説明

特に皮膚および/または髪の外観を改善するための、光線とチトクロームCオキシダーゼ基質との組合せ

本発明は、特に皮膚および/または髪の外観を改善するための、光線とチトクロームCオキシダーゼ基質との組合せに関する。より具体的には、本発明は、特に皮膚および/または髪の外観を改善するための、a)少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる少なくとも1つの薬剤、ならびにb)チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を有する少なくとも1つの光放射の同時および/または逐次的施用を含む美容処置方法に関する。より具体的には、前記光放射は、550〜1000nm、特に550〜800nm、好ましくは620〜700nm、より好ましくは640〜680nmの範囲の、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を有する。この方法は、好ましくは、0.01〜200J/cm2、好ましくは0.1〜30J/cm2、より好ましくは1〜30J/cm2、さらには5〜30J/cm2の範囲の線量を適用するステップを含む。本発明は、少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる1つの薬剤、ならびに、特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を有する光放射を放射および/または濾光する少なくとも1つの化合物を含有する組成物にも関する。本発明は、少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる1つの薬剤を含有する少なくとも1つの組成物、ならびにチトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を有する光放射を放射および/または濾光する少なくとも1つの装置および/または化合物を含むキットにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚および/または髪のケア、特に光放射による皮膚および/または髪の外観の改善の分野に関する。
【0002】
用語「皮膚」は、顔および/または身体の皮膚ならびに頭皮を意味するものと理解される。
【0003】
本発明は、より具体的には、特に皮膚および/または髪の外観の改善を意図した美容処置方法であって、
- 少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる少なくとも1つの薬剤、ならびに
- チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する少なくとも1つの光放射
の同時および/または逐次的施用を含む美容処置方法に関する。
【0004】
本発明の美容処置方法は、特に、対象、特に健康な皮膚を有する対象に対する、
- 少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる少なくとも1つの薬剤、ならびに
- チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する少なくとも1つの光放射
の同時および/または逐次的施用を含む。
【0005】
用語「健康な皮膚」は、傷害および/または感染を呈していない皮膚を意味するものと理解される。
【0006】
特に、本発明に従う前記光放射は、550〜1000nm(赤色および赤外発光スペクトル)、特に550〜800nm、好ましくは620〜700nm、より好ましくは640〜680nmの範囲の、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈し(放射し)、好ましくは、線量0.01〜200J/cm2、好ましくは0.1〜30J/cm2、より好ましくは1〜30J/cm2、さらには5〜30J/cm2の範囲で使用される。
【0007】
本発明は、少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる1つの薬剤、ならびに、特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を呈するおよび/または濾光する少なくとも1つの化合物を含む組成物、さらには、少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる1つの薬剤を含む少なくとも1つの組成物ならびにチトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射する/濾光する装置および/または化合物を含むキットにも関する。
【背景技術】
【0008】
若々しい外観ならびに/または健康な皮膚および/もしくは髪を維持するために、皮膚および/または髪の外観を維持または改善することができる新規の化合物および/または新規の非侵襲性の治療方法が常に求められている。
【0009】
数年前から、可視光および/または赤外光、ならびにレーザーまたはLED型の光放射等を使用する審美的な治療に注目が向けられている。特に使用される用語は「光美容治療」である。
【0010】
皮膚の加齢の兆候、特に皺を治療するための皮膚科医および美容師によるレーザーおよびIPL(超短パルス光)の使用が特に知られているが、これらの技術は、ある条件(高強度および/または長い治療時間)下において真皮に損傷を引き起こす可能性があり、これにより紅斑、浮腫または疼痛が生じる可能性がある。
【0011】
また、LED(発光ダイオード)の使用も知られており、この装置は、所与の波長について皮膚の組織中の細胞の発色団または受容器を特異的に活性化し、これにより、皮膚の働きおよび外観をよみがえらせる/改善する/再生させる/刺激することを意図する生物学的な代謝のカスケードを開始させる。
【0012】
出願WO2004/075985は、特に、皺を低減する、皮膚を若返らせる、組織の治癒および修復を促進する、または色素脱失障害を治療するための、可視領域および/または赤外領域において規定される光放射を任意選択で光増感性有効成分と組み合わせて使用する治療方法を記載している。数時間にわたっていくつかの段階で光放射を繰り返しおよび制御して適用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】出願WO2004/075985
【特許文献2】出願FR0758017
【特許文献3】出願EP 1 754 968 A2
【特許文献4】出願EP 1 369 681 A1
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】G. S. Gerhardら、Mechanisms of Ageing and Development、123、2002、155-166
【非特許文献2】The newest medical breakthrough for skin renewal and shrinking pores (2004)
【非特許文献3】Chromic Phenomena、Technological Applications of Colour Chemistry、Peter Bamfield、The Royal Society of Chemistry、2001
【非特許文献4】http://www.smartholograms.com/site/sections/technology/creating-sensors/htm
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
使用が容易であり、光放射の過度の適用(光源の性質、強度、継続時間による)により発生する可能性のある皮膚の損傷を呈することのない系を開発する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本出願人企業は、少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる1つの薬剤の施用とチトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する少なくとも1つの光放射の施用とを併用することによってこのことを成し遂げた。
【0017】
この組合せにより、有利には、高い効果を維持したままで、施用される光放射の継続時間および/または強度を低減することができる。
【0018】
これは、本出願人企業が、予想外にもかつ予期せずに、チトクロームCオキシダーゼ基質と550〜800nm(赤色光の発光スペクトル)の範囲の少なくとも1つの主波長を呈する光放射との組合せの施用によって、この酵素の活性が増加し、ミトコンドリアの呼吸鎖の十分な作用を確実にし、エネルギーの産生を増加させ、したがって特に細胞の加齢の兆候ならびに皮膚および/または髪の脱水状態を阻止することができるということを見いだしたためである。また、呼吸鎖が十分に作用することによって、紫外線放射によって引き起こされた有害な変化からの効果的な保護を確実にすることができる。
【0019】
チトクロームCオキシダーゼは皮膚および髪の多様な細胞型に存在する。
【0020】
チトクロームCオキシダーゼは、細胞のエネルギーレベル、代謝およびホメオスタシスを制御するミトコンドリアの呼吸鎖または酸化還元鎖におけるエネルギー代謝に関与することが知られている。
【0021】
この酵素は、赤色光によって活性化される光受容性因子である。光子が酸化還元鎖によって吸収されるとそのエネルギーが呼吸器系に伝達され、これによって、光活性化された細胞の電気化学ポテンシャルの変化ならびにCa2+およびAMPcが介在する細胞内シグナルの伝達を経て、細胞内における事象(DNAおよびRNAの合成、細胞の増殖活性)のカスケードおよびATPの形態でのエネルギーの産生が生じる。
【0022】
この酵素は、下記のスキームの通り、細胞に対して有害なフリーラジカルを中間体として形成することなく、分子酸素を水分子に変換するための分子酸素への電子の伝達を触媒する能力を有する。
【0023】
酸素からのATPおよび水分子の生成を導く反応のスキーム
【0024】
【化1】

【0025】
チトクロームCオキシダーゼ基質の1つであるチトクロームCは、ミトコンドリア内膜に結合した鉄含有プロトポルフィリンIX触媒部位を有する小さなヘムタンパク質である。他のチトクロームとは異なって、チトクロームCは可溶性タンパク質である。チトクロームCは呼吸鎖の必須構成要素である。チトクロームCは多くの種のスペクトルにわたって高度に保存されたタンパク質であり、植物、動物および多くの単細胞生物で見出される。チトクロームCの類似体はチトクロームの名称Cl、C2およびC3として知られている。
【0026】
さらに、皮膚細胞、特に線維芽細胞のミトコンドリアDNAのレベルにおける突然変異の数は、年齢に伴って、特にチトクロームオキシダーゼをコードする配列において増加するということが知られており(G. S. Gerhardら、Mechanisms of Ageing and Development、123、2002、155-166)、エネルギーの産生に有害な影響を及ぼし、皮膚の細胞の全般的な代謝を低減する作用を有する。
【0027】
紫外線放射もまた、ミトコンドリアのゲノムのDNAのレベル、特にミトコンドリアの呼吸鎖に関与するタンパク質をコードするDNA配列における突然変異の増加を引き起こす。これらのタンパク質における有害な変化は、酸素の消費の減少、膜電位の変化、ATPの生成の減少およびMMPの合成の増加を導く。これらの機構は、特に、皮膚の細胞における水和の減少、コラーゲンの低下および細胞のエネルギー代謝の減少に反映される。
【0028】
したがって、本発明の組合せにより、全ての細胞機能を維持するために、細胞のエネルギー貯蔵(ATP)および水分子の生成を維持することができる。
【0029】
したがって、本発明は、美容処置方法における、少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる少なくとも1つの薬剤とチトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する少なくとも1つの光放射、特に550〜1000nm(赤色および/または赤外光の発光スペクトル)の範囲の少なくとも1つの主波長を呈する光放射との組合せ、ならびに特に皮膚および/または髪の外観の改善を意図した組成物またはキットに関する。
【0030】
チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤は、局所経路および/または経口経路によって施用するための組成物中に配合することができる。
【0031】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射は、装置の形態、また、1つの代替形態によれば、特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射するおよび/または特異的に通過させることができる化合物の形態であってもよい。後者の場合は、チトクロームCオキシダーゼを活性化する前記光放射を放射および/または濾光する前記化合物は、チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤と同一の組成物中に、または別の組成物中に配合することができる。
【0032】
したがって、本発明は、特に、特に皮膚および/または髪の外観の改善を意図した美容方法であって、
a)少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる少なくとも1つの薬剤、
b)チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する少なくとも1つの光放射
の同時および/または逐次的施用を含む美容方法である。
【0033】
有利には、本発明の美容方法はいずれも、健康な皮膚を有する対象に対して使用される。
【0034】
用語「少なくとも1つの主波長を呈する光放射」は、本発明によれば、スペクトルの全波長を含む白色光とは異なる光放射を意味するものと理解される。
【0035】
その理由は、各波長が皮膚および/または髪の細胞中において発色団または光受容性因子と称される特定の標的を有することが知られているためである。
【0036】
具体的には、本出願人企業は、チトクロームCオキシダーゼを活性化できる波長と、その効果のない、むしろチトクロームCオキシダーゼを阻害する可能性さえある波長とがあるということを示している。
【0037】
好ましくは、光放射は、550〜1000nm(赤色光の発光スペクトル550〜800nmおよび赤外光の発光スペクトル800〜1000nm)の範囲の少なくとも1つの主波長を呈する。
【0038】
特に、光放射は、550〜800nm(赤色光の発光スペクトル)、特に620〜700nm、より好ましくは640〜680nmの範囲の少なくとも1つの主波長を呈する。
【0039】
特に、発光スペクトルが660nm付近、好ましくは660nm±100nm付近、特に660nm±40nm付近、全面的に好ましくは660nm±15nm付近に最適なピークを有するような光放射を利用することができる。
【0040】
好ましい形態によれば、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射は、皮膚および/または髪に対して、特に少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる1つの薬剤を含む組成物により治療された皮膚および/または髪の領域に対して、0.01〜200J/cm2、好ましくは0.1〜30J/cm2の範囲の線量において適用される。
【0041】
用語「逐次的」は、連続的(即座)または遅延施用を意味するものと理解される。
【0042】
逐次的施用の場合、有利には、チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤は、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射の施用より前に施用されるが、前記基質および/または前記基質の発現を増加させる前記薬剤はまた、基質とチトクロームCオキシダーゼの作用を活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射との後で相補的に施用されてもよい。
【0043】
特定の形態によれば、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射は、特に光または紫外線放射に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する前記光放射を放射および/または濾光する化合物である。前記化合物は、前記チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる前記薬剤を含む組成物中に、または異なる時間(前または後)に適用されることを意図した別の局所用の組成物中に配合することができる。
【0044】
別の形態によれば、少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤が含浸され、チトクロームCオキシダーゼを活性化する前記光放射を放射するダイオードを備えた貼付剤、特にイオン導入用貼付剤が使用される。
【0045】
本発明の方法の使用は、例えば皮膚を冷却する間に、前記チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤の浸透をイオン導入法によってまたは閉塞系によって改善することを目的とする段階を、本発明の方法の各段階より前にまたはこれにと同時にさらに含んでいてもよい。
【0046】
また、治療する領域に対してケミカルピーリングまたは機械的ピーリングを予め実施することによって、チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤の浸透を促進することも可能である。
【0047】
このような組合せは、ミトコンドリアの呼吸鎖の十分な作用を確実にする効果を有し、したがって、エネルギーの産生を増加させ、特に細胞の加齢の兆候ならびに皮膚および/または髪における脱水状態を阻止することができる。
【0048】
したがって、本発明の組合せは、特に皮膚および/または髪の細胞のエネルギー代謝を維持および/または改善する;皮膚および/または髪の水和を維持および/または改善する;皮膚の生体力学的な特性(張り、引き締まった感じ、弾力性)を維持および/または改善する;皮膚および/または髪の加齢の兆候を予防および/または治療する;皮膚のバリア機能を改善する;真皮および/または表皮の細胞の再生を促進する、特に、例えば細胞の酸素化の欠如(特に寒さおよび高度によって引き起こされた細胞の虚血性状態)に関連する、ひび割れおよび/または凍傷の影響を受けた領域の表面の状態を予防するおよび/または改善することができる。
【0049】
特定の形態によれば、本発明の方法は、皮膚および/または髪の水和を改善することを目的とする。
【0050】
別の形態によれば、本発明の方法は、皮膚のバリア機能を改善することを目的とする。
【0051】
さらに別の形態によれば、本発明の方法は、真皮および/または表皮の細胞の再生を促進すること、特にひび割れおよび/または凍傷の影響を受けた領域の表面の状態を改善することを目的とする。
【0052】
また、本発明の方法は、皮膚および/または髪の加齢の兆候を予防するおよび/または阻止することも目的とする。
【0053】
特に、本発明の方法は、皮膚の表面の視認可能なまたは触知可能な凹凸を緩和すること、特に皺および微細な筋を緩和すること、皮膚の欠点を緩和すること、小さな凹凸における有害な変化を低減することおよび/または皮膚を滑らかにすること、皮膚の組織の再生を促進すること、顔色を明るくすることおよび/または活気のない顔色の外観を改善すること、皮膚の生体力学的な特性(張り、引き締まった感じ、弾力性)を維持および/または改善すること、皮膚の水和を維持および/または改善することおよび/または皮膚の質感を維持および/または改善することを目的とする。
【0054】
また、本発明の方法は、髪の減少、髪の成育の減速、白髪化、髪の直径の減少および髪の生長力の減退を予防することおよび/または治療することも目的とする。
【0055】
チトクロームCオキシダーゼ基質および前記基質の発現を増加させる薬剤
用語「チトクロームCオキシダーゼ基質」は、特に、鉄含有プロトポルフィリンIX部位を有する化合物の誘導体を意味するものと理解される。
【0056】
特に、本発明に従う例として、チトクロームC、チトクロームC1、チトクロームC2またはチトクロームC3等のチトクロームCの類似体、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0057】
本発明の方法によれば、チトクロームCオキシダーゼ基質は、チトクロームC、その類似体であるチトクロームC1、C2またはC3の1つ、およびそれらの混合物から選択される。
【0058】
チトクロームCは、特にSigmaから、例えばチトコックス1(Cytocox 1)の名称で販売されるチトクロームCとチトクロームCオキシダーゼとが組み合わされたキットとして販売される。
【0059】
チトクロームCオキシダーゼ基質を使用する代わりにまたはこれに追加するために、前記チトクロームCオキシダーゼ基質の発現を増加させる薬剤を使用することができる。
【0060】
この代案は、チトクロームCオキシダーゼ基質の配合の際に発生し得る問題に対応する際に有利である可能性がある。
【0061】
用語「前記チトクロームCオキシダーゼ基質の発現を増加させる薬剤」は、特にチトクロームCオキシダーゼ基質のタンパク質合成を活性化させることによって(特に、前記基質をコードする遺伝子の調節によって)、前記チトクロームCオキシダーゼ基質の発現を増加させることができる任意の薬剤(または物質)を意味するものと理解される。
【0062】
用語「チトクロームCの発現を増加させる薬剤」は、特にチトクロームCのタンパク質合成を活性化することによって(特に、タンパク質チトクロームCをコードする遺伝子の調節によって)、チトクロームCの発現を増加させることができる任意の薬剤(または物質)を意味するものと理解される。
【0063】
前記チトクロームCオキシダーゼ基質の発現を増加させる薬剤としては、チトクロームCの発現を増加させる薬剤を挙げることができる。
【0064】
本発明に従って使用できる、チトクロームCの発現を増加させる他の薬剤は、例えば、
- 線維芽細胞をその成育およびその合成活性に適切な培地中でインキュベートするステップ、
- 線維芽細胞を十分な量、例えば0.1、1または3%の試験化合物の存在下または非存在下(対照)におくステップ、
- 培養細胞に対する免疫蛍光標識によっておよび/またはチトクロームCに対して特異的な抗体を使用するウェスタンブロッティングによって、試験化合物の存在によって誘導されるチトクロームCの発現を測定するステップ、
- 特に化合物が培地中に1%の濃度で添加された際に、チトクロームCの発現の対照に対する増加、好ましくは対照に対して10%を超える、さらには20%を超える増加が得られる化合物を選択するステップ
からなるヒト線維芽細胞に対するin vitroにおける試験において当業者は選択することができる。
【0065】
第1の実施形態によれば、チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤は、皮膚に対する局所的施用を意図した組成物中に配合される。
【0066】
別の実施形態によれば、チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤は、経口施用を意図した組成物中に配合される。
【0067】
所望の効果を最適にするためには、局所的施用および経口施用を併用することが有利である可能性もある。
【0068】
前記チトクロームCオキシダーゼ基質は、本発明の組成物中に活性物質として前記組成物の総重量に対して0.000001〜20重量%の範囲の含有量で存在してもよい。
【0069】
前記チトクロームCオキシダーゼ基質は、概して、本発明の組成物中に前記組成物の総重量に対して0.001〜20重量%の範囲の含有量で存在してもよい。好ましくは、含有量は前記組成物の総重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%の範囲であろう。好ましくは、前記チトクロームCオキシダーゼ基質は、本発明の組成物中に活性物質として0.00001〜2%の範囲の含有量で存在し、全面的に好ましくは、前記チトクロームCオキシダーゼ基質は、本発明の組成物中に活性物質として0.00002〜0.1%の範囲の含有量で存在するであろう。
【0070】
前記チトクロームCオキシダーゼ基質の発現を増加させる薬剤は、本発明の組成物中に活性物質として前記組成物の総重量に対して0.000001〜30重量%の範囲の含有量で存在してもよい。
【0071】
前記チトクロームCオキシダーゼ基質の発現を増加させる薬剤は、概して、本発明の組成物中に前記組成物の総重量に対して0.001〜30重量%の範囲の含有量で存在するであろう。好ましくは、含有量は前記組成物の総重量に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.01〜5重量%の範囲であろう。
【0072】
好ましくは、前記チトクロームCオキシダーゼ基質の発現を増加させる前記薬剤は、本発明の組成物中に活性物質として0.00001〜2%の範囲の含有量で存在し、全面的に好ましくは、前記チトクロームCオキシダーゼ基質は、本発明の組成物中に活性物質として0.00002〜2%の範囲の含有量で存在するであろう。
【0073】
重量当たりの最大含有量は、概して、固体の形態(例えば粉末の形態)または貼付剤の形態における適用に用いられる。
【0074】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射
用語「チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射」は、その基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤の存在下においてチトクロームCオキシダーゼの酵素活性を刺激することができ、特にエネルギー(ATP)および水分子の産生を導く下記反応を刺激することができる条件(波長、強度、曝露時間)において使用される光放射を意味するものと理解される。
【0075】
【化2】

【0076】
本発明に従って使用できる、チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射は、下記実施例1中に記載するように、
- チトクロームCオキシダーゼおよびその基質(チトクロームC)を所与の波長の光放射に対して、例えば2.7ジュールの線量で曝露するまたは曝露しない(対照)ステップ、
- 酵素活性に対する前記光放射の効果を対照に対して評価するステップ、ならびに
- 光から保護された状態の対照に対して、前記酵素の活性を増大させることができる、特に前記酵素の活性を少なくとも10%増大させることができる光放射を選択するステップ
からなるin vitroにおける試験に従って選択できる。
【0077】
具体的には、本出願人企業は、赤色光(線量2.7ジュール)の発光スペクトルに対応する少なくとも1つの主波長を呈する光放射はチトクロームCオキシダーゼを活性化することができる(+33%)が、他の波長(例えば535nm付近の緑色光および447nm付近の青色光)には効果はないことを示している。
【0078】
光放射が組織によって吸収される際、光放射は組織にエネルギーを送達し、組織自体が、前記光放射に対する曝露の波長、強度および継続時間に応じて光放射に反応する。
【0079】
本発明に従って使用される光放射の強度は、好ましくは150mW/cm2を超えず、かつ好ましくは0.01mW/cm2より大きい。この強度範囲によれば、治療される皮膚組織に損傷を引き起こすことなく、妥当な期間にわたる治療の有効性が確実となる。
【0080】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射に対する曝露の継続時間は、前記放射の強度に応じて、皮膚および/または髪に送達される総エネルギー(線量)が0.01〜200J/cm2、好ましくは0.1〜30J/cm2、より好ましくは1〜30J/cm2、さらには5〜30J/cm2となるように定義されよう。
【0081】
エネルギー(ジュール)=強度(ワット)×時間(秒)。
【0082】
非限定的な例として、チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を放射する装置に対する曝露の継続時間は、20分間〜120分間、好ましくは30分間〜120分間、より好ましくは60分間〜90分間の範囲であってもよい。
【0083】
治療する皮膚および/または髪の表面の状態ならびに所望の効果に応じて、チトクロームCオキシダーゼを活性化する前記光放射を、チトクロームCオキシダーゼ基質と組み合わせて、1〜数か月間の期間にわたって毎日何回か適用すること、または毎日1回適用すること、さらには1週間に1回適用することが有利である場合がある。
【0084】
好ましい形態によれば、チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射は、特に、550〜1000nm、好ましくは550〜800nm、特に620〜700nm、さらにより好ましくは640〜680nmの範囲の少なくとも1つの主波長を呈し、0.01〜200J/cm2、好ましくは0.1〜30J/cm2、より好ましくは1〜30J/cm2、さらには5〜30J/cm2の範囲の線量で好ましくは使用される光放射である。
【0085】
したがって、好ましい形態によれば、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射は、皮膚および/または髪に、特に少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/またはチトクロームCの発現を増加させる1つの薬剤を含む組成物によって治療された皮膚および/または髪の領域に、0.01〜200J/cm2、好ましくは0.1〜30J/cm2の範囲の線量で適用される。
【0086】
本発明に従って使用できる「チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射」としては、特に、
- 装置(「物理的な」光源)によって放射された光放射、
- 化合物(「化学的/生物学的な」光源)によって放射された光放射、
およびそれらの混合物
を利用してもよい。
【0087】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を放射する装置
本発明の第1の実施形態によれば、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射は、装置によって放射される。
【0088】
前記装置は、特に、白色光を放射する装置とチトクロームCオキシダーゼを活性化する前記放射が通過できる特定のフィルタとの組合せ;レーザー;IPL;LED;およびそれらの組合せから選択することができる。
【0089】
特に、前記装置は、550〜1000nm、特に550〜800nmの範囲の少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射し、かつレーザー、IPL、LED、白色光を放射する装置と550〜1000nm(赤色および/または赤外光の発光スペクトル)の範囲の少なくとも1つの主波長を通過させる特定のフィルタとの組合せ、およびそれらの組合せから特に選択される。
【0090】
本発明に従って使用できる、チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を放射する装置としては、特に、以下を挙げることができる。
【0091】
- 自然または人工の白色光と、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長(例えば赤色および/または赤外光の発光スペクトルの波長)を通過させる特定のフィルタまたは遮蔽装置との組合せ。人工の白色光を放射する装置の例としては、特に、アークランプ(例えばキセノンランプ)または白熱ランプを挙げることができる。用語「自然の白色光」は、日光を意味するものと理解され、日光は、チトクロームCオキシダーゼを活性化する色(例えば赤色)を主として特異的に通過させる遮蔽装置と組み合わせることができる。
【0092】
- (放射の誘導放出によって光を増幅するための)レーザー。レーザーは単色で非常に高強度の光源である。
【0093】
白色光(異なる時点においてかつ異なる方向に向かって無作為に放射された多様な波長の光子)とは異なり、レーザーによって放射された光放射は、同一時点においてかつ同一の方向に向かって放射された光子から構成される光である。
【0094】
レーザーは3つの要素によって特徴づけられる。波長(λ);発光の様式:連続的(送達される出力が一定)、パルス性(エネルギーがパルス方式で送達される、その周波数および出力は調整可能である)、かつ超パルス性(パルスは設定された持続時間および出力を有するが、出力は相当な量でありかつ持続時間は極めて短い);および出力:数mW〜数万ワット。
【0095】
- IPL:超短パルス光
レーザーとIPLとの基本的な差異は、IPLは数百、さらには数千もの色を同時に送達することができるが、レーザーは単一の波長のみを送達するという点である。これらの機械によれば、フィルタを変化させるだけで、治療する問題に対して適切な波長を選択することができる。これらの機械は、「非コヒーレント光源」とも称される。
【0096】
全般的な強度の高い光パルスの発光に関する。
【0097】
この技術によれば、複数の発色団によって吸収される広い発光スペクトルの波長を送達することができる。広い表面領域を同時に治療することができる。
【0098】
- LED:発光ダイオード(光変調(LED、発光ダイオード、「The newest medical breakthrough for skin renewal and shrinking pores (2004)」を参照)。
【0099】
LED:LEDは概して、数ミリワットの低強度の光を放射する。LEDは低出力のレーザー(出力1〜数十mW)の区分に分類される。
【0100】
好ましい形態によれば、LED型の装置を利用することができる。
【0101】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を放射する、市販されているLED型の装置の例としては、特に、以下を挙げることができる:
a)皮膚および/または髪をケアする施設において特に使用できる装置、例えば:
- Photo Therapeutics Ltd.からのOmnilux (商標)システム(633nm)、
- Opusmed Inc.からのLumiphase (商標)システム(660nm)、
- Lightwave Technologiesからのライトウェーブ(Lightwave)システム(630nmおよびIR 880nm)、
- Edge Systems Corp.からのDelphia(商標)およびHydroFacial(商標)(600〜700nmおよびIR 700〜1000nm)システム、
- Skincare Systems Inc.からのレビタライト(RevitaLight)システム(625nm; IR 940nm)。
b)特にインターネット(専門家用サイトまたは販売用サイト、例えばe-Bay等)で販売されているもの等の、家庭で使用できる装置;例えばPhoto Rejuvenationからのミニフォトン(Mini photon)を挙げることができる。
【0102】
本発明に従う光放射は、好ましくは実質的に、波長が550〜1000nm、好ましくは550〜800nm、特に620〜700nm、より好ましくは640〜680nm、さらには660nm付近の範囲である単色(主波長)である。
【0103】
特定の形態によれば、緑色光および赤色または赤外光のいずれもが有する老化防止効果を補完するために、緑色の光放射および赤色のまたは赤外の光放射を逐次的に放射する装置を有することが有利である場合がある。
【0104】
この場合、異なる波長から受ける影響によるあらゆる干渉を避けるために、赤色の光放射による治療の作用期間は、好ましくは、緑色の放射による治療の作用期間に対して遅れることなく補われてもよい。
【0105】
したがって、異なる波長で放射する2つの装置の逐次的な適用は、ある光により別の光が干渉を受けることなく、それぞれの光の利益の一部を引き出すことができる。
【0106】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を放射する化合物
本発明の別の実施形態によれば、または上記装置を補助するために、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射は、特に光(可視、紫外線)に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化するこのような主波長を放射する代謝産物または有効成分、光を濾光してチトクロームCオキシダーゼを活性化する前記主波長を特異的に通過させる化合物、およびそれらの混合物から選択される化合物によって放射される。
【0107】
好ましい形態によれば、前記化合物は、550〜1000nm、好ましくは550〜800nm、特に620〜700nm、さらにより好ましくは640〜680nmの範囲の、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射する。
【0108】
特定の形態によれば、前記化合物は、光(可視、紫外線)に曝露された際に前記光放射を放射する。光に対するこの曝露は、日光(「自然」光)に対する曝露または装置を使用する人工光に対する曝露であってもよい。特に、前記化合物によって前記主波長(例えば赤色)を放射できるようにするために前記化合物を励起することを意図した、白色または着色または紫外光を放射する装置を利用することができる。
【0109】
光に対するこの曝露の強度は、前記化合物による、特に、0.01〜200J/cm2、好ましくは0.1〜30J/cm2、より好ましくは1〜30J/cm2、さらには5〜30J/cm2の範囲の線量の、チトクロームCオキシダーゼを活性化する前記放射の放射を可能とするものであろう。
【0110】
別の形態によれば、前記化合物は、光に対して曝露されることなく光放射を放射する。これは、発熱性反応(熱発光)を有する化合物または化学発光または生物発光反応を有する化合物についての場合である。
【0111】
他の形態によれば、前記化合物は、発熱性または熱発光反応(熱の放出)によって、例えばCaCl2(塩化カルシウム)、ZnCl2(塩化亜鉛)またはAlCl3(塩化アルミニウム)を溶解させることによって、特に赤外型の、光放射を放射する。この反応は、前記化合物を含む無水物の組成物が皮膚に適用された際に起こってもよく、皮膚は発熱性反応を誘発するのに十分な量の水を本質的に含む。
【0112】
別の形態によれば、前記化合物は、化学発光または生物発光反応によって光放射を放射する。
【0113】
特に、酵素ルシフェラーゼ、ATP、無機物(例えばマグネシウム)および二酸素の存在下における、ホタルにもともと存在するルシフェリンの生物発光反応を挙げることができる。
【0114】
ルシフェリン+ATP+O2→オキシルシフェリン+AMP+PPi+光
【0115】
また、化合物は、自然光または人工光に対して曝露された際に、本発明に従うチトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を濾光することもできる。
【0116】
これらのクロムの現象および関連する化合物は、特に参考文献「Chromic Phenomena、Technological Applications of Colour Chemistry、Peter Bamfield、The Royal Society of Chemistry、2001」中に記載される。
【0117】
赤色光を放射および/または濾光する代謝産物および有効成分
より具体的には、これらの物質は、特に光(可視、紫外線)に曝露された際に、550〜800nm、好ましくは620〜700nm、さらにより好ましくは640〜680nmの光を放射する代謝産物または有効成分である。
【0118】
特に、
- 赤色アントシアニン、
- 赤色顔料または染料、
- 鉄(III)錯体、
- りん光性の物質、
- 蛍光性の物質、
およびそれらの混合物
を挙げることができる。
【0119】
特に、例えば、カルタミン、シアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニンおよびベタニン等の赤色アントシアニン;赤色ポリフェノール;リコペン;ブラジレイン、アナトー抽出物、アカネ、赤色顔料、鉄(III)錯体およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0120】
好ましくは、リコペン、デルフィニジンおよびそれらの混合物を利用することができる。
【0121】
赤色顔料としては、特に、カルミン酸、ラッカイン酸、フィコエリトリン(藻類)およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0122】
鉄(III)錯体としては、特に、サリチル酸および誘導体(サリチル酸エステル)との、オクトピロックス等の抗菌性物質との、またはチオシアン酸エステルとの錯体、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0123】
可視光または紫外光によって励起され得るりん光性の物質としては、特に、りん光性の顔料を挙げることができる。
【0124】
用語「赤色のりん光性の顔料」は、以下に列記する従来のりん光性の顔料と、約550〜800nm、好ましくは620〜700nm、さらに好ましくは640〜680nmの波長を有するりん光性の赤色の光放射を放射する化粧品に許容される任意の物質とを意味するものと理解される。
【0125】
りん光性の顔料が存在することによって組成物に赤色光の連続的な光源が提供され、りん光は日光中に通常存在する紫外線放射に対する曝露によって活性化され、その効果は数時間にわたって持続する。
【0126】
可視光、紫外線または近赤外光によって励起され得る蛍光性の物質としては、特に、ナイルレッド(励起552nm/発光636nm)等の蛍光性の顔料;複合糖質化されたまたは複合糖質化されていないポルフィリン誘導体(励起420〜440/発光650〜680nm)、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0127】
特に、特に光に曝露された際に、550〜800nmの光を放射する代謝産物または有効成分は、カルタミン、シアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニンまたはベタニン等の赤色アントシアニン;赤色ポリフェノール;リコペン;ブラジレイン、アナトー抽出物、アカネ、赤色顔料、鉄(III)のサリチル酸、オクトピロックスまたはチオシアン酸エステルとの錯体、赤色のりん光性の物質、赤色の蛍光性の物質およびそれらの混合物から選択されてもよい。
【0128】
好ましくは、赤色アントシアニンおよび/またはリコペンが使用されよう。
【0129】
赤色光を濾光する他の化合物
また、上記に置き換えて、および/またはチトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を放射する上述の化合物と組み合わせて、光を濾光してチトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を特異的に通過させることができる化合物を利用してもよい。
【0130】
例えば、プリズムとして作用し、適切な屈折率が選択された際には白色光を放射された際に赤色光を放射する特性を有する体積ホログラムが記録されているポリマーマトリックスを含むホログラフィック顔料を挙げることができる。これらの系は、本出願人企業により出願FR0758017中において記載されている。
【0131】
体積ホログラムは、入射光を、ホログラムのパラメータの関数である空間的かつスペクトル依存性を有する1つまたは複数の光線に変換する。
【0132】
体積ホログラムの例としては、出願EP 1 754 968 A2およびサイトhttp://www.smartholograms.com/site/sections/technology/creating-sensors/htmおよび出願EP 1 369 681 A1(特に図1aおよび1bを参照)において開示されるような、物体光と参照光との両方として作用する単一レーザー光線を使用するホログラフィックフィルム中において得ることができる反射ホログラムである、「Denisyuk」型のホログラムがあり、これらの公報は参照により組み込まれる。
【0133】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を特異的に通過させるために、赤色光を濾光するこれらの化合物を自然光または人工光に対して曝露する必要がある。
【0134】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を放射および/または濾光するこれらの化合物は、チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射のある量を放射するおよび/またはチトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射のある量の通過を確実とするのに十分な濃度において使用することができる。
【0135】
特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光する前記化合物は、本発明の方法において使用される少なくとも1つの組成物の中に、前記組成物の総重量に対して0.01〜20重量%、好ましくは前記組成物の総重量に対して0.1〜10重量%の範囲の含有量で存在する。
【0136】
第1の形態によれば、特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光する前記化合物は、前記チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤を含む組成物中に存在する。
【0137】
他の形態によれば、特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光する前記化合物は、前記チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤を含む組成物とは別個の組成物中に存在する。
【0138】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を放射および/または濾光するこれらの化合物は、0.1〜数十mWの発光の光束を確実とするのに十分な量で使用される。
【0139】
当業者であれば、前記化合物の特徴および所望の効果に従って、前記化合物によって放射されるこの光放射に対する曝露の継続時間を調整することができる。
【0140】
純粋に例として、治療する皮膚および/または髪の領域は、皮膚および/または髪に送達される0.01〜200J/cm2、好ましくは0.1〜30J/cm2、より好ましくは1〜30J/cm2、さらには5〜30J/cm2の範囲の総エネルギー(線量)を受けることができる。
【0141】
チトクロームCオキシダーゼ基質の例は上述の通りである。
【0142】
特に、チトクロームCオキシダーゼ基質は、チトクロームC、その類似体であるチトクロームC1、C2またはC3の1つ、およびそれらの混合物から選択される。
【0143】
特定の形態によれば、チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤は、皮膚に対する局所的施用を意図した組成物中に配合される。
【0144】
別の形態によれば、チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤は、経口施用を意図した組成物中に配合される。
【0145】
好ましくは、局所的施用を利用することができる。
【0146】
特に、前記チトクロームCオキシダーゼ基質は、組成物中に、前記組成物の総重量に対して0.001〜20重量%の範囲の含有量で存在し、かつ前記チトクロームCオキシダーゼ基質の発現を増加させる薬剤は、組成物中に、好ましくは前記組成物の総重量に対して0.001〜30重量%の範囲の含有量で存在する。
【0147】
さらなる本発明の主題は、生理学的に許容される媒体中に、
a)少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる1つの薬剤、ならびに
b)特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する少なくとも1つの光放射を放射および/または濾光する少なくとも1つの化合物
を含む組成物である。
【0148】
特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する放射を放射および/または濾光する前記化合物は、上記に定義される通りである。
【0149】
特に、前記化合物は、特に光に曝露された際に、550〜800nm、好ましくは620〜700nm、より好ましくは640〜680nmの範囲の主波長を有する放射を放射および/または濾光する代謝産物および有効成分から選択することができる。
【0150】
特に、例えば、カルタミン、シアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニンまたはベタニン等の赤色アントシアニン;赤色ポリフェノール;リコペン;ブラジレイン、アナトー抽出物、アカネ、赤色顔料、鉄(III)のサリチル酸、オクトピロックスまたはチオシアン酸エステルとの錯体、赤色のりん光性の物質、赤色の蛍光性の物質およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0151】
好ましくは、赤色アントシアニン、リコペンおよびそれらの混合物を利用することができる。
【0152】
特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光する化合物は、特に、組成物中に、前記組成物の総重量に対して0.01〜20重量%の範囲の含有量で存在する。
【0153】
好ましい形態によれば、チトクロームCオキシダーゼ基質は、チトクロームC、その類似体であるチトクロームC1、C2またはC3の1つ、およびそれらの混合物から選択される。
【0154】
特に、チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤は、組成物中に、前記組成物の総重量に対して0.001〜30重量%の範囲の含有量で存在する。
【0155】
組成物は、美容または医薬組成物であってもよい。
【0156】
好ましくは、組成物は美容組成物であろう。
【0157】
第1の実施形態によれば、組成物は、皮膚および/または髪に対する局所的塗布を意図する。
【0158】
別の実施形態によれば、組成物は経口施用を意図する。
【0159】
組成物はまた、溶媒、落屑剤およびそれらの混合物等の、前記化合物の浸透を促進する薬剤を含んでいてもよい。
【0160】
当業者であれば、これらの追加の成分の選択に関し、チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を放射する装置の適用に適合し、所望の特性に有害な影響を及ぼさないように配慮することができる。
【0161】
さらなる本発明の主題は、
a)少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる1つの薬剤と、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光することができる少なくとも1つの化合物と、を含む組成物、
b)第1の組成物中に存在する前記化合物を、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する前記光放射を放射および/または濾光することを可能とする、第1の装置
を含むキットである。
【0162】
代案によれば、本発明は、
a)少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる1つの薬剤を含む第1の組成物、
b)チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光することができる少なくとも1つの化合物を含む第2の組成物、
c)任意選択で、第2の組成物中に存在する前記化合物を、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する前記光放射を放射および/または濾光することを可能とする、第1の装置
を含むキットに関する。
【0163】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を放射することができる化合物の場合、チトクロームCオキシダーゼを活性化する前記光放射を前記化合物によって放射させるために、第1の装置により前記化合物を励起する。
【0164】
前記第1の装置は、特に、
- 可視光、紫外光および/または近赤外光の波長を呈する光放射を放射する装置、
- 前記化合物との化学発光、生物発光または熱発光反応にとって必要なさらなる化合物を含む、皮膚および/または髪に対する塗布を意図した別個の組成物
であってもよい。
【0165】
特に、第1の装置は、第2の組成物中に存在する化合物の性質に従って可視光および/または紫外光の波長を呈する光放射を放射する装置であってもよい。装置は、白色光、着色光および紫外光から選択される光放射を放射することができる。光放射は、好ましくは可視光、特に赤色光である。
【0166】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を濾光することができる化合物の場合、第1の装置は、概して、前記化合物によって濾光されることにより、チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を与える光放射である。
【0167】
特定の形態によれば、上述のキットは、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射する第2の装置をさらに含んでいてもよい。
【0168】
本発明は、
a)少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる1つの薬剤を含む組成物、
b)チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射する装置
を含むキットにも関する。
【0169】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射する装置は、特に、白色光を放射する装置とチトクロームCオキシダーゼを活性化する前記光放射(特に、赤色光および/または赤外光の発光スペクトルに対応する少なくとも1つの主波長を呈する光放射)を通過させる特定のフィルタとの組合せ、レーザー、IPL、LEDおよびそれらの組合せから選択される。
【0170】
チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤は、上記に定義される通りである。
【0171】
特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する放射を放射および/または濾光する化合物の例は、上述の通りである。
【0172】
本発明に従うキットは、美容用キットまたは医薬用キットであってもよい。
【0173】
好ましくは、本発明に従うキットは、美容用キットであってもよい。
【0174】
これらのキットの構成組成物は、局所施用または経口施用を意図した組成物であってもよい。
【0175】
好ましくは、これらのキットの構成組成物は、局所的施用を意図した組成物であってもよい。
【0176】
配合
上記の、本発明に従う方法、組成物またはキットにおいて使用される組成物は、局所的および/または経口的な適用を意図したものである。
【0177】
組成物は、概して、生理学的に許容される媒体、即ち皮膚および/またはその表面上の身体発育と適合性のある媒体を含む。好ましくは化粧品に許容される媒体、即ち心地よい匂い、心地よい色および心地よい感触を呈し、かつ使用者がこの組成物の使用を思いとどまることになりかねない容認できない不快感(ずきずきする痛み、赤色のしみ、つっぱり感)を引き起こさない媒体である。
【0178】
経口的な、特に「経口的な美容用の」施用について、組成物は、特に、経口的に服用される、ハードゼラチンカプセル剤を含むカプセル剤、糖衣錠剤を含む錠剤、顆粒剤、チューインガム、ゲル剤、シロップ剤の形態、または当業者に既知の任意の他の形態で提供されてもよい。
【0179】
好ましくは、組成物は局所用の組成物である。
【0180】
用語「局所用の組成物」は、皮膚、粘膜または半粘膜、頭皮または髪を含む身体の任意の表面領域に対しての局所に対する塗布を意図した組成物を意味するものと理解される。
【0181】
皮膚に対する局所的塗布に関して、組成物は、水性の、水/アルコールの、もしくは任意にゲル化した油性溶液の形態、脂肪相を水相中に(O/W)もしくは逆に(W/O)分散させることによって得られる、乳剤型の流動体のもしくは半流動体の粘稠度を有するエマルションの形態、三重エマルション(W/O/WもしくはO/W/O)の形態、クリームもしくはゲル剤型の柔らかい、半固体のもしくは固体の粘稠度を有する懸濁液もしくはエマルションの形態、液状、ペースト状もしくは固体の無水物質の形態、マイクロエマルションの形態、マイクロカプセルの形態、微粒子の形態、イオン性の型(リポソームもしくはオレオソーム)および/もしくは非イオン性の型(ニオソーム)の気泡性の分散体の形態、ならびに/または微小な球体の分散体の形態であってもよい。
【0182】
また、フォーム状の形態における、または加圧推進剤を含むスプレー剤もしくはエアゾール剤の形態における、または貼付剤もしくは含浸パッドの形態における組成物を構想することも可能である。
【0183】
したがって、組成物は、ローション剤、セラム、乳剤、O/WまたはW/Oクリーム、ゲル剤、軟こう剤、こう薬、粉末、バルム剤、貼付剤、含浸パッド、石けん、棒状またはフォーム状の形態において提供することができる。
【0184】
対象とする身体の領域および所望の適用の強度に応じて、当業者であれば、異なる組成物形態から選択することができる:
- チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射に対して曝露された後も皮膚に適用された状態であることを意図した組成物。この組成物は、ローション剤もしくはゲル剤の型の分散体、脂肪相を水相中に(O/W)もしくは逆に(W/O)分散させることによって得られる、乳剤型の流動体のもしくは半流動体の粘稠度を有するエマルション、クリームもしくはゲル剤型の柔らかい、半固体のもしくは固体の粘稠度を有する懸濁液もしくはエマルション、多重エマルション(W/O/WまたはO/W/O)、マイクロエマルション、イオン性および/もしくは非イオン性の型の気泡性の分散体、またはロウ/水相分散体であってもよい。
- 治療する領域に対して使用者が特異的に適用できかつその後で続いて除去することができるクリームの形態におけるマスク、または基質が含浸された貼付剤等の、チトクロームCオキシダーゼを活性化する前記光放射に対する曝露の継続時間中のみ皮膚と接触した状態にある組成物。この施用形態において、マスクまたは貼付剤は、チトクロームCオキシダーゼを活性化する光放射を通過させるために、十分に透明である必要がある。
【0185】
以下に、本発明を下記の非限定的な例によって例示する。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】赤色光によるチトクロームCオキシダーゼの活性化に対する、in vitroにおける試験の構成。
【図2】例中で使用される赤色の制限発光スペクトル。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0187】
特定の光放射(赤色光の発光スペクトル)によるチトクロームCオキシダーゼの活性化
下記の例は、550〜800nm、特に620〜700nmの範囲の主波長を呈する光放射によるチトクロームCオキシダーゼの活性に対する刺激効果を測定する。
【0188】
前記光放射に対するこの酵素の曝露は、下記の化学反応に従ってATPのおよび水の分子の生成を刺激する。
【0189】
【化3】

【0190】
プロトコールの説明
一般的な原理:これらの試験の原理は、620〜700nmの範囲の波長を呈する光放射に予め曝露する場合としない場合のチトクロームCオキシダーゼの活性を比較することである。
【0191】
機器および試薬
- 光ファイバー(内径3mm)ならびにIL-1700光度計およびSED033検出器(#6600)を備えた光源。光放射を生じ、その発光スペクトルは図2中に提示されている;
- チトクロームC(0.22mM)およびチトクロームCオキシダーゼ(0.32U/ml):Sigmaからのチトコックス1(Cytocox1)キット。
【0192】
タンパク質の還元は、0.1M DTT(ジチオトレイトール)溶液、即ち最終濃度0.5mMの添加によって起こる。
【0193】
吸光度は、550nmおよび565nmで測定される:A550/A565の比率は10〜20でなければらならい(開始溶液の一貫性を制御する)。
【0194】
酵素の曝露の様式
酵素(乾燥させた粉末の形態または酵素溶液)を円錐形のエッペンドルフチューブ中に入れる。酵素の量を、酵素全体が直径3mmの光ファイバーによる光放射(波長620〜700nm)に当たるように調整する。光に対する曝露は連続的であり、かつ光によって提供されるエネルギーは0.45mW/cm2である(図1:構成の図表、および図2:試験において使用された赤色光の発光スペクトルを参照)。
【0195】
エッペンドルフチューブは、温度の影響を避けるために、曝露している時間全体を通して氷浴中に配置する。(前記光放射に対して曝露されない)対照の酵素を同一の時間、同一の方法によって調製し、外部からの光の寄与を防止するバッキング(紙状のアルミニウム)によって前記光放射から保護する。
【0196】
チトクロームCオキシダーゼを、スクロース0.5mMを含むpH7のTris-HCl緩衝液中に0.15U/mlの濃度とした溶液中において、光放射(継続時間30〜90分間)に対して、即ち0.8ジュール/cm2〜2.4ジュール/cm2と同等の線量において曝露する。
【0197】
曝露した後、チトクロームCオキシダーゼを、その基質フェロチトクロームC Fe2+と共に、pH7のTris-HCl 10mMおよびKCl 120mMを含む混合物中においてインキュベートする。酵素活性を反応の開始から評価する。
【0198】
酵素活性の測定
550nmにおけるチトクロームCの吸収はその酸化状態によって異なる。
【0199】
この特性は、出願人らの測定試験の根拠を形成する。チトクロームCはジチオトレイトールによって還元され、かつチトクロームCオキシダーゼによって再度酸化される。
【0200】
125μlをエッペンドルフチューブ中に入れて対照とし、125μlをエッペンドルフチューブ中に入れて試験サンプルとする。
【0201】
次いで、試験サンプルを光放射下に90分間にわたって配置する。
【0202】
次いで、吸光度の変化A550/分を測定する。
【0203】
次いで、酵素活性を下記式によって計算する。
U/ml=(dA/分×希釈率×1.1)/(酵素の体積)×21.84)
【0204】
赤色の主波長を放射する光放射は、90分間の放射時間にわたって、即ち2.4ジュール/cm2と同等の線量によってチトクロームCオキシダーゼの活性を有意に刺激する(+33%)。
【実施例2】
【0205】
配合の例
組成物と装置との組合せ
以下に記載された調製物は、550〜1000nm、好ましくは620〜700nmの範囲の少なくとも1つの主波長を呈する光放射に長時間(30分〜1時間30分)曝露する前に、顔に対してまたは身体に対して速やかに適用することができる。例えば、Photo Therapeutics LtdからのOmnilux(商標)システム型(633nm)の装置またはOpusmed Inc.からのLightwave(商標)システム型(630nmおよび880nm)の装置を利用することができる。
【0206】
【表1】

【0207】
【表2】

【0208】
イオン導入用貼付剤
別の実施形態によれば、市販されている参照貼付剤Iontopatch(商標)(Travanti Pharma、Mendota Heights、MN、USA)を、上記クリームの1つによって予め処置された領域に適用する。
【0209】
続いてこれを、1Vの電位差により発生したガルバニー電流を送達するためのZn陽極およびAgCl陰極の2つの電極を含む電流に接続し、かつ550〜1000nmの範囲の少なくとも1つの主波長を呈する光放射に曝露する。
【0210】
この治療は、1日1回の割合で30〜45分間にわたって実施する。
【0211】
【表3】

【0212】
【表4】

【0213】
治療する皮膚の領域にマスクを適用し、次いで(自然のまたは電気的な)白色光の光源の下に対象を45分間〜1時間配置する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に皮膚および/または髪の外観の改善を意図した美容方法であって、
a)少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる少なくとも1つの薬剤、ならびに
b)チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する少なくとも1つの光放射
の同時および/または逐次的施用を含む美容方法。
【請求項2】
光放射が、550〜1000nm、好ましくは550〜800nm、特に620〜700nm、さらにより好ましくは640〜680nmの範囲の少なくとも1つの主波長を呈する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射が、皮膚および/または髪に対して、特に少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/またはチトクロームCの発現を増加させる1つの薬剤を含む組成物により治療された皮膚および/または髪の領域に対して、0.01〜200J/cm2、好ましくは0.1〜30J/cm2の範囲の線量において適用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射が、白色光を放射する装置とチトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する前記光放射を通過させる特定のフィルタとの組合せ;レーザー;IPL;LED;およびそれらの組合せから特に選択される装置によって放射される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射が、特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化するこのような主波長を放射する代謝産物または有効成分、光を濾光してチトクロームCオキシダーゼを活性化する前記主波長を特異的に通過させる化合物、およびそれらの混合物から選択される化合物によって放射される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
化合物が、550〜1000nm、好ましくは550〜800nm、特に620〜700nm、さらにより好ましくは640〜680nmの範囲の、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
550〜800nmの範囲の、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する前記光放射を放射および/または濾光する前記化合物が、カルタミン、シアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニンまたはベタニン等の赤色アントシアニン;赤色ポリフェノール;リコペン;ブラジレイン、アナトー抽出物、アカネ、赤色顔料、鉄(III)のサリチル酸、オクトピロックスまたはチオシアン酸エステルとの錯体、赤色りん光性物質、赤色蛍光性物質およびそれらの混合物から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光する前記化合物が、前記方法において使用される少なくとも1つの組成物中に、前記組成物の総重量に対して0.01〜20重量%の範囲の含有量で存在する、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光する前記化合物が、チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる少なくとも1つの薬剤を含む組成物中に存在する、請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光する前記化合物が、別個の組成物中に存在する、請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
チトクロームCオキシダーゼ基質が、チトクロームC、その類似体であるチトクロームC1、C2またはC3の1つ、およびそれらの混合物から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤が、皮膚に対する局所的施用を意図した組成物中に配合される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤が、経口施用を意図した組成物中に配合される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記チトクロームCオキシダーゼ基質が、組成物中に、前記組成物の総重量に対して0.001〜20重量%の範囲の含有量で存在する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記チトクロームCオキシダーゼ基質の発現を増加させる薬剤が、組成物中に、前記組成物の総重量に対して0.001〜30重量%の範囲の含有量で存在する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
皮膚および/または髪の水和を改善することを目的とする請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
皮膚のバリア機能を改善することを目的とする請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
真皮および/または表皮の細胞の再生を促進すること、特にひび割れおよび/または凍傷の影響を受けた領域の表面の状態を改善することを目的とする請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
皮膚および/または髪の加齢の兆候を予防するおよび/または阻止することを目的とする請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
皮膚の表面の視認可能なまたは触知可能な凹凸を緩和すること、特に皺および微細な筋を緩和すること、皮膚の欠点を緩和すること、小さな凹凸における有害な変化を低減することおよび/または皮膚を滑らかにすること、皮膚の組織の再生を促進すること、顔色を明るくすることおよび/または活気のない顔色の外観を改善すること、皮膚の生体力学的な特性(張り、引き締まった感じ、弾力性)を維持および/または改善すること、皮膚の水和を維持および/または改善することおよび/または皮膚の質感を維持および/または改善することを目的とする請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
髪の減少、髪の成育の減速、白髪化、髪の直径の減少および髪の生長力の減退を予防することおよび/または治療することを目的とする請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
生理学的に許容される媒体中に、
a)少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる1つの薬剤、ならびに
b)特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光する少なくとも1つの化合物
を含む組成物。
【請求項23】
特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光する前記化合物が請求項5から7のいずれか一項に定義される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
チトクロームCオキシダーゼ基質が、チトクロームC、その類似体であるチトクロームC1、C2またはC3の1つ、およびそれらの混合物から選択される、請求項22または23に記載の組成物。
【請求項25】
チトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる薬剤が、組成物中に、前記組成物の総重量に対して0.001〜30重量%の範囲の含有量で存在する、請求項22から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光する化合物が、組成物中に、前記組成物の総重量に対して0.01〜20重量%の範囲の含有量で存在する、請求項22から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
a)少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる1つの薬剤を含む組成物と、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光することができる少なくとも1つの化合物とを含む組成物、
b)第1の組成物中に存在する前記化合物を、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する前記光放射を放射および/または濾光することを可能とする、第1の装置
を含むキット。
【請求項28】
a)少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる1つの薬剤を含む第1の組成物、
b)チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光することができる少なくとも1つの化合物を含む第2の組成物、
c)任意選択で、第2の組成物中に存在する前記化合物を、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する前記光放射を放射および/または濾光することを可能とする、第1の装置
を含むキット。
【請求項29】
第1の装置が、白色光、着色光および紫外光から選択される光放射を放射する、請求項27または28に記載のキット。
【請求項30】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射する第2の装置をさらに含むことを特徴とする請求項27から29のいずれか一項に記載のキット。
【請求項31】
a)少なくとも1つのチトクロームCオキシダーゼ基質および/または前記基質の発現を増加させる1つの薬剤を含む組成物、
b)チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射する装置
を含むキット。
【請求項32】
チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射する装置が、白色光を放射する装置とチトクロームCオキシダーゼを活性化する前記光放射を通過させる特定のフィルタとの組合せ、レーザー、IPL、LEDおよびそれらの組合せから選択されることを特徴とする請求項30または31に記載のキット。
【請求項33】
チトクロームCオキシダーゼ基質が、チトクロームC、その類似体の1つおよびそれらの混合物から選択される、請求項27から32のいずれか一項に記載のキット。
【請求項34】
特に光に曝露された際に、チトクロームCオキシダーゼを活性化する少なくとも1つの主波長を呈する光放射を放射および/または濾光する化合物が請求項5から7のいずれか一項に記載のものであることを特徴とする請求項27から33のいずれか一項に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−511049(P2011−511049A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545537(P2010−545537)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050193
【国際公開番号】WO2009/101344
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】