説明

物品管理収納装置

【課題】ログイン時の読取時間によるロスを最小限にして利便性を高めと共に、エラー処理を迅速に行うことができる物品管理収納装置を提供する。
【解決手段】この物品管理収納装置300は、ホルダ(容器)30の内側面に貼付されたICタグ200に対して管理情報を読み書きするための電波を送受信するためのアンテナ9を有する収納棚(収容手段)40と、ICタグ200に対して管理情報の読み書きを行うリーダライタ(読取手段)100と、このリーダライタ100を制御する制御PC(制御手段)50と、を備えて構成され、収納棚40内に備えられたアンテナ9とリーダライタ100はケーブル44により接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品管理収納装置に関し、さらに詳しくは、ホルダ単位で管理される物品の履歴情報を処理するのに要する時間を短縮した物品管理収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、会社、役所等のように多量の書類を保管、整理、移動する作業を日常的に行うオフィス環境では、作業を効率化するために、書類を分類して一つのホルダ単位で管理するために、ホルダ内の書類名をホルダの適所に記載して収納棚に収納している形態が多く見られる。
ところで、ホルダ内の書類の利用を希望する者が書類等を取り出した場合、次の利用者はどの書類が取り出されたかを外観から確認することができないため、ホルダ内の全ての書類をその都度確認しなければならず、煩わしいといった問題がある。
そこで個々のホルダに収納した書類に関するファイル情報を記録したICタグを付してICタグ、リーダライタ、及びPC等により管理する方法が提案されている。この方法では、ホルダを収納する収納棚にアンテナを備え、ホルダに付されたICタグの情報をアンテナを介して受信してホルダ内の書類を管理するものである。即ち、このホルダ内の書類の閲覧若しくは貸し出しを希望する者は、予め貸し出し中か否かをPC画面等で確認して収納棚からそのホルダを取り出し、PCから貸し出す書類名を入力してICタグの情報を書き換えて利用していた。また書類を返却する場合は、ホルダを再び収納棚から取り出して、ホルダに書類を入れて収納棚に戻し、その旨をPCに入力して再びICタグの情報を書き換えていた。
【0003】
また、ホルダにICタグを取り付けずに、各書類にICタグを付して、書類1枚単位での管理が可能なシステムもある。例えば、50部の書類を綴じたホルダを8冊収納する収納棚は、400部の書類を収納することになる。この場合、収納棚に備えた1つのアンテナにより全ての書類に係る記録情報を読み取り完了するまでに例えば約12秒要する。即ち、収納棚からホルダを取り出し、必要書類を取り出してホルダを収容棚に戻した場合、判定結果を出すまでに約12秒かかり、判定に要する時間が長期化するといった問題がある。
また、特許文献1には、ホルダ(容器)に貼付されたICタグに記録されている管理情報を読み取るためのアンテナを有する収容棚と、ICタグに対して管理情報の読み取りを行うリーダライタと、このリーダライタを制御するPCとを備え、ホルダの向きによりホルダ内の物品の向きを判定する物品の収容状態検知装置について開示されている。
【特許文献1】特開2005−343628公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来技術は、ホルダの向きにより物品の有無を判定するため、ホルダの向きを誤って収容すると物品が無いと誤って判断され、正確な管理が不可能となるといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ホルダとホルダに収容する物品の両方にICタグを取り付け、ログイン時には、ホルダの管理情報のみを読み取るようにして、ホルダ内の管理情報の記憶は、ログアウト後に一括して行なうことにより、ログイン時の読取時間によるロスを最小限にして利便性を高めと共に、エラー処理を迅速に行うことができる物品管理収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、少なくとも一つのICタグを備えた物品を複数収容すると共に少なくとも一つのICタグを所定個所に備えた容器と、複数の前記容器を収容する収容手段と、前記各物品及び各容器に夫々付されたICタグとの間で電波を授受するために装備されるアンテナと、該アンテナを介して前記物品及び各容器に付されたICタグの管理情報を読取るための読取手段と、該読取手段により読み取られた管理情報に基づいて各容器及び各容器内における物品の出し入れを管理する制御手段と、を備えた物品管理収納装置において、前記制御手段は、利用者が該物品管理収納装置を利用する際に認証を行うログインが開始されると前記各容器の出し入れを管理し、ログアウトにより前記ログイン直前の全ての物品に係る前記管理情報と比較して該管理情報の差分を履歴情報として記憶することを特徴とする。
本発明の物品管理収納装置は、ログイン中は容器に取り付けられたICタグのみが応答するコマンドを発生して、容器の出し入れのみを管理する。従って、容器の数は物品の数に比べて少ないので、情報の読み出しに要する時間は数秒で完了するため、異常、正常動作を判定するためには時間的な制約は生じない。そして、操作が終了してログアウトが行なわれると、そこで初めて物品と容器に取り付けられたICタグの全てが応答するコマンドを発生して、ログイン直前の全ての物品に係る管理情報と比較して管理情報の差分を履歴情報として記憶する。これにより、ログイン時の読み出し時間によるロスを最小限にして利便性を高めと共に、エラー処理を迅速に行うことができる。
【0006】
請求項2は、前記制御手段は、前記ログアウト後に新たな前記ログインが開始される前に前記容器が取り出されたことを検出すると警告を発し、該容器が返却されることによって、該容器が取り出される直前の全ての物品に係る前記管理情報と比較して該管理情報の差分を履歴情報として記憶することを特徴とする。
制御手段は、操作が終了してログアウトが行なわれると、ログイン直前の全ての物品に係る管理情報と比較して管理情報の差分を履歴情報として記憶する処理を行う。そして、この処理が終了すると容器をスキャンするモードに移行する。このスキャン中に容器が取り出されると、ログインがされる前の操作と認識して警告を発する。また、スキャン中に容器が返却されると、容器内の物品に変化があるか否かをチェックするために、容器と物品全てのスキャンを行ない、ログイン直前の全ての物品に係る管理情報と比較して管理情報の差分を履歴情報として記憶する。これにより、ログアウト中の異常動作を監視することができる。
【0007】
請求項3は、前記制御手段は、前記ログインが開始されると該ログインの権限の適否を判定し、権限範囲外の容器が取り出されたことを検出すると警告を発することを特徴とする。
容器内に収容されている物品の中には、所定の権限を有する者のみに取り出しを許可する物品もある。そこで本発明では、ログインが開始されると、そのログインにより認証された操作者の権限の適否を判定し、権限範囲外の容器が取り出されたことを検出すると警告を発して容器を元に戻すように促す。これにより、権限範囲外の操作者に不要な容器の取り出しを警告することができる。
【0008】
請求項4は、前記収容手段が施錠可能な構成を有する場合、前記ログアウトにより前記ログイン直前の全ての物品に係る前記管理情報と比較して該管理情報の差分を履歴情報として記憶完了するまでは、前記収容手段を施錠することを特徴とする。
ログアウトによりログイン直前の全ての物品に係る管理情報と比較して管理情報の差分を履歴情報として記憶しているとき(ログアウト処理中)は、割り込み処理を行わない限り容器の出し入れを管理することができない。そこで本発明では、収容手段に扉が設けられて施錠が可能な構成の場合に、ログアウト処理中は施錠して中の容器が取り出せないようにする。これにより、ログアウト処理中の不正な動作を防止することができる。
【0009】
請求項5は、前記収容手段が各容器単位に前記管理情報を読み取り可能な構成を有する場合、ログアウトにより前記ログイン直前の取り出された容器内の物品に係る前記管理情報と比較して該管理情報の差分を履歴情報として記憶することを特徴とする。
収容手段に1つのアンテナが装備されている場合、各容器内の物品の管理情報を容器毎に読み取ることはできない。そこで本発明では、収容手段が各容器単位に管理情報を読み取り可能な構成を有する場合に、取り出された容器内の物品の管理情報のみを比較して履歴情報を記憶する。これにより、履歴情報を記憶する時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作が終了してログアウトが行なわれると、そこで初めて物品と容器に取り付けられたICタグの全てが応答するコマンドを発生して、ログイン直前の全ての物品に係る管理情報と比較して管理情報の差分を履歴情報として記憶するので、ログイン時の読み出し時間によるロスを最小限にして利便性を高めと共に、エラー処理を迅速に行うことができる。
また、ログアウト後のスキャン中に容器が取り出されると、ログインがされる前の操作と認識して警告を発し、スキャン中に容器が返却されると、容器内の物品に変化があるか否かをチェックするために、容器と物品全てのスキャンを行ない、ログイン直前の全ての物品に係る管理情報と比較して管理情報の差分を履歴情報として記憶するので、ログアウト中の異常動作を監視することができる。
また、ログインが開始されると、そのログインにより認証された操作者の権限の適否を判定し、権限範囲外の容器が取り出されたことを検出すると警告を発して容器を元に戻すように促すので、権限範囲外の操作者に不要な容器の取り出しを警告することができる。
また、収容手段に扉が設けられて施錠が可能な構成の場合に、ログアウト処理中は施錠して中の容器が取り出せないようにするので、ログアウト処理中の不正な動作を防止することができる。
また、収容手段が各容器単位に管理情報を読み取り可能な構成を有する場合に、取り出された容器内の物品の管理情報のみを比較して履歴情報を記憶するので、履歴情報を記憶する時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、一般的なリーダライタの構成を示すブロック図である。このリーダライタ100は、リーダライタ100との間でデータの授受を行ってシステム全体を制御するPC50によって制御される。リーダライタ100は、外部のPC50とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ100全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と、操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、制御装置2からの交流信号である電力供給用信号と変調器4からの書き込みコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、ループアンテナ9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、図示しないICタグとの電力用搬送波とデータの授受をするループアンテナ9とを備えて構成されている。
【0012】
次に、本構成によるリーダライタ100の動作を説明する前に、ICタグの構成を先に説明しておく。図2は、本発明のICタグの構成を示すブロック図である。本実施形態のICタグ200は、リーダライタ100からの電力用搬送波によりデータの授受をするアンテナ20と、書き込みコマンド読み出しコマンドを生成する送受信回路21と、アンテナ20からの電力用搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する電力生成回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、ICタグ200の全体の動作を制御する制御回路26から構成されている。
【0013】
次に、図1と図2を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。リーダライタ100は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。まず、初期化が行われる。次に、制御装置2は、ICタグ200に供給する電力供給用信号と、ポーリング信号を交互に電力増幅器7から送信する。その信号は、ループアンテナ9から電磁波として外部に放射される。次に、ICタグ200がリーダライタ100に近接すると、アンテナ20が電力供給用信号を受信し、電力生成回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、ICタグ200内の全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムに従って、制御を開始する。
次に、制御回路26は、まず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してアンテナ20から送信する。このレスポンスをリーダライタ100がループアンテナ9で受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してICタグ200が規格に合致したICタグであると認識する。それにより、以後リーダライタ100とICタグ200の間でポーリングが行われる。
【0014】
図3は本発明の一実施形態に係る物品管理収納装置の構成図である。この物品管理収納装置300は、ホルダ(容器)30の内側面に貼付されたICタグ200に対して管理情報を読み書きするための電波を送受信するためのアンテナ9を有する収納棚(収容手段)40と、ICタグ200に対して管理情報の読み書きを行うリーダライタ(読取手段)100と、このリーダライタ100を制御する制御PC(制御手段)50と、を備えて構成され、収納棚40内に備えられたアンテナ9とリーダライタ100はケーブル44により接続されている。また、この例では複数のホルダ30は収納棚40の上下を区切る棚41の上部に収納され、内部にICタグ200を貼付した複数の書類(物品)47を収容し、ホルダ30の背面に貼付されたICタグ200に記録されている管理情報を収納棚40の背面に備えられたアンテナ9を介してリーダライタ100により読取る構成となっている。また、扉45に備えられた鍵(施錠手段)46により施開錠が可能な構成としてもよい。
【0015】
そして、制御PC50は、利用者が物品管理収納装置300を利用する際に認証を行うログインが開始されると各ホルダ30の出し入れを管理し、ログアウトによりログイン直前の全ての書類47に係る管理情報と比較して管理情報の差分を履歴情報として記憶する。
即ち、本実施形態の物品管理収納装置300は、ログイン中はホルダ30に取り付けられたICタグのみが応答するコマンドを発生して、ホルダ30の出し入れのみを管理する。従って、ホルダ30の数は書類47の数に比べて少ないので、情報の読み出しに要する時間は数秒で完了するため、異常、正常動作を判定するためには時間的な制約は生じない。そして、操作が終了してログアウトが行なわれると、そこで初めて書類47とホルダ30に取り付けられたICタグの全てが応答するコマンドを発生して、ログイン直前の全ての書類に係る管理情報と比較して管理情報の差分を履歴情報として記憶する。これにより、ログイン時の読み出し時間によるロスを最小限にして利便性を高めと共に、エラー処理を迅速に行うことができる。
【0016】
また、収納棚40が鍵(施錠手段)46を有する場合、ログアウトによりログイン直前の全ての書類47に係る管理情報と比較して管理情報の差分を履歴情報として記憶が完了するまでは、収納棚40を施錠する。即ち、ログアウトによりログイン直前の全ての書類に係る管理情報と比較して管理情報の差分を履歴情報として記憶しているとき(ログアウト処理中)は、割り込み処理を行わない限りホルダ30の出し入れを管理することができない。そこで本実施形態では、収納棚40に扉45が設けられて施錠が可能な構成の場合に、ログアウト処理中は施錠して中のホルダ30が取り出せないようにする。これにより、ログアウト処理中の不正な動作を防止することができる。
【0017】
図4は本発明の物品管理収納装置の動作イメージの一例を説明する図である。この図では、左から時間が経過して行き、操作者の動作を動作1〜動作8として表し、ログアウトの領域をA,ログインの領域をB、ログアウト処理中の領域をCとする。また、言葉の定義として、ホルダスキャンとは、ホルダ30のみのICタグが応答するコマンド(詳細は後述する)により、ホルダ30に取り付けたICタグの管理情報を読み取ることを言う。単発スキャンとは、全てのICタグが応答するコマンド(詳細は後述する)により、ホルダ30と書類47に取り付けたICタグの管理情報を読み取ることを言う。また、ログアウト処理中とは、ログアウトによりログイン直前の全ての書類に係る管理情報と比較して管理情報の差分を履歴情報として記憶しているときを言う。
【0018】
次に、本動作イメージについて説明する。まず、操作者は、ログアウト(領域A)中に収容棚40からホルダ30を取り出すと(動作1)、制御PC50はホルダスキャンによりホルダ30が取り出されたことを検出する。しかし、まだログインがされてないので、不正取り出しと見做して警告を発する。操作者はその警告によりホルダ30を収容棚40に返却する(動作2)。制御PC50はホルダ30内の書類が抜かれていないかをチェックするために、単発スキャンを実行して、その結果をデータベース(DB)に記憶する。その後、再びホルダスキャンに戻る。そして、操作者がICカードを制御PC50に備えたカード読取機に近接してログイン(領域B)を行なう(動作3)。ログインにより正規の操作者であることが認証されると、ログイン中のホルダスキャンに変化する。これにより、例えば、権限外のホルダが取り出されると(動作4)、誤取り出しとして警告を発する。そして、そのホルダを収納棚40に戻し、権限内のホルダを取り出し(動作5)、そのホルダから文書の出し入れを行い(動作6)、そのホルダを返却する(動作7)。従って、領域Bでのホルダスキャンでは、ホルダの出し入れは自由に行なわれる。そして、操作が終了すると、操作者がICカードを制御PC50に備えたカード読取機に近接してログアウトを行なう(動作8)。制御PC50はログアウトにより、単発スキャンを開始し、ログイン直前のDBの管理情報と比較して差分を履歴として記憶する(ログアウト処理中)(領域C)。そしてログアウト処理中の動作が終了すると再び領域Aのログアウトとなり、ホルダスキャンを開始する。
【0019】
図5は本発明の物品管理収納装置の動作を説明するフローチャートである。まず、通常はホルダスキャンが行なわれる(S1)。その状態で制御PC50はログインされたか否かをチェックする(S2)。ログインしない状態では(S2でNO)、ホルダ30が取り出されたか否かをチェックする(S3)。ホルダ30が取り出されない場合は(S3でNO)、ステップS1に戻ってホルダスキャンを繰り返す。ステップS3でホルダ30が取り出されると(S3でYES)、まだログインがされてないので、不正取り出しと見做して警告を発する(S4)。そして、ホルダ30が返却されたか否かをチェックして(S5)、操作者はその警告によりホルダ30を収容棚40に返却すると(S5でYES)、単発スキャンを実行して(S6)、その結果をデータベース(DB)に記憶する(S7)。
【0020】
一方、ステップS2でログインがなされると(S2でYES)、ホルダ30が取り出されてか否かをチェックする(S8)。ホルダ30が取り出されなければ(S8でNO)、ステップS1に戻ってホルダスキャンを繰り返す。ステップS8でホルダ30が取り出されると(S8でYES)、取り出されたホルダが操作者の権限範囲外であるか否かをチェックする(S9)。権限外のホルダが取り出されると(S9でYES)、誤取り出しとして警告を発する(S10)。ステップS9で権限内のホルダであれば(S9でNO)、ホルダの返却の有無をチェックして(S11)、ホルダ30が返却されると(S11でYES)ログアウトしたか否かをチェックして(S12)、ログアウトするまでステップS9とS12の間を繰り返す。ステップS12でログアウトが実行されると(S12でYES)、単発スキャンを開始してログイン直前のDBに記憶されている管理情報と比較して差分を履歴情報として記憶する(S13)。そしてその結果によりDBを更新する(S14)。
【0021】
以上の様に、制御PC50は、ステップS12により操作が終了してログアウトが行なわれると、ログイン直前の全ての書類47に係る管理情報と比較して管理情報の差分を履歴情報として記憶する処理を行う。そして、この処理が終了するとホルダ30をスキャンするホルダスキャンに移行する。このホルダスキャン中にホルダ30が取り出されると、ログインがされる前の操作と認識して警告を発する(S4)。また、ホルダスキャン中に容器が返却されると、容器内の物品に変化があるか否かをチェックするために、容器と物品全ての単発スキャンを行ない、ログイン直前の全ての物品に係る管理情報と比較して管理情報の差分を履歴情報として記憶する。これにより、ログアウト中の異常動作を監視することができる。
また、ホルダ30内に収容されている書類47の中には、所定の権限を有する者のみに取り出しを許可する書類もある。そこで本実施形態では、ログインが開始されると、そのログインにより認証された操作者の権限の適否を判定し、権限範囲外のホルダが取り出されたことを検出すると警告を発してホルダを元に戻すように促す。これにより、権限範囲外の操作者に不要なホルダの取り出しを警告することができる。
【0022】
図6は本発明の物品管理収納装置のコマンドについて説明する図である。図6(a)は通常時のホルダスキャンコマンドを説明する図であり、図6(b)はホルダ出し入れ時の単発スキャンコマンドを説明する図である。図6(a)のように、ホルダスキャンコマンドは、例えば、GID=0x0001とすると、ホルダ30に貼付されたホルダタグ200aのみが応答する。ホルダタグ200aには予めICタグ発行時に取り付け対象機種ごとにこのGIDを書き込んでおく。また、図6(b)のように、単発スキャンコマンドは、例えば、GID=0xFFFFとすると、ホルダ30に貼付されたホルダタグ200aと全ての書類47に貼付された文書タグ200bの全てが応答する。文書タグ200bには予めICタグ発行時に取り付け対象機種ごとにこのGIDを書き込んでおく。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一般的なリーダライタの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のICタグの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る物品管理収納装置の構成図である。
【図4】本発明の物品管理収納装置の動作イメージの一例を説明する図である。
【図5】本発明の物品管理収納装置の動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の物品管理収納装置のコマンドについて説明する図である。
【符号の説明】
【0024】
9 アンテナ、30 ホルダ、40 収納棚、41 棚、44 ケーブル、45 扉、46 鍵、47 書類、50 制御PC、100 リーダライタ、200 ICタグ、300 物品管理収納装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのICタグを備えた物品を複数収容すると共に少なくとも一つのICタグを所定個所に備えた容器と、複数の前記容器を収容する収容手段と、前記各物品及び各容器に夫々付されたICタグとの間で電波を授受するために装備されるアンテナと、該アンテナを介して前記物品及び各容器に付されたICタグの管理情報を読取るための読取手段と、該読取手段により読み取られた管理情報に基づいて各容器及び各容器内における物品の出し入れを管理する制御手段と、を備えた物品管理収納装置において、
前記制御手段は、利用者が該物品管理収納装置を利用する際に認証を行うログインが開始されると前記各容器の出し入れを管理し、ログアウトにより前記ログイン直前の全ての物品に係る前記管理情報と比較して該管理情報の差分を履歴情報として記憶することを特徴とする物品管理収納装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ログアウト後に新たな前記ログインが開始される前に前記容器が取り出されたことを検出すると警告を発し、該容器が返却されることによって、該容器が取り出される直前の全ての物品に係る前記管理情報と比較して該管理情報の差分を履歴情報として記憶することを特徴とする請求項1に記載の物品管理収納装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ログインが開始されると該ログインの権限の適否を判定し、権限範囲外の容器が取り出されたことを検出すると警告を発することを特徴とする請求項1に記載の物品管理収納装置。
【請求項4】
前記収容手段が施錠可能な構成を有する場合、前記ログアウトにより前記ログイン直前の全ての物品に係る前記管理情報と比較して該管理情報の差分を履歴情報として記憶完了するまでは、前記収容手段を施錠することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の物品管理収納装置。
【請求項5】
前記収容手段が各容器単位に前記管理情報を読み取り可能な構成を有する場合、ログアウトにより前記ログイン直前の取り出された容器内の物品に係る前記管理情報と比較して該管理情報の差分を履歴情報として記憶することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の物品管理収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−23792(P2009−23792A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188750(P2007−188750)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】