説明

現像剤搬送装置、画像形成装置

【課題】構造が簡単で製造コストが安い現像剤搬送装置及び該現像剤搬送装置を有する画像形成装置の提供。
【解決手段】現像剤を搬送する現像剤搬送装置であって、現像剤を貯留する貯留部材と、記貯留部材に収納され、回転することにより前記貯留部材に貯留された現像剤を搬送する螺旋状の羽根部を有する搬送部材と、を備え、
貯留部材は、貯留部材を内部に有する画像形成装置本体の底面からの高さに関して搬送部材によって搬送される現像剤の搬送方向の上流側の高さよりも下流側の高さの方が高くなるように配置され、羽根部は、第1領域及び前記搬送方向に対して第1領域よりも上流側に位置する第2領域を有し、少なくとも第1領域の羽根部は、羽根部のピッチ毎に少なくとも1つの欠落部を有することを特徴とする現像剤搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
現像剤を搬送する現像剤搬送装置、及び該現像剤搬送装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現像剤を収納した現像剤容器から潜像を顕像化する現像装置まで現像剤を搬送する現像剤搬送装置において、スクリュウ羽根を有する現像剤の搬送部材を2本設けて両者の現像剤搬送方向を逆向きにすることにより、現像剤を循環しながら搬送するもの、又スクリュウ羽根を有する現像剤の搬送部材を1本設け現像剤を一方向に搬送するもの、が知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−66706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の現像剤搬送装置は、1本の搬送部材では現像剤を循環できず、現像剤を循環させるために2本の搬送部材を必要とし、結果として構造が複雑になってしまうという問題点、又、構造が複雑になるため装置の製造コストが上がってしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は前述の問題点に鑑み、構造が簡単で製造コストが安い現像剤搬送装置及び該現像剤搬送装置を有する画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、下記の構成によって達成される。
【0007】
1.現像剤を搬送する現像剤搬送装置であって、
現像剤を貯留する貯留部材と、
前記貯留部材に収納され、回転することにより前記貯留部材に貯留された現像剤を搬送する螺旋状の羽根部を有する搬送部材と、を備え、
前記貯留部材は、前記貯留部材を内部に有する画像形成装置本体の底面からの高さに関して前記搬送部材によって搬送される現像剤の搬送方向の上流側の高さよりも下流側の高さの方が高くなるように配置され、
前記羽根部は、第1領域及び前記搬送方向に対して前記第1領域よりも上流側に位置する第2領域を有し、
少なくとも前記第1領域の羽根部は、該羽根部のピッチ毎に少なくとも1つの欠落部を有することを特徴とする現像剤搬送装置。
【0008】
2.前記欠落部は、切欠き又は穴であることを特徴とする前記1に記載の現像剤搬送装置。
【0009】
3.前記欠落部の大きさは、前記搬送方向の上流側から下流側へ向かうに従って、徐々に又は段階的に大きくなることを特徴とする前記1または2に記載の現像剤搬送装置。
【0010】
4.前記欠落部の前記搬送方向の間隔は、前記羽根部のピッチと等しいことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【0011】
5.前記第2領域の羽根部は、該羽根部のピッチ毎に少なくとも1つの前記欠落部を有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【0012】
6.前記搬送部材の回転中心から前記羽根部の外周までの直線距離は、前記搬送方向の上流側から下流側に向かうに従って徐々に又は段階的に小さくなることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【0013】
7.前記貯留部材の内部に複数の前記搬送部材を有することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【0014】
8.現像剤を搬送する現像剤搬送装置であって、
現像剤を貯留する貯留部材と、
前記貯留部材に収納され、回転することにより前記貯留部材に貯留された現像剤を搬送する螺旋状の羽根部を有する搬送部材と、を備え、
前記貯留部材は、前記貯留部材を内部に有する画像形成装置本体の底面からの高さに関して前記搬送部材によって搬送される現像剤の搬送方向の上流側の高さよりも下流側の高さの方が高くなるように配置され、
前記羽根部は、第1領域及び前記搬送方向に対して、前記第1領域よりも上流側に位置する第2領域を有し、
少なくとも前記第1領域の羽根部は、前記搬送部材の回転中心から前記羽根部の外周までの直線距離が、前記搬送方向の上流側から下流側に向かうに従って徐々に又は段階的に小さくなるように形成されていることを特徴とする現像剤搬送装置。
【0015】
9.前記第1領域と前記第2領域との前記羽根部は、前記搬送部材の回転中心から前記羽根部の外周までの直線距離が、前記搬送方向の上流側から下流側に向かうに従って徐々に又は段階的に小さくなるように形成されていることを特徴とする前記8に記載の現像剤搬送装置。
【0016】
10.前記貯留部材の内部に複数の前記搬送部材を有することを特徴とする前記8又は9に記載の現像剤搬送装置。
【0017】
11.前記搬送部材により搬送される現像剤を現像部に補給する補給部を備え、
前記補給部は前記搬送部材から送出された現像剤を貯留すること、
を特徴とする前記1〜10のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【0018】
12.現像剤を収納する現像剤容器、前記1〜11のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置及び、該現像剤搬送装置から補給された現像剤を用いて現像する現像部、を備えること、
を特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0019】
上記発明により、構造が簡単で製造コストが安い現像剤搬送装置及び該現像剤搬送装置を有する画像形成装置の提供を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】画像形成装置の説明図。
【図2】図2は、現像装置の説明図(側面図)。
【図3】中間搬送装置の説明図(側面図)。
【図4】現像剤搬送装置を側面から見た説明図(断面図)。
【図5】搬送部材の第2の形態の説明図である。
【図6】図4に示す現像剤搬送装置を搬送部材の第1領域側から見た断面図。
【図7】現像部5の説明図(側面図)。
【図8】現像剤搬送装置の第2の形態を側面から見た説明図(断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
各構成の説明の前に文言の説明をする。
【0022】
現像剤搬送装置に関する、上流とは現像剤が搬送されてくる側を指し、下流とは現像剤が搬送されていく側を指す。
【0023】
図1は、画像形成装置の説明図である。
【0024】
画像形成装置の一例として以下タンデム型フルカラー複写機と称せられる画像形成装置を例に取り説明する。
【0025】
画像形成装置Aの本体の上側に載置された自動原稿搬送装置Bは、給紙トレイB1に積載された原稿Sを1枚ずつピックアップして原稿読み取り領域rに搬送し、原稿読み取り領域rで画像の情報が読み込まれた原稿Sを排紙トレイB2に排出する。
【0026】
以下、自動原稿搬送装置Bを除く画像形成装置Aの本体の構成について説明する。
【0027】
原稿画像読取部1は、光源11及び、移動可能な走査ユニット12と、原稿画像をラインイメージセンサ13に結像する光学系14とを有している。
【0028】
例えば静止光学系型読取動作の場合は、走査ユニット12を原稿読み取り領域rに固定して、自動原稿搬送装置Bにより搬送される原稿Sの画像を読み取る。又、移動光学系型読取動作の場合は、走査ユニット12を移動しながら原稿画像読取部1の上に裁置された原稿Sの画像を読み取る。
【0029】
ラインイメージセンサ13により光電変換された原稿画像のアナログ信号は、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われ、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の各色毎のデジタル画像データとなる。
【0030】
第1の像担持体としてのドラム状の感光体21(21Y、21M、21C、21K)には、各色のデジタル画像データに基づく潜像を形成する露光部22(22Y、22M、22C、22K)と、各色に対応する潜像をトナーで現像する現像装置2(2Y、2M、2C、2K)と、感光体21を一様に帯電する帯電部24(24Y、24M、24C、24K)と、中間転写体26に転写されずに感光体21の表面に残留したトナーを除去するクリーニング部25(25Y、25M、25C、25K)と、がそれぞれ配置してある。
【0031】
なお、図1は現像装置2が現像部5と、現像剤搬送装置6と、現像剤容器保持部材71と、中間搬送装置8と、を有している場合を示している。
【0032】
また、感光体21(21Y、21M、21C、21K)に対向して、ローラ261、262、263、264により回転可能に張架された半導電性エンドレスベルト状の中間転写体26が配置され、中間転写体26は図示しない駆動装置によりローラ263を介して矢印a方向に駆動されている。
【0033】
各感光体21に担持された各色のトナー像は、1次転写ローラ27(27Y、27M、27C、27K)の押圧により中間転写体26に順次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。
【0034】
記録材に転写されず中間転写体26に残留したトナーはクリーニング部28により除去される。
【0035】
給紙部3は用紙収納部材である複数の給紙カセット31を有し、給紙カセット31の内部には記録材Pが収容されている。
【0036】
記録材Pとしては、樹脂シート、シート状の紙、等が挙げられ、以下記録材を用紙Pと称する。
【0037】
収容された用紙Pは給紙ローラ32により1枚ずつピックアップされ、複数の搬送ローラ33及びレジストローラ34を経て転写領域35まで搬送され、2次転写ローラ36の押圧により搬送された用紙Pに中間転写体上の合成されたトナー画像が一括転写される。
【0038】
トナー画像が転写された用紙Pは中間転写体26から曲率分離され、定着装置4の加熱部41と加圧部42との加熱・押圧によりトナー画像が用紙Pに定着される。
【0039】
そして、トナー画像が定着された用紙Pは排紙ローラ37に挟持されて、排出口38から装置外部に排出される。
【0040】
画像形成装置Aの本体は、各種の情報を表示し、表示内容に応じて使用者が各種情報を入力する操作パネルSPを有している。
【0041】
なお、上述した動作は画像形成装置全体を制御する制御部Cにより制御されている。
【0042】
以上、タンデム型フルカラー複写機を例に挙げて説明したが、モノクロ複写機に現像部2を適用できることは言うまでもない。
【0043】
図2は、現像装置の説明図(側面図)である。
【0044】
現像装置2は、少なくとも現像部5と現像剤搬送装置6とを有しているが、以下、現像装置2が、現像部5と現像剤搬送装置6以外に、現像剤搬送装置6と現像剤Gを収納した現像剤容器7との間に、現像剤容器7から投入された現像剤Gを現像剤搬送装置6まで搬送する中間搬送装置8とを有しているものとして説明する。
【0045】
この場合は、現像剤容器7の現像剤排出口が中間搬送装置8の投入口81に対向し、中間搬送装置8の現像剤排出口が現像剤搬送装置6の投入口65に対向し、現像剤搬送装置6の現像剤排出口が現像部5の現像剤投入口に対向するように、現像剤容器7と現像剤搬送装置6と現像部5とをそれぞれ配置する。
【0046】
なお現像剤容器7は、不図示の画像形成装置Aの筐体に固定された現像剤容器保持部材71に着脱可能に保持され、現像剤容器7内部に現像剤Gがなくなった場合には使用者により交換可能となっている。
【0047】
現像剤容器保持部材71は、制御部Cにより現像剤容器7が回転され、現像剤容器7の内部に収納された現像剤Gを中間搬送装置8の投入口81に向けて排出する。
【0048】
中間搬送装置8は、制御部Cにより内部に装着された螺旋状のスクリュウ部材82が回転され、現像剤Gを矢印b方向に向けて搬送し現像剤搬送装置6の投入口65に向けて落下させる。
【0049】
現像剤搬送装置6は、制御部Cにより内部に装着された後述の搬送部材63と補給部9等により投入された現像剤Gを搬送し、搬送された現像剤Gは現像剤搬送装置6の排出口66から現像部5の投入口57に向けて落下する。
【0050】
現像部5は、制御部Cにより内部に装着されたスクリュウ51が回転され、現像剤Gを攪拌し攪拌により帯電した現像剤Gをパドル56を介して現像ローラ55に付着させ、感光体21に形成された潜像を顕像化する。
【0051】
図3は、中間搬送装置の説明図(側面図)である。
【0052】
中間搬送装置8は、現像剤Gを搬送する搬送部材であるスクリュウ部材82と、スクリュウ部材82をその内部に回転可能に支持し、現像剤Gの搬送路となる円筒状をした現像剤搬送部材83と、を有している。
【0053】
現像剤容器7から投入口81に投入された現像剤Gはスクリュウ部材82の回転により矢印b方向に搬送され、排出口84から現像剤搬送装置6の投入口65に向かって落下する。
【0054】
なお、スクリュウ部材82はスクリュウ部材82を回転させる不図示の駆動部により回転駆動されており、不図示の制御部Cは、現像剤容器7から現像剤Gを投入している間、及び現像剤搬送装置6から現像剤Gの不足情報が出力されている間、前記不図示の駆動部を駆動させてスクリュウ部材82を回転させる。
【0055】
図4は、現像剤搬送装置6を側面から見た説明図(断面図)である。
【0056】
現像剤搬送装置6は、現像剤容器7に収納された現像剤Gを現像部5に向けて搬送するもので、少なくとも現像剤Gを貯留する貯留部材62と、貯留部材62に貯留された現像剤Gを搬送する搬送部材63と、を有している。
【0057】
この場合は、搬送部材63で搬送された現像剤を現像剤搬送装置6(貯留部材62)の排出口66から直接現像部5の投入口57に投入する。
【0058】
以下、現像剤搬送装置6が貯留部材62と、搬送部材63と、搬送部材63により搬送された現像剤Gを貯留して現像部5に補給する補給部9と、を有し、搬送部材63で搬送された現像剤を一旦補給部9で貯留し、補給部9を介して現像剤搬送装置6の排出口66から現像部5の投入口57に投入する場合について説明する。
【0059】
現像剤搬送装置6の第1の形態である、第1現像剤搬送装置6aについて図4を参照して説明する。
【0060】
なお、現像剤搬送装置を第1の形態と他の形態とに特定する必要がない場合は第1現像剤搬送装置6aを現像剤搬送装置6とも記す。
【0061】
本願発明の現像剤搬送装置6は、不図示の現像剤容器7に収納された現像剤Gを現像部5に向けて搬送する。
【0062】
そして、現像剤搬送装置6は、不図示の現像剤容器7から中間搬送装置8を介して送出された現像剤Gを貯留する貯留部材62と、貯留部材62に収納され、回転することにより貯留部材62に貯留された現像剤Gを搬送する螺旋状の羽根部631を有する搬送部材63と、貯留部材62に貯留された現像剤Gを検知する補給部センサ64と、搬送部材63により搬送された現像剤Gを一時的に貯留し、貯留した現像剤Gを逐次現像部5に補給する補給部9と、を有している。
【0063】
貯留部材62は、画像形成装置Aの本体の底面Lからの高さに関して搬送部材63によって搬送される現像剤Gの搬送方向(矢印c方向)の上流側の高さh1よりも下流側の高さh2の方が高くなるように配置されている。
【0064】
なお、この高さの違いによる貯留部材62の傾斜θが、地球の引力により貯留部材62内の現像剤Gが自然に下方に向かって滑落する角度以上の場合に、現像剤搬送装置6が好適に利用できる。即ち傾斜θは地球の引力により貯留部材62内の現像剤Gが自然に下方に向かって滑落する角度以上である。
【0065】
また、貯留部材62に振動を加える加震部(不図示)を設けた場合は、傾斜θは振動及び地球の引力により貯留部材62内の現像剤Gが下方に向かって滑落する角度以上である。
【0066】
そして、貯留部材62は現像剤搬送装置6を図示左側から見た断面形状が円形をしている。なお、下側半分が半円筒状で、上側半分が下側の円筒の端部を上側にまっすぐ伸ばした、U字型でも良い。
【0067】
羽根部631は、第1領域637、及び現像剤Gの搬送方向(矢印c方向)に対して第1領域637よりも上流側に位置する第2領域638を有している。
【0068】
そして、搬送部材63の軸632と貯留部材62の下側内壁621とが平行になるように、搬送部材63は軸632の両端部側が軸受け633で貯留部材62に回転可能に支持されている。
【0069】
また、投入口65から投入された現像剤Gの一部は自重により後述の欠落部6313(破線部)をすり抜けて上流側に向けて移動し、残りの現像材は搬送部材63により下流側に搬送される。
【0070】
そして、自由落下、及び後述の欠落部6313(破線部)をすり抜けて上流側に向けて落下した、第2領域638に位置する現像剤Gを確実に下流側に向けて搬送させるために、第2領域638に位置する羽根部631の外周6316と貯留部材62の下側内壁621との間隙が、両者が接触しない程度となるように、貯留部材62に対して搬送部材63が支持されている。
【0071】
そして、軸632に取り付けられた歯車634とベルト635等を介してモータ636で回転される。
【0072】
また、補給部9は螺旋状のスクリュウ羽根を有するスクリュウ部材91と、スクリュウ部材91を内装する円筒部材92と、を有しており、不図示の駆動手段によりスクリュウ部材91が回転駆動され、貯留部材62から投入された現像剤Gを搬送し、現像部5の投入口57に排出する。
【0073】
不図示の制御部Cは、中間搬送装置8から現像剤搬送装置6に現像剤Gを投入している時、及び現像部5内部の現像剤Gが不足した情報に応じてモータ636を回転させ、貯留部材62に貯留された現像剤Gを矢印c方向に搬送させる。
【0074】
また、現像部5内部の現像剤Gが不足した情報に応じて不図示の駆動手段によりスクリュウ部材91を回転駆動させ、現像剤Gを搬送して現像部5に投入する。
【0075】
なお、図4に示す第1の形態である、第1現像剤搬送装置6aの搬送部材63は、羽根部631に欠落部6313(破線部)を設けてある。
【0076】
現像剤Gを検知する現像剤センサ64はその出力が不図示の制御部Cに入力され、現像剤センサ64の出力がOFF即ち現像剤Gの不足情報により、制御部Cは中間搬送装置8を作動させて現像剤搬送装置6に現像剤Gを投入させ、現像剤センサ64の出力がON即ち現像剤Gの充足情報により中間搬送装置8の作動を停止させて現像剤搬送装置6への現像剤投入を停止させる。
【0077】
以下、搬送部材63の第1の形態である、第1搬送部材63aについて説明する。
【0078】
第1搬送部材63aにおいて、少なくとも第1領域637に位置する羽根部631である第1領域羽根部6311は、羽根部631のピッチp1毎に少なくとも1つの欠落部6313(破線部)を有している。
【0079】
そして、欠落部6313の大きさは、現像剤Gの搬送方向(矢印c方向)の上流側から下流側へ向かうに従って、序々に又は段階的に大きくなっている。
【0080】
そして、欠落部6313の現像剤Gの搬送方向(矢印c方向)における間隔は、羽根部631のピッチp1と等しくなっている。
【0081】
そして、第2領域638に位置する羽根部631である第2領域羽根部6312には欠落部6313が設けられていない。
【0082】
なお、ピッチp1は第1領域637と第2領域638とで等しくなっている。
【0083】
なお、第2領域638に位置する羽根部631にも、ピッチp1毎に少なくとも1つの欠落部を設けても良い。この場合、第2領域638の羽根部631に設ける欠落部6313の大きさは、第1領域637の羽根部631に設ける欠落部6313の大きさより小さくする。
【0084】
第2領域638に位置する羽根部631にも、第1領域637の羽根部631に設ける欠落部6313の大きさより小さい欠落部を設けることにより、貯留部材62の内部における現像剤Gの循環が上端から下端まで可能となる。
【0085】
以上説明した構成により、不図示の現像剤容器7から中間搬送装置8を介して現像剤搬送装置6に投入された現像剤Gは搬送部材63の回転により貯留部材62内部を循環しながら矢印c方向に向けて搬送される。
【0086】
現像剤搬送装置6は、前述したように上流側より下流側の高さが高くなるように設置され、且つ第1領域羽根部6311に欠落部6313が設けられているため、第1領域637を搬送される現像剤Gの一部は地球の引力により欠落部6313をすり抜けて第2領域638に向かって落下する。
【0087】
なおこの時、第1領域羽根部6311の欠落部6313の大きさが上流側から下流側へ向かうに従って序々に又は段階的に大きくなっているため、欠落部6313をすり抜けて落下する現像剤Gの量は上流側より下流側のほうが多くなり、結果として現像剤Gの単位時間当たりの搬送量は上流側より下流側のほうが少なくなる。
【0088】
そして、落下する現像剤Gは新たに投入された現像剤Gと混合されながら搬送部材63の回転によって第1領域637に向かって再び搬送される。
【0089】
搬送部材63は、第1領域637に形成された羽根部631の替わりに軸632側が中空となったコイル(不図示)を設けても良い。この場合コイルの直径は上流側より下流側の方を細くする。
【0090】
以上、現像剤搬送装置6が1個で、貯留部材62の内部に1個の搬送部材63を設置した場合について説明したが、複数の現像剤搬送装置6を設けても良い。また、1個の現像剤搬送装置6の貯留部材62の内部に複数個の搬送部材63を設けても良い。
【0091】
搬送部材63を複数個、例えば2個の搬送部材63を設けた場合は、2個の搬送部材63は貯留部材62の内部に平行して装着され、同一形状で、同一方向に回転し、現像剤Gをそれぞれ上流側から下流側に向けて搬送する。
【0092】
複数の現像剤搬送装置6、又は複数個の搬送部材63を設けることにより現像剤Gの搬送量が増し、高能力の画像形成装置のように現像部5が多量の現像剤Gを必要とする場合でも現像剤の不足を防止でき、現像剤が不足することに起因する、画像濃度の低下防止が可能となる。
【0093】
図5は、搬送部材の第2の形態の説明図である。
【0094】
第2の形態の搬送部材63bは、第1領域羽根部6311に欠落部6313(破線部分)を有し、搬送部材63bの回転中心639から羽根部631の外周6316までの直線距離d1が、第1領域637において現像剤Gの搬送方向(矢印c方向)の上流側から下流側に向かうに従って徐々に又は段階的に小さくなるようにしてある。
【0095】
なお、欠落部6313が後述する切り欠き6314の場合は、搬送部材63の回転中心639から切り欠き端部6317までの直線距離d2が、直線距離d1より短くなっている。
【0096】
直線距離d1を現像剤Gの搬送方向(矢印c方向)の上流側から下流側に向かうに従って徐々に又は段階的に小さくすることにより、現像剤Gは、欠落部6313と、貯留部材62と羽根部631の外周6316との間と、をすり抜けることができ、これ等をすり抜けて落下する現像剤Gの量は、前述した第1搬送部材63aに比べて更に多くなる。
【0097】
これにより、現像剤Gは貯留部材62の最下流部に設けられた排出口66の近傍に長時間にわたって貯留したり、圧縮されることがなく、現像剤Gが排出口66の近傍で固着したり詰まったりすることなく、安定して現像部5に補給することが可能となる。
【0098】
図6は、図4に示す現像剤搬送装置6を搬送部材の第1領域側から見た断面図である。
【0099】
貯留部材62の内部に搬送部材63が装着され、搬送部材63の軸632に螺旋状の羽根部631が形成されている。
【0100】
そして、第1領域羽根部6311(図示手前側)には欠落部6313が有るが、第1領域羽根部6311の後方(図示奥側)に位置する第2領域羽根部6312は欠落部6313が無い。
【0101】
図6(a)は第1領域羽根部6311(図示手前側)の欠落部6313が切り欠き6314の場合を示し、図6(b)は第1領域羽根部6311(図示手前側)の欠落部6313が穴6315の場合を示している。
【0102】
図6(a)において、第1領域羽根部6311の切り欠き6314は上流側(図示奥側)から下流側(図示手前側)へ向かうに従って、序々に又は段階的に大きくなっている。
【0103】
そして、切り欠き6314は、切り欠き6314を現像剤Gが上流側(図示奥側)に向かってすり抜けられれば良く、図示のように半月状でも、又、三ヵ月状でも、軸632側が円弧状であっても良い。
【0104】
図6(b)において、第1領域羽根部6311の穴6315は上流側(図示奥側)から下流側(図示手前側)へ向かうに従って、序々に又は段階的に大きくなっている。
【0105】
そして、穴6315は、穴6315を現像剤Gが上流側(図示奥側)に向かってすり抜けられれば良く、図示のように半円状でも、又、円形でも、楕円状でも、多角形状でも良い。
【0106】
以上各図を参照して説明したように、下流側の高さが上流側より高い現像剤搬送装置6において、1個の貯留部材62の内部で、欠落部6313を設けた螺旋状の羽根部631を有する1個の搬送部材63を回転させることにより、1個の搬送部材63のみで、現像剤Gの現像部5への搬送と現像剤搬送装置6内部での循環とが可能となり、現像剤搬送装置の構造を簡単にすることが可能となる。
【0107】
図7は、現像部5の説明図(側面図)である。
【0108】
現像部5は、現像剤Gを一時的に収容する現像剤収容部52と、現像剤収容部52内の現像剤Gを攪拌しながら搬送するスクリュウ51である第1のスクリュウ53と第2のスクリュウ54と、感光体ドラム21に対向して回転する配置された現像ローラ55と、第2のスクリュウ54を搬送される現像剤Gを現像ローラ55に向けて送り出すパドル56と、を有している。
【0109】
そして、現像剤搬送装置6から投入口57に投入された現像剤Gを第1のスクリュウ53と第2のスクリュウ54との回転により撹拌・搬送し、摩擦帯電により電荷が付与された現像剤Gをパドル56により現像ローラ55に送り出して現像を行っている。
【0110】
なお、不図示の制御部Cは、少なくとも現像剤搬送装置6から現像剤Gを投入している間第1のスクリュウ53と第2のスクリュウ54とを回転させる。
【0111】
図8は、現像剤搬送装置の第2の形態を側面から見た説明図(断面図)である。
【0112】
以下、現像剤搬送装置6の第2の形態である、第2現像剤搬送装置6bについて図8を参照して説明する。
【0113】
第2現像剤搬送装置6bは貯留部材と、搬送部材とが前述した第1現像剤搬送装置6aと異なるのみで、他は第1現像剤搬送装置6aと同様なので、貯留部材62’と、搬送部材63’とについて説明する。
【0114】
貯留部材62’は、画像形成装置Aの本体の底面Lからの高さに関して現像剤Gの搬送方向(矢印c方向)の上流側の高さh1よりも下流側の高さh2の方が高くなるように配置されており、第2現像剤搬送装置6bを図示左側から見た貯留部材62’の断面形状が円形をしている(第1領域637における貯留部材62’の断面積と第2領域638における貯留部材62’の断面積とは等しい。)。
【0115】
また、現像剤Gの搬送方向と直交する面において、S1は貯留部材62’の断面積(図示楕円)を示している。
【0116】
そして、S2は第2領域羽根部6312’の投影断面積(図示楕円)を示しており、S3は第1領域637に設けられた第1領域羽根部6311’のうち最も第2領域638に近い羽根部631’の投影断面積(図示楕円)を示し、S4は第1領域637に設けられた第1領域羽根部6311’のうち第2領域638と最も離れた位置に設けられた羽根部631’の投影断面積(図示楕円)を示している。
【0117】
搬送部材63’に形成された螺旋状の羽根部631’には前述の欠落部が無い。
【0118】
そして、第1領域637において、搬送部材63’の回転中心639’から第1領域羽根部6311’の外周6316’までの直線距離d’が、現像剤Gの搬送方向(矢印c方向)の上流側から下流側に向かうに従って徐々に又は段階的に小さくなるように形成してある。
【0119】
なお、第1領域637のみでなく、第1領域637と第2領域638とにおける搬送部材63’の回転中心639’から第1領域羽根部6311’の外周6316’までの直線距離d’を、現像剤Gの搬送方向(矢印c方向)の上流側から下流側に向かうに従って徐々に又は段階的に小さくなるように形成しても良い。
【0120】
これ等により、貯留部材62’の内径D1と第2領域羽根部6312’の外形D2とが極めて僅かしか変わらず、その差が極めて小さい場合でも、
第2領域羽根部6312’の外形D2より、第1領域637の羽根部631’のうち第2領域638に最も近い羽根部631’の外形D3が小さくなり、
第1領域637において、該第2領域638に最も近い羽根部631’より下流側に位置する羽根部631’の外形が順に小さくなり、第2領域638と最も離れた位置に設けられた羽根部631’の外形D4が一番小さくなる。
【0121】
換言すると、貯留部材62’の断面積S1と、第2領域羽根部6312’の投影断面積S2と、第2領域638に最も近い第1領域羽根部6311’の投影断面積S3と、第2領域638と最も離れた位置に設けられた第1領域羽根部6311’の投影断面積S4と、が下記の関係となるように各羽根部を形成してある。
【0122】
断面積S1から投影断面積S4を差し引いた面積は、断面積S1から投影断面積S3を差し引いた面積より広く、
断面積S1から投影断面積S3を差し引いた面積は、断面積S1から投影断面積S2を差し引いた面積より広くなっている。
【0123】
(断面積S1−投影断面積S4)>(断面積S1−投影断面積S3)>(断面積S1−投影断面積S2)
そして、第1領域637において、断面積S1から任意の位置に位置する羽根部631の投影断面積を差し引いた面積より、断面積S1から該任意の位置より下流側に位置する羽根部631の投影断面積を差し引いた面積の方が広くなっている。
【0124】
上記関係としたことで、上流側より下流側の高さが高くなるように設置された貯留部材62’の内壁と羽根部631’の外周6316’との間からすり抜ける現像剤Gの量は、上流側より下流側の方が多くなる。
【0125】
従って、現像剤Gの循環を可能としたことにより、貯留部材62の最下流部に設けられた排出口66の近傍に現像剤Gが長時間にわたって貯留されたり、圧縮されることがなく、現像剤Gが排出口66の近傍で固着したり詰まったりすることなく、安定して現像部5に補給することが可能となる。
【0126】
また、現像部5に現像剤Gを投入できなくなったような場合でも、貯留部材62内部で現像剤Gを循環させながら貯留が可能となり、現像剤Gの停滞による固着等の劣化促進を防止できる。
【符号の説明】
【0127】
2 現像装置
5 現像部
6 現像剤搬送装置
7 現像剤容器
9 補給部
62 貯留部材
63 搬送部材
631 羽根部
637 第1領域
638 第2領域
639 回転中心
6313 欠落部
6311 第1領域羽根部
6312 第2領域羽根部
6314 切り欠き
6315 穴
6316 外周
A 画像形成装置
C 制御部
G 現像剤
p1 ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を搬送する現像剤搬送装置であって、
現像剤を貯留する貯留部材と、
前記貯留部材に収納され、回転することにより前記貯留部材に貯留された現像剤を搬送する螺旋状の羽根部を有する搬送部材と、を備え、
前記貯留部材は、前記貯留部材を内部に有する画像形成装置本体の底面からの高さに関して前記搬送部材によって搬送される現像剤の搬送方向の上流側の高さよりも下流側の高さの方が高くなるように配置され、
前記羽根部は、第1領域及び前記搬送方向に対して前記第1領域よりも上流側に位置する第2領域を有し、
少なくとも前記第1領域の羽根部は、該羽根部のピッチ毎に少なくとも1つの欠落部を有すること、
を特徴とする現像剤搬送装置。
【請求項2】
前記欠落部は、切欠き又は穴であることを特徴とする請求項1に記載の現像剤搬送装置。
【請求項3】
前記欠落部の大きさは、前記搬送方向の上流側から下流側へ向かうに従って、徐々に又は段階的に大きくなることを特徴とする請求項1または2に記載の現像剤搬送装置。
【請求項4】
前記欠落部の前記搬送方向の間隔は、前記羽根部のピッチと等しいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【請求項5】
前記第2領域の羽根部は、該羽根部のピッチ毎に少なくとも1つの前記欠落部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【請求項6】
前記搬送部材の回転中心から前記羽根部の外周までの直線距離は、前記搬送方向の上流側から下流側に向かうに従って徐々に又は段階的に小さくなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【請求項7】
前記貯留部材の内部に複数の前記搬送部材を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【請求項8】
現像剤を搬送する現像剤搬送装置であって、
現像剤を貯留する貯留部材と、
前記貯留部材に収納され、回転することにより前記貯留部材に貯留された現像剤を搬送する螺旋状の羽根部を有する搬送部材と、を備え、
前記貯留部材は、前記貯留部材を内部に有する画像形成装置本体の底面からの高さに関して前記搬送部材によって搬送される現像剤の搬送方向の上流側の高さよりも下流側の高さの方が高くなるように配置され、
前記羽根部は、第1領域及び前記搬送方向に対して、前記第1領域よりも上流側に位置する第2領域を有し、
少なくとも前記第1領域の羽根部は、前記搬送部材の回転中心から前記羽根部の外周までの直線距離が、前記搬送方向の上流側から下流側に向かうに従って徐々に又は段階的に小さくなるように形成されていること、
を特徴とする現像剤搬送装置。
【請求項9】
前記第1領域と前記第2領域との前記羽根部は、前記搬送部材の回転中心から前記羽根部の外周までの直線距離が、前記搬送方向の上流側から下流側に向かうに従って徐々に又は段階的に小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項8に記載の現像剤搬送装置。
【請求項10】
前記貯留部材の内部に複数の前記搬送部材を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の現像剤搬送装置。
【請求項11】
前記搬送部材により搬送される現像剤を現像部に補給する補給部を備え、
前記補給部は前記搬送部材から送出された現像剤を貯留すること、
を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置。
【請求項12】
現像剤を収納する現像剤容器、請求項1〜11のいずれか1項に記載の現像剤搬送装置及び、該現像剤搬送装置から補給された現像剤を用いて現像する現像部、を備えること、
を特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−98319(P2012−98319A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243224(P2010−243224)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】