説明

燃料電池システム

【課題】脱硫器の交換や回収処理を行う際に、燃料電池システムから取り外した脱硫器からの異臭を抑制する。
【解決手段】
燃料電池システム100は、原料ガス中に含まれる硫黄化合物の吸着脱硫を行う取り外し可能な脱硫器2と、脱硫器2を通過した後の原料を用いた改質反応により水素含有ガスを生成する改質器を有する水素生成器3と、水素含有ガスを用いて発電を行う燃料電池4と、脱硫器2に吸着された物質のうち所定の吸着物を脱硫器2から脱離させる脱離用ガスを脱硫器2に供給する脱離用ガス供給器9と、脱硫器2の取り外し前に所定の吸着物の脱離処理として、脱離用ガス供給器9を動作させる制御器50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池(PEFC)などの燃料電池は、酸素と水素とを用いて発電する。発電に必要な水素ガスは、水の電気分解などによって工業的に製造される他に、炭化水素系の原料ガスを改質することによって得られる。原料ガスの改質法には、水蒸気改質法、部分酸化法、これらを組み合わせたオートサーマル法などがある。これらの改質法では、メタン、エタン、プロパン、ブタン、都市ガス、LP(Liquefied petroleum)ガス、その他の炭化水素系ガス(二種類以上の炭化水素の混合ガスを含む)を改質して水素リッチガスを生成させる。いずれの改質法を用いる場合にも、水素生成装置が用いられる。
【0003】
炭化水素系の原料ガスとしては、既存の化石原料インフララインから供給される都市ガス、LPガス、天然ガス等が用いられる。既存のインフララインから供給される原料ガスには、通常、付臭剤として、ppmオーダーの体積濃度で硫黄化合物が添加されている。付臭剤に用いられる代表的な硫黄化合物としては、ジメチルサルファイド(CH3SCH3)などのサルファイド類、ターシャリーブチルメルカプタン((CH33CSH)などのメルカプタン類、テトラヒドロチオフェンなどのチオフェン類が挙げられる。このような付臭剤は、インフララインの配管等からのガス漏れを検知するために添加される。また、LPガスには、原料由来の硫黄化合物も混入されている。原料由来の硫黄化合物の濃度は、LPガスの産地によっては数十ppmにも達する。
【0004】
上記のような硫黄化合物は、水素生成装置で使用される触媒の被毒成分となり得る。例えば水蒸気改質触媒としてよく用いられるRu触媒は、耐硫黄被毒性が低く、微量の硫黄化合物で容易に劣化する。従って、触媒の硫黄被毒の影響を抑えるために、原料ガスを改質器に供給する前に、これらの原料ガスから硫黄化合物を除去する(脱硫)必要がある。
【0005】
例えば、リン酸型燃料電池を用いたシステム等では、従来から水添脱硫が行われてきた。水添脱硫では、250〜350℃の温度で原料ガスに水素を添加し、触媒を用いて硫黄成分の水素化を行う。水素化によって生成されたH2Sを、ZnOなどを用いて350℃程度の温度で除去する。しかし、このような水添脱硫を行う場合、水添脱硫触媒およびZnOの両方を加熱する必要がある。また、原料ガスに水素を添加する必要があるため、機器が複雑になるといった課題もある。さらに、家庭用燃料電池では、効率向上のため、給湯の需要が低い夏場には、毎日起動停止を行うことが望まれるが、加熱が必要であり、かつ、水素供給が必要な水添脱硫法を適用すると、燃料電池を迅速に起動させることが困難となるおそれがある。
【0006】
この課題を解決するため、非特許文献1には、ゼオライトを用いて、常温で、ガス中の硫黄化合物を吸着除去する方法が提案されている。また、非特許文献2には、Ag−Y型ゼオライトやAg−β型ゼオライトが、都市ガス中の付臭剤の吸着に有効なことが報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】H. Wakita, Y. Tachibana, M. Hosaka, Moicroporous and Mesoporous Materials, 46 (2001) 237.
【非特許文献2】S. Satokawa, Y. Kobayashi, H. Fujiki, in: M. Anpo, M. Onaka, H. Yamashita (Eds.), Science and Technology in Catalysis 2002, Kodansha and Elsevier, 2003, p. 399.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ゼオライト系等の吸着剤を用いた脱硫器では、硫黄化合物の吸着容量が小さく、例えば数wt%程度である。従って、水素生成装置で用いられる触媒の硫黄被毒の影響を十分に抑えるためには、脱硫器を定期的に交換する必要がある。また、定期的な交換の必要がなくても、水素生成装置が耐久寿命に到達すると回収処理する必要がある。
【0009】
しかしながら、燃料電池システムを長期間運転させた後、交換や回収処理のために脱硫器を取り外す際に、取り外した脱硫器が異臭を放つという問題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、水素生成装置を備えた燃料電池システムにおいて、脱硫器を取り外す際に、脱硫器からの異臭を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の燃料電池システムは、原料ガス中に含まれる硫黄化合物の吸着脱硫を行う取り外し可能な脱硫器と、前記脱硫器を通過した後の原料を用いた改質反応により水素含有ガスを生成する改質器を有する水素生成器と、前記水素含有ガスを用いて発電を行う燃料電池と、前記脱硫器に吸着された物質のうち所定の吸着物を前記脱硫器から脱離させる脱離用ガスを前記脱硫器に供給する脱離用ガス供給器と、前記脱硫器の取り外し前に前記所定の吸着物の脱離処理として、前記脱離用ガス供給器を動作させる制御器とを備える。
【0012】
ある好ましい実施形態において、前記脱硫器より脱離した前記所定の吸着物を含む脱離用ガスが供給される脱離用ガス処理器と、前記脱離用ガス処理器に空気を供給する空気供給器とを備え、前記制御器は、前記脱離処理時に前記空気供給器を動作させ、前記脱離用ガス処理器に流入した前記所定の吸着物を燃焼させる燃料処理及び希釈させる希釈処理の少なくともいずれか一方を実行する。
【0013】
前記所定の吸着物は、硫黄化合物を含んでもよい。
【0014】
前記所定の吸着物は、芳香族化合物を含んでもよい。
【0015】
前記脱離用ガスにおける前記所定の吸着物の濃度は、前記原料における前記所定の吸着物の濃度よりも低くてもよい。
【0016】
前記脱離用ガスは空気であってもよい。
【0017】
前記脱離用ガスは前記水素含有ガスであってもよい。
【0018】
前記脱離用ガスは、前記所定の吸着物よりも極性の高い物質を含んでもよい。
【0019】
ある好ましい実施形態において、前記脱硫器は、第1脱硫器及び第2脱硫器を備え、原料ガスが第1脱硫器及び第2脱硫器を経由し、前記改質器に供給される第1原料ガス経路と、原料ガスが第1脱硫器をバイパスし、かつ前記第2脱硫器を経由して前記脱硫器に供給される第2原料ガス経路と、前記第1原料ガス経路と前記第2原料ガス経路とを切替える切替器と、前記水素生成器より排出される水素含有ガスを前記第1脱硫器に供給するためのリサイクル経路とを更に備え、前記脱離ガス供給器は、原料ガスを供給するための原料ガス供給器と、前記リサイクル経路を連通及び遮断するための開閉弁とを備え、前記制御器は、前記脱離処理において、前記切替器を前記第2原料ガス経路側に切替えるとともに、前記開閉弁を開放する。
【0020】
ある好ましい実施形態において、前記脱離用ガスが流れる脱離用ガス経路を備え、前記脱離用ガス経路は、原料ガスが前記脱硫器を通過する方向と反対の方向に、前記脱離用ガスが前記脱硫器を通過するように、前記脱硫器と接続される。
【0021】
ある好ましい実施形態において、前記脱離用ガスが流れる脱離用ガス経路を備え、前記脱離用ガス経路は、原料ガスが前記脱硫器を通過する方向と反対の方向に、前記脱離用ガスが前記第1脱硫器を通過するように、前記第1脱硫器と接続される。
【0022】
本発明の燃料電池システムの運転方法は、原料ガス中に含まれる硫黄化合物の吸着脱硫を行う取り外し可能な脱硫器と、前記脱硫器を通過した後の原料を用いた改質反応により水素含有ガスを生成する改質器を有する水素生成器と、前記水素含有ガスを用いて発電を行う燃料電池と、前記脱硫器に吸着された物質のうち所定の吸着物を前記脱硫器から脱離させる脱離用ガスを前記脱硫器に供給する脱離用ガス供給器とを備える燃料電池システムの運転方法であって、前記脱硫器の取り外し前に前記所定の吸着物の脱離処理として、前記脱離用ガス供給器を動作させる。
【0023】
ある好ましい実施形態において、前記脱硫器より脱離した前記所定の吸着物を含む脱離用ガスが供給される脱離用ガス処理器と、前記脱離用ガス処理器に空気を供給する空気供給器とを備え、前記脱離処理時に前記空気供給器を動作させ、前記脱離用ガス処理器に流入した前記所定の吸着物を燃焼させる燃料処理及び希釈させる希釈処理の少なくともいずれか一方を実行する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の燃料電池システムによると、脱硫器を燃料電池システムから取り外す際の異臭を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)および(b)は、本発明による実施の形態1の燃料電池システムの概略図であり、(a)は通常の発電運転時、(b)は脱硫器の吸着物脱離処理時を示している。
【図2】(a)および(b)は、本発明による実施の形態2の燃料電池システムの概略図であり、(a)は通常の発電運転時、(b)は脱硫器の吸着物の脱離処理時を示している。
【図3】本発明による実施の形態1の他の燃料電池システムの概略図であり、脱硫器の吸着物脱離処理時を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1(a)および(b)は、本発明による実施の形態1の燃料電池システム100の概略構成図である。図1(a)は通常の発電運転時、図1(b)は脱硫器の吸着物脱離処理時を示している。
【0028】
燃料電池システム100は、原料ガスを供給する原料ガス供給器1と、原料ガス供給器1から供給された原料ガスに含まれる硫黄成分を吸着する脱硫器2と、脱硫器2を通過した後の原料と水蒸気との改質反応を主に進行させて水素含有ガスを生成させる改質器(図示せず)を有する水素生成器3と、改質器に供給される原料ガスが流れる原料ガス経路16と、水素生成器3から水素ガス供給経路12によって供給される水素含有ガスを用いて発電を行う燃料電池4とを備えている。また、改質反応に必要な反応熱を改質器に供給するための燃焼器8が設けられている。燃焼器8では、空気供給器7から供給された空気とともに、燃料電池4からオフガス経路13によって供給されるアノードオフガスを燃焼させる。さらに、脱硫器2に吸着した物質を脱硫器2から脱離させる処理(以下、「脱硫器の吸着物脱離処理」)を行うために、脱硫器2への吸着物を脱離させるためのガス(以下、「脱離用ガス」)を脱硫器2に供給する脱離用ガス供給器が設けられている。
【0029】
本実施の形態では、脱硫器2の吸着物を脱離させるための脱離用ガスとして空気を用いるよう構成されている。また、脱硫器2を通過した後の脱離用ガスを処理する脱離用ガス処理器が設けられている。具体的には、燃料電池システム100は、図1に示すように、脱硫器2に空気を供給する空気供給器9と、空気供給器9からの空気を脱硫器2に流通させるための空気経路15と、燃焼器10と、脱硫器2を通過した後の空気を燃焼器10に供給するためのガス経路18と、原料ガス経路16より分岐して、燃焼器10に接続される分岐経路17と、原料ガス供給器1から供給される原料ガスの流入先を脱硫器2と燃焼器10との間で切替える切替器6と、燃料電池システムの動作を制御する制御器50とを備えている。上記空気供給器9は、脱離用ガスを脱硫器2に供給する「脱離用ガス供給器」に相当し、空気経路15は、脱離用ガスが流れる「脱離用ガス経路」に相当する。また、燃焼器10は、「脱離用ガス処理器」に相当する。
【0030】
図1に示す燃料電池システム100では、空気供給器9は、脱離用ガス供給器として機能するだけでなく、脱離用ガス処理器に空気を供給する空気供給器としても機能する。なお、脱離用ガスとして空気以外のガスを用いる場合には、脱離用ガス供給器に加えて、脱離用ガス処理器(燃焼器10)に空気を供給する空気供給器を別途設けてもよい。
【0031】
本実施の形態の燃料電池システムでは、脱硫器2の吸着物脱離処理を行うための機器として、燃焼器8と空気供給器7とは別に、燃焼器10及び空気供給器9を設けているが、燃焼器8及び空気供給器7を用いて上記脱離処理を実行する形態を採用しても構わない。さらに、本実施形態では、燃焼器10において、脱硫器2を通過した後の空気に加えて、原料ガス供給器1から供給される原料ガスを燃焼させているが、原料ガスに代えて他の可燃性ガス(例えば水素含有ガス、アノードオフガス等)を燃焼させてもよい。
【0032】
<燃料電池システム100の動作>
図1(a)を参照しながら、燃料電池システム100の通常の発電運転時の動作を説明する。
【0033】
まず、原料ガス供給器1から脱硫器2に原料ガスが供給される。ここでは、原料ガスとして都市ガス13Aを用いるが、本例に限定されるものではなく、天然ガス、LNGガス、LPGガス等に例示される、少なくとも炭素及び水素を構成元素とする有機化合物を含むガスであればよい。原料ガスの供給源として、都市ガスのガスインフララインを用いてもよい。脱硫器2は、原料ガス経路に取り外し可能に接続されている。例えば、脱硫器2の両端部(原料ガス入口および出口)が、それぞれ、接続部(継ぎ手など)によって原料ガス経路に接続されていてもよい。本実施形態における脱硫器2には、硫黄化合物を吸着するゼオライト系吸着剤が充填されている。
【0034】
脱硫器2で吸着脱硫された後の原料ガスは、水とともに、水素生成器3の改質器に供給される。改質器では、原料ガスと水との改質反応により、水素含有ガスが生成される。改質反応に必要な反応熱は、燃焼器8から供給される。図示しないが、本実施形態における水素生成器3は、ガスの流通方向を基準として、改質器の下流側に配置され、変成触媒が充填された変成器と、変成器の下流側に配置され、一酸化炭素を酸化反応及びメタン化反応の少なくともいずれか一方により低減するためのCO除去触媒が充填されたCO除去器とを備えていてもよい。変成器では、改質器で副生された一酸化炭素(CO)と水蒸気とを変成反応させて、水素含有ガスのCO濃度を低減させる。CO除去器では、水素含有ガス中に残留するCOを酸化及びメタン化の少なくともいずれか一方により、CO濃度をさらに低減させる。CO除去器において、酸化反応によりCOを低減させる場合、変成器とCO除去器との間のガス流路に、CO除去器へ空気を供給するための空気供給器が接続されていてもよい。
【0035】
なお、水素生成器3は、水素含有ガスのCO濃度を効果的に低減するためには、変成器およびCO除去器の両方を備えていることが好ましいが、これらのうち何れか一方を有していなくてもよい。あるいは、その両方を有していなくてもよい。
【0036】
水素生成器3で生成された水素含有ガスは、水素ガス経路12によって燃料電池4のアノードに送られる。燃料電池4のカソードには、空気が送られる(図示せず)。燃料電池4では、水素含有ガス中の水素と空気中の酸素とを反応させることにより、発電を行う。本実施形態では、燃料電池4としてPEFC(固体高分子型燃料電池)を用いる。
【0037】
燃料電池4のアノードからは、オフガス(アノードオフガス)が排出される。アノードオフガスは、アノードで消費されずに残った水素、二酸化炭素(CO2)および一酸化炭素(CO)を含んでいる。アノードオフガスは、オートドレンで除湿された後、オフガス経路13によって燃焼器8に供給され、空気供給器7から供給された空気とともに燃焼される。燃焼熱は、改質器の加熱に用いられる。なお、水素生成器3は、改質器、変成器およびCO除去器と燃焼器8とが一体的に形成された構造を有していてもよい。
【0038】
本実施形態では、水素含有ガスを水素生成器3から燃料電池4に流通させるための水素ガス経路12と、水素ガス経路12より分岐して、燃料電池4をバイパスしてオフガス経路13に接続されたバイパス経路14と、水素生成器3で生成された水素含有ガスの流入先を燃料電池4と燃焼器8との間で切替えるための切替器5とが設けられている。例えば、燃料電池4の発電を開始する前や燃料電池4の運転停止時においては、切替器5をバイパス経路14側に切り替えるとともに、切替器6を原料ガス経路16側に切り替えることで、水素含有ガスを燃料電池4に供給せずに、燃焼器8で燃焼させて、改質器を加熱することができる。
【0039】
次に、図1(b)を参照しながら、脱硫器2の取り外し前の吸着物の脱離処理における燃料電池システムの動作を説明する。
【0040】
まず、脱硫器2に、脱硫器2に吸着された所定の吸着物を脱離(脱着)するための脱離用ガスを流通させる。本実施形態では、制御器50により空気供給器9を動作させ、空気経路15を介して空気を脱硫器2に流通させる。脱離用ガスとしての空気は、脱硫器2における原料ガス出口側より供給され、脱硫器2内を流通する間に、脱硫器2に吸着されていた物質(例えば、硫黄化合物)を脱離させる。従って、脱硫器2から排出された空気には、脱硫器2から脱離した物質が含まれている。
【0041】
次いで、脱硫器2から排出された、脱離した物質を含む空気は燃焼器10に供給され、これを、原料供給器1より供給された原料ガスとともに燃焼器10で燃焼させる。ここでは、切替器6は、制御器50の制御により分岐経路17側に切り替えられている。
【0042】
このように、本実施形態によると、脱硫器2を燃料電池システム100から取り外す前に、脱硫器2に吸着された硫黄化合物などの異臭成分を脱離させるので、脱硫器2を取り外す際の異臭を抑制できる。
【0043】
脱硫器2を取り外した後、他の脱硫器を燃料電池システム100に取り付けてもよい(脱硫器の交換)。あるいは、取り外した脱硫器に再生処理を行い、再生後の脱硫器を再度燃料電池システム100に装着してもよい。また、水素生成器3が耐久寿命に達し、脱硫器2を回収処理する際に、上記の吸着物の脱離処理を行ってもよい。なお、上記の吸着物の脱離処理は、脱硫器の交換、再生または回収処理を行う場合に限定されず、他の目的で脱硫器2を取り外す場合にも適用され得る。
【0044】
本実施形態では、原料ガスとして都市ガスを用いたが、代わりに、パイプライン天然ガスなどの液化処理を行わない天然ガスを用いることもできる。
【0045】
パイプライン天然ガス中には、ベンゼンなどの芳香族化合物が含まれている。原料ガスとして天然ガスを使用すると、これらの芳香族化合物も、脱硫器によって吸着除去され得る。このため、従来の燃料電池システムでは、長期間使用した後の脱硫器を燃料電池システムから取り外す際に、脱硫器に吸着された芳香族化合物が異臭の原因となる場合があった。これに対し、本実施形態によると、脱硫器2を取り外す前の脱離処理において、脱硫器2に吸着された芳香族化合物を、脱離用ガスで脱硫器2から脱離させることができる。このため、脱硫器2を取り外す際の、芳香族化合物に起因する異臭を抑制できる。
【0046】
なお、原料ガスが硫黄化合物および芳香族化合物を含んでいると、これらの化合物の両方が脱硫器2に吸着され得る。この場合には、脱硫器2の吸着物の脱離処理において、これらの化合物うち何れか一方または両方を脱硫器2から脱離させることができる。これにより、脱硫器2を取り外す際の異臭を抑制できる。
【0047】
本実施形態における脱離用ガスは、空気に限定されず、水素生成器3で生成された水素含有ガスや水蒸気であってもよい。脱硫器2に吸着した物質のうち所定の吸着物を脱離させることが可能なガスであれば、脱離用ガスとして使用できる。ここでいう「所定の吸着物」は、硫黄化合物であってもよいし、芳香族化合物であってもよい。またはその両方を含んでもよい。硫黄化合物には、原料ガスの付臭剤として添加される硫黄化合物(前述)の他、原料ガスに含まれる原料由来の硫黄化合物も含まれる。
【0048】
脱離用ガスとして、上記所定の吸着物を含まないガス、または、原料ガスよりも低い濃度で上記所定の吸着物を含むガスを用いることができる。これにより、原料ガスおよび脱離用ガスにおける所定の吸着物の濃度の差に応じて、その吸着物を脱離させることができる。あるいは、脱離用ガスとして、上記所定の吸着物よりも極性の高い物質(例えば水蒸気)を含むガスを用いることもできる。これにより、極性の高い物質が所定の吸着物よりも優先的に吸着される。従って、原料ガスおよび脱離用ガスにおける所定の吸着物の濃度が同じであっても、極性の高い物質の吸着量に応じて、所定の吸着物を脱離させることができる。さらに、原料ガスに含まれる物質よりも極性の高い物質を含み、かつ、原料ガスよりも所定の吸着物の濃度の低いガスを脱離用ガスとして用いると、上述した2つのメカニズムを両方利用できるので、より効果的に吸着物を脱離させることができる。
【0049】
脱硫器2に供給する際の脱離用ガスの温度は、脱硫器2に供給する際の原料ガスの温度よりも高いことが好ましい。これにより、脱離をより効果的に促進できる。
【0050】
吸着物の脱離処理時において、取り外される前の脱硫器2に脱離用ガスを流通させる方向は特に限定されないが、図1に示すように、通常の発電運転時において原料ガスが脱硫器2を通過する方向と反対の方向に、脱離用ガスを流通させることが好ましい。すなわち、通常の発電運転時において、脱硫器2に原料ガスを供給する側を脱硫器2の上流側、原料ガスが脱硫器2から排出される側を下流側とすると、脱離用ガスは、脱硫器2の下流側から上流側に向かって通過させることが好ましい。通常、脱硫器2の上流側近傍は、下流側近傍よりも多くの硫黄化合物が吸着されている。上流側から脱離用ガスを通過させると、上流側に吸着されていた硫黄化合物が脱離され、脱離用ガスとともに下流側に向かって流通する。このとき、脱硫器2の下流側で、脱離された硫黄化合物の一部が再吸着される可能性がある。これに対し、脱硫器2の下流側から脱離用ガスを通過させると、上流側に吸着されていた硫黄化合物を脱離した後、脱離用ガスはそのまま上流側から排出される。従って、硫黄化合物の再吸着が生じにくいので、硫黄化合物をより速やかに脱離させることができる。なお、ここでは、硫黄化合物の脱離を例に説明したが、ベンゼンなどの芳香族化合物の脱離についても同様に、脱硫器2の下流側から脱離用ガスを通過させることが好ましい。
【0051】
図1に示す例では、脱離用ガス処理器として、脱硫器2を通過した後の脱離用ガスの燃焼処理を行う燃焼器10が設けられているが、代わりに、脱硫器2を通過した後の脱離用ガスの希釈処理を行う希釈器が設けられていてもよい。例えば図3に示すように、脱離用ガス処理器(希釈器)31と、希釈処理用の空気を供給する希釈用空気供給器32とを設けて、脱離用ガス処理器31において、脱硫器2を通過した後の脱離用ガスに、希釈用空気供給器32より供給される空気を加えて希釈してもよい。これにより、ガス中の硫黄化合物や芳香族化合物等の濃度を低減できるので、異臭を低減できる。
【0052】
あるいは、脱離用ガス処理器において、燃焼処理および希釈処理の両方を行うこともできる。例えば、脱硫器2を通過した後の脱離用ガスを空気などで希釈し、希釈したガスを燃焼させてもよい。または、脱硫器2を通過した後の脱離用ガスを燃焼させ、その排ガスを希釈してから系外に排出してもよい。
【0053】
本実施形態の燃料電池システム100は、燃料電池システム100の廃熱を利用した給湯器などの熱利用機器を備えていてもよい(コジェネレーションシステム)。給湯器を備えている場合、脱離用ガスを燃焼させる燃焼器10として、貯湯容器の追い炊き用の燃焼器(バックアップバーナー)を用いることができる。
【0054】
(実施例1)
燃料電池システム100を用いて、通常の発電運転および脱硫器の吸着物の脱離処理を行い、脱硫器2の取り外し時の異臭を調べたので、説明する。
【0055】
本実施例では、燃料電池4の発電電力の目標値を250W〜750Wの間で設定できるように、燃料電池システム100を設計した。また、燃料電池システム100を運転する際には、目標とする発電電力を得るために必要な水素(H2)量(燃料電池4に供給されるH2量)に応じて、水素生成器3に供給する原料および水の量を調節した。
【0056】
まず、定格(750W)で5000時間の発電運転を行った後、燃料電池システム100の運転を停止した。停止後、脱硫器2の上流側および下流側に設けられた継ぎ手(接続部)を外したところ、脱硫器2から、都市ガス中の付臭剤の臭気が漂った。そこで、脱硫器2を再び燃料電池システム100に接続した。
【0057】
次いで、図1(b)を参照しながら前述したように、空気供給器9によって、脱硫器2の下流側(原料ガス出口側)から上流側(原料ガス入口側)に向かって空気を流通させた。脱硫器2の上流側から流出した空気を燃焼器10に導入した。また、都市ガスを燃焼器10に流通させ、脱硫器2から流出した空気とともに、30分間燃焼させた。この後、脱硫器2の上流側および下流側の継ぎ手を再び外したが、脱硫器2からの臭気は、脱硫器2に空気を流通させる前より大きく低減されていた。従って、脱硫器2の吸着物の脱離処理により、脱硫器2の取り外し時の異臭を抑制できることが確認された。
【0058】
(実施の形態2)
図2(a)および(b)は、本発明による実施の形態2の燃料電池システム200の概略構成図である。図2(a)は通常の発電運転時、図2(b)は脱硫器の吸着物の脱離処理時を示している。図2(a)および(b)では、図1と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0059】
燃料電池システム200は、少なくとも2つの脱硫器21、22を備えている点で、図1を参照しながら前述した燃料電池システム100と異なっている。燃料電池システム200では、一方の第1脱硫器21を取り外す前に第1脱硫器21の吸着物の脱離処理を実行する際に、他方の第2脱硫器22を原料ガスの脱硫に使用する。なお、燃料電池システム200の通常の発電運転時には、第1脱硫器21および第2脱硫器22は、直列または並列に接続されて原料ガスの脱硫に使用されてもよいし、第1脱硫器21のみが原料ガスの脱硫に使用されてもよい。
【0060】
本実施形態の燃料電池システム200は、第1脱硫器21と、第2脱硫器22と、原料ガス供給器1より供給される原料ガスが第1脱硫器21および第2脱硫器22を経由して改質器に供給されるための原料ガス経路26と、原料ガス供給器1より供給される原料ガスが、第1脱硫器21をバイパスし、かつ第2脱硫器22を経由して改質器に供給されるためのバイパス経路27と、これらの経路を切り替えるための切替器23とが設けられている。ここでは、第1脱硫器21および第2脱硫器22として、それぞれ、ゼオライトを充填した脱硫器を用いる。第1脱硫器21および第2脱硫器22は、原料ガス経路に取り外し可能に設置されている。
【0061】
また、水素生成器3で生成された水素含有ガスを燃料電池4および燃焼器8に供給する各経路12、14に加えて、水素ガス経路12より分岐して、水素生成器3より排出された水素含有ガスを第1脱硫器21に供給するためのリサイクル経路28と、リサイクル経路28を連通及び遮断するための開閉弁11とが設けられている。
【0062】
<燃料電池システム200の動作>
燃料電池システム200の通常時の動作は、直列に接続された第1脱硫器21、第2脱硫器22を用いて原料ガスの脱硫を行う点以外は、図1(a)を参照しながら前述した燃料電池システム100の通常時の動作と同様である。すなわち、図2(a)に示すように、まず、原料ガス供給器1から第1脱硫器21に原料ガスを供給し、第1脱硫器21を通過した後の原料ガスを第2脱硫器22でさらに脱硫する。第2脱硫器22を通過した原料ガスは水素生成器3に供給される。水素生成器3では、原料ガスと水との改質反応により水素含有ガスが生成され、燃料電池4に供給される。
【0063】
一方、第1脱硫器21を取り外す前の第1脱硫器21の吸着物の脱離処理では、燃料電池システム200は次のように動作する。
【0064】
まず、図2(b)に示すように、制御器50により切替器23をバイパス経路27側に切替える。これにより、原料ガス供給器1から供給される原料ガスは、第1脱硫器21をバイパスして第2脱硫器22に供給される。第2脱硫器22を通過した後の原料ガスは、水素生成器3に供給され、ここで水素含有ガスが生成される。この水素含有ガスを、脱離用ガスとして、取り外す前の第1脱硫器21に流通させる。具体的には、制御器50により開閉弁11を開放し、リサイクル経路28を連通するよう制御される。また、図示しないが、水素含有ガスは、オートドレンで除湿された後に、第1脱硫器21に供給されることが好ましい。また、通常の発電運転時において原料ガスが第1脱硫器21を通過する方向と反対の方向に、水素含有ガスを第1脱硫器21に流通させるように、リサイクル経路28を、第1脱硫器21の下流端と接続することが好ましい。
【0065】
続いて、第1脱硫器21から排出された脱離用ガスは、燃焼器8に供給され、空気供給器7からの空気とともに燃焼する。ここで、本実施の形態においては、原料ガス供給器1及び開閉弁11が「脱離用ガス供給器」に相当し、リサイクル経路28が「脱離用ガス経路」に相当する。また、燃焼器8が「脱離用ガス処理器」に相当する。
【0066】
本実施形態によると、前述の実施形態と同様に、第1脱硫器21を燃料電池システム200から取り外す際の異臭を抑制できる。また、第2脱硫器22によって硫黄化合物などの濃度が低減されており、極性の高い水を含み、かつ、常温よりも温度の高い水素含有ガスを、脱離用ガスとして用いるので、第1脱硫器21の吸着物をより効果的に脱離させることができる。
【0067】
なお、前述した実施形態と同様に、脱離用ガス処理器において、脱離用ガスの燃焼処理に代わって希釈処理を行ってもよいし、燃焼処理および希釈処理の両方を行ってもよい。これらの処理を両方行う場合には、その順序は問わない。また、本実施形態では、水素生成器3を加熱するための燃焼器8で燃焼処理を行うが、給湯器のバックアップバーナーなどの他の燃焼器で燃焼処理を行うこともできる。
【0068】
また、本実施形態における脱離用ガスは水素含有ガスに限定されず、空気であってもよい。例えば、燃焼器8に空気を供給するための空気供給器7を利用して、第1脱硫器21に空気を供給してもよい。
【0069】
本実施形態では、原料ガスの流通方向に対して上流側に配置された第1脱硫器21を定期的に交換する。例えば、第1脱硫器21として使用していた脱硫器(「脱硫器A」とする。)を原料ガス経路から取り外して、新しい脱硫器(「脱硫器C」とする。)と交換する。交換直後の通常の発電運転時では、表1に示すように、新しい脱硫器Cを第1脱硫器21として使用し、交換前に第2脱硫器22として使用していた脱硫器(「脱硫器B」とする。)を、第2脱硫器22として継続して使用してもよい。この場合、一定期間の通常の発電運転を行った後、脱硫器Cが新たな脱硫器Dと交換される。
【0070】
【表1】

あるいは、表2に示すように、脱硫器Aを交換した直後の通常の発電運転時において、新しい脱硫器Cを第2脱硫器22として用い、交換前に第2脱硫器22として使用していた脱硫器Bを第1脱硫器21として用いてもよい。この場合には、一定期間の通常の発電運転を行った後、脱硫器Bが新たな脱硫器Dと交換される。
【0071】
【表2】

なお、本実施形態における第2脱硫器22は、第1脱硫器21を交換のために取り外す前の吸着物の脱離処理時にのみ使用され、通常の発電運転時に使用されなくてもよい。この場合、通常の発電運転時には、原料ガスを第1脱硫器21のみに流通させ、第1脱硫器21の取り外し前の吸着物の脱離処理時には、原料ガスを第2脱硫器22に流通させるように、原料ガス経路を構成してもよい。
【0072】
あるいは、通常の発電運転時には、2つの脱硫器を並列に接続して使用し、一方の脱硫器を交換のために取り外す際に、他方の脱硫器を第2脱硫器として機能させてもよい。この場合には、各脱硫器に脱離用ガスを流通させるための脱離用ガス経路がそれぞれ設けられていてもよい。これにより、取り外そうとする脱硫器のみに脱離用ガスを流通させ、他方の脱硫器には原料ガスを供給することができる。
【0073】
(実施例2)
燃料電池システム200を用いて、通常の発電運転および脱硫器の吸着物の脱離処理を行い、第1脱硫器21の取り外し時の異臭を調べたので、説明する。
【0074】
本実施例では、燃料電池4の発電電力の目標値を250W〜750Wの間で設定できるように、燃料電池システム200を設計した。また、燃料電池システム200を運転する際には、目標とする発電電力を得るために必要なH2量(燃料電池4に供給されるH2量)に応じて、水素生成器3に供給する原料および水の量を調節した。
【0075】
定格(750W)で5000時間の発電運転を行った後、第1脱硫器21の吸着物の脱離処理の運転を行った。
【0076】
まず、切替器23を第2原料ガス経路27側に切り替えて、原料ガス(ここでは都市ガス13A)が、第1脱硫器21をバイパスして第2脱硫器22に供給されるようにした。また、開閉弁11を開放して、水素生成器3で生成された水素含有ガスが、オートドレンで除湿された後、第1脱硫器21を通過して燃焼器8に供給されるように、経路の切り替えを行った。
【0077】
このような経路で、原料ガスを流通させるとともに、空気供給器7から燃焼器8に空気を供給して、燃焼器8を点火した。燃焼器8からの熱によって、水素生成器3の触媒の温度が水濡れしない温度まで上昇すると、水素生成器3の改質器に水を供給し、改質器において、第2脱硫器22を通過した後の原料ガスと水との改質反応を行った。原料ガスおよび水の供給量は、250W運転に相当する量とし、スチームカーボン比(S/C)が2.9となるように調整した。
【0078】
水素生成器3で生成された水素含有ガス(改質ガス)を、オートドレンで除湿した後、第1脱硫器21に流通させた。水素生成器3で生成された水素含有ガスの温度は約60℃であったが、オードドレンを通過した後、第1脱硫器21に導入する際の温度は約40℃であった。
【0079】
次いで、第1脱硫器21から排出された水素含有ガスを燃焼器8で燃焼させた。ここでは、第1脱硫器21から排出される付臭剤成分を燃焼器8で30分間燃焼させた。
【0080】
この後、原料ガス供給器1からの原料ガスの供給を停止し、燃焼器8を消火した。次いで、第1脱硫器21として使用していた脱硫器(脱硫器A)を新しい脱硫器(脱硫器C)と交換した。使用後の脱硫器Aを取り外す際に、脱硫器Aを固定するための継ぎ手を外したが、臭気はわずかであった。
【0081】
次いで、新しい脱硫器Cを第1脱硫器21として設置した。また、切替器23を操作して、第1脱硫器21および第2脱硫器22にこの順で原料ガスを供給する第1原料ガス経路26側に切り替え、次の発電運転を行うことができるようにした。
【0082】
本実施例では、脱離用ガスとして、第1脱硫器21に露点約40℃の高湿度の水素含有ガスを供給した。本実施例で用いた脱硫剤はゼオライトであるため、水などの極性の高いガスを強く吸着する。このため、より極性の低い付臭剤成分(硫黄化合物)や芳香族成分を速やかに脱離させることができた。また、脱離用ガスの温度が常温よりも高く、約40℃であるため、第1脱硫器21に吸着した物質の脱離を促進できた。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によると、原料ガスに含まれる硫黄化合物や芳香族化合物などの物質を吸着する脱硫器を備えた燃料電池システムにおいて、脱硫器を取り外す際に、脱硫器の吸着物に起因する異臭の発生を抑制できる。
【0084】
本発明は、燃料電池および水素生成装置を備えた燃料電池システムまたは燃料電池コジェネレーションシステムに適用できる。
【符号の説明】
【0085】
1 原料ガス供給器
2 脱硫器
3 水素生成器
4 燃料電池
5、6、23 切替器
7 空気供給器
8 改質器加熱用の燃焼器
9 空気供給器(脱離用ガス供給器)
10 燃焼器
11 開閉弁
12 水素ガス経路
13 オフガス経路
14 ガス経路
15 空気経路
16 原料ガス経路
18 ガス経路
21 第1脱硫器
22 第2脱硫器
50 制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガス中に含まれる硫黄化合物の吸着脱硫を行う取り外し可能な脱硫器と、
前記脱硫器を通過した後の原料を用いた改質反応により水素含有ガスを生成する改質器を有する水素生成器と、
前記水素含有ガスを用いて発電を行う燃料電池と、
前記脱硫器に吸着された物質のうち所定の吸着物を前記脱硫器から脱離させる脱離用ガスを前記脱硫器に供給する脱離用ガス供給器と、
前記脱硫器の取り外し前に前記所定の吸着物の脱離処理として、前記脱離用ガス供給器を動作させる制御器と
を備える、燃料電池システム。
【請求項2】
前記脱硫器より脱離した前記所定の吸着物を含む脱離用ガスが供給される脱離用ガス処理器と、
前記脱離用ガス処理器に空気を供給する空気供給器と
を備え、
前記制御器は、前記脱離処理時に前記空気供給器を動作させ、前記脱離用ガス処理器に流入した前記所定の吸着物を燃焼させる燃料処理及び希釈させる希釈処理の少なくともいずれか一方を実行する、請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記所定の吸着物は、硫黄化合物を含む請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記所定の吸着物は、芳香族化合物を含む請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記脱離用ガスにおける前記所定の吸着物の濃度は、前記原料における前記所定の吸着物の濃度よりも低い請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記脱離用ガスは空気である請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記脱離用ガスは前記水素含有ガスである請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記脱離用ガスは、前記所定の吸着物よりも極性の高い物質を含む請求項1から7のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記脱硫器は、第1脱硫器及び第2脱硫器を備え、
原料ガスが第1脱硫器及び第2脱硫器を経由し、前記改質器に供給される第1原料ガス経路と、原料ガスが第1脱硫器をバイパスし、かつ前記第2脱硫器を経由して前記脱硫器に供給される第2原料ガス経路と、
前記第1原料ガス経路と前記第2原料ガス経路とを切替える切替器と、
前記水素生成器より排出される水素含有ガスを前記第1脱硫器に供給するためのリサイクル経路とを更に備え、
前記脱離ガス供給器は、原料ガスを供給するための原料ガス供給器と、前記リサイクル経路を連通及び遮断するための開閉弁とを備え、
前記制御器は、前記脱離処理において、前記切替器を前記第2原料ガス経路側に切替えるとともに、前記開閉弁を開放する、請求項1から8のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記脱離用ガスが流れる脱離用ガス経路を備え、前記脱離用ガス経路は、原料ガスが前記脱硫器を通過する方向と反対の方向に、前記脱離用ガスが前記脱硫器を通過するように、前記脱硫器と接続される、請求項1から8のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記脱離用ガスが流れる脱離用ガス経路を備え、前記脱離用ガス経路は、原料ガスが前記脱硫器を通過する方向と反対の方向に、前記脱離用ガスが前記第1脱硫器を通過するように、前記第1脱硫器と接続される、請求項9記載の燃料電池システム。
【請求項12】
原料ガス中に含まれる硫黄化合物の吸着脱硫を行う取り外し可能な脱硫器と、
前記脱硫器を通過した後の原料を用いた改質反応により水素含有ガスを生成する改質器を有する水素生成器と、
前記水素含有ガスを用いて発電を行う燃料電池と、
前記脱硫器に吸着された物質のうち所定の吸着物を前記脱硫器から脱離させる脱離用ガスを前記脱硫器に供給する脱離用ガス供給器と
を備える燃料電池システムの運転方法であって、
前記脱硫器の取り外し前に前記所定の吸着物の脱離処理として、前記脱離用ガス供給器を動作させる、燃料電池システムの運転方法。
【請求項13】
前記脱硫器より脱離した前記所定の吸着物を含む脱離用ガスが供給される脱離用ガス処理器と、
前記脱離用ガス処理器に空気を供給する空気供給器と
を備え、
前記脱離処理時に前記空気供給器を動作させ、前記脱離用ガス処理器に流入した前記所定の吸着物を燃焼させる燃料処理及び希釈させる希釈処理の少なくともいずれか一方を実行する、請求項12に記載の燃料電池システムの運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−253705(P2011−253705A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126565(P2010−126565)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】