説明

特に生物学的試料を含む管を高速で振動させるための装置

本発明は、偏心軸(17)を備えたディスク(16)を回転する電気モーター(12)を備え、管(23)は、偏心軸に垂直であり、実質上偏心軸に水平な支持体(20)に装着されたクランプ(21)により支持され、偏心軸は互いに直交する2つの回転軸(X及びY)を有するカルダンジョイント(15)によって定置シャーシに結合され、その中の一つ軸((Y)は、実質的に偏心軸(17)に平行であり、支持体(20)をジョイント(15)のもう一方の軸(X)に結合し、ジョイント(15)は、垂直軸(Z)の回りでの支持体(20)の回転を抑制することを特徴とする、粉砕される試料を含む管を高速で振動させるための装置に関する。支持体(20)は、連結ロッド(19)によって偏心軸(17)に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験管の高速振動が試料を粉砕、撹拌、及び/又は均質化するように働き、試料、特に生物学的試料を含む試験管を高速で振動させるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス、セラミックス、鋼鉄、又はその他の材料のマイクロビーズをも含む試験管に生物学的試料(組織、穀類、毛、等)を封入し、密閉された試験管を比較的短期間、例えば30秒(s)〜60s程度の期間、高周波数、例えば約100ヘルツ(Hz)で基本軸方向の振動に付すことによって試料を粉砕することは既に公知である。
【0003】
米国特許5567050及びWO2004/012851のような、様々な文献がそのような方法を実行するための装置を記述している。それらは、管を支持している円形のトレイ及び回転中心の回りでの揺動によりトレイを駆動する手段を備える。管は、回転中心から等しい距離でトレイの外周に固定され、実質的に曲線の往復運動に付される。理論的には、試料が粉砕されるために、モーターからの出力軸の回転速度は、3000毎分回転数(rpm)〜8000rpmの範囲にあり、試料は150g〜400gの範囲にある線形加速に付される。
【0004】
しかし、これらの装置は、同時に多数のサンプル(一般に12、16、24又は48サンプル)を動作する。
【0005】
これらの装置は、継続的基準で、通常は同じプロトコルを使用して大量のサンプルを分析する必要があるため大規模な試験室が想定される。典型的な例は、屠殺場に組み込まれ、BSEの検出のため提供された試験室である。これらの試験室は、各動物の脳のサンプルを分析し、死体が試験室を出る前に分析結果を提供する必要がある。これは、一日当たり千以上の分析を意味する。
【0006】
多くの試験室は、このように専門化されていない。それらは、1日に1回又は2回又はそれ以下の頻度だけサンプルを粉砕又は攪拌する必要があり、異なるプロトコルを必要とする他のサンプルを引き続き作業する必要がある。
【0007】
それらの試験室は、異なる体積のサンプルでの動作も要求され、結果として、例えば2μL及び7μLの異なるサイズの試験管を有する。
【0008】
多数のこれらの試験室にとって、16又は24の試験管を備えた機械を使用することは可能であるが、コスト的に効果的でない。
【発明の概要】
【0009】
本発明の特定の目的は、この問題に対する簡単、効果的、及び廉価な解決策を提供することである。本発明は、既知の装置の品質及び効率と少なくとも同等の品質及び効率な分析のために、高速振動が試料を含む少数の管に分け与えられることを可能とする、上記タイプの装置を提供する。
【0010】
本発明は、また、高振動で損傷を受けずに作動する装置を提供する。
【0011】
本発明は、また、簡単に使用及びメンテナンスでき、実験台の上に簡単に配置可能である小型サイズの装置を提供する。
【0012】
この目的のため、本発明は、粉砕される試料を含む試験管を高速で振動させるための装置であって、偏心ピンを備えたディスクを回転駆動する電気モーターを備え、試験管が、支持体によって偏心ピンに実質的に平行に運ばれ、偏心ピンに実質的に垂直方向に向けられ、ピンは、互いに直交する2つの回転軸を有するヒンジ中心部を介して固定ベースプレートに結合され、一方の軸は、偏心ピンに実質的に平行であり、支持体が上記2つの軸に垂直な軸の回りでの回転運動を阻止するヒンジ中心部におけるもう一方の軸に支持体を結合する、ことを特徴とする、装置を提供する。
【0013】
本発明の装置は、このように試験管支持体及びヒンジ中心の回りでの揺動を実行するための支持体を駆動させるための手段を備え、試験管支持体は、基準の長方形枠内におけるX軸及びY軸回りの回転で、2つの直交する自由度を有する結合部を介して、装置の定常位置に結合され、それによって、ヒンジ中心部から一定距離を維持して、前記支持体がヒンジ中心部に関する揺動を実行することを可能とする。
【0014】
偏心ピンを有する回転ディスクによって発生する試験管支持体の振動運動は、支持体の長さ方向に対して横断又は直交するヒンジ軸を有するフォークを介して、そこに固定されたリンクによって前記支持体に伝達される。サンプルを含んだ試験管に伝達される動作は、このように実質的に球形表面上に8字形の経路を形成する。この経路は、試験管の内部に亘って十分にビーズ(beads)が一掃する特徴、サンプルを効果的に粉砕する特徴をもたらす。
【0015】
好ましくは、試験管支持体のヒンジ中心部は、カルダンタイプのヒンジ、フォーク、ポリマー又はエラストマーの板片、又はエラストマースタッドの列によって具体化される。
【0016】
リンクは、ロータリーボールジョイントによって回転ディスクのピンに結合される。支持体に結合されたリンクのフォークは、リンクを駆動ディスクのピンと支持体との間の相対運動から生じる変形に適応可能にする。その有効長さは、支持体上のその固定点と装置上の支持体のヒンジ中心部との間の距離と実質的に同じである。
【0017】
一実施形態では、ヒンジ中心部、支持体、及びリンクを備えたアセンブリは、金属、ポリマー、又はエラストマーの単一ピースとして形成される。部品を成型又は鋳造する間に設置される挿入材は、X軸及びY軸の回りで生じる動きを許容し、回転ディスクのピンが通る経路に適用するためのリンクのキャパシティも少量にする一方、Z軸の回りでの回転に対してより良い剛性を提供する。
【0018】
本発明の他の特徴によれば、試験管は、クランプ手段によって支持体に保持される。有利なことに、試験管の内部容積を十分にビーズ(beads)が一掃することを促進するように、それらは僅かに傾けられる。
【0019】
基本構成では、支持体は、1、2、又は3個の例えば2mLの小容量の試験管、及び/又は例えば1個の7mLの大容量の試験管を収容可能な1セットのクランプに結合される。
【0020】
好ましい実施形態では、回転ディスクは、使用者が例えば3000rpmから7000rpmまでの範囲の回転速度、例えば30秒から180秒までの範囲の運転期間の両方を設定可能な電気モーターによる回転により駆動される。
【0021】
2つの変形例においてそれは同様に機能し、リンク、回転ディスク、及びモーターが試験管支持体の下部又は上部に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】カバーを取り除いた本発明の装置の実施形態の斜視図である。
【図2】ヒンジ中心部、支持体、リンク、試験管クランプを備えたアセンブリの斜視図である。
【図3a】構成部品をどのように配列することができるか、及び装置をどのように作成することができるかを例示した正面図である。
【図3b】構成部品をどのように配列することができるか、及び装置をどのように作成することができるかを例示した側面図である。
【図4】変形実施形態の斜視図である。
【図5】変形実施形態の斜視図である。
【図6a】試験管を支持及び位置決めするスペーサの変形実施形態の斜視図である。
【図6b】図6bは、試験管を支持及び位置決めするスペーサの変形実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面を参照して例示された下記の説明から、本発明はより理解でき、他の特徴、詳細、効果はより明らかになるであろう。
図1の実施形態において、本発明の装置は、実験台上面又は他の平面状の固定支持体上に設置するための絶縁脚11がその底部に備え付けられたベースプレートであって、振動フィルタ連結部13を介して電動モーター12と、ヒンジ中心部15のための支持体14とを受ける上部を有するベースプレート10を含む。
【0024】
モーター12の軸に固定されたディスク16は、ロータリーボールジョイント18を介してリンク19が固定される偏心ピン17を備える。
【0025】
互いに直交するX軸及びY軸であって、それらが交差するヒンジ中心部15を規定するX軸及びY軸の回りでの回転運動を支持体20に加えることが可能なフォーク22を介して、リンク19は支持体20に固定される。
【0026】
軸線上の移動を規制し、X軸の回りでの単一の回転自由度を許容する、好ましくはボール軸受である軸受24によって、ヒンジ15は支持体14に固定される。
【0027】
好ましくは軸線上の移動を規制し、Y軸の回りでの単一の回転自由度を許容するボール軸受又はローラー軸受である軸受25によって、支持体20はヒンジ15に固定される。
【0028】
試験管23を受け、保持するためのクランプ21は、支持体20に堅固に固定される。それは、例えば1から5の範囲に及ぶ数である、少数の試験管を受け入れることが可能である。
【0029】
図2に示される実施形態では、支持体20、ヒンジ中心部15、リンク19は、ポリマー又はエラストマーの単一ピースで形成されている。補強材26は、ヒンジ中心部15のX軸及びY軸の回りでのヒンジの運動を容易にし、X軸及びY軸に直交するZ軸の回りでの回転を規制するために、支持体内に挿入されている。支持体を構成する材料は、ヒンジ15の連続する曲げに耐えうる優秀な性能が選定されている。
【0030】
本実施形態の大きな利点は、機械部品がないことによる、生産やメンテナンスの低コスト化、及び騒音レベルの大幅な削減にある。
【0031】
図3a及び図3bに示される実施形態は、図2の支持体20を使用する。モーター12は、支持体20上方及び垂直方向に対して傾けられた試験管23上方に斜めに配置される。この構成は、コンパクトかつ人間工学的な装置を提供可能とする。このアセンブリは、バイザー28を含むカバー27の下方に配置される。バイザー28を後方に傾けることによって、試験管23及びモーターの回転速度及び運転期間を調整するためのノブ29、30にアクセスが可能となる。それは、モーターを始動及び停止するボタン31へのアクセスも防ぐ。
【0032】
バイザーを前方に傾けることは、必要であれば装置を始動及び停止するボタン31へのアクセスを許容する一方、オペレータと環境を保護し、試験管23及びノブ29、30へのアクセスを防ぎ、そのため運転パラメータの設定変更を防ぐ。
【0033】
図4に示される実施形態では、試験管23を受けるための支持体20及びクランプ21は、平面、直角のエッジ33、及び2つの補強用側壁39,44により構成された単体の板であって、軽量の金属又は硬質のプラスチック材料の単体の板として形成される。ヒンジ中心部15は、ネジ固定された、又は一方の端部で固定支持体14に加硫(vulcanization)固定され、もう一方の端部で支持体20の直角のエッジ33に加硫(vulcanization)固定された3個のエラストマースタッド32の列によって構成される。スタッドは互いに平行であり、Y軸に対して平行である。変形例として、Z軸に関する移動を制限する一方、支持体20のX軸及びY軸の回りでの回転移動を促進するために、その回転中心をX軸上に一直線に配置し、外側の2個のスタッドはY軸に対して平行に、中央のスタッドはZ軸に対して平行にしてもよい。
【0034】
リンク19は、ネジ固定された、又は一方の端部で支持体20に加硫(vulcanization)固定され、もう一方の端部でリンク19の直角部分に加硫(vulcanization)固定された3個のエラストマースタッド34の列によって支持体20に固定される。2mL又は7mLの試験管23が支持体20の前方に形成された穴36に嵌め込まれ、保持される。
【0035】
図5、図6a及び6bに示される実施形態では、2mL又は7mLの試験管23は、試験管が支持体20の平面に対して僅かに傾斜するように、効果的に傾けられたスペーサ37又は38によって穴36に配置及び保持される。スペーサ37は、1、2、又は3個の2mLの試験管を受けるために適用される。スペーサ38は、1個の7mLの試験管を受けるために適用される。
【0036】
支持体20の一方のフランク39は、溝40及び切欠41を含む。ガラス又はカーボン繊維で形成されたロッド42は、例えば、エラストマーリング43を備える。リング43が切欠41内に配置され、ロッド42が溝40内に配置され、それによりロッド42はリング43によって垂直な位置に保持される。
【0037】
他のフランク44は、ロッド42の他端を受けるためのフック45を含む。その又は各試験管は、楔37又は38と、溝40とフック45との間に捩じ曲げられたロッド42とにより、支持体20上での移動が制限されてもよい。
【0038】
図6bに示される実施形態では、2又は3個の2mLの試験管を使用した時に均一の固定を保証するため、試験管の高さの変化に自動的に変形及び適応できるように、試験管を受けるためのスペーサ37はオリフィス間で分割される。有利なことには、スペーサの端部の変形は、複数の試験管の端部を一点に集め、様々な試験管において均一品質の粉砕を得るのに好ましい。スペーサ37は、その端部で2個の2mLの試験管を、中央で1個の7mLの試験管を受けるように設計されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕される試料を含む試験管を高速で振動させるための装置であって、
前記装置は、偏心ピン(17)を備えたディスク(16)を回転駆動する電気モーター(12)を、備え、
試験管(23)は、支持体(20)によって前記偏心ピンに実質的に平行に運ばれ、前記偏心ピン(17)に実質的に垂直方向に向けられ、
前記ピンは、互いに直交する2つの回転軸(X,Y)を有するヒンジ中心部(15)を介して固定ベースプレートに結合され、
一方の軸である軸(Y)は、前記偏心ピン(17)に実質的に平行であり、前記支持体(20)が上記2つの軸(X,Y)に垂直な軸(Z)の回りでの回転運動を阻止する前記ヒンジ中心部(15)におけるもう一方の軸である軸(X)に前記支持体(20)を結合する、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記支持体(20)は、フォークタイプ結合(22)により前記支持体(20)に固定される一方の端部と、前記偏心ピン(17)にヒンジ結合(18)されるもう一方の端部と、を有する垂直リンク(19)により前記偏心ピン(17)に結合される、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記結合(18)は、ロータリーボールジョイントである、ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
ディスク(16)の回転は、前記軸(Y)の回りでの回転運動に関連づけられた、前記軸(X)の回りでの管(23)の揺動運動を駆動する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記リンク(19)及び前記フォークタイプヒンジ(22)は、金属、又はポリマー、又はエラストマーのような弾性変形可能な材料で形成された部品の形式をとる、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の装置。
【請求項6】
前記支持体(20)は、前記リンク(19)及び前記フォークタイプヒンジ(22)が一体化して一つの部品を形成する、ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記支持体(20)は、前記リンク(19)、前記フォークタイプヒンジ(22)及び前記ヒンジ中心部(15)が一体化して一つの部品を形成する、ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ヒンジ中心部(15)は、カルダンタイプのジョイント、フォーク、ポリマー又はエラストマーの板片、又はエラストマースタッド(32)の列によって形成される、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記モーター(12)と前記偏心ピン(17)は、前記支持体(20)及び垂直方向に対して傾けられた前記試験管(23)上方を斜めに延びる、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記支持体(20)は、例えば1から5の範囲に及ぶ数である、小さい数の試験管(23)を直接担持する、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記偏心ピン(17)を担持するディスク(16)の回転速度は、3000rpmから7000rpmの範囲にある、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2013−510328(P2013−510328A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538387(P2012−538387)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052414
【国際公開番号】WO2011/058278
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(505040202)ベルタン・テクノロジーズ (9)
【氏名又は名称原語表記】BERTIN TECHNOLOGIES
【Fターム(参考)】