説明

燃料噴射弁

【課題】ボイスコイルモータを用いた燃料噴射弁において、消費電力の増加を抑制し且つ燃料噴射弁の大型化を回避する。
【解決手段】ボイスコイルモータにて駆動される制御ピストン19により油室27の燃料圧を制御してニードル25による噴孔240の開閉作動を制御する燃料噴射弁において、ニードルピストン部251の受圧面積を制御ピストン部192の受圧面積よりも大きくすることにより、ボイスコイルモータが発生する駆動力が小さくても、ニードル25による噴孔240の開閉作動を制御することができる。したがって、消費電力の増加を抑制し且つ燃料噴射弁の大型化を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を内燃機関に噴射するための燃料噴射弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の燃料噴射弁として、磁石の磁界中に置かれたボイスコイルに電流を流すことによりボイスコイルが移動するボイスコイルモータを用い、ボイスコイルモータによりピストンを駆動してニードルに作用する圧力を制御することにより、ニードルによる噴孔の開閉作動を制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7267533号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ボイスコイルモータは発生する駆動力が小さいため、所定の駆動力を得るためにボイスコイルへ通電する電流を大きくする、もしくは、磁石を大型にして磁極面積を大きくすることが必要となり、したがって、消費電力が大きい、あるいは燃料噴射弁が大型化してしまうという問題が発生する。
【0005】
また、ニードルに常時作用する燃料圧力によりニードルが開弁向きに付勢されているため、燃料圧力が設定圧以上に高くなると自動的に開弁してしまうという問題もある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、ボイスコイルモータを用いた燃料噴射弁において、消費電力の増加を抑制し且つ燃料噴射弁の大型化を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、磁石(17、18、50)の磁界中に置かれたボイスコイル(13)に電流を流すことにより、ボイスコイル(13)が移動するボイスコイルモータと、燃料通路に接続された噴孔(240)および噴孔(240)よりも上流側に位置するボデーシート部(241)を有するボデー(23、24)と、燃料が充填された油室(27)を有しボデー(23、24)に固定されたシリンダ(26)と、ボデーシート部(241)に接離して噴孔(240)を開閉するニードルシート部(250)を一端側に有するとともに、シリンダ(26)に摺動自在に挿入されて油室(27)の燃料圧を受けるニードルピストン部(251)を他端側に有するニードル(25)と、シリンダ(26)に摺動自在に挿入される制御ピストン部(192)を有するとともに、ボイスコイルモータにて駆動されて油室(27)の燃料圧を制御する制御ピストン(19)とを備え、制御ピストン(19)の移動により油室(27)の燃料圧を制御してニードル(25)による噴孔(240)の開閉作動を制御する燃料噴射弁であって、ニードルピストン部(251)の受圧面積が制御ピストン部(192)の受圧面積よりも大きいことを特徴とする燃料噴射弁。
【0008】
これによると、ニードルピストン部(251)の受圧面積を制御ピストン部(192)の受圧面積よりも大きくすることにより、ボイスコイルモータが発生する駆動力が小さくても、ニードル(25)による噴孔(240)の開閉作動を制御することができる。したがって、消費電力の増加を抑制し且つ燃料噴射弁の大型化を回避することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の燃料噴射弁において、ボイスコイルモータは、ボイスコイル(13)が筒状に形成され、磁石(17、18、50)がボイスコイル(13)の内側および外側に配置されていることを特徴とする。
【0010】
これによると、磁束の漏れを抑制できるとともに、ボイスコイル(13)内をその径方向に通過する磁束を確実に確保できるため、駆動力を確実に得ることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の燃料噴射弁において、ボイスコイル(13)はボイスコイル(13)の移動方向に沿って複数個配置され、隣接するボイスコイル(13)は磁性体製の連結部材(60)にて連結されていることを特徴とする。
【0012】
これによると、複数のボイスコイル(13)を備えているため、複数のボイスコイル全体を鎖交する磁束量が増加して駆動力を増加させることができる。そして、1つのボイスコイルを用いるものと駆動力を同等にすると、ボイスコイル1個あたりのコイル巻数を少なくできるため、ボイスコイルモータの外径を小さくすることができ、ひいては燃料噴射弁の外径を小さくすることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の燃料噴射弁において、ボイスコイル(13)の巻き線(131)は、銅よりも比透磁率が高い材料よりなることを特徴とする。
【0014】
これによると、銅製巻き線を用いる場合と比較して、ボイスコイル(13)を鎖交する磁束量が多くなるためローレンツ力が大きくなり、より小さい電流で必要な駆動力を得ることができる。そして、銅製巻き線を用いるものと駆動力を同等にすると、ボイスコイル(13)を小径にすることができ、ひいては燃料噴射弁の外径を小さくすることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の燃料噴射弁において、ニードルピストン部(251)に作用する油室(27)の燃料圧によりニードル(25)は閉弁向きに付勢され、油室(27)の燃料圧を低下させてニードル(25)を開弁作動させることを特徴とする。
【0016】
ところで、燃料通路を流通する燃料の圧力によりニードル(25)が開弁向きに付勢されている場合は、燃料圧力が設定圧以上に高くなると自動的に開弁してしまうという問題が発生する。これに対し、請求項5に記載の燃料噴射弁の場合、閉弁時には、燃料通路の燃料が摺動部のクリアランスから油室(27)に流入して、燃料通路の燃料圧力と油室(27)の燃料圧力は略同圧になるため、燃料圧力が設定圧以上に高くなった場合でも閉弁状態が維持される。
【0017】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の燃料噴射弁において、燃料通路を流通する燃料の圧力によりニードル(25)が開弁向きに付勢される燃料噴射弁であって、シリンダ(26)とニードルピストン部(251)との間に摺動自在に挿入された筒状の補助ニードルピストン(40)を備え、補助ニードルピストン(40)は、燃料通路を流通する燃料の圧力によりニードル(25)を開弁向きに付勢し、ニードル(25)のリフト量が所定リフト以下の領域では、補助ニードルピストン(40)はニードル(25)を開弁向きに付勢しつつニードル(25)とともに移動し、ニードル(25)のリフト量が所定リフトを超えた領域では、補助ニードルピストン(40)はシリンダ(26)に係合して移動しないように構成されていることを特徴とする。
【0018】
これによると、開弁開始にはニードル(25)は補助ニードルピストン(40)によっても付勢されるため、大きな開弁力で確実に開弁させることができる。また、開弁後は、補助ニードルピストン(40)およびニードル(25)のうちニードル(25)のみが移動するため、ニードル(25)のリフト速度を高くすることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の燃料噴射弁において、ニードルピストン部(251)に作用する油室(27)の燃料圧によりニードル(25)は開弁向きに付勢され、油室(27)の燃料圧を上昇させてニードル(25)を開弁作動させることを特徴とする。
【0020】
これによると、ニードル(25)を開弁作動させる際には油室(27)の燃料を加圧するため、ニードル(25)の開弁作動時に油室(27)にエアが発生せず、ニードル(25)を安定して作動させることができる。
【0021】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の燃料噴射弁において、ニードルピストン部(251)における反油室側の面に燃料通路を流通する燃料の圧力が作用することにより、ニードル(25)が閉弁向きに付勢されていることを特徴とする。
【0022】
これによると、燃料圧力が設定圧以上に高くなった場合でも閉弁状態が維持される。
【0023】
請求項9に記載の発明では、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の燃料噴射弁において、ボイスコイル(13)に電流を流してニードル(25)を開弁作動させた後、ボイスコイル(13)に流れる電流の向きを反転させてニードル(25)を閉弁作動させることを特徴とする。
【0024】
これによると、閉弁時の応答性を向上させることができる。
【0025】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る燃料噴射弁を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る燃料噴射弁を示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る燃料噴射弁を示す断面図である。
【図4】図3の燃料噴射弁の要部を拡大して示す断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る燃料噴射弁を示す断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る燃料噴射弁を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0028】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は第1実施形態に係る燃料噴射弁を示す断面図である。
【0029】
図1に示すように、円筒状のインジェクタボデー10の一端側に、円板状の第1ステータ11が配置され、インジェクタボデー10の内部に、円板状の第2ステータ12が配置されている。インジェクタボデー10、第1ステータ11、および第2ステータ12は、何れも透滋率が高い磁性体材料で形成されている。また、第1ステータ11および第2ステータ12は、インジェクタボデー10に接合されている。
【0030】
第1ステータ11には、燃料通路となる貫通孔110が形成されている。また、第2ステータ12にも、燃料通路となる貫通孔120が形成されている。
【0031】
インジェクタボデー10と第1ステータ11と第2ステータ12とによって形成された空間には、ボビン130に銅製の巻き線131を巻いた円筒状のボイスコイル13が配置されている。巻き線131はリード線14を介してコネクタ部15のコネクタ端子150に接続されており、コネクタ端子150およびリード線14を介して巻き線131に電力が供給されるようになっている。
【0032】
ボイスコイル13の内周側空間内で、且つボイスコイル13の軸方向(以下、コイル軸方向という)の中心部に、透磁率が高い磁性体材料で形成された円柱状のセンタースペーサ16が配置されている。ボイスコイル13の内側空間内で、且つセンタースペーサ16と第1ステータ11との間に、永久磁石である円柱状の第1磁石17が配置され、ボイスコイル13の内周側空間内で、且つセンタースペーサ16と第2ステータ12との間に、永久磁石である円柱状の第2磁石18が配置されている。センタースペーサ16、第1磁石17、および第2磁石18は、第1ステータ11と第2ステータ12に挟持されている。
【0033】
インジェクタボデー10とボイスコイル13との間には、隙間が形成されている。また、センタースペーサ16、第1磁石17、および第2磁石18と、ボイスコイル13との間にも、隙間が形成されている。そして、それらの隙間は、燃料通路として機能するようになっている。
【0034】
また、第1ステータ11とボイスコイル13との間、および第2ステータ12とボイスコイル13との間にも隙間が形成されており、ボイスコイル13はコイル軸方向に移動可能になっている。
【0035】
第1磁石17および第2磁石18は、センタースペーサ16に接する側が同磁極になるように配置されており、本実施形態では、センタースペーサ16に接する側が何れもS極であり、破線で示すような磁気回路が形成される。
【0036】
インジェクタボデー10、第1ステータ11、第2ステータ12、ボイスコイル13、センタースペーサ16、第1磁石17、および第2磁石18によって、ボイスコイルモータが構成されており、第1磁石17および第2磁石18の磁界中に置かれたボイスコイル13に電流を流すことにより、ボイスコイル13がコイル軸方向に移動するようになっている。
【0037】
より詳細には、ボイスコイルモータは、ボイスコイル13に電流を流すと、電磁誘導によりローレンツ力が発生し、ボイスコイル13がコイル軸方向に駆動される。そして、ボイスコイル13に流す電流の向きを反転させることにより、ボイスコイル13の作動方向が反転する。
【0038】
インジェクタボデー10の内部には、ボイスコイル13によって駆動される制御ピストン19が配置されている。この制御ピストン19は、円板状の板部190を備え、この板部190は、第2ステータ12よりも反ボイスコイル側に位置している。
【0039】
板部190の外周部近傍には、第2ステータ12の貫通孔120を貫通してボイスコイル13側に向かって延びるピン形状の複数個のピン部191が形成されている。このピン部191の先端がボイスコイル13に接合されており、これにより制御ピストン19がボイスコイル13と一体的に動くようになっている。
【0040】
板部190の径方向中心部には、反ボイスコイル側に向かって延びる円筒状の制御ピストン部192が形成されている。この制御ピストン部192は、後述するシリンダに摺動自在に挿入されて後述する油室の燃料圧を受けるようになっている。
【0041】
制御ピストン19と第2ステータ12との間に、第1スプリング20が配置されている。そして、この第1スプリング20により、制御ピストン19は反ボイスコイル側に向かって付勢されている。
【0042】
第1ステータ11には、金属製の入口部材21が接合されている。入口部材21には燃料通路となる貫通孔210が形成されており、この貫通孔210に図示しない加圧ポンプから燃料が供給される。また、貫通孔210には、異物を除去するフィルタ部材22が挿入されており、貫通孔210に供給された燃料はフィルタ部材22を通過して第1ステータ11の貫通孔110に流入する。
【0043】
インジェクタボデー10の他端側には、金属製の段付き円筒状の主ノズルボデー23が接合されている。主ノズルボデー23における反インジェクタボデー側の端部には、すなわち小径円筒部の端部には、金属製の円筒状の副ノズルボデー24が接合されている。副ノズルボデー24には、燃料通路に接続された噴孔240、および噴孔240よりも燃料流れ上流側に位置する円錐台のボデーシート部241が形成されている。
【0044】
主ノズルボデー23および副ノズルボデー24の内周側空間には、一端側が円柱状で他端側が円筒状になった金属製のニードル25が、その軸方向に移動可能な状態で収容されている。主ノズルボデー23および副ノズルボデー24とニードル25との間には、燃料通路として機能する隙間が形成されている。
【0045】
ニードル25の一端側、すなわちニードル25における副ノズルボデー24側の端部には、ボデーシート部241に接離して噴孔240を開閉するニードルシート部250が形成されている。また、ニードル25の他端側には、後述するシリンダに摺動自在に挿入されて後述する油室の燃料圧を受ける円筒状のニードルピストン部251が形成されている。
【0046】
主ノズルボデー23におけるインジェクタボデー10側には、すなわち大径円筒部内には、金属製の円筒状のシリンダ26が接合されている。このシリンダ26の外周部近傍には、燃料通路となる貫通孔260が形成されている。また、シリンダ26の径方向中心部には、ニードルピストン部251が摺動自在に挿入される第1摺動孔261、および制御ピストン19の制御ピストン部192が摺動自在に挿入される第2摺動孔262が形成されている。
【0047】
第1摺動孔261および第2摺動孔262のうちニードルピストン部251と制御ピストン部192にて区画された空間である油室27には、第2スプリング28が配置されており、この第2スプリング28により、ニードル25はボデーシート部241に向かって(すなわち閉弁向きに)付勢されている。
【0048】
油室27には燃料が充填されており、ニードルピストン部251における反ニードルシート部側(すなわち反噴孔側)の面に油室27の燃料圧が作用し、この燃料圧によりニードル25は閉弁向きに付勢される。
【0049】
また、閉弁状態では、ニードルピストン部251におけるニードルシート部250側(すなわち噴孔240側)の面に燃料通路を流通する燃料の圧力が作用し、ニードル25はその圧力により開弁向きに付勢される。さらに、開弁状態では、ニードルピストン部251におけるニードルシート部250側の面およびニードルシート部250に、燃料通路を流通する燃料の圧力が作用し、ニードル25はその圧力により開弁向きに付勢される。
【0050】
ここで、ニードルピストン部251における油室27の燃料圧が作用する部位の面積をニードルピストン受圧面積SNEEDLEとし、制御ピストン部192における油室27の燃料圧が作用する部位の面積を制御ピストン受圧面積SPISTONとしたとき、SNEEDLE>SPISTONになっている。
【0051】
次に、上記構成になる燃料噴射弁の作動を説明する。図1は閉弁状態を示しており、ここでボイスコイル13に対して所定の向きに電流を流すと、ボイスコイル13および制御ピストン19が第1ステータ11側に向かって移動する。換言すると、制御ピストン部192が第2摺動孔262から抜け出す向き、すなわち、油室27の容積を増加させる向きに、ボイスコイル13および制御ピストン19が移動する。これにより、油室27の燃料圧力が低下し、ニードル25を閉弁向きに付勢する力が減少する。
【0052】
そして、油室27の燃料圧力が所定圧力まで低下すると、燃料通路を流通する燃料の圧力によりニードル25を開弁向きに付勢する力の方が大きくなって、ニードル25が開弁向きに移動し、ニードルシート部250がボデーシート部241から離れて噴孔240が開かれる。これにより、図示しない加圧ポンプから供給される燃料が燃料噴射弁内の燃料通路を介して噴孔240に至り、その燃料は噴孔240から図示しない内燃機関に噴射される。
【0053】
次に、閉弁させる際には、ボイスコイル13に対して開弁作動時とは逆向きに電流を流す。これにより、ボイスコイル13および制御ピストン19が開弁作動時とは逆向きに移動し、制御ピストン部192により油室27の燃料が圧縮されて圧力が高められ、ニードル25を閉弁向きに付勢する力が増加する。
【0054】
そして、油室27の燃料圧力によりニードル25を閉弁向きに付勢する力が、燃料通路を流通する燃料の圧力によりニードル25を開弁向きに付勢する力よりも大きくなると、ニードル25が閉弁向きに移動し、ニードルシート部250がボデーシート部241に当接して噴孔240が閉じられ、燃料の噴射が停止される。
【0055】
なお、閉弁作動に必要な時間が経過後、ボイスコイル13への通電を停止する。因みに、通電停止後は、燃料通路の燃料が摺動部のクリアランスから油室27に流入して、燃料通路の燃料圧力と油室27の燃料圧力は略同圧になるため、閉弁状態が維持される。
【0056】
次に、本実施形態の特徴点について詳述する。ボイスコイルモータは、ボイスコイル13が通電により移動しても、ボイスコイル13内をその径方向に通過する磁束がほぼ均一であれば発生する駆動力は変化しないことは自明である。従って、ボイスコイル13と一体に動く制御ピストン19の移動量は設計により自由に設定が可能である。
【0057】
しかしながら、本発明者の試算によるとボイスコイルモータが発生する駆動力は小さく、ニードル25を閉弁向きに付勢する第2スプリング28のばね荷重よりも大きな駆動力を発生させるには、ボイスコイル13へ通電する電流を大きくする、もしくは、第1磁石17および第2磁石18を大型にして磁極面積を大きくする等の対策が必要となることがわかった。
【0058】
そこで、本実施形態では、制御ピストン19の移動量は設計により自由に設定が可能であることに着目し、以下のような検討に基づいて、ニードルピストン受圧面積SNEEDLEを制御ピストン受圧面積SPISTONよりも大きくすることにより、消費電力の増加を抑制し且つ燃料噴射弁の大型化を回避する構成を実現した。
【0059】
まず、制御ピストン19が第1ステータ11側に向かって移動することによる油室27の減圧量ΔPは式1で表される。
【0060】
ΔP=E・ΔV/V …式1
(但し、E:燃料の体積弾性率、ΔV:油室27の体積変化量、V:油室27の容積)
ここで、ニードル25の開弁作動に必要な油室27の圧力をΔPOPEN、制御ピストン19に作用する図1の紙面において下向きの力をFPISTONとすると、開弁時には、FPISTON=SPISTON×ΔPOPENの力が制御ピストン19に作用することとなる。したがって、ボイスコイルモータが発生する駆動力が、制御ピストン19に作用する下向きの力FPISTONよりも大きい場合は、開弁可能であるが、逆に小さいと開弁できない。
【0061】
そして、ピストン受圧面積SPISTONが小さければ、制御ピストン19に作用する下向きの力FPISTONも小さくなることは自明である。また、制御ピストン19の移動量をΔLとすると、式1から、ΔP∝ΔVであり、ΔV=SPISTON×ΔLである。従って、制御ピストン19に作用する下向きの力FPISTONを小さくしても、制御ピストン19の移動量ΔLを大きくすることで、所定の減圧量ΔPを得ることは可能である。
【0062】
上記の検討により、ニードルピストン受圧面積SNEEDLEを制御ピストン受圧面積SPISTONよりも大きくすることにより、ボイスコイルモータが発生する駆動力が小さくても、ニードルを開弁作動させて燃料を噴射させることが可能となる。
【0063】
以上述べたように、本実施形態では、ニードルピストン部251の受圧面積を制御ピストン部192の受圧面積よりも大きくすることにより、ボイスコイルモータが発生する駆動力が小さくても、ニードル25による噴孔240の開閉作動を制御することができる。したがって、消費電力の増加を抑制し且つ燃料噴射弁の大型化を回避することができる。
【0064】
また、閉弁時には、燃料通路の燃料が摺動部のクリアランスから油室27に流入して、燃料通路の燃料圧力と油室27の燃料圧力は略同圧になるため、燃料通路の燃料圧力が設定圧以上に高くなった場合でも閉弁状態を維持することができる。
【0065】
さらに、閉弁させる際には、ボイスコイル13に対して開弁作動時とは逆向きに電流を流して制御ピストン部192により油室27の燃料圧力を高めるため、閉弁時の応答性を向上させることができる。
【0066】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図2は第2実施形態に係る燃料噴射弁を示す断面図である。以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0067】
図2に示すように、本実施形態では、ニードルピストン部251におけるニードルシート部250側(すなわち噴孔240側)の面に油室27の燃料圧が作用し、この燃料圧によりニードル25は開弁向きに付勢されるようになっている。
【0068】
第1摺動孔261内の空間のうち、ニードルピストン部251における反油室側(すなわち、反ニードルシート部側)の面が望む空間であるスプリング室30は、貫通孔260に連通して、常に燃料通路の燃料圧力と同圧になっている。そして、スプリング室30の燃料圧力により、ニードル25は閉弁向きに付勢されている。また、スプリング室30に第2スプリング28が配置されている。
【0069】
上記構成において、閉弁状態のときにボイスコイル13に対して所定の向きに電流を流すと、ボイスコイル13および制御ピストン19が反第1ステータ側に向かって移動する。換言すると、制御ピストン部192が第2摺動孔262に侵入する向き、すなわち、油室27の容積を減少させる向きに、ボイスコイル13および制御ピストン19が移動する。これにより、油室27の燃料が圧縮されて圧力が高められ、ニードル25を開弁向きに付勢する力が増加する。
【0070】
そして、油室27の燃料圧力によりニードル25を開弁向きに付勢する力が、スプリング室30の燃料圧力によりニードル25を閉弁向きに付勢する力よりも大きくなって、ニードル25が開弁向きに移動し、ニードルシート部250がボデーシート部241から離れて噴孔240が開かれる。
【0071】
次に、閉弁させる際には、ボイスコイル13に対して開弁作動時とは逆向きに電流を流す。これにより、ボイスコイル13および制御ピストン19が開弁作動時とは逆向きに移動し、油室27の容積が増加して油室27の燃料圧力が低下し、ニードル25を開弁向きに付勢する力が減少する。
【0072】
そして、スプリング室30の燃料圧力によりニードル25を閉弁向きに付勢する力が、油室27の燃料圧力によりニードル25を開弁向きに付勢する力よりも大きくなると、ニードル25が閉弁向きに移動し、ニードルシート部250がボデーシート部241に当接して噴孔240が閉じられる。
【0073】
本実施形態によると、ニードル25を開弁作動させる際には油室27の燃料を加圧するため、ニードル25の開弁作動時に油室27にエアが発生せず、ニードル25を安定して作動させることができる。
【0074】
また、ニードルピストン部251における反油室側の面に、燃料通路を流通する燃料の圧力が作用することにより、ニードルが閉弁向きに付勢されるため、燃料通路の燃料圧力が設定圧以上に高くなった場合でも閉弁状態が維持される。
【0075】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。図3は第3実施形態に係る燃料噴射弁を示す断面図、図4は図3の燃料噴射弁の要部を拡大して示す断面図である。以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0076】
図3、4に示すように、本実施形態では、シリンダ26の第1摺動孔261とニードルピストン部251との間に、円筒状の補助ニードルピストン40が摺動自在に挿入されている。この補助ニードルピストン40における反ニードルシート部側(すなわち反噴孔側)の面に油室27の燃料圧が作用し、補助ニードルピストン40におけるニードルシート部250側(すなわち噴孔240側)の面に燃料通路を流通する燃料の圧力が作用する。
【0077】
ニードルピストン部251における反ニードルシート部側の端部には、径方向外側に向かって突出するニードル鍔部252が形成されている。そして、このニードル鍔部252と補助ニードルピストン40は係合可能になっている。
【0078】
シリンダ26には、第1摺動孔261から径方向内側に向かって突出するシリンダ段付き部263が形成されている。そして、このシリンダ段付き部263と補助ニードルピストン40は係合可能になっている。
【0079】
また、補助ニードルピストン40は、第3スプリング41によって、ニードル鍔部252およびシリンダ段付き部263側に向かって付勢されている。
【0080】
上記構成において、閉弁状態のときには、補助ニードルピストン40はニードル鍔部252と係合しており、補助ニードルピストン40とシリンダ段付き部263との間には隙間が形成されている。
【0081】
そして、閉弁状態のときにボイスコイル13に対して所定の向きに電流を流すと、油室27の容積を増加させる向きに、ボイスコイル13および制御ピストン19が移動する。これにより、油室27の燃料圧力が低下し、ニードル25を閉弁向きに付勢する力が減少する。
【0082】
油室27の燃料圧力が所定圧力まで低下すると、燃料通路を流通する燃料の圧力によりニードル25を開弁向きに付勢する力の方が大きくなって、ニードル25が開弁向きに移動し、ニードルシート部250がボデーシート部241から離れて噴孔240が開かれる。
【0083】
このとき、補助ニードルピストン40は、燃料通路を流通する燃料と油室27の燃料との圧力差により反噴孔側に付勢される。そして、補助ニードルピストン40はニードル鍔部252と係合しているため、補助ニードルピストン40は上記の圧力差に基づく付勢力によりニードル25を開弁向きに付勢する。したがって、大きな開弁力でニードル25を確実に開弁させることができる。
【0084】
開弁後、ニードル25のリフト量が所定リフトに達するまでは、すなわち、補助ニードルピストン40がシリンダ段付き部263に当接するまでは、補助ニードルピストン40はニードル25を開弁向きに付勢しつつニードル25とともに移動する。
【0085】
そして、ニードル25のリフト量が所定リフトを超えた領域では、補助ニードルピストン40はシリンダ段付き部263に係合して移動しない。すなわち、ニードル25のリフト量が所定リフトを超えた領域では、補助ニードルピストン40およびニードル25のうちニードル25のみが移動し、補助ニードルピストン40は油室27の容積変化に関与しなくなるため、ニードル25のリフト速度が高くなる。
【0086】
なお、ニードル25のリフト量が所定リフトを超えた領域では、補助ニードルピストン40によりニードル25を開弁向きに付勢する力は消滅する。しかしながら、一旦開弁すると燃料通路を流通する燃料の圧力がニードルシート部250に作用し、ニードル25はその圧力により開弁向きに付勢されるため、開弁後は小さな力でニードル25を変位させることが可能である。
【0087】
本実施形態によると、開弁開始時にはニードル25は補助ニードルピストン40によっても付勢されるため、大きな開弁力で確実に開弁させることができる。また、開弁後は、補助ニードルピストン40およびニードル25のうちニードル25のみが移動するため、ニードル25のリフト速度を高くすることができる。
【0088】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。図5は第4実施形態に係る燃料噴射弁を示す断面図である。以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0089】
図5に示すように、本実施形態では、ボイスコイル13の外周側に、永久磁石である円筒状の第3磁石50が配置されている。換言すると、ボイスコイルモータは、ボイスコイル13の内側に配置された磁石17、18と、ボイスコイル13の外側に配置された磁石50とを備えている。この第3磁石50は、内周側と外周側に磁極が形成されており、本実施形態では、内周側がN極であり、外周側がS極である。
【0090】
上記構成によると、破線で示すような磁気回路が形成され、第1磁石17および第2磁石18で発生した磁束は、ボイスコイル13内をその径方向に通過した後、第3磁石50を通過する。
【0091】
このように、ボイスコイル13の内側および外側に磁石17、18、50を配置することにより、第1磁石17および第2磁石18で発生した磁束の漏れ(すなわち、ボイスコイル13から第1ステータ11または第2ステータ12に直接向かう磁束)を抑制し、ボイスコイル13内をその径方向に通過する磁束を確実に確保して、駆動力を確実に得ることができる。
【0092】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。図6は第5実施形態に係る燃料噴射弁を示す断面図である。以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0093】
図6に示すように、本実施形態では、ボイスコイル13はボイスコイル13の移動方向(すなわちコイル軸方向)に沿って複数個(本実施形態では2個)配置されている。そして、2個のボイスコイル13は、透磁率が高い磁性体材料にて円筒状に形成された連結部材60にて連結されている。なお、2個のボイスコイル13は、電気的に直列に接続してもよいし、或いは並列に接続してもよい。
【0094】
一方のボイスコイル13の内周側空間内に、センタースペーサ16、第1磁石17、および第2磁石18が配置され、同様に、他方のボイスコイル13の内周側空間内にも、センタースペーサ16、第1磁石17、および第2磁石18が配置されている。
【0095】
ボイスコイル13の外周側に、永久磁石である円筒状の第3磁石50が配置されている。より詳細には、1個の第3磁石50内に2個のボイスコイル13が収容されている。
【0096】
連結部材60の内周側空間内に、透磁率が高い磁性体材料にて円柱状に形成された第3ステータ61が配置されている。第3ステータ61は、図中下方のボイスコイル13内に配置された第1磁石17と、図中上方のボイスコイル13内に配置された第2磁石18に、挟持されている。また、連結部材60は、第3ステータ61に対して摺動自在になっている。
【0097】
連結部材60および第3ステータ61は、磁気回路を構成する。より詳細には、ボイスコイル13および連結部材60が移動した際にも、連結部材60と第3ステータ61はそれらの径方向に重なっており、連結部材60と第3ステータ61を通る磁気回路が常時形成されるようになっている。
【0098】
上記構成によると、破線で示すような磁気回路が形成される。そして、複数のボイスコイル13を備えているため、複数のボイスコイル13全体を鎖交する磁束量が増加して駆動力が増加する。したがって、1つのボイスコイルを用いるものと駆動力を同等にすると、ボイスコイル1個あたりのコイル巻数を少なくできるため、ボイスコイルモータの外径を小さくすることができ、ひいては燃料噴射弁の外径を小さくすることができる。
【0099】
また、ボイスコイル13の内側および外側に磁石17、18、50を配置することにより、第1磁石17および第2磁石18で発生した磁束は、ボイスコイル13内をその径方向に通過した後、第3磁石50を通過する。したがって、第1磁石17および第2磁石18で発生した磁束の漏れ(すなわち、ボイスコイル13から、第1ステータ11、第2ステータ12、或いは連結部材60に直接向かう磁束)を抑制し、ボイスコイル13内をその径方向に通過する磁束を確実に確保して、駆動力を確実に得ることができる。
【0100】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、銅製の巻き線131を用いたが、銅よりも比透磁率が高い材料よりなる巻き線131を用いてもよい。これによると、銅製巻き線を用いる場合と比較して、ボイスコイル13を鎖交する磁束量が多くなるためローレンツ力が大きくなり、より小さい電流で必要な駆動力を得ることができる。そして、銅製巻き線を用いるものと駆動力を同等にすると、ボイスコイル13を小径にすることができ、ひいては燃料噴射弁の外径を小さくすることができる。
【0101】
因みに、本発明者らの計算によると、非磁性材の銅(比透磁率1)よりなる巻き線131を用いた場合のコイル推力と、磁性材の鉄(比透磁率2000)よりなる巻き線131を用いた場合のコイル推力とを、同一体格で比較すると、後者(鉄性巻き線を用いたもの)のコイル推力は前者のコイル推力の1.7倍になることが明らかになった。
【0102】
なお、銅よりも比透磁率が高い材料として、ここでは鉄をあげたが、巻き線131の材料としては、比透磁率が高く且つ比抵抗が小さな材料(例えば、コバルト、ニッケルなど)を用いても良い。このような比抵抗が小さな材料を用いた場合、発熱を少なくすることができる。
【0103】
上記各実施形態は、実施可能な範囲で任意に組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0104】
13 ボイスコイル
17 第1磁石
18 第2磁石
19 制御ピストン
23 主ノズルボデー
24 副ノズルボデー
25 ニードル
26 シリンダ
27 油室
50 第3磁石
192 制御ピストン部
240 噴孔
241 ボデーシート部
250 ニードルシート部
251 ニードルピストン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石(17、18、50)の磁界中に置かれたボイスコイル(13)に電流を流すことにより、前記ボイスコイル(13)が移動するボイスコイルモータと、
燃料通路に接続された噴孔(240)および前記噴孔(240)よりも上流側に位置するボデーシート部(241)を有するボデー(23、24)と、
燃料が充填された油室(27)を有し前記ボデー(23、24)に固定されたシリンダ(26)と、
前記ボデーシート部(241)に接離して前記噴孔(240)を開閉するニードルシート部(250)を一端側に有するとともに、前記シリンダ(26)に摺動自在に挿入されて前記油室(27)の燃料圧を受けるニードルピストン部(251)を他端側に有するニードル(25)と、
前記シリンダ(26)に摺動自在に挿入される制御ピストン部(192)を有するとともに、前記ボイスコイルモータにて駆動されて前記油室(27)の燃料圧を制御する制御ピストン(19)とを備え、
前記制御ピストン(19)の移動により前記油室(27)の燃料圧を制御して前記ニードル(25)による前記噴孔(240)の開閉作動を制御する燃料噴射弁であって、
前記ニードルピストン部(251)の受圧面積が前記制御ピストン部(192)の受圧面積よりも大きいことを特徴とする燃料噴射弁。
【請求項2】
前記ボイスコイルモータは、前記ボイスコイル(13)が筒状に形成され、前記磁石(17、18、50)が前記ボイスコイル(13)の内側および外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
【請求項3】
前記ボイスコイル(13)は前記ボイスコイル(13)の移動方向に沿って複数個配置され、隣接する前記ボイスコイル(13)は磁性体製の連結部材(60)にて連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射弁。
【請求項4】
前記ボイスコイル(13)の巻き線(131)は、銅よりも比透磁率が高い材料よりなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
【請求項5】
前記ニードルピストン部(251)に作用する前記油室(27)の燃料圧により前記ニードル(25)は閉弁向きに付勢され、前記油室(27)の燃料圧を低下させて前記ニードル(25)を開弁作動させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
【請求項6】
前記燃料通路を流通する燃料の圧力により前記ニードル(25)が開弁向きに付勢される燃料噴射弁であって、
前記シリンダ(26)と前記ニードルピストン部(251)との間に摺動自在に挿入された筒状の補助ニードルピストン(40)を備え、
前記補助ニードルピストン(40)は、前記燃料通路を流通する燃料の圧力により前記ニードル(25)を開弁向きに付勢し、
前記ニードル(25)のリフト量が所定リフト以下の領域では、前記補助ニードルピストン(40)は前記ニードル(25)を開弁向きに付勢しつつ前記ニードル(25)とともに移動し、
前記ニードル(25)のリフト量が所定リフトを超えた領域では、前記補助ニードルピストン(40)は前記シリンダ(26)に係合して移動しないように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の燃料噴射弁。
【請求項7】
前記ニードルピストン部(251)に作用する前記油室(27)の燃料圧により前記ニードル(25)は開弁向きに付勢され、前記油室(27)の燃料圧を上昇させて前記ニードル(25)を開弁作動させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
【請求項8】
前記ニードルピストン部(251)における反油室側の面に前記燃料通路を流通する燃料の圧力が作用することにより、前記ニードル(25)が閉弁向きに付勢されていることを特徴とする請求項7に記載の燃料噴射弁。
【請求項9】
前記ボイスコイル(13)に電流を流して前記ニードル(25)を開弁作動させた後、前記ボイスコイル(13)に流れる電流の向きを反転させて前記ニードル(25)を閉弁作動させることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−57262(P2013−57262A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195034(P2011−195034)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】