説明

物体走査プロトコル

材料内容についての情報を得るために、物体を走査する2つのステップ方法は、相互間で走査ゾーンを規定するために間隔を置いた放射線ソース及び放射線検出器システムを提供する。第1の走査ステップでは、物体はソース及び検出器システムに対して動かされ、走査ゾーンを通過させることで、物体及びその内容物との相互作用の後、前記検出器システムで入射放射線に関する強度情報が収集される。物体を、走査ゾーンを通して動かしながら、物体における異常な構造及び/又は物体の均質性の欠如を識別するために、強度の変化が利用される。それに続く第2の走査ステップでは、走査ゾーンにおいて、物体が定位置に位置決めされ、透過された入射強度に関連する適切な関数関係に対して分析され、集められた強度情報を収集し、材料内容の表示を提供するためにその分析の結果を適切なデータのライブラリと比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物に関する情報を得るため物体を走査するためのプロトコルに関し、かかる走査プロトコルの実現のための装置に関する。特に本発明は、物体または容器の共形異常及び内容物の構成物質の異常の両方を識別するため、比較的均質な構造または内容物を有すると思われる容器などの物体の走査に関する。本発明は、特に、例えば、混合物類、溶液類、エマルジョン類、懸濁液類その他、ゲル類、ペースト類、クリーム類、微粉末類など及び同類のもの、エアロゾルその他の流動性合成物など、本質的に単独で一般に均質な構成を有すると思われる含有物質の容器を含む物体に関する。本文献において液体容器など物体における含有液の例を挙げて説明されるところで、含まれるときに、本発明はこの本質的な混合及び一般に均質な特徴を有するすべてのこの種の液体、部分的液体及び他の流動性材料に等しく適用できることが理解されるべきである。
【背景技術】
【0002】
例えばボトル(瓶)又は他の容器等、物体の内容物を走査することは、物体との相互作用の後、検出器で受け取られる放射線に基づいた内容に関する情報を得て、物体の内容物が税関規則のセキュリティ又は違反に対する脅威を構成しないという指示(表示)を得るためのセキュリティおよび税関チェックポイントにおいて、望ましい。物体の内容物を、例えば品質管理、内容物確認、劣化監視など他の目的で走査することもまた、望ましい。
【0003】
物体の内容物が全体で一様である、または、物体が隠された一部分又は成分を含まないように、又は、内容物が何であるか断言できるように、高エネルギー電離放射線ビームが物体の横断面を横切るように物体及び内容物を走査することは役立ち得る。結果として生じる透過放射線ビーム強度データの数値分析から材料組成の表示を得ることは、可能である。
【0004】
物体の内容物を走査する好適な手段は、物体を高エネルギー放射線ビーム及び検出器と連動して移動させることである。例えば空港警備チェックポイントを通って運ばれるかもしれないボトルなどの比較的小さい物体を走査するため、作業を簡単にするために、大きくて重い放射線ソース及び検出器アセンブリを動かすより瓶を動かす方が、望ましい。いずれにせよ、走査ゾーンを通す物体の相対的な線形運動は、例えば適切な駆動手段の作用の下で選択される物体を通り抜ける経路に沿って、走査を遂行する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高エネルギー電離放射線の透過ビームが、物体及びその内容物を通過した後で適切な検出器で検出される場合に、物体の選択された横断面に沿った走査の期間、放射線ソース及び検出器と関連して物体の動きを推進している駆動手段に動力を供給するために典型的に用いる電気モーターが、検出器で検出される放射線を代表する信号を妨げる電磁信号を引き起こし得、物体に存在する材料を正確に識別するために信号を分析することを、より困難にしていることが見出された。物体の速いスループットに対する欲求(それは、高いスキャン率に有利に働く傾向がある)と、効果的な材料識別のために所与の物体特徴を通じて十分な高計数率の必要性と、の間に考慮される妥協もまた、ある。これら両方のために、かつ、その他のために、透過放射線ビーム強度の数値的な分析による材料識別の有効性は、減退するかもしれない。
【0006】
高エネルギー電離放射線を利用する、物体及び/又はそれらの内容物のスキャンを行う改良された方法、システムおよび装置が必要である。ここで、透過放射線ビームは、検出器で測定され、物体の横断面が走査され得るように、放射線ビーム・ソースおよび検出器は物体と関連して移動する。本質的に単一の一般に均質な構成を有すると思われる材料の含まれた容器を含む高いスループット率の物体走査の方法へのセキュリティ用途の特有の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、内容物についての情報を得るための物体の走査方法は、
相互間で走査ゾーンを規定するために間隔を置いた放射線ソース及び放射線検出器システムを提供するステップと、
第1の走査ステップでは:
前記ソース及び検出器システムに対して物体を動かして、走査ゾーンを通過させることで、物体及びその内容物との相互作用の後、前記検出器システムで入射放射線に関する強度情報を収集するステップと、
物体を、走査ゾーンを通して動かしながら入射強度の変化をモニタリングするステップと、
異常な構造及び/又は物体の均質性の欠如を識別するためにこのような強度の変化を利用するステップと、
それに続く第2の走査ステップでは:
走査ゾーンにおいて、物体を定位置に位置決めし、定位置を保持しつつ、物体との相互作用の後、検出器システムで入射放射線についての強度情報を収集するステップと、
透過された入射強度に関連する適切な関数関係に対して入射強度データを分析するステップと、
材料内容の表示を提供するためにその分析の結果を適切なデータのライブラリと比較するステップと、
を含む。
【0008】
このように、本発明の一般原則によれば、被検物体は、入射放射線のソースに支配を受けることによって、また、物体およびその内容物との相互作用の後、検出器システムで放射線を検出することによって、そして、特に望ましい場合、少なくとも物体とその内容物を通して透過された放射線を検出することによって、走査される。良く知られているように、例えば、物体を介して透過されるような相互に作用する放射線の減衰は、物体の構造及びその組成について、そして、このように現在のケースにおける物体の構造及びその内容物の組成についても役立つ情報を与えることができる。本方法は、このように便利に各走査ステップの期間に、走査ゾーンにおける物体によって入射放射線の減衰を測定することを含む。
【0009】
本発明は、特にそれが少なくとも2つの走査ステップを含むという点で、走査オペレーションがマルチ・ステージ・プロセスを含むことを明らかに特徴とする。第1の走査ステップにおいて、例えば、物体は、静止したソース/検出器の組合せに対して移動される点において、または、ソース/検出器の組合せが静止した物体について移動される点において、物体は、走査ゾーンを介してソース及び検出器に関連して移動される。その結果、一般によく知られた方法で走査ゾーンを介して物体は移動しながら、複数の位置において走査される。第2の、後続の分けられた走査ステップでは、物体は、固定式の走査の支配下にある。物体は、多重移動及び/又は固定式の走査の支配下にあってもよい。加えて、後述するように、機械サイクルは、例えば走査プロセスの前に、または、複数の物体を周期的に走査する期間に、物体がない較正ステップを含んで、実行し得、検出器システムでの入射放射線に関する強度情報は、走査ゾーンにおける物体との相互作用の後、その減衰を測定するために透過データとの後続の比較のため入射放射線強度を含む参照データを生み出すために用いられる。
【0010】
本発明の方法は、特に、基本的に一様な構成および構造を有すると本質的には見込まれている物体、例えば、混合物類、溶液類、エマルジョン類、懸濁液類その他、ゲル類、ペースト類、クリーム類、微粉末類など及び同類のもの、エアロゾルその他の流動性合成物など、本質的に単独で一般に均質な構成を有すると思われる含有物質の容器を含む物体に適用されることを目的としている。これらは例えば、航空会社セキュリティ、密輸の検出などに関して、これらは、近年相当なセキュリティ懸念の議題であった。
【0011】
この種の物体を走査することにおいて特に懸念される2つの領域がある。第1に、特異な容器構造または内容物における材料不均一性は、それ自体本質的に疑わしい可能性が高い。第2に、また、特に内容物の組成を確認(識別)したいという願望がある。本発明の方法は、基本的に、懸念の各領域が効率的に扱われる2つのステージ走査を実行する。例えば異常を識別するために、物体の内部構造について、そして効果的にその特定の組成について情報が得られることは、本発明の方法の意図するところである。
【0012】
第1の、可動走査は、特異な構造、内容物の均質性の欠如などを識別するために利用される。それは加えて、例えば内容物の粗いレベル識別を提供するために利用され得る。しかし、これは本発明の必要な特徴ではない。第2の、静的走査は、物体の単一領域に集中して、内容物の組成の、測定又はより正確な測定(判定)を得るのに必要な計数率を得る。この静的走査は、組成または内容物の最適な測定のために、第1の走査によって識別された対象の領域に集中することができる。
【0013】
本発明は、物体が透過信号の減衰のより正確な測定を妨げる可能性のある走査ゾーンを介して適切な電気的搬送手段を経る線形経路に駆動されながら、ライン走査を実行する移動スキャナの改善を示している。第2の走査は、静的に実行され、これにより、この種の搬送手段なしで機能し、干渉を排除し、より精度の高い二次的な検査を提供する。さらに、より高いスループット率が、完全な組成分析用にデータを集めるため、一つ以上の単一の位置に集中する第2の静的走査のために得られる、第1の可動走査及び高い計数率のために維持され得るという点で、オブジェクト・スループットのためのより高いスクリーニング率と、疑わしい材料の組成分析のためのより高い計数率との間の妥協は、新規な方法で解決される。
【0014】
本発明によれば、第1の走査ステップの期間に集められる強度情報は、立体構造的な異常及び/又は物体及び/又はその内容物における均質性の欠如を識別するために利用される。好適なケースにおいて、第1の走査ステップの期間に集められる強度情報の数値分析はこの目的のために実施される。
【0015】
本発明は、例えば均質材料の内容物を有する通常一定の壁厚の容器になっている被検物体が走査ゾーンを通過しながら、比較的一貫した反応を示さなければならないと期待されるところで、特に応用されるようになっている。走査ゾーンを通過するこの種の容器としての唯一の予想される変化は、形の変化に伴う通過長における段階的な反射の変化であるべきである。容器における進路(経路)にわたって、信号は、一定であると予想され得る。信号の減衰の突然の不連続は、いずれかは疑いの原因になるかもしれない容器または複数の内容物のうちで異常な構造を示しそうである。
【0016】
したがって、第1の走査ステップの期間に集められる強度情報の数値的分析は、走査ゾーンを通して物体を動かしながら、予め定められた許容限度の範囲内で入射強度の減衰の変化をモニタリングするという形を便宜上とることができる。これは、例えば物体形状に起因している厚み/通過長変化など他の関連した既知パラメータのための適切な修正を必要とし得る。特に、予め定められた許容限度を上回る入射強度の減衰の変化における突然の不連続及び特に物体形状に起因している厚み/通過長変化に対応しない入射強度の減衰の変化の突然の不連続は、立体構造的な異常及び/又は物体及び/又はその内容物の均質性の欠如を示し、その結果として解釈される。
【0017】
本発明を利用している通常のセキュリティ・プロトコルにおいて、この種の結果を返してきている物体は、疑わしいと分類されて、走査プロセス及び工程によって例えば拒絶され、更なる調査に通される。
【0018】
特に本発明は、検査対象の物体及びその内容物を介する透過後の放射線の収集及び分析を含む。特に本発明は、初期入射強度と関連するその放射線の減衰の測定を含む。材料による透過放射線の減衰は、例えば入射強度、入射エネルギーなどのソース放射線の特定の物理的パラメータと特徴的に関連付けられ、また機能的に関連することができる特定の材料特性であることはよく知られている。
【0019】
これが、特に本発明の第2のステージにおいて利用される。本発明の方法によれば、少なくとも、後続の第2の走査ステップの期間に集められる強度情報を含む強度データは、透過される入射強度に関連する適切な関数関係及び材料内容の表示を提供するという目的で適切なデータのライブラリと比較した結果、に対して数値的に分析される。例えば、入射及び透過強度の比率が決定され、この比率は、適切な透過強度減衰メカニズムのための適切な分析関係に適合することによって、強度減衰メカニズムと関連した特性材料データ係数を決定するために利用される。好適なケースにおいて、判定(測定)は、例えば指数減衰法(ランベルト・ベールの法則)などの適切な関係の適用によって、質量減衰の係数が引き出される。これは、その後に走査中において物体及び内容物の、ありそうな組成についての情報を得るために予想される目標または構成要素材料のための等価な係数データのライブラリに関連している可能性がある。
【0020】
一例において、ライブラリは、検査することを目的とした、好ましくない物、脅威または禁制(密輸)材料のデータベースを含んでもよい。データベースにおけるあらゆる適合品目が、材料の存在を指示する結果として返される。本発明を利用している通常のセキュリティ・プロトコルにおいて、この種の結果を返してきている物体は、疑わしいと分類されて、走査プロセス及び工程によって例えば拒絶され、更なる調査に通される。逆にいえば、いずれの種類の適合がない物体は、走査プロセスによってクリアされたと、分類される。
【0021】
都合の良いことに、初期強度は、システムが走査ゾーン中の物体なしで稼働され、検出器システムでの入射放射線に関する強度情報が上記の分析のための入射強度データセットを生成するために用いる較正ステップを経て測定される。
【0022】
任意には、後続の第2の走査ステップに関して上記の材料識別の原則は、少なくとも材料内容の第1の粗いレベル表示を実行するために、第1の走査ステップからの透過強度情報の数値分析を実行するために使用され得る。任意には、第1の走査ステップからの透過強度情報は、更に処理され、例えば静的計数率が最適化されるサイトである第2の走査ステップの時点での収集に最適のサイトを識別するために利用され得る。しかしながら、少なくとも、第1の走査ステップの主要な目的は、上で述べられるより単純な分析によって特異な構造及び/又は物体の均質性の欠如を識別することである。
【0023】
放射線ビームが物体を通過して、例えば透過強度のライン走査である第1の走査に対して物体の横断面に沿って経路をたどるように、特定の実施モードにおいて、本発明はソースおよび検出器システムからの放射線ビームと関連して物体を移動する初期ステップを含む。透過ビーム強度は検出器によって検出され、検出器上の放射線入射強度を表している検出器からの信号は、例えば不均質を示しているあらゆる予想外の変化を識別するために分析され、及び/又は、理論的、実証的に等価であるか、対象の適切な材料を代表する実験的に生成された信号のデータベース・ライブラリに対して比較され、判定は、対象のサンプルに最も近い適合とされる。第1の、可動走査の期間の信号が各々物体の相対的な動きを駆動しているモーターから電磁干渉の存在によって歪められる、比較的少ない数の検出器数からなる多くのデータ・ポイントから構成されているとき、検出信号は、物体の材料内容の正確な識別のために必ずしも十分に取り除けない。しかしながら、物体を通す横断面に沿った走査は、放射線ビームが続く断面経路に沿った物体内の材料が同等であるかどうか少なくとも示すことができる。
【0024】
物体内の材料がそのとき調べられる横断面に沿って同等であるように見える場合、第1の、可動走査の完了後に、モーターは、放射線ビームが物体及び内容物を通過する選択された位置に物体を駆動するために利用される。この位置は、第1の走査またはその他の方法の結果の分析から選択され得る。モーターは、その後いかなる電磁干渉も防止するために切られ、静的走査サイクルの期間、放射線ビームは、物体及び内容物を通過して、より正確な材料識別に寄与するためにモーターからの干渉なしで分析される検出器に行く。検出器信号は、放射線エネルギーの関数として、質量減衰の係数など数値的な材料の特性を引き出すために分析され、材料または材料現在の組合せを正確に識別するため及び/又はライブラリ中に含まれるいかなる特定の材料の存在も除外するため、材料データのライブラリに対して比較される。一旦データが検出器から集められると、物体を最終位置へ移動するために駆動力はモーターを復活させ得る。あるいは、物体は他の静的走査位置へ移動することができ、更なるデータが記録され得るために、モーターからの駆動力は止められる。
【0025】
第1の、可動走査の分析は、例えば内容物が容器全体で一様であるべきボトルのような容器において異なる内容物を有する領域など、物体において対象となるいくつかの特徴を明らかにすると、その後、容器は、適用されているセキュリティ・プロトコルに従って更に処理され得る。ボトルは、物理的分析のために拒絶され得る。あるいは、対象となる特徴は、上記のように静的走査の対象にしてもよい。第1の走査の完了後、モーターは、物体を放射線ビームが対象となる領域を通過する位置へ駆動する。モーターは、その後いかなる電磁干渉も防止するために切られ、ビームは、単一又は複合静止走査の期間、選択された位置で、物体及びその内容物を通過させる。透過ビームは検出され、検出器出力が上記のように分析される。
【0026】
第1の走査で更なる調査のために対象となる多くの不規則または領域を明らかにする場合、第1の走査の期間、識別される単一の物体において対象となる更なる位置が検査され得る。
【0027】
物体の内容物の構造特性の第1の走査の後、場所を規定するため又は静的走査用の場所を規定するために決定され得る。物体の材料内容の近似識別も可能かもしれず、この種の情報は、特定の材料及び材料の混合物の識別を強化するのに適している場合、ビーム経路に入れられるエネルギー選択吸収装置及び/又はフィルタを選択するために利用され得る。
【0028】
走査されている物体は、アプリケーションに応じて垂直又は水平面の移動のために位置付けられ得る。水平にボトルを取り付けることが脅威材料の流出をもたらすことにもなるので、ボトルの液体の安全なまたは税関の審査のために、ボトルは保持具に取り付けられ、一般に垂直平面を通って移動すると予想される。垂直移動のためにボトルなどの物体を取り付けることは、走査動作の期間、物体を適所に保持する何らかの留め具を必要とし、物体はなるべく、垂直から1°〜80°の間に、好ましくは5°〜45°の間の角度で、そして、より好ましくは、5°〜30°の間で、取り付けられる。
【0029】
多くの物体、例えば、液体の入ったボトルまたはパックの容器などは、それらが通常走査されるかもしれない板厚方向を定めている正規の形状を有する。例えば、このような厚さは、物体の平行な側面によって、または、物体の表面の正反対の位置によって定義されるかもしれない。放射線ビームは、この種の物体の表面と直角をなす入射であるように、配列され得る。すなわち、放射線ビームは、物体の表面に、そして、この種の板厚方向において標準的に物体を通過する。放射線ビームが垂直であるより別の角度で物体を通過するように調整される場合、ビームは、物体内容物のビーム吸収及びそれ故、分析を改善することのできる物体内容物の増加した厚みを通過する。例えば、放射線ビームは、表面に対する垂線から離れて1°〜80°の間、好ましくは5°〜45°の間、そして、より好ましくは、5°〜30°間の角度で物体を通過するように、好ましくは調整され、物体が、上述のように1°〜80°の間、好ましくは5°〜45°の間、そして、より好ましくは、5°〜30°間の角度で取り付けられると、その後、一般に水平ビーム配列を使用することは、物体内容物を通すビーム経路長の期待される増大を与える。
【0030】
特に、物体の保持具の適用が可能な、可動走査期間の物体の移動は、適切な搬送手段によって実行され、特に、ソースおよび検出器によって規定される走査ゾーンを通す線形運動に適している。簡単にするため、物体保持具またはその他の搬送手段の移動は、モーターの回転運動を走査されている物体の線形運動に変換するため、適切な伝動装置/トランスミッションによって接続される電気駆動回転モーター手段によって実施され得る。これは、ベルトまたはモータシャフト上のプーリーと、プーリーもしくはプーリーでの回転の動きを物体保持具の線形移動に変えるスライド軸上の他の適切な手段とのチェーン・リンケージを経ることができ、物体保持具をモーターの回転の方向に応じていずれの方向においても移動することができる。あるいは、モーターは、一方向にのみ回転するように調整され得、線形スライド軸の方向の変化は、一方向からその他、例えばモーターとスライダ軸との間に位置するギアボックスへの設定の変化の結果であり得る。
【0031】
放射線ソースは、好ましくは、例えばX線及び/又はガンマ線のような高エネルギー電磁放射線、電離放射線などの高エネルギーの放射線を提供するためのソースを含み、検出システムはこのスペクトルの放射線を検波するために対応して構成される。放射線ソースは、例えば、広範囲にわたるエネルギーの上の広域スペクトル放射をもたらすことができるブロードバンドX線またはガンマ線ソースのような広帯域ソースである。
【0032】
本発明の方法は、好ましくは、少なくとも第2の、静的走査ステップの期間の強度情報の収集との関連、そして、任意に第1の、可動走査ステップの期間の強度情報の収集との関連、ソースのスペクトルの少なくとも一部、好ましくは大部分にわたって複数の区別されたエネルギーバンドで検出されるべき強度情報を分解する更なるステップを含む。強度情報は、それがソースのスペクトルにわたって複数の別々のエネルギーバンドに同時に区別されるという意味では、複数の区別されたエネルギーバンドに分解される。都合のよいことに、この分析が分光学的に分解されたデータに実行され得る透過される強度データに関連している適切な関数関係に対して入射強度データを分析するステップの前に実行される。
【0033】
入射放射線をソースのスペクトル全域の複数の別々のエネルギーバンドに同時に区別するのに適するという点で、検出器システムは、好ましくは、分光学的に分解可能な情報を入射放射線について検出し、収集することができる。検出器システムは、好ましくは、入射放射線のこの種の複数のエネルギーバンドへの同時分化を可能としており、このようにして分光学的情報が検索され得るソース・スペクトル及びソースのスペクトル全域の複数の区別されたエネルギーバンドで検出される強度情報の少なくとも一部にわたって分光学的で多様な反応を示す。
【0034】
これは、特に静的走査の材料分析ステップに関して望ましい。光電吸収および他の相互作用による透過放射線の減衰は、エネルギーによって特徴的に変化することのできる特有の材料特性であることが知られている。分光学的に強度情報を分解することは、入射強度データが特有の材料特性データ項目(例えば質量減衰係数)を得るために透過される入射強度に関連している適切な関数関係に対して処理される数値解析ステップで利用されることを可能にする。これは、データのライブラリとの一致の識別力を高める。
【0035】
「走査イベント」(すなわち、例えば、所与の位置の物体及び内容物を通過する所与の入射放射線経路を経た強度の測定のため)ごとに、「強度データセット」は、ソース・エネルギー・スペクトルの少なくとも一部にわたって検出器システムで収集された入射強度を代表して集められる。好ましくは、本発明の方法によれば、この種の各強度データセットは、ソースのスペクトルにわたって、少なくとも2つ、より好ましくは、少なくとも3つの区別されたエネルギーバンドに分解される。強度データセットは、このようにして、所与の走査イベント及びそれ故、検査対象の物体及びその内容物を通す所与の透過パスに関して複数の透過強度データ測定値を作り出すためにこの種の複数のバンドに分解可能である周波数/エネルギーに関連した強度情報のデータセットを構成する。
【0036】
1つの可能な実施態様において、単一の広域スペクトル・ソースが利用し得る。本実施態様において、本発明の方法は、単色的に入射放射線を検出するために広域スペクトル検出器または検出器アレー及び/又は単一の狭域スペクトル検出器を使用することを含めることができる。あるいは、入射放射線は、狭帯域反応を有する複数の検出器アレーに応じて検出器及び/又は入射の本来の特性を利用しているソースのスペクトルにわたる情報を分解するのに適している検出器または検出器アレーに単一の広域スペクトル・ソース入射を伴い、分光学的に分解され得る。好適なケースにおいて、入射放射線は、ソース・スペクトルの範囲内で、少なくとも3つ、より好ましくは、少なくとも5つのエネルギーバンドにわたり、分光学的に分解される。これは、モノクロのデータより強力な操作が可能なデータを生じさせることができる。このようにして、この好適なケースにおいて、検出器システムは、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも5つのエネルギーバンドを分解するという点において、入射及び特に透過放射線に関する分光学的情報を生成するために構成される。好ましくは、検出器は、少なくとも詳細な分光学的情報の検索ができている放射線ソースのスペクトルの少なくとも本質的部分にわたって分光学的に多様な反応を示す。
【0037】
同様に、ソースは、複数の帯域幅または単一エネルギーが確認され得る単一の広域スペクトル・ソースでもよい。あるいは、または、加えて、ソースは、狭帯域幅を有するか、本発明の方法に従って比較用の一部のエネルギーを提供するために一つ以上の別個のエネルギーで入射放射線を生成し、提供され得る。この場合、放射線ソースは、複数のエネルギー/エネルギーバンド全体の検出器によって分解能を許容するために広げられる必要な全体のスペクトルを提供する異なるエネルギーのソースの組合せからなる複数のソースである。
【0038】
例えば、複数のソースは、例えば60keV以下、例えば10〜50keVで動作する比較的低いエネルギー・スペクトルを有するX線ソース、及び例えば100keVを上回るより高いエネルギーで放射線を発生させる一つ以上の放射性同位体ソースを含む。
【0039】
ソースは、好ましくは本発明の性能のために必要なスペクトル分解能を有効にするために、十分に広域の放射線のスペクトルを発生させることができる。好ましくは、ソースは、20keV〜1MeVの範囲の少なくとも1以上の部分にわたって、そして、より好ましくは、例えば20keV〜160keVの範囲の少なくとも一部及び大部分にわたって放射線を発生させる。例えば、ソースは、所与の範囲の中で少なくとも20keVの少なくとも一つのバンド幅にわたって広がっている放射線を発生させる。例えば、スペクトルは、少なくとも3つの10keVのバンドがその範囲の中で分解され得るようなものである。
【0040】
検出器システムが、データ処理装置によって分光学的に分解可能な形で放射線を検出することを可能とすることは望ましい。望ましくは、検出器システム、又はマルチ要素システムを構成している一部又は全ての別個の検出器素子は、それが直接的な分光学的反応を示すという点で、分光学的分解能を生じさせるように構成され得る。なかでもシステム又は要素が、直接の材料特性、直接の可変の電気的な、例えばソース・スペクトルの様々な部分に対する光電反応として本質的に示す、選択された材料から作られる。
例えば、検出器システム又は要素は、半導体材料又は好ましくはバルク結晶、例えばバルク単結晶(この文脈におけるバルク結晶は少なくとも500μm、好ましくは少なくとも1mmの厚さを示す)として形成される材料を含む。半導体を構成している材料は、好ましくは、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)、テルル化カドミウムマンガン(CMT)、ゲルマニウム、臭化ランタン、臭化トリウムから選ばれる。II−VI族半導体及び特にそれらのリストは、特にこの点に関しては望ましい。半導体を構成する材料は、好ましくは、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)、テルル化カドミウムマンガン(CMT)及びそれらの合金から選ばれ、例えば、結晶構造のCd1−(a+b)MnZnTeを含み、ここでa及びbは1未満であり、a及び/又はbはゼロであってもよい。
【0041】
これらの組合せ及びその他のこの種の材料は、物体及び内容物との相互作用の後、単に放射線の周波数を検出するだけであるよりはむしろ、分光学的検出をするかについて考慮され得る。
【0042】
好ましくは、例えば、ペンシルビーム・ジオメトリまたはファン(扇)またはカーテンビームなど特定の幾何学(形状)のビームが、物体の動きの方向に対して垂直に整列配置されて使われる。
【0043】
好ましい実施態様において、単純なペンシルビームは、単純な単一ピクセル検出器または線形アレー検出器と連動して提供され得る。あるいは、ビームは、例えば、一つ以上の線形検出器を伴い連動して少なくとも一次元に広がるようにコリメートされてもよい。ペンシルビーム・ジオメトリが使われる場合、わずか1ピクセルは検出器のために必要とされる。ペンシルビームに伴って利用される線形配列または領域配列は、散乱放射線の付加的情報を検出する能力を提供することができる。ファン(扇)ビーム・ジオメトリが線形検出器を使用すると、ビームのエリアの範囲内で好ましくは物体の動きの方向に垂直に配置される。都合の良いことに、線形検出器は、複数の個々の検出器素子の線形配列から成ることができる。
【0044】
放射線ソースは、この種のビームを発するように構成されている。ソースから適切な幾何学の放出ビームを作り出すために、コリメータは、好ましくは、例えばソースの近くでソースと被検物体との間に準備される。特に、ソース・ビームは、ペンシルビームを生じさせるためにコリメートされる。
【0045】
加えて、または、あるいは、ビームは、例えば検出器の近くにおいて、検査対象となる物体及び内容物との相互作用の後、透過放射線を検出器に通すことができるように、しかし、いかなる散乱放射線も検出器に達するのを制限するように、コリメートされ得る。
【0046】
本発明は、その最も単純なもので、例えば、透過パスにおける物体に対し、適切にライブラリ比較している質量減衰係数を算出することにより、透過パスにおける材料組成の表示を、単一または複数のスペクトル・バンドで、強度データから抽出する方法を含むことができる。それは、画像を発生させる必要はない。
【0047】
しかしながら、本発明が走査画像処理システムの一部を形成し得ることは、除外されない。この可能な実施態様によれば、検出器、または、更なる、画像化(撮像)検出器、特に第1の、可動走査の期間に集められる情報での、放射線入射に関する情報のデータセットは、走査ゾーンにおける物体の画像を発生させるために利用される。
【0048】
好ましくは、本方法は、走査ゾーンにおける物体との相互作用の後、透過放射線の強度に関してデータを集めることを含み、透過放射線の強度に関するデータは、上記説明のとおり数値的に、そして一つ以上の画像、例えば、物体が走査ゾーンを通して動くような画像の連続を作り出すために、検出器で処理される。
【0049】
説明のために、本文献において述べられている所で、画像の生成が、例えば適切な格納された及び操作可能なデータ・ファイルの形で、調査中の物体の基底構造の視覚的表示がなし得る情報データセットの作成の言及であることを理解すべきであり、適切な表示手段上の実施例のために、この画像を表示することの言及は、視覚的にアクセス可能な形のこの種のデータセットから発生される画像を提示することの言及である。
【0050】
本発明の方法は、便宜的に更に、この種の生成された画像または画群像を表示する追加ステップを提供して、複数の画像の場合は同時に、または、順次この種の画像を表示することが必要かもしれない。
【0051】
各収集された画像は、バンドが共にエネルギー分化された合成画像または連続画像の生成が可能なように、各々、全体のスペクトルの一部分にわたって画像を生成することを目的とする複数のバンドにわたって分光学的に分解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明は、現在添付の図面に関してほんの一例として記載されており、
【図1】本発明の装置の概略図である。
【図2】図1の装置を含む本発明を実施するために可能な装置の概略図である。
【図3】典型的放射線ソース・スペクトルを例示しており、画像化動作に関連して本発明を実施するためにどのように分割されるかについて説明する。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1において例示される本発明の装置において、本発明を実施する可能な装置の実施例は、X線放射線を利用してボトル中の液体及びボトルのような物体を走査するためのボトルスキャナを含んで示される。
【0054】
ボトルスキャナ10は、移動用の線形スライダ軸11に固定して接続しているボトルホルダ12を共に動かすために、線形スライダ軸11を備えている。線形スライダ軸11は、2つの方向にボトルホルダ12を動かすことができる。
【0055】
ボトルホルダ12は、ボトル16が静止される背もたれ部材13及びボトル16が位置する上面15を有するベース部材14を含む。ボトル16は、角度αで傾けられているホルダ及び線形スライダ軸によって、ボトルホルダ12に対して入れ子(はまるように)になっている。実施例において、これは、垂直線から15°の角度であるかもしれない。ボトルのために、5°〜30°の間のなす角度は、便利かもしれない。物体または容器の他の形状は、異なる最適な角度で保持されるかもしれない。
【0056】
ボトルホルダの背もたれ部材13は、ボトルから検出器まで通過するX線ビームのための明瞭な経路ができるように、好ましくは開口部(図示せず)を備えている。背もたれ部材13の開口部は、背もたれ部材の上部から一番下までの諸所のスロット形の開口であり得る。スロット開口は、一部のビーム・コリメーションに妨げられずに通過するビームを許容するのに十分であるが、いかなる散乱放射線も検出器22に達するのを制限するのに十分に狭い幅を提供する狭スロットであり得る。透過側のビームの付加的なまたは他の代替のコリメーションが設けられる可能性もある。
【0057】
ボトルホルダ12及び線形スライダ軸11に沿ったボトル16の動きは、電気駆動ステッパモータ23の回転によって生じる。モーター23は、プーリー24を回転させ、それは、次に、プーリー26の回転を駆動するベルト25を駆動させる。プーリー26の回転運動は、適切な駆動、例えばボトルホルダ12の線形動作を作る線形スライダ軸11中のネジ回し駆動(図示せず)の回転に変換される。他のタイプのモーター、例えば電気サーボモータなどが利用され得る。
【0058】
モーターはいずれの方向の回転もでき、モーターの回転の方向を制御することによって、ボトルホルダ12及びボトル16の動作の方向は決定され得る。
【0059】
ボトルは、線形スライダ軸の方向に沿って移動するにつれて、X線ビーム19を通過させられる。入射ビーム19は、ソース18、好ましくは、それがビームで存在するエネルギーの広域スペクトルを有するように、タングステン・ソースによって発生する。
【0060】
X線ビーム19は、水平に位置合わせされる。ボトルが垂直線から角度αで傾けられるにつれて、ビームはボトルの表面に対して直角をなすボトルに当たらない。この好ましい配置は、それがボトル及びその内容物を通過するにつれて、ビームのための増加した吸収経路を与える。
【0061】
透過ビーム20がボトルから現れて、検出器22によって検出される前に吸収及び散乱がビーム経路21に沿って起こる所で、入射ビーム19はボトル16及びボトル内容物17を通過する。
【0062】
X線ビームは、開口43を備えており、ソース18の近くに配置される第1のコリメータ41によって好ましくはコリメートされるものであり、好ましくは1次元の幾何学を有するペンシルビームである。
【0063】
透過X線ビーム20は、検出器22に到達する前に、第2のコリメータ42の適当な開口44によって好ましくはコリメートされる。
【0064】
検出器22は、好ましくは、コリメートされたX線ビームに位置合わせされる単一のピクセルである。検出器は、強度を代表する信号及び透過X線ビーム20からの光子との相互作用のエネルギーを生成する。下記の図2において詳述されるように、これらの信号はそれから処理される。
実施例においもて、検出器は、入射X線の分光学的分解が可能な材料を含み、中でも具体例は、当然のことながら代りの材料が利用可能であるが、テルル化カドミウム(CdTe)を含む。
【0065】
付加的な分析(解析)機能は、前方及び/又は後方に散乱されたX線ビームのそれらの部分を検出するために、追加検出器を用いて提供され得る。透過ビーム20及び前方散乱X線ビームは、線形または領域アレーを用いて検出され得る。
【0066】
図2の一般の概略図において、単一ビーム経路は、ただ簡単にするため示される。X線ソース18及び横方向に間隔を置かれた検出器装置アセンブリ22は、それらとの間に一緒に走査ゾーンZを規定する。使用中において、走査されるボトルまたは他の物体16は、図1に示されるボトルホルダなどの保持具に置かれてX線ビーム経路へと持ち込まれ、X線ビームがその軸に沿ってボトル16を通過するように、図1で説明したようなメカニズムによって、走査ゾーンを通る方向Xに移動される。
【0067】
図の例では、ボトル16は、走査ゾーンZに位置する。X線ソースからの入射ビーム19が例示される。この単純な概略図において、入射ビームは、ライン19によって代表される。透過ビーム20は、単一の検出器22での入射である。
【0068】
検出器22は、プロセッサ32を伴いデータ通信が整っている。検出器の材料の固有のスペクトル分解能によって、プロセッサ32がデータレジスタ33に保存されるエネルギーバンド境界線を参照することで、本発明の原則に従う複数の予め設定された周波数/エネルギーバンドにわたって差別的にこの画像を分解することができる。
【0069】
例示の実施例において、タングステンX線ソースが利用される。典型的スペクトルは、図3に例示する波長に対する初期強度のタングステンによって例えば発生するかもしれない。
【0070】
図3の主要な目的は、可能な実施例に従ってスペクトルが分解され得る2つの可能な方法を例示することである。いずれの場合においても、スペクトルは、5つの周波数バンドに分解されて示される。
【0071】
概略図は、スペクトルが分解されることのできる2つの方法を例示する。図3aにおいて、生成されたスペクトルの大部分は、5つの比較的広いエネルギーバンドb1〜b5に分けられる。図3bにおいて、個々のエネルギーにさえ接近し得る5つの比較的狭いバンドは、c1〜c5に規定される。どちらの選択肢も本発明の原則に矛盾せず、本発明の数値的な分析(解析)のために、また、好ましい実施例において、調査中の物体及び内容物に関する更なる情報を与える分光学的に分解された画像のために、役立つ結果を生成するあらゆる組合せが利用され得る。
【0072】
例示の実施例において、データは、調査中のボトル16の材料内容の特徴付け及び識別するために用いられる。例示の実施例において、データは、数値的に分析される。プロセッサ32は、例えば図3aまたは3bの一連の識別された周波数バンドに関して働き、そして、この機能において、その後記憶のための強度データ項目レジスタ34に通される、各バンドにおける透過強度の、代表的な数量化や例えば平均を生成するためにデータを利用する。
【0073】
算出手段35は、ボトルの線形走査に沿ってポイントでデータを評価し、本発明の方法に従う関係に適合するようにする。可能な方法論において例えば、Io値が走査の期間一定にとられる所で、第1の可動走査は実行され、異常は、透過強度Iの異常な傾向データによって識別される。本方法は、このように、物体を除いてシステムを作動させることによって、走査する前に較正ステップで便利に生成される、被検スペクトル全域のソースのためのIo参照データセットを必要とする。
【0074】
可動走査は、疑わしい構造、または、傾向データのこの単純な分析による内容物の均質性において示す異常を識別するために用いられる。それは、より総合的な分析が材料識別の目的で実行される、第2の、静的走査のための目的部位を識別するために任意に用いることができる。
【0075】
第2の、静的走査を実行することにおいて、物体は、走査システムによって定位置へ移動される。モーターは、その後いかなる電磁干渉も防止するために切られ、静的走査サイクルの期間、放射線ビームは、物体及び内容物を通過して、より正確な材料識別に寄与するためにモーターからの干渉なしで分析される検出器に行く。検出器信号は、放射線エネルギーの関数として、質量減衰の係数など数値的な材料の特性を引き出すために分析され、材料または材料現在の組合せを正確に識別するため及び/又はライブラリ中に含まれるいかなる特定の材料の存在も除外するため、材料データのライブラリに対して比較される。
【0076】
例えば、少なくとも各バンド(I/Io)の減衰が予測される。更なる可能な方法において、算出手段もまた、連続した強度データ項目間の比率を評価する(例えば、エネルギーバンドc1〜c5に関してデータ項目I1〜I5が集められる場合には、算出手段は、商I1/I2、I2/I3、I3/I4、I4/I5の値を求める)。この種の商のこの算出は、入射放射線エネルギーによって変化しない例えば密度や厚み等の考慮変数からの除去、これにより機能的にエネルギーに関連し、それ故に、上記説明の関係に適合することによる主要なエネルギー依存性変数(質量減衰係数)を示す数字表示器を提供することの原則において有能である。
【0077】
適切な材料係数が引き出され得る関係の実施例は、材料を通すX線の透過のための指数減衰法で、以下の通りである。
I/Io=exp[−(μ/ρ)ρt] (1)
ここで、μ/ρは質量減衰係数であり、材料の重み付けされた元素組成に特徴的である物質的な定数である。Iは最終強度、Ioは初期強度、ρは材料密度、tは材料厚み、である。
【0078】
これは、出願人の公知の文献WO2009/024818にて説明したように、実施例のために、周知の方法で被検物体を代表する適当なデータを生じさせるために利用され得る。
【0079】
このように、例えば、複数のエネルギーバンドにわたって分解される強度データ測定値は、この種の強度パターンを生じさせるのに必要な質量減衰係数を導き出すために上記の方程式で提示されるランベルト・ベールの法則によって分析される。
【0080】
コンパレータ36は、ボトルの奥行きを通して生成されるデータとデータ37のライブラリとを比較する。データのライブラリは、類似の、又は少なくとも数値的に比較可能な、材料の範囲、特に特定の目標材料のための質量減衰定数に関して又は依存する特質の、予め格納されたデータを含むことができる。これは、手動で、または、自動的にアドレス指定されるライブラリでもよい。データは、プレロードされ得るか又は参照され得るか、又は周知の材料を有する装置の動作によって、時間とともに発生され得るか又は加えられ得る。実施例ケースにおいて、データのライブラリは、例えば、検査用に望ましい存在の、脅威または禁制(密輸)材料など、周知の材料の範囲の質量減衰係数のための、予め格納された分析データを含むことができる。
【0081】
この比較によって、推論は、透過パスにおいて相応しい材料内容について導き出され得る。例えば、脅威または禁制(密輸)材料など予め定められた材料の範囲の存在は、結果を生成するために、除去プロセスによって選別され得る。これは表示手段38に表示され得るか、走査サイクルが後述するように完了されるまで、表示は好ましくは遅らせることができる。
【0082】
ボトル内容を分析するボトル走査試験を実施するために、調査されるべきボトルはボトルホルダに押し込まれ、テストサイクルは開始した。プーリー及び線形スライド軸を介するモーター制御は、ボトルを、走査開始し得る位置へ動かす。X線ビームは開始され、入射ビームIoの測定がなされ、その後、必要な位置、例えば、X線ビームが通過する内容の厚みを最大にする位置で、ボトルの軸を下げるライン走査のときにビームが通過するように、ボトルが下方に移動される。
【0083】
検出される透過ビームは、ビームエネルギーのスペクトル全域の強度が図2で概説される方法に従うボトルの材料内容を識別するために分析される電気信号を発生させる。
【0084】
検出器信号を歪ませているステッパモータのノイズにより、モーターが作動している第1のライン走査は、ボトルの奥行きを通って組成一致を検査するために利用できるだけである。稼働中の装備のための必要なスループット率を達成するために、限定された数のカウント(約100)だけは、検出器がより多くのカウントを捕えることができるために走査速度が落とされる場合、または、より高いカウント率が達成できる場合、ボトル内容の近似の識別が可能であったにもかかわらず、達成できる材料識別精度を制限しているライン走査に沿って、各位置に対して検出器によって集められ得る。正確にボトル内容を識別するために、モータコントローラは、コンパレータ及びこの位置または、実行される多くの位置の静的走査によって選択される位置を、ビームが通過する位置にボトルを動かす。Ioの更なる測定は、ボトルの材料内容を識別するために利用するI/Io算出の精度を最適化するために、好ましくは静的走査の前になされる。
【0085】
第1のライン走査の期間でのボトル内容の近似の分析は、内容物を含む材料の種類を識別することができる。ビームを調整するために一部の材料が吸収体及びフィルタを用いてより容易に特徴付けられるように、材料識別を促進する可能性のあるあらゆる好適なビームを調整している吸収体及び/又はフィルタが選択され得、モーターのスイッチが切られて第2の詳細な静的走査が実行される前にビーム経路が入れられる。
【0086】
静的走査は1つの選択された位置で実行可能であり、または、あるいは、静的走査のための一連のポイントが選択され得、一連のデータレコードが取られ、物体強度を識別するか又は検証するために分析される。
【0087】
一連の静的走査は、例えば、ボトルの内容物が層をなした構成を有するように見える、または、異なる組成物を有する複数の領域であるように見える場合に、実行され得る。
【0088】
静的走査の、位置または複数位置は、コンパレータに関連して自動化システムで測定されることができるか、又は検査を監視しているオペレータによって測定されることができる。
【0089】
静的走査のための1つの位置は、ボトルの材料のためのX線ビームのバックグラウンド吸収を得るために、液体レベルを上回ってボトル・ネックにおいて選択されるかもしれない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体内容物についての情報を得るための物体の走査方法は、
a)相互間で走査ゾーンを規定するために間隔を置いた放射線ソース及び放射線検出器システムを提供するステップと、
b)第1の走査ステップでは:
i)前記ソース及び検出器システムに対して物体を動かして、走査ゾーンを通過させることで、物体との相互作用の後、前記検出器システムで入射放射線に関する強度情報を収集するステップと、
ii)物体を、走査ゾーンを通して動かしながら入射強度の変化をモニタリングするステップと、
iii)異常な構造及び/又は物体の均質性の欠如を識別するためにこのような強度の変化を利用するステップと、
c)それに続く第2の走査ステップでは:
i)走査ゾーンにおいて、物体を定位置に位置決めし、定位置を保持しつつ、物体との相互作用の後、検出器システムで入射放射線についての強度情報を収集するステップと、
ii)透過された入射強度に関連する適切な関数関係に対して入射強度データを分析するステップと、
iii)材料内容の表示を提供するためにその分析の結果を適切なデータのライブラリと比較するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の、可動走査の期間の識別が、前記走査ゾーンを通して物体を移動させながら予め定められた許容度限度の範囲内で入射強度の減衰の変化をモニタリングするステップと、
前記変化がこの種の予め定められた許容度限度を上回る場合に、異常な構造及び/又は均質性の欠如を識別するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の、可動走査の期間の識別は、
a)物体の形状に起因する厚み/経路長の変化に対応しない入射強度の減衰の変化の不連続の判定、
b)立体構造的な異常及び/又は、物体及び/又はその内容物の均質性の欠如を示している結果的にこのような不連続の判読、
を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の、走査ステップの期間に集められる少なくとも強度情報を含む収集された強度データは、透過される入射強度に関連する適切な関数関係に対して数値的に分析され、その結果は、材料内容の表示を提供するために適切なデータのライブラリと比較される、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の、走査ステップの期間に集められる強度情報は、透過される入射強度に関連する適切な関数関係に対して数値的に分析され、その結果は、材料内容の初期表示を提供するために適切なデータのライブラリと比較される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
比率が、入射より収集した強度で決定され、この比率は、強度減衰メカニズムと関連した特性材料データ係数を決定するために、透過強度減衰メカニズムのための適切な分析関係に適合される、請求項4または5に記載の方法。

【請求項7】
前記比率は、質量減衰の係数を決定することを利用するものである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
分析的関係が指数減衰法であり、強度減衰メカニズムが光電吸収である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の走査ステップは、前記放射線ビームが物体及び内容物を通過し、透過強度のための線形走査である第1の走査のために、物体の横断面に沿った経路がたどれるように、前記ソース及び検出器システムからの前記放射線ビームと関連して物体を移動させるステップを含む、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の走査ステップは、透過強度のためのポイント走査である第2の走査のために、前記放射線ビームが物体及び内容物を通過できるように、前記ソース及び検出器システムからの前記放射線ビームと関連して選択された位置で物体を配置するステップを含む、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記走査ゾーンにおける物体をなくして前記システムが稼働される較正ステップが行われ、検出器システムでの入射放射線に関する強度情報は、入射強度データセットを生成するために利用され、この入射強度データセットは、第1の及び/又は第2の走査ステップの期間、透過強度の減衰を決定する参照データセットとして利用される、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記物体は、材料を包含する容器であり、該包含材料は単一の一般に均質な構成を有する、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記容器は、垂直から1°〜80°の角度でホルダに取り付けられる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記容器は、垂直から5°〜30°の角度でホルダに取り付けられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記放射線ビームは、物体表面と直角をなす以外の角度で物体を通過するように準備される、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記放射線ビームは、表面に対し垂直から5°〜30の角度で物体を通過するように準備される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記放射線ソースは、高エネルギー電離放射線を供給するソースを含む、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項18】
前記ソースのビームは、ペンシルビームを生じさせるためにコリメートされる、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項19】
前記放射線ビームは、透過放射線を検出器に通すことができるように、しかし、いかなる散乱放射線も検出器に達するのを制限するように、被検物体との相互作用の後、コリメートされる、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも前記第2の走査ステップ(c)に関し、前記ソースのスペクトルの少なくとも一部にわたって複数の区別されたエネルギーバンドで検出される強度情報を分解する更なるステップを含む、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項21】
前記検出器システムは、少なくともソース・スペクトルの一部において分光学的に多様な反応を示し、前記ソースのスペクトルにわたって複数の区別されたエネルギーバンドで分光学的に分解される強度情報を検索するステップを含む、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項22】
前記検出器は、直接材料特性として本質的に直接の可変的な光電応答をソース放射線に示すように選択される半導体材料または材料で製作される検出器素子を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記検出器は、半導体材料又はII−VI族半導体材料を含んでいるバルク結晶として形成される材料を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記検出器は、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)、テルル化カドミウムマンガン(CMT)、及びそれらの合金から選択される半導体材料を含む、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の、静的走査の実行の前に、入射放射線路に、エネルギー選択吸収体及び/又はフィルタが導入される、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項26】
前記検出器で集められた強度情報は、走査ゾーンにおける物体及び内容物の画像を発生させるために更に利用される、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項27】
前記検出器で集められた情報は、ソースのスペクトルの範囲内で複数のバンドにわたって分光学的に分解され、これらは連続またはエネルギーの区別された画像の複合物を生成するために割り当てられる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
発生される画像を表示する追加ステップを含む、請求項26または27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2012−515916(P2012−515916A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546959(P2011−546959)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050079
【国際公開番号】WO2010/086636
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(507282783)クロメック リミテッド (23)
【住所又は居所原語表記】NetPark Incubator, Thomas Wright Way, Sedgefield, County Durham TS21 3FD (GB)
【Fターム(参考)】