物品管理システム
【課題】物品管理システムにおいて、複数の金属製コンテナを隣接配置する場合にも電波吸収干渉をなくして金属製コンテナから内部情報を読み出すことを可能とし、コンテナ配置の作業性を向上すること。
【解決手段】物品管理システム１は、金属製コンテナ１００の内部に格納した管理対象物品１０１を特定する物品情報を記憶したＩＣタグ１０２と、ＩＣタグ１０２の物品情報をコンテナ１００の内部から外部へ取り出すタグ情報伝達装置１１０と、タグ情報伝達装置１１０の物品情報を読み出すタグリーダー１０４と、タグリーダー１０４の物品情報を取り込む制御装置とを備える。タグ情報伝達装置１１０は、ＩＣタグ１０２と送受信する第１アンテナ１１１と、コンテナ１００の複数の外面に設置され、タグリーダー１０４と送受信する複数の第２アンテナ１１３と、第１アンテナ１１１と複数の第２アンテナ１１３との間に接続された方向性結合器１１２とを備える。
【解決手段】物品管理システム１は、金属製コンテナ１００の内部に格納した管理対象物品１０１を特定する物品情報を記憶したＩＣタグ１０２と、ＩＣタグ１０２の物品情報をコンテナ１００の内部から外部へ取り出すタグ情報伝達装置１１０と、タグ情報伝達装置１１０の物品情報を読み出すタグリーダー１０４と、タグリーダー１０４の物品情報を取り込む制御装置とを備える。タグ情報伝達装置１１０は、ＩＣタグ１０２と送受信する第１アンテナ１１１と、コンテナ１００の複数の外面に設置され、タグリーダー１０４と送受信する複数の第２アンテナ１１３と、第１アンテナ１１１と複数の第２アンテナ１１３との間に接続された方向性結合器１１２とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、物品管理システムに係り、特に金属製コンテナの内部に格納した管理対象物品を管理する物品管理システムに好適なものである。
【背景技術】
【０００２】
従来のコンテナ管理装置としては、特開平８−４８３３７号公報（特許文献１）に示されたものがある。この特許文献１の図４及び図５に開示されたコンテナ管理装置は、金属製コンテナの内部に格納した管理対象物品に取り付けられ、この管理対象物品を特定する物品情報を記憶したＩＣタグと、ＩＣタグと電波で送受信して当該ＩＣタグの物品情報を金属製コンテナの内部から外部へ取り出すタグ情報伝達装置と、金属製コンテナの外部からタグ情報伝達装置と電波で送受信して当該タグ情報伝達装置の物品情報を読み出すタグリーダーと、タグリーダーの物品情報を取り込む制御装置と、を備えて構成されている。
【０００３】
【特許文献１】特開平８−４８３３７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかし、上述した特許文献１のコンテナ管理装置では、外部から物品情報を取得できるタグ情報伝達装置の設置箇所は各金属製コンテナに１箇所であるため、複数の金属製コンテナを任意方向に密着積層する場合、タグ情報伝達装置の設置箇所が隣接する金属製コンテナで覆われて物品情報の読み取りのできない状態となってしまう場合が生ずる。このため、管理対象物品を保管・輸送時にタグ情報伝達装置の設置箇所が隣接する金属製コンテナで覆われないように金属製コンテナの方向性を考慮して配置することが必要となるが、極めて面倒な配置作業を伴う、という問題があった。
【０００５】
本発明の目的は、金属製コンテナが一つの場合や複数の金属製コンテナが接触もしくは近接して配列した場合でも、金属製コンテナのいずれの外壁面においても、金属壁による影響を受けることなく、対象としている金属製コンテナの内部情報を読み出すことを可能とすることで、コンテナ配置作業性、内部情報読み出し作業性を向上することができる物品管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
前述の目的を達成するために、本発明は、金属製コンテナの内部に格納した管理対象物品に取り付けられ、この管理対象物品を特定する物品情報を記憶したＩＣタグと、前記ＩＣタグと電波で送受信して当該ＩＣタグの物品情報を前記金属製コンテナの内部から外部へ取り出すタグ情報伝達装置と、前記金属製コンテナの外部から前記タグ情報伝達装置と電波で送受信して当該タグ情報伝達装置の物品情報を読み出すタグリーダーと、前記タグリーダーの物品情報を取り込む制御装置と、を備えた物品管理システムにおいて、前記タグ情報伝達装置は、前記金属製コンテナの内部に設置され、前記ＩＣタグと電波で送受信する第１アンテナと、前記金属製コンテナの複数の外面に設置され、前記タグリーダーと電波で送受信する複数の第２アンテナと、前記第１アンテナと前記複数の第２アンテナとの間に接続された方向性結合器と、を備えた構成にしたことにある。
【０００７】
係る本発明のより好ましい具体的な構成例は次の通りである。
（１）前記複数の第２アンテナは前記金属製コンテナの４つの側面の全部に位置して設けられていること。
（２）読取空間を介して前記第２アンテナを覆うように金属カバー及び磁性シートを配置し、前記金属カバーは前記読取空間に臨む開口を有するように前記第２アンテナを覆って前記コンテナに固定され、前記磁性シートは前記読取空間に臨む開口を有するように前記第２アンテナを覆って前記金属カバーの内側に配置されていること。
【発明の効果】
【０００８】
係る本発明の物品管理システムによれば、複数の金属製コンテナを隣接配置する場合にも金属壁によるアンテナの動作周波数の変化をなくして金属製コンテナから内部情報を読み出すことを可能とし、コンテナ配置の作業性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明の複数の実施形態について図を用いて説明する。各実施形態の図における同一符号は同一物または相当物を示す。
（第１実施形態）
本発明の物品管理システムの第１実施形態を、図１から図６を用いて説明する。
【００１０】
物品管理システム１は、図１に示すように、金属製コンテナ１００の内部に格納した管理対象物品１０１に取り付けられ、この管理対象物品１０１を特定する物品情報を記憶したＩＣタグ１０２と、ＩＣタグ１０２と電波で送受信して当該ＩＣタグ１０２の物品情報を金属製コンテナ１００の内部から外部へ取り出すタグ情報伝達装置１１０と、金属製コンテナ１００の外部からタグ情報伝達装置１１０と電波で送受信して当該タグ情報伝達装置１１０の物品情報を読み出すタグリーダー１０４と、タグリーダー１０４の物品情報を取り込む制御装置を有するコンピュータ１０５と、を備えて構成されている。
【００１１】
金属製コンテナ１００は、全部が金属で構成されるコンテナや、樹脂の箱体の内面または外面に金属板または金属箔を貼り付けて構成されるコンテナなどで構成されている。これによって、金属製コンテナ１００を通してのガスの透過を防止することができるが、電波の透過も抑制され、金属製コンテナ１００を通しての送受信が制約される。なお、本実施形態の金属製コンテナ１００は数ｍサイズの大きなコンテナまで対象としている。
【００１２】
管理対象物品１０１は、金属製コンテナ１００の内部に複数設置されることが一般的である。ただし、本発明は、管理対象物品１０１が１つだけ設置されている場合でも適用可能である。
【００１３】
ＩＣタグ１０２は、金属製コンテナ１００内にある管理対象物品１０１の外面（例えば、上面など）に貼付けられている。金属製コンテナ１００内にある全ての管理対象物品１０１には、それぞれの管理対象物品１０１を特定するＩＣタグ１０２が取り付けられている。このＩＣタグ１０２は、非接触型ＩＣタグで構成され、例えば、アンテナ部、送受信部、メモリ部などを内蔵して構成されている。ＩＣタグ１０２のメモリ部には、取り付けられる管理対象物１０１を特定する情報（例えば、物品番号など）が格納されている。
【００１４】
タグ情報伝達装置１１０は、金属製コンテナ１００の内外を通して設置され、ＩＣタグ１０２と電波で送受信する第１アンテナ１１１と、金属製コンテナ１００の複数の外面に設置され、タグリーダー１０４と電波で送受信する複数の第２アンテナ１１３と、第１アンテナ１１１と複数の第２アンテナ１１３との間に接続された方向性結合器１１２と、を備えて構成されている。すなわち、このタグ情報伝達装置１１０は、一方のアンテナ１１１または１１３で受信した信号を他方のアンテナ１１３または１１１から放出する仕組みの電源レス装置である。
【００１５】
第１アンテナ１１１で受信されたＩＣタグ１０２の物品情報は、方向性結合器１１２を介して複数の第２アンテナ１１３に分割出力される。逆に、任意の第２アンテナ１１３で受信されたタグリーダー１０４からの信号は、方向性結合器１１２を介して、他の第２アンテナ１１３に出力することなく、共通の第１アンテナ１１１に出力される。この動作において、各第２アンテナ１１３で受信された信号の相互の漏洩を生じることなく動作させることができる。
【００１６】
本実施形態では、タグ情報伝達装置１１０の第２アンテナ１１３が金属製コンテナ１００の複数の外面に設置されているので、複数の金属製コンテナ１００の配置が図３（ａ）及び（ｂ）の何れであっても第２アンテナ１１３とタグリーダー１０４との送受信が可能である。従って、複数の金属製コンテナ１００を隣接して配置する作業が容易になると共に、複数の金属製コンテナ１００の配置性を向上することができる。
【００１７】
なお、方向性結合器１１２は、必ずしも４組のアンテナ１１３の構成とする必要はなく、コンテナ１００内の読み取り箇所を増設するためにｎ組（ｎは２以上の整数）の構成としても良い。本実施形態では、第２アンテナ１１３は、金属製コンテナ１００の４つの側面の全てに位置して設けられている。これによって、複数の金属製コンテナ１００を隣接して配置する場合に、各金属製コンテナ１００の何れか１つの面が他の金属製コンテナ１００と隣接していなければ（換言すれば、各金属製コンテナ１００の何れか１つの面が露出していれば）、第２アンテナ１１３とタグリーダー１０４との送受信が可能となる。従って、複数の金属製コンテナ１００を隣接して配置する作業が極めて容易になると共に、複数の金属製コンテナ１００の配置性を格段に向上することができる。
【００１８】
これに対して、従来のコンテナ管理装置では、タグ情報伝達装置１１０’が金属製コンテナ１００’の１つの面にのみ設置されているので、複数の金属製コンテナ１００’の配置が図４（ａ）の場合にはタグリーダーとの送受信が可能であるが、図４（ｂ）の場合にはタグリーダーとの送受信が不可となってしまう。このため、保管・輸送時における読取作業を行なう際、タグ情報伝達装置１１０’が取り付けられたこの１箇所の面を露出する様に金属製コンテナ１００’を配置することが必要であり、複数の金属製コンテナ１００’を隣接して配置する作業が面倒であると共に、複数の金属製コンテナ１００’の配置性に問題があった。特に、コンテナ１００’が数ｍサイズの大きさの場合には、読取を行なう作業者にも、この１箇所のみの装置露出部まで移動する負荷を強いていた。
【００１９】
そこで、従来のコンテナ管理装置において、図５に示すように、ＩＣタグに対応する１つの第１アンテナと、この第１アンテナに共通して接続されると共に金属製コンテナ１００’の外側４面に設置された第２アンテナ１１０’と、からなるタグ情報伝達装置１１０’とすることが考えられる。しかし、任意の第２アンテナ１１０’から読み取りをした場合、電波はコンテナ内部の第１アンテナと残り３面の第２アンテナ１１０’に漏洩する為、無線信号のレベル不足による読取不可となる問題があった。また、複数の金属コンテナ１００’が隣接する場合、隣接面の金属壁に第２アンテナ１１０’が接近する為、第２アンテナ１１０’への影響により読取不可となる問題があった。
【００２０】
これに対して、本実施形態では、方向性結合器１１２を内蔵しているので、任意の第２アンテナ１１３を介して金属コンテナ１００内部のＩＣタグ１０２を読み取る場合において、残り３面の第２アンテナ１１３に無線信号が漏洩することなく、タグリーダー１０４から無線信号を効率良く第１アンテナ１１１に伝えることができる。
【００２１】
タグリーダー１０４は、ＩＣタグ１０２の情報を読み出すためのものであり、第２アンテナ１１３と電波で送受信する第３アンテナ１０４ａと、この第３アンテナ１０４ａで送受信する信号の処理を行なう信号処理部１０４ｂとを備えて構成されている。ここで、タグリーダー１０４は、タグ情報伝達装置１１０を通してＩＣタグ１０２の情報を読み出すようにしているので、金属製コンテナ１００を開錠することなく、金属製コンテナ１００の外側からタグリーダー１０４で金属製コンテナ１００内部の物品情報を全て取得できる。なお、タグリーダー１０４は、据え置き型だけでなく、ハンディ型であっても良い。
【００２２】
コンピュータ１０５は、ＩＣタグ１０２で読み出した情報を処理するためのものであり、タグリーダー１０４に接続されている。コンピュータ１０５は、マイコンなどの制御装置、メモリなどの記憶装置、キーなどによる入力装置、ディスプレイなどの出力装置などからなっている。
【００２３】
このコンピュータ１０５の記憶装置には、金属製コンテナ１００内にある全てのＩＣタグ１０２に格納された物品情報と同じ物品情報が格納されていると共に、物品の在庫管理機能、物品の情報検索機能を有する制御ソフトが格納されている。コンピュータ１０５の制御装置には、タグリーダー１０４及びタグ情報伝達装置１０３を経由して金属製コンテナ１００内部のＩＣタグ１０２の物品情報が取得されるので、制御装置は、制御ソフトを用いて、金属製コンテナ１００内部の管理対象物品１０１の在庫管理及び情報検索を行なうことができる。
【００２４】
なお、タグリーダー１０４とコンピュータ１０５とを一体とした携帯端末を用いるようにしても良い。
【００２５】
本実施形態によれば、タグ情報伝達装置へ電源供給することなく金属製コンテナ内部の物品情報を取得できると共に、複数の金属製コンテナを隣接して配置する場合にも、別の金属コンテナが隣接していない、露出した金属面に設置されたタグ情報伝達装置から内部情報を読み出すことを可能として保管・輸送時のコンテナ配置の作業性を向上することができる。
（第２実施形態）
次に、本発明の第２実施形態について図７を用いて説明する。図７は本発明の第２実施形態の物品管理システムにおける第２アンテナ周辺部を示す図で、図７（ａ）はその断面図、図７（ｂ）は斜視説明図ある。この第２実施形態は、次に述べる点で第１実施形態と相違するものであり、その他の点については第１実施形態と基本的には同一であるので、重複する説明を省略する。
【００２６】
この第２実施形態では、読取空間１１６を介して第２アンテナ１１３を覆うように金属カバー１１４及び磁性シート１１５を配置したものである。前記金属カバー１１４は、左右両側に読取空間１１６に臨む開口を有するように第２アンテナ１１３を覆い、上下両側がコンテナ１００に固定されている。磁性シート１１５は、読取空間１１６に臨む開口を有するように第２アンテナ１１３を覆い、金属カバー１１４の内側に貼付けられている。金属カバー１１４及び磁性シート１１５は、コンテナ１００を任意方向に積層するに際して、寸法的に障害にならない程度に十分に薄く成形されている。そして、タグリーダー１０４の第３アンテナ１０４ａを読取空間１１６に差し込み、第２アンテナ１１３、方向性結合器１１２及び第１アンテナ１１１を介してＩＣタグ１０２のデータを読み取る。
【００２７】
係る第２実施形態の構成によれば、金属カバー１１４と第２アンテナ１１３は常に対で設置されており、第２アンテナ１１３は金属カバー１１４によって常にアンテナ特性に変化が生じた状態となっている。この金属カバー１１４の影響下で第２アンテナ１１３の動作周波数を予め所定の動作周波数に調整しておくことによって、第２アンテナ１１３に金属カバー１１４の外側から他の金属物が近づいても第２アンテナ１１３の所定の動作周波数に変化は生じない、つまり、金属カバー１１４を予め配置することにより、他の金属性コンテナ１００の壁面が第２アンテナ１１３に接近して配置されたとしても、第２アンテナ１１３の動作周波数は変化しないため、タグリーダー１０４によって容易に金属製コンテナ１００内のＩＣタグ１０２から情報を読み取ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】本発明の第１実施形態の物品管理システムの構成図である。
【図２】図１の物品管理システムに用いるタグ情報伝達装置のブロック図である。
【図３】図１の物品管理システムにおける金属製コンテナの配置例を示す斜視図である。
【図４】従来のコンテナ管理装置における金属製コンテナの配置例を示す斜視図である。
【図５】従来のコンテナ管理装置のタグ情報伝達装置を複数設置した場合における金属製コンテナの配置例を示す斜視図である。
【図６】図１の物品管理システムにおける金属製コンテナの配置例を示す斜視図である。
【図７】本発明の第２実施形態の物品管理システムにおける第２アンテナ周辺部を示す図である。
【符号の説明】
【００２９】
１…物品管理システム、１００…金属製コンテナ、１０１…管理対象物品、１０２…ＩＣタグ、１０４…タグリーダー、１０４ａ…第３アンテナ、１０４ｂ…信号処理部、１０５…コンピュータ、１１０…タグ情報伝達装置、１１１…第１アンテナ、１１２…方向性結合器、１１３…第２アンテナ、１１４…金属カバー、１１５…磁性シート、１１６…読取空間。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、物品管理システムに係り、特に金属製コンテナの内部に格納した管理対象物品を管理する物品管理システムに好適なものである。
【背景技術】
【０００２】
従来のコンテナ管理装置としては、特開平８−４８３３７号公報（特許文献１）に示されたものがある。この特許文献１の図４及び図５に開示されたコンテナ管理装置は、金属製コンテナの内部に格納した管理対象物品に取り付けられ、この管理対象物品を特定する物品情報を記憶したＩＣタグと、ＩＣタグと電波で送受信して当該ＩＣタグの物品情報を金属製コンテナの内部から外部へ取り出すタグ情報伝達装置と、金属製コンテナの外部からタグ情報伝達装置と電波で送受信して当該タグ情報伝達装置の物品情報を読み出すタグリーダーと、タグリーダーの物品情報を取り込む制御装置と、を備えて構成されている。
【０００３】
【特許文献１】特開平８−４８３３７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかし、上述した特許文献１のコンテナ管理装置では、外部から物品情報を取得できるタグ情報伝達装置の設置箇所は各金属製コンテナに１箇所であるため、複数の金属製コンテナを任意方向に密着積層する場合、タグ情報伝達装置の設置箇所が隣接する金属製コンテナで覆われて物品情報の読み取りのできない状態となってしまう場合が生ずる。このため、管理対象物品を保管・輸送時にタグ情報伝達装置の設置箇所が隣接する金属製コンテナで覆われないように金属製コンテナの方向性を考慮して配置することが必要となるが、極めて面倒な配置作業を伴う、という問題があった。
【０００５】
本発明の目的は、金属製コンテナが一つの場合や複数の金属製コンテナが接触もしくは近接して配列した場合でも、金属製コンテナのいずれの外壁面においても、金属壁による影響を受けることなく、対象としている金属製コンテナの内部情報を読み出すことを可能とすることで、コンテナ配置作業性、内部情報読み出し作業性を向上することができる物品管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
前述の目的を達成するために、本発明は、金属製コンテナの内部に格納した管理対象物品に取り付けられ、この管理対象物品を特定する物品情報を記憶したＩＣタグと、前記ＩＣタグと電波で送受信して当該ＩＣタグの物品情報を前記金属製コンテナの内部から外部へ取り出すタグ情報伝達装置と、前記金属製コンテナの外部から前記タグ情報伝達装置と電波で送受信して当該タグ情報伝達装置の物品情報を読み出すタグリーダーと、前記タグリーダーの物品情報を取り込む制御装置と、を備えた物品管理システムにおいて、前記タグ情報伝達装置は、前記金属製コンテナの内部に設置され、前記ＩＣタグと電波で送受信する第１アンテナと、前記金属製コンテナの複数の外面に設置され、前記タグリーダーと電波で送受信する複数の第２アンテナと、前記第１アンテナと前記複数の第２アンテナとの間に接続された方向性結合器と、を備えた構成にしたことにある。
【０００７】
係る本発明のより好ましい具体的な構成例は次の通りである。
（１）前記複数の第２アンテナは前記金属製コンテナの４つの側面の全部に位置して設けられていること。
（２）読取空間を介して前記第２アンテナを覆うように金属カバー及び磁性シートを配置し、前記金属カバーは前記読取空間に臨む開口を有するように前記第２アンテナを覆って前記コンテナに固定され、前記磁性シートは前記読取空間に臨む開口を有するように前記第２アンテナを覆って前記金属カバーの内側に配置されていること。
【発明の効果】
【０００８】
係る本発明の物品管理システムによれば、複数の金属製コンテナを隣接配置する場合にも金属壁によるアンテナの動作周波数の変化をなくして金属製コンテナから内部情報を読み出すことを可能とし、コンテナ配置の作業性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明の複数の実施形態について図を用いて説明する。各実施形態の図における同一符号は同一物または相当物を示す。
（第１実施形態）
本発明の物品管理システムの第１実施形態を、図１から図６を用いて説明する。
【００１０】
物品管理システム１は、図１に示すように、金属製コンテナ１００の内部に格納した管理対象物品１０１に取り付けられ、この管理対象物品１０１を特定する物品情報を記憶したＩＣタグ１０２と、ＩＣタグ１０２と電波で送受信して当該ＩＣタグ１０２の物品情報を金属製コンテナ１００の内部から外部へ取り出すタグ情報伝達装置１１０と、金属製コンテナ１００の外部からタグ情報伝達装置１１０と電波で送受信して当該タグ情報伝達装置１１０の物品情報を読み出すタグリーダー１０４と、タグリーダー１０４の物品情報を取り込む制御装置を有するコンピュータ１０５と、を備えて構成されている。
【００１１】
金属製コンテナ１００は、全部が金属で構成されるコンテナや、樹脂の箱体の内面または外面に金属板または金属箔を貼り付けて構成されるコンテナなどで構成されている。これによって、金属製コンテナ１００を通してのガスの透過を防止することができるが、電波の透過も抑制され、金属製コンテナ１００を通しての送受信が制約される。なお、本実施形態の金属製コンテナ１００は数ｍサイズの大きなコンテナまで対象としている。
【００１２】
管理対象物品１０１は、金属製コンテナ１００の内部に複数設置されることが一般的である。ただし、本発明は、管理対象物品１０１が１つだけ設置されている場合でも適用可能である。
【００１３】
ＩＣタグ１０２は、金属製コンテナ１００内にある管理対象物品１０１の外面（例えば、上面など）に貼付けられている。金属製コンテナ１００内にある全ての管理対象物品１０１には、それぞれの管理対象物品１０１を特定するＩＣタグ１０２が取り付けられている。このＩＣタグ１０２は、非接触型ＩＣタグで構成され、例えば、アンテナ部、送受信部、メモリ部などを内蔵して構成されている。ＩＣタグ１０２のメモリ部には、取り付けられる管理対象物１０１を特定する情報（例えば、物品番号など）が格納されている。
【００１４】
タグ情報伝達装置１１０は、金属製コンテナ１００の内外を通して設置され、ＩＣタグ１０２と電波で送受信する第１アンテナ１１１と、金属製コンテナ１００の複数の外面に設置され、タグリーダー１０４と電波で送受信する複数の第２アンテナ１１３と、第１アンテナ１１１と複数の第２アンテナ１１３との間に接続された方向性結合器１１２と、を備えて構成されている。すなわち、このタグ情報伝達装置１１０は、一方のアンテナ１１１または１１３で受信した信号を他方のアンテナ１１３または１１１から放出する仕組みの電源レス装置である。
【００１５】
第１アンテナ１１１で受信されたＩＣタグ１０２の物品情報は、方向性結合器１１２を介して複数の第２アンテナ１１３に分割出力される。逆に、任意の第２アンテナ１１３で受信されたタグリーダー１０４からの信号は、方向性結合器１１２を介して、他の第２アンテナ１１３に出力することなく、共通の第１アンテナ１１１に出力される。この動作において、各第２アンテナ１１３で受信された信号の相互の漏洩を生じることなく動作させることができる。
【００１６】
本実施形態では、タグ情報伝達装置１１０の第２アンテナ１１３が金属製コンテナ１００の複数の外面に設置されているので、複数の金属製コンテナ１００の配置が図３（ａ）及び（ｂ）の何れであっても第２アンテナ１１３とタグリーダー１０４との送受信が可能である。従って、複数の金属製コンテナ１００を隣接して配置する作業が容易になると共に、複数の金属製コンテナ１００の配置性を向上することができる。
【００１７】
なお、方向性結合器１１２は、必ずしも４組のアンテナ１１３の構成とする必要はなく、コンテナ１００内の読み取り箇所を増設するためにｎ組（ｎは２以上の整数）の構成としても良い。本実施形態では、第２アンテナ１１３は、金属製コンテナ１００の４つの側面の全てに位置して設けられている。これによって、複数の金属製コンテナ１００を隣接して配置する場合に、各金属製コンテナ１００の何れか１つの面が他の金属製コンテナ１００と隣接していなければ（換言すれば、各金属製コンテナ１００の何れか１つの面が露出していれば）、第２アンテナ１１３とタグリーダー１０４との送受信が可能となる。従って、複数の金属製コンテナ１００を隣接して配置する作業が極めて容易になると共に、複数の金属製コンテナ１００の配置性を格段に向上することができる。
【００１８】
これに対して、従来のコンテナ管理装置では、タグ情報伝達装置１１０’が金属製コンテナ１００’の１つの面にのみ設置されているので、複数の金属製コンテナ１００’の配置が図４（ａ）の場合にはタグリーダーとの送受信が可能であるが、図４（ｂ）の場合にはタグリーダーとの送受信が不可となってしまう。このため、保管・輸送時における読取作業を行なう際、タグ情報伝達装置１１０’が取り付けられたこの１箇所の面を露出する様に金属製コンテナ１００’を配置することが必要であり、複数の金属製コンテナ１００’を隣接して配置する作業が面倒であると共に、複数の金属製コンテナ１００’の配置性に問題があった。特に、コンテナ１００’が数ｍサイズの大きさの場合には、読取を行なう作業者にも、この１箇所のみの装置露出部まで移動する負荷を強いていた。
【００１９】
そこで、従来のコンテナ管理装置において、図５に示すように、ＩＣタグに対応する１つの第１アンテナと、この第１アンテナに共通して接続されると共に金属製コンテナ１００’の外側４面に設置された第２アンテナ１１０’と、からなるタグ情報伝達装置１１０’とすることが考えられる。しかし、任意の第２アンテナ１１０’から読み取りをした場合、電波はコンテナ内部の第１アンテナと残り３面の第２アンテナ１１０’に漏洩する為、無線信号のレベル不足による読取不可となる問題があった。また、複数の金属コンテナ１００’が隣接する場合、隣接面の金属壁に第２アンテナ１１０’が接近する為、第２アンテナ１１０’への影響により読取不可となる問題があった。
【００２０】
これに対して、本実施形態では、方向性結合器１１２を内蔵しているので、任意の第２アンテナ１１３を介して金属コンテナ１００内部のＩＣタグ１０２を読み取る場合において、残り３面の第２アンテナ１１３に無線信号が漏洩することなく、タグリーダー１０４から無線信号を効率良く第１アンテナ１１１に伝えることができる。
【００２１】
タグリーダー１０４は、ＩＣタグ１０２の情報を読み出すためのものであり、第２アンテナ１１３と電波で送受信する第３アンテナ１０４ａと、この第３アンテナ１０４ａで送受信する信号の処理を行なう信号処理部１０４ｂとを備えて構成されている。ここで、タグリーダー１０４は、タグ情報伝達装置１１０を通してＩＣタグ１０２の情報を読み出すようにしているので、金属製コンテナ１００を開錠することなく、金属製コンテナ１００の外側からタグリーダー１０４で金属製コンテナ１００内部の物品情報を全て取得できる。なお、タグリーダー１０４は、据え置き型だけでなく、ハンディ型であっても良い。
【００２２】
コンピュータ１０５は、ＩＣタグ１０２で読み出した情報を処理するためのものであり、タグリーダー１０４に接続されている。コンピュータ１０５は、マイコンなどの制御装置、メモリなどの記憶装置、キーなどによる入力装置、ディスプレイなどの出力装置などからなっている。
【００２３】
このコンピュータ１０５の記憶装置には、金属製コンテナ１００内にある全てのＩＣタグ１０２に格納された物品情報と同じ物品情報が格納されていると共に、物品の在庫管理機能、物品の情報検索機能を有する制御ソフトが格納されている。コンピュータ１０５の制御装置には、タグリーダー１０４及びタグ情報伝達装置１０３を経由して金属製コンテナ１００内部のＩＣタグ１０２の物品情報が取得されるので、制御装置は、制御ソフトを用いて、金属製コンテナ１００内部の管理対象物品１０１の在庫管理及び情報検索を行なうことができる。
【００２４】
なお、タグリーダー１０４とコンピュータ１０５とを一体とした携帯端末を用いるようにしても良い。
【００２５】
本実施形態によれば、タグ情報伝達装置へ電源供給することなく金属製コンテナ内部の物品情報を取得できると共に、複数の金属製コンテナを隣接して配置する場合にも、別の金属コンテナが隣接していない、露出した金属面に設置されたタグ情報伝達装置から内部情報を読み出すことを可能として保管・輸送時のコンテナ配置の作業性を向上することができる。
（第２実施形態）
次に、本発明の第２実施形態について図７を用いて説明する。図７は本発明の第２実施形態の物品管理システムにおける第２アンテナ周辺部を示す図で、図７（ａ）はその断面図、図７（ｂ）は斜視説明図ある。この第２実施形態は、次に述べる点で第１実施形態と相違するものであり、その他の点については第１実施形態と基本的には同一であるので、重複する説明を省略する。
【００２６】
この第２実施形態では、読取空間１１６を介して第２アンテナ１１３を覆うように金属カバー１１４及び磁性シート１１５を配置したものである。前記金属カバー１１４は、左右両側に読取空間１１６に臨む開口を有するように第２アンテナ１１３を覆い、上下両側がコンテナ１００に固定されている。磁性シート１１５は、読取空間１１６に臨む開口を有するように第２アンテナ１１３を覆い、金属カバー１１４の内側に貼付けられている。金属カバー１１４及び磁性シート１１５は、コンテナ１００を任意方向に積層するに際して、寸法的に障害にならない程度に十分に薄く成形されている。そして、タグリーダー１０４の第３アンテナ１０４ａを読取空間１１６に差し込み、第２アンテナ１１３、方向性結合器１１２及び第１アンテナ１１１を介してＩＣタグ１０２のデータを読み取る。
【００２７】
係る第２実施形態の構成によれば、金属カバー１１４と第２アンテナ１１３は常に対で設置されており、第２アンテナ１１３は金属カバー１１４によって常にアンテナ特性に変化が生じた状態となっている。この金属カバー１１４の影響下で第２アンテナ１１３の動作周波数を予め所定の動作周波数に調整しておくことによって、第２アンテナ１１３に金属カバー１１４の外側から他の金属物が近づいても第２アンテナ１１３の所定の動作周波数に変化は生じない、つまり、金属カバー１１４を予め配置することにより、他の金属性コンテナ１００の壁面が第２アンテナ１１３に接近して配置されたとしても、第２アンテナ１１３の動作周波数は変化しないため、タグリーダー１０４によって容易に金属製コンテナ１００内のＩＣタグ１０２から情報を読み取ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】本発明の第１実施形態の物品管理システムの構成図である。
【図２】図１の物品管理システムに用いるタグ情報伝達装置のブロック図である。
【図３】図１の物品管理システムにおける金属製コンテナの配置例を示す斜視図である。
【図４】従来のコンテナ管理装置における金属製コンテナの配置例を示す斜視図である。
【図５】従来のコンテナ管理装置のタグ情報伝達装置を複数設置した場合における金属製コンテナの配置例を示す斜視図である。
【図６】図１の物品管理システムにおける金属製コンテナの配置例を示す斜視図である。
【図７】本発明の第２実施形態の物品管理システムにおける第２アンテナ周辺部を示す図である。
【符号の説明】
【００２９】
１…物品管理システム、１００…金属製コンテナ、１０１…管理対象物品、１０２…ＩＣタグ、１０４…タグリーダー、１０４ａ…第３アンテナ、１０４ｂ…信号処理部、１０５…コンピュータ、１１０…タグ情報伝達装置、１１１…第１アンテナ、１１２…方向性結合器、１１３…第２アンテナ、１１４…金属カバー、１１５…磁性シート、１１６…読取空間。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
金属製コンテナの内部に格納した管理対象物品に取り付けられ、この管理対象物品を特定する物品情報を記憶したＩＣタグと、
前記ＩＣタグと電波で送受信して当該ＩＣタグの物品情報を前記金属製コンテナの内部から外部へ取り出すタグ情報伝達装置と、
前記金属製コンテナの外部から前記タグ情報伝達装置と電波で送受信して当該タグ情報伝達装置の物品情報を読み出すタグリーダーと、
前記タグリーダーの物品情報を取り込む制御装置と、を備えた物品管理システムにおいて、
前記タグ情報伝達装置は、前記金属製コンテナの内部に設置され、前記ＩＣタグと電波で送受信する第１アンテナと、前記金属製コンテナの複数の外面に設置され、前記タグリーダーと電波で送受信する複数の第２アンテナと、前記第１アンテナと前記複数の第２アンテナとの間に接続された方向性結合器と、を備えた
ことを特徴とする物品管理システム。
【請求項２】
請求項１において、前記複数の第２アンテナは前記金属製コンテナの４つの側面の全部に位置して設けられていることを特徴とする物品管理システム。
【請求項３】
請求項１または２において、読取空間を介して前記第２アンテナを覆うように金属カバー及び磁性シートを配置し、前記金属カバーは前記読取空間に臨む開口を有するように前記第２アンテナを覆って前記コンテナに固定され、前記磁性シートは前記読取空間に臨む開口を有するように前記第２アンテナを覆って前記金属カバーの内側に配置されていることを特徴とする物品管理システム。
【請求項１】
金属製コンテナの内部に格納した管理対象物品に取り付けられ、この管理対象物品を特定する物品情報を記憶したＩＣタグと、
前記ＩＣタグと電波で送受信して当該ＩＣタグの物品情報を前記金属製コンテナの内部から外部へ取り出すタグ情報伝達装置と、
前記金属製コンテナの外部から前記タグ情報伝達装置と電波で送受信して当該タグ情報伝達装置の物品情報を読み出すタグリーダーと、
前記タグリーダーの物品情報を取り込む制御装置と、を備えた物品管理システムにおいて、
前記タグ情報伝達装置は、前記金属製コンテナの内部に設置され、前記ＩＣタグと電波で送受信する第１アンテナと、前記金属製コンテナの複数の外面に設置され、前記タグリーダーと電波で送受信する複数の第２アンテナと、前記第１アンテナと前記複数の第２アンテナとの間に接続された方向性結合器と、を備えた
ことを特徴とする物品管理システム。
【請求項２】
請求項１において、前記複数の第２アンテナは前記金属製コンテナの４つの側面の全部に位置して設けられていることを特徴とする物品管理システム。
【請求項３】
請求項１または２において、読取空間を介して前記第２アンテナを覆うように金属カバー及び磁性シートを配置し、前記金属カバーは前記読取空間に臨む開口を有するように前記第２アンテナを覆って前記コンテナに固定され、前記磁性シートは前記読取空間に臨む開口を有するように前記第２アンテナを覆って前記金属カバーの内側に配置されていることを特徴とする物品管理システム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００８−１７２５０３（Ｐ２００８−１７２５０３Ａ）
【公開日】平成２０年７月２４日（２００８．７．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−３４１０（Ｐ２００７−３４１０）
【出願日】平成１９年１月１１日（２００７．１．１１）
【出願人】（０００００５４５２）株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【出願人】（０００００１１２２）株式会社日立国際電気 (5,007)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年７月２４日（２００８．７．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１月１１日（２００７．１．１１）
【出願人】（０００００５４５２）株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【出願人】（０００００１１２２）株式会社日立国際電気 (5,007)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]