説明

物質を容器内に分配するための装置及び方法

【課題】 物質、特に粉体及び液体を容器(9)内に分配するための装置(1)であって、荷重受け入れ器(23)、この荷重受け入れ器(23)に取り付けられており、物質を容器(9)内に分配するときに容器(9)を受け入れてこの容器(9)を緩く保持するのに役立つホルダ装置(7)、及び容器(9)がホルダ装置(7)に着座しているときに液体を容器(9)内に分配するための液体分配装置を含む秤量装置(22)を含む、コンパクトなモジュールとして設計された、装置(1)を提供する。
【解決手段】 この装置(1)は、容器(9)がホルダ装置(7)に着座しているとき、装置(1)の部分でないキャップ装着装置がキャップ(110)を容器(9)に装着したりキャップ(110)を容器(9)から取り外したりできるように容器をしっかりと把持し且つ動かないようにするためのクランプ装置(20)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受け入れ容器が秤量装置、詳細には天秤の荷重受け入れ器に載止しているときに物質、詳細には粉体及び液体を送出装置から受け入れ容器内に、詳細には試験管に分配するための装置並びに方法に関する。秤量装置は、例えば物質の分配の前後に及び/又は容器内への物質の分配中に連続的に容器を計量できる。物質を容器内に分配した後、容器をキャップで閉鎖してもよい。
【0002】
本発明は、更に、装置、又は以下の概括的説明と一致する方法による作業を含む自動実験室システムに関する。
【背景技術】
【0003】
粉体を移送し計量するための装置及び方法は、米国特許第6,674,022 B2号に記載されている。ロボット式取り扱いシステムは、所定量の粉体を源容器からピペット状移送装置に吸い込むのに負圧を使用し、次いで移送装置を天秤に載った受け入れ容器まで移動し、負圧を切ること及び/又は少量の圧力を移送装置に加えることによって粉体を受け入れ容器内に落下する。粉体の送出には、部分量を何回か移送することが含まれる。容器の重量を連続的に監視し、目標重量に達したときに粉体の移送を自動的に停止する。
【0004】
プルトニウム等の放射性物質用の重力型自動試料プロセスシステムがフランス国特許第FR 2 610 111 A1号に記載されている。このシステムは、サンプリング装置、希釈装置、電子天秤、及び遠隔制御ロボットアームをグローブボックス内に含む。通常の作動サイクルでは、ロボットアームはターンテーブルから空の受け入れベッセル(vessel)を取り上げて天秤に置き、ここで空のベッセルの風袋を決定する。サンプリング装置は、試験されるべき液体物質の試料を取り上げてこれを天秤に載せたベッセルに加える。天秤は、別の計量を行い、物質試料の重量を決定する。次に、天秤に載せた容器内の試料に希釈装置が希釈液を加える。天秤が容器内の希釈された試料を計量した後、容器をターンテーブルに戻し、次いで、このターンテーブルが容器を攪拌装置まで前進する。
【0005】
薬品生産ライン用充填計量システムがヨーロッパ特許第EP 0 408 822 A2号に開示されている。コンベア装置に到着したバイアルやアンプル等の空のベッセルを第1天秤で計量し、そこから充填機まで移送し、粉体又は液体の製品で充填する。充填済容器を第2天秤に移送し、正しい充填重量を決定し又は確認する。充填された容器は、そこからシステムを離れ、ライン下流の別のプロセス工程に送られる。非常に似た充填−計量システムが米国特許第5,038,839号に記載されている。
【0006】
不活性ガスを追加し、容器をキャップで閉鎖する考えに関し、フルーツジュース等の食品が入った容器を不活性ガス雰囲気下でシールするための方法及び装置がWO94/25347A1に記載されている。キャップを装着する前に、空気を除去し且つ不活性ガスを加えた閉鎖された環境に容器を入れる。次いで、製品が入っていない空間を不活性ガスで充填する。
【0007】
上述の周知の装置は、提案され且つ設計された特定の用途についての利点にも拘わらず、特に実験室の自動化の分野での特定の必要を満たすことができなかった。詳細には、物質を容器に分配するための上述の周知の装置の各々は、設定モードで作動し、特定の仕事を行うように設計されているが、実験室の自動化の用途で必要な適合性を欠いており、詳細には、実験室のロボットを用いて仕事を行うことができない。
【特許文献1】米国特許第6,674,022 B2号
【特許文献2】フランス国特許第FR 2 610 111 A1号
【特許文献3】ヨーロッパ特許第EP 0 408 822 A2号
【特許文献4】米国特許第5,038,839号
【特許文献5】WO94/25347A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、物質、詳細には液体及び/又は粉体を容器に分配するための、特にロボットを備えた自動実験室システムの部分として作動できるモジュールとして形成された装置を提供することである。この装置は自在に適合でき、追加の機能を行うように拡張できる。
【0009】
本発明の別の目的は、本発明の装置を使用して物質を分配するための方法を提供することである。
第3の目的として、本発明は、本発明の分配装置が実験室ロボットと協働する、自動実験室システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の目的を達成するため、本発明は、請求項1乃至14に記載の特徴を持つ、物質を分配するための装置を提供する。更に、本発明は、請求項15及び16に従って物質を分配するための方法、並びに請求項17及び18による自動実験室システムを提供する。
【0011】
物質、特に液体及び粉体を容器、特にキャップで閉鎖できる試験管に分配するための装置は、荷重受け入れ器を持つ秤量装置を含む。荷重受け入れ器には、取り扱い装置から容器を受け取り、物質を容器に分配するときに容器を緩く保持するのに役立つホルダ装置が取り付けられている。装置は、更に、容器がホルダ装置に着座しているときに物質を容器に分配するための分配装置を含む。本発明によれば、装置は、詳細には、クランプ装置が設けられていることを特徴とする。クランプ装置は、同様に、ハウジング内に配置されており、容器がホルダ装置に着座しているとき、装置自体の部分ではない外キャップ装着装置がキャップを容器に装着したりキャップを容器から取り外すことができるように、容器をしっかりと掴んで動かないようにするように作動できる。本発明の別の特徴として、装置は、少なくとも秤量装置、ホルダ装置、及びクランプ装置を含むハウジングを持つコンパクトなモジュールとして形成されている。ホルダ装置は、ホルダ装置及び充填開口部を持つ容器の上端だけが装置ハウジングの上面のウィンドウを通って突出する位置で容器を保持する。ウィンドウは、ホルダ装置及び/又は容器から、秤量装置上での容器の計量の邪魔になる接触が起こらないようにするのに十分な隙間を提供する。
【0012】
分配装置にクランプ装置を設けるという本発明の考えには、特に、本発明による装置で物質を容器内に分配した後にこれらの容器をキャップで閉鎖する用途で幾つかの利点がある。試験管やフラスコ等の容器にキャップを装着するには、一般的には、人間の二つの手を同時に使用するか或いは自動実験室システムの二つの機械装置を使用することを必要とする。一方の手、又はロボットアーム等の操作装置は、キャップをキャップ収容装置から取り出してキャップを容器に押し込んだり螺着したりし、この際、他方の手又はクランプ装置は、キャップを容器に装着するときに容器をしっかりと把持された状態にし、第1の手又は操作装置によって加えられた力又はトルクに対して反作用を加える。本発明による装置では、このキャップ装着作業は、キャップを装着するために容器を分配/秤量装置から別体のクランプ装置まで移動する必要なしに自動システムで行うことができる。クランプ装置を分配装置と一体化するという本発明の考えは、システムを簡単にし且つ空間を節約し、更に分配とキャップ装着との間の時間間隔を最小にする。これは、分配される物質が、例えば、有毒な蒸気を発生する揮発性液体である場合や、分配された物質が吸湿性物質である場合、又は何らかの他の方法で周囲雰囲気と相互作用する場合、特に重要な配慮である。更に、容器を取り出して別の場所まで移動する前に容器にキャップを装着することにより、システムが故障したりオペレータが誤りを冒したとき、分配された物質が零れる危険が減少する。
【0013】
本発明の装置の好ましい実施例では、ホルダ装置は横方向ウィンドウ開口部を有し、クランプ装置は、キャップ装着装置がキャップを容器に装着するとき、又はキャップを容器から取り外すとき、横方向ウィンドウ開口部を通して容器を把持する。クランプ装置が休止位置にあるとき、ジョーを容器及びホルダ装置から引っ込め、秤量装置での容器の計量の邪魔にならないようにする。
【0014】
好ましくは、ホルダ装置は、荷重受け入れ器に対する弾性アタッチメント及びホルダ装置の移動を制限する機械的段部を有し、誤って加わえられた計測可能範囲外の垂直方向力から秤量装置を保護し、又は即ち秤量装置にとって危険なものでなくする。
【0015】
本発明による好ましい構成では、壊れ易い秤量システムを機械的衝撃及び振動からできるだけ遮断するため、上文中に説明したモジュールそれ自体を自立ペデスタルに取り付ける。
【0016】
本発明の有利な実施例では、上文中に説明した装置には、更に、秤量装置の荷重受け入れ器に置いたホルダ装置に容器が着座しているとき、揮発性物質を容器内に分配するときに揮発性物質から発生した蒸気を吸い出すための吸引装置が設けられている。
【0017】
本発明による装置は、更に、秤量装置の荷重受け入れ器に置いたホルダ装置に容器が着座しているとき、不活性ガスを容器内に分配するためのガス送出装置を含んでいてもよい。この実施例は、分配される物質が吸湿性物質である場合、又は何らかの他の方法で周囲雰囲気と相互作用する場合、不活性ガスが容器内の物質と周囲雰囲気との間に障壁を形成するために特に有利である。
【0018】
本発明の有利な実施例では、液体分配装置及び/又は吸引装置及び/又はガス送出装置は、実質的に水平なディスペンサアームに配置されており、液体及び/又は粉体、負圧及び不活性ガスの源に連結された導管の端部にオリフィス又は分配チップを含む。ディスペンサアームは垂直方向上下に移動できるとともに垂直軸線を中心として回転自在である。そのため、アームは、ホルダ装置に着座した容器内に分配チップを下ろした作動位置と、容器に上方からアクセスできるようにアームが経路から外れたパーク位置との間で移動できる。ディスペンサアームをパーク位置まで移動し、本発明の装置の部分でない装置に対するアクセスを提供する。本発明の装置の部分でない装置には、容器をホルダ装置に置き、容器をホルダ装置から取り出す取り扱い装置、粉体又は顆粒状物質を容器内に分配する、粉体送出モジュールの粉体送出装置、又はキャップを容器に装着し又はキャップを容器から取り外す上述のキャップ装着装置が含まれる。
【0019】
本発明の装置の有利な実施例には、容器に作用する静電気により計量誤差が生じる静電荷が容器に溜まらないようにするため、容器がホルダ装置に着座しているときに容器周囲の雰囲気をイオン化するためのイオン化装置が含まれる。
【0020】
本発明による装置は、更に、容器に取り付けられていてもよいバーコード情報を読み取るためのバーコード読み取り器を含んでいてもよい。
本発明の装置の有利な実施例では、秤量装置、クランプ装置、液体分配装置及び/又は粉体送出装置、ガス送出装置、吸引装置、ディスペンサアーム及び/又はバーコード読み取り器等の上述の装置は、実験室のコンピュータ等の制御装置の指令に従ってそれらの夫々の機能を果たす。制御装置は、これと同時に、上述の取り扱い装置及び/又はキャップ装着装置、及び/又は変形例の又は追加の粉体送出装置として作動できる粉体送出モジュールの別の粉体送出装置等の本発明の装置と協働する外部装置を制御する。
【0021】
本発明の範囲には、物質、詳細には粉体及び液体を容器内に、特にキャップで閉鎖できる試験管内に分配するための方法が更に含まれる。本方法は、以下の重要な工程を含む。即ち、例えば実験室用ロボット等の取り扱い装置が容器を保持ラックから取り出して秤量装置の荷重受け入れ器に支持されたホルダ装置に容器を入れる工程。液体分配装置又は粉体送出装置を容器の上方の所定位置まで移動し、液体又は粉体を、送出装置で決まる容積で、又は秤量装置で決まる重量で容器内に送出する工程。本発明の方法は、特定的には、容器がホルダ装置に着座しているときにキャップ装着装置がキャップを容器に押し込み又は螺着することによって容器をシールすること、及びキャップ装着作業中に容器をクランプ装置で動かないようにし且つしっかりと把持された状態に保持することを特徴とする。次いで、クランプ装置は、容器を把持した状態から外れ、取り扱い装置が容器をホルダ装置から取り出す。
【0022】
本発明の範囲には、詳細には、本明細書中に説明した実施例のうちの任意の実施例の本発明の装置の使用を含む任意の方法が含まれる。
本発明による自動実験室システムは、詳細には、本明細書中に説明した実施例のうちの任意の実施例の上文中に説明した装置を含む。
【0023】
自動実験室システムでは、本発明による装置は、代表的には、装備された実験室ロボットと協働する。このロボットは、本発明の装置モジュールへの及びこのモジュールからの容器の移送、並びにキャップの取り出し、及び容器がクランプ装置によってしっかりと把持された状態に保持されているときのキャップの容器への押し込み及び螺着等の機能を果たすようにプログラムされている。自動実験室システムは、更に、容器が本発明の装置のホルダ装置に着座しているときに粉体状又は顆粒状の物質を適当な送出装置から容器内に分配するのに役立つ粉体分配モジュールを含む。
【0024】
本発明の好ましい実施例を添付図面を参照して以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、好ましい実施例の簡単な斜視図を概略に示す。ここでは、本発明の装置1は、実質的に箱状の装置ハウジング2を持つコンパクトなモジュールとして形成されている 。ハウジングは、一つの端壁3、一つの側壁4、及び装置を見る人の方に向いた上面5を有する。ディスペンサアーム6は、パーク位置で示してある。例えばロボットアーム(図示せず)が試験管9(ホルダ装置7から突出した状態で示してある)の頂部を掴み、これを持ち上げて装置1から取り出すことができるように、上面5のウィンドウ開口部8から突出したホルダ装置7の頂部にアクセスできる。ハウジング2の内部にあるアクチュエータ装置(図示せず)によって駆動されるディスペンサアーム6は、その支持ポスト10で上下(矢印A参照)に移動できるとともに旋回(矢印B参照)できる。ホルダ装置7内の試験管9を取り囲む周囲空気をイオン化し、これによって試験管9及びホルダ装置7に静電荷が溜まらないようにするため、イオン化装置11がハウジング2の頂部に配置されている。装置1は、本発明の装置1をその構成要素の一つとして含む自動実験室システム101(図4参照)の他の部分とは独立して床に直接設置された自由起立ペデスタルコラム13によって支持された取り付けプレート12に載止しており、即ち取り付けられている。かくして、システム101の他の部分から発生した衝撃や振動がハウジング2内の敏感な秤量装置22(図2参照)に直接伝播することはない。装置は、秤量装置22を含むため、一般的な方法で、水準器14及び水準調整脚部15(添付図面には一つだけが示してある)が設けられている。
【0026】
図2は、図1に示すのと同じ実施例の側面図であり、側壁4が取り外してある。図1で使用したのと同じ参照番号を図2に適用できる。ディスペンサアーム6は、作動位置で示してある。ディスペンサアーム6は、図1に示すパーク位置から試験管9上に旋回しており、次いで下方に移動し、ディスペンサアーム6の液体分配チップ16及び/又はガス送出オリフィス16aを試験管9内の分配位置まで下ろす。ディスペンサアーム6は、可撓性液体供給導管から液体分配チップ16まで延びるコネクタ導管18をディスペンサアームハウジング17内に収容している。ディスペンサアーム6は、試験管9に不活性ガス例えばアルゴンを送出するため、液体を試験管9に送出するのに役立つ分配チップ16及びコネクタ導管18の他に、ガス送出オリフィス16a、ガス用コネクタ導管18a、及び可撓性ガス供給導管(図示せず)を含んでいてもよい。不活性ガスの目的は、試験管9内の物質を周囲雰囲気から分離し、例えば物質が水分を吸収したり酸化したりしないようにすることである。少なくとも試験管9の上方の領域で、ディスペンサアームハウジング17の底部が開放しており、その結果、試験管9の頂部をヒュームフードのように覆う。ディスペンサアームハウジングは、試験管9内の物質が発生することのある任意の蒸気を除去するため、ディスペンサチップ16、16aとは反対側の端部が吸引導管19に連結される。
【0027】
図2には、更に、一方のクランプジョー21がホルダ装置7の前方を延びるクランプ装置20が示してある。秤量装置22は、別の秤量装置隔室24内に配置されている。この隔室は、水平プレート30によって装置ハウジング2の内部の残りから隔離されている。水平プレート30は、ホルダ装置7が秤量装置22の荷重受け入れ器23に載る領域に開口部を有する。
【0028】
図3のaは、クランプ装置20及びホルダ装置7を試験管9とともに示す、図2と同じ方向から見た拡大図である。クランプジョー21(一方だけが見える)が試験管9を、ホルダーデバイス7内でウィンドウ25(一方だけが見える)を通して把持する。更に、図3のaに示すように、ホルダ装置7の底部は、ロケータピン27を持つ着座コーン26として形成されている。ロケータピン27は、秤量装置22の荷重受け入れ器23の適合する凹所に嵌着する。図3のaには、更に、過荷重ばね28が示してある。過荷重状態又は他の過剰の下方への力が作用した状態では、ホルダ装置7は、ホルダ装置7の段部29が水平プレート30の開口部のリムに載止するまで、過荷重ばね28のばね力に抗して着座コーン26に向かって下方に移動する(図2参照)。
【0029】
図3のbは、クランプ装置20及びホルダ装置7を試験管9とともに示す平面図である。この図は、クランプジョー21が試験管9を両側からウィンドウ開口部25(図3のbの平面図には示さず)を通してどのように把持するのかを示す。
【0030】
図4は、自動実験室システム101の一部分として機能する本発明の分配装置1を示す。システム101は、試験管9を保持するロボットを含む(そのロボットアーム102だけを示す)分配装置モジュール1の他に、貯蔵ラック103、104、105、106、及び粉体容器108を保持する粉体送出モジュール107を含む。貯蔵ラック103、104、105、106は、例えば空の及び充填された試験管9、粉体容器108、及び容器キャップ110を保持するように形成されていてもよい。ロボットアーム102は、直交座標系のx−、y−、及びz−方向に移動し、この際、グリッパジョー109a(図5に詳細に示す)を持つグリッパ部分109は、更に、例えばスクリューキャップ110を容器9に装着するため、その垂直方向軸線を中心として回転できる。
【0031】
図5のa及びbは、図4のロボットアーム102の作用端を示し、詳細には、ジョー109aを備えたグリッパ部分109を試験管9へのキャップ110の螺着プロセスで示す。
【0032】
図6は、粉体分配モジュール107によって取り扱われるように設計された粉体容器108を示す。モジュール107は、粉体容器108を取り扱うための操作装置111(図4参照)を有する。粉体容器108は、例えば、本発明と同じ譲受人が所有する国際PCT出願WO02/090896の図1(本願の図6)に従って設計されている。粉体分配作業を以下に簡単に説明する。
1.ロボットアーム102により粉体容器108を粉体分配モジュール107に運ぶ。
2.ねじ回し112が粉体容器108の分配ヘッド114のアルキメデスの供給ねじ装置113と係合できるように、粉体分配モジュール107の操作装置111が粉体容器108を掴んでこれを適正な位置に置く。
3.操作装置111が、粉体容器108を、本発明の装置モジュール1のホルダ装置7(図4には示さず)に着座した試験管9(図4には示さず)の上方の所定の位置に移動する。
4.操作装置111が粉体容器108を上下逆様にする。
5.ねじ回し112が供給ねじ装置113を回転し、これによって粉体を試験管9内に分配する。
【0033】
本発明の装置及び方法の好ましい形態を説明し且つ例示した。しかしながら、本発明の教示に従って、当業者はこの他の実施例を実現できるであろう。詳細には、本装置は、別の性能を持ち、上文中に説明し且つ特許請求した機能以外の機能を行うように設計できる。例えば、装置は、粉体分配装置を含んでいてもよい。この粉体分配装置は、本明細書中に説明した形体では、別体のモジュールとして形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による分配装置の概略斜視図である。
【図2】図1の装置を、一つの側壁を取り外し且つディスペンサアームを試料容器上に旋回させた状態で示す概略図である。
【図3−a】図2のクランプ装置及び保持装置の側面図である。
【図3−b】図2のクランプ装置及び保持装置の平面図である。
【図4】本発明による分配装置を含む自動実験室システムの概略斜視図である。
【図5−a】図4の第1側の詳細図である。
【図5−b】図4の第2側の詳細図である。
【図6】図4の自動実験室システムで使用するのに適した分配ヘッドを持つ粉体容器の図である。
【符号の説明】
【0035】
1 分配装置
2 装置ハウジング
3 端壁
4 側壁
5 上面
6 ディスペンサアーム
7 ホルダ装置
8 ウィンドウ開口部
9 容器(試験管)
10 支持ポスト
11 イオン化装置
12 取り付けプレート
13 ペデスタルコラム
14 水準器
15 水準調整脚部
16 液体用分配チップ
16a ガス送出オリフィス
17 ディスペンサアームハウジング
18 液体用コネクタ導管
18a ガス用コネクタ導管
19 吸引導管
20 クランプ装置
21 クランプジョー
22 秤量装置
23 荷重受け入れ器
24 秤量装置隔室
25 ウィンドウ
26 着座コーン
27 ロケータピン
28 過荷重ばね
29 段部
30 水平プレート
101 自動実験室システム
102 ロボットアーム
103、104、105、106 貯蔵ラック
107 粉体分配モジュール
108 粉体容器
109 グリッパ部分
109a グリッパジョー
110 スクリューキャップ
111 操作装置
112 ねじ回し
113 供給ねじ装置
114 分配ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質、特に粉体及び/又は液体を、容器(9)、詳細にはキャップ(110)で閉鎖できる試験管内に分配するための分配装置(1)であって、荷重受け入れ器(23)を備えた秤量装置(22)と、前記荷重受け入れ器(23)に取り付けられた、前記物質を前記容器(9)内に分配するときに前記容器(9)を取り扱い装置から受け取って前記容器(9)を緩く保持するのに役立つホルダ装置(7)と、前記容器(9)が前記ホルダ装置(7)に着座しているときに前記物質を前記容器(9)内に分配するための分配装置とを含む、分配装置(1)において、
前記装置(1)は、前記容器(9)が前記ホルダ装置(7)に着座しているとき、前記装置(1)の部分でないキャップ装着装置がキャップ(110)を前記容器(9)に装着したり前記キャップ(110)を前記容器(9)から取り外したりできるように前記容器をしっかりと把持し且つ動かないようにするためのクランプ装置(20)を含むことを特徴とし、更に、
前記装置(1)は、ハウジング(2)を持つコンパクトなモジュールとして形成されており、前記ハウジングの内部には、前記ホルダ装置(7)の頂部及び前記ホルダ装置(7)に着座した前記容器(9)の頂部だけが前記ハウジング(2)の上面(5)のウィンドウ開口部(8)を通って突出するように、少なくとも前記秤量装置(22)、前記クランプ装置(20)、及び前記ホルダ装置(7)が配置されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(1)において、前記装置(1)は、前記容器(9)が前記ホルダ装置(7)に着座しているとき、前記容器(9)内の物質が発生する蒸気を引き出すための吸引装置を含む、ことを特徴とする装置(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置(1)において、前記装置(1)は、前記容器(9)が前記ホルダ装置(7)に着座しているとき、不活性ガスを前記容器(9)に送出するためのガス送出装置を更に含む、ことを特徴とする装置(1)。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の装置(1)において、前記分配装置は、ディスペンサアーム(6)に配置された液体分配装置であり、液体源に連結された液体供給導管に連結された液体分配チップ(16)を含むことを特徴とし、
前記ディスペンサアーム(6)は、垂直方向上下に移動できるとともに、垂直軸線を中心として、前記液体分配チップ(16)を前記容器内に下ろした作用位置と、前記容器(9)に上方からアクセスできるように前記アームを経路から外すように移動したパーク位置との間で回転可能であることを特徴とする装置(1)。
【請求項5】
請求項3に記載の装置(1)において、前記ガス送出装置はディスペンサアーム(6)に配置されており、ガス供給導管(18a)に連結されたガス送出オリフィス(16a)を含み、ガス供給導管が不活性ガス源に連結されていることを特徴とし、更に、
前記ディスペンサアーム(6)は、垂直方向上下に移動できるとともに、垂直軸線を中心として、前記ガス送出オリフィス(16a)を前記容器内に下ろした作用位置と前記容器(9)に上方からアクセスできるようにアームを経路から外すように移動したパーク位置との間で回転可能であることを特徴とする装置(1)。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の装置(1)において、前記装置(1)は、前記秤量装置(22)に作用する機械的衝撃及び振動の影響を最小にするため、それ自体が自由起立ペデスタルコラム(13)で支持されている、ことを特徴とする装置(1)。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の装置(1)において、前記装置(1)の一つ又はそれ以上の装置を制御装置によって制御できる、ことを特徴とする装置(1)。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の装置(1)において、前記取り扱い装置は、前記容器(9)を前記装置(1)まで運び、前記容器(9)を前記ホルダ装置(7)に入れ、及び前記容器(9)を前記ホルダ装置(7)から取り出すように作動できる実験室ロボットのロボットアーム(102)を含む、ことを特徴とする装置(1)。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の装置(1)において、前記キャップ装着装置は、前記キャップ(110)が前記容器(9)に装着され及び/又は前記容器(9)が前記ホルダ装置(7)に着座した状態で前記キャップ(110)を前記容器(9)から取り外すように作動できる実験室ロボットのロボットアーム(102)を含む、ことを特徴とする装置(1)。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載の装置(1)において、前記ホルダ装置(7)は横ウィンドウ開口部(25)を有し、前記クランプ装置(20)は、前記キャップ装着装置又はロボットアーム(102)が前記キャップ(110)を前記容器(9)に装着するとき、又は前記キャップを前記容器から取り外すとき、前記横ウィンドウ開口部(25)を通して前記容器(9)と接触してこれを把持するジョー(21)を有する、ことを特徴とする装置(1)。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載の装置(1)において、前記ホルダ装置(7)は、前記容器(9)が前記ホルダ装置(7)に着座しているときの前記容器(9)のキャップ装着及び/又はキャップ取り外しによって生じる過荷重及び有害な力から前記秤量装置(22)を保護するため、前記荷重受け入れ器(23)に対する弾性アタッチメント(27)を有する、ことを特徴とする装置(1)。
【請求項12】
請求項1乃至11のうちのいずれか一項に記載の装置(1)において、前記装置(1)は、前記容器(9)が前記ホルダ装置(7)に着座しているときに粉体を前記容器(9)に送出する粉体分配モジュール(107)と協働するようになっている、ことを特徴とする装置(1)。
【請求項13】
請求項1乃至12のうちのいずれか一項に記載の装置(1)において、前記装置(1)は、前記容器(9)に静電荷が溜まらないようにするため、前記容器(9)が前記ホルダ装置(7)に着座しているときに前記容器(9)の周囲の雰囲気をイオン化するためのイオン化装置(11)を含む、ことを特徴とする装置(1)。
【請求項14】
請求項1乃至13のうちのいずれか一項に記載の装置(1)において、前記装置(1)は、前記容器(9)に取り付けられたバーコードを読み取るためのバーコード読み取り機を有する、ことを特徴とする装置(1)。
【請求項15】
物質、特に粉体及び液体を、容器、特に試験管に分配するための方法であって、
取り扱い装置、特にロボットアーム(102)が容器(9)を貯蔵ラック(103、104、105、106)から取り出し、前記容器(9)を秤量装置(22)の荷重受け入れ器(23)に支持されたホルダ装置(7)に入れる工程と、
液体分配装置又は粉体送出装置を前記容器(9)の上方の所定位置まで移動し、液体又は粉体を前記容器内に、前記送出装置で決まる容積、又は前記秤量装置(22)で決まる重量のいずれかで送出する工程と、
キャップ(110)を前記容器(9)に装着するキャップ装着工程と、
前記取り扱い装置(102)が前記容器を前記ホルダ装置から取り出す工程とを含む、方法において、
前記キャップ装着装置は、前記容器(9)が前記ホルダ装置(7)に着座しているときに前記キャップ(110)を前記容器に押し込んだり螺着したりすることによって前記容器(9)をシールし、前記キャップ装着作業中、前記容器(9)は、クランプ装置(20)によってしっかりと把持された状態で動かないようにされ且つ保持される、ことを特徴とする方法。
【請求項16】
物質、特に粉体及び液体を容器、特に試験管に分配するための方法において、
請求項1乃至14のうちのいずれか一項に記載の装置の使用を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項17】
自動実験室システムにおいて、請求項1乃至14のうちのいずれか一項に記載の装置(1)を含む、ことを特徴とするシステム。
【請求項18】
自動実験室システムにおいて、請求項15及び16のうちの少なくとも一つによる方法で作動する、ことを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3−a】
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【図3−b】
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【図4】
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【図5−a】
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【図5−b】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−177961(P2006−177961A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−369123(P2005−369123)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(503409986)メトラー−トレド・フレクシラブ・ソシエタ・パール・アクシオン・シンプリフィエ (2)
【氏名又は名称原語表記】METTLER−TOLEDO FLEXILAB SAS
【Fターム(参考)】