物体検知装置
【課題】 受信レベルが異なる二つのターゲットが並走しているとき、受信レベルが低い方のターゲットがゴーストターゲットであると誤判定されるのを防止する。
【解決手段】 ゴーストターゲット候補判定手段M5は、二つのターゲットの自車からの距離が同等であって受信レベル差が所定値以上の場合に、一方のターゲットが他方のターゲットのゴーストターゲット候補であると判定し、並走ターゲット判定手段M6は、二つのターゲットの自車からの距離変化に応じた角度差および左右位置差の変化に基づき、一方のターゲットが他方のターゲットの並走ターゲットであると判定し、ゴーストターゲット判定手段M7は、ゴーストターゲット候補のうちから並走ターゲットデータを削除したものをゴーストターゲットであると判定するので、ゴーストターゲットを精度良く判定しながら、並走ターゲットをゴーストターゲットと誤認するのを未然に防止することができる。
【解決手段】 ゴーストターゲット候補判定手段M5は、二つのターゲットの自車からの距離が同等であって受信レベル差が所定値以上の場合に、一方のターゲットが他方のターゲットのゴーストターゲット候補であると判定し、並走ターゲット判定手段M6は、二つのターゲットの自車からの距離変化に応じた角度差および左右位置差の変化に基づき、一方のターゲットが他方のターゲットの並走ターゲットであると判定し、ゴーストターゲット判定手段M7は、ゴーストターゲット候補のうちから並走ターゲットデータを削除したものをゴーストターゲットであると判定するので、ゴーストターゲットを精度良く判定しながら、並走ターゲットをゴーストターゲットと誤認するのを未然に防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を送信し該電磁波がターゲットにより反射された反射波を受信することにより前記ターゲットを検知する物体検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダー装置から送信されるレーダービームがレドームに付着した氷の結晶のプリズム作用で屈折し、メインビームと異なる方向にゴーストビームが出力された場合、メインビームおよびゴーストビームがターゲットに反射した二つの反射波の両方が受信されることで、本来のターゲットに加えてゴーストターゲットが検知されてしまい、実際には存在しないゴーストターゲットが誤検知される可能性がある。
【0003】
そこで、本来のターゲットの距離およびゴーストターゲットの距離が一致していることと、本来のターゲットの反射波の受信レベルよりもゴーストターゲットの反射波の受信レベルの方が低いこととに基づいて、ゴーストデータを削除することでゴーストターゲットの誤検知を回避するものが、下記特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3676625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レーダー装置がゴーストターゲットを検知する理由は幾つか考えられる。
【0006】
一つ目は、図5(A)に示すように、レーダー装置では、メインビームの方向に対して左右方向に所定角度(一般的に4°程度)を有するサイドローブビームが出力されてしまうことである。サイドローブビームはメインビームに比べて弱いものであるが、その反射波が受信された場合にゴーストターゲットが検知されることになる。
【0007】
二つ目は、図5(B)に示すように、レドームの表面に付着した氷の結晶やレドームの表面の傷等がプリズムの役目を果たし、メインビームに対して左右方向に所定角度を有するゴーストビームが出力されてしまうことである。このゴーストビームはメインビームに比べて弱いものであるが、その反射波が受信された場合にゴーストターゲットが検知されることになる。
【0008】
三つ目は、図5(C)に示すように、メインビームがガードレール等の路側物に反射して方向が変わり、その反射波が更にターゲットに反射した後に受信されるとゴーストターゲットが検知されることになる。
【0009】
次に、図6に基づいて、サイドローブビームによりゴーストターゲットが検知される理由を詳しく説明する。
【0010】
図6(A)に示すように、検知すべき先行車が自車線の左隣車線を走行しており、車体前方に対して左4°方向を指向するメインビームが先行車を検知している場合、メインビームの方向に対して左4°方向を指向するサイドローブビームは先行車に反射されないため、ゴーストターゲットは検知されない。
【0011】
図6(B)に示すように、メインビームが右方向にスキャンして車体前方を指向したとき、メインビームは先行車に反射されない代わりに、サイドローブビームが先行車に反射されるため、メインビームの方向(車体前方)に先行車のゴーストターゲットが検知される。
【0012】
図6(C)に示すように、上記二つの状態を合わせた1サイクル分のデータには、左隣車線の実データと、自車線のゴーストデータとが含まれるため、それら二つの車線に2台の先行車が同一距離および同一速度で並走していると誤認識され、自車線のゴーストターゲットへの接近を回避すべく不必要な減速制御が行われ、運転者に違和感を与える可能性があった。
【0013】
図6(D)に示すように、上記特許文献1に記載された発明では、検知距離が同じであり、受信レベルに一定のレベル差がある二つのデータのうち、受信レベルが低い方のデータをゴーストデータとして削除することで、上記不具合を解消している。
【0014】
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明は、特定の状況において、図7に基づいて説明するような新たな不具合が発生する可能性があった。
【0015】
図7(A)に示すように、左隣車線のトラックと自車線の乗用車とが同一距離および同一速度で並走しているとき、左4°方向を指向するメインビームがトラックを検知したとする。
【0016】
図7(B)に示すように、メインビームが右方向にスキャンして車体前方を指向したとき、今度は自車線に存在する乗用車が検知される。
【0017】
図7(C)に示すように、上記二つの状態を合わせた1サイクル分のデータには、左隣車線のトラックの受信レベルが高いデータと、自車線の乗用車の受信レベルが低いデータとが含まれ、かつ両データの検知距離が同じであるため、上述した図6(D)と類似の状態となり、実データである乗用車のデータがゴーストデータとして削除される可能性があった。
【0018】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、受信レベルが異なる二つのターゲットが並走しているとき、受信レベルが低い方のターゲットがゴーストターゲットであると誤判定されるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、電磁波を送信し該電磁波がターゲットにより反射された反射波を受信することにより前記ターゲットを検知する物体検知装置において、二つのターゲットの自車からの距離が同等であり、かつ前記二つのターゲットの受信レベル差が所定値以上の場合に、一方のターゲットが他方のターゲットのゴーストターゲット候補であると判定するゴーストターゲット候補判定手段と、前記二つのターゲットの自車からの距離の変化に応じた該二つのターゲットの角度差および左右位置差の変化に基づいて、前記一方のターゲットが前記他方のターゲットの並走ターゲットであると判定する並走ターゲット判定手段と、前記ゴーストターゲット候補判定手段で判定したゴーストターゲット候補のうちから、前記並走ターゲット判定手段で判定した並走ターゲットを削除したものをゴーストターゲットであると判定するゴーストターゲット判定手段とを備えることを特徴とする物体検知装置が提案される。
【0020】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記並走ターゲット判定手段は、前記二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに、該二つのターゲットの角度差が変化し、かつ左右位置差が変化しない場合に、前記一方のターゲットが前記他方のターゲットの並走ターゲットであると判定することを特徴とする物体検知装置が提案される。
【0021】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記並走ターゲット判定手段は、前記二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに、該二つのターゲットの角度差が変化せず、かつ左右位置差が変化する場合に、前記一方のターゲットが前記他方のターゲットの並走ターゲットでないと判定することを特徴とする物体検知装置が提案される。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の構成によれば、ゴーストターゲット候補判定手段は、二つのターゲットの自車からの距離が同等であり、かつ二つのターゲットの受信レベル差が所定値以上の場合に、一方のターゲットが他方のターゲットのゴーストターゲット候補であると判定し、並走ターゲット判定手段は、二つのターゲットの自車からの距離の変化に応じた該二つのターゲットの角度差および左右位置差の変化に基づいて、一方のターゲットが他方のターゲットの並走ターゲットであると判定し、ゴーストターゲット判定手段は、ゴーストターゲット候補判定手段で判定したゴーストターゲット候補のうちから、並走ターゲット判定手段で判定した並走ターゲットを削除したものをゴーストターゲットであると判定するので、ゴーストターゲットを精度良く判定しながら、並走ターゲットをゴーストターゲットと誤認するのを未然に防止することができる。
【0023】
また請求項2の構成によれば、並走ターゲット判定手段は、二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに角度差が変化して左右位置差が変化しない場合に、一方のターゲットが他方のターゲットの並走ターゲットであると判定するので、並走ターゲットを精度良く判定することができる。
【0024】
また請求項3の構成によれば、並走ターゲット判定手段は、二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに角度差が変化せずに左右位置差が変化する場合に、一方のターゲットが他方のターゲットの並走ターゲットでない判定するので、ゴーストターゲットを精度良く判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】物体検知装置の全体構成図。
【図2】ミリ波レーダー装置の構造を示す図
【図3】送受信手段に対して物体が接近移動しているときの送受信波の波形およびピーク周波数を示すグラフ。
【図4】図3に対応するピーク信号を示すグラフ。
【図5】ゴーストターゲットが検知される理由の説明図。
【図6】従来のゴーストターゲットを削除するロジックの説明図。
【図7】従来のロジックの問題点の説明図。
【図8】本願発明のゴーストターゲットを削除するロジックの説明図。
【図9】本願発明の並走車両を判定するロジックの説明図。
【図10】メインルーチンのフローチャート。
【図11】メインルーチンのステップS4のサブルーチンのフローチャート。
【図12】ステップS26のサブルーチンのフローチャート。
【図13】メインルーチンのステップS5のサブルーチンのフローチャート。
【図14】メインルーチンのステップS6のサブルーチンのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図1〜図14に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1に示すように、FM・CW型レーダー装置Rは、送受信手段M1と、物体情報算出手段M2と、今回検知メモリM3と、前回検知メモリM4と、ゴーストターゲット候補判定手段M5と、並走ターゲット判定手段M6と、ゴーストターゲット判定手段M7と、今回出力メモリM8とを備える。物体情報算出手段M2には車速センサSaおよびヨーレートセンサSbが接続され、今回出力メモリM8には車間距離制御装置の車両制御手段M9が接続され、車両制御手段M9にはブレーキアクチュエータAaおよびスロットルアクチュエータAbが接続される
次に、図2〜図4に基づいて、FM・CW型レーダー装置Rの構造を説明する。
【0028】
図2に示すように、送受信手段M1は、タイミング信号生成回路1、FM変調制御回路2、発振器3、アンプ4、サーキュレータ5および送受信アンテナ6で構成される。タイミング信号生成回路1から入力されるタイミング信号に基づいて、FM変調制御回路2により発振器3の発振作動が変調制御され、図3(A)に実線で示すように周波数が三角波状に変調され、発振器3からの変調された送波信号がアンプ4およびサーキュレータ5を介して送受信アンテナ6に入力され、送受信アンテナ6からFM・CW波が送信される。送受信アンテナ6の前方に先行車等の物体が存在すると、該物体で反射された反射波が送受信アンテナ6で受信される。この反射波は、例えば、前方の物体が接近してくる場合には、図3(A)に破線で示すように出現するものであり、送信波が直線的に増加する上昇側では送信波よりも低い周波数で送信波から遅れて出現し、また送信波が直線的に減少する下降側では送信波よりも高い周波数で送信波から遅れて出現する。
【0029】
レーダー装置Rは、更にミキサ7、アンプ8、アンプ9、A/Dコンバータ10、メモリ11および演算処理装置Cを備える。演算処理装置Cは、前記物体情報算出手段M2、今回検知メモリM3、前回検知メモリM4、ゴーストターゲット候補判定手段M5、並走ターゲット判定手段M6、ゴーストターゲット判定手段M7および今回出力メモリM8を構成する。
【0030】
送受信アンテナ6で受信した受信波はサーキュレータ5を介してミキサ7に入力される。ミキサ7には、サーキュレータ5からの受信波の他に発振器3から出力される送信波から分配された送信波がアンプ8を介して入力されており、ミキサ7で送信波および受信波が混合されることにより、図3(B)に示すように、送信波の周波数が直線的に増加する上昇側でピーク周波数Fupを有し、送信波の周波数が直線的に減少する下降側でピーク周波数Fdnを有するビート信号が生成される。
【0031】
ミキサ7で得られたビート信号はアンプ9で必要なレベルの振幅に増幅され、A/Dコンバータ10によりサンプリングタイム毎にA/D変換され、デジタル化されたデータがメモリ11に時系列的に記憶保持される。このメモリ11には、タイミング信号生成回路1からタイミング信号が入力されており、そのタイミング信号に応じてメモリ11は、送受信波の周波数が増加する上昇側および前記周波数が減少する下降側毎にデータを記憶保持することになる。
【0032】
前記メモリ11に記憶されたデータに基づいて、演算処理装置Cは、後述するように自車を基準とする物体の検知角度、距離および相対速を算出するとともに、電子制御ユニットUに通信する。電子制御ユニットUで構成される車両制御手段M9は、演算処理装置Cからの信号を受けて、先行車との車間距離を一定に維持すべく、ブレーキアクチュエータAaやスロットルアクチュエータAbの作動を制御する。
【0033】
尚、レーダー装置Rによるターゲットの検知は、例えば100msecのサイクルで行われる。
【0034】
演算処理装置Cの物体情報算出手段M2は、メモリ11に記憶されたビート信号のデータをFFT(高速フーリエ変換)により周波数分析してスペクトル分布を求め、そのスペクトルデータを基に検知レベルが所定の閾値以上で極大値となるスペクトル(ピーク信号)を検出する。図4(A)に示す上昇側のピーク信号と図4(B)に示す下降側のピーク信号とは、物体との相対速が「0」であるときのピーク位置を挟んで対称的に検知される。そして上昇側のピーク周波数Fupおよび下降側のピーク周波数Fdnに基づいて、物体の距離および相対速を算出する。具体的には、両ピーク周波数Fup,Fdnの和に基づいて物体までの距離を算出し、両ピーク周波数Fup,Fdnの差に基づいて物体との相対速を算出する。また物体が検知されたときの送信波の送信方向に基づいて物体の角度(方向)を算出する。
【0035】
【表1】
【0036】
表1に示すように、今回検知メモリM3の内容は今回検知データと過去履歴データとに分かれており、今回検知データの欄には、ターゲットNo. 、検知角度、距離、相対速、受信レベル、引継ぎカウンタ、外挿カウンタ、ゴースト処理済フラグ、メインターゲットNo. 、ゴーストターゲットNo. 、ゴースト確定フラグ、角度差および左右位置差の各データが記憶される。過去履歴データの欄には、後述するゴーストターゲット候補から並走車両を識別するための距離、角度差および左右位置差の各データが、1サイクル毎に9サイクル分記憶される。
【0037】
前回検知メモリM4には、1サイクルが経過する毎に今回検知メモリM3のデータが移動され、また前回検知メモリM4のデータのうちの必要なものが、今回検知メモリM3のデータに引き継がれる。
【0038】
ゴーストターゲット候補判定手段M5は、自車からの距離が等しく、かつ受信レベルが異なる二つのターゲットのうち、受信レベルが低い側のターゲットをゴーストターゲット候補として抽出する。並走ターゲット判定手段M6は、前記ゴーストターゲット候補のうち、トラックのような大型車両に並走する乗用車のような小型車両を抽出する。ゴーストターゲット判定手段M7は、ゴーストターゲット候補から前記並走車両を削除し、真のゴーストターゲットだけを抽出する。
【0039】
【表2】
【0040】
表2に示すように、今回出力メモリM8には、全てのターゲットデータのうちから、真のゴーストデータを削除した、真のターゲットデータだけが記憶される。その具体的な内容は、ターゲットNo. 、検知角度、距離、相対速、引継ぎカウンタおよび外挿カウンタで構成される。
【0041】
そして電子制御ユニットUで構成される車両制御手段M9は、演算処理装置Cの今回出力メモリM8の記憶データに基づいて、例えば先行車との車間距離を一定に維持すべく、ブレーキアクチュエータAaやスロットルアクチュエータAbの作動を制御する。
【0042】
次に、サイドローブビームにより発生するゴーストデータを判別する原理を、図8および表3を参照して説明する。
【0043】
【表3】
【0044】
Time1で、メインビームの方向にゴーストデータが検知され、サイドローブビームの方向に実データが検知されたとする、両データの距離は共に60mであり、両データの左右位置差は4.2mである。Time2で、両データの距離は共に50mに減少し、その距離の減少に応じて両データの左右位置差は3.5mに減少する。Time3で、両データの距離は共に40mに減少し、その距離の減少に応じて両データの左右位置差は2.8mに減少する。Time4で、両データの距離は共に30mに減少し、その距離の減少に応じて両データの左右位置差は2.1mに減少する。Time1からTime4まで、両データの角度差はメインビームとサイドローブビームとの角度差である4°に固定されている。
【0045】
このように、二つのデータの自車からの距離が接近あるいは離間するときに、二つのデータの角度差が変化しないのに、前記距離が小さいときほど左右位置差が減少し、あるいは前記距離が大きいときほど左右位置差が増加する場合には、サイドローブビームによるゴーストデータが検知されていると判断することができる。
【0046】
次に、大小2台の車両の並走している状態を判別する原理を、図9および表4を参照して説明する。
【0047】
【表4】
【0048】
Time1で、左隣車線の方向に大型のトラックが検知され、自車線の方向に小型の乗用車が検知されたとする。両データの距離は共に60mであり、両データの角度差は3.3°である。Time2で、両データの距離は共に50mに減少し、その距離の減少に応じて両データの角度差は4°に増加する。Time3で、両データの距離は共に40mに減少し、その距離の減少に応じて両データの角度差は5°に増加する。Time4で、両データの距離は共に30mに減少し、その距離の減少に応じて両データの角度差は6.7°に増加する。Time1からTime4まで、両データの左右位置差は一定の3.5mに固定されている。
【0049】
このように、二つのデータの自車からの距離が接近あるいは離間するときに、二つのデータの左右位置差が変化しないのに、前記距離が小さいときほど角度差が増加し、あるいは前記距離が大きいときほど角度差が減少する場合には、大小2台の車両が並走していると判断することができる。よって、受信レベルが小さい方のデータがゴーストデータであると誤判定されて削除されるのを防止することができる。
【0050】
だたし、1回目の検知では角度差の変化分および左右位置差の変化分を算出することができないため、1回目の検知では乗用車のデータはゴーストデータとして削除されてしまうが、2回目以降に連続して検知された場合には並走車両のデータとして削除されずに出力される。
【0051】
次に、上記作用を図10〜図14のフローチャートに基づいて更に説明する。
【0052】
先ず、図10のフローチャートのステップS1で車輪速や車両のヨーレート等の車両状況をレーダー装置Rに送信する。続くステップS2でターゲットからの反射波を検知し、ターゲットの検知角度、距離、相対速、受信レベルを算出し、それらのデータを今回検知メモリに記憶する。続くステップS3で今回検知データと前回検知データとの間で引継ぎ処理する。
【0053】
続いて、ステップS4でゴーストターゲット候補判定サブフローを実行し、ステップS5で並走ターゲット判定サブフローを実行し、ステップS6でゴーストターゲット判定サブフローを実行し、ステップS7で今回出力メモリのターゲットデータを車両制御手段M9に出力する。
【0054】
次に、前記ステップS4(ゴーストターゲット判定サブフロー)の内容を、図11に基づいて説明する。
【0055】
先ずステップS21でゴースト処理済フラグ=OFF(ゴースト処理が未処理)の今回ターゲットを今回検知メモリM3から読み出し、ステップS22で前記読み出したターゲットの受信レベルが第1基準レベル以上であれば、ステップS23でゴースト処理済フラグ=OFF(ゴースト処理が未処理)の他のターゲットを読み出す。前記ステップS22で受信レベルが第1基準レベル以上のターゲットを選択するのは、受信レベルが第1基準レベル未満のターゲットからはゴーストデータが得られないからである。
【0056】
続くステップS24で二つのターゲットの距離差が0.75m以下であり、かつ二つのターゲットの相対速差が1km/h以下であり、かつ受信レベル差が6dB以上であり、かつステップS25で前記後から読み出したターゲットの受信レベルが前記第1基準レベルよりも小さい第2基準レベル以下であれば、受信レベルの高いターゲットと略同距離かつ略同車速で受信レベルの低いゴーストらしきターゲットが存在すると判断し、ステップS26でゴーストデータ処理サブフローを実行する。
【0057】
次に、前記ステップS26(ゴーストデータ処理サブフロー)の内容を、図12に基づいて説明する。
【0058】
先ずステップS41で前記最初に読み出した今回ターゲットのゴースト処理済フラグをONする。続くステップS42で前記最初に読み出した今回ターゲットがメインターゲットNo. =0(今回初めて検知されて未だ引継ぎ処理されていないターゲット)であれば、ステップS43でメインターゲットNo. に未使用の番号を割り当てる。前記ステップS43でメインターゲットであることが確定したため、ステップS44でゴーストターゲットNo. を強制的に0とする。続くステップS45でメインターゲットNo. =0であって引き継がれたターゲットでないことから、今回検知メモリのt−n距離、t−n角度差、t−n左右位置差を全てクリアする(表1参照)。つまり、今回検知データの過去履歴データを全てクリアする。そしてステップS46で前記最初に読み出した今回ターゲットがメインターゲットであってゴーストターゲットでないため、ゴースト確定フラグをOFFする。
【0059】
前記ステップS42で前記最初に読み出した今回ターゲットがメインターゲットNo. =0でなく、引継ぎターゲットである場合、あるいは前記ステップS43〜S46を経由した場合、ステップS47で前記後から読み出した今回ターゲットのゴースト処理済フラグをONした後、ステップS48で前記後から読み出した今回ターゲットのゴーストターゲットNo. がメインターゲットNo. と一致していれば、つまりメインおよびゴーストの親子関係が確定していれば、ステップS53で二つのターゲットの検知方向の角度差を算出して今回検知メモリM3の角度差に記憶するとともに、ステップS54で二つのターゲットの左右方向の距離である左右位置差を算出して今回検知メモリM3の角度差に記憶する。
【0060】
前記ステップS48で、前記後から読み出した今回ターゲットのゴーストターゲットNo. がメインターゲットNo. と一致していなければ、つまりメインおよびゴーストの親子関係が確定していなければ、ステップS49でメインおよびゴーストの関係が今回確定したと判断してゴーストターゲットNo. をメインターゲットNo. とし、ステップS50でメインターゲットNo. を0とする。
【0061】
続くステップS51でメインターゲットNo. =0であって引き継がれたターゲットでないことから、今回検知メモリのt−n距離、t−n角度差、t−n左右位置差を全てクリアする(表1参照)。つまり、今回検知データの過去履歴データを全てクリアする。そしてステップS52で後から読み出した今回ターゲットがゴーストターゲットであってメインターゲットでないため、ゴースト確定フラグをONした後、上述したステップS53,S54を実行する。
【0062】
図11のフローチャートに戻り、ステップS27でゴースト処理済フラグ=OFFの全ての他のターゲットを読み出すまで前記ステップS23〜S26を繰り返し、ステップS28でゴースト処理済フラグ=OFFの全ての今回ターゲットを読み出すまで前記ステップS21〜S27を繰り返す。
【0063】
次に、前記ステップS5(並走ターゲット判定サブフロー)の内容を、図13に基づいて説明する。
【0064】
先ずステップS61で削除の対象となり得るゴーストターゲットNo. を持つターゲットを今回メモリM3から呼び出し、ステップS62でそのターゲットが前回データを引き継いだターゲットでなければ、並走ターゲットであるか否かの判断がつかないため、ステップS63〜S69をスキップする。
【0065】
前記ステップS62でそのターゲットが前回データを引き継いだターゲットであれば、ステップS63で今回検知データおよび過去履歴データの中で、最も距離が遠いものの距離、角度差および左右位置差を読み出し、ステップS64で今回検知データおよび過去履歴データの中で、最も距離が近いものの距離、角度差および左右位置差を読み出す。
【0066】
そしてステップS65で「最も遠い距離」−「最も近い距離」の差が5m以上であってゴーストターゲットであるか並走ターゲットであるかの識別が可能であるとき、ステップS66で「最も遠い距離の角度差」−「最も近い距離の角度差」が−0.3°以下であるか、あるいはステップS67で「最も遠い距離の角度差」−「最も近い距離の角度差」が0.3°以上であり、かつステップS68で「最も遠い距離の左右位置差」−「最も近い距離の左右位置差」が−0.5m以上で0.5m以下であれば、ステップS69でゴーストターゲットは実際は並走ターゲットであると判断してゴースト確定フラグをOFFする。そしてステップS70で全てのゴーストターゲットNo. を持つターゲットを呼び出すまで、前記ステップS61〜S69を繰り返す。
【0067】
【表5】
【0068】
表5は前記ステップS66〜S69の作用を纏めたものである。
【0069】
最も距離が遠いデータと最も距離が近いデータとを比較したとき、それらのターゲットとの距離が変化したときに、「角度差」が変わらず、かつ「左右位置差」が変わらない場合には、ゴーストターゲットであるか並走ターゲットであるかの判断がつかないため、ゴースト確定フラグはONのままとする。
【0070】
最も距離が遠いデータと最も距離が近いデータとを比較したとき、「角度差」が変わらず、かつ「左右位置差」が変化した場合には、ゴーストターゲット候補であったものが間違いなくゴーストターゲットであると判断されるため、ゴースト確定フラグはONとする。
【0071】
最も距離が遠いデータと最も距離が近いデータとを比較したとき、「角度差」が変化し、「左右位置差」が変わらない場合には、ゴーストターゲット候補であったものが実は並走ターゲットであると判断されるため、ゴースト確定フラグはOFFされる。
【0072】
最も距離が遠いデータと最も距離が近いデータとを比較したとき、「角度差」が変化し、かつ「左右位置差」が変化した場合には、ゴーストターゲットであるか並走ターゲットであるかの判断がつかないため、ゴースト確定フラグはONのままとする。
【0073】
次に、前記ステップS6(ゴーストターゲット判定サブフロー)の内容を、図14に基づいて説明する。
【0074】
先ずステップS81で今回検知メモリM3のターゲット情報を読み出し、ステップS82でターゲットの引継ぎ回数を記憶する引継ぎカウンタが1以上であり、ステップS83でゴースト確定フラグがOFFでゴーストターゲットでなければ、ステップS84でターゲット情報を今回出力メモリM8に記憶する。そしてステップS85で全ての今回検知メモリM3のターゲット情報を読み出すまで、前記ステップS81〜S84を繰り返す。
【0075】
以上のように、ゴーストターゲット候補判定手段M5は、二つのターゲットの自車からの距離が同等であり、かつ二つのターゲットの受信レベル差が所定値以上の場合に、一方のターゲットが他方のターゲットのゴーストターゲット候補であると判定し、並走ターゲット判定手段M6は、二つのターゲットの自車からの距離の変化に応じた該二つのターゲット角度差および左右位置差の変化に基づいて、一方のターゲットが他方のターゲットの並走ターゲットであると判定し、ゴーストターゲット判定手段M7は、ゴーストターゲット候補判定手段M5で判定したゴーストターゲット候補のうちから、並走ターゲット判定手段M6で判定した並走ターゲットデータを削除したものを真のゴーストターゲットであると判定するので、ゴーストターゲットを精度良く判定しながら、並走ターゲットをゴーストターゲットと誤認するのを未然に防止することができる。
【0076】
特に、並走ターゲット判定手段M6は、二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに角度差が変化して左右位置差が変化しない場合に、一方のターゲットが他方のターゲットの並走ターゲットであると判定するので、並走ターゲットを精度良く判定することができ、また二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに角度差が変化せずに左右位置差が変化する場合に、一方のターゲットが他方のターゲットの並走ターゲットでない判定するので、ゴーストターゲットを精度良く判定することができる。
【0077】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0078】
例えば、実施の形態では車両制御手段M9として車間距離制御装置を例示したが、車両制御手段M9は、接触被害軽減支援システムやACCシステム(アダプティブ・クルーズ・コントロール・システム)であっても良い。
【0079】
また実施の形態ではレーダー装置Rとしてミリ波レーダーを例示したが、レーザーレーダー等の他の手段を採用することができる。
【符号の説明】
【0080】
M5 ゴーストターゲット候補判定手段
M6 並走ターゲット判定手段
M7 ゴーストターゲット判定手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を送信し該電磁波がターゲットにより反射された反射波を受信することにより前記ターゲットを検知する物体検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダー装置から送信されるレーダービームがレドームに付着した氷の結晶のプリズム作用で屈折し、メインビームと異なる方向にゴーストビームが出力された場合、メインビームおよびゴーストビームがターゲットに反射した二つの反射波の両方が受信されることで、本来のターゲットに加えてゴーストターゲットが検知されてしまい、実際には存在しないゴーストターゲットが誤検知される可能性がある。
【0003】
そこで、本来のターゲットの距離およびゴーストターゲットの距離が一致していることと、本来のターゲットの反射波の受信レベルよりもゴーストターゲットの反射波の受信レベルの方が低いこととに基づいて、ゴーストデータを削除することでゴーストターゲットの誤検知を回避するものが、下記特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3676625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レーダー装置がゴーストターゲットを検知する理由は幾つか考えられる。
【0006】
一つ目は、図5(A)に示すように、レーダー装置では、メインビームの方向に対して左右方向に所定角度(一般的に4°程度)を有するサイドローブビームが出力されてしまうことである。サイドローブビームはメインビームに比べて弱いものであるが、その反射波が受信された場合にゴーストターゲットが検知されることになる。
【0007】
二つ目は、図5(B)に示すように、レドームの表面に付着した氷の結晶やレドームの表面の傷等がプリズムの役目を果たし、メインビームに対して左右方向に所定角度を有するゴーストビームが出力されてしまうことである。このゴーストビームはメインビームに比べて弱いものであるが、その反射波が受信された場合にゴーストターゲットが検知されることになる。
【0008】
三つ目は、図5(C)に示すように、メインビームがガードレール等の路側物に反射して方向が変わり、その反射波が更にターゲットに反射した後に受信されるとゴーストターゲットが検知されることになる。
【0009】
次に、図6に基づいて、サイドローブビームによりゴーストターゲットが検知される理由を詳しく説明する。
【0010】
図6(A)に示すように、検知すべき先行車が自車線の左隣車線を走行しており、車体前方に対して左4°方向を指向するメインビームが先行車を検知している場合、メインビームの方向に対して左4°方向を指向するサイドローブビームは先行車に反射されないため、ゴーストターゲットは検知されない。
【0011】
図6(B)に示すように、メインビームが右方向にスキャンして車体前方を指向したとき、メインビームは先行車に反射されない代わりに、サイドローブビームが先行車に反射されるため、メインビームの方向(車体前方)に先行車のゴーストターゲットが検知される。
【0012】
図6(C)に示すように、上記二つの状態を合わせた1サイクル分のデータには、左隣車線の実データと、自車線のゴーストデータとが含まれるため、それら二つの車線に2台の先行車が同一距離および同一速度で並走していると誤認識され、自車線のゴーストターゲットへの接近を回避すべく不必要な減速制御が行われ、運転者に違和感を与える可能性があった。
【0013】
図6(D)に示すように、上記特許文献1に記載された発明では、検知距離が同じであり、受信レベルに一定のレベル差がある二つのデータのうち、受信レベルが低い方のデータをゴーストデータとして削除することで、上記不具合を解消している。
【0014】
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明は、特定の状況において、図7に基づいて説明するような新たな不具合が発生する可能性があった。
【0015】
図7(A)に示すように、左隣車線のトラックと自車線の乗用車とが同一距離および同一速度で並走しているとき、左4°方向を指向するメインビームがトラックを検知したとする。
【0016】
図7(B)に示すように、メインビームが右方向にスキャンして車体前方を指向したとき、今度は自車線に存在する乗用車が検知される。
【0017】
図7(C)に示すように、上記二つの状態を合わせた1サイクル分のデータには、左隣車線のトラックの受信レベルが高いデータと、自車線の乗用車の受信レベルが低いデータとが含まれ、かつ両データの検知距離が同じであるため、上述した図6(D)と類似の状態となり、実データである乗用車のデータがゴーストデータとして削除される可能性があった。
【0018】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、受信レベルが異なる二つのターゲットが並走しているとき、受信レベルが低い方のターゲットがゴーストターゲットであると誤判定されるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、電磁波を送信し該電磁波がターゲットにより反射された反射波を受信することにより前記ターゲットを検知する物体検知装置において、二つのターゲットの自車からの距離が同等であり、かつ前記二つのターゲットの受信レベル差が所定値以上の場合に、一方のターゲットが他方のターゲットのゴーストターゲット候補であると判定するゴーストターゲット候補判定手段と、前記二つのターゲットの自車からの距離の変化に応じた該二つのターゲットの角度差および左右位置差の変化に基づいて、前記一方のターゲットが前記他方のターゲットの並走ターゲットであると判定する並走ターゲット判定手段と、前記ゴーストターゲット候補判定手段で判定したゴーストターゲット候補のうちから、前記並走ターゲット判定手段で判定した並走ターゲットを削除したものをゴーストターゲットであると判定するゴーストターゲット判定手段とを備えることを特徴とする物体検知装置が提案される。
【0020】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記並走ターゲット判定手段は、前記二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに、該二つのターゲットの角度差が変化し、かつ左右位置差が変化しない場合に、前記一方のターゲットが前記他方のターゲットの並走ターゲットであると判定することを特徴とする物体検知装置が提案される。
【0021】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記並走ターゲット判定手段は、前記二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに、該二つのターゲットの角度差が変化せず、かつ左右位置差が変化する場合に、前記一方のターゲットが前記他方のターゲットの並走ターゲットでないと判定することを特徴とする物体検知装置が提案される。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の構成によれば、ゴーストターゲット候補判定手段は、二つのターゲットの自車からの距離が同等であり、かつ二つのターゲットの受信レベル差が所定値以上の場合に、一方のターゲットが他方のターゲットのゴーストターゲット候補であると判定し、並走ターゲット判定手段は、二つのターゲットの自車からの距離の変化に応じた該二つのターゲットの角度差および左右位置差の変化に基づいて、一方のターゲットが他方のターゲットの並走ターゲットであると判定し、ゴーストターゲット判定手段は、ゴーストターゲット候補判定手段で判定したゴーストターゲット候補のうちから、並走ターゲット判定手段で判定した並走ターゲットを削除したものをゴーストターゲットであると判定するので、ゴーストターゲットを精度良く判定しながら、並走ターゲットをゴーストターゲットと誤認するのを未然に防止することができる。
【0023】
また請求項2の構成によれば、並走ターゲット判定手段は、二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに角度差が変化して左右位置差が変化しない場合に、一方のターゲットが他方のターゲットの並走ターゲットであると判定するので、並走ターゲットを精度良く判定することができる。
【0024】
また請求項3の構成によれば、並走ターゲット判定手段は、二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに角度差が変化せずに左右位置差が変化する場合に、一方のターゲットが他方のターゲットの並走ターゲットでない判定するので、ゴーストターゲットを精度良く判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】物体検知装置の全体構成図。
【図2】ミリ波レーダー装置の構造を示す図
【図3】送受信手段に対して物体が接近移動しているときの送受信波の波形およびピーク周波数を示すグラフ。
【図4】図3に対応するピーク信号を示すグラフ。
【図5】ゴーストターゲットが検知される理由の説明図。
【図6】従来のゴーストターゲットを削除するロジックの説明図。
【図7】従来のロジックの問題点の説明図。
【図8】本願発明のゴーストターゲットを削除するロジックの説明図。
【図9】本願発明の並走車両を判定するロジックの説明図。
【図10】メインルーチンのフローチャート。
【図11】メインルーチンのステップS4のサブルーチンのフローチャート。
【図12】ステップS26のサブルーチンのフローチャート。
【図13】メインルーチンのステップS5のサブルーチンのフローチャート。
【図14】メインルーチンのステップS6のサブルーチンのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図1〜図14に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1に示すように、FM・CW型レーダー装置Rは、送受信手段M1と、物体情報算出手段M2と、今回検知メモリM3と、前回検知メモリM4と、ゴーストターゲット候補判定手段M5と、並走ターゲット判定手段M6と、ゴーストターゲット判定手段M7と、今回出力メモリM8とを備える。物体情報算出手段M2には車速センサSaおよびヨーレートセンサSbが接続され、今回出力メモリM8には車間距離制御装置の車両制御手段M9が接続され、車両制御手段M9にはブレーキアクチュエータAaおよびスロットルアクチュエータAbが接続される
次に、図2〜図4に基づいて、FM・CW型レーダー装置Rの構造を説明する。
【0028】
図2に示すように、送受信手段M1は、タイミング信号生成回路1、FM変調制御回路2、発振器3、アンプ4、サーキュレータ5および送受信アンテナ6で構成される。タイミング信号生成回路1から入力されるタイミング信号に基づいて、FM変調制御回路2により発振器3の発振作動が変調制御され、図3(A)に実線で示すように周波数が三角波状に変調され、発振器3からの変調された送波信号がアンプ4およびサーキュレータ5を介して送受信アンテナ6に入力され、送受信アンテナ6からFM・CW波が送信される。送受信アンテナ6の前方に先行車等の物体が存在すると、該物体で反射された反射波が送受信アンテナ6で受信される。この反射波は、例えば、前方の物体が接近してくる場合には、図3(A)に破線で示すように出現するものであり、送信波が直線的に増加する上昇側では送信波よりも低い周波数で送信波から遅れて出現し、また送信波が直線的に減少する下降側では送信波よりも高い周波数で送信波から遅れて出現する。
【0029】
レーダー装置Rは、更にミキサ7、アンプ8、アンプ9、A/Dコンバータ10、メモリ11および演算処理装置Cを備える。演算処理装置Cは、前記物体情報算出手段M2、今回検知メモリM3、前回検知メモリM4、ゴーストターゲット候補判定手段M5、並走ターゲット判定手段M6、ゴーストターゲット判定手段M7および今回出力メモリM8を構成する。
【0030】
送受信アンテナ6で受信した受信波はサーキュレータ5を介してミキサ7に入力される。ミキサ7には、サーキュレータ5からの受信波の他に発振器3から出力される送信波から分配された送信波がアンプ8を介して入力されており、ミキサ7で送信波および受信波が混合されることにより、図3(B)に示すように、送信波の周波数が直線的に増加する上昇側でピーク周波数Fupを有し、送信波の周波数が直線的に減少する下降側でピーク周波数Fdnを有するビート信号が生成される。
【0031】
ミキサ7で得られたビート信号はアンプ9で必要なレベルの振幅に増幅され、A/Dコンバータ10によりサンプリングタイム毎にA/D変換され、デジタル化されたデータがメモリ11に時系列的に記憶保持される。このメモリ11には、タイミング信号生成回路1からタイミング信号が入力されており、そのタイミング信号に応じてメモリ11は、送受信波の周波数が増加する上昇側および前記周波数が減少する下降側毎にデータを記憶保持することになる。
【0032】
前記メモリ11に記憶されたデータに基づいて、演算処理装置Cは、後述するように自車を基準とする物体の検知角度、距離および相対速を算出するとともに、電子制御ユニットUに通信する。電子制御ユニットUで構成される車両制御手段M9は、演算処理装置Cからの信号を受けて、先行車との車間距離を一定に維持すべく、ブレーキアクチュエータAaやスロットルアクチュエータAbの作動を制御する。
【0033】
尚、レーダー装置Rによるターゲットの検知は、例えば100msecのサイクルで行われる。
【0034】
演算処理装置Cの物体情報算出手段M2は、メモリ11に記憶されたビート信号のデータをFFT(高速フーリエ変換)により周波数分析してスペクトル分布を求め、そのスペクトルデータを基に検知レベルが所定の閾値以上で極大値となるスペクトル(ピーク信号)を検出する。図4(A)に示す上昇側のピーク信号と図4(B)に示す下降側のピーク信号とは、物体との相対速が「0」であるときのピーク位置を挟んで対称的に検知される。そして上昇側のピーク周波数Fupおよび下降側のピーク周波数Fdnに基づいて、物体の距離および相対速を算出する。具体的には、両ピーク周波数Fup,Fdnの和に基づいて物体までの距離を算出し、両ピーク周波数Fup,Fdnの差に基づいて物体との相対速を算出する。また物体が検知されたときの送信波の送信方向に基づいて物体の角度(方向)を算出する。
【0035】
【表1】
【0036】
表1に示すように、今回検知メモリM3の内容は今回検知データと過去履歴データとに分かれており、今回検知データの欄には、ターゲットNo. 、検知角度、距離、相対速、受信レベル、引継ぎカウンタ、外挿カウンタ、ゴースト処理済フラグ、メインターゲットNo. 、ゴーストターゲットNo. 、ゴースト確定フラグ、角度差および左右位置差の各データが記憶される。過去履歴データの欄には、後述するゴーストターゲット候補から並走車両を識別するための距離、角度差および左右位置差の各データが、1サイクル毎に9サイクル分記憶される。
【0037】
前回検知メモリM4には、1サイクルが経過する毎に今回検知メモリM3のデータが移動され、また前回検知メモリM4のデータのうちの必要なものが、今回検知メモリM3のデータに引き継がれる。
【0038】
ゴーストターゲット候補判定手段M5は、自車からの距離が等しく、かつ受信レベルが異なる二つのターゲットのうち、受信レベルが低い側のターゲットをゴーストターゲット候補として抽出する。並走ターゲット判定手段M6は、前記ゴーストターゲット候補のうち、トラックのような大型車両に並走する乗用車のような小型車両を抽出する。ゴーストターゲット判定手段M7は、ゴーストターゲット候補から前記並走車両を削除し、真のゴーストターゲットだけを抽出する。
【0039】
【表2】
【0040】
表2に示すように、今回出力メモリM8には、全てのターゲットデータのうちから、真のゴーストデータを削除した、真のターゲットデータだけが記憶される。その具体的な内容は、ターゲットNo. 、検知角度、距離、相対速、引継ぎカウンタおよび外挿カウンタで構成される。
【0041】
そして電子制御ユニットUで構成される車両制御手段M9は、演算処理装置Cの今回出力メモリM8の記憶データに基づいて、例えば先行車との車間距離を一定に維持すべく、ブレーキアクチュエータAaやスロットルアクチュエータAbの作動を制御する。
【0042】
次に、サイドローブビームにより発生するゴーストデータを判別する原理を、図8および表3を参照して説明する。
【0043】
【表3】
【0044】
Time1で、メインビームの方向にゴーストデータが検知され、サイドローブビームの方向に実データが検知されたとする、両データの距離は共に60mであり、両データの左右位置差は4.2mである。Time2で、両データの距離は共に50mに減少し、その距離の減少に応じて両データの左右位置差は3.5mに減少する。Time3で、両データの距離は共に40mに減少し、その距離の減少に応じて両データの左右位置差は2.8mに減少する。Time4で、両データの距離は共に30mに減少し、その距離の減少に応じて両データの左右位置差は2.1mに減少する。Time1からTime4まで、両データの角度差はメインビームとサイドローブビームとの角度差である4°に固定されている。
【0045】
このように、二つのデータの自車からの距離が接近あるいは離間するときに、二つのデータの角度差が変化しないのに、前記距離が小さいときほど左右位置差が減少し、あるいは前記距離が大きいときほど左右位置差が増加する場合には、サイドローブビームによるゴーストデータが検知されていると判断することができる。
【0046】
次に、大小2台の車両の並走している状態を判別する原理を、図9および表4を参照して説明する。
【0047】
【表4】
【0048】
Time1で、左隣車線の方向に大型のトラックが検知され、自車線の方向に小型の乗用車が検知されたとする。両データの距離は共に60mであり、両データの角度差は3.3°である。Time2で、両データの距離は共に50mに減少し、その距離の減少に応じて両データの角度差は4°に増加する。Time3で、両データの距離は共に40mに減少し、その距離の減少に応じて両データの角度差は5°に増加する。Time4で、両データの距離は共に30mに減少し、その距離の減少に応じて両データの角度差は6.7°に増加する。Time1からTime4まで、両データの左右位置差は一定の3.5mに固定されている。
【0049】
このように、二つのデータの自車からの距離が接近あるいは離間するときに、二つのデータの左右位置差が変化しないのに、前記距離が小さいときほど角度差が増加し、あるいは前記距離が大きいときほど角度差が減少する場合には、大小2台の車両が並走していると判断することができる。よって、受信レベルが小さい方のデータがゴーストデータであると誤判定されて削除されるのを防止することができる。
【0050】
だたし、1回目の検知では角度差の変化分および左右位置差の変化分を算出することができないため、1回目の検知では乗用車のデータはゴーストデータとして削除されてしまうが、2回目以降に連続して検知された場合には並走車両のデータとして削除されずに出力される。
【0051】
次に、上記作用を図10〜図14のフローチャートに基づいて更に説明する。
【0052】
先ず、図10のフローチャートのステップS1で車輪速や車両のヨーレート等の車両状況をレーダー装置Rに送信する。続くステップS2でターゲットからの反射波を検知し、ターゲットの検知角度、距離、相対速、受信レベルを算出し、それらのデータを今回検知メモリに記憶する。続くステップS3で今回検知データと前回検知データとの間で引継ぎ処理する。
【0053】
続いて、ステップS4でゴーストターゲット候補判定サブフローを実行し、ステップS5で並走ターゲット判定サブフローを実行し、ステップS6でゴーストターゲット判定サブフローを実行し、ステップS7で今回出力メモリのターゲットデータを車両制御手段M9に出力する。
【0054】
次に、前記ステップS4(ゴーストターゲット判定サブフロー)の内容を、図11に基づいて説明する。
【0055】
先ずステップS21でゴースト処理済フラグ=OFF(ゴースト処理が未処理)の今回ターゲットを今回検知メモリM3から読み出し、ステップS22で前記読み出したターゲットの受信レベルが第1基準レベル以上であれば、ステップS23でゴースト処理済フラグ=OFF(ゴースト処理が未処理)の他のターゲットを読み出す。前記ステップS22で受信レベルが第1基準レベル以上のターゲットを選択するのは、受信レベルが第1基準レベル未満のターゲットからはゴーストデータが得られないからである。
【0056】
続くステップS24で二つのターゲットの距離差が0.75m以下であり、かつ二つのターゲットの相対速差が1km/h以下であり、かつ受信レベル差が6dB以上であり、かつステップS25で前記後から読み出したターゲットの受信レベルが前記第1基準レベルよりも小さい第2基準レベル以下であれば、受信レベルの高いターゲットと略同距離かつ略同車速で受信レベルの低いゴーストらしきターゲットが存在すると判断し、ステップS26でゴーストデータ処理サブフローを実行する。
【0057】
次に、前記ステップS26(ゴーストデータ処理サブフロー)の内容を、図12に基づいて説明する。
【0058】
先ずステップS41で前記最初に読み出した今回ターゲットのゴースト処理済フラグをONする。続くステップS42で前記最初に読み出した今回ターゲットがメインターゲットNo. =0(今回初めて検知されて未だ引継ぎ処理されていないターゲット)であれば、ステップS43でメインターゲットNo. に未使用の番号を割り当てる。前記ステップS43でメインターゲットであることが確定したため、ステップS44でゴーストターゲットNo. を強制的に0とする。続くステップS45でメインターゲットNo. =0であって引き継がれたターゲットでないことから、今回検知メモリのt−n距離、t−n角度差、t−n左右位置差を全てクリアする(表1参照)。つまり、今回検知データの過去履歴データを全てクリアする。そしてステップS46で前記最初に読み出した今回ターゲットがメインターゲットであってゴーストターゲットでないため、ゴースト確定フラグをOFFする。
【0059】
前記ステップS42で前記最初に読み出した今回ターゲットがメインターゲットNo. =0でなく、引継ぎターゲットである場合、あるいは前記ステップS43〜S46を経由した場合、ステップS47で前記後から読み出した今回ターゲットのゴースト処理済フラグをONした後、ステップS48で前記後から読み出した今回ターゲットのゴーストターゲットNo. がメインターゲットNo. と一致していれば、つまりメインおよびゴーストの親子関係が確定していれば、ステップS53で二つのターゲットの検知方向の角度差を算出して今回検知メモリM3の角度差に記憶するとともに、ステップS54で二つのターゲットの左右方向の距離である左右位置差を算出して今回検知メモリM3の角度差に記憶する。
【0060】
前記ステップS48で、前記後から読み出した今回ターゲットのゴーストターゲットNo. がメインターゲットNo. と一致していなければ、つまりメインおよびゴーストの親子関係が確定していなければ、ステップS49でメインおよびゴーストの関係が今回確定したと判断してゴーストターゲットNo. をメインターゲットNo. とし、ステップS50でメインターゲットNo. を0とする。
【0061】
続くステップS51でメインターゲットNo. =0であって引き継がれたターゲットでないことから、今回検知メモリのt−n距離、t−n角度差、t−n左右位置差を全てクリアする(表1参照)。つまり、今回検知データの過去履歴データを全てクリアする。そしてステップS52で後から読み出した今回ターゲットがゴーストターゲットであってメインターゲットでないため、ゴースト確定フラグをONした後、上述したステップS53,S54を実行する。
【0062】
図11のフローチャートに戻り、ステップS27でゴースト処理済フラグ=OFFの全ての他のターゲットを読み出すまで前記ステップS23〜S26を繰り返し、ステップS28でゴースト処理済フラグ=OFFの全ての今回ターゲットを読み出すまで前記ステップS21〜S27を繰り返す。
【0063】
次に、前記ステップS5(並走ターゲット判定サブフロー)の内容を、図13に基づいて説明する。
【0064】
先ずステップS61で削除の対象となり得るゴーストターゲットNo. を持つターゲットを今回メモリM3から呼び出し、ステップS62でそのターゲットが前回データを引き継いだターゲットでなければ、並走ターゲットであるか否かの判断がつかないため、ステップS63〜S69をスキップする。
【0065】
前記ステップS62でそのターゲットが前回データを引き継いだターゲットであれば、ステップS63で今回検知データおよび過去履歴データの中で、最も距離が遠いものの距離、角度差および左右位置差を読み出し、ステップS64で今回検知データおよび過去履歴データの中で、最も距離が近いものの距離、角度差および左右位置差を読み出す。
【0066】
そしてステップS65で「最も遠い距離」−「最も近い距離」の差が5m以上であってゴーストターゲットであるか並走ターゲットであるかの識別が可能であるとき、ステップS66で「最も遠い距離の角度差」−「最も近い距離の角度差」が−0.3°以下であるか、あるいはステップS67で「最も遠い距離の角度差」−「最も近い距離の角度差」が0.3°以上であり、かつステップS68で「最も遠い距離の左右位置差」−「最も近い距離の左右位置差」が−0.5m以上で0.5m以下であれば、ステップS69でゴーストターゲットは実際は並走ターゲットであると判断してゴースト確定フラグをOFFする。そしてステップS70で全てのゴーストターゲットNo. を持つターゲットを呼び出すまで、前記ステップS61〜S69を繰り返す。
【0067】
【表5】
【0068】
表5は前記ステップS66〜S69の作用を纏めたものである。
【0069】
最も距離が遠いデータと最も距離が近いデータとを比較したとき、それらのターゲットとの距離が変化したときに、「角度差」が変わらず、かつ「左右位置差」が変わらない場合には、ゴーストターゲットであるか並走ターゲットであるかの判断がつかないため、ゴースト確定フラグはONのままとする。
【0070】
最も距離が遠いデータと最も距離が近いデータとを比較したとき、「角度差」が変わらず、かつ「左右位置差」が変化した場合には、ゴーストターゲット候補であったものが間違いなくゴーストターゲットであると判断されるため、ゴースト確定フラグはONとする。
【0071】
最も距離が遠いデータと最も距離が近いデータとを比較したとき、「角度差」が変化し、「左右位置差」が変わらない場合には、ゴーストターゲット候補であったものが実は並走ターゲットであると判断されるため、ゴースト確定フラグはOFFされる。
【0072】
最も距離が遠いデータと最も距離が近いデータとを比較したとき、「角度差」が変化し、かつ「左右位置差」が変化した場合には、ゴーストターゲットであるか並走ターゲットであるかの判断がつかないため、ゴースト確定フラグはONのままとする。
【0073】
次に、前記ステップS6(ゴーストターゲット判定サブフロー)の内容を、図14に基づいて説明する。
【0074】
先ずステップS81で今回検知メモリM3のターゲット情報を読み出し、ステップS82でターゲットの引継ぎ回数を記憶する引継ぎカウンタが1以上であり、ステップS83でゴースト確定フラグがOFFでゴーストターゲットでなければ、ステップS84でターゲット情報を今回出力メモリM8に記憶する。そしてステップS85で全ての今回検知メモリM3のターゲット情報を読み出すまで、前記ステップS81〜S84を繰り返す。
【0075】
以上のように、ゴーストターゲット候補判定手段M5は、二つのターゲットの自車からの距離が同等であり、かつ二つのターゲットの受信レベル差が所定値以上の場合に、一方のターゲットが他方のターゲットのゴーストターゲット候補であると判定し、並走ターゲット判定手段M6は、二つのターゲットの自車からの距離の変化に応じた該二つのターゲット角度差および左右位置差の変化に基づいて、一方のターゲットが他方のターゲットの並走ターゲットであると判定し、ゴーストターゲット判定手段M7は、ゴーストターゲット候補判定手段M5で判定したゴーストターゲット候補のうちから、並走ターゲット判定手段M6で判定した並走ターゲットデータを削除したものを真のゴーストターゲットであると判定するので、ゴーストターゲットを精度良く判定しながら、並走ターゲットをゴーストターゲットと誤認するのを未然に防止することができる。
【0076】
特に、並走ターゲット判定手段M6は、二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに角度差が変化して左右位置差が変化しない場合に、一方のターゲットが他方のターゲットの並走ターゲットであると判定するので、並走ターゲットを精度良く判定することができ、また二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに角度差が変化せずに左右位置差が変化する場合に、一方のターゲットが他方のターゲットの並走ターゲットでない判定するので、ゴーストターゲットを精度良く判定することができる。
【0077】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0078】
例えば、実施の形態では車両制御手段M9として車間距離制御装置を例示したが、車両制御手段M9は、接触被害軽減支援システムやACCシステム(アダプティブ・クルーズ・コントロール・システム)であっても良い。
【0079】
また実施の形態ではレーダー装置Rとしてミリ波レーダーを例示したが、レーザーレーダー等の他の手段を採用することができる。
【符号の説明】
【0080】
M5 ゴーストターゲット候補判定手段
M6 並走ターゲット判定手段
M7 ゴーストターゲット判定手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を送信し該電磁波がターゲットにより反射された反射波を受信することにより前記ターゲットを検知する物体検知装置において、
二つのターゲットの自車からの距離が同等であり、かつ前記二つのターゲットの受信レベル差が所定値以上の場合に、一方のターゲットが他方のターゲットのゴーストターゲット候補であると判定するゴーストターゲット候補判定手段(M5)と、
前記二つのターゲットの自車からの距離の変化に応じた該二つのターゲットの角度差および左右位置差の変化に基づいて、前記一方のターゲットが前記他方のターゲットの並走ターゲットであると判定する並走ターゲット判定手段(M6)と、
前記ゴーストターゲット候補判定手段(M5)で判定したゴーストターゲット候補のうちから、前記並走ターゲット判定手段(M6)で判定した並走ターゲットを削除したものをゴーストターゲットであると判定するゴーストターゲット判定手段(M7)と、
を備えることを特徴とする物体検知装置。
【請求項2】
前記並走ターゲット判定手段(M6)は、
前記二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに、該二つのターゲットの角度差が変化し、かつ左右位置差が変化しない場合に、前記一方のターゲットが前記他方のターゲットの並走ターゲットであると判定することを特徴とする、請求項1に記載の物体検知装置。
【請求項3】
前記並走ターゲット判定手段(M6)は、
前記二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに、該二つのターゲットの角度差が変化せず、かつ左右位置差が変化する場合に、前記一方のターゲットが前記他方のターゲットの並走ターゲットでないと判定することを特徴とする、請求項1に記載の物体検知装置。
【請求項1】
電磁波を送信し該電磁波がターゲットにより反射された反射波を受信することにより前記ターゲットを検知する物体検知装置において、
二つのターゲットの自車からの距離が同等であり、かつ前記二つのターゲットの受信レベル差が所定値以上の場合に、一方のターゲットが他方のターゲットのゴーストターゲット候補であると判定するゴーストターゲット候補判定手段(M5)と、
前記二つのターゲットの自車からの距離の変化に応じた該二つのターゲットの角度差および左右位置差の変化に基づいて、前記一方のターゲットが前記他方のターゲットの並走ターゲットであると判定する並走ターゲット判定手段(M6)と、
前記ゴーストターゲット候補判定手段(M5)で判定したゴーストターゲット候補のうちから、前記並走ターゲット判定手段(M6)で判定した並走ターゲットを削除したものをゴーストターゲットであると判定するゴーストターゲット判定手段(M7)と、
を備えることを特徴とする物体検知装置。
【請求項2】
前記並走ターゲット判定手段(M6)は、
前記二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに、該二つのターゲットの角度差が変化し、かつ左右位置差が変化しない場合に、前記一方のターゲットが前記他方のターゲットの並走ターゲットであると判定することを特徴とする、請求項1に記載の物体検知装置。
【請求項3】
前記並走ターゲット判定手段(M6)は、
前記二つのターゲットの自車からの距離が変化したときに、該二つのターゲットの角度差が変化せず、かつ左右位置差が変化する場合に、前記一方のターゲットが前記他方のターゲットの並走ターゲットでないと判定することを特徴とする、請求項1に記載の物体検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−197133(P2010−197133A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40477(P2009−40477)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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