説明

特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡

【課題】簡易な照明で特殊効果を利用できる特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡を提供する。
【解決手段】生体内検体を照明するための少なくとも1つの光源と、検体の蛍光画像を取得するための少なくとも1つのビデオ撮像ユニットと、を有する特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡であり、少なくとも1つのビデオ撮像ユニットのスペクトル感度は、予測される、例えば蛍光放射の、特殊光線の少なくとも1つの光波長範囲において、他の光波長範囲における感度よりも高い感度を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象領域の検体範囲を検出し、処置を補助するための、特殊照明手術用ビデオ(video)立体顕微鏡に関する。特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡とは、通常の照明とは異なる照明を有する手術用ビデオ立体顕微鏡を意味する。通常の照明とは、昼光照明のことである。「特殊」とは、特殊な可視化効果を有するという点で「通常」とは異なっている。
【0002】
(用語の定義)
いくつかの重要な用語と機能について以下に定義する。
【0003】
手術用顕微鏡白色光照明装置は、いろいろな種類の手術用顕微鏡に広く用いられており、当業者には公知である。それは少なくとも白色光の全スペクトルをカバーする。そのため、それは主に手術領域を照明するために用いられ、一般に手術中に可能な最も信頼できる照明として用いられる。「照明装置」という用語の意味する主題は、少なくとも1つの(単一の)光源をもちろん意味するが、しかしそれに限らず複数の光源をも含むものである。手術用顕微鏡白色光照明装置はまた、光をガイドするコンポーネント、保護フィルタ(例えばIR又はUVフィルタ等)のような主題をも含むものである。本発明においては、用いられる特定の照明装置は原則として重要ではない。例えば、本発明は通常の手術室内の照明でも有効であるし、極端な場合、昼光(自然光)においても同様である。このように本発明においては照明装置は必須ではないが、本発明の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡においては、独立した手術用顕微鏡照明装置を含むものと想定されている。しかしこのような照明装置は、通常の手術(例えば蛍光のような特殊照明及び/又はビデオでサポートされない手術)を実施可能なように一般的に設置されているものである。本発明において根本的に重要なことは、照明光がどのような位置(自然光も含む)からでも手術領域に導かれ、そこが照明され、及び/又は例えば蛍光発光のような効果を生じるように励起されるということである。
【0004】
特定の光波長範囲は、対象領域の検体に特定の観察効果を生じる光波長範囲であると理解される。これらは特に、蛍光、自然蛍光、励起発光、そして偽色彩照明等でありうる。特殊照明もまた上記の手術顕微鏡用白色照明装置から発生する必要はなく、本発明においては更なる光源又は照明装置により、(必要に応じ公知の方法も含めて)用いることができる。
【0005】
本出願において、「放出」(radiate)とは、どのような場合であっても照射光線の「反射」と観察対象からの発光ないし「放射」(emit)を含むものである(後者においては蛍光又は励起発光(誘導放射)を含む)。
【0006】
使用状態において、補助的照明装置からの光は、選択的に導入可能な作用フィルタ(例えば照明フィルタ又は蛍光励起のための励起フィルタ)を少なくとも1つ有するという意味において、調節可能なスペクトル範囲にあり(限定的ないし具体化のための「作用フィルタ」、「励起フィルタ」、「励起」については後述)、そして観察すべき検体方向に、あるいは対象領域の上に、向けることができる。例えば手術用蛍光ビデオ立体顕微鏡として具体化された手術用ビデオ立体顕微鏡は、近年(例えば1962年のKleinsasserによる喉頭腫瘍の喉頭鏡検査法)の蛍光発生薬物の開発に伴って考えられた比較的新しい手術用顕微鏡の1種を構成している。外科医はこれらによって、腫瘍手術や血管造影法などの特殊な治療法に関してより効果的に患者を治療することができるようになった。それまで外科医が見ることができなかった、あるいは認識することが困難であった体組織が、蛍光現象のおかげで対象領域においてよりはっきりと見えるようになった。
【0007】
拡張した一般的な用語である特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡(検査)方法とも記載されるように、また当業者には明らかであるように、この手術用顕微鏡はこのような方法のための装置と、特殊な照明の顕微鏡方法(蛍光技術を用いる場合は蛍光顕微鏡方法)の装置とともに用いる必要がある。そして特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡方法として好適に提供するためには、立体顕微鏡検査の装置とともに用いる必要がある。
【0008】
この種の手術用ビデオ立体顕微鏡は、当業者には良く知られた特別な特性を必要とし、この特性を得るために顕微鏡の特別な構成を必要とする。従来技術の蛍光顕微鏡検査方法(これは手術用蛍光立体顕微鏡の開始よりもずっと前に存在していた)の構成要素は、
励起光源又は励起照明装置(例えば以前は水銀ランプ)、
励起光の質を向上するための励起フィルタ(蛍光励起に十分にあるいはまったく寄与しない光波長範囲のスペクトルをフィルタリングする)と、手術用蛍光立体顕微鏡の観察光束内にあるブロッキングフィルタ又は観察フィルタである。後者は励起光を今度は多少なりともフィルタする。励起光は目で見るようには必ずしも意図されておらず、一方蛍光現象により発生した放射光はできるだけ見えるようにする必要があるからである。励起光の性質により、それはある環境においては、過剰に浴びると観察者の眼にとって有害である(例えば紫外線)。しかし観察フィルタは、励起光がしばしば弱い蛍光現象よりも強く光ることがないようにする。そのため、質的には悪い方向に影響し、何より観察される蛍光強度に悪い影響を与える。このため観察フィルタはときには「ブロッキングフィルタ」とも称される。
【0009】
本発明は、限定するものではないが、蛍光顕微鏡検査方法に適したこの種の手術用立体顕微鏡を実施形態として説明する。本発明のこの文脈(観点)において意図するところは、特殊照明によるビデオ化(特殊照明手術用顕微鏡方法)、例えば特に偽色彩によるビデオ化、スペクトル選択コントラストによるビデオ化等は、ビデオ技術の助けを借りて蛍光顕微鏡検査方法の代替として用いることができるということである。この意味において、目視による観察光束に加えてあるいは代えて、対象領域から発してビデオ撮像ユニットに至るビデオ観察光束が用いられる。
【0010】
この観察フィルタの実施形態により、観察者又は外科医は、励起せず蛍光を発しない組織と、励起され蛍光を発する組織の両方を対象領域において見ることができる。そのため、これらの組織は色違いのコントラストを示す。蛍光現象(放射光)は基本的に励起光とは異なる色(光波長)を有するからである。特殊照明顕微鏡検査法の他の形式において、ここでいう蛍光現象と蛍光機構は、それぞれの特殊照明のそれぞれの効果と意図的に同義に置き換えられる。
【0011】
作用フィルタ(蛍光に関する励起フィルタ)は、専ら、あるいは主として特定の波長を通過させるフィルタであり、特殊観察現象(例えば蛍光現象)を励起するか最適化する必要がある場合は、必要に応じて照明光束(蛍光技術の場合は「励起光束」とも称する)内に配置される。
【0012】
観察フィルタ(蛍光に関する)は、対象領域において特殊照明と反応して検体(蛍光の場合は蛍光を発する物質/組織)から放出される光(蛍光の場合は、励起光とは大きく異なる光波長範囲にある)のみを実質的に通過させるフィルタである。そして他の波長の光をすべて吸収し、蛍光現象により放出された蛍光発光波長範囲においてビデオチップの光電子センサの光電子変換を最適化することができる。これはビデオ観察光束内において必要に応じ、ビデオチップの直前に直接配置されるか、又はビデオチップに組み込まれる。したがってこれはビデオチップに関するフィルタであって、対象領域における特殊照明された領域(例えば蛍光物質又は蛍光組織)から放出された光(蛍光の場合は、励起光とは大きく異なる光波長範囲にある)のみを透過させ、それにより特殊照明又は蛍光現象による観察を最適化する。
【0013】
ビデオチップは複数の光電子センサ(特に画素−ピクセルを構成するセンサとして)を含み、これはあたった光を電子ビデオ信号に変換し、ビデオ画面に構成する(電子的に構成された、ビデオ信号の空間的に再生可能なグループ化)。
【0014】
本発明の目的のため、ビデオ画面(フレーム)は、連続する一連の画像(複数)からの、対象領域の画像の電子コード化された完全な記録である。
【0015】
照明フィルタは、対象領域を照明する(特殊でない、非励起の)照明光を改善するためのフィルタである。照明フィルタはしたがって全体として、作用フィルタ又は励起フィルタとは逆の働きをし、光スペクトルから、例えば照明装置の設計のために不相応に用いられ、通常の照明としてはほとんど役に立たないか障害となるような特殊照明又は蛍光励起の機能を持つスペクトル領域を弱め、除去する。どの照明装置のどの照明フィルタも、最終的に照明光を最適化する。この実施例では、照明フィルタは手術時には照明装置又は光源の前面に配置され、励起時には励起フィルタが配置される。典型的な照明フィルタは、例えば白色光照明フィルタ(単に「白色光フィルタ」とも称する)である。これは、それぞれの照明装置からの光の全スペクトルから、透過する光ができるだけ白色(すべての色スペクトル又は光波長の最適な混合)になるように設計される。手術用蛍光立体顕微鏡の配置にしたがって、照明フィルタは照明光束内に移動可能に配置するか、固定的に配置される。もし照明装置が例えば2つの光源(1つは励起光、もう1つは白色光)を有する場合、照明フィルタは白色光源の前に恒久的に配置することができる。しかし1つの光源しかない場合、照明フィルタは励起フィルタと交換可能に配置することができる。見落としてはならないことは、照明フィルタ(特に白色光用)を用いた場合でも、照明光束内の光には蛍光励起波長が含まれており、そのため存在する感光性物質を蛍光励起するという事実である。特別な装置、即ち観察フィルタがなければ、このような蛍光現象は概して目に見えない。対象領域からの反射白色光のほうがはるかに大きいからである。その理由は、蛍光現象により放射される光の強度は、蛍光励起に必要な照明強度よりもずっと小さいからである。したがって従来の手術用蛍光顕微鏡は蛍光現象を効果的に用いるために観察フィルタの助けを借りる必要がある。
【0016】
蛍光顕微鏡は、蛍光現象を観察するのに適した顕微鏡であり、特に光束内に励起フィルタと観察フィルタを有する励起光源又は励起照明装置を含む。
【0017】
手術用顕微鏡は、一つには比較的低い拡大率を持つ顕微鏡であり、立体光束が3次元の画像を生成する。そして対象領域を明るく最大限自然な照明(通常は白色光)をする手術用顕微鏡照明システムを有する。ここに「顕微鏡」とは、いわゆる手術用顕微鏡以外に、内視鏡や腹腔鏡等の、手術に際して(あるいはそれに関連して)用いられる、他の拡大装置も含まれる。
【0018】
立体顕微鏡は、対物レンズから接眼鏡まで立体光束を有する顕微鏡である。観察者は対象領域を3次元で見ることができ、3次元的構造を認識できる。手術用ビデオ顕微鏡法に関しては、この用語は、ビデオ観察光束で3次元(左と右のビデオ観察光束)で捕捉した画像を、3次元表示が可能な立体ディスプレイ上に3次元的に表示すること(あるいは表示する能力)も含む。
【0019】
ビデオ顕微鏡は、対象領域をディスプレイ上で観察者に表示するので、目視光束を省略できる。ビデオ顕微鏡はしばしば従来型の手術用顕微鏡にビデオ用光束の形で組み込まれて用いられる。これは、追加的な情報を得るため、手術領域の状況を複数の観察者に同時に見せるため、あるいは単に手術の手順を記録するために用いられる。公知の手術用ビデオ顕微鏡の多くは、その手術用顕微鏡の自動コントロールのため、あるいは目視観察では得られない被験者ないし検査対象(彼又は彼女)のビデオ顕微鏡からの画像情報を重ね合わせる等のより上質の情報を与えるため、フィードバックを提供する。
【0020】
従来のCCDビデオチップは、人間の目が赤外線(IR)を見ることができないのに対し、例えば赤外線に対し特に反応することが知られている。したがって例えば、ビデオ顕微鏡の撮像ユニットから赤外線画像情報を取得し、それをビームスプリッタを介してイメージ投入により、目視光束に代替的に、又は重ね合わせて観察者に提供することができる。本発明における「ビデオ」という用語には、すべての画像信号技術、即ち光束から得られた画像情報を光電子変換によって電子信号に変換し、そして逆にそれを(例えばディスプレイで)目視可能な画像データに変換する技術、が含まれる。したがって、電子フィルム記録に関するビデオ技術に限らず、静止画像(写真)の記録や、広範囲の利用可能な画像/フィルム記録技術による電子的記録、処理、部分画像(partial image)情報の表示を含む。
【0021】
本発明においては、電子画像信号の処理の性質ないし形態(ソフトウェア、ハードウェア)は2次的なものである。本発明において重要なことは、取得(光学的信号の電子的信号への変換)の方法と、補助的にユーザのための表示(電子的信号データの光学的画像データへの変換)である。
【0022】
本発明においてビデオチップは、最も広い形式における画像取得ユニット又は画像変換チップと理解すべきである。本発明において重要なことは、これにより、目視画像信号が相関する電子画像信号に変換できるということであり、それによってユーザにディスプレイを介して再び提供できるということである。
【0023】
対象領域からの情報を補助者にも利用可能とするため、手術用立体顕微鏡は、主観察光束からビームスプリッタ、ミラー又はプリズムを用いて分岐して追加の観察光束(補助出力)を有することができる。又は別の立体観察光束を有してもよい。この別の観察光束は、メインユーザのための主観察光束に対して、対物レンズの中心軸周りに例えば90度回転させた位置に配される。そのため、補助者は手術者が何をしているかを見ることができ、第2の場合には主観察者又は手術者とは異なった位置(90度回転した位置)から見ることができる。補助者用出力はしばしばビデオ観察光束としても設けられる。
【0024】
主観察光束及び補助観察光束はしばしば、主観察者及び補助者に対して顕微鏡から目をそらすことなく追加情報を提供するため、ビームスプリッタ(ビームスプリッタ、プリズムなど)を介して、観察光束内に情報を投入できるようになっている。
【0025】
立体ディスプレイは、ビデオ技術で作られた3次元画像をユーザに提供するディスプレイである。これは、レンズ状スクリーンを前面に有する、あるいはシャッターめがね又はカラーコード式3次元表示を用いる時変調立体表示を有する、2次元平面ディスプレイ(例えばLCDディスプレイ)でありうる。しかしこれはまた、左と右の部分的な画像を単視的に再生してそれを例えば手術用顕微鏡の観察光束に投入する装置、又は3次元画像をユーザにヘッドアップディスプレイや分割ディスプレイに表示する装置(US−A1−2009/0190209、図6参照)なども含まれる。
【0026】
調節可能なスペクトル範囲は、そのスペクトル特性を励起フィルタ及び/又は観察フィルタを用いて制限できる(したがって選択した励起フィルタ及び/又は観察フィルタ及び/又はビデオ撮像ユニットによって調節できる)範囲をいう。その方法は、1つには励起フィルタ及び/又は観察フィルタ及び/又はビデオ撮像ユニットを選択し及び/又は稼動させて、他方ではこのようなフィルタ又は撮像ユニットを用いて、又は稼動させて、もしくは除去して、又は停止させて行う。
【背景技術】
【0027】
とりわけ次の文献、US−A6,510,338とDE−A−19548913は当業者にとって公知であることを確認する。
【0028】
現在標準的に用いられる蛍光顕微鏡は、入射光原理によって機能する。これは、検体は集光装置として機能する対物レンズを通して上方から照明されることを意味する。今日では50〜400Wの出力の超高圧水銀ランプ又は同じ性能のキセノンランプが照明装置(選択した蛍光色素の励起波長が必ず含まれている必要がある)として通常用いられる。
【0029】
このようなランプは利用可能な360〜700nmの波長範囲という幅広いスペクトルを提供する。選択した蛍光色素の励起波長は最初に全体の照明スペクトルから入力バンドパスフィルタ(励起フィルタ)によって取り出される。励起波長は2色ビームスプリッタに向う。このスプリッタは放射光のうち短波長の励起光を反射し、長波長の光は透過する。励起光は対物レンズを通って検体に達し、蛍光色素を励起する。蛍光色素は長波長の光を放射する。この光は2色ビームスプリッタを透過して出力ブロッキングフィルタ(放射フィルタ)に達し、蛍光色素からの放出波長のうち望ましい波長の光を透過する(実際の蛍光画像)。この蛍光画像は接眼鏡を介して見ることもできるし、写真又はビデオカメラで記録することもできる。
【0030】
DE−A−10252313は、EP−A−1691229が特許された際に引用されたUS−A−2004152987と同じファミリー(優先出願)である。これにも、励起、蛍光、観察の相互関連に関する当業者の特別な知見が開示されている。この中で特別なことは、対照的に、例えば液晶フィルタを用いて、励起フィルタが変調され、あるいは透過度が変更されているということである。
【0031】
DE102008062650は、赤外蛍光を観察するための手術用顕微鏡に言及している。この公知の顕微鏡は、3チップカメラを持つカメラシステムを含む。このカメラのそれぞれのチップはそれぞれ異なる波長の光を検知する。本質的に同じ構造のチップを用いて異なる波長の光成分を測定するため、チップ表面に到達する前に、光は2色ビームスプリッタを用いてスペクトル的に分割され、分割された光は本質的に同じ構造のチップ(複数)へと導かれる。
【0032】
US−A1−2009/0190209には、単純化された立体画像再生ユニットを有する単純化された立体撮像ユニットが開示されている。単一のビデオチップが撮像面に配置され、その上に、平行に配置された2つの立体部分画像からなる立体顕微鏡画像が同時に投射される。この電子画像はさらに単一のビデオ画面として処理され、ディスプレイ上に表示される。左と右の立体部分画像はこうしてディスプレイ上に同時に再生される。適切な接眼鏡を光束に配置することにより、観察者は立体的に観察することができる。この公知のシステムは、特殊照明下で検体を観察するようにはできていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】US−A1−2009/0190209
【特許文献2】US−A−6,510,338
【特許文献3】DE−A−19548913
【特許文献4】DE−A−10252313
【特許文献5】EP−A−1691229
【特許文献6】US−A−2004152987
【特許文献7】DE102008062650
【特許文献8】DE−A1−102005005984
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明は、第1に、(上述の)これらのタイプの顕微鏡を、手術用及び蛍光観察のような特殊照明観察用に用いられる1つの立体顕微鏡ビデオ光束(「光束」は「光線路」とも置き換えられる)に結合させたものに関する。そのため、用いられるフィルタ装置類(例えば本発明に係る作用フィルタ、励起フィルタ、観察フィルタ、及びビデオ撮像ユニットであり、これらはあとで示される)は、手術用顕微鏡内において、選択的に挿入可能及び/又は無効化可能及び/又は取り除き可能である。
【0035】
しかし本願の特許請求の範囲の請求項は、より広く解釈されるべきであり、「顕微鏡」の語には他の拡大装置、例えば内視鏡や腹腔鏡もまた含まれ、等しく手術用及び特殊照明観察用として用いられ、そのように使用できるものである。
【0036】
蛍光顕微鏡の操作方法や組織に与える蛍光の効果は当業者には良く知られている(US−A−6,510,338、カラム1、38−49行、60−62行を参照)。広いバンド幅(白色光)を有する通常1つの照明装置が、蛍光励起のための蛍光励起範囲の光を用いるために主に用いられるという基本的構成もまた公知である(US−A−6,510,338、カラム2の32−33行、請求項1の4−5行、請求項4の54−55行を参照)。ここでのフィルタシステムは、照明光束に励起フィルタを、観察光束に観察フィルタを有している。組み合わせ又は互いに関連するフィルタの選択とその目的もまた当業者には公知であり、US−A−6,510,338に開示されている。照明装置のブロードバンド光については、励起フィルタは、対象領域に到達し蛍光励起する光のみを透過する。観察フィルタは逆に、励起光をブロックし、蛍光現象による光のみを主に透過する。(これらはすべて旧来の蛍光顕微鏡の原理である。US−A−6,510,338、カラム2の38−49行を参照。)US−A−6,510,338の図面及びそれに関連する記載もこれらを支持している(US−A−6,510,338、カラム6の4−9行を参照)。
【0037】
DE−A−19548913にも、白色光(少なくとも370−780nm)を用いた蛍光観察又は光力学的診断(PDD)に関する類似の記載がある。これには、照明光束に励起フィルタ、観察光束に観察フィルタがある(DE−A−19548913、要約及びカラム3の3−14行を参照)。
【0038】
EP−A1−1691229には、それぞれが光強度を増強するように用いられる2つの異なる照明装置を組み合わせた照明装置が開示されている。しかしそれぞれの照明装置が蛍光励起照明を互いに強め合うように用いられるため、2つの照明装置が基本的にかつ必然的に共通に有するべき光スペクトルのスペクトル範囲は、蛍光励起範囲であることが記載されている。2つのスペクトル範囲の範囲は、EP−A1−1691229の意図するところは、共通の蛍光励起範囲を有するにもかかわらず、おそらく異なるものと考えられる。赤色蛍光のため、第2の照明装置は好ましくは赤〜赤外光の範囲で放射するように最適化され、一方青色蛍光のためには、この文献によれば、第2の照明装置は青〜紫外光範囲により重きを置かれる。また第1の照明装置は白色光に最適化される。しかし本発明においては、このような手術用蛍光ビデオ立体顕微鏡はさらに新しい第3のコンビネーションを有する。即ち、青/紫外に最適化された照明装置と、赤/近赤外又は赤外に最適化された照明装置とのコンビネーションである。これらは照明フィルタにより補助的に、ともに運転された場合、最適化された白色光照明装置を形成するように結合される。
【0039】
なお、本発明の構成として、特許請求の範囲においては、1つの光源、照明源、照明要素、1つの照明装置、複数の照明装置から得られる光は限定的ではなく、いずれも同じ範囲を包含する。
【0040】
本発明は特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡に関する。これは例えばUS−A1−2009/0190209に開示のものに対応するが、これに対比して本発明では白色光のもとではよく見えない対象領域の特定範囲を検知するようにして手術の補助とすることができる。これ(本発明)はその画像面にスペクトル検知(色)ビデオ撮像ユニットを配置したビデオ観察光束を含むが、この部分自体は公知である。
【0041】
手術用顕微鏡の分野では、顕微鏡の観察光束内で手術者又はユーザに、患者に関する手術前のデータを可視的に提供することがますます必要となっている。しかし手術箇所はつねに変化しているため、新しい診察データも手術中に次々に必要となる。これらは例えば、麻酔をかけた患者の手術中は取得が非常に困難なNMRデータが含まれる。例えば蛍光技術を用いた場合、処置をした後の手術箇所の変化を連続的にモニターできることもまた望ましい。
【0042】
組織診断データ(生物学的及び/又は視覚的徴候という意味での組織変化)はこの新規な特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡を用いて主に光電子的方法により得ることができる。そしてそのデータは、手術中に特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡又はそのビデオ観察光束に、手術者が診断評価を行うために投入される。上述のとおり、ここで開示する主な診断方法は、腫瘍組織の偽色彩表示又は蛍光表示である。この種の特殊照明手術用蛍光ビデオ立体顕微鏡は例えばDE−A1−102005005984に開示されている。
【0043】
US−A1−2009/0190209には、接眼鏡と第1のディスプレイを有する目視観察光束を有する第1の双眼手術用立体顕微鏡であって、第1のディスプレイが双眼手術用立体顕微鏡に対して3次元的に相対移動可能に配置された双眼手術用立体顕微鏡を含む手術用ビデオ立体顕微鏡が開示されている。このディスプレイは、双眼ディスプレイ/観察光束と、左側には立体観察光束の左部分光束からの単視的画像データを表示し、右側には立体観察光束の右部分光束からの単視的画像データを表示する1つのディスプレイを含む。これらの部分光束はビデオ観察光束の画像面の立体ビデオ撮像ユニットによって撮像されたものである。この技術で特別なことは、1つにはビデオ観察光束(FL2、FR2)が目視観察光束(FL,FR)に対して90度回転していること(US−A1−2009/0190209の図6参照)であり、もう1つは立体撮像ユニットのビデオチップと上記のディスプレイが1つにまとめられているため、右と左の立体部分画像データが同時に電子処理され、右と左の部分光束の個別電子処理が省略できるということである。ビデオ信号の処理は(従来技術のように)逐時的ではなく、また色コードで同時に行うわけでもなく、同じディスプレイ上で統合されて表示されるのである。それは1つの(単視)ビデオ画像信号により行われ、左右のビデオ観察光束の左右画像面は、物理的に隣り合って1つのビデオチップの上にイメージされる。ビデオ撮像ユニットのビデオチップは左右の部分画像観察光束という意味で1つであるが、立体ビデオ観察光束からの左部分光束からの左部分画像データはその左半分に、右部分画像データはその右半分にイメージされるように構成される。これにより、単視の電子的ビデオ信号が何らかの電子処理の後、左部分画像データはその左半分に、右部分画像データはその右半分に表示されるというやり方で、3次元画像が1つのディスプレイ上に表示される。
【0044】
本発明の1つの実施形態においても、この3次元表示再生技術が用いられる。しかしそれに限定されない。特に、ビデオチップは2つの撮像チップ(1つは右半分、もう1つは左半分の部分画像観察光束用)に分けることができ、ディスプレイも公知のように2つの部分で構成し、それぞれ(したがって単視)のディスプレイを観察者の目に対応するように配置し、2つの単視画像を同時に見ることによって観察者のための3次元画像を生成することができる。
【0045】
腫瘍組織の蛍光表示に基づく従来の診断法は、(十分強い蛍光放射を得るために)励起光(照射光)として400nmあたり又は800nmあたりのスペクトル範囲の強い照明強度が必要とする。これはしばしば追加の照明装置で達成されるが、400−800nmのスペクトル範囲の照明は患者に無用なストレス、場合によっては害を与える。このような害を避けるため、複数の方法を組み合わせることが必要である。
【0046】
本発明の目的は、このような要求を簡単にし、特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡について簡単な手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0047】
この目的は冒頭に述べた種類の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡であって、以下の特徴を有する顕微鏡によって達成される。即ち、対象領域の画像を取得する、また選択的に特殊照明で生成される対象領域の検体の画像(例えば蛍光画像)を取得する、少なくとも1つのビデオ撮像ユニットを有し、対象領域から来ると予測される光(例えば蛍光放射と反射した背景放射のような放出光又は反射光)の少なくとも1つの光波長範囲におけるそのビデオ撮像ユニットのスペクトル感度は、他の光波長範囲のスペクトル感度よりも大きい。
1つの視点において、本発明に係る特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡は、特殊な照明、特に励起光を含む照明、のもとで検体を観察するための、特に検体を蛍光観察するための、ビデオ撮像ユニットを有する2つの部分光束からなる立体部分光束を有するビデオ立体観察光束を少なくとも1つ有する。また、ビデオ撮像ユニットは、ビデオ立体画像を取得するための、チップの半分(chip halves)を2つ組み合わせたビデオチップ(video chip)を少なくとも1つ含み、それぞれの半分は、それぞれ1つの部分光束が割り当てられ、それぞれスペクトル感度が異なっており、複数の光電子センサ(ピクセル)から構成されている。
【0048】
本発明によれば、ビデオ撮像ユニット、特にビデオカメラ、好ましくは立体ビデオカメラのスペクトル感度は、所望の選択されたスペクトル範囲(spectral regions)、特に特殊照明条件(例えば蛍光条件)に応じて、右と左の部分画像で異なって設計される。本発明の、1つのビデオチップの左と右の半分ずつが異なる特性を持つという新規なビデオカメラ技術により、既存技術の不利な点が解消され、特定の照明(特殊照明)を用いることにより、対象領域範囲が特に容易に見えるようになるというシンプルな手術用ビデオ顕微鏡が提供される。すでに述べたように、本発明の1つの変形例では、別々のビデオチップをそれぞれの部分光束に割り当てることができる。この実施形態では、2つのビデオチップが、それぞれ特殊照明と、対象領域内の、又は対象領域内から生じるスペクトル効果に対応するように、スペクトル的に異なって設計される。左右の部分画像から1つの画像面を形成する1つのビデオチップもまた好ましい。
【0049】
本発明によれば、好ましいスペクトル範囲(複数)の感度を高くすることで、手術用ビデオ立体顕微鏡の照明装置による患者への光の影響を軽減することができる。本発明により、診断装置や測定装置などの複雑な装置を追加することなく、病的組織の内的作用(intraoperative)による顕在化(distinction)と患者への負担の少ない表示とが同時に達成される。これにより、手術用ビデオ立体顕微鏡のエネルギー消費が低減され、そして手術用ビデオ立体顕微鏡の周辺への熱影響も低減される。これは患者のみならず手術者やORスタッフに対しても有利である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施例に係る手術用ビデオ立体顕微鏡の概略図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る手術用ビデオ立体顕微鏡の概略図である。
【図3】図1、図2に示す手術用ビデオ立体顕微鏡の、評価電子装置とディスプレイを含むビデオ撮像ユニットの詳細図である。
【図4】ビデオ観察光束とセンサの配置関係を図解的に示す蛍光手術用立体(実体)ビデオ顕微鏡の一原理配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
さて、これに対応するように設計されたビデオ撮像ユニットは、UV(紫外)からIR(赤外)にわたる光波長範囲において人間の目よりも光の感度が高いものとする。したがって、これまでユーザが利用できなかったビデオ情報を取得し、それを例えば偽色彩表示により映し出すことができる。これは特にNIR/IR又はUV(又はUV近傍)の範囲での放射現象に関連する。後者の現象は観察者にほとんど見えないばかりか、状況によっては害を与える。そのため、従来はわざわざフィルタで吸収(即ち不可視に)していた。
【0052】
それに対し、本発明では、従来の手術用ビデオ立体顕微鏡の利便性や有効性を多くの方法で改良することができる。以下に本発明において可能な形態を示す。なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
(形態1)特殊な照明、特に励起光を含む照明、のもとで検体を観察するための、特に検体を蛍光観察するための、ビデオ撮像ユニットを有する2つの部分光束からなる立体部分光束を有するビデオ立体観察光束を少なくとも1つ有する特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡であって、該ビデオ撮像ユニットは、ビデオ立体画像を取得するための、チップの半分を2つ組み合わせたビデオチップを少なくとも1つ含み、それぞれの該半分は、それぞれ1つの部分光束が割り当てられ、それぞれスペクトル感度が異なっており、複数の光電子センサ(ピクセル(pixels))から構成されている。
(形態2)1つの前記チップの半分は、少なくとも特殊照明による放出、特に放射、が予測される光波長範囲において、他の光波長範囲よりも高いスペクトル感度を有する。
(形態3)1つの又は両方の前記チップの半分の稼動モードは変更可能であり、該両方のチップの半分は同じ稼動モードで使用できる。
(形態4)前記ビデオ撮像ユニットの前記ビデオチップは、予測される放射放出のすべての光波長範囲において高くしたスペクトル感度を有し、それ以外の光波長範囲においては低くしたスペクトル感度を有する。
(形態5)少なくとも1つの前記チップの半分の前記複数の光電子センサが、センサ感度を調節可能に配されている。
(形態6)前記ビデオ撮像ユニットの前記ビデオチップの少なくとも1つのチップの半分は、好ましくはCCD又はCMOSビデオチップで構成されており、少なくとも1つの観察フィルタ又はスペクトル的に選択可能なビームスプリッタがその上流側に、予測される蛍光放射の少なくとも1つの光波長範囲を減衰させずにかつそれ以外の光波長範囲を減衰させるように、該ビデオチップの前記光電子センサ上に投射されるように配置されている。
(形態7)蛍光観察状態において、前記光電子センサはその最大感度で稼動される。
(形態8)前記ビデオ撮像ユニットの前記ビデオチップは、好ましくはCCD又はCMOSビデオチップで構成されており、少なくとも1つの前記チップの半分は、もう一方のチップの半分に比べて、前記光電子センサをドーピングすることによりスペクトル感度を変えている。
(形態9)前記ビデオ撮像ユニットの前記1つのビデオチップの代わりに、2つのビデオチップが配されており、2つの部分光束のうちの1つがそれぞれに割り当てられており、それぞれが取得した画像は1つのビデオ画像の中に読み出され、左側のビデオチップと右側のビデオチップは1つのディスプレイの中の2つの部分に割り当てられ、左側の立体部分画像は該ディスプレイの左側に再生され、右側の立体部分画像は該ディスプレイの右側に再生されるように、2つのビデオ画像が統合され、左右の部分ディスプレイ観察光束を有する立体ディスプレイ観察光束によって立体3D表示が可能となる。
(形態10)前記ビデオ撮像ユニットはビデオ立体カメラであり、画像取得状態において、立体部分画像は別々のビデオ画像面で処理される。
(形態11)前記ビデオ撮像ユニットによって取得された蛍光画像は、前記立体顕微鏡の補助者用出力及び/又は主目視観察光束に選択的に、補助的に立体的又は単視的に、重ね合わせて投入できる。
(形態12)前記ビデオ撮像ユニットの前記ビデオチップの第1の領域は、励起対象から放射される第1の光波長範囲において、第2の領域よりも高いスペクトル感度を有し、該ビデオ撮像ユニットの第2の領域は、励起対象から放射される第2の光波長範囲において、該第1の領域よりも高いスペクトル感度を有し、したがって該ビデオチップによって生成される各ビデオ画像面は、該対象領域の2つのスペクトル的に異なる蛍光現象の、物理的に独立した最大限の電子画像情報を含む。
(形態13)前記2つのチップの半分のうち、一方は白色光に対して感度が高く、他方は蛍光放射光に対して感度が高い。
(形態14)前記ビデオ撮像ユニットの前記ビデオチップの前の観察フィルタは、取替え可能であり、好ましくは電気機械的に観察フィルタのセットの中から選択可能であり、挿入可能であり、又は取り外し可能である。
(形態15)前記ビデオチップの前の観察フィルタは、可動的に構成されたマイクロ配列要素である。
(形態16)前記光電子センサ要素のスペクトル感度は、ドーピングを変化させる電子制御信号により可逆的に変更可能である。
(形態17)代替的に、又は同時に稼動可能な2つの照明装置が配され、一方は白色光に最適化され、他方は励起光に最適化されている。
(形態18)少なくとも手術中は白色光を該対象領域に照射し、また観察中は特定の光波長範囲を選択可能である光源を有する、第1の手術用顕微鏡白色光照明装置と、該対象領域の該検体から放出される光をガイドするための観察光束と、少なくとも1つの第1の観察フィルタ装置をそのビデオ観察光束内に有する、1つの立体ビデオ観察光束と、を含む。この(第1の観察フィルタ)装置は、使用中は、主として、放出される光波長の範囲(蛍光発光技術の場合は蛍光波長範囲)では完全に透明であり、さらに補助的に、特定の光波長範囲(蛍光発光技術の場合は励起光波長範囲)では部分的に透明である。さらにこの立体ビデオ観察光束は、ビデオ再生ユニットに接続された光電子ビデオ撮像ユニットを含む。このビデオ再生ユニットは、観察光束中のビデオ撮像ユニットからのビデオ画像を、データ投入によって観察者に提示することができる。
【0053】
本発明は、限定するものではないが、蛍光顕微鏡検査方法に適したこの種の手術用立体顕微鏡を実施形態として説明する。本発明の意図は、特殊照明によるビデオ化(特殊照明手術用顕微鏡方法)、例えば特に偽色彩によるビデオ化、スペクトル選択コントラストによるビデオ化等は、ビデオ技術の助けを借りて蛍光顕微鏡検査方法の代替として用いることができるということである。この意味において、目視による観察光束に加えてあるいは代えて、対象領域から発してビデオ撮像ユニットに至るビデオ観察光束が用いられる。これに関して、同じ出願人のドイツ特許出願であるDE102010044503.7(2010年9月6日出願、出願人の事件No.L239PDE/P3073、その優先権主張に係る本願と同日の日本出願特願2011−193638号、以下「特定関連出願」という。)の図4とそれに関連する記載を参照すると、この種のビデオ観察光束と、この観察光束の最後に配置されたセンサ(211)が図解的に記載されている。上記特定関連出願の図4とそれに関連する記載は引用を持ってここに記載されているものとする。上記特定関連出願の図4に対応する図面を、本願の図4として符号の説明とともに添付するとともに、実施例において詳述した。図4に記載された観察光束は、画像センサ(211)の画像面に至るという意味で本発明におけるビデオ観察光束に相当する。本発明においても、引用した図4においても、立体光束が存在し、図4の記載面に重なる2つの独立した単視光束を有するということを注記する。そこに配置された観察フィルタは少なくとも部分的に励起波長に対して透明である。いずれにしても、観察光束内においては、蛍光現象によって放出された光のみならず、対象領域の検体から反射した励起光もまた見ることができる。上記特定関連出願の観察フィルタはしたがって励起光を完全にブロッキングするわけではない。
【0054】
1つの特徴的な改良を達成するため、本発明のビデオ撮像ユニットは、予測される放出光の少なくとも1つの波長範囲を実質的に減衰させることなく透過するとともに、他の波長範囲の光を(部分的に)吸収する観察フィルタが配置される位置より上流側の、少なくとも左側及び/又は右側の部分画像光束内に、少なくとも1つのビデオチップ、特にCCD又はCMOSを含むことができる。
【0055】
代替的に、従来のビデオチップに配されていたフィルタを廃し、オリジナルのスペクトル感度でビデオチップを十分に活用できるようにすることができる。
【0056】
代替的に、特徴的な改良のため、ビデオ撮像ユニットは、対象領域の励起部位から放出される少なくとも1つの光波長範囲のスペクトル感度を、他の光波長範囲に比べてドーピングにより増強した少なくとも1つのビデオチップ、特にCCD又はCMOSを含むことができる。
【0057】
特殊照明(例えば蛍光)された対象領域の部位に関する情報を補助者及び/又は手術者に提供するため、ビデオ撮像ユニットにより得られた画像、特に蛍光現象による画像を、画像投入光束によって手術用ビデオ立体顕微鏡の補助者の観察光束及び/又は主観察光束に投入することができる。本発明では、部分観察光束(右又は左)のうちの1つ又は両方に、単視的に又は立体的に投入することができる。また、場合によっては、1つの特定画像(例えば、NIR光波長範囲の放出現象によるもののみ)を1つの部分光束(例えば左側)に、他の特定画像(例えば青色励起光により強調されたNIR光波長範囲の放出現象によるもののみ)を他の光束に投入することができる。
【0058】
この種の異なる画像は、それぞれの部分画像観察光束内の対応する観察フィルタによってもたらすことができる。これにより、異なる部分観察光束内の異なる光波長範囲を別々に画像化できる。しかしこれらは電子的にフィルタすることもできる。本発明において重要なことは、重要な範囲のスペクトル感度を増加させたことで、ビデオチップが対象領域からの通常は非常に弱い画像信号を最適に取得できるということである。
【0059】
対象領域の関心のある部位からの異なる画像を同時に取得するため、ビデオ撮像ユニットの第1のサブ領域は、対象領域の励起対象部位からの放射光又は反射光の第1の光波長範囲により高いスペクトル感度を有し、第2のサブ領域は、対象領域の励起対象部位からの放出光又は反射光の第2の光波長範囲により高いスペクトル感度を有することができる。そのため、ビデオ撮像ユニットの第2のサブ領域の、対象領域の励起対象部位からの放出光の第2の光波長範囲に対するスペクトル感度は、ビデオ撮像ユニットの第1のサブ領域よりも高い。これは、好ましくは1つのビデオチップで、又は従来技術のように立体視の左と右の部分画像観察光束のそれぞれの画像面に、上記のように異なるスペクトル感度を持つ単視ビデオチップを持つことで達成できる。この実施形態で重要なことは、各部分画像観察光束において異なるスペクトル感度が与えられているので、各部分画像光束での観察によりそれぞれ異なる画像/色の情報、又は特定の光波長範囲の異なる強度が得られるということである。例えば、部分画像観察光束においてビデオチップが青色に高いスペクトル感度を有する場合は、青い反射光に対して特に強い画像強度が得られる(したがって例えば弱い励起光であっても、強いビデオ信号を生成するので、観察者から見ると明るく見える)。
【0060】
一方、右側の部分画像観察光束のビデオチップは例えば特に赤い放出光に対して高いスペクトル感度を有していれば、蛍光放出光がたとえ弱いものであっても強いビデオ信号が生成され、弱い蛍光現象が明るく見える。かくして、ディスプレイに再生されたビデオチップ(単数又は複数)からの画像を見る観察者のため、1つの立体観察光束内において、良好な背景照明と強い放出光とが互いにさらに良好なコントラストを与える。本発明により、幅広い光波長範囲、例えばIRからUVによる対象領域の観察が達成されるという有利な効果も得られる。
【0061】
また本発明において次のような改良も考えられる。即ち、部分画像のピクセルごとに異なるスペクトル感度を持たせるのである。ピクセルは格子状に分割し、直線上に隣り合うピクセルごとに異なる感度を持たせるようにする。電子的に言えば、この実施形態により、1つの取得画像で(解像度が悪くても)、1つの光波長範囲とそれとは異なる範囲のいずれにおいても、特に良好な光効率を達成することができる。ディスプレイ上への表示画像については、右と左の部分画像の区別が可能であるだけでなく、1つの部分画像における異なるスペクトル感度が強調される。このような構成により、異なるスペクトル範囲において1つの同じ装置を用いて強い光強度及び感度を持つ立体画像を取得し、表示することができる。このように異なるスペクトル感度の格子状配列は、ここで開示する他の特徴とは独立して他にも適用できる。これに関する開示はこのような新規なビデオチップの優先的な保護を与えるものである。従来のビデオチップのカラービデオ撮像ユニットの構成(RGB構成)は、それぞれのRGBピクセルごとに異なる色感度を有しているが、これは本発明の新規なビデオチップには含まれない。本発明での主題は、上述のとおり、特殊照明領域及び放出光領域における異なるスペクトル感度であり、従来の単なるカラー撮像を与えるためのもの(即ちRGBに対応してスペクトル感度の異なるもの)ではない。
【0062】
好ましい画像再生は次のように行われる。特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡に1つのディスプレイをセットし、ビデオ撮像ユニットの第1の領域(例えば左側領域)から得た画像と、ビデオ撮像ユニットの第2の領域(例えば右側領域)から得た画像とを、同時に少なくとも1つの画像観察出力装置に投入し、立体的又は単視的に重ね合わせる。
【0063】
本発明の1つの実施形態では、取得した蛍光画像の3次元表示が簡単な方法で達成できる。これによればビデオ撮像ユニットは1つのビデオチップを持つビデオカメラと1つの再生のためのディスプレイを含む。1つのビデオチップは、その2つの半分ずつのそれぞれに部分画像観察光束が割り当てられており、1つのディスプレイは、その左側と右側の2つの画像面にそれぞれ左側と右側の観察光束が割り当てられている。もしくは、本発明に係る撮像ユニットの役割を持つように改良された複数のビデオチップを持つ従来型の立体ビデオカメラで、そのビデオチップの立体画像は(従来技術のように)立体観察光束に投入されて表示されるか、3Dディスプレイで表示されるようにしてもよい。
【実施例】
【0064】
本発明について、以下の図面を参照して更なる利点とともに詳細に説明するが、図面に示す実施例は限定的なものではない。
【0065】
図1に示す本発明に係る手術用ビデオ顕微鏡100は立体顕微鏡として構成され、2つのビデオ撮像ユニット20a及び20bを含む。各ビデオ撮像ユニット20a及び20bは、例えばCCD又はCMOSカメラ又はCCD又はCMOSビデオチップ等でありうる。本発明によれば、このビデオ撮像ユニット又はビデオチップのスペクトル感度は、観察対象である対象領域又は検体1の特殊照明された部位から放出される、例えば蛍光線に対応する特定のスペクトル範囲ないし特定の波長に適合するように設計されている。対象領域1の観察部位の励起は、可能であれば公知の照明装置(図示せず)で行われるか、又は単に例えば従来の手術室の照明からの周辺光により行われる。
【0066】
上記の照明後、又は励起後の検体1の観察は、以下に説明するようにビデオ撮像ユニット20a及び20bを用いて行うことができる。
【0067】
検体1から発する観察光束54、56は、顕微鏡筐体2内の対物レンズ3を通過した後、それぞれ偏向要素80、82に当たる。観察光束54は、好ましくはプリズム又はミラーで構成された偏向要素80により偏向され、第1のビデオ撮像ユニット20aに入る。偏向要素80と立体ビデオ撮像ユニット20aとの間には、ビームスプリッタ要素18と画像形成システム19(ここでは簡略化してレンズとして表示)が配置されている。ビームスプリッタ要素18の役割は後述する。
【0068】
同様にして、検体1からの別の観察光束56は、別の偏向要素82により偏向されて第2のビデオ撮像ユニット20bに到達する。画像形成システム(同様に簡略化のためレンズとして表示)が、やはり好ましくはプリズム又はミラーで構成された偏向要素82と第2のビデオ撮像ユニット20bの間に配置されうる。
【0069】
2つのビデオ撮像ユニット20a及び20bで生成された電子画像はデジタル化され、リード27a、27bによりコンピュータ28に伝送されうる。画像はここでディスプレイ30に表示可能なように立体3D画像に処理される。
【0070】
ビデオ撮像ユニットのビデオチップが1つの場合、電子システムは立体画像を1つのビデオ画像面(フレーム)として受け取るので、電子信号の処理は非常に簡単になる。ビデオ画像面において、各画像点はディスプレイ内の対応する画像点に割り当てられるので、ディスプレイに表示された場合、画像面からの画像(右と左の部分画像)は実質的に拡大されて表示される。
【0071】
顕微鏡100の観察光束102、104による観察の代わりに、又は追加して、ディスプレイ30上で立体観察が可能であれば、観察者29はこのディスプレイで対象検体1を立体的に見ることができる。これは(US−A1−2009/0190209の図6に示されているように)立体観察光束をディスプレイ上に向けて、画面の左側を左目に割り当て、画面の右側を右目に割り当てることにより達成できる。
【0072】
コンピュータ28による立体画像処理及びディスプレイ表示の代わりに、又は追加して、2つのビデオ撮像ユニット20a及び20bで生成された画像を直接観察光束102、104に投入することができる。これにより、観察光束102、104で生成する画像とビデオ撮像ユニット20a及び20bで生成される画像とを重ね合わせることができる。より改良された診断又は治療のため、同じ装置を用いて(公知の方法により)例えばコンピュータ又は他の診断ユニットから、他の画像を投入することももちろん可能である。
【0073】
画像の重ね合わせは、画像重ね合わせ装置6、7を用いて行うことができ、ビデオ撮像ユニット20a及び20bの信号及び画像をリード37a、37bにより画像重ね合わせ装置6、7に伝送する。画像重ね合わせ装置はそれぞれ、観察光束102、104及び光束50、52にそれぞれ配置された画像処理装置6とビームスプリッタ7を含む。各画像処理装置6はそれぞれ、表示すべき画像を別の画像形成システム19(象徴的にレンズで表示)を通じてビームスプリッタ7に伝送する表示ディスプレイを含む。この画像の重ね合わせは、対象1又は対物レンズ3からみてズームシステム4の後方でおこなわれるため、このズームシステムによって拡大され、光束50,52で伝送される実際の拡大率を画像処理装置6において考慮する必要がある。ズームシステム4には、ズームシステムの現在の拡大率を検知し、画像処理装置6をどのように制御するかに影響を与えるセンサを備える。
【0074】
したがって図1より、部分観察光束50、52はズーム4を経由するが、部分画像観察光束54、56は経由しないので、部分目視観察光束50、52と部分画像観察光束54、56はそれぞれ異なる拡大率を持つことができることが明らかである。にもかかわらず画像重ね合わせ装置6、7においては、これらの光束(ないしこれらからの画像)をサイズ上正確に重ね合わせることができ、また拡大率の差を画像処理装置6において電子的に又はしかるべく制御された(好ましくはコンピュータ制御された)画像形成光学装置により補償できることが有用である。
【0075】
いくつかの代替案が考えられる。例えば、光束50、54と光束52、56の間の角度をできるだけ小さくすることが考えられる。これにより、偏向要素とズームシステム4を通過する光束50、52の距離を最小にすることができる。このため、偏向装置80、82を、ズームシステム4を通過する光束50,52に対して直交方向に、2方向矢印80a、82aのように可動的に構成することが考えられる。
【0076】
ビデオ撮像ユニット20a及び20bで生成された画像を、ズームシステムの下方、例えば対物レンズ3とズームシステム4の間で、光束50、52に投入することも好ましい。これにより、ズームシステム4の拡大率のコンピュータ補償が不要になる。
【0077】
図1から、観察光束50と54、及び52と56の間の角度がそれぞれで異なることも明らかである。これらの光束、ないしこれらから生成される画像は画像重ね合わせ装置6、7により互いに重ね合わせられるので、これらの角度差又は位置の差はミラー80,82を位置90、92の間で矢印に沿って移動させて補償することが有益である。
【0078】
偏向要素又はビームスプリッタの位置を変えて観察光束102、104及び/又はビデオ撮像ユニット20a及び20bへの投射を変えられるようにする例を図1の点線で90,92として示している。
【0079】
これは、ビデオ観察光束を、観察光束102,104を通じて利用可能とするため、及び/又はビデオ撮像ユニット20a及び20bへ投射するために、目視観察光束102,104に挿入可能なビームスプリッタ90,92を用いるものである。ビームスプリッタ要素90,92は例えば、光束50,52を、ズームシステム4へ到る部分光束と、ビデオ撮像ユニット20a及び20bへ到る部分光束とに分割する、半透明ミラー(ハーフミラー)として構成できる。このような方法は、ミラー80,82のような方法に比べ、ズームシステムに通じる光束の観察角度と、ビデオ撮像ユニット20a及び20bへ通じる光束の観察角度が最初から同じであるというメリットがある。
【0080】
ビームスプリッタ要素90,92はさらに、例えば、個々のマイクロミラーが完全な反射を行うか、あるいは完全な透過を達成するように調節可能なマイクロミラー配列としても構成できる。個々のマイクロミラーが完全な反射をすれば、光束50、52はすべて対応する立体ビデオ撮像ユニット20a及び20bに反射される。すべて透過すれば、光束50、52はすべてズームシステム4及びその後の光学要素に向けられる。
【0081】
本発明によれば、ビームスプリッタ要素90,92は、観察フィルタのようにスペクトル選択的に、そして例えば比較的狭い光波長範囲における白色光を透過し、UV−UV近傍範囲及び/又はNIR又はIR範囲において反射するように、コーティングすることができる。本発明におけるビデオチップの高い選択性は、このようにして達成できる。ビデオチップには白色光は到達せず、UV−UV近傍範囲及び/又はNIR又はIR範囲の光波長範囲の光のみが到達するからである。また、これらの光波長範囲で最適化するか、又はビデオ信号をこれらの光波長範囲で最大化することでも達成できる。
【0082】
偏向要素80,82とビームスプリッタ要素90,92をいっしょに1つの特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡に組込み、両者を代替的に又は同時に用いるということも考えられる。
【0083】
図2は、本発明の他の実施例である手術用ビデオ立体顕微鏡100aの概略図である。主術者Hは2つの接眼鏡101a、101bで手術用ビデオ立体顕微鏡100aの2つの部分目視観察光束を直接見る。部分画像観察光束が割り当てられた2つのビデオチップを有するビデオ撮像ユニット又は立体ビデオカメラであるK1が立体顕微鏡画像を同時に取得する。対象領域1の対象部位から発する左右の対象光束OL、ORはビームスプリッタ102a、102bを経由し、偏向ミラー103a、103bで偏向されてビデオ撮像ユニットK1の2つの入力K1a、K1bに入る。
【0084】
部分画像観察光束が割り当てられた2つのビデオチップを有するビデオカメラである、別のビデオ撮像ユニット又は立体ビデオカメラであるK2は、90度回転した位置での顕微鏡画像を取得し、補助者Aに提供する。ビデオ撮像ユニットK2は、対象領域1の対象部位の蛍光条件に対応したスペクトル感度に設計されたビデオチップ104aを含む。しかしビデオ撮像ユニットK1及びビデオ撮像ユニットK2は同じように構成できることにも注意すべきである。対象光束OaL、OaRは偏向ミラーで偏向され、ビデオ撮像ユニットK2に達し、ビデオチップ104aの左側104aLと右側104aRに検知され、電気ビデオ信号に変換される。ビデオチップ104aで検知された電気信号はコントローラー105aに伝送され、そこでビデオチップ104aの左側104aLと右側104aRで検知された画像をそれぞれ処理し、まず(2つの半分の画像を)1つの画像として電子処理する。(再処理された、又は計算された)画像データはコントローラー105aからリード108aを通じてディスプレイ106aに伝送される。補助者Aの各眼のため、ディスプレイ106aではサブ領域106aL及び106aRにおいて、ビデオチップ104の左側104aLと右側104aRで検知された画像が再生される。補助者Aは、ディスプレイ106aの各サブ領域106aL及び106aRを接眼鏡107a、又は接眼鏡107aの各ディスプレイ観察光束である107aL、107aRを通じて見ることができる。
【0085】
述べたように、ビデオチップ104aのスペクトル感度は、104aLと104aRの両方とも、対象領域1の対象部位の励起後の蛍光放射に適するように、例えば400nm又は800nmに設計することができる。
【0086】
これは、フィルタF1、F2をビデオチップ104aの前に置いてフィルトレイションすること、又は上記のようにスペクトル感度調整したビームスプリッタによって、又は同時に不要な目視スペクトル範囲の感度を下げてコントラストを向上させるようにビデオチップ104aに特殊なドーピングを施すことによって、達成することができる。CCDビデオチップそのものは、特定の光に対して感度が良ければ本発明に用いることができる。望ましい改良したスペクトル調整を達成するため、選択的に追加したビデオ撮像ユニットの画像形成光学システムとビデオ撮像ユニット104aのCCDビデオチップとの間にしかるべき観察フィルタを追加することも可能である。観察フィルタを用いる代わりに、上記のようにチップ104aにしかるべき(公知の)ドーピングをして、さらに可能であれば電子的に調整可能なようにして、望ましいスペクトル感度を達成することも可能である。本発明を理解したビデオチップ製造の当業者であれば、そのようなビデオチップの製造方法を理解できるであろう。
【0087】
さらに図3に示すように、例えば領域104aLを例えば400nmに感度があるようにし、領域104aRを例えば800nmに感度があるようにビデオ撮像ユニット104aのスペクトル感度を調整することも可能である。104aLと104aRに異なるスペクトル感度を与えるため、2つの独立したCCD又はCMOSビデオチップを用いて、その前に対応するフィルタを配置する、及び/又はそれぞれ異なるドーピングをするということも可能である。しかしこのような構成であっても、その後のビデオデータの処理を簡略化し、さらなる処理をすることなく1つのディスプレイに表示することができるように、2つのビデオチップを1つの不可分のビデオチップとして読み出すか、少なくとも読み出した直後に1つのビデオ画像面に統合することが有利である。
【0088】
ビデオ撮像ユニット104aが異なるスペクトル感度を有することにより、400nmと800nmの表示を同時に達成することができ、手術者の目視画像と同時に、又は代替的に、特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡に投入することができる。これは有利な実施形態として特別に構成されたコントロールユニット105a(例えばしかるべくプログラムされた信号処理装置)によって達成できる。これにより、例えば400nmの立体的な、又は例えば800nmの立体的な画像対を生成し、あるいはオブザーバに例えば400nm又は例えば800nmの画像をそれぞれの目に提供することができる。モジュール105aにしかるべき回路を用いることで、いわゆる「ピクチャーインピクチャー」といわれる画像、即ち例えば400nmと例えば800nmの画像を画像チャンネルL又はRのディスプレイ106に同時に生成することができる。
【0089】
立体ビデオ撮像ユニットにより記録された、対象領域の対象部位からの蛍光放射データはデータ処理ユニットで用意され、必要に応じて、偽色彩画像として手術者のため特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡に公知の方法(図1参照)を用いて追加的に投入することができる。
【0090】
ここで注意すべきは、上記のスペクトル範囲は単に例示的なものであり、実際の蛍光現象にしたがって異なる範囲を設定することができるということである。
【0091】
ビデオチップのスペクトル感度を調整することにより良好に検知可能となった、本質的に不可視の光波長における電子処理画像は、偽色彩を用いて表示することが好ましい。例えば、400nmの色を500nmで表示し、800nmの色を700nmで表示する。
【0092】
本発明のさらなる実施形態と詳細は特許請求の範囲に記載したものであり、参照符号と図面が開示内容を理解する一助となるであろう。
【0093】
結論として、特殊な励起フィルタや照明装置等を用いて励起照明を改良するかわりに、本発明に係るビデオチップにより画像を取得する側での改良が達成されたということが本発明において重要なことである。
【0094】
本発明は、単純な照明装置を用いて行うのみならず、まったく照明がなくても可能である。しかし、良好な照明又は励起技術と本発明を組み合わせることにより、さらに改良された結果を得ることができる。出願人は、FL400及びFL800という番号で販売されている出願人による手術用立体顕微鏡技術を特に言及する。また、出願人による特許出願であるDE102010044503.7及びEP−A1−1691229の全記載内容は、引用によりここに記載されているものとする。
【0095】
本発明に係る特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡は普遍的に利用可能であり、手術者の診断能力を改善し、最終的には改善された治療を患者に提供する。従来の手術用蛍光顕微鏡技術に加えて、本発明は自発蛍光効果、偽色彩表示等の検知を改善し、特殊照明や励起光を少なくすることができ、選択的に複雑なブロッキングフィルタを観察光束から除去することができ、そして場合によっては複雑な励起フィルタを励起照明光束から除去することもできる。IR範囲でのビデオチップの高い感度により、これまで手術用顕微鏡では見えなかった組織からの熱放出も、左右の部分光束に単視的に、選択的に検知することができる。
【0096】
本発明の特に典型的な実施形態において、ビデオチップの半分を、他の半分に比べて異なる、又は同じ感度を選択できる(切り替えできる)ように構成できるため、1つの部分光束による単視観察と、両方の部分光束による立体観察とを切り替えることができる。
【0097】
特殊な位置にある検体を立体観察する場合は、ビデオチップの半分がスペクトル的に異なる場合、観察者が画像情報を立体的に把握できないことに注意すべきである。本質的に立体である画像情報を、観察者のために2つの異なる色の単視部分画像に分解するため、観察者は左右のぞれぞれの目で異なる単視画像を把握する。これはある種の診断においては重要な問題点となりうる。しかし観察者が立体観察を希望する場合は、本発明によれば観察者は両方の部分光束又はチップの2つの半分を同じスペクトル特性にすることができる。
【0098】
本発明の特別な一形態によれば、図4に例示されているように全てのフィルタ、即ち励起フィルタ、照明フィルタ、観察フィルタ209、210は、電気機械式(駆動ユニット230)で光線路221に対して着脱(取り付け及び取り外し)することができ、この際、駆動ユニット230の制御のためには制御ユニット200が設けられており、制御ユニット200は入力ユニット300を介してプログラミング可能であり、好ましくは例えば記憶ユニット内に予め設定されておりライトハザードを減少させるための安全用設定値(安全用セッティング)を使用することのできる状態にある。従ってここでは調整回路(フィードバック調整回路)を介して完全自動式でプログラミング可能なライトハザード用の安全用設定値がプログラミング可能である。これらの安全用設定値は、使用者自身が自分のために又は自分の目のために不利な設定内容を被らないことをもたらす。
【0099】
あるいはまた勿論、上記の全ての観察フィルタに対して補助的に、鏡胴内に固定で組み込まれるUVフィルタ等を組み込むこともでき、それによりライトハザードが適切に回避される。このことは全観察スペクトル内においてフィルタ透過後の特定部分スペクトル曲線の強度の減少に対応するであろう。従って観察光線路221のこのような一変形形態は目視観察にとっては有利であろうが、蛍光現象の発光光とUV近傍領域内の背景の反射光との間のコントラストを観察することができない可能性があるため、ビデオ支援式の観察にとっても同時に短所を伴うことになるだろう。従って観察者に対して特に短波長光により改善された構造情報を提供する所定の表面は、場合により最適な状態では感知されないことがある。従ってこの際、利用者は正しい妥協点を見い出さなくてはならない。本発明の基本的な教示内容のおかげで利用者には上記のように様々な方式が提供されている。
【0100】
照明装置が白色光を放出するとした場合、この白色光には同様に第1観察フィルタ209並びに、使用状況に応じ、補助的な観察フィルタ210が作用する。従って白色光を強すぎない程度でスペクトル的に吸収するためには、例えば第1観察フィルタ209が中央の波長領域において完全に吸収を行うのではなく、中央の波長領域においても光の一部分を通過させるという構成が考えられる。もっともこのような措置には補助的な観察フィルタ210が影響を及ぼすことはないだろう。つまり中央の波長領域内の照明光の感知可能性は発光光に比肩しむしろ一定に留まるであろう。しかしながらこのスペクトル領域もその可視性(視感性)において調整されるであろう(蛍光現象の発光光に対する相対的なコントラスト適合)。
【0101】
好ましくは、第1観察フィルタ209は干渉フィルタとして形成される。更に好ましくは第2観察フィルタ210は材料において着色されたフィルタ(色ガラスフィルタ又は色プラスチックフィルタ)として形成される。従って第2観察フィルタ210は第1観察フィルタ209よりも遥かに少ない製造コストで済む。
【0102】
最後に、本発明に従う蛍光手術用実体顕微鏡100、201の上記の実施形態は多種多様な可能性からの一部分を提示しているにすぎず、本発明の適用領域を限定するために援用されるべきではないことを指摘する。勿論上記の実施形態は任意に組み合わせたり変更したりすることができる。
【0103】
別個の第1観察フィルタ209と第2観察フィルタ210の代わりに、組み合わされた唯一のフィルタを使用することもでき、該フィルタは例えば(第2フィルタの機能のための)材料において着色されたガラスを有する(第1観察フィルタの機能のための)干渉フィルタとして構成することもできる。例えばそのために第1観察フィルタ209の透過曲線は、第1コンビネーションフィルタを得るために第2観察フィルタ210の透過曲線と組み合わされる。勿論この際には本発明に従い、少なくとも2つの異なるコンビネーション観察フィルタ209を設けなくてはならない。同じように例えば第1観察フィルタ209の透過曲線を、第2コンビネーションフィルタを得るために第2観察フィルタ210の透過曲線と組み合わせることができるであろう。
【0104】
当業者にとって、上記考察内容に基づき、本発明の保護範囲を逸脱することなく本発明を当業者の要求に適合させることは容易であると認められる。それに加え、図面に図示された装置の部材は、独立発明のための基礎を形成することができることも指摘しておく。既述のように本発明は蛍光手術用実体顕微鏡だけに限定されるものではないことを特に指摘しておく。本発明の技術的な基本思想は蛍光手術用実体顕微鏡構造以外でも有効に適用することができる。本願の請求項において及びそれに付随する本明細書の部分において「蛍光手術用実体顕微鏡」との記載はルーペメガネや内視鏡のようなものも含めて「顕微鏡又は拡大装置」とも読めるものとする。
【0105】
尚、本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、更にその基本的技術思想に基づいて、実施例ないし実施形態の変更、調整が可能である。また、本発明の特許請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。即ち、本発明は、特許請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想に従って当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0106】
1 検体
2 顕微鏡筐体
3 対物レンズ
4 ズームシステム
6 重ね合わせ装置
7 重ね合わせ装置
18 ビームスプリッタ要素
19 画像形成システム
20a ビデオ撮像ユニット
20b ビデオ撮像ユニット
27a リード
27b リード
28 コンピュータ
29 観察者(オブザーバ)
30 ディスプレイ(モニター、選択的に3D)
37a リード
37b リード
50 部分観察光束
52 部分観察光束
54 部分ビデオ観察光束、特に蛍光放出光
56 部分ビデオ観察光束、特に蛍光放出光
80 偏向要素
82 偏向要素
90 ビームスプリッタ要素
92 ビームスプリッタ要素
100 特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡
100a 特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡
101a 接眼鏡
101b 接眼鏡
102 部分目視観察光束
102a ビームスプリッタ
102b ビームスプリッタ
103a 偏向ミラー
103b 偏向ミラー
104 部分目視観察光束
104a ビデオチップ
104aL 左部分
104aR 右部分
105a コントローラー
106a ディスプレイ
106aL サブ領域
106aR サブ領域
107a 接眼鏡
107aL ディスプレイ観察光束、左
107aR ディスプレイ観察光束、右
108a リード
OaR 対象光束、右
OaL 対象光束、左
A 補助者
H 主術者
K1 部分ビデオ観察光束が割り当てられた2つのビデオチップを有するビデオカメラ又は立体ビデオカメラ
K1a 入力、右
K1b 入力、左
K2 部分ビデオ観察光束が割り当てられた2つのビデオチップを有するビデオカメラ又は立体ビデオカメラ
F1 観察フィルタ
F2 観察フィルタ
201 観察光線路を1本の線221で表示する蛍光手術用実体顕微鏡(模式図)
206 主対物レンズ
207 検査ないし観察すべき観察対象ないし観察対象野
209 観察光線路221内の第1観察フィルタ
210 観察光線路221内の第2観察フィルタ
211 画像センサ
221 観察光線路
223 実体鏡胴(ステレオチューブ)
224 分光器(ビームスプリッタ)
230 駆動ユニット、電動式、電気機械式、手動式
200 制御ユニット、例えばPC(パーソナルコンピュータ等)
300 記憶ユニット(メモリユニット)、入力ユニット
400 ビデオ画像処理ユニット
500 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特殊な照明、特に励起光を含む照明、のもとで検体(1)を観察するための、特に検体を蛍光観察するための、ビデオ撮像ユニット(20a、20b、K1、K2)を有する2つの部分光束からなる立体部分光束を有するビデオ立体観察光束を少なくとも1つ有する特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡(100、100a)であって、
該ビデオ撮像ユニット(20a、20b、K1、K2)は、ビデオ立体画像を取得するための、チップの半分を2つ組み合わせたビデオチップ(104a)を少なくとも1つ含み、それぞれの該半分は、それぞれ1つの部分光束が割り当てられ、それぞれスペクトル感度が異なっており、複数の光電子センサ(ピクセル)から構成されていることを特徴とする、特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項2】
1つの前記チップの半分は、少なくとも特殊照明による放出、特に放射、が予測される光波長範囲において、他の光波長範囲よりも高いスペクトル感度を有することを特徴とする、請求項1に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項3】
1つの又は両方の前記チップの半分の稼動モードは変更可能であり、該両方のチップの半分は同じ稼動モードで使用できることを特徴とする、請求項1又は2に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項4】
前記ビデオ撮像ユニット(20a、20b、K1、K2)の前記ビデオチップ(104a)は、予測される放射放出のすべての光波長範囲において高くしたスペクトル感度を有し、それ以外の光波長範囲においては低くしたスペクトル感度を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項5】
少なくとも1つの前記チップの半分の前記複数の光電子センサが、センサ感度を調節可能に配されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項6】
前記ビデオ撮像ユニット(20a、20b、K1、K2)の前記ビデオチップ(104a)の少なくとも1つのチップの半分は、好ましくはCCD又はCMOSビデオチップで構成されており、少なくとも1つの観察フィルタ(F1,F2)又はスペクトル的に選択可能なビームスプリッタ(90、92)がその上流側に、予測される蛍光放射の少なくとも1つの光波長範囲を減衰させずにかつそれ以外の光波長範囲を減衰させるように、該ビデオチップ(104a)の前記光電子センサ上に投射されるように配置されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項7】
蛍光観察状態において、前記光電子センサはその最大感度で稼動されることを特徴とする、請求項6に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項8】
前記ビデオ撮像ユニット(20a、20b、K1、K2)の前記ビデオチップ(104a)は、好ましくはCCD又はCMOSビデオチップで構成されており、少なくとも1つの前記チップの半分は、もう一方のチップの半分に比べて、前記光電子センサをドーピングすることによりスペクトル感度を変えていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項9】
前記ビデオ撮像ユニット(20a、20b、K1、K2)の前記1つのビデオチップ(104a)の代わりに、2つのビデオチップが配されており、2つの部分光束のうちの1つがそれぞれに割り当てられており、それぞれが取得した画像は1つのビデオ画像の中に読み出され、左側のビデオチップと右側のビデオチップは1つのディスプレイの中の2つの部分に割り当てられ、左側の立体部分画像は該ディスプレイの左側に再生され、右側の立体部分画像は該ディスプレイの右側に再生されるように、2つのビデオ画像が統合され、左右の部分ディスプレイ観察光束を有する立体ディスプレイ観察光束によって立体3D表示が可能となることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項10】
前記ビデオ撮像ユニット(K1、K2)はビデオ立体カメラであり、画像取得状態において、立体部分画像は別々のビデオ画像面で処理されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項11】
前記ビデオ撮像ユニット(20a、20b、K1、K2)によって取得された蛍光画像は、前記立体顕微鏡(100、100a)の補助者用出力(A)及び/又は主目視観察光束(H)に選択的に、補助的に立体的又は単視的に、重ね合わせて投入できることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項12】
前記ビデオ撮像ユニット(K1、K2)の前記ビデオチップ(104a)の第1の領域(104aL)は、励起対象(1)から放射される第1の光波長範囲において、第2の領域(104aR)よりも高いスペクトル感度を有し、該ビデオ撮像ユニット(K1、K2)の第2の領域(104aR)は、励起対象から放射される第2の光波長範囲において、該第1の領域(104aL)よりも高いスペクトル感度を有し、したがって該ビデオチップ(104a)によって生成される各ビデオ画像面は、該対象領域(1)の2つのスペクトル的に異なる蛍光現象の、物理的に独立した最大限の電子画像情報を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項13】
前記2つのチップの半分のうち、一方は白色光に対して感度が高く、他方は蛍光放射光に対して感度が高いことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項14】
前記ビデオ撮像ユニット(K1、K2)の前記ビデオチップ(104a)の前の観察フィルタは、取替え可能であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項15】
前記ビデオチップの前の観察フィルタは、可動的に構成されたマイクロ配列要素であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項16】
前記光電子センサ要素のスペクトル感度は、ドーピングを変化させる電子制御信号により可逆的に変更可能であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。
【請求項17】
代替的に、又は同時に稼動可能な2つの照明装置が配され、一方は白色光に最適化され、他方は励起光に最適化されていることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一に記載の特殊照明手術用ビデオ立体顕微鏡。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−58733(P2012−58733A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193841(P2011−193841)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(500056219)ライカ ミクロジュステムス(シュヴァイツ)アーゲー (42)
【Fターム(参考)】