説明

燃焼設備からの燃料の固形の燃殻を取り扱い、処理するための設備

【課題】 この発明は、燃焼設備からの燃料の固形の燃殻を取り扱い、処理するための設備に関する。
【解決手段】 この設備は、燃焼設備の灰排出ホッパー(2)の下側に配置され、水溜まり(3)を備えた少なくとも一つの収容コンテナ(1)を有する。収容コンテナ(1)内の水溜まりの上には、灰排出ホッパーから排出された燃料の燃殻を細かく砕くための破砕機(4)が配置されている。収容コンテナ(1)には、水圧により運搬するための装置(5)が接続されており、この装置は、収容コンテナ(1)からの水と燃料の燃殻から成る懸濁液を、固形物を分離するための分離装置(6)に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃焼設備からの燃料の固形の燃殻を取り扱い、処理するための設備に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼設備において、石炭、褐炭、コークスなどの化石燃料や、例えば、生ゴミなどのその他の固形燃料を燃焼させた場合、スラグ又は灰とも称される燃料の固形の燃殻が発生する。周知の措置の枠組みにおいては、灼熱の灰を収容するために、湿式灰除去装置が配備されており、その中で、温度が約500〜600°Cに成る可能性が有る灰を水で消火している。この湿式灰除去装置は、長く延びた収容コンテナを有し、そのコンテナは、水溜まりを備えており、燃焼設備の大抵は複数有る灰排出ホッパーの開口部の下に配置されている。それは、循環するチェーンを用いたコンベヤ装置を有し、そのコンベヤ装置は、灰排出ホッパーから排出された燃料の燃殻を収容して、盛り上がった投棄場所まで運んでいる。コンベヤ装置のチェーンは、激しく酷使されており、相当消耗する。更に、湿式灰除去装置の内面は、磨耗し難いライニングを必要としている。その保守作業と故障時の修理は、手間がかかる。従って、実際には多くの場合、湿式灰除去装置の保守・修理作業は、燃焼設備の動作を停止させることとなる。
【特許文献1】特開2006−300516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の背景にもとづき、この発明の課題は、燃料の燃殻を搬出、取り扱うための保守の容易な設備を提示することである。特に、灰排出ホッパーの下に配置された設備部分の交換が問題無く実施可能であるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の対象とこの課題の解決策は、請求項1に記載の燃焼設備からの燃料の固形の燃殻を取り扱い、処理するための設備である。この設備は、燃焼設備の灰排出ホッパーの下側に配置され、水溜まりを備えた少なくとも一つの収容コンテナを有する。水溜まりの上の収容コンテナ内には、灰排出ホッパーから排出された燃料の燃殻を細かく砕くための破砕機が配置されている。この破砕機の空間には、水が撒かれている。更に、収容コンテナには、水圧により運搬するための装置が接続されており、その装置は、収容コンテナからの水と燃料の燃殻から成る懸濁液を、固形物を分離するための分離装置に供給する。燃焼設備が複数の灰排出ホッパーを有する場合、各灰排出ホッパーは、破砕機及び燃料の燃殻と水から成る懸濁液を水圧により運搬するための装置を有する別個の収容コンテナに割り当てられる。この水圧により運搬するための装置の配管は、有利には、全体的又は部分的に柔軟なチューブ管として実現される。複数の収容コンテナから取り出された懸濁液の流れは、固形物を分離するための共通の分離装置に供給することができる。分離装置から流れ出るほぼ固形物の無い液体は、収容コンテナに戻されて、これらの収容コンテナに配分される。
【0005】
灰排出ホッパーと収容コンテナとの間には、有利には、スライダーが配置される。このスライダーを閉じることによって、燃焼設備の運転を中断すること無く、保守又は修理作業のために収容コンテナを切り離して、好適な代替機器と交換することができる。この発明の目的に適うこととして、収容コンテナは、レール上で移動可能な形に配置されており、保守のために、対応する灰排出ホッパーの下の作業領域とその作業領域から間隔を開けた第二の位置の間を移動させることが可能となっている。
【0006】
水溜まりの上に有る収容コンテナのコンテナ部分に配置された破砕機は、水圧により固体成分を運ぶことができる程度にまで、灰排出ホッパーから排出されたスラグを細かく砕く。破砕機の入口領域には、円形に延びるノズル配管を用いて、水が撒かれる。有利には、破砕機は、細かく砕かれた後の固形物の粒径が、0〜50mmとなるように設計される。この発明の目的に適うこととして、破砕機は、ロールクラッシャーである。しかし、その他の実施形態を排除するものではない。
【0007】
灰排出ホッパーは、収容コンテナと気密に接続することができる。有利には、破砕機の下に、水溜まりに浸された漏斗を配置する。灰排出ホッパーは、この発明の目的に適うこととして、圧力調整機構を備えている。圧力を調整するために、水面の上の収容コンテナの囲い板領域には、圧力調整用パイプが取り付けられ、その結果場合によっては起こる爆燃時での圧力調整が保証される。
【0008】
収容コンテナからポンプで排出された懸濁液は、固形物を分離するための分離装置に供給される。有利には、分離装置は、シェーキングスクリーンを有する。細かい固形物の分離後、濾過された液体は、収容コンテナに戻すことが可能である。濾し採られた残滓は、残留湿度が典型的には約30%以下の水分を除去された生成物であり、サイロ内に貯蔵することできるとともに、特殊な車両を用いること無く運搬することが可能である。この生成物は、例えば、土木工事において、特に、建材への添加物として商業的に使用することができる。
【0009】
別の有利な実施形態は、シェーキングスクリーンが、二つの並んで、或いは重ねて配置された濾床を有し、それらの濾床の一方が、粗いスクリーンを備え、他方の濾床が、細かいスクリーンを備えるものと規定する。粗いスクリーンと細かいスクリーンを通過した物は、ポンプを用いて、液体サイクロンに供給される。粗いスクリーンと細かいスクリーンで濾し採られた残滓は、粒径が異なる水分を除去された灰生成物として商業的に使用可能である。液体サイクロンの上流からの液体の流れは、ほぼ固形物が無く、再び収容コンテナに戻される。液体サイクロンの下流からの固形物が多い懸濁液の流れは、シェーキングスクリーンに供給することができる。広範囲に閉じた液体の循環が出来上がり、その結果基本的には、水分を除去され濾し採られた残滓の撤去分と関連した液体の損失分だけを補償すれば良いこととなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下においては、唯一つの実施例を図示した図面にもとづき、この発明を説明する。
【0011】
図面に図示した設備は、複数の互いに独立した収容コンテナ1を有し、それらのコンテナは、燃焼設備の下に配置され、それぞれ燃焼設備の灰排出ホッパー2に割り当てられている。これらの収容コンテナ1の各々は、水溜まり3を有するとともに、水溜まり3の上のコンテナ部分に配置された、灰排出ホッパー2から排出された燃料の燃殻を細かく砕くための破砕機4を備えている。破砕機の空間には、水が撒かれ、その水は、有利には、円形に延びたノズル配管を用いて供給される。収容コンテナ1には、水圧により運搬するための装置5が接続されており、その装置は、収容コンテナ1からの水と燃料の燃殻から成る懸濁液を、固形物を分離するための分離装置6に供給するものである。液体は、固形物を分離された後、収容コンテナ1に戻される。
【0012】
灰排出ホッパー2と収容コンテナ1は、気密に接続されている。破砕機4の下には、水溜まり3に浸された漏斗14が配置されている。収容コンテナ1の囲い板には、場合によっては起こる爆燃の際の周囲に対する圧力調整を保証するための圧力調整用パイプ15が接続されている。
【0013】
灰排出ホッパー2と収容コンテナ1の間には、それぞれスライダー7が配置されている。収容コンテナ1又はそれに付属する装置の保守作業が必要となった場合、スライダー7を閉じる。その後で、燃焼設備の運転を停止すること無く、収容コンテナ1を灰排出ホッパー2から切り離すことができる。図2から、収容コンテナ1が、レール8上で移動可能な形に配置されており、保守のために、対応する灰排出ホッパーの下の作業領域Iとこの作業領域から間隔を開けた第二の地点IIとの間を移動することが可能であることが分かる。そして、事前に準備した収容コンテナ1’を作業地点Iに移動させて、灰排出ホッパー2と接続することができる。
【0014】
破砕機4は、例えば、ロールクラッシャーとして構成され、対応する灰排出ホッパー2から排出されたスラグを、水溜まり内の固形物を懸濁液として水圧で運ぶことができる程度にまで細かく砕く。この発明の目的に適うこととして、破砕機4は、固形物の粒径が、0〜50mmとなるように設計される。実施例では、破砕機4は、水溜まり3の上のコンテナ部分に配置されており、破砕機の空間は、リングチューブを用いて、水を撒かれている。実施例では、収容コンテナ1は、異物、例えば、鉄片を濾し採るための粗いスクリーン9を内部に有する。粗いスクリーン9のスクリーン面は、傾斜して配置されており、その結果場合によっては発生する残った異物を下方の端部に集めて、時折容易に取り出すことができる。この実施例では、粗いスクリーン9は、二重のスクリーンとして構成されており、二つの重なって配置されたスクリーン面を有する。この構成によって、金属線の効果的な分離も可能である。
【0015】
分離装置6は、この実施例では、二つの並んで、或いは重ねて配置された濾床10,10’を備えたシェーキングスクリーンから構成される。これらの濾床の一方は、粗いスクリーン10を備え、他方の濾床は、細かいスクリーン10’を備えている。濾し採られた残滓として、異なる篩分率で相当に水分を除去された灰生成物が生じ、それらは、例えば、土木工事において、建材への添加物として商業的に使用することができる。粗いスクリーン10と細かいスクリーン10’の網目を通過した物は、ポンプを用いて、液体サイクロン11に供給され、この液体サイクロンは、その液体の流れを、サイクロンの上流でのほぼ固形物の無い液体の流れ12と液体サイクロンの下方端部で取り出される懸濁液の流れ13に分離する。懸濁液の流れ13は、再びシェーキングスクリーンに投入される。サイクロンの上流に生じるほぼ固形物の無い液体12は、収容コンテナ1に戻される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】燃焼設備からの燃料の固形の燃殻を取り扱い、処理するための設備
【図2】図1のAから見た図
【図3】図1に図示された設備の断面を図1と比べて拡大した図
【符号の説明】
【0017】
1 収容コンテナ
1’ 事前に準備した収容コンテナ
2 灰排出ホッパー
3 水溜まり
4 破砕機
5 水圧により運搬するための装置
6 分離装置
7 スライダー
8 レール
9 収容コンテナ1の粗いスクリーン
10 分離装置6の粗いスクリーン
10’ 分離装置6の細かいスクリーン
11 液体サイクロン
12 ほぼ固形物の無い液体
13 懸濁液の流れ
14 漏斗
15 圧力調整用パイプ
A 見る方向
I 灰排出ホッパーの下の作業領域
II 作業領域Iから間隔を開けた第二の地点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼設備の灰排出ホッパー(2)の下側に配置され、水溜まり(3)を備えた少なくとも一つの収容コンテナ(1)を有する、燃焼設備からの燃料の固形の燃殻を取り扱い、処理するための設備であって、
収容コンテナ(1)内の水溜まり(3)の上には、灰排出ホッパー(2)から排出された燃料の燃殻を細かく砕くための破砕機(4)が配置されるとともに、この破砕機の空間は、水を撒かれており、
収容コンテナ(1)には、水圧により運搬するための装置(5)が接続されており、この装置は、収容コンテナ(1)からの水と燃料の燃殻から成る懸濁液を、固形物を分離するための分離装置(6)に供給するものである設備。
【請求項2】
灰排出ホッパー(2)と収容コンテナ(1)との間に、スライダー(7)が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の設備。
【請求項3】
破砕機(4)の下には、水溜まり(3)に浸された漏斗(14)が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の設備。
【請求項4】
灰排出ホッパー(2)と収容コンテナ(1)が、気密に接続されていることと、収容コンテナ(1)が、圧力調整機構を備えていることとを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の設備。
【請求項5】
収容コンテナ(1)は、レール(8)上で移動可能な形に配置されており、保守のために、対応する灰排出ホッパーの下の作業領域(I)とその作業領域から間隔を開けた第二の地点(II)との間を移動することが可能であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の設備。
【請求項6】
燃焼設備の各灰排出ホッパー(2)が、破砕機(4)及び燃料の燃殻と水から成る懸濁液を水圧により運搬するための装置(5)を備えた別個の収容コンテナ(1)に割り当てられていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の設備。
【請求項7】
分離装置(6)が、シェーキングスクリーンを有することと、液体サイクロン(11)を使用して、細かい固形物を分離した後の濾過した液体を収容コンテナ(1)に戻すことが可能であることとを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の設備。
【請求項8】
当該のシェーキングスクリーンが、二つの並んで、或いは重ねて配置された濾床を有し、これらの濾床の一方が、粗いスクリーン(10)を備え、他方の濾床が、細かいスクリーン(10’)を備えていることと、このシェーキングスクリーンには、網目を通過した物を液体サイクロン(11)に供給するための、ポンプを備えた再循環装置が接続されていることを特徴とする請求項7に記載の設備。
【請求項9】
液体サイクロン(11)は、当該の液体の流れを、このサイクロンの上流でのほぼ固形物の無い液体の流れ(12)と、この液体サイクロンの下方端部で取り出される懸濁液の流れ(13)とに分離し、懸濁液の流れ(13)が、当該のシェーキングスクリーンに供給することが可能であり、このサイクロンの上流が、収容コンテナ(1)と接続されていることを特徴とする請求項8に記載の設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−198725(P2007−198725A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8970(P2007−8970)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507018861)シャウエンブルク・マシイネン−ウント・アンラーゲン−バウ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】