燃料電池システム
【課題】特別な機器を設けることなく、水素含有燃料の性状の変化に応じて適切な運転を行うことのできる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池システム1は、水素含有燃料と酸化剤とを燃焼させる燃焼機20を備えている。制御部11の判定部103は、温度計21及び温度検出部102の検出結果に基づいて、燃焼機20の温度変化を判定することによって、水素含有燃料の熱量やガス濃度や酸化剤のガス濃度の変化を把握することができる。更に、判定部103によって温度変化があると判定された場合、調整部104が、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量を調整することによって、セルスタック5の発電で用いられる水素リッチガスの供給量を最適にすることができる。このように、燃料電池システム1内に燃焼機20を設けるだけで、水素含有燃料の性状の変化に対応できる。
【解決手段】燃料電池システム1は、水素含有燃料と酸化剤とを燃焼させる燃焼機20を備えている。制御部11の判定部103は、温度計21及び温度検出部102の検出結果に基づいて、燃焼機20の温度変化を判定することによって、水素含有燃料の熱量やガス濃度や酸化剤のガス濃度の変化を把握することができる。更に、判定部103によって温度変化があると判定された場合、調整部104が、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量を調整することによって、セルスタック5の発電で用いられる水素リッチガスの供給量を最適にすることができる。このように、燃料電池システム1内に燃焼機20を設けるだけで、水素含有燃料の性状の変化に対応できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムで用いられる水素含有燃料は、性状(組成や熱量など)が変化する場合がある。従来より、水素含有燃料の性状変化に対応するための燃料電池システムとして、例えば、特許文献1に示す燃料電池システムが知られている。特許文献1に示す燃料電池システムは、水素含有燃料の性状及び流量を計測する燃料性状計測手段と、燃料電池の状態を判定する燃料電池判定手段と、燃料電池の出力を制御する出力制御手段と、最適制御パラメーターを演算して出力する燃料電池運転制御手段と、を備えている。この燃料電池システムは、水素含有燃料の性状の変化に応じて、水蒸気供給量、燃料供給量、酸化剤供給量、燃料利用率、酸化剤利用率、電流密度、出力電圧、出力電流の何れかを制御して、熱自立状態を維持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−49056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る燃料電池システムは、水素含有燃料の性状を計測するためのセンサーが必要となる。このような計測機器は、水素含有燃料の性状を計測することのみに利用されるものであり、燃料電池システム内において他の用途に有効に利用することはできない。従って、性状を計測するためだけの特別な機器を配置することにより、設置やメンテナンスのためのコストが増加するという問題がある。そのため、計測のための特別な機器を用いることなく、水素含有燃料の性状の変化に対応することのできる燃料電池システムが求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、計測のための特別な機器を設けることなく、水素含有燃料の性状の変化に応じて適切な運転を行うことのできる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃料電池システムは、水素含有燃料を用いて水素含有ガスを発生させる水素発生部と、水素含有ガスを用いて発電を行うセルスタックと、を備える燃料電池システムであって、所定量の水素含有燃料と所定量の酸化剤とを燃焼させる燃焼部と、燃焼部の温度を検出する温度検出部と、温度検出部の検出結果に基づいて燃焼部の温度変化を判定する判定部と、判定部によって温度変化があると判定された場合、水素発生部に対する水素含有燃料の供給量を調整する調整部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る燃料電池システムは、水素含有燃料と酸化剤とを燃焼させる燃焼部を備えている。一定量の水素含有燃料が燃焼部へ供給され、一定量の酸化剤が燃焼部へ供給される場合、水素含有燃料の性状に変化が無ければ燃焼部の温度は一定となり、変化があれば燃焼部の温度は変化する。従って、判定部は、温度検出部の検出結果に基づいて、燃焼部の温度変化を判定することによって、水素含有燃料の性状の変化を把握することができる。判定部によって温度変化があると判定された場合、調整部が、水素発生部に対する水素含有燃料の供給量を調整することによって、セルスタックの発電で用いられる水素含有燃料の供給量を最適にすることができる。このように、燃料電池システム内に燃焼部を設けるだけで、水素含有燃料の性状の変化に対応できる。また、燃焼部は、計測のためだけに用いられる特別な機器とは異なり、発生させた熱をシステム内で有効に利用させることができる。例えばシステム内で所定の加熱部が必要とされる場合に、当該加熱部を燃焼部で代用することが可能となるため、実質的な設置やメンテナンスのためのコストの増加を抑えることができる。以上により、本発明に係る燃料電池システムは、計測のための特別な機器を設けることなく、水素含有燃料の性状の変化に応じて適切な運転を行うことができる。
【0008】
また、燃料電池システムは、水素含有燃料または酸化剤の濃度を検出する濃度検出部を更に備えることが好ましい。燃焼部の温度は、水素含有燃料や酸化剤の濃度変化による影響を受ける。従って、濃度検出部が、これらの濃度変化を検出することができるため、調整部は、水素含有燃料や酸化剤の濃度変化の具体的な量を考慮して調整することができる。従って、調整部は、一層最適な調整を行うことができる。
【0009】
また、燃料電池システムは、燃焼部によって発生する熱を利用する熱利用部を更に備える。これによって、燃焼部によって発生した熱を有効利用することができる。熱利用部としては、具体的に、貯湯槽、水素発生部へ供給される水蒸気を生成する水気化部、水素発生部へ供給される水素含有燃料を脱硫する脱硫部、または、システム内の水の凍結を防止する凍結防止部が挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、計測のための特別な機器を設けることなく、水素含有燃料の性状の変化に応じて適切な運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック構成図である。
【図2】図2は、第一実施形態に係る燃料電池システムの一部の構成を示すブロック構成図である。
【図3】図3は、燃焼機の設置例を示すブロック構成図である。
【図4】図4は、燃焼機の設置例を示すブロック構成図である。
【図5】図5は、第一実施形態に係る燃料電池システムの制御処理を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第二実施形態に係る燃料電池システムの一部の構成を示すブロック構成図である。
【図7】図7は、第二実施形態に係る燃料電池システムの制御処理を示すフローチャートである。
【図8】図8は、最適な供給量の算出に用いられるデータテーブルの一例を示す図である。
【図9】図9は、第三実施形態に係る燃料電池システムの一部の構成を示すブロック構成図である。
【図10】図10は、第三実施形態に係る燃料電池システムの制御処理を示すフローチャートである。
【図11】図11は、第三実施形態に係る燃料電池システムの制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
[第一実施形態]
図1に示されるように、燃料電池システム1は、脱硫部2と、水気化部3と、水素発生部4と、セルスタック5と、オフガス燃焼部6と、水素含有燃料供給部7と、水供給部8と、酸化剤供給部9と、パワーコンディショナー10と、制御部11と、を備えている。燃料電池システム1は、水素含有燃料及び酸化剤を用いて、セルスタック5にて発電を行う。燃料電池システム1におけるセルスタック5の種類は特に限定されず、例えば、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)、リン酸形燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)、及び、その他の種類を採用することができる。なお、セルスタック5の種類、水素含有燃料の種類、及び改質方式等に応じて、図1に示す構成要素を適宜省略してもよい。
【0014】
水素含有燃料として、例えば、炭化水素系燃料が用いられる。炭化水素系燃料として、分子中に炭素と水素とを含む化合物(酸素等、他の元素を含んでいてもよい)若しくはそれらの混合物が用いられる。炭化水素系燃料として、例えば、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、バイオ燃料が挙げられ、これらの炭化水素系燃料は従来の石油・石炭等の化石燃料由来のもの、合成ガス等の合成系燃料由来のもの、バイオマス由来のものを適宜用いることができる。具体的には、炭化水素類として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、天然ガス、LPG(液化石油ガス)、都市ガス、タウンガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油が挙げられる。アルコール類として、メタノール、エタノールが挙げられる。エーテル類として、ジメチルエーテルが挙げられる。バイオ燃料として、バイオガス、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオジェットが挙げられる。
【0015】
酸化剤として、例えば、空気、純酸素ガス(通常の除去手法で除去が困難な不純物を含んでもよい)、酸素富化空気が用いられる。
【0016】
脱硫部2は、水素発生部4に供給される水素含有燃料の脱硫を行う。脱硫部2は、水素含有燃料に含有される硫黄化合物を除去するための脱硫触媒を有している。脱硫部2の脱硫方式として、例えば、硫黄化合物を吸着して除去する吸着脱硫方式や、硫黄化合物を水素と反応させて除去する水素化脱硫方式が採用される。脱硫部2は、脱硫した水素含有燃料を水素発生部4へ供給する。
【0017】
水気化部3は、水を加熱し気化させることによって、水素発生部4に供給される水蒸気を生成する。水気化部3における水の加熱は、例えば、水素発生部4の熱、オフガス燃焼部6の熱、あるいは排ガスの熱を回収する等、燃料電池システム1内で発生した熱を用いてもよい。また、別途ヒータ、バーナ等の他熱源を用いて水を加熱してもよい。なお、図1では、一例としてオフガス燃焼部6から水素発生部4へ供給される熱のみ記載されているが、これに限定されない。水気化部3は、生成した水蒸気を水素発生部4へ供給する。
【0018】
水素発生部4は、脱硫部2からの水素含有燃料を用いて水素リッチガスを発生させる。水素発生部4は、水素含有燃料を改質触媒によって改質する改質器を有している。水素発生部4での改質方式は、特に限定されず、例えば、水蒸気改質、部分酸化改質、自己熱改質、その他の改質方式を採用できる。なお、水素発生部4は、セルスタック5に要求される水素リッチガスの性状によって、改質触媒により改質する改質器の他に性状を調整するための構成を有する場合もある。例えば、セルスタック5のタイプが固体高分子形燃料電池(PEFC)やリン酸形燃料電池(PAFC)であった場合、水素発生部4は、水素リッチガス中の一酸化炭素を除去するための構成(例えば、シフト反応部、選択酸化反応部)を有する。水素発生部4は、水素リッチガスをセルスタック5のアノード12へ供給する。
【0019】
セルスタック5は、水素発生部4からの水素リッチガス及び酸化剤供給部9からの酸化剤を用いて発電を行う。セルスタック5は、水素リッチガスが供給されるアノード12と、酸化剤が供給されるカソード13と、アノード12とカソード13との間に配置される電解質14と、を備えている。セルスタック5は、パワーコンディショナー10を介して、電力を外部へ供給する。セルスタック5は、発電に用いられなかった水素リッチガス及び酸化剤をオフガスとして、オフガス燃焼部6へ供給する。なお、水素発生部4が備えている燃焼部(例えば、改質器を加熱する燃焼器など)をオフガス燃焼部6と共用してもよい。
【0020】
オフガス燃焼部6は、セルスタック5から供給されるオフガスを燃焼させる。オフガス燃焼部6によって発生する熱は、水素発生部4へ供給され、水素発生部4での水素リッチガスの発生に用いられる。
【0021】
水素含有燃料供給部7は、脱硫部2へ水素含有燃料を供給する。水供給部8は、水気化部3へ水を供給する。酸化剤供給部9は、セルスタック5のカソード13へ酸化剤を供給する。水素含有燃料供給部7、水供給部8、及び酸化剤供給部9は、例えばポンプによって構成されており、制御部11からの制御信号に基づいて駆動する。
【0022】
パワーコンディショナー10は、セルスタック5からの電力を、外部での電力使用状態に合わせて調整する。パワーコンディショナー10は、例えば、電圧を変換する処理や、直流電力を交流電力へ変換する処理を行う。
【0023】
制御部11は、燃料電池システム1全体の制御処理を行う。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェイスを含んで構成されたデバイスによって構成される。制御部11は、水素含有燃料供給部7、水供給部8、酸化剤供給部9、パワーコンディショナー10、その他、図示されないセンサや補機と電気的に接続されている。制御部11は、燃料電池システム1内で発生する各種信号を取得すると共に、燃料電池システム1内の各機器へ制御信号を出力する。
【0024】
本実施形態に係る燃料電池システム1は、水素含有燃料の熱量(組成)の変化や水素含有燃料及び酸化剤のガス濃度変化に応じ、適切な運転を行うことができる。燃料電池システム1は、燃焼機20で水素含有燃料と酸化剤とを燃焼させ、当該燃焼機20の温度の変化に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料やセルスタック5に対する酸化剤の供給量を適切に調整する。更に、燃料電池システム1は、燃焼機20で発生した熱を有効に利用することができる。具体的には、図2に示すように、燃料電池システム1は、燃焼機(燃焼部)20と、温度計(温度検出部)21と、水素含有燃料供給部22と、酸化剤供給部23と、熱利用部24と、を更に備えている。また、制御部11は、供給量指示部101と、温度検出部102と、判定部103と、調整部104と、を備えている。
【0025】
燃焼機20は、燃料電池システム1内に設けられる小型燃焼装置である。燃焼機20として、例えばバーナが用いられる。燃焼機20は、水素含有燃料と酸化剤とを燃焼させる。燃焼機20の燃料電池システム1内での配置は特に限定されず、熱の利用先に応じて適宜変更することができる。燃焼機20が水素含有燃料や酸化剤の監視を行っている間、燃焼機20には常時一定量の水素含有燃料及び一定量の酸化剤が供給される。これにより、燃焼機20の温度変化を検出することにより、水素含有燃料の熱量(組成)の変化、水素含有燃料のガス濃度変化、あるいは酸化剤のガス濃度変化を検出することができる。燃焼機20の温度を変化させる要因である水素含有燃料の熱量(組成)の変化、水素含有燃料のガス濃度変化、酸化剤のガス濃度変化は、燃料電池システム1における運転状態にも影響を及ぼす。
【0026】
温度計21は、燃焼機20に設けられており、燃焼機20の温度を検出する機能を有している。温度計21による燃焼機20の温度の測定箇所は、特に限定されず、水素含有燃料の熱量(組成)の変化や水素含有燃料のガス濃度変化、酸化剤のガス濃度変化による温度変化を把握することができる位置であればよい。例えば、温度計21は、燃焼機20の火炎の温度を測定してもよく、燃焼機20の本体温度を測定してもよい。温度計21は、制御部11と電気的に接続されており、燃焼機20の温度を制御部11へ出力する。
【0027】
水素含有燃料供給部22は、燃焼機20に対して水素含有燃料を供給する。水素含有燃料供給部22は、燃焼機20に対して常時、一定量の水素含有燃料を供給する。水素含有燃料供給部22が燃焼機20に対して供給する水素含有燃料は、水素含有燃料供給部7が水素発生部4に対して供給している水素含有燃料と同じものが用いられる。すなわち、セルスタック5での発電に用いられる水素含有燃料の熱量(組成)の変化やガス濃度の変化による影響は、燃焼機20での燃焼に反映される。水素含有燃料供給部22は、水素含有燃料供給部7と共用してもよく(例えば、水素含有燃料供給部7の供給ラインを燃焼機20へ分岐させる)、あるいは水素含有燃料供給部7とは別体のポンプによって構成されてもよい。
【0028】
酸化剤供給部23は、燃焼機20に対して酸化剤を供給する。酸化剤供給部23は、燃焼機20に対して常時、一定量の酸化剤を供給する。酸化剤供給部23が燃焼機20に対して供給する酸化剤は、酸化剤供給部9がセルスタック5に対して供給している酸化剤と同じものが用いられる。すなわち、セルスタック5での発電に用いられる酸化剤のガス濃度の変化による影響は、燃焼機20での燃焼に反映される。酸化剤供給部23は、酸化剤供給部9と共用してもよく(例えば、酸化剤供給部9の供給ラインを燃焼機20へ分岐させる)、あるいは酸化剤供給部9とは別体のポンプによって構成されてもよい。
【0029】
熱利用部24は、燃焼機20で発生する熱を利用する部分である。熱利用部24は、燃焼機20と物理的に近接配置されることで燃焼機20の熱を直接的に利用してもよく、燃焼機20と物理的に離間しており熱媒体を介して燃焼機20の熱を間接的に利用してもよい。熱利用部24の一例については、図3及び図4を用いて後述する。
【0030】
制御部11の供給量指示部101は、水素含有燃料供給部22へ制御信号を出力し、一定量の水素含有燃料を燃焼機20へ供給する機能を有している。また、制御部11の供給量指示部101は、酸化剤供給部23へ制御信号を出力し、一定量の酸化剤を燃焼機20へ供給する機能を有している。制御部11の供給量指示部101は、水素含有燃料供給部7へ制御信号を出力し、所定量の水素含有燃料を水素発生部4へ供給する機能を有している。制御部11の供給量指示部101は、調整部104によって水素発生部4への水素含有燃料供給量が調整された場合、調整された供給量に対応する制御信号を出力する。また、制御部11の供給量指示部101は、酸化剤供給部9へ制御信号を出力し、所定量の酸化剤をセルスタック5へ供給する機能を有している。制御部11の供給量指示部101は、調整部104によってセルスタック5への酸化剤供給量が調整された場合、調整された供給量に対応する制御信号を出力する。
【0031】
制御部11の温度検出部102は、温度計21からの検出信号を受信することで、燃焼機20の温度を検出する機能を有している。温度検出部102は、温度計21からの検出信号に基づいて燃焼機20の温度を測定することができる。なお、温度検出部102は、例えば、温度計21での温度を直ちに測定値として取得してもよく、温度計21での温度を平均処理した値を測定値として取得してもよい。
【0032】
制御部11の判定部103は、温度計21及び温度検出部102の検出結果に基づいて、燃焼機20の温度変化を判定する機能を有している。制御部11の判定部103は、燃焼機20の温度が一定であるか、あるいは温度が変化したかを判定する。判定部103による温度変化の判定の方法は特に限定されない。例えば、判定部103は、燃焼機20の温度の測定値と前回の制御処理時に取得した測定値とを比較してもよく、あるいは、条件によって導き出される温度の所定の基準値と比較してもよい。また、判定部103は、燃焼機20の温度が変化したら、直ちに温度変化が生じたと判定してもよく、あるいは、測定誤差などを考慮して、燃焼機20の温度の変化量が所定の閾値を上回ったときに温度変化が生じたと判定してもよい。
【0033】
制御部11の調整部104は、判定部103によって燃焼機20に温度変化があると判定された場合、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量を調整する機能を有している。調整部104は、燃焼機20での温度変化に基づいて、燃料電池システム1の運転において最適な水素含有燃料供給量となるように調整する。制御部11の調整部104は、調整した供給量指示値を供給量指示部101を介して水素含有燃料供給部7へ出力する。また、制御部11の調整部104は、判定部103によって燃焼機20に温度変化があると判定された場合、セルスタック5に対する酸化剤の供給量を調整する機能を有してもよい。調整部104は、燃焼機20での温度変化に基づいて、燃料電池システム1の運転において最適な酸化剤供給量となるように調整する。制御部11の調整部104は、調整した供給量指示値を供給量指示部101を介して酸化剤供給部9へ出力する。制御部11の調整部104による水素含有燃料供給量や酸化剤供給量の調整方法は特に限定されず、最適な供給量に調整可能な方法であれば特に限定されない。例えば、制御部11の調整部104は、所定の演算によって調整してもよく、予め用意したデータと照会することで調整してもよい。
【0034】
次に、図3及び図4を参照して、燃焼機20の設置例について説明する。なお、燃料電池システム1においては改質器や補機類からの熱回収も行われるが、図3及び図4では省略されている。図3及び図4では、発電部30からの熱は、貯湯槽31の加熱に利用される。なお、発電部30とは、水素リッチガス(水素含有ガス)を用いて発電を行うセルスタック5を含んで構成されたものである。発電部30は、少なくともセルスタック5を含むものであって、さらにオフガス燃焼部6や水素発生部4等を含む場合もあれば、オフガス燃焼部6や水素発生部4等を含まない場合もある。
【0035】
図3(a)に示す設置例では、燃焼機20で発生した熱は、貯湯槽31の加熱に利用される。この場合、貯湯槽31が図2における熱利用部24に該当する。燃焼機20から貯湯槽31への熱の供給の形態は特に限定されない。例えば、燃焼機20からの熱が熱媒体を介して貯湯槽31へ供給されてもよく、燃焼機20を貯湯槽31の近くに配置することによって燃焼機20からの熱が貯湯槽31へ供給されてもよい。
【0036】
図3(b)に示す設置例では、燃焼機20で発生した熱は、水気化部3での水の加熱に利用される。この場合、水気化部3が図2における熱利用部24に該当する。燃焼機20から水気化部3への熱の供給の形態は特に限定されない。例えば、燃焼機20からの熱が熱媒体を介して水気化部3へ供給されてもよく、燃焼機20を水気化部3の近くに配置することによって燃焼機20からの熱が水気化部3へ供給されてもよい。
【0037】
図4(a)に示す設置例では、燃焼機20で発生した熱は、脱硫部2での水の加熱に利用される。この場合、脱硫部2が図2における熱利用部24に該当する。燃焼機20から脱硫部2への熱の供給の形態は特に限定されない。例えば、燃焼機20からの熱が熱媒体を介して脱硫部2へ供給されてもよく、燃焼機20を脱硫部2の近くに配置することによって燃焼機20からの熱が脱硫部2へ供給されてもよい。
【0038】
図4(b)に示す設置例では、燃焼機20で発生した熱は、貯湯槽31へ水を供給する水供給管32の凍結防止に利用される。この場合、水供給管32における凍結防止部33が図2における熱利用部24に該当する。燃焼機20から凍結防止部33への熱の供給の形態は特に限定されない。例えば、燃焼機20からの熱が熱媒体を介して凍結防止部33へ供給されてもよく、燃焼機20を凍結防止部33の近くに配置することによって燃焼機20からの熱が凍結防止部33へ供給されてもよい。
【0039】
次に、図2及び図5を参照して、本実施形態に係る燃料電池システム1の制御処理の一例について説明する。図5に示す処理は、制御部11において所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0040】
図5に示すように、制御部11の供給量指示部101は、水素含有燃料供給部22へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ水素含有燃料を供給すると共に、酸化剤供給部23へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ酸化剤を供給する(ステップS10)。S10では、一定量の水素含有燃料が燃焼機20へ供給され、一定量の酸化剤が燃焼機20へ供給される。制御部11の温度検出部102は、温度計21の検出結果に基づいて燃焼機20の温度Tを測定する(ステップS20)。
【0041】
制御部11の判定部103は、S20で取得した燃焼機20の温度Tが一定であるか否かを判定する(ステップS30)。S30で温度Tが一定であると判定された場合、判定部103は、水素含有燃料の熱量(組成)やガス濃度や酸化剤のガス濃度に変化はないと判断する。この場合、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量は一定のままで、図5の処理が終了し、再びS10から処理が開始される。なお、S10での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、設定変更などがなされない限り、一定である。
【0042】
S30で温度Tが変化したと判定された場合、制御部11の調整部104は、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量を調整する(ステップS40)。調整部104は、温度Tの変化量に基づいて、演算やデータ照会などの方法により、最適な水素含有燃料供給量を取得する。調整部104は、供給量指示部101を介して水素含有燃料供給部7へ制御信号を出力する。なお、調整部104は、セルスタック5に対する酸化剤の供給量も調整してよい。S40の処理が終了すると、図5の処理が終了し、再びS10から処理が開始される。燃焼機20の温度Tが最適な値になるまで、燃焼機20の温度Tの測定と水素発生部4への水素含有燃料供給量の調整が繰り返し実行されてもよい。ただし、そのときのS10での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、一定である。
【0043】
以上より、本実施形態に係る燃料電池システム1は、水素含有燃料と酸化剤とを燃焼させる燃焼機20を備えている。水素含有燃料供給部22から一定量の水素含有燃料が燃焼機20へ供給され、酸化剤供給部23から一定量の酸化剤が燃焼機20へ供給される場合、水素含有燃料の熱量(組成)やガス濃度や酸化剤のガス濃度に変化が無ければ燃焼機20の温度は一定となり、変化があれば燃焼機20の温度は変化する。従って、制御部11の判定部103は、温度計21及び温度検出部102の検出結果に基づいて、燃焼機20の温度変化を判定することによって、水素含有燃料の熱量(組成)やガス濃度や酸化剤のガス濃度の変化を把握することができる。更に、判定部103によって温度変化があると判定された場合、調整部104が、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量を調整することによって、セルスタック5の発電で用いられる水素含有燃料の供給量を最適にすることができる。このように、燃料電池システム1内に燃焼機20を設けるだけで、水素含有燃料の熱量(組成)やガス濃度や酸化剤のガス濃度の変化に対応できる。また、燃焼機20は、計測のためだけに用いられる特別な機器とは異なり、発生させた熱をシステム内で有効に利用させることができる。例えばシステム内で所定の加熱手段が必要とされる場合に、当該加熱手段を燃焼機20で代用することが可能となるため、実質的な設置やメンテナンスのためのコストの増加を抑えることができる。以上により、燃料電池システム1は、計測のための特別な機器を設けることなく、水素含有燃料の性状などの変化に応じて適切な運転を行うことができる。
【0044】
[第二実施形態]
図6を参照して、第二実施形態に係る燃料電池システム1について説明する。第二実施形態に係る燃料電池システム1は、燃焼機20に供給される水素含有燃料のガス濃度を検出する構成を備えている。燃焼機20の上流には、ガスセンサ(濃度検出部)26が配置されている。ガスセンサ26は、例えば、酸素センサや窒素センサによって構成されている。ガスセンサ26は、水素含有燃料供給部22から燃焼機20へ供給される水素含有燃料の酸素や窒素の濃度を検出できる。ガスセンサ26は、制御部11と電気的に接続されており、検出結果を制御部11へ出力する。なお、ガスセンサ26の位置は特に限定されず、水素含有燃料の酸素や窒素の濃度を検出できる位置であればどこでもよい。
【0045】
制御部11は、濃度検出部105を更に備えている。濃度検出部105は、ガスセンサ26の検出結果に基づいて、水素含有燃料のガス濃度を取得することができる。なお、濃度検出部105は、水素含有燃料に含まれる酸素や窒素の濃度に基づいて、水素含有燃料のガス濃度を演算することができる。なお、制御処理において用いられる水素含有燃料のガス濃度の単位は、特に限定されず、水素含有燃料のガス濃度を示すものであればどのような単位を用いてもよい。また、判定部103は、燃焼機20の温度変化を判定すると共に、水素含有燃料のガス濃度変化も判定する。調整部104は、燃焼機20の温度変化及び水素含有燃料のガス濃度変化に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料供給量及びセルスタック5に対する酸化剤供給量を最適に調整する。
【0046】
図7は、第二実施形態に係る燃料電池システム1の制御処理の一例を示すフローチャートである。図7に示すように、制御部11の供給量指示部101は、水素含有燃料供給部22へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ水素含有燃料を供給すると共に、酸化剤供給部23へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ酸化剤を供給する(ステップS110)。S110では、一定量の水素含有燃料が燃焼機20へ供給され、一定量の酸化剤が燃焼機20へ供給される。制御部11の濃度検出部105は、ガスセンサ26の検出結果に基づいて水素含有燃料のガス濃度Cxを測定する(ステップS120)。制御部11の温度検出部102は、温度計21の検出結果に基づいて燃焼機20の温度Tを測定する(ステップS130)。
【0047】
制御部11の判定部103は、S120で取得した水素含有燃料のガス濃度Cxが一定であり、且つ、S130で取得した燃焼機20の温度Tが一定であるか否かを判定する(ステップS140)。S140でガス濃度Cxが一定であり、且つ、温度Tが一定であると判定された場合、判定部103は、水素含有燃料の熱量(組成)やガス濃度や酸化剤のガス濃度に変化はないと判断する。この場合、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量及びセルスタック5に対する酸化剤の供給量は一定のままで、図7の処理が終了し、再びS110から処理が開始される。なお、S110での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、設定変更などがなされない限り、一定である。
【0048】
S140でガス濃度Cxまたは温度Tが変化したと判定された場合、制御部11の調整部104は、ガス濃度Cxの変化及び温度Tの変化に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料及びセルスタック5に対する酸化剤の最適供給量を算出する(ステップS150)。S150での最適供給量の算出方法は特に限定されず、調整部104は、所定の演算式を用いてもよく、予め準備したデータを用いてもよい。例えば、調整部104は、図8に示すようなデータテーブルを用いることができる。図8のテーブルでは、水素含有燃料のガス濃度Cxの変化量及び燃焼機20の温度Tの変化量と、それらに対して設定される水素含有燃料及び酸化剤の最適供給量が設定されている。例えば、水素含有燃料のガス濃度Cxの変化量が図8のA1に示す位置における値であり、燃焼機20の温度Tの変化量が図8のB1に示す位置における値である場合、調整部104は、図8のP1に示す位置における供給量を取得することができる。
【0049】
調整部104は、S150での結果に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料供給量及びセルスタック5に対する酸化剤供給量を調整する(ステップS160)。調整部104は、供給量指示部101を介して水素含有燃料供給部7へ制御信号を出力する。また、調整部104は、供給量指示部101を介して酸化剤供給部9へ制御信号を出力する。S160の処理が終了すると、図7の処理が終了し、再びS110から処理が開始される。燃焼機20の温度Tが最適な値になるまで、図7に示す処理が繰り返し実行されてもよい。ただし、そのときのS110での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、一定である。
【0050】
以上のように、第二実施形態に係る燃料電池システム1は、水素含有燃料のガス濃度を検出しているため、調整部104は、水素含有燃料のガス濃度の変化の具体的な量を考慮して調整することができる。これによって、調整部104は、一層最適な調整を行うことができる。
【0051】
[第三実施形態]
図9を参照して、第三実施形態に係る燃料電池システム1について説明する。第三実施形態に係る燃料電池システム1は、第二実施形態に係る燃料電池システム1に対して、更に、燃焼機20に供給される酸化剤のガス濃度を検出する構成を備えている。燃焼機20の上流には、ガスセンサ(濃度検出部)27が配置されている。ガスセンサ27は、例えば、酸素センサや窒素センサによって構成されている。ガスセンサ27は、酸化剤供給部23から燃焼機20へ供給される酸化剤の酸素や窒素の濃度を検出できる。ガスセンサ27は、制御部11と電気的に接続されており、検出結果を制御部11へ出力する。なお、ガスセンサ27の位置は特に限定されず、酸化剤の酸素や窒素の濃度を検出できる位置であればどこでもよい。
【0052】
制御部11の濃度検出部105は、ガスセンサ27の検出結果に基づいて、酸化剤のガス濃度を取得することができる。なお、濃度検出部105は、酸化剤に含まれる酸素や窒素の濃度に基づいて、酸化剤のガス濃度を演算することができる。なお、制御処理において用いられる酸化剤のガス濃度の単位は、特に限定されず、酸化剤のガス濃度を示すものであればどのような単位を用いてもよい。また、判定部103は、燃焼機20の温度変化を判定すると共に、酸化剤のガス濃度変化も判定する。調整部104は、燃焼機20の温度変化及び酸化剤のガス濃度変化に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料供給量及びセルスタック5に対する酸化剤供給量を最適に調整する。更に、判定部103は、燃焼機20の温度変化を判定すると共に、水素含有燃料のガス濃度変化及び酸化剤のガス濃度変化も判定する。調整部104は、燃焼機20の温度変化、水素含有燃料のガス濃度変化、及び酸化剤のガス濃度変化に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料供給量及びセルスタック5に対する酸化剤供給量を最適に調整する。
【0053】
図10は、第三実施形態に係る燃料電池システム1の制御処理の一例を示すフローチャートである。図10は、燃焼機20の温度変化及び酸化剤のガス濃度変化を検出した制御処理である。なお、図10の制御処理のみを実行する燃料電池システム1は、ガスセンサ26が省略されていてもよい。図10に示すように、制御部11の供給量指示部101は、水素含有燃料供給部22へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ水素含有燃料を供給すると共に、酸化剤供給部23へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ酸化剤を供給する(ステップS210)。S210では、一定量の水素含有燃料が燃焼機20へ供給され、一定量の酸化剤が燃焼機20へ供給される。制御部11の濃度検出部105は、ガスセンサ27の検出結果に基づいて酸化剤のガス濃度Cyを測定する(ステップS220)。制御部11の温度検出部102は、温度計21の検出結果に基づいて燃焼機20の温度Tを測定する(ステップS230)。
【0054】
制御部11の判定部103は、S220で取得した酸化剤のガス濃度Cyが一定であり、且つ、S230で取得した燃焼機20の温度Tが一定であるか否かを判定する(ステップS240)。S240でガス濃度Cyが一定であり、且つ、温度Tが一定であると判定された場合、判定部103は、水素含有燃料の熱量(組成)やガス濃度や酸化剤のガス濃度に変化はないと判断する。この場合、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量及びセルスタック5に対する酸化剤の供給量は一定のままで、図10の処理が終了し、再びS210から処理が開始される。なお、S210での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、設定変更などがなされない限り、一定である。
【0055】
S240でガス濃度Cyまたは温度Tが変化したと判定された場合、制御部11の調整部104は、ガス濃度Cyの変化及び温度Tの変化に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料及びセルスタック5に対する酸化剤の最適供給量を算出する(ステップS250)。S250での最適供給量の算出方法は特に限定されず、調整部104は、所定の演算式を用いてもよく、予め準備したデータを用いてもよい。例えば、図8に示すようなデータテーブルであって、水素含有燃料のガス濃度Cxの変化量の項目を酸化剤のガス濃度Cyの変化量に置き換えたものを用いることができる。
【0056】
調整部104は、S250での結果に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料供給量及びセルスタック5に対する酸化剤供給量を調整する(ステップS260)。調整部104は、供給量指示部101を介して水素含有燃料供給部7へ制御信号を出力する。また、調整部104は、供給量指示部101を介して酸化剤供給部9へ制御信号を出力する。S260の処理が終了すると、図10の処理が終了し、再びS210から処理が開始される。燃焼機20の温度Tが最適な値になるまで、図10に示す処理が繰り返し実行されてもよい。ただし、そのときのS210での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、一定である。
【0057】
図11は、第三実施形態に係る燃料電池システム1の制御処理の一例を示すフローチャートである。図11は、燃焼機20の温度変化、水素含有燃料のガス濃度変化、及び酸化剤のガス濃度変化を検出した制御処理である。図11に示すように、制御部11の供給量指示部101は、水素含有燃料供給部22へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ水素含有燃料を供給すると共に、酸化剤供給部23へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ酸化剤を供給する(ステップS310)。S310では、一定量の水素含有燃料が燃焼機20へ供給され、一定量の酸化剤が燃焼機20へ供給される。制御部11の濃度検出部105は、ガスセンサ26の検出結果に基づいて水素含有燃料のガス濃度Cxを測定する(ステップS320)。制御部11の濃度検出部105は、ガスセンサ27の検出結果に基づいて酸化剤のガス濃度Cyを測定する(ステップS330)。制御部11の温度検出部102は、温度計21の検出結果に基づいて燃焼機20の温度Tを測定する(ステップS340)。
【0058】
制御部11の判定部103は、S320で取得した水素含有燃料のガス濃度Cxが一定であり、且つ、S330で取得した酸化剤のガス濃度Cyが一定であり、且つ、S340で取得した燃焼機20の温度Tが一定であるか否かを判定する(ステップS350)。S350でガス濃度Cxが一定であり、且つ、ガス濃度Cyが一定であり、且つ、温度Tが一定であると判定された場合、判定部103は、水素含有燃料の熱量(組成)やガス濃度や酸化剤のガス濃度に変化はないと判断する。この場合、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量及びセルスタック5に対する酸化剤の供給量は一定のままで、図11の処理が終了し、再びS310から処理が開始される。なお、S310での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、設定変更などがなされない限り、一定である。
【0059】
S350でガス濃度Cx、ガス濃度Cy、温度Tのいずれかが変化したと判定された場合、制御部11の調整部104は、ガス濃度Cxの変化、ガス濃度Cyの変化及び温度Tの変化に基づいて、セルスタック5に対する水素含有燃料及び酸化剤の最適供給量を算出する(ステップS360)。S360での最適供給量の算出方法は特に限定されず、調整部104は、所定の演算式を用いてもよく、予め準備したデータを用いてもよい。例えば、水素含有燃料のガス濃度Cxの変化量、酸化剤のガス濃度Cyの変化量、燃焼機20の温度Tの変化量の項目を有する三次元のデータテーブルを用いることができる。
【0060】
調整部104は、S360での結果に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料供給量及びセルスタック5に対する酸化剤供給量を調整する(ステップS370)。調整部104は、供給量指示部101を介して水素含有燃料供給部7へ制御信号を出力する。また、調整部104は、供給量指示部101を介して酸化剤供給部9へ制御信号を出力する。S370の処理が終了すると、図11の処理が終了し、再びS310から処理が開始される。燃焼機20の温度Tが最適な値になるまで、図11に示す処理が繰り返し実行されてもよい。ただし、そのときのS310での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、一定である。
【0061】
以上のように、第三実施形態に係る燃料電池システム1は、酸化剤のガス濃度を検出しているため、調整部104は、酸化剤のガス濃度の変化の具体的な量を考慮して調整することができる。更に、調整部104は、水素含有燃料のガス濃度及び酸化剤のガス濃度の具体的な変化量を考慮して調整することができる。これによって、調整部104は、一層最適な調整を行うことができる。
【0062】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る燃料電池システムは、実施形態に係る上記燃料電池システム1に限定されない。
【0063】
例えば、図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)を組み合わせてもよい。すなわち、燃焼機20の熱を複数の熱利用部で利用してもよい。また、図3及び図4は設置例の一部に過ぎず、燃料電池システムの中及び燃料電池システムの外で熱を用いる箇所であれば、いずれの箇所を熱利用部としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…燃料電池システム、2…脱硫部(熱利用部)、3…水気化部(熱利用部)、4…水素発生部、5…セルスタック、11…制御部、20…燃焼機(燃焼部)、21…温度計(温度検出部)、26,27…ガスセンサ(濃度検出部)、24…熱利用部、31…貯湯槽(熱利用部)、33…凍結防止部(熱利用部)、101…供給量指示部、102…温度検出部、103…判定部、104…調整部、105…濃度検出部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムで用いられる水素含有燃料は、性状(組成や熱量など)が変化する場合がある。従来より、水素含有燃料の性状変化に対応するための燃料電池システムとして、例えば、特許文献1に示す燃料電池システムが知られている。特許文献1に示す燃料電池システムは、水素含有燃料の性状及び流量を計測する燃料性状計測手段と、燃料電池の状態を判定する燃料電池判定手段と、燃料電池の出力を制御する出力制御手段と、最適制御パラメーターを演算して出力する燃料電池運転制御手段と、を備えている。この燃料電池システムは、水素含有燃料の性状の変化に応じて、水蒸気供給量、燃料供給量、酸化剤供給量、燃料利用率、酸化剤利用率、電流密度、出力電圧、出力電流の何れかを制御して、熱自立状態を維持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−49056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る燃料電池システムは、水素含有燃料の性状を計測するためのセンサーが必要となる。このような計測機器は、水素含有燃料の性状を計測することのみに利用されるものであり、燃料電池システム内において他の用途に有効に利用することはできない。従って、性状を計測するためだけの特別な機器を配置することにより、設置やメンテナンスのためのコストが増加するという問題がある。そのため、計測のための特別な機器を用いることなく、水素含有燃料の性状の変化に対応することのできる燃料電池システムが求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、計測のための特別な機器を設けることなく、水素含有燃料の性状の変化に応じて適切な運転を行うことのできる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃料電池システムは、水素含有燃料を用いて水素含有ガスを発生させる水素発生部と、水素含有ガスを用いて発電を行うセルスタックと、を備える燃料電池システムであって、所定量の水素含有燃料と所定量の酸化剤とを燃焼させる燃焼部と、燃焼部の温度を検出する温度検出部と、温度検出部の検出結果に基づいて燃焼部の温度変化を判定する判定部と、判定部によって温度変化があると判定された場合、水素発生部に対する水素含有燃料の供給量を調整する調整部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る燃料電池システムは、水素含有燃料と酸化剤とを燃焼させる燃焼部を備えている。一定量の水素含有燃料が燃焼部へ供給され、一定量の酸化剤が燃焼部へ供給される場合、水素含有燃料の性状に変化が無ければ燃焼部の温度は一定となり、変化があれば燃焼部の温度は変化する。従って、判定部は、温度検出部の検出結果に基づいて、燃焼部の温度変化を判定することによって、水素含有燃料の性状の変化を把握することができる。判定部によって温度変化があると判定された場合、調整部が、水素発生部に対する水素含有燃料の供給量を調整することによって、セルスタックの発電で用いられる水素含有燃料の供給量を最適にすることができる。このように、燃料電池システム内に燃焼部を設けるだけで、水素含有燃料の性状の変化に対応できる。また、燃焼部は、計測のためだけに用いられる特別な機器とは異なり、発生させた熱をシステム内で有効に利用させることができる。例えばシステム内で所定の加熱部が必要とされる場合に、当該加熱部を燃焼部で代用することが可能となるため、実質的な設置やメンテナンスのためのコストの増加を抑えることができる。以上により、本発明に係る燃料電池システムは、計測のための特別な機器を設けることなく、水素含有燃料の性状の変化に応じて適切な運転を行うことができる。
【0008】
また、燃料電池システムは、水素含有燃料または酸化剤の濃度を検出する濃度検出部を更に備えることが好ましい。燃焼部の温度は、水素含有燃料や酸化剤の濃度変化による影響を受ける。従って、濃度検出部が、これらの濃度変化を検出することができるため、調整部は、水素含有燃料や酸化剤の濃度変化の具体的な量を考慮して調整することができる。従って、調整部は、一層最適な調整を行うことができる。
【0009】
また、燃料電池システムは、燃焼部によって発生する熱を利用する熱利用部を更に備える。これによって、燃焼部によって発生した熱を有効利用することができる。熱利用部としては、具体的に、貯湯槽、水素発生部へ供給される水蒸気を生成する水気化部、水素発生部へ供給される水素含有燃料を脱硫する脱硫部、または、システム内の水の凍結を防止する凍結防止部が挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、計測のための特別な機器を設けることなく、水素含有燃料の性状の変化に応じて適切な運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック構成図である。
【図2】図2は、第一実施形態に係る燃料電池システムの一部の構成を示すブロック構成図である。
【図3】図3は、燃焼機の設置例を示すブロック構成図である。
【図4】図4は、燃焼機の設置例を示すブロック構成図である。
【図5】図5は、第一実施形態に係る燃料電池システムの制御処理を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第二実施形態に係る燃料電池システムの一部の構成を示すブロック構成図である。
【図7】図7は、第二実施形態に係る燃料電池システムの制御処理を示すフローチャートである。
【図8】図8は、最適な供給量の算出に用いられるデータテーブルの一例を示す図である。
【図9】図9は、第三実施形態に係る燃料電池システムの一部の構成を示すブロック構成図である。
【図10】図10は、第三実施形態に係る燃料電池システムの制御処理を示すフローチャートである。
【図11】図11は、第三実施形態に係る燃料電池システムの制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
[第一実施形態]
図1に示されるように、燃料電池システム1は、脱硫部2と、水気化部3と、水素発生部4と、セルスタック5と、オフガス燃焼部6と、水素含有燃料供給部7と、水供給部8と、酸化剤供給部9と、パワーコンディショナー10と、制御部11と、を備えている。燃料電池システム1は、水素含有燃料及び酸化剤を用いて、セルスタック5にて発電を行う。燃料電池システム1におけるセルスタック5の種類は特に限定されず、例えば、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)、リン酸形燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)、及び、その他の種類を採用することができる。なお、セルスタック5の種類、水素含有燃料の種類、及び改質方式等に応じて、図1に示す構成要素を適宜省略してもよい。
【0014】
水素含有燃料として、例えば、炭化水素系燃料が用いられる。炭化水素系燃料として、分子中に炭素と水素とを含む化合物(酸素等、他の元素を含んでいてもよい)若しくはそれらの混合物が用いられる。炭化水素系燃料として、例えば、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、バイオ燃料が挙げられ、これらの炭化水素系燃料は従来の石油・石炭等の化石燃料由来のもの、合成ガス等の合成系燃料由来のもの、バイオマス由来のものを適宜用いることができる。具体的には、炭化水素類として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、天然ガス、LPG(液化石油ガス)、都市ガス、タウンガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油が挙げられる。アルコール類として、メタノール、エタノールが挙げられる。エーテル類として、ジメチルエーテルが挙げられる。バイオ燃料として、バイオガス、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオジェットが挙げられる。
【0015】
酸化剤として、例えば、空気、純酸素ガス(通常の除去手法で除去が困難な不純物を含んでもよい)、酸素富化空気が用いられる。
【0016】
脱硫部2は、水素発生部4に供給される水素含有燃料の脱硫を行う。脱硫部2は、水素含有燃料に含有される硫黄化合物を除去するための脱硫触媒を有している。脱硫部2の脱硫方式として、例えば、硫黄化合物を吸着して除去する吸着脱硫方式や、硫黄化合物を水素と反応させて除去する水素化脱硫方式が採用される。脱硫部2は、脱硫した水素含有燃料を水素発生部4へ供給する。
【0017】
水気化部3は、水を加熱し気化させることによって、水素発生部4に供給される水蒸気を生成する。水気化部3における水の加熱は、例えば、水素発生部4の熱、オフガス燃焼部6の熱、あるいは排ガスの熱を回収する等、燃料電池システム1内で発生した熱を用いてもよい。また、別途ヒータ、バーナ等の他熱源を用いて水を加熱してもよい。なお、図1では、一例としてオフガス燃焼部6から水素発生部4へ供給される熱のみ記載されているが、これに限定されない。水気化部3は、生成した水蒸気を水素発生部4へ供給する。
【0018】
水素発生部4は、脱硫部2からの水素含有燃料を用いて水素リッチガスを発生させる。水素発生部4は、水素含有燃料を改質触媒によって改質する改質器を有している。水素発生部4での改質方式は、特に限定されず、例えば、水蒸気改質、部分酸化改質、自己熱改質、その他の改質方式を採用できる。なお、水素発生部4は、セルスタック5に要求される水素リッチガスの性状によって、改質触媒により改質する改質器の他に性状を調整するための構成を有する場合もある。例えば、セルスタック5のタイプが固体高分子形燃料電池(PEFC)やリン酸形燃料電池(PAFC)であった場合、水素発生部4は、水素リッチガス中の一酸化炭素を除去するための構成(例えば、シフト反応部、選択酸化反応部)を有する。水素発生部4は、水素リッチガスをセルスタック5のアノード12へ供給する。
【0019】
セルスタック5は、水素発生部4からの水素リッチガス及び酸化剤供給部9からの酸化剤を用いて発電を行う。セルスタック5は、水素リッチガスが供給されるアノード12と、酸化剤が供給されるカソード13と、アノード12とカソード13との間に配置される電解質14と、を備えている。セルスタック5は、パワーコンディショナー10を介して、電力を外部へ供給する。セルスタック5は、発電に用いられなかった水素リッチガス及び酸化剤をオフガスとして、オフガス燃焼部6へ供給する。なお、水素発生部4が備えている燃焼部(例えば、改質器を加熱する燃焼器など)をオフガス燃焼部6と共用してもよい。
【0020】
オフガス燃焼部6は、セルスタック5から供給されるオフガスを燃焼させる。オフガス燃焼部6によって発生する熱は、水素発生部4へ供給され、水素発生部4での水素リッチガスの発生に用いられる。
【0021】
水素含有燃料供給部7は、脱硫部2へ水素含有燃料を供給する。水供給部8は、水気化部3へ水を供給する。酸化剤供給部9は、セルスタック5のカソード13へ酸化剤を供給する。水素含有燃料供給部7、水供給部8、及び酸化剤供給部9は、例えばポンプによって構成されており、制御部11からの制御信号に基づいて駆動する。
【0022】
パワーコンディショナー10は、セルスタック5からの電力を、外部での電力使用状態に合わせて調整する。パワーコンディショナー10は、例えば、電圧を変換する処理や、直流電力を交流電力へ変換する処理を行う。
【0023】
制御部11は、燃料電池システム1全体の制御処理を行う。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェイスを含んで構成されたデバイスによって構成される。制御部11は、水素含有燃料供給部7、水供給部8、酸化剤供給部9、パワーコンディショナー10、その他、図示されないセンサや補機と電気的に接続されている。制御部11は、燃料電池システム1内で発生する各種信号を取得すると共に、燃料電池システム1内の各機器へ制御信号を出力する。
【0024】
本実施形態に係る燃料電池システム1は、水素含有燃料の熱量(組成)の変化や水素含有燃料及び酸化剤のガス濃度変化に応じ、適切な運転を行うことができる。燃料電池システム1は、燃焼機20で水素含有燃料と酸化剤とを燃焼させ、当該燃焼機20の温度の変化に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料やセルスタック5に対する酸化剤の供給量を適切に調整する。更に、燃料電池システム1は、燃焼機20で発生した熱を有効に利用することができる。具体的には、図2に示すように、燃料電池システム1は、燃焼機(燃焼部)20と、温度計(温度検出部)21と、水素含有燃料供給部22と、酸化剤供給部23と、熱利用部24と、を更に備えている。また、制御部11は、供給量指示部101と、温度検出部102と、判定部103と、調整部104と、を備えている。
【0025】
燃焼機20は、燃料電池システム1内に設けられる小型燃焼装置である。燃焼機20として、例えばバーナが用いられる。燃焼機20は、水素含有燃料と酸化剤とを燃焼させる。燃焼機20の燃料電池システム1内での配置は特に限定されず、熱の利用先に応じて適宜変更することができる。燃焼機20が水素含有燃料や酸化剤の監視を行っている間、燃焼機20には常時一定量の水素含有燃料及び一定量の酸化剤が供給される。これにより、燃焼機20の温度変化を検出することにより、水素含有燃料の熱量(組成)の変化、水素含有燃料のガス濃度変化、あるいは酸化剤のガス濃度変化を検出することができる。燃焼機20の温度を変化させる要因である水素含有燃料の熱量(組成)の変化、水素含有燃料のガス濃度変化、酸化剤のガス濃度変化は、燃料電池システム1における運転状態にも影響を及ぼす。
【0026】
温度計21は、燃焼機20に設けられており、燃焼機20の温度を検出する機能を有している。温度計21による燃焼機20の温度の測定箇所は、特に限定されず、水素含有燃料の熱量(組成)の変化や水素含有燃料のガス濃度変化、酸化剤のガス濃度変化による温度変化を把握することができる位置であればよい。例えば、温度計21は、燃焼機20の火炎の温度を測定してもよく、燃焼機20の本体温度を測定してもよい。温度計21は、制御部11と電気的に接続されており、燃焼機20の温度を制御部11へ出力する。
【0027】
水素含有燃料供給部22は、燃焼機20に対して水素含有燃料を供給する。水素含有燃料供給部22は、燃焼機20に対して常時、一定量の水素含有燃料を供給する。水素含有燃料供給部22が燃焼機20に対して供給する水素含有燃料は、水素含有燃料供給部7が水素発生部4に対して供給している水素含有燃料と同じものが用いられる。すなわち、セルスタック5での発電に用いられる水素含有燃料の熱量(組成)の変化やガス濃度の変化による影響は、燃焼機20での燃焼に反映される。水素含有燃料供給部22は、水素含有燃料供給部7と共用してもよく(例えば、水素含有燃料供給部7の供給ラインを燃焼機20へ分岐させる)、あるいは水素含有燃料供給部7とは別体のポンプによって構成されてもよい。
【0028】
酸化剤供給部23は、燃焼機20に対して酸化剤を供給する。酸化剤供給部23は、燃焼機20に対して常時、一定量の酸化剤を供給する。酸化剤供給部23が燃焼機20に対して供給する酸化剤は、酸化剤供給部9がセルスタック5に対して供給している酸化剤と同じものが用いられる。すなわち、セルスタック5での発電に用いられる酸化剤のガス濃度の変化による影響は、燃焼機20での燃焼に反映される。酸化剤供給部23は、酸化剤供給部9と共用してもよく(例えば、酸化剤供給部9の供給ラインを燃焼機20へ分岐させる)、あるいは酸化剤供給部9とは別体のポンプによって構成されてもよい。
【0029】
熱利用部24は、燃焼機20で発生する熱を利用する部分である。熱利用部24は、燃焼機20と物理的に近接配置されることで燃焼機20の熱を直接的に利用してもよく、燃焼機20と物理的に離間しており熱媒体を介して燃焼機20の熱を間接的に利用してもよい。熱利用部24の一例については、図3及び図4を用いて後述する。
【0030】
制御部11の供給量指示部101は、水素含有燃料供給部22へ制御信号を出力し、一定量の水素含有燃料を燃焼機20へ供給する機能を有している。また、制御部11の供給量指示部101は、酸化剤供給部23へ制御信号を出力し、一定量の酸化剤を燃焼機20へ供給する機能を有している。制御部11の供給量指示部101は、水素含有燃料供給部7へ制御信号を出力し、所定量の水素含有燃料を水素発生部4へ供給する機能を有している。制御部11の供給量指示部101は、調整部104によって水素発生部4への水素含有燃料供給量が調整された場合、調整された供給量に対応する制御信号を出力する。また、制御部11の供給量指示部101は、酸化剤供給部9へ制御信号を出力し、所定量の酸化剤をセルスタック5へ供給する機能を有している。制御部11の供給量指示部101は、調整部104によってセルスタック5への酸化剤供給量が調整された場合、調整された供給量に対応する制御信号を出力する。
【0031】
制御部11の温度検出部102は、温度計21からの検出信号を受信することで、燃焼機20の温度を検出する機能を有している。温度検出部102は、温度計21からの検出信号に基づいて燃焼機20の温度を測定することができる。なお、温度検出部102は、例えば、温度計21での温度を直ちに測定値として取得してもよく、温度計21での温度を平均処理した値を測定値として取得してもよい。
【0032】
制御部11の判定部103は、温度計21及び温度検出部102の検出結果に基づいて、燃焼機20の温度変化を判定する機能を有している。制御部11の判定部103は、燃焼機20の温度が一定であるか、あるいは温度が変化したかを判定する。判定部103による温度変化の判定の方法は特に限定されない。例えば、判定部103は、燃焼機20の温度の測定値と前回の制御処理時に取得した測定値とを比較してもよく、あるいは、条件によって導き出される温度の所定の基準値と比較してもよい。また、判定部103は、燃焼機20の温度が変化したら、直ちに温度変化が生じたと判定してもよく、あるいは、測定誤差などを考慮して、燃焼機20の温度の変化量が所定の閾値を上回ったときに温度変化が生じたと判定してもよい。
【0033】
制御部11の調整部104は、判定部103によって燃焼機20に温度変化があると判定された場合、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量を調整する機能を有している。調整部104は、燃焼機20での温度変化に基づいて、燃料電池システム1の運転において最適な水素含有燃料供給量となるように調整する。制御部11の調整部104は、調整した供給量指示値を供給量指示部101を介して水素含有燃料供給部7へ出力する。また、制御部11の調整部104は、判定部103によって燃焼機20に温度変化があると判定された場合、セルスタック5に対する酸化剤の供給量を調整する機能を有してもよい。調整部104は、燃焼機20での温度変化に基づいて、燃料電池システム1の運転において最適な酸化剤供給量となるように調整する。制御部11の調整部104は、調整した供給量指示値を供給量指示部101を介して酸化剤供給部9へ出力する。制御部11の調整部104による水素含有燃料供給量や酸化剤供給量の調整方法は特に限定されず、最適な供給量に調整可能な方法であれば特に限定されない。例えば、制御部11の調整部104は、所定の演算によって調整してもよく、予め用意したデータと照会することで調整してもよい。
【0034】
次に、図3及び図4を参照して、燃焼機20の設置例について説明する。なお、燃料電池システム1においては改質器や補機類からの熱回収も行われるが、図3及び図4では省略されている。図3及び図4では、発電部30からの熱は、貯湯槽31の加熱に利用される。なお、発電部30とは、水素リッチガス(水素含有ガス)を用いて発電を行うセルスタック5を含んで構成されたものである。発電部30は、少なくともセルスタック5を含むものであって、さらにオフガス燃焼部6や水素発生部4等を含む場合もあれば、オフガス燃焼部6や水素発生部4等を含まない場合もある。
【0035】
図3(a)に示す設置例では、燃焼機20で発生した熱は、貯湯槽31の加熱に利用される。この場合、貯湯槽31が図2における熱利用部24に該当する。燃焼機20から貯湯槽31への熱の供給の形態は特に限定されない。例えば、燃焼機20からの熱が熱媒体を介して貯湯槽31へ供給されてもよく、燃焼機20を貯湯槽31の近くに配置することによって燃焼機20からの熱が貯湯槽31へ供給されてもよい。
【0036】
図3(b)に示す設置例では、燃焼機20で発生した熱は、水気化部3での水の加熱に利用される。この場合、水気化部3が図2における熱利用部24に該当する。燃焼機20から水気化部3への熱の供給の形態は特に限定されない。例えば、燃焼機20からの熱が熱媒体を介して水気化部3へ供給されてもよく、燃焼機20を水気化部3の近くに配置することによって燃焼機20からの熱が水気化部3へ供給されてもよい。
【0037】
図4(a)に示す設置例では、燃焼機20で発生した熱は、脱硫部2での水の加熱に利用される。この場合、脱硫部2が図2における熱利用部24に該当する。燃焼機20から脱硫部2への熱の供給の形態は特に限定されない。例えば、燃焼機20からの熱が熱媒体を介して脱硫部2へ供給されてもよく、燃焼機20を脱硫部2の近くに配置することによって燃焼機20からの熱が脱硫部2へ供給されてもよい。
【0038】
図4(b)に示す設置例では、燃焼機20で発生した熱は、貯湯槽31へ水を供給する水供給管32の凍結防止に利用される。この場合、水供給管32における凍結防止部33が図2における熱利用部24に該当する。燃焼機20から凍結防止部33への熱の供給の形態は特に限定されない。例えば、燃焼機20からの熱が熱媒体を介して凍結防止部33へ供給されてもよく、燃焼機20を凍結防止部33の近くに配置することによって燃焼機20からの熱が凍結防止部33へ供給されてもよい。
【0039】
次に、図2及び図5を参照して、本実施形態に係る燃料電池システム1の制御処理の一例について説明する。図5に示す処理は、制御部11において所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0040】
図5に示すように、制御部11の供給量指示部101は、水素含有燃料供給部22へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ水素含有燃料を供給すると共に、酸化剤供給部23へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ酸化剤を供給する(ステップS10)。S10では、一定量の水素含有燃料が燃焼機20へ供給され、一定量の酸化剤が燃焼機20へ供給される。制御部11の温度検出部102は、温度計21の検出結果に基づいて燃焼機20の温度Tを測定する(ステップS20)。
【0041】
制御部11の判定部103は、S20で取得した燃焼機20の温度Tが一定であるか否かを判定する(ステップS30)。S30で温度Tが一定であると判定された場合、判定部103は、水素含有燃料の熱量(組成)やガス濃度や酸化剤のガス濃度に変化はないと判断する。この場合、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量は一定のままで、図5の処理が終了し、再びS10から処理が開始される。なお、S10での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、設定変更などがなされない限り、一定である。
【0042】
S30で温度Tが変化したと判定された場合、制御部11の調整部104は、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量を調整する(ステップS40)。調整部104は、温度Tの変化量に基づいて、演算やデータ照会などの方法により、最適な水素含有燃料供給量を取得する。調整部104は、供給量指示部101を介して水素含有燃料供給部7へ制御信号を出力する。なお、調整部104は、セルスタック5に対する酸化剤の供給量も調整してよい。S40の処理が終了すると、図5の処理が終了し、再びS10から処理が開始される。燃焼機20の温度Tが最適な値になるまで、燃焼機20の温度Tの測定と水素発生部4への水素含有燃料供給量の調整が繰り返し実行されてもよい。ただし、そのときのS10での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、一定である。
【0043】
以上より、本実施形態に係る燃料電池システム1は、水素含有燃料と酸化剤とを燃焼させる燃焼機20を備えている。水素含有燃料供給部22から一定量の水素含有燃料が燃焼機20へ供給され、酸化剤供給部23から一定量の酸化剤が燃焼機20へ供給される場合、水素含有燃料の熱量(組成)やガス濃度や酸化剤のガス濃度に変化が無ければ燃焼機20の温度は一定となり、変化があれば燃焼機20の温度は変化する。従って、制御部11の判定部103は、温度計21及び温度検出部102の検出結果に基づいて、燃焼機20の温度変化を判定することによって、水素含有燃料の熱量(組成)やガス濃度や酸化剤のガス濃度の変化を把握することができる。更に、判定部103によって温度変化があると判定された場合、調整部104が、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量を調整することによって、セルスタック5の発電で用いられる水素含有燃料の供給量を最適にすることができる。このように、燃料電池システム1内に燃焼機20を設けるだけで、水素含有燃料の熱量(組成)やガス濃度や酸化剤のガス濃度の変化に対応できる。また、燃焼機20は、計測のためだけに用いられる特別な機器とは異なり、発生させた熱をシステム内で有効に利用させることができる。例えばシステム内で所定の加熱手段が必要とされる場合に、当該加熱手段を燃焼機20で代用することが可能となるため、実質的な設置やメンテナンスのためのコストの増加を抑えることができる。以上により、燃料電池システム1は、計測のための特別な機器を設けることなく、水素含有燃料の性状などの変化に応じて適切な運転を行うことができる。
【0044】
[第二実施形態]
図6を参照して、第二実施形態に係る燃料電池システム1について説明する。第二実施形態に係る燃料電池システム1は、燃焼機20に供給される水素含有燃料のガス濃度を検出する構成を備えている。燃焼機20の上流には、ガスセンサ(濃度検出部)26が配置されている。ガスセンサ26は、例えば、酸素センサや窒素センサによって構成されている。ガスセンサ26は、水素含有燃料供給部22から燃焼機20へ供給される水素含有燃料の酸素や窒素の濃度を検出できる。ガスセンサ26は、制御部11と電気的に接続されており、検出結果を制御部11へ出力する。なお、ガスセンサ26の位置は特に限定されず、水素含有燃料の酸素や窒素の濃度を検出できる位置であればどこでもよい。
【0045】
制御部11は、濃度検出部105を更に備えている。濃度検出部105は、ガスセンサ26の検出結果に基づいて、水素含有燃料のガス濃度を取得することができる。なお、濃度検出部105は、水素含有燃料に含まれる酸素や窒素の濃度に基づいて、水素含有燃料のガス濃度を演算することができる。なお、制御処理において用いられる水素含有燃料のガス濃度の単位は、特に限定されず、水素含有燃料のガス濃度を示すものであればどのような単位を用いてもよい。また、判定部103は、燃焼機20の温度変化を判定すると共に、水素含有燃料のガス濃度変化も判定する。調整部104は、燃焼機20の温度変化及び水素含有燃料のガス濃度変化に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料供給量及びセルスタック5に対する酸化剤供給量を最適に調整する。
【0046】
図7は、第二実施形態に係る燃料電池システム1の制御処理の一例を示すフローチャートである。図7に示すように、制御部11の供給量指示部101は、水素含有燃料供給部22へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ水素含有燃料を供給すると共に、酸化剤供給部23へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ酸化剤を供給する(ステップS110)。S110では、一定量の水素含有燃料が燃焼機20へ供給され、一定量の酸化剤が燃焼機20へ供給される。制御部11の濃度検出部105は、ガスセンサ26の検出結果に基づいて水素含有燃料のガス濃度Cxを測定する(ステップS120)。制御部11の温度検出部102は、温度計21の検出結果に基づいて燃焼機20の温度Tを測定する(ステップS130)。
【0047】
制御部11の判定部103は、S120で取得した水素含有燃料のガス濃度Cxが一定であり、且つ、S130で取得した燃焼機20の温度Tが一定であるか否かを判定する(ステップS140)。S140でガス濃度Cxが一定であり、且つ、温度Tが一定であると判定された場合、判定部103は、水素含有燃料の熱量(組成)やガス濃度や酸化剤のガス濃度に変化はないと判断する。この場合、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量及びセルスタック5に対する酸化剤の供給量は一定のままで、図7の処理が終了し、再びS110から処理が開始される。なお、S110での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、設定変更などがなされない限り、一定である。
【0048】
S140でガス濃度Cxまたは温度Tが変化したと判定された場合、制御部11の調整部104は、ガス濃度Cxの変化及び温度Tの変化に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料及びセルスタック5に対する酸化剤の最適供給量を算出する(ステップS150)。S150での最適供給量の算出方法は特に限定されず、調整部104は、所定の演算式を用いてもよく、予め準備したデータを用いてもよい。例えば、調整部104は、図8に示すようなデータテーブルを用いることができる。図8のテーブルでは、水素含有燃料のガス濃度Cxの変化量及び燃焼機20の温度Tの変化量と、それらに対して設定される水素含有燃料及び酸化剤の最適供給量が設定されている。例えば、水素含有燃料のガス濃度Cxの変化量が図8のA1に示す位置における値であり、燃焼機20の温度Tの変化量が図8のB1に示す位置における値である場合、調整部104は、図8のP1に示す位置における供給量を取得することができる。
【0049】
調整部104は、S150での結果に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料供給量及びセルスタック5に対する酸化剤供給量を調整する(ステップS160)。調整部104は、供給量指示部101を介して水素含有燃料供給部7へ制御信号を出力する。また、調整部104は、供給量指示部101を介して酸化剤供給部9へ制御信号を出力する。S160の処理が終了すると、図7の処理が終了し、再びS110から処理が開始される。燃焼機20の温度Tが最適な値になるまで、図7に示す処理が繰り返し実行されてもよい。ただし、そのときのS110での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、一定である。
【0050】
以上のように、第二実施形態に係る燃料電池システム1は、水素含有燃料のガス濃度を検出しているため、調整部104は、水素含有燃料のガス濃度の変化の具体的な量を考慮して調整することができる。これによって、調整部104は、一層最適な調整を行うことができる。
【0051】
[第三実施形態]
図9を参照して、第三実施形態に係る燃料電池システム1について説明する。第三実施形態に係る燃料電池システム1は、第二実施形態に係る燃料電池システム1に対して、更に、燃焼機20に供給される酸化剤のガス濃度を検出する構成を備えている。燃焼機20の上流には、ガスセンサ(濃度検出部)27が配置されている。ガスセンサ27は、例えば、酸素センサや窒素センサによって構成されている。ガスセンサ27は、酸化剤供給部23から燃焼機20へ供給される酸化剤の酸素や窒素の濃度を検出できる。ガスセンサ27は、制御部11と電気的に接続されており、検出結果を制御部11へ出力する。なお、ガスセンサ27の位置は特に限定されず、酸化剤の酸素や窒素の濃度を検出できる位置であればどこでもよい。
【0052】
制御部11の濃度検出部105は、ガスセンサ27の検出結果に基づいて、酸化剤のガス濃度を取得することができる。なお、濃度検出部105は、酸化剤に含まれる酸素や窒素の濃度に基づいて、酸化剤のガス濃度を演算することができる。なお、制御処理において用いられる酸化剤のガス濃度の単位は、特に限定されず、酸化剤のガス濃度を示すものであればどのような単位を用いてもよい。また、判定部103は、燃焼機20の温度変化を判定すると共に、酸化剤のガス濃度変化も判定する。調整部104は、燃焼機20の温度変化及び酸化剤のガス濃度変化に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料供給量及びセルスタック5に対する酸化剤供給量を最適に調整する。更に、判定部103は、燃焼機20の温度変化を判定すると共に、水素含有燃料のガス濃度変化及び酸化剤のガス濃度変化も判定する。調整部104は、燃焼機20の温度変化、水素含有燃料のガス濃度変化、及び酸化剤のガス濃度変化に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料供給量及びセルスタック5に対する酸化剤供給量を最適に調整する。
【0053】
図10は、第三実施形態に係る燃料電池システム1の制御処理の一例を示すフローチャートである。図10は、燃焼機20の温度変化及び酸化剤のガス濃度変化を検出した制御処理である。なお、図10の制御処理のみを実行する燃料電池システム1は、ガスセンサ26が省略されていてもよい。図10に示すように、制御部11の供給量指示部101は、水素含有燃料供給部22へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ水素含有燃料を供給すると共に、酸化剤供給部23へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ酸化剤を供給する(ステップS210)。S210では、一定量の水素含有燃料が燃焼機20へ供給され、一定量の酸化剤が燃焼機20へ供給される。制御部11の濃度検出部105は、ガスセンサ27の検出結果に基づいて酸化剤のガス濃度Cyを測定する(ステップS220)。制御部11の温度検出部102は、温度計21の検出結果に基づいて燃焼機20の温度Tを測定する(ステップS230)。
【0054】
制御部11の判定部103は、S220で取得した酸化剤のガス濃度Cyが一定であり、且つ、S230で取得した燃焼機20の温度Tが一定であるか否かを判定する(ステップS240)。S240でガス濃度Cyが一定であり、且つ、温度Tが一定であると判定された場合、判定部103は、水素含有燃料の熱量(組成)やガス濃度や酸化剤のガス濃度に変化はないと判断する。この場合、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量及びセルスタック5に対する酸化剤の供給量は一定のままで、図10の処理が終了し、再びS210から処理が開始される。なお、S210での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、設定変更などがなされない限り、一定である。
【0055】
S240でガス濃度Cyまたは温度Tが変化したと判定された場合、制御部11の調整部104は、ガス濃度Cyの変化及び温度Tの変化に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料及びセルスタック5に対する酸化剤の最適供給量を算出する(ステップS250)。S250での最適供給量の算出方法は特に限定されず、調整部104は、所定の演算式を用いてもよく、予め準備したデータを用いてもよい。例えば、図8に示すようなデータテーブルであって、水素含有燃料のガス濃度Cxの変化量の項目を酸化剤のガス濃度Cyの変化量に置き換えたものを用いることができる。
【0056】
調整部104は、S250での結果に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料供給量及びセルスタック5に対する酸化剤供給量を調整する(ステップS260)。調整部104は、供給量指示部101を介して水素含有燃料供給部7へ制御信号を出力する。また、調整部104は、供給量指示部101を介して酸化剤供給部9へ制御信号を出力する。S260の処理が終了すると、図10の処理が終了し、再びS210から処理が開始される。燃焼機20の温度Tが最適な値になるまで、図10に示す処理が繰り返し実行されてもよい。ただし、そのときのS210での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、一定である。
【0057】
図11は、第三実施形態に係る燃料電池システム1の制御処理の一例を示すフローチャートである。図11は、燃焼機20の温度変化、水素含有燃料のガス濃度変化、及び酸化剤のガス濃度変化を検出した制御処理である。図11に示すように、制御部11の供給量指示部101は、水素含有燃料供給部22へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ水素含有燃料を供給すると共に、酸化剤供給部23へ制御信号を出力することによって燃焼機20へ酸化剤を供給する(ステップS310)。S310では、一定量の水素含有燃料が燃焼機20へ供給され、一定量の酸化剤が燃焼機20へ供給される。制御部11の濃度検出部105は、ガスセンサ26の検出結果に基づいて水素含有燃料のガス濃度Cxを測定する(ステップS320)。制御部11の濃度検出部105は、ガスセンサ27の検出結果に基づいて酸化剤のガス濃度Cyを測定する(ステップS330)。制御部11の温度検出部102は、温度計21の検出結果に基づいて燃焼機20の温度Tを測定する(ステップS340)。
【0058】
制御部11の判定部103は、S320で取得した水素含有燃料のガス濃度Cxが一定であり、且つ、S330で取得した酸化剤のガス濃度Cyが一定であり、且つ、S340で取得した燃焼機20の温度Tが一定であるか否かを判定する(ステップS350)。S350でガス濃度Cxが一定であり、且つ、ガス濃度Cyが一定であり、且つ、温度Tが一定であると判定された場合、判定部103は、水素含有燃料の熱量(組成)やガス濃度や酸化剤のガス濃度に変化はないと判断する。この場合、水素発生部4に対する水素含有燃料の供給量及びセルスタック5に対する酸化剤の供給量は一定のままで、図11の処理が終了し、再びS310から処理が開始される。なお、S310での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、設定変更などがなされない限り、一定である。
【0059】
S350でガス濃度Cx、ガス濃度Cy、温度Tのいずれかが変化したと判定された場合、制御部11の調整部104は、ガス濃度Cxの変化、ガス濃度Cyの変化及び温度Tの変化に基づいて、セルスタック5に対する水素含有燃料及び酸化剤の最適供給量を算出する(ステップS360)。S360での最適供給量の算出方法は特に限定されず、調整部104は、所定の演算式を用いてもよく、予め準備したデータを用いてもよい。例えば、水素含有燃料のガス濃度Cxの変化量、酸化剤のガス濃度Cyの変化量、燃焼機20の温度Tの変化量の項目を有する三次元のデータテーブルを用いることができる。
【0060】
調整部104は、S360での結果に基づいて、水素発生部4に対する水素含有燃料供給量及びセルスタック5に対する酸化剤供給量を調整する(ステップS370)。調整部104は、供給量指示部101を介して水素含有燃料供給部7へ制御信号を出力する。また、調整部104は、供給量指示部101を介して酸化剤供給部9へ制御信号を出力する。S370の処理が終了すると、図11の処理が終了し、再びS310から処理が開始される。燃焼機20の温度Tが最適な値になるまで、図11に示す処理が繰り返し実行されてもよい。ただし、そのときのS310での燃焼機20に対する水素含有燃料及び酸化剤の供給量は、一定である。
【0061】
以上のように、第三実施形態に係る燃料電池システム1は、酸化剤のガス濃度を検出しているため、調整部104は、酸化剤のガス濃度の変化の具体的な量を考慮して調整することができる。更に、調整部104は、水素含有燃料のガス濃度及び酸化剤のガス濃度の具体的な変化量を考慮して調整することができる。これによって、調整部104は、一層最適な調整を行うことができる。
【0062】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る燃料電池システムは、実施形態に係る上記燃料電池システム1に限定されない。
【0063】
例えば、図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)を組み合わせてもよい。すなわち、燃焼機20の熱を複数の熱利用部で利用してもよい。また、図3及び図4は設置例の一部に過ぎず、燃料電池システムの中及び燃料電池システムの外で熱を用いる箇所であれば、いずれの箇所を熱利用部としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…燃料電池システム、2…脱硫部(熱利用部)、3…水気化部(熱利用部)、4…水素発生部、5…セルスタック、11…制御部、20…燃焼機(燃焼部)、21…温度計(温度検出部)、26,27…ガスセンサ(濃度検出部)、24…熱利用部、31…貯湯槽(熱利用部)、33…凍結防止部(熱利用部)、101…供給量指示部、102…温度検出部、103…判定部、104…調整部、105…濃度検出部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素含有燃料を用いて水素含有ガスを発生させる水素発生部と、
前記水素含有ガスを用いて発電を行うセルスタックと、を備える燃料電池システムであって、
所定量の前記水素含有燃料と所定量の酸化剤とを燃焼させる燃焼部と、
前記燃焼部の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出結果に基づいて前記燃焼部の温度変化を判定する判定部と、
前記判定部によって温度変化があると判定された場合、前記水素発生部に対する前記水素含有燃料の供給量を調整する調整部と、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記水素含有燃料または前記酸化剤の濃度を検出する濃度検出部を更に備えることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃焼部によって発生する熱を利用する熱利用部を更に備え、
前記熱利用部は、貯湯槽であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃焼部によって発生する熱を利用する熱利用部を更に備え、
前記熱利用部は、前記水素発生部へ供給される水蒸気を生成する水気化部であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記燃焼部によって発生する熱を利用する熱利用部を更に備え、
前記熱利用部は、前記水素発生部へ供給される前記水素含有燃料を脱硫する脱硫部であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃焼部によって発生する熱を利用する熱利用部を更に備え、
前記熱利用部は、システム内の水の凍結を防止する凍結防止部であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池システム。
【請求項1】
水素含有燃料を用いて水素含有ガスを発生させる水素発生部と、
前記水素含有ガスを用いて発電を行うセルスタックと、を備える燃料電池システムであって、
所定量の前記水素含有燃料と所定量の酸化剤とを燃焼させる燃焼部と、
前記燃焼部の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出結果に基づいて前記燃焼部の温度変化を判定する判定部と、
前記判定部によって温度変化があると判定された場合、前記水素発生部に対する前記水素含有燃料の供給量を調整する調整部と、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記水素含有燃料または前記酸化剤の濃度を検出する濃度検出部を更に備えることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃焼部によって発生する熱を利用する熱利用部を更に備え、
前記熱利用部は、貯湯槽であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃焼部によって発生する熱を利用する熱利用部を更に備え、
前記熱利用部は、前記水素発生部へ供給される水蒸気を生成する水気化部であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記燃焼部によって発生する熱を利用する熱利用部を更に備え、
前記熱利用部は、前記水素発生部へ供給される前記水素含有燃料を脱硫する脱硫部であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃焼部によって発生する熱を利用する熱利用部を更に備え、
前記熱利用部は、システム内の水の凍結を防止する凍結防止部であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−142123(P2012−142123A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292691(P2010−292691)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】
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