説明

現像ローラー、電子写真装置用プロセスカートリッジ及び電子写真装置

【課題】トナーに優れた負帯電性を付与し、濃度が高く鮮明でカブリやゴーストが少ない高品位の画像形成を可能とすると共に、感光体汚染を抑制し抵抗ムラが少なく、耐久性に優れる現像ローラーを提供すること。また、高画質の画像形成が可能で、耐久性に優れる電子写真装置用プロセスカ−トリッジや電子写真装置を提供すること。
【解決手段】導電性軸芯体の周囲に弾性層を有する現像ローラーにおいて、界面活性剤構造のアミン系化合物と結着樹脂とを含有する表面層を有し、アミン系化合物が20mgKOH/g以上140mgKOH/g以下のアミン価を有し、好ましくは、アミン系化合物が、リン酸エステルのアミン塩基、カルボン酸エステルのアミン塩基またはエーテルスルホン酸のアミン塩基から選ばれるいずれか1種または2種以上を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ローラー、これを用いた電子写真装置用プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の受信装置等の電子写真装置が用いられている。電子写真装置としては、例えば、回転可能な感光体と、その周囲に感光体を一様に帯電する帯電手段、一様に帯電した感光体表面に露光により静電荷像を形成する露光手段、感光体に現像剤を供給して現像しトナー像を形成する現像手段が設けられる。更に、感光体上のトナー像を転材上に転写する転写手段、転写材上のトナーを定着する定着手段、トナー転写後の感光体表面に残留するトナーの除去を行うクリ−ニング手段等が設けられる。電子写真装置における現像手段としては、粉体状の現像剤を用いる乾式の現像装置が広く採用されている。粉体状の現像剤としてはトナーとキャリアを有する二成分現像剤と、キャリアを含まない一成分現像剤があり、キャリアの劣化の問題がなく、小型化、軽量化に有利な点から、一成分現像剤を用いた一成分現像方式が注目されている。
【0003】
このような一成分現像剤を使用する現像装置としては、具体的には、現像剤を収納する現像剤容器の開口を閉塞し、且つ、一部を容器外に露出するように現像ローラーが設けられる。現像剤容器内で現像ローラーに当接して設けられる弾性ローラーによって現像ローラー表面上に現像剤を供給する。ついで現像ブレードにより余剰分を除去して現像ローラー上に現像剤を薄膜状に形成すると同時に、摺擦によりトナー粒子に所定量の正または負の電荷を与える。さらに、現像ローラーの回転により正または負に帯電した現像剤を、露出部の現像領域に搬送し、ここにおいて接触又は近接して設けられる感光体表面の静電荷像に付着させ現像を行う。このような、現像ローラーとしては、導電性軸芯体の周囲に弾性体を設け、耐磨耗性、帯電性の向上等のため、必要に応じてその外周に樹脂層を設けて使用される。
【0004】
しかしながら、上記の一成分現像方式により、高画質対応カラープリンターに現像ローラーを組み込み画像形成を行うと、濃度のムラや階調性不足、現像剤に起因したカブリ、電荷の蓄積による不具合であるゴースト現象が発生する場合がある。
【0005】
電子写真の更なる高画質化のために、現像ローラー、現像スリーブおよび現像ブレード等を正に帯電させ、トナー負を帯電することに注目した改善が行われている。
【0006】
具体的には、現像ローラーや現像スリーブの成形材料に第四級アンモニウム塩基含有共重合体を添加し、正の電荷を付与する方法が報告されている(特許文献1、2)。また、現像ローラー最表面層に正荷電制御樹脂を添加する方法(特許文献3)や、現像担持体にイミダゾリウム塩類を構成単位として有する重合体を添加する方法等が報告されている(特許文献4)。これらの方法により、一成分トナーに対する摩擦帯電性の向上が図られているが、帯電制御剤の極性が大きく、トナーの帯電電荷量の問題や、帯電制御剤の滲出による感光体汚染が生じる場合がある。従来、現像ローラーの帯電制御剤として使用されている、アジン系のニグロシン、ニグロシン塩基類、ニグロシン誘導体、ベンゾメチル−ヘキシルデシルアンモニウムクロライド等は、極性が弱く充分な帯電付与性を得るためには、使用量が多量となる。使用量の増加に伴い、帯電制御剤が現像ローラー表面から滲出しやすく、使用待機期間が長時間に亘ると、感光体と長期間接触した現像ローラーの一定部位において、滲出物による感光体の汚染が生じ、画像ムラが発生する場合もある。また、これらの帯電制御剤は溶媒に不溶若しくは微溶であり、塗工による成形には使用できない。更に、帯電制御剤とこれを含有する樹脂との相溶性が悪い場合は、多層構造の現像ローラーにおいて、層間剥離が生じる場合があり、耐久性が低下するおそれがある。
【特許文献1】特開2001−312136
【特許文献2】特開平3−192377号公報
【特許文献3】特開2005−31656
【特許文献4】特開2004−333566
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、トナーに優れた負帯電性を付与し、濃度が高く鮮明でカブリやゴーストが少ない高品位の画像形成を可能とすると共に、感光体汚染を抑制し抵抗ムラが少なく、耐久性に優れる現像ローラーを提供することにある。また、高画質の画像形成が可能で、耐久性に優れる電子写真装置用プロセスカ−トリッジや電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、現像ローラーに含有させる帯電制御剤について鋭意研究を行った。その結果、特定のアミン価を有する界面活性剤構造のアミン系化合物を結着樹脂に含有させた表面層を有する現像ローラーを用いることにより、濃度が高く鮮明で濃度のムラや階調性不足を抑制した画像を得られることの知見を得た。更に、このアミン系化合物は結着樹脂からの滲出が抑制され、感光体汚染を抑制でき、カブリやゴースト現象の発生を抑制し、多層構造における層間剥離を抑制でき耐久性に優れることの知見を得た。かかる知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、導電性軸芯体の周囲に弾性層を有する現像ローラーにおいて、界面活性剤構造のアミン系化合物と結着樹脂とを含有する表面層を有し、アミン系化合物が20mgKOH/g以上140mgKOH/g以下のアミン価を有することを特徴とする現像ローラーに関する。
【0010】
また、本発明は、静電潜像を担持する感光体の表面に現像剤を供給して静電潜像を現像してトナー像とする現像ローラーを有し、電子写真装置に着脱自在である電子写真装置用プロセスカートリッジにおいて、現像ローラーが上記現像ローラーであることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジに関する。
【0011】
また、本発明は、静電潜像を担持する感光体の表面に現像剤を供給して静電潜像を現像してトナー像とする現像ローラーを有する電子写真装置において、現像ローラーが上記現像ローラーであることを特徴とする電子写真装置に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の現像ローラーは、トナーに優れた負帯電性を付与し、濃度が高く鮮明でカブリやゴーストが少ない高品位の画像形成を可能とすると共に、感光体汚染を抑制し抵抗ムラが少なく、耐久性に優れる。また、本発明の電子写真装置用プロセスカ−トリッジや電子写真装置は、高画質の画像形成が可能で、耐久性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の現像ローラーは、導電性軸芯体の周囲に弾性層を有する現像ローラーにおいて、界面活性剤構造のアミン系化合物と結着樹脂とを含有する表面層を有し、アミン系化合物が20mgKOH/g以上140mgKOH/g以下のアミン価を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の現像ローラーに用いる導電性軸芯体は、上層の弾性層及び表面層を支持し感光体へ現像剤(トナー)を搬送可能な強度と、帯電したトナーを感光体へ移動可能な電極となり得る導電性を有するものであればいずれであってもよい。その材質としては、アルミニウム、ステンレス、銅合金等の金属または合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄などの他、導電性を有する合成樹脂等を挙げることができる。
【0015】
更に、導電性軸芯体として、導電性軸心体材料にめっき、酸化処理などの防錆処理を行ったものを使用することができる。めっきの種類としては電気めっき、無電解めっきなどいずれも使用することができるが、寸法安定性の観点から無電解めっきが好ましい。ここで使用される無電解めっきの種類としては、ニッケルめっき(カニゼンめっき)、銅めっき、金めっき、その他各種合金めっきなどを挙げることができる。めっき厚さは、例えば、0.05μm以上などを挙げることができるが、作業効率と防錆能力のバランスを考慮すると、めっき厚さは0.1〜30μmであることが適当である。
【0016】
導電性軸芯体の形状としては棒状体又はパイプ状体を挙げることができる。必要に応じて、その表面にプライマー処理層を形成してもよい。この導電性軸芯体の外径は、例えば、4mm〜10mmの範囲を挙げることができる。
【0017】
本発明の現像ローラーにおける弾性層は、現像ブレードに当接して薄膜状に形成された表面の現像剤を感光体へ供給可能とするため、現像ローラーが適度な弾性を有するように、適切な弾性を有することが好ましい。また、現像ローラーに接触する感光体、現像ブレード、トナー等に対する損傷を低減するため低硬度であり、且つ、これらから受ける押力による変形の発生を抑制し、高品位な画像を長期に亘って得るため、圧縮永久歪が小さいことが好ましい。
【0018】
弾性層の硬度としてはAsker C硬度が10度以上、80度以下であることが好ましい。弾性層の硬度が10度以上であれば、現像ローラーからの滲出物による感光体の汚染を抑制することができる。また、弾性層の硬度が80度以下であれば、搬送するトナーにダメージを与えることを抑制し、出力画像の画質の低下を抑制することができる。
【0019】
弾性層としては発泡体、ソリッド体いずれであってもよい。その材質としては、具体的には、エチレン−プロピレン−ジエン共重合物ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシゴム、ユリアゴム、メラミンゴム、ジアリルフタレートゴム、ポリカーボネートゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチロール系ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、多硫化ゴム、ウレタンゴム等のゴム材を挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、EPDM、NBR、シリコーンゴム、ウレタンゴム等を好ましいものとして挙げることができる。後述するアミン系化合物との相溶性等の観点から、シリコーンゴムや、ウレタンゴムを特に好ましいものとして挙げることができる。
【0020】
上記弾性層は導電性を有し、現像ローラーが半導体領域の電気抵抗値を有するものとすることが好ましい。弾性層において、導電性を有するものとするため、イオン導電機構、または電子導電機構による導電付与剤を含有することが好ましい。導電性付与剤としては、グラファイト、カーボンブラック、アルミニウム、銅等の導電性金属;酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン等の導電性金属酸化物などの微粒子を用いることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、カーボンブラックは比較的容易に入手することができ、良好な帯電性が得られるので好ましい。
【0021】
上記弾性層の体積抵抗率は1×103〜1×1011Ω・cmの範囲にあることが好ましい。弾性層の体積抵抗率が1×103〜1×1011Ω・cmであれば、トナーを均一に帯電することができる。弾性層の体積抵抗率のより好ましい範囲は1×103〜1×108Ω・cmである。
【0022】
この体積抵抗率を測定する際には、弾性層の成形時と同じ条件で弾性層材料を硬化して、厚さ2.0mmの弾性層のテストピースを作製し、これを用いて測定を行う。具体的には、弾性層材料をシート状にして130℃のオーブンに入れ20分加熱し、厚み2.0mmのゴムシートを2枚成形し、その後200℃のオーブンで4時間加熱し二次加硫を行う。その後、ゴムシートを温度25℃、湿度45%の環境に24時間以上放置し、ハイレスタIP(三菱油化社製)を用いて100Vの電圧印加で測定を行い、2枚のゴムシートから得られる抵抗の値の平均値として、体積抵抗率を求めることができる。
【0023】
このような弾性層には、上記組成の機能を阻害しない範囲で、その他必要に応じて、非導電性充填剤、架橋剤、触媒等の各種添加剤を適宜含有させることができる。具体的には、非導電性充填剤として、例えば、珪藻土、シリカ、石英粉末、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミノケイ酸、炭酸カルシウム等を挙げることができる。架橋剤としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等を挙げることができる。
【0024】
弾性層の厚さとしては、その材質や現像剤量規制部材や感光体等との関連において所望の弾性を有するように適宜選択することができ、例えば、2.0〜6.0mmを挙げることができる。
【0025】
本発明の現像ローラーにおける表面層は、界面活性剤構造のアミン系化合物と結着樹脂とを含有する。かかる表面層におけるアミン系化合物は、トナーに負帯電性を付与し、濃度が高く鮮明でカブリの少ない高品位の画像形成を可能とする。このような界面活性剤構造としては、具体的には、極性基(塩基性)及び非極性基(樹脂相溶性基)の両方のセグメントを具備するものである。このため、アミン系化合物は、極性基によりトナーに負帯電性を付与し、非極性基により結着樹脂と優れた相溶性を有し表面層と弾性層間の密着性の向上に寄与する作用を有する。このようなアミン系化合物の極性基としては、構造中に窒素を含有するものであればいずれであってもよい。具体的には、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、イオン対結合を有する第四級アンモニウム基や、−COOH、−SO3H、−P(O)(OH)2やリン酸エステル基、−OH等のプロトン供与性基のアミン塩の基等を挙げることができる。アミン系化合物において、これらの極性基を1種または2種以上を組み合わせて有していてもよい。これらのうち、特に、リン酸エステルのアミン塩、カルボン酸エステルのアミン塩またはエーテルスルホン酸のアミン塩の基は、極性が強く、トナーに負帯電を付与する観点から特に好ましい。
【0026】
上記アミン系化合物における樹脂と相溶性を示す非極性基としては、結着樹脂と相溶性を有するものが好ましく、結着樹脂との関連において適宜選択することが好ましい。具体的には、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエポキシ等の基を挙げることができる。
【0027】
上記アミン系化合物は、アミン価が20mgKOH/g以上140mgKOH/g以下である。好ましくは40mgKOH/g以上90mgKOH/g以下である。アミン系化合物のアミン価が20mgKOH/g以上であれば、トナーの帯電を十分に行うことができる。また、140mgKOH/g以下であれば、極性基セグメントが表面近傍に局在化して極性基成分等の析出を抑制することができ感光体汚染を抑制することができる。
【0028】
ここで、アミン価とは、試料1g中に含まれる全塩基性窒素を中和するのに要する過塩素酸と等しい当量の水酸化カリウムの質量(mg)で表される値をいい、アミンの当量の指標となるものである。
【0029】
上記アミン系化合物は、数平均分子量Mnが5000〜80000の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは36000〜60000の範囲である。数平均分子量が5000以上であれば、アミン系化合物が表面層から経時的に析出するのを抑制することができ、感光体汚染による画像ムラの発生を抑制することができる。また、数平均分子量が80000以下であれば、結着樹脂成分との相溶性(分散性)の低減に起因するトナー帯電の不安定性を抑制することができ、耐磨耗性の低減や多層構造の現像ローラーにおける層間剥離を招く表面粗さの不安定性を抑制することができる。
【0030】
上記表面層における結着樹脂としては、上記アミン系化合物と相溶性(分散性)を有するものであることが好ましい。具体的には、ポリアミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、エチレン−エチルアクリレート樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、低分子量ポリエチレン樹脂、アイオノマー樹脂、ナイロン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、水素添加スチレン−ブチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、オレフィン樹脂等を挙げることができる。耐磨耗性、トナー帯電性、弾性層との密着性等の観点から、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂等を好ましいものとして挙げることができる。これらのうちウレタン樹脂は上記アミン系化合物との相溶性がよく、帯電制御性および弾性層との密着性との観点から特に好ましい。更に、熱硬化性ウレタン樹脂は、熱可塑性ウレタン樹脂と比較して表面層の硬度調整が容易であり、トナーに与えるストレスを緩和することができるため、特に好ましい。
【0031】
ここで使用する熱硬化性ウレタン樹脂はイソシアネート化合物とポリオールとから得られるものを挙げることができる。
【0032】
上記イソシアネ−ト化合物として、ジフェニルメタン4−,4'−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3'−ジメチルビフェニル−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性MDI、キシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、パラフェニルレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等を用いることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その含有割合はいずれであってもよい。
【0033】
上記ポリオールとしては、2価のポリオール(ジオール)として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、キシレングリコール、トリエチレングリコール等を挙げることができ、また、3価以上のポリオールとして、1,1,1−トリメチロ−ルプロパン、グリセリン、ペンタエリストール、ソルビトール等を挙げることができる。この他、ジオール、トリオールなどにエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドを付加した高分子量のポリエチレングルコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドブロックグリコール等のポリオールも使用可能である。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることもでき、その含有割合はいずれであってもよい。
【0034】
このような表面層において、上記結着樹脂とアミン系化合物の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して、アミン系化合物の含有量は0.5〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。アミン系化合物の含有量が結着樹脂100質量部に対して0.5質量部以上であれば、トナーの帯電を充分に行うことができる。また、30質量部以下であれば、表面層から経時に伴うアミン系化合物の析出を抑制することができ、感光体の汚染を抑制し画像ムラの発生を抑制することができる。
【0035】
上記表面層は、導電性を付与するために導電性付与剤を含有することが好ましい。導電性付与剤としては、弾性層に含有される導電性付与剤として例示したものと同様のものを、具体的に挙げることができる。また、導電性付与剤としてはカーボンブラックを導電性の制御が容易であり、耐磨耗性に優れる等、同様の観点から好ましいものとして挙げることができる。
【0036】
上記カ−ボンブラックとしては、酸化処理により表面官能基を付与した酸化処理カーボンブラックを、分散安定性を有することから好ましいものとして挙げることができる。酸化処理カーボンブラックのpH値は4.5以下であることが好ましい。酸化処理カーボンブラックは表面に極性基を有するために、極性基を有するアミン系化合物及び結着樹脂との親和性が向上する。カーボンブラックのpH値が4.5以下であれば、アミン系化合物と結着樹脂との親和性の低下を抑制し、分散性(相溶性)の低下を抑制することができ、これらとカ−ボンブラックとの分散不良を抑制することができる。このため、充分な導電性を付与できる範囲でカーボンブラックを使用しても均一に分散することができ、経時に伴う凝集を抑制することができ、ゴースト等画像不具合やリークの発生を抑制することができる。
【0037】
上記カーボンブラックの平均粒径としては、表面層の強度を維持し、適切な導電性を考慮すると、例えば、10〜50nmを挙げることができる。また、カーボンブラックのDBP吸油量としては、同様の理由から例えば、70〜150ml/100gを挙げることができる。このようなカーボンブラックとしては、チャンネル法、ファーネス法などで製造したものを好適に使用することができる。カーボンブラックの平均粒径は、樹脂ペレットあるいは成形品のカーボン着色品をプレスしてフイルム片とし、ミクロトームを使って超薄切片を調製して電子顕微鏡を使って測定する。電子顕微鏡写真(倍率1000倍)の測定面積0.1×0.1mm中のカーボンブラック粒子像をデジタイザーを使って測定した値を採用することができる。
【0038】
カーボンブラックの表面層中の含有量としては、現像ローラーを適正な範囲の導電性を有するものとするため、結着樹脂100質量部に対して、1〜40質量部を好ましい範囲として挙げることができる。カーボンブラックの表面層中の含有量が20〜30質量部の範囲であると、アミン系化合物と結着樹脂との分散性に優れ、適正な導電性を有し、抵抗均一性であって、高品位な画像を得られることから特に好ましい。
【0039】
上記表面層は、現像ローラーの表面に適度な表面粗さを付与するため、表面に凹凸形状を形成する球状微粒子を含有していてもよい。表面層が球状微粒子を含有することによって、現像ローラー表面の表面粗度を均一にすることが容易となると同時に、表面層が磨耗した場合でも、表面粗度の変動を少なくし表面状態を一定に保持することができる。球状微粒子としては、体積平均粒径が8〜30μmであることが好ましい。微粒子の体積粒径の測定には、コールター社製のLS−230型レーザー回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取り付けたものを用いることができる。具体的には、水10ccに微量の界面活性剤を添加し、これに微粒子10mgを加え、超音波分散機で10分間分散した後、測定時間90秒間、測定回数1回の条件で測定を行う。上記の測定方法により測定した値を体積平均粒径の値として採用することができる。球状微粒子の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましい。
【0040】
球状微粒子の材質としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。これらの球状微粒子は、例えば、懸濁重合、分散重合法などにより製造することができる。
【0041】
上記表面層には、上記成分の他、上記成分の機能を阻害しない範囲で、必要に応じて、充填剤、増量剤、加硫剤、架橋剤、加硫助剤、架橋助剤、酸化防止剤、老化防止剤、加工助剤等の各種添加剤を含有させることができる。
【0042】
上記表面層の厚さとしては、例えば、1〜500μmを挙げることができ、好ましくは1〜50μmである。表面層の厚さが1μm以上であれば、表面層や下層が含有する低分子量成分の析出を抑制することができ、500μm以下であれば、現像ローラーが高硬度となるのを抑制し、トナーの融着を抑制することができる。
【0043】
このような本発明の現像ローラーの一例として、図1の概略断面構成図に示すように、導電性軸芯体1と、その外周に導電性弾性層2、表面層3を順次積層したものを挙げることができる。
【0044】
本発明の現像ローラーとしては、弾性層、表面層に加えて、耐摩耗性や帯電性を向上する樹脂層など、種々の機能を有する層を有していてもよい。また、上記弾性層や表面層がそれぞれ1層構造の場合の他、材質や組成等が異なる多層構造であってもよい。また、本発明の現像ローラーとして、表面層が弾性層としての機能を有し、1層構造とすることもできる。
【0045】
このような本発明の現像ローラーの製造方法としては、弾性層を上記ゴムの未硬化ゴム成分、導電性付与剤、及び必要に応じてその他成分を含有する組成物(未硬化ゴム組成物という。)から塗工液を調製し、これを用いて塗膜を形成し、これを硬化する方法を挙げることができる。塗工方法としては、浸漬塗工法、ブレード塗工法、環状塗工槽で塗工する方法、リング形状の塗工ヘッドを用いた塗工法等を挙げることができる。また、未硬化ゴム組成物を用いて、押し出し成形法、金型成形法等により成形し、硬化する方法を挙げることができる。ゴム成分の硬化後、研磨して表面粗さを調整し、弾性層を成形することもできる。
【0046】
弾性層の成形後、表面層を成形する。表面層の成形方法としては、上記アミノ系化合物、未硬化の上記結着樹脂、その他の成分の表面層材料を含有する組成物(未硬化組成物という。)を調製し、これを用いて弾性層上に塗膜を形成し、硬化する方法を挙げることができる。未硬化組成物の調製は、溶媒としてメチルエチルケトン、トルエン、アルコール等を用いて、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミル等のビーズを使用した分散装置を使用することが好ましい。
【0047】
塗膜の形成には、スプレー、浸漬、ロールコート等の塗工方法を使用することができ、上記弾性層上に、塗膜を形成した後、乾燥して溶媒を除去し、加熱、電子線照射等の方法により硬化する方法を使用することができる。具体的には、硬化は加熱、電子線照射等いずれの方法であってもよい。
【0048】
上記塗膜形成に浸漬塗工を使用する場合、図2の概略構成図に示す塗料の循環機構を有する塗布装置を用いることが好ましい。
【0049】
図2に示す塗布装置には、浸漬槽27が設けられる。浸漬槽は弾性層が形成されたローラー28の外径よりわずかに大きな内径と、ローラー28の軸方向長より長い深さを備えた円筒形を有し、軸方向を垂直方向にして設置される。その上端部外周には環状の液受け部30が設けられ、液受け部はその底面に接続される管31により、攪拌タンク29に接続される。一方、浸漬槽27の底部は管35を介して塗布液32を循環させるポンプ33に接続され、更に、ポンプ33と攪拌タンク29を接続する管34によって攪拌タンク30に接続される。攪拌タンク29には内部に収納する塗布液32を攪拌するための攪拌翼36が設けられる。
【0050】
この塗布装置には、浸漬槽の上部において昇降板38を浸漬槽の軸方向に昇降させる昇降装置37が設けられ、昇降板38に懸架されるローラー28を浸漬槽中に進入、後退可能となっている。
【0051】
このような塗布装置を用いて弾性層上に表面層を成形するには、ポンプ33を駆動し、攪拌タンク29に収納する塗布液32を管34、35を通って浸漬槽27に供給する。昇降装置37を駆動させ昇降板38を降下させ、ローラー28を塗布液32が充填された浸漬槽に進入させる。ローラー28の進入により浸漬槽の上端から溢れ出た塗布液は液受け部30に受けられ、管31を通って攪拌タンク29に戻される。その後、昇降装置を駆動して昇降板を上昇させ、ローラー28を所定の速度で浸漬槽から後退させ、弾性層上に塗布膜を形成する。この間、攪拌タンク内で攪拌翼36を回転させ、塗布液を攪拌して含有物の沈降を抑制し、塗布液の均一性を維持する。
【0052】
塗膜が形成されたローラーは、昇降板38から取り外され、塗膜を乾燥硬化して、表面層が成形される。
【0053】
本発明の電子写真装置は、静電潜像を担持する感光体の表面に現像剤を供給して静電潜像を現像してトナー像とする現像ローラーを有する電子写真装置において、現像ローラーが上記現像ローラーであることを特徴とするものである。その一例として、非磁性一成分現像方式の図3に示すタンデム方式のカラー電子写真画像形成装置を挙げることができる。図3の概略構成図に示すカラー電子写真画像形成装置は、イエロートナー、マゼンダトナー、シアントナー、ブラックトナーなど各色トナー毎に設けられる画像形成ユニット12a〜12dを有する。各画像形成ユニットには、それぞれ矢印方向に回転する静電潜像担持体としての感光体5が設けられる。各感光体の周囲には、感光体を一様に帯電するための帯電装置6、一様に帯電処理した感光体にレーザービーム7を照射して静電潜像を形成する露光手段、静電潜像を形成した感光体にトナーを供給し静電潜像を現像する現像装置8が設けられる。一方、給紙ローラー22により供給される紙等の転写材11は、ローラー21を介してバイアス電源25の電荷が印加される搬送ベルト17の表面に静電気的に付着されて搬送されるようになっている。搬送ベルト17は駆動ローラー18、従動ローラー20、テンションローラー19に懸架され、各画像形成ユニットにおいて形成される各色のトナー像を転写材上に順次重畳して転写可能とするため、画像形成ユニットと同期して転写材を搬送するようになっている。
【0054】
各画像形成ユニットにおいて可視化した感光体上のトナー像を、搬送ベルト17によって搬送される転写材11に転写する転写装置が設けられ、転写装置には転写材の裏面に転写ローラー10を介して電荷を印加する転写バイアス電源26が備えられる。
【0055】
更に、カラー電子写真画像形成装置には、搬送ベルト17に付着する転写材を剥離する剥離装置23、転写材上に重畳転写したトナー像を加熱などにより定着する定着装置24、画像形成された転写材を装置外に排出する搬送装置(図示せず)が設けられる。
【0056】
一方、各画像形成部には各感光体上に転写されずに残存する転写残現像剤を除去し表面をクリーニングするクリーニングブレードを有するクリーニング装置9が設けられ、その他感光体から掻き取られた現像剤を収納する廃現像剤容器等が設けられる。クリーニングされた感光体は画像形成可能状態とされて待機するようになっている。
【0057】
上記各画像形成ユニットに設けられる現像装置8には、一成分トナー13を収容した現像剤容器14と、現像剤容器の開口を閉塞するように設置され、現像剤容器から露出した部分で感光体と対向するように現像ローラー1が設けられる。現像剤容器内には、現像ローラーにトナーを供給すると同時に現像ローラー上に使用されずに残留するトナーを掻き取るトナー供給ローラー15と、現像ローラー上のトナーを薄膜状に形成すると共に、摩擦帯電する現像剤ブレード16とが設けられる。トナー供給ローラーとしては、例えば、軸芯体上に発泡スポンジ体や、ポリウレタンフォームを設けたものや、レーヨン、ポリアミド等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものなどが、現像後の現像ローラー上の残留トナーの除去を容易にすることから好ましい。
【0058】
また、本発明の電子写真プロセスカートリッジは、静電潜像を担持する感光体の表面に現像剤を供給して静電潜像を現像してトナー像とする現像ローラーを有し、電子写真装置に着脱自在である電子写真装置用プロセスカートリッジにおいて、現像ローラーが上記現像ローラーであることを特徴とする。本発明の電子写真プロセスカートリッジとしては、上記現像ローラーを有する現像装置の他、感光体、帯電装置、クリーニング装置、転写装置等から選択されるいずれか一個または二個以上とが一体的に設けられ、電子写真装置に着脱自在に設けられたものを挙げることができる。
【実施例】
【0059】
以下に、本発明の現像ローラー、電子写真プロセスカートリッジ、電子写真画像形成装置を具体的に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
【0060】
[実施例1]
[アミン系化合物の調製]
[エステル樹脂プレポリマーの合成]
(A−1)
温度計、冷却管、攪拌器および窒素導入管を備えた2リットルの反応フラスコ中に12−ヒドロキシステアリン酸965.0質量部、キシレン31.1質量部、ジブチルスズオキサイド1.9質量部を仕込み、窒素気流下で120℃まで攪拌しながら3時間かけて昇温した。その後、さらに1時間攪拌しながら加熱して縮合を完結させ、Mn900のエステル樹脂プレポリマー(A−1)を得た。
(A−2)
A−1の合成に使用したものと同様のフラスコ中に、12−ヒドロキシステアリン酸950.0質量部、キシレン46.1質量部、ジブチルスズオキサイド1.9質量部を仕込み、窒素気流下で120℃まで攪拌しながら3時間かけて昇温した。その後、さらに2時間攪拌しながら加熱して縮合を完結させ、Mn1400のエステル樹脂プレポリマー(A−2)を得た。
(A−3)
A−1の合成に使用したものと同様のフラスコ中に、12−ヒドロキシステアリン酸920.0質量部、キシレン60質量部、テトラブチルチタネート0.3質量部を仕込み、窒素気流下で140℃まで攪拌しながら4時間かけて昇温した。その後、さらに3時間攪拌しながら加熱して縮合を完結させ、Mn2900のエステル樹脂プレポリマー(A−3)を得た。
【0061】
[リン酸エステル化合物の合成]
(B−1)
温度計、攪拌器、滴下ロートおよびリービッヒコンデンサーを有し、ウォーターバスを備えた四つ口のガラス製反応器に、A−1で得たエステル樹脂プレポリマーA−1を190質量部、ベンゼン190質量部、トリエチルアミン8.3質量部を仕込んで、攪拌し混合溶解した。続いて、反応液を攪拌しながら冷却し、液温が10℃以上に上がらないように連続的に0.5時間かけて、オキシ塩化リン3.5質量部を滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了後、反応液を2時間反応させて次いで冷却した。次いで、分液ロートを用いて、同量のイオン交換水、半量のイオン交換水にて洗浄し、洗浄したベンゼン層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、ベンゼンを減圧下で溜去し、Mn2800のリン酸エステル化合物(B−1)を得た。
(B−2)
B−1の合成に使用したものと同様の反応器中に、A−2で得たエステル樹脂プレポリマーA−2を190質量部、ベンゼン190質量部、トリエチルアミン16.8質量部およびオキシ塩化リン7.2質量部を用いた他はB−1と同様にして、Mn4300のリン酸エステル化合物(B−2)を得た。
(B−3)
B−1の合成に使用したものと同様の反応器中に、A−2で得たエステル樹脂プレポリマーA−2を32質量部、A−3で得たエステル樹脂プレポリマーA−3を131質量部、ベンゼン162質量部、トリエチルアミン8.4質量部およびオキシ塩化リン3.6質量部を用いた他はB−1と同様にして、Mn8800のリン酸エステル化合物(B−3)を得た。
【0062】
[エーテルスルホン酸化合物の合成]
(C−1)
攪拌器、リービッヒコンデンサーを接続した蒸留塔および内部温度計を備えた三首フラスコ中に、ポリエチレングリコール(ユニオックスM−1000:日本油脂株式会社製)500質量部、2−ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム24.6質量部および水酸化ナトリウム0.67質量部を仕込んで、連続的に攪拌しながら190℃で加熱した。続いて、蒸留塔の温度を約110℃で保ちながら、2時間かけて反応を行い水の蒸留を行った。その後、室温まで冷却し、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エタンスルホン酸3.2質量部を加えて、反応溶液の中和を行った。続いて、反応溶液を薄層蒸発器に移し、200℃、1kPaの減圧下でエーテルスルホン酸塩を単離し、Mn1200のエ−テルスルホン酸化合物(C−1)を得た。
(C−2)
C−1の合成に使用したものと同様のフラスコ中に、ポリプロピレングリコール(ニューポールLB−1715:三洋化成株式会社製)600質量部、2−ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム12.3質量部および水酸化ナトリウム0.34質量部を用いた他はC−1と同様にして、Mn2500のエーテルスルホン酸化合物(C−2)を得た。
【0063】
[カルボン酸エステル化合物の合成]
(D−1)
A−1の合成に使用したものと同様のフラスコ中に、12−ヒドロキシステアリン酸10質量部およびε−カプロラクトン55質量部およびテトラブチルチタネート0.01質量部を仕込み、窒素気流下で160℃まで4時間かけて昇温し、続いて160℃で3時間加熱した。その後、室温まで冷却し、Mn1500のカルボン酸エステル化合物(D−1)を得た。
(D−2)
A−1の合成に使用したものと同様のフラスコ中に、12−ヒドロキシステアリン酸10質量部およびε−カプロラクトン190質量部を仕込み、窒素気流下で160℃まで4時間かけて昇温し、続いて160℃で4時間加熱した。その後、室温まで冷却し、Mn2700のカルボン酸エステル化合物(D−2)を得た。
(D−3)
A−1の合成に使用したものと同様のフラスコ中に、カプロン酸10質量部、ε−カプロラクトン506質量部およびテトラブチルチタネート0.03質量部を仕込み、窒素気流下で170℃で3時間加熱した。その後、室温まで冷却し、Mn4800のカルボン酸エステル化合物(D−3)を得た。
【0064】
[アミン系化合物の合成]
以下のアミン系化合物の調製において、アミン前駆体物質には市販のジエチルアミン、トリエチレンテトラアミン、ポリエチレンイミン(SP−006又はSP−200:日本触媒株式会社)、ポリアリルアミン(PAA−03、PAA−08、PAA−15:日東紡績株式会社)を使用した。
[調製例1(リン酸エステルアミン塩)]
温度計、攪拌器、滴下ロートおよびリ−ビッヒコンデンサーを有し、ウォーターバスを備えた四つ口のガラス製反応器に、ジエチルアミン6.5質量部、ブチルグリコール50質量部およびキシレン20質量部の混合溶液を仕込み攪拌した後に、80℃まで昇温した。続いて、リン酸エステル化合物(B−1)365質量部を、ポリプロピレングリコールモノメチルエ−テルアセテート48質量部に混合し、混合物を滴下ロートから30分かけて滴下した。その後、反応混合物を80℃で15分間攪拌を行い、アミン価23mgKOH/g、Mn3200のリン酸エステルのアミン塩基を有するアミン系化合物(帯電制御剤)1を得た。
【0065】
表1に示すアミン前駆体と上記リン酸エステル化合物を用いて同様にしてアミン系化合物(帯電制御剤)2〜6を得た。
【0066】
得られたアミン系化合物について、数平均分子量Mn、アミン価を以下の方法により測定した。結果を表1に示す。
[数平均分子量]
GPCカラム(TSKgelSuperHM−M:東ソー株式会社)2本を直列につないだ高速液体クロマトグラフ分析装置(HLC−8120GPC:東ソー株式会社)を用い、溶媒にテトラヒドロフラン(THF)、温度40℃、流速0.6ml/min、RI(屈折率)検出器の測定条件下において、測定サンプルを0.1質量%のTHF溶液として測定した。検量線作成用の標準試料として数種の単分散標準ポリスチレン(東ソー株式会社)を用いて検量線の作成を行い、これを基に得られた測定サンプルの保持時間から数平均分子量を求めた。
[アミン価]
測定試料を0.1g計り取り、質量比4:1のトルエンとエタノール混合溶液に溶解し、全自動測定器(AT-510:京都電子工業株式会社)を用いて、0.1mol/lの過塩素酢酸溶液で滴定操作を行った。
【0067】
【表1】

【0068】
[調製例2(エーテルスルホン酸塩)]
A−1で使用したものと同様のフラスコ中に、i−ブタノール30質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10質量部、トリエチレンテトラアミン10質量部を混合攪拌しながら、50 ℃まで加熱した。続いて、この混合物にエ−テルスルホン酸化合物(C−1)をゆっくりと混合し、0.5時間反応させて、アミン価24mgKOH/g、Mn5800のエ−テルスルホン酸のアミン塩基を有するアミン系化合物(帯電制御剤7)を得た。
【0069】
表2に示すアミン前駆体と上記エーテルスルホン酸を用いて同様にしてアミン系化合物(帯電制御剤)8〜10を得た。調製例1と同様にして、得られたアミン系化合物について、数平均分子量Mn、アミン価を上記方法により測定した。結果を表2に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
[調製例3(カルボン酸エステル塩)]
A−1で使用したものと同様のフラスコ中に、ポリエチレンイミン(SP−006:日本触媒株式会社)50質量部およびキシレン20質量部を混合攪拌しながら、60℃まで加熱した。続いて、この混合物にカルボン酸エステル化合物(D−1)170質量部をゆっくりと混合し、0.5時間反応させて、アミン価134mgKOH/g、Mn6600のカルボン酸エステルのアミン塩基を有するアミン系化合物(帯電制御剤11)を得た。
【0072】
表3に示すアミン前駆体と上記カルボン酸エステルを用いて同様にしてアミン系化合物(帯電制御剤)12〜15を得た。調製例1と同様にして、得られたアミン系化合物について、数平均分子量Mn、アミン価を上記方法により測定した。結果を表3に示す。
【0073】
【表3】

【0074】
[現像ローラーの作製]
[実施例1]
(弾性層の作製)
軸芯体としてSUS製の口径8mmの芯金にニッケルメッキを施し、更に厚さ約1 μmのプライマー(DY35−051:東レダウコーニング社)を塗布、150℃で30分間焼き付けしたものを用いた。
【0075】
軸芯体を金型に配置し、液状シリコーンゴム材料(SE6274A:東レダウコーニングシリコーン社)及び液状シリコーンゴム材料(SE6274B:東レダウコーニング社)を重量比1:1の割合でスタティックミキサーを用いて混合し、金型内のキャビティに注入した。続いて、金型を150℃で15分間加熱し、液状シリコーンゴムを加硫硬化し、冷却後脱型した。その後、180℃で1時間加熱し硬化反応を完結させた。弾性層を作製したローラーの口径は16mmであった。
(表面層の作製)
ポリテトラメチレングリコール(PTG1000SN:保土ヶ谷化学社)100質量部に、鎖延長用イソシアネート化合物トリレンジイソシアネ−ト(TDI)(コスモネートT80:三井武田ケミカル社)22質量部をMEK溶媒中で段階的に混合および攪拌を行い、窒素雰囲気下80℃にて5時間反応させて、重量平均分子量Mw9800、水酸基価33のポリウレタンポリオールを得た。このポリウレタンポリオール100質量部に対し、ポリイソシアネート(コロネートL:日本ポリウレタン工業社)30.5質量部を加えて結着樹脂成分とした。続いて、この結着樹脂成分にカーボンブラック(MA100:三菱化学社)(pH3.5)(カーボンブラックのpHの測定方法は以下に示す。)を結着樹脂固形分100質量部に対し20質量部、調製例1で得られたアミン系化合物(帯電制御剤)1を5質量部、MEKを加え、攪拌モーター700rpmで1時間混合攪拌を行った。更に、横型分散機(NVM−03:アイメックス社)で周速7m/sec、流量1cc/min、分散液温度15℃の条件下で2時間均一分散し、続いてさらにMEKを加え、塗工後の樹脂層の膜厚が20μmになるように固形分30質量%に調製した。続いて、この溶液を380メッシュの網でろ過し、表面層形成用塗工液を得た。
【0076】
得られた表面層形成用塗工液を図3に示す塗布装置において液流速250cc/min、液温23℃で循環させた口径32mmのシリンダー中に、弾性層を作製したローラーを速度100mm/sで進入させた。10 秒間停止後、初速400mm/s終速200mm/sで後退させ、10分間、自然乾燥させた。次いで、140℃にて2時間加熱処理し、表面層の原料の硬化を行い、表面層を作製した。
【0077】
得られた現像ローラー(1)について、電気抵抗ムラを以下の方法により評価した後、画像形成を行い、得られた画像について、以下のように評価を行った。更に、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について評価を行った。結果を、表4に示す。
【0078】
[カーボンブラックのpH測定]
使用したカーボンブラックのpHの測定は以下の方法による。
【0079】
各カーボンブラック10gをビーカーに秤り取り、100mlの水及びエチルアルコールを3滴加えて時計皿で覆い、15分間煮沸した。煮沸後室温まで冷却し、遠心分離法により上澄み液を除去して、泥状のカーボンブラック測定サンプルを調製した。この測定サンプルに、pHメーター(HM−30R:東亜ディーケーケー社)の電極を入れ、ビーカーの中を動かしながら測定を行い、pH値が一定になった値をカーボンブラックのpH値とした。
【0080】
[現像ローラーの評価]
[電気抵抗ムラ]
現像ローラーの軸芯体の両端に500gの荷重をかけて、60rpmで回転する金属製ドラムに押し当て、金属製ドラムと現像ローラーの軸体間に100Vの電圧を印加した。その後、現像ローラーと直列に接続した10kΩの抵抗に流れる電流値から現像ローラーの抵抗値の計算を行い、1周中での抵抗値の最大・最小値をとり、1−(抵抗最小値/抵抗最大値)の値をその現像ローラの抵抗ムラとした。
A:抵抗ムラが0以上、0.2未満
B:抵抗ムラが0.2以上、0.4未満
C:抵抗ムラが0.4以上、0.7未満
D:抵抗ムラが0.7以上、1.0以下。
【0081】
[画像評価]
現像ローラーを市販のレーザービームプリンター(LBP5500:キヤノン社製)に搭載し、気温25℃、相対湿度50%RHの環境下で非磁性一成分ブラックトナーで印字率2%にて1万枚連続して印刷した。その後、カブリ、ゴースト、画像濃度および感光体汚染について評価した。
【0082】
[カブリ]
1万枚印刷後に白ベタ画像を出力し、その出力中にプリンターを停止し、感光体上に付着したトナーを粘着テープで剥がし取り、粘着テープの粘着面の反射率を測定し、反射率の低下からカブリを評価した。なお、反射率の測定には、反射濃度計(TC−6DS/A:東京電色社製)を用いた。
A:反射率の低下が2%未満
B:反射率の低下が2%以上4%未満
C:反射率の低下が4%以上6%未満
D:反射率の低下が6%以上。
【0083】
[ゴースト]
カブリの評価後、先端部に15mm角のベタ黒、ハーフトーン部を有する画像パターンを出力し、その濃度ムラを目視で評価し、ゴーストの評価とした。
A:ハーフトーン部に濃度ムラが全く認められない
B:ハーフトーン部に判別しにくい程の極軽微な濃度ムラが認められる
C:ハーフトーン部に軽微な濃度ムラが認められる
D:ハーフトーン部に画像に影響を及ぼす濃度ムラが認められる。
【0084】
[画像濃度]
ゴースト評価後、全面クロベタ画像を出力し、紙面上9ヶ所で反射濃度計(GretagMacbeth RD918:マクベス社製)により濃度を測定し、その平均値から下記基準で評価した。
A:濃度が1.2以上
B:濃度が1.1以上1.2未満
C:濃度が1.0以上1.1未満
D:濃度が1.0未満。
【0085】
[感光体汚染]
画像濃度評価後、同環境下において一ヶ月間放置し、再びハーフトーン画像を出力し下記基準で感光体汚染を評価した。
A:感光体の汚染による画像ムラが全くないもの
B:画像ムラが印刷5枚以内で消失するもの
C:画像ムラが印刷5枚以上10枚以内で消失するもの
D:画像ムラが印刷10枚以上でも消えないもの。
【0086】
[表面層の厚さの測定]
画像形成後、現像ローラーの表面層の膜厚を測定した。電子写真装置から現像ローラーを取り出し、メタノールで洗浄した後、現像ローラーの両端から5mmの点及び長手方向中央部を剃刀で厚さ1mm×深さ5mmの大きさに切り出し、測定サンプルを作成した。各測定サンプルの断面をデジタルマイクロスコープ(VH−2450:キーエンス株式会社)を用いて観察した。各現像ローラーの周方向の異なる3点についてそれぞれ測定を行い、9点の平均を現像ローラーの膜厚とした。
【0087】
[膜剥離]
画像形成後、現像ローラーの弾性層と表面層間の膜剥離を観察した。電子写真装置から現像ローラーを取り出し、JISK5400(1990年)に準拠して、クロスカセットセロテープ試験方法で弾性層と樹脂層との密着性を以下の基準で評価した。
A:100マス当りの剥離マス数が0
B:100マス当りの剥離マス数が1以上5未満
C:100マス当りの剥離マス数が5以上10未満
D:100マス当りの剥離したマス数10以上。
【0088】
[実施例2〜15]
アミン系化合物として帯電制御剤2〜15を使用して表面層を作製した他は実施例1と同様にして現像ローラー(2〜15)を作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表4に示す。
【0089】
[実施例16]
アミン系化合物としてポリアリルアミン(PAA−03:日東紡績株式会社製)(アミン価:136mgKOH/g、Mn:3000)を使用して表面層を作製した他は実施例1と同様にして現像ローラー(16)を作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表4に示す。
【0090】
[実施例17]
アミン系化合物として第2級アミン塩(PAS−92:日東紡績株式会社製)(アミン価:43mgKOH/g、Mn:5100)を使用して表面層を作製した他は実施例1と同様にして現像ローラー(17)を作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表4に示す。
【0091】
[実施例18〜23]
アミン系化合物として帯電制御剤4を、結着樹脂固形分100質量部に対し、それぞれ0.1質量部、0.5質量部、1質量部、10質量部、30質量部、50質量部に変更して表面層を作製した。その他は実施例1と同様にして現像ローラー(18〜23)を作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表4に示す。
【0092】
[実施例24〜29]
アミン系化合物として帯電制御剤4を使用し、カーボンブラックの使用量を結着樹脂固形分100質量部に対し、それぞれ0質量部、0.5質量部、1質量部、30質量部、40質量部、50質量部使用して表面層を作製した。その他は実施例1と同様にして現像ローラー(24〜29)を作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表4に示す。
【0093】
[実施例30〜34]
アミン系化合物として帯電制御剤4を使用し、カーボンブラックとしてMA−77(三菱化学社製)(pH:2.5)を結着樹脂固形分100質量部に対しそれぞれ20質量部、1質量部、30質量部、40質量部、50質量部使用し表面層を作製した。その他は実施例1と同様にして現像ローラー(30〜34)を作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。実施例30の結果を表4に、実施例31〜35の結果を表5に示す。
【0094】
[実施例35〜39]
アミン系化合物として帯電制御剤4を使用し、カーボンブラックとしてS−160(デグサジャパン社製)(pH:4.5)を結着樹脂固形分100質量部にそれぞれ20質量部、1質量部、30質量部、40質量部、50質量部使用し表面層を作製した。その他は実施例1と同様にして現像ローラー(35〜39)を作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表5に示す。
【0095】
[実施例40〜43]
アミン系化合物として帯電制御剤4を使用し、カーボンブラックとして#40(三菱化学社製)(pH:8.0)を結着樹脂固形分100質量部に対し、それぞれ20質量部、1質量部、40質量部、50質量部使用して表面層を作製した。その他は実施例1と同様にして現像ローラー(40〜43)を作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表5に示す。
【0096】
[実施例44]
結着樹脂成分として、熱可塑性ポリウレタン樹脂(ニッポラン2304:日本ポリウレタン工業社製)100質量部に対し、ポリイソシアネート(コロネート2520:日本ポリウレタン工業社製)28.4質量部を用いた。アミン系化合物として帯電制御剤4を用いて表面層を作製した他は、実施例1と同様にして現像ローラー(44)を作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表5に示す。
【0097】
[実施例45]
弾性層を形成する原料ゴムとして以下のものを使用した。官能基数3、数平均分子量5000のポリエーテルポリオールにNCO%が6.7質量%となるようにトリレンジイソシアネートを反応させてプレポリマーを得た。このプレポリマー100質量部に、1,4−ブタンジオール6.55質量部、シリコーン界面活性剤2質量部、ジブチルチンジラウレート0.01質量部及びアセチレンブラック2.0質量部を混合機を用いて2分攪拌して弾性層材料組成物を調製した。この弾性層材料組成物を用いて弾性層を作製した。帯電制御剤として帯電制御剤4を使用した他は実施例1と同様にして表面層を作製し、現像ローラー(45)を作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表5に示す。
【0098】
[実施例46]
実施例45の弾性層材料組成物にアミン系化合物として帯電制御剤4を添加して、弾性層を作製した他は、実施例1と同様にして表面層を作製し現像ローラー(46)を作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表5に示す。
【0099】
【表4】

【0100】
【表5】

【0101】
[比較例1]
帯電制御剤1を使用しない以外は、実施例1と同様にして現像ローラーを作製し、得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表6に示す。
【0102】
[比較例2]
アミン系化合物としてポリエステルアミン塩(KS860:楠本化学株式会社製)(アミン価:11mgKOH/g、Mn:1500)を使用した以外は、実施例1と同様にして現像ローラーを作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表6に示す。
【0103】
[比較例3]
アミン系化合物としてポリエチレンイミン(エポミンSP−012)(アミン価:230mgKOH/g、Mn:1800)を使用した以外は、実施例1と同様にして現像ローラーを作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表6に示す。
【0104】
[比較例4]
アミン系化合物としてポリエチレンイミン(エポミンP−1000)(アミン価:1008mgKOH/g、Mn:7000)を使用した以外は、実施例1と同様にして現像ローラーを作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表6に示す。
【0105】
[比較例5]
アミン系化合物の替わりにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LN2065:テイカ株式会社)(アミン価:0mgKOH/g、Mn:350)を使用した以外は、実施例1と同様にして現像ローラーを作製した。得られた現像ローラーの物性、現像ローラーを使用して得られた画像、画像形成後の表面層の厚さ、弾性層と表面層間の膜剥離の有無について実施例1と同様に評価を行った。結果を、表6に示す。
【0106】
【表6】

【0107】
結果からも、本発明の現像ローラーは画像形成に優れ、耐久性を有し、感光体汚染が抑制されることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の現像ローラーの一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の現像ローラーの製造に用いる塗布装置を示す概略構成図である。
【図3】本発明の電子写真装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0109】
1 現像ローラー
2 導電性軸芯体
3 弾性層
4 表面層
5 感光体
6 帯電装置
7 レーザービーム
8 現像装置
9 クリーニング装置
10 転写ローラー
11 転写材
12a〜12d 画像形成ユニット
13 一成分トナー
14 現像容器
15 トナー供給ローラー
16 現像剤ブレード
17 搬送ベルト
18 駆動ローラー
19 テンションローラー
20 従動ローラー
21 搬送ローラー
22 給紙ローラー
23 剥離装置
24 定着装置
25 バイアス電源
26 転写バイアス電源
27 浸漬槽
28 ローラー
29 攪拌タンク
30 液受け部
31、34、35 管
32 塗布液
33 ポンプ
36 攪拌翼
37 昇降装置
38 昇降板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性軸芯体の周囲に弾性層を有する現像ローラーにおいて、界面活性剤構造のアミン系化合物と結着樹脂とを含有する表面層を有し、アミン系化合物が20mgKOH/g以上140mgKOH/g以下のアミン価を有することを特徴とする現像ローラー。
【請求項2】
アミン系化合物が、5000から80000の範囲の数平均分子量を有することを特徴とする請求項1記載の現像ローラー。
【請求項3】
アミン系化合物が、リン酸エステルのアミン塩基、カルボン酸エステルのアミン塩基またはエーテルスルホン酸のアミン塩基から選ばれるいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2記載の現像ローラー。
【請求項4】
結着樹脂が熱硬化性ウレタン樹脂を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の現像ローラー。
【請求項5】
表面層が、結着樹脂100質量部に対して、アミン系化合物を0.5質量部から30.0質量部の範囲で含有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の現像ローラー。
【請求項6】
表面層が、カーボンブラックを含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の現像ローラー。
【請求項7】
表面層が、結着樹脂100質量部に対して、カーボンブラックを1質量部から40質量部の範囲で含有し、カーボンブラックがpH4.5以下であることを特徴とする請求項6記載の現像ローラー。
【請求項8】
導電性弾性層が、シリコーンゴム又はウレタンゴムを含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか記載の電子写真装置用現像ローラー。
【請求項9】
静電潜像を担持する感光体の表面に現像剤を供給して静電潜像を現像してトナー像とする現像ローラーを有し、電子写真装置に着脱自在である電子写真装置用プロセスカートリッジにおいて、現像ローラーが請求項1から8のいずれか記載の現像ローラーであることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
【請求項10】
静電潜像を担持する感光体の表面に現像剤を供給して静電潜像を現像してトナー像とする現像ローラーを有する電子写真装置において、現像ローラーが請求項1から8のいずれか記載の現像ローラーであることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−316284(P2007−316284A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145116(P2006−145116)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セロテープ
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】