説明

物品検査装置

【課題】被検査物の検査結果と試験用被検査物の検査結果とを区別することができる物品検査装置を提供すること。
【解決手段】被検査物Wを搬送する助走コンベア12、秤量コンベア13と、助走コンベア12、秤量コンベア13に搬送される被検査物Wを検査する荷重センサ15、金属検出部25と、荷重センサ15、金属検出部25の検査結果に基づいて被検査物Wが良品または不良品のいずれであるかを判定する総合判定部44と、総合判定部44の判定結果に基づいて被検査物Wを選別する選別機構32とを有する物品検査装置1において、被検査物Wの識別情報を取得する読取部23、撮影部24と、荷重センサ15、金属検出部25の検査結果を含む各個情報と、読取部23、撮影部24が取得した識別情報とを対応付けた検査記録を作成する検査記録作成部45と、検査記録作成部45が作成した検査記録を蓄積する検査記録蓄積部46とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物についての品質検査を行う物品検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、物品検査装置としては、磁界の変化を検知したりX線を照射することにより被検査物中の異物の有無を検査する異物検査部、または被検査物の重量を計量して適正な重量であるか否かを検査する重量検査部の少なくとも一方と、これらの検査部の検査結果に基づいて被検査物を良品と不良品とに選別する選別部とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の物品検査装置においては、被検査物が良品または不良品に正しく判定されるように、不良品と判定されるように設定された試験用被検査物(テストピース)を製品検査開始前や製品検査終了後に物品検査装置に通過させて、試験用被検査物が不良品として正しく判定されるか否かを確認する製品検査外確認作業や、不良品と判定されるように設定された試験用被検査物を製品検査中に物品検査装置に通過させて、試験用被検査物が不良品として正しく判定されるか否かを確認する製品検査中確認作業が行われていた。
【特許文献1】特開2007−244986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の物品検査装置においては、製品検査外確認作業は、そのための作業時間を製品の検査の前後に設けて行うかまたは製品の検査を中断して行う必要があるため時間効率が悪く、また、製品検査中に行うものではないため信憑性に劣るという問題があった。一方、製品検査中確認作業は、製品検査中に行うことができ時間効率および信憑性に優れるため製品検査外確認作業よりも好ましいが、被検査物の検査結果と試験用被検査物の検査結果とが混在してしまい、製品としての被検査物の検査結果と、テストピース、または製品にテストピースを装着してなる試験用被検査物の検査結果とを区別することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、被検査物の検査結果と試験用被検査物の検査結果とを区別することができる物品検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品検査装置は、上記目的を達成するため、(1)被検査物を搬送する搬送手段と、前記搬送手段に搬送される前記被検査物を検査する検査手段と、前記検査手段の検査結果に基づいて前記被検査物が良品または不良品のいずれであるかを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて前記被検査物を選別する選別手段とを有する物品検査装置において、前記被検査物の識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記検査手段の検査結果を含む各個情報と前記識別情報取得手段が取得した識別情報とを対応付けた検査記録を作成する検査記録作成手段と、前記検査記録作成手段が作成した検査記録を蓄積する検査記録蓄積手段とを備えたものから構成されている。
【0007】
この構成により、検査記録蓄積手段に蓄積された検査記録を参照することにより、被検査物として製品にテストピース(試験用被検査物)を混入した場合に、被検査物の各個情報に含まれる検査結果が不良品であるもののうち、識別情報が製品であるかテストピースであるかを区別することができるので、製品の本当の不良とテストピースによる不良とを区別することができる。
【0008】
また、上記(1)に記載の物品検査装置は、(2)前記識別情報取得手段が、前記判定手段が前記被検査物を不良品と判定したとき、前記識別情報を取得するものから構成されている。
【0009】
この構成により、不良品と判定された被検査物の識別情報が取得されるので、検査記録蓄積手段に蓄積された検査記録を参照することにより、識別情報が製品であるかテストピースであるかを区別することができるので、製品の本当の不良とテストピースによる不良とを区別することができる。
【0010】
また、上記(1)または(2)に記載の物品検査装置は、(3)前記識別情報取得手段が、前記被検査物に付与された識別情報としての二次元コードを読み取る二次元コード読み取り手段を有するものから構成されている。
【0011】
この構成により、被検査物の姿勢が一定していない場合であっても、安定して識別情報としての二次元コードを読み取ることができる。
【0012】
また、上記(1)から(3)のいずれかに記載の物品検査装置は、(4)前記識別情報取得手段が、前記被検査物を撮影する撮影手段を有するものから構成されている。
【0013】
この構成により、被検査物の状態が画像として記録されるので、不良品であった被検査物の状態を確認することができる。
【0014】
また、上記(1)から(4)のいずれかに記載の物品検査装置は、(5)前記検査記録蓄積手段に蓄積された検査記録を、前記識別情報取得手段が取得した識別情報の種類毎に分別する分別手段を備えたものから構成されている。
【0015】
この構成により、分別手段により、被検査物の不良のうち製品の不良とテストピースにより発生した不良とを分別することができるので、被検査物の不良率を正確に把握することができる。
【0016】
また、上記(1)から(5)のいずれかに記載の物品検査装置は、(6)前記分別手段が分別した前記検査記録を出力する出力手段を備えたものから構成されている。
【0017】
この構成により、被検査物の不良率を正確に且つ容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、被検査物の検査結果と試験用被検査物の検査結果とを区別することができる物品検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
まず構成について説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る物品検査装置1の斜視図である。
【0022】
図1に示すように、物品検査装置1は、生産ラインの一部を構成する搬入コンベア2の下流端に隣接するように設置されており、被検査物Wを計量する計量機3と、被検査物Wを選別する選別機4とを備えている。物品検査装置1は、搬入コンベア2から順次搬入されてくる被検査物Wを計量機3で計量することにより良品と不良品とに判定し、計量機3で判定された判定結果に基づき選別機4で被検査物Wを選別するようになっている。
【0023】
良品として選別された被検査物Wは、そのまま生産ラインを流れて工場外に出荷され、不良品として選別された被検査物Wは、図示しない回収ボックスに収納されて、異物が混入しない状態で一定期間隔離される。なお、ここでいう被検査物Wとは、包装された生肉、魚、加工食品などの工場の生産ラインで搬送されるものである。
【0024】
計量機3は、助走コンベア12と、秤量コンベア13と、搬入センサ14と、荷重センサ15とを備えている。
【0025】
助走コンベア12は、搬入コンベア2の下流端に隣接し、搬入コンベア2から被検査物Wを受け取るようになっている。助走コンベア12は、所謂、ベルトコンベアであり、一対のローラ21a、21bと、一対のローラ21a、21bとに掛け渡された無端ベルト22と、一対のローラ21a、21bのいずれか一方を回転駆動する図3に示す駆動モータ16とから構成され、駆動モータ16は、制御ボックス11により駆動制御されている。助走コンベア12は、搬入コンベア2から順次送られてくる被検査物Wを受け取り、搬入間隔を調整して秤量コンベア13に送り出すようになっている。
【0026】
秤量コンベア13は、助走コンベア12の下流端に隣接し、助走コンベア12から被検査物Wを受け取るようになっている。また、秤量コンベア13は、荷重センサ15の上に載置されており、助走コンベア12から送られてくる被検査物Wを荷重センサ15に計量させると共に、選別機4に送り出すようになっている。なお、秤量コンベア13も助走コンベア12と同様にベルトコンベアで構成されている。
【0027】
搬入センサ14は、投光部27と受光部28とから構成され、投光部27および受光部28は、助走コンベア12と秤量コンベア13との間に対向するようにして配置されている。受光部28は、投光部27からの光を受光するようになっており、投光部27からの光が被検査物Wにより遮光されることにより、被検査物Wの存在を検知するようになっている。搬入センサ14は、被検査物Wの存在を検知すると、荷重センサ15に搬入検知信号を出力するようになっており、搬入検知信号は、荷重センサ15の計量開始のタイミングに利用される。
【0028】
荷重センサ15は、秤量コンベア13の下方に位置し、秤量コンベア13上の被検査物Wを計量して計量信号を制御ボックス11に出力するようになっている。また、荷重センサ15は、搬入センサ14から搬入検知信号を受けてから所定時間Tの経過後に作動し、被検査物Wを計量し始める。
【0029】
また、物品検査装置1は、制御ボックス11を備え、制御ボックス11は、正面上方に設けられた表示部17と、表示部17の下方に設けられた操作部18とを有しており、物品検査装置1全体の駆動を統括管理している。表示部17は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスで構成され、操作画面や各種メッセージを表示する。操作部18は、物品検査装置1を制御するための各種設定を入力するために用いられる。なお、操作部18は、表示部17の一部にタッチパネルとして形成されていてもよい。
【0030】
また、物品検査装置1は、助走コンベア12の周囲を取り囲むよう形成された金属検出部25を備えている。
【0031】
金属検出部25は、基準信号に対応する磁界を発生させるとともに、この磁界中を被検査体Wが通過することによる磁界の変化を検出して、被検査体W中の金属物の有無の判定、又は金属成分を含む構成要素が欠落しているか否かを判定する。
【0032】
なお、金属検出部25は、磁界の変化により金属を検出するものに限定されず、例えば陰極フィラメントからの熱電子をその陰極と陽極の間の高電圧により陽極ターゲットに衝突させて助走コンベア12の上方でX線を発生させるとともに、発生したX線を助走コンベア12の下方で検出することにより、被検査物Wに混入した金属の異物を検出するように構成してもよい。この場合、被検査物Wに混入した金属以外の異物も検出することができる。
【0033】
金属検出部25の搬送方向上流側には、搬入センサ26が設けられている。搬入センサ26は、投光部29と受光部30とから構成され、投光部29および受光部30は、搬入コンベア2と助走コンベア12との間に対向するようにして配置されている。受光部30は、投光部29からの光を受光するようになっており、投光部29からの光が被検査物Wにより遮光されることにより、被検査物Wの存在を検知するようになっている。搬入センサ26は、被検査物Wの存在を検知すると、金属検出部25に搬入検知信号を出力するようになっており、搬入検知信号は、金属検出部25の検出動作開始のタイミングに利用される。また、金属検出部25は、搬入センサ26から搬入検知信号を受けてから所定時間Tの経過後に被検査物Wに対する検出動作を開始する。
【0034】
なお、荷重センサ15が搬入センサ14から搬入検知信号を受けてから被検査物Wを計量し始めるまでの所定時間Tとは、被検査物Wが助走コンベア12から秤量コンベア13に完全に乗り移り、荷重センサ15からの計量信号が安定するまでに必要な時間である。このように、荷重センサ15は、所定時間Tを経過した後に被検査物Wの重量を計量するため、計量信号の安定した部分から計量値を得ることができるようになっている。なお、荷重センサ15の計量方式は、被検査物Wの重量等に応じて電磁平衡式、電気抵抗式および差動トランス式のいずれの方式を採用してもよい。
【0035】
選別機4は、搬出コンベア31と、選別機構32とを備えている。
【0036】
搬出コンベア31は、秤量コンベア13の下流端に隣接し、秤量コンベア13から被検査物Wを受け取るようになっている。搬出コンベア31は、秤量コンベア13から受け取った被検査物Wを図示しない搬出トレイに送り出すようになっている。なお、搬出コンベア31は、助走コンベア12および秤量コンベア13と同様にベルトコンベアで構成されている。
【0037】
選別機構32は、制御ボックス11により制御されており、計量機3により不良品であると判定された搬出コンベア31上の被検査物Wを図示しない回収ボックスへ押し出すことにより排除するようになっている。なお、選別機構32は、押出方式に限らず、アームにより搬出コンベア31上の被検査物Wの流れる方向を変えて選別するフリッパ方式や、搬出コンベア31上の被検査物Wを下方へ落下させることにより選別するドロップアウト方式の選別機構を採用してもよい。また、機械的に選別する方式に限定されず、被検査物Wが軽いものであれば、圧縮エアにより被検査物Wを吹き飛ばすエアジェット方式を採用してもよい。
【0038】
また、制御ボックス11の側面には、読取部23と撮影部24とが設けられている。
【0039】
読取部23は、被検査物Wに予め付与された識別情報としての二次元コードを読み取って、個々の被検査物Wの識別を行うものである。なお、物品検査装置1において、読取部23により二次元コードが読み取ることのできた被検査物Wは製品として識別され、読取部23により二次元コードが読み取れなかった被検査物Wは試験用被検査物としてのテストピースとして識別される。本実施の形態では、マトリックス型二次元コードの一種であるQRコード(登録商標)により被検査物Wの識別を行うため、被検査物Wの姿勢に影響を受けることなく二次元コードを読み取って被検査物Wの識別を行うことができるようになっている。
【0040】
撮影部24は、図8に示すように、計量機3により不良品であると判定された搬出コンベア31上の被検査物Wを選別機構32が排除する際に、該排除される被検査物Wの画像を識別情報として撮影するようになっている。なお、これら識別情報の取得には、必ずしも撮影部24は必要でなく、読取部23のみによって識別情報としての二次元コードを読み取るように構成してもよい。また、撮影部24が撮影した被検査物Wの画像を解析して、被検査物Wが製品であるか、または試験用被検査物としてのテストピースであるかを識別するように構成してもよい。
【0041】
図2を参照して、計量信号について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る物品検査装置1の荷重センサ15の計量信号の一例を示す図である。
【0042】
図2に示すように、計量信号は、縦軸を重量[g]、横軸を時間[s]にすると、破線部を除く山型波形の頂部36を形成する。荷重センサ15は、被検査物Wが搬入センサ14に検知されてから信号の立ち上がりまでの時間とオーバーシュートが安定状態に戻るまでの時間との合計時間を示す所定時間Tの経過後から計量を開始し、信号が立ち下がる直前まで計量信号を出力し続ける。
【0043】
このように、搬入センサ14に検知されてから所定時間Tを経過した後に荷重センサ15が作動し、被検査物Wの重量の計量を開始するため、荷重センサ15は、計量信号の立ち上がり、オーバーシュートおよび計量信号の立ち下がりを除いて安定した計量値を得ることができる構成となっている。
【0044】
図3を参照して、物品検査装置1の制御構成について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る物品検査装置1の制御ブロック図である。
【0045】
図3に示すように、制御ボックス11は、計量値算出部41と、重量判定部42と、金属判定部43と、総合判定部44と、検査記録作成部45と、分別部47と、出力部48と、操作部49と、検査条件設定部51とを有している。なお、制御ボックス11の各部は、制御ボックス11に組み込まれたCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)内の制御プログラムに従って各種データを演算し、物品検査装置1の各部と協働して処理を実行することにより実現されるものである。
【0046】
また、制御ボックス11は、検査記録蓄積部46と、検査条件記憶部50とを有している。なお、検査記録蓄積部46および検査条件記憶部50は、制御ボックス11に組み込まれたハードディスクまたはRAM(Random Access Memory)の一部により構成されている。
【0047】
検査条件記憶部50には、物品検査装置1により検査を実施するための検査条件が記憶されており、この検査条件記憶部50に記憶された検査条件に基づいて駆動モータ16が駆動するとともに、金属判定部43と重量判定部42が判定を行うようになっている。
【0048】
検査条件記憶部50に記憶される検査条件としては、搬送速度、検査能力、秤量コンベア13のコンベア長、金属判定の判定基準となる閾値、重量判定の判定基準となる重量範囲を示す上限値および下限値などがあり、各検査条件を変更することにより検査効率の向上または検査精度の向上を図ることができるようになっている。
【0049】
計量値算出部41は、荷重センサ15から出力された計量信号に基づいて、計量値を算出するものであり、図2に示した山型波形の頂部36の平均から計量値を算出する。このように、山型波形の頂部36の平均から計量値を算出するため、信号の立ち上がり、オーバーシュートおよび信号の立ち下がり部分を除いて、被検査物Wの正確な重量を計量することができるようになっている。
【0050】
重量判定部42は、計量値算出部41により計量値が算出されると、検査条件記憶部50から重量判定の判定基準の重量範囲を示す上限値および下限値を読み出し、計量値と比較することにより判定するようになっている。重量判定部42は、計量値算出部41により算出された計量値が下限値よりも小さいときは「−NG」の判定信号を生成し、上限値よりも大きいときには「+NG」の判定信号を生成する。
【0051】
金属判定部43は、金属検出部25が計測を行うと、検査条件記憶部50から金属判定の判定基準の閾値を読み出し、検出結果と比較するようになっている。金属判定部43は、金属検出部25により計測された値が閾値より大きいときには、金属が混入した不良品であることを示す「MDNG」の判定信号を生成する。
【0052】
総合判定部44は、「−NG」、「+NG」、「MDNG」のいずれかの信号を受け取ったとき、被検査物Wは不良品であるとして、選別機構32に対して駆動信号を出力する。選別機構32は、総合判定部44から駆動信号を受けると、搬出コンベア31上の被検査物Wを押し出すようにして駆動し、回収ボックスに押し込む。一方、総合判定部44は、「−NG」、「+NG」、「MDNG」のいずれの信号も受け取らなかったときは、被検査物Wは良品であるとして、選別機構32に対して駆動信号の出力を行わない。
【0053】
検査条件設定部51は、作業者が検査条件記憶部50に記憶された検査条件の設定操作や変更操作を行うためのものである。
【0054】
検査記録作成部45は、金属判定部43の判定結果または重量判定部42の判定結果が不良品であった場合に、金属判定部43の判定結果および重量判定部42の判定結果を含む被検査物Wの各個情報と、識別情報として読取部23が読み取った二次元コードおよび撮影部24が撮影した画像とを対応付けた検査記録を作成するようになっている。具体的には、検査記録作成部45は、図5に示すように、日時、検査結果(イベント)等の各個情報と、読取部23が読み取った識別情報としての被検査物Wの二次元コードにより、該被検査物Wが製品であるか、または、試験用被検査物としてのテストピースであるかを対応付けた一覧表の形式で検査記録を作成するとともに、図8に示すように、日時、検査結果(イベント)等の各個情報と、撮影部24により撮影された識別情報としての被検査物Wの画像とを対応付けた形式で検査記録を作成するようになっている。検査記録作成部45は、読取部23が二次元コードを読み取った被検査物Wを「製品」に識別して該被検査物Wとの対応付けを行い、読取部23が二次元コードを読み取らなかった被検査物Wを「テストピース」に識別して該被検査物Wとの対応付けを行う。これらの作成された検査記録は、作業者の操作によって表示部17に表示され、不良品の分類、不良原因の特定に用いることができるようになっている。試験用被検査物は、テストピースそのものに限定されず、例えば、製品としての被検査物Wにテストピースを載置または装着したものを試験用被検査物とすることができる。
【0055】
なお、検査記録作成部45は、読取部23による二次元コードの読み取りの可否により被検査物Wが製品または試験用被検査物としてのテストピースの何れであるかを識別する代わりに、撮影部24が撮影した被検査物Wの画像を解析することにより、被検査物Wが製品であるか、または、試験用被検査物としてのテストピースであるかを識別するようにしてもよい。
【0056】
すなわち、テストピースの色彩、形状、またはテストピースに施されたマーク等を検査記録作成部45の図示しない記憶領域に予め記憶させておき、検査記録作成部45が、撮影部24により撮影された被検査物Wの画像を画像処理して、色成分の抽出やパターンマッチング等によってテストピースの色彩、形状、またはテストピースに施されたマーク等を抽出するとともに、被検査物Wが製品またはテストピースの何れであるかを識別し、被検査物Wの識別結果と日時、検査結果(イベント)等の各個情報とを対応付けて、図5に示す一覧表の形式で検査記録を作成するようにしてもよい。
【0057】
このように、物品検査装置1においては、検査記録作成部45によって、読取部23による二次元コードの読み取りの可否、または、撮影部24が撮影した被検査物Wの画像に基づいて、被検査物Wが製品または試験用被検査物としてのテストピースの何れであるかが自動的に識別され、検査物Wの識別結果と日時、検査結果(イベント)等の各個情報とを対応付けた検査記録が作成されるので、製品の本当の不良とテストピースによる不良とを区別することができる。
【0058】
検査記録蓄積部46は、ハードディスク等から構成され、検査記録作成部45が作成した検査記録を蓄積するようになっている。
【0059】
出力部48は、被検査物Wの検査結果を含む様々な情報を表示部17に表示させるものである。具体的には出力部48は、図4に示すように、被検査物Wの検査結果を表示部17に表示させたり、図5に示すように、不良品と判定された被検査物Wの各個情報(日時、判定内容、数値)を表示部17に表示させるようになっている。
【0060】
なお、出力部48は、表示部17に表示させる構成に限らず、プリンタに印刷することにより判定結果を出力してもよいし、スピーカの音声により判定結果を出力してもよいし、LEDランプなどの発光により判定結果を出力してもよい。
【0061】
以下、図4〜図7を参照して、検査記録作成部45、検査記録蓄積部46、分別部47の各機能、および出力部48により表示部17に表示される情報について説明する。ここで、図4、図5は、本発明の実施の形態に係る物品検査装置の出力部による出力例を示す図である。また、図6、図7は、本発明の実施の形態に係る物品検査装置の分別された検査記録の出力部による出力例を示す図である。
【0062】
図4に示すように、表示部17には、被検査物Wに関する総数、良品数、不良品数、総質量、平均値、標準偏差、バラツキ幅、最大値、最小値等が表示されるようになっている。図4において、正量品とは、重量が上限および下限の範囲内に入っていた被検査物Wのことを示す。また、軽量品とは、重量が下限を下回った被検査物Wのことを示し、過量品とは、重量が上限を上回った被検査物Wのことを示している。また、MDNGとは、金属の混入により不良品と判定された被検査物Wのことを示し、EXNGとは、外部の検査機器等から不良品であることを意味する信号を受け取った被検査物Wのことを示している。
【0063】
また、表示部17には、図4において、操作部49の一部を構成する画面切替キーが押下されると、図5に示すように、不良品と判定された被検査物Wの各個情報として、日時、動作状態、No、イベント、内容等が表示されるようになっている。ここで、日時の欄には、被検査物Wが不良品と判定された日時が表示され、イベント欄には、「−NG」、「+NG」、「MDNG」等のように、不良の種類が表示されるようになっている。また、内容欄には、被検査物Wの重量が表示されるとともに、被検査物Wが製品であったか、または、テストピース(図5ではT.P.と省略している)であったかが表示されるようになっている。
【0064】
また、表示部17には、図4において、操作部49の一部を構成する抽出キーが押下されると、図6に示すように、製品としての被検査物Wに関する各個情報のみが分別されて表示されるようになっている。
【0065】
また、表示部17には、図4において、抽出キーが押下されると、図7に示すように、テストピースとしての被検査物Wに関する各個情報のみが分別されて表示されるようになっている。
【0066】
なお、抽出キーにより、製品としての被検査物Wに関する各個情報のみが分別されて表示されるようにするか、または、テストピースとしての被検査物Wに関する各個情報のみが分別されて表示されるかは、予め設定しておくことにより選択することができる。また、抽出キーを1回押下したときは製品としての被検査物Wに関する各個情報のみが分別されて表示され、抽出キーを2回連続して押下したときはテストピースとしての被検査物Wに関する各個情報のみが分別されて表示されるようにしてもよい。
【0067】
図8は、本発明の実施の形態に係る物品検査装置の撮影部が撮影した画像の一例を示す図である。
【0068】
図8に示すように、撮影部24により撮影された識別情報としての被検査物Wの画像は、この被検査物Wの各個情報と対応付けられ、検査記録として検査記録蓄積部46に蓄積される。ここで、被検査物Wの画像に対応付けられる各個情報は、図5〜図7で説明したものと同様に、日時、動作状態、No、イベント、内容等である。前述したように、被検査物Wの画像は、選別機構32により排除されるときを撮影部24により撮影されたものであり、不良品と判定された被検査物Wが排除されたことの証拠として効力を有する。
【0069】
図9を参照して、物品検査装置1の動作について説明する。図9は、本発明の実施の形態に係る物品検査装置の動作を示すフロー図である。
【0070】
まず、検査記録作成部45は、被検査物Wが不良品と判定されたか否かを判定し(ステップS1)、良品と判定された場合(ステップS1、"No")は、この処理を終了し、不良品と判定された場合(ステップS1、"Yes")は、検査記録を作成する(ステップS2)。具体的には、検査記録作成部45は、金属判定部43の判定結果および重量判定部42の判定結果を含む被検査物Wの各個情報と、識別情報として読取部23が読み取った二次元コードおよび撮影部24が撮影した画像とを対応付けた検査記録を作成する。
【0071】
次いで、検査記録蓄積部46は、ステップS2で作成された検査記録を蓄積する(ステップS3)。
【0072】
次いで、分別部47は、抽出指示があったか否かを判別し(ステップS4)、抽出指示がなかった場合(ステップS4、"No")は、この処理を終了し、抽出指示があった場合(ステップS4、"Yes")は、検査記録を分別し(ステップS5)、分別した検査記録を出力部48により出力して(ステップS6)、表示部17に表示させる。
【0073】
以上のように、本実施の形態では、識別情報として被検査物Wの二次元コードを読み取る読取部23および識別情報としての被検査物Wの画像を撮影する撮影部24と、荷重センサ15と金属検出部25の検査結果を含む各個情報と、識別情報としての二次元コードまたは画像を対応付けた検査記録を作成する検査記録作成部45と、検査記録作成部45が作成した検査記録を蓄積する検査記録蓄積部46とを備えている。
【0074】
このため、検査記録蓄積部46に蓄積された検査記録を参照することにより、被検査物Wの各個情報に含まれる検査結果が不良品であるもののうち、識別情報が製品であるかテストピースであるかを区別することができるので、製品の本当の不良とテストピースによる不良とを区別することができる。
【0075】
また、本実施の形態では、読取部23および撮影部24は、総合判定部44が被検査物Wを不良品と判定したとき、該被検査物Wの識別情報を取得するようになっている。
【0076】
このため、不良品と判定された被検査物Wの識別情報が取得されるので、検査記録蓄積部46に蓄積された検査記録を参照することにより、識別情報が製品であるかテストピースであるかを区別することができるので、製品の本当の不良とテストピースによる不良とを区別することができる。
【0077】
また、本実施の形態では、読取部23により識別情報としての二次元コードを読み取るようになっている。
【0078】
このため、被検査物Wの姿勢が一定していない場合であっても、安定して識別情報としての二次元コードを読み取ることができる。
【0079】
また、本実施の形態では、撮影部24により識別情報としての被検査物Wの画像を撮影するようになっている。
【0080】
このため、被検査物Wの状態が画像として記録されるので、不良品であった被検査物Wの状態を確認することができる。
【0081】
また、本実施の形態では、検査記録蓄積部46に蓄積された検査記録を、識別情報の種類毎に分別する分別部47を備えている。
【0082】
このため、分別部47により、被検査物Wの不良のうち製品の不良とテストピースにより発生した不良とを分別することができるので、被検査物Wの不良率を正確に把握することができる。
【0083】
また、本実施の形態では、分別部47が分別した検査記録を出力する出力部48を備えている。
【0084】
このため、被検査物Wの不良率を正確に且つ容易に把握することができる。
【0085】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態に係る物品検査装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る物品検査装置の荷重センサの計量信号の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る物品検査装置の制御ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る物品検査装置の出力部による出力例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る物品検査装置の出力部による出力例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る物品検査装置の分別された検査記録の出力部による出力例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る物品検査装置の分別された検査記録の出力部による出力例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る物品検査装置の撮影部が撮影した画像の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る物品検査装置の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0087】
1 物品検査装置
2 搬入コンベア
3 計量機
4 選別機(選別手段)
11 制御ボックス
12 助走コンベア(搬送手段)
13 秤量コンベア(搬送手段)
14 搬入センサ
15 荷重センサ(検査手段)
16 駆動モータ
17 表示部
18 操作部
21a、21b ローラ
22 無端ベルト
23 読取部(識別情報取得手段、二次元コード読み取り手段)
24 撮影部(識別情報取得手段、撮影手段)
25 金属検出部(検査手段)
26 搬入センサ
27 投光部
28 受光部
29 投光部
30 受光部
31 搬出コンベア
32 選別機構
36 頂部
41 計量値算出部
42 重量判定部
43 金属判定部
44 総合判定部(判定手段)
45 検査記録作成部(検査記録作成手段)
46 検査記録蓄積部(検査記録蓄積手段)
47 分別部(分別手段)
48 出力部(出力手段)
49 操作部
50 検査条件記憶部
51 検査条件設定部
W 被検査物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物(W)を搬送する搬送手段(12、13)と、
前記搬送手段に搬送される前記被検査物を検査する検査手段(15、25)と、
前記検査手段の検査結果に基づいて前記被検査物が良品または不良品のいずれであるかを判定する判定手段(44)と、
前記判定手段の判定結果に基づいて前記被検査物を選別する選別手段(32)とを有する物品検査装置において、
前記被検査物の識別情報を取得する識別情報取得手段(23、24)と、
前記検査手段の検査結果を含む各個情報と前記識別情報取得手段が取得した識別情報とを対応付けた検査記録を作成する検査記録作成手段(45)と、
前記検査記録作成手段が作成した検査記録を蓄積する検査記録蓄積手段(46)とを備えたことを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記識別情報取得手段が、前記判定手段が前記被検査物を不良品と判定したとき、前記識別情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記識別情報取得手段が、前記被検査物に付与された識別情報としての二次元コードを読み取る二次元コード読み取り手段(23)を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記識別情報取得手段が、前記被検査物を撮影する撮影手段(24)を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記検査記録蓄積手段に蓄積された検査記録を、前記識別情報取得手段が取得した識別情報の種類毎に分別する分別手段(47)を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の物品検査装置。
【請求項6】
前記分別手段が分別した前記検査記録を出力する出力手段(48)を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の物品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−183818(P2009−183818A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24150(P2008−24150)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】