説明

燃料電池システム

【課題】 改質用水の供給不足を防止ことができる燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】 燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段(16,18)と、燃料ガスを水蒸気改質する改質器8と、改質用水を供給する水供給手段(50,52)と、改質用水を気化して水蒸気を生成する気化器(44)と、改質燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池(4)と、燃料ガス供給手段及び水供給手段を制御するための制御手段(60)と、を備えた燃料電池システム。気化器(44)内の温度を検出する温度検出手段(62)が設けられ、温度検出手段(62)の検知温度が所定温度以上になると、制御手段(60)は、水供給手段の出力を上げて改質用水の供給量を増加させる。また、水供給手段の出力上昇後に温度検出手段(62)の検知温度の上昇状態が継続すると、水供給異常判定手段(70)は水供給異常と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素系燃料ガスを水蒸気改質した改質燃料ガスを用いて発電を行う燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムの一例として、炭化水素系燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、燃料ガス供給手段からの燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、改質用水を供給するための水供給手段と、水供給手段からの改質用水を気化して水蒸気を生成するための気化器と、改質器にて改質された改質燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池とを備えたシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような燃料電池システムでは、気化器にて生成される水蒸気が不足すると、改質器に供給される水蒸気が不足し、この改質器にて燃料ガスの水蒸気改質を所要の通りに行うことができない。
【0004】
このようなことから、従来では、気化器における水蒸気生成不足を検知するために、気化器内に温度検出手段を設け、この温度検知手段の検知温度に基づいて気化器での水蒸気生成不足(換言すると、改質用水の供給異常)を検知している。即ち、気化器内の温度(検知温度)が設定温度以上に上昇すると、改質用水の不足により温度が上昇したとして水供給異常と判定し、この水供給異常の判定に基づいて、例えば異常警報手段を作動させて水供給不足状態であることを知らせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−220620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のように、気化器に設けた温度検出手段による温度検出のみによって改質用の水不足を検知する場合、水不足と検知する設定温度値の最適化が難しく、改質用水の供給に問題がないときにも水不足として検知することがあった。
【0007】
本発明の目的は、改質用水の供給不足を防止ことができる燃料電池システムを提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、改質用水の水不足を正確に検知することができる燃料電池システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の燃料電池システムは、炭化水素系燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、前記燃料ガス供給手段からの燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、改質用水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段からの改質用水を気化して水蒸気を生成するための気化器と、前記改質器にて改質された改質燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池と、前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御するための制御手段と、を備えた燃料電池システムであって、
前記気化器内の温度を検出するための温度検出手段が設けられ、前記温度検出手段の検知温度が所定温度以上になると、前記制御手段は、前記水供給手段の出力を上げて前記水供給手段から供給される改質用水の供給量を増加させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の燃料電池システムでは、前記制御手段は、改質用水の供給異常を判定するための水供給異常判定手段を含み、前記水供給手段の出力上昇後に前記温度検出手段の検知温度の上昇状態が継続すると、前記水供給異常判定手段は水供給異常と判定し、また前記水供給手段の出力上昇後に前記温度検出手段の検知温度が低下すると、前記制御手段は前記水供給手段の出力を上昇設定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の燃料電池システムは、炭化水素系燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、前記燃料ガス供給手段からの燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、改質用水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段からの改質用水を気化して水蒸気を生成するための気化器と、前記改質器にて改質された改質燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池と、前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御するための制御手段と、を備えた燃料電池システムであって、
水蒸気が流れる水蒸気系ラインに圧力を検出するための圧力検出手段が設けられ、前記圧力検出手段の検知圧力が所定圧力以下になると、前記制御手段は、前記水供給手段の出力を上げて前記水供給手段から供給される改質用水の供給量を増加させることを特徴とする。
【0012】
更に、本発明の請求項4に記載の燃料電池システムでは、前記制御手段は、改質用水の供給異常を判定するための水供給異常判定手段を含み、前記水供給手段の出力上昇後に前記圧力検出手段の検知圧力の低下状態が継続すると、前記水供給異常判定手段は水供給異常と判定し、また前記水供給手段の出力上昇後に前記圧力検出手段の検知圧力が上昇すると、前記制御手段は前記水供給手段の出力を上昇設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載の燃料電池システムによれば、気化器内に設けられた温度検出手段の検知温度が所定温度以上になると、制御手段は、水供給手段の出力を上げるように制御するので、この水供給手段から気化器に供給される改質用水の供給量が増加し、気化器における改質用水の水不足を解消することができる。一般的に、気化器内の温度が上昇するということは、気化器内の水が不足しているということであり、従って、このようなときに、まず改質用水の供給量を増大させることによって、気化器における水供給不足を解消することができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の燃料電池システムによれば、制御手段は、改質用水の供給異常を判定するための水供給異常判定手段を含んでおり、水供給手段の出力上昇後に温度検出手段の検知温度の上昇状態が継続すると、改質用水の増量制御をしたにもかかわらずその増量が行われていないとして、水供給異常判定手段は水供給異常と判定し、このように判定することによって、水供給不足を正確に判定することができる。また、水供給手段の出力上昇後に温度検出手段の検知温度が低下すると、改質用水の供給は正常に行われているが、その供給流量不足によって温度上昇が生じたとして、制御手段は水供給手段の出力を上昇設定し、このように制御することによって、改質用水の水不足を解消することができる。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載の燃料電池システムによれば、水蒸気系ラインに設けられた圧力検出手段の検知圧力が所定圧力以下になると、制御手段は、水供給手段の出力を上げるように制御するので、この水供給手段から気化器に供給される改質用水の供給量が増加し、気化器における改質用水の水不足を解消することができる。一般的に、水蒸気系ラインの圧力が低下するということは、水蒸気ライン内の水蒸気(換言すると、気化器での水蒸気の発生量)が不足しているということであり、従って、このようなときに、まず改質用水の供給量を増大させることによって、気化器における水供給不足を解消することができる。
【0016】
また、本発明の請求項4に記載の燃料電池システムによれば、制御手段は、改質用水の供給異常を判定するための水供給異常判定手段を含んでおり、水供給手段の出力上昇後に圧力検出手段の検知圧力の低下状態が継続すると、改質用水の増量制御をしたにもかかわらずその増量が行われていないとして、水供給異常判定手段は水供給異常と判定し、このように判定することによっても、水供給不足を正確に判定することができる。また、水供給手段の出力上昇後に温度検出手段の検知圧力が上昇すると、改質用水の供給は正常に行われているが、その供給流量不足によって圧力低下が生じたとして、制御手段は水供給手段の出力を上昇設定し、このように制御することによっても、改質用水の水不足を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に従う燃料電池システムの第1の実施形態を示す簡略図。
【図2】図1の燃料電池システムの制御系による制御の流れを示すフローチャート。
【図3】本発明に従う燃料電池システムの第2の実施形態を示す簡略図。
【図4】図3の燃料電池システムの制御系による制御の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、燃料電池システムの一実施形態について説明する。まず、図1及び図2を参照して、第1の実施形態の燃料電池システムについて説明する。図1は、第1の実施形態の燃料電池システムを示す簡略図であり、図2は、図1の燃料電池システムの制御の流れの一部を示すフローチャートである。
【0019】
図1において、図示の燃料電池システムは、炭化水素系燃料ガスを改質する改質ユニット2と、発電を行う燃料電池4とを備えている。図示の改質ユニット2は、炭化水素系燃料ガス(例えば、都市ガス、LPガスなど)中に含まれる硫黄成分を除去する脱硫器6と、この燃料ガスを後述するように水蒸気改質する改質器8と、改質された燃料ガス中の一酸化炭素を触媒により水素と二酸化炭素とに変成する一酸化炭素変成器10と、改質燃料ガス中の一酸化炭素と浄化用空気とを触媒により反応させて二酸化炭素を生成する一酸化炭素除去器12とを備えている。脱硫器6は、燃料ガス供給流路14を介して燃料ガス供給源16(例えば、ガスタンク、埋設管など)に接続され、この燃料ガス供給流路14には燃料昇圧ポンプ18が配設されている。燃料昇圧ポンプ18は、駆動電圧に比例して回転数が上昇する形態のものから構成され、この燃料昇圧ポンプ18の回転数を上昇させることによって、燃料ガス供給流路14を通して供給される燃料ガスの供給流量が増大される。この燃料昇圧ポンプ18は、燃料ガス供給流量を制御する燃料ガス供給流量制御手段としても機能し、また燃料ガス供給源16、燃料昇圧ポンプ18及び燃料ガス供給流路14は、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段を構成し、燃料ガス供給源16からの燃料ガスは、燃料ガス供給流路14を通して改質ユニット2に送給される。
【0020】
この改質ユニット2においては、脱硫器6、改質器8、一酸化炭素変成器10及び一酸化炭素除去器12がこの順に配設され、これらが改質流路20を介して接続され、燃料供給流路14を通して供給された燃料ガスが改質ユニット2の改質流路20を通して流れ、燃料ガスは、この改質流路20を流れる間に、脱硫器6において燃料ガス中に含まれた硫黄成分が除去され、改質器8において水蒸気改質され、一酸化炭素変成器10において改質された燃料ガスが変成され、更に一酸化炭素除去器12において変成された燃料ガス中の一酸化炭素が除去され、このように改質された改質燃料ガスが燃料電池4に送給される。
【0021】
燃料電池4は、例えば固体分子形燃料電池から構成され、改質燃料ガスが送給される燃料極22と、酸化材としての空気が送給される空気極24と、燃料極22及び空気極24の間に介在された電解質膜(図示せず)とを備えている。この燃料電池4の燃料極22側は、改質燃料ガス送給流路26を介して改質ユニット2(具体的には、一酸化炭素除去器12)に接続され、その空気極24側は、空気供給流路28に接続され、この空気供給流路28には空気ブロア30が配設されている。空気ブロア30は、燃料昇圧ポンプ18と同様に、駆動電圧に比例して回転数が上昇する形態のものから構成され、この空気ブロア30の回転数を上昇させることによって、空気供給流路28を通して供給される空気の供給流量が増大される。この空気ブロア30は、酸化材としての空気の供給流量を制御するための空気流量制御手段としても機能し、また空気ブロア30及び空気供給流路28は、燃料電池4の空気極24側に空気を供給するための空気供給手段として機能する。
【0022】
このように構成されているので、改質ユニット2からの改質燃料ガスが改質燃料ガス送給流路26を通して燃料電池4の燃料極22側に送給され、また大気中の空気が空気供給流路28を通して燃料電池4の空気極24側に供給され、燃料電池4の電解質膜を通しての電子の移動によって、燃料極22側における酸化及び空気極24側の還元によって発電が行われる。
【0023】
燃料電池4の燃料極22側からの反応燃料ガス(燃料極22で使用されなかった水素ガスを含む)は、反応ガス送給流路32を通して改質ユニット2に送給され、その空気極24側からの排気ガスは、排気ガス排出流路34を通して大気に排出される。改質ユニット2には、改質器8に関連して燃焼バーナ36が配設されている。また、反応ガス送給流路32には、燃焼用空気を供給するための燃焼空気供給流路38が接続され、この燃焼空気供給流路38にはバーナ用空気ブロア40が配設されている。このバーナ用空気ブロア40は、燃料昇圧ポンプ18などと同様に、駆動電圧に比例して回転数が上昇する形態のものから構成され、このブロア40の回転数を上昇させることによって、燃焼空気供給流路38を通して供給される燃焼用空気の供給流量が増大される。
【0024】
また、この改質器8に関連して、改質用水を気化させるための気化器44が配設され、この気化器44が水蒸気送給流路46を介して改質流路20(脱硫器6と改質器8との間の部位)に接続されている。気化器44は水供給流路48を介して水供給源50(例えば、水タンク、水道管など)に接続され、この水供給流路48に水ポンプ52が配設されている。水ポンプ52は、燃料昇圧ポンプ18及び空気ブロア30と同様に、駆動電圧に比例して回転数が上昇する形態のものから構成され、この水ポンプ52の回転数を上昇させることによって、水供給流路48を通して供給される改質用水の供給流量が増大される。この水ポンプ52は、改質用水の供給流量を制御するための水流量制御手段としても機能し、また水供給源50、水ポンプ52及び水供給流路48は、改質用水を供給するための水供給手段として機能する。
【0025】
このように構成されているので、水ポンプ52の作用によって、改質用水(例えば、水道水)が水供給流路48を通して気化器44に供給され、この気化器44にて気化されて水蒸気が生成され、この水蒸気が水蒸気送給流路46及び改質流路20を通して改質器8に送給される。また、燃料電池4からの反応燃料ガスは反応ガス送給流路32を通して燃焼バーナ36に送給され、この送給の際に大気中の空気が燃焼空気供給流路38を通して反応燃料ガスに混合され、混合された反応燃料ガスが燃焼バーナ36に送給され、混合された燃焼用空気を用いて反応燃料ガスが燃焼バーナ36で燃焼される。そして、この燃焼バーナ36の燃焼熱を利用して気化器44及び改質器8が加熱され、気化器44にて改質用水の気化が行われ、改質器8にて水蒸気を利用した燃料ガスの水蒸気改質が行われる。
【0026】
この実施形態では、燃料電池システムを運転制御するために、更に、次の通りに構成されている。燃料電池システムを運転制御するための制御手段60が設けられ、この制御手段60は、例えばマイクロプロセッサから構成される。気化器44には第1温度検出手段62が配設され、この第1温度検出手段62は、気化器44内の温度を検出する。また、改質器8、一酸化炭素変成器10及び一酸化炭素除去器12には、それぞれ、第2温度検出手段64、第3温度検出手段66及び第4温度検出手段68が設けられている。第2温度検出手段64は改質器8内の温度を検出し、第3温度検出手段66は一酸化炭素変成器10内の温度を検出し、また第4温度検出手段68は一酸化炭素除去器12内の温度を検出する。第1〜第4温度検出手段62〜68は、例えば温度センサから構成され、これら温度検出手段62〜68からの検出信号は、制御手段60に送給される。
【0027】
この形態では、制御手段60は水供給異常判定手段70を含み、この水供給異常判定手段70は、後述するようにして水供給異常と判定する。また、制御手段60に関連して、異常表示手段72が配設されている。異常表示手段72は、液晶表示装置、表示ランプなどから構成され、後述するようにして水供給異常の表示を行う。
【0028】
この燃料電池システムにおける改質用水の水不足の検知は、例えば、気化器44内の第1温度検出手段62の検知温度を利用して次のようにして行われる。図1とともに図2を参照して、まず、第1温度検出手段62が気化器44内の温度を検出する(ステップS1)。そして、この第1温度検出手段62の検出温度が所定温度T1(例えば、300℃)以上に上昇すると、気化器44内にて改質器用の水不足が発生したとしてステップS2からステップS3に進む。
【0029】
ステップS3では、制御手段60は、水ポンプ52の駆動電圧をアップしてその出力を上昇させる。この実施形態では、水ポンプ52の出力が例えば2%上昇され、気化器44に供給される改質用水の供給流量が、例えば10%上昇される。
【0030】
その後、第1温度検出手段62の検知温度が所定温度T1以上の状態が継続する(例えば、1分継続する)かが判断され、温度上昇の状態が継続すると、水ポンプ52の出力を上昇させたにもかかわらず改質用水が増量供給されず、気化器44への水供給に異常が発生しているとしてステップS5に進む。
【0031】
ステップS5においては、改質用水の増量供給がないために水供給手段(水ポンプ52など)に異常が発生したとして、水供給異常判定手段70は水供給異常と判定し、水供給異常信号を生成する。かくすると、この水供給異常信号に基づいて、制御手段70は異常表示手段72を作動させ、異常表示手段72は、水供給異常が発生したことを表示し(ステップS6)、燃料電池システムの稼働停止が行われる(ステップS7)。
【0032】
一方、改質用水の増量供給によって、第1温度検出手段62の検知温度が所定温度T1から低下すると、水ポンプ52の出力上昇に伴い、正常に改質用水の増状供給が行われたとしてステップS8に進む。ステップS8においては、改質用水の供給は正常であるが、水の供給が不足気味であるとして水ポンプ52の出力設定の上昇(例えば、2%の出力上昇)が行われ、この出力上昇によって、改質用水の不足が解消され、気化器44に改質用水を所要の通りに供給ことができる。
【0033】
次に、図3及び図4を参照して、第2の実施形態の燃料電池システムについて説明する。図3は、第2の実施形態の燃料電池システムを示す簡略図であり、図4は、図3の燃料電池システムの制御の流れの一部を示すフローチャートである。この第2の実施形態において、上述の第1の実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0034】
この第2の実施形態では、気化器44内の温度を検出することに代えて、気化器44を含む水蒸気系ラインの水蒸気圧力を検出して改質用水の不足を検知している。図3及び図4を参照して更に説明すると、改質用水から気化して生成された水蒸気が流れる水蒸気系ラインに、その圧力(即ち、水蒸気圧力)を検出するための圧力検出手段82が設けられる。この形態では、水圧力検出手段82は、例えば圧力計から構成され、蒸気が流れる改質流路20(具体的には、水蒸気送給流路46との接続部位と改質器8との間の部位)に設けられ、改質流路20の圧力を検出する。水蒸気ラインとは水蒸気が流れるラインであって、気化器44の内部から水蒸気送給流路46及び改質流路20の一部を通して改質器8の内部までの領域であり、この水蒸気系ラインの適宜の部位に圧力検出手段82を配設することができ、このように設けるにことよって、改質器8にて改質に用いる水蒸気の圧力を検出することができる。この第2の実施形態のその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0035】
第2の実施形態の燃料電池システムにおける改質用水の水不足の検知は、圧力検出手段82の検知圧力を利用して、例えば次のようにして行われる。まず、圧力検出手段82が水蒸気系ライン(この形態では、改質流路20の所定部位)の圧力を検出する(ステップS11)。そして、この圧力検出手段62の検出圧力が所定圧力P1(例えば、0.5kPa)以下に低下すると、気化器44を含む水蒸気系ラインにて改質器用の水不足が発生したとしてステップS12からステップS13に進む。
【0036】
ステップS13では、制御手段60Aは、水ポンプ52の駆動電圧をアップしてその出力を上昇させる。この実施形態でも、上述したと同様に、水ポンプ52の出力が例えば2%上昇され、気化器44に供給される改質用水の供給流量が、例えば10%上昇される。
【0037】
その後、圧力検出手段82の検知圧力が所定圧力P1以下の状態が継続する(例えば、 1分継続する)かが判断され、圧力低下の状態が継続すると、水ポンプ52の出力を上昇させたにもかかわらず改質用水が増量供給されず、気化器44への水供給に異常が発生しているとしてステップS15に進む。
【0038】
ステップS15においては、改質用水の増量供給がないために水供給手段(水ポンプ52など)に異常が発生したとして、水供給異常判定手段70Aは水供給異常と判定し、水供給異常信号を生成する。かくすると、上述したと同様に、水供給異常信号に基づいて、異常表示手段72は、水供給異常が発生したことを表示し(ステップS16)、燃料電池システムの稼働停止が行われる(ステップS17)。
【0039】
一方、改質用水の増量供給によって、圧力検出手段82の検知圧力が所定圧力P1から上昇すると、水ポンプ52の出力上昇に伴い、正常に改質用水の増状供給が行われたとしてステップS18に進む。ステップS18においては、改質用水の供給は正常であるが、水の供給が不足気味であるとして水ポンプ52の出力設定の上昇(例えば、2%の出力上昇)が行われ、この出力上昇によって、改質用水の不足が解消される。
【0040】
以上、本発明に従う燃料電池システムの実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0041】
例えば、上述した実施形態では、燃料電池4として固体分子形燃料電池を用いて説明したが、このような形態のものに限定されず、例えばリン酸形燃料電池などの他の形態の燃料電池にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
2 改質ユニット
4 燃料電池
6 脱硫器
8 改質器
10 一酸化炭素変成器
12 一酸化炭素除去器
18 燃料昇圧ポンプ
22 燃料極
24 空気極
30 空気ブロア
44 気化器
52 水ポンプ
60,60A 制御手段
62 温度検出手段
70,70A 水供給異常判定手段




【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素系燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、前記燃料ガス供給手段からの燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、改質用水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段からの改質用水を気化して水蒸気を生成するための気化器と、前記改質器にて改質された改質燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池と、前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御するための制御手段と、を備えた燃料電池システムであって、
前記気化器内の温度を検出するための温度検出手段が設けられ、前記温度検出手段の検知温度が所定温度以上になると、前記制御手段は、前記水供給手段の出力を上げて前記水供給手段から供給される改質用水の供給量を増加させることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御手段は、改質用水の供給異常を判定するための水供給異常判定手段を含み、前記水供給手段の出力上昇後に前記温度検出手段の検知温度の上昇状態が継続すると、前記水供給異常判定手段は水供給異常と判定し、また前記水供給手段の出力上昇後に前記温度検出手段の検知温度が低下すると、前記制御手段は前記水供給手段の出力を上昇設定することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
炭化水素系燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、前記燃料ガス供給手段からの燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、改質用水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段からの改質用水を気化して水蒸気を生成するための気化器と、前記改質器にて改質された改質燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池と、前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御するための制御手段と、を備えた燃料電池システムであって、
水蒸気が流れる水蒸気系ラインに圧力を検出するための圧力検出手段が設けられ、前記圧力検出手段の検知圧力が所定圧力以下になると、前記制御手段は、前記水供給手段の出力を上げて前記水供給手段から供給される改質用水の供給量を増加させることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項4】
前記制御手段は、改質用水の供給異常を判定するための水供給異常判定手段を含み、前記水供給手段の出力上昇後に前記圧力検出手段の検知圧力の低下状態が継続すると、前記水供給異常判定手段は水供給異常と判定し、また前記水供給手段の出力上昇後に前記圧力検出手段の検知圧力が上昇すると、前記制御手段は前記水供給手段の出力を上昇設定することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−216208(P2011−216208A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80535(P2010−80535)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】