説明

物品用包装体

【課題】包装作業がより簡便となる物品用包装体を提供すること。
【解決手段】受け枠体(下枠体)11と被せ枠体(上枠体)13とからなる物品用包装体。被せ枠体13と受け枠体11とは、両側が相互に対面する合せ面縁部対17とされ合体させたとき筒状空間S1を形成可能に上向き・下向き溝部15、16を一組以上備えている。各合せ面縁部対17には、受け・被せ保護フィルム19、21を掛け渡し固着する。そして、受け枠体11と被せ枠体13とを合体させたとき受け・被せ保護フィルム19、21で被包装物品を挟持して抱持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品用包装体に関する。特に、割れやすく衝撃に弱い物品(被包装物品)を、包装・運搬等するのに好適な新規な物品用包装体に係る発明である。
【0002】
ここで、割れやすく衝撃に弱い被包装物品としては、例えば、ガラスボトル入りの酒類・化粧品、ガラス装飾品、高価な骨董品・腕時計、危険な化学薬品・医薬品、電装品(例えば、携帯型パソコン)等を挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
上記のような割れやすく衝撃に弱い物品を包装するための物品用包装体として、例えば、特許文献1に記載された下記構成のものがある(請求項1を引用する。)。
【0004】
「台紙上に載置した被包装物を合成樹脂製のフィルムで保持してなる物品の包装構造において、台紙が、展開時に内部に形成される保持領域部と、該保持領域部の周縁に沿って形成される折り目部の外側へ延びて折り曲げ自在な屈曲片部と、上記台紙上に重ねられて、端部が屈曲片部まで延び屈曲片部に一部が接着され他の一部が掛止片により掛け止め可能となり、または掛止片だけで掛け止め可能となっているフィルムとからなっており、前記フィルムの開放された縁部から被包装物を前記保持領域部上に挿入すると共に前記掛止片にフィルムを掛止めて前記屈曲片部を折り曲げ、前記フィルムを緊張させて被包装物を保持領域部に押しつけて保持することを特徴とする物品の包装構造。」
【0005】
上記物品用包装体(包装構造)では、段落0002に記載の問題点(課題)「簡便に手作業で被包装物品を包装することができなかった。」を解決できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−213478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
昨今の物流効率化の見地から、手作業で被包装物品を包装するに際して、更に、簡便・迅速に包装ができることが要請されるようになってきている。
【0008】
しかし、特許文献1の物品用包装体は、包装作業工数が嵩み、上記要請には応え難いと考えられる。
【0009】
例えば、実施例1を例にとると、段落0013・0014に記載されている如く、
1)フィルムの開放端隙間に被包装物品を横方向から挿入する作業、
2)一対の第一折曲片部を180度折り返す作業、
3)一対の第二屈曲片部に形成された掛止め片にフィルムの開放端を掛止めて閉じる作業、
4)一対の第二屈曲片部を上向きに略直角に折り返す作業、更には、
段落0015に記載されている如く、外箱等の拘束手段を必要とする。
【0010】
本発明は、上記にかんがみて、包装作業がより簡便となる物品用包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意開発に努力をした結果、下記構成(1)、(2)の物品用包装体に想到した。
【0012】
(1)受け枠体(下枠体)と被せ枠体(上枠体)とからなる物品用包装体であって、
前記被せ枠体と受け枠体とは、両側が相互に対面する合せ面縁部対とされ合体させたとき筒状空間を形成可能に下溝部/上溝部組を一組以上備え、
前記各合せ面縁部対には、受け・被せ保護フィルムが掛け渡し固着され、前記受け枠体と被せ枠体とを合体させたとき前記受け・被せ保護フィルムで被包装物品を挟持して抱持可能とされている、ことを特徴とする。
【0013】
(2)受け枠体(下枠体)と被せ枠体(上枠体)とからなる物品用包装体であって、
前記受け枠体と被せ枠体とは、それぞれ、周囲が合せ面環状縁部とされ合体させたとき重合穴部を形成可能な穴部を1個以上備え、
前記合せ面環状縁部には、それぞれ、受け・被せ保護フィルムが掛け渡し固着され、前記受け枠体と被せ枠体とを合体させたとき前記受け・被せ保護フィルムで被包装物品を抱持可能とされている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の物品用包装体は、被包装物品を受け保護フィルムの上に載せ、受け枠体(下枠体)に対して被せ枠体(上枠体)を合体結合させるだけで、受け・被せ保護フィルムで被包装物品を挟持して抱持でき包装工程が完了となる。したがって、本発明は、被包装物品の包装作業がより簡便となり、物流効率向上に対する寄与が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態における物品用包装体による物品(ボトル)の包装直前状態を示す斜視図である。
【図2】同じくボトルの包装完了時の断面図である。
【図3】同じく包装完了時におけるボトルの抱持状態を示す枠体を省略した斜視図である。
【図4】第一実施形態の変形例である物品用包装体による電装品の包装完了時の断面図である。
【図5】同じく包装完了時における電装品の抱持状態を示す枠体を省略した斜視図である。
【図6】第一実施形態の他の変形例である物品用包装体の分割時の断面図である。
【図7】本発明の第二実施形態の物品用包装体の開いた状態を示す斜視図である。
【図8】同じく閉じ完了直前の斜視図である(但し、被包装物品無しの状態)。
【図9】同じく物品用包装体の積み重ね状態を示す配置図である。
【図10】本発明の第三実施形態の物品用包装体の分割斜視図である。
【図11】同じく合体時の断面図である(但し、被包装物品無しの状態)。
【図12】第三実施形態の変形例を示す分割斜視図である。
【図13】本発明の第四実施形態の物品用包装体の分割斜視図である。
【図14】同じく合体時の断面図である(但し、被包装物品無しの状態)。
【図15】本発明の第五実施形態における物品用包装体による物品(ボトル)の包装直前状態を示す斜視図である。
【図16】同じくボトルの包装完了した物品用包装体(2個)の斜視図である。
【図17】図16において物品用包装体の積み重ねた状態を示す斜視図である。
【図18】図17の18−18線矢視断面図である。
【図19】本発明において保護フィルムを各枠体の合せ面縁部対又は合せ面環状縁部に接着させる際の表面改質に好適な表面改質装置の全体流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のいくつかの実施形態について説明する。
【0017】
なお、本発明の技術的範囲は、各実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲内で種々の態様に及ぶ。
【0018】
<第一実施形態:図1〜6>
本実施形態の物品用包装体P1は、基本的には、受け枠体(下枠体)11と被せ枠体(上枠体)13とからなるものである。
【0019】
受け枠体11と被せ枠体13とは、合体させたとき筒状空間を形成する下溝部15/上溝部16組を備え、各溝部15、16両側が相互に対面するように設けられている下側・上側の合せ面縁部対17、18とされている。
【0020】
各合せ面縁部対17、18には、受け・被せ保護フィルム19、21が掛け渡し固着され、受け枠体11と被せ枠体13とを合体させたとき受け・被せ保護フィルム19、21で被包装物品A1(又はA2)を挟持して抱持可能とされている。
【0021】
そして、合せ面縁部対17、18の対面間に、相互にスライド嵌着又は拡開係合嵌着が可能に結合用突条/凹条組22が配されて、受け枠体11と被せ枠体13とが合体結合可能とされている。
【0022】
本実施形態では、生産性の見地から、溝部15(又は16)両側における合せ面縁部対17、18の右側と左側では、突条22aと凹条22bとの上下組み合わせが逆に形成されている。
【0023】
当該構成とすることにより、受け枠体11と被せ枠体13とを同一断面としたプラスチックの押出し体や軽金属の引抜き体を裁断して受け枠体11と被せ枠体13とを製造でき、物品用包装体P1の生産性が向上する。
【0024】
当然、受け枠体11と被せ枠体13を、別断面の押出し成形体乃至引抜き体を裁断して、更には、射出成形(プラスチックの場合)やダイカスト(金属の場合)により製造することも可能である。その場合は、突条22aを一方の合せ面縁部対17(又は18)の左右に形成し、凹条22bを他方の合せ面対18(又は17)の左右に形成する構成とすることも可能である。
【0025】
上記受け枠体11と被せ枠体13を形成するプラスチック材及び金属材を以下に示す。
【0026】
(汎用プラスチック)
LDPE、LLDPE、EVA樹脂、EEA樹脂、EMM樹脂、PP、硬質PVC、PS、ABS樹脂、MBS樹脂、AIS樹脂、AS樹脂、メタアクリル樹脂
(エンジニアリングプラスチック)
PA(脂肪族)、PC、PBT、m−PPE
(スーパーエンジニアリングプラスチック)
PA(芳香族)、PPS、PSU、PESU、PPSU、LCP、PI、PAI、PBI、PEEK、PEKEKK、等
(金属)
Mg、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Cd、In、W、等
【0027】
そして、前記合せ面縁部対17、17(18、18)間の保護フィルム19(21)の掛け渡し固着は、通常、合せ面縁部対17、17(18、18)を表面改質処理後、接着剤を塗布し、保護フィルム19、21を接着させる。
【0028】
なお、保護フィルム19、21を形成可能なフィルム材は、弾性伸び可能なものおよび塑性的に伸び可能なもののどちらでもよいが、弾性伸び可能なものであることが望ましい。弾性伸び可能な保護フィルムは、保護特性に優れているともに、被包装物品を取り出し後、原長に戻り易く、張替えをしなくても再使用が可能となるためである。
【0029】
そのような弾性を有する材料として、ゴムでもよいが、例えば、下記のような熱可塑性エラストマー(TPE)を、好適に使用できる。なお、該シートの厚さは、包装する物品(被包装物品)及び/又はフィルム材により異なるが、保持可能な強度を有するとともに被包装物品を衝撃に対して保護可能な緩衝性を有すれば、特に限定されない。通常、1μm〜5mmの範囲から適宜選定する。なお、被包装物品が天地無用品の場合等において、受け保護フィルム19と被せ保護フィルム21の要求特性が異なる場合は、両者の材質や厚みを変えてもよい。
【0030】
熱可塑性エラストマー(TPE)・・・ウレタン系TPE、スチレン系TPE、オレフィン系TPE、エステル系TPE、ポリアミド系TPE。
【0031】
上記保護フィルム19、21の各枠体11、13に対する固着は、ビスやリベット等の機械的結合でもよいが、接着とすることが好ましい。保護フィルムが被包装物品を抱持等したとき、引き裂き等の損傷が発生し難いためである。
【0032】
保護フィルムの固着を接着とする場合、通常、接着性担保の見地から、接着前処理として、表面改質処理をすることが望ましい。
【0033】
例えば、縁部対を火炎処理により表面改質処理する場合、先に本願出願人の一人が特願2010-57962号(出願時未公開)で提案した下記構成(1)の、さらには、特願2010-589263号(出願時未公開)で提案した下記構成(2)の表面改質処理により行なうことが望ましい。図19として、要約図を引用する。なお、図符号は本願におけるものとは無関係である。
【0034】
(1)「熱分解性の表面改質剤を、可燃性ガスに酸化性ガスを所定比で添加混合させた燃料ガスの火炎をキャリヤーとして火炎バーナ29から、Sの濡れ性等を増大させる表面改質法。表面改質剤の火炎バーナ29への供給を、ナノポンプ15を介して行う。例えば、表面改質剤が固体改質剤の場合、火炎バーナ29に内設した噴射気化ノズル27から行う。」
【0035】
(2)「熱分解性の表面改質剤(濡れ性改善剤)を含む燃料ガスの燃焼火炎を、固体製品の表面(被処理面)に対して吹き付ける固体製品の表面改質方法。表面改質剤として、炭素(C)と水素(H)と酸素(O)とからなり、エーテル構造(−O−)を2個以上有している炭素、又は、C=O基(カルボキシル基及びその誘導基を含む。)が2個以上結合している炭素を、有する含酸素有機化合物の群から1種又は2種以上選択する。」
【0036】
次に上記実施形態の物品用包装体の使用態様について、説明する。
【0037】
受け枠体11に下溝部15に掛け渡された受け保護フィルム19の上に被包装物品(図例ではボトル)A1を載せ、被せ枠体13を被せ、対面する合せ面縁部対17、18の各結合用突条/凹条組22をスライド嵌着又は拡開係合嵌着させる。すると、図2・3に示す如く、被包装物品A1が、受け・被せ保護フィルム19、21で挟持されて抱持される。ここで、受け・被せ保護フィルム19、21相互が当接しているだけであるが、被包装物品A1の嵩の分、受け・被せ保護フィルム(通常弾性体)19、21が緊張されるため、ゴムバンドと同様に、上・下保護フィルムで弾性緊締された状態となり、被包装物品A1が長手方向にずれるおそれは殆どない。
【0038】
被包装物品が相当な重量物や滑り易いもの等の理由により、受け・被せ保護フィルムにより抱持したとき、長手方向にずれるおそれがある場合は、後述の四方に枠体が形成されている第三・四実施形態における図12〜14に示すような物品用包装体を使用することが望ましい。
【0039】
なお、第一実施形態は、図1〜3に示すものに限られない。被せ枠体と受け枠体とを合体させたときの筒空間の断面形状や、結合用凸条/凹条組の係合対の断面形態を変形した例を、図4および図6にそれぞれ示す。
【0040】
図4は、筒状空間S2の断面形状を横H字形とし、結合用凸条/凹条組22Aの断面を鉤穴状断面として組合わせたものであり、図6は、筒状空間S3の断面形状を正六角形状とし、結合用凸条/凹条組22Bの断面を矢印形断面の組合わせとしたものである。なお、筒状空間の断面形状は、他の正多角形や楕円形も可能である。図4〜6は、基本的に上記した以外は同様であるので、図1〜3における対応部位の図符号に接尾符号A・Bを付して、それらの説明を省略する。
【0041】
なお、図5は、図4において、電装品(携帯型パソコン)A2を上・下保護フィルム19A、21Aで挟持包装した枠体を省略した斜視図である。
【0042】
図3・5から分かるように、上・下フィルムで被包装物品の全表面を覆い、被包装物品を抱持する結果、被包装物品が受ける振動や衝撃が、大幅に軽減される(特に、上・下保護フィルムを弾性フィルムで形成した場合。)。また、被包装物品を取り出す際、レール状になっている突起部をスライドさせて取り出すことができるため、本物品用包装体を繰り返して使用することが可能である。
【0043】
<第二実施形態:図7〜9>
本実施形態においては、第一実施形態に対応する部位に、百位の数字を「2」とし、下二桁の数字を同一とした図符号を付して、それらの説明の全部又は一部を省略する。
【0044】
第一実施形態と同様に、受け枠体211と被せ枠体213とからなる物品用包装体P2である。
【0045】
該被せ枠体211と受け枠体213とは、両側が相互に対面する合せ面縁部対217、218とされ、合体させたとき筒状空間(断面形状は四角形)を形成可能な下・上溝部215、216を備えている。
【0046】
そして、各合せ面縁部対217、218には、受け・被せ保護フィルム219、221が掛け渡し固着され、受け枠体211と被せ枠体213とを合体させたとき前記受け・被せ保護フィルム219、221で被包装物品(図示せず。)を挟持して抱持可能とされている。ここまでは、第一実施形態と同様である。
【0047】
上記構成において、被せ枠体211と前記受け枠体213とが合せ面縁部対217、218の長手方向端縁を介してヒンジHで結合されて、受け枠体211に対して被せ枠体213が回動合体可能とされている。
【0048】
そして、本実施形態では、被せ枠体213と受け枠体211との結合は、回動端側の対面合せ面縁部のみでよく、図例では、結合手段は結合用係合爪/爪穴組222で形成されている。この結合用係合爪/爪受け穴組222は、被せ枠体213、受け枠体211を金属板でプレス成形する際に、係合爪222aを引き起こしにより、爪受け穴222bを打ち抜きにより簡単に形成できる。
【0049】
本実施形態の物品用包装体は、前述の押出成形等でも形成(製作)可能であるが、プラスチック製板材を真空成形により、又は、金属製板材をプレス成形により形成することが、生産性が良好となり望ましい。
【0050】
使用態様は、上記と同様、受け枠体211の受け保護フィルム219に被包装物品を載置後、被せ枠体213を回動して、回動端側の合せ面縁部対218の一方における係合爪222aを、受け枠体211の合せ面縁部217の爪受け穴222bに係合させる。
【0051】
この物品用包装体P2は、合体形状(包装時形状)が図9に示すように、物品用包装体P2相互を段違いに安定させて積み上げることができる。このため、ムダにスペースを使わずに物品用包装体P2を保管することができる。
【0052】
<第三実施形態:図10〜12>
本実施形態においては、第一実施形態に対応する部位に、百位の数字を「3」とし、下二桁の数字を同一とした図符号を付して、それらの説明の全部又は一部を省略する。
【0053】
受け枠体311と被せ枠体313とは、それぞれ、周囲が合せ面環状縁部317,318とされ合体させたとき重合穴部を形成可能な穴部315(又は316)を1個以上(図例では1個)備えている。
【0054】
前記合せ面環状縁部には、それぞれ、受け・被せ保護フィルム319、321が掛け渡し固着され、受け枠体311と被せ枠体313とを合体させたとき受け・被せ保護フィルム319、321で被包装物品(図示せず。)を抱持可能とされている。
【0055】
この受け枠体311と被せ枠体313との結合手段は、実施形態1・2とは異なり、受け枠体311と被せ枠体113の前記各合せ面環状縁部317の外側部に沿ってそれぞれ逆方向に伸びる略L字断面の結合脚部325が形成され、該結合脚部325の水平梁部327間が複数本の長尺弾性結合部材329で結合されて、受け枠体311と被せ枠体313とが合体結合可能とされている。
【0056】
図例では、長尺弾性結合部材329は、両端に茸状の弾性係合頭部329aを備えたもので、水平梁部327、327の長手方向端部側に形成された弾性嵌着穴327a、328aに弾性係合頭部329aを押し込み係合・係合解除することにより、両枠体311、313を合体結合・結合解除して、被包装物品を包装・取り出し可能となっている。なお、結合脚部325の水平梁部327、328側は、係合頭部329aを収納するための凹条327b、328bとされている。
【0057】
この弾性嵌着穴327a、328aの形状は、図例では矩形であるが、丸形、楕円形、正多角形、星形等任意である。
【0058】
図12は、図10〜11の変形態様で、全周にL字断面の結合脚部325Aを形成したものである。
【0059】
本実施形態の使用態様は、受け枠体311(又は311A)と被せ枠体313(又は313A)との合体結合・合体結合解除の態様を除いて、実施形態1と同様である。
【0060】
<第四実施形態:図13〜14>
本実施形態においては、第一実施形態に対応する部位に、百位の数字を「4」とし、下二桁の数字を同一とした図符号を付して、それらの説明の全部又は一部を省略する。
【0061】
受け枠体411と被せ枠体413は、上開放および下開放の箱体で、各開放口(下穴部415、上穴部416)の周囲部が合わせ面環状縁部417とされている。ここまでは、第三実施形態の構成と実質的に同じである。
【0062】
そして、受け枠体411と被せ枠体413を合体結合させるために、合せ面環状縁部417の外周部の各片に下向き・上向き結合用レール425、426を各隅部で挿入用隙間を有して形成する(各4本ずつ)とともに、各下向き・上向き結合用レール425、426をC形断面の合計4本の結合具チャンネル427で挿入用隙間からスライドさせて入れ、合体結合可能とした構成の物品用包装体P4である。
【0063】
なお、本実施形態は、受け枠体411と被せ枠体413とを合体させたとき、箱状密封空間を形成可能とされており、密閉性が要求されたり、保護フィルムに対する衝撃物の干渉を避けたりする必要がある場合に好適である。
【0064】
本実施形態の受け枠体411及び被せ枠体413は、第三実施形態と同様、プラスチック材を用いて射出成形または、金属材を用いてプレス成形またはダイカストにより製作(製造)することが望ましい。
【0065】
本実施形態の使用態様は、受け枠体411と被せ枠体413との合体・合体解除の態様を除いて、第一実施形態と同様である。
【0066】
<第五実施形態:図15〜18>
本実施形態においては、第一実施形態に対応する部位には、百位の数字を「5」とし、下二桁の数字を同一とした図符号を付して、それらの説明の全部又は一部を省略する。
【0067】
第一実施形態と同様、受け枠体511は被せ枠体513とからなるが形態構造が異なる。
【0068】
受け枠体511は、内部中間高さ位置に下穴部515を形成する合せ面環状縁部517を備えた上下開放の矩形箱体である。合せ面環状縁部517の上面に受け保護フィルム519が貼着されている。受け枠体511の下端部および上端部は重ね合わせたときに、印籠(段付)嵌合可能なように、段嵌合部511aと段嵌合受け部511bとされているとともに、段嵌合部511aおよび段嵌合受け部511bの長手方向両側には、相互に嵌着可能な長円状の係止凸部511cおよび係止凹部511dが形成されている。
【0069】
被せ枠体513は、前記受け枠体511にスライド嵌合可能な外周形状を有するとともに内側に上穴部516を形成する合せ面環状縁部518を備えた平板状環状体である。そして、合せ面環状縁部518の下面には被せ保護フィルム521が貼着されている。
【0070】
そして、受け枠体511と被せ枠体513の長手方向両側の対面間には、結合用係合爪/爪受け穴組522a、522bが形成されている。
【0071】
本実施形態の受け枠体511及び被せ枠体513は、第三実施形態と同様、プラスチック材を用いて射出成形または、金属材を用いてプレス成形またはダイカストにより製作(製造)することが望ましい。
【0072】
本実施形態の使用態様は、受け枠体511と被せ枠体513との合体・合体解除の態様を除いて、第一実施形態と同様である。
【0073】
即ち、受け枠体511の受け保護フィルム519上に被包装物品(ボトル)A1を載せた後、被せ枠体513を受け枠体511内に挿入するとともに、結合用係合爪522aと爪受け穴522bを嵌着させる(図15)。すると、被包装物品A1が、受け・被せ保護フィルム519、521で挟持されて抱持される(図16)。
【0074】
そして、包装作業が完了した包装体P5は、図17・18に示すように重ね合わせる。このとき、段嵌合部511aと段嵌合受け部511bとが嵌合され、さらに、係止凸部511cと係止凹部511dが係合するため、運搬途中の振動・衝撃が作用しても、物品用包装体P5、P5は離脱することなく、安定して運搬可能となる。
【0075】
<副次的効果の総括>
なお、本発明の各実施形態における、副次的な効果を纏めると下記の如くになる。
【0076】
物品用包装体そのものが射出成形や押し出し、真空成形といった加工法およびプレス成形、ダイカスト、引き抜き等が使えるため、物品用包装体の生成工程も効率化が図れ、形状の多くは物品用包装体の重ね合わせが可能となる。
【0077】
また構造物そのものが透明(PET等のプラスチック使用時)とした場合、被包装物品を梱包や保管したりする際、それぞれの工程での包み直しが不要となり、また構造上フィルムシート部が被包装物品の緩衝材となる為、緩衝材そのものを必要としない。よって本発明の物品用包装体は、利用分野は配送や輸送といった物流業務を中心に多岐にわたると考えられる。
【0078】
台紙とは違ったプラスチックや金属の物品用包装体となるため、繰り返し使用が可能となり、水や雨にも強く、透明材で形成することにより、閉じた状態でも包装内部を視認することができる。
【0079】
また、従来の技術で作られたプラスチック(又は金属)とフィルムシートを用いた物品用包装体ではプラスチックとフィルムシートの効率的な接着が困難であったが、プラスチック(又は金属)に特殊な表面改質処理を施すことで、従来接着できなかった接着剤で接着をすることが可能となり、包装構造形状においても、材質の選定幅が広がるとともに、押し出し成型(引抜き工程)、射出成形(ダイカスト)や真空成形(プレス成型)といった方法で枠体の製造ができ、包装構造形状が台紙と比べ、多様性がある。
【0080】
また、被包装物品に与える振動や衝撃が従来の物品用包装体よりも軽減される為、振動や衝撃等に弱い電装品の搬送や輸送に使用することができる。
【実施例】
【0081】
次に、本発明の物品用包装体の製造に際して保護フィルムを枠体に接着するに際して、好適な特定の表面改質処理の間接試験の結果を、特願2010−57963号(出願時未公開)の添付明細書の実施例から下記に引用する。
【0082】
「本発明の効果を確認するために行なった実施例・比較例について説明する。
なお、濡れ指数はJISK6768に準じて測定した。即ち、市販の濡れ指数試験用の標準液(25℃)を用いて、綿棒に浸し、それを被試験体の表面に塗布し、撥水すること無しに、べったり濡れる試験用標準液の最小値を被試験体の濡れ指数とした。
表1〜4に示す各素材に対して前記例示の含酸素有機化合物(表面改質剤)を用いて、下記条件で表面改質処理を行った。
・バーナ移動速度:30m/min、改質剤/燃料ガス混合比:0.3g/m3
・燃料ガス:可燃性ガス/酸化性ガス(圧縮空気のみ)(容量比)=1/22.5
その結果の、オルトエステル類は全て、73mN/m以上を示し、環状ジエーテル類及びアセタール類、C=O基が2個以上結合している炭素を有する含酸素有機化合物類は、73mN/m以上又は55〜65mN/mを示した。これに対して、本発明の範囲外の含酸素有機化合物の各比較例は、せいぜい、45〜50mN/m又は全く表面濡れ性(親水性)の増大(改善)効果を示さなかった。代表的なものを表1〜5に示す。
それらの試験結果の代表的なものを、実施例1〜12として表1〜4に示すとともに、比較例1〜3として表5に示す。
実施例1〜3(表1)はオルトエステル類について、実施例4〜7(表2・3)は環状ジエーテル類についての、実施例8・9(表3)はアセタール類についての、実施例10〜12(表4)は、C=O基(カルボキシルエステル基を含む。)が2個以上結合している炭素を有する、各含酸素有機化合物の例である。
なお、比較例1〜3(表5)は本発明の範囲外の含酸素有機化合物の例である。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

【0087】
【表5】


【符号の説明】
【0088】
11、211、311、411、511 受け枠体(下枠体)
13、213、313、413、513 被せ枠体(上枠体)
15、215 下溝部
16、216 上溝部
315、415、515 (下)穴部
316、416、516 (上)穴部
17、217 下側の合せ面縁部対
18、218 上側の合せ面縁部対
317、417、517 合せ面環状縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け枠体(下枠体)と被せ枠体(上枠体)とからなる物品用包装体であって、
前記被せ枠体と受け枠体とは、両側が相互に対面する合せ面縁部対とされ合体させたとき筒状空間を形成可能に下溝部/上溝部組を一組以上備え、
前記各合せ面縁部対には、受け・被せ保護フィルムが掛け渡し固着され、前記受け枠体と被せ枠体とを合体させたとき前記受け・被せ保護フィルムで被包装物品を挟持して抱持可能とされている、
ことを特徴とする物品用包装体。
【請求項2】
前記合せ面縁部対の対面間に、相互にスライド嵌着又は拡開係合嵌着が可能に結合用突条/凹条組が配されて、前記受け枠体と被せ枠体とが合体結合可能とされていることを特徴とする請求項1記載の物品用包装体。
【請求項3】
前記受け枠体と前記被せ枠体とが、共に、同一断面体で形成されていることを特徴とする請求項2記載の物品用包装体。
【請求項4】
前記受け枠体と前記被せ枠体とが、前記合せ面縁部対の長手方向端縁を介してヒンジで結合されて、前記受け枠体に対して前記被せ枠体が回動合体可能とされていることを特徴とする請求項1記載の物品用包装体。
【請求項5】
前記受け枠体および前記被せ枠体がプラスチック製板材から真空成形又は金属製板材からプレス成形で形成され、前記合せ面縁部対の対面間に係合爪/爪受け孔組が形成されて、前記受け枠体と前記被せ枠体とが合体結合可能とされていることを特徴とする請求項4記載の物品用包装体。
【請求項6】
受け枠体(下枠体)と被せ枠体(上枠体)とからなる物品用包装体であって、
前記受け枠体と被せ枠体とは、それぞれ、周囲が合せ面環状縁部とされ合体させたとき重合穴部を形成可能な穴部を1個以上備え、
前記合せ面環状縁部には、それぞれ、受け・被せ保護フィルムが掛け渡し固着され、前記受け枠体と被せ枠体とを合体させたとき前記受け・被せ保護フィルムで被包装物品を抱持可能とされている、
ことを特徴とする物品用包装体。
【請求項7】
前記各合せ面環状縁部の外側部に沿ってそれぞれ逆方向に伸びるL字断面の結合脚部が形成され、該結合脚部の水平梁部間が複数本の長尺弾性結合部材で結合されて、前記受け枠体と被せ枠体とが合体結合可能とされていることを特徴とする請求項6記載の物品用包装体。
【請求項8】
少なくとも被せ枠体およびその被せ保護フィルムが透明材とされていることを特徴とする請求項1〜7いずれか一記載の物品用包装体。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか一記載の物品用包装体の製造方法であって、
前記保護フィルムの前記合せ面縁部又は前記合せ面環状縁部への固着を、前記前記合せ面縁部又は前記合せ面環状縁部の被固着面部を火炎処理により表面改質処理後、接着剤を塗布して行なう接着とし、
前記火炎処理が、液状で熱分解性の表面改質剤を、可燃性ガスと酸化性ガスとを混合させた燃料ガスの燃焼火炎をキャリヤーとして、火炎バーナから前記被接着面に吹き付けるに際して、
前記表面改質剤を、ナノポンプを介して、前記火炎バーナへの前記可燃性ガス、前記酸化性ガス又は前記燃料ガスのガス供給路の途中に供給することにより気化(霧化を含む。)させて、前記火炎バーナに前記燃料ガスとともに供給する構成とする、ことを特徴とする物品用包装体の製造方法。
【請求項10】
請求項4記載の物品用包装体の製造方法であって、前記受け枠体および前記被せ枠体を、プラスチックの押出成形体を裁断して調製することを特徴とする物品用包装体の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10いずれか一記載の物品用包装体を使用する被包装物品の包装方法であって、前記受け保護フィルムに前記物品を載置した後、前記受け枠体を前記被せ枠体と合体結合させて、前記被包装物品を前記被せ保護フィルムで挟持保持することを特徴とする被包装物品の包装方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−91811(P2012−91811A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239759(P2010−239759)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(593102921)ミズショー株式会社 (8)
【出願人】(301022932)株式会社レグルス (1)
【Fターム(参考)】