説明

現像装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】現像剤の劣化を確実に防止可能な現像装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】2成分現像装置であって、ハウジング(40)内に配設されており、キャリア及びトナーによる磁気ブラシを形成させる磁気ローラ(60)と、磁気ローラの下方に配設されており、像担持体(16)に対峙した開口(42)にて磁気ブラシから移送されたトナーの層を形成させる現像ローラ(70)と、この開口とキャリア及びトナーを収納した底壁(46)とを連結しており、磁気ブラシで現像ローラから掻き取られたトナーを底壁に回収する回収ローラ(76)を有したステー(80)とを具備し、ステーは、底壁に収納されるキャリア及びトナーの熱、並びに、底壁に回収されたトナーの熱をそれぞれ吸熱する吸熱部(86)と、吸熱部で吸熱した熱を放熱する放熱部(88)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア及びトナーを有する2成分現像剤を用いた現像装置及びこれを搭載した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の現像装置では、静電潜像が形成された感光体ドラムの表面にトナー画像を現像し、このトナー画像を用紙に転写及び定着させる。
ここで、この現像装置には、2成分現像方式と1成分現像方式とを組み合わせた方式がある。詳しくは、当該方式は、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させ、このトナーのみをドラムに供給し、その表面にトナー画像を現像している。
【0003】
そして、当該方式を用いた技術が開示されており(例えば、特許文献1参照)、ドラムに対峙する現像ローラを備え、この現像ローラにはトナーの層が形成される。
【0004】
【特許文献1】特開2006−139045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の技術では、吸熱部や放熱部が現像ローラの上方に設置されており、これでは、現像装置内のキャリア及びトナーが熱で劣化し易くなり、ひいては画像の劣化も招くとの問題がある。
なぜならば、当該技術の吸熱部や放熱部は、穂切りブレードにて規制された余剰な現像剤の熱を冷却できるのみであり、底壁に収納されるキャリア及びトナーからなる現像剤や、底壁に回収される現像ローラから回収されたトナーの各熱を冷却できないからである。
【0006】
このように、上記従来の技術では、大きな冷却効果を得る点については依然として課題が残されている。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、現像剤の劣化を確実に防止可能な現像装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための第1の発明は、キャリアを用いてトナーを帯電させ、トナーを像担持体に供給してトナー画像を現像させる現像装置であって、像担持体に対峙した開口、及びキャリア及びトナーを収納した底壁を有するハウジングと、ハウジング内に配設されており、キャリア及びトナーによる磁気ブラシを形成させる磁気ローラと、磁気ローラの下方に配設されており、開口にて磁気ブラシから移送されたトナーの層を形成させる現像ローラと、現像ローラの下方にて開口と底壁とを連結しており、磁気ブラシで現像ローラから掻き取られたトナーを底壁に回収する回収ローラを有したステーとを具備し、ステーは、底壁に収納されるキャリア及びトナーの熱、並びに、底壁に回収されたトナーの熱をそれぞれ吸熱する吸熱部と、吸熱部で吸熱した熱を放熱する放熱部とを備える。
【0008】
第1の発明によれば、キャリア及びトナーからなる2成分現像剤が用いられており、磁気ローラでは、この現像剤による磁気ブラシが形成され、このブラシは現像ローラにトナーの層を形成させる。そして、このトナーが像担持体に供給されることにより、トナー画像が現像される。一方、このブラシは、現像後には現像ローラのトナー層を掻き取って回収する。
【0009】
ここで、吸熱部及び放熱部が磁気ローラの上方に設置されていた場合には、底壁に収納されるキャリア及びトナーや、この底壁に回収されたトナーを冷却することが困難である。
しかしながら、本発明によれば、開口と底壁とがステーで連結されており、このステーは吸熱部を有し、この底壁に収納されるキャリア及びトナーの熱や、この底壁に回収されたトナーの熱をいずれも吸熱している。また、このステーは放熱部も有しており、吸熱部で吸熱した熱を放熱している。
【0010】
このように、底壁に存在するキャリアやトナーを冷却し、従来に比して大きな冷却効果を得ることができるので、キャリア及びトナーからなる現像剤の劣化が確実に防止される。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の構成において、ハウジングは、開口から上方に向けて延設した周壁を有しており、周壁は、磁気ブラシの厚さを規制する穂切りブレードを有することを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、開口から上方に向けて延設した周壁には、磁気ブラシの厚さを規制する穂切りブレードが配置されており、このブレードで規制された余剰のキャリア及びトナーからなる現像剤は、その重力で下方に向けて落下し、ステーに接触可能になる。よって、この余剰のキャリア及びトナーの熱も吸熱し、放熱されることから、従来に比してより一層大きな冷却効果を得ることができる。
【0012】
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、ステーは、ハウジングに対して着脱可能に構成されていることを特徴とする。
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、ステーは回収ローラを有しており、これらステーと回収ローラとはユニット化され、ハウジングから容易に着脱することできる。このように、このステーをハウジングから取り外し可能にすれば、例えば現像装置の組み立て時には、磁気ローラと現像ローラとの間隙をその下方から視認可能になるので、当該間隔の距離を、シックネスゲージ等の接触型の測定器を用いることなく、非接触の計測器で計測可能になる。よって、磁気ローラや現像ローラの損傷も回避することができる。
しかも、上述の如くステーと回収ローラとはユニット化されているので、現像装置の簡素化が達成される。
【0013】
第4の発明は、第1から第3の発明の構成において、ステーは、押し出し成形されているとともに、このステーには、回収ローラに付着したトナーを掻き取るスクレーパが貼付されていることを特徴とする。
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、ステーが押し出して成形された部材であるので、スクレーパを貼り付ける部分の面精度が出し易くなる。
【0014】
第5の発明は、第1から第4の現像装置を搭載した画像形成装置であることを特徴とする。
第5の発明によれば、第1から第4の発明の作用に加えてさらに、キャリア及びトナーの冷却が実施され、良好な画像形成が行われる結果、画像形成装置の信頼性向上に寄与する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、熱による現像剤の劣化、ひいては画像の劣化を確実に防止する現像装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、画像形成装置の一例である複合機1の構造が概略的に示されている。この複合機1の装置本体2の下部には給紙部4が配置されている。この給紙部4には、本体2の高さ方向に沿って2段のカセット6が備えられており、本実施例の各カセット6はいずれも本体2に対して前面側(図1でみて手前側)に向けて引き出し可能に構成されている。また、各カセット6には画像形成前の用紙が積層状態で収容され、この用紙は給紙部4から1枚ずつ分離され、右方向に向けて送出される。
【0017】
給紙部4の右方には用紙搬送部8が配置され、給紙部4から送出された用紙は本体2の右側面に沿って上方に向けて搬送される。次いで、この用紙は、本体2の内部で左側面へ向けて反転され、そのまま左側面に向けて搬送される。
一方、カセット6の上方には手差し給紙部5が備えられている。この給紙部5には、カセット6に入っていないサイズの用紙や、厚紙、或いはOHPシートの如く1枚ずつ送り込まれる種々の記録材が載置されている。そして、給紙部5からの記録材は用紙搬送部8に合流し、左側面に向けて搬送される。
【0018】
本体2の内部には、搬送部8からの用紙搬送方向でみて下流側にレジストローラ10、画像形成部14、及び転写部26が順番に配置されている。この画像形成部14の上方には光学部、例えばLSU(レーザスキャニングユニット)12が備えられており、この光学部12からは画像形成部14の感光体ドラム(像担持体)16に向けてレーザ光が照射される。
【0019】
また、用紙搬送方向でみて転写部26の下流側には定着部28及び排出・分岐部30が順番に配置され、片面印刷の場合には、定着部28から排出された用紙は排出・分岐部30を経て用紙受けトレイ32に排出される。
一方、この排出・分岐部30と給紙部4との間には両面印刷用ユニット34が配置されており、このユニット34では定着部28から排出された用紙を用紙搬送部8に向けて搬送し、この用紙は画像形成部14に再び送られる。
【0020】
ここで、本実施例の画像形成部14は、4つの画像形成ユニットで構成されている。これら各ユニットは、図1でみて右側から左側に向けて順に配列され、異なる4色(ブラック、シアン、マゼンタ及びイエロー)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程を通じてブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの画像を順次形成している。
【0021】
具体的には、画像形成部14の各ユニットには、各対応色の可視像(トナー画像)を担持するドラム16がそれぞれ設けられている。各ドラム16は本体2に対して回転自在に設置され、図示しない駆動モータによって同図の反時計回りに駆動する。
また、各ドラム16の周囲の適宜位置には、それぞれ対応する帯電器17、現像装置18、クリーニング部21や、中間転写ローラ22が設けられている。
【0022】
この帯電器17では、対応するドラム16の表面を一様に帯電させる。また、現像装置18では、それぞれブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色のトナーが各色のトナーコンテナ19からホッパー20を経由して供給され、このトナーを用いてドラム16の表面に静電的に付着させる。これにより、ドラム16の表面には、光学部12による静電潜像に応じたトナー画像が現像される。そして、これらドラム16上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト24上に順次転写され、1ページ分のトナー画像として合成される。
【0023】
詳しくは、上記ベルト24は、誘電体樹脂製のシート材の両端部分を重ね合わせて接合したエンドレス形状のベルトや、継ぎ目を有しないシームレスのベルトが用いられており、図示しない駆動モータによって同図の時計回りに走行する。
このベルト24は、各ドラム16と各中間転写ローラ22との間を走行しており、これにより、ドラム16上にそれぞれ形成されたトナー画像はベルト24上に1次転写される。なお、各クリーニング部21では、ドラム16上に残留したトナーが除去される。
【0024】
上述した転写部26のローラとベルト24との間を用紙が通過すると、ベルト24上に転写されたトナー画像は用紙に2次転写され、この用紙は定着部28に向けて搬送される。
ここで、本実施例の各現像装置18には、2成分現像方式と1成分現像方式とを組み合わせた方式が採用されている。
【0025】
すなわち、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させ、この帯電されたトナーのみをドラム16に向けて飛翔させており、非接触の現像方式によってトナー画像をドラム16に現像している。より具体的には、現像装置18は図2,3に示されるように、ハウジング40を有しており、本実施例のハウジング40は、ドラム16に対峙する開口42と、この開口42から上方に向けて延びる周壁44と、この周壁44の下方に形成される底壁46とを有している。
【0026】
この周壁44の適宜位置には周壁ダクト48,49が設けられており、図示しないファンからの空気によって周壁44が冷却される。
一方、底壁46には上述のキャリア及びトナーが収納され、上述のホッパー20が挿入されるとシャッター94が開き(図2)、このホッパー20に連結され、シャッター94の上方からトナー等が補給可能になる。また、底壁46には、撹拌ミキサー50及びパドルミキサー54がそれぞれ配置されている。各ミキサー50,54の軸52,56はハウジング40に対して回転自在に支持されており、これらミキサー50,54が同図に示す駆動部92の駆動力で回転すると、キャリア及びトナーが撹拌されてトナーを帯電させる。そして、これらキャリア及びトナーはミキサー54を介して汲み上げローラ57に向けて搬送される。
【0027】
この汲み上げローラ57の軸58もまた、ハウジング40に対して回転自在に支持されている。そして、このローラ57がギアを介して駆動部92の駆動力で回転すると、帯電したキャリア及びトナーは磁気ブラシローラ(磁気ローラ)60に搬送される。
磁気ブラシローラ60は、図3でみてミキサー54の右上方に配設されており、ブラシローラ60もハウジング40に対して回転自在に支持されている。
【0028】
詳しくは、ブラシローラ60は中心に軸62を有し、この軸62の両端部分には軸受を介してフランジが配設され、このフランジの外周には管状のブラシ側スリーブ64が一体的に嵌合されている。そして、このフランジがギアを介して駆動部92の駆動力で回転すると、このスリーブ64は同図の時計回りに回転する。
【0029】
このブラシ側スリーブ64内において、軸62の外周側には磁極が所定の磁力や角度を有して配置されており、汲み上げローラ57からのキャリア及びトナーを吸引して磁気ブラシを形成させる。これにより、当該磁気ブラシは、スリーブ64の外周面において、上記磁石を有する領域に形成されることになる。
【0030】
この磁気ブラシの厚さは、周壁ダクト48の近傍に設置された穂切りブレード45で規制されており、所定の直流(DC)バイアスや交流(AC)バイアスが印加されると、磁気ブラシはトナーを現像ローラ70に向けて搬送させる。一方、この磁気ブラシは現像後のトナー層を現像ローラ70から掻き取っている。
このように、当該磁気ブラシでは、強固に付着したトナー層を現像ローラ70から機械的な力で引き剥がす一方、現像に必要な新たなトナーを現像ローラ70に供給している。
【0031】
そして、上述した磁気ブラシによれば、現像後のトナーは掻き取りブレードなどの特別な装置を設けなくて済み、この磁気ブラシは、現像ローラ70のトナー層に接触し、各ローラ60,70の回転速度差によるブラシ効果と、ミキサー50,54での攪拌による磁気ブラシの現像剤の入れ替えとによってトナーの回収と搬送とが容易にされている。
【0032】
この現像ローラ70は、同図でみてブラシローラ60の右下方にて開口42の近傍に配設されている。
このローラ70の軸72は、ブラシローラ60の回転軸線に対して略平行に並設されており、この現像ローラ70もハウジング40に回転自在に支持されている。つまり、現像ローラ70も中心に軸72を有し、この軸72の両端部分には軸受を介してフランジが配設され、このフランジの外周には管状の現像側スリーブ74が一体的に嵌合されている。そして、このフランジがギアを介して駆動部92の駆動力で回転すると、スリーブ74は同図の時計回りに回転する。
【0033】
そして、これらブラシローラ60と現像ローラ70との電位差によって、この現像ローラ70には、ブラシローラ60から移送されたトナーのみの層が形成される。この現像ローラ70へのトナー層の形成と同時に、現像バイアス、すなわち、所定のDCバイアスを重畳したACバイアスが印加されると、現像ローラ70のトナーがドラム16に向けて飛翔する。これにより、各ドラム16の表面にはトナー画像が現像されることになる。
【0034】
ところで、上述したハウジング40の下部には、ステー80が着脱可能に構成されている。
具体的には、本実施例のステー80は、熱伝導部材(例えばアルミニウム)で構成され、押し出しにて成形されている。また、このステー80は、開口42と底壁46とを連結しており、この開口42の一部も兼ねる開口対峙部82と、底壁46の下面に連結される連結部84とを有している(図4)。
【0035】
このステー80は、開口対峙部82から現像ローラ70の外周に沿って上方に向けて反り、その頂部分に回収ローラ76が設置されている。一方、この頂部分からは、ミキサー54の外周に沿って下方に向けて反っており、底壁46に達している。
より詳しくは、この回収ローラ76の軸78は、現像ローラ70の回転軸線に対して略平行に並設されており、このローラ76は、ステー80に固定された支持部87に回転自在に支持されている。また、本実施例の軸78にはワンウェイクラッチが取り付けられ、このクラッチにはレバー部材が係合可能にされており、このレバー部材は、スリーブ74の回転により軸78を中心にして左右方向に揺動可能に構成されている。当該レバー部材が右方向に倒れると、上記ワンウェイクラッチとは係合しないのに対し、このレバー部材が左方向に倒れた場合には当該ワンウェイクラッチと係合する。そして、この軸78が上記レバー部材及びワンウェイクラッチを介して駆動部92の駆動力で回転すると、ローラ76は図3でみて反時計回りに回転する。
【0036】
また、回収ローラ76の外周面にはスクレーパ90が接触している。このスクレーパ90は、ステー80において、ミキサー54に対峙した適宜位置に貼付されており、回収ローラ76に付着したトナーを掻き取り可能に構成されている。これにより、磁気ブラシで現像ローラ70から掻き取られたトナーは、回収ローラ76に付着し、スクレーパ90で掻き取られ、ミキサー54の外周に沿って下方に向けて反った部分を経由して底壁46に向けて回収される。
【0037】
ステー80において、このミキサー54の外周に沿って下方に向けて反った部分が吸熱部86である。当該吸熱部86は、底壁46に収納されるキャリア及びトナーの熱、並びに、底壁46に回収されたトナーの熱をそれぞれ吸熱している。
また、この吸熱部86の下側には底壁ダクト(放熱部)88が設けられ、図示しないファンからの空気によって吸熱部86で吸熱した熱を放熱し、底壁46が冷却されている。
【0038】
この現像装置18を搭載した複合機1では、カセット6からの用紙や手差し給紙部5からの記録材はレジストローラ10に到達する。このローラ10は、用紙の斜め送りを矯正しつつ、画像形成部14で形成されるトナー画像とのタイミングを計りながら、用紙を転写部26へと送出する。
また、図示しないコントローラからの画像データに基づき、複合機1では光学部12によるレーザ光の照射が制御される。これにより、画像形成部14において各ドラム16上に原稿画像の静電潜像が作られ、続いてこの潜像からドラム16上にトナー画像が形成され、中間転写ベルト24を介して転写部26で用紙に転写される。
【0039】
その後、用紙は未定着トナー画像を担持した状態で定着部28に向けて送られ、この定着部28にて熱ローラによりトナー画像が定着される。次いで、定着部28から排出された用紙は排出・分岐部30を通ってトレイ32に排出される。
この片面印刷に対し、両面印刷を行う場合には、定着部28から排出された用紙はトレイ32に排出される直前にてユニット34側に引き戻され、この用紙は用紙搬送部8に合流し、再び転写部26に向けて送られる。そして、この場合には、用紙の未だ印刷がされていない方の面にトナー画像が転写される。
【0040】
以上のように、本実施例によれば、キャリア及びトナーからなる2成分現像剤が用いられており、各現像装置18のブラシローラ60では、この現像剤による磁気ブラシが形成され、このブラシは現像ローラ70にトナーの層を形成させる。そして、このトナーがドラム16に供給されることにより、トナー画像が現像される。一方、このブラシは、現像後には現像ローラ70のトナー層を掻き取って回収する。
【0041】
ここで、仮に、上述した吸熱部及び放熱部がブラシローラ60の上方に設置されていた場合には、底壁46に収納されるキャリア及びトナーや、この底壁46に回収されたトナーを吸熱して放熱することが困難であり、これでは、現像剤は熱で劣化し、ひいては画像の劣化も招くとの問題がある。
【0042】
しかしながら、本実施例によれば、開口42と底壁46とが現像ローラ70の下方でステー80で連結されており、このステー80はアルミニウム製の吸熱部86を有し、この底壁46に収納されるキャリア及びトナーの熱や、この底壁46に回収されたトナーの熱をいずれも吸熱している。また、このステー80は底壁ダクト88も有しており、吸熱部86で吸熱した熱を放熱している。
【0043】
このように、底壁46にて撹拌搬送される現像剤や、底壁46に戻されたトナーを冷却し、従来に比して大きな冷却効果を得ることができるので、キャリア及びトナーからなる現像剤の劣化が確実に防止されるのである。
さらに、開口42から上方に向けて延設した周壁44には、磁気ブラシの厚さを規制する穂切りブレード45が配置され、このブレード45で規制された余剰のキャリア及びトナーからなる現像剤は、その重力で下方に向けて落下し、ステー80に接触可能になる。よって、この余剰のキャリア及びトナーの熱も吸熱し、放熱されることから、従来に比してより一層大きな冷却効果を得ることができる。
【0044】
さらにまた、ステー80は回収ローラ76を有しており、これらステー80と回収ローラ76とはユニット化され、ハウジング40から容易に着脱することできる。このように、このステー80をハウジング40から取り外し可能に構成すると、例えば現像装置18の組み立て時には、ブラシローラ60と現像ローラ70との間隙をその下方から視認可能になるので、組み立てラインで確認が必要である当該間隔の距離を、シックネスゲージ等の接触型の測定器を用いることなく、非接触の計測器(例えばレーザやカメラ)で計測可能になる。よって、接触型の測定器を用いた場合に比してブラシローラ60や現像ローラ70の損傷も回避することができる。
【0045】
しかも、ステー80と回収ローラ76とはユニット化されているので、現像装置18の構成部品が少なくて済み、簡素化が達成される。
また、ステー80が押し出し部材であるので、スクレーパ90を貼り付ける部分の面精度も出し易い。
さらに、上述の如くキャリア及びトナーの冷却が実施され、良好な画像形成が行われる結果、複合機1の信頼性向上にも寄与する。
【0046】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、本発明の画像担持体は4つの感光体ドラムに限定されるものではなく、また、上記実施例では画像形成装置として複合機に具現化した例を示しているが、本発明の画像形成装置は複写機、プリンタ、ファクシミリやスキャナ等自体にも当然に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施例の画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1の現像装置の外観斜視図である。
【図3】図2の現像装置の断面図である。
【図4】図2のステーの外観斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 複合機(画像形成装置)
16 感光体ドラム(像担持体)
18 現像装置
40 ハウジング
42 開口
44 周壁
45 穂切りブレード
46 底壁
60 磁気ブラシローラ(磁気ローラ)
70 現像ローラ
76 回収ローラ
80 ステー
86 吸熱部
88 底壁ダクト(放熱部)
90 スクレーパ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアを用いてトナーを帯電させ、該トナーを像担持体に供給してトナー画像を現像させる現像装置であって、
前記像担持体に対峙した開口、及び前記キャリア及び前記トナーを収納した底壁を有するハウジングと、
該ハウジング内に配設されており、前記キャリア及び前記トナーによる磁気ブラシを形成させる磁気ローラと、
該磁気ローラの下方に配設されており、前記開口にて該磁気ブラシから移送されたトナーの層を形成させる現像ローラと、
該現像ローラの下方にて前記開口と前記底壁とを連結しており、前記磁気ブラシで前記現像ローラから掻き取られたトナーを前記底壁に回収する回収ローラを有したステーとを具備し、
該ステーは、
前記底壁に収納されるキャリア及びトナーの熱、並びに、該底壁に回収されたトナーの熱をそれぞれ吸熱する吸熱部と、
該吸熱部で吸熱した熱を放熱する放熱部と
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置であって、
前記ハウジングは、前記開口から上方に向けて延設した周壁を有しており、
該周壁は、前記磁気ブラシの厚さを規制する穂切りブレードを有することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の現像装置であって、
前記ステーは、前記ハウジングに対して着脱可能に構成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の現像装置であって、
前記ステーは、押し出し成形されているとともに、該ステーには、前記回収ローラに付着したトナーを掻き取るスクレーパが貼付されていることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の現像装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−128868(P2009−128868A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307021(P2007−307021)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】