説明

物品仕分装置

【課題】物品仕分装置1において、搬送ライン2と仕分けライン4との両方で長物物品Mを密に載置して、効率よく搬送し仕分けできるようにする。
【解決手段】本願発明の物品仕分装置1は、長物物品Mが載置される多数の搬送ユニット3を列状に並べて搬送する搬送ライン2と、前記搬送ライン2からその搬送方向Xと直交する仕分け方向Yに分岐した仕分けライン4とを備え、前記仕分けライン4に向けて前記各搬送ユニット3上の前記長物物品Mを送り出すものである。前記各搬送ユニット3上の前記長物物品Mは前記仕分け方向Yに沿った姿勢で載置される。前記搬送ライン2による前記搬送方向Xの送り力Fxと、前記各搬送ユニット3による前記仕分け方向Yの送り力Fyとの組合せF(x+y)によって、前記仕分けライン4に受け渡された前記長物物品Mの姿勢を前記仕分け方向Yと交差する姿勢にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、きゅうり等の長物物品が搬送される搬送ラインと、これから交差方向に分岐した仕分けラインと備えており、前記仕分けラインに向けて前記長物物品を送り出す物品仕分装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、搬送ラインにて連続的に搬送される物品を所定のグループ毎に仕分けるための物品仕分装置には様々なタイプが存在する。
【0003】
この種の物品仕分装置の代表例として特許文献1には、クロスベルト式コンベヤの構造が開示されている。クロスベルト式コンベヤは、多数の搬送ユニットを一列状に並べて搬送する搬送ラインと、これから直交方向に分岐した仕分けラインとを備えている。各搬送ユニットには、その上面に載置された果実や野菜等の物品を仕分けラインに向けて送り出すクロスベルトソータが設けられている。この場合、搬送ライン中における所定の仕分け箇所に、仕分け対象となる物品を載せた搬送ユニットが到達すると、クロスベルトソータの作動にて物品が仕分けラインに向けて送り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−53275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来の物品仕分装置において、きゅうり等の長物物品を仕分けることはよく行われている。前記従来は、搬送ラインの搬送方向に沿った姿勢で、長物物品をクロスベルトソータ上に載置するのが一般的であった。このため、クロスベルトソータから送り出された長物物品は、その長手軸線回りに転がりながら仕分けラインに乗り移ることが多く、仕分けライン上で長物物品同士が衝突して傷付くおそれがあった。
【0006】
この点、前記搬送方向に直交する姿勢で、長物物品をクロスベルトソータ上に載置することも考えられる。しかし、そうすると、仕分けライン上での長物物品の姿勢が仕分けラインに沿うことになるから、長物物品を仕分けラインに密に載置できず、長物物品の単位時間当りの搬送量が少なくなるという問題があった。
【0007】
そこで、本願発明は、上記の問題点を解消して、長物物品を効率よく搬送し仕分けできる物品仕分装置を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、長物物品が載置される多数の搬送ユニットを列状に並べて搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインからその搬送方向と直交する仕分け方向に分岐した仕分けラインとを備えており、前記仕分けラインに向けて前記各搬送ユニット上の前記長物物品を送り出す物品仕分装置であって、前記各搬送ユニット上の前記長物物品は前記仕分け方向に沿った姿勢で載置されており、前記搬送ラインによる前記搬送方向の送り力と、前記各搬送ユニットによる前記仕分け方向の送り力との組合せによって、前記仕分けラインに受け渡された前記長物物品の姿勢を前記仕分け方向と交差する姿勢にしているというものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載した物品仕分装置において、前記搬送ラインの送り速度を前記各搬送ユニットの送り速度よりも速くしているというものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載した物品仕分装置において、前記各搬送ユニットには、前記仕分けラインに前記長物物品を送り出すベルト体と、前記仕分け方向に往復動して前記ベルト体を作動させる駆動シューと、前記駆動シューの移動量を小さくして前記ベルト体の載置側の移動量を大きくする倍移動機構とを有しているというものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3に記載した物品仕分装置において、前記各搬送ユニットには、前記駆動シューに付勢力を付与する付勢部材と、前記駆動シューの移動可否を切り換えるロック部材とを更に有している一方、前記搬送ラインには、前記搬送ユニットの物品送り出しに先立ち前記駆動シューが移動可能となるように前記ロック部材をロック解除状態にする解除部材と、前記駆動シューを前記仕分けラインから離れる斜め方向に案内する誘導板とを有しており、前記解除部材にて前記ロック部材がロック解除状態になると、前記付勢部材が前記駆動シューを前記誘導板側に付勢し、前記誘導板に突き当たった前記駆動シューが前記誘導板に沿って移動することによって、前記ベルト体上の前記長物物品が前記仕分けラインに送り出されるというものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載した物品仕分装置において、前記搬送ラインにおける前記仕分けライン寄りの箇所には、ロック解除状態での前記駆動シューが前記仕分けラインから離れる方向に移動するのを規制する規制板が前記搬送方向に沿って延びるように設けられており、前記規制板には、前記誘導板の先端側に対峙する連通隙間が形成されており、前記解除部材は、前記連通隙間よりも上流側に位置しているというものである。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5に記載した物品仕分装置において、前記搬送ラインにおいて、最上流の前記仕分けラインよりも上流側若しくは最下流の仕分けラインよりも下流側には、前記各搬送ユニットの前記駆動シューを前記ロック部材にてロック状態になる位置に戻す戻し誘導板が、前記仕分けラインから離れる斜め方向に延びた形状で配置されているというものである。
【発明の効果】
【0014】
本願発明によると、長物物品が載置される多数の搬送ユニットを列状に並べて搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインからその搬送方向と直交する仕分け方向に分岐した仕分けラインとを備えており、前記仕分けラインに向けて前記各搬送ユニット上の前記長物物品を送り出す物品仕分装置であって、前記各搬送ユニット上の前記長物物品は前記仕分け方向に沿った姿勢で載置されており、前記搬送ラインによる前記搬送方向の送り力と、前記各搬送ユニットによる前記仕分け方向の送り力との組合せによって、前記仕分けラインに受け渡された前記長物物品の姿勢を前記仕分け方向と交差する姿勢にしているから、前記搬送ラインに密に載置する姿勢(前記仕分け方向に沿った姿勢)から、前記仕分けラインに密に載置する姿勢(前記仕分け方向と交差する姿勢)に、前記長物物品の姿勢を変更できることになる。
【0015】
このため、前記搬送ラインと前記仕分けラインとを直交する配置関係にして、設置スペースを有効利用(省スペース化)できる物品仕分装置でありながら、例えばトレイ等を用いずとも、前記両ラインに長物物品を効率よく載置して長物物品の単位時間当りの搬送量を多くできる(前記仕分けラインでのストック量を多くできる)。前記仕分けラインでの前記長物物品の姿勢も比較的揃えられるから、その後のパッキング作業(箱詰め作業)の作業効率向上にも貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】物品仕分装置の概略平面図である。
【図2】搬送コンベヤラインと搬送ユニットとの関係を示す概略断面図である。
【図3】付勢部材及びロック部材を示す要部拡大図である。
【図4】倍移動機構を説明する側面図であり、(a)は送り出し前、(b)は送り出し中、(c)は送り出し後の状態を示す図である。
【図5】搬送ユニットを省略した状態での物品仕分装置の概略平面図である。
【図6】戻し誘導板を示す概略平面図である。
【図7】戻し誘導板を示す概略断面図である。
【図8】(a)−(c)は仕分け態様の一連の流れを説明する概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(1).物品仕分装置の概要
はじめに、図1−図7を参照しながら物品仕分装置1の概要を説明する。物品仕分装置1は、きゅうり、大根又はにんじんといった長物物品Mを、等級(品質)や階級(サイズ及び形状)に応じたグループ毎に仕分けるためのものであり、多数の搬送ユニット3を列状に並べて搬送する搬送コンベヤライン2と、当該搬送コンベヤライン2から分岐した少なくとも1つの仕分けコンベヤライン4とを備えている。
【0019】
各仕分けコンベヤライン4は、搬送コンベヤライン2から送り込まれた長物物品Mを一時的に滞留させながら搬送するものである。各仕分けコンベヤライン4は連続的に駆動する構成でもよいし、間欠的に駆動する構成でもよい。各仕分けコンベヤライン4上に滞留している長物物品Mは、例えばオペレータの手作業にて透明合成樹脂製の包装パックや段ボール箱等の包装用容器にパッキング(箱詰め)される。
【0020】
図1及び図2等に示すように、搬送コンベヤライン2は、その長手方向に沿って延びる左右一対の走行レール5を備えている。これら走行レール5上に、台車タイプの搬送ユニット3群が走行可能に配置されている。図示は省略するが、搬送コンベヤライン2の長手両端部には、駆動スプロケットと従動スプロケットとが振り分けて配置されている。両スプロケットに巻き掛けられた無端チェンに、各搬送ユニット3が所定のピッチ間隔で連結されている。両スプロケット及び無端チェンの駆動にて、搬送ユニット3群は搬送コンベヤライン2を循環移動する。実施形態の搬送ユニット3群は、搬送コンベヤライン2の上部側で搬送方向Xに沿って移動する。なお、各搬送ユニット3の位置は、駆動スプロケットの駆動量をロータリエンコーダ(図示省略)にてカウントすることで計測される。
【0021】
図1−図3に示すように、各搬送ユニット3は、搬送コンベヤライン2中における所定の仕分け箇所(仕分けコンベヤライン4との分岐箇所)にて、搬送方向Xと交差する仕分け方向Yに搬送ユニット3上の長物物品Mを送り出すクロスベルトソータ10を備えている。実施形態のクロスベルトソータ10は、搬送ユニット3における一対のフレーム板11の間に設けられた倍移動機構12と、倍移動機構12に巻き掛けられたベルト体13とを有している。なお、実施形態では、仕分け方向Yは搬送方向Xと直交する関係にある。
【0022】
倍移動機構12は、駆動シュー16の移動量を小さくしてベルト体13の上面側(載置側)の移動量を大きくするものであり、ベルト体13を回行移動させる上下のローラ対14,15の組合せからなっている。上下のローラ対14,15はいずれも、搬送方向Xに沿って互いに平行状に延びている。上ローラ対14は仕分け方向Yに間隔を空けて配置され、一対のフレーム板11に回動可能に軸支されている。下ローラ対15は上ローラ対14の間で互いに近接して配置されていて、駆動シュー16を介して回転可能に連結されている。駆動シュー16は、仕分け方向Yに往復動してベルト体13を回行移動させるものであり、その下面側に下向きに突出するガイドピン17が設けられている。
【0023】
図4(a)−(c)に示すように、ベルト体13は帯状に形成されている。ベルト体13の長手方向は仕分け方向Yに沿わせている。ベルト体13は上ローラ対14に上方から巻き掛けられている。ベルト体13の長手方向一端側は、一方の上ローラ14から下ローラ対15の間を上から下に通り抜けて、前記一方の上ローラ14と同じ側にある下ローラ15に巻き掛けられ、それから、前記一方の上ローラ14と同じ側に引き出されてクロスベルトソータ10の底板に固定されている。ベルト体13の長手方向他端側は、他方の上ローラ14から下ローラ対15の間を上から下に通り抜けて、前記他方の上ローラ14と同じ側にある下ローラ15に巻き掛けられ、それから、前記他方の上ローラ14と同じ側に引き出されてクロスベルトソータ10の底板に固定されている。
【0024】
図4(a)−(c)に示すように、駆動シュー16を仕分け方向Yと逆方向に移動させると、下ローラ対15が動滑車の役割を果たし、上下のローラ対14,15を回転させつつベルト体13を滑り移動させる。ベルト体13の上面側(載置側)は仕分け方向Yに移動する。ベルト体13の上面側には長物物品Mが載置される。従って、ベルト体13上の長物物品Mは、ベルト体13上面側の仕分け方向Yへの移動にて、仕分けコンベヤライン4に向けて搬出される。この場合、長物物品Mは、搬送方向Xと直交する仕分け方向Yに長く延びる搬送姿勢で各ベルト体13上に載置される(図1及び図2等参照)。
【0025】
上ローラ対14は定滑車の役割を担う一方、下ローラ対15は動滑車の役割を担っている。このため、ベルト体13上面側の仕分け方向Yに移動量Lだけ移動させるのに、駆動シュー16及びガイドピン17は、その半分のL/2だけ仕分け方向Yと逆方向に移動すれば済む。すなわち、駆動シュー16及びガイドピン17の移動量L/2に対して、ベルト体13上面側の仕分け方向Yへの移動量Lが2倍になるから、仕分け方向Yに長い搬送姿勢で載置された各搬送ユニット3上の長物物品Mを、仕分けコンベヤライン4に向けて確実且つスムーズに搬出できる。
【0026】
なお、一対のフレーム板11の上面側には、搬送方向Xからの側面視で略台形状を呈する支持板18が配置されている。支持板18は、ベルト体13上の長物物品Mの重量を受け止めるためのものであり、仕分け方向Yからの側面視で凹面状(断面V字状)に凹んでいる。当該凹み部分上にベルト体13の上面側が被さり、その上に長物物品Mが安定的に載置される。このため、搬送ユニット3での搬送途次において、長物物品Mが搬送方向Xに転がって落下するおそれはまずない。
【0027】
図2及び図3に示すように、クロスベルトソータ10の底板には、仕分けコンベヤライン4寄りの箇所に、駆動シュー16のガイドピン17に付勢力を付与する付勢部材40が吊り下げブラケット39を介して設けられている。付勢部材40は、筒状の収容体41と、収容体41内に摺動可能で且つ抜け不能に嵌挿された摺動体42と、摺動体42を常時仕分け方向Yと逆方向に押圧付勢するように収容体41内に配置された押しバネ43とを備えている。摺動体42は仕分け方向Yに沿って進退動するように構成されている。摺動体42の先端側は収容体41から外向き(仕分け方向Yと逆方向)に突き出ていて、これにガイドピン17が当接可能に構成されている。
【0028】
吊り下げブラケット39の下端側には、駆動シュー16及びガイドピン17の移動可否を切り換えるロック部材としての係合フック44が設けられている。実施形態では、係合フック44の長手中途部が、搬送方向Xに平行な支軸45を介して、吊り下げブラケット39の下端側に回動可能に軸支されている。係合フック44において仕分け方向Yと逆側の先端側には、駆動シュー16を係脱可能に係止するフック部46が形成されている。係合フック44は、支軸45に被嵌されたねじりバネ47によって、フック部46側を常時上向き(ガイドピン17を係止する方向)に回動させるように付勢されている。フック部46の先端側には、仕分け方向Yと逆方向に向けて下り傾斜状の傾斜面46aが形成されている。係合フック44の基端側は仕分け方向Yに突き出ている。吊り下げブラケット39には、係合フック44におけるフック部46側の上向き回動を規制する規制ピン48が設けられている。
【0029】
駆動シュー16及びガイドピン17を図2及び図4(a)に示すロック位置に向けて移動させた場合は、フック部46の傾斜面46aにガイドピン17が当たって、係合フック44のフック部46側をねじりバネ47のバネ力に抗して下向きに逃げ回動させる。そして、ガイドピン17が摺動体42に当接して、押しバネ43のバネ力に抗して摺動体42を収容体41内に押し込む。この状態で、係合フック44のフック部46がねじりバネ47のバネ力にてガイドピン17を係止する。その結果、ガイドピン17ひいては駆動シュー16が移動不能に保持される。
【0030】
詳細は後述するが、電磁ソレノイド25の駆動にて切換ブロック24を上昇させておくと、係合フック44の基端側が切換ブロック24に突き当たって上向きに回動する(係合フック44の基端側が押し上げられる)。そうすると、係合フック44のフック部46がねじりバネ47のバネ力に抗してガイドピン17から外れ、ロック解除状態になる(図2及び図3の二点鎖線状態参照)。そして、ガイドピン17ひいては駆動シュー16は、押しバネ43のバネ力によって、仕分け方向Yと逆方向に押し出されることになる。
【0031】
図1、図2及び図5に示すように、搬送コンベヤライン2における仕分けコンベヤライン4寄りの箇所には、搬送方向Xに沿って延びる規制板21が設けられている。規制板21は、ロック解除状態での駆動シュー16が仕分け方向Yと逆方向に移動するのを規制するものである。係合フック44にてロックされたガイドピン17は、規制板21よりも仕分けコンベヤライン4に寄せた状態で、各搬送ユニット3の搬送方向Xに沿った移動によって搬送方向Xに(規制板21に沿って)案内される。
【0032】
他方、搬送コンベヤライン2中の仕分け箇所には、搬送ユニット3の搬送方向Xに沿った移動によってガイドピン17を仕分け方向Yと逆方向に案内する誘導板22が配置されている。誘導板22は、平面視で搬送コンベヤライン2の下流側に行くに連れて仕分けコンベヤライン4から離れる斜め方向に傾斜している。誘導板22における仕分けコンベヤライン4寄りの一端側(先端側)は、規制板21の適宜箇所に形成された連通隙間23に臨ませている。
【0033】
連通隙間23よりも上流側には、電磁ソレノイド25の駆動にて昇降動可能な解除部材としての切換ブロック24が配置されている。誘導板22の近傍には、駆動プーリ27及び従動プーリ28に巻き掛けられた補助ベルト26が配置されている。補助ベルト26において搬送コンベヤライン2の上流側に位置する部分は、誘導板22において前記上流側に面した平坦面に重なっている。駆動プーリ27に連結された駆動モータ29の駆動にて、補助ベルト26は循環移動するように構成されている。実施形態の補助ベルト26は常時、図5の平面視で時計回りに循環移動する。従って、補助ベルト26のうち誘導板22と重なる部位は、誘導板22に沿った斜め方向に移動する。
【0034】
電磁ソレノイド25の駆動にて切換ブロック24を上昇させた場合は、各搬送ユニット3における係合フック44の基端側の通り道が切換ブロック24にて遮断され、係合フック44の基端側が切換ブロック24に突き当たって上向きに回動する。そうすると、係合フック44のフック部46がねじりバネ47のバネ力に抗してガイドピン17から外れ、ロック解除状態になる。ガイドピン17は、押しバネ43のバネ力にて仕分け方向Yと逆方向に押し出されて規制板21に衝突し、搬送ユニット3の搬送方向Xに沿った移動にて規制板21に沿って下流側に案内される。この状態では、摺動体42はガイドピン17に当接していて、押しバネ43には未だバネ力(押圧付勢力)が蓄えられている。
【0035】
搬送ユニット3の搬送方向Xに沿った移動にて、ガイドピン17が連通隙間23の箇所に達すると、ガイドピン17は、押しバネ43のバネ力にて更に仕分け方向Yと逆方向に押し出されて、誘導板22及び補助ベルト26に対峙する(図4(b)参照)。そうすると、ガイドピン17は、搬送ユニット3の搬送方向Xに沿った移動と補助ベルト26の送り作用とによって、誘導板22に沿った斜め方向にスライド移動する。そして、ガイドピン17の斜め方向の移動に伴い、駆動シュー16が仕分け方向Yと逆方向に移動し、これに連動してベルト体13の上面側が仕分け方向Yに移動する。その結果、ベルト体13上の長物物品Mが仕分けコンベヤライン4に向けて送り出される。
【0036】
電磁ソレノイド25の駆動にて切換ブロック24を下降させた場合は、各搬送ユニット3における係合フック44の基端側の通り道が空くので、搬送ユニット3の搬送方向Xに沿った移動にて、係合フック44にてロックされたガイドピン17がそのまま規制板21に沿って進むことになる。
【0037】
図6及び図7に示すように、搬送コンベヤライン2において最上流の仕分けコンベヤライン4よりも上流側には、各搬送ユニット3の駆動シュー16及びガイドピン17を図2及び図4(a)に示すロック位置に戻す戻し誘導板38が平面視で搬送コンベヤライン2の下流側に行くに連れて仕分けコンベヤライン4に近付く斜め方向に延びた形状で配置されている。
【0038】
搬送コンベヤライン2の上流側に戻った各搬送ユニット3のガイドピン17は、搬送ユニット3の搬送方向Xに沿った移動によって、戻し誘導板38に沿った斜め方向にスライド移動し、駆動シュー16を仕分け方向Yに移動させ、これに連動してベルト体13の上面側を仕分け方向Yと逆方向に移動させる。そして、ガイドピン17は、戻し誘導板38の存在によって、付勢部材40のバネ力に抗してロック位置まで戻り、係合フック44にて移動不能に保持される。その後、オペレータの手作業等で、各搬送ユニット3におけるベルト体13の上面側に長物物品Mが載置されることになる。戻し誘導板38の配置箇所は、搬送コンベヤライン2において最下流の仕分けコンベヤライン4より下流側であってもよい。
【0039】
なお、搬送コンベヤライン2における最上流の仕分けコンベヤライン4よりも上流側には、長物物品Mの等級を判定する判定手段30が配置されている。判定手段30は、仕分けの目的や長物物品Mの種類に応じて採用される。例えばサイズや形状で仕分ける場合は、光学センサや画像処理装置等を採用すればよく、品質で仕分ける場合は糖度計等を採用すればよい。
【0040】
搬送コンベヤライン2の送り速度と、各搬送ユニット3の送り速度(ベルト体13の仕分け方向Yへの駆動速度)とには、速度差を持たせている。実施形態では、搬送コンベヤライン2の送り速度の方を各搬送ユニット3の送り速度よりも速い設定にしている。搬送コンベヤライン2から仕分けコンベヤライン4に長物物品Mを送り込む際は、搬送コンベヤライン2による慣性の作用にて、長物物品Mは、搬送コンベヤライン2から仕分けコンベヤライン4に向かう矢印R方向(図8の時計方向)に横回転する。そして、長物物品Mは最終的に、後端側に行くに連れて搬送コンベヤライン2に近付くような仕分け方向Yに対して斜め(交差)の姿勢で、仕分けコンベヤライン4上に載置される(図8(c)参照)。
【0041】
実施形態では、各搬送ユニット2上の長物物品Mが、仕分けコンベヤライン4に送り出されるまでに90°程度横回転するように(搬送方向Xに沿って長く延びる姿勢で仕分けコンベヤライン4に搬出されるように)、搬送コンベヤライン2及び各搬送ユニット3の送り速度が設定されている(図8(c)参照)。
【0042】
(2).物品仕分装置での仕分け態様
次に、図8(a)−(c)を参照しながら、物品仕分装置1での仕分け態様の一例について説明する。仕分け箇所に到達した搬送ユニット3上の長物物品Mが、ベルト体13の回行移動にて仕分けコンベヤライン4に搬出される際は、搬送コンベヤライン2による搬送方向Xの移動力Fx(慣性)と、クロスベルトソータ10による仕分け方向Yの押し出し力Fyとが長物物品Mに作用する(図8(a)参照)。このため、長物物品Mは、移動力Fxと押し出し力Fyとの合力F(x+y)に沿った斜め方向にスライド移動しようとするが、長物物品Mの形状(仕分け方向Yに長い形状)の関係で、結果的には矢印R方向に横回転しながら仕分け方向Yに移動し(図8(b)参照)、最終的に、長物物品Mは仕分け方向Yと交差する姿勢で仕分けコンベヤライン4に乗り移るのである(図8(c)参照)。
【0043】
以上の構成によると、長物物品Mが載置される多数の搬送ユニット3を列状に並べて搬送する搬送ライン2と、前記搬送ライン2からその搬送方向Xと直交する仕分け方向Yに分岐した仕分けライン4とを備えており、前記仕分けライン4に向けて前記各搬送ユニット3上の前記長物物品Mを送り出す物品仕分装置1であって、前記各搬送ユニット3上の前記長物物品Mは前記仕分け方向Yに沿った姿勢で載置されており、前記搬送ライン2による前記搬送方向Xの送り力Fxと、前記各搬送ユニット3による前記仕分け方向Yの送り力Fyとの組合せF(x+y)によって、前記仕分けライン4に受け渡された前記長物物品Mの姿勢を前記仕分け方向Yと交差する姿勢にしているから、前記搬送ライン2に密に載置する姿勢(前記仕分け方向Yに沿った姿勢)から、前記仕分けライン4に密に載置する姿勢(前記仕分け方向Yと交差する姿勢)に、前記長物物品Mの姿勢を変更できることになる。
【0044】
このため、前記搬送ライン2と前記仕分けライン4とを直交する配置関係にして、設置スペースを有効利用(省スペース化)できる物品仕分装置1でありながら、例えばトレイ等を用いずとも、前記両ライン2,4に長物物品Mを効率よく載置して長物物品Mの単位時間当りの搬送量を多くできる(前記仕分けライン4でのストック量を多くできる)。また、前記仕分けライン4での前記長物物品Mの姿勢も比較的揃えられるから、その後のパッキング作業(箱詰め作業)の作業効率向上にも貢献する。
【0045】
また、前記搬送ライン2の送り速度を前記各搬送ユニット3の送り速度よりも速くしているから、前記搬送ライン2側から前記仕分けライン4側に受け渡される長物物品Mの姿勢を、前記仕分けライン4に交差する姿勢に簡単且つスムーズに変更できる。
【0046】
更に、前記各搬送ユニット3には、前記仕分けライン4に前記長物物品Mを送り出すベルト体13と、前記仕分け方向Yに往復動して前記ベルト体13を作動させる駆動シュー15と、前記駆動シュー15の移動量を小さくして前記ベルト体13の載置側の移動量を大きくする倍移動機構12とを有しているから、前記ベルト体13の駆動にモータ等のアクチュエータを利用しない構成でありながら、長物物品Mを確実に前記仕分けライン4に送り出しできる。
【0047】
実施形態では、前記各搬送ユニット3に、前記駆動シュー16に付勢力を付与する付勢部材40と、前記駆動シュー16の移動可否を切り換えるロック部材44とを更に有している一方、前記搬送ライン2には、前記搬送ユニット3の物品送り出しに先立ち前記駆動シュー16が移動可能となるように前記ロック部材44をロック解除状態にする解除部材24と、前記駆動シュー16を前記仕分けライン4から離れる斜め方向に案内する誘導板22とを有している。そして、前記解除部材24にて前記ロック部材44がロック解除状態になると、前記付勢部材40が前記駆動シュー16を前記誘導板22側に付勢し、前記誘導板22に突き当たった前記駆動シュー16が前記誘導板22に沿って移動することによって、前記ベルト体13上の前記長物物品Mが前記仕分けライン4に送り出されるから、前記付勢部材40の付勢力によって、前記駆動シュー16ひいては前記ベルト体13の初期駆動をスムーズに行え、できるだけ電気的な制御を省きながら、効率よく長物物品Mを前記仕分けライン4に送り出しできる。
【0048】
しかも、前記搬送ライン2における前記仕分けライン4寄りの箇所には、ロック解除状態での前記駆動シュー16が前記仕分けライン4から離れる方向に移動するのを規制する規制板21が前記搬送方向Xに沿って延びるように設けられており、前記規制板21には、前記誘導板22の先端側に対峙する連通隙間23が形成されており、前記解除部材24は、前記連通隙間23よりも上流側に位置しているから、前記仕分けライン4の箇所に到達する前に予め、前記ロック部材44をロック解除状態にして前記駆動シュー16を移動可能に設定でき、前記付勢部材40の付勢力による前記連通隙間23への前記駆動シュー16の送り出しを確実に行える。
【0049】
その上、前記搬送ライン2において、最上流の前記仕分けライン4よりも上流側若しくは最下流の仕分けライン4よりも下流側には、前記各搬送ユニット3の前記駆動シュー16を前記ロック部材44にてロック状態になる位置に戻す戻し誘導板38が、前記仕分けライン4に近付く斜め方向に延びた形状で配置されているから、前記戻し誘導板38の存在によって、前記各搬送ユニット2を循環搬送するだけで、前記ロック部材44にて移動不能になるロック位置まで前記駆動シュー16を案内できる。従って、物品載置作業への移行に手間がかからないのである。
【0050】
(3).その他
本願発明は、前述の実施形態に限らず、農産物以外の様々な種類の長物物品を搬送・仕分する物品仕分装置として広く適用できる。長物物品の種類や大きさ等に応じて、仕分けコンベヤライン4の幅寸法や、誘導板22及び切換ブロック24の個数等は適宜設定できる。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
Fx 慣性
Fy 押し出し力
F(x+y) 合力
M 長物物品
X 搬送方向
Y 仕分け方向
1 物品仕分装置
2 搬送コンベヤライン
3 搬送ユニット
4 仕分けコンベヤライン
10 クロスベルトソータ
12 倍移動機構
13 ベルト体
16 駆動シュー
17 ガイドピン
24 切換ブロック
40 付勢部材
44 係合フック(ロック部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長物物品が載置される多数の搬送ユニットを列状に並べて搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインからその搬送方向と直交する仕分け方向に分岐した仕分けラインとを備えており、前記仕分けラインに向けて前記各搬送ユニット上の前記長物物品を送り出す物品仕分装置であって、
前記各搬送ユニット上の前記長物物品は前記仕分け方向に沿った姿勢で載置されており、
前記搬送ラインによる前記搬送方向の送り力と、前記各搬送ユニットによる前記仕分け方向の送り力との組合せによって、前記仕分けラインに受け渡された前記長物物品の姿勢を前記仕分け方向と交差する姿勢にしている、
物品仕分装置。
【請求項2】
前記搬送ラインの送り速度を前記各搬送ユニットの送り速度よりも速くしている、
請求項1に記載した物品仕分装置。
【請求項3】
前記各搬送ユニットには、前記仕分けラインに前記長物物品を送り出すベルト体と、前記仕分け方向に往復動して前記ベルト体を作動させる駆動シューと、前記駆動シューの移動量を小さくして前記ベルト体の載置側の移動量を大きくする倍移動機構とを有している、
請求項1又は2に記載した物品仕分装置。
【請求項4】
前記各搬送ユニットには、前記駆動シューに付勢力を付与する付勢部材と、前記駆動シューの移動可否を切り換えるロック部材とを更に有している一方、
前記搬送ラインには、前記搬送ユニットの物品送り出しに先立ち前記駆動シューが移動可能となるように前記ロック部材をロック解除状態にする解除部材と、前記駆動シューを前記仕分けラインから離れる斜め方向に案内する誘導板とを有しており、
前記解除部材にて前記ロック部材がロック解除状態になると、前記付勢部材が前記駆動シューを前記誘導板側に付勢し、前記誘導板に突き当たった前記駆動シューが前記誘導板に沿って移動することによって、前記ベルト体上の前記長物物品が前記仕分けラインに送り出される、
請求項3に記載した物品仕分装置。
【請求項5】
前記搬送ラインにおける前記仕分けライン寄りの箇所には、ロック解除状態での前記駆動シューが前記仕分けラインから離れる方向に移動するのを規制する規制板が前記搬送方向に沿って延びるように設けられており、
前記規制板には、前記誘導板の先端側に対峙する連通隙間が形成されており、
前記解除部材は、前記連通隙間よりも上流側に位置している、
請求項4に記載した物品仕分装置。
【請求項6】
前記搬送ラインにおいて、最上流の前記仕分けラインよりも上流側若しくは最下流の仕分けラインよりも下流側には、前記各搬送ユニットの前記駆動シューを前記ロック部材にてロック状態になる位置に戻す戻し誘導板が、前記仕分けラインに近付く斜め方向に延びた形状で配置されている、
請求項5に記載した物品仕分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−236119(P2012−236119A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105201(P2011−105201)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】