説明

現像装置およびそれを備えた画像形成装置

【課題】高濃度の連続印刷における印刷濃度を安定させる手段を提供する。
【解決手段】現像装置が、静電潜像担持体に対向配置され回転により静電潜像担持体へ現像剤を供給する現像剤担持体と、現像剤担持体に対向配置され回転により現像剤担持体へ現像剤を供給する現像剤供給部材と、現像剤供給部材に対向配置され現像剤供給部材上の現像剤を帯電させる現像剤帯電部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、FAX、複写機等の電子写真方式を用いた現像装置およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のプリンタでは、帯電、露光、現像、転写、定着、クリーニングの各プロセスによって画像を形成する方法が良く知られている。
この内、現像プロセスでは、感光体ドラムに現像ローラを接触させ、この現像ローラに電圧を印加して、感光体ドラム上の静電潜像を現像する非磁性一成分トナーを用いた接触型の現像装置(感光体ドラムと現像ローラとが接触している現像装置をいう。)が、小型化、低価格化の利点から良く使われている。
【0003】
このような従来の現像装置は、供給ローラが現像ローラに押圧されているのが一般的であるが、例えば高速化を図るためには駆動トルクを下げ、熱の発生を抑えることが需要である。駆動トルクを低減するための方法としては、現像ローラと、表面に凸凹を設けた供給ローラとを非接触に配置した現像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−101485号公報(公報第2頁左下欄14行〜第5頁右上欄1行、第1図、第8図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、供給ローラが現像ローラを押圧しておらず、トナーを摩擦帯電させるための機構がないので、高濃度の印刷を連続して行った場合には、予備帯電されたトナーを現像ローラに十分供給することができなくなり、濃度低下や印刷かすれが発生するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、供給ローラが現像ローラを押圧していない場合においても、高濃度の連続印刷における印刷濃度を安定させる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、現像装置が、静電潜像担持体に対向配置され回転により前記静電潜像担持体へ現像剤を供給する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に対向配置され回転により前記現像剤担持体へ現像剤を供給する現像剤供給部材と、前記現像剤供給部材に対向配置され前記現像剤供給部材上の現像剤を帯電させる現像剤帯電部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明は、帯電させた現像剤を現像剤担持体に安定して供給することが可能となり、高濃度の連続印刷における印刷濃度を安定させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1のプリンタを示すブロック図
【図2】実施例1の画像形成装置の断面を示す説明図
【図3】実施例1の現像装置の断面を示す説明図
【図4】実施例1のトナー帯電部材を示す説明図
【図5】実施例1の現像装置の連続高濃度印刷試験の評価結果を示す表
【図6】実施例2の画像形成部の断面を示す説明図
【図7】実施例2の現像装置の断面を示す説明図
【図8】実施例2の現像装置の連続高濃度印刷試験の評価結果を示す表
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明による現像装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1において、1は画像形成装置としてのプリンタであり、本実施例では、電子写真方式を用いたカラープリンタである。
2はプリンタ1の制御部であり、上位装置としてのホストコンピュータ3からの画像データを添付した印刷指示に基づいて、プリンタ1内の各部を制御して、印刷用の媒体としての用紙P上への印刷処理等を実行する機能を有している。
【0012】
4はプリンタ1の記憶部であり、制御部2が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータ、制御部2による処理結果等が格納される。
図2において、5はプリンタ1に設けられた画像形成装置であり、K色(ブラック)、Y色(イエロー)、M色(マゼンダ)、C色(シアン)の、現像剤としてのトナーを充填した4つの画像形成部6k、6y、6m、6cが設けられている。
【0013】
また、これら4つの画像形成部6は、駆動ローラ7aとテンションローラ7bとの間に掛渡された搬送ベルト7の用紙Pの搬送方向(用紙搬送方向という。)に沿って、現像剤像としてのトナー像を現像する順に配設されている。
本実施例の各画像形成部6は、基本的に同一の構造であるので、その内の一つについて以下に説明する。
【0014】
静電潜像担持体としての感光体ドラム8の周囲には、帯電ローラ9、露光ヘッド10、現像装置11、転写ローラ12が配置され、帯電ローラ9、露光ヘッド10、現像装置11、転写ローラ12は、感光体ドラム8の表面に接触もしくは圧接して設けられている。また、感光体ドラム8の周囲には、クリーニングブレード13が、感光体ドラム8の表面に残留したトナーを掻き取って除去するために感光体ドラム8の表面に接触して設けられている。
【0015】
現像装置11は、印刷時に感光体ドラム8に接触する現像剤担持体としての現像ローラ14とトナーを現像ローラ14に供給する現像剤供給部材としての供給ローラ15と、供給ローラ15近傍のトナーを帯電させるトナー帯電部材16と現像ローラ14の表面に接触して供給ローラ15から供給されたトナーを薄層化する現像ブレード17と、現像に使用されずに現像装置11内に戻ってきた現像ローラ14上のトナーを回収する現像剤回収部材としての回収ローラ18とにより構成されている。
【0016】
また、搬送ベルト7の用紙搬送方向の下流側には、用紙Pに転写されたトナー像を定着させる加熱ローラ19、バックアップローラ20を備えた定着装置21が配置され、搬送ベルト7の回転方向の最下流側には、搬送ベルト7上に残留するトナーを掻き取って除去するためのベルトクリーニングブレード22が設置されている。
【0017】
露光手段としての露光ヘッド10は、LED(Light Emitting Diode)光やレーザ光等の発光体を有して感光体ドラム8の上方に対向配置されており、画像信号に対応した光を感光体ドラム8の表面に照射して静電潜像を形成する機能を有している。
【0018】
感光体ドラム8は、導電性支持体としての金属製のパイプの外周表面に有機感光体を被覆して形成された円筒状部材であって、駆動モータ29(図1参照)により、用紙Pを搬送する方向に回転駆動される(図2に矢印で示す時計方向、搬送回転方向という。)。
【0019】
帯電ローラ9は、金属製のシャフトに半導電性ゴム層を被覆して形成された円柱状部材であって、感光体ドラム8の回転に伴って感光体ドラム8に接触もしくは圧接して逆方向に回転駆動され、感光体ドラム8を均一に帯電させる機能を有している。
【0020】
転写手段としての転写ローラ12は、感光体ドラム8と搬送ベルト7を挟んで対向配置されており、感光体ドラム8とは独立に回転駆動され、転写ローラ12に印加される電圧によって、感光体ドラム8の表面に形成されたトナー像を用紙P上に転写する機能を有している。
【0021】
現像ローラ14は、金属製のシャフト23の外周表面に弾性体24を被覆して形成された円柱状部材であって(図3参照)、感光体ドラム8と接触しながら逆方向に回転駆動され、露光ヘッド10により感光体ドラム8上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する機能を有している。
【0022】
本実施例の現像ローラ14は、直径12mmの金属製のシャフト23の外周表面に弾性体24として肉厚4mm、ゴム硬度60°(アスカーC)の半導電性のシリコンゴムを被覆して形成され、表面層には摩擦係数や粗さ、帯電特性を調整するための処理を施してある。
【0023】
供給ローラ15は、金属製のシャフトで構成され、現像ローラ14と0.5mmの所定の間隔をもって非接触状態、つまり外周表面同士が離間した状態で対向配置されており、現像ローラ14と同方向に回転駆動される。
本実施例の供給ローラ15は、直径14mmのステンレス製シャフトで形成されている。
【0024】
現像剤層規制部材としての現像ブレード17は、ステンレス鋼板等の弾性を有する金属材の先端をL字状に曲折して形成した薄板である。また、現像ブレード17は、現像ローラ14と供給ローラ15との対向部の現像ローラ14の回転方向の下流側に配置され(図3参照)、先端の曲折部の背側の面が現像ローラ14の外周表面を所定の押圧力で押圧しながら接触して、現像ローラ14の表面上のトナー厚を所定の厚さに薄層化した現像剤層としてのトナー層を形成する機能を有している。
【0025】
本実施例の現像ブレード17は、厚さ0.08mmのステンレス鋼板(SUS304)をL字型に成形して形成されている。
現像剤回収部材としての回収ローラ18は、図3に示すように、金属製のシャフト25とブラシ毛26で構成され、ブラシ毛26の先端部で現像ローラ14の外周表面を所定の押圧力で押圧するように配置されており、現像ローラ14と逆方向に回転駆動され、現像に使用されずに戻ってきた現像ローラ14上のトナーを回収する機能を有している。
【0026】
本実施例の回収ローラ18は、直径6mmの金属製のシャフト25の外周に、リボン状のパイル織り生地をスパイラル巻きすることによりブラシ毛26を形成し、そのブラシ毛26の材質はナイロン、長さは3mm、繊度は6デシックスであり、回収ローラ18の電気抵抗は1.0×104〜1.0×108Ω程度である。
【0027】
図3に示す、現像剤帯電部材としてのトナー帯電部材16は、図4に示すように、鋭角の頂角を有する二等辺三角形からなる複数の歯を一列に配置した、供給ローラ15の軸方向長さと同等の長さを有する鋸歯電極であって、歯の先端を供給ローラ15の外周表面に向けて所定の距離を介して非接触で対向配置される。
本実施例のトナー帯電部材16の歯のピッチは1.0mm、頂角は10°、厚さは0.08mmであり、供給ローラ15の外周表面との所定の距離は2mmに設定されている。
【0028】
図1において、9aは帯電ローラ9に電圧を印加する帯電用電源、12aは転写ローラ12に電圧を印加する転写用電源、14aは現像ローラ14に電圧を印加する現像用電源、15aは供給ローラ15に電圧を印加する供給用電源、16aはトナー帯電部材16に電圧を印加するトナー帯電用電源、17aは現像ブレード17に電圧を印加する現像ブレード用電源、18aは回収ローラ18に電圧を印加する回収用電源であり、各電源は、それぞれ制御部2からの指令によって各ローラや部材に所定の電圧を印加する。
【0029】
本実施例では、帯電ローラ9には−1050V、現像ローラ14には−200V、供給ローラ15には−1500V、現像ブレード17には−330V、回収ローラ18には−100Vの電圧を印加するように設定されている。なお、これらの印加電圧値は、予め設定されて記憶部4に格納されている。
【0030】
21aは定着用電源であり、制御部2からの指令により、定着装置21に設けられた加熱ローラ19に加熱用の電力等を供給する。
27は印刷制御部であり、制御部2からの指令により、制御部2が受信した印刷指示の画像データを基に生成した印刷データに基づいて、各露光ヘッド10に各色の画像信号を送り、露光ヘッド10を駆動する機能を有している。
【0031】
28は駆動制御部であり、駆動モータ29を駆動することによって、駆動ローラ7a、感光体ドラム8、帯電ローラ9、現像ローラ14、供給ローラ15、回収ローラ18、定着装置21の加熱ローラ19等の回転駆動を制御する機能を有している。
【0032】
本実施例の現像装置11は、上記したように、その内部に、現像ローラ14、供給ローラ15、トナー帯電部材16、現像ブレード17、回収ローラ18、を配置して構成され、その現像ローラ14、供給ローラ15、回収ローラ18の周囲にはトナーが充填されている(図1参照)。
【0033】
本実施例のトナーは、結着樹脂としてポリエステル、着色剤として、ブラックはカーボンブラック、イエローはイソインドリン系顔料、マゼンダはキナクリドン系顔料、シアンは銅フタロシアニン系顔料等を用いた負帯電性の粉砕トナーを用いている。また、体積平均粒子径は5.8μmとし、流動性および帯電性をコントロールする目的で添加剤を外添している。
【0034】
この添加剤としては、例えば酸化チタン、アルミナ、シリカ等があり、更にシリカはシリコーンオイル処理やジシラザン処理等を施したものがある。また一次粒子径としては7nm、12nm、14nm、21nm、40nm等のものがあり、それらを組み合わせてターブラミキサーやヘンシェルミキサー等によりトナーと混合して外添する。
【0035】
以下に、本実施例のプリンタ1による印刷動作について説明する。
プリンタ1の制御部2は、ホストコンピュータ3からの印刷指示を受信すると、駆動制御部28によって、感光体ドラム8を駆動モータ29により搬送回転方向に一定周速度で回転させ、そして感光体ドラム8の表面に接触もしくは圧接して設けられた帯電ローラ9に帯電用電源9aによって直流電圧を印加して感光体ドラム8の表面を一様均一に帯電させる。本実施例では、帯電ローラ9に−1050Vの直流電圧を印加し、そのときの感光体ドラム8の表面の帯電電位は約−550Vであった。
【0036】
感光体ドラム8の表面を帯電させた制御部2は、露光プロセスにおいて、印刷制御部27によって、感光体ドラム8に露光ヘッド10から画像信号に対応した光を照射させ感光体ドラム8の表面上に静電潜像を形成する。
【0037】
現像装置11内に収容されているトナーは、トナー帯電用電源16aから電圧が印加されたトナー帯電部材16によって発生したマイナスイオンにより帯電される。
すなわち、トナー帯電部材16は、供給ローラ15を対向電極とした放電によりマイナスイオンを発生させ、そのマイナスイオンは、トナー帯電部材16と供給ローラ15との間の電界によって供給ローラ15の外周表面上のトナーに供給され、トナーには負の帯電電荷が付与される。本実施例では、トナー帯電部材16には−2500Vが印加される。
【0038】
負に帯電されたトナーは、供給ローラ15の回転に伴って搬送され、供給用電源15aによって電圧が印加された供給ローラ15と現像ローラ14との間の電界から受ける静電気力によって現像ローラ14に供給される。本実施例では、供給ローラ15に−1500Vの直流電圧を印加した。また、現像ローラ14と供給ローラ15は同じ方向に回転しており、その周速度比は現像ローラ14の回転速度に対して0.6倍とした。
【0039】
トナーを吸着した現像ローラ14は、そのトナーを感光体ドラム8の方向に搬送する。このとき搬送されるトナーは、現像ローラ14と供給ローラ15の対向部と、感光体ドラム8との間の、現像ローラ14の回転方向下流側に配置され、現像ブレード用電源17aにより−330Vの直流電圧が印加された現像ブレード17の押圧によって薄層化され、現像ローラ14の表面上にトナーの薄層が形成される。なお、本実施例の現像ブレード17による現像ローラ14への押圧力は、約0.8N/cmに設定されている。
【0040】
現像ブレード17を通過したトナーは、さらに現像ローラ14の回転により感光体ドラム8の方向に搬送され、感光体ドラム8上に形成された静電潜像を現像して静電潜像に対応したトナー像を形成する。この反転現像においては、感光体ドラム8の導電性支持体と現像ローラ14間には現像用電源14aによってバイアス電圧が印加される。本実施例では、現像ローラ14に−200Vの直流電圧が印加される。
【0041】
このような構成では、現像ローラ14と感光体ドラム8の間には、感光体ドラム8に形成された静電潜像に伴う電気力線が発生するため、現像ローラ14上の帯電したトナーは静電気力により、感光体ドラム8上の静電潜像による画像部に付着し、可視像として現像されたトナー像が形成される。
【0042】
感光体ドラム8上の非画像部に対応する現像ローラ14上のトナーは、現像されずに現像ローラ14上に留まり、現像ローラ14の回転により再び現像装置11内に戻り、回収ローラ18による静電気力により現像ローラ14から剥離される。
【0043】
この回収ローラ18は、現像ローラ14と逆方向にシャフト25を回転軸として回転しており、現像ローラ14の回転するタイミングに合わせて、回収用電源18aによって電圧が印加される。本実施例では、回収ローラ18に−100Vの直流電圧が印加され、回収ローラ18と現像ローラ14との逆方向への回転における周速度比は現像ローラ14の回転速度に対して1.2倍となっている。
【0044】
また、回収ローラ18によりトナーが回収された現像ローラ14の表面には、その回転に伴って、供給ローラ15から新たなトナーが供給される。
【0045】
一方、制御部2は、図示しない給紙カセットから用紙Pを1枚分離して繰出し、その用紙Pを駆動ローラ7aにより回転している搬送ベルト7によって画像形成部6に搬送し、感光体ドラム8と転写ローラ12との対向部に用紙Pが搬送されると、その転写ローラ12へ転写用電源12aから電圧を印加し、感光体ドラム8上に形成されたトナー像を用紙Pに転写する。
【0046】
その後、用紙Pは更に搬送ベルト7により用紙搬送方向に搬送され、定着装置21へ搬送されると、熱および圧力によりトナーが溶融されそれを用紙Pの繊維間に浸透させてトナー像を用紙Pへ定着させ、定着を終えた用紙Pはプリンタ1の外部へ排出される。
なお、転写後の感光体ドラム8には、若干のトナーが残留する場合があるが、この残留トナーは、クリーニングブレード13によって除去され、感光体ドラム8は繰り返し利用される。
【0047】
上記の印刷動作における本実施例の現像装置11の効果を確認するために、100%Dutyのベタ印刷(用紙Pの印刷可能範囲の全てを100%としたとき、その全てに黒ベタを印刷することをいう。)を3枚連続して行い、3枚目で印刷かすれの発生の有無を確認する連続高濃度印刷試験を行った。
【0048】
連続高濃度印刷試験における比較対象としては、トナー帯電部材16およびトナー帯電用電源16aを取り除いた現像装置11を設けたプリンタ1を用いた。
また、本実施例のプリンタ1において、トナー帯電用電源16aからの出力電圧を変化させた条件でも同様の評価を行った。その評価結果を図5に示す。
【0049】
図5に示すように、トナー帯電部材16を設けていないプリンタ1では、印刷かすれが発生し、高濃度印刷を連続して行った場合に良好な印刷を維持できていない。
また、トナー帯電部材16を備えていても、トナー帯電部材16に印加する電圧が−2400Vよりも絶対値として小さい場合には印刷かすれが発生している。
【0050】
これは、印加電圧が小さいためにトナー帯電部材16においてマイナスイオンが十分発生せず、その結果トナーの帯電量が不十分なために供給ローラ15から現像ローラ14へのトナーの供給量が不足するためであるが、トナー帯電部材16に印加する電圧を−2500Vよりも絶対値として大きくすると、印刷かすれの発生はなく、良好な印刷画像が得られる。
【0051】
このように、トナー帯電部材16に適切な電圧を印加し、発生させたマイナスイオンを供給してトナーを帯電させることで、摩擦帯電機構を設けていない現像装置においてもトナーを安定して現像ローラ14に供給することが可能となり、駆動トルクの低減を図りつつ印刷品質を安定させることができる。
【0052】
上記のように、本実施例の供給ローラ15と現像ローラ14とを非接触状態で対向配置した現像装置11においては、供給ローラ15に対向させて、供給ローラ15の近傍のトナーを帯電させるためのトナー帯電部材16を、供給ローラ15と所定の距離を介して非接触で対向配置したので、トナー帯電部材16に電圧を印加して、供給ローラ15を対向電極とする放電によりトナーに帯電電荷を付与し、その予め帯電したトナーを供給ローラ15から現像ローラ14ヘ静電気力により円滑に供給することが可能になり、高濃度印刷を連続して行った場合においても、安定した印刷濃度を保つことができる。
【0053】
また、供給ローラ15と現像ローラ14とを非接触状態で配置することで、トナーヘの摩擦によるダメージを軽減できると共に、駆動トルクの低減を図ることが可能となる。
【0054】
なお、本実施例では、供給ローラ15にトナー帯電部材16を対向配置して供給ローラ15上のトナーを帯電させている。これは、現像ローラ14にトナー帯電部材16を対向配置しても放電によりトナーを帯電させることは可能であるが、現像ローラ14上で直接トナーを帯電させると、帯電させたトナーにムラが生じた場合に、印刷画像に与える影響が大きくなる可能性があり、供給ローラ15上でトナーを帯電させた後に、現像ローラ14へ供給する方がその影響を低減できるからである。
【0055】
以上説明したように、本実施例では、現像装置に、感光体ドラムに対向配置され回転により感光体ドラムへトナーを供給する現像ローラと、現像ローラに非接触状態で対向配置され回転により現像ローラへトナーを供給する供給ローラと、供給ローラに所定の距離を介して対向配置され、供給ローラの近傍のトナーを帯電させるトナー帯電部材とを設けたことによって、トナー帯電部材に電圧を印加して、供給ローラを対向電極とする放電によりトナーに帯電電荷を付与することができ、帯電させたトナーを現像ローラに安定して供給することが可能となり、高濃度の連続印刷における印刷濃度を安定させることができる。
【実施例2】
【0056】
以下に、図6ないし図8を用いて本実施例の現像装置について説明する。なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0057】
本実施例の画像形成装置5の基本的な構成は上記実施例1と同様であるが、図6、図7に示すように、本実施例の現像装置11に設けたトナー帯電部材31は、アクリル系繊維に硫化銅を含浸させた導電性繊維からなるブラシ部32と、ブラシ部32を支持する金属製の板部材からなる支持部33により構成され(図7参照)、トナー帯電部材31のブラシ部32の先端は、供給ローラ35の外周表面に接触させて配置される。
【0058】
このため、本実施例の供給ローラ35には、金属製のシャフト36の表面に誘電体層37を被覆して形成され、具体的には、直径14mmのステンレス製のシャフト36の表面に誘電体層37として、30μmの厚さでアクリル樹脂層をコーティングして形成されている。
また、供給ローラ35と現像ローラ14とは、上記実施例1と同様に、0.5mmの所定の間隔をもって非接触状態で対向配置されている。
【0059】
なお、トナー帯電部材31のブラシ部32は、供給ローラ35の軸方向長さと同等の長さに形成されている
以下に、本実施例のプリンタ1による印刷動作について説明する。
【0060】
制御部2が、印刷指示を受信して、露光プロセスにおいて、感光体ドラム8の表面上に静電潜像を形成するまでの動作は、上記実施例1の場合と同様であるので、その説明を省略する。
現像装置11内に収容されているトナーは、トナー帯電用電源16aから電圧が印加されたトナー帯電部材31によって発生したマイナスイオンにより帯電される。
【0061】
すなわち、トナー帯電部材31は、供給ローラ35の誘電体層37を介したシャフト36を対向電極とした放電によりブラシ部32でマイナスイオンを発生させ、そのマイナスイオンは、トナー帯電部材31のブラシ部32と供給ローラ35のシャフト36との間の電界によって供給ローラ35の誘電体層37の外周表面上のトナーに供給され、トナーには負の帯電電荷が付与される。本実施例では、トナー帯電部材31は供給ローラ35と接触しており、発生したイオンにより効率よくトナーに帯電電荷を付与することができる。
【0062】
なお、本実施例の供給ローラ35の表面を誘電体層37であるアクリル樹脂層によってコーティングしてあるのは、ブラシ部32の先端を、実施例1のような金属シャフトからなる供給ローラ15に接触させると、トナー帯電部材31と供給ローラ15間に過大な電流が流れ、トナー帯電部材31への印加電圧が制限されることでマイナスイオンを効率よく発生させてトナーに帯電電荷を付与することができなくなるためである。このため、供給ローラ35の表面に誘電体層37を設けて、電界強度を維持しつつ電流の流れ込みを防止している。
【0063】
その後の印刷動作は、上記実施例1の場合と同様であるので、その説明を省略する。
上記の印刷動作における本実施例の現像装置11の効果を確認するために、100%Dutyのベタ印刷を3枚連続して行い、3枚目で印刷かすれの発生の有無を確認する、上記実施例1と同様の連続高濃度印刷試験を行った。
【0064】
連続高濃度印刷試験における比較対象としては、実施例1と同様に、トナー帯電部材31およびトナー帯電用電源16aを取り除いた現像装置11を設けたプリンタ1を用いた。
また、本実施例のプリンタ1において、トナー帯電用電源16aからの出力電圧を変化させた条件でも同様の評価を行った。その評価結果を図8に示す。
【0065】
図8に示すように、トナー帯電部材31を設けていないプリンタ1では、印刷かすれが発生し、高濃度印刷を連続して行った場合に良好な印刷を維持できていない。
また、トナー帯電部材31を備えていても、トナー帯電部材31に印加する電圧が−1900Vよりも絶対値として小さい場合には印刷かすれが発生している。
【0066】
これは、印加電圧が小さいためにトナー帯電部材31においてマイナスイオンが十分発生せず、その結果トナーの帯電量が不十分なために供給ローラ35から現像ローラ14へのトナーの供給量が不足するためであるが、トナー帯電部材31に印加する電圧を−2000Vよりも絶対値として大きくすると、印刷かすれの発生はなく、良好な印刷画像が得られる。
【0067】
このように、トナー帯電部材31に適切な電圧を印加し、発生させたマイナスイオンを供給してトナーを帯電させることで、摩擦帯電機構を設けていない現像装置においてもトナーを安定して現像ローラ14に供給することが可能となり、駆動トルクの低減を図りつつ印刷品質を安定させることができる。
【0068】
また、本実施例の構成にすることで、実施例1に較べて、トナー帯電部材31と供給ローラ35間の電位差を小さくしても、トナーへの帯電量を確保することができ、予め帯電したトナーを供給ローラ35から現像ローラ14ヘ静電気力により円滑に供給することが可能になり、高濃度印刷を連続して行った場合においても、安定した印刷濃度を保つことができる。
更に、供給ローラ35と現像ローラ14とを非接触状態で配置することで、トナーヘの摩擦によるダメージを軽減できると共に、駆動トルクの低減を図ることが可能となる。
【0069】
なお、本実施例では、供給ローラ35の表面に誘電体層37を設け、その誘電体層37の外周表面に、トナー帯電部材31のブラシ部32の先端を接触させるとして説明したが、実施例1の金属製のシャフトからなる供給ローラ15の表面に誘電体層37を設け、その供給ローラ15のシャフトの外周表面と、トナー帯電部材16の鋸場電極26aの先端とを所定の距離として対向配置すれば、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0070】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、導電性のブラシ部を有するトナー帯電部材を用い、そのブラシ部の先端を供給ローラの表面に接触させて電圧を印加するようにしたことによって、より低い電位差で、トナーを帯電させることができ、帯電させたトナーを現像ローラに安定して供給することが可能となり、高濃度の連続印刷における印刷濃度を安定させることができる。
【0071】
なお、上記各実施例においては、供給ローラと現像ローラとを非接触状態で配置するとして説明したが、供給ローラと現像ローラとを接触状態(供給ローラと現像ローラとの外周表面同士が触れ合っている状態をいい、意図的に押圧した状態は含まない。)として配置するようにしても、本発明の効果を損なうものではない。
【0072】
また、上記各実施例においては、トナー帯電部材に直流電圧を印加して連続印加を行う場合を例に説明したが、パルス波(例えば、交流)を印加して断続的印加を行うようにしてもよい。
更に、上記各実施例においては、感光体ドラムと現像ローラとを接触させた、非磁性一成分接触現像方式の電子写真方式に適用した例を説明したが、感光体ドラムと現像ローラとを非接触とした、非磁性―成分非接触現像方式の電子写真方式を用いた現像装置及びプリンタにも用いることができる。
【0073】
更に、上記各実施例においては、本発明の現像装置をカラープリンタに適用した場合を例に説明したが、モノクロプリンタ、複写機等の電子写真方式を用いた画像形成装置に適用しても同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 プリンタ
2 制御部
3 ホストコンピュータ
4 記憶部
5 画像形成装置
6、6k、6y、6m、6c 画像形成部
7 搬送ベルト
7a 駆動ローラ
7b テンションローラ
8 感光体ドラム
9 帯電ローラ
9a 帯電用電源
10 露光ヘッド
11 現像装置
12 転写ローラ
12a 転写用電源
13 クリーニングブレード
14 現像ローラ
14a 現像用電源
15、35 供給ローラ
15a 供給用電源
16、31 トナー帯電部材
16a トナー帯電用電源
17 現像ブレード
17a 現像ブレード用電源
18 回収ローラ
18a 回収用電源
19 加熱ローラ
20 バックアップローラ
21 定着装置
21a 定着用電源
22 ベルトクリーニングブレード
23、25、36 シャフト
24 弾性体
26 ブラシ毛
27 印刷制御部
28 駆動制御部
29 駆動モータ
32 ブラシ部
33 支持部
37 誘電体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像担持体に対向配置され回転により前記静電潜像担持体へ現像剤を供給する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に対向配置され回転により前記現像剤担持体へ現像剤を供給する現像剤供給部材と、前記現像剤供給部材に対向配置され前記現像剤供給部材上の現像剤を帯電させる現像剤帯電部材と、を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記現像剤帯電部材は、現像剤供給部材と所定の距離を介して配置され、前記現像剤供給部材を対向電極とする放電により現像剤に帯電電荷を付与することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の現像装置において、
前記現像剤帯電部材は、前記現像剤供給部材に接触して配置された導電性のブラシ部を有することを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の現像装置において、
現像剤供給部材の表面に、誘電体層を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の現像装置において、
前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材とが、非接触状態で配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の現像装置において、
前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材とが、接触状態で配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の現像装置を備え、前記現像剤供給部材および前記現像剤帯電部材に電圧を印加する電源を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−32735(P2012−32735A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174237(P2010−174237)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】