説明

狭い分子量分布を示す共役ジエン重合体の連続製造方法およびそれから製造された製品

【課題】 高シス−1,4−共役ジエン重合体の連続製造方法。
【解決手段】 (a)ランタニド化合物と(b)アルキル化剤と(c)ハロゲン含有化合物を組合わせて製造した触媒組成物と共役ジエン単量体を連続反応槽内の炭化水素溶媒中で接触させ、そして基準時間tの時に前記反応槽に入って来た反応体の10%が時間t+xtrt[ここで、trtは、前記連続反応槽内の理想的流れに対応する滞留時間であり、そしてxは、1.5より大きい数字である]の時にまだ前記連続反応槽内に存在するような非理想的流れパターンを前記連続反応槽内に維持する工程を含んで成る方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2001年2月28日付けで提出した米国特許連続番号60/272,154および2001年5月15日付けで提出した60/290,928の優先権を得るものである。
【0002】
本発明は、高いシス含有量と狭い分子量分布を示す共役ジエン重合体を製造する連続重合方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ランタニドが基になった触媒は高シス−1,4−ポリブタジエンの調製で用いられる。このような触媒系の調製は典型的にランタニド塩と有機アルミニウム化合物とハロゲン源を一緒にすることで行われる。それらは典型的にシス微細構造(cis microstructure)が93%を超えるシス−1,4−結合含有量を有する重合体を与える。
【0004】
そのような触媒系は望ましい高シス−1,4−微細構造を有する重合体をもたらしはするが、そのような重合体の分子量を容易には調節することができないことから、そのような重合体は相対的に高い分子量分布を示す。そのような触媒系を用いて製造した重合体の分子量を調節する試みが成されてきた。例えば、アルミニウムとランタニドの比率を操作して重合度と重合体の分子量に影響を与えることが行われた。しかしながら、そのような方法を用いたのでは分子量分布を同様に制御するのは不可能なことから効果的でないことが確認された。
【0005】
他の試みはケイ素のハロゲン化物または有機ケイ素のハロゲン化物をハロゲン源として用い、次いで、その触媒系を重合させるべき共役ジエンと接触させる前に少なくとも5時間熟成している。しかしながら、そのようなアプローチを用いると重合体の生産費用が高くなってしまう。
【0006】
高いシス−1,4−結合含有量と狭い分子量分布を示す共役ジエン重合体を製造する経済的な連続重合方法の要求が存在する。
【発明の開示】
【発明の効果】
【0007】
(a)ランタニド化合物と(b)アルキル化剤(alkylating agent)と(c)ハロゲン含有化合物を一緒にすることにより製造した触媒組成物と共役ジエン単量体を連続反応槽内の炭化水素溶媒中で接触させそして基準時間(reference time)tの時に前記反応槽に入って来た反応体の10%が時間t+xtrt[ここで、trtは、前記連続反応槽内の理想的流れに対応する滞留時間(residence time)であり、そしてxは、1.5より大きい数字である]の時にまだ前記連続反応槽内に存在するような非理想的流れパターン(non−ideal flow pattern)を前記連続反応槽内で維持する工程を含んで成る共役ジエン重合体の連続製造方法。
【0008】
有利には、ランタニドが基になった触媒系を用いた連続重合工程内で重合体の中間体に逆混合(backmixing)を充分に行なうと驚くべきほど狭い分子量分布を示す共役ジエン重合体が生成することを見いだした。また、本方法で製造した重合体は特定の官能化剤(functionalizing agents)に対して向上した反応性を示
し、それによって、高い度合の官能性を有する官能化重合体を容易に製造することができる。加うるに、本発明により製造した重合体は優れた粘弾性特性(viscoelastic properties)を示し、例えば引張り強度が高く、耐摩滅性(abrasion resistance)が高く、ヒステリシスが低くかつ卓越した耐疲労性(fatigne resistance)を示し、従って、特にいろいろなタイヤ構成要素、例えばトレッド(treads)およびサイドウォール(sidewalls)などで用いるに適する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ランタニドが基になった触媒組成物を用いて共役ジエン単量体を炭化水素溶媒中で連続的に重合させる。一般的には、(a)ランタニド化合物と(b)アルキル化剤と(c)ハロゲン含有化合物を一緒にすることにより触媒組成物を生成させる。前記単量体と触媒組成物もしくは材料を重合体中間体の逆混合が可能な連続型反応槽に仕込み、その逆混合の結果として、狭い一頂(monomodal)分子量分布と高いシス−1,4−結合(cis−1,4−linkage)含有量を有する重合体を生成させる。そのような逆混合によってまた重合体のリビング(living)特性の度合も向上し、それによって、そのような重合体を官能化させる(functionalized)ことが可能になる。
【0010】
共役ジエン単量体は、一般に、単結合(single bonds)と共に交互に存在する2つ以上の二重結合を有する不飽和化合物である。共役ジエン単量体の例には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエンおよび2,4−ヘキサジエンが含まれる。また、2種以上の共役ジエンの混合物を共重合で用いることも可能である。好適な共役ジエンは1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンおよび1,3−ヘキサジエンである。最も好適な単量体は1,3−ブタジエンである、と言うのは、この単量体を本発明に従って重合させると分子量の範囲が狭い高シス−1,4−ポリブタジエンが得られ、これは狭い分子量分布を示す。
【0011】
共役ジエン単量体は単独または組み合わせて用いることができる。望まれるならば、共役ジエン以外の単量体を少量用いることも可能である。そのような他の単量体には、これらに限定するものでないが、ビニル芳香族化合物、例えばスチレンなどが含まれる。共重合し得る単量体の量に制限はないが、その量は通常重合体全体の10重量パーセント(pbw)未満、好適には6pbw未満、更により好適には約3pbw未満である。
【0012】
(a)ランタニド化合物と(b)アルキル化剤と(c)ハロゲン含有化合物を一緒にすることにより触媒組成物を生成させる。また、場合により、他の反応体、例えば他の有機金属化合物またはルイス塩基などを含めることも可能である。
【0013】
いろいろなランタニド化合物もしくはこれらの混合物を前記触媒組成物の材料(a)として用いることができる。このような化合物は好適には炭化水素溶媒、例えば芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素または環状脂肪族炭化水素などに可溶である。しかしながら、炭化水素に不溶なランタニド化合物を重合用媒体中に懸濁させ、触媒活性種を生成させることも可能であり、これもまた有用である。
【0014】
ランタニド化合物は、ランタン、ネオジム、セリウム、プラセオジム、プロメシウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムおよびジジム(didymium)の中の少なくとも1種の原子を含有する。このような化合物は好適にはネオジム、ランタン、サマリウムまたはジジムを含有する。ジジムはモナズ石(monazite)砂から
得られる希土類元素の市販混合物である。
【0015】
このようなランタニド化合物中のランタニド原子はいろいろな酸化状態で存在することができ、それには、これらに限定するものでないが、0、+2、+3および+4酸化状態が含まれる。ランタニド原子が+3の酸化状態にある三価ランタニドの化合物が好適である。適切なランタニド化合物には、これらに限定するものでないが、ランタニドのカルボン酸塩、ランタニドの有機燐酸塩、ランタニドの有機ホスホン酸塩、ランタニドの有機ホスフィン酸塩、ランタニドのカルバミン酸塩、ランタニドのジチオカルバミン酸塩、ランタニドのキサントゲン酸塩、ランタニドのβ−ジケトネート(diketonates)、ランタニドのアルコキサイドもしくはアリールオキサイド、ランタニドのハロゲン化物、ランタニドの疑似ハロゲン化物、ランタニドのオキシハロゲン化物および有機ランタニド化合物が含まれる。
【0016】
ネオジム化合物を最も有利に用いることから、さらなる考察ではネオジム化合物に焦点を当てるが、本分野の技術者は他のランタニド金属が基になった同様な化合物を選択することができるであろう。
【0017】
適切なカルボン酸ネオジムには、蟻酸ネオジム、酢酸ネオジム、酢酸ネオジム、アクリル酸ネオジム、メタアクリル酸ネオジム、吉草酸ネオジム、グルコン酸ネオジム、クエン酸ネオジム、フマル酸ネオジム、乳酸ネオジム、マレイン酸ネオジム、しゅう酸ネオジム、2−エチルヘキサン酸ネオジム、ネオデカン酸ネオジム、ナフテン酸ネオジム、ステアリン酸ネオジム、オレイン酸ネオジム、安息香酸ネオジムおよびピコリン酸ネオジムが含まれる。
【0018】
適切な有機燐酸ネオジムには、ジブチル燐酸ネオジム、ジペンチル燐酸ネオジム、ジヘキシル燐酸ネオジム、ジヘプチル燐酸ネオジム、ジオクチル燐酸ネオジム、ビス(1−メチルヘプチル)燐酸ネオジム、ビス(2−エチルヘキシル)燐酸ネオジム、ジデシル燐酸ネオジム、ジドデシル燐酸ネオジム、ジオクタデシル燐酸ネオジム、ジオレイル燐酸ネオジム、ジフェニル燐酸ネオジム、ビス(p−ノニルフェニル)燐酸ネオジム、ブチル(2−エチルヘキシル)燐酸ネオジム、(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)燐酸ネオジムおよび(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)燐酸ネオジムが含まれる。
【0019】
適切な有機ホスホン酸ネオジムには、ブチルホスホン酸ネオジム、ペンチルホスホン酸ネオジム、ヘキシルホスホン酸ネオジム、ヘプチルホスホン酸ネオジム、オクチルホスホン酸ネオジム、(1−メチルヘプチル)ホスホン酸ネオジム、(2−エチルヘキシル)ホスホン酸ネオジム、デシルホスホン酸ネオジム、ドデシルホスホン酸ネオジム、オクタデシルホスホン酸ネオジム、オレイルホスホン酸ネオジム、フェニルホスホン酸ネオジム、(p−ノニルフェニル)ホスホン酸ネオジム、ブチルブチルホスホン酸ネオジム、ペンチルペンチルホスホン酸ネオジム、ヘキシルヘキシルホスホン酸ネオジム、ヘプチルヘプチルホスホン酸ネオジム、オクチルオクチルホスホン酸ネオジム、(1−メチルヘプチル)(1−メチルヘプチル)ホスホン酸ネオジム、(2−エチルヘキシル)(2−エチルヘキシル)ホスホン酸ネオジム、デシルデシルホスホン酸ネオジム、ドデシルドデシルホスホン酸ネオジム、オクタデシルオクタデシルホスホン酸ネオジム、オレイルオレイルホスホン酸ネオジム、フェニルフェニルホスホン酸ネオジム、(p−ノニルフェニル)(p−ノニルフェニル)ホスホン酸ネオジム、ブチル(2−エチルヘキシル)ホスホン酸ネオジム、(2−エチルヘキシル)ブチルホスホン酸ネオジム、(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスホン酸ネオジム、(2−エチルヘキシル)(1−メチルヘプチル)ホスホン酸ネオジム、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスホン酸ネオジムおよび(p−ノニルフェニル)(2−エチルヘキシル)ホスホン酸ネオジムが含まれる。
【0020】
適切な有機ホスフィン酸ネオジムには、ブチルホスフィン酸ネオジム、ペンチルホスフィン酸ネオジム、ヘキシルホスフィン酸ネオジム、ヘプチルホスフィン酸ネオジム、オクチルホスフィン酸ネオジム、(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸ネオジム、(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸ネオジム、デシルホスフィン酸ネオジム、ドデシルホスフィン酸ネオジム、オクタデシルホスフィン酸ネオジム、オレイルホスフィン酸ネオジム、フェニルホスフィン酸ネオジム、(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸ネオジム、ジブチルホスフィン酸ネオジム、ジペンチルホスフィン酸ネオジム、ジヘキシルホスフィン酸ネオジム、ジヘプチルホスフィン酸ネオジム、ジオクチルホスフィン酸ネオジム、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸ネオジム、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸ネオジム、ジデシルホスフィン酸ネオジム、ジドデシルホスフィン酸ネオジム、ジオクタデシルホスフィン酸ネオジム、ジオレイルホスフィン酸ネオジム、ジフェニルホスフィン酸ネオジム、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸ネオジム、ブチル(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸ネオジム、(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸ネオジムおよび(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸ネオジムが含まれる。
【0021】
適切なカルバミン酸ネオジムには、ジメチルカルバミン酸ネオジム、ジエチルカルバミン酸ネオジム、ジイソプロピルカルバミン酸ネオジム、ジブチルカルバミン酸ネオジムおよびジベンジルカルバミン酸ネオジムが含まれる。
【0022】
適切なジチオカルバミン酸ネオジムには、ジメチルジチオカルバミン酸ネオジム、ジエチルジチオカルバミン酸ネオジム、ジイソプロピルジチオカルバミン酸ネオジム、ジブチルジチオカルバミン酸ネオジムおよびジベンジルジチオカルバミン酸ネオジムが含まれる。
【0023】
適切なキサントゲン酸ネオジムには、メチルキサントゲン酸ネオジム、エチルキサントゲン酸ネオジム、イソプロピルキサントゲン酸ネオジム、ブチルキサントゲン酸ネオジムおよびベンジルキサントゲン酸ネオジムが含まれる。
【0024】
適切なβ−ジケトネートネオジム(neodymium β−diketonates)にはアセチルアセトネート(acetylacetonate)ネオジム、トリフルオロアセチルアセトネートネオジム、ヘキサフルオロアセチルアセトネートネオジム、ベンジルアセトネートネオジムおよび2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートネオジムが含まれる。
【0025】
適切なネオジムアルコキサイドもしくはアリールオキサイドには、ネオジムメトキサイド、ネオジムエトキサイド、ネオジムイソプロポキサイド、ネオジム2−エチルヘキソキサイド、ネオジムフェノキサイド、ネオジムノニルフェノキサイドおよびネオジムナフトキサイドが含まれる。
【0026】
適切なハロゲン化ネオジムには、フッ化ネオジム、塩化ネオジム、臭化ネオジムおよびヨウ化ネオジムが含まれる。ネオジムの適切な疑似ハロゲン化物には、シアン化ネオジム、シアン酸ネオジム、チオシアン酸ネオジム、アジ化ネオジムおよびフェロシアン化ネオジムが含まれる。ネオジムの適切なオキシハロゲン化物には、オキシフッ化ネオジム、オキシ塩化ネオジムおよびオキシ臭化ネオジムが含まれる。ネオジムのハロゲン化物、ネオジムのオキシハロゲン化物、または不安定なハロゲン原子を含有する他のネオジム化合物を用いる場合、このようなネオジム含有化合物はランタニド化合物として働くばかりでなくハロゲン含有化合物としても働き得る。この種類のネオジム化合物が不活性な有機溶媒中で示す溶解の補助としてルイス塩基、例えばテトラヒドロフラン(THF)などを用い
ることも可能である。
【0027】
用語「有機ランタニド化合物」は、ランタニド−炭素結合を少なくとも1つ含有するいずれかのランタニド化合物を指す。このような化合物は、排他的ではないが主に、シクロペンタジエニル(Cp)、置換シクロペンタジエニル、アリルおよび置換アリル配位子を含有する化合物である。適切な有機ランタニド化合物には、CpLn、CpLnR、CpLnCl、CpLnCl、CpLn(シクロオクタテトラエン)、(CMeLnR、LnR、Ln(アリル)およびLn(アリル)Cl[ここで、Lnはランタニド原子を表しそしてRはヒドロカルビル基を表す]が含まれる。
【0028】
いろいろなアルキル化剤またはこれらの混合物を前記触媒組成物の成分(b)として用いることができる。アルキル化剤(またヒドロカルビル化剤とも呼ぶ)は、ヒドロカルビル基を別の金属に移転し得る有機金属化合物である。このような作用剤は典型的に陽性(electropositive)金属、例えば1、2および3族の金属(IA、IIAおよびIIIA族の金属)の有機金属化合物である。好適なアルキル化剤には有機アルミニウムおよび有機マグネシウム化合物が含まれる。このようなアルキル化剤が不安定なハロゲン原子を含有する場合、そのようなアルキル化剤はまたハロゲン含有化合物としても働き得る。
【0029】
用語「有機アルミニウム化合物」は、アルミニウム−炭素結合を少なくとも1つ含有するいずれかのアルミニウム化合物を指す。炭化水素溶媒に可溶な有機アルミニウム化合物が好適である。このようなアルキル化剤が不安定なハロゲン原子を含有する有機アルミニウム化合物の場合、このような有機アルミニウム化合物はアルキル化剤とハロゲン含有化合物の両方として働き得る。
【0030】
用いることができる好適な種類の有機アルミニウム化合物は一般式AlR3−n[式中、各Rは、同一もしくは異なっていてもよく、炭素原子を介してアルミニウム原子に結合している一価の有機基であり、各Xは、同一もしくは異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、カルボン酸基、アルコキサイド基またはアリールオキサイド基であり、そしてnは、1から3の整数である]で表される。好適には、各Rはヒドロカルビル基、例えばこれらに限定するものでないが、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、アラルキル、アルカリール、アリルおよびアルキニル基などであり、各基が含有する炭素原子の数は、好適には、1または当該基が生成するに適切な最小限の炭素原子数から約20以下の炭素原子数である。そのようなヒドロカルビル基はヘテロ原子、例えばこれらに限定するものでないが、窒素、酸素、ホウ素、ケイ素、硫黄および燐原子などを含有していてもよい。
【0031】
適切な有機アルミニウム化合物には、これらに限定するものでないが、トリヒドロカルビルアルミニウム、ジヒドロカルビルアルミニウムの水素化物、ヒドロカルビルアルミニウムの二水素化物、ジヒドロカルビルアルミニウムのカルボン酸塩、ヒドロカルビルアルミニウムのビス(カルボン酸)塩、ジヒドロカルビルアルミニウムのアルコキサイド、ヒドロカルビルアルミニウムのジアルコキサイド、ジヒドロカルビルアルミニウムのハロゲン化物、ヒドロカルビルアルミニウムの二ハロゲン化物、ジヒドロカルビルアルミニウムのアリールオキサイドおよびヒドロカルビルアルミニウムのジアリールオキサイド化合物が含まれる。トリヒドロカルビルアルミニウム、ジヒドロカルビルアルミニウムの水素化物およびヒドロカルビルアルミニウムの二水素化物である化合物が好適である。
【0032】
適切なトリヒドロカルビルアルミニウム化合物には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、ト
リイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリ−n−ペンチルアルミニウム、トリネオペンチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリス(2−エチルヘキシル)アルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリス(1−メチルシクロペンチル)アルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、トリス(2,6−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルフェニルアルミニウム、ジエチル−p−トリルアルミニウム、ジエチルベンジルアルミニウム、エチルジフェニルアルミニウム、エチルジ−p−トリルアルミニウムおよびエチルジベンジルアルミニウムが含まれる。
【0033】
適切なジヒドロカルビルアルミニウムの水素化物である化合物には、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジイソプロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジ−n−オクチルアルミニウム、水素化ジフェニルアルミニウム、水素化ジ−p−トリルアルミニウム、水素化ジベンジルアルミニウム、水素化フェニルエチルアルミニウム、水素化フェニル−n−プロピルアルミニウム、水素化フェニルイソプロピルアルミニウム、水素化フェニル−n−ブチルアルミニウム、水素化フェニルイソブチルアルミニウム、水素化フェニル−n−オクチルアルミニウム、水素化p−トリルエチルアルミニウム、水素化p−トリル−n−プロピルアルミニウム、水素化p−トリルイソプロピルアルミニウム、水素化p−トリル−n−ブチルアルミニウム、水素化p−トリルイソブチルアルミニウム、水素化p−トリル−n−オクチルアルミニウム、水素化ベンジルエチルアルミニウム、水素化ベンジル−n−プロピルアルミニウム、水素化ベンジルイソプロピルアルミニウム、水素化ベンジル−n−ブチルアルミニウム、水素化ベンジルイソブチルアルミニウムおよび水素化ベンジル−n−オクチルアルミニウムが含まれる。
【0034】
適切なヒドロカルビルアルミニウムの二水素化物には、二水素化エチルアルミニウム、二水素化n−プロピルアルミニウム、二水素化イソプロピルアルミニウム、二水素化n−ブチルアルミニウム、二水素化イソブチルアルミニウムおよび二水素化n−オクチルアルミニウムが含まれる。
【0035】
適切なジヒドロカルビルアルミニウムの塩化物である化合物には、塩化ジエチルアルミニウム、塩化ジ−n−プロピルアルミニウム、塩化ジイソプロピルアルミニウム、塩化ジ−n−ブチルアルミニウム、塩化ジイソブチルアルミニウム、塩化ジ−n−オクチルアルミニウム、塩化ジフェニルアルミニウム、塩化ジ−p−トリルアルミニウム、塩化ジベンジルアルミニウム、塩化フェニルエチルアルミニウム、塩化フェニル−n−プロピルアルミニウム、塩化フェニルイソプロピルアルミニウム、塩化フェニルn−ブチルアルミニウム、塩化フェニルイソブチルアルミニウム、塩化フェニル−n−オクチルアルミニウム、塩化p−トリルエチルアルミニウム、塩化p−トリル−n−プロピルアルミニウム、塩化p−トリルイソプロピルアルミニウム、塩化p−トリル−n−ブチルアルミニウム、塩化p−トリルイソブチルアルミニウム、塩化p−トリル−n−オクチルアルミニウム、塩化ベンジルエチルアルミニウム、塩化ベンジル−n−プロピルアルミニウム、塩化ベンジルイソプロピルアルミニウム、塩化ベンジル−n−ブチルアルミニウム、塩化ベンジルイソブチルアルミニウムおよび塩化ベンジル−n−オクチルアルミニウムが含まれる。
【0036】
適切なヒドロカルビルアルミニウムの二塩化物には、二塩化エチルアルミニウム、二塩化n−プロピルアルミニウム、二塩化イソプロピルアルミニウム、二塩化n−ブチルアルミニウム、二塩化イソブチルアルミニウムおよび二塩化n−オクチルアルミニウムが含まれる。
【0037】
他の有機アルミニウム化合物には、ヘキサン酸ジメチルアルミニウム、カプリル酸ジエ
チルアルミニウム、2−エチルヘキサン酸ジイソブチルアルミニウム、ネオデカン酸ジメチルアルミニウム、ステアリン酸ジエチルアルミニウム、オレイン酸ジイソブチルアルミニウム、ビス(ヘキサン酸)メチルアルミニウム、ビス(カプリル酸)エチルアルミニウム、ビス(2−エチルヘキサン酸)イソブチルアルミニウム、ビス(ネオデカン酸)メチルアルミニウム、ビス(ステアリン酸)エチルアルミニウム、ビス(オレイン酸)イソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキサイド、ジエチルアルミニウムメトキサイド、ジイソブチルアルミニウムメトキサイド、ジメチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジイソブチルアルミニウムエトキサイド、ジメチルアルミニウムフェノキサイド、ジエチルアルミニウムフェノキサイド、ジイソブチルアルミニウムフェノキサイド、メチルアルミニウムジメトキサイド、エチルアルミニウムジメトキサイド、イソブチルアルミニウムジメトキサイド、メチルアルミニウムジエトキサイド、エチルアルミニウムジエトキサイド、イソブチルアルミニウムジエトキサイド、メチルアルミニウムジフェノキサイド、エチルアルミニウムジフェノキサイド、イソブチルアルミニウムジフェノキサイドなど、そしてこれらの混合物が含まれる。
【0038】
別の種類の適切な有機アルミニウム化合物はアルミノキサン(aluminoxanes)である。アルミノキサンは一般式:
【0039】
【化1】

【0040】
で表すことができるオリゴマー状の線状アルミノキサンと一般式:
【0041】
【化2】

【0042】
で表すことができるオリゴマー状の環状アルミノキサンを含んで成り、ここで、xは1から約100、好適には約10から約50の整数であり、yは2から約100、好適には約3から約20の整数であり、そして各Rは、同一もしくは異なっていてもよく、炭素原子を介してアルミニウム原子に結合している一価の有機基である。好適には、各Rはヒドロカルビル基、例えばこれらに限定するものでないが、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、アラルキル、アルカリール、アリルおよびアルキニル基などであり、各基が含有する炭素原子の数は、好適には、1または当該基が生成するに適切な最小限の炭素原子数から約20以下の炭素原子数である。そのようなヒドロカルビル基はヘテロ原子、例えばこれらに限定するものでないが、窒素、酸素、ホウ素、ケイ素、硫黄および燐原子などを含有することができる。本出願で用いる如きアルミノキサンのモル数はオリゴマー状のアルミノキサン分子のモル数ではなくアルミニウム原子のモル数を指すことを注目すべきである。このような変換はアルミノキサンが用いられる触媒技術で通常に使用される。
【0043】
アルミノキサンの調製はトリヒドロカルビルアルミニウム化合物と水の反応で実施可能である。この反応は公知方法に従って実施可能であり、例えば(1)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を有機溶媒に溶解させた後に水と接触させる方法、(2)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を結晶水、例えば金属塩などに含まれている結晶水または無機もしくは有機化合物に吸着されている水と反応させる方法、そして(3)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物と水を重合させるべき単量体もしくは単量体溶液の存在下で反応させる方法などで実施可能である。
【0044】
適切なアルミノキサン化合物には、メチルアルミノキサン(MAO)、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、エチルアルミノキサン、n−プロピルアルミノキサン、イソプロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、n−ペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、n−ヘキシルアルミノキサン、n−オクチルアルミノキサン、2−エチルヘキシルアルミノキサン、シクロヘキシルアルミノキサン、1−メチルシクロペンチルアルミノキサン、フェニルアルミノキサン、2,6−ジメチルフェニルアルミノキサンなど、そしてこれらの混合物が含まれる。イソブチルアルミノキサンが入手性そして脂肪族および環状脂肪族炭化水素溶媒に溶解することが理由で特に有用である。変性メチルアルミノキサンの調製は、本分野の技術者に公知の技術を用いて、メチルアルミノキサンが有するメチル基の約20−80%をCからC12のヒドロカルビル基、好適にはイソブチル基で置換することで実施可能である。
【0045】
アルミノキサンは単独または他の有機アルミニウム化合物と組み合わせて使用可能である。1つの好適な態様では、メチルアルミノキサンと水素化ジイソブチルアルミニウムを組み合わせて用いる。
【0046】
用語「有機マグネシウム化合物」は、マグネシウム−炭素結合を少なくとも1つ含有するいずれかのマグネシウム化合物を指す。炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物が好適である。用いることができる好適な種類の有機マグネシウム化合物は一般式MgR[式中、各Rは、同一もしくは異なっていてもよく、一価の有機基であるが、但しこの基が炭素原子を介してマグネシウム原子に結合していることを条件とする]で表される。好適には、各Rはヒドロカルビル基、例えばこれらに限定するものでないが、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、アリル、置換アリール、アラルキル、アルカリールおよびアルキニル基などであり、各基が含有する炭素原子の数は、好適には、1または当該基が生成するに適切な最小限の炭素原子数から約20以下の炭素原子数である。そのようなヒドロカルビル基はヘテロ原子、例えばこれらに限定するものでないが、窒素、酸素、ケイ素、硫黄および燐原子などを含有することができる。
【0047】
用いることができる適切なジヒドロカルビルマグネシウム化合物の具体例のいくつかには、ジエチルマグネシウム、ジ−n−プロピルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジベンジルマグネシウムおよびこれらの混合物が含まれる。ジブチルマグネシウムが入手性そして脂肪族および環状脂肪族炭化水素溶媒に溶解することが理由で特に有用である。
【0048】
材料(b)として使用可能な別の種類の有機マグネシウム化合物は、一般式RMgX[式中、Rは、一価の有機基であるが、但しこの基が炭素原子を介してマグネシウム原子に結合していることを条件とし、そしてXは水素原子、ハロゲン原子、カルボン酸基、アルコキサイド基またはアリールオキサイド基である]で表される。アルキル化剤が不安定なハロゲン原子を含有する有機マグネシウム化合物の場合、このような有機マグネシウム化合物はアルキル化剤とハロゲン含有化合物の両方として働き得る。好適には、R
ヒドロカルビル基、例えばこれらに限定するものでないが、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、アリル、置換アリール、アラルキル、アルカリールおよびアルキニル基などであり、各基が含有する炭素原子の数は、好適には、1または当該基が生成するに適切な最小限の炭素原子数から約20以下の炭素原子数である。そのようなヒドロカルビル基はヘテロ原子、例えばこれらに限定するものでないが、窒素、酸素、ホウ素、ケイ素、硫黄および燐原子などを含有することができる。Xは好適にはカルボン酸基、アルコキサイド基またはアリールオキサイド基であり、各基が含有する炭素原子の数は好適には1から20である。
【0049】
一般式RMgXで表される適切な種類の有機マグネシウム化合物のいくつかには、これらに限定するものでないが、ヒドロカルビルマグネシウムの水素化物、ヒドロカルビルマグネシウムのハロゲン化物、ヒドロカルビルマグネシウムのカルボン酸塩、ヒドロカルビルマグネシウムのアルコキサイド、ヒドロカルビルマグネシウムのアリールオキサイドおよびこれらの混合物が含まれる。
【0050】
一般式RMgXで表される適切な有機マグネシウム化合物の具体例のいくつかには、水素化メチルマグネシウム、水素化エチルマグネシウム、水素化ブチルマグネシウム、水素化ヘキシルマグネシウム、水素化フェニルマグネシウム、水素化ベンジルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ヘキシルマグネシウムクロライド、フェニルマグネシウムクロライド、ベンジルマグネシウムクロライド、メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムブロマイド、ヘキシルマグネシウムブロマイド、フェニルマグネシウムブロマイド、ベンジルマグネシウムブロマイド、ヘキサン酸メチルマグネシウム、ヘキサン酸エチルマグネシウム、ヘキサン酸ブチルマグネシウム、ヘキサン酸ヘキシルマグネシウム、ヘキサン酸フェニルマグネシウム、ヘキサン酸ベンジルマグネシウム、メチルマグネシウムエトキサイド、エチルマグネシウムエトキサイド、ブチルマグネシウムエトキサイド、ヘキシルマグネシウムエトキサイド、フェニルマグネシウムエトキサイド、ベンジルマグネシウムエトキサイド、メチルマグネシウムフェノキサイド、エチルマグネシウムフェノキサイド、ブチルマグネシウムフェノキサイド、ヘキシルマグネシウムフェノキサイド、フェニルマグネシウムフェノキサイド、ベンジルマグネシウムフェノキサイドなど、およびこれらの混合物が含まれる。
【0051】
不安定なハロゲン原子を1つ以上含有するいろいろな化合物またはこれらの混合物を本触媒組成物の材料(c)として用いることができる。このような化合物を単にハロゲン含有化合物と呼んでもよい。ハロゲン原子の例には、これらに限定するものでないが、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。また、2種以上のハロゲン原子の組み合わせを用いることも可能である。炭化水素溶媒に可溶なハロゲン含有化合物が好適である。しかしながら、炭化水素に不溶なハロゲン含有化合物をオリゴマー化用媒体に懸濁させて触媒活性種を生成させることも可能であり、従ってそれも有用である。

有用な種類のハロゲン含有化合物には、これらに限定するものでないが、元素状のハロゲン、混合ハロゲン、ハロゲン化水素、有機ハロゲン化物、無機ハロゲン化物、金属のハロゲン化物、有機金属のハロゲン化物およびこれらの混合物が含まれる。
【0052】
適切な元素状ハロゲンにはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。適切な混合ハロゲンの具体例のいくつかには一塩化ヨウ素、一臭化ヨウ素、三塩化ヨウ素および五フッ化ヨウ素が含まれる。
【0053】
適切なハロゲン化水素の例にはフッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素が含まれる。
【0054】
適切な有機ハロゲン化物には、塩化t−ブチル、臭化t−ブチル、塩化アリル、臭化アリル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、クロロ−ジ−フェニルメタン、ブロモ−ジ−フェニルメタン、トリフェニルメチルクロライド、トリフェニルメチルブロマイド、ベンジリデンクロライド、ベンジリデンブロマイド、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ベンゾイルクロライド、ベンゾイルブロマイド、プロピオニルクロライド、プロピオニルブロマイド、クロロ蟻酸メチルおよびブロモ蟻酸メチルが含まれる。
【0055】
適切な無機ハロゲン化物には三塩化燐、三臭化燐、五塩化燐、オキシ塩化燐、オキシ臭化燐、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四フッ化ケイ素、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四ヨウ化ケイ素、三塩化ヒ素、三臭化ヒ素、三ヨウ化ヒ素、四塩化セレン、四臭化セレン、四塩化テルル、四臭化テルルおよび四ヨウ化テルルが含まれる。
【0056】
適切な金属のハロゲン化物には、四塩化錫、四臭化錫、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三臭化アンチモン、三ヨウ化アルミニウム、三フッ化アルミニウム、三塩化ガリウム、三臭化ガリウム、三ヨウ化ガリウム、三フッ化ガリウム、三塩化インジウム、三臭化インジウム、三ヨウ化インジウム、三フッ化インジウム、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、二塩化亜鉛、二臭化亜鉛、二ヨウ化亜鉛および二フッ化亜鉛が含まれる。
【0057】
適切な有機金属のハロゲン化物には、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムフルオライド、ジエチルアルミニウムフルオライド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、メチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジフルオライド、エチルアルミニウムジフルオライド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、イソブチルアルミニウムセスキクロライド、メチルマグネシウムイオダイド、メチルマグネシウムブロマイド、メチルマグネシウムイオダイド、エチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムブロマイド、フェニルマグネシウムクロライド、フェニルマグネシウムブロマイド、ベンジルマグネシウムクロライド、トリメチル錫クロライド、トリメチル錫ブロマイド、トリエチル錫クロライド、トリエチル錫ブロマイド、ジ−t−ブチル錫ジクロライド、ジ−t−ブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジブロマイド、トリブチル錫クロライドおよびトリブチル錫ブロマイドが含まれる。
【0058】
本発明の触媒組成物は共役ジエンを重合させて立体規則的ポリジエンを生成させることに関して幅広い触媒濃度および触媒材料比に亘って非常に高い触媒活性を示す。しかしながら、最も望ましい特性を有する重合体は触媒濃度も触媒材料の比率もより狭い範囲で得られる。その上、触媒材料である(a)と(b)と(c)が相互作用して活性触媒種を生成し得ると考えている。従って、いずれか1種の触媒材料にとって最適な濃度は他の触媒材料の濃度に依存する。前記アルキル化剤とランタニド化合物のモル比(アルキル化剤/Ln)は約1:1から約200:1、より好適には約2:1から約100:1、更により好適には約5:1から約50:1に及んで多様であり得る。
【0059】
前記ハロゲン含有化合物とランタニド化合物のモル比(ハロゲン原子/Ln)は約0.5:1から約20:1、より好適には約1:1から約10:1、更により好適には約2:1から約6:1に及んで多様であり得る。用語「モル比」を本明細書で用いる場合、これは当該材料の関連成分の当量比、例えばランタニド化合物が有するランタニド原子に対するハロゲン含有化合物が有するハロゲン原子の当量比を指す。
【0060】
別の態様における触媒組成物は、(a)ランタニド化合物と(b)アルミノキサンを含んで成るが、但しアルミノキサンとランタニド化合物のモル比(Al/Ln)が約50:1から約50,000:1、好適には約75:1から約30,000:1、より好適には約100:1から約1,000:1であることを条件とし、ここで、このモル比はランタニド化合物に含まれるランタニド原子の当量に対するアルミノキサンが有するアルミニウム原子の当量を指す。有用なランタニド化合物およびアルミノキサンはこの上に記述した。
【0061】
更に別の態様における触媒組成物は、(a)ランタニド化合物と(b)アルキル化剤と(c)配位しないアニオンもしくは配位しないアニオン前駆体を含んで成る。有用なランタニド化合物およびアルキル化剤はこの上に記述した。配位しないアニオンもしくは配位しないアニオン前駆体とランタニド化合物の有効なモル比(An/Ln)には、約0.5:1から約20:1、好適には約0.75:1から約10:1、より好適には約1:1から約6:1が含まれる。
【0062】
配位しないアニオンは、例えば立体障害が理由で触媒系の活性中心と一緒に配位結合を形成することがない立体的にかさ高いアニオンである。配位しない好適なアニオンにはテトラアリールボレートアニオンが含まれる。より具体的には、配位しない好適なアニオンには、フッ素置換されているテトラアリールボレートアニオンが含まれる。配位しないアニオンを含有するイオン性化合物は本技術分野で公知であり、これはまた対イオン、例えばカルボニウム、アンモニウムまたはホスホニウムカチオンなども含有する。トリアリールカルボニウムアニオンが好適である。配位しないアニオンを含有していて本態様の触媒組成物の材料として用いることができる好適な化合物の具体例はテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルカルボニウムである。
【0063】
また、配位しないアニオンの前駆体も使用可能である。配位しないアニオンの前駆体は、配位しないアニオンを反応条件下で生成し得る物質である。配位しないアニオンの有用な前駆体には、トリアルキルホウ素化合物、即ちBR[ここで、Rは強い電子求引基、例えばペンタフルオロフェニル基などである]が含まれる。
【0064】
触媒材料である(a)と(b)と(c)を一緒にするか或は混合することにより本触媒組成物を生成させる。このような組み合わせの結果として活性触媒種が得られると考えているが、いろいろな材料もしくは成分の間で起こる相互作用の度合も反応の度合もあまり確かな度合では知られていない。従って、用語「触媒組成物」に当該材料の簡単な混合物、物理的もしくは化学的引力によってもたらされるいろいろな材料の錯体、当該材料の化学反応生成物または前記の組み合わせを包含させる目的で前記用語を用いる。
【0065】
下記の方法の1つを用いて本発明の触媒組成物を生成させることができるが、触媒材料を連続反応槽に連続的に供給すると理解されるべきである。
【0066】
1番目として、触媒材料を個別に(好適には溶媒に入れて)反応槽に添加することにより、触媒組成物をインサイチューで生成させることができる。そこで、前記材料が前記反応槽内で互いに接触するばかりでなく単量体(これも個別に反応槽に添加する)とも接触する。
【0067】
2番目として、2つの触媒供給ラインを用いて本触媒組成物を生成させることもできる。1番目のラインはアルキル化剤とランタニド化合物の組み合わせを溶媒と共に共役ジエン単量体の存在下又は非存在下含む。次に、この組み合わせを反応槽に供給して、それをハロゲン含有化合物(別のラインで反応槽に供給)と接触させる。そのハロゲン含有化合
物を好適には溶媒に担持させ、かつ単量体の存在下又は非存在下に送り込む。
【0068】
3番目として、前以て生成させておく方法を用いて触媒組成物を生成させてもよく、これが最も好適である。この方法に従い、単量体を溶液に少量入れておいて、それを供給ライン内でアルキル化剤と接触させる。次に、この単量体とアルキル化剤の組み合わせをランタニド化合物と接触させた後、ハロゲン含有化合物をその供給ラインに導入する。このようなインライン(in−line)組み合わせを好適には約−20℃から約80℃の温度で起きさせる。また、ハロゲン含有化合物をその供給ラインに導入した後、約10分以内に、好適には前以て生成させておいた触媒を連続反応槽に導入する。この触媒を前以て生成させておく目的で用いる共役ジエン単量体の量はランタニド化合物1モル当たり約1から約500モル、より好適には1モル当たり約5から約250モル、更により好適には1モル当たり約10から約100モルの範囲であり得る。重合させる単量体の主要部分を別の供給ラインにより重合反応槽に導入する。このような様式で本触媒組成物を前以て生成させておくと、有利に、より低い撹拌速度でより高い重合体収率を得ることができることを見いだした。撹拌速度をより低くすると最終的に逆混合の度合、即ち分子が反応槽内における非理想的流れ(non−ideal flow)にが影響を与えない可能性があるが、好適な方法に従って触媒組成物を前以て生成させておかないと撹拌の度合によって重合体収率に影響を与えることを見いだした。従って、このような様式で触媒を前以て生成させておく1つの利点は、重合混合物を反応槽内で撹拌するに要するエネルギーの量が少なくなる点にある。
【0069】
本触媒組成物または触媒材料の1種以上の溶液をこの上に示した方法で挙げたように重合装置の外側で調製する場合には、好適には、有機溶媒または担体を用いる。この有機溶媒は本触媒組成物または材料を溶かす働きをし得るか、或はこの溶媒は単に担体(この中に本触媒組成物もしくは材料を懸濁させることができる)として働き得る。そのような有機溶媒は好適には本触媒組成物に不活性である。有用な溶媒には炭化水素溶媒、例えば芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素および環状脂肪族炭化水素などが含まれる。芳香族炭化水素溶媒の非限定例には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、メシチレンなどが含まれる。脂肪族炭化水素溶媒の非限定例には、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、イソペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、イソオクタン、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル、ケロセン、ミネラルスピリット(petroleum spirits)などが含まれる。そして、環状脂肪族炭化水素溶媒の非限定例にはシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどが含まれる。また、この上に示した炭化水素の市販混合物を用いることも可能である。環境上の理由で脂肪族および環状脂肪族溶媒が非常に好適である。前記有機溶媒は本触媒組成物もしくは材料を溶かす働きをし得るか、或はこの溶媒は単に担体(この中に本触媒組成物もしくは材料を懸濁させることができる)として働き得る。また、そのような溶媒を単量体を反応槽に運び込む目的でか或は重合用媒体を反応槽内で希釈する目的で用いることも可能である。
【0070】
共役ジエン単量体の重合を触媒的有効量の前記触媒組成物の存在下で行うことによりシス−1,4−ポリジエンの製造を達成する。この重合マス(mass)で用いるべき総触媒濃度はいろいろな要因、例えば材料の純度、重合温度、重合速度および所望の転化率、所望の分子量および他の数多くの要因の相互作用に依存する。従って、個々の触媒材料を触媒的有効量で用いるべきであると述べる以外、具体的な総触媒濃度を限定的に挙げることはできない。使用するランタニド化合物の量は共役ジエン単量体100g当たり一般に約0.01から約2ミリモル、より好適には約0.02から約1ミリモル、更により好適には約0.05から約0.5ミリモルに及んで多様であり得る。
【0071】
連続重合方法は、材料を反応槽に連続的に導入しかつ生成物をその反応槽から連続的に
取り出す方法である。触媒組成物および材料を溶かすか或はさもなければ担持する溶媒を用いる場合、一般に、その溶媒が反応槽の中を流れる流れ、従って触媒組成物および材料の流れは一般に理想的な流れに近い、即ち栓流(plug flow)および混合流に近い。しかしながら、本発明の方法で用いる連続反応槽の設計は故意にそのような理想的な流れパターンから逸脱させるような設計である。
【0072】
このような非理想的流れは、一般に、反応槽の中を流れる溶媒と触媒組成物と材料を充分に撹拌するか或は邪魔板などを設けることで反応槽内によどみ領域を作り出すことにより達成可能である。有利には、そのような撹拌および/または邪魔板によって材料と触媒中間体と重合体中間体と重合体生成物が連続反応槽の中を流れる時に互いに充分に接触するように混ざり合う。言い換えれば、触媒中間体と重合体中間体と重合体生成物が反応槽内で「逆混合」(back mixing)を起こすことで反応槽に入って来る新しい単量体および触媒材料と接触する。予想外に、連続反応槽内におけるそのような逆混合は有利に狭い分子量分布を示す生成物を生成させかつ疑似リビング末端(pseudo−living ends)を有する重合体のパーセントを高くするのに役立つ。
【0073】
材料の連続流れを受け取りかつ生成物の連続流れを送る能力を有する如何なる反応槽も使用可能である。そのような反応槽には連続撹拌型タンク反応槽および栓流反応槽などが含まれ得る。連続撹拌型タンク反応槽が好適である。
【0074】
重合工程の実施に必要な材料を好適には流れの状態で反応槽に仕込む、即ちそれらを好適には液体または溶液として導入する。前記材料を別々の流れとして仕込んでもよく、或は反応槽に仕込む前に特定の材料を一緒にしておいてもよい。
【0075】
1つの態様では、前記単量体とランタニド金属化合物とアルキル化剤と場合により溶媒を反応槽に仕込む前に一緒にして1つの流れにしておく。次に、その反応槽に前記ハロゲン含有化合物と追加的溶媒を個別に仕込む。前記単量体とランタニド金属化合物とアルキル化剤を前記ハロゲン含有化合物に接触させる前にそれらを一緒にしておくと、反応槽内で活性触媒種と反応する可能性のある不純物が前記有機アルミニウム化合物によって捕捉されると考えている。従って、必ずしも必要ではないが、そのような方法が好適である。
【0076】
別の態様では、前記触媒材料が連続反応槽に入る前にそれらを供給ライン内で一緒にしておく。その供給ラインに場合により重合させるべき単量体を含めてもよいが、その供給ラインに重合させるべき単量体の一部のみを含めるのが好適である。好適には、最初に前記アルキル化剤を供給ラインに加えた後に前記ランタニド金属化合物そして最終的に前記ハロゲン含有化合物を加える。
【0077】
本発明の利点を得るには非理想的流れを生成させる必要があることから、有利には反応槽の操作が定常状態になった時点でそのような利点を達成する。その装置を定常状態の達成に充分な時間作動させる。
【0078】
前記触媒の中間体と重合体の中間体と重合体生成物を前記反応槽内で逆混合させると、これらの生成物と中間体が前記反応槽に入って来る反応体の流れと接触し得る。本発明の利点を達成するのに必要な逆混合の度合を反応槽に導入する材料の量および指定時間後に反応槽内に残存する材料の量に関して考察する。言い換えれば、逆混合によってもたらされる非理想的流れのパターンは、個々の分子が反応槽内にどれくらいの時間残存するかによって特徴づけ可能である。
【0079】
本技術分野では、典型的に、流れパターンの分析は流れる流体の滞留時間(residence times)の分布、即ち滞留時間分布(RTD)を用いて行われる。非理想
的流れに対するRTDアプローチは一般に公知であり、RTDに関する分析がOctave Levenspiel、「Chemical Reaction Engineering」、第2版、John Wiley & Sons,Inc.、ニューヨーク(1972)の9章の253−314頁(引用することによって本明細書に組み入れられる)に与えられている。
【0080】
流れる流体の反応槽内における滞留時間の分布は刺激−応答(stimulus−response)実験(これは一般に公知である)で直接測定可能である。非理想的流れ下では反応槽の中を移動する流体の要素(elements)が反応槽の中を流れるに要する時間に差があり得ることは明らかである。前記槽から出る流体の流れが示すそのような時間の分布を流体の滞留時間分布(RTD)と呼ぶ。この刺激−応答実験における刺激は、前記槽の中に入る流体へのトレーサーインプット(tracer input)である一方、その応答は前記槽から出るトレーサーのタイムレコード(time record)である。前記槽内の流れパターンを乱さずかつ検出可能な如何なる材料もトレーサーとして使用可能であり、かつ如何なる種類のインプットシグナル(input signal)も使用可能であり、例えばランダムシグナル(random signal)、周期的シグナル(periodic signal)、ステップ(step)シグナルまたはパルス(pulse)シグナルなどを用いることができる。そのようないろいろなインプットシグナルの各々が同じ情報を与えはするが、ステップシグナルおよびパルスシグナルが処理が最も簡単であることが良く知られている。本明細書の以下ではパルスシグナルを考察する。
【0081】
最初にトレーサーを存在させないで、槽の中に入る流れにトレーサーの理想的な瞬時パルス(idealized instantaneous pulse)を賦課する。次に、前記槽から出るトレーサーの濃度を測定した後、それを時間の関数としてプロットすることで、流体が前記槽内で示すRTDを得る。この概念を説明する目的で図1および2を参照する。
【0082】
図1に、反応槽の中を流れる流体が理想的な流れパターン、例えば栓流の状態の時の滞留時間分布を示す。栓流は、反応槽の中を流れる流体の流れの如何なる要素も先行または後方の他の如何なる要素に追い越されることも混ざり合うこともなく規則的であり、その結果として、その流体の要素の全部が示す反応槽内の滞留時間が同じであることを特徴とする。従って、図1に示すように、時間tの時に反応槽の中に入って来た要素は時間t+trt[ここで、trtは、所定流量における反応槽内の理想的流れの滞留時間である]の時に反応槽から出るであろう。時間trtは一般に反応槽の体積を体積流量で割った値である。
【0083】
それとは対照的に、図2に、反応槽の中を流れる流体が非理想的流れパターンの状態の時の滞留時間分布を示す。述べたように、非理想的流れは、反応槽内の要素が反応槽の中を通過するに要する時間が異なることを特徴とする。従って、図2に示すように、時間tの時に反応槽の中に入って来た要素は時間t+trt[これも再び所定流量における反応槽内の理想的流れの滞留時間である]の数分の1または数倍の時間の時に反応槽から出る可能性がある。そのような滞留時間分布を得る目的で前記トレーサー試験を用いることができる。
【0084】
要約として、理想的流れパターン下では、時間tの時に入れたトレーサーインプットは時間t+trt[ここで、trtは、槽内の理想的流れに対応する滞留時間である]の時に反応槽から出るであろう。このことは非理想的流れ下にはあてはまらない。言い換えれば、時間tの時に反応槽の中に入れたトレーサーインプットの一部のみが時間t+trtの時に槽から出ると予測される。その装置内の逆混合の度合に応じて、前記トレ
ーサーインプットの一部はある滞留時間の間反応槽内に残存したままである可能性があり、その滞留時間は、理想的流れ下で予測される滞留時間の数倍である一方、前記トレーサーインプットの一部は理想的流れ下で予測される滞留時間の数分の1の時間で反応槽から既に出てしまっている可能性がある。
【0085】
本発明に従う低い分子量分布を示す共役ジエン重合体を生成させる時に有用な滞留時間分布を、本明細書の以下に、基準時間tの時に連続反応槽の中に入って来てそしてそれが時間t+xtrt[ここで、trtは、この上に示した通りであり、そしてxは乗数(numeric multiplier)である]の時にまだ前記反応槽内に存在する材料の分率を限定することで記述する。本発明の利点を達成しようとする時、そのような連続反応槽内で起こる逆混合の度合は、基準時間tの時に連続反応槽の中に入って来た反応体の10%が時間t+xtrt[ここで、xは、約1.5より大きい、より好適には約1.7より大きい、更により好適には約1.9より大きい、更により好適には約2.0より大きい、更により好適には約2.2より大きい数である]の時にまだ前記連続反応槽内に存在するような非理想的流れパターンを達成するに充分でなければならない。最も好適な態様では、xは約1.7から2.2、最も好適には約2.0でなければならない。
【0086】
逆混合はいくつかの要因の影響を受ける。1つの要因は円筒形連続反応槽を用いる時には前記反応槽の長さ/直径比(L/D比)である。一般的には、L/Dを小さくすればするほど、撹拌機構による一定の撹拌によってもたらされる逆混合の度合が高くなる傾向があるであろう。
【0087】
所定装置内で起こる逆混合の度合に影響を与える別の要因は連続反応槽の中を流れる流体の流量に関する。流量を低くすればするほど、流体の滞留時間が長くなりかつまた起こる逆混合の度合も高くなる。
【0088】
所定装置内で起こる逆混合の度合に影響を与える更に別の要因は、用いる混合装置または撹拌機の種類である。本技術分野で用いられる如何なる装置もそれらが所望度合の逆混合を達成する限り使用可能である。そのような装置には螺旋混合装置(helical mixers)ばかりでなくより通常のタービンミキサー(turbin mixers)[これにはタービンまたは混合用バーが1つ以上備わっている軸が含まれている混合装置が含まれる]も含まれ得る。より一般的には、混合装置は垂直流れまたは水平流れのいずれかの混合装置として分類分け可能である。いずれの種類の混合装置も使用可能であるが、一般的には垂直流れ混合装置(vertical flow−mixing device)の使用が好適である。これは特に円筒形反応槽を用いる時に当てはまる。理想的には、そのような垂直流れ混合装置を用いて反応槽の中を下降様式で移動する流体などに影響を与えることで、反応性中間体および生成物を強制的に反応体(これらを反応槽の下部または下部近くで導入する)に向かって下方に向かわせることができる。
【0089】
装置内で起こる逆混合の度合はまた撹拌速度の影響も受ける。撹拌型装置内の撹拌速度を高くするにつれて逆混合の度合が高くなる傾向がある。
【0090】
本発明に従う低い分子量分布を示す共役ジエン重合体が成功裏に生成するか否かは用いる連続反応槽内における充分な逆混合の実施に依存する。この逆混合の度合は同様に物理的設計特徴、例えばL/D比、流量および撹拌速度、ならびに化学的相互作用、例えば調査下の個々の装置内で起こる重合速度およびセメント(cement)の粘度などに依存する。従って、所定装置内に充分な逆混合を起こさせる手段を一般に説明するのは不可能であり、その結果として、それに、含まれ得るいろいろな設計特徴の全部または関与し得る化学的相互作用のいずれも包含させる。むしろ、反応槽内に所望の滞留時間分布が実現されるに充分な逆混合を達成する手段を調査下の個々の装置に関して実験的に決定する必
要があるであろう。この目的でトレーサー試験を用いることができる。
【0091】
重合を実施する時の最も有効な温度は数多くの状態に応じて多様であり得る。しかしながら、好適には、重合反応槽を約38℃から約116℃、より好適には約66℃から約110℃、更により好適には約93℃から約104℃の温度に維持する。
【0092】
本発明の利点を達成する時にまた重合体収率も重要な要因である。従って、滞留時間および逆混合の度合は少なくとも85%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%の重合体収率が得られるに充分でなければならない。
【0093】
本発明の方法で得た重合体は重合停止剤(terminator)または官能化剤(functionalizing agents)と更に反応させることにより連成または官能化することができる。有利には、本発明に従う重合中に逆混合を維持することで、低い分子量分布を示すばかりでなくまた官能化剤に対して向上した反応性も示す重合体を生成させる。特に、本発明の重合体生成物は予想外に高い疑似リビング末端パーセントを示し、その疑似リビング末端が本技術分野で一般に公知の望ましい連成用もしくは官能化用停止剤と更に反応し得ることを確認した。
【0094】
一般的には、重合混合物をクエンチする(quenching)前に疑似リビング重合体を1種以上の官能化剤と接触させることで官能化(functionalized)重合体を生成させる。前記疑似リビング重合体と官能化剤を接触させる目的で溶媒を用いる場合には、その疑似リビング重合体と官能化剤の両方が溶けるか或はそれらの両方が懸濁し得る溶媒を用いるのが好適である。この接触を好適には160℃未満の温度、より好適には約0℃から約100℃の温度で起こさせる。その上、反応時間を好適には約0.1から約10時間、より好適には約0.2から約5時間にする。
【0095】
そのような官能化剤の使用量は多様であり得る。好適には、そのような官能化剤をランタニド1モル当たり約0.01から約200モル、より好適にはランタニド1モル当たり約0.1から約150モル、更により好適にはランタニド化合物の約0.2から約10モル用いる。
【0096】
前記疑似リビング重合体と官能化剤の間の反応が完了した後、その重合混合物に反応体、例えばこれらに限定するものでないが、イソプロピルアルコール、メタノールおよび水などを用いてクエンチを行なう。クエンチ中もしくはクエンチ後に安定剤、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)などを添加することができる。
【0097】
しかしながら、場合により、重合混合物のクエンチを行なう前に、反応性の特定の化合物を添加することで、前記重合体に追加的官能性を与えることも可能である。そのような反応性化合物には、金属のアルコキサイドまたは金属のアミドにより付加反応を受けるであろう化合物が含まれる。プロトン性のクエンチング剤(quenching agent)を添加すると置換反応によって金属が除去され、それによって、重合体鎖の末端部にランタニドもしくはアルミニウムアミノ基が残存すると考えている。クエンチ前に金属アミドと金属アミド反応性化合物の間で反応を起こさせると追加的官能性がもたらされると考えている。
【0098】
その重合体生成物の回収は本技術分野で通常用いられる如何なる技術を用いて行なうこともできる。例えば、重合体生成物をヒンダード(hindered)溶媒、例えばイソプロピルアルコールなどに入れて凝固させた後、熱風オーブン(hot air oven)またはホットミル(hot mill)で乾燥させることができる。別法として、蒸気による脱溶媒に続く熱風乾燥またはホットミルを用いた乾燥などを行うことで重合体生
成物を回収することも可能である。仕上げを行う前に加工油(processing oil)を添加することもできる。
【0099】
典型的な連成剤および官能化剤には、これらに限定するものでないが、金属の塩化物、アルコキシシラン、イミン含有化合物、エステル、エステル−カルボン酸塩の金属錯体、アルキルエステルとカルボン酸塩の金属錯体、アルデヒドまたはケトン、アミド、イソシアネート、イソチオシアネート、イミンおよびエポキシドが含まれる。このような種類の連成剤および官能化剤はとりわけ国際特許出願番号PCT/US00/30743、PCT/US00/30875およびPCT/US00/30743、米国特許第4,906,706号、4,990,573号、5,064,910号、5,567,784号、4,736,001号、5,699,960号および5,844,050号、特開平05−051406A、05−059103A、10−306113Aおよび11−035633A(これらの教示は引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。このような連成剤および官能化剤を前記疑似リビング重合体と一緒に前記重合反応槽の上部の中でか或は主反応槽の下流に位置させた次の反応槽内でか或は前記重合反応槽とセメントブレンド用タンク(cement blend tank)をつなげている重合体セメント移送ラインの中で混合することにより反応させることができる。
【0100】
本発明の連続重合方法の結果として得た重合体はユニークに下記の特性を有することを特徴とする。具体的には、本方法の結果として得たポリブタジエンは、95%より高い、有利には97%より高い、更により有利には98%より高いシス−1,4−結合含有量を有することで特徴づけられるであろう。この重合体のビニル含有量は有利に2%未満、より有利には1.5%未満、更により有利には1%未満である。結果として得たポリブタジエンが示すムーニー粘度(ML1+4@100℃)は一般に約20から約100、より有利には約25から約35であろう。このポリブタジエン重合体が示す分子量分布は約3.0未満、有利には約2.7未満、更により有利には約2.4未満、更により有利には約2.3未満、更により有利には約2.2未満であろう。
【0101】
本発明の官能化重合体は有利に優れた粘弾性特性を示すことができ、いろいろなタイヤ構成要素の製造で使用可能で、そのような構成要素には、これらに限定するものでないが、タイヤ踏み面、サイドウォール、サブトレッドおよびビードフィラーが含まれる。これらはタイヤストック(tire stock)の弾性重合体成分の全部または一部として使用可能である。1つの態様では、本官能化重合体がタイヤストックの弾性重合体成分の約10重量パーセント(pbw)以上、より好適には約20pbw以上、更により好適には約30pbw以上を含んでなる。本官能化重合体をタイヤストックに添加する時、そのような加硫性組成物の中に典型的に含まれている他の材料の種類も量も変えない。従って、本発明の実施は如何なる特定の加硫性組成物にもタイヤコンパウンド化用ストック(tire compounding stock)にも限定されるものでない。
【0102】
タイヤストックには典型的に弾性重合体成分が含まれていて、これが補強用充填材および少なくとも1種の加硫剤と混合されている。しばしば、促進剤、油、蝋、脂肪酸および加工助剤も含まれている。合成ゴム含有加硫性組成物には、典型的に、抗劣化剤、加工油、酸化亜鉛、任意の粘着付与樹脂、任意の補強用樹脂、任意の素練り促進剤(peptizers)および任意のスコーチ抑制剤(scorch inhibiting agents)が含まれている。
【0103】
本発明の重合体を他のゴムと一緒に用いてタイヤストックの弾性重合体成分を生成させることも可能である。そのような他のゴムには天然ゴム、合成ゴムまたは両方が含まれ得る。合成ゴムの例には合成ポリイソプレン、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン−コ−イソプレン)およびこれらの混合物が
含まれる。
【0104】
補強用充填材には有機および無機両方の充填材が含まれ得る。有機充填材には、これらに限定するものでないが、カーボンブラックが含まれ、そして無機充填材には、これらに限定するものでないが、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムが含まれる。補強用充填材を典型的には使用する補強用充填材の総重量を基にしてゴム100重量部当たり約1から約100重量部(phr)、好適には約20から約80重量部phr、より好適には約40から約80重量部phrの量で用いる。無機充填材を用いる時には、これを典型的には有機充填材と組合せて用いる。このような態様では、補強用充填材の総量は充填材全体100重量部を基準にして約30から約99重量部の無機充填材と1から約70重量部の有機充填材を含む。より好適には、充填材全体は充填材全体100重量部を基準にして約50から約95重量部の無機充填材と約5から約50重量部の有機充填材を含む。
【0105】
カーボンブラックには市販の如何なるカーボンブラックも含まれ得るが、表面積(EMSA)が少なくとも20m/g、より好適には少なくとも35m/gから200m/gまたはそれ以上のカーボンブラックが好適である。本出願で用いる表面積値はASTM試験D−1765でセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)技術を用いて測定した表面積値である。
【0106】
シリカ(二酸化ケイ素)は一般に湿式処理された水和シリカを指す、と言うのは、それらは水中で行う化学反応で製造されそしてそれを超微細な球形粒子として沈澱させているからである。このような粒子は強力に結合して凝固物を形成しており、前記凝固物が今度はあまり強力でない度合で一緒になって凝集物を形成している。BET方法で測定した時の表面積は、いろいろなシリカの補強特性を示す最良の尺度である。有用なシリカは表面積が好ましくは約32から約400m/g、好適には約100から約250m/g、より好適には約150から約220m/gのシリカである。このシリカ充填材のpHは一般に約5.5から約7、好適には約5.5から約6.8である。商業的に入手可能なシリカにはHi−Sil(商標)215、Hi−Sil(商標)233およびHi−Sil(商標)190[PPG Industries;ピッツバーグ、ペンシルバニア州]が含まれる。また、Rhone Poulencを包含する他の給源からも有用な商業グレードのいろいろなシリカを入手することができる。
【0107】
シリカを用いる時には典型的に連成剤(coupling agent)を添加する。通常用いるある種の連成剤はビス−[3(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィドであり、これは商標Si69(Degussa,Inc.;ニューヨーク、ニューヨーク州)の下で商業的に入手可能である。追加的連成剤にはビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)トリスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)トリスルフィド、ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピル)ジエチルチオカルバミルテトラスルフィドおよび3−(トリメトキシシリル)プロピル)ベンゾチアジルテトラスルフィドが含まれ得る。そのような作用剤を典型的には約1から約20phr、より好適には約3から約15phrの量で用いる。シラン官能性を含む本発明の官能化重合体を用いると、有利に、要求される連成剤の量が少なくなる。
【0108】
補強されたゴムコンパウンドは、公知の加硫剤を用いて通常様式で硬化させることができる。例えば、硫黄またはパーオキサイドを基にした硬化系を用いることができる。適切な加硫剤の一般的開示に関して、Kirk−Othmer、ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY、3版、Wiley Intersci
ence、N.Y.1982、20巻、365−468頁、特にVULCANIZATION AGENTS AND AUXILIARY MATERIALS、390−402頁、またはA.Y.CoranによるVulcanaization、ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING、2版、John Wiley & Sons,Inc.1989を参考にすることができる。加硫剤は単独または組み合わせて使用可能である。本発明は硬化時間にあまり影響を与えない。典型的には加硫性組成物を加熱することで加硫を起こさせ、例えばそれを約170℃に加熱する。硬化または架橋した重合体を加硫ゴムと呼ぶことができる。
【0109】
本技術分野で通常用いられる混合装置および手順を用いてそのような配合物をコンパウンドにする。好適には、弾性重合体成分および補強用充填材、ならびに他の任意の添加剤、例えば加工油および抗酸化剤などを含有する初期マスターバッチを調製する。このような初期マスターバッチを調製した後、この組成物に加硫剤を混合する。次に、この組成物を通常のタイヤ製造技術に従ってタイヤ構成要素に加工することができ、そのような技術には標準的なゴム硬化技術が含まれる。ゴムをコンパウンドにする技術およびこの技術で用いられる添加剤は、RUBBER TECHNOLOGY SECOND EDITION(1973 Van Nostrand Reihold Company)の中のStevens著「The Compounding and Vulcanization of Rubber」に開示されているように一般に公知である。空気入りタイヤの製造は米国特許第5,866,171号、5,876,527号、5,931,211号および5,971,046号(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)に従って実施可能である。
【0110】
本発明の官能化重合体をまたホース、ベルト、靴底、窓用シール、他のシール、振動減衰用ゴムおよび他の工業製品の製造で用いることも可能である。
【0111】
本発明の実施を示す目的で、以下の実施例を用意して、試験を行なう。しかしながら、本実施例は本発明の範囲の限定として見なされるべきでない。本請求の範囲が本発明を限定する。
【実施例】
【0112】
実施例1
本発明の教示に従い、連続重合技術を用いかつネオデカン酸ネオジムとトリイソブチルアルミニウムとエチルアルミニウムジクロライドを組合わせて生成した触媒系を用いて高シス−1,4−ポリブタジエンの調製を行った。具体的には、トリイソブチルアルミニウムとネオデカン酸ネオジムを1,3−ブタジエン単量体の単量体流れ(ヘキサンに入っている)に加えた後、重合反応槽に加えた。2番目の供給ラインを用いて、工業用ヘキサンに入れておいたエチルアルミニウムジクロライドを連続重合反応槽に導入した。前記トリイソブチルアルミニウムとネオデカン酸ネオジムのモル比を約15:1にしかつエチルアルミニウムジクロライドとネオデカン酸ネオジムのモル比を約2:1にした。前記1番目の供給ライン内の1,3−ブタジエン単量体の濃度を約15重量%にした。前記供給流れに添加するネオデカン酸ネオジムの量を単量体100g当たり約0.22ミリモルにした。重合温度を約93℃に維持しそして反応槽内のブレード(blades)を約100rpmで作動させた。結果として得られた重合体の収率は約90.6%であった。
【0113】
前記連続重合を起こさせた反応槽は円筒形のタンクであり、この反応槽の寸法およびこの中に入り込む前記材料の流量を基にして計算した理想的滞留時間(RT)は約50分であった。反応が定常状態に到達した時点でヘプタンをトレーサーとして加え、そして前記反応槽から放出されるヘプタンを監視してプロットした。このプロットの結果を図3に示す。計算により、時間xRT[ここで、x=2.0]の時、逆混合により前記ヘプタンの
約8%から約9%が反応槽内に残存していた。この理想的滞留時間(即ち、RT=50分)までにヘプタンの大部分が反応槽から出てしまうことが注目される。このトレーサーはチャンネリング(channeling)[これは逆混合によってもたらされると考えている]により反応槽の中をより迅速に移動したと考えている。
【0114】
この上に挙げた重合方法と同じ重合方法を用いて生成させた重合体のサンプルにリビング特性度合に関する分析を行なった。具体的には、重合体のサンプルを4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(DEAB)[これは疑似リビング重合体の生きている末端と反応する]と反応させた。前記反応の結果生成した重合体鎖末端部に存在する官能基、即ちタグ(tag)はUVで検出可能である。分析の結果、重合体鎖の約20%がリビングであり、従ってDEABと反応することが分かった。重合体をバッチ重合で生成させる以外は同じ材料を用いて生成させた重合体に同様な分析を行なった結果、それに含まれている鎖の約5%のみがリビングであることが分かった。
【0115】
本発明の範囲および精神から逸脱しないいろいろな修飾形および変形が本分野の技術者に思い浮かぶであろう。本発明を本明細書に挙げる説明的態様に当然に限定するものでない。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1は、栓流条件下の理想的滞留時間のグラフ図である。
【図2】図2は、逆混合条件下の非理想的滞留時間のグラフ図である。
【図3】図3は、逆混合を受けて連続重合工程から出たトレーサーの濃度を時間の関数としてプロットしたグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共役ジエン重合体の連続製造方法であって、
(a)ランタニド化合物と(b)アルキル化剤と(c)ハロゲン含有化合物を一緒にすることで製造した触媒組成物と共役ジエン単量体を連続反応槽内の炭化水素溶媒中で接触させ、そして
基準時間toの時に前記反応槽に入って来た反応体の10%が時間to+xtrt[ここで、trtは、前記連続反応槽内の理想的流れに対応する滞留時間であり、そしてxは、1.5より大きい数字である]の時にまだ前記連続反応槽内に存在するような非理想的流れパターンを前記連続反応槽内で維持する、
工程を含んで成り、
得られる共役ジエン重合体のシス−1,4−結合含有量が95%より高く、分子量分布が2.2未満である、
方法。
【請求項2】
xが1.7より大きい数字である請求項1記載の方法。
【請求項3】
xが1.7から2.2の数字である請求項1記載の方法。
【請求項4】
該連続方法の重合体収率が少なくとも85%である請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記接触工程が前記共役ジエン単量体と炭化水素溶媒を前記連続反応槽に仕込みそして前記触媒組成物を前記連続反応槽に別途仕込むことを包含する請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ランタニド化合物と前記アルキル化剤の混合物を1つの流れとして前記連続反応槽に仕込みそして前記ハロゲン含有化合物を2番目の流れとして前記連続反応槽に仕込むことにより前記触媒組成物を前記連続反応槽に仕込む請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記共役ジエン重合体が示す分子量分布が2.5未満である請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記アルキル化剤がジアルキルアルミニウム化合物、トリアルキルアルミニウム化合物またはそれらの混合物である請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記共役ジエン単量体が1,3−ブタジエンである請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記炭化水素溶媒が脂肪族炭化水素又は環状脂肪族炭化水素である請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記触媒の材料を前記連続反応槽に導入する前に前記ランタニド化合物と前記アルキル化剤と前記ハロゲン含有化合物と場合により共役ジエン単量体を一緒にすることにより生成させた前以て生成させておいた触媒組成物として前記触媒組成物を前記連続反応槽に仕込む請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−13420(P2009−13420A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223516(P2008−223516)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【分割の表示】特願2002−567993(P2002−567993)の分割
【原出願日】平成14年2月28日(2002.2.28)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】