説明

現像方法

【課題】現像時にレジストパターン寸法の面内均一性の向上を図る。
【解決手段】所望のパターンが露光された感光性レジスト膜の現像を行う現像方法であって、感光性レジスト膜に対して現像液を供給する工程と、感光性レジスト膜上の現像液を流動させる工程(S304)とを含み、現像液を流動させる工程の開始時間と終了時間の間に、現像液に対して可溶な前記感光性レジスト膜の領域の底面に現像液が達する抜け時間が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス、電子回路部品、液晶表示素子等の製造に於ける、リソグラフィ工程に関し、特に感光性レジスト膜を現像する現像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の寸法の微細化に伴い、従来現像方法ではパターン間に現像液が十分染み込まないためチップ内の局所的なパターン寸法の不均一性が問題となっている。また、基板の大口径化に伴い、従来の現像方法では、基板面内でのパターン寸法の不均一性が生じ、大きな問題となっている。
【0003】
一般に半導体の製造プロセスにおいては感光性レジストの現像液としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)などのアルカリ性の水溶液が用いられている。現像液は水溶液であることから、疎水性である感光性レジスト表面に対して濡れ性が十分でない。そのため、中和反応の結果生じる反応生成物が表面近傍にある場合に、現像液が反応生成物と感光性レジスト表面の間に拡散しにくく、アルカリイオン濃度が局所的に異なり、結果として現像速度が場所により異なることが観測されている。
【0004】
例えば、広い溶解領域内に配置されているパターンとほとんど周囲が溶解されない領域に配置されているパターンが存在する場合に、広い溶解領域内に配置されているパターンでは、パターン近傍に存在する反応生成物の量が多く現像液が反応生成物と感光性レジストの間に拡散しにくいため、現像の進行が妨げられ、ほとんど周囲が溶解されない領域に配置されているパターンと比較してライン寸法が太くなってしまうという問題(疎密パターンの寸法差)があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、パターンの密度に応じて寸法差が生じてしまい、レジストパターン寸法の面内均一性が悪化するという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、レジストパターン寸法の面内均一性の向上を図り得る現像方法及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下のように構成されている。
【0008】
(1)本発明に係わる現像方法は、所望のパターンが露光された感光性レジスト膜の現像を行う現像方法であって、前記感光性レジスト膜に対して現像液を供給する工程と、前記感光性レジスト膜上の現像液を流動させる工程とを含み、前記現像液を流動させる工程の開始時間と終了時間の間に、前記現像液に対して可溶な前記感光性レジスト膜の領域の底面に現像液が達する抜け時間が含まれる。
【0009】
(2)本発明に係わる現像方法は、所望のパターンが露光された感光性レジスト膜の現像を行う現像方法であって、前記感光性レジスト膜上に現像液を供給する工程と、前記感光性レジスト膜上の現像液を流動させる工程とを含み、前記現像液を流動させる工程の開始時間は、現像液が対象パターンの可溶領域の底面まで進行する時間の後である。
【0010】
(3)本発明に係わる現像方法は、露光された感光性レジスト膜を現像する際に用いる現像液供給ノズルの洗浄方法であって、被処理基板上に現像液を供給する現像液供給ノズルに酸化性液体を供給して洗浄する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現像液を流動させる工程の開始時間と終了時間の間に、感光性レジスト膜の領域の底面に現像液が達する抜け時間を含ませる、又は現像液を流動させる工程の開始時間を現像液が対象パターンの可溶領域の底面まで進行する時間の後にすることによって、レジストパターン寸法の面内均一性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る現像処理方法の処理手順のフローチャートを示す図である。また、図2から6は本発明の第1の実施形態に係る現像処理方法の処理手順を示す工程図である。
【0014】
図1から5を用いて本発明の第1の実施形態に係る現像方法を説明する。
【0015】
(ステップS101)
図2に示すように、半導体基板を含む被処理基板100には、主面上に反射防止膜を介して化学増幅型レジスト(感光性レジスト膜)が塗布形成され、化学増幅型レジスト膜にはKrFエキシマレーザーを用い、露光用レチクルを介し回路パターンが縮小投影露光されている。被処理基板100に対してPEB処理を行った後、搬送ロボットにより、被処理基板100は現像装置の基板保持部101の上部に搬送され、基板保持部101に吸引固定される。リンス時、及び乾燥時等、必要に応じて回転機構102により被処理基板100を回転させる。
【0016】
本実施形態に係る現像装置は、さらにリンスノズル103、及び現像液供給ノズル104、現像液供給ノズル104を基板100の一端から他端へ向かって走査させる走査機構を具備する。リンスノズル103は、被処理基板100のリンス時または、現像停止時に、吐出口から超純水、オゾン水、酸素水等の酸化性を有する液体や弱アルカリ性の液体を吐出する。現像液供給ノズル104は被処理基板100の最長径よりも長い辺を持ち、基板100に現像液を均一に供給する。なお、リンスノズルは、吐出する酸化性液体若しくは弱アルカリ性液体による被処理基板主面の感光性レジストへのダメージを防ぎ、該洗浄液の作用を該基板上で均一にするため、吐出される洗浄液を揺動させる機構と、ノズル吐出口内部に洗浄液の勢いが局所的に強くなるのを妨げる緩和機構を有することが望ましい。
【0017】
(ステップS102)
次に、図3(a)に示すように、被処理基板100から所定の高さのところにリンスノズル103を移動させる。回転機構102により被処理基板100を回転させつつ、リンスノズル103から被処理基板100に、前処理液としてオゾン濃度5ppm以下のオゾン水106を2秒程度吐出する。その間、リンスノズル103は基板100主面上を動き、オゾン水106を揺動させ、基板100主面上になるべく均一に供給する。次いで、図3(b)に示すように、被処理基板100を回転させ、基板100表面を乾燥させる。
【0018】
ここでは、被処理基板上に均一に液膜を形成するために、前処理工程を行っているが、この前処理工程は必ずしも必要ではない。また、オゾン水よりも液膜を均一に形成することが可能であれば前処理液として、酸素水、水素水、硝酸、及び過酸化水素、アルカリイオン水等を用いても構わない。
【0019】
(ステップS103)
次いで、図4(a)、(b)に示すように、第1の現像処理として、被処理基板100上の感光性レジスト膜を加工する現像液の膜を被処理基板100上に形成する。ここでは、直線状現像液吐出ノズル104を被処理基板100の一方の端から他方の端へ走査させ、カーテン状に現像液107を吐出させることで基板100上に現像液膜107を形成する。図4(b)に示すように、現像液供給ノズル104の走査方向に直交する方向の長さは、被処理基板100の直径より長いので、被処理基板100の全面に現像液107の膜を形成することができる。
【0020】
現像液膜形成工程は、ここで示した方法に限定されるものではない。例えば、図5(a),(b)に示すように、直線状の現像液供給ノズル104から現像液を供給しながら、被処理基板100を回転させて被処理基板100の全面に現像液膜107を形成する方法がある。図5は、本願発明の第1の実施形態に係わる現像液膜形成方法の変形例を示す図である。図5(a)は断面図、図5(b)は平面図である。
【0021】
また、図6(a),(b)に示すように、直管状のノズル112から被処理基板100に対して現像液107を供給しながら、被処理基板100を回転させて基板100全面に現像液膜107を形成する方法などがある。ここで示した方法以外にも、さまざまな形態を取りうる。図6は、本願発明の第1の実施形態に係わる現像液膜形成方法の変形例を示す図である。図6(a)は断面図、図6(b)は平面図である。
【0022】
(ステップS104)
第1の洗浄処理として、被処理基板主面に現像液膜を形成してから約5秒で、リンスノズル103から、純水を吐出すると同時に基板を回転させ、被処理基板100上の現像液膜を洗い流す。引き続き、基板100を低速で回転させながら、低濃度オゾン水を吐出した。
【0023】
(ステップS105)
次いで、被処理基板100を高速回転させ、基板100表面を乾燥させた。
【0024】
リンスノズル103から、低濃度オゾン水を吐出すると同時に基板を回転させ約10秒間、低濃度オゾン水により洗浄を行った後、被処理基板を高速回転させ、基板を乾燥させても良い。
【0025】
酸化性を有する洗浄液として、本実施形態ではレジストに許容範囲以上のダメージを与えない程度の低濃度オゾン水を用いた。同様の効果があれば、酸化性を有する洗浄液として、純水に酸素を溶解させた酸素水等を用いてもよい。さらに、同様の効果があり、レジストに許容値以上のダメージ与えなければ、弱アルカリ性水溶液を用いてもよい。
【0026】
(ステップS106)
次いで、第2の現像処理として、被処理基板100上のレジスト膜を加工する現像液を被処理基板100上に形成する。ここでは、直線状現像液吐出ノズルを基板の一方の端から他方の端へ走査させ、カーテン状に現像液を吐出させることで基板上の現像液膜を形成した。
【0027】
必要ならば第2の現像処理の最中に被処理基板主面上で現像液を攪拌してもよい。その場合、例えば、形成された現像液膜の攪拌方法は、被処理基板上に整流板を配置し、該整流板を回転させることで気流を発生させ行う方法や、基板自体を回転させる方法や、外部からの振動子により液体に振動を与える方法等、現像液を基板全面で流動させる作用があるならばどのような方法でもよい。
【0028】
(ステップS107)
第2の洗浄処理として、被処理基板100主面に現像液膜を形成してから約25秒で、リンスノズル103から、純水を吐出すると同時に基板100を500rpmで回転させた。なお、第2の現像後の洗浄液として、本実施形態では、純水を用いたが、より高い洗浄効果があるのであれば、洗浄液として還元性液体、酸化性液体(オゾン水、酸素水)、弱アルカリイオン水、弱酸性イオン水、超臨界水、炭酸水、水素水、純水など、どれを用いても構わない。また、洗浄効果が高められるのであれば、これらの液を適宜組み合わせることも可能である。
【0029】
(ステップS108,S109)
被処理基板を高速回転させ、基板を乾燥させた後、現像工程を終了し搬送ロボットにより基板を回収する。
【0030】
従来の現像方法の問題点及びその原因を説明する。化学増幅型の感光性レジストは、所望パターンの露光と熱処理により、レジスト膜中に微細なアルカリ可溶領域とアルカリ難溶領域とが形成される。これらアルカリ可溶領域及びアルカリ難溶領域がアルカリ現像液に接触すると、通常のKrFレジストの一般的な現像工程に要する時間においては、アルカリ可溶領域はアルカリに溶解し、アルカリ難溶領域は溶解しない。現像中にアルカリ可溶領域から発生した反応生成物は、アルカリ難溶領域であるレジストパターン間に挟まれ、レジスト難溶領域及び、同様に溶解した反応生成物からの分子間の相互作用を受け、その場に留まる。特に加工寸法が微細になると、レジストパターン寸法も微細になり、したがってアルカリ可溶領域のアルカリ難溶領域と寸法も小さくなり、分子間の相互作用は強くなりますます液中雰囲気へ拡散しにくくなる。また、反応生成物は、基板からの静電ポテンシャルにより、溶解後もその場に留まるよう、束縛力が作用する。この結果、アルカリイオンが更に可溶レジスト領域へ拡散するのが妨げられ、レジスト表面付近ではアルカリ濃度が場所により異なるとともに、現像は阻害され現像速度が場所により変化する。
【0031】
被処理基板上に現像液を盛り静止させ、所定の時間経過後直ちに被処理基板上の現像液を洗浄液(純水)で置換し、現像を停止させていた。この方法では、上記のような反応生成物の局所的な停滞が基板面内で起こり、現像終了までそれを除去しないため、現像が阻害され、面内で現像の速度に差が生じる。特に反応生成物の量の多少に応じて現像速度が変わるため、パターンの疎な領域と密な領域とでは発生する反応生成物の量が異なる。そのためアルカリイオン濃度がパターンの疎な領域と密な領域のレジスト表面近傍では異なるという現象が起こり、つまり、パターンの疎な領域と密な領域のレジスト表面近傍で現像速度が異なるという現象が起こる。この結果、レジストパターンに寸法の疎密差の問題が発生している。
【0032】
上記の問題に対し、現像途中で反応生成物を一度除去し再度フレッシュな現像液により現像を行うことを考えた。しかし、現像を2度に分けて行う方法は周知の技術であり、例えば特開平2−46464号公報に公開されている。特開平2−46464号公報では一度現像液で現像を行った後、リンス乾燥し、再度濃度の濃い現像液にて現像を行っている。発明者は、これにより、レジストパターンの底部のレジスト残渣やスカムが除去されるとしている。これら残渣やスカムはレジストの未溶解部であり、一度目の現像後の洗浄で除去する対象である現像により生じる反応生成物ではない。これらレジスト底面の残渣やスカムは現像後には欠陥となる可能性のある、いわば特異点であり、面内の均一性にはほぼ寄与しない。したがって、上記の特開平2−46464号公報では従来現像での問題を解決していない。また、特に記述はないが、この場合のリンス液とは、通常純水を指している。この点が本実施形態に示した方法との大きな相違である。
【0033】
一般に、一度目の現像後、第1の洗浄処理に純水により洗浄を行った場合、pHの高い現像液からpH7の純水へ置換され、レジスト表面では急激なpH変化が生じ、アルカリ難溶化層が形成される。このため、反応生成物のきれいに除去されたパターンの二度目の現像では、この難溶化層からアルカリによる溶解が均一に始まり、最終的にこの一度目の現像から洗浄に置換される際に形成された難溶化層の表面形状を反映したまま残る。一方、現像液から洗浄液に置換される際に形成された難溶化層は露光時の露光量バラツキやフォーカスバラツキ、現像初期の現像速度バラツキ等の影響を強く反映しており、一般に均一性は悪い。したがって、現像後に形成されるレジストパターンの基板面内の寸法均一性は通常の一度だけの現像よりも悪化する。したがって、上記特開平2−46464号公報の方法では、従来の現像法による問題を解決しないばかりか、基板面内の寸法均一性は悪化することがわかる。
【0034】
本実施形態に示した現像方法では、第1の現像処理と第2の現像処理の間に、オゾン水等の酸化性を有する液体により処理を行うことを特徴としている。初めに純水で洗浄した後引き続いてオゾン水で洗浄した場合には、現像液から純水に触れることで形成された表面難溶化層をオゾン水処理することで、表面を酸化することで改質する。あるいはオゾン濃度を僅かに高め表面を僅かに分解することにより、表面の難溶化をアルカリに対し可溶にする。一方、初めからオゾン水を用いて洗浄した場合、現像液で膨潤しているレジスト表面に容易にオゾン分子が入り込み酸化させるため、pHが低下しても、ほとんどレジスト表面を難溶化させず、アルカリに対し可溶性を保つ。どちらの場合でも、引き続き第2の現像を行うと、一度目の現像に拘わらず、露光時の光学プロファイルに忠実に現像し、レジストパターンを形成する。さらに現像時間を従来現像と同程度の長さで行えば、反応生成物の影響も、表面難溶化層に影響も受けず、十分に現像が進むので、露光時の露光量、フォーカスバラツキ等の影響は緩和され、現像後のレジストパターンの面内の寸法均一性は向上される。また、オゾン水等の酸化性液体で洗浄することにより、未形成のレジストパターン間に存在する反応生成物を分解し、きれいに除去することができる。さらに現像後に欠陥に成りうるパーティクルも除去することが可能である。
【0035】
また、第1の現像から第1の洗浄液を吐出する時間を本実施形態では約5秒としたが、これは以下の理由による。図7に、KrFポジ型レジスト膜の現像液による溶解の様子を観察した際得られる、時間に対する反射光強度のグラフを模式的に示す。図7グラフ中の第1段階に見られる正弦波は現像が膜厚の深さ方向に進行しているために起こる膜厚による干渉効果である。一般にレジストは現像開始直後のこの第1段階では、図8(a)に示すように、レジスト膜130の露光部131の可溶領域で溶解速度が高く、溶解は深さ方向に進行し、レジストの底面まで抜けるまでDUV露光用ポジ型レジストで5〜10秒程度要する。第2段階では、図8(b)に示すように、現像がレジスト膜厚の深さ方向ではなく、レジストパターン側壁を溶解する方向へ進む。このときの反射強度は緩やかに変化する。この第2段階では、溶解速度は低くなり、レジストパターンの側壁を所望の寸法まで溶解するため、溶解方向は比較的水平方向に進行する。
【0036】
このように第1段階でレジストの溶解が深さ方向に進み、第2段階で横方向へ進むのは、投影式の露光に不可避な光の回折による露光強度分布により露光部から非露光部にかけて緩やかに露光強度が変化するためである。この露光強度の分布により、露光量の強い、つまり十分に露光されている、パターンとパターンの中間部は現像時にもっとも速く抜けるため、深さ方向に急激に進む第1段階のような現像となる。一方、露光量の少ない、パターン壁近傍では中間部に比べて現像速度が遅くなるため、穏やかに横方向へ進行する第2段階に示すような現像となる。この第1段階の段階で、通常現像において現像を阻害する溶解性生物のほとんどが発生する。
【0037】
本実施形態では、第1の現像から第1の洗浄液を吐出する時間を現像開始約5秒後としたが、これはこの第1段階から第2段階へ切り替わるところ、つまり現像が溶解部で逆さ方向へ進行し、レジストの底面まで抜けるところである。このようなタイミングにしたのは以下の理由による。
【0038】
この第1段階で一度発生した溶解生成物を、第1段階から第2段階へ変わる際に洗い流すことで現像の進行を阻害する溶解生成物によるアルカリ濃度低下を防ぐことができる。これよりも早く一度目の現像を停止させると次の現像の段階で溶解生成物が再び発生しアルカリ濃度を低下させ、現像を阻害する。一度目の現像停止時間をこれよりも遅くすると、発生した溶解生成物による局所的なアルカリ濃度の低下が生じ、第2段階での現像に局所的な現像速度の低下が発生してしまう。この後に新鮮な現像液で再び現像を行っても、始めの形成された空間的な不均一性は解消されない。一度目の現像停止時間が第1段階から第2段階に変わる時間から遅れた分だけ、場所ごとの局所的なアルカリ濃度低下は大きくなり、不均一性も増幅されてしまう。
【0039】
第2段階で溶解される、パターン側壁近傍に残る可溶化領域は現像において溶解速度が遅いため、また、第1段階で一度洗浄した後、現像に関わるアルカリ濃度を時間的・空間的に変動させうる溶解生成物が既に除去されておりほとんど発生しないため、第2の現像において十分にパターン線幅を制御することができる。以上の2つの理由により、一度目の現像停止のタイミングを第1段階と第2段階の転換点とするのが最適である。
【0040】
本実施形態では、図7の第1段階から第2段階へ切り替わる点が5秒であった。この値は、レジスト材料、現像液、アルカリ濃度、温度等により変化するものであり、本実施形態の値に限らない。
【0041】
次に実際の発明者らの行った実験結果をもとに本実施形態の効果を説明する。ウエハ上に反射防止膜、KrFポジレジストを順次塗布し、200nm幅のライン及びスペースよりなるパターン(200nmL/Sパターン;L:S=1:1)と200nm幅のラインと2000nm幅のスペースからなるパターン(200nm孤立ライン;L:S=1:10)が含まれるレチクルを用いてKrFエキシマレーザーにて縮小投影露光を行い、熱処理工程の後、現像処理を行った。現像処理工程では、次に示すように4種類のサンプルを作製した。条件を(表1)に示す。
【表1】

【0042】
全ての試料のウエハについて、オゾン水で前処理を行い、現像液供給ノズルからの現像液供給量を1.5L/min、ノズルの走査速度を60mm/secとして液厚1.5mmの現像液膜を形成した(第1の現像処理)。参照用サンプルはそのあとの第1の洗浄処理と第2の現像処理を行わず、現像液膜形成は1回とした。試料Aでは、現像開始5秒後に、水で一度洗浄し(第1の洗浄処理)、再度、現像液供給ノズルからの現像液供給量を1.5L/min、ノズルの走査速度を60mm/secとして液厚1.5mmの液膜を形成した(第2の洗浄処理)。
【0043】
これに対し、試料Bでは第1の洗浄処理をオゾン水で行い、試料Cでは第1の洗浄処理を純水で行った後、引き続きオゾン水で洗浄し、さらに続けて試料Aと同じように2回目の現像液膜を形成した(第2の現像処理)。その後の第2の洗浄処理と乾燥処理は全て同じ条件で処理を行った。
【0044】
これらサンプルの寸法評価結果を(表2)に示す。
【表2】

【0045】
表2では、同一基板上の200nmL/Sパターンと200nm孤立ラインパターンのラインの寸法差を疎密差としている。表2における疎密差は、孤立ラインパターン(1:10パターン)からL/Sパターン(1:1パターン)の寸法を引いた値とした。
【0046】
参照試料では、パターン寸法の面内均一性は比較的良好となっているが、現像液膜形成後、現像による反応生成物がほとんど動かないため、単位面積あたりの反応領域が大きい孤立ラインパターン(1:10パターン)では、単位面積あたりの反応領域が小さいL/Sパターン(1:1パターン)の寸法より30nmも太くなっている。
【0047】
それに対し、試料Aでは疎密差は若干解消されている。一方、面内の均一性は大きく悪化している。これらの原因としては次のようなことが考えられる。まず、疎密差が小さくなる理由は、以下のように考えられる。通常パターン近傍に存在する反応生成物の量がレジストパターンの疎な部分と密な部分とで局所的に異なっていることにより現像液中のアルカリイオン濃度にも局所的な差が生じる。しかし、一度現像液を純水で置換し再度新鮮な濃度の現像液を供給しているため、この局所的なアルカリ濃度の差は無くなる。したがって、パターンの疎密に拘わらず、新鮮な現像液により現像が促進され、本来の光学プロファイルに忠実に現像されるため、パターンの疎密により生じる寸法差は若干小さくなっている。
【0048】
面内の寸法均一性の問題は以下の用に考えられる。一般に現像時間が早い段階では、溶解速度が速い。現像時間の早い段階では、例えば露光量や露光フォーカスがウエハ上の場所により異なっていた場合、溶解速度の差がより顕著に現れる。通常、現像は十分長い時間行うので、このような現象が見られることはないのだが、本実施形態の第1のリンスは現像時間の早い段階で吐出され、第1の現像を停止している。したがって、上記の効果が顕著に現れていると考えられる。また、このとき、現像反応の活発に起こっている最中に純水をかけることによって、急激なpH値変化が起こり、レジストと純水との界面でレジスト成分が凝集し、特に本来溶解されるべき部分、例えばパターン側壁などの未溶解部のレジスト表面が難溶化する。その後に再び現像液を盛ることによって、現像が再び行われるが、本来溶解が進む領域のレジストの表面は純水とふれたことで凝集し、溶解性が低下しているため、本来の潜像ではなく、純水と触れたことで形成された難溶化層の形状を反映して溶解が進む。したがって、短時間で洗浄を行ったときの悪い均一性を維持したまま現像が進むことになってしまう。以上のように、現像よる反応生成物起因の現像阻害の影響が無くなることで疎密差は減少するが、露光量やフォーカスのブレなど現像の初期に大きな影響を与える因子はそのままかえって大きな影響を及ぼし、面内の均一性を悪化させている。
【0049】
これに対し、試料Bや試料Cでは、ウェハ面内での均一性が参照用サンプルと同等かあるいはそれ以上に向上していることがわかる。これは、一度純水に触れることで、レジストが凝集し、表面に難溶化層が形成されるが、オゾン水を加えることでパターンの側壁のような未溶解部のレジスト表面の難溶化層を酸化し、現像液に対する溶解性を維持した状態となるためである。従って、再度、新鮮な濃度の現像液を加えると、パターン側壁などでのレジストの表面難溶化層により現像が阻害されることもなく、引き続き現像が促進され、面内の寸法均一性が向上する。
【0050】
また、一度リンスを行うことでレジストパターン付近の反応生成物を洗い流す効果は上記試料Aと同じである。新鮮な現像液を2度目に供給した際、反応生成物に起因する局所的な現像液アルカリ濃度低下はなく一様であるため、寸法の疎密差を大きく低減することができる。
【0051】
ここで、試料Bと試料Cで均一性が若干異なるのは、試料Bでは第1の洗浄処理を全てオゾン水で洗浄しているため、現像液からリンス液に変わるときの急激なpH値変化でのレジスト成分の凝集がオゾン水により緩和され、現像液に対するレジスト表面のなじみ易さを元のままに保つためである。
【0052】
(第2の実施形態)
図9は、本願発明の第2の実施形態に係わる現像処理手順のフローチャートを示す図である。ステップS201〜S203は、第1の実施形態で説明したステップS101〜S103と同様なので説明を省略する。(ステップS204,S205)ステップS203で被処理基板主面に現像液膜を形成してから約5秒で、リンスノズルから、低濃度オゾン水を吐出した。次いで、被処理基板を回転させ、殆どの洗浄液を除去したが、基板を乾燥させず、僅かに洗浄液を残し、オゾン水膜を形成した。
【0053】
(ステップS206)
次いで、被処理基板上のレジスト膜を加工する現像液をオゾン水膜が形成された状態の被処理基板上に形成した。現像液膜の形成方法は、第1の実施形態と同様である。
【0054】
ステップS207〜S209は、第1の実施形態で説明したステップS107〜S109と同様なので説明を省略する。
【0055】
本実施形態の現像工程は、第1の実施形態とほぼ同様の作用を有する。本実施形態では、酸化性を有する液体もしくは弱アルカリ液を基板主面上に残すことで、第2の現像処理時に被処理基板表面に対する現像液の親和力を高めることで、現像液を供給した際、現像液と基板表面との間に作用する反発力を低減させ、現像液の供給を被処理基板面内で均一に行うことができ、結果として現像後の寸法の面内均一性を向上させる。
【0056】
現像工程における第1の洗浄処理から第2の現像処理にかけて、第1の洗浄処理後、被処理基板を高速回転させずに、500rpmのまま10秒間回転させ、引き続き第2の現像液を吐出した。以上の点を除き、条件は第1の実施形態の試料Cと同様の実験を行った。結果は、1:1パターン均一性3σで6.1nm、1:10パターン均一性3σで7.5nm疎密差が5nmであった。参照用試料に比較して十分に良い値である。
【0057】
(第3の実施形態)
本実施形態では、現像工程の手順は、第1の実施形態と同様なので詳細な説明を省略する。本実施形態では、第1及び第2の現像処理時に、酸素などの酸化性を有する気体分子、或いは水素などの還元性を有する気体分子を現像液に溶解させる。
【0058】
本実施形態で用いる処理装置を図10に示す。図10に示すように、本装置は、アルカリ性水溶液である現像液が貯蔵された現像液タンク201と、現像液タンク201にパイプを介して接続された溶解膜202と、溶解膜202にパイプを介して接続された酸化性ガス発生器203及び還元性ガス発生器204と、溶解膜202にパイプを介して接続された現像液供給ノズル104とを具備する。また、基板100の周囲に、保護カバーが設置されている。なお、図2に示した現像装置と同一な部位には、同一符号を付し説明を省略する。
【0059】
本装置では、酸化性ガス発生器203又は還元性ガス発生器204で発生したガスを溶解膜202中に溶解させ、この溶解膜202に現像液タンク201から供給された現像液を透過させることによって、現像液中に酸化性ガス又は還元性ガスを溶解させる。この装置は、被処理基板100に現像液を吐出する直前に、酸化性ガス(還元性ガス)を現像液に溶解させることができる。
【0060】
本実施形態では、酸化性ガスとして、酸素ガスを現像液に溶解させて第1及び第2の現像処理を行った。その他の処理は、第1の実施形態と同様なので、詳細な説明を省略する。
【0061】
なお、第1及び第2の現像処理において、酸素分子を溶解させた現像液を用いたが、還元性気体分子、例えば水素分子などを溶解させた現像液を用いてもよい。また、効果が十分であるならば、第1及び第2の現像処理の両方の処理時に酸化性気体分子を溶解させた現像液を使用する必要はなく、そのどちらか一方の処理時でもよい。
【0062】
本実施形態では、第1の実施形態に記載した作用に加え、現像液として、酸化性気体分子を溶解させた液を用いることで、現像開始直後から発生する反応生成物の現像液中の酸素分子による酸化とそれによる反応生成物の分解、現像液中におけるレジスト表面の酸化、現像中に発生する反応生成物の凝集によるサイズ成長の緩和等の作用がある。
【0063】
また、第1及び第2の現像処理時、あるいはその一方の処理時に、還元性気体分子を溶解させた現像液を用いた場合、還元電子によるレジスト表面改質、反応生成物の表面電位変化による反応生成物の現像液中への拡散の促進、レジスト表面電位の変化による反応生成物のレジスト表面への再付着防止等の作用がある。
【0064】
第1及び第2の現像処理時に、酸化性気体分子を溶解させた現像液を用い、第1の実施形態と同様の実験を行った。実験結果は、1:1パターン寸法均一性は3σで3.8nm、1:10パターンで6.1nmとなり、期待された効果が確認された。
【0065】
(第4の実施形態)
図11は、本発明の第4の実施形態に係わる現像処理のフローチャートを示す図である。本実施形態のパターン処理方法における手順は、第1の実施形態と同様なので、フローチャートの図示、及び詳細な手順の説明を省略する。
【0066】
本実施形態では、第1の現像処理時、現像液膜を形成した後、基板を静止した状態で現像を行う。そして、所定時間経過後、図12に示すように、基板を所定の回転数で回転させて、現像液を流動させる。所定時間基板を回転させて現像液の流動を行った後、また基板を静止させ、静止させた状態で露光を行う。
【0067】
本実施形態では、現像液流動を行う時間帯を以下に示すように定める。第1の実施形態で説明したように、現像は、現像が膜厚の深さ方向に進行する第1段階と、第1段階後レジストパターン側壁を溶解する方向に現像が進む第2段階とからなる。
【0068】
現像工程における液流動の目的は現像中に発生する反応生成物を均一化すること、アルカリ濃度を回復させることである。従って、液流動を効果的に行うには、大量に反応生成物が発生する第1段階後から、ほとんど反応生成物が発生しなくなる第2段階に移り変わる時間(以下、この時間を抜け時間と呼ぶ)を含むように行うのがよい。
【0069】
次に、抜け時間の決め方について説明する。第1の方法としては、対象とするパターンに光を入射し、反射して得られる反射光強度の時間変化を測定して、図8のような結果を得て、抜け時間求める方法がある。このとき、図8の反射光強度は単一の波長の反射光であるほうが望ましいので、狭帯域フィルターを用いて入射する光を単一波長とするか、測定した反射光を分光するか、したほうがよい。抜け時間の計測は、実際に現像を行う前に予め計測を行っていても良いし、それぞれの基板に対して現像工程で計測してもよい。
【0070】
第2の方法としては、対象とするパターンを複数の現像時間で現像して、現像後のパターンの断面形状等を観察して、可溶領域のレジストが底面まで現像された時間を求める方法がある。次に2つの実験結果をもとに、抜け時間の測定について説明する。最初の実験の対象パターンは、130nmL/S(1:1)パターン(60nmの膜厚の反射防止膜、300nmの膜厚のレジスト、溶解速度が比較的早いレジスト)とした。まず、図13に示す対象パターンの現像中の反射光強度を取得した。反射強度は、550nmの波長の光を入射した場合の結果である。この結果より、抜け時間は6秒と求められ、この値を基準に液流動の時間を定めた。
【0071】
現像開始、現像液流動、現像終了の流れを時間軸で表した図を図14に示す。現像液供給工程の後、(x−1)秒間静止現像を行う。その後、基板を所定の回転数(250rpm)で2秒間回転させ、現像液を流動させた。現像の停止は現像開始から30秒後に行った。このときのxを液流動のタイミングと定義した。xを2〜12秒で変化させた場合の、130nmL/S(1:1)パターンのばらつき(3σ)を図15に示す。液流動なしの場合のばらつきは10.2nmであり、液流動を行うことで、ばらつきが低減した。特に、6秒の場合に最も良い均一性が得られた。また、4秒、8秒の場合も比較的均一性が良かった。すなわち、対象パターンの反射光強度変化から求めた抜け時間の近傍(抜け時間±2秒、即ち、抜け時間±33%)で液流動を行う場合に良い均一性が得られたことになる。
【0072】
実験より、液流動のタイミングを抜け時間(可溶領域のレジストが底面まで現像された時間)の近傍とすることで、均一性が向上することが明らかとなったが、現像液供給ノズルの移動等、装置の制約で、液流動開始時間を抜け時間よりも後にしか設定できない場合(例えば本実験で、9秒後以降にしか基板回転できない場合)には、極力早い時間(例えば9秒)に行うのが良い。
【0073】
第2の実験の対象パターンは、130nmL/S(1:1)パターン(60nmの膜厚の反射防止膜、300nmの膜厚のレジスト、溶解速度が比較的遅いレジスト)とした。まず、図16に示す対象パターンの現像中の反射光強度を取得した。550nmの波長の光を入射した場合の結果である。この結果より、抜け時間は20秒と求められ、この値を基準に液流動の時間を定めた。
【0074】
シーケンスを時間軸で表した図は図14に示す。現像液供給工程の後、(x−1)秒間静止現像を行った。その後、基板を所定の回転数(250rpm)で2秒間回転させ、現像液を流動させた。現像の停止は現像開始から60秒後に行った。このときのxを液流動のタイミングと定義した。xを10〜35秒で変化させた場合の、130nmL/S(1:1)パターンのばらつき(3σ)を図17に示す。液流動なしの場合のばらつきは9.8nmであり、液流動を行うことで、ばらつきが低減した。特に、20秒の場合に最も良い均一性が得られた。また、15秒、25秒の場合も比較的均一性が良かった。すなわち、対象パターンの反射光強度変化から求めた抜け時間の近傍(抜け時間±5秒、即ち、抜け時間±25%)で液流動を行う場合に良い均一性が得られたことになる。
【0075】
本実施形態では、液流動の方法として、基板を回転させる方法を示したが、現像液膜の表面に気流を形成することで、現像液を流動させる方法、流動を生じさせる物体を被処理基板上の現像液に接触させ、物体もしくは基板を移動させることで現像液を流動させる方法、現像液が供給された被処理基板に振動を与えて現像液を流動させる方法、被処理を加熱し、対流により現像液を流動させる方法等、現像液を流動させる方法であればよい。
【0076】
また、本実施形態では、L/Sパターンを対象パターンとしたが、孤立残しパターン、孤立抜きパターン、ホールパターン、ピラーパターン等、どのようなパターンであってもよい。それぞれ、パターンの抜け時間を求めておいて、液流動のタイミングを決めれば良い。同時に複数のパターン(例えば孤立残しパターンとL/Sパターン)が含まれる場合には、それぞれの抜け時間から、2回液流動を行っても良いし、精度が厳しいパターンのみの抜け時間から液流動のタイミングを決めても良い。
【0077】
現像液を流動させる提案が数多くなされている。例えば、現像液を基板上に供給した後に、現像液膜の表面と接触するように気流を形成することで、現像液膜を基板上に保持しつつ表面の流れを形成し、現像液を流動させる方法(特開2001−228625号公報)、現像液を供給するノズルの先端を被処理基板上の現像液に接触させ、ノズルもしくは基板を移動させることで現像液を流動させる方法(特開2000−195773号公報)、現像液が供給された被処理基板に所定の周波数の振動を与えて現像液を流動させる方法(特開2001−307994号公報)が報告されている。しかし、いずれの提案においても、現像液供給後のどのタイミングで液流動を行うべきかが記載されていない。その結果、適切な時間帯で液流動が行われないために、効果的な液流動ができず、十分な寸法の均一性が得られなかった。
【0078】
(第5の実施形態)
半導体製造工程において、レジスト膜が形成された被処理基板上に現像液をパドル形成し、レジスト膜を所望の形状に加工する作業が繰り返し行われる。従来、レジスト膜が形成された基板上に現像液を塗布し、現像工程が行われる。一般に、現像液を供給するために、現像液供給ノズルが用いられる。このように、現像液供給ノズルを用いた現像方法では、現像液が吐出されるノズルの先端部が被処理基板に近接して位置して、液が供給される。そのため、レジストが溶解した現像液とノズルが触れることになる。その結果、現像液供給ノズルにレジストの固形物が付着する。この付着物が被処理基板の欠陥の原因となる場合があった。
【0079】
この問題を解決する手段として、現像液によるノズル洗浄や、高濃度現像液(特開2001−319869号公報)によるノズル洗浄が行われている。これらの手法では、現像液を洗浄液として用いるため、現像液に溶ける欠陥しか除去できなかった。また、現像液を用いるため、コストが高くなるという問題点があった。
【0080】
図18は、本発明の第5の実施形態に係るパターン方法の処理手順を示すフローチャートである。図19は、本発明の第1の実施形態に係る現像装置の構成の概略図である。また、図18から図19を用いて本発明の第1の実施形態に係る現像処理方法を説明する。
【0081】
(ステップS401)
被処理基板上に反射防止膜、化学増幅型レジストを塗布し、KrFエキシマレーザーを用い、露光用レチクルを介し所望のパターンを縮小投影露光する。該基板を熱処理し、搬送ロボットにより基板保持部の上部に搬送し、基板保持部に吸引固定する。
【0082】
(ステップS402)
次に、酸化性ガス発生器304で発生したオゾンを溶解膜303に供給すると共に、純水源302から溶解膜303に純水を供給することにより、純水にオゾンを溶解させてオゾンを生成する。そして、生成されたオゾンを現像液供給ノズル104に供給する。現像液供給ノズル104がオゾン水を吐出する事により、現像液供給ノズル104が洗浄される。現像液供給ノズル104から吐出されたオゾン水は液受け305で受け、液受け部305内にオゾン水を溜める。液受け部305内に溜められたオゾン水内に、現像液供給ノズル104を浸漬することで、レジスト膜に対向する現像液供給ノズル104の面の洗浄を行う。
【0083】
現像液供給ノズル104の洗浄後、現像液タンク301から現像液を現像液供給ノズル104に供給し、現像液供給ノズル104から現像液を吐出させることによって、ノズル内のオゾン水を現像液に置換する。
【0084】
なお、酸化性気体をライン供給できる場合、酸化性ガス発生器304は不要である。また、酸化性気体としては、オゾンのほかに、酸素、一酸化炭素、過酸化水素を用いても良い。
【0085】
(ステップS403)
次いで、被処理基板上のレジスト膜を加工する現像液膜を被処理基板上に形成する。ここでは、直線状の現像液供給ノズルを用いて、現像液を供給しながらウエハの一端から他端に走査させることで被処理基板上に現像液膜を形成する。
【0086】
(ステップS404)
所定の時間の後、被処理基板の上方に配置されたリンスノズルからリンス液(例えば純水)を供給し、回転させながら基板を洗浄する。
【0087】
(ステップS405)
さらに、被処理基板を高速回転させることで純水を振り払い、被処理基板を乾燥させる。
【0088】
本実施形態では、酸化性液体として、純水にオゾンを溶解させたオゾン水を用いたが、同様の効果があれば溶解させる気体分子はオゾンに限らない。例えば、酸素、一酸化炭素、過酸化水素などの酸化性ガスでもかまわない。また、本実施形態では、現像液の供給の前にノズル洗浄を行ったが、現像液供給後でもよい。また、洗浄は基板一枚毎に行わなくても、所定の枚数毎、所定の時間毎でもよい。また、ノズルの交換等、メンテナンス後に行ってもよい。
【0089】
現像処理を繰り返していくと、現像液供給ノズルが、レジストが溶解した現像液に触れることで、有機パーティクルがノズルに付着する。このパーティクルがその後の基板の現像処理において、レジスト表面に付着し、欠陥として残る可能性がある。
【0090】
洗浄中に、液中のオゾン分子が、ノズルに付着したパーティクルに衝突し、ある確率でパーティクルを酸化し、分解すると考えられる。分解されたパーティクルは、低分子となり、その質量が十分小さくなることから液中への拡散も容易になる。その結果、パーティクルが除去される。
【0091】
実際に発明者らが行った実験の結果について以下に説明する。実験は上記の、図18のフローチャートに示した手順に従って行った。効果を確認するため、ステップS402において、溶液中のオゾン濃度が10ppmのオゾン水で5秒間ノズルを洗浄した場合、現像液で5秒間洗浄した場合、洗浄しない場合とで有機物付着欠陥数を計測した。それぞれ、欠陥数が、5,10,50個となり、オゾン水で洗浄することで欠陥数が低減された。これらの結果から、オゾン水による現像液供給ノズル104の洗浄が、非常に有効であることが確かめられた。
【0092】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】第1の実施形態に係る現像処理方法の処理手順のフローチャートを示す図。
【図2】第1の実施形態に係わる現像処理方法を示す工程図。
【図3】第1の実施形態に係わる現像処理方法を示す工程図。
【図4】第1の実施形態に係わる現像処理方法を示す工程図。
【図5】第1の実施形態に係わる現像処理方法を示す工程図。
【図6】第1の実施形態に係わる現像処理方法を示す工程図。
【図7】KrFポジ型レジストの現像液による溶解の様子を観察した際得られる、一般的な基板からの反射光強度のグラフを模式的に示す図。
【図8】現像中のレジスト膜を模式的に示す断面図。
【図9】第2の実施形態に係わる現像処理手順のフローチャートを示す図。
【図10】第3の実施形態に係わる現像処理装置の概略構成を示す図。
【図11】第4の実施形態に係わる現像処理のフローチャートを示す図。
【図12】第4の実施形態に係わる現像処理を示す工程図。
【図13】現像中のレジスト膜からの反射光強度変化を表す図。
【図14】現像開始、現像液流動、現像終了の流れを時間軸で表した図。
【図15】液流動のタイミングとばらつきの関係を示す図。
【図16】現像中のレジスト膜からの反射光強度変化を表す図。
【図17】液流動のタイミングとばらつきの関係を示す図。
【図18】第5の実施形態に係わる現像処理のフローチャートを示す図。
【図19】第5の実施形態に係わる現像処理装置の概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0094】
100…被処理基板
101…基板保持部
102…回転機構
103…リンスノズル
104…現像液供給ノズル
106…オゾン水
107…現像液
107…現像液膜
112…ノズル
130…レジスト膜
131…露光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望のパターンが露光された感光性レジスト膜の現像を行う現像方法であって、
前記感光性レジスト膜に対して現像液を供給する工程と、
前記感光性レジスト膜上の現像液を流動させる工程とを含み、
前記現像液を流動させる工程の開始時間と終了時間の間に、前記現像液に対して可溶な前記感光性レジスト膜の領域の底面に現像液が達する抜け時間が含まれることを特徴とする現像方法。
【請求項2】
所望のパターンが露光された感光性レジスト膜の現像を行う現像方法であって、
前記感光性レジスト膜上に現像液を供給する工程と、
前記感光性レジスト膜上の現像液を流動させる工程とを含み、
前記現像液を流動させる工程の開始時間は、前記現像液に対して可溶な前記感光性レジスト膜の領域の底面に現像液が達する時間の後であることを特徴とする現像方法。
【請求項3】
前記抜け時間は、現像中に前記感光性レジスト膜に特定波長の光を入射させ、前記感光性レジスト膜からの反射光の強度変化が、干渉波形から単調な変化を示す波形に変化する点を計測することで求めることを特徴とする請求項1又は2記載の現像方法。
【請求項4】
前記抜け時間は、前記感光性レジスト膜を複数の現像時間で現像し、現像後のパターンを評価することで求めることを特徴とする請求項1又は2記載の現像方法。
【請求項5】
前記現像液が供給された被処理基板を回転させて、前記現像液の流動を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の現像方法。
【請求項6】
前記現像液が供給された被処理基板上に気流を形成して、前記現像液の流動を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の現像方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載された現像方法を用いて、半導体基板上に形成され、回路パターンが露光された感光性レジスト膜の現像を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
露光された感光性レジスト膜を現像する際に用いる現像液供給ノズルの洗浄方法であって、
被処理基板上に現像液を供給する現像液供給ノズルに酸化性液体を供給して洗浄することを特徴とする現像液供給ノズルの洗浄方法。
【請求項9】
前記酸化性液体として、オゾン、酸素、一酸化炭素、及び過酸化水素の少なくとも一つを含む水溶液を前記現像液供給ノズルに供給することを特徴とする請求項8記載の現像液供給ノズルの洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−128671(P2006−128671A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304737(P2005−304737)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【分割の表示】特願2002−57764(P2002−57764)の分割
【原出願日】平成14年3月4日(2002.3.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】