説明

特定の化学的実体、組成物および方法

特定の化学的実体;ならびに以下のもののフラグメントおよびイソ型を含めた、骨格筋ミオシン、骨格筋アクチン、骨格筋トロポミオシン、骨格筋トロポニンC、骨格筋トロポニンI、骨格筋トロポニンTおよび骨格筋、ならびに骨格筋サルコメアを調節するための使用方法;ならびに神経筋疾患、筋肉消耗を有する状態、跛行、虚弱、メタボリック症候群、廃用性筋萎縮および筋疲労、ならびに他の適応症の治療における使用方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2008年2月4日に出願された、米国仮特許出願第61/026,067号(これは、全ての目的のために参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
骨格筋サルコメアの収縮を調節する特定の化学的実体が提供される。1種もしくは複数の状態または疾患、例えば神経筋疾患(例えばALS)、筋肉消耗(例えば、サルコペニアおよび悪液質症候群)を有する状態、跛行、虚弱、メタボリック症候群、廃用性筋萎縮、筋疲労、ならびに他の急性および慢性の状態および疾患を治療するための特定の化学的実体、医薬組成物および方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
骨格筋細胞および心筋細胞の細胞骨格は、すべての他の細胞の細胞骨格と比較して独特である。細胞骨格は、サルコメアと呼ばれる密に充填された細胞骨格タンパク質のほぼ結晶様配列からなる。サルコメアは、細いフィラメントと太いフィラメントの相互嵌合配列として見事に組織化されている。太いフィラメントは、ATP加水分解の化学エネルギーの力または有向運動への変換に関与するモータータンパク質であるミオシンからなる。細いフィラメントは、らせん配列に配置されたアクチンモノマーからなる。アクチンフィラメントに結合する4種の調節タンパク質が存在し、それにより収縮をカルシウムイオンで調節できる。細胞内カルシウムの流入により、筋収縮が始まり、ミオシンモータードメインと細いアクチンフィラメントとの繰り返しの相互作用に推進されて、太いフィラメントと細いフィラメントにずれが生じる。
【0004】
ミオシンは、すべてのモータータンパク質の中で最も広く研究されている。ヒト細胞における13の異なるクラスのミオシンの中で、ミオシンIIクラスは、骨格筋、心筋および平滑筋の収縮に関与する。このクラスのミオシンは、他の12の異なるクラスのミオシンとは、アミノ酸組成および全体的構造が著しく異なる。ミオシンIIは、長いαヘリックスコイルドコイル尾部により結合した2つの球状頭部ドメインからなり、他のミオシンIIと集まって、サルコメアの太いフィラメントのコアを形成している。球状頭部は、触媒ドメインを有し、ここでミオシンのアクチン結合およびATP作用が起こる。アクチンフィラメントに結合すると、リン酸の放出(参考:ATPからADP)により、触媒ドメインの構造的立体配座の変化が起こり、これにより次いで球状頭部から延びる軽鎖結合レバーアームドメインの方向が変わる。この運動は、パワーストロークと称される。このアクチンとの関係におけるミオシン頭部の方向の変化により、ミオシンが一部となっている太いフィラメントが、ミオシンが結合している細いアクチンフィラメントに対して動かされる。触媒ドメインおよび軽鎖がその最初の立体配座/方向に戻るのに加えて、アクチンフィラメントから球状頭部が結合解除(これもCa2+調節されている)されることにより、細胞内移動および筋収縮の原因である収縮および弛緩のサイクルが完了する。
【0005】
トロポミオシンおよびトロポニンは、アクチンとミオシンとの相互作用に対するカルシウム作用を媒介する。骨格筋トロポニン複合体は、いくつかのアクチン単位の作用を一度に調節し、3つのポリペプチド鎖:カルシウムイオンに結合する骨格筋トロポニンC;アクチンに結合するトロポニンI;およびトロポミオシンに結合するトロポニンTからなる。
【0006】
3種のポリペプチドの複合体であるトロポニンは、脊椎筋のアクチンフィラメントと密接に関連している付属タンパク質である。トロポニン複合体は、筋形態のトロポミオシンとともに、Ca.2+依存性のミオシンATPase活性を媒介し、それにより筋収縮を調節するように作用する。トロポニンポリペプチドT、IおよびCは、各々、それらのトロポミオシン結合活性、トロポミオシン阻害活性およびカルシウム結合活性にちなんで名付けられている。トロポニンTは、トロポミオシンに結合し、筋細フィラメント上でのトロポニン複合体の配置に関与すると考えられている。トロポニンIは、アクチンに結合し、トロポニンIおよびTにより形成された複合体、ならびにトロポミオシンは、アクチンとミオシンとの相互作用を阻害する。トロポニンCは、最大4つのカルシウム分子を結合できる。研究は、筋内のカルシウム濃度が上昇すると、トロポニンCにより、トロポニンIは、アクチン分子上でその足場を失い、それによりトロポミオシン分子が移動し、それにより、アクチン上のミオシン結合部位が露出し、ミオシンATPase活性が刺激されることを示唆している。
【0007】
ヒト骨格筋は、そのミオシン型により分類され、遅線維または速線維のいずれかで称される、異なる種類の収縮線維からなる。表1には、これらの種類の筋肉を構成する様々なタンパク質が要約されている。
【0008】
【表1】

健康なヒトにおいて、大部分の骨格筋は、速線維と遅線維の両方からなるが、各々の割合は、筋肉型によって異なる。しばしばI型筋と呼ばれる遅骨格筋線維は、心筋とより構造的に類似しており、微細な姿勢制御でより多く使用される傾向にある。それらは通常、より高い酸化能力を有し、継続的に使用すると疲労に対する耐性が増加する。速骨格筋線維は、酸化系(IIa)速筋線維および解糖系(IIx/d型)速筋線維に分けられる。これらの筋線維は、異なるミオシン型を有するのに対し、それらは、トロポニンおよびトロポミオシンの調節タンパク質を含む多くのコンポーネントを共有している。速線維は、より大きい力を発揮するが、遅線維よりも早く疲労する傾向にあり、椅子から立ち上がるか、または転倒を立て直すなどの激しく大きな動きに対して機能的に有用である。
【0009】
筋収縮および力の発生は、運動ニューロンを刺激することにより、神経刺激を介して制御される。各運動ニューロンは、収縮全体として多く(約100〜380)の筋線維を刺激し得、これは運動単位と称される。筋肉を収縮する必要があるとき、運動ニューロンは、運動単位内で脳幹または脊髄から各線維に神経インパルス(活動電位)として刺激を送る。神経線維と筋線維との間の接触領域は、神経筋接合部(NMJ)と呼ばれる特殊なシナプスである。ここで、神経内の膜の脱分極活動電位が、神経伝達物質アセチルコリン(ACh)の放出を介して筋線維内のインパルスに転換される。AChは、筋内の第2の活動電位を誘発し、それは、線維に沿って急速に広がり、T細管と称される膜内の陥入部に入る。T細管は、ジヒドロピリジン受容体(DHPR)を介して筋肉の筋小胞体(SR)内のCa2+貯蔵部位に物理的に結合される。DHPRを刺激することにより、SR内の第2のCa2+チャネルであるリアノジン受容体が活性化され、SR内の貯蔵部位から筋細胞質へのCa2+の放出が誘発され、そこでCa2+がトロポニン複合体と相互作用して筋収縮を開始し得る。筋刺激が止まると、カルシウムはATP依存性Ca2+ポンプであるSERCAを介してSR内に急速に戻される。
【0010】
筋機能は、多くのメカニズムにより疾患で損なわれる可能性がある。例としては、極めて高齢であることが関連した虚弱(サルコペニアと称される)、ならびに末期の心不全および癌(悪液質)で起こる筋肉消耗が挙げられる。恐らく、筋機能不全の最も深刻な形態は、脊髄性筋萎縮症(SMA)および筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの運動ニューロンの疾患から生じる。いずれの状態も、明らかにされていない原因により運動ニューロンの進行性死を引き起こす。生存運動単位は、より多くの線維を刺激することにより死滅した分を補おうとする(発芽と称される)が、筋肉は、協応の問題および疲労を起こす傾向が実質的に高いため、これは、筋機能を部分的に矯正することしかできない。最終的には、生存運動ニューロンは死滅し、罹患筋が完全に麻痺する。いずれの疾患も、隔膜への刺激が最終的に失われ、呼吸器不全を招くことから一般的に生命にかかわる。SMAは、運動ニューロンの生存および健康に必要であると思われるタンパク質、SMN1の突然変異によって起こる遺伝性疾患である。該疾患は、患者の大部分が11〜12歳までしか生存できないため、子供に最も多く見られる。ALSは、人生の後期(50歳以上)に起こる疾患であり、初期の脚弱から麻痺および死亡まで急速に進行する。診断後の一般的な余命は、3〜5年である。多くのALS患者の病因は、不明である(自然発生型と称される)が、患者のごく一部は、遺伝性(家族性)の疾患を有する。SMAおよびALSはいずれも治療の選択肢が現段階では限られている。
【0011】
したがって、骨格筋を調節する新たな化合物の開発が必要とされている。新たな作用機構を利用し、症状の緩和、安全性、および短期と長期の両方の患者の死亡率についての良好な結果、ならびに改善された治療指数を有することができる薬剤が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
式Iの化合物:
【0013】
【化1】

(式中、Rが、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリールおよび場合により置換されているヘテロシクロアルキルから選択され、
が、場合により置換されているアリールおよび場合により置換されているヘテロアリールから選択され、
が、水素、ハロ、ヒドロキシ、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアミノ、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているアルコキシ、スルファニルおよびスルフィニルから選択され、
が、水素、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキルおよび低級ハロアルキルから選択される)
から選択される少なくとも1種の化学的実体、ならびにそれらの医薬として許容できる塩および互変異性体が提供される。
【0014】
医薬として許容できる担体および本明細書に記載の少なくとも1種の化学的実体を含む、医薬として許容できる組成物も提供される。
【0015】
神経筋障害、筋肉消耗を有する状態、跛行、虚弱、メタボリック症候群、廃用性筋萎縮および筋肉疲労から選択される状態を有する患者を治療する複数の方法であって、治療有効量の本明細書に記載の少なくとも1種の化学的実体を患者に投与することを含む複数の方法も提供される。
【0016】
神経筋障害、筋肉消耗を有する状態、跛行、虚弱、メタボリック症候群、廃用性筋萎縮および筋肉疲労から選択される状態を有する患者を治療する一方法であって、治療有効量の本明細書に記載の少なくとも1種の化学的実体を患者に投与することを含む一方法も提供される。
【0017】
骨格筋ミオシン、骨格筋アクチン、骨格筋トロポミオシン、骨格筋トロポニンC、骨格筋トロポニンI、骨格筋トロポニンT、骨格筋および骨格筋サルコメアの1つまたは複数の調節に応答する状態を有する患者を治療する方法であって、有効量の、本明細書に開示の少なくとも1種の化学的実体を患者に投与することを含む方法も提供される。
【0018】
骨格筋の機能または活性を増大させる方法であって、骨格筋と、有効量の、本明細書に開示の少なくとも1種の化学的実体とを接触させることを含む方法も提供される。
【0019】
骨格筋の効率を増大させる方法であって、有効量の、本明細書に開示の少なくとも1種の化学的実体を提供することと、前記少なくとも1種の化学的実体を、骨格筋の速骨格筋線維のトロポニン複合体に選択的に結合させることとを含み、それにより前記骨格筋の効率を増大させる方法も提供される。
【0020】
速骨格筋線維の疲労までの時間を増大させるための方法であって、有効量の本明細書に開示の少なくとも1種の化学的実体を提供することと、少なくとも1種の化学的実体を、骨格筋の速骨格筋線維のトロポニン複合体に選択的に結合させることと、速骨格筋線維を、化学的実体で処理されていない速骨格筋線維と比較して、増強した力および増大した、疲労までの時間で応答させることとを含む方法も提供される。
【0021】
速骨格筋線維を感作させて、カルシウムイオン濃度の低下に応答した力を発生させるための方法であって、有効量の、本明細書に開示の少なくとも1種の化学的実体を提供することと、少なくとも1種の化学的実体を、速骨格筋線維のサルコメアのトロポニン複合体に選択的に結合させて、カルシウムイオンに対するサルコメアの感受性を増大させることとを含み、それにより速骨格筋線維が、カルシウムイオン濃度の低下に応答した力を発生する方法も提供される。
【0022】
骨格筋の疲労までの時間を増大させるための方法であって、有効量の、本明細書に開示の少なくとも1種の化学的実体を提供することと、少なくとも1種の化学的実体を、第1のカルシウムイオン濃度で速骨格筋線維のサルコメアのトロポニン複合体に選択的に結合させて、結合複合体を形成させることとを含み、それにより第1のカルシウムイオン濃度に曝されているが、結合複合体を含まない速骨格筋線維と比較して、増強した力および/または増大した、疲労までの時間で速骨格筋線維が応答する方法も提供される。
【0023】
他の態様および実施形態は、以下の詳細な説明から当業者には明らかとなろう。
【0024】
本明細書で使用する場合、以下の用語および語句は、それらを使用する文脈が他の意味を示す場合を除き、以下に示された意味を有することが一般に意図される。
【0025】
以下の略語および用語は、全体を通して示された意味を有する:
Ac=アセチル
ADP=アデノシン二リン酸(adenosine triphosphate)
ATP=アデノシン三リン酸
BME=βメルカプトエタノール
c−=シクロ
CDI=カルボニルジイミダゾール
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
(DPPF)PdCl=[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
DTT=ジチオスレイトール
EDTA=エチレンジアミン四酢酸
Et=エチル
EtOAc=酢酸エチル
EtOH=エタノール
g=グラム
hまたはhr=時間
i−=イソ
kgまたはKg=キログラム
lまたはL=リットル
LCMS=液体クロマトグラフ質量分析
m/z=質量対電荷比
Me=メチル
NMR=核磁気共鳴
min=分
mg=ミリグラム
min=分
mLまたはml=ミリリットル
mmol=ミリモル
MMP=マトリックスメタロプロテイナーゼ
MW=マイクロ波
n−=ノルマル
Ph=フェニル
(PhP)Pd=テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
(PhP)PdCl=ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)
rpm=1分間当たりの回転数
rtまたはRT=室温
s−=sec−=第2級
t−=tert−=第3級
THF=テトラヒドロフラン
vol=別段の指示がない限り、制限試薬に関してmL/gまたはL/Kgに相当する量
「任意選択の」または「場合により」とは、後に記載される事象または状況が起こる場合も、または起こらない場合もあり、記述は、事象または状況が起こる場合の例、および事象または状況が起こらない場合の例を含むことが意図される。例えば、「場合により置換されているアルキル」とは、以下に定義されているように「アルキル」と「置換アルキル」の両方を包含する。1つまたは複数の置換基を含有する任意の基に関して、このような基が、立体的に現実性がないか、合成的に実現不可能であるか、および/または本質的に不安定である任意の置換または置換パターンを導入することは意図されていないことを、当業者であれば理解されよう。
【0026】
「アルキル」とは、示された数の炭素原子、通常1〜20個の炭素原子、例えば1〜8個の炭素原子、例えば1〜6個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖を包含する。例えば、C〜Cアルキルは、1〜6個の炭素原子の直鎖アルキルと分岐鎖アルキルの両方を包含する。特定の数の炭素を有するアルキル残基を称する場合、特定の数の炭素を有する分岐鎖タイプおよび直鎖タイプすべてが包含されることが意図される。したがって、例えば、「ブチル」とは、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびt−ブチルを含むことが意図され、「プロピル」とは、n−プロピルおよびイソプロピルを含む。「低級アルキル」とは、1〜7個の炭素を有するアルキル基を指す。特定の実施形態において、「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素を有するアルキル基を指す。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、3−メチルペンチルなどが挙げられる。アルキレンは、同じ残基をアルキルと称するアルキルの一部であるが、2つの結合点を有する。アルキレン基は、2〜20個の炭素原子、例えば2〜8個の炭素原子、例えば2〜6個の炭素原子を通常有するであろう。例えばCアルキレンは、共有結合を示し、Cアルキレンは、メチレン基である。
【0027】
「アルケニル」は、1個の水素分子を、親アルキルの隣接炭素原子から除去することに由来する少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、不飽和の分岐鎖または直鎖のアルキル基を指す。該基は、二重結合(複数可)についてシス構造またはトランス構造のいずれかであってよい。典型的なアルケニル基としては、それだけに限らないが、エテニル;プロペニル、例えばプロパ−1−エン−1−イル、プロパ−1−エン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル(アリル)、プロパ−2−エン−2−イル;ブテニル、例えばブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロパ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イルなどが挙げられる。アルケニル基は、特定の実施形態においては2〜20個の炭素原子、他の実施形態においては2〜6個の炭素原子を有する。「低級アルケニル」とは、2〜6個の炭素を有するアルケニル基を指す。
【0028】
「アルキニル」とは、2個の水素分子を、親アルキルの隣接炭素原子から除去することに由来する少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、不飽和の分岐鎖または直鎖のアルキル基を指す。典型的なアルキニル基としては、それだけに限らないが、エチニル;プロピニル、例えばプロパ−1−イン−1−イル、プロパ−2−イン−1−イル;ブチニル、例えばブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−イン−1−イルなどが挙げられる。アルキニル基は、特定の実施形態においては2〜20個の炭素原子、他の実施形態においては3〜6個の炭素原子を有する。「低級アルキニル」とは、2〜6個の炭素を有するアルキニル基を指す。
【0029】
「シクロアルキル」とは、3〜7個の環炭素原子を通常有する非芳香族炭素環を示す。前記環は、飽和であっても、または1つもしくは複数の炭素−炭素二重結合を有していてもよい。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロへキシルおよびシクロヘキセニル、ならびに架橋環基およびケージド環基、例えばノルボルナンが挙げられる。
【0030】
「アルコキシ」という用語は、酸素を介して親構造に結合した直鎖構造、分岐構造、環状構造およびそれらの組合せの1〜8個の炭素原子を含む、−O−アルキル基を指す。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。「低級アルコキシ」とは、1〜6個の炭素を含有するアルコキシ基を指す。
【0031】
「置換アルコキシ」という用語は、アルキル成分が置換されている(すなわち、−O−(置換アルキル))アルコキシを指し、ここで「置換アルキル」とは、1個または複数(例えば最大5個、例えば最大3個)の水素原子が:
−R、−OR、場合により置換されているアミノ(−NRCOR、−NRCO、−NRCONR、−NRC(NR)NR、−NRC(NCN)NRおよび−NRSO)、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールの置換基として)、場合により置換されているアシル(例えば−COR)、場合により置換されているアルコキシカルボニル(例えば、−CO)、アミノカルボニル(例えば−CONR)、−OCOR、−OCO、−OCONR、−OCONR、−OP(O)(OR)OR、スルファニル(例えばSR)、スルフィニル(例えば−SOR)およびスルホニル(例えば−SOおよび−SONR
(式中、Rは、場合により置換されているC〜Cアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアリールおよび場合により置換されているヘテロアリールから選択され、
が、H、場合により置換されているC〜Cアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、場合により置換されているアリールおよび場合により置換されているヘテロアリールから選択され、かつ
が、水素および場合により置換されているC〜Cアルキルから独立に選択されるか、または
およびR、ならびにそれらが結合する窒素が、場合により置換されているヘテロシクロアルキル基を形成し、
ここで、場合により置換されている基は各々、置換されていないか、またはC−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−、ヘテロアリール−C−Cアルキル−、C−Cハロアルキル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルキルフェニル、−C−Cアルキル−OH、−OC−Cハロアルキル、ハロ、−OH、−NH、−C−Cアルキル−NH、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキルフェニル)、−NH(C−Cアルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールの置換基として)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−CON(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−CONH(C−Cアルキル)、−CONH、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(フェニル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(フェニル)、−C(O)C−Cアルキル、−C(O)C−Cアルキルフェニル、−C(O)C−Cハロアルキル、−OC(O)C−Cアルキル、−SO(C−Cアルキル)、−SO(フェニル)、−SO(C−Cハロアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SONH(フェニル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−NHSO(フェニル)、および−NHSO(C−Cハロアルキル)から独立に選択される1つまたは複数、例えば、1つ、2つまたは3つの置換基で独立に置換されている)
から独立に選択される置換基で置き換えられているアルキルを指す。
【0032】
いくつかの実施形態において、置換アルコキシ基は、「ポリアルコキシ」または−O−(場合により置換されているアルキレン)−(場合により置換されているアルコキシ)であり、−OCHCHOCHなどの基、ポリエチレングリコールなどのグルコールエーテルの残基、および−O(CHCHO)CH(式中、xは、2〜20、例えば2〜10、例えば2〜5の整数である)が挙げられる。別の置換アルコキシ基は、ヒドロキシアルコキシまたは−OCH(CHOH(式中、yは1〜10、例えば1〜4の整数である)である。
【0033】
「アルコキシカルボニル」という用語は、アルコキシ基が、示された数の炭素原子を有する、カルボニル炭素を介して結合する式(アルコキシ)(C=O)−の基を指す。したがって、C〜Cアルコキシカルボニル基は、その酸素を介してカルボニルリンカーに結合する1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基である。「低級アルコキシカルボニル」とは、アルコキシ基が低級アルコキシ基であるアルコキシカルボニル基を指す。
【0034】
「置換アルコキシカルボニル」という用語は、(置換アルキル)−O−C(O)−基を指し、ここで該基は、カルボニル官能基を介して親構造に結合し、かつ、ここで置換とは、1個または複数(例えば最大5個、例えば最大3個)の水素原子が、以下の置換基、すなわち:
−R、−OR、場合により置換されているアミノ(−NRCOR、−NRCO、−NRCONR、−NRC(NR)NR、−NRC(NCN)NRおよび−NRSO)、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールの置換基として)、場合により置換されているアシル(例えば−COR)、場合により置換されているアルコキシカルボニル(例えば、−CO)、アミノカルボニル(例えば−CONR)、−OCOR、−OCO、−OCONR、−OCONR、−OP(O)(OR)OR、スルファニル(例えばSR)、スルフィニル(例えば−SOR)およびスルホニル(例えば−SOおよび−SONR
(式中、Rは、場合により置換されているC〜Cアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアリールおよび場合により置換されているヘテロアリールから選択され、
が、H、場合により置換されているC〜Cアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、場合により置換されているアリールおよび場合により置換されているヘテロアリールから選択され、かつ
が、水素および場合により置換されているC〜Cアルキルから独立に選択されるか、または
およびR、ならびにそれらが結合する窒素が、場合により置換されているヘテロシクロアルキル基を形成し、
ここで、場合により置換されている基は各々、置換されていないか、またはC−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−、ヘテロアリール−C−Cアルキル−、C−Cハロアルキル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルキルフェニル、−C−Cアルキル−OH、−OC−Cハロアルキル、ハロ、−OH、−NH、−C−Cアルキル−NH、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキルフェニル)、−NH(C−Cアルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールの置換基として)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−CON(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−CONH(C−Cアルキル)、−CONH、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(フェニル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(フェニル)、−C(O)C−Cアルキル、−C(O)C−Cアルキルフェニル、−C(O)C−Cハロアルキル、−OC(O)C−Cアルキル、−SO(C−Cアルキル)、−SO(フェニル)、−SO(C−Cハロアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SONH(フェニル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−NHSO(フェニル)、および−NHSO(C−Cハロアルキル)から独立に選択される1つまたは複数、例えば、1つ、2つまたは3つの置換基で独立に置換されている)
から独立に選択される置換基で置き換えられているアルキルを指す。
【0035】
「アシル」とは、H−C(O)−基、(アルキル)−C(O)−基、(アリール)−C(O)−基、(ヘテロアリール)−C(O)−基および(ヘテロシクロアルキル)−C(O)−基を指し、そこで該基は、カルボニル官能基を介して親構造に結合し、そこでアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、本明細書に記載されているように場合により置換されている。例としては、アセチル、ベンゾイル、プロピオニル、イソブチリル、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。「低級アシル」とは、1〜6個の炭素を含有する基を指し、「アシルオキシ」とは、O−アシル基を指す。
【0036】
「アミノ」という用語は、−NH基を指す。
【0037】
「置換アミノ」という用語は、−NHR基または−NR基を指し、式中、
は、ヒドロキシ、場合により置換されているアルコキシ、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアシル、場合により置換されているカルバムイミドイル、アミノカルボニル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、場合により置換されているアルコキシカルボニル、スルフィニルおよびスルホニルから選択され、
は、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリールおよび場合により置換されているヘテロシクロアルキルから選択され、かつ
置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロシクロアルキルおよび置換ヘテロアリールは、各々、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールを指し、1個または複数(例えば最大5個、例えば最大3個)の水素原子が、以下の置換基、すなわち:
−R、−OR、場合により置換されているアミノ(−NRCOR、−NRCO、−NRCONR、−NRC(NR)NR、−NRC(NCN)NRおよび−NRSO)、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールの置換基として)、場合により置換されているアシル(例えば−COR)、場合により置換されているアルコキシカルボニル(例えば、−CO)、アミノカルボニル(例えば−CONR)、−OCOR、−OCO、−OCONR、−OCONR、−OP(O)(OR)OR、スルファニル(例えばSR)、スルフィニル(例えば−SOR)およびスルホニル(例えば−SOおよび−SONR
(式中、Rは、場合により置換されているC〜Cアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアリールおよび場合により置換されているヘテロアリールから選択され、
が、H、場合により置換されているC〜Cアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、場合により置換されているアリールおよび場合により置換されているヘテロアリールから選択され、かつ
が、水素および場合により置換されているC〜Cアルキルから独立に選択されるか、またはRおよびR、ならびにそれらが結合する窒素が、場合により置換されているヘテロシクロアルキル基を形成し、そこで場合により置換されている基は各々、置換されていないか、またはC−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−、ヘテロアリール−C−Cアルキル−、C−Cハロアルキル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルキルフェニル、−C−Cアルキル−OH、−OC−Cハロアルキル、ハロ、−OH、−NH、−C−Cアルキル−NH、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキルフェニル)、−NH(C−Cアルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールの置換基として)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−CON(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−CONH(C−Cアルキル)、−CONH、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(フェニル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(フェニル)、−C(O)C−Cアルキル、−C(O)C−Cアルキルフェニル、−C(O)C−Cハロアルキル、−OC(O)C−Cアルキル、−SO(C−Cアルキル)、−SO(フェニル)、−SO(C−Cハロアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SONH(フェニル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−NHSO(フェニル)、および−NHSO(C−Cハロアルキル)から独立に選択される1つまたは複数、例えば、1つ、2つまたは3つの置換基で独立に置換されており、
ここで、場合により置換されているアシル、場合により置換されているアルコキシカルボニル、スルフィニルおよびスルホニルは本明細書に定義されているとおりである)
から独立に選択される置換基で置き換えられている。
【0038】
また、「置換アミノ」という用語は、各々上に記載されている−NHR基およびNR基のN−オキシドを指す。N−オキシドは、対応するアミノ基を、例えば過酸化水素またはm−クロロペルオキシ安息香酸で処理することにより調製できる。当業者は、N−酸化を行うための反応条件に精通している。
【0039】
「アミノカルボニル」という用語は、−CONR基を指し、そこでRは、H、場合により置換されているC〜Cアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、場合により置換されているアリールおよび場合により置換されているヘテロアリールから選択され、
は、水素および場合により置換されているC〜Cアルキルから独立に選択されるか、または
およびRは、それらが結合する窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環中にO、NおよびSから選択される1個または2個の追加のヘテロ原子を場合により含む、場合により置換されている5員〜7員の窒素含有ヘテロシクロアルキルを形成し、
ここで各置換基は、C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−、ヘテロアリール−C−Cアルキル−、C−Cハロアルキル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルキルフェニル、−C−Cアルキル−OH、−OC−Cハロアルキル、ハロ、−OH、−NH、−C−Cアルキル−NH、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキルフェニル)、−NH(C−Cアルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールの置換基として)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−CON(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−CONH(C−Cアルキル)、−CONH、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(フェニル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(フェニル)、−C(O)C−Cアルキル、−C(O)C−Cアルキルフェニル、−C(O)C−Cハロアルキル、−OC(O)C−Cアルキル、−SO(C−Cアルキル)、−SO(フェニル)、−SO(C−Cハロアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SONH(フェニル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−NHSO(フェニル)、および−NHSO(C−Cハロアルキル)から独立に選択される1つまたは複数の置換基で独立に置換されている。
【0040】
「アリール」とは、
6員の炭素環式芳香族環、例えばベンゼン;
少なくとも1つの環が、炭素環および芳香族、例えばナフタレン、インダンおよびテトラリンである、二環式環系;ならびに
少なくとも1つの環が、炭素環および芳香族、例えばフルオレンである、三環式環系
を包含する。
【0041】
例えば、アリールとしては、N、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含有する5員〜7員のヘテロシクロアルキル環に縮合した6員の炭素環式芳香族環が挙げられる。環の1つだけが、炭素環式芳香族環であるこのような縮合二環式環系について、結合点は、炭素環式芳香族環またはヘテロシクロアルキル環であってよい。置換ベンゼン誘導体から形成され、環原子に自由原子価を有する二価ラジカルは、置換フェニレンラジカルと呼ばれる。自由原子価を有する炭素原子から1個の水素原子を除去することによりその名前が「−イル」で終わる、一価多環式炭化水素ラジカルから誘導される二価ラジカルは、対応する一価ラジカルに「−イデン」を追加することにより命名される。例えば、2つの結合点を有するナフチル基は、ナフチリデンと称される。しかし、アリールは、以下に別に定義されているヘテロアリールを何ら包含しないか、またはそれと重複しない。したがって、1個または複数の炭素環式芳香族環が、ヘテロシクロアルキル芳香族環で縮合されている場合、得られた環系は、本明細書に定義されているように、ヘテロアリールであり、アリールではない。
【0042】
「アラルコキシ」とは、−O−アラルキル基を指す。同様に、「ヘテロアラルコキシ」とは、−O−ヘテロアラルキル基を指し、「アリールオキシ」とは、−O−アリール基を指し、「ヘテロアリールオキシ」とは、−O−ヘテロアリール基を指す。
【0043】
「アラルキル」とは、アリール部分が、アルキル残基を介して親構造に結合している残基を指す。例としては、ベンジル、フェネチル、フェニルビニル、フェニルアリルなどが挙げられる。「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリール部分が、アルキル残基を介して親構造に結合している残基を指す。例としては、フラニルメチル、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチルなどが挙げられる。
【0044】
「ハロゲン」または「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。ジハロアリール、ジハロアルキル、トリハロアリールなどは、複数のハロゲンで置換されているアリールおよびアルキルを指すが、必ずしも複数の同一のハロゲンで置換されていわけではない。したがって、4−クロロ−3−フルオロフェニルは、ジハロアリールの範囲内である。
【0045】
「ヘテロアリール」とは、
N、OおよびSから選択される1個または複数、例えば1個〜4個、または特定の実施形態においては1個〜3個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である、5〜7員の芳香族単環式環、
N、OおよびSから選択される1個または複数、例えば1個〜4個、または特定の実施形態においては1個〜3個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素であり、そこで少なくとも1個のヘテロ原子が芳香族環中に存在する、二環式ヘテロシクロアルキル環、ならびに
N、OおよびSから選択される1個または複数、例えば1個〜5個、または特定の実施形態においては1個〜4個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素であり、そこで少なくとも1個のヘテロ原子が芳香族環中に存在する、三環式ヘテロシクロアルキル環
を包含する。
【0046】
例えば、ヘテロアリールとしては5員〜7員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環に縮合した5員〜7員のヘテロシクロアルキル芳香族環が挙げられる。環の1つだけが、1個または複数のヘテロ原子を含有するこのような縮合二環式ヘテロアリール環系について、結合点は、いずれかの環であってよい。ヘテロアリール基中のS原子とO原子の総数が1を超えるとき、それらのヘテロ原子は互いに隣接していない。特定の実施形態において、ヘテロアリール基中のS原子およびO原子の総数は、2以下である。特定の実施形態において、芳香族ヘテロ環中のS原子とO原子の総数は、1以下である。ヘテロアリール基の例としては、それだけに限らないが(優先して1が割り当てられている結合位置から番号を付けるとして)2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2,3−ピラジニル、3,4−ピラジニル、2,4−ピリミジニル、3,5−ピリミジニル、2,3−ピラゾリニル、2,4−イミダゾリニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、チアジアゾリニル、テトラゾリル、チエニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリニル、インドリニル、ピリダジニル、トリアゾリル、キノリニル、ピラゾリルおよび5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリニルが挙げられる。自由原子価を有する原子から1個の水素原子を除去することによりその名前が「−イル」で終わる一価ヘテロアリールラジカルから誘導される二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名前に「−イデン」を追加することにより命名される。例えば、2つの結合点を有するピリジル基は、ピリジリデンである。ヘテロアリールは、以下に別に定義されているように、アリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを包含しないか、またはそれらと重複しない。
【0047】
置換ヘテロアリールとしては、1つまたは複数のオキシド(−O)置換基、例えばピリジニルN−オキシドで置換されている環系も挙げられる。
【0048】
「ヘテロシクロアルキル」とは、酸素、硫黄および窒素、ならびに前記ヘテロ原子の少なくとも1個を含む組合せから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子に加えて、少なくとも2個の炭素原子を含有する、3〜7個の環原子を通常有する単一の非芳香族環を意味する。該環は、飽和であっても、または1つもしくは複数の炭素−炭素二重結合を有していてもよい。適切なヘテロシクロアルキル基としては、例えば(優先して1が割り当てられている結合位置から番号を付けるとして)2−ピロリジニル、2,4−イミダゾリジニル、2,3−ピラゾリジニル、2−ピペリジル、3−ピペリジル、4−ピペリジルおよび2,5−ピペリジニルが挙げられる。モルホリニル基も企図されており、2−モルホリニルおよび3−モルホリニル(酸素に優先して1を割り当てて番号を付ける)が挙げられる。置換ヘテロシクロアルキルとしては、例えばピペリジニルN−オキシド、モルホリニル−N−オキシド、1−オキソ−1−チオモルホリニルおよび1,1−ジオキソ−1−チオモルホリニルなどの1つまたは複数のオキソ(=O)置換基またはオキシド(−O)置換基で置換されている環系も挙げられる。
【0049】
「ヘテロシクロアルキル」としては、3〜7個の環原子を通常有する1つの非芳香族環が、酸素、硫黄および窒素、ならびに前記ヘテロ原子の少なくとも1つを含む組合せから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子に加えて、少なくとも2個の炭素原子を含有し、3〜7個の環原子を通常有する他の環が、酸素、硫黄および窒素から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を場合により含有し、該環が芳香族ではない、二環系も挙げられる。
【0050】
「異性体」とは、同じ分子式を有する異なる化合物である。「立体異性体」とは、原子が空間に配置される方法だけが異なる異性体である。「エナンチオマー」とは、互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体の対である。エナンチオマーの対の1:1の混合物は、「ラセミ」混合物である。「(±)」という用語は、適切な場合ラセミ混合物を示すために使用される。「ジアステレオ異性体」とは、少なくとも2個の不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。絶対的立体化学は、カーンインゴールドプレローグR−S系に従って特定される。化合物が、純粋なエナンチオマーであるとき、各キラル炭素での立体化学は、RまたはSのいずれかで特定できる。絶対配置が不明である分割された化合物は、それらが、ナトリウムD線の波長での平面偏光を回転する方向(右旋性または左旋性)に応じて(+)または(−)で示すことができる。本明細書に記載の化合物のいくつかは、1種または複数の不斉中心を含有し、したがって絶対立体化学について、(R)−または(S)−として定義できるエナンチオマー、ジアステレオマーおよび他の立体異性体を生じ得る。本明細書に記載の化合物は、ラセミ混合物、場合により純粋な形態および中間体混合物を含む、このような可能性のある異性体すべてを含むことを意図している。場合により、活性(R)−異性体および活性(S)−異性体を、キラルシントンまたはキラル試薬を用いて調製してもよく、または従来の技法を用いて分割してもよい。本明細書に記載の化合物が、オレフィン二重結合または幾何学的非対称の他の中心を含有するとき、別段の指示がない限り、該化合物は、E幾何異性体とZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。
【0051】
「互変異性体」とは、互変異性化により相互変換する構造的に異なる異性体である。「互変異性化」は、異性化の形態であり、酸塩基化学の一部と考えられる、プロトトロピック互変異性化またはプロトン移動互変異性化を含む。「プロトトロピック互変異性化」または「プロトン移動互変異性化」は、結合次数の変化を伴うプロトンの移動、しばしば単結合と隣接する二重結合との交換を含む。互変異性化が、(例えば溶液中で)可能なとき、互変異性体の化学平衡に到達し得る。互変異性化の例としては、ケト−エノール互変異性化がある。ケト−エノール互変異性化の具体的な例としては、ペンタン−2,4−ジオン互変異性体と4−ヒドロキシペント−3−エン−2−オン互変異性体との相互変換がある。互変異性化の別の例としては、フェノール−ケト互変異性化がある。フェノール−ケト互変異性化の具体的な例としては、ピリジン−4−オール互変異性体とピリジン−4(1H)−オン互変異性体との相互変換がある。式Iの化合物は互変異性である。
【0052】
脱離基または脱離原子は、反応条件下で出発物質から切断され、したがって特定部位で反応を促進する任意の基または原子である。このような基の適切な例としては、別段の指示がない限り、ハロゲン原子、メシルオキシ基、p−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基およびトシルオキシ基がある。
【0053】
「医薬として許容できる担体」または「医薬として許容できる賦形剤」という用語は、あらゆる溶媒、分散媒体、被覆剤、抗菌剤および抗真菌薬、等張剤および吸収遅延剤などを含む。医薬活性物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は当技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が、活性成分と不適合である場合を除き、治療組成物でのその使用が企図される。補充的な活性成分を、該組成物中に組み込むこともできる。
【0054】
保護基は、有機合成においてそれと従来関連付けられてきた意味を有する。すなわち、化学反応を、別の保護されていない反応部位で選択的に実施できるようにし、かつ該基を、選択的反応が完了した後で容易に除去できるように、多官能化合物中の1つまたは複数の反応部位を選択的にブロックする基である。例えばT.H. GreeneおよびP. G. M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons、New York(1999年)に様々な保護基が開示されている。例えば、ヒドロキシ保護形態では、化合物中に存在するヒドロキシ基の少なくとも1つが、ヒドロキシ保護基で保護されている。同様に、アミンおよび他の反応基も同様に保護できる。
【0055】
「医薬として許容できる塩」という用語は、本明細書に記載の化合物の生物学的有効性および生物学的特性を保持し、生物学的または他の点で望ましくないものでない塩を指す。多くの場合、本明細書に記載の化合物は、アミノ基および/もしくはカルボキシル基、またはそれらに類似する基の存在により酸塩および/または塩基塩を形成できる。医薬として許容できる酸付加塩は、無機酸および有機酸で形成できる。塩を誘導できる無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。塩を誘導できる有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サルチル酸などが挙げられる。医薬として許容できる塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基で形成できる。塩を誘導できる無機塩基としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが挙げられる。塩を誘導できる有機塩基としては、例えば第1級、第2級および第3級アミン、天然存在の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基イオン交換樹脂など、具体的には、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびエタノールアミンが挙げられる。いくつかの実施形態において、医薬として許容できる塩基付加塩は、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩から選択される。
【0056】
「溶媒和物」は、溶媒と化合物との相互作用により形成される。「化合物」という用語は、化合物の溶媒和物を含むことが意図される。同様に、「塩」とは、塩の溶媒和物を含む。適切な溶媒和物としては、医薬として許容できる溶媒和物、例えば一水和物および1/2水和物を含む、水和物がある。
【0057】
「置換」アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールという用語は、別段の明確な定義がない限り、各々、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールを指し、そこで1個または複数(例えば最大5個、例えば最大3個)の水素原子が、以下の置換基、すなわち:
−R、−OR、場合により置換されているアミノ(−NRCOR、−NRCO、−NRCONR、−NRC(NR)NR、−NRC(NCN)NRおよび−NRSO)、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールの置換基として)、場合により置換されているアシル(例えば−COR)、場合により置換されているアルコキシカルボニル(例えば、−CO)、アミノカルボニル(例えば−CONR)、−OCOR、−OCO、−OCONR、−OCONR、−OP(O)(OR)OR、スルファニル(例えばSR)、スルフィニル(例えば−SOR)およびスルホニル(例えば−SOおよび−SONR
(式中Rは、場合により置換されているC〜Cアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアリールおよび場合により置換されているヘテロアリールから選択され、
が、水素、場合により置換されているC〜Cアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、場合により置換されているアリールおよび場合により置換されているヘテロアリールから選択され、かつ
が、水素および場合により置換されているC〜Cアルキルから独立に選択されるか、または
およびR、ならびにそれらが結合する窒素が、場合により置換されているヘテロシクロアルキル基を形成し、
ここで、場合により置換されている基は各々、置換されていないか、またはC−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−、ヘテロアリール−C−Cアルキル−、C−Cハロアルキル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルキルフェニル、−C−Cアルキル−OH、−OC−Cハロアルキル、ハロ、−OH、−NH、−C−Cアルキル−NH、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキルフェニル)、−NH(C−Cアルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルの置換基として)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−CON(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−CONH(C−Cアルキル)、−CONH、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(フェニル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(フェニル)、−C(O)C−Cアルキル、−C(O)C−Cアルキルフェニル、−C(O)C−Cハロアルキル、−OC(O)C−Cアルキル、−SO(C−Cアルキル)、−SO(フェニル)、−SO(C−Cハロアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SONH(フェニル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−NHSO(フェニル)、および−NHSO(C−Cハロアルキル)から独立に選択される1つまたは複数、例えば、1つ、2つまたは3つの置換基で独立に置換されている。)
から独立に選択される置換基で置き換えられている。
【0058】
「スルファニル」という用語は、−S−(場合により置換されているアルキル)基、−S−(場合により置換されているシクロアルキル)基、−S−(場合により置換されているアリール)基、−S−(場合により置換されているヘテロアリール)基および−S−(場合により置換されているヘテロシクロアルキル)基を指す。
【0059】
「スルフィニル」という用語は、−S(O)−H基、−S(O)−(場合により置換されているアルキル)基、−S(O)−(場合により置換されているシクロアルキル)基、−S(O)−(場合により置換されているアミノ)基、−S(O)−(場合により置換されているアリール)基、−S(O)−(場合により置換されているヘテロアリール)基および−S(O)−(場合により置換されているヘテロシクロアルキル)基を指す。
【0060】
「スルホニル」という用語は、−S(O)−H基、−S(O)−(場合により置換されているアルキル)基、−S(O)−(場合により置換されているシクロアルキル)基、−S(O)−(場合により置換されているアミノ)基、−S(O)−(場合により置換されているアリール)基、−S(O)−(場合により置換されているヘテロアリール)基および−S(O)−(場合により置換されているヘテロシクロアルキル)基を指す。
【0061】
本明細書で使用する場合、「治療の」という用語は、ヒト疾患または動物疾患の両方に適用できる、インビボでの骨格筋サルコメア、骨格筋線維または骨格筋の収縮を調節できると考えられる化合物を指す。調節は、それだけに限らないが神経筋疾患(例えばALS)、筋肉消耗を有する状態(例えば、サルコペニアおよび悪液質症候群)、跛行、虚弱、メタボリック症候群、廃用性筋萎縮、筋痙攣、肥満ならびに他の急性および慢性の状態および疾患を含む、いくつかの状態または疾患で望ましいであろう。
【0062】
「治療有効量」または「有効量」という用語は、治療を必要とする哺乳動物に投与される場合、以下に定義されるように、このような治療を行うのに十分である式Iから選択される化合物の量を指し、例えば治療有効量は、骨格筋の活性に応答する疾患を治療するのに十分な量であってよい。治療有効量は、治療される対象および病状、対象の体重および年齢、病状の重症度、式Iから選択される特定の化合物、従われるべき投与計画、投与タイミング、投与方式などに応じて変化すると思われ、それらはすべて、当業者であれば容易に決定できる。治療有効量は、例えば化学的実体の血中濃度をアッセイすることにより実験的に、またはバイオアベイラビリティを計算することにより理論的に確認できる。
【0063】
「ATPase」とは、ATPを加水分解する酵素を指す。ATPaseとしては、ミオシンなどの分子モーターを含むタンパク質が挙げられる。
【0064】
本明細書で使用する場合、「虚弱」とは、以下の5つの属性:意図的でない体重減少、筋力低下、遅い歩行速度、疲労および低身体活動性の少なくとも1つを満たすことで特徴付けられる症候群である。
【0065】
本明細書で使用する場合、「悪液質」とは、癌、または他の重篤な疾患もしくは状態(例えば慢性閉塞性肺疾患、慢性腎疾患)としばしば関連した病状を意味し、脂肪組織および骨格筋の削除による、進行性の体重減少、筋萎縮および筋疲労により特徴付けられる。
【0066】
本明細書で使用する場合、「筋痙攣」とは、筋肉の不随意収縮を意味する。筋痙攣は、痙直を引き起こし得る。
【0067】
本明細書で使用する場合、「術後筋力低下」とは、外科手術後の1つまたは複数の筋肉の強度の低下を指す。低下は、全身化される場合(すなわち、全身の脱力)も、または体、肢もしくは筋肉の特定の部分、面に局所化される場合もある。
【0068】
本明細書で使用する場合、「外傷後筋力低下」とは、外傷エピソード(例えば、肉体的損傷)後の1つまたは複数の筋肉の強度の低下を指す。低下は全身化する場合(すなわち、全身の脱力)も、または体、肢または筋肉の特定の部分、面に局所化される場合もある。
【0069】
本明細書で使用する場合、「神経筋疾患」とは、神経および筋肉の任意の部分に影響を与える、任意の疾患を意味する。神経筋疾患は、重症疾患多発ニューロパチー、持続性神経遮断、急性炎症性脱髄性多発性根神経障害に加えて急性ミオパチー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、自律性ニューロパチー、シャルコーマリーツース病ならびに他の遺伝性運動および感覚ニューロパチー、慢性炎症性脱髄性多発性根神経障害、皮膚筋炎/多発性筋炎、糖尿病性ニューロパチー、ジストロフィン異常症、内分泌性ミオパチー、局所性筋萎縮、片側顔面痙攣、シャルコーマリーツース病型の遺伝性ニューロパチー、封入体筋炎、ケネディ病、Lambert−Eaton筋無力症候群、筋ジストロフィー(例えば、肢体筋、デュシェンヌ型、ベッカー型、筋硬直性、顔面肩甲上腕型など)、代謝性ミオパチー、代謝性ニューロパチー、伝導ブロックを伴う多巣性運動ニューロパチー、重症筋無力症、フリードライヒ失調症ニューロパチー、ハンセン病ニューロパチー、栄養性ニューロパチー、周期性四肢麻痺、原発性側索硬化症、拘束性肺疾患、サルコイドーシスおよびニューロパチー、Schwartz−Jampel症候群、棘筋萎縮、全身硬直症候群、甲状腺疾患、外傷性末梢神経病変、血管炎性ニューロパチーをとりわけ包含する。
【0070】
本明細書で使用する場合、「肥満」とは、30kg/m以上の肥満度指数(BMI)を有することを意味する。BMIは、体重(kg)を身長(m)で割ったものとして定義される。肥満は、脂肪細胞数の増加である過形成性肥満、および脂肪細胞の大きさの増加である肥大性肥満を包含する。過体重は、BMIが25から最大30kg/mと定義され、肥満は、上に記載されているように、BMIが30kg/m以上と定義され、重症(または病的)肥満は、BMIが40kg/m以上と定義される。
【0071】
本明細書で使用する場合、「サルコペニア」とは、骨格筋の量、質および強度の低下を意味する。サルコペニアは、加齢と関連する場合が多いが、HIV感染とも関連している。サルコペニアは、例えば高齢者において、虚弱を引き起こし得る。
【0072】
本明細書で使用する場合、「消耗症候群」とは、慢性の熱および下痢と関連した意図的でない体重減少により特徴付けられる状態を意味する。いくつかの例では、消耗症候群を有する患者は、1ヶ月以内にベースライン体重が10%減少する。
【0073】
式Iの化合物としては、例えば、多形、擬似多形、溶媒和物(水和物を含む)、非溶媒和多形(脱水和物を含む)、配座多形を含む、これらの化合物の結晶性非晶質形、化合物の非晶質形、ならびにそれらの混合物も挙げられる。「結晶形」、「多形」および「新しい形」は、本明細書で互換的に用いられ得、特定の結晶形または非晶質形を称するのでない限り、例えば、多形、擬似多形、溶媒和物(水和物を含む)、非溶媒和多形(脱水和物を含む)、配座多形を含む化合物の結晶性非晶質形すべて、非晶質形、ならびにそれらの混合物を含むことを意図している。式Iの化合物としては、キレート、非共有結合錯体、プロドラッグおよびそれらの混合物を含む、列挙された化合物の医薬として許容できる形態も挙げられる。
【0074】
化学的実体としては、それだけに限らないが、式Iの化合物、およびその医薬として許容できる塩すべてが挙げられる。したがって、「化学的実体(複数可)」という用語は、医薬として許容できる塩も包含する。
【0075】
「医薬として許容できる塩」は、それだけに限らないが、無機酸との塩、例えば塩酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、スルフィン酸塩、硝酸塩および同様の塩、ならびに有機酸との塩、例えばリンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩およびアルカン酸塩、例えば酢酸塩、HOOC−(CH−COOH(式中nは0〜4の範囲である)および同様の塩が挙げられる。同様に、医薬として許容できるカチオンとしては、それだけに限らないがナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウムおよびアンモニウムが挙げられる。
【0076】
さらに、式Iの化合物が、酸付加塩として得られる場合、遊離塩基は、酸塩の溶液を塩基性化することにより得ることができる。逆に、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、特に医薬として許容できる付加塩は、酸付加塩を塩基性化合物から調製する従来の方法に従って、適切な有機溶媒に遊離塩基を溶解し、該溶液を酸で処理することにより調製できる。当業者は、非毒性の医薬として許容できる付加塩を調製するために使用できる様々な合成法を認識するであろう。
【0077】
上に言及したように、プロドラッグも、式Iの化合物のエステル誘導体またはアミド誘導体など、式Iの化合物の範囲内にある。「プロドラッグ」という用語は、患者に投与したとき、例えばプロドラッグの代謝過程で式Iの化合物になる、任意の化合物を含む。プロドラッグの例としては、それだけに限らないが、式Iの化合物中の官能基(例えばアルコール基またはアミン基)の酢酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩および同様の誘導体が挙げられる。
【0078】
「キレート」は、2つ(またはそれ以上の)点での金属イオンに対する化合物の配位により形成される。「化合物」という用語は、化合物のキレートを含むことが意図される。同様に、「塩」は、塩のキレートを含む。
【0079】
「非共有結合錯体」は、化合物と別の分子との相互作用により形成され、そこで共有結合は、化合物と分子との間で形成されない。例えば、錯体形成は、ファンデルワールス相互作用、水素結合および静電相互作用(イオン結合とも称される)によって起こり得る。このような非共有結合錯体は、「化合物」という用語に含まれる。
【0080】
「活性薬剤」という用語は、生物活性を有する化学的実体を示すために使用される。特定の実施形態において、「活性薬剤」とは、治療的有用性を有する化合物である。いくつかの実施形態において、化学的実体は、出力、骨格筋力、骨格筋持久力、酸素消費、効率、カルシウム感受性などの骨格筋の機能または活性の少なくとも1つの性質を増大させる。
【0081】
本明細書で使用する場合、「骨格筋」としては、骨格筋組織、ならびにそのコンポーネント、例えば骨格筋線維(すなわち、速骨格筋線維または遅骨格筋線維)、骨格筋線維を含む筋原線維、筋原線維を含む骨格筋サルコメア、ならびに上に記載した骨格筋サルコメアの様々なコンポーネントが挙げられる。骨格筋は、心筋、または心筋においてその全体に生じるサルコメアコンポーネントの組合せは含まない。
【0082】
本明細書で使用する場合、「効率」または「筋効率」とは、力学的仕事出力と総代謝コストとの比率を意味する。
【0083】
本明細書で使用する場合、筋肉の「出力」とは、仕事/サイクル時間を意味し、筋肉の特性に基づきPoLo/サイクル時間単位からスケールアップできる。出力は、例えば、活性化のタイミング(活性化の段階)および活性化の期間(負荷サイクル)を含む、サイクルの長さが変化する際に、例えば活性化パラメーターを変更することにより調節できる。
【0084】
「有意な」とは、統計的有意性の標準的なパラメトリック試験、例えばp<0.05のスチューデントT検定において統計的に有意な任意の検出可能な変更を意味する。
【0085】
「患者」とは、治療、観察または実験の対象であったか、またはその対象となるであろう、動物、例えば哺乳動物、例えばヒトを指す。本明細書に記載の方法は、ヒトの治療と獣医学的用途の両方で有用であり得る。いくつかの実施形態において、患者は哺乳動物であり、いくつかの実施形態において、患者はヒトである。
【0086】
「治療」または「治療する」とは、
(a)疾患を予防すること、すなわち疾患の臨床症状を発症させないこと、
(b)疾患を阻害すること、
(c)臨床症状の発症を遅延させるか、もしくは抑えること、および/または
(d)疾患を緩和する、すなわち臨床症状を退行させること
を含む、患者における疾患の任意の治療を意味する。
【0087】
本明細書で使用する場合、「調節」とは、化合物の不在下でのミオシンまたはサルコメアの活性に対して、本明細書に記載の少なくとも1種の化学的実体の存在への直接応答または間接応答として、骨格筋ミオシン、骨格筋アクチン、骨格筋トロポミオシン、骨格筋サルコメアの骨格筋トロポニン複合体、骨格筋トロポニンC、骨格筋トロポニンI、骨格筋トロポニンT、それらのフラグメントおよびイソ型を含む骨格筋、ならびに骨格筋サルコメアの1つまたは複数における機能または効率の変化を指す。該変化は、活性の増加(増強作用)または活性の低下(阻害作用)であり得、化合物とミオシンまたはサルコメアとの直接的相互作用に起因する場合も、または骨格筋ミオシンまたは骨格筋サルコメアを感作させて、低いCa2+濃度で収縮させることを介して、以下のもののフラグメントおよびイソ型を含めた、骨格筋ミオシン、骨格筋アクチン、骨格筋トロポミオシン、骨格筋トロポニンC、骨格筋トロポニンI、骨格筋トロポニンTおよび骨格筋、ならびに骨格筋サルコメアの1つまたは複数に影響を与える1種または複数の他の因子と化合物の相互作用に起因する場合もある。
【0088】
本明細書で使用する場合、「選択的結合」または「選択的に結合する」とは、他の種類とは対照的に、1種の筋肉または筋線維における標的タンパク質への優先的結合を指す。例えば、化合物が、遅筋線維のトロポニン複合体中のトロポニンCまたは心筋サルコメアのトロポニン複合体中のトロポニンCと比較して、速骨格筋線維またはサルコメアのトロポニン複合体中のトロポニンCを優先的に結合する場合、化合物は選択的に結合する。
【0089】
式Iの化合物:
【0090】
【化2】

(式中、Rが、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリールおよび場合により置換されているヘテロシクロアルキルから選択され、
が、場合により置換されているアリールおよび場合により置換されているヘテロアリールから選択され、
が、水素、ハロ、ヒドロキシ、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアミノ、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているアルコキシ、スルファニルおよびスルフィニルから選択され、ならびに
が、水素、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキルおよび低級ハロアルキルから選択される)
ならびにそれらの医薬として許容できる塩および互変異性体から選択される少なくとも1種の化学的実体が提供される。
【0091】
いくつかの実施形態において、Rは、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、場合により置換されているシクロアルキルおよび場合により置換されている低級アルキルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、場合により置換されているフェニル、ヒドロキシ、場合により置換されているアルコキシ、場合により置換されているアミノ、場合により置換されているヘテロアリール、ハロおよび場合により置換されているヘテロシクロアルキルから選択される1つまたは複数の基で場合により置換されている低級アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、アルケニル、ペンチル、シクロプロピル、ブチル、プロピル、エチルおよびメチルから選択され、それらは各々、場合により置換されているフェニル、ヒドロキシ、場合により置換されているアルコキシ、場合により置換されているアミノおよび場合により置換されているヘテロシクロアルキルから選択される1つまたは複数の基で場合により置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、3−ペンチル、イソプロピル、tert−ブチル、1−エチル−2−ヒドロキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、1−エチル−3−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシエチル、イソプロピル、1−ヒドロキシメチル−3−メチルブチル、1−(メトキシメチル)プロピル、1−エチル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシ−tert−ブチル、1−エチル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルおよび2−ヒドロキシ−1−(2−メチルプロピル)エチルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、3−ペンチル、イソプロピル、1−エチル−2−ヒドロキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、tert−ブチル、1−エチル−3−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチル−3−メチルブチル、1−(メトキシメチル)プロピル、1−エチル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルおよび2−ヒドロキシ−tert−ブチルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、(S)−1−ヒドロキシ−4−メチルペンタン−2−イル、(S)−1−ヒドロキシ−ブタン−2−イル、1−アセトキシブタン−2−イル、(R)−1−メトキシブタ−2−イル、(S)−1−メトキシブタ−2−イル、(S)−1−ヒドロキシ−ペンタン−3−イル、(R)−2−ヒドロキシ−2−メチルペンタン−3−イル、(S)−2−ヒドロキシ−2−メチルペンタン−3−イル、(S)−1−ヒドロキシ−ペンタン−2−イル、(S)−1−ヒドロキシ−ブタン−2−イル、(R)−1−ヒドロキシ−プロパン−2−イル、(S)−1−ヒドロキシ−プロパン−2−イル、(S)−4−ヒドロキシ−ブタン−2−イル、(R)−1−ヒドロキシ−ブタン−2−イル、(S)−((S)−2−ブチル)−2−アミノ−3−メチルブタノエート、(S)−1−アミノブタン−2−イルおよび(R)−((S)−2−ブチル)−2−アミノ−3−メチルブタノエートから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、3−ペンチル、イソプロピル、(S)−1−ヒドロキシ−ペンタン−3−イルおよび(S)−1−ヒドロキシ−ブタン−2−イルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、3−ペンチルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、メチルプロピルである。いくつかの実施形態において、Rは、(1R)−1−メチルプロピルである。
【0092】
いくつかの実施形態において、Rは、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているオキサジアゾリル、場合により置換されているピラゾリル、場合により置換されているインダゾリル、場合により置換されているベンズイミダゾリル、場合により置換されているテトラゾリルおよび場合により置換されているピリジルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているピリド−2−イルおよび場合により置換されているピリド−4−イルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、フェニル、ピリド−2−イルおよびピリド−4−イルから選択され、それらは各々、場合により置換されている低級アルキル、ハロ、シアノ、スルホニル、場合により置換されている低級アルコキシ、アミノカルボニル、場合により置換されているアミノ、アルコキシカルボニルおよびアシルから独立に選択される1つまたは2つの基で場合により置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、場合により置換されているピラゾリルである。いくつかの実施形態において、Rは、ピラゾル−1−イルまたはピラゾル−3−イルであり、それらは各々、低級アルキル、ハロおよび低級アルコキシから独立に選択される1つまたは2つの基で場合により置換されている。いくつかの実施形態において、Rは、ピラゾル−1−イルである。
【0093】
いくつかの実施形態において、Rは、水素、ハロ、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアミノ、場合により置換されているアルコキシおよびスルファニルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、水素、ハロおよび場合により置換されているアルキニルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、水素、フルオロ、クロロおよびブロモから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、クロロである。
【0094】
いくつかの実施形態において、Rは、水素、ハロおよび低級アルキルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、水素である。
【0095】
式IIの化合物:
【0096】
【化3】

(式中、R、RおよびRは、式Iの化合物に関して記載したとおりであり、
式中、RおよびR12は、水素、ハロ、場合により置換されている低級アルキル、シアノおよびアシルから独立に選択され、
およびR11は、水素、ハロ、アシル、低級アルコキシ、シアノ、低級アルコキシカルボニルおよび場合により置換されている低級アルキルから独立に選択され、
10は、水素、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、場合により置換されている低級アルキル、スルホニル、アミノカルボニルおよび場合により置換されている低級アルコキシから選択される)
およびそれらの医薬として許容できる塩から選択される少なくとも1種の化学的実体も提供される。
【0097】
いくつかの実施形態において、Rは、水素、ハロ、場合により置換されているメチル、場合により置換されているアルコキシおよびシアノから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、水素、フロオロ、クロロ、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルおよびシアノから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、水素およびフロオロから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、水素である。
【0098】
いくつかの実施形態において、Rは、水素、低級アルキルおよびハロから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、フルオロ、クロロ、メチルおよび水素から選択される。いくつかの実施形態において、Rは、フルオロおよび水素から選択される。
【0099】
いくつかの実施形態において、R10は、水素、ハロ、場合により置換されているメトキシ、場合により置換されているメチルおよびシアノから選択される。いくつかの実施形態において、R10は、水素、ハロ、メトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、メチルおよびシアノから選択される。いくつかの実施形態において、R10は、水素、クロロおよびフルオロから選択される。
【0100】
いくつかの実施形態において、R11は、水素である。
【0101】
いくつかの実施形態において、R12は、水素である。
【0102】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、
【0103】
【化4】

【0104】
【化5】

【0105】
【化6】

【0106】
【化7】

【0107】
【化8】

【0108】
【化9】

【0109】
【化10】

【0110】
【化11】

【0111】
【化12】

【0112】
【化13】

【0113】
【化14】

【0114】
【化15】

【0115】
【化16】

【0116】
【化17】

【0117】
【化18】

【0118】
【化19】

【0119】
【化20】

【0120】
【化21】

【0121】
【化22】

【0122】
【化23】

【0123】
【化24】

【化25】

から選択される。
【0124】
本明細書に記載の化学的実体は、例えば「反応スキーム」を参照しながら以下に例示されているように、当技術分野で周知の技法を利用して合成できる。
【0125】
相反する指示がない限り、本明細書に記載の反応は、大気圧で、一般に−10℃〜200℃の範囲の温度内で行われる。さらに、実施例で使用されている場合、または別段の指示がある場合を除き、反応時間および反応条件は、おおよそであること、例えばほぼ大気圧で、約−10℃〜約110℃の温度範囲内で、約1〜約24時間にわたって行われ、終夜実行状態にしたままの反応は平均して約16時間になることが意図されている。
【0126】
「溶媒」、「有機溶媒」および「不活性溶媒」という用語は各々、それらとともに記載されている反応条件下で不活性な溶媒を意味する[例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、N−メチルピロリドン(「NMP」)、ピリジンなどが挙げられる]。相反する指示がない限り、本明細書に記載の反応で使用される溶媒は、不活性有機溶媒である。相反する指示がない限り、溶媒1cc(またはmL)は、制限試薬各グラムに相当する量を構成する。
【0127】
本明細書に記載の化学的実体および中間体の単離および精製は、所望される場合、例えば濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーもしくは厚層クロマトグラフィー、またはこれらの方法の組合せなど、任意の適切な分離法または精製法により行うことができる。適切な分離法および単離法の具体的な例は、以下の実施例を参照することにより得ることができる。しかし、他の同等の分離法および単離法も使用できる。
【0128】
所望される場合、(R)−異性体および(S)−異性体は、例えば結晶化により分離できるジアステレオ異性体の塩または複合体の形成;例えば結晶化、ガス液体クロマトグラフィーもしくは液体クロマトグラフィーにより分離できるジアステレオ異性体の誘導体の形成;1つのエナンチオマーとエナンチオマー特異的試薬との選択的反応、例えば酵素的酸化もしくは酵素的還元、次いで修飾エナンチオマーおよび非修飾エナンチオマーの分離;またはキラル環境、例えば結合キラルリガンドを有するシリカなどのキラル支持体上で、もしくはキラル溶媒の存在下でのガス液体クロマトグラフィーもしくは液体クロマトグラフィーなど、当業者に公知の方法により分割できる。あるいは、特定のエナンチオマーは、光学活性な試薬、基質、触媒もしくは溶媒を用いた不斉合成により、または不斉転換により1つのエナンチオマーを他のものに変換することにより合成できる。
【0129】
場合により置換されている出発化合物および他の反応物の多くは、例えばAldrich Chemical Company(Milwaukee、WI)から商業的に入手できるか、または汎用されている合成法を用いて当業者により容易に調製できる。
【0130】
【化26】

反応スキーム1のステップ1に関して、式101の化合物を、水中で過剰量、例えば約4等量の水酸化ナトリウムで還流することにより、対応するピリジン−2−オールに変換する。生成物である式102の化合物を、単離し、場合により精製する。
【0131】
反応スキーム1のステップ2に関して、式102の化合物を、加熱下、例えば約130℃にて溶媒、例えばDMF中でオキシ臭化リンと反応させることにより、対応する2−ブロモピリジンに変換する。生成物である式103の化合物を、単離し、場合により精製する。
【0132】
反応スキーム1のステップ3に関して、式103の化合物を、加熱下、例えば約120℃にて溶媒、例えばDMSO中で若干過剰量、例えば約1.25等量のCuCNと反応させることにより、対応する2−シアノピリジンに変換する。生成物である式104の化合物を、単離し、場合により精製する。
【0133】
反応スキーム1のステップ4に関して、式104の化合物を、低温、例えば約−78℃にて、若干過剰量、例えば約1.1等量の塩基、例えばLDAと反応させることにより、対応する4−ヨードピコリノニトリルに変換し、次いで過剰量、例えば約1.5等量のヨウ素を加え、次いで周囲温度まで昇温する。生成物である式105の化合物を、単離し、場合により精製する。
【0134】
反応スキーム1のステップ5に関して、式105の化合物を、過剰量、例えば約10等量の適切に置換されているアミンで加熱する。生成物である式106の化合物を、単離し、場合により精製する。
【0135】
反応スキーム1のステップ6に関して、式106の化合物を、溶媒、例えばDMSO中に塩基、例えば炭酸カリウムを加え、次いで約0℃まで冷却し、水性過酸化水素を加えることにより対応するアミドに酸化させる。生成物である式107の化合物を、単離し、場合により精製する。
【0136】
反応スキーム1のステップ7に関して、式107の化合物を、塩基、例えばKOHとともにメタノールに溶解し、例えば約−10℃まで冷却し、ヨードソベンゼンジアセテートを加える。生成物である式108の化合物を、単離し、場合により精製する。
【0137】
反応スキーム1のステップ8に関して、式108の化合物を、水中で、触媒、例えば(DPPF)PdClおよび塩基、例えば2M KCOを用いて、適切に置換されているボロン酸に結合させ、得られた混合物をマイクロ波反応器にかけ、例えば約120℃まで加熱する。生成物である式109の化合物を、単離し、精製する。
【0138】
ラセミ混合物を、クロマトグラフィーカラム上に場合により置き、(R)−エナンチオマーおよび(S)−エナンチオマーに分離する。
【0139】
本明細書に記載の化合物を、医薬として許容できる酸と場合により接触させて、対応する酸付加塩を形成する。
【0140】
式Iの化合物の医薬として許容できる酸付加塩を、塩基と場合により接触させて、対応する遊離塩基を形成する。
【0141】
本明細書に記載の化学的実体は、骨格筋ミオシン、骨格筋アクチン、骨格筋トロポミオシン、骨格筋トロポニンC、骨格筋トロポニンI、骨格筋トロポニンT、それらのフラグメントおよびイソ型を含む骨格筋、ならびに骨格筋サルコメアの1つまたは複数を調節し、それらの活性に結合するか、阻害するかおよび/または増強するのに有用である。これに関連して使用する場合、「調節する」とは、ミオシン活性を増加または低下させることを意味し、ここで「増強する」とは、活性を増加することを意味し、「阻害する」とは、活性を低下させることを意味する。
【0142】
それを必要とする患者において骨格筋の効率を増大させる方法であって、速骨格筋線維または速骨格筋サルコメアのトロポニン複合体を選択的に結合する有効量の少なくとも1種の化学的実体を、前記患者に投与することを含む方法も提供される。いくつかの実施形態において、化学的実体は、速骨格筋線維または速骨格筋サルコメアを活性化する。いくつかの実施形態において、化学的実体の投与により、骨格筋の出力が増加する。いくつかの実施形態において、化学的実体の投与により、化学的実体で処理されていない骨格筋線維または骨格筋サルコメアと比較して、速骨格筋線維または速骨格筋サルコメアのカルシウムイオンに対する感受性が増大する。いくつかの実施形態において、化学的実体の投与により、カルシウムイオン濃度が低下し、骨格筋ミオシンがアクチンに結合する。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の化学的実体の投与により、速骨格筋線維が、最大下レベルの筋収縮でより効率的に力を発生する。
【0143】
速骨格筋線維を感作させ、カルシウムイオン濃度の低下に応答した力を発生させる方法であって、速骨格筋線維と、速骨格筋サルコメアのトロポニン複合体に選択的に結合する少なくとも1種の化学的実体とを接触させることを含む方法も提供される。いくつかの実施形態において、速骨格筋線維と化学的実体とを接触させることにより、未処理の速骨格筋線維よりも低いカルシウムイオン濃度で速骨格筋線維が活性化される。いくつかの実施形態において、速骨格筋線維と化学的実体とを接触させることにより、未処理の速骨格筋線維と比較して、より低いカルシウムイオン濃度で、増強された力が発生する。
【0144】
それを必要とする患者において骨格筋疲労までの時間を増大させる方法であって、速骨格筋線維と、速骨格筋線維のトロポニン複合体に選択的に結合する化合物とを接触させることを含む方法も提供される。いくつかの実施形態において、化合物を結合させて、リガンド−トロポニン複合体−カルシウムイオン複合体を形成し、速骨格筋線維を活性化する。いくつかの実施形態において、複合体の形成および/または速骨格筋線維の活性化により、同様のカルシウムイオン濃度で接触した未処理の速骨格筋と比較したとき、力が増強されるか、および/または疲労までの時間が増大する。
【0145】
本明細書に記載の化学的実体、医薬組成物および方法は、インビボでの骨格筋サルコメアの収縮を調節でき、ヒト疾患と動物疾患の両方に適用できる。このような化学的実体により、例えば、骨格筋ミオシンの基底ATPase速度の増大が可能となり得るか、または骨格筋ミオシンの出力が増大し得る。調節は、それだけに限らないが神経筋疾患(例えばALS)、筋肉消耗を有する状態(例えば、サルコペニアおよび悪液質症候群)、跛行、虚弱、メタボリック症候群、廃用性筋萎縮、筋疲労、筋痙攣、肥満ならびに他の急性および慢性の状態および疾患を含む、いくつかの状態または疾患において望ましいであろう。
【0146】
より具体的には、本明細書に記載の化学的実体は、てんかん、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、重症筋無力症、脊椎性筋萎縮症、多発性硬化症(MS)および他の神経筋の状態の治療に有用であり得る。
【0147】
さらに、筋ジストロフィーなどの筋ミオパチーの治療も本発明により包含される。筋ジストロフィーは、進行性の筋力低下、筋線維の破壊および再生、ならびに線維性結合組織および脂肪性結合組織による筋線維の最終的な置き換えにより特徴付けることができる。筋ジストロフィーを患っている患者の筋線維に代謝貯蔵物は蓄積されない。本発明による治療により、該疾患の症状の一部を緩和し、患者の生活の質の改善をもたらすことができる。
【0148】
化学的実体は、老化と関連した虚弱またはサルコペニアの治療にも有用であろう。より具体的には、臨床的に、このような骨格筋組織量の低下または筋萎縮は、高齢者の虚弱の重要な寄与因子である。ヒト男性において、筋肉量は、50歳〜80歳の間で3分の1低下する。高齢者においては、長期入院により、さらなる廃用性萎縮を引き起こし、自立生活能力を失う可能性があり、一連の体力低下に至り得る。さらに、身体的老化のプロセスは、除脂肪体重の有意な減少および体幹部脂肪の増加を含む、身体組成に多大な影響を与える。総脂肪分布の変化は、多くの一般的な「加齢に伴う」疾患、例えば高血圧、耐糖能異常および糖尿病、脂質異常症ならびにアテローム性動脈硬化症における重要な因子であると思われる。さらに、筋肉量、次いで筋力および筋持久力の加齢に伴う低下は、機能喪失、機能依存性および機能障害の主な決定因子となり得る。また、筋力低下は、高齢者を転倒しやすくさせ、その結果として生じる罹患率および死亡率の主な因子である。
【0149】
化学的実体は、廃用性萎縮、筋肉消耗または悪液質、糖尿病の治療、ならびにそれだけに限らないが高血圧、COPD、心不全、慢性腎疾患、肥満、跛行、メタボリック症候群、慢性疲労症候群、糖尿病およびアテローム性動脈硬化症を含む他の疾患に関連した筋肉消耗など、高齢動物の筋肉量の減少に関連したある種の状態の治療での使用を見出すこともできる。
【0150】
化学的実体は、手術後の患者など入院患者と外来診療の場で長期リハビリテーションを受けている患者の両方を含む、リハビリテーションを受けている患者との関連においての使用も見出すことができる。
【0151】
化学的実体を、タンパク質に結合するものとしてまたはタンパク質の結合特性もしくは生物活性の調節剤として特定する方法は、例えば米国特許第6410254号および米国仮出願第10/987165号に記載されている。
【0152】
例えば、試験化合物は、マルチウェルプレートを用いることにより、該化合物をウェルに個別に置くか、またはそれらを混合物中で試験することにより極めて平行にアッセイできる。次いで、標的タンパク質複合体、カップリング酵素および基質を含むアッセイ成分、ならびにATPをウェルに加えることができ、プレートの各ウェルの吸光度または蛍光度をプレートリーダーで測定できる。
【0153】
いくつかの実施形態において、該方法は、384ウェルプレート型および25μLの反応容量を使用する。ピルビン酸キナーゼ/乳酸デヒドロゲナーゼ結合酵素系(Huang TG and Hackney D D.(1994年)J Biol Chem 269巻(23号):16493〜501頁)を使用して、各ウェル中のATP加水分解速度を測定できる。当業者であれば認識されるであろうが、アッセイ成分をバッファーおよび試薬に加える。インキュベーション時間を最適化して、バックグラウンドに対して適切な検出信号を得ることができる。アッセイを、実時間で行って、ATP加水分解速度を得ることができ、それによりアッセイの信号対雑音比が増加する。
【0154】
化合物は、除膜筋線維調製物を使用してさらに試験できる。このようなアッセイは、当技術分野で公知である。例えば、Cheungら(2002年)Nature Cell Biol. 4巻:83頁および米国特許第20020006962号参照。
【0155】
本明細書に記載の化学的実体は、治療有効量、例えば既に記載した病状を治療するのに十分な用量で投与される。ヒト用量レベルは、本明細書に記載の化学的実体に対してはいまだ最適化されていないが、一般に、1日量は、約0.05〜100mg/kg体重、特定の実施形態においては約0.10〜10.0mg/kg体重、特定の実施形態においては約0.15〜1.0mg/kg体重の範囲である。したがって、特定の実施形態において、70kgのヒトに投与するためには、用量は、1日当たり約3.5〜7000mg、特定の実施形態においては1日当たり約7.0〜700.0mg、特定の実施形態においては1日当たり約10.0〜100.0mgとなろう。投与される化学的実体の量は、当然ながら治療される対象および病状、苦痛の程度、投与方法および投与日程、ならびに処方医師の判断に依存すると思われるが、例えば経口投与に対して適当な用量範囲は、1日当たり約70〜700mgであると思われる一方で、静脈内投与に対して適当な用量範囲は、化合物の薬物動態に応じて1日当たり約70〜700mgであると思われる。
【0156】
本明細書に記載の化学的実体の投与は、それだけに限らないが、経口、舌下、皮下、静脈内、鼻腔内、局所、経皮、腹腔内、筋肉内、肺内、経膣、直腸内または眼球内を含む、類似の有用性を満たす薬剤に関して受け入れられている投与方法のいずれかによるものであってよい。いくつかの実施形態において、経口投与または非経口投与を使用する。
【0157】
医薬として許容できる組成物としては、固体剤形、半固体剤形、液体剤形およびエアロゾル剤形、例えば錠剤、カプセル、粉末、液体、懸濁液、座薬、エアロゾルなどが挙げられる。化学的実体は、所定の速度での長期投与および/または定期投与、パルス投与のための、蓄積注射、浸透圧ポンプ、ピル、経皮(電気輸送を含む)パッチなどを含む、持続放出剤形または制御放出剤形でも投与できる。特定の実施形態において、組成物は、正確な用量の単回投与に適した単位剤形で提供される。
【0158】
本明細書に記載の化学的実体は、単独で、またはより通常は従来の医薬担体、医薬賦形剤など(例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリン酸ナトリウム、タルカム、セルロース、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなど)と組み合わせて投与できる。所望される場合、医薬組成物は、少量の非毒性の補助物質、例えば湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤など(例えば酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、モノラウリン酸ソルビタン、酢酸トリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミンなど)も含有できる。一般に、意図される投与方法に応じて、医薬組成物は、化学的実体を約0.005%〜95重量%、特定の実施形態においては約0.5%〜50重量%含有するであろう。このような剤形を調製する実際の方法は、当業者に公知であるか、または明らかであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvaniaを参照。
【0159】
さらに、本明細書に記載の化学的実体は同時投与でき、医薬組成物としては、他の薬剤、医薬品、アジュバントなどを挙げることができる。適切な薬剤および医薬品としては、骨格筋ミオシン、骨格筋アクチン、骨格筋トロポミオシン、骨格筋トロポニンC、骨格筋トロポニンI、骨格筋トロポニンT、それらのフラグメントおよびイソ型を含む骨格筋、ならびに骨格筋サルコメアの1つまたは複数の調節剤、ならびに米国仮出願第2005/0197367号に記載の薬剤に加えて、抗肥満薬、抗サルコペニア薬(anti−sarcopenia agent)、抗筋肉消耗薬、抗虚弱薬、抗悪液質剤、抗筋痙攣剤、手術後および外傷後の筋力低下に対する薬剤、ならびに抗神経筋疾患剤を含む前記障害の治療に有用な他の適切な治療薬が挙げられる。
【0160】
適切なさらなる薬剤および医薬品としては、例えばオルリスタット、シブトラミン(sibramine)、ジエチルプロピオン、フェンテルミン、ベンズアフェタミン(benzaphetamine)、フェンジメトラジン、エストロゲン、エストラジオール、レボノルゲストレル、酢酸ノルエチンドロン、吉草酸エストラジオール、エチニルエストラジオール、ノルゲスチメート、抱合型エストロゲン、エステル化エストロゲン、酢酸メドロキシプロゲステロン、テストステロン、インシュリン由来増殖因子、ヒト成長ホルモン、リルゾール、カンナビジオール、プレドニゾン、アルブテロール、非ステロイド性抗炎症薬およびボツリヌス毒素が挙げられる。
【0161】
他の適切な薬剤および医薬品としては、TRH、ジエチルスチルベステロール、テオフィリン、エンケファリン、E系列のプロスタグランジン、米国特許第3239345号に開示されている化合物(例えば、ゼラノール)、米国特許第4036979号に開示されている化合物(例えば、スルベノクス)、米国特許第4411890号に開示されているペプチド、成長ホルモン分泌促進因子、例えばGHRP−6、GHRP−1(米国特許第4411890号、ならびに国際公開第89/07110号および国際公開第89/07111号に開示されている)、GHRP−2(国際公開第93/04081号に開示されている)、NN703(Novo Nordisk)、LY444711(Lilly)、MK−677(Merck)、CP424391(Pfizer)およびB−HT920、成長ホルモン放出因子およびその類似体、成長ホルモンおよびその類似体、ならびにIGF−1およびIGF−2を含むソマトメジン、αアドレナリンアゴニスト、例えばクロニジンまたはセロトニン5−HTアゴニスト、例えばスマトリプタン、ソマトスタチンまたはその放出を阻害する薬剤、例えばフィソスチグミン、ピリドスチグミン、パラチロイドホルモン、PTH(1−34)、ならびにビスホスホネート、例えばMK−217(アレンドロネート)が挙げられる。
【0162】
さらに他の適切な薬剤および医薬品としては、エストロゲン、テストステロン、選択的エストロゲン受容体調節剤、例えばタモキシフェンまたはラロキシフェン、他のアンドロゲン受容体調節剤、例えばEdwards, J. P.ら、Bio. Med. Chem. Let.、9巻、 1003〜1008頁(1999年)およびHamann, L. G.ら、J. Med. Chem.、42巻、210〜212頁(1999年)に開示されているもの、ならびにプロゲステロン受容体アゴニスト(「PRA」)、例えばレボノルゲストレル、酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)が挙げられる。
【0163】
さらに他の適切な薬剤および医薬品としては、P2阻害剤、例えば2000年3月6日出願の米国特許出願第09/5159079号に開示のもの、PPARγアンタゴニスト、PPARδアゴニスト、β3アドレナリンアゴニスト、例えばAJ9677(Takeda/Dainippon)、L750355(Merck)またはCP331648(Pfizer)、米国特許第5541204号、第5770615号、第5491134号、第5776983号および第5488064号に開示されている他のβ3アゴニスト、リパーゼ阻害剤、例えばオルリスタットまたはATL−962(Alizyme)、セロトニン(およびドーパミン)再摂取阻害剤、例えばシブトラミン、トピラメート(Johnson&Johnson)またはアキソキン(Regeneron)、国際公開第97/21993号、国際公開第99/00353号および英国特許第98/284425号に開示されている甲状腺受容体β薬、例えば甲状腺受容体リガンド、ならびに食欲抑制薬、例えばデキサンフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミンまたはマジンドールが挙げられる。
【0164】
さらに他の適切な薬剤および医薬品としては、HIVおよびAIDSの治療薬、例えば硫酸インジナビル、サキナビル、メシル酸サキナビル、リトナビル、ラミブジン、ジドブジン、ラミブジン/ジドブジンの組合せ、ザルシタビン、ジダノシン、スタブジンおよび酢酸メゲストロールが挙げられる。
【0165】
さらに他の適切な薬剤および医薬品としては、再吸収阻害剤、ホルモン補充療法、ビタミンD類似体、元素カルシウムおよびカルシウムサプリメント、カテプシンK阻害剤、MMP阻害剤、ビトロネクチン受容体アンタゴニスト、SrcSH(SrcSH.sub.2)アンタゴニスト、液胞型H−ATPase(vacular −−H−ATPase)阻害剤、イプリフラボン、フルオリド、チボロン、プロスタノイド、17−βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤およびSrcキナーゼ阻害剤が挙げられる。
【0166】
上記の他の治療薬は、本明細書に記載の化学的実体と組み合わせて使用するとき、例えば米国医薬品便覧(PDR)に指示されている量で、または当業者による別段の決定がある場合はその量で使用できる。
【0167】
特定の実施形態において、組成物は、ピルまたは錠剤の形態をとると思われ、したがって組成物は、活性成分とともに、希釈剤、例えばラクトース、スクロース、リン酸ジカルシウムなど;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムなど;および結合剤、例えばデンプン、アカシアゴム、ポリビニルピロリジン、ゼラチン、セルロース、セルロース誘導体などを含有するであろう。別の固体剤形においては、(例えば、炭酸プロピレン、植物油またはトリグリセリド中の)粉末、マルメ(marume)、溶液または懸濁液を、ゼラチンカプセルにカプセル化する。
【0168】
医薬として投与できる液体組成物は、例えば少なくとも1種の化学的実体および任意選択の医薬アジュバントを担体(例えば水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなど)に溶解、分散させるなどして、溶液または懸濁液を形成することにより調製できる。注射剤は、液体溶液または液体懸濁液のいずれかとして、エマルジョンとして従来の形態に、または注射前に液体に溶解させるか、または懸濁させるのに適した固体形態に調製できる。このような非経口組成物に含有される化学的実体の割合は、その特異性、ならびに化学的実体の活性および対象の必要性に大きく依存する。しかし、溶液中で0.01%〜10%の活性成分の割合が使用でき、組成物がその後上記の割合で希釈される固体である場合はより高くなるであろう。特定の実施形態において、組成物は、溶液中に約0.2〜2%の活性成分を含むであろう。
【0169】
本明細書に記載の化学的実体の医薬組成物は、ネブライザー用のアエロゾルもしくは溶液として、または通気用の超微粒粉末として、単独、またはラクトースなどの不活性担体と組み合わせて気道に投与してもよい。このような場合、医薬組成物の粒子は、50μ未満、特定の実施形態においては10μ未満の直径を有する。
【実施例】
【0170】
以下の実施例は、上記の発明を使用する方法をより完全に記載するために利用される。これらの実施例は、本発明の真の範囲を限定するために利用されることは決してなく、むしろ例示目的のために提供されることが理解される。
【0171】
(実施例1)
6−クロロ−1−(ペンタン−3−イル)−7−フェニル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オールの調製
【0172】
【化27】

6−クロロ−1−(ペンタン−3−イル)−7−フェニル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール
【0173】
【化28】

5−クロロ−3−フルオロ−2−ヒドロキシピリジン。水(500mL)中のNaOH(101g、2.5mol)の溶液に、5−クロロ−2,3−ジフルオロピリジン(101g、0.68mol)を液体として加え、得られた混合物を加熱して終夜還流した。室温まで冷却した後、混合物をセライトのパッドを通して濾過し、濃縮HClを加えることによりpHを1に調節した。得られた固体を酢酸エチルに溶解した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。白色固体(78g、78%)として表題化合物を得、さらに精製せずに使用した。生成物をH NMRで特徴付けた。
【0174】
【化29】

2−ブロモ−5−クロロ−3−フルオロピリジン。固体5−クロロ−3−フルオロ−2−ヒドロキシピリジン(75g、0.51mol)に、溶融POBr(150g、0.52mmol)を加えた。次いで、DMF(2mL)をピペットで加え、混合物を130℃で1時間加熱した。過剰量のPOBrを、水を反応混合物に0℃で慎重に加えることにより失活させ、得られた混合物をEtOAc:水の2:1混合物に溶解した。有機層を水で3回、塩水で1回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。得られた黄色油を、シリカゲルのプラグ(10%EtO:90%ヘキサン)を通過させ、白色固体(79.4g、74%)として表題化合物を得た。生成物をH NMRで特徴付けた。
【0175】
【化30】

5−クロロ−3−フルオロピコリノニトリル。2−ブロモ−5−クロロ−3−フルオロピリジン(107g、0.5mmol)およびCuCN(55g、0.62mmol)を磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコに加えた。フラスコを隔膜で封止し、窒素で10分間パージした。次いで、DMSO(430mL)をシリンジで加え、得られた混合物を120℃で3時間撹拌した。反応物を室温まで冷却し、次いでEtOAc(1L)および塩水(1L)の勢いよく撹拌した混合物に注入した。有機層を水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(15%エチルエーテル、85%ヘキサン)により、オフホワイト固体(52g、67%)として表題化合物が得られた。生成物をH NMRで特徴付けた。
【0176】
【化31】

5−クロロ−3−フルオロ−4−ヨードピコリノニトリル。乾燥THF(200mL)中のLDA(34.9mmol、1.1等量)の冷却(−78℃)した溶液に、乾燥THF(100mL)中の5−クロロ−3−フルオロ−4−ヨードピコリノニトリル(5g、31.9mmol)を15分かけて1滴ずつ加えた。得られた混合物を−78℃でさらに15分間撹拌した。乾燥THF(72mL)中のヨウ素(12g、47mmol、1.5等量)の冷却(−78℃)した溶液を反応物中に急速に注入し、得られた混合物を冷浴から除去し、20分間撹拌した。次いで、反応物を、飽和水性NaSを加えることにより失活させた。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(5%EtOAc、95%ヘキサン)により、黄色固体(7.4g、82%)として表題化合物が得られ、それをH NMRで特徴付けた。
【0177】
【化32】

5−クロロ−4−ヨード−3−(ペンタン−3−イルアミノ)ピコリノニトリル。3−アミノペンタン(1mL)中の5−クロロ−3−フルオロ−4−ヨードピコリノニトリル(46mg、0.16mmol)溶液を80℃まで1時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却させ、減圧濃縮し、次いでEtOAcおよび水で希釈した。有機層を水で洗浄し、シリカゲルプラグを通して濾過して、白色粉末(55mg、100%)として表題化合物を得、それをLCMS(m/z=350.1[M+H])およびH NMRで特徴付けた。
【0178】
【化33】

5−クロロ−4−ヨード−3−(ペンタン−3−イルアミノ)ピコリンアミド。DMSO(1mL)中の5−クロロ−4−ヨード−3−(ペンタン−3−イルアミノ)ピコリノニトリル(55mg、0.16mmol)溶液に、固体炭酸カリウム(210mg、0.64mmol)を加えた。混合物を氷水浴(0℃)で冷却し、水性過酸化水素(30%、0.5mL)を加えた。反応物を室温まで昇温させ、LCMSでモニターした。反応が完了した後、反応混合物をEtOAcで希釈し、有機層を水で繰り返し洗浄した。次いで、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。残渣を、シリカゲルプラグを通して濾過して、白色固体(50mg、83%)として表題化合物を得た。該化合物をLCMS(m/z=368.1[M+H])およびH NMRで特徴付けた。
【0179】
【化34】

6−クロロ−7−ヨード−1−(ペンタン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール。MeOH(1mL)中の5−クロロ−4−ヨード−3−(ペンタン−3−イルアミノ)ピコリンアミド(50mg、0.13mmol)の冷却(−10℃)した混合物に、ヨードソベンゼンジアセテート(44mg、0.14mmol)を固体として加えた。反応物を室温まで昇温させ、1時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、残渣をEtOAcおよび水に溶解した。1M HClを加えることにより水相のpHをpH6に調節し、次いで有機層を除去し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(50%EtOAc、50%ヘキサン)により、白色固体(30mg、60%)として表題化合物が得られた。該化合物をLCMS(m/z=366.2[M+H])およびH NMRで特徴付けた。
【0180】
【化35】

6−クロロ−1−(ペンタン−3−イル)−7−フェニル−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール。6−クロロ−7−ヨード−1−(ペンタン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール(190mg、0.52mmol)、フェニルボロン酸(76mg、0.63mmol)および(DPPF)PdCl(38mg、0.052mmol)を、撹拌棒を備えたマイクロ波バイアルに加えた。バイアルを隔膜で封止し、容器を窒素で5分間パージした。脱気ジオキサン(5mL)および脱気2M KCO(水性)(1mL、2mmol)をシリンジで加え、隔膜をクリンプバイアルキャップで置き換えた。反応物を135℃で20分間加熱した。反応混合物をEtOAcおよび水で希釈し、有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。分取LCMSによる精製により、白色固体(60mg)として表題化合物が得られた。該化合物をLCMS(m/z=316.1[M+H])およびH NMRで特徴付けた。
【0181】
(実施例2)
((R)−1−sec−ブチル−6−クロロ−7−(1H−ピラゾル−1−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール)の調製
【0182】
【化36】

ジ−tert−ブチル1−(5−クロロ−2,3−ジフルオロピリジン−4−イル)ヒドラジン−1,2−ジカルボキシレート。窒素雰囲気下で、−78℃にて、THF(400mL)中のジイソプロピルアミン(17mL、0.12mol、1.2等量)の撹拌溶液に、n−BuLi(11mL、ヘキサン中10M、0.11mol、1.1等量)を徐々に加えた。混合物を−78℃でさらに30分間撹拌した後、THF(40mL)中の5−クロロ−2,3−ジフルオロピリジン(15g、0.10mol、1.0等量)を1滴ずつ加えた。−78℃でさらに45分間撹拌した後、THF(200mL)中のジ−tert−ブチルアザジカルボキシレート(28g、0.12mol、1.2等量)の溶液を、反応温度を−70℃以下で維持しながら徐々に加えた。添加の過程で、反応混合物はスラリーとなり、添加し続けると増粘した。さらに5分撹拌した後、過剰量の水性NaHCOを加えて、反応物を失活させた。生成物をEtOAcで抽出し、有機フラクションをNaSO上で乾燥し、真空下で乾燥状態まで濃縮した。EtOAc/ヘキサンの5%〜15%の勾配を用いたシリカゲル上での精製により、淡黄色の粘性油として所望の生成物(18g、48%)が得られた。m/z=380[M+H]
【0183】
【化37】

5−クロロ−2,3−ジフルオロ−4−(1H−ピラゾル−1−イル)ピリジン。ジ−tert−ブチル1−(5−クロロ−2,3−ジフルオロピリジン−4−イル)ヒドラジン−1,2−ジカルボキシレート(4.0g、0.010mol、1.0等量)および1,1,3,3−テトラメトキシプロパン(17mL、0.10mol、10等量)の撹拌混合物に、EtOH(100mL)および濃縮HSO(28mL)の混合物を加えた。次いで、容器を密閉し、45℃まで加熱した。45分間撹拌した後、混合物をEtOAc(300mL)で希釈し、水(300mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空下で濃縮した。残渣を、溶離液として100%ジクロロメタンを用いてシリカゲル上で精製し、所望の生成物(1.6g、70%)を得た。
【0184】
【化38】

5−クロロ−3−フルオロ−4−(1H−ピラゾル−1−イル)ピリジン−2−アミン。圧力容器中の5−クロロ−2,3−ジフルオロ−4−(1H−ピラゾル−1−イル)ピリジン(37g、0.17mol、1.0等量)およびNMP(200mL)の混合物を、50℃にて、アンモニアガス20psi下で終夜撹拌した。混合物を水(400mL)で希釈し、EtOAc(2×300mL)で抽出した。有機フラクションを合わせて、NaSO上で乾燥し、真空下で濃縮した。撹拌しながら、残渣に水(300mL)を加えた。得られた固体を濾過により収集し、ケーキをイソプロパノール(100mL)で洗浄し、真空下で乾燥して、黄色固体として所望の生成物(24g)を得た。固体を、イソプロパノール(40mL)およびEtOAc(20mL)から再結晶し、オフホワイト固体として純粋な生成物19gを得た。母液を真空下で濃縮し、イソプロパノール(30mL)で再結晶し、オフホワイト固体として合わせた合計24g(67%)の所望の生成物に対してさらに5.1gを得た。
【0185】
【化39】

(R)−N3−sec−ブチル−5−クロロ−4−(1H−ピラゾル−1−イル)ピリジン−2,3−ジアミン。圧力容器中の5−クロロ−3−フルオロ−4−(1H−ピラゾル−1−イル)ピリジン−2−アミン(10g、0.047mol、1.0等量)、(R)−sec−ブチルアミン(10g、0.099mol、2等量)およびNMP(40mL)の混合物を、160℃にて2日間撹拌した。sec−ブチルアミンをさらに5g(0.045mol、1等量)を加え、混合物を160℃でさらに2日間撹拌した。溶液を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機フラクションをNaSO上で乾燥し、固体になり始めるまで真空下で濃縮した。MTBE(約3mL)を加え、混合物を室温で1時間放置させた。得られた固体を濾過により収集し、MTBE(約10mL)で洗浄し、真空下で乾燥して、所望の生成物(7.7g、62%)を得た。
【0186】
【化40】

(R)−1−sec−ブチル−6−クロロ−7−(1H−ピラゾル−1−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール。THF(75mL)中の(R)−N3−sec−ブチル−5−クロロ−4−(1H−ピラゾル−1−イル)ピリジン−2,3−ジアミン(7.7g、0.029mol、1.0等量)の溶液に、カルボニルジイミダゾール(14g、0.086mol、3.0等量)を加えた。混合物を60℃で終夜撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を撹拌した1M HCl(400mL)中に徐々に注入した。得られた固体を濾過により収集し、MTBEで洗浄し、真空下で空気乾燥して、純粋な所望の生成物7.3g(86%)を得た。m/z=292.1[M+H]
【0187】
(実施例3)
骨格筋からのサルコメアタンパク質の調製
以下に記載されているように、心筋のエーテル粉末(Zot HGおよびPotter J D.(1981年)Preparative Biochemistry 11巻:381〜395頁)をまず調製することにより、アクチンを精製した。その後、アクチンには、フィラメント状態と溶融状態との間で、一連の遠心分離および透析が繰り返された(Spudich J AおよびWatt S.(1971年)J. Biol. Chem. 246巻:4866〜4871頁)。それを4℃にてフィラメント状態で貯蔵した。
【0188】
トロポミオシンをエーテル粉末から抽出し、pH依存性の沈殿、次いで連続する53%および65%での硫酸アンモニウムカットにより他のタンパク質から分離した(Smillie LB.(1981年)Methods Enzymol 85巻 Pt B:234〜41頁)。トロポニンを、TnC、TnTおよびTnIの無傷の複合体として単離した。エーテル粉末を高塩バッファーに抽出する。連続する30%および45%硫酸アンモニウムカットが行われ、沈殿物を透析により低塩バッファー中に可溶化し、次いで25〜350mM KCl勾配でDEAE Toyopearlカラム上でさらに精製した。アクチンの不在下で基底ATPaseが生来非常に低いミオシンを除き、いずれの成分においてもATPaseは測定できなかった。
【0189】
選別する直前に、アクチン、トロポミオシンおよびトロポニン複合体を、所望の比率(例えば7:1:1)で混合し、アクチンフィラメントの最大限のカルシウム調節を実現する。選別はpCa=6.5で行う。このカルシウム濃度は、筋収縮中、生理学的範囲内にある。
【0190】
反応中のADPの生成を測定するために、ピルビン酸キナーゼ/乳酸デヒドロゲナーゼ/NADH結合酵素系(PK/LDH)をアクチンに加える。ミオシンを別に保管する。動態曲線が得られるように、プレートを実時間で読み取る。これらの化合物はDMSO中にあり、10〜40μg/mlの最終濃度で384ウェルプレートの底面に既に配置されていた。
【0191】
(実施例4)
アクチンの調製
1.粉末(以下の実施例6または7で調製)を、粉末1g当たりバッファーA(以下参照、以下の各ステップで使用する直前にBMEおよびATPを加える)20ml(10g当たり200ml)で抽出する。粉末150gに対して大型の4Lのビーカーを使用する。勢いよく混合して、粉末を溶解する。4℃にて30分間撹拌する。
2.何層かのチーズクロスを通して圧搾することにより、抽出物を加水分解した粉末から分離する。チーズクロスは、水気を1〜2分間電子レンジ処理することにより事前に滅菌するものとする。
3.残渣を同じ量のバッファーAで再抽出し、抽出物を合わせる。
4.JLA10ローター(複数可)で10Krpm(4℃)にて1時間回転させる。2層のチーズクロスを通して上清を収集する。
5.ATPを0.2mMまでおよびMgClを50mMまで加える。撹拌プレート上で4℃にて60分間撹拌し、アクチンを重合させる/準結晶化させる。
6.固体KClを0.6M(45g/l)まで徐々に加える。4℃にて30分間撹拌する。
7.JLA10ローター(複数可)で10Krpmにて1時間回転させる。
8.脱重合:バッファーAでペレットの表面を手早くすすぎ、洗浄剤を処理する。各チューブ内で少量のバッファーAを用いて氷上で予備インキュベートすることによりペレットを滑らかにする(すべてのチューブにおいて最終懸濁液の量全体の半分未満を使用する)。細胞スクレーパーを用いてまず手で再懸濁し、ペレットを合わせる。25mlのピペットおよび電動式ピペッターを用いてさらなるバッファーでチューブを洗浄し、アクチンをチューブの側面から積極的に除去する。氷上の冷バッファーA中で大型のDounceで均質化する。最初に抽出した粉末1g当たり3mlを使用する。
9.48時間にわたって4回交換しながらバッファーAに対して透析する。
10.透析したアクチンを収集し、45Tiローターで40Krpmにて1.5時間(4℃)回転させる。
11.上清を収集する(G−アクチン)。ゲル分析およびタンパク質濃度の決定用に試料を保存する。
【0192】
貯蔵用のG−アクチンを重合するために、KClを50mMまで(3Mのストックから)、MgClを1mMまでおよびNaNを0.02%(10%ストックから)まで加える。4℃にて貯蔵する。冷凍しない。
【0193】
バッファーA:2mM tris/HCl、0.2mM CaCl、0.5mM(36μl/L)2−メルカプトエタノール、0.2mM NaATP(新たに追加)および0.005%Na−アジド;pH8.0。
【0194】
(実施例5)
粉末の調製
1.ミンチ状の筋肉約1000gに対する量を得る。
2.チーズクロスを事前に切断し、水中で10分間煮沸する。完全に乾燥する。
3.予冷したミートグラインダーでトリの胸肉をミンチにする。
4.2Lの0.1M KCl、0.15M K−リン酸塩、pH6.5中で4℃にて10分間撹拌しながら抽出する。JLAで5000rpm、10分間、4℃にて回転させる。ペレットを収集する。
5.2Lの0.05M NaHCOで5分間撹拌しながらペレットを抽出する。JLAで5000rpm、10分、4℃にて回転させる。ペレットを収集する。抽出をもう一度繰り返す。
6.撹拌しながら、濾過した残渣を2Lの1mM EDTA、pH7.0で10分間抽出する。
7.撹拌しながら、2LのHOで5分間抽出する。JLAで10000rpm、15分間、4℃にて回転させる。ペレットを慎重に収集する。その一部は緩やかなゼラチン状であろう。
8.アセトンで5回抽出する(撹拌しながら各々2Lのアセトンで10分間)。チーズクロスを通して徐々に圧搾する。アセトンの抽出はすべて室温で行われる。アセトンは4℃まで予冷するものとする。
9.乾燥:濾過した残渣を大きなガラストレーのチーズクロス上に広げ、フード内で終夜放置する。残渣が乾燥したら、口の広いプラスチックボトルに入れ、20℃で貯蔵する。
【0195】
(実施例6)
代替の粉末の調製法
Zot & Potter(1981年)Prep. Biochem. 11巻(4号)381〜395頁に基づく
1.心筋の左心室を切断する。できるだけ多くの心膜組織および脂肪を除去する。予冷したミートグラインダーで粉砕する。秤量する。
2.5容量の抽出バッファーを調製する(以下参照)。pH=8.0であるか確認する。次いで、15秒間隔でブレンド15秒を4回行って、ブレンダー中の肉を均質化する。既に調製した5容量から得た1容量(重量/容量)のバッファーでこれを行う。ホモジェネートを抽出バッファーに戻し、よく混ざるまで撹拌する(5分間)。
3.大きなポリプロピレンストレーナー内の1層のチーズクロスを通して濾過する。再懸濁して、上記の5容量の抽出バッファーに戻す。
4.ステップ3をさらに4回繰り返す。最後は抽出バッファーに再懸濁せずにステップ5に進む。ペレットは黄白色であるはずである。
5.3容量(最初の重量に従って)の95%冷エタノールに再懸濁する。5分間撹拌して、上記のようにチーズクロスを通して圧搾し、さらに2回繰り返す。
6.圧搾した残渣を秤量し、次いで3容量(新しい重量/容量)の冷ジエチルエーテルに再懸濁する。
7.ステップ6を合計3回繰り返す。
8.ガラストレー内のチーズクロス上の単層に終夜放置する。
9.乾燥したら、粉末を収集し、秤量し、口の広いジャーで4℃にて貯蔵する。
抽出バッファー:50mM KCl、5mM Tris pH8.0
50倍濃度として調製:
2Lに対して
250mM Tris pH8.0 Tris塩基(121.14g/mol、60.6g)
濃縮HClでpHを8.0、次いで添加:
2.5M KCl(74.55g/mol、372g) 。
【0196】
(実施例7)
骨格筋ミオシンの精製
Margossian, S.S.およびLowey, S.(1982年)Methods Enzymol. 85巻、55〜123頁、ならびにGoldmann, W.H.およびGeeves, M.A.(1991年)Anal. Biochem. 192巻、55〜58頁参照。
溶液A:0.3M KCl、0.15Mリン酸カリウム、0.02M EDTA、0.005M MgCl、0.001M ATP、pH6.5
溶液B:1M KCl、0.025M EDTA、0.06M リン酸カリウム、pH6.5
溶液C:0.6M KCl、0.025M リン酸カリウム、pH6.5
溶液D:0.6M KCl、0.05M リン酸カリウム、pH6.5
溶液E:0.15M リン酸カリウム、0.01M EDTA、pH7.5
溶液F:0.04M KCl、0.01M リン酸カリウム、0.001M DTT、pH6.5
溶液G:3M KCl、0.01M リン酸カリウム、pH6.5
すべての手順は4℃で行われる。
1.約1000gの骨格筋、例えばウサギ骨格筋を得る。
2.2回粉砕する;撹拌しながら2Lの溶液Aで15分間抽出する;4Lの冷HOを加え、ガーゼを通して濾過する;イオン強度0.04(約10倍)まで冷HOで希釈する;3時間放置する;沈殿物をGSAローターで7,000rpmにて15分間収集する。
3.ペレットを220mlの溶液Bに分散させる;6Lの溶液Cに対して終夜透析する;約400ml等量の冷蒸留HOを徐々に加える;30分間撹拌する;GSAローターで10,000rpmにて10分間遠心分離する。
4.上清を19,000rpmで1時間遠心分離する。
5.0.04(約8倍)のイオン強度まで上清を希釈する;ミオシンを終夜放置する;GSAローターで10,000rpmにて10分間遠心分離することにより、約5〜6Lの軽いミオシン沈殿物を収集する。
6.最小容量の溶液Gにペレットを再懸濁する;2Lの溶液Dに対して終夜透析する;ニトロセルロースチューブ内で19,000rpmにて2時間遠心分離する;チューブを穿刺して、ミオシンを脂肪および不溶性ペレットから分離する。
7.上清を5〜10mg/mlまで希釈し、溶液Eに対して十分に透析し、DEAE−セファデックスカラムに充填する。
8.溶液Eで予備平衡化する;500〜600gのミオシンを30ml/時で施す;350mlの溶液Eで洗浄する;溶液E中の0〜0.5M KCl(2×1L)の直線勾配で溶出する;10mlのフラクションを収集する;ミオシンフラクション(>0.1M KCl)をプールする;溶液Fに対して終夜の透析により濃縮する;25,000rpmで30分間遠心分離する;上記のように貯蔵する。
9.次いで、ミオシンを、EDTAの存在下でキモトリプシンまたはパパインで切断し、ATPase活性(Margossianの上記論文)に最適な低塩条件下で可溶性のS1フラグメントを生成する。
【0197】
(実施例8)
速骨格筋線維の活性化
速線維活性化剤を、独占権下にあるPUMA(商標)(例えば米国特許第6410254号、第6743599号、第7202051号および第7378254号参照)アッセイ系を用いて筋原線維調製物の酵素活性を測定することにより特定した。筋原線維調製物は、洗浄剤(トリトンX−100)で処理して細胞膜を除去し、次いで均質化したウサギ骨格筋(約90%の速線維)からなっていた。この調製物は、未変性立体配座中にすべてのサルコメアコンポーネントを保持しており、その酵素活性は依然としてカルシウムで調節されていた。化合物を、筋原線維懸濁液、およびその最大比率の25%まで筋原線維の酵素活性を増大させるのに十分なカルシウム濃度(pCa25%と称される)を用いて試験した。酵素活性を、動態アッセイを介して追跡し、紫外線吸収度を読み取った。酵素活性の比率を40μMで40%超増大させる化合物をヒットとして特定した。筋原線維調製物は、カルシウム調節されており、酵素比率を25%増大させるのに十分なカルシウム濃度で選別された。洗浄剤で処理した筋原線維を500μMのATPおよび40μMの化合物でインキュベートし、紫外線吸収度を動的に読み取った。データを対照ウェルに対して正規化した。
【0198】
(実施例9)
本明細書に記載のものと同様の方法を用いて、以下の表の化合物を合成し、試験した。
【0199】
【表2−1】

【0200】
【表2−2】

【0201】
【表2−3】

【0202】
【表2−4】

【0203】
【表2−5】

【0204】
【表2−6】

いくつかの実施形態を示し、記載してきたが、様々な変形および代替は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができる。例えば、請求項の解釈の目的のために、添付の「特許請求の範囲」が、その文字通りの言語より狭義に何ら解釈されることは意図されておらず、したがって明細書における例示的実施形態が、「特許請求の範囲」に読み込まれることは意図されていない。したがって、本発明は、例示のために記載され、「特許請求の範囲」を限定するものではないことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化41】

ならびにそれらの医薬として許容できる塩および互変異性体から選択される少なくとも1種の化学的実体であって、式中、Rは、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリールおよび場合により置換されているヘテロシクロアルキルから選択され、
は、場合により置換されているアリールおよび場合により置換されているヘテロアリールから選択され、
は、水素、ハロ、ヒドロキシ、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアミノ、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているアルコキシ、スルファニルおよびスルフィニルから選択され、
は、水素、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキルおよび低級ハロアルキルから選択される、
化学的実体。
【請求項2】
が、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているオキサジアゾリル、場合により置換されているピラゾリル、場合により置換されているインダゾリル、場合により置換されているベンズイミダゾリル、場合により置換されているテトラゾリルおよび場合により置換されているピリジルから選択される、請求項1に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項3】
が、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているピリド−2−イルおよび場合により置換されているピリド−4−イルから選択される、請求項2に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項4】
が、フェニル、ピリド−2−イルおよびピリド−4−イルから選択され、それらは各々、場合により置換されている低級アルキル、ハロ、シアノ、スルホニル、場合により置換されている低級アルコキシ、アミノカルボニル、場合により置換されているアミノ、アルコキシカルボニルおよびアシルから独立に選択される1つまたは2つの基で場合により置換されている、請求項3に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項5】
が、場合により置換されているピラゾリルである、請求項2に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項6】
が、ピラゾル−1−イルまたはピラゾル−3−イルであり、それらは各々、低級アルキル、ハロおよび低級アルコキシから独立に選択される1つまたは2つの基で場合により置換されている、請求項5に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項7】
が、ピラゾル−1−イルである、請求項6に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項8】
前記式Iの化合物が、式IIの化合物:
【化42】

から選択され、ここで式中、RおよびR12は、水素、ハロ、場合により置換されている低級アルキル、シアノおよびアシルから独立に選択され、
およびR11は、水素、ハロ、アシル、低級アルコキシ、シアノ、低級アルコキシカルボニルおよび場合により置換されている低級アルキルから独立に選択され、
10は、水素、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、場合により置換されている低級アルキル、スルホニル、アミノカルボニルおよび場合により置換されている低級アルコキシから選択される、
請求項1に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項9】
10が、水素、ハロ、場合により置換されているメトキシ、場合により置換されているメチルおよびシアノから選択される、請求項8に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項10】
10が、水素、ハロ、メトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、メチルおよびシアノから選択される、請求項9に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項11】
10が、水素、クロロおよびフルオロから選択される、請求項10に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項12】
11が水素である、請求項8から11のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項13】
が、水素、低級アルキルおよびハロから選択される、請求項8から12のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項14】
が、フルオロ、クロロ、メチルおよび水素から選択される、請求項13に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項15】
が、フルオロおよび水素から選択される、請求項14に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項16】
12が水素である、請求項8から15のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項17】
が、水素、ハロ、場合により置換されているメチル、場合により置換されているアルコキシおよびシアノから選択される、請求項8から16のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項18】
が、水素、フロオロ、クロロ、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルおよびシアノから選択される、請求項17に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項19】
が、水素およびフロオロから選択される、請求項18に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項20】
が水素である、請求項19に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項21】
が、水素、ハロおよび低級アルキルから選択される、請求項1から20のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項22】
が水素である、請求項21に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項23】
が、水素、ハロ、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアミノ、場合により置換されているアルコキシおよびスルファニルから選択される、請求項1から22のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項24】
が、水素、ハロおよび場合により置換されているアルキニルから選択される、請求項23に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項25】
が、水素、フルオロ、クロロおよびブロモから選択される、請求項24に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項26】
がクロロである、請求項25に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項27】
が、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、場合により置換されているシクロアルキルおよび場合により置換されている低級アルキルから選択される、請求項1から26のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項28】
が、場合により置換されているフェニル、ヒドロキシ、場合により置換されているアルコキシ、場合により置換されているアミノ、場合により置換されているヘテロアリール、ハロおよび場合により置換されているヘテロシクロアルキルから選択される1つまたは複数の基で場合により置換されている低級アルキルである、請求項27に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項29】
が、アルケニル、ペンチル、シクロプロピル、ブチル、プロピル、エチルおよびメチルから選択され、それらは各々、場合により置換されているフェニル、ヒドロキシ、場合により置換されているアルコキシ、場合により置換されているアミノおよび場合により置換されているヘテロシクロアルキルから選択される1つまたは複数の基で場合により置換されている、請求項28に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項30】
が、3−ペンチル、イソプロピル、tert−ブチル、1−エチル−2−ヒドロキシエチル、1−エチル−2−ヒドロキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、1−エチル−3−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシエチル、イソプロピル、1−ヒドロキシメチル−3−メチルブチル、1−(メトキシメチル)プロピル、1−エチル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシ−tert−ブチル(2−hydroxy−tert−buyl)、1−エチル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルおよび2−ヒドロキシ−1−(2−メチルプロピル)エチルから選択される、請求項29に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項31】
が、3−ペンチル、イソプロピル、1−エチル−2−ヒドロキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、tert−ブチル、1−エチル−3−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチル−3−メチルブチル、1−(メトキシメチル)プロピル、1−エチル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシ−tert−ブチル、(S)−1−ヒドロキシ−ペンタン−3−イルおよび(S)−1−ヒドロキシ−ブタン−2−イルから選択される、請求項30に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項32】
が、3−ペンチル、イソプロピル、(S)−1−ヒドロキシ−ペンタン−3−イルおよび(S)−1−ヒドロキシ−ブタン−2−イルから選択される、請求項31に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項33】
がメチルプロピルである、請求項29に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項34】
前記式Iの化合物が、以下:
7−(2H−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)−6−クロロ−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(2−メチル(1,2,3,4−テトラゾール−5−イル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−メトキシ−7−(2−メチル(1,2,3,4−テトラゾール−5−イル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(5−メチル(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−フェニルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(1−メチルピラゾール−4−イル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(4−ピリジル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(4−クロロフェニル)−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(3−ピリジル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−(エチルプロピル)−7−フェニルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−ピリミジン−5−イルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(3−クロロフェニル)−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
4−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]ベンゼンカルボニトリル;
3−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]ベンゼンカルボニトリル;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(4−メチルフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]−4−(メチルスルホニル)ベンゼン;
4−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]ベンズアミド;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−[3−(ヒドロキシメチル)フェニル]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−[4−(メトキシメチル)フェニル]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]−3−(メチルスルホニル)ベンゼン;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(4−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
{3−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]フェニル}−N,N−ジメチルカルボキサミド;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
3−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]ベンズアミド;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−[3−(メトキシメチル)フェニル]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
{4−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]フェニル}−N,N−ジメチルカルボキサミド;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(2−メチルフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−インドール−4−イルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(2−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(6−メトキシ(3−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−[3−(トリフルオロメトキシ)フェニル]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(3−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
N−{4−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]フェニル}アセトアミド;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−ピラゾール−3−イルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−ピラゾール−4−イルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
7−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−クロロ−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(2−ピリジル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(3−メチルフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
7−[4−(アミノメチル)フェニル]−6−クロロ−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(2−メトキシ(4−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(5−メトキシ(3−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(4−モルホリン−4−イルフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
{4−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]フェニル}(メチルスルホニル)アミン;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
メチル3−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]ベンゾエート;
3−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]安息香酸;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−[4−(1−ヒドロキシ−イソプロピル)フェニル]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
2−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]安息香酸;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−[3−(1−ヒドロキシ−イソプロピル)フェニル]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−(4−クロロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−(4−クロロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
4−(6−クロロ−2−ヒドロキシ−1−(ペンタン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル)−2−フルオロベンゾニトリル;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(2−メチル(4−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
4−(6−クロロ−2−ヒドロキシ−1−(ペンタン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル)ピコリノニトリル;
7−[3−(アミノメチル)フェニル]−6−クロロ−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−[2−(メトキシメチル)フェニル]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(6−メトキシ(2−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
7−(1H−インダゾール−5−イル)−6−クロロ−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
7−(1H−インダゾール−6−イル)−6−クロロ−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(5−ヒドロキシ(3−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
N−({4−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]フェニル}メチル)アセトアミド;
7−{4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}−6−クロロ−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
(tert−ブトキシ)−N−{4−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]フェニル}−N−メチルカルボキサミド;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
4−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]安息香酸;
1−(1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−[4−(ヒドロキシエチル)フェニル]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)−1−メチルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)−1−プロプ−2−エニルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)−1−(メチルエチル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
2−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]ベンゼンカルボニトリル;
7−{3−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}−6−クロロ−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
7−{2−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}−6−クロロ−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
2−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]ベンズアルデヒド;
3−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]ベンズアルデヒド;
N−({3−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]フェニル}メチル)アセトアミド;
2−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]ベンズアミド;
6−クロロ−7−(2−クロロ−4−メチルフェニル)−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−2−ヒドロキシ−イソプロピル)−6−クロロ−7−(4−クロロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−2−ヒドロキシ−イソプロピル)−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(5−メチルピリミジン−2−イル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−フェニルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1R)−2−ヒドロキシ−イソプロピル)−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(1−メチル(1H−インダゾール−5−イル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(1−メチル(1H−インダゾール−6−イル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(5−クロロ(3−ピリジル))−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
2−[6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジニル]プロパン−1,3−ジオール;
1−(tert−ブチル)−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(6−メチル(2−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(4−メチル(2−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(5−メチル(2−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(6−メチル(3−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−[2−(トリフルオロメチル)(4−ピリジル)]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−7−(2−ピリジル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(2−ヒドロキシエチル)−7−フェニルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1R)−1−エチル−3−ヒドロキシプロピル)−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−3−ヒドロキシプロピル)−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(3−クロロ(4−ピリジル))−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−7−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−クロロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(5−フルオロ(3−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)−1−(3−ヒドロキシプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
(2S)−2−[7−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−クロロ−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジニル]ブチル(2S)−2−アミノ−3−メチルブタノエート;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(5−フルオロ(2−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(3−フルオロ(4−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−(4−メチルフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
4−[1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]ベンゼンカルボニトリル;
6−クロロ−7−(5−クロロ(2−ピリジル))−1−(メチルエチル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(5−クロロ(2−ピリジル))−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−(5−クロロ(2−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(5−フルオロ(2−ピリジル))−1−(メチルエチル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
2−[7−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−クロロ−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジニル]ブチル二水素ホスフェート;
(2S)−2−[6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジニル]ブチル二水素ホスフェート;
(2S)−2−[6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジニル]ブチル(2S)−2−アミノ−3−メチルブタノエート;
6−[6−クロロ−1−(エチルプロピル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]ピリジン−3−カルボニトリル;
6−[1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル]ピリジン−3−カルボニトリル;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6,7−ビス(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)−1−[2−ヒドロキシ−1−(2−メチルプロピル)エチル]イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1R)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−[(1S)−1−(メトキシメチル)プロピル]−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1R)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−7−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−クロロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−[(1R)−1−(メトキシメチル)プロピル]−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−[(1R)−1−(メトキシメチル)プロピル]−6−クロロ−7−(5−フルオロ(2−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(2−チエニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(3−チエニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(5−クロロ(2−チエニル))−1−(エチルプロピル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−(2−チエニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−(3−チエニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−(5−クロロ(2−チエニル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)−1−(2−ヒドロキシ−tert−ブチル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1R)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−(5−フルオロ(2−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−7−(4−クロロフェニル)−6−フルオロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−ピラジン−2−イルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−フルオロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−(5−フルオロ(2−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1R)−1−エチル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−6−クロロ−7−(5−フルオロ(2−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−[(1S)−1−(メトキシメチル)プロピル]−6−クロロ−7−(5−フルオロ(2−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−6−クロロ−7−(5−フルオロ(2−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1R)−1−エチル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
(2S)−2−[6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジニル]ブチルアセテート;
1−[(1S)−2−ヒドロキシ−1−(2−メチルプロピル)エチル]−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−シクロペンチル−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1R)−2−アミノ−1−エチルエチル)−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;および
1−((1R)−2−アミノ−1−エチルエチル)−6−クロロ−7−(5−フルオロ(2−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール
から選択される、請求項1に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項35】
前記式Iの化合物が、以下:
N−{(2S)−2−[6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジニル]ブチル}アセトアミド;
1−((1S)−2−アミノ−1−エチルエチル)−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−2−アミノ−1−エチルエチル)−6−クロロ−7−(5−フルオロ(2−ピリジル))イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
N−{(2R)−2−[6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジニル]ブチル}アセトアミド;
1−((1S)−1−エチル−3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1R)−1−エチル−3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−ピラゾリルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
2−{(1S)−1−[6−クロロ−7−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシイミダゾ[4,5−b]ピリジニル]プロピル}プロパン−1,3−ジオール;
6−クロロ−1−(メチルエチル)−7−ピラゾリルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−エチル−2−ヒドロキシエチル)−6−クロロ−7−ピラゾリルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−(1−メチルピラゾール−3−イル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−メチルプロピル)−6−クロロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1R)−1−メチルプロピル)−6−クロロ−7−ピラゾリルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1S)−1−メチルプロピル)−6−クロロ−7−ピラゾリルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−[2−メトキシ−1−(メトキシメチル)エチル]−7−ピラゾリルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
6−クロロ−1−(エチルプロピル)−7−イミダゾリルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;
1−((1R)−1−メチルプロピル)−7−ピラゾリルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール;および
6−クロロ−1−(メチルプロピル)−7−ピラゾリルイミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オール
から選択される、請求項1に記載の少なくとも1種の化学的実体。
【請求項36】
医薬として許容できる担体、および請求項1から35のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体を含む、医薬として許容できる組成物。
【請求項37】
前記組成物が、錠剤、カプセル、粉末、液体、懸濁液、座薬およびエアロゾルから選択される形態に製剤される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
請求項36または37に記載の医薬組成物、ならびに神経筋疾患、筋肉消耗を有する状態、跛行、虚弱、メタボリック症候群、廃用性筋萎縮および筋疲労から選択される疾患を患っている患者を治療するための前記組成物の使用説明書を含む、包装された医薬組成物。
【請求項39】
請求項36または37に記載の医薬組成物、ならびに骨格筋ミオシン、骨格筋アクチン、骨格筋トロポミオシン、骨格筋トロポニンC、骨格筋トロポニンI、骨格筋トロポニンT、骨格筋および骨格筋サルコメアの1つまたは複数の調節に応答する疾患を患っている患者を治療するための前記組成物の使用説明書を含む、包装された医薬組成物。
【請求項40】
神経筋疾患、筋肉消耗を有する状態、跛行、虚弱、メタボリック症候群、廃用性筋萎縮および筋疲労から選択される状態を有する患者を治療する方法であって、治療有効量の、請求項1から35のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体を前記患者に投与することを含む方法。
【請求項41】
骨格筋ミオシン、骨格筋アクチン、骨格筋トロポミオシン、骨格筋トロポニンC、骨格筋トロポニンI、骨格筋トロポニンT、骨格筋および骨格筋サルコメアの1つまたは複数の調節に応答する状態を有する患者を治療する方法であって、有効量の、請求項1から35のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体を前記患者に投与することを含む方法。
【請求項42】
骨格筋の機能または活性を増大させる方法であって、前記骨格筋と、有効量の、請求項1から35のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体とを接触させることを含む方法。
【請求項43】
骨格筋の効率を増大させる方法であって、有効量の、請求項1から35のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体を提供することと、前記少なくとも1種の化学的実体を、前記骨格筋の速骨格筋線維のトロポニン複合体に選択的に結合させることとを含み、それにより前記骨格筋の効率を増大させる方法。
【請求項44】
速骨格筋線維の疲労までの時間を増大させるための方法であって、
有効量の、請求項1から35のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体を提供することと、
前記少なくとも1種の化学的実体を、前記骨格筋の速骨格筋線維のトロポニン複合体に選択的に結合させることと、
前記速骨格筋線維を、前記化学的実体で処理されていない速骨格筋線維と比較し、増強した力および増大した、疲労までの時間で応答させることと
を含む方法。
【請求項45】
速骨格筋線維を感作させて、カルシウムイオン濃度の低下に応答した力を発生させるための方法であって、
有効量の、請求項1から35のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体を提供することと、
前記少なくとも1種の化学的実体を、前記骨格筋線維のサルコメアのトロポニン複合体に選択的に結合させて、カルシウムイオンに対する前記サルコメアの感受性を増大させることと
を含み、
それにより前記速骨格筋線維が、カルシウムイオン濃度の低下に応答した力を発生する方法。
【請求項46】
骨格筋の疲労までの時間を増大させるための方法であって、
有効量の、請求項1から35のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化学的実体を提供することと、
前記少なくとも1種の化学的実体を、第1のカルシウムイオン濃度で前記速骨格筋線維のサルコメアのトロポニン複合体に選択的に結合させて、結合複合体を形成させることとを含み、それにより前記第1のカルシウムイオン濃度に曝されているが、前記結合複合体を含まない速骨格筋線維と比較して、増強した力および/または増大した、疲労までの時間で、前記速骨格筋線維が応答する方法。

【公表番号】特表2011−510985(P2011−510985A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545031(P2010−545031)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/000686
【国際公開番号】WO2009/099594
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(504236628)サイトキネティックス, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】