説明

現像ローラおよび現像装置

【課題】 ドクターブレードが撓み、ドクターギャップが一定ではない状態でも、それを考慮することなく、単にドクターブレードの現像ローラへの近接または現像ローラからの離反によって、画像欠陥の発生、ドクターブレードの耐用性低下などを伴うことなく、高画質化に対応できる現像ローラを得る。
【解決手段】 現像ローラと、撹拌ローラと、ドクターブレードと、現像槽とを含む現像装置において、現像ローラが磁石部材11と現像スリーブ12とを含み、現像スリーブ12表面に、現像ローラ軸線方向の中央部15aと両端部15bとで現像剤搬送能力が異なる溝15が形成された現像ローラ3を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ローラおよび現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式は、良好な画質品位を有する画像を容易に形成できることから、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に広く利用される。電子写真方式を用いた画像形成装置は、一般に、光導電性物質を含む感光体ドラム表面を一様に帯電させる帯電手段と、帯電状態にある感光体ドラム表面に画像情報に基づく光を照射して静電潜像を形成する露光手段と、感光体ドラム表面の静電潜像にトナーを供給して可視像化する現像手段と、感光体ドラム表面に担持されるトナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、加熱、加圧などによって記録媒体上のトナー像を記録媒体に定着させる定着手段とを含んで構成される。
【0003】
ここで現像手段には、一般に、感光体ドラムに接触するかまたは近接するように設けられ、その表面に現像剤層を担持して静電潜像にトナーを供給する現像ローラと、現像ローラ表面に当接するように設けられ、現像ローラ表面の現像剤層の層厚を規制する板状部材であるドクターブレードと、その回転駆動によりトナーを帯電させるとともに帯電状態のトナーを含む現像剤を現像ローラの周囲に送給する撹拌ローラと、現像ローラ、ドクターブレードおよび撹拌ローラを内蔵し、かつ現像剤を収容する現像槽とを含む現像装置が用いられる。現像ローラ表面の現像剤層は、現像剤が2成分現像剤である場合、トナーとキャリアとの電気的引力による集合体であり、かつ磁性体であるキャリアが現像ローラに内包される磁石部材によって作られる、いわゆる磁気ブラシが多数集まって形成されるものである。
【0004】
このような現像装置において、ドクターブレードにはアルミニウム製の板状部材が多用される。このドクターブレードは、一般に、その両端を現像槽にビス止めされる。その場合、現像槽のビス止め位置とドクターブレードのビス止め位置とが正確に一致しないこと、ビスにより両端部から中央部に向けて応力が付加されることなどに起因して、ドクターブレードの現像ローラ軸線方向の中央部が現像ローラから離反するような撓みを生じることが多い。その結果、ドクターブレードの中央部では、ドクターブレードと現像ローラ表面との間隔(以後「ドクターギャップ」と称す)が、ドクターブレードの両端部におけるドクターギャップよりも広くなり、中央部と両端部とで現像剤層の規制量が変化するという問題が生ずる。なお、現像槽およびドクターブレードのビス止め位置の精度をさらに高めることは技術的には可能であるけれども、工業的規模での対応は現状では極めて困難である。
【0005】
一方、電子写真方式の画像形成技術が目覚しい発展を見せる中、画像の高画質化への要求は非常に大きなものがある。高画質化には単に画像濃度を高くするだけではなく、原稿の微細な変化を正確にかつ精緻に再現し、高精細な画像を形成する必要がある。そのためには、静電潜像へのトナー供給量を適宜調整し、原稿が微細な変化を持つ場合にはトナー供給量を適切に減らし、ベタ画像、一般的な印字画像などのような微細な変化を持たない原稿の場合には、トナー供給量を通常量に戻すことが必要になる。トナー供給量は現像剤層の層厚にほぼ比例するので、トナー供給量の調整は、一般には、ドクターギャップを調整して現像ローラに担持される現像剤層の層厚を規制することにより実施される。このような調整は、ドクターブレードと現像ローラとが正確に平行な位置にあることを前提として行われる。
【0006】
高精細画像を形成するためには、ドクターギャップを通常400μmから200μm程度まで狭め、現像剤搬送量を、微細な変化を持つ原稿を良好に再現できる20〜70mg/cmに調整する必要がある。ところが、前述のように、両端部の方が中央部よりもドクターギャップが狭い場合に、高精細画像を形成するためにドクターギャップをさらに狭めると、両端部のドクターギャップが必要以上に狭くなり、現像剤搬送量が極端に少なくなって画像欠けなどの画像欠陥を生じることがある。加えて、ドクターギャップ特に両端部のドクターギャップを通過する際に現像剤に掛かる摩擦応力が高くなり、現像剤を劣化させてトナーの帯電不良などが生じ、それによって画像濃度が低下する場合がある。さらに、高画質化とともに画像形成の高速化が要求される現状にあっては、ドクターギャップが狭くなり過ぎると、ドクターブレードに掛かる摩擦応力も増大し、ドクターブレードの摩耗、ドクターブレードへの現像剤の付着などによるドクターブレードの耐用性の低下という問題もある。
【0007】
また、従来から、現像ローラの現像剤搬送量を増加させるために、現像ローラの表面に現像ローラの軸線方向に延びる溝が形成される。たとえば、現像ローラの軸線方向に延びる複数の溝を現像ローラ表面に形成し、現像ローラ表面の溝が形成された領域以外の領域が粗面化処理された現像ローラが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。また、深さ0.5μm以上でかつ磁性トナーの粒径よりも小さい溝を表面に形成した現像ローラが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。また、現像ローラの軸線方向に延びる凹凸が現像ローラ表面に規則的に交互に形成された現像ローラが提案されている(たとえば、特許文献3参照)。しかしながら、これら従来の現像ローラの表面に形成される溝は全て同一形状および同一寸法であり、現像ローラの現像剤搬送能力を高めることはできるものの、高精細化には対応できないという欠点がある。このような従来の現像ローラにおいて、高精細化への対応のために、溝の幅を狭め、現像ローラ表面の現像剤搬送能力を減少させることも考えられる。しかしながら、溝の幅には現像剤搬送能力が急激に減少する閾値があり、その閾値を超えないように溝を形成するには繁雑な工程と高いコストとを要し、工業的規模での対応は困難である。
【0008】
【特許文献1】実開平5−25459号公報
【特許文献2】特開平6−236113号公報
【特許文献3】特開平11−52709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ドクターブレードに撓みが生じ、現像ローラ軸線方向の中央部と両端部におけるドクターギャップが異なる場合でも、中央部と両端部における現像剤搬送能力が殆ど変わることがなく、しかも現像剤の劣化、ドクターブレードの耐用性の低下などを伴うことがなく、現像剤搬送量を高画質化に対応できる程度に調整することが可能な現像ローラおよび該現像ローラを含む現像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、感光体ドラム表面の静電潜像にトナーを供給して現像する現像装置に備えられる現像ローラにおいて、
現像ローラ表面に溝口部を有し、溝口部よりも現像ローラの軸心寄りに底部を有し、現像ローラの軸線方向に延びるように形成される溝であって、
現像ローラの軸線方向における、溝の両端部分と中央部とで現像剤搬送能力が異なる少なくとも1つの溝を有することを特徴とする現像ローラである。
【0011】
また本発明の現像ローラは、
現像ローラ表面に形成される溝が、現像ローラの軸線方向における、溝の中央部の現像剤搬送能力よりも、溝の両端部の現像剤搬送能力が高くなるように形成されることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明の現像ローラは、
現像ローラ表面に形成される溝が、現像ローラの軸線方向における、溝の中央部から両端部に向けて現像剤搬送能力が段階的に高くなるように形成されることを特徴とする。
【0013】
さらに本発明の現像ローラは、
現像ローラ表面に形成される溝が、
溝口部における現像ローラ円周方向の幅寸法、溝口部から底部までの深さ寸法および現像ローラの軸線に垂直な断面における溝形状の少なくとも1つを変更することにより、
現像ローラの軸線方向における、溝の中央部における現像剤搬送能力よりも、溝の両端部における現像剤搬送能力が高くなるように形成されることを特徴とする。
【0014】
さらに本発明の現像ローラは、
現像ローラ表面に形成される溝が、現像ローラの軸線方向における、溝の両端部の現像剤搬送能力を60〜90mg/cm、溝の中央部の現像剤搬送能力を20〜70mg/cmとし、
溝の両端部が中央部よりも現像剤搬送能力が相対的に高くなるように形成されることを特徴とする。
【0015】
さらに本発明の現像ローラは、
現像ローラの軸線に垂直な断面における溝形状が、方形状、台形状、V字状また半円状であることを特徴とする。
【0016】
さらに本発明の現像ローラは、
現像剤がトナーとキャリアとを含み、
溝の溝口部における現像ローラ円周方向の幅寸法が、キャリア粒子径の2〜5倍の範囲から選択されることを特徴とする。
【0017】
さらに本発明の現像ローラは、
現像剤がトナーとキャリアとを含み、
溝の溝口部から底部までの深さ寸法が、キャリア粒子径の1〜3倍の範囲から選択されることを特徴とする。
【0018】
さらに本発明の現像ローラは、
現像剤がトナーとキャリアとを含み、
現像ローラの円周方向における互いに隣り合う溝の中心位置同士の間隔寸法が、キャリア粒子径の20〜30倍の範囲から選択されることを特徴とする。
【0019】
さらに本発明の現像ローラは、
現像ローラの軸線方向における、現像ローラ表面の現像ローラ両端部分を除く領域に溝が形成されることを特徴とする。
【0020】
さらに本発明の現像ローラは、
現像ローラ表面の溝が形成される領域において、複数の溝の内壁面および底部を除く現像ローラ表面に粗面化処理が施されることを特徴とする。
【0021】
さらに本発明の現像ローラは、
粗面化処理が、十点平均粗さRz=40〜100μmになるように行われることを特徴とする。
【0022】
また本発明は、感光体ドラムと接触または近接するように設けられて感光体ドラム表面の静電潜像に現像剤を供給する現像ローラと、現像剤を摩擦混合して現像ローラの周辺に供給する撹拌ローラと、現像ローラ表面に当接または近接するように設けられて現像ローラ表面に担持される現像剤層の層厚を規制するドクターブレードと、現像ローラ、撹拌ローラ、ドクターブレードおよび現像剤を収容する現像槽とを含み、感光体ドラム表面の静電潜像を現像する現像装置において、
現像ローラが、前述のうちのいずれか1つであることを特徴とする現像装置である。
【0023】
さらに本発明の現像装置は、
感光体ドラムおよび現像ローラは同じ方向に回転し、感光体ドラムと現像ローラとの周速度比は1.0以上であることを特徴とする。
【0024】
さらに本発明の現像装置は、
感光体ドラムおよび現像ローラは反対方向に回転し、感光体ドラムと現像ローラとの周速度比は2.0以上であることを特徴とする。
【0025】
さらに本発明の現像装置は、
現像剤が、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電子写真方式の画像形成に際し、静電潜像を現像するための現像装置に備えられ、その軸線方向に延びる溝が表面に形成される現像ローラであって、溝の現像ローラ軸線方向における両端部と中央部とで現像剤搬送能力が異なる溝を有する現像ローラが提供される。本発明の現像ローラ表面には、溝の両端部と中央部とで現像剤搬送能力が異なる溝が形成されるので、現像ローラとドクターブレードとの間隔であるドクターギャップが現像ローラ軸線方向の両端部と中央部とで異なっていても、ほぼ同量の現像剤からなる現像剤層(穂状磁気ブラシ)が担持される。
【0027】
したがって、たとえば、現像ローラ軸線方向における中央部よりも両端部のドクターギャップが短い場合には、溝の中央部よりも両端部の方の現像剤搬送能力が高くなるように溝を形成することによって、現像ローラ軸線方向の現像剤搬送能力の均一化を図ることができる。このような構成を採ることによって、原稿の微細な変化を精細に再現するのに適した現像剤搬送能力を得るためにドクターギャップを狭め、たとえば、両端部においてドクターギャップが必要以上に狭くなっても、両端部で現像剤搬送能力が極端に低下することがなく、また現像剤に過分な応力が付加されることがないので、画像欠け、現像剤の劣化による画像濃度の低下などの画像欠陥が著しく防止される。その結果、画像欠陥がなく、高精細且つ高濃度の画像を安定的に形成できる。
【0028】
本発明によれば、現像ローラ軸線方向における、溝の中央部から両端部に向けて現像剤搬送能力が段階的または連続的に高くなるように溝を形成することによって、ドクターギャップの影響を受けることなく、現像ローラ軸線方向における現像剤搬送能力の一層の均一化を図ることができ、画像欠陥がなくかつ一層高精細な画像を形成できる。
【0029】
本発明によれば、本発明の現像ローラ表面に形成される溝の溝口部における現像ローラ円周方向の幅寸法、溝の溝口部から現像ローラの軸心寄りの底部までの深さ寸法および現像ローラの軸線に垂直な断面における溝形状の少なくとも1つを適宜変更することによって、その溝の現像剤搬送量をきめ細かく調整できるので、さらなる高精細化の要求にも容易に対応できる。
【0030】
本発明によれば、現像ローラ軸線方向における中央部よりも両端部のドクターギャップが狭い場合には、溝の両端部における現像剤搬送能力を高濃度の画像形成に適する60〜90mg/cmとし、溝の中央部における現像剤搬送能力を高精細の画像形成に適する20〜70mg/cmとし、さらに溝の中央部よりも両端部の現像剤搬送能力が相対的に高くなるように溝を形成することによって、画像欠陥のない高精細画像を長期にわたって安定的に得ることができる。
【0031】
本発明によれば、現像ローラの軸線に垂直な断面における溝形状を、方形状、台形状、V字状および半円状から選択することによって、溝の現像剤搬送能力を任意に調整でき、高精細化への対応が容易になる。
【0032】
本発明によれば、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いる場合に、溝の溝口部における現像ローラ円周方向の幅寸法をキャリア粒子径の2〜5倍の範囲から選択することによって、現像剤の該溝への入り込みが円滑に進行し、該溝の現像剤搬送能力を設計値どおりにすることが容易になる。
【0033】
本発明によれば、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いる場合に、溝の溝口部から底部までの深さ寸法をキャリア粒子径の1〜3倍の範囲から選択することによって、現像剤の該溝への入り込みおよび該溝からの入れ替わりが円滑に進行し、該溝の現像剤搬送能力を設計値どおりにすることが容易になる。
【0034】
本発明によれば、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いる場合、現像ローラの円周方向における互いに隣り合う溝の中心位置間の寸法をキャリア粒子の20〜30倍の範囲から選択することによって、溝毎に設定される現像剤搬送能力が正確に再現され、画像の高精細化を確実に実現できる。
【0035】
本発明によれば、現像剤搬送能力が異なる複数の溝を、現像ローラ表面における現像ローラ軸線方向の両端部分を除く領域に形成するのが好ましい。これによって、現像装置内ひいては画像形成装置内への現像剤の飛散、それにともなう画質劣化、感光体ドラム表面の損傷などを一層確実に防止できる。
【0036】
本発明によれば、現像ローラ表面の現像剤搬送能力が異なる複数の溝が設けられる領域において、複数の溝の内壁面および底部を除く現像ローラ表面に粗面化処理(好ましくは十点平均粗さRzが40〜100μmになるような粗面化処理)を施すことによって、各溝にそれぞれ設定される現像剤搬送量が一層確実に再現されるので、高精細画像が長期にわたって安定的に形成される。
【0037】
本発明によれば、現像ローラと、撹拌ローラと、ドクターブレードと、現像槽とを含む現像装置において、現像ローラとして前述の本発明の現像ローラを用いることによって、ドクターブレードと感光体ドラムとの間のドクターギャップを調整することなく、感光体ドラム上に形成される静電潜像にその静電潜像の精細度に応じた適切な量のトナーを供給でき、現像剤の劣化、現像ローラに付属して設けられるドクターブレードの耐用性の低下などが起こり難い現像装置が得られる。この現像装置を電子写真方式の画像形成装置に組み込むことによって、高精細画像を安定的に形成できる。
【0038】
本発明によれば、感光体ドラムおよび現像ローラを同じ方向に回転駆動させ、現像ローラの回転周速を感光体ドラムの回転周速の1.0倍以上にするかまたは感光体ドラムおよび現像ローラを反対方向に回転駆動させ、現像ローラの回転周速度を感光体ドラムの回転周速度の2.0以上にすることによって、感光体ドラム表面の静電潜像に、現像剤を一層円滑に供給できる。すなわち、この構成も、画像の一層の高精細化に寄与する。
【0039】
本発明によれば、本発明の現像装置に用いる現像剤としては、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤が好ましく、負帯電性非磁性トナーと正帯電性磁性キャリアとを含む2成分現像剤が特に好ましい。このような現像剤を用い、さらに負帯電感光体ドラムを用いることによって、画像の高精細化を容易にかつ安定的に実施できるとともに、コスト削減、デジタル化などが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1は、本発明の実施の第1形態である現像装置1の構成を模式的に示す断面図である。図2は、現像装置1の要部の構成を模式的に示す側面図である。すなわち、現像装置1の現像ローラ3およびドクターブレード4を現像ローラ3の軸線に対して垂直な方向から見た側面図である。図3は、現像ローラ軸線方向に延びる方形状の溝15の、現像ローラ3の軸線に垂直な方向の断面図である。
【0041】
現像装置1は、現像剤を貯留する現像槽2と、現像槽2内に収容される現像ローラ3、ドクターブレード4、第1撹拌ローラ5および第2撹拌ローラ6と、現像槽2の壁面に装着されるトナーセンサ7とを含んで構成される。
【0042】
現像槽2は前述のように現像剤を貯留する部材であり、感光体ドラム8と対向する部分に現像ローラ3の一部を露出させるための開口部9、および第2撹拌ローラ6の上方の現像槽壁にトナーを補給するためのトナー補給口10が形成される。トナー補給口10の外部には、図示しないトナー貯留容器(トナーホッパ)が設けられ、後述するように、現像槽2内部のトナー濃度および/またはトナー消費量に応じてトナーが補給される。
【0043】
現像ローラ3は、現像槽2の開口部9においてその一部が現像槽2の外方に向けて露出し、感光体ドラム8に対向して近接するように設けられ、感光体ドラム8と現像領域を形成し、さらに図示しない駆動手段により矢符13の方向(反時計回りの方向)に回転駆動可能に設けられる円筒状部材である。現像ローラ3は、その内部に複数の磁極(N1,N2,N3,S1,S2,S3,S4)からなる磁石部材11と、磁石部材11の表面に形成される現像スリーブ12とを含んで構成される。さらに、現像スリーブ12の表面には溝15が少なくとも1つ、好ましくは2つ以上形成される。
【0044】
磁石部材11は、その磁力によって、現像スリーブ12表面に形成される溝15の部分に、現像剤層である穂状の磁気ブラシ(不図示)を担持させる。
【0045】
現像スリーブ12の表面には、溝口部15xと、溝口部15xよりも現像ローラ3の軸心寄りである図示しない底部15yとを有する溝15が、現像ローラ軸線方向に延びるように形成される。溝15は、現像剤搬送能力が異なる中央部15aと両端部15bとを含む。また、後に詳述するように、ドクターブレード4がビス16a,16bにより現像槽2の壁面に固定され、ドクターブレード4の現像ローラ軸線方向の中央部が現像ローラ3に対して離反するような形状に撓むことから、中央部15aよりも両端部15bの現像剤搬送能力が高くなるように溝15が形成される。
【0046】
溝15の中央部15aおよび両端部15bは、図示しないけれども、いずれも現像ローラ3の軸線に垂直な断面における溝形状(以後特に断らない限り単に「溝形状」と称す)が方形状の溝である。方形状の溝15において、溝口部15xにおける現像ローラ円周方向の幅寸法W(以後特に断らない限り単に「幅寸法W」と称す)および溝口部15xから底部15yまでの深さ寸法D(以後特に断らない限り単に「深さ寸法D」と称す)を適宜調整し、単位長さ当りの溝容積について、中央部15aよりも両端部15bが大きくなるように形成することによって、両端部15bの方が中央部15aよりも現像剤搬送能力が大きくなるように設定できる。ここでの「長さ」とは、現像ローラ軸線方向の長さである。
【0047】
幅寸法W、深さ寸法Dおよび溝形状の少なくとも1つを適宜変更することによって、所望の現像剤搬送能力を有する中央部15aおよび両端部15bが形成される。なお、深さ寸法Dが大きくなると、溝の容積が増加することによって現像剤搬送能力が増加するだけでなく、溝の底部が磁石部材11に一層近接することに基因して、現像剤搬送能力が増加する。本実施の形態では、中央部15aは、幅寸法W:0.1〜0.4mm、深さ寸法D:0.1〜0.25mm、溝ピッチ:1.6〜3.2mm程度および現像剤搬送量:20〜70mg/cm程度に形成される。両端部15bは、幅寸法W:0.3mm、深さ寸法D:0.3mm、溝ピッチ:1.3〜2.6mm程度および現像剤搬送量:60〜90mg/cm程度に形成される。そして、両端部15bの現像剤搬送量が中央部15aの現像剤搬送量よりも高くなるように設定される。また本実施の形態では、現像ローラ3の軸線に垂直な断面における現像スリーブ12の外円周が8cmになるように現像ローラ3が形成されている。図4は、現像ローラ3の回転中心点(軸心)と感光体ドラム8の回転中心点(軸心)とを結ぶ直線に対し、主極(N1)が有する垂直方向磁束密度分布において、最大磁束を示す位置と現像ローラ3の回転中心点を結ぶ直線(=通常、垂直方向磁束密度分布を2等分するような中心線)を現像ローラ3の円周方向左右に移動させた時の移動距離(cm)に対する現像剤搬送量(mg/cm)の変化を示すグラフである。このグラフにおいては、現像ローラ3の回転中心点と感光体ドラム8の回転中心点とを結ぶ直線と、最大磁束を示す位置と現像ローラ3の回転中心点とを結ぶ直線とが一致する位置を「0」とする。なお、図4のグラフにおいて、X軸の数値は直接的な移動距離ではなく、測定治具を用いた時の該測定治具上での値である。また、図4中、■印は中央部15aの現像剤搬送量の測定値であり、◆印は両端部15bの現像剤搬送量の測定値である。このグラフから、現像ローラ3表面のどの位置に溝15が形成されても、中央部15aおよび両端部15bが前述の現像剤搬送量(20〜70mg/cm程度および60〜90mg/cm程度)を有することが明らかである。
【0048】
このように、溝15は、中央部15aよりも両端部15bの方が現像剤搬送量を高く設定される。したがって、ドクターブレード4による規制を受ける前は、両端部15bの単位長さ当りの現像剤搬送量は、中央部15aの単位長さ当りの現像剤搬送量よりも多くなる。このような状態でドクターブレード4による規制を受けると、両端部15bにおけるドクターギャップが中央部15aよりも狭いことから、中央部15aと両端部15bの現像剤搬送量がほぼ同じになる。このため、ドクターブレード4の撓みを考慮することなく、単にドクターブレード4を現像ローラ3に近接させるかまたは現像ローラ3から離反させてドクターギャップを調整することによって、高精細画像または高濃度画像の形成に適した現像剤量を現像ローラ3表面に担持させ得る。
【0049】
現像スリーブ12表面には、前述のように、溝15が少なくとも1つ形成されるけれども、その形成領域は、現像ローラ軸線方向の両端部分を除く領域とするのがよい。これによって、現像装置1内ひいては画像形成装置内への現像剤の飛散、それにともなう画質劣化、感光体ドラム8表面の損傷などを一層確実に防止できる。
【0050】
また、現像スリーブ12表面の、溝15が形成される領域には、溝15の内壁面および底部を除いて、粗面化処理を施すのが好ましい。これによって、現像剤搬送量が一層定量化されるので、高精細および高濃度画像を長期にわたって安定的に形成できる。さらに、溝15の内壁面および底部を粗面化処理から除外することによって、溝15内に入り込む現像剤量が該溝の幅寸法W、深さ寸法Dおよび形状のみによって決定されるので、溝15の現像剤搬送量の設定が容易になり、形成される画像のさらなる高精細化を図り得る。
【0051】
また、粗面化処理の方法は特に制限されず、公知の方法をいずれも採用できる。また、粗面化の程度も特に制限されないけれども、十点平均粗さRzが40〜100μmの範囲になるように粗面化処理を行うのが好ましい。40μm未満では、現像スリーブ12表面の摩擦係数が小さくなって現像剤搬送量が低下するおそれがある。100μmを超えると、現像スリーブ12表面の摩擦係数が大きくなり過ぎて現像剤搬送量が過剰になり、現像スリーブ12とドクターブレード4との間の部分における目詰まりそれに伴う現像ストレスの増加により、現像剤の搬送不良、劣化などが発生し、良好な画像形成を実施できないおそれがある。
【0052】
なお、現像剤がトナーとキャリアとを含む2成分現像剤である場合には、溝15の溝口部における現像ローラ円周方向の幅寸法Wは、キャリア粒子径の2〜5倍の範囲から選択するのが好ましい。2倍未満では、現像剤の溝内への入り込みが制限され、現像剤搬送量が不充分になって画像濃度が高い画像が得られないおそれがある。また、5倍を超えると現像剤搬送量が多くなりすぎ、現像ローラ3とドクターブレード4との間で現像剤の目詰まりおよびそれに伴う現像ストレスの増加により、現像剤の劣化、搬送不良などが発生するおそれがある。
【0053】
また、溝15の溝口部から底部までの深さ寸法Dは、キャリア粒子径の1〜3倍の範囲から選択するのが好ましい。1倍未満では、現像剤搬送量が不充分になって高画像濃度の画像が得られないおそれがある。また、3倍を超えると、溝内での現像剤の入れ替わりが円滑に進行せず、ゴーストなどの画質欠陥が生じるおそれがある。また、現像スリーブ12の機械的強度が不充分になり、現像ローラ3の耐用性、生産性などの低下を招くおそれがある。
【0054】
また、溝15が現像ローラ円周方向に複数形成される場合、互いに隣り合う溝15同士において、現像ローラ円周方向の中心位置同士の間隔寸法は、キャリア粒子径の20〜30倍の範囲から選択するのが好ましい。20倍未満では、現像剤搬送量が過剰になり、現像ローラ3とドクターブレード4との間で現像剤の目詰まりおよびそれに伴う現像ストレスの増加により、現像剤の劣化、搬送不良などが発生するおそれがある。また、30倍を超えると、溝の数が少なくなり、現像剤搬送量が不充分になり、充分な画像濃度の画像が得られないおそれがある。
【0055】
現像スリーブ12は、この分野で常用される材料を用いて形成できるけれども、導電性材料を用いるのが好ましい。該導電性材料としては、たとえば、金属、樹脂に導電性材料を添加した樹脂組成物、ゴム材料に導電性材料を添加したゴム組成物などが挙げられる。樹脂組成物は発泡体でもよく、ゴム組成物は加硫されていてもよい。
【0056】
現像ローラ3と感光体ドラム8との間には直流重畳交流電圧が印加され、現像領域には交番電界が発生するので、現像ローラ3表面の磁気ブラシ形状の現像剤層から電荷を有するトナーのみが感光体ドラム8表面の静電潜像に付着することによって、現像動作が実行される。
【0057】
なお、現像ローラ3に対向する感光体ドラム8は、矢符14の方向(時計回りの方向)に回転駆動可能に設けられる。図のように、現像ローラ3の軸心回りの回転方向および感光体ドラム8の軸心回りの回転方向は、反対方向にするのが好ましい。これによって、現像ローラ3と感光体ドラム8とが近接して対向する現像領域では、現像ローラ3と感光体ドラム8とが同じ流過回転方向に回転するように設けられる。その際の現像ローラ3の回転周速を、好ましくは感光体ドラム8の回転周速の1.0倍以上、さらに好ましくは1.5倍以上に設定する。これによって、感光体ドラム8表面の潜像部分への現像剤の供給が無理なく行われ、高精細画像を安定して形成できる。現像ローラ3の回転周速が感光体ドラム8の回転周速の1.5倍よりも著しく低いと、感光体ドラム8表面の静電潜像へのトナーの供給量が減少し過ぎ、充分な画像濃度を有する画像を形成できない場合がある。なお、前記の回転方向および周速度比に限定されることなく、たとえば、感光体ドラム8の軸心回りの回転方向と現像ローラ3の軸心回りの回転方向を同じ方向とし、現像領域において反対の流過回転方向に回転駆動させ、感光体ドラムと現像ローラとの周速度比を2.0以上にすることによっても、感光体ドラム8表面の潜像部分へのトナーの供給が無理なく行われ、高精細画像を安定して形成できる。
【0058】
ドクターブレード4は、現像ローラ3表面に形成される溝15に担持される現像剤層(穂状磁気ブラシ)の層厚を規制する板状部材であり、その先端縁が現像ローラ3の表面に対して所定の間隔(ドクターギャップ)を有するように設けられる。ドクターブレード4は、現像槽2の開口部9付近において、ビス16a,16bにより現像槽2の壁面に固定されて挟持される。ドクターブレード4をビス16a,16bにより現像槽2に固定するに際し、現像槽2とドクターブレード4との寸法が完全に一致しないか、現像槽2およびドクターブレード4のビス止め位置が完全に一致しないかまたはビス16a,16bによる両端からの応力が必要量よりも多いことに起因して、ドクターブレード4を現像ローラ3に対して平行に設けられないことが多い。本実施の形態では、ドクターブレード4に撓みが生じ、ドクターブレード4は、その現像ローラ軸線方向の中央部が現像ローラ3から離反するような形状に撓む。したがって、現像ローラ3とドクターブレード4との間隔であるドクターギャップは、現像ローラ3軸線方向の中央部が両端部よりも大きくなる。また、本実施の形態では、ドクターブレード4にはアルミニウム製板状部材が用いられるけれどもそれに限定されず、たとえば、ステンレス鋼などからなる板状部材を使用できる。
【0059】
第1撹拌ローラ5は、現像ローラ3に関して感光体ドラム8と反対側で現像ローラ3に対向しかつ離隔するように設けられ、かつ図示しない駆動手段により現像ローラ3と連動して軸心方向に回転駆動可能に設けられる円筒状部材である。第1撹拌ローラ5の回転(撹拌)によりトナーとキャリアとが摺擦され、その際の接触摩擦によって、感光体ドラム8表面の静電潜像の現像に必要充分な電荷がトナーに付与される。第1撹拌ローラ5は、前述のようにトナーを充分に帯電させるとともに、充分に帯電したトナーを含む現像剤を現像ローラ3の周囲に送給する。
【0060】
第2撹拌ローラ6は、第1撹拌ローラ5に関して現像ローラ3と反対側で第1撹拌ローラ5に対向しかつ離隔するように設けられ、さらに図示しない駆動手段により回転駆動可能に設けられる円筒状部材である。第2撹拌ローラ6の回転(撹拌)によって、第2撹拌ローラ6の上方の現像槽壁に形成されるトナー補給口10から現像槽2内に供給されるトナーを現像槽2内の現像剤と混合させてトナーを予備的に帯電させるとともに、現像剤を第1撹拌ローラ5の周囲に送給する。
【0061】
トナーセンサ7は、第1撹拌ローラ5の下方の現像槽底面に装着され、センサ面が現像槽2の内部に露出するように設けられる。トナーセンサ7は、現像装置1が図示しない電子写真方式の画像形成装置に組み込まれる際に、該画像形成装置の各種の動作を制御する図示しないCPUに電気的に接続される。そして、トナーセンサ7により現像槽2内のトナー濃度が検知され、その検知結果はCPUに送達される。CPUは検知結果に基づいて、現像槽2へのトナーの補給の可否を判断する。そして、トナー補給が必要と判断した場合は、制御信号を送って図示しないトナー貯留容器からトナー補給口10を介して現像槽2内にトナーを補給する。
【0062】
本発明の現像装置1で使用される2成分現像剤は、トナーとキャリアとを含む。トナーおよびキャリアとしては電子写真方式において従来から用いられるものをいずれも使用できるけれども、負帯電性非磁性トナーと正帯電性磁性キャリアとを含む2成分現像剤を用い、さらに負帯電感光体ドラムを用いるのが好ましい。これによって、画像の高精細化を容易にかつ安定的に実施できるとともに、コスト削減、デジタル化などが容易になる。
【0063】
現像装置1によれば、現像槽2のトナー補給口10から補給される現像剤を、第1撹拌ローラ5および第2撹拌ローラ6の回転により帯電させるとともに現像ローラ3周辺に供給する。現像ローラ3表面の溝15には、現像ローラ軸線方向において現像剤量の異なる現像剤層が担持される。該現像剤層を、現像ローラ軸線方向においてドクターギャップの異なるドクターブレード4で規制することにより、現像ローラ3表面の現像剤搬送量が均一化され、この状態で現像剤層から感光体8表面の静電潜像にトナーが供給され、静電潜像が現像される。
【0064】
本実施の形態では、現像ローラ3の表面に形成される溝15は、現像ローラ3の軸線に垂直な断面における溝形状が方形状であるけれども、溝形状は方形状に限定されず、V字状、台形状、半円状などの種々の溝形状に形成することができる。
【0065】
本実施の形態では、現像ローラ3の表面に形成されるのは溝15のみであるけれども、それに限定されず、溝15とともに、現像ローラ軸線方向において現像剤搬送量が等しい溝を形成することもできる。
【0066】
図5は、本発明の他の実施形態である現像ローラ20a,20b,20cの表面に形成される溝21,22,23の構成を示す上面図である。なお、溝20,21,22は、いずれも溝形状が方形状で、深さ寸法が等しいものとする。
【0067】
溝21は、現像ローラ軸線方向の両端部21yの幅寸法が、中央部21xよりも大きくなるように形成される。これによって、両端部21yの単位長さ当りの現像剤搬送量を、中央部21xよりも増加させ得る。
【0068】
溝22は、現像ローラ軸線方向の中央部22xから両端部22yに向けて、幅寸法が段階的に大きくなるように形成される。これによって、中央部22xから両端部22yに向けて、現像剤搬送量を段階的に増加させ得る。
【0069】
溝23は、現像ローラ軸線方向の中央部23xから両端部23yに向けて、幅寸法が連続的に大きくなるように形成される。これによって、ドクターブレードが撓んだ状態におけるドクターギャップの連続的な変化にも、きめ細かな対応が可能になり、現像剤搬送量を連続的に増加させ得る。
【0070】
溝21,22,23に担持される現像剤層は、撓んだ状態にあるドクターブレードによる層厚規制を受けるので、現像ローラ表面の現像剤搬送量を一層均一化でき、画像欠陥を発生させることなく、画像の一層の高濃度化および高精細化に対応できる。
【0071】
図6は、本発明の他の実施形態である現像ローラの表面に形成される溝24a,24b,24cの構成を示す側面図である。なお、溝24a,24b,24cは、いずれも溝形状が方形状で、幅寸法が等しいものとする。
【0072】
溝25は、現像ローラ軸線方向の両端部25yの深さ寸法が、中央部25xよりも大きくなるように形成される。これによって、両端部25yの単位長さ当りの現像剤搬送量を、中央部25xよりも増加させ得る。
【0073】
溝26は、現像ローラ軸線方向の中央部26xから両端部26yに向けて、深さ寸法が段階的に大きくなるように形成される。これによって、中央部26xから両端部26yに向けて、現像剤搬送量を段階的に増加させ得る。
【0074】
溝27は、現像ローラ軸線方向の中央部27xから両端部27yに向けて、深さ寸法が連続的に大きくなるように形成される。これによって、ドクターブレードが撓んだ状態におけるドクターギャップの連続的な変化にも、きめ細かな対応が可能になり、現像剤搬送量を連続的に増加させ得る。
【0075】
溝25,26,27に担持される現像剤層は、撓んだ状態にあるドクターブレードによる層厚規制を受けるので、現像ローラ表面の現像剤搬送量が一層均一化され、画像欠陥を発生させることなく、画像の一層の高濃度化および高精細化に対応できる。
【0076】
本発明の現像装置1は、従来から使用される複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置において、現像手段として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の第1形態である現像装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す現像装置の要部の構成を模式的に示す側面図である。
【図3】現像ローラ軸線方向に延びる方形状溝の現像ローラの軸線に垂直な方向の断面図である。
【図4】主極(N1)を基準とする溝の現像剤搬送量の変化を示すグラフである。
【図5】本発明の他の実施形態である現像ローラの表面に形成される溝の構成を模式的に示す上面図である。
【図6】本発明の他の実施形態である現像ローラの表面に形成される溝の構成を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 現像装置
2 現像槽
3 現像ローラ
4 ドクターブレード
5 第1撹拌ローラ
6 第2撹拌ローラ
7 トナーセンサ
8 感光体ドラム
9 開口部
10 トナー補給口
11 磁気発生部材
12 現像スリーブ
13,14 矢符
15,21,22,23,25,26,27 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラム表面の静電潜像にトナーを供給して現像する現像装置に備えられる現像ローラにおいて、
現像ローラ表面に溝口部を有し、溝口部よりも現像ローラの軸心寄りに底部を有し、現像ローラの軸線方向に延びるように形成される溝であって、
現像ローラの軸線方向における、溝の両端部分と中央部とで現像剤搬送能力が異なる少なくとも1つの溝を有することを特徴とする現像ローラ。
【請求項2】
現像ローラ表面に形成される溝は、
現像ローラの軸線方向における、溝の中央部の現像剤搬送能力よりも、溝の両端部の現像剤搬送能力が高くなるように形成されることを特徴とする請求項1記載の現像ローラ。
【請求項3】
現像ローラ表面に形成される溝は、
現像ローラの軸線方向における、溝の中央部から両端部に向けて現像剤搬送能力が段階的に高くなるように形成されることを特徴とする請求項1または2記載の現像ローラ。
【請求項4】
現像ローラ表面に形成される溝は、
溝口部における現像ローラ円周方向の幅寸法、溝口部から底部までの深さ寸法および現像ローラの軸線に垂直な断面における溝形状の少なくとも1つを変更することにより、
現像ローラの軸線方向における、溝の中央部の現像剤搬送能力よりも、溝の両端部の現像剤搬送能力が高くなるように形成されることを特徴とする請求項1または2記載の現像ローラ。
【請求項5】
現像ローラ表面に形成される溝は、
現像ローラの軸線方向における、溝の両端部の現像剤搬送能力を60〜90mg/cm、溝の中央部の現像剤搬送能力を20〜70mg/cmとし、
溝の両端部は中央部よりも現像剤搬送能力が相対的に高くなるように形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の現像ローラ。
【請求項6】
現像ローラの軸線に垂直な断面における溝形状は、
方形状、台形状、V字状また半円状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の現像ローラ。
【請求項7】
現像剤はトナーとキャリアとを含み、
溝の溝口部における現像ローラ円周方向の幅寸法は、
キャリア粒子径の2〜5倍の範囲から選択されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の現像ローラ。
【請求項8】
現像剤はトナーとキャリアとを含み、
溝の溝口部から底部までの深さ寸法は、
キャリア粒子径の1〜3倍の範囲から選択されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の現像ローラ。
【請求項9】
現像剤はトナーとキャリアとを含み、
現像ローラの円周方向における互いに隣り合う溝の中心位置同士の間隔寸法は、
キャリア粒子径の20〜30倍の範囲から選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の現像ローラ。
【請求項10】
現像ローラの軸線方向における、
現像ローラ表面の現像ローラ両端部分を除く領域に溝が形成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の現像ローラ。
【請求項11】
現像ローラ表面の溝が形成される領域において、
複数の溝の内壁面および底部を除く現像ローラ表面に粗面化処理が施されることを特徴とする請求項10記載の現像ローラ。
【請求項12】
粗面化処理は、
十点平均粗さRzが40〜100μmになるように行われることを特徴とする請求項11記載の現像ローラ。
【請求項13】
感光体ドラムと接触または近接するように設けられて感光体ドラム表面の静電潜像に現像剤を供給する現像ローラと、現像剤を摩擦混合して現像ローラの周辺に供給する撹拌ローラと、現像ローラ表面に当接または近接するように設けられて現像ローラ表面に担持される現像剤層の層厚を規制するドクターブレードと、現像ローラ、撹拌ローラ、ドクターブレードおよび現像剤を収容する現像槽とを含み、感光体ドラム表面の静電潜像を現像する現像装置において、
現像ローラは、
請求項1〜12のうちのいずれか1つであることを特徴とする現像装置。
【請求項14】
感光体ドラムおよび現像ローラは同じ方向に回転し、感光体ドラムと現像ローラとの周速度比は1.0以上であることを特徴とする請求項13記載の現像装置。
【請求項15】
感光体ドラムおよび現像ローラは反対方向に回転し、感光体ドラムと現像ローラとの周速度比は2.0以上であることを特徴とする請求項13記載の現像装置。
【請求項16】
現像剤は、
トナーとキャリアとを含む2成分現像剤であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1つに記載の現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−25463(P2007−25463A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210024(P2005−210024)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】