説明

燃料電池システム

【課題】起動性及び追従性と効率とを良好に維持するとともに、耐久性の向上を図れる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池システム10を構成する制御装置20は、燃料電池スタック24への要求出力に応じて供給される燃料ガスの炭素量を決定する炭素量決定部110と、水蒸気改質器46の温度及び蒸発器48の温度を検知する温度検知部112と、前記水蒸気改質器46の温度に基づいて、水蒸気/炭素比の範囲を決定するS/C決定部114と、前記炭素量と前記水蒸気/炭素比とに基づいて、前記蒸発器48への水供給量の範囲を決定する水供給量決定部116と、前記蒸発器48の温度が前記水供給量の範囲に基づいて設定された温度であるか否かを判断する蒸発器作動状態判断部118と、前記蒸発器作動状態判断部118の判断結果に基づいて、前記水蒸気改質器46及び前記部分酸化改質器45を制御する改質器制御部120を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池モジュール及び制御装置を備える燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、固体電解質に酸化物イオン導電体、例えば、安定化ジルコニアを用いており、この固体電解質の両側にアノード電極及びカソード電極を配設した電解質・電極接合体(以下、MEAともいう)を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持している。この燃料電池は、通常、電解質・電極接合体とセパレータとが所定数だけ積層された燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
上記の燃料電池に供給される燃料ガスは、通常、改質装置によって炭化水素系の原燃料から生成される水素ガスが使用されている。改質装置では、一般的に、メタンやLNG等の化石燃料等の炭化水素系の原燃料に、例えば、部分酸化改質や水蒸気改質を施すことにより、改質ガス(燃料ガス)が生成されている。
【0004】
この場合、部分酸化改質器は、発熱反応であるため、比較的低温時に反応が開始されて起動性及び追従性に優れる一方、改質効率が低いという問題がある。
【0005】
これに対して、水蒸気改質器は、改質効率が高い一方、吸熱反応であるため、低温時の起動性及び追従性が低下するという問題がある。
【0006】
そこで、例えば、特許文献1に開示されている燃料電池の運転方法が知られている。この運転方法は、炭化水素ガスを含む複数種の改質用気体を混合する混合工程と、前記混合工程にて混合された複数種の改質用気体を改質触媒により水素含有ガスへ改質する改質工程と、前記改質工程にて得られた水素含有ガスを用いて固体電解質形燃料電池セルが発電する発電工程とを有する燃料電池の運転方法に関するものである。
【0007】
そして、混合工程、改質工程又は発電工程が、予め設定された熱バランス条件で行われているか否かを監視し、前記予め設定された熱バランス条件で行われているときは、前記混合工程にて水蒸気を炭化水素ガスと混合した後、前記改質工程にて水蒸気改質を行わせ、且つ、前記予め設定された熱バランス条件で行われていないときは、前記混合工程にて酸素含有ガスを前記炭化水素ガスと混合した後、前記改質工程にて部分酸化改質を行わせることを特徴としている。
【0008】
この運転方法では、熱バランスが最適状態から変化した場合には、水蒸気改質から部分酸化改質に切り替えることにより水蒸気なしで改質を行うことができ、炭素析出を防止できる、としている。さらに、部分酸化改質は発熱反応であるため、低下した温度を再び上昇させることができ、熱バランスの最適状態への回復にも寄与し、燃料電池の運転中に種々の要因により熱バランスが最適状態を充足せず、改質工程のための熱量が不足したとき、部分酸化改質に切り替えることで熱量不足を補い、調整することができる、としている。また、改質方法を切り替えることにより熱バランスの大きな変動を防止することができ、燃料電池発電の出力不安定を解消できる、としている。
【0009】
また、特許文献2に開示されている燃料電池システムが知られている。この燃料電池システムは、燃料電池セルに供給する燃料ガスの水蒸気改質を行う改質器と、前記改質器に水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段を制御する制御手段とを備えている。
【0010】
水供給手段は、改質器に供給する水を貯水する貯水タンクと、前記貯水タンクに貯水された水を前記改質器に圧送するポンプと、前記ポンプによる前記改質器への水の供給量を検出する流量検出手段と、前記改質器内の燃料ガスの圧力を検出する圧力検出手段とを有している。そして、制御手段は、少なくとも起動時において、ポンプを停止状態から圧送状態へと切り替えて水の圧送を開始した後に、圧力検出手段の検出結果に基づいて改質器への水供給の有無を判定する水供給判定処理を実行している。
【0011】
特許文献2では、貯水タンクから改質器へと水を圧送するポンプを停止状態から圧送状態へと切り替えて圧送を開始した後に、圧力検出手段の検出結果に基づいて改質器への水供給の有無を判定する水供給判定処理を行っている。この水供給判定処理により、流量検出手段の検出値に関係なく圧力検出手段の検出値によって改質器への水供給の有無を判定できるので、供給される水量の多少に拘らず改質器への水供給の有無を判断することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−179756号公報
【特許文献2】特開2010−238595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の特許文献1では、発電量の検出値を熱バランス条件のパラメータとして用いており、発電量が設定値未満になった際、水蒸気改質から部分酸化改質に切り替えて燃料電池内部の温度上昇を図っている。このため、水蒸気改質による運転範囲が狭くなり、高効率の出力を良好に得ることができないという問題がある。しかも、炭素析出は、水蒸気/炭素(S/C)比と改質器の温度とに基づいて決定されるが、特許文献1では、この関係が考慮されておらず、炭素析出を良好に抑制することが困難になる。
【0014】
また、上記の特許文献2では、起動時に改質器への水供給の有無を判断するものであり、部分酸化改質と水蒸気改質との選択的運転の制御については開示されていない。従って、高効率の出力を良好に得ることができないという問題がある。
【0015】
しかも、供給される水が不足した際には、運転不能な状態となってしまうという問題がある。さらに、炭素析出は、水蒸気/炭素(S/C)比と改質器の温度とに基づいて決定されるが、この関係が考慮されておらず、炭素析出を良好に抑制することが困難になる。
【0016】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、起動性及び追従性と効率とを良好に維持するとともに、耐久性の向上を図ることが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、燃料電池モジュール及び制御装置を備える燃料電池システムに関するものである。この燃料電池システムでは、燃料電池モジュールは、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池を複数積層した燃料電池スタックと、炭化水素を主体とする原燃料と酸化剤ガスとの混合ガスを改質する部分酸化改質器と、前記原燃料と水蒸気との混合ガスを改質する水蒸気改質器と、水を蒸発させるとともに、前記水蒸気を前記水蒸気改質器に供給する蒸発器とを備えている。
【0018】
そして、制御装置は、燃料電池スタックへの要求出力に応じて前記燃料電池スタックに供給される燃料ガスの炭素量を決定する炭素量決定部と、水蒸気改質器の温度及び蒸発器の温度を検知する温度検知部と、前記水蒸気改質器の温度に基づいて、水蒸気/炭素比の範囲を決定するS/C決定部と、前記炭素量と前記水蒸気/炭素比とに基づいて、前記蒸発器への水供給量の範囲を決定する水供給量決定部と、前記蒸発器の温度が前記水供給量の範囲に基づいて設定された温度であるか否かを判断する蒸発器作動状態判断部と、前記蒸発器作動状態判断部の判断結果に基づいて、前記水蒸気改質器及び前記部分酸化改質器を制御する改質器制御部とを備えている。
【0019】
また、この燃料電池システムでは、改質器制御部は、蒸発器の温度が水供給量の範囲に基づいて設定された温度であると判断された際、水蒸気改質器を制御する水蒸気改質器制御部と、前記蒸発器の温度が前記水供給量の範囲に基づいて設定された温度ではないと判断された際、部分酸化改質器を制御する部分酸化改質器制御部とを備えることが好ましい。
【0020】
このため、蒸発器の温度が、水供給量の範囲に基づいて設定された温度である際には、高効率な水蒸気改質器を使用することができる。従って、燃料電池モジュールの高効率化が容易に図られる。
【0021】
一方、蒸発器の温度が、水供給量の範囲に基づいて設定された温度でない際には、起動性及び応答性に優れる部分酸化改質器を使用することが可能になる。これにより、燃料電池モジュールの起動性及び応答性が良好に向上する。
【0022】
さらに、この燃料電池システムでは、制御装置は、蒸発器の温度が水供給量の範囲に基づいて設定された温度であると判断された際、部分酸化改質器の改質準備を行うか否かを判断する改質準備判断部を備えることが好ましい。このため、水蒸気改質器の作動範囲を超えるおそれがある場合にも、部分酸化改質器により補うことができる。従って、負荷変動に追従することが可能になるとともに、改質不足に起因する燃料枯渇を抑制することができ、燃料電池モジュールの耐久性が良好に向上する。
【0023】
さらにまた、この燃料電池システムでは、燃料電池モジュールは、固体酸化物形燃料電池モジュールであることが好ましい。これにより、特にSOFC等の高温型燃料電池に最適である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、燃料ガス、水蒸気改質器、蒸発器、水蒸気/炭素比及び水供給量の状況に応じて、高効率な前記水蒸気改質器と起動性及び応答性に優れる部分酸化改質器とを良好に使い分けることができる。このため、燃料電池モジュールは、高効率の機能と起動性及び応答性の機能とを両立させることが可能になる。
【0025】
しかも、燃料電池スタックの負荷変動等により、水蒸気改質器の作動範囲を超えるおそれがある場合にも、部分酸化改質器により補うことができる。従って、低出力及び負荷変動に追従することが可能になるとともに、改質不足に起因する燃料枯渇及び炭素析出を抑制することができ、燃料電池モジュールの耐久性が良好に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料電池システムの概略構成説明図である。
【図2】前記燃料電池システムを構成するFC周辺機器の要部斜視説明図である。
【図3】前記FC周辺機器の要部分解斜視説明図である。
【図4】前記燃料電池システムの起動から発電までの動作を説明するフローチャートである。
【図5】前記燃料電池システムの負荷変動運転の動作を説明するフローチャートである。
【図6】水蒸気改質器の温度とS/Cとの関係説明図である。
【図7】蒸発器の温度と前記蒸発器への水供給量との関係説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る燃料電池システム10は、定置用の他、車載用等の種々の用途に用いられている。
【0028】
燃料電池システム10は、燃料ガス(水素ガスにメタン、一酸化炭素が混合した気体)と酸化剤ガス(空気)との電気化学反応により発電する燃料電池モジュール(SOFCモジュール)12と、前記燃料電池モジュール12に原燃料(例えば、都市ガス)を供給する原燃料供給装置(燃料ガスポンプを含む)14と、前記燃料電池モジュール12に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置(空気ポンプを含む)16と、前記燃料電池モジュール12に水を供給する水供給装置(水ポンプを含む)18と、前記燃料電池モジュール12の発電量を制御する制御装置20とを備える。
【0029】
燃料電池モジュール12は、複数の固体酸化物形の燃料電池22が鉛直方向(又は水平方向)に積層される固体酸化物形の燃料電池スタック24を備える。燃料電池22は、例えば、安定化ジルコニア等の酸化物イオン導電体で構成される電解質26の両面に、カソード電極28及びアノード電極30が設けられた電解質・電極接合体(MEA)32を備える。
【0030】
電解質・電極接合体32の両側には、カソード側セパレータ34とアノード側セパレータ36とが配設される。カソード側セパレータ34には、カソード電極28に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス流路38が形成されるとともに、アノード側セパレータ36には、アノード電極30に燃料ガスを供給する燃料ガス流路40が形成される。なお、燃料電池22としては、従来より使用されている種々のSOFCを用いることができる。
【0031】
燃料電池スタック24には、各酸化剤ガス流路38の入口側に一体に連通する酸化剤ガス入口連通孔42a、前記酸化剤ガス流路38の出口側に一体に連通する酸化剤ガス出口連通孔42b、各燃料ガス流路40の入口側に一体に連通する燃料ガス入口連通孔44a、及び前記燃料ガス流路40の出口側に一体に連通する燃料ガス出口連通孔44bとが設けられる。
【0032】
燃料電池モジュール12は、炭化水素を主体とする原燃料と酸化剤ガスとの混合ガスを改質する部分酸化改質器(POX)45と、前記原燃料と水蒸気との混合ガスを改質する水蒸気改質器(SR)46と、水を蒸発させるとともに、水蒸気を前記水蒸気改質器46に供給する蒸発器48と、燃焼ガスとの熱交換により酸化剤ガスを昇温させるとともに、前記燃料電池スタック24に前記酸化剤ガスを供給する熱交換器50と、前記燃料電池スタック24から排出される前記燃料ガスである燃料排ガスと前記酸化剤ガスである酸化剤排ガスとを燃焼させ、前記燃焼ガスを発生させる排ガス燃焼器52とを備える。
【0033】
燃料電池モジュール12は、基本的には、燃料電池スタック24とFC周辺機器56とにより構成される。このFC周辺機器56は、部分酸化改質器45、水蒸気改質器46、蒸発器48、熱交換器50及び排ガス燃焼器52を備えるとともに、後述するように、前記水蒸気改質器46、前記熱交換器50及び前記排ガス燃焼器52間には、排ガス用の配管を設けていない。
【0034】
FC周辺機器56では、熱交換器50内には、排ガス燃焼器52が一体に設けられるとともに、水蒸気改質器46は、前記熱交換器50の一端に隣接して設けられる。
【0035】
図2及び図3に示すように、熱交換器50は、立位姿勢に配置されており、後述するように、酸化剤ガスを鉛直下方向から鉛直上方向に流通させる。水蒸気改質器46は、立位姿勢に配置されており、改質ガスを鉛直下方向から鉛直上方向に流通させる。熱交換器50の一方の側部(一端)には、水蒸気改質器46が直接装着される。水蒸気改質器46及び熱交換器50(排ガス燃焼器52を含む)は、水平方向(矢印A方向)に積層される。
【0036】
熱交換器50及び水蒸気改質器46の下方には、蒸発器48、部分酸化改質器45及び都市ガス(原燃料)中に含まれる硫黄化合物を除去するための脱硫器58が配設される。
【0037】
水蒸気改質器46は、都市ガス(原燃料)中に含まれるエタン(C)、プロパン(C)及びブタン(C10)等の高級炭化水素(C2+)を、主としてメタン(CH)、水素、COを含む燃料ガスに水蒸気改質するための予備改質器であり、数百℃の作動温度に設定される。
【0038】
燃料電池22は、作動温度が数百℃と高温であり、アノード電極30では、燃料ガス中のメタンが改質されて水素、COが得られ、この水素、COが電解質26の前記アノード電極30側に供給される。
【0039】
部分酸化改質器45は、都市ガス(原燃料)中に含まれるエタン(C)、プロパン(C)及びブタン(C10)等の高級炭化水素(C2+)を、主として水素、COを含む燃料ガスに部分酸化改質するための予備改質器であり、数百℃の作動温度に設定される。
【0040】
図1に示すように、脱硫器58の入口には、原燃料供給装置14を構成する原燃料通路60aが接続されるとともに、前記脱硫器58の出口には、原燃料供給路60bが接続される。この原燃料供給路60bは、部分酸化改質器45の混合ガス入口61aに連通する一方、前記部分酸化改質器45の燃料ガス出口61bに連通する燃料ガス管路60cは、水蒸気改質器46の混合ガス供給室(混合ガス入口)62aに接続される。
【0041】
図2及び図3に示すように、混合ガス供給室62aは、複数の改質管路64の下端側に連通するとともに、前記改質管路64の上端側に燃料ガス排出室(燃料ガス出口)62bが連通する。燃料ガス排出室62bには、燃料ガス通路66の一端が連通するとともに、前記燃料ガス通路66の他端が燃料電池スタック24の燃料ガス入口連通孔44aに連通する(図1参照)。各改質管路64には、改質用にペレット状の触媒(図示せず)が充填、又は、粒子状の触媒(図示せず)が担持されている。
【0042】
各改質管路64間には、加熱空間68が形成される。この加熱空間68には、排ガス配管70aの一端が開口される一方、図1に示すように、前記排ガス配管70aの他端は、蒸発器48の加熱路72の入口に接続される。蒸発器48の加熱路72の出口には、排気配管70bが接続される。
【0043】
蒸発器48の水入口73aには、水供給装置18を構成する水通路74aが接続され、この水通路74aを流通する水は、加熱路72に沿って流通する排ガスにより加熱され、水蒸気が発生する。蒸発器48の水蒸気出口73bには、水蒸気管路74bの一端が接続されるとともに、前記水蒸気管路74bの他端は、燃料ガス管路60cに対して部分酸化改質器45の下流の位置に合流する。なお、合流部位には、例えば、エゼクタ(図示せず)が配設され、燃料ガス管路60cを原燃料(又は改質ガス)が流通することにより、水蒸気管路74bから前記燃料ガス管路60cに水蒸気が吸引される。
【0044】
図3に示すように、熱交換器50は、下部側に酸化剤ガス供給室76aが設けられるとともに、上部側に酸化剤ガス排出室76bが設けられる。酸化剤ガス供給室76aと酸化剤ガス排出室76bとには、複数の酸化剤ガス管路78の両端が連通する。
【0045】
酸化剤ガス供給室76aには、第1酸化剤ガス供給路80aの一端が配設される。酸化剤ガス排出室76bには、酸化剤ガス通路82の一端が配設されるとともに、前記酸化剤ガス通路82の他端は、燃料電池スタック24の酸化剤ガス入口連通孔42aに接続される(図1参照)。
【0046】
熱交換器50の内部には、複数の酸化剤ガス管路78が収容された空間からなるとともに、排ガス燃焼器52を構成する燃焼室84が形成される。燃焼室84は、燃料ガス(具体的には、燃料排ガス)と酸化剤ガス(具体的には、酸化剤排ガス)との燃焼反応により、酸化剤ガスを昇温させる熱源として機能する。
【0047】
燃焼室84には、酸化剤ガス排出室76b側から酸化剤排ガス通路86の一端と燃料排ガス通路88の一端とが配置される。図1に示すように、酸化剤排ガス通路86の他端は、燃料電池スタック24の酸化剤ガス出口連通孔42bに接続されるとともに、燃料排ガス通路88の他端は、前記燃料電池スタック24の燃料ガス出口連通孔44bに接続される。
【0048】
図3に示すように、水蒸気改質器46と熱交換器50との間には、壁板(壁部)90が配設される。水蒸気改質器46のフランジ部92と熱交換器50のフランジ部94との間に、壁板90が挟持されるとともに、これらが複数のボルト96及びナット97により一体的に固定される。壁板90には、熱交換器50の燃焼室84に発生した燃焼ガスを、水蒸気改質器46の加熱空間68に供給するための開口部98が形成される。
【0049】
図1に示すように、酸化剤ガス供給装置16は、酸化剤ガスを酸化剤ガス通路100から熱交換器50と部分酸化改質器45とに、すなわち、第1酸化剤ガス供給路80aと第2酸化剤ガス供給路80bとに、分配する酸化剤ガス調整弁(酸化剤ガス分配機構)102を備える。第2酸化剤ガス供給路80bは、原燃料供給路60bに対し、脱硫器58と部分酸化改質器45との間に位置して連通する。
【0050】
制御装置20は、燃料電池スタック24への要求出力に応じて前記燃料電池スタック24に供給される燃料ガスの炭素量を決定する炭素量決定部110と、水蒸気改質器46の温度及び蒸発器48の温度を検知する温度検知部112と、前記水蒸気改質器46の温度に基づいて、水蒸気/炭素(S/C)比の範囲を決定するS/C決定部114と、前記炭素量と前記水蒸気/炭素比とに基づいて、前記蒸発器48への水供給量の範囲を決定する水供給量決定部116と、前記蒸発器48の温度が前記水供給量の範囲に基づいて設定された温度であるか否かを判断する蒸発器作動状態判断部118と、前記蒸発器作動状態判断部118の判断結果に基づいて、前記水蒸気改質器46及び部分酸化改質器45を制御する改質器制御部120と、部分酸化改質器45の改質準備を行うか否かを判断する改質準備判断部122とを備える。
【0051】
改質器制御部120は、蒸発器48の温度が水供給量の範囲に基づいて設定された温度であると判断された際、水蒸気改質器46を制御する水蒸気改質器制御部124と、前記蒸発器48の温度が前記水供給量の範囲に基づいて設定された温度ではないと判断された際、部分酸化改質器45を制御する部分酸化改質器制御部126とを備える。
【0052】
このように構成される燃料電池システム10の動作について、図4以降のフローチャートに沿って、以下に説明する。
【0053】
先ず、燃料電池システム10の起動時には、酸化剤ガス調整弁102の開度が設定される(ステップS1)。具体的には、部分酸化改質に必要な空気(酸化剤ガス)及び原燃料、例えば、都市ガス(CH、C、C、C10を含む)等が投入されるように(ステップS2)、原燃料供給装置14が駆動されるとともに、酸化剤ガス調整弁102の開度が調整される。部分酸化改質の制御は、空燃比(O/C)(投入空気中の酸素モル数/投入原燃料中のカーボンモル数)により行われ、部分酸化改質器45には、空気と原燃料とが最適空燃比量で導入される。
【0054】
原燃料供給装置14では、原燃料通路60aに供給された原燃料が、脱硫器58で脱硫された後、原燃料供給路60bを流通して部分酸化改質器45の混合ガス入口61aに供給される。一方、酸化剤ガス供給装置16では、酸化剤ガス通路100に供給された空気は、酸化剤ガス調整弁102を介して第1酸化剤ガス供給路80aと第2酸化剤ガス供給路80bとにそれぞれ所定の量ずつ分配される。第2酸化剤ガス供給路80bに分配された空気は、原燃料供給路60bで原燃料に混合されて部分酸化改質器45の混合ガス入口61aに供給される。
【0055】
このため、部分酸化改質器45による部分酸化改質が開始される(ステップS3)。例えば、O/C=0.5に設定されると、2CH+O→4H+2COとなる部分酸化反応が発生する。この部分酸化反応は、発熱反応であり、部分酸化改質器45から高温(約600℃)の還元ガスが発生する。
【0056】
高温の還元ガスは、図2及び図3に示すように、燃料ガス管路60cを通って水蒸気改質器46の混合ガス供給室62aに供給された後、複数の改質管路64内を下端側から上端側に移動する。そして、高温の還元ガスは、一旦燃料ガス排出室62bに供給された後、燃料ガス通路66を介して燃料電池スタック24の燃料ガス入口連通孔44aに供給される(図1参照)。
【0057】
燃料電池スタック24では、高温の還元ガスは、燃料ガス流路40を流通した後、燃料ガス出口連通孔44bから燃料排ガス通路88に排出される。このように、部分酸化改質器45から発生した高温の還元ガスにより、水蒸気改質器46及び燃料電池スタック24が加温される。
【0058】
一方、燃料排ガス通路88は、図3に示すように、排ガス燃焼器52を構成する燃焼室84に開口しており、前記燃焼室84に燃料ガスが導入される。燃焼室84では、還元ガス(燃料ガス)と酸化剤ガスとが、図示しないイグナイターやグロー等の着火装置により着火されて燃焼ガスが発生する(ステップS4)。
【0059】
燃焼室84に発生した燃焼ガスは、熱交換器50を加温するとともに、第1酸化剤ガス供給路80aから供給される空気を加温する。さらに、燃焼ガスは、壁板90に形成された開口部98を介して水蒸気改質器46の加熱空間68に移動する。これにより、水蒸気改質器46が加温される。加熱空間68には、排ガス配管70aが配設されており、この排ガス配管70aは、蒸発器48の加熱路72に連通している。このため、燃焼ガスは、蒸発器48を昇温させた後、排気配管70bから排出される。
【0060】
次いで、ステップS5に進んで、水蒸気改質器46が設定温度T1以上であり、且つ蒸発器48が設定温度T2以上であるか否かが判断される。設定温度T1は、例えば、550℃であり、設定温度T2は、例えば、150℃である。水蒸気改質器46が設定温度T1以上であり、且つ蒸発器48が設定温度T2以上であると判断されると(ステップS5中、YES)、ステップS6に進む。
【0061】
このステップS6では、部分酸化改質反応から水蒸気改質反応に移行させるために、酸化剤ガス調整弁102の開度が調整されるとともに、水供給装置18が駆動される。酸化剤ガス調整弁102の開度調整により、第2酸化剤ガス供給路80bへの空気の供給が停止される一方、第1酸化剤ガス供給路80aから熱交換器50に供給される空気量が増量される。従って、部分酸化改質器45には、原燃料のみが供給されるため、部分酸化反応が惹起されず、前記原燃料は、燃料ガス管路60cに供給される。
【0062】
その際、水供給装置18では、蒸発器48に水が供給される。蒸発器48で蒸発された水は、水蒸気管路74bから燃料ガス管路60cに供給され、原燃料と混合されて混合ガス供給室62aに供給される。
【0063】
図2及び図3に示すように、混合ガス供給室62aに供給された原燃料と水蒸気との混合ガスは、複数の改質管路64内を下端側から上端側に移動する。その間に、混合ガスは、加熱空間68に導入された燃焼ガスにより加熱されるとともに、ペレット状の触媒を介して水蒸気改質され、C2+の炭化水素が除去(改質)されてメタンを主成分とする改質ガス及び、CH+HO→3H+COとなる水蒸気改質反応が発生する(ステップS7)。
【0064】
この改質ガスは、加熱された燃料ガスとして、一旦燃料ガス排出室62bに供給された後、燃料ガス通路66を介して燃料電池スタック24の燃料ガス入口連通孔44aに供給される(図1参照)。
【0065】
燃料電池スタック24では、加熱された燃料ガスは、燃料ガス流路40を流通した後、燃料ガス出口連通孔44bから燃料排ガス通路88に排出される。燃料排ガス通路88は、図3に示すように、排ガス燃焼器52を構成する燃焼室84に開口しており、前記燃焼室84に燃料ガスが導入される。
【0066】
一方、酸化剤ガス供給装置16では、酸化剤ガス調整弁102を介して第1酸化剤ガス供給路80aに空気が供給され、この空気は、熱交換器50の酸化剤ガス供給室76aに導入される。
【0067】
図3に示すように、酸化剤ガス供給室76aに導入された空気は、複数の酸化剤ガス管路78内を下端側から上端側に移動する間に、燃焼室84に導入された燃焼ガスにより加熱(熱交換)される。加熱された空気は、一旦酸化剤ガス排出室76bに供給された後、酸化剤ガス通路82を介して燃料電池スタック24の酸化剤ガス入口連通孔42aに供給される(図1参照)。
【0068】
燃料電池スタック24では、加熱された空気は、酸化剤ガス流路38を流通した後、酸化剤ガス出口連通孔42bから酸化剤排ガス通路86に排出される。酸化剤排ガス通路86は、図3に示すように、排ガス燃焼器52を構成する燃焼室84に開口しており、前記燃焼室84に空気が導入される。
【0069】
上記のように、燃料電池スタック24は、加熱された空気及び加熱された燃料ガスが流通することにより、昇温される。そして、ステップS8に進んで、燃料電池スタック24が発電可能な状態であるか否かが判断される。具体的には、燃料電池22のOCV(開回路電圧)が測定され、前記OCVが所定の値に至った際、燃料電池スタック24の発電が可能であると判断する(ステップS8中、YES)。これにより、燃料電池スタック24は、発電が開始される(ステップS9)。
【0070】
燃料電池スタック24の発電時は、上記の起動時と同様に、空気が酸化剤ガス流路38を流通する一方、燃料ガスが燃料ガス流路40を流通する。従って、各燃料電池22のカソード電極28に空気が供給されるとともに、アノード電極30に燃料ガスが供給され、化学反応により発電が行われる。
【0071】
反応に使用された空気(未反応の空気を含む)は、酸化剤排ガスとして酸化剤排ガス通路86に排出される。また、反応に使用された燃料ガス(未反応の燃料ガスを含む)は、燃料排ガスとして燃料排ガス通路88に排出される。酸化剤排ガス及び燃料排ガスは、排ガス燃焼器52に送られて燃焼される。排ガス燃焼器52内では、燃料ガスの自己着火温度を超えると、燃焼室84で空気と燃料ガスとによる燃焼が開始される。
【0072】
次いで、燃料電池システム10による負荷変動運転の動作について、図5のフローチャートに沿って、以下に説明する。
【0073】
先ず、燃料電池スタック24への要求出力に基づいて、炭素量決定部110により燃料ガスの炭素量Cが決定された後(ステップS101)、ステップS102に進む。このステップS102では、温度検知部112が、図示しない温度センサにより、水蒸気改質器46の温度T及び蒸発器48の温度Tを検知する。
【0074】
ステップS103では、S/C決定部114が、水蒸気改質器46の温度Tに基づいて、水蒸気/炭素(S/C)比の範囲を決定する。図6に示すように、水蒸気/炭素比は、理論値(1.0)以上で且つ水蒸気供給限界領域以下のS/C領域に設定される。水蒸気改質器46の温度Tは、触媒反応限界領域と触媒耐熱限界領域との間の温度領域に設定される。さらに、上記のS/C領域及び温度領域から炭素析出領域を除外した領域内に設定される。
【0075】
次に、ステップS104に進んで、水供給量決定部116は、炭素量Cと水蒸気/炭素比とに基づいて、蒸発器48への水供給量Qの範囲を決定する。そして、ステップS105に進み、蒸発器作動状態判断部118は、蒸発器48の温度Tが、決定された水供給量Qの範囲に基づいて設定された温度T範囲であるか否かを判断する。図7に示すように、水供給量Qと蒸発器48の温度Tとの関係は、蒸発器ラインとして予め設定されており、前記蒸発器ライン上でのこれらの交点が蒸発器作動領域内にあるか否かが判断される。
【0076】
ステップS105では、蒸発器作動状態判断部118は、蒸発器48の温度Tが、決定された水供給量Qの範囲に基づいて設定された温度T範囲であると判断すると(ステップS105中、YES)、ステップS106に進む。ステップS106では、改質準備判断部122は、部分酸化改質器45の改質準備を行うか否かを判断する。
【0077】
一方、蒸発器48の温度Tが、決定された水供給量Qの範囲に基づいて設定された温度T範囲でないと判断すると(ステップS105中、NO)、ステップS107に進む。このステップS107では、改質器制御部120を構成する部分酸化改質器制御部126により部分酸化改質器45が制御され、部分酸化改質反応による処理が遂行される。
【0078】
ステップS106では、部分酸化改質器45の改質準備を行うと判断された際(ステップS106中、YES)、ステップS108に進む。このステップS108では、改質器制御部120を構成する水蒸気改質器制御部124により水蒸気改質器46が制御され、水蒸気改質反応による処理が遂行される。さらに、ステップS109に進んで、部分酸化改質器制御部126により部分酸化改質器45が制御され、部分酸化改質反応による処理が遂行される。
【0079】
また、部分酸化改質器45の改質準備を行わないと判断された際(ステップS106中、NO)、ステップS110に進む。このステップS110では、水蒸気改質器制御部124により水蒸気改質器46が制御される。
【0080】
この場合、本実施形態では、図1に示すように、燃料電池モジュール12は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池22を複数積層した燃料電池スタック24と、炭化水素を主体とする原燃料と酸化剤ガスとの混合ガスを改質する部分酸化改質器45と、前記原燃料と水蒸気との混合ガスを改質する水蒸気改質器46と、水を蒸発させるとともに、水蒸気を前記水蒸気改質器46に供給する蒸発器48とを備えている。
【0081】
そして、制御装置20は、燃料電池スタック24への要求出力に応じて前記燃料電池スタック24に供給される燃料ガスの炭素量を決定する炭素量決定部110と、水蒸気改質器46の温度及び蒸発器48の温度を検知する温度検知部112と、前記水蒸気改質器46の温度に基づいて、水蒸気/炭素比の範囲を決定するS/C決定部114と、前記炭素量と前記水蒸気/炭素比とに基づいて、前記蒸発器48への水供給量の範囲を決定する水供給量決定部116と、前記蒸発器48の温度が前記水供給量の範囲に基づいて設定された温度であるか否かを判断する蒸発器作動状態判断部118と、前記蒸発器作動状態判断部118の判断結果に基づいて、前記水蒸気改質器46及び前記部分酸化改質器45を制御する改質器制御部120とを備えている。
【0082】
このため、燃料ガス、水蒸気改質器46、蒸発器48、水蒸気/炭素比及び水供給量Qの状況に応じて、高効率な前記水蒸気改質器46と起動性及び応答性に優れる部分酸化改質器45とを良好に使い分けることができる。従って、燃料電池モジュール12は、高効率の機能と起動性及び応答性の機能とを両立させることが可能になる。
【0083】
しかも、燃料電池スタック24の負荷変動等により、水蒸気改質器46の作動範囲を超えるおそれがある場合にも、部分酸化改質器45により補うことができる。これにより、負荷変動に追従することが可能になるとともに、改質不足に起因する燃料枯渇を抑制することができ、燃料電池モジュール12の耐久性が良好に向上する。
【0084】
また、改質器制御部120は、蒸発器48の温度Tが水供給量Qの範囲に基づいて設定された温度であると判断された際、水蒸気改質器46を制御する水蒸気改質器制御部124と、前記蒸発器48の温度Tが前記水供給量Qの範囲に基づいて設定された温度ではないと判断された際、部分酸化改質器45を制御する部分酸化改質器制御部126とを備えている。
【0085】
このため、蒸発器48の温度Tが、水供給量Qの範囲に基づいて設定された温度である際には、高効率な水蒸気改質器46を使用することができる。従って、燃料電池モジュール12の高効率化が容易に図られる。
【0086】
一方、蒸発器48の温度Tが、水供給量Qの範囲に基づいて設定された温度でない際には、起動性及び応答性に優れる部分酸化改質器45を使用することが可能になる。これにより、燃料電池モジュール12の起動性及び応答性が良好に向上する。
【0087】
さらに、制御装置20は、蒸発器48の温度Tが水供給量Qの範囲に基づいて設定された温度であると判断された際、部分酸化改質器45の改質準備を行うか否かを判断する改質準備判断部122を備えている。このため、水蒸気改質器46の作動範囲を超えるおそれがある場合にも、部分酸化改質器45により補うことができる。従って、負荷変動に追従することが可能になるとともに、改質不足に起因する燃料枯渇を抑制することができ、燃料電池モジュール12の耐久性が良好に向上する。
【0088】
さらにまた、燃料電池モジュール12は、固体酸化物形燃料電池モジュールである。このため、特にSOFC等の高温型の燃料電池22に最適である。
【符号の説明】
【0089】
10…燃料電池システム 12…燃料電池モジュール
14…原燃料供給装置 16…酸化剤ガス供給装置
18…水供給装置 20…制御装置
22…燃料電池 24…燃料電池スタック
26…電解質 28…カソード電極
30…アノード電極 38…酸化剤ガス流路
40…燃料ガス流路 45…部分酸化改質器
46…水蒸気改質器 48…蒸発器
50…熱交換器 52…排ガス燃焼器
56…FC周辺機器 58…脱硫器
60a…原燃料通路 60b…原燃料供給路
60c…燃料ガス管路 61a…混合ガス入口
61b…燃料ガス出口 62a…混合ガス供給室
62b…燃料ガス排出室 64…改質管路
66…燃料ガス通路 68…加熱空間
70a…排ガス配管 70b…排気配管
72…加熱路 73a…水入口
73b…水蒸気出口 74a…水通路
74b…水蒸気通路 76a…酸化剤ガス供給室
76b…酸化剤ガス排出室 78…酸化剤ガス管路
80a、80b…酸化剤ガス供給路 82、100…酸化剤ガス通路
84…燃焼室 86…酸化剤排ガス通路
88…燃料排ガス通路 90…壁板
98…開口部 102…酸化剤ガス調整弁
110…炭素量決定部 112…温度検知部
114…S/C決定部 116…水供給量決定部
118…蒸発器作動状態判断部 120…改質器制御部
122…改質準備判断部 124…水蒸気改質器制御部
126…部分酸化改質器制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池モジュール及び制御装置を備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池モジュールは、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池を複数積層した燃料電池スタックと、
炭化水素を主体とする原燃料と酸化剤ガスとの混合ガスを改質する部分酸化改質器と、
前記原燃料と水蒸気との混合ガスを改質する水蒸気改質器と、
水を蒸発させるとともに、前記水蒸気を前記水蒸気改質器に供給する蒸発器と、
を備え、
前記制御装置は、前記燃料電池スタックへの要求出力に応じて該燃料電池スタックに供給される前記燃料ガスの炭素量を決定する炭素量決定部と、
前記水蒸気改質器の温度及び前記蒸発器の温度を検知する温度検知部と、
前記水蒸気改質器の温度に基づいて、水蒸気/炭素比の範囲を決定するS/C決定部と、
前記炭素量と前記水蒸気/炭素比とに基づいて、前記蒸発器への水供給量の範囲を決定する水供給量決定部と、
前記蒸発器の温度が前記水供給量の範囲に基づいて設定された温度であるか否かを判断する蒸発器作動状態判断部と、
前記蒸発器作動状態判断部の判断結果に基づいて、前記水蒸気改質器及び前記部分酸化改質器を制御する改質器制御部と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池システムにおいて、前記改質器制御部は、前記蒸発器の温度が前記水供給量の範囲に基づいて設定された温度であると判断された際、前記水蒸気改質器を制御する水蒸気改質器制御部と、
前記蒸発器の温度が前記水供給量の範囲に基づいて設定された温度ではないと判断された際、前記部分酸化改質器を制御する部分酸化改質器制御部と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃料電池システムにおいて、前記制御装置は、前記蒸発器の温度が前記水供給量の範囲に基づいて設定された温度であると判断された際、前記部分酸化改質器の改質準備を行うか否かを判断する改質準備判断部を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、前記燃料電池モジュールは、固体酸化物形燃料電池モジュールであることを特徴とする燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−234664(P2012−234664A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101252(P2011−101252)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】