説明

現像装置、画像形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジ

【課題】一成分現像方式において、現像部でのトナーの劣化の主要因である現像剤規制部材を用いずに現像ローラに安定したトナー薄層を形成させ、良好な現像を行うことで、高品質な画像形成を達成することができる現像装置を提供する。
【解決手段】トナー供給規制ローラ(13)はベース層とその外周に設けられた弾性層からなり、トナー供給規制ローラ(13)は現像ローラ(12)との当接部において現像ローラ(12)と同方向に回転し、且つトナー供給規制ローラ(13)と現像ローラ(12)の表面が速度差をもって移動し、現像ローラ(12)の半径をRD、トナー供給規制ローラ(13)のベース層の半径をRB、トナー供給規制ローラ(13)の弾性層の厚さをTS、現像ローラ(12)の中心とトナー供給規制ローラ(13)の中心との間の距離をLとすると、0.70≦(RD+TS+RB−L)/TS≦0.99という関係が成立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタやこれら複合機などの画像形成装置に採用される画像形成方法、プロセスカートリッジおよび現像装置に関する。特に、潜像担持体に一成分現像剤を供給して潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真フルカラープリンタの小型化が望まれている。例えば現像部を小型化するには、構成が簡単な一成分現像方式を採用することが好ましい。従来の一成分現像方式は、供給部材、規制部材、現像剤担持体などから構成されているが、一成分現像方式では二成分現像方式に比べて、トナーは供給部材や規制部材で強い摺擦を受け、劣化しやすい。
この一成分現像方式の現像部におけるトナーの劣化を抑制する手段として、特許文献1には、供給部材を弾性ローラで構成し、その食い込み条件を規定することが行われている。ここで規定している供給ローラと現像ローラの回転方向では、現像ローラの当接部下流側に供給トナーが滞留するため、現像ローラ上にトナーを供給することはできても均一なトナー薄層を形成することが難しく、どうしても規制部材が必要になるのでトナーの劣化を抑制することができない。
【0003】
また、特許文献2および特許文献3には、ローラ状の規制部材を設ける構成が開示されているが、現像ローラ上にトナー薄層を形成するにはやはり供給ローラが必要であり、トナーに対する物理的ストレスは十分緩和されたとはいえず、依然としてトナー劣化の問題が残る。
一成分現像方式におけるトナーの劣化は、供給ローラよりも規制部材で起こりやすいことが知られている。トナーの劣化を抑制することを目的として規制部材を除いた場合、トナーの劣化は抑制することができるが現像ローラ上にトナーを均一塗布できないという問題が発生する。
【0004】
特許文献4では、表面に凹凸を設けた供給ローラの発明が開示されている。しかし、ここで規定している供給ローラと現像ローラの回転方向では、現像ローラの当接部下流側に供給されたトナーが滞留するため、現像ローラ上にトナーを供給することはできても均一なトナー薄層を形成することが難しい。よって、規制部材を用いて現像ローラ上のトナー面を均一化させる必要があるので、トナーの劣化を抑制することができない。
このように従来の現像方式では現像ローラに供給ローラを用いてトナーを供給し、現像ローラ上に供給されたトナーを規制部材を用いて均一に層形成する方式が採用されており、規制部材がないと現像ローラ上に安定したトナーを搬送することができなかった。あるいは、搬送できたとしても、現像に必要な適切な帯電量のトナー層を形成することができなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−49238号公報
【特許文献2】特開2003−316152号公報
【特許文献3】特許第3057142号公報
【特許文献4】特開2005−31408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、一成分現像方式において、現像部でのトナーの劣化の主要因である現像剤規制部材を用いずに現像剤担持体に安定したトナー薄層を形成させ、良好な現像を行うことで、高品質な画像形成を達成することができる現像装置、これを用いた画像形成装置、画像形成方法およびプロセスカートリッジを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の現像装置は、潜像担持体に供給する現像剤を表面に担持する現像剤担持体と、現像剤を現像剤担持体表面に供給し、且つ該現像剤薄層を形成する現像剤供給規制部材と、現像剤を収納する現像剤収納器と、を備え、現像剤担持体に所定のバイアスを印加し、潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置であって、現像剤供給規制部材はベース層とその外周に設けられた弾性層からなり、現像剤供給規制部材は現像剤担持体との当接部において現像剤担持体と同方向に回転し、且つ現像剤供給規制部材と現像剤担持体の表面が速度差をもって移動し、現像剤担持体の半径をRD、現像剤供給規制部材のベース層の半径をRB、現像剤供給規制部材の弾性層の厚さをTS、現像剤担持体の中心と現像剤供給規制部材の中心との間の距離をLとすると、0.70≦(RD+TS+RB−L)/TS≦0.99という関係が成立することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の現像装置は、さらに、前記弾性層は、導電性を有し、現像剤供給規制部材から現像剤担持体へ現像剤を付勢する方向のバイアス電圧が印加されることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、前記弾性層は、発泡ゴム材からなることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、前記弾性層は、表層に深さ10〜500μmの溝状の凹部を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の現像装置は、さらに、前記弾性層は、表面粗さが10μm≦Rz≦500μmに粗面化されたことを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、前記弾性層は、芯金の表面に植毛されたブラシからなることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、前記現像剤収納器に収納される現像剤を構成するトナーは、平均円形度が0.93以上であることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、前記弾性層は、反発弾性率が50〜80%の材料からなることを特徴とする。
【0010】
本発明の画像形成装置は、潜像を担持する潜像担持体と、潜像担持体表面に均一に帯電を施す帯電手段と、帯電した該潜像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光手段と、潜像担持体表面に形成された静電潜像にトナーを供給し現像する現像装置と、潜像担持体表面の可視像を被転写体に転写する転写手段と、被転写体上の可視像を定着させる定着手段と、を備える画像形成装置であって、現像装置が、上記のいずれかに記載の現像装置であることを特徴とする。
【0011】
本発明の画像形成方法は、潜像担持体表面に均一に帯電を施す帯電工程と、帯電した潜像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光工程と、潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像し、可視像化する現像工程と、潜像担持体表面の可視像を被転写体に転写する転写工程と、被転写体上の可視像を定着させる定着工程と、を有し、前記現像工程に、上記のいずれかに記載の現像装置を用いることを特徴とする。
【0012】
本発明のプロセスカートリッジは、潜像担持体と、少なくとも潜像担持体上の潜像を現像剤で現像する現像装置とを一体化して画像形成装置に対して着脱可能に構成したプロセスカートリッジにおいて、現像装置として、上記のいずれかに記載の現像装置を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記解決する手段としての現像装置、これを用いた画像形成装置、画像形成方法およびプロセスカートリッジでは、一成分現像方式において、現像部でのトナーの劣化の主要因である現像剤規制部材を用いずに現像剤担持体に安定したトナー薄層を形成させ、良好な現像を行うことで、高品質な画像形成を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0015】
図1に示すプロセスカートリッジ(1)は、例えば、単色の電子写真複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ、フルカラーレーザプリンタなどに着脱自在に構成されており、本発明の現像装置(4)を含んだ構成とされている。この画像形成装置は、現像剤として非磁性一成分のトナーを用いた現像装置(4)に近接して配置された潜像担持体である感光体ドラム(2)を備えている。プロセスカートリッジ(1)は、この感光体ドラム(2)と、少なくとも感光体ドラム(2)上の潜像をトナーで現像する現像装置とを一体化して画像形成装置に対して着脱可能に構成されている。
感光体ドラム(2)は、矢印方向に回転している。感光体ドラム(2)の表面に均一に帯電を施す帯電手段としての帯電ローラ(3)は、感光体ドラム(2)の表面に圧接されており、感光体ドラム(2)の回転により従動回転している。帯電ローラ(3)には図示しない高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体ドラム(2)の表面を所定電位に一様に帯電する。その後、感光体ドラム(2)は図示しない露光手段により与えられる露光に応答して静電潜像パターンを形成する。露光手段は、帯電した感光体ドラム(2)の表面に画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込むものである。
【0016】
感光体ドラム(2)に形成された静電潜像パターンは、現像装置(4)から供給されるトナーが、現像バイアス電位のもとで静電潜像パターンに付着することによってトナー像として現像される。感光体クリーニング手段(5)は感光体ドラム表面の転写残トナーのクリーニングを行う。
また、この画像形成装置には、感光体ドラム(2)の表面の可視像を被転写体である用紙(10)に転写する転写手段として一次転写ローラ(8)が設けられている。この一次転写ローラ(8)には一次転写バイアスが印加され、感光体ドラム(2)の表面のトナー像は中間転写ベルト(7)の表面に転写される。中間転写ベルト(7)は、図示しない駆動モータによって図中の矢印方向に回転駆動されるようになっている。中間転写ベルト(7)の表面のトナー像は、二次転写ローラ(9)に所定の電圧を印加することにより用紙(10)に転写され、用紙(10)上の可視像を定着させる定着手段である定着装置(11)にて定着され出力される。
【0017】
このように上記構成の画像形成装置では、作像する際、感光体ドラム(2)の表面に均一に帯電を施す帯電工程と、帯電した感光体ドラム(2)の表面に画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光工程と、感光体ドラム(2)の表面に形成された静電潜像を現像し、可視像化する現像工程と、感光体ドラム(2)の表面の可視像を被転写体に転写する転写工程と、用紙(10)上の可視像を定着させる定着工程と、を経る。
【0018】
現像装置(4)は、図2に示すように、トナーを収納する現像剤収納器内にトナー収容室(14)が形成されている。このトナー収容室(14)内には、感光体ドラム(2)に近接または接触して表面に担持したトナーを感光体ドラム(2)に供給する現像剤担持体である現像ローラ(12)が設けられている。また、トナー収容室(14)内には、トナーを現像ローラ(12)の表面に供給し、且つ該トナー薄層を形成する現像剤供給規制部材としてトナー供給規制ローラ(13)が設けられている。このトナー供給規制ローラ(13)は、ベース層とその外周に設けられた弾性層からなる。そして、トナー供給規制ローラ(13)は、現像ローラ(12)との当接部において、図3に示すように、現像ローラ(12)の半径をRD、トナー供給規制ローラ(13)のベース層の半径をRB、トナー供給規制ローラ(13)の弾性層の厚さをTS、現像ローラ(12)の中心Oとトナー供給規制ローラ(13)の中心O’と間の距離をLとすると、圧縮変形率が70%以上99%以下、つまり0.70≦ (RD+TS+RB−L)/TS ≦0.99の関係式を満たすよう配される。
前記関係式を満たすことで、トナー供給規制ローラ(13)は、現像ローラ(12)とトナー供給規制ローラ(13)との当接部において、現像ローラ(12)へのトナー供給と現像ローラ(12)上のトナー層厚規制とを同時に行うことができるため、十分な侵入量、当接幅を確保しても当接圧が適度に抑えられ、熱や圧力によるトナーの劣化、融着を最小限にして現像剤供給規制を行うことができる。また、当接部における現像ローラ(12)とトナーの接触確率、接触時間が多くなることにより、トナーに十分な帯電量を付与することができる。
【0019】
トナー供給規制ローラ(13)は、現像ローラ(12)と反対回り方向に回転することによって、局所的には現像ローラ(12)との当接部において現像ローラ(12)と同方向に回転移動している。そして、トナー供給規制ローラ(13)と現像ローラ(12)の表面が速度差を持って移動することで、当接部においてトナーを摩擦し、且つトナー層厚を規制することができる。
一方、現像ローラ(12)との当接部においてトナー供給規制ローラ(13)を現像ローラ(12)と逆方向に回転させた場合、トナー供給規制ローラ(13)に担持された当接部未通過のトナーが、現像ローラ(12)に担持された当接部通過のトナーへ進入するという問題がある。
トナー供給規制ローラ(13)はベース層とその外周に設けられた弾性層からなり、導電性を有していてもよい。ベース層は金属芯軸を必須要素とし、その外周部にゴム層を有していてもよい。そして、現像ローラ(12)にはトナー供給規制ローラ(13)から現像ローラ(12)へトナーを付勢する方向のバイアス電圧が印加されていることが好ましい。
【0020】
トナー供給規制ローラ(13)の弾性層の材質としては、連泡発泡体(スポンジ)またはゴム材が好ましい。材料としては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、EPDMゴム、アクリルゴム、NBRゴム(ニトリルゴム)、ヒドリンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴムなど単独、およびこれらの複合混合物等、一般的に用いられているゴムが使用可能である。
また、弾性層は、表層に深さ10〜500μmの溝状の凹部を有していてもよい。これをもって、トナー供給規制ローラ(13)にトナー供給能力を持たせている。凹部深さ10μm以下の場合、トナー供給量が不十分となることがある。凹部深さ500μm以上の場合、現像ローラ(12)上に担持されるトナーにムラが生じることがある。
【0021】
また、弾性層は、表面粗さが10μm≦Rz≦500μmに粗面化されていてもよい。これをもって、トナー供給規制ローラ(13)にトナー供給能力を持たせている。表面粗さ10μm以下の場合、トナー供給量が不十分となる。表面粗さ500μm以上の場合、現像ローラ上に担持されるトナーにムラが生じることがある。
また、弾性層は、芯金の表面に植毛されたブラシから構成してもよい。これをもって、トナー供給規制ローラ(13)にトナー供給能力を持たせている。
弾性層は、反発弾性率が50〜80%の材料からなる。50%以下の場合、トナー供給規制ローラ(13)と現像ローラ(12)との当接部通過後、トナー供給規制ローラ(13)の圧縮変形した分が元に戻らないまま次のトナー供給に移ることになり、十分なトナー搬送量が得られないことがある。80%以上の場合、当接部を通過したトナー供給規制ローラ(13)が、同じく当接部を通過した現像ローラ(12)上のトナー薄層に接触する問題が生じる場合がある。
【0022】
本実施形態によれば、現像装置(4)は、図2に示すように、現像ローラ(12)およびトナー供給規制ローラ(13)を備え、非磁性一成分現像剤の非磁性トナーをトナー収容室(14)へ収容している。現像装置(4)外には、現像ローラ(12)に現像バイアス電圧を印加する直流高圧電源(現像電源)が設置されている。感光体ドラム(2)に対しトナー供給規制ローラ(13)は同方向に、現像ローラ(12)は逆(カウンター)方向に回転する。
【0023】
図2の画像形成装置における画像形成動作を説明する。回転する感光体ドラム(2)を帯電ローラ(3)で均一に負極性に帯電し、レーザ光等を用いた露光器で露光することにより、感光体ドラム(2)の表面に画像情報を静電潜像として書き込む。
一方、現像装置(4)では、トナー供給規制ローラ(13)が矢印方向に回転して、矢印方向に回転する現像ローラ(12)にトナーを搬送し、現像ローラ(12)上にトナーを供給する。この際、トナー供給規制ローラ(13)は当接部において大きく変形し、現像ローラ(12)の方はほとんど変形しない。現像ローラ(12)上に供給されたトナーは、トナー供給規制ローラ(13)および現像ローラ(12)との摩擦により負極性に帯電し、また通過と同時にトナーの層厚が規制される。
トナー供給規制ローラ(13)を通過した現像ローラ(12)上のトナーは、感光体ドラム(2)と現像ローラ(12)とが当接した現像部に搬送される。感光体ドラム(2)上に現像されずに現像ローラ(12)上に残されたトナーが再びトナー収容室(14)へ戻る部分には、入り口シールが現像ローラ(12)に当接して設けられ、トナーは現像装置(4)の外部に漏れ出ないように封止される。図1では現像ローラ(12)と感光体ドラム(2)は接触して記載されているが、非接触で配置されていてもかまわない。また、感光体はドラム状の形態が記載されているが、ベルト状の形態であってもかまわない。
【0024】
このトナー供給規制ローラ(13)の硬度は、現像ローラ(12)の硬度以下である。現像ローラ(12)とトナー供給規制ローラ(13)は、図3に示すように当接して侵入している。このような構成にすると、トナー供給規制ローラ(13)の回転が現像ローラ(12)とトナー供給規制ローラ(13)の当接部の上流側から当接部へと進むにつれて、当接部において弾性層が圧縮変形する。当接部において弾性層が圧縮変形することにより、十分な侵入量、当接幅を確保しても当接圧が適度に抑えられ、熱や圧力によるトナーの劣化、融着を最小限にすることができる。また、当接部における現像ローラ(12)とトナーの接触確率、接触時間が多くなることにより、トナーに十分な帯電量を付与することができる。
【0025】
図3において、トナー供給量、剥ぎ取り量および帯電量を十分に得るためには、トナー供給規制ローラ(13)は現像ローラ(12)との当接部において70%以上圧縮変形することが必要である。よって、現像ローラ(12)の半径RD、トナー供給規制ローラ(13)のベース層の半径RB、トナー供給規制ローラ(13)の弾性層の厚さTS、現像ローラ(12)の中心O’とトナー供給規制ローラ(13)の中心Oとの間の距離をLとすると、圧縮変形率が70%以上99%以下、つまり0.70≦(RD+TS+RB−L)/TS≦0.99である。
(RD+TS+RB−L)/TS≦0.7の場合、現像ニップ長が短くなる結果、トナーの摩擦帯電が不十分なまま、現像ニップへ進入することになり、これは画像品質を悪化させる原因となる。0.99≦(RD+TS+RB−L)/TSの場合、現像ローラ(12)がトナー供給規制ローラ(13)のベース層に当たり、当接部においてトナーが強く摺擦され、トナーの劣化、融着を招く。また、現像ローラ(12)の表面、トナー供給規制ローラ(13)の弾性層表面においても強いストレスを受けやすくなる結果、劣化や破損を引き起こしやすくなる。
【0026】
現像ローラの周速をVDとし供給規制ローラの周速をVSすると、現像ローラの周速VDに対して、供給規制ローラの周速VSが0.5≦VS/VD≦2.0の速度差を持つことが好ましい。ただし、VS/VD=1は除く。VS/VD≦0.5、2.0≦VS/VDの場合、速度差が大きいため現像ローラと供給規制ローラの当接部においてトナーが強い摺擦を受け、トナーの劣化を招く。また、現像ローラや供給規制ローラ表面の劣化を早める原因にもなる。VS/VD=1の場合、速度差がないため現像ローラと供給規制ローラの当接部においてトナーの摩擦帯電が起こりにくくなる結果、現像ローラ上のトナー薄層は不均一なものとなる。
【0027】
上述したトナー供給規制ローラ(13)の弾性層が連泡発泡体(スポンジ)の場合、圧縮変形する際にトナー供給規制ローラ(13)の気泡内に含まれていたトナーは気泡から押し出されて、回転している現像ローラ(12)の表面との摩擦帯電を受けながら、現像ローラ(12)によって当接部下流へ運ばれていく。連泡気泡は単泡に比べて気泡内に多量のトナーを蓄えることができるため、単位時間当たり且つ単位面積当たりの現像ローラ(12)へのトナー供給量の増加を図ることができ、トナー残量が少ないときや印字率が高い画像パターンを現像するときも、最後まで十分な量のトナーを現像ローラ(12)に確保することができる。また同じ理由で、トナー供給規制ローラ(13)の平均の気泡径は、トナーの平均粒径の数倍以上であり、好ましくは5倍以上がよい。
【0028】
トナー供給規制ローラ(13)の特性値としては以下が好ましい。抵抗値は10Ω以下、ゴム硬度はアスカーCで3〜30゜、連泡発泡体(スポンジ)表層における平均気泡径は50μm以上700μm以下である。また連泡発泡体層の厚さは1mm以上が望まれる。その理由は、安定した侵入量の確保と、トナーと現像ローラ(12)との接触時間を増して十分な電荷付与性を得るために、連泡発泡体の低硬度を十分に発揮させるには、1mm以上の厚さが好ましいからである。
【0029】
次に、現像ローラ(12)について詳細に説明する。現像ローラ(12)には、弾性ゴム層を被覆したローラが用いられ、さらに表面にはトナーと逆の極性に帯電しやすい材料コーティングが施される。弾性ゴム層は、トナー供給規制ローラ(13)との当接部での圧力集中によるトナー劣化を防止するために、JIS−Aで50度以下の硬度に設定される。表面粗さはRaで0.3〜2.0μmに設定され、必要量のトナーが表面に保持される。また現像ローラ(12)には感光体ドラム(2)との間に電界を形成させるための現像バイアスが印加されるので、弾性ゴム層は10〜1010Ωの抵抗値に設定される。
現像ローラ(12)には、現像電源によって現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧と感光体ドラム(2)上の電位から形成される電界に追従して、感光体ドラム(2)と現像ローラ(12)の当接部近傍において、現像ローラ(12)から帯電したトナーが感光体ドラム(2)の露光部に付着し、静電潜像を反転現像する。
【0030】
次に、本発明に用いられるトナーについて説明する。
本発明に用いられるトナーとしては、結着樹脂、着色剤を必須成分として含有する着色粒子に対して、流動性や現像性、帯電性を補助するため外添剤を添加したものを使用する。なお、着色粒子には、必要に応じて離型剤、荷電制御剤、可塑剤を含有していてもよい。
(結着樹脂)
結着樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、エポキシ樹脂、ビニル系樹脂などが挙げられる。また、異なる樹脂が化学的に結合したハイブリッド樹脂を使用してもよい。さらに、樹脂の末端もしくは側鎖に反応性官能基を導入し、トナーの製造過程において結合させることにより伸長させてもよい。
【0031】
(着色剤)
本発明の着色剤としては公知の染料および顔料が使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンおよびそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0032】
(外添剤)
外添剤としては、公知の無機微粒子および高分子系微粒子を好ましく用いることができる。この外添加剤の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、特に5nm〜500nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この外添加剤の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
高分子系微粒子としては、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン(登録商標)などの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0033】
(離型剤)
本発明に使用する離型剤としては、公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。このうち、本発明においては、極性の低いワックスが好適に用いられる。具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックスである。
【0034】
トナー中のワックス含有量は、トナーに対して2〜5重量%である。トナー全量に対するワックス量が2%未満だと、ワックスによる離型効果がなくなり、オフセット防止の余裕度がなくなることがある。一方、5%を超えると、ワックスは低温で溶融するため、熱エネルギー、機械エネルギーの影響を受けやすく、現像部での攪拌時などにワックスがトナー内部から染み出し、トナー供給規制ローラ(13)や感光体ドラム(2)に付着し、画像ノイズを発生させることがある。また、OHPシートに印字したとき、印字領域の外側に離型剤が広がり、投影像に画像ノイズとして現れることがある。また、ワックスの示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温時の好ましい吸熱ピークの範囲は、60〜90℃、より好ましくは65〜80℃である。吸熱ピークが60℃未満では流動性や耐熱保存性が悪くなり、90℃より高いと定着性が悪くなる傾向がある。
また、示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温時の吸熱ピークの好ましい半値幅は8℃以下、より好ましくは6℃以下である。8℃よりも広い、いわゆる吸熱ピークがブロードであるような場合、流動性や耐熱保存性の悪化が見られる。
【0035】
(荷電制御剤)
本発明のトナーは、必要に応じて荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩および、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ PSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0036】
(トナーの製造方法について)
トナーの製造方法は、特に限定されないが、溶解懸濁法、懸濁重合法、乳化凝集法等の公知の湿式造粒法、粉砕法などが挙げられる。粒径制御や形状制御のしやすさから、溶解懸濁法、乳化凝集法が好ましい。
【0037】
(トナーの粒径について)
本発明の現像装置において均一で十分な帯電をするためには、トナーの体積平均粒径が3〜13μm、好ましくは4〜10μm、より好ましくは4〜7μmの範囲にあることが好ましい。3μm未満ではトナー供給規制ローラと現像ローラの間でトナーを摩擦帯電させる際に、トナー弾性層がスポンジの場合には弾性層表面でのトナー詰まりが発生し、これらが繰り返し摩擦されることにより融着・固化し現像ローラ上の搬送面を乱すばかりか、トナー層が多層になるため摩擦帯電を十分にさせることができないため好ましくない。また、13μmを超える場合は、搬送面は均一に形成させることができたとしても、細線の再現性など画像品位が低下する。
また、体積平均粒径と個数平均粒径の比(体積平均粒径/個数平均粒径)は、1.25以下が好ましく、1.20以下がより好ましく、1.17以下がさらに好ましい。1.25を超えると、トナーの粒径の均一性が低いため、現像を繰り返すうちに、粒径の大きなトナーもしくは場合によっては小さなトナーが消費され、その結果、現像装置内に残存するトナーの平均粒径が変化するため、残存したトナーを現像するための最適な現像条件がずれてしまい、その結果、帯電不良、搬送量の極端な増加もしくは減少、トナー詰まり、トナーこぼれなど諸現象が発生しやすくなる。
トナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)が挙げられる。以下に測定方法について述べる。
【0038】
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子またはトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上ないし40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0039】
(トナーの形状について)
本発明の現像装置において弾性層表面のトナー詰まりを抑制するためには、トナーの平均円形度は0.93以上、好ましくは0.95以上、さらに好ましくは0.97以上にする必要がある。平均円形度が0.93未満であると、トナーの流動性が低いため、弾性層表面においてトナーが流動しにくくトナーつまりが発生するため、好ましくない。
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000により測定される。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、さらに測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3,000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状および分布を測定することによって得られる。
【0040】
以下、重合トナーおよび粉砕トナーの製造例についてそれぞれ説明する。
1.重合トナーの製造方法
−ポリエステル(I)の合成−
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部およびジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、230℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた後、反応槽中に無水トリメリット酸44部を添加し、常圧下、180℃で2時間反応させて、未変性ポリエステル(I)を合成した。得られたポリエステル(I)は、数平均分子量が2,500、重量平均分子量が6,700、ガラス転移温度が43℃、酸価が25mgKOH/gであった。
【0041】
−イソシアネート変性ポリエステル1の合成−
冷却管撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下、230℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下で、5時間反応させて、[中間体ポリエステル1]を合成した。得られた[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量が2,200、重量平均分子量が9,700、ガラス転移温度が54℃、酸価が0.5mgKOH/g、水酸基価が52mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[イソシアネート変性ポリエステル1]を得た。
【0042】
−マスターバッチの作成−
(マスターバッチ1)
カーボンブラック(キャボット社製 リーガル400R):40部、結着樹脂:ポリエステル樹脂(三洋化成RS−801 酸価10、Mw20,000、Tg64℃):60部、水:30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行い、パルベライザーで1mmの大きさに粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
<顔料・WAX分散液(油相)の作製>
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]545部、パラフィンワックス(熱分析装置(DSC)での吸熱ピーク73.1℃、半値幅3.9℃)85部、酢酸エチル1,450部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル100部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1,500部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[ポリエステル1]425部と酢酸エチル230部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)が50%となるように酢酸エチルを加えて調整した。
【0043】
<水相の調製>
イオン交換水990部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25wt%水性分散液40部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)145部、酢酸エチル95部を混合撹拌し、淡黄色の液体を得た。これを[水相1]とする。
【0044】
<乳化工程>
[顔料・WAX分散液1]975部、イソホロンジアミン2.7部をTKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmにて1分間混合した後、[イソシアネート変性ポリエステル1]77部を加えTKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmにて1分間混合した後、[水相1]1,200部を加え、TKホモミキサーで、回転数8,000〜13,000rpmで調整しながら20分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
<脱溶剤>
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤を行い、[分散スラリー1]を得た。
【0045】
<洗浄→乾燥>
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μS/cm以下となるようにこの操作を繰り返した。
(3):(2)のリスラリー液のpHが4となる様に10%塩酸を加え、そのままスリーワンモータで攪拌30分後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μS/cm以下となるようにこの操作を繰り返し[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて42℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、平均円形度は0.976、また、体積平均粒径(Dv)は6.2μm、個数平均粒径(Dp)は5.8μmの[トナー母体1]が得られた。次いで、この母体トナー100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して、[重合トナー]を得た。
【0046】
2.粉砕トナーの製造方法
重量平均分子量が27,000で、酸価が18mgKOH/gのポリエステル樹脂100部、融点が120℃のポリエチレンワックス5部、5部のC.I.ピグメントブルー15:3および2部の荷電制御剤を、ヘンシェルミキサーを用いて撹拌混合した後、二軸押し出し機を用いて混練し、冷却後、体積平均粒子径が9±0.5μmになるように粉砕、分級を行い、トナー母体2を得た。トナー母体2の平均円形度は0.911、体積平均粒径(Dv)は9.1μm、個数平均粒径(Dp)は7.8μmであった。混練条件については、混練機出口での混練品の温度が130℃付近になるように、混練機の温度設定を行った。次いで、このトナー母体100部に疎水性シリカ1.2部をヘンシェルミキサーにて混合して、[粉砕トナー]を得た。
【0047】
−現像装置の条件−
本実施形態では、感光体ドラム(2)の非画像部(非露光部)電位を−500V、画像部(露光部)電位を−50Vとし、現像ローラ(12)に印加した直流現像バイアスを−350Vとした。
現像ローラ(12)は、現像装置(4)の長手方向に延在する開口部に感光体ドラム(2)に当接するように配置され、図2の矢印方向に160mm/秒で回転される。トナー供給規制ローラ(13)は、現像ローラ(12)に当接するように配置され、図2の矢印方向に105mm/秒で回転される。本実施形態では、感光体ドラム(2)は100mm/秒で回転される。トナーは前記重合トナーを用いた。平均円形度は0.976である。電子写真方式の構成は前記図1、現像装置(4)の構成は前記図2および図3に示した。
【0048】
以下、実施例について説明する。
【実施例】
【0049】
[実施例1]
本実施例1においてトナー供給規制ローラ(13)は、金属の芯金を支軸とし、その外側に導電剤分散のウレタンゴムで形成した、気泡部の壁面が連通している発泡体(スポンジ)を設けた構成となっている。本実施例では、導電剤を分散した低硬度の連泡発泡体のトナー供給規制ローラ(13)を容易に製造するために、次のような自由発泡方式とした。 発泡剤やカーボンブラック等の導電剤を一様に分散した未加硫、未発泡のウレタンゴム層を直径5mmの金属芯軸の周りに形成し、このウレタンゴム層を自由状態で加熱処理して加硫、発泡させて、導電性のウレタンスポンジ層に形成する。 発泡によって発生した気体は、発泡によって形成されたスポンジ層内の連通した気泡を通ってスポンジ層表面の気泡から排出される。発泡剤の量や加熱処理時間、加熱温度などを調節することにより、スポンジ層を所望する気泡径、気泡密度、硬度に形成することができる。 その後、このスポンジ層を研磨して、トナー供給規制ローラ(13)の所望する外径寸法、本実施例では16mmに成型し仕上げる。
一例として、上記のような自由発泡方式の製造法を示したが、目的とする物性のトナー供給規制ローラ(13)を製造できるならば、特に製造法を指定するものではなく、例えばスポンジ層をローラ状に切り出し後、研磨成型する方法も可能である。
トナー供給規制ローラ(13)は、抵抗値は10Ω、ゴム硬度はアスカーCで6゜、連泡発泡体(スポンジ)表層における平均気泡径は500μmである。トナー供給規制ローラ(13)の弾性層の厚さTSを4mm、R=2.5mm、RD=7.3mm、L=10.5mm、圧縮変形率は80%、つまり(RD+TS+RB−L)/TS=0.8とした。以下、実施例2〜8、比較例5において同条件とした。
【0050】
[実施例2]
表層に深さ100μmの溝状の凹部を有する弾性層をもつ、トナー供給規制ローラ(13)を使用した。
【0051】
[実施例3]
表面粗さがRz=100μmに粗面化されている弾性層をもつトナー供給規制ローラ(13)を使用した。
【0052】
[実施例4]
金属芯軸の表面に植毛されたブラシからなる弾性層をもつトナー供給規制ローラ(13)を使用した。
【0053】
[実施例5]
実施例1に対して、弾性層の反発弾性率RがR=25のトナー供給規制ローラ(13)、R=95のトナー供給規制ローラ(13)を使用した。
【0054】
[実施例6]
実施例1に対して、平均円形度が0.911の粉砕トナーを使用した。
【0055】
[実施例7]
実施例1に対して、トナー供給規制ローラ(13)から現像ローラ(12)へトナーを付勢する方向のバイアス電圧を印加しなかった。
【0056】
[実施例8]
実施例1に対して、ベース層を金属芯軸とその外層にゴム層を設けた構成としたトナー供給規制ローラ(13)を使用した。
【0057】
[比較例1]
実施例1に対して、トナー供給規制ローラ(13)の圧縮変形率を50%とした。トナー供給規制ローラ(13)を実施例1と変えて圧縮変形率を50%としたところ、L=11.8mmとなった。以下の比較例2〜4においても同様である。
【0058】
[比較例2]
実施例2に対して、トナー供給規制ローラ(13)の圧縮変形率を50%とした。
【0059】
[比較例3]
実施例3に対して、トナー供給規制ローラ(13)の圧縮変形率を50%とした。
【0060】
[比較例4]
実施例4に対して、トナー供給規制ローラ(13)の圧縮変形率を50%とした。
【0061】
[比較例5]
実施例1に対して、トナー供給規制ローラ(13)を回転させなかった。
【0062】
[比較例6]
現像ローラに供給ローラを用いてトナーを供給し、現像ローラ上に供給されたトナーを規制部材を用いて均一に層形成する一成分現像方式であるリコー社製SPC220の現像装置を使用した。この現像装置の構成を図4に示す。図4に示す現像装置は、感光体ドラム(2)と現像装置(4)とが一体とされ、プロセスカートリッジ(1)を構成している。感光体ドラム(2)の周囲には感光体クリーニング手段(5)、帯電ローラ(3)及び現像装置(4)が設けられている。現像装置(4)の内部にはトナーを収容するトナー収容室(14)が形成され、このトナー収容室(14)の下方には、感光体ドラム(2)と接触する現像ローラ(12)と、現像ローラ(12)にトナーを供給するトナー供給ローラ(15)とが設けられている。また、トナー供給ローラ(15)から供給された現像ローラ(12)上のトナーの層厚を規制するために、規制ブレード(16)が設けられている。
【0063】
[実施例と比較例の評価結果]
実施例は、初期(0枚印字)、10K後(10,000枚印字後)での現像ローラ(12)上のトナー薄層均一性、出力画像での濃度均一性を◎、○、△、×の4段階で評価した。表1中、薄層均一性の評価基準の◎はトナー規制後の現像ローラ(12)表面の一成分トナーが目視で均一性が高いもの、○はトナー規制後の現像ローラ(12)表面の一成分トナーが目視で均一なもの、△はトナー規制後の現像ローラ(12)表面の一成分トナーが目視で一部不均一なもの、×はトナー規制後の現像ローラ(12)表面の一成分トナーが目視で全面不均一なものをそれぞれ示す。また、表1中の画像濃度均一性は、出力画像の濃度ムラをソリッド画像、600×600dpiの2×2ドットパターンにて評価した結果を示す。 その評価基準の×はソリッド画像およびドット画像ともにムラを生じたもの、△はドット画像のみムラを生じたもの、○は両者ともに均一な濃度が得られたものをそれぞれ示す。
【0064】
一成分現像装置においては、トナーの薄層化でのストレスが大きい。また、トナーと現像装置部材との接触確率、接触時間が大きいほど、トナーの劣化が早まる。そこで、現像ローラ(12)との当接部における圧縮変形率が70%以上のトナー供給規制ローラ(13)を用いて、現像ローラ(12)へのトナー供給と現像ローラ(12)上のトナー層厚規制とを同時に行うことで、トナーの劣化による現像ローラ(12)上のトナー薄層均一性、出力画像の濃度均一性の悪化を抑えることができた。
【0065】
トナー供給規制ローラ(13)の反発弾性率Rが50〜80%とすることで、現像ローラ(12)上のトナー薄層均一性、出力画像の濃度均一性に対して有利となる。反発弾性率RがR=25のトナー供給規制ローラ(13)では、トナー供給規制ローラ(13)と現像ローラ(12)との当接部通過後、トナー供給規制ローラ(13)の圧縮変形した分が元に戻らないまま次のトナー供給に移ることになり、十分なトナー搬送量が得られず、薄層均一性、画像濃度均一性が劣る。また、R=95のトナー供給規制ローラ(13)では、現像ローラ(12)との当節部下流において、トナー供給規制ローラ(13)の圧縮変形が復元する際に現像ローラ(12)上のトナーを吸引し、薄層均一性を悪化させる結果となった。トナーの平均円形度を0.93以上とすることで、現像ローラ(12)との当接部でのトナー詰まりを防止する効果がある。
トナー供給規制ローラ(13)から現像ローラ(12)へトナーを付勢する方向のバイアス電圧を印加することで、現像ローラ(12)上のトナー薄層均一性に効果があり、結果高品質の画像を得ることができる。
トナー供給規制ローラ(13)のベース層を金属芯軸とその外周にゴム層を設けた場合、現像ローラ(12)との当接部において金属芯軸の影響を防止できるため、現像ローラ(12)上のトナー薄層均一性、出力画像の濃度均一性により効果が得られる。
【0066】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】現像装置周辺の形態を示す説明図である。
【図3】トナー供給規制ローラと現像ローラとの関係を示す説明図である。
【図4】比較例6に用いる現像装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0068】
1 プロセスカートリッジ
2 感光体ドラム
3 帯電ローラ
4 現像装置
5 感光体クリーニング手段
7 中間転写ベルト
8 一次転写ローラ
9 二次転写ローラ
10 用紙
11 定着装置
12 現像ローラ
13 トナー供給規制ローラ
14 トナー収容室
15 トナー供給ローラ
16 規制ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体に供給する現像剤を表面に担持する現像剤担持体と、
現像剤を現像剤担持体表面に供給し、且つ該現像剤薄層を形成する現像剤供給規制部材と、
現像剤を収納する現像剤収納器と、を備え、
現像剤担持体に所定のバイアスを印加し、
潜像担持体上の静電潜像を現像する現像装置であって、
現像剤供給規制部材はベース層とその外周に設けられた弾性層からなり、
現像剤供給規制部材は現像剤担持体との当接部において現像剤担持体と同方向に回転し、且つ現像剤供給規制部材と現像剤担持体の表面が速度差をもって移動し、
現像剤担持体の半径をRD、現像剤供給規制部材のベース層の半径をRB、現像剤供給規制部材の弾性層の厚さをTS、現像剤担持体の中心と現像剤供給規制部材の中心との間の距離をLとすると、
0.70≦(RD+TS+RB−L)/TS≦0.99
という関係が成立する
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記弾性層は、導電性を有し、現像剤供給規制部材から現像剤担持体へ現像剤を付勢する方向のバイアス電圧が印加される
ことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の現像装置において、
前記弾性層は、発泡ゴム材からなる
ことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の現像装置において、
前記弾性層は、表層に深さ10〜500μmの溝状の凹部を有する
ことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の現像装置において、
前記弾性層は、表面粗さが10μm≦Rz≦500μmに粗面化された
ことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1に記載の現像装置において、
前記弾性層は、芯金の表面に植毛されたブラシからなる
ことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1に記載の現像装置において、
前記現像剤収納器に収納される現像剤を構成するトナーは、平均円形度が0.93以上である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1に記載の現像装置において、
前記弾性層は、反発弾性率が50〜80%の材料からなる
ことを特徴とする現像装置。
【請求項9】
潜像を担持する潜像担持体と、
潜像担持体表面に均一に帯電を施す帯電手段と、
帯電した該潜像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光手段と、
潜像担持体表面に形成された静電潜像にトナーを供給し現像する現像装置と、
潜像担持体表面の可視像を被転写体に転写する転写手段と、
被転写体上の可視像を定着させる定着手段と、
を備える画像形成装置であって、
現像装置が、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の現像装置である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
潜像担持体表面に均一に帯電を施す帯電工程と、
帯電した潜像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光工程と、
潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像し、可視像化する現像工程と、
潜像担持体表面の可視像を被転写体に転写する転写工程と、
被転写体上の可視像を定着させる定着工程と、
を有し、
前記現像工程に、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の現像装置を用いる
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項11】
潜像担持体と、少なくとも潜像担持体上の潜像を現像剤で現像する現像装置とを一体化して画像形成装置に対して着脱可能に構成したプロセスカートリッジにおいて、
現像装置として、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の現像装置を用いる
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−20041(P2010−20041A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179756(P2008−179756)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】