説明

物体情報管理システム及びプログラム。

【課題】それぞれ表面に固有のパターンを有する物体を製造し容器に格納する工程の後に、各容器内に格納された個々の物体を特定する。
【解決手段】物体情報登録装置100は、それぞれ表面に固有のパターンを有する物体ごとに、当該物体の製造工程において当該物体を容器に格納する前の予め定められた撮像地点で当該物体の表面のパターンを撮像した固有画像情報と撮像時間とを関連付けて取得し、物体を格納した容器を識別する容器識別情報と、当該物体を当該容器に格納した時間範囲とを関連付けて取得し、記物体ごとに、当該物体が撮像されてから前記容器に格納されるまでの時間差と、当該物体の固有画像情報に関連付けられた撮像時間と、当該物体を格納する容器の容器識別情報に関連付けられた時間範囲とに基づいて、前記取得された固有画像情報に対応する前記容器識別情報を関連付けて登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体情報管理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物体を識別するために、物体そのものに識別情報を印字するという手法がある。
【0003】
特許文献1には、紙や錠剤等のそれぞれ表面が固有のパターンを有する物体について、その固有の表面パターンを利用して個々の物体を識別する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−085212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、それぞれ表面に固有のパターンを有する物体を製造し容器に格納する工程の後に、各容器内に格納された個々の物体の表面に固有のパターンを照合する場合に、その物体に識別情報が印字されないときに生じる照合時間を削減することができる物体情報管理システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、それぞれ表面に固有のパターンを有する物体ごとに、当該物体の製造工程において当該物体を容器に格納する前の予め定められた撮像地点で当該物体の表面のパターンを撮像した固有画像情報と撮像時間とを関連付けて取得する物体情報取得手段と、前記物体を格納した前記容器を識別する容器識別情報と、当該物体を当該容器に格納した時間範囲とを関連付けて取得する容器情報取得手段と、前記物体ごとに、当該物体が撮像されてから前記容器に格納されるまでの時間差と、当該物体の固有画像情報に関連付けられた撮像時間と、当該物体を格納する容器の容器識別情報に関連付けられた時間範囲とに基づいて、前記物体情報取得手段により取得された固有画像情報に対応する前記容器識別情報を関連付けて登録する登録手段と、を含むことを特徴とする物体情報管理システムである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記撮像地点から前記容器への格納地点までの距離及び、前記製造工程における前記物体の搬送速度に基づいて、前記時間差を算出する算出手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の物体情報管理システムである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記物体情報取得手段は、前記物体の製造工程に関する製造情報を、当該物体の表面のパターンを撮像した固有画像情報に関連付けてさらに取得し、前記容器情報取得手段は、前記容器の出荷に関する出荷情報を、当該容器の容器識別情報に関連付けてさらに取得し、前記登録手段は、前記物体情報取得手段により取得された固有画像情報に対応する前記容器識別情報に、当該固有画像情報に関連付けられた製造情報及び当該容器識別情報に関連付けられた出荷情報をそれぞれ関連付けて登録することを特徴とする請求項1又は2に記載の物体情報管理システムである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、識別対象の物体の表面パターンを撮像した撮像画像と、当該物体を格納した容器の容器識別情報とを受け付ける受付手段と、前記登録手段により前記受け付けた容器識別情報に関連付けて登録された固有画像情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された固有画像情報と、前記受け付けた撮像画像とをそれぞれ照合した結果を出力する出力手段と、をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の物体情報管理システムである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記製造工程において前記容器に格納した前記物体を移し替える出荷用の出荷容器を識別する出荷容器識別情報を、前記容器の容器識別情報と関連付けて取得する出荷容器情報取得手段をさらに含み、前記登録手段は、前記物体情報取得手段により取得された固有画像情報に対応する前記容器識別情報と、当該容器識別情報に関連付けて前記出荷容器情報取得手段により取得された前記出荷容器識別情報とをそれぞれ関連付けて登録することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の物体情報管理システムである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、識別対象の物体の表面パターンを撮像した撮像画像と、当該物体を格納した出荷容器の出荷容器識別情報とを受け付ける受付手段と、前記登録手段により前記受け付けた出荷容器識別情報に関連付けて登録された固有画像情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された固有画像情報と、前記受け付けた撮像画像とをそれぞれ照合した結果を出力する出力手段と、をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の物体情報管理システムである。
【0012】
請求項7に記載の発明は、それぞれ表面に固有のパターンを有する物体ごとに、当該物体の製造工程において当該物体を容器に格納する前の予め定められた撮像地点で当該物体の表面のパターンを撮像した固有画像情報と撮像時間とを関連付けて取得する物体情報取得手段と、前記物体を格納した前記容器を識別する容器識別情報と、当該物体を当該容器に格納した時間範囲とを関連付けて取得する容器情報取得手段と、前記物体ごとに、当該物体が撮像されてから前記容器に格納されるまでの時間差と、当該物体の固有画像情報に関連付けられた撮像時間と、当該物体を格納する容器の容器識別情報に関連付けられた時間範囲とに基づいて、前記物体情報取得手段により取得された固有画像情報に対応する前記容器識別情報を関連付けて登録する登録手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び7に記載の発明によれば、それぞれ表面に固有のパターンを有する物体を製造し容器に格納する工程の後に、各容器内に格納された個々の物体の表面に固有のパターンを照合する場合に、その物体に識別情報が印字されないときに生じる照合時間を削減することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、物体がどの容器に格納されたかを精度良く推定できる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、個々の物体が製造工程時にどの容器に格納された後に出荷されたかを特定できる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、識別対象の物体と照合する候補のパターンの数を絞り込むことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、個々の物体がどの容器に格納されて出荷されたかを特定できる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、識別対象の物体と照合する候補のパターンの数を絞り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る物体処理システムのシステム構成図である。
【図2】物体情報登録装置及び物体情報照合装置のそれぞれの機能ブロック図である。
【図3】製造ラインのデータの一例を示した図である。
【図4】表面パターン情報テーブルの一例を示した図である。
【図5】容器情報テーブルの一例を示した図である。
【図6】対応情報テーブルの一例を示した図である。
【図7】出荷情報テーブルの一例を示した図である。
【図8】登録処理のフローチャートの一例である。
【図9】照合処理のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための実施の形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0021】
図1には、本実施形態に係る物体処理システム1のシステム構成図を示した。図1に示されるように、物体処理システム1は、物体を製造する製造システム2と、製造システム2で製造された個々の物体に固有の表面パターン情報(指紋データ)や物体が格納される容器の情報等を読み取り管理する物体情報管理システム10を含む。ここで、物体は、固有の表面パターンを有していればよく、例えば、錠剤や電子部品等が挙げられる。
【0022】
製造システム2は、物体(錠剤)を製造する製造ライン20−1〜M(Mは1以上の整数)を含む。以下、製造ライン20−1〜Mに共通する内容については製造ライン20と記載する。本実施形態に係る製造ライン20では、錠剤を製造した後に、製造した錠剤を第1〜N(Nは1以上の整数)の容器に順に格納し、第Nの容器を出荷することとする。図1に示した例では、N=2であり、製造した錠剤を第1の容器(ロット)に集めた後に、第2の容器(ボトル、出荷容器)に小分けして、第2に容器を出荷することとしている。もちろん、Nの数は図1に示した態様に限定されるものではなく、例えば、N=1として、製造した錠剤を第1の容器(ボトル、出荷容器)に格納し、第1の容器を出荷するようにしてもよい。
【0023】
物体情報管理システム10は、物体(錠剤)が製造から出荷されるまでの間に、物体の表面パターン情報や物体が格納される容器の情報を取得し管理する。本実施形態に係る物体情報管理システム10は、物体情報登録装置100、物体情報照合装置200を含み、物体情報登録装置100は撮像装置30A−1〜M,30B−1〜Nと接続している。以下、撮像装置30A−1〜M,30B−1〜N及び物体情報管理システム10に含まれる各装置の詳細について説明する。なお、撮像装置30A−1〜Mに共通する内容については撮像装置30A、撮像装置30B−1〜Nに共通する内容については撮像装置30Bと記載する。
【0024】
撮像装置30A−1〜Mは、製造ライン20において物体(錠剤)が製造されてから、第1の容器に格納されるまでの間に物体(錠剤)の表面パターン情報を読み取る撮像装置である。撮像装置30B−1〜Nは、製造ライン20で製造された錠剤が格納された第1〜Nの個々の容器をそれぞれ識別する識別情報(容器ID)を読み取る撮像装置である。
【0025】
撮像装置30A−1〜M及び撮像装置30B−1〜Nのそれぞれは、読み取った情報と、その情報を読み取った時間とを物体情報登録装置100に出力する。なお、撮像装置30A−1〜Mはそれぞれ製造ライン20−1〜Mに対応して設けられることとしてよく、物体(錠剤)の表面を例えば600dpi程度の解像度で撮像して、予め定められたサイズ(例えば32×32ドット)を表面パターン情報として得ることとしてよい。また、撮像装置30B−1〜Nは、容器に付与された識別情報を符号化したバーコードや二次元コード等のコード情報を読み取ることとしてよい。本実施形態では、例えば撮像装置30B−i(i=1〜N)で、同一の容器IDの読み取りが行われている期間に、当該容器IDで識別される容器内に錠剤の格納作業(投入作業)が行われていることとする。
【0026】
物体情報登録装置100は、撮像装置30A、撮像装置30Bからそれぞれ入力される情報に基づいて、物体(錠剤)及び物体(錠剤)が格納された容器の情報をそれぞれ関連付けて登録する。具体的には、物体情報登録装置100は、撮像装置30Aから、物体(錠剤)ごとに撮像された表面パターン情報と撮像時間との入力を受け付けるとともに、撮像装置30Bから、容器ごとに読み取られた容器IDとその容器IDが読み取られた時間(容器への錠剤の格納時間)の入力を受け付ける。そして、物体情報登録装置100は、物体が製造される製造ライン20における、撮像時間から容器への格納時間までの時間差に基づいて、表面パターン情報(基礎パターン情報)が関連付けられるべき容器IDを特定し、特定された表面パターン情報と容器IDとを関連付けて登録する。
【0027】
物体情報照合装置200は、図示しないクライアント装置から識別対象の物体の表面パターン情報(対象パターン情報)と容器IDを含む識別要求を受け付ける。そして、物体情報照合装置200は、受け付けた容器IDに関連付けて物体情報登録装置100により登録された表面パターン情報を照合候補として抽出し、抽出した照合候補の表面パターン情報と、対象パターン情報とを照合して、対象パターン情報に対応する表面パターン情報を特定する。物体情報照合装置200は、上記処理により対応する表面パターン情報が特定された場合には、その表面パターン情報に関連付けられて記憶される情報をクライアント装置に照合結果として提供し、対応する表面パターン情報が特定されなかった場合には、その旨をクライアント装置に照合結果として提供することとしてよい。
【0028】
以下、物体情報登録装置100と物体情報照合装置200にそれぞれ備えられた機能の詳細を、図2に示した物体情報登録装置100及び物体情報照合装置200のそれぞれの機能ブロック図を参照しながら説明する。
【0029】
まず、物体情報登録装置100に備えられた機能について説明する。図2に示されるように、物体情報登録装置100は、記憶部102、表面パターン情報取得部104、容器情報取得部106、時間差算出部108、情報対応付け部110、及び出荷情報登録部112を備える。
【0030】
物体情報登録装置100に備えられた上記各部の機能は、CPU等の制御手段、メモリ等の記憶手段、外部デバイスとデータを送受信する入出力手段等を備えたコンピュータが、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されたプログラムを読み込み実行することで実現されるものとしてよい。なお、プログラムは光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の情報記憶媒体によってコンピュータにより構成される物体情報登録装置100に供給されることとしてもよいし、インターネット等のデータ通信網を介して供給されることとしてもよい。
【0031】
記憶部102は、ハードディスクや半導体メモリにより実現され、データ及びプログラムを記憶する。記憶部102には、予め記憶されたデータや、撮像装置30A,30Bから入力されたデータ等が記憶される。
【0032】
図3には、記憶部102に記憶されるデータの一つとして製造ライン20のデータの一例を示した。図3に示される製造ライン20のデータには、物体処理システム1に含まれる各製造ライン20を識別する製造ラインID、各製造ライン20に設置された撮像装置30Aを識別する撮像装置ID、各製造ライン20において撮像装置30Aが設置された位置から物体(錠剤)を容器に格納する位置までの距離、各製造ライン20の搬送速度がそれぞれ関連付けて記憶される。
【0033】
表面パターン情報取得部104は、製造ライン20で製造された物体(錠剤)の表面パターンを撮像した表面パターン情報を撮像装置30Aから取得する。本実施形態では、表面パターン情報取得部104は、撮像装置30Aから撮像された表面パターン情報、及び撮像時間を順次取得し、取得した情報を記憶部102に順次記憶することとする。
【0034】
図4には、表面パターン情報取得部104により取得した表面パターン情報を記憶した表面パターン情報テーブルの一例を示した。図4に示される表面パターン情報テーブルには、各物体(錠剤)を識別する物体ID、各物体の表面パターン情報、当該表面パターン情報が撮像された撮像時間、当該表面パターン情報を撮像した撮像装置30Aの撮像装置IDがそれぞれ関連付けて記憶される。
【0035】
容器情報取得部106は、撮像装置30Bから物体(錠剤)を格納した容器の識別情報を取得する。本実施形態では、容器情報取得部106は、撮像装置30B−i(i=1〜N)で読み取られた容器IDと、当該容器IDの読み取り時間とを含む容器情報を取得し、取得した容器情報を記憶部102に記憶することとしてよい。この際、容器情報取得部106は、物体(錠剤)を移し替える元の容器(第i容器)の容器ID(元容器ID)と、物体(錠剤)を移し替える(例えば小分けにする)先の容器(第i+1容器)の容器IDとの両方を取得することとしてもよい。
【0036】
図5には、容器情報取得部106により取得された容器情報を記憶した容器情報テーブルの一例を示した。図5に示される容器情報テーブルには、それぞれの容器を識別する容器ID、当該容器に格納する物体が前に格納されていた元の容器を識別する元容器ID、容器IDの読み取り開始時間(容器への物体の投入開始時間)、容器IDの読み取り終了時間(容器への物体の投入終了時間)、容器IDを読み取った撮像装置30Bの撮像装置IDがそれぞれ関連付けて記憶される。
【0037】
時間差算出部108は、製造ライン20に配置された撮像装置30Aにより物体が撮像される撮像位置から、当該物体が容器へ格納される格納位置に移動するまでの時間差を算出する。例えば、時間差算出部108は、記憶部102に記憶される図3に示される製造ライン20のデータに基づいて、製造ライン20ごとに、その撮像位置から格納位置までの距離を、搬送速度で除した時間を時間差として算出することとしてよい。
【0038】
情報対応付け部110は、時間差算出部108により算出された時間差に基づいて、表面パターン情報取得部104で取得された表面パターン情報と、容器情報取得部106で取得された容器情報(容器ID)とを対応付ける。例えば、情報対応付け部110は、表面パターン情報テーブルにおいて物体IDに関連付けられる撮像時間に、当該物体IDの物体を製造する製造ライン20について時間差算出部108で算出された時間差を加えた時間が、容器情報テーブルにおける第1の容器(製造ライン20から直接物体が投入される容器であり、撮像装置30B1により読み取られた容器ID)に係る容器IDのうち、投入時間範囲(投入開始時間から投入終了時間まで)内にある容器IDを特定して、当該特定した容器IDと物体IDとを対応付けて記憶部102に登録する。さらに、情報対応付け部110は、物体IDと対応付けられた容器IDを元容器IDとするレコードを容器情報テーブルから検索し、検索されたレコードに含まれる容器IDを物体IDにさらに関連付けて記憶部102に登録する処理を、新たに検索されるレコードが無くなるまで実行する。
【0039】
図6には、情報対応付け部110により記憶部102に登録された対応情報テーブルの一例を示した。図6に示される対応情報テーブルには、物体ID、表面パターン情報、第1〜第Nの容器ID、製造ラインID等の製造情報がそれぞれ関連付けて記憶される。第i(i=1〜N)の容器IDとはそれぞれ、撮像装置30B−iにより読み取られた容器IDのグループであり、特に、第1の容器IDは製造ライン20から直接物体が投入される容器の容器IDであり、第Nの容器IDとは、出荷用の容器(出荷容器)の容器IDである。なお製造情報には、製造ラインIDのみならず、製造場所(工場名)、製造日時、作業者の識別情報(作業者名や作業者ID等)を含めることとしてもよい。
【0040】
出荷情報登録部112は、製造ライン20により製造された物体に関する出荷情報を記憶部102に登録する。出荷情報には、例えば、物体を格納した出荷容器の出荷先の情報、出荷日時の情報、容器の輸送を行う輸送車の識別情報(車両ID)等が含まれることとしてよい。
【0041】
図7には、出荷情報登録部112により登録される出荷情報テーブルの一例を示した。図7に示される出荷情報テーブルには、出荷容器の容器ID、出荷先、出荷日時、車両IDがそれぞれ関連付けて記憶される。
【0042】
次に、物体情報照合装置200に備えられた機能の詳細について、図2に示された機能ブロック図を参照しながら説明する。
【0043】
図2に示されるように、物体情報照合装置200は、照合要求受付部202、照合候補抽出部204、照合部206、出力情報生成部208、及び出力情報提供部210を備える。
【0044】
物体情報照合装置200に備えられた上記各部の機能は、CPU等の制御手段、メモリ等の記憶手段、外部デバイスとデータを送受信する入出力手段等を備えたコンピュータが、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されたプログラムを読み込み実行することで実現されるものとしてよい。なお、プログラムは光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の情報記憶媒体によってコンピュータにより構成される物体情報照合装置200に供給されることとしてもよいし、インターネット等のデータ通信網を介して供給されることとしてもよい。
【0045】
照合要求受付部202は、クライアント装置から識別対象の表面パターン情報(対象パターン情報)及び/又は容器IDを含む照合要求を受け付ける。
【0046】
照合候補抽出部204は、照合要求受付部202により受け付けた容器IDに基づいて、当該容器IDに関連付けて記憶部102に記憶された表面パターン情報を、対象パターン情報と照合する候補として抽出する。具体的には、照合候補抽出部204は、記憶部102に記憶された対応情報テーブルの中から、照合要求受付部202により受け付けた容器IDを含むレコードを検索し、当該検索されたレコードに含まれる表面パターン情報を対象パターン情報と照合する候補として抽出する。
【0047】
照合部206は、照合要求受付部202により受け付けた対象パターン情報と、照合候補抽出部204により抽出された候補の表面パターン情報とをそれぞれ照合して、候補の表面パターン情報の中に対象パターン情報に対応(一致)するものがないかを判定する。そして、照合部206は、照合結果を出力情報生成部208に出力する。
【0048】
出力情報生成部208は、照合部206から入力された照合結果に基づいて、クライアント装置に提供する出力情報を生成する。例えば、出力情報生成部208は、照合部206により対象パターン情報に対応する表面パターン情報が得られた場合には、当該表面パターン情報について関連付けられた情報(例えば、製造工場の情報、製造ライン20の情報、製造日時の情報、出荷情報等)を出力情報に含めることとしてよい。また、出力情報生成部208は、照合部206により対象パターン情報に対応する表面パターン情報が得られなかった場合には、対象の物体(錠剤)は管理する工場で製造されたものでは無い可能性がある旨を出力情報に含めることとしてよい。
【0049】
出力情報提供部210は、出力情報生成部208により生成された出力情報を、クライアント装置に提供する。例えば、出力情報提供部210は、生成された出力情報をクライアント装置に送信することとしてよい。
【0050】
次に、図8及び図9に示されたフローチャートを参照しながら、物体情報管理システム10において行われる処理の流れを説明する。
【0051】
図8には登録処理のフローチャートの一例を示した。図8に示されるように、物体情報登録装置100は、製造ライン20で製造された物体の表面パターンを撮像して得た表面パターン情報を撮像装置30Aから取得し(S1001)、取得した表面パターン情報を撮像時間と関連付けて記憶する(S1002)。
【0052】
次に、物体情報登録装置100は、製造ライン20で製造された物体を容器に格納する工程において、当該容器の識別情報(容器ID)を撮像装置30Bで読み取って取得し(S1003)、取得した識別情報(容器ID)を当該識別情報が読み取られた時間範囲と関連付けて記憶する(S1004)。
【0053】
物体情報登録装置100は、物体が撮像されてから容器に格納されるまでの時間差に基づいて、上記取得された表面パターン情報と容器IDとを関連付けてデータベースに記憶し(S1005)、処理を終了する。
【0054】
図9には、照合処理のフローチャートの一例を示した。図9に示されるように、物体情報照合装置200は、クライアント装置から、識別対象の表面パターン情報(対象パターン情報)を含む照合要求を受け付ける(S2001)。ここで、受け付けた照合要求に容器IDが含まれている場合には(S2002:Y)、物体情報照合装置200は、当該容器IDに関連付けてデータベースに記憶されている表面パターン情報を照合候補として選択する(S2003)。一方で、S2002で、物体情報照合装置200が受け付けた照合要求に容器IDが含まれていない場合には(S2002:N)、物体情報照合装置200は、データベースに記憶されている全ての表面パターン情報を照合候補として選択する(S2004)。
【0055】
物体情報照合装置200は、上記選択した照合候補の表面パターン情報と対象パターン情報とをそれぞれ照合して(S2005)、その照合結果に基づき出力情報を生成し(S2006)、クライアント装置に出力情報を送信して(S2007)、処理を終了する。
【0056】
以上説明した物体情報管理システム10では、物体の製造工程時に、個々の物体に固有の表面パターン情報と、個々の物体が格納された容器を識別する識別情報とを関連付けて登録しておき、対象の物体が格納された容器の識別情報を用いて、対象の物体と照合すべき表面パターン情報の数を絞り込むことで、処理負荷が軽減される。
【0057】
本発明は上記の実施形態に限定されない。例えば、物体情報管理システム10において、物体情報登録装置100の記憶部102を物体情報登録装置100及び物体情報照合装置200とは別体のデータベースサーバとして構成してもよいし、物体情報登録装置100と物体情報照合装置200とを一体の装置として構成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 物体処理システム、2 製造システム、10 物体情報管理システム、20,20−1〜M 製造ライン、30A,30A−1〜M 撮像装置、30B,30B−1〜N 撮像装置、100 物体情報登録装置、102 記憶部、104 表面パターン情報取得部、106 容器情報取得部、108 時間差算出部、110 情報対応付け部、112 出荷情報登録部、200 物体情報照合装置、202 照合要求受付部、204 照合候補抽出部、206 照合部、208 出力情報生成部、210 出力情報提供部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ表面に固有のパターンを有する物体ごとに、当該物体の製造工程において当該物体を容器に格納する前の予め定められた撮像地点で当該物体の表面のパターンを撮像した固有画像情報と撮像時間とを関連付けて取得する物体情報取得手段と、
前記物体を格納した前記容器を識別する容器識別情報と、当該物体を当該容器に格納した時間範囲とを関連付けて取得する容器情報取得手段と、
前記物体ごとに、当該物体が撮像されてから前記容器に格納されるまでの時間差と、当該物体の固有画像情報に関連付けられた撮像時間と、当該物体を格納する容器の容器識別情報に関連付けられた時間範囲とに基づいて、前記物体情報取得手段により取得された固有画像情報に対応する前記容器識別情報を関連付けて登録する登録手段と、を含む
ことを特徴とする物体情報管理システム。
【請求項2】
前記撮像地点から前記容器への格納地点までの距離及び、前記製造工程における前記物体の搬送速度に基づいて、前記時間差を算出する算出手段をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の物体情報管理システム。
【請求項3】
前記物体情報取得手段は、前記物体の製造工程に関する製造情報を、当該物体の表面のパターンを撮像した固有画像情報に関連付けてさらに取得し、
前記容器情報取得手段は、前記容器の出荷に関する出荷情報を、当該容器の容器識別情報に関連付けてさらに取得し、
前記登録手段は、前記物体情報取得手段により取得された固有画像情報に対応する前記容器識別情報に、当該固有画像情報に関連付けられた製造情報及び当該容器識別情報に関連付けられた出荷情報をそれぞれ関連付けて登録する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の物体情報管理システム。
【請求項4】
識別対象の物体の表面パターンを撮像した撮像画像と、当該物体を格納した容器の容器識別情報とを受け付ける受付手段と、
前記登録手段により前記受け付けた容器識別情報に関連付けて登録された固有画像情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された固有画像情報と、前記受け付けた撮像画像とをそれぞれ照合した結果を出力する出力手段と、をさらに含む
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の物体情報管理システム。
【請求項5】
前記製造工程において前記容器に格納した前記物体を移し替える出荷用の出荷容器を識別する出荷容器識別情報を、前記容器の容器識別情報と関連付けて取得する出荷容器情報取得手段をさらに含み、
前記登録手段は、前記物体情報取得手段により取得された固有画像情報に対応する前記容器識別情報と、当該容器識別情報に関連付けて前記出荷容器情報取得手段により取得された前記出荷容器識別情報とをそれぞれ関連付けて登録する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の物体情報管理システム。
【請求項6】
識別対象の物体の表面パターンを撮像した撮像画像と、当該物体を格納した出荷容器の出荷容器識別情報とを受け付ける受付手段と、
前記登録手段により前記受け付けた出荷容器識別情報に関連付けて登録された固有画像情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された固有画像情報と、前記受け付けた撮像画像とをそれぞれ照合した結果を出力する出力手段と、をさらに含む
ことを特徴とする請求項5に記載の物体情報管理システム。
【請求項7】
それぞれ表面に固有のパターンを有する物体ごとに、当該物体の製造工程において当該物体を容器に格納する前の予め定められた撮像地点で当該物体の表面のパターンを撮像した固有画像情報と撮像時間とを関連付けて取得する物体情報取得手段と、
前記物体を格納した前記容器を識別する容器識別情報と、当該物体を当該容器に格納した時間範囲とを関連付けて取得する容器情報取得手段と、
前記物体ごとに、当該物体が撮像されてから前記容器に格納されるまでの時間差と、当該物体の固有画像情報に関連付けられた撮像時間と、当該物体を格納する容器の容器識別情報に関連付けられた時間範囲とに基づいて、前記物体情報取得手段により取得された固有画像情報に対応する前記容器識別情報を関連付けて登録する登録手段
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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