説明

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】現像装置の現像剤担持体の長手方向端部での過剰な圧力上昇によるトナー飛散を抑制する。
【解決手段】現像剤を担持して感光体との対向部に搬送する現像ローラ51と、少なくともトナーを含む現像剤を収容するとともに感光体との対向部に開口を有するケース50とを備えた現像装置において、ケース50と現像ローラ51の長手方向端部との隙間に、トナーを捕集するエアフィルタ62を設けて、端部に向かって流れてきた気流をエアフィルタ62を介して外部に排気する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置、これに採用される現像装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現像装置内の弱帯電トナーは静電的拘束力を受けにくいために、現像ローラや現像剤撹拌部材の回転による現像剤の動きにより装置内に発生する気流に乗って装置内を浮遊し、さらに気流に乗って現像装置外に飛散するという不具合がある。このような現像装置からのトナー飛散を防止するために、一般的に、現像装置を構成する部品と部品との隙間を密閉するためのシール部材が設けられている。しかし、シール部材を設けていても、発生した気流により周辺空気が装置内に吸い込まれて装置内の内圧が上昇し、装置内外の圧力差によって、シール性が不充分な僅かな隙間から装置内に浮遊するトナーが噴出してしまうという不具合がある。特に、近年の高速化された画像形成装置においては、現像ローラの回転数が高いため装置内の圧力上昇も大きくなり、かつ、高画質化を目的としてより微細な小径トナーが用いられることにより、上述の問題はさらに無視できないものになっている。
【0003】
現像装置内の内圧の上昇を抑えて現像装置からのトナーの噴出を抑制するものとして、本出願人は、特許文献1にて、現像容器にトナー漏出防止用のフィルタを有する開口部を設けるものを提案している。これは、開口部を介して現像装置内の気流を装置外に排出して現像装置内の内圧の上昇を抑えると共に、浮遊するトナーを気流に乗せて開口部のフィルタで捕集することで、現像装置からのトナーの噴出を抑制するものである。
【0004】
【特許文献1】特開2007−148335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の現像装置においても、現像ローラの長手方向両端部から局所的にトナー噴出することがある。一般的に、現像ローラの画像形成領域では現像剤が担持・搬送されるが、現像ローラ両端部では現像剤が担持・搬送されない。現像剤の画像形成領域には現像剤の動きに伴い強い気流が発生して周辺空気が吸い込まれて圧力が上昇する。一方、現像ローラ両端部には現像剤の動きによる気流は発生しないが、画像形成領域の吸い込まれた空気による気流が、端部シール部材により密閉されている端部に押し寄せて逆に端部の圧力が過剰となる。このため、端部のシール性が不充分な僅かな隙間からトナーが噴出し易くなってしまう。現像ローラ端部と現像容器との間に、シール部材をさらに追加するなどして密閉性を上げてシール性を向上させることも考えられる。しかしながら、回転体である現像ローラと現像容器との隙間を完全に密閉することは困難である。なお、特許文献1のような現像装置内の内圧の上昇を抑える手段をもたないものでは、さらに端部の圧力上昇が大きくトナーが噴出しやすい。
【0006】
本発明は、上述の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、現像装置の端部での過剰な圧力によるトナー飛散を抑止する現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することである。
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、少なくともトナーを含む現像剤を収容するとともに像担持体との対向部に開口を有する現像容器と、該現像容器内の現像剤を担持して回転により像担持体と対向部まで搬送する現像剤担持体とを備えた現像装置において、上記現像容器と上記現像剤担持体の長手方向端部との隙間に、上記トナーを捕集するエアフィルタを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記現像容器の上記現像剤担持体の長手方向端部に対向する位置に、上記トナーを捕集するエアフィルタを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の現像装置において、上記エアフィルタの圧力損失特性が風速5[cm/s]で5×10[Pa]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の何れかの現像装置において、上記現像容器の上記現像剤担持体上方となる位置に、上記トナーを捕集するエアフィルタで覆われた開口を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の何れかの現像装置と上記像担持体とが一体的に形成され、画像形成装置に脱着可能なことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3または4の何れかの現像装置を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項5のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項6または7の画像形成装置において、上記現像装置で用いられる現像剤のトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、現像容器と現像剤担持体の長手方向端部との隙間に、隙間を密閉するシール部材ではなく、通気性の良好なエアフィルタを設けている。このエアフィルタは、気流に乗って端部に達した浮遊トナーを捕集すると共に、端部に向かって流れてきた気流を外部に排気する。よって、端部での過剰な圧力の上昇を防止すると共に、装置からのトナーの噴出を抑制できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現像装置の端部での過剰な圧力によるトナー飛散を抑止することができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図1乃至図7に基づいて説明する。
まず、図1及び図2に基づいて、本実施形態における画像形成装置全体の構成及び動作を説明する。図1は画像形成装置としてのカラー複写機を示す構成図であり、図2はその作像部を示す拡大図である。
図1に示すように、中間転写ユニット10の未定着像担持体としての中間転写ベルト8の下面に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Bkが並設されている。なお、装置本体100に設置される4つの作像部6Y、6M、6C、6Bkは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、図2においては、作像部6と、感光体ドラム1と、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ9とにおける符号のアルファベット(Y、M、C、Bk)を省略して図示する。
【0011】
図2に示すように、作像部6は、像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電部4、現像部としての現像装置5、クリーニング部2等で構成されている(図1では現像装置5のみ表示)。感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体ドラム1上に所望のトナー像が形成される。
作像部6を構成する、感光体ドラム1、帯電部4、現像装置5、クリーニング部2は、それぞれ、画像形成装置本体100に対して着脱自在に設置できるように構成されている。それぞれが、寿命に達したときに、新品のものに交換される。
本実施形態では、作像部6を構成する、感光体ドラム1、帯電部4、現像装置5、クリーニング部2を、それぞれ、単独のユニットとしたが、これらを一体化して、装置本体100に着脱自在に設置されるプロセスカートリッジとすることもできる。その場合、作像部6のメンテナンスを行う際の作業性が向上する。
【0012】
感光体ドラム1は、不図示の駆動部によって図2中の時計回り方向に回転駆動され、帯電部4の位置で、帯電ローラ4aにより感光体ドラム1の表面が一様に帯電される(帯電工程)。
その後、感光体ドラム1の表面は、不図示の露光部から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成される。
その後、感光体ドラム1の表面は、現像装置5との対向位置に達し、この位置で静電潜像が現像されて、所望のトナー像が形成される(現像工程)。
その後、感光体ドラム1の表面は、中間転写ベルト8及び1次転写バイアスローラ9との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程)。
このとき、感光体ドラム1上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0013】
その後、感光体1の表面は、クリーニング部2との対向位置に達し、この位置で感光体ドラム1上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって回収される(クリーニング工程)。クリーニング後感光体ドラム1の表面は除電ローラ11により電位を初期化される。
こうして、感光体ドラム1上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0014】
上述した作像プロセスは、図1に示すように、4つの作像部6Y、6M、6C、6Bkで、それぞれ行われる。すなわち、作像部の下方に配設された不図示の露光部(光書き込み装置)から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部6Y、6M、6C、6Bkの感光体ドラム上に向けて照射される。その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0015】
4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkにはトナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。
中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bk上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0016】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写手段としての2次転写ローラ19との対向位置に達する。中間転写ベルト8上に形成されたカラートナー像は、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体としての転写紙P上に転写される。
こうして、中間転写ベルト8上で行われる、一連の転写プロセスが終了する。
装置本体100の下部に配設された給紙部26には転写紙Pが複数枚重ねて収納されており、給紙コロ27により1枚ずつ分離されて給紙される。給紙された転写紙Pはレジストローラ対28で一旦停止され、斜めずれを修正された後レジストローラ対28により所定のタイミングで2次転写ニップに向けて搬送される。そして、2次転写ニップにおいて転写紙P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0017】
2次転写ニップの位置でカラー画像を転写された転写紙Pは、定着部20へ搬送され、ここで、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像を定着される。
定着を終えた転写紙Pは、排紙ローラ対29により、装置本体上面に形成された排紙部30へ出力画像として排出され、スタックされる。こうして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。
図1において、符号31はトナー補給部を、32は読み取り部を示している。
【0018】
次に、作像部6における現像装置5の構成・動作についてさらに詳しく説明する。
図2に示すように、現像装置5は、感光体ドラム1に対向する現像剤担持体としての現像ローラ51、現像ローラ51の下方に設置された現像剤規制部材としてのドクターブレード52、現像剤収容部53、54内に配設された現像剤攪拌部材としての2つの搬送スクリュ55、56、現像剤G中のトナー濃度を検知するトナー濃度センサ57(図4参照)、現像ローラ51の上方を覆う上壁としてのケース50、装置外に通ずるようにケース50に設けられた開口部50a、開口部50aに設けられたフィルタ61、現像ローラ51の感光体ドラム1と対向する側と反対側の側方を覆うようにケース50に一体的に設けられた側壁としての壁部58、等で構成されている。開口部50aとフィルタ61により排気機構が構成されている。
現像剤収容部53、54内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。
【0019】
現像ローラ51は、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。図3に示すように、現像ローラ51のマグネットには、P1極〜P5極の5つの磁極が形成されている。
5つの磁極が形成されたマグネットの周囲をスリーブが回転することで、その回転にともない現像剤Gが現像ローラ51上(スリーブ上)を移動することになる。現像ローラ51に付した放射状の線分は、P1極〜P5極のそれぞれの磁気力がピークになる位置を示すものである。
【0020】
詳しくは、現像ローラ51のP4極からP5極に至る領域では、双方の磁極が磁性体としてのキャリアに作用して、現像剤収容部53に収容された現像剤Gが現像ローラ51上に担持される。現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、その一部がドクターブレード52の位置で掻き取られて、現像剤収容部53に戻される。
一方、ドクターブレード52との間隙を通過して現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、P1極の位置で穂立ちして、現像剤G中のトナーが感光体ドラム1上の潜像に付着する。P1極を通過してP2極に至る領域では、後述するように、現像工程後の現像剤Gを担持する現像ローラ51とケース50との間(空隙60)から気体(空気)が流入される。
さらに、剤離れ極を構成するP3極からP4極に至る領域では、同極性である双方の磁極により形成される反発磁界がキャリアに作用して、現像ローラ51上に担持されていた現像工程後の現像剤Gが現像ローラ51から脱離される。脱離後の現像剤Gは、再び現像剤収容部53に戻されて、現像剤収容部53、54内を循環する。このような一連の現像剤Gの流れが繰り返される。
【0021】
P3極とP4極との極間における磁束密度は、10mT以下になるように形成されている。このように同極の反発する磁界が形成されて、極間の磁束密度が小さくなるように形成されているために、P3極を通過した現像剤は現像ローラ51から弾き飛ばされるように現像剤収容部53に落下する。
これにより、現像剤収容部53に収容された現像剤の上方の気体が強い動圧を受けて、この動圧に付勢されて開口部50aから気体が効率よく排出される。ここで、開口部50aは現像剤収容部53の上方に離れて設置されているとともに、現像剤が落下する位置からずれた位置に設置されているために、現像剤の落下によって跳ね上がる現像剤が開口部50aにまで達する不具合を抑止することができる。
【0022】
現像ローラ51は、感光体ドラム1に対向する位置に設けられた現像装置5の開口に、その一部が露呈するように設置されている。現像ローラ51の上方には、現像ローラ51を覆うように樹脂材料等からなるケース50が設置されている。
現像ローラ51の下方(現像ローラ51の回転中心を原点とした座標の水平軸よりも下側)には、ドクターブレード52が設置されている。このようにドクターブレード52が現像ローラ51の下方に設置されることで、後述するように、現像ローラ51とケース50との間から開口部50aに至る気体の流路を、現像剤収容部53、54内の現像剤Gに遮断されることなく、確保することができる。
【0023】
現像ローラ51の上方に設置されたケース50には、壁部58と開口部50aとが設けられている。壁部58は、現像ローラ51のP2極を通過してP3極からP4極に至る領域近傍を覆うように設置されている。
開口部50aは、現像ローラ51に対して壁部58を介した位置であって、現像剤Gに埋没しない現像剤収容部53の上方の位置に、装置外に通ずるように設けられている。これらによって、現像ローラ51とケース50との間から開口部50aに至る気体の流路(図2及び図3中の破線矢印で示す流路)を確保することができる。
【0024】
開口部50aには、開口部50aを覆うようにフィルタ61が設置されている。
フィルタ61は、発泡ウレタンや不織布等の多孔質材料からなり、装置内側から進入するトナーを捕集して空気を装置外側に通過させる。
これにより、開口部50aから装置内(現像部内)の気体を排出する際に、装置外(現像部外)へのトナー飛散を防止することができる。
図2に示すように、2つの現像剤収容部53、54は、その長手方向(図2の紙面垂直方向)の両端部を除く領域が仕切り部材70によって隔絶されている。
現像剤収容部53、54に設置された搬送スクリュ55、56は、現像剤Gをそれぞれ相反する方向に搬送する。これにより、現像剤収容部53、54に収容された現像剤Gは、双方の現像剤収容部53、54の間を長手方向に循環することになる。
一方の現像剤収容部54の上方には、図4及び図5に示すように、トナー補給口44が接続されている。トナー補給部31からトナーを搬送する不図示のトナー搬送装置がトナー補給口44に接続され、現像剤収容部54内にフレッシュトナーが適宜に補給される。
【0025】
このように構成された現像装置5は、次のように動作する。
現像ローラ51のスリーブは、図2の矢印方向に回転している。マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、上述したように、スリーブの回転にともない現像ローラ51上を移動する。
現像装置5内の現像剤Gは、現像剤G中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5内のトナー消費に応じて、トナー搬送装置からトナー補給口44を介して現像剤収容部54内に、トナーが補給される。
【0026】
現像剤収容部54内に補給されたトナーは、第2搬送スクリュ56および、第1搬送スクリュ55によって現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、2つの現像剤収容部53、54を循環する。
現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51上に形成された磁気力によりキャリアとともに現像ローラ51上に担持される。
現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52の位置に達する。そして、現像ローラ51上の現像剤Gは、この位置で適量に規制された後に、感光体ドラム1との対向位置(現像領域)まで搬送される。
現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない、ケース50との対向面、壁部58との対向面を順次通過する。さらに、現像ローラ51上の現像剤Gは現像剤収容部53の上方に達して、この位置で現像ローラ51から離脱される。
【0027】
上述した一連の現像装置5の動作において、現像装置5内には図2の破線矢印で示す気体の流路が形成される。
すなわち、現像ローラ51とケース50との間から流入した気体は、現像ローラ51の回転にともないケース50との対向面と壁部58との対向面とを通過して、壁部58の先端部に至る。そして、装置内に流入した気体は、壁部58の先端部を回り込んで、フィルタ61が設置された開口部50aから装置外に排出される。
【0028】
このように、現像装置5内においては、図2の破線矢印で示す
気体の流路が安定的に形成される。すなわち、現像ローラ51とその上方に設置されたケース50との間から気体を流入させ、その流入した気体を現像剤収容部53に収容した現像剤Gに遮られることなく開口部50aに導きフィルタ61を介して装置外に排出している。
これによって、現像装置5内に浮遊するトナーを、現像装置5内の気体とともに現像装置5内に強制的に形成した気流に乗せて開口部50aに搬送して、フィルタ61で確実に捕集することができる。こうして、現像部5における装置外へのトナー飛散が抑止される。
【0029】
しかしながら、上記現像装置5においても、現像ローラ51両端部から局所的にトナー飛散が発生してしまうことがある。現像装置5では、現像ローラ51に内蔵しているマグネットは現像ローラ51の長さよりも短いため、磁力範囲外領域となる現像ローラ両端部では現像剤が搬送されない。そこで、現像剤が搬送される磁力範囲内領域では現像剤に巻き込まれて装置内に吸い込まれる周辺気体による気流が発生する。一方、磁力範囲外領域となる現像ローラ両端部には現像剤の動きによる気流はほとんど発生しないが、磁力範囲内領域の気流が、端部シール部材により密閉されている端部に押し寄せて逆に端部の圧力が過剰となる。このため、端部のシール性が不充分な僅かな隙間からトナーが噴出し易くなってしまう。
【0030】
そこで、本実施形態の現像装置5では、現像ローラ51の端部で、現像ローラ51の周面とケース50との隙間を埋めるようにエアフィルタ62を設ける。図5は、エアフィルタ62を設けた現像装置5の断面図である。このエアフィルタ62は、上記フィルタ61と同様にトナーを捕集しつつ、空気を通過させる機能を持っており、端部に向かって流れてきた気流を排気することで、端部の圧力を逃がすことができる。エアフィルタの通気性を表す圧力損失の特性値としては、風速5[cm/s]で5×10[Pa]以下であることが好ましい。
【0031】
さらに、ケース50の、現像ローラ50端部と対向する領域にエアフィルタ63を設けた。図6は、エアフィルタ63を設けた現像ケースの斜視図である。上記の現像ローラ50の周面に設けたエアフィルタ62に加え、ケース50上面にエアフィルタ63を設けることにより、より効果的に端部に向かって流れてきた気流を排気することで、端部の圧力を逃がすことができる。これにより、端部からのトナー噴き出しを抑制することができる。
【0032】
図7は、従来の端部シール部材、圧抜きフィルタ61、エアフィルタ62、エアフィルタ63を搭載した現像装置5を単体で一定時間駆動させ、意図的にトナー濃度を高めた状態で飛散させた時の飛散量を測定した実験結果である。横軸に示すように、測定は長手方向でF、C、Rの3箇所にて実施した。ここで、従来の端部シール部材としては、発泡ウレタン、風速5.3[cm/s]の環境下で、0.1[μm]の粒子捕集効率が99%以上、圧力損失が10[pa(パスカル)]以上と通気性の非常に悪いものを用いた。また、エアフィルタ62、63としては、不織布、風速5.3[cm/s]の環境下で、5[μm]の粒子捕集効率が90%以上、圧力損失が10[pa]のものを用いている。
【0033】
図7の結果からわかるように、本装置は、従来の端部シール部材を用いた現像装置で、圧抜きフィルタ61を搭載することで中央部(現像剤搬送域のほとんどのエリア)の飛散は抑制できているが、端部までは防ぎ切れていない。そこで、端部にエアフィルタ62を設けることにより、端部からの飛散防止に効果が高いことが確認された。さらに、ケースの現像ローラ51端部に対向する位置にエアフィルタ63を追加することにより、端部からの飛散防止に効果が非常に高いことが確認された。このように、エアフィルタ62、さらにはエアフィルタ63を設けることにより、現像装置5の端部での過剰な圧力によるトナー飛散を抑止することができるという優れた効果がある。
【0034】
次に、上記画像形成装置にトナーについて説明する。上記各実施形態の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。
以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0035】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0036】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0037】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。
酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0038】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0039】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0040】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えるか、1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0041】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0042】
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0043】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0044】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0045】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0046】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0047】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0048】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。
また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0049】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5[μm]であることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500[m/g]であることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5[wt%]であることが好ましく、特に0.01〜2.0[wt%]であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2[μm]以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。
しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0050】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
(1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0051】
(2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0052】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0053】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0054】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0055】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。
例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1[μm]、及び3[μm]、ポリスチレン微粒子0.5[μm]及び2[μm]、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1[μm]、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0056】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0057】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0058】
(3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。
反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0059】
(4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。
また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0060】
(5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラグビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
上記のように、粒径分布がシャープで帯電特性等の均質なトナーを用いれば、粒子のバラツキが少ないことにより現像容器内での帯電不均一性が解消される。
従って、気流の有無にかかわらずトナー飛散しやすいトナーの数が減少するので、従来のトナーに比べてトナー飛散量を低減させることができる。
【0061】
このようにトナーの改良によりそもそも飛散しやすいトナーの発生を低減させ、なお飛散するトナーに対しては、前述のような排気機構による気流制御により飛散を防止する。 こうして従来に比して非常にトナー飛散の発生しにくい現像装置を得ることができるとともに、飛散したトナーによる画像の汚れや機内の汚れを防止することが出来るので、良好な画像が得られ、メンテナンス性に優れた画像形成装置を提供することが可能になる。
【0062】
以上、本実施形態で述べたように、ケース50と現像ローラ51の長手方向端部との隙間に、トナーを捕集するエアフィルタ62を設けた。エアフィルタ62は、気流に乗って端部に達した浮遊トナーを捕集すると共に、端部に向かって流れてきた気流を良好に外部に排気する。よって、端部での過剰な圧力の上昇を防止すると共に、装置からのトナーの噴出を抑制できる。
また、ケースの現像ローラ端部に対向する位置にも同様なトナーを捕集するエアフィルタ63を設けることにより、さらに効果的に端部での過剰な圧力の上昇を防止すると共に、装置からのトナーの噴出を抑制できる。
また、エアフィルタ62,63として、圧力損失特性が風速5[cm/s]で5×10[Pa]以下の通気性の良好なものを用いることで、効果的に端部の圧力上昇を防止して、装置からのトナーの噴出を抑制できる。
また、ケースの現像ローラ51上方となる位置に、トナーを捕集する通気性の良好なエアフィルタ61で覆われた開口50aを設けることで、現像装置内部の圧力の上昇を防止すると共に、装置からのトナーの噴出を抑制できる。
また、現像装置5と感光体1とが一体的に形成され、画像形成装置に脱着可能なプロセスカートリッジとすることにより、メンテナンス性の向上を図ることができる。
また、トナーとして、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーを用いる。これにより、粒径分布がシャープで帯電特性等の均質なトナーを用い、粒子のバラツキが少ないことにより現像容器内での帯電不均一性が解消し、装置からのトナーの噴出を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態における画像形成装置の概要構成図。
【図2】作像部の拡大断面図。
【図3】現像ローラ近傍の構成を示す図。
【図4】現像装置の奥側部分を示す斜視図。
【図5】現像ローラ端部の隙間にエアフィルタを設けた現像装置の断面図。
【図6】現像ローラと対向するケースにエアフィルタ設けた現像装置の斜視図。
【図7】エアフィルタとトナー飛散量との関係を示す実験結果のグラフ。
【符号の説明】
【0064】
1 感光体ドラム
5 現像装置
6 作像部
50 ケース
50a 開口部
51 現像ローラ
55、56 搬送スクリュ
58 側方壁としての壁部
61 圧抜きのフィルタ
62 エアフィルタ
63 エアフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともトナーを含む現像剤を収容するとともに像担持体との対向部に開口を有する現像容器と、該現像容器内の現像剤を担持して回転により像担持体と対向部まで搬送する現像剤担持体とを備えた現像装置において、
上記現像容器と上記現像剤担持体の長手方向端部との隙間に、上記トナーを捕集するエアフィルタを設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、上記現像容器の上記現像剤担持体の長手方向端部に対向する位置に、上記トナーを捕集するエアフィルタを設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2の現像装置において、上記エアフィルタの圧力損失特性が風速5[cm/s]で5×10[Pa]以下であることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の何れかの現像装置において、上記現像容器の上記現像剤担持体上方となる位置に、上記トナーを捕集するエアフィルタで覆われた開口を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の何れかの現像装置と上記像担持体とが一体的に形成され、画像形成装置に脱着可能なことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
請求項1、2、3または4の何れかの現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6または7の画像形成装置において、上記現像装置で用いられる現像剤のトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−20276(P2009−20276A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182196(P2007−182196)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】