説明

現像装置およびそれを備えた画像形成装置

【課題】ドクターブレードと磁気ロールのギャップの均一化を安価な構成で実現し、且つ高画質な画像をえられる現像装置を提供することにある。
【解決手段】磁気ロール1と、その磁気ロール1上の現像剤の搬送量を規制して像担持体に接触する穂立ちの高さを調整するドクターブレード2とを備えた現像装置において、前記ドクターブレード2が、当該ドクターブレード2と磁気ロール1間のギャップを調整する機構と、前記ドクターブレード2の反り方向を調整する機構とを有する保持部材8によって支持固定されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用したレーザビームプリンタなどに用いられる現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二成分現像剤を使用した磁気ブラシ式現像方式の現像装置においては、磁気ロール上の現像剤の搬送量を規制し、最終的には像担持体に接触する穂立ちの高さをコントロールする手段として金属製のドクターブレードが使用されている。ドクターブレードが磁気ロールに対して長手方向に渡って均一なギャップを維持することで均一な現像を行い、むらの無い均一な画像を得ることができる。したがって、高画質を目的とする現像装置においては、均一なギャップを得るためにドクターブレードを現像装置に対して固定するための保持部材の位置を調整するのが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来の技術において問題となるのが、ドクターブレードの真直度である。一般的に、金属製のドクターブレードは引抜もしくは押し出し成形によって得られるが、この場合残留応力等で成形後に反りが生じる可能性が高い。特に断面が非対称の場合は顕著となり、部品単体での矯正が必要になることが多く、矯正したとしても必要精度が得られず、切削加工を施す場合が少なくない。特に複数の磁気ロールで、且つ磁気ロール間での穂切りをする方式の現像装置の場合、ドクターブレードは両端部での固定となり、たとえ切削加工を施すことで部品単体の精度が得られたとしても、現像装置もしくは保持部材の部品精度等の影響で取付け精度が悪く、長手方向に均一なギャップが得られず、高画質化をスポイルする結果になるといった問題があった。
【0004】
本発明の目的は、ドクターブレード、保持部材、現像装置の精度に関わらず、ドクターブレードと磁気ロールのギャップの均一化を安価な構成で実現し、高画質な画像が得られる現像装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため本発明は、磁気ロールと、その磁気ロール上の現像剤の搬送量を規制して像担持体に接触する穂立ちの高さを調整するドクターブレードとを備えた現像装置において、前記ドクターブレードが、当該ドクターブレードと磁気ロール間のギャップを調整する機構と、前記ドクターブレードの反り方向を調整する機構とを有する保持部材によって支持固定されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は前述のような構成になっており、たとえドクターブレードが反りにより変形が生じていたとしても、本発明による保持部材の構成により反り方向に矯正が可能となるので、安価な構成でドクターブレードと磁気ロールとのギャップの均一化が図れ、高画質な画像をえられる現像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明はドクターブレードの反りを矯正する方向に調整できる手段として、両端部のドクターブレード保持部材の現像装置側壁への固定座面の形状に着目して、固定座面が平面では上下左右の平面的な自由度しか得られないため、前記固定部材に段差を設けることで傾けての固定も可能となり、ドクターブレードにモーメント力を与えて反りを矯正することが可能となる。
【0008】
以下、本発明の実施例に関し図面を用いて説明する。図1は、実施例に係る現像装置の断面図である。
【0009】
現像装置は、磁気ブラシを形成するための磁気ロール1aと1b、その磁気ロール1aと1bの間に規定の隙間を保って位置するドクターブレード2、A方向から補給されたトナーを撹拌・搬送してトナーを帯電させるオーガスクリュウ3a、3b、オーガスクリュウ3bから磁気ロール1bに現像剤を供給する羽根車4、磁気ロール1a,1bから飛散した現像剤を捕集する回収ロール5、現像剤中のトナー濃度を一定に保つためのトナー濃度コントロールセンサ6などを備えている。前記磁気ロール1aと1bは、像担持体7である感光ドラムの周面に対向して設けられている。
【0010】
図2は、ドクターブレード2の固定構造を説明するための図である。ドクターブレード2の両端部は保持部材8aにネジ9で固定され、保持部材8aはネジ10a、10bにより現像装置の側壁11に固定されている。
【0011】
保持部材8aの固定用ネジ10a、10bは外径が固定穴12より小さく設計されており、矢印B方向ならびに矢印C方向に自在に動かすことができ、ドクターブレード2と磁気ロール1aまたは1bとのギャップの調整が可能となっている。
【0012】
しかしながら、ドクターブレード2の長手方向に沿って図に示すような反りが発生している場合、矢印B方向、C方向の調整だけでは反り中央部の磁気ロールに対するギャップが両端部に比べて狭くなり、長手方向に渡り均一なギャップを得ることができない。そこで前記保持部材8aの側壁11に対する座面に段差8bを設け、この保持部材8aを用いてネジ10aを締め込むことにより、ドクターブレード2の反りを矯正するD方向にモーメントを発生させて、ネジ10aの締め込み量を調整することにより、ドクターブレード2の磁気ロールに対するギャップを長手方向に渡り均一に調整することが可能となる。
【0013】
尚、ドクターブレード2の反り方向が前記と逆の場合は、保持部材8aの段差位置を逆にすれば良い。つまり、ドクターブレード2の断面形状により反りの方向は決まるので、その方向に合わせて保持部材の段差位置を決めれば良いことになる。ここで、段差は保持部材そのものに設けなくてもスペーサ等の使用でも代用が可能であり、その場合、ドクターブレードの反り方向に併せて任意にスペーサの取付け位置を変えられるので調整の自由度が高まるという利点もある。
【0014】
このように簡単かつ安価な構成によりドクターブレードの磁気ロールに対するギャップを均一に調整することができ、高画質な画像が得られる現像装置ならびに画像形成装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
電子写真方式を利用したレーザープリンタにおける像担持体表面、転写ベルト表面等の清掃用ブレードの接触圧均一化等にも使用できる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係る現像装置の断面図である。
【図2】その現像装置におけるドクターブレードの固定構造を説明するための図である。
【符号の説明】
【0017】
1a、1b…磁気ロール、2…ドクターブレード、3a、3b…オーガスクリュウ、4…羽根車、5…回収ロール、6…トナー濃度コントロールセンサ、7…像担持体、8a…保持部材、8b…保持部材の段差、9…ドクターブレードを保持部材に固定するネジ、10a、10b…保持部材を現像装置に固定するネジ、11…現像装置の側壁、12…保持部材固定用ネジ穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ロールと、その磁気ロール上の現像剤の搬送量を規制して像担持体に接触する穂立ちの高さを調整するドクターブレードとを備えた現像装置において、
前記ドクターブレードが、当該ドクターブレードと磁気ロール間のギャップを調整する機構と、前記ドクターブレードの反り方向を調整する機構とを有する保持部材によって支持固定されることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、前記保持部材が前記ドクターブレードの両端部を支持し、且つ現像装置側壁に対する固定座面に段差を設けて固定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の現像装置において、前記保持部材が前記ドクターブレードの両端部を支持し、且つ現像装置側壁に対する固定座面の一部分にスペーサを挟んで固定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−292791(P2008−292791A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138657(P2007−138657)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】