説明

燃焼タービンエンジンにおけるディフューザに関連するシステム及び装置

【課題】吐出ディフューザを提供する。
【解決手段】本吐出ディフューザは、前方セクション(101)及びダンプ空洞(110)を含み、前方セクション(101)は、圧縮機からの吐出をダンプ空洞(110)に導くように構成され、本吐出ディフューザはさらに、前方セクション(101)の半径方向内側流路を形成した内側ディフューザ壁(102)と、前方セクション(101)の半径方向外側流路を形成した外側ディフューザ壁(104)とを含み、また本吐出ディフューザは、内側ディフューザ壁(102)の後方リップ(113)にオーバハング段部(116)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書で使用する場合にはかつ特にそうでないことを記載していない限り、総括的にはガスタービンエンジン、航空機エンジン及びその他を含むあらゆるタイプの燃焼タービン又は回転エンジンを含むことを意図したタービンディフューザ設計に関する。
より具体的には、それに限定されないが、本出願は、ロバストなディフューザ及びCDC性能をもたらすタービンディフューザ設計に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、タービンエンジンは、圧縮機を含み、圧縮機は、高度に加圧した空気を燃焼器に供給して燃料と共に燃焼させるようにする。得られた燃焼器からの高温ガスの流れは、タービンを駆動し、タービンにより仕事を取出すことができる。タービンエンジンは、共通のシャフト又はロータによって下流のタービンに機械的に結合された軸流圧縮機を有しかつ燃焼器が圧縮機及びタービン間に位置するように構成することができる。空気は、比較的高い速度で圧縮機から流出し、また通常はディフューザを利用して、最初に加圧空気流の速度を低下させかつその後の圧力損失を最少にするようにする。ディフューザは、空気流を個別のディフューザ通路に分割するスプリッタベーンを含むことができる。ディフューザダンプ又は空洞は、ディフューザから空気流を受けかつそこでさらに減速させた後に、燃焼器を囲む環状チャネルに空気を導く。従来のものと同様に、圧縮機には、内側圧縮機吐出内側バレルと圧縮機吐出ケーシング(CDC)とが設けられる。CDCは、内側バレル及び第1段ノズルを相互連結する。
【0003】
ディフューザにおける損失及び乱流の主原因は、流れがディフューザダンプ空洞に流入する時における渦流発生である。ディフューザダンプ空洞は、最も高い拡散勾配を有していて、渦流形成を招く。流体流れが前方に移動すると、渦流が成長しかつディフューザの上流セクションと相互作用し始める。渦流成長により、ディフューザダンプ領域の上流の流体流れが持上げられまた高い損失が生じかつプレディフューザ及びCDC性能の低下が引き起こされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5737915号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その結果、渦流を捕捉(トラップ)しかつディフューザのダンプ空洞内でのその成長を阻止して、従って全体損失を減少させかつロバストなディフューザ性能を保証する改良型のシステム及び装置に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本出願は、吐出ディフューザについて記述しており、本吐出ディフューザは、前方セクション及びダンプ空洞を含み、前方セクションは、圧縮機からの吐出をダンプ空洞に導くように構成され、本吐出ディフューザはさらに、上流セクションの半径方向内側流路を形成した内側ディフューザ壁と、上流セクションの半径方向外側流路を形成した外側ディフューザ壁とを含み、また本吐出ディフューザは、内側ディフューザ壁の後方リップにオーバハング段部を含む。
【0007】
本出願はさらに、吐出ディフューザについて記述しており、本吐出ディフューザは、圧縮機からの圧縮機吐出をダンプ空洞に導くように構成された前方セクションを含み、前方セクションは、内側ディフューザ壁及び外側ディフューザ壁を含み、外側ディフューザ壁は、外向きにフレアしてそこを通る拡大流路を形成し、ダンプ空洞は、上流セクションの下流に位置した増大ボリュームの領域を含み、ダンプ空洞は、燃焼器の少なくとも一部分を囲むように構成され、また本吐出ディフューザは、内側ディフューザ壁の後方リップにオーバハング段部を含み、オーバハング段部は、後方リップから半径方向内向きかつ上流方向に傾斜した段部壁を含み、段部壁は、内側ディフューザ壁の一部分をアンダカットする。
【0008】
本出願のこれらの及びその他の特徴は、図面及び特許請求の範囲と関連させてなした好ましい実施形態の以下の詳細な説明を精査することにより明らかになるであろう。
【0009】
本発明のこれらの及びその他の特徴は、添付図面と関連させてなした本発明の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を注意深く検討することによって、一層完全に理解されかつ評価されることになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本出願の実施形態による渦流トラップ又はオーバハング段部を含む、燃焼タービンエンジンにおける燃焼器用の例示的な吐出ディフューザを示す図。
【図2】本出願の別の実施形態による渦流トラップ又はオーバハング段部を含む、例示的な吐出ディフューザを示す図。
【図3】本出願の例示的な実施形態による渦流トラップ又はオーバハング段部の様々な部分の例示的な寸法を示す図。
【図4】従来型のディフューザ内の流体流れパターンを示す図。
【図5】本出願の例示的な実施形態による渦流トラップ又はオーバハング段部を有する吐出ディフューザ内の流体流れパターンを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
初期重要事項として、本出願の発明を明確に伝えるために、燃焼タービンエンジンの特定の部分又は機械構成要素に言及しかつそれらを記述する用語を選択することが必要となる。可能な場合には常に、その通義と一致するように一般的産業用語を使用しかつ採用することにする。しかしながら、あらゆるそのような用語は、広義の意味が与えられるべきでありかつ本明細書で意図した意味及び特許請求の範囲の技術的範囲が不当に限定されるように狭義に解釈されるべきではないことを意図している。特定の構成要素は多くの場合に幾つかの異なる用語を使用して表現することができることは、当業者には分かるであろう。加えて、本明細書で単一(シングル)部品として記述することができるものは、別の情況では幾つかの構成要素部品を含みかつそれら構成要素部品からなるものとして説明することができ、或いは本明細書で複数構成要素部品として記述することができるものは、単一部品に形成しかつ幾つかのケースでは単一部品と呼ぶことができる。従って、本明細書に説明する本発明の技術的範囲を理解する際には、提示した用語及び説明だけでなく、本明細書に示した構成要素の構造、構成、機能及び/又は用途にも注意を払われたい。
【0012】
さらに、本明細書で使用する場合に、「下流」及び「上流」というのは、タービンを通る作動流体の流れに対する方向を示す用語である。従って、「下流」という用語は、作動流体の流れの方向にほぼ対応する方向を意味し、また「上流」という用語は、ほぼ作動流体の流れの方向と反対である方向を意味する。「後方」及び「前方」という用語は、タービンエンジン内における相対位置を記述するのに使用することができる。圧縮機は一般的に、タービンエンジンの「前方」側に位置するものとして表現され、一方、タービンセクションは、「後方」側に位置することが分かるであろう。従って、本明細書で使用する場合に、「前方」というのは、圧縮機により近接した位置を記述しており、また「後方」というのは、タービンにより近接した位置を記述している。「半径方向」という用語は、軸線に対して垂直な運動又は位置を意味する。この「半径方向」という用語は、多くの場合、軸線に関して異なる軸方向位置にある部品を記述するのに必要である。このケースでは、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線に近接して存在する場合に、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向内側に」又は「内側寄りに」あると記述することができる。他方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線から遠くに存在する場合には、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向外側に」又は「外側寄りに」あると記述することができる。「軸方向」という用語は、軸線に平行な運動又は位置を意味する。最後に、「円周方向」という用語は、軸線の周りでの運動又は位置を意味する。
【0013】
図1は、本出願の例示的な実施形態による渦流トラップ又はオーバハング段部を含む、燃焼タービンエンジンにおける例示的な圧縮機吐出ディフューザ100を示している。吐出ディフューザ100は、圧縮機(図示せず)からの加圧流体を燃焼器(図示せず)に導くことができる。一般的に、タービンエンジンにおける空気は、比較的高い速度で圧縮機から流出しかつディフューザ100に流入し、ディフューザ100において次に、減速される。
【0014】
図1において矢印で示すように、加圧流体は最初に、吐出ディフューザ100の前方セクション101に流入する。前方セクション101は、内側ディフューザ壁102と外側ディフューザ壁104とを含むことができる。外側ディフューザ壁104は、外向きにフレアして、ディフューザ壁102、104が前方セクション101を通る拡大流路を形成し、それにより流入加圧空気を減速させることが分かるであろう。さらに、環状スプリッタベーン105を含むことができる(図示するように)。
【0015】
スプリッタベーン105は、吐出ディフューザ100の前方セクション101を2つの通路、つまり第1の通路106及び第2の通路108に分割し、これら2つの通路は、圧縮機吐出(流体)をダンプ空洞110に導く。(図1〜図3には、ダンプ空洞110の一部分のみを図示しており、一方、図4及び図5には、ダンプ空洞110の付加的区域を図示している。)本開示の一部の実施例では、吐出ディフューザ100は、任意の数のスプリッタベーンを含むことができ、或いはそれに代えて、スプリッタベーンがない状態で単一の拡大環状通路を含むことができる。
【0016】
一般的に、吐出ディフューザ100は、ダンプ空洞110を含み、ダンプ空洞110は、前方セクション101から空気流(矢印で示す)を受ける。ダンプ空洞110内で空気は、燃焼器を囲む環状チャネル内に導かれることが分かるであろう。図1には、内側ディフューザ壁102及び外側ディフューザ壁104の後方終端ポイントのほぼ下流に位置した増大ボリュームの領域として、ダンプ空洞110を示している。ダンプ空洞110は、該ダンプ空洞110の半径方向内側境界を形成した内側空洞壁112を含むことができ、また上述したように、ダンプ空洞110は、燃焼器の少なくとも一部分を囲むことができる。ダンプ空洞110は、著しく高い拡散勾配を有しており、この高い拡散勾配は一般的に、運転中に一つ又は複数の渦流(図示せず)の形成を招く。そのような渦流の形成が損失及び乱流の主原因であり、これがエンジンの効率に悪影響を与えることは、当業者には分かるであろう。一般的に、流体流れが下流に移動すると、渦流が成長しかつ吐出ディフューザ100の上流セクション101と相互作用し始めて、更なる効率低下を引き起こす。
【0017】
内側ディフューザ壁102は、後方リップ113で終端する。本明細書で使用する場合に、後方リップ113は、図1及び図2に示すように、内側ディフューザ壁102の下流又は後方終端ポイントである。幾つかの実施形態では、内側ディフューザ壁102は、図示するように、後方リップ113の直ぐ前方に配置された移行段部116を含むことができる。後方リップ113は、吐出ディフューザ100の前方セクション101からダンプ空洞110への移行ポイントになることが分かるであろう。図4に示すような従来型の設計では、この位置に半径方向段部が設けられ、この段部は、半径方向にほぼ整列した段部を有する状態になっている。
【0018】
本出願の実施形態によると、吐出ディフューザ100は、下記でさらに説明するように渦流を最少にするか又はトラップ(捕捉)し或いはこの領域内での渦流の成長を阻止するオーバハング段部116を含む。オーバハング段部116は一般的に、図1〜図3の断面図に示すように、半径方向内向きかつ上流方向に傾斜し、それによって内側ディフューザ壁102の後方部分をアンダカットした段部壁118を含む。より具体的には、オーバハング段部116は、内側ディフューザ壁102の後方リップ113における開始ポイントから内側寄り方向成分及び軸方向上流方向成分の両方を含む方向に傾斜した段部壁118を含む。段部壁118は、その一端で内側ディフューザ壁102に連結し、その他端で前方端縁部(本明細書でダンプ空洞前方端縁部117と呼ぶ位置)における内側空洞壁112に連結する。本出願の実施形態によると、ダンプ空洞前方端縁部117の軸方向位置は、後方リップ113の軸方向位置の前方であることが分かるであろう。言うまでもなく、オーバハング段部116を形成しているのは、この構成であり、これが次に、エンジンの運転時にディフューザ100による渦流の形成を減少させる流れダイナミックスを生じさせる。
【0019】
段部壁118は、図示するように平面とすることができ、また断面図では、特に図3に示す半径方向基準線との間でほぼ角度306を形成する。本明細書で使用する場合に、この角度は、段部壁角度306と呼ぶことにする。従来のものでは、段部壁118は、上述したように半径方向基準線と整列しており、従って段部壁角度306は、ほぼ0°である。他の従来型の構成(図示せず)では、段部壁118は、半径方向基準線との間で正の角度を形成しており、この正の角度というのは、本明細書で使用する場合には該段部壁118が半径方向内向きかつ後方方向に傾斜している構成を意味している。しかしながら、本出願で教示するものでは、段部壁118は、半径方向基準線との間で負の角度を形成しており、この負の角度というのは、上述したように、オーバハング又はアンダカットを形成する。特定の段部壁角度306又は一定の範囲内の段部壁角度306を有する構成は、性能の強化をもたらすことが明らかになった。例えば、1つの好ましい実施形態では、段部壁角度306は、約−20°〜−60°の範囲を含む。より好ましくは、段部壁角度306は、約−30°〜−50°の範囲を含む。幾つかの出願では、理想的な段部壁角度306は、約−40°を含む。下記により詳細に説明するように、段部壁118の傾斜は、渦流の成長を阻止しかつ渦流がディフューザ100の前方セクション101内の流体と相互作用するのを防止する渦流トラップを形成する。
【0020】
内側ディフューザ壁102の後方リップ113は、幾つかの好ましい構成を含むことができる。1つの構成では、図1に示すように、後方リップ113は、滑らかな円形端縁部を有することができる。別の好ましい実施形態では、図2に示すように、後方リップ113は、鋭角端縁部を有することができる。さらに別の好ましい実施形態では、図3に示すように、後方リップ113は、ほぼ半径方向に整列した平坦表面を含む。これらの後方リップ113の代替形態は、渦流を捕捉しかつ空気力学的損失を減少させるのに有効であることが検証された。後方リップ113のこれらの説明した構成は好ましい実施形態を表しているが、その他の構成も実施可能であることが分かるであろう。
【0021】
好ましい実施形態では、図示するように段部壁118と内側空洞壁112との間に形成された連結部の形状は、円形フィレット領域を含む。理解されるように、これは、応力集中を防止することができる。その他の構成もまた、実施可能である。
【0022】
さらに、流れパターンの実験及びコンピュータモデル化により、特定の寸法が渦流形成を制御する又は制限するのにその他より特に有効であることが明らかになった。図3は、ディフューザ100内の例示的な渦流トラップ300の様々な部分の例示的な寸法を説明するのに役立つ。例えば、オーバハング段部116の半径方向高さ312は、約4〜6インチとすることができる。より好ましくは、この半径方向高さ312は、約4.4インチとすることができる。幾つかの実施形態では、移行段部114と後方リップ113との間の距離302は、約3.5〜4.5インチとすることができる。より好ましくは、この距離302は、約4インチとすることができる。幾つかの実施形態では、後方リップ113の平坦端縁部の高さ304(図3参照)は、約0〜1インチとすることができる。より好ましくは、この高さ304は、約0.5インチとすることができる。幾つかの実施形態では、段部壁118と内側空洞壁112との間に形成された弓形の半径308は、約0.5〜2インチとすることができる。より望ましくは、この半径308は、約1インチとすることができる。さらに、移行段部114の高さ310は、約0.2〜1インチとすることができる。より好ましくは、高さ310は、およそ0.5インチとすることができる。上記の寸法は、渦流(図示せず)の成長による全体損失を最少にしかつ渦流の上流流体流れとの相互作用を制限するのに最適である。これらの寸法は用途に応じて変更することができることまたそれらの寸法は単に好ましい実施の方法のみを表していることが、分かるであろう。
【0023】
図4は、従来型のディフューザ400内の流体流れパターン及びその実験結果を示している。従来型のディフューザ400は、それらを通して加圧流体が矢印で示すようにダンプ空洞110に移動する第1の通路106及び第2の通路108を含む。ほぼ半径方向に配向された段部壁を有する段部402は、内側ディフューザ壁102を該内側ディフューザ壁102に対して内側寄りになったダンプ空洞110の内側空洞壁112に連結する。ダンプ空洞110は、最も高い拡散勾配を有していて渦流発生を招く。渦流404(影付き領域によって表している)は、流体がダンプ空洞110に流入すると段部402に近接して形成される。渦流404は、流体が下流に移動しかつ従来型のディフューザ400の前方セクション内の流体と相互作用し始めると成長する。ダンプ空洞110内で逆流する流体流れは、ほぼ垂直な壁である段部402を上昇し、その結果上流流れと相互作用しかつ渦流400の更なる成長を助ける。この相互作用は図4において見ることができ、図4では流体は第2の通路108に流入している状態で示している。この渦流404の成長により、ダンプ空洞110の上流の流れが持上げられて、大きい損失が生じかつプレディフューザ及びCDC性能の低下が引き起こされる。
【0024】
図5は、本出願の実施形態によるディフューザ100内の流体流れパターン及びその実験結果を示している。上述したように、第1の脚部118は、半径方向内向きかつ上流方向に傾斜して、該第1の脚部118が内側ディフューザ壁102の一部分をアンダカットするようにすることができる。さらに、後方リップ113は、ダンプ空洞前方端縁部117に対して後方にある軸方向位置を有することができる。図5は、段部壁118に近接近して形成された、緩和された渦流502を示している。段部壁118の傾斜は、ダンプ空洞110内に渦流トラップを形成して、緩和された渦流502の成長を阻止しかつディフューザ100の前方セクション101との該渦流の相互作用を防止する。図5は、第2の通路108と大きな相互作用を有する図4における渦流404と比較して、緩和された渦流502が第2の通路108とは実質的に無関係であることを示している。この比較は、ディフューザ100のこの設計が緩和された渦流502の成長を防止することができかつ該緩和された渦流502を上流流体流れと実質的に無関係にすることができる状態になることを示している。
【0025】
ディフューザ100のこの設計はまた、トランジションピース504にわたる均一な流れ分布を可能にしかつホットスポットの形成を防止する。得られた流れ領域は、全体損失を減少させかつディフューザ100の性能を向上させる。緩和された渦流502を抑制することにより、性能に悪影響を与えずに圧縮機における均一な流れプロフィールを有するという厳しい要求から開放される。CDCにおける損失の減少によりまた、圧縮機又は燃焼器設計時におけるより高い損失マージンが可能になって大きな性能及び経済的利点を得ることができる。
【0026】
表1は、従来型のディフューザ400性能をディフューザ100の性能と比較している。圧縮機の第14ステータ(S14)において設定したS14における翼形部とCDCとの間における異なる漏洩レベルを有する4つのシナリオが考えられる。S14における0.3%漏洩が、本実施例における設計ポイントである。圧力損失は以下の式1で求められる。
【0027】
【表1】

一般的に、そのような低レベルの漏洩を一様に維持するのに、大きな努力が払われていることに注目されたい。ディフューザ100における損失の減少は、圧縮機及び燃焼器設計時において幾らかの自由度を与えることができかつさらに漏洩レベルを維持するための厳しい要件を緩和することができる。
【0028】
表1は、ディフューザ100が従来型のディフューザ400に比較して渦流成長による圧力損失を減少させることを示している。特許請求の範囲に記載したディフューザ設計により、設計ポイントにおいてだけでなく様々な運転条件にわたってロバストな性能が得られることに注目されたい。従って、本開示の実施形態によるディフューザ100は、渦流成長を制止しかつ上流流れの渦流との相互作用を制限して、ディフューザ及びCDC性能の大幅な向上をもたらす。
【0029】
当業者には分かるように、幾つかの例示的な実施形態に関して上述した多くの様々な特徴及び構成は、本発明の他の実施可能な実施形態を形成するようにさらに選択的に適用することができる。簡潔にするためにまた当業者の能力を考慮して、実施可能な反復形態の全てを示し又は詳細に論じていないが、幾つかの特許請求項又はその他に包含される全ての組合せ及び実施可能な実施形態は、本出願の一部であることを意図している。加えて、本発明の幾つかの例示的な実施形態の上記の説明から、当業者は、その改良、変更及び修正に気付くであろう。当技術の範囲内のそのような改善、変更及び修正もまた、特許請求の範囲によって保護されることを意図している。さらに、上述の説明は本出願の記載した実施形態のみに関するものであること、並びに提出した特許請求の範囲及びその均等物によって定まる本出願の技術思想及び技術的範囲から逸脱することなく、本明細書において多くの変更及び修正を行なうことができることは明らかであろう。
【符号の説明】
【0030】
100 圧縮機吐出ディフューザ
101 前方セクション
102 内側ディフューザ壁
104 外側ディフューザ壁
105 環状スプリッタベーン
106 第1の通路
108 第2の通路
110 ダンプ空洞
112 内側空洞壁
113 後方リップ
114 移行段部
116 オーバハング段部
118 段部壁
117 段部空洞前方端縁部
300 渦流トラップ
302 幅
304 平坦端縁部の高さ
306 角度
307 半径方向軸線
308 半径
310 高さ
312 半径方向距離
400 従来型のディフューザ
402 段部
404 渦流
500 流体流れパターン
502 緩和された渦流
504 トランジションピース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、燃焼器及びタービンを備えた燃焼タービンエンジンにおける吐出ディフューザであって、
前方セクション(101)及びダンプ空洞(110)を含み、
前記前方セクション(101)が、前記圧縮機からの吐出を前記ダンプ空洞(110)に導くように構成され、
該吐出ディフューザが、
前記前方セクション(101)の半径方向内側流路を形成した内側ディフューザ壁(102)と、
前記前方セクション(101)の半径方向外側流路を形成した外側ディフューザ壁(104)と、をさらに含み、
該吐出ディフューザが、前記内側ディフューザ壁(102)の後方リップ(113)にオーバハング段部(116)を含む、
吐出ディフューザ。
【請求項2】
前記外側ディフューザ壁(104)が、外向きにフレアして、前記内側ディフューザ壁(102)及び該外側ディフューザ壁(104)が拡大流路を形成するようになっており、
前記後方リップ(113)が、前記内側ディフューザ壁(102)の下流終端ポイントを含み、
前記ダンプ空洞(110)が、前記前方セクション(101)のフレアした内側及び外側ディフューザ壁(102、104)の下流に位置した増大ボリュームの領域を含み、また
前記ダンプ空洞(110)が、前記燃焼器の少なくとも一部分を囲むように構成される、
請求項1記載の吐出ディフューザ。
【請求項3】
前記オーバハング段部(116)が、前記前方セクション(101)の後方リップ(113)から前記ダンプ空洞(110)の内側空洞壁(112)まで延びる段部壁(118)を含み、
前記内側空洞壁(112)が、前記ダンプ空洞(110)の半径方向内側境界を含む、
請求項1記載の吐出ディフューザ。
【請求項4】
前記段部壁(118)が、前記内側ディフューザ壁(102)の後方リップ(113)における開始ポイントから内側寄り方向成分及び軸方向上流方向成分の両方を含む方向に傾斜した半径方向段部を含む、請求項3記載の吐出ディフューザ。
【請求項5】
前記オーバハング段部(116)が、前記後方リップ(113)から半径方向内向きかつ上流方向に傾斜した半径方向段部を含み、該半径方向段部が、前記内側ディフューザ壁(102)の一部分をアンダカットする、請求項3記載の吐出ディフューザ。
【請求項6】
前記ダンプ空洞(110)が、該ダンプ空洞(110)の半径方向内側境界を形成した内側空洞壁(112)を含み、また
前記オーバハング段部(116)が、前記内側ディフューザ壁(102)を前記内側空洞壁(112)に連結した段部壁(118)を含む、
請求項1記載の吐出ディフューザ。
【請求項7】
前記内側空洞壁(112)が、前記内側ディフューザ壁(102)に対して内側寄りである位置を含み、
前記オーバハング段部(116)の半径方向高さが、その大きさだけ前記内側空洞壁(112)が記内側ディフューザ壁(102)の内側寄りになった距離を含み、また
前記段部壁(118)が、その一端部において前記後方リップ(113)における前記内側ディフューザ壁(102)に連結しかつその他端部においてダンプ空洞前方端縁部(117)における前記内側空洞壁(112)に連結する、
請求項6記載の吐出ディフューザ。
【請求項8】
前記オーバハング段部(116)が、前記後方リップ(113)が前記ダンプ空洞前方端縁部(117)の軸方向位置に対して後方である軸方向位置を含むように構成される、請求項7記載の吐出ディフューザ。
【請求項9】
前記段部壁(118)が、ほぼ平面形状を含み、
段部壁角度(306)が、前記段部壁(118)の平面と半径方向配向基準線との間に形成された角度を含み、また
前記オーバハング段部(116)が、前記段部壁角度(306)が20〜60°の範囲を含むように構成される、
請求項8記載の吐出ディフューザ。
【請求項10】
前記段部壁(118)が、ほぼ平面形状を含み、
段部壁角度(306)が、前記段部壁(118)の平面と半径方向配向基準線との間に形成された角度を含み、また
前記オーバハング段部(116)が、前記段部壁角度(306)が30〜50°の範囲を含むように構成される、
請求項8記載の吐出ディフューザ。
【請求項11】
前記後方リップ(113)が、円形端縁部、鋭角端縁部及び半径方向整列平坦端縁部の1つを含み、また
前記ダンプ空洞前方端縁部(117)が、フィレット付き端縁部を含む、
請求項8記載の吐出ディフューザ。
【請求項12】
前記オーバハング段部(116)の半径方向高さが、4〜6インチを含み、
前記オーバハング段部(116)の半径方向高さが、前記内側ディフューザ壁(102)上に設置された移行段部(114)をさらに含み、
前記内側ディフューザ壁(102)上に設置された前記移行段部(114)と前記後方リップ(113)との間の距離が、3.5〜4.5インチを含み、また
前記移行段部(114)の半径方向高さが、約0.5インチを含む、
請求項8記載の吐出ディフューザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−31855(P2012−31855A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162667(P2011−162667)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】