縮することができ、もって燃料ペレットの嵩比重を0.45〜0.55に設定することができる。また、脱気効率の面でも優れるので、シクロペンタン発泡のポリウレタンは勿論、たとえフロン発泡のポリウレタン材であっても、強制加熱や脱塩素剤を使用することなく、残留塩素濃度を0.3重量パーセント以下に設定するのが可能となる。
また、本発明の燃料ペレットの製造装置によれば、本発明に係る燃料ペレットの製造方法を好適に実施することができ、もって、本発明に係る燃料ペレットを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る燃料ペレットの実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の燃料ペレットの製造装置の第1実施形態を示すフロー図である。
【図3】第1実施形態の燃料ペレットの製造装置で使用されるローラー式造粒機を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態の燃料ペレットの製造装置を用いて燃料ペレットの製造方法を実施するときのフロー図である。
【図5】本発明の燃料ペレットの製造装置の第2実施形態を示すフロー図である。
【図6】本発明の燃料ペレットの製造装置の第2実施形態におけるローラー式造粒機のポリウレタン導入口の近傍の詳細を示す拡大図である。
【図7】第2実施形態の燃料ペレットの製造装置を用いて燃料ペレットの製造方法を実施するときのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〈第1実施形態〉
図1は本発明に係る燃料ペレットの実施形態を示す斜視図である。本発明に係る燃料ペレットPは、廃棄された家電製品から回収される硬質のウレタンフォームを破砕して得られる粉状のポリウレタンを圧縮成形して形成されるものである。また、燃料ペレットPは、嵩比重が0.45〜0.55、残留塩素濃度が0.3重量パーセント以下にそれぞれ設定されている。また、燃料ペレットPは、長さLと直径Dの比L/Dが4〜15の円柱状に形成されており、低位発熱量が6700kcal/kg〜7200kcal/kgとされている。
【0022】
燃料ペレットPは、図2、図3に示す本発明に係る第1実施形態である燃料ペレットの製造装置を用いて形成される。図2は本発明の燃料ペレットの製造装置の第1実施形態を示すフロー図、図3は図2に示す第1実施形態の燃料ペレットの製造装置で使用されるローラー式造粒機(株式会社御池鐡工所製)を示す斜視図である。なお、図2、図3に示す第1実施形態の燃料ペレットの製造装置は、主にフロン発泡のポリウレタンから燃料ペレットを製造する装置である。
【0023】
図2に示すように、図示せぬ前段の破砕機につながるコンベア1の先端は二股に分かれ、それらの先端にはダンパ1a、1bを介して貯槽2a、2bがそれぞれ接続される。貯槽2a、2bは、コンベア1によって搬送される、廃棄された家電製品から回収される硬質のウレタンフォームを破砕して得られる粉状のポリウレタン(以下、ポリウレタン粉体Aという)を貯蔵するものである。これら貯槽2a、2bの流出口にはスクリューフィーダ3a、3bの流入口が接続され、これらスクリューフィーダ3a、3bの流出口はポリウレタン導入路4aを介してローラー式造粒機4に接続される。
なお、前記コンベア1、前記ダンパ1a、1b、前記貯槽2a、2b、前記スクリューフィーダ3a、3b及び前記ポリウレタン導入路4aは、ローラー式造粒機4にポリウレタン粉体Aを供給するポリウレタン供給手段を構成する。
【0024】
図3に示すように、ローラー式造粒機4は、ケーシング5内にリング状のダイ6と、その内側にリング状のダイ6に対して偏心して配置されるプレスロール7とを備える。リング状のダイ6は、リング状の本体壁体6aに放射方向に沿って複数の成形用孔6bが形成されている。成形用孔6bは、深さLと孔径Dの比L/Dが4〜15に設定される。リング状のダイ6はモータ8と9によって回転される。プレスロール7は遊星式になっている。リング状のダイ6の外周にはカッター10が配置されている。
【0025】
ローラー式造粒機4に供給されたポリウレタン粉体Aは、リング状のダイ6とプレスロール7により圧縮され、リング状のダイの成形用孔6bから円柱状に成形されて押し出され、カッター10によって所定の長さに切断されて燃料ペレットPが形成される。すなわち、ローラー式造粒機4は、粉状のポリウレタンを、リング状のダイ6とダイの内側に配置されたプレスロール7との間に介在させて、ダイの成形用孔6bから押し出すことにより燃料ペレットを圧縮成形する造粒手段を構成する。
【0026】
ローラー式造粒機4には脱気通路11aを介してサイクロン11が接続され、サイクロン11のさらに先端にはガス通路12aを介してバグフィルター12が接続されている。また、バグフィルター12の下流側には強制排気用のブロアー12bが接続されている。
【0027】
ブロアー12bが駆動されると、ローラー式造粒機4内が大気圧よりも負圧になり、ポリウレタン粉体Aから分離されたフロン並びに水蒸気が、ローラー式造粒機4内からサイクロン11、バグフィルター12を通過して排出される。ブロアー12bの吐出口には既存の活性炭吸着設備が接続されている。また、前記ポリウレタン導入路4aにはエアー導入路4aaが接続されており、前記ローラー式造粒機4内が大気圧よりも負圧になるとき、このエアー導入路4aaから外部エアーが導入される。
【0028】
ローラー式造粒機4の流出口には密閉型で鋼鉄製のチェーンコンベア13の基端が接続され、この密閉式のチェーンコンベア13の先端はロータリーバルブ13aを介して空冷式冷却塔14に接続される。チェーンコンベア13の下流側には、エアー導入路13bが設けられ、前記ローラー式造粒機4及びこのローラー式造粒機4に連通される密閉型のチェーンコンベア13内が大気圧よりも負圧になるとき、このエアー導入路13bから冷却用の外部エアーが導入される。
【0029】
空冷式冷却塔14は角錐縦型の冷却塔である。空冷式冷却塔14の頂部内側には傾斜ギャラリー14aが設けられ、前記ロータリーバルブ13aから供給される燃料ペレットPは、この傾斜ギャラリー14aを通過することにより分散落下されて、下方の底板14bに均一の厚さで積層される。底板14bは、空気吹き出し口を有する帯状のガス分散版を備える。また、空冷式冷却塔14の直胴部下部には空気取入口14cが、底板14bよりも下方に設けられる。空冷式冷却塔14の内部空間に連通される排気ブロアー15により当該空冷式冷却塔14内が負圧に保持されるとき、前記空気取入口14cから外部エアーが導入される。この導入された外部エアーは空冷式冷却塔14内の空間を下方から上方に流れ、これによって、底板14b上に積層された燃料ペレットPが冷却される。
【0030】
底板14bは、回転手段14dによって設定時間毎にあるいは燃料ペレットPの温度に応じて間欠的に回転される。これにより、所定量積層した燃料ペレットPが空冷式冷却塔14の下流側に接続された振動フィーダー16へ搬出される。
【0031】
振動フィーダー16は32〜36メッシュのスクリーンを備える。振動フィーダー16に搬出された燃料ペレットPに同伴する粉体あるいは屑ペレット等は、このスクリーンによりふるい落とされる。粉塵等がふるい落とされた燃料ペレットPは、出荷用コンテナ17あるいはフレコンバッグへ供給される。
【0032】
振動フィーダー16にはエプロンコンベア18が接続され、このエプロンコンベア18で回収された粉体並びに屑ペレットは、前記貯槽2a,2bに運ばれて再度ペレット原料として利用される。また、サイクロン11並びにバグフィルター12にて捕集された排気ガス(フロン並びに水蒸気)中のウレタンダストは、それぞれに附帯のロータリーバルブ11b,12cから搬出され、エプロンコンベア18aを介して前記エプロンコンベア18に合流され、ここから前記貯槽2a,2bへ搬送される。
ここで、前記空冷式冷却塔14は、前記造粒手段であるローラー式造粒機4により圧縮成形された燃料ペレットAを冷却する冷却手段を構成する。また、密閉式チェーンコンベア13は、前記造粒手段であるローラー式造粒機4により圧縮成形された燃料ペレットAを前記冷却手段である空冷式冷却塔14に搬送する搬送手段を構成する。加えて、この密閉式チェーンコンベア13は、圧縮成形された燃料ペレットAを空冷式冷却塔14に搬送するまでの間に、エアーを利用して予備的に冷却する冷却手段を兼ねている。また、ブロアー12b及び排気ブロアー15は、前記造粒手段であるローラー式造粒機4と前記搬送手段である密閉式チェーンコンベア13内を所定の負圧雰囲気に保つ負圧手段を構成する。
【0033】
図4は第1実施形態の燃料ペレットの製造装置を用いて燃料ペレットを製造するときのフロー図である。この図に沿って、本発明の燃料ペレットの製造方法を説明する。
まず、廃棄された例えば、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、エアコン等の家電製品を手動で解体し(ステップS1)、製品本体から有価物を回収し、破砕に適さない物を分離する。
【0034】
次いで、残存する解体した製品本体を破砕機で粗破砕する(ステップS2)。続いて、磁力選別により破砕片から鉄系の材料を選別する(ステップ3)。次いで、風力選別により樹脂や非鉄からなる破砕片とポリウレタン破砕片とを選別する(ステップS4)このときの、ポリウレタン破砕片の嵩比重は0.035程度である。
次に、ポリウレタン破砕片を破砕機でさらに細かく破砕する(ステップS5)これにより、直径10mm以下(好適値は5mm以下)のポリウレタン粉体を得る。ポリウレタン粉体は粒状のものと他の形状のものとが混在しており、直径10mm以下とは、ここでは、ポリウレタン破砕片の最大長が10mm以下であることを意味する。ポリウレタン粉体を10mm以下にするのは、従前ならば、プレス成形にてスポンジケーキを形成するためであるが、これをそのまま利用してローラー式造粒機4で燃料ペレットPを支障なく形成するためである。なお、このときのポリウレタン粉体の嵩比重は0.06程度である。
以上は、従来から、家電リサイクルプラントで行われている工程である。
【0035】
次に、前述した第1実施形態の燃料ペレットの製造装置を用いて、ポリウレタン粉体を圧縮成形して、本発明に係る燃料ペレットPを圧縮成形するとともに(ステップS6)、成形された燃料ペレットPを所定温度まで冷却する(ステップS7)。
【0036】
具体的には、前記ステップS5で得られたポリウレタン粉体Aをコンベア1で搬送し、ダンパ1a,1bを介して貯槽2a,2bに貯留する。
貯留したポリウレタン粉体Aを貯槽2a,2bからスクリューフィーダ3a,3bによってローラー式造粒機4へ定量供給する。なお、スクリューフィーダ3a、3bは通常交互運転する。このときのポリウレタン粉体Aの供給量は200kg/h〜500kg/hの間で調整するが、300kg/h〜400kg/hの範囲が好適である。
【0037】
定量切り出されたポリウレタン粉体Aは重力落下流にてポリウレタン導入路4aを介してローラー式造粒機4に投入される。このとき、分離されたフロン並びに水蒸気(後述)の上昇流により重力落下が阻害されるおそれがある。この実施形態では、ブロアー12bによりローラー式造粒機4を負圧に保持するのに伴い、エアー導入路4aaからエアーが導入され、この導入されたエアーの流れによって、ポリウレタン粉体Aがスクリューフィーダ3a,3b側からローラー式造粒機4側へ速やかに流れる。
【0038】
ローラー式造粒機4内に流入されたポリウレタン粉体Aは、リング状のダイ6とプレスロール7により圧縮され、リング状のダイの成形用孔6bから円柱状に成形されて押し出され、カッター10によって所定の長さに切断されて燃料ペレットPが形成される。
このように、ポリウレタン粉体からローラー式造粒機4を用いて直接燃料ペレットを圧縮成形する方法は、圧縮効率が良く、従来の油圧プレスによりスポンジケーキ状を生成する場合に比べて、出力が約半分程度のモータ(110kw)を用いても充分圧縮成形可能である。したがって、消費電力も小さいものとなる。
【0039】
ローラー式造粒機4にて、ポリウレタン粉体Aが圧縮成形されるときに、ポリウレタン分子間に存在するあるいは分子に固溶する、ポリウレタンの発泡に用いられたフロン(R11及びフロン141b)、並びにポリウレタン粉体Aに包含する水分が、圧縮時に発生する摩擦熱並びに圧縮熱により加熱され、ウレタン分子から分離する。
この摩擦熱あるいは圧縮熱による造粒温度は140℃〜160℃の範囲にある。なお、造粒温度が140℃より低いとポリウレタン粉体A内のフロンやエアーの膨脹が抑えられるため、それらのポリウレタン粉体Aからのフロン等の分離が抑制される。また、造粒温度が160℃より高いと、分離するガス(フロン、水蒸気)の量が増加して拡散が不十分となって弾けた不良ペレットが多く形成される。造粒温度は、供給されるポリウレタン粉体Aの量により変化するが、145℃〜155℃となるように、ローラー式造粒機4へのポリウレタン粉体Aの供給量を調整するのが好適である。
【0040】
ポリウレタン粉体Aから分離されたフロン並びに水蒸気は、脱気通路11a、サイクロン11、及びバグフィルター12を経由してブロアー12bにて強制排気される。このときの排気風量は15m3/min〜30m3/minの範囲に設定される。排気風量が15m3/min未満であると、分離されたガス(フロン、水蒸気)を効果的に排出できない。また、排気風量が30m3/minを超えると、排気されるガス(フロン、水蒸気)に同伴するポリウレタン粉体Aの量が著しく多くなる。より好ましい排気風量は20m3/min〜26m3/minである。
このとき、ローラー式造粒機4の内部は、圧力が大気よりも147Pa〜245Pa(15mmH2O〜25mmH2O)低い負圧雰囲気に保持される。ローラー式造粒機4の内部を上記のような所定負圧雰囲気に保つのは、前記排気風量を決定した理由と同様である。
なお、排気ブロアー12bにより排気されたフロンを含んだガスは、既存の活性炭吸着設備に導入され、フロン回収が行なわれる。
【0041】
このように、回収したポリウレタン粉体Aから長さと直径の比が4〜15,嵩比重0.45〜0.55,低位発熱量6700〜7200kcal/kg,残留塩素濃度0.25〜0.30重量パーセントの燃料ペレットPを製造する。燃料ペレットPを上記条件とするには、原料供給量・造粒温度・排気風量・内部圧力を適切にコントロールすることが重要である。この実施形態における好適値を下記の表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
形成された燃料ペレットPは、ローラー式造粒機4に内蔵されたカッター10により長さ10〜30mm程度に整粒された後、排出口から排出され、密閉型チェーンコンベア13を経て空冷式冷却塔14へ搬送される。
排出直後のペレット温度は142℃〜155℃で、難燃性かつ放熱性に優れる鋼鉄製のチェーンコンベア13によって搬送することで冷却効果を持たせると同時に、チェーンコンベア13の下流側のエアー導入路13bから冷却用の外部エアーを取り入れ、この外部エアーによって燃料ペレットPを予冷する。この結果、予冷後の燃料ペレットPの温度は70℃〜90℃程度まで冷やされる。
【0044】
チェーンコンベア13によって空冷式冷却塔14へ搬送された燃料ペレットPは、ロータリーバルブ13aを介して空冷式冷却塔14の傾斜ギャラリー14aにより分散落下し、底板14b上に均一の厚さに積層される。この実施形態では、冷却効果を考慮して積層厚さを100mm〜150mmの範囲に設定する。
底板14b上に積層された燃料ペレットPは、排気ブロアー15が駆動されるのに伴い、空気取入口14cから導入される外部エアーによって25℃〜45℃の範囲になるまで冷却される。
下記の表2に燃料ペレットPの温度推移を示す。
【0045】
【表2】

【0046】
底板14bは回転手段14dによって設定時間毎にあるいは燃料ペレットの温度に応じて間欠的に回転し、所定量積層した燃料ペレットPを振動フィーダー16に排出する。
排出された燃料ペレットPは、振動フィーダー16によって出荷用コンテナ17あるいはフレコンバッグに供給される。
燃料ペレットPが振動フィーダー16のスクリーンを通過するとき、該燃料ペレットPに同伴する粉体あるいは屑ペレット等は、このスクリーンによりふるい落とされる。スクリーンによりふるい落とされたポリウレタン粉体並びに屑ペレットは、エプロンコンベア18によって回収されて、貯槽2a,2bに運ばれて再度ペレット原料として利用される。
【0047】
以上説明したように本発明に係る燃料ペレットPによれば、残留塩素濃度が0.3重量パーセント以下に設定されているので、通常の焼却炉やボイラー等の燃料用として利用することができる。ちなみに、残留塩素濃度が0.3重量パーセントを越える値であると、残留塩素許容濃度の高い高炉燃料あるいは鉄還元剤等の特殊な燃料としてしか使用できない。また、嵩比重が0.45〜0.55に設定されているので、充分圧密されており、輸送の際のコストを低減できるとともに、粉塵の発生を抑制できる。
加えて、上記燃料ペレットPは、長さと直径の比が4〜15である円柱状に成形されているから、取り扱いが容易でかつ乾燥や冷却効率にも優れる。また、長さと直径の比が4未満であると高い圧密ができず、長さと直径の比が15を越えると脱気が良好に行えず、残留塩素濃度を0.3重量パーセント以下に設定するのが困難になる。
【0048】
〈第2実施形態〉
図5は本発明の燃料ペレットの製造装置の第2実施形態を示すフロー図、図6は本発明の燃料ペレットの製造装置の第2実施形態におけるローラー式造粒機のポリウレタン導入口の近傍の詳細を示す拡大図、図7は第2実施形態の燃料ペレットの製造装置を用いて燃料ペレットの製造方法を実施するときのフロー図である。
なお、説明の便宜上、この第2実施形態の燃料ペレットの製造装置及び製造方法において、図2、4図で示す第1実施形態の燃料ペレットの製造装置及び製造方法と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
第2実施形態の燃料ペレットの製造装置及び製造方法は、主にシクロペンタン発泡のポリウレタンから燃料ペレットを製造するのに用いて好適な燃料ペレットの製造装置及び製造方法である。
【0049】
シクロペンタン発泡のポリウレタンは、シクロペンタン自体が引火性であるため、これから燃料ペレットを製造するには防災上の対策が必要である。
図5、図6に示すように、第2実施形態の燃料ペレットの製造装置は、ポリウレタン導入路4aのローラー式造粒機4への接続部を囲むようにホッパ21を備えており、このホッパ21には不活性ガスを導入するための不活性ガス導入路22が、該ホッパの側壁21aを貫通してポリウレタン導入路4aに達するように配設されている。この不活性ガス導入路22からは例えば窒素ガスあるいはアルゴンガス等の不活性ガスが導入される。不活性ガスの導入は、例えば、ブロアー12bが駆動されてローラー式造粒機4内が負圧になるとき、その負圧を利用してローラー式造粒機4内へ導入される。また、不活性ガスがより多く必要な場合には、不活性ガス導入路22の基端側に図示せぬブロアーを設置し、このブロアーの圧力を利用して強制的にてローラー式造粒機4内へ導入させてもよい。
このように、不活性ガスをローラー式造粒機4内に導入するのは、ローラー式造粒機4内において、シクロペンタンガスの濃度を所定値以下にまで希釈する効果と、ローラー式造粒機4内の酸素濃度を下げる効果により、ローラー式造粒機4内でのシンクロペンガスが発火するのを防ぐ、あるいは発火しても消炎を容易にするためである。つまり、前記不活性ガス導入路22は、不活性ガスを、ホッパ21及びローラー式造粒機4を含めた造粒部内に導入する不活性ガス導入手段を構成する。
【0050】
また、ホッパ21には、エアー導入路4aaが、その先端をホッパの側壁21a内で開口するように接続されている。ブロアー12bが駆動されると、該ブロアー12bの吸引力によってエアー導入路4aaから空気がホッパ21内に導入される。この導入された空気はローラー式造粒機4内に導入される前記不活性ガスの一部と合流し、ホッパ21に接続された脱気通路11aを介してサイクロン11へ導かれる。このようにエアー導入路4aaを介してホッパ21内に空気を導入するのは、ローラー式造粒機4で生じたウレタンダスト等をサイクロンやバグフィルター12まで運ぶのに必要な風量を得るためである。
【0051】
また、ホッパ21の側壁21aの内部には圧力センサ23が設けられている。この圧力センサ23は、ナイフゲートバルブ24の動作を制御したり、粉末消火剤をローラー式造粒機4内に導入するための制御を行う制御部(図示略)に接続されている。前記ナイフゲートバルブ24は、同じ場所に粉末消火剤を噴出する機構を設置することにより代替できる。ホッパ21内に導入される粉末消火剤は、シクロペンタンによる火炎を抑制する効果を持ち、ホッパ21へ接続されている配管の遮断は火炎の遮断効果を持つ。この場合、特に脱気通路11aへ接続されている配管での火炎の遮断が重要であり、ここで火炎を遮断することにより集塵系での2次的な被害が生じるのを防止する効果がある。この集塵系の脱気通路には、図5に示したペレット出口からの脱気通路11aも合流しており、火炎の遮断機構は合流後以降、サイクロン11の手前までに配置する必要がある。空気あるいは窒素ガス導入配管については、元来、着火する物質が存在しないため消炎のみの対応である消炎ベントにより対応も可能である。火炎遮断を目的にしたナイフゲートバルブ24または粉末消炎火材の設置場所は、圧力センサ23で圧力を感知してからそれらの機器が作動するまでの時間と火炎の速度から算出される到達距離(シクロペンタンとウレタン粉じんのハイブリッドの状態における最大のKG値=260とした場合の設置の保安距離は、配管直径300mmの場合2.5〜7.5m)ホッパ21から離れた場所であり、ホッパに接続している3つの配管である不活性ガス導入路22、エアー導入路4aa、脱気通路11aに配置される。また、火炎抑制効果を持つ粉末消化剤はホッパ21に放出されるように配備される。
【0052】
そして、圧力センサ23によって、ホッパ21内あるいは該ホッパ21に接続されるローラー式造粒機4内の圧力が異常に高くなったことを検知すると、制御部からの出力信号に基づき、ナイフゲートバルブ24が閉塞、あるいはその場所に粉末消火剤が噴出される。これにより、ホッパ21内で発生した火炎が、不活性ガス導入路22、エアー導入路4aa、脱気通路11aを通じて、それら通路のホッパとは逆側の接続端まで伝播するのを防止する。また、前記制御部からの出力信号に基づき、粉末消火剤がホッパ21に放出されることにより、異常圧力の原因となる火炎の抑制効果を発揮する。
つまり、前記圧力センサ23、ナイフゲートバルブ24、粉末消火剤、制御部は、ホッパ21内やローラー式造粒機4内(つまり、ホッパ21及びローラー式造粒機4を含めた造粒部内)で火炎が発生した場合に、その影響が、燃料ペレットの製造装置の他の構成部分(造粒部外)まで広がらないように抑止する第1の遮断・ 抑止手段を構成する。
【0053】
また、ホッパ21の側壁には爆発放散口25が設けられている。この爆発放散口25は通常閉塞されているが、この爆発放散口25が取り付けられている空間内、例えばホッパ21内の圧力が異常に高まった場合には、直ちに開放されて同空間内の圧力を外部へ開放する。また、必要に応じて、爆発放散口25に付随して消炎装置を追加し、開放された爆発放散口から外部へ火炎が放出するのを防止するようにしてもよい。
つまり、前記爆発放散口25あるいは爆発放散口25に付随する消炎装置は、ホッパ21内やローラー式造粒機4(前記造粒部)内で爆発が発生した場合に、その影響が、燃料ペレットの製造装置の他の構成部分(造粒部外)まで広がらないように抑止する第2の抑止手段を構成する。
【0054】
なお、第2実施形態の燃料ペレットの製造装置によれば、シクロペンタン発泡のポリウレタンを処理して燃料ペレットを製造するための防災上の対策として、不活性ガス導入手段、第1の遮断・抑止手段、第2の抑止手段をそれぞれ備えているが、これらすべての手段を必ず備える必要はなく、それらのうちいずれか1つ、あるいはいずれか2つを備えるに止まるようにしてもよい。
【0055】
図7に示すように、第2実施形態の燃料ペレットの製造方法によれば、風力選別(ステップS4)により選別されたポリウレタン破砕片を破砕機でさらに細かく破砕する再破砕工程(ステップS5)前に、ポリウレタン破砕片を搬送する搬送路の途中あるいは先端に例えばドラム式の磁石選別機を設けることで、ポリウレタン破砕片から鉄系の材料を選別して除去する磁石選別(ステップS5´)を行ってもよい。
さらに、再破砕されたポリウレタン粉体をローラー式造粒機4を用いて燃料ペレットを圧縮成形する圧縮工程(ステップS6)の前に、このポリウレタン粉体を搬送する搬送路の途中あるいは先端に例えばドラム式の磁石選別機を設けることで、ポリウレタン粉体から鉄系の材料を選別して除去する磁石選別(ステップS6´)を行ってもよい。
【0056】
このように、磁石選別を幾度となく行うのは、ポリウレタン粉体中に鉄系の材料が混じると、ローラー式造粒機4を用いて燃料ペレットを圧縮成形する際に、鉄系の材料の摩擦によって火花が生じ、これに起因してポリウレタン粉体から生じるシクロペンタンガスが発火するといった事態を避けるためである。
なお、この第2実施形態で示したように、再破砕の前工程と造粒機を用いた圧縮工程の前工程の2度にわたって磁石選別工程(ステップS5´、ステップS6´)を行う必要はなく、それらのうち一つの工程で鉄系の材料を除去してもよい。
【0057】
また、この第2実施形態の燃料ペレットの製造方法では、再破砕されたポリウレタン粉体をローラー式造粒機4を用いて燃料ペレットを圧縮成形する圧縮工程(ステップS6)が行われる箇所まで、ポリウレタン粉体を搬送するにあたり、この搬送路に、火花検知器と、この火花検知器からの検知信号に基づき当該搬送路へ水を散布する散水機を備える構成とし(ステップS5´´)、火花の発生を抑制しつつ搬送する構成にしてもよい。このように、ポリウレタン粉体の搬送中に火花の発生を抑制するのは、搬送中に生じる火花に起因してポリウレタン粉体から生じるシクロペンタンガスが発火するといった事態を避けるためである。
【0058】
なお、火花の発生を抑制する手段としては、火花検知器と散水機との組み合わせの他に、湿度計と散水機との組み合わせも考えられる。
すなわち、湿度計によって搬送路上の湿度を常に検知し、湿度が所定値以下になる場合には、散水機から水を散布することで、搬送路上の湿度を常に所定値以上に保つことによって、静電気が原因で生じる火花の発生を防止することができる。また、搬送中の粉末流体により発生する静電気を除去する為に、これらの配管及び、ホッパ21、ミルは静電接地を行い、静電除去を行うことも重要である。
【0059】
このような、燃料ペレットの製造装置あるいは製造方法によれば、防災上の対策を採っているため、装置内でシクロペンタンのガスあるいは液が燃焼するのを回避できる。また、仮に、シクロペンタンのガスが燃焼する場合でも、その影響を最小限にくい止めることができる。
【0060】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、本実施形態の燃料ペレットPは、円柱状に形成されているが、これに限られることなく、円板状に形成されていても、あるいは円錐状、角錐状、楕円体であってもよい。 また、前記実施形態では、ローラー式造粒機4を一台のみ設置しているが、これに限られることなく、ローラー式造粒機4を複数並列に配置し、これらにつながる空冷式冷却塔14を統合した1台、あるいは複数台のローラー式造粒機4ごとに1台設ける構成にしても良い。
また、形成される燃料ペレットPの長さと直径の比が4〜15の範囲において、ローラー式造粒機を大型化しても良い。
【符号の説明】
【0061】
1 コンベア(ポリウレタン供給手段)、
2a、2b 貯槽(ポリウレタン供給手段)、
3a、3b スクリューフィーダ(ポリウレタン供給手段)、
4a ポリウレタン導入路(ポリウレタン供給手段)、
4 ローラー式造粒機(造粒手段)、
5 ケーシング、
6 リング状のダイ、
6b 成形用孔、
7 プレスロール、
11 サイクロン、
12 バグフィルター、
12b ブロアー(負圧手段)、
13 密閉式チェーンコンベア(搬送手段、冷却手段)、
14 空冷式冷却塔(冷却手段)、
15 排気ブロアー(負圧手段)、
16 振動フィーダー、
18 エプロンコンベア、
21 ホッパ、
21a ホッパの側壁、
22 不活性ガス導入路(不活性ガス導入手段)、
23 圧力センサ(第1の遮断・抑止手段)、
24 ナイフゲートバルブ(第1の遮断・抑止手段)、
25 爆発放散口(第2の抑止手段)、
A ポリウレタン粉体、
P 燃料ペレット、
S2 粗破砕(破砕工程)、
S5 再破砕(破砕工程)、
S6 圧縮工程、
S7 冷却工程、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタンフォームを破砕して得られる粉状のポリウレタンを圧縮成形して形成される燃料ペレットであって、
嵩比重が0.45〜0.55、残留塩素濃度が0.3重量パーセント以下にそれぞれ設定されていることを特徴とする燃料ペレット。
【請求項2】
長さと直径の比が4〜15である円柱状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の燃料ペレット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃料ペレットを製造する製造方法であって、
廃棄された家電製品から回収されたウレタンフォームを10mm以下の粉状のポリウレタンに破砕する破砕工程と、
前記粉状のポリウレタンをリング状のダイと該ダイの内側に配置されたプレスロールとの間に介在させて、前記ダイに形成した成形用孔から押し出すことにより燃料ペレットを圧縮成形する圧縮工程と、
を備えることを特徴とする燃料ペレットの製造方法。
【請求項4】
前記圧縮工程中の前記粉状のポリウレタンの温度が140℃〜160℃の範囲にあることを特徴とする請求項3に記載の燃料ペレットの製造方法。
【請求項5】
前記圧縮工程が、大気より圧力が147Pa〜245Pa低い負圧雰囲気中で行われることを特徴とする請求項3または4に記載の燃料ペレットの製造方法。
【請求項6】
前記圧縮工程の後に、圧縮成形された加温状態の燃料ペレットを冷却する冷却工程を備えることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の燃料ペレットの製造方法。
【請求項7】
粉状のポリウレタンをリング状のダイと該ダイの内側に配置されたプレスロールとの間に介在させて、前記ダイに形成した成形用孔から押し出すことにより燃料ペレットを圧縮成形する造粒手段と、
該造粒手段に粉状のポリウレタンを供給するポリウレタン供給手段と、
前記造粒手段で圧縮成形された燃料ペレットを冷却する冷却手段と、
前記造粒手段で圧縮成形された燃料ペレットを前記冷却手段に搬送する搬送手段と、
前記造粒手段と前記搬送手段を囲んで形成される空間を所定の負圧雰囲気に保つ負圧手段を備えることを特徴とする燃料ペレットの製造装置。
【請求項8】
前記造粒手段には、燃料ペレットを圧縮成形する造粒部内へ不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段、前記造粒部内で火炎が発生した場合に火炎が造粒部外へ広がるのを抑止する第1の遮断・抑止手段及び前記造粒部内で生じた爆発の影響が造粒部外へ広がるのを抑止する第2の抑止手段がそれぞれ付設されていることを特徴とする請求項7に記載の燃料ペレットの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−241385(P2011−241385A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80124(P2011−80124)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(510109648)中部エコテクノロジー株式会社 (1)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】