説明

片側裏面コンタクト太陽電池用誘電体コーティング

片側裏面コンタクト太陽電池で使用される誘電体コーティング材系が開示される。前記材系は、シリコンベースの太陽電池の同一面上において、相反する極性の電極同士を電気的に絶縁する役目をし、且つ、チタン及びリンを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池に使用される誘電体コーティング材及びその使用方法と工程に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、通常、太陽光を有用な電気エネルギーに変換するシリコン(Si)のような半導体材料から製造される。太陽電池コンタクトは一般的にSiの薄ウェハから作られ、このウェハでは、リン(P)を好適なリン源からP型Siウェハへと拡散させることによって、必要とされるPN接合が形成される。太陽光の反射損失を防ぐため、通常、シリコンウェハの太陽光が入射する側は、反射防止膜(ARC)で覆われている。このARCが太陽電池効率を増大させる。前面コンタクト(front contact)として知られる二次元の電極グリッドパターンはシリコンのn側に接続し、主にアルミニウム(Al)からなるコーティングは、前記シリコンのp側(裏面コンタクト;back contact)に接続している。さらに、銀もしくは銀−アルミニウムペーストからなる銀のリアコンタクト(rear contact)として知られるコンタクトを、シリコンのp側上に印刷及び焼成し、これによって、太陽電池モジュール内の一電池を隣接する電池に電気的に接続するタブのはんだ付けが可能となる。これらのコンタクトは、PN接合部から外部への電気的な出力路である。
【0003】
今日広く使用されている太陽電池設計は、太陽光を受光する前面付近に形成されるPN接合を有しており、光エネルギーが電池に吸収される際、前記PN接合によって電子流が生じる。従来の電池設計は、電池前面上にある第1の一連の電気コンタクトと、前記電池裏面上にある第2の一連の電気コンタクトとを有している。典型的な太陽光電池モジュールでは、これら個々の太陽電池を電気的に直列に相互接合させ、電圧を増加させている。一般的に、一太陽電池の前面と、それに隣接する別の太陽電池の裏面とを導電性リボンではんだ付けすることによって、前記の相互接合が行われる。
【0004】
従来のシリコン太陽電池と比べると、裏面コンタクトシリコン太陽電池には、複数の利点がある。その1つとして、裏面コンタクト電池は、コンタクト遮蔽損失(コンタクトグリッドからの反射太陽光は電気に変換されない)が減少もしくはは排除されるため、高い変換効率を有する点がある。別の利点は、導電型のコンタクトの双方が同一面上にあるため、裏面コンタクト電池を容易に電気回路に組み込むことができ、コストが低い点である。例えば、裏面コンタクト電池において、太陽光電池モジュールと太陽電池の電気回路とを一段階で密封することにより、現在の太陽光電池モジュールに比べて、かなりのコスト削減が可能となる。裏面コンタクト電池の別の利点は、一様な外観を有するため、美的外観に優れた点である。例えば、建物一体型の太陽光発電システムや自動車用の太陽光発電サンルーフなど、用途によっては美的外観が重要となる。
【0005】
図1は、当該分野で周知の一般的な裏面コンタクト電池の構造を図示したものである。シリコン基板はn型もしくはp型であり得る。設計によっては、高濃度にドープされたエミッタの1つ(n++もしくはp++)を省略してもよい。また、高濃度にドープされたエミッタ同士を、リア面上で互いに直接接触させることができる。リア面の安定化処理により、リア面における光生成キャリア損失の低減が促進され、且つ、コンタクト間の非ドープ面の分流による電気損失低減が促進される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、裏面コンタクト太陽電池において、極性が相反する電極同士を分離するのに有用な誘電体コーティング材系を対象とするものである。特に、本発明は、リンと、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される金属とを含む印刷可能な誘電体コーティング材系を包含する。前記材系は、約0.1〜約10重量%の金属を含む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
さらに、本発明は、シリコン基板の同一面上に配置されたn型導電性トレース及びp型導電性トレースと、前記n型導電性トレースを前記p型導電性トレースから電気的に絶縁する誘電体層とからなる太陽電池を包含するものであって、前記誘電体層は、リンと、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される金属とからなることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、裏面コンタクト太陽光電池の製造方法に関するものであって、前記方法は、リンを平面p型シリコン基板の前面に拡散させる段階と、前記リン拡散の上部及び前記基板の裏面上に、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される金属を含有する誘電体層を形成する段階と、間隙を有する第1の一連の溝を前記裏面にスクライブし、且つ前記基板に一連の穴を開け、第1の一連の溝の部分が前記の一連の穴に隣接するようビアを形成する段階と、前記ビア及び第1の一連の溝にリンを拡散する段階と、第1の一連の溝と互いにかみ合う、間隙を有する第2の一連の溝を形成する段階と、前記ビアと第1及び第2の一連の溝を金属化する段階と、第1及び第2の一連の溝の表面上の前記金属化物に対し、各々電気コンタクトを形成する段階とからなる。
【0009】
さらに、本発明は、太陽電池に使用する誘電体組成物の製造方法に関するものであり、前記方法は、液状のリン含有組成物を濾過する段階と、有機チタン化合物を分散剤と接触させ、前記有機チタン化合物を十分に湿潤させる段階と、前記リン含有化合物と、前記有機チタン化合物と、ビヒクル、界面活性剤、拡散剤、及び溶媒のうち少なくとも1つと、を合わせて混合し、誘電体ペースト混合物を形成する段階とからなる。いかなる点においても、本組成物を収容したり混合するために、金属器具は使用しない。
【0010】
本発明の別の実施形態は、太陽光電池であって、前記太陽光電池は、
(a)第一の導電型の半導体材料を含むウェハであって、前記ウェハは、
(i)第一受光面、及び前記第一受光面の反対側に位置する第二面、
(ii)前記ウェハの第一面上に位置し、リンと、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される金属とを含む第一保護層、
(iii)前記ウェハの第二面上に位置し、前記第一保護層と同じ金属とリンとを含み、前記ウェハの導電型と反対の導電型を有する第二保護層、
(iv)前記ウェハの第二面上に位置するポイントコンタクトを含む第一電気コンタクト、及び
(v)ポイントコンタクトを含み、前記ウェハの第二面上に位置し、且つ第一電気コンタクトから電気的に分離している第二電気コンタクトとからなることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、太陽電池の製造方法を包含するものであって、前記方法は、
(a)液状のリン含有組成物を調製する段階と、
(b)有機金属化合物を分散剤と接触させ、前記有機金属化合物を十分に湿潤させる段階と、
(c)前記リン含有組成物と、前記有機金属化合物と、ビヒクル、界面活性剤、及び溶媒のうち少なくとも1つとを合わせて混合し、誘電体ペースト混合物を形成する段階とからなり、
前記有機金属化合物は、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される金属を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の一実施形態は、太陽電池の製造方法に関するものであって、前記方法は、(a)リンと、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される約0.1〜約10重量%の金属とを含む、印刷可能な誘電体コーティング材系を調製する段階と、(b)前記誘電体材系を、シリコン基板の片面に塗布する段階と、(c)n型導電性ペーストを、前記誘電体ペースト混合物の第一部分に塗布する段階と、(d)前記誘電体ペースト混合物の第一部分と隣接しない第二部分に、p型導電性ペーストを塗布し、グリーン体を形成する段階と、(e)前記の各導電性ペーストを焼成して焼結させてn型導電性トレース及びp型導電性トレースをそれぞれ形成し、さらに、前記誘電体ペースト混合物を溶解して、前記n型導電性トレース及びp型導電性トレースの間に誘電体層を形成し、前記誘電体ペーストにより、前記n型導電性トレースと前記p型導電性トレースとが電気的に絶縁される段階とからなる。
【0013】
また、本発明の別の実施形態は、太陽電池の製造方法であって、前記方法は、リンと、約0.1〜約10重量%のチタンとを含む、印刷可能な誘電体コーティング材系を調製する段階と、前記誘電体材系を、シリコン基板の片面に塗布する段階と、n型導電性ペーストを、前記誘電体ペースト混合物の第一部分に塗布する段階と、p型導電性ペーストを、前記誘電体ペースト混合物の第二部分に塗布し、グリーン体を形成する段階と、前記グリーン体を焼成して前記各導電性ペーストを焼結させ、n型導電性トレース及びp型導電性トレースをそれぞれ形成させ、さらに、前記誘電体ペースト混合物を溶解して、前記n型導電性トレース及びp型導電性トレースの間に、誘電体層を形成させ、前記誘電体ペーストにより、前記n型導電性トレースと前記p型導電性トレースとが電気的に絶縁される段階とからなる。
【0014】
以下、本発明の前記及びその他の特徴をより詳細に説明し、特に請求の範囲に挙げる。下記の説明では、本発明の実例となる複数の実施態様を詳細に記載するが、これらは本発明の原理が使用される様々な方法の一部を示しているにすぎない。
【0015】
添付の図面は、略図であって縮尺通りではないが、本発明の1以上の実施形態を図示するものであり、本発明の原理を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】裏面上の特徴のみを強調した、一般的な裏面コンタクト太陽電池の説明図である。
【図2】p型基板に対するアルミニウム合金コンタクトを有する、本発明のEWT電池の横断面説明図である。穴(「ビア(via)」)に対して側面、且つグリッド線に対して垂直な図である。
【図3】本発明の一実施形態に沿った誘電体組成物を用いた太陽電池の一部の3次元部分切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願開示の本発明は、裏面コンタクト太陽電池の改良された製造方法及び工程を提供するものである。特に、本発明の方法及び工程は、より低コストでの製造、及びリア面コンタクト及びグリッドのより効率的な構成を提供する。多種多様な方法が開示されているが、当然のことながら、当業者においては、2つ以上の方法の組み合わせもしくは変更が可能であり、ゆえに、別のさらなる製造方法も提供される。また、本願の図面及び例となる工程順序は、裏面コンタクトを有するエミッタ・ラップ・スルー(EWT)電池の製造について述べているが、当然のことながら、裏面コンタクトシリコン太陽電池の製造には、複数の手段が存在する。それら手段としては、エミッタ・ラップ・スルーの他に、メタライゼーション・ラップ・アラウンド(metallization wrap around:MWA)、メタライゼーション・ラップ・スルー(metallization wrap through:MWT)、及び裏面接点(back−junction)構造などが挙げられる。上記製造方法を以下に説明する。
【0018】
MWA及びMWTでは、前面上に金属製の集電グリッドが設けられる。裏面コンタクト電池を製造するため、前記グリッドによって、それぞれ、その端部周辺が覆われているか、もしくは裏面への穴の内壁全体が覆われている。MWT及びMWA電池と比較すると、EWT電池独自の特徴は、電池の前側に金属による被覆がないことであり、すなわち、いかなる入射光も遮断されることがないため、より高い効率が得られる。EWT電池においては、ドープされた導電性チャネルを介して、シリコンウェハの前面からリア面に至るまで集電接点(「エミッタ」)で覆われている。「エミッタ」とは、半導体装置の高濃度にドープされた領域を言う。前記導電性チャネルは、例えば、レーザーを用いてシリコン基板に穴を開け、続いて、前記穴の内側にエミッタを形成させると同時に前面及びリア面上にもエミッタを形成することによって作ることができる。裏面接点電池は、そのリア面上に、負の極性の集電接点及び正の極性の集電接点両方ともを有している。光の多くは前面付近で吸収され、ひいてはキャリアの多くも前面付近で光生成されるため、裏面接点電池においては、キャリアが、前面から、集電接点を有する裏面へと拡散するのに十分な時間が得られるよう、高い材料品質が必要とされる。対して、EWT電池は、前面上に集電接点を保持しており、これは、高い集電効率において有利である。米国特許番号5,468,652で開示されるEWT電池が、参照することにより本願に組み込まれる。
【0019】
本願開示の発明とともに用いられ得る、裏面コンタクト太陽電池を用いたモジュールアセンブリ及び積層についてのその他の開示としては、米国特許番号5,951,786及び5,972,732が挙げられるが、両者は参照することにより本願に組み込まれる。米国特許番号6,384,316も参照により本願に組み込まれるものであるが、MWTを用いない、別の裏面コンタクト電池の設計を開示している。その設計とは、多少の間隔を有した穴もしくはビアと、リア面への電流伝導を促進するための前面上の金属コンタクトとを有し、さらに、穴が金属で裏打ちされていることを特徴としている。米国特許出願公開番号2007/0295399の裏面コンタクト及び太陽電池もまた、本願処方の用途に適しており、本願の誘電体材は、欧州特許出願EP1923906A1で開示されているのと同様に使用してもよい。これら両公報の全体は、参照することにより本願に組み込まれる。
【0020】
いかなる裏面コンタクトシリコン太陽電池の設計においても考慮すべき重要な事項は、負の極性のグリッド及び接点と、正の極性のグリッド及び接点とを電気的に絶縁しつつ、低コストの工程順序を開発することである。この技術的事項には、ドープ層のパターニング(存在する場合)、負極コンタクト領域及び正極コンタクト領域間の表面安定化、及び負の極性のコンタクトと正の極性のコンタクトの塗布が含まれる。
【0021】
本発明は、裏面コンタクト太陽電池において、極性が相反する電極同士を分離するのに有用な誘電体コーティング材系を対象とするものである。特に、本発明は、リンと、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される約0.1〜約10重量%の金属とを含む印刷可能な誘電体コーティング材系を包含する。好適には、前記金属は、前記材系の約0.2〜約5重量%、より好適には、0.3〜約2.5重量%である。
【0022】
さらに、本発明は、シリコン基板の同一面上に配置されたn型導電性トレース及びp型導電性トレースと、前記n型導電性トレースを前記p型導電性トレースから電気的に絶縁する誘電体層とからなる太陽電池を包含する。前記誘電体層は、リンと、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される金属とからなる。
【0023】
本発明の別の実施形態は、太陽光電池であって、前記太陽光電池は、
(a)第一の導電型の半導体材料を含むウェハであって、前記ウェハは、
(i)第一受光面、及び前記第一受光面の反対側に位置する第二面、
(ii)前記ウェハの第一面上に位置し、リンと、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される金属とを含む第一保護層、
(iii)前記ウェハの第二面上に位置し、前記第一保護層と同じ金属とリンとを含み、前記ウェハの導電型と反対の導電型を有する第二保護層、
(iv)前記ウェハの第二面上に位置するポイントコンタクトを含む第一電気コンタクト、及び
(v)ポイントコンタクトを含み、前記ウェハの第二面上に位置し、且つ第一電気コンタクトから電気的に分離している第二電気コンタクトとからなることを特徴とする。
【0024】
さらに、本発明の別の実施形態は、裏面コンタクト太陽光電池の製造方法に関するものであって、前記方法は、リンを平面p型シリコン基板の前面に拡散させる段階と、前記リン拡散の上部及び前記基板の裏面上に、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される金属を含有する誘電体層を形成する段階と、間隙を有する第1の一連の溝を前記裏面にスクライブし、且つ前記基板に一連の穴を開け、第1の一連の溝の部分が前記の一連の穴に隣接するようビアを形成する段階と、前記ビア及び第1の一連の溝にリンを拡散する段階と、第1の一連の溝と互いにかみ合う、間隙を有する第2の一連の溝を形成する段階と、前記ビアと第1及び第2の一連の溝を金属化する段階と、第1及び第2の一連の溝の表面上の前記金属化物に対し、各々電気コンタクトを形成する段階とからなる。
【0025】
本発明の別の実施形態は、太陽電池に使用される誘電体組成物の製造方法を包含するものであって、前記方法は、
(a)液状のリン含有組成物を調製する段階と、
(b)有機金属化合物を分散剤と接触させ、前記有機金属化合物を十分に湿潤させる段階と、
(c)前記リン含有組成物と、前記有機金属化合物と、ビヒクル、界面活性剤、及び溶媒のうち少なくとも1つとを合わせて混合し、誘電体ペースト混合物を形成する段階とからなり、
前記有機金属化合物は、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される金属を含むことを特徴とする。
【0026】
本発明の別の実施形態は、太陽電池の製造方法であって、前記方法は、(a)リンと、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される約0.1〜約10重量%の金属とを含む、印刷可能な誘電体コーティング材系を調製する段階と、(b)前記誘電体材系を、シリコン基板の片面に塗布する段階と、(c)n型導電性ペーストを、前記誘電体ペースト混合物の第一部分に塗布する段階と、(d)前記誘電体ペースト混合物の第一部分と隣接しない第二部分に、p型導電性ペーストを塗布し、グリーン体を形成する段階と、(e)前記の各導電性ペーストを焼成して焼結させてn型導電性トレース及びp型導電性トレースをそれぞれ形成し、さらに、前記誘電体ペースト混合物を溶解して、前記n型導電性トレース及びp型導電性トレースの間に誘電体層を形成し、前記誘電体ペーストにより、前記n型導電性トレースと前記p型導電性トレースとが電気的に絶縁される段階とからなる。前記グリーン体は、多層構造であってもよい。
【0027】
さらに、本発明は、太陽電池に使用する誘電体組成物の製造方法に関するものであり、前記方法は、液状のリン含有組成物を濾過する段階と、有機チタン化合物を分散剤と接触させ、前記有機チタン化合物を十分に湿潤させる段階と、前記リン含有組成物と、前記有機チタン化合物と、ビヒクル、界面活性剤、拡散剤、及び溶媒のうち少なくとも1つと、を合わせて混合し、誘電体ペースト混合物を形成する段階とからなる。いかなる点においても、本組成物を収容したり混合するために、金属器具は使用しない。
【0028】
本願開示の誘電体コーティング材系の主要成分をより詳細に記載する。重量及びその他の量は、全材系中の重量パーセントで示したものであり、未加工のペースト、すなわち、焼成前の量である。
【0029】
金属。本願の金属は、チタン、タンタル、もしくはニオブとすることができ、有機金属化合物の形態で提供してもよい。例えば、前記有機金属化合物は、金属エトキシド、金属2−エチルヘキソキシド、金属イソブトキシド、金属イソプロポキシド、金属メトキシド、金属n−ブトキシド、金属n−プロポキシド、もしくはその他有機金属化合物からなる群から選択してもよい。普通の金属形態の金属もしくは金属の酸化物を用いてもよいが、好ましくはない。前記したものの組み合わせも可能である。提供されるチタンの形態にかかわらず、前記材系は、約0.1〜約10重量%、好適には約0.2〜約5重量%、より好適には約0.3〜約2.5重量%の金属を含む。金属エトキシドが好ましい。
【0030】
リン。リンは、溶液状もしくは分散状で提供してもよい。リンは、リン酸エステルとして提供してもよく、特に、エトキシ化アルコールもしくはエトキシ化フェノールのリン酸エステル、もしくはより一般的には、アルコキシル化アルコールもしくはアルコキシル化フェノールのリン酸エステルであってもよい。前記アルコールもしくはフェノールは、オレイルアルコール、フェノール、ジノニルフェノール、ジデシルフェノール、及びそれらの組み合わせから選択可能である。さらに、適したリン酸エステルとしては、リン酸メトキシド、リン酸エトキシド、リン酸プロポキシド、リン酸ブトキシド、さらに、最大20の炭素原子を有するリン酸アルコキシドが挙げられる。その他の成分が存在してもよいが、好適な実施形態では、前記材系は、意図的に添加されたバリウムを含有しない。提供されるリンの形態にかかわらず、前記誘電体材系は、約0.1〜約5重量%、好適には約0.2〜約4重量%、より好適には約0.3〜約2.5重量%のリンを含む。
【0031】
有機物。本願の誘電体材系は、ビヒクル、溶媒、分散剤、拡散剤、及び湿潤剤のうち少なくとも1つを含む。
【0032】
ビヒクル。本願材系は、一般的には、溶媒中に溶解した樹脂の溶液、頻繁には、樹脂とチキソトロピー剤の両方を含有する溶媒溶液であるビヒクルもしくはキャリアを含み、ペーストを形成する。前記ペーストの有機部分は、(a)少なくとも約80重量%の有機溶媒、(b)最大約15重量%の熱可塑性樹脂、(c)最大約4重量%のチキソトロピー剤、及び(d)最大約2重量%の湿潤剤を含む。2種以上の溶媒、樹脂、チキソトロープ、及び/又は湿潤剤の使用も想定される。好適な実施形態において、適度な量の(a)〜(d)の上記成分が有機部分に存在する。
【0033】
エチルセルロースは、一般的に用いられる樹脂であるが、エチルヒドロキシエチルセルロース、ウッドロジン、エチルセルロースとフェノール樹脂の混合物、低級アルコールのポリメタクリレートとエチレングリコールモノアセテートのモノブチルエーテルの混合物、なども使用可能である。
【0034】
溶媒。常圧で約130℃〜約350℃の沸点を有する溶媒が好ましい。広く使用される溶媒としては、α−又はβ−テルピネオールのようなテルペン、もしくは、Dowanol(登録商標;ジエチレングリコールモノエチルエーテル)のような高沸点アルコール、又はそれらと、butyl Carbitol(登録商標;ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、dibutyl Carbitol(登録商標;ジエチレングリコールジブチルエーテル)、butyl Carbitol(登録商標)acetate(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)、ヘキシレングリコール、Texanol(登録商標;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)のような他の溶媒との混合物、並びにその他のアルコールエステル、ケロシン、及びフタル酸ジブチルが挙げられる。コンタクトを改善するため、ビヒクルは、例えば、アルミニウムもしくはホウ素をベースとする有機金属化合物を含有することができる。N−Diffusol(登録商標;ヘプタン中の五酸化リン含有エチレングリコールモノメチルエーテル)は、リン元素と同程度の拡散係数を持つn型拡散剤を含有する安定な液体製剤である。各用途に求められる所望の粘度や揮発性を得るため、これらと他の溶媒との様々な組み合わせが処方可能である。厚膜ペースト処方で一般的に使用される他の分散剤、界面活性剤、及び流動性改質剤が含まれていてもよい。このような製品の市販例としては、以下の商標にて販売されているものが挙げられる:Texanol(登録商標;Eastman Chemical Company、テネシー州キングスポート);Dowanol及びCarbitol(登録商標;Dow Chemical Co.、ミシシッピ州ミッドランド);Triton(登録商標;Union Carbide Division of Dow Chemical Co.、ミシシッピ州ミッドランド)、Thixatrol(登録商標;Elementis Company、ニュージャージー州ハイツタウン)、及びDiffusol(登録商標;Transene Co.Inc.、マサチューセッツ州ダンバー)。
【0035】
一般的に使用される有機チキソトロピー剤は、硬化ヒマシ油及びその誘導体である。チキソトロープは、懸濁液のせん断流動化能を有する溶媒においてのみ好適であるため、常に必要とされるものではない。また、湿潤剤としては、脂肪酸エステル、例えば、N−タロー−1,3−ジアミノプロパンジオレアート、N−タロートリメチレンジアミンジアセテート、N−ココトリメチレンジアミン、ベータジアミン類、N−オレイルトリメチレンジアミン、N−タロートリメチレンジアミン、N−タロートリメチレンジアミンジオレアート、及びそれらの組み合わせが用いられる。
【0036】
図2に示す通り、本発明に沿って製造される、Al合金コンタクトを有するEWT電池は、p型シリコンウェハ10を含み、好適には、実質的に、電池前面15の全体及び穴30の内壁の上に存在するn拡散層20を含む。EWT電池は、そのリア面のほとんどが高効率の拡散層20で覆われているため、高い変換効率を有している。n拡散層を貫通してp型シリコンベースとの接触を可能にする、高濃度にドープされたp型コンタクト90が、アルミニウム合金により形成される。アルミニウムもしくはアルミニウム合金は、共晶温度を超えた温度でシリコンと反応するのが好ましい。
【0037】
本願のチタン−リン誘電体組成物を含む誘電体層18は、表面を安定化させ、且つ反射防止コーティングを形成させるために、電池前面15上に配置されるが、前記誘電体層は、SiNのような窒化物であってもよい。リア面上には、n型コンタクト及びグリッド50を配置する。電流を電池端部に伝導するため、好適には銀を含む、印刷されたp型コンタクト及びグリッド70で、Al合金コンタクトを覆う。この場合、グリッド70は、前記n拡散層と電気的に絶縁していなければならない。この電気的絶縁は、好適には本発明の誘電体組成物を含む誘電体保護層80を用いることによって達成するのが好ましいが、前記誘電体保護層は、SiNのような窒化物であってもよい。p型コンタクト90は小さく作ることができ、それによって、電池の大部分が高効率のnpn構造を有することができる。p型コンタクト90が占める全リア面積の割合は、好適には30%未満であり、より好適には20%未満、もっとも好適には10%未満である。
【0038】
図3は、本発明の金属/リン誘電体材系の使用により利益を享受する太陽光電池100の一部の3次元部分切断図である。太陽光電池100は、p型結晶シリコンのウェハ500を含む。テクスチャライン510で示すように、ウェハ500の前面は、テクスチャ加工されている。ウェハ500は、本発明のチタン/リン誘電体材系の層からなる第一保護層150を前面上に有する。窒化ケイ素は単独で使用してもよく、また本発明の系に加えて使用してもよい。太陽光電池100は、第二保護層250を有しているが、前記第二保護層は、本発明のチタン/リン誘電体材系、もしくは窒化ケイ素からなり、ウェハ500と接して位置する。電池100は、層部分330及びポイントコンタクト350からなる第一電気コンタクト300を有している。明確にするため、1つのポイントコンタクト350のみを表示する。第一電気コンタクト300は、例えば、錫、又は、錫とアンチモン、リン、もしくはそれら組み合わせとの合金、のような金属を含む。電池100は、本発明のチタン/リン誘電体材系を含む絶縁層400を有しており、前記絶縁層は、第二電気コンタクト450を第一電気コンタクト300から電気的に分離している。第二電気コンタクト450は、層部分480、及びポイントコンタクト550からなる。第二電気コンタクト450は、例えば、アルミニウムのような金属を含む。明確にするため、1つのポイントコンタクト550のみを図3に表示する。図3では、また、誘電体層400により、電気コンタクト層300と層450とが分離、且つ電気的に絶縁している様子が示されている。420において、絶縁層がポイントコンタクト550の周囲まで延びており、それによって、ポイントコンタクト550が第一コンタクト300から電気的に絶縁されている。絶縁層420の厚さは、最大100ミクロンとすることができ、例えば、約5ミクロン〜約100ミクロンの厚さ、好適には10〜90ミクロン、より好適には20〜80ミクロン、または5〜25ミクロンもしくは10〜20ミクロンとしてもよい。また、図3では、第二電気コンタクト450の凹みもしくは窪み600が示されている。クレーターのような外観の前記くぼみは、コンタクト層450をレーザー焼成で貫き、ポイントコンタクト550を形成することによって形成される。前記ポイントコンタクトを形成するレーザー焼成法を、下記に詳述する。図3は、また、電池100の端部に沿った領域650を示しており、そこでは、第一電気コンタクト層300が露出しており、第一電気コンタクトに対する電気接続が可能となっている。前記の電気接続は、層300にはんだ付けした母線、もしくは別の方法で層300に電気的に接続した母線の形態としてもよい。
【0039】
前記ポイントコンタクトは、図3の構造の形成に適した任意の手段で形成することができる。例えば、最初に、所望する直径の開口もしくは穴を、ポイントコンタクトが貫通する単独の層もしくは複数の層に形成させ、次いで、前記開口もしくは穴に、金属のようなコンタクト材料を詰めることによって形成することができる。そのような開口もしくは穴は、約5〜約100ミクロンの直径もしくは幅とすることができ、ポイントコンタクトの直径もしくは幅に相当する。前記開口もしくは穴は、機械ドリル加工もしくはフォトリソグラフィーマスク及びエッチング方法などの適切な方法、又は、ポイントコンタクトが貫通する1以上の層を取り除くのに十分なレーザービーム密度を有するエキシマーレーザーやNd−YAGレーザーなどのレーザーを用いた材料の除去、によって形成することができる。開口もしくは穴を形成するためにレーザーを使用し、それによってウェハ表面が損傷した場合は、ウェハを水素プラズマもしくは原子状水素で処理し、レーザーによって損傷したウェハの領域を除去もしくは修復し、且つ残ったいかなる欠陥をも安定化させることができる。例えば、本発明のチタン/リン誘電体材系からなる保護層の開口もしくは穴をコンタクト材料で詰める方法によってポイントコンタクトを形成する場合、高速熱アニール処理を用い、ポイントコンタクトがウェハと接する付近に、高濃度にドープされた領域もしくは層を形成させることが望ましい。
【0040】
本発明のエミッタもしくはオームコンタクト領域もしくは層は、ポイントコンタクトを形成する成分でドープされたウェハの領域もしくは層である。例えば、ポイントコンタクトがアルミニウムを含む場合、n型ウェハのエミッタ領域は、アルミニウムでドープされる。p型ドープの量及びそのドープ層もしくは領域の深さは、主に熱処理の時間及び温度によって調節される。高速熱アニール処理による前記エミッタ及びベース領域の形成は、例えば、所望のコンタクト領域が形成されるのに十分な時間をかけ、高温でコンタクト層を熱することによって達成される。例えば、コンタクト層を、炉、オーブン、もしくはその他加熱装置で、約700〜約1100℃、もしくは約800〜約1000℃の範囲の設定温度で、約5秒〜約2分、もしくは約10〜約90秒間加熱する。アルミニウムの場合、例えば、約900℃で約1分の加熱で十分である。また、本発明の太陽光電池のポイントコンタクト、及び対応するエミッタ及びオーム領域を形成するより好適な方法として、例えばレーザーを用いた焼成処理の使用がある。レーザー焼成処理においては、金属の層など、コンタクトに使用される材料の表面がレーザービームで加熱される。加熱された金属などの材料は、溶解して下層を貫き、ウェハへ溶け込む。また、高温の金属もしくはその他材料は、ウェハと接触すると、上述の通り、エミッタもしくはオームコンタクト領域を形成する。レーザー焼成処理は、QスイッチのNd−YAGレーザーを用い、例えば、約10〜100ナノ秒のパルス持続時間で行うことができる。ポイントコンタクトを形成する焼成処理は、レーザーの使用のほか、例えば、電子もしくはイオンビーム照射を用い、コンタクト材料を加熱して焼成コンタクトを形成することによって達成できる。
【0041】
純アルミニウムもしくはアルミニウムを含む合金の使用が好ましいが、様々なその他の合金もしくは純金属(これに限るものでないが、自己ドープ型のp型金属化物を含む)を、かわりに使用してもよい。アルミニウムは、任意で、その他の1以上のp型ドーパントでドープしてもよく、より高濃度にドープされた接点を得ることができる。前記ドーパントの例としては、これらに限るものでないが、ホウ素、パラジウム、プラチナ、金、ガリウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモン、マグネシウム、チタン、カリウム、バナジウム、ニッケル、銅、及びそれらの組み合わせが挙げれらる。p型ベースと電気接触させるため、コンタクト材料は、n拡散層を貫通していることが好ましい。nからp(Al合金Si)接点への分流を防ぐため、前記においては、好適には、リア面上で比較的低い濃度でドープされたn拡散層(>80オーム/スクウェア)を必要とする。しかし、低濃度でドープされたn拡散層は、接触させるのが非常に難しい。低濃度でドープされたn拡散層と接触させるため、自己ドーピングのAgペーストコンタクト(リンドーパントを含有し、銀−シリコン共晶温度を超える温度で焼成されることを意図する)を任意で用いてもよい。自己ドーピングのコンタクトは、米国特許出願公開番号2005/0172998に開示されており、前記出願は、参照により本願に組み込まれる。自己ドーピングのコンタクトにより、そのコンタクトの下にドープ接点が形成され、それによって、接触抵抗の低減が促進され、再結合損失が低減される。前面上の、より低濃度にドープされたn拡散層は、また、キャリア損失の低減という利点も有する。EWT電池に特有なケースとしては、n型タイプのものは、さらに、穴もしくはビア中の電気キャリアの導電を促進するという働きをする。また、高濃度及び低濃度リンドープシリコンの領域は、n型コンタクトを設置した場所に生じる高濃度ドープn++領域と、Al合金コンタクトを設置した場所に生じる低濃度ドープn領域とともに、リア面に形成させることができる。
【0042】
アルミニウム合金は、太陽電池のリア面上の誘電体層を貫いて(すなわち、ファイヤースルーして)合金となるのが好ましい。アルミニウムは、様々な酸化物をファイヤースルーできる。誘電体層のファイヤースルーを促進するために、ガラスフリットをAlペーストに添加することができるが、これは必須ではない。また、誘電体層を貫いたAl合金化が難しい場合は、アルミニウム合金コンタクトのための領域から誘電体を除去することができる。例えば、シリコン面を露出させるため、レーザーを用いて誘電体に、好適には直径50ミクロン未満の、穴を掘ることができる。誘電体層を除去するその他の方法としては、機械スクライビングもしくはエッチング(通常、レジストパターンをスクリーン印刷し、誘電体を湿潤もしくは乾燥エッチングし、前記レジストを除去する段階からなる)を代わりに用いてもよい。
【0043】
実施例。本発明の誘電体組成物は、以下の方法で調製してもよい。調製手順の多くの態様は重要でないが、試薬及び反応産物と、ミキサー、容器、へら、さじ、攪拌棒、スパチュラなど、あらゆる種類の金属器具との接触は全て避けることが重要である。
【実施例1】
【0044】
実施例1。一実験手順において、真空ろ過カップ(vacuum filtration cup)を用い、Lubrhophos(登録商標)LK500を濾過し、後で使用するのに保存するため、プラスチック製もしくはその他の非金属製の容器に注ぎいれる。Lubrhophos(登録商標)LK500(Rhodia,Inc.より入手)は、ポリオキシエチレンヘキシルエーテルリン酸を少なくとも98重量%含む。前記とは別に、プラスチック製もしくはその他の非金属製の容器中で、チタンエトキシド及びα−テルピネオールを61/39の重量比で混合する。前記容器を、10〜20秒間手動で振り、チタン予混合物を形成させる。
【0045】
手順Aとして、清潔な5ガロンのプラスチックバケツに、表1の成分を添加する。
【0046】
【表1】

【0047】
手順Aの混合物の成分を、非金属製のへらを用い、溶液が黄色味を帯びた均一な色となるまで、少なくとも1分間十分に混ぜ合わせる。バケツに蓋をする。
【0048】
手順Bとして、表2の成分を記載の通りに量り、手順A及びB(表1及び2)の合計量が100重量%となるようにする。
【0049】
【表2】

【0050】
バッチ275グラムを形成させるため、表3の各成分を下記重量づつ秤量し、マゼルスター瓶に入れる。なお、表3中の混合物は、各々表1及び2記載の配合量(重量%)からなる混合物に相当する。
【0051】
【表3】

【0052】
前記の誘電材バッチ275グラム中の全チタン量は、0.73重量パーセントである。
【0053】
マゼルスター瓶の内容物を手動で攪拌し、塊を砕く。マゼルスター攪拌装置に2つの瓶を設置する。マゼルスターは、倉敷紡績株式会社(日本国大阪府)の商標である。前記瓶を、チャンネル6で1サイクル混ぜる。
【0054】
チャンネル6の設定を、表4に示す。
【0055】
【表4】

【0056】
脱気。バッチ4〜8キログラムを70〜90分かけて脱気する。バッチ1〜4キログラムであれば、40〜60分の脱気で十分である。脱気後、素早くバケツに蓋をし、テープで密封し、実験の前に一晩安定化させる。結果として生じたペーストは、粘性500〜700ポアズ、好適には約550〜約650ポアズ、より好適には約600ポアズである(Brookfield 2XHBTCPにて、CP51コーンを用い2.5RPMで測定)。前記ペースト中の固体量は、約1〜2重量%、好適には約1.25〜約1.75重量%、より好適には約1.5重量%である。
【実施例2】
【0057】
実施例2。実施例1の手順と同様に、真空ろ過カップを用い、Lubrhophos(登録商標)LK500を濾過し、後で使用するのに保存するため、プラスチック製もしくはその他の非金属製の容器に注ぎ入れる。Lubrhophos(登録商標)LK500(Rhodia,Inc.より入手)は、ポリオキシエチレンヘキシルエーテルリン酸を少なくとも98重量%含む。前記とは別に、プラスチック製もしくはその他の非金属製の容器中で、タンタルエトキシド及びα−テルピネオールを2:1の重量比(67%/33%)で混合する。前記容器を、10〜20秒間手動で振り、タンタル予混合物を形成させる。
【0058】
手順Aとして、清潔な5ガロンのプラスチックバケツに、表5の成分を添加する。
【0059】
【表5】

【0060】
手順Aの混合物の成分を、非金属製のへらを用い、溶液が十分に混合され均一となるまで、少なくとも1分間十分に混ぜ合わせる。バケツに蓋をする。
【0061】
手順Bとして、表6の成分を記載の通りに量り、手順A及びB(表5及び6)の合計量が100重量%となるようにする。
【0062】
【表6】

【0063】
バッチ275グラムを形成させるため、表7の各成分を下記重量づつ秤量し、マゼルスター瓶に入れる。なお、表7中の混合物は、各々表5及び6記載の配合量(重量%)からなる混合物に相当する。
【0064】
【表7】

【0065】
前記の誘電材バッチ275グラム中の全タンタル量は、1.56重量パーセントである。
【0066】
実施例1の残りの手順(脱気等)を、実施例2でも行う。
【0067】
付加的な利点及び変更は当業者に容易であろう。よって、その広範な態様において本発明はここに示され記載される特定の詳細や例示された実施例に限定されるものではない。従って、添付のクレーム及びその均等物により定義される発明の概念全般の精神あるいは範囲から逸脱せずに、多様な変更を行ってよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンと、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される0.1〜10重量%の金属とを含む印刷可能な誘電体コーティング材系。
【請求項2】
バリウムを含まない請求項1の材系。
【請求項3】
請求項1の材系であって、前記金属が、有機金属化合物、金属の酸化物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される形態で提供されることを特徴とする材系。
【請求項4】
請求項3の材系であって、前記金属が、金属エトキシド、金属2−エチルヘキソキシド、金属イソブトキシド、金属イソプロポキシド、金属メトキシド、金属n−ブトキシド、金属n−プロポキシド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、有機金属化合物の形態で提供されることを特徴とする材系。
【請求項5】
請求項1の材系であって、前記金属が、前記材系の0.2〜5重量%の範囲で存在することを特徴とする材系。
【請求項6】
請求項1の材系であって、前記リンが、溶液状もしくは分散状で提供されることを特徴とする材系。
【請求項7】
請求項1の材系であって、さらに、溶媒、ビヒクル、分散剤、拡散剤、及び湿潤剤のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする材系。
【請求項8】
請求項1の材系であって、前記リンが、エステルとして提供されることを特徴とする材系。
【請求項9】
請求項8の材系であって、前記リンが、アルコキシル化アルコールもしくはアルコキシル化フェノール、もしくはそれらの組み合わせのリン酸エステルとして提供されることを特徴とする材系。
【請求項10】
請求項8の材系であって、前記リンが、エトキシド基を有するリン酸エステルとして提供されることを特徴とする材系。
【請求項11】
請求項8の材系であって、前記エステルが、アルコキシル化リン酸エステルであることを特徴とする材系。
【請求項12】
請求項8の材系であって、前記エステルが、エトキシ化リン酸エステルであることを特徴とする材系。
【請求項13】
請求項9の材系であって、前記アルコキシル化アルコールもしくはアルコキシル化フェノールが、アルコキシル化オレイルアルコール、アルコキシル化フェノール、アルコキシル化ジノニルフェノール、アルコキシル化ジデシルフェノール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする材系。
【請求項14】
請求項9の材系であって、前記アルコキシル化アルコールもしくはアルコキシル化フェノールが、エトキシ化オレイルアルコール、エトキシ化フェノール、エトキシ化ジノニルフェノール、エトキシ化ジデシルフェノール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるエトキシ化アルコールもしくはエトキシ化フェノールであることを特徴とする材系。
【請求項15】
シリコン基板の同一面上に配置されたn型導電性トレース及びp型導電性トレースと、前記n型導電性トレースを前記p型導電性トレースから電気的に絶縁する誘電体層とからなる太陽電池であって、前記誘電体層が、リンと、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される金属とからなることを特徴とする太陽電池。
【請求項16】
p型コンタクトが占める全リア面面積の割合が、30%未満である請求項15の太陽電池。
【請求項17】
太陽電池に使用する誘電体組成物の製造方法であって、前記方法は、
a.液状のリン含有組成物を調製する段階と、
b.有機金属化合物を分散剤と接触させ、前記有機金属化合物を十分に湿潤させる段階と、
c.前記リン含有組成物と、前記有機金属化合物と、ビヒクル、界面活性剤、及び溶媒のうち少なくとも1つと、を合わせて混合し、誘電体ペースト混合物を形成する段階とからなり、前記有機金属化合物が、チタン、タンタル、及びニオブからなる群から選択される金属を含むことを特徴とする。
【請求項18】
請求項17の方法であって、前記液状のリン含有化合物が濾過されることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17の方法であって、cの段階において、前記リン含有化合物及び有機金属化合物に、さらに、ガラスフリットを合わせて混合することを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項17の方法であって、いかなる時点においても、組成物、化合物、拡散剤、ビヒクル、界面活性剤、溶媒、もしくはペーストと金属器具が接触することはないことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−501442(P2011−501442A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530091(P2010−530091)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/080062
【国際公開番号】WO2009/052227
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(503468695)フエロ コーポレーション (26)
【Fターム(参考)】