説明

現像装置及びこれを用いた画像形成装置

【課題】像保持体側に向かう現像剤量を十分に確保し、かつ、像保持体上の静電潜像のうち非画像部への現像剤付着を抑制する。
【解決手段】像保持体10の周速vより速い周速vで同方向に移動する現像剤保持体1と、現像剤保持体1と像保持体10との間に離間配置され、少なくとも板状の導電性部材2aを有する電極部材2と、振動電界を形成し且つ現像剤保持体1上に保持された現像剤Tを振動させる振動電界形成装置3と、電極部材2のうち、現像領域Wに対応して設けられ、振動させられた現像剤Tを像保持体10の静電潜像z側に飛翔させる第1の開口5と、電極部材2のうち現像領域Wに対応し且つ第1の開口5よりも現像剤保持体1の移動方向下流側に設けられ、第1の開口5を経て像保持体10側に飛翔した現像剤Tの一部を現像剤保持体1側に戻す第2の開口6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における現像装置としては例えば特許文献1,2に記載のものが既に提供されている。
特許文献1には、トナー担持体と、このトナー担持体との対向位置に複数の制御電極が一方向に並設された対向電極と、トナー担持体と対向電極との間に設けられ、対向電極の各制御電極と対向方向で重なり合う位置にゲートが形成されている制御グリッドと、トナーを画像形成信号に応じて飛翔制御する電極電位制御手段とを備え、対向電極のうち、制御電極の少なくとも隣接面と制御グリッド側の面が絶縁層で封着された画像形成装置が開示されている。
特許文献2には、帯電したトナー層を担持して搬送するスリーブと、スリーブから飛翔するトナーを通過させる複数の開口が形成され、外部からの画像信号に応じてトナーの通過を制御する現像剤通過制御手段としてのFPCと、通過したトナーが着弾する中間像保持ベルトと、スリーブに担持されたトナー層の飛翔部分に機械的振動を与える振動手段とを備えた画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−320952号公報(発明の実施の形態,図1)
【特許文献2】特開2000−211182号公報(発明の実施の形態,図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、現像剤保持体と電極部材との間の振動電界により現像剤を振動させて像保持体上の静電潜像側に飛翔させるに当たり、像保持体側に向かう現像剤量を十分に確保し、かつ、像保持体上の静電潜像のうち非画像部への現像剤付着を抑制することが可能な現像装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、静電潜像が保持された像保持体に対向して離間配置され、粉体現像剤を外表面に保持し且つ前記像保持体との対向部にて前記像保持体の周速より速い周速で同方向に移動する現像剤保持体と、この現像剤保持体と前記像保持体との間で前記現像剤保持体に対向して離間配置され、少なくとも板状の導電性部材を有する電極部材と、この電極部材の導電性部材と前記現像剤保持体との間に振動電界を形成し且つ前記現像剤保持体上に保持された現像剤を前記電極部材との間で振動させる振動電界形成装置と、前記電極部材のうち、前記像保持体と前記現像剤保持体との間で現像に供される現像領域に対応して設けられ、前記現像剤保持体と前記電極部材との間で振動させられた現像剤を前記像保持体の静電潜像側に飛翔させる第1の開口と、前記電極部材のうち前記現像領域に対応し且つ前記第1の開口よりも現像剤保持体の移動方向下流側に設けられ、前記第1の開口を経て前記像保持体側に飛翔した現像剤の一部を現像剤保持体側に戻す第2の開口と、を備えることを特徴とする現像装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る現像装置において、前記電極部材のうち、少なくとも第1の開口よりも現像剤保持体の移動方向上流側に前記導電性部材を有するものであることを特徴とする現像装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る現像装置において、前記電極部材の導電性部材の表面露出部のうち、前記現像領域及び前記振動電界により現像剤が振動する領域は絶縁性被覆層で被覆されていることを特徴とする現像装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれかに係る現像装置において、前記電極部材は前記現像領域に対応した部位にも前記導電性部材を有し、前記振動電界形成装置は、前記電極部材の導電性部材に対し像保持体の静電潜像の画像部電位と非画像部電位との中間電位に相当する直流電圧を重畳させ、前記電極部材の導電性部材と現像剤保持体との間に振動電界を形成するものであることを特徴とする現像装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれかに係る現像装置において、前記現像剤保持体はロール状部材であることを特徴とする現像装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれかに係る現像装置において、前記第1の開口及び前記第2の開口は、前記現像領域の長手方向に沿って延びる切り口で構成されていることを特徴とする現像装置である。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし5いずれかに係る現像装置において、前記第1の開口及び前記第2の開口は、前記現像領域の長手方向に沿って複数に分割された孔で構成されていることを特徴とする現像装置である。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7いずれかに係る現像装置において、前記第1の開口及び第2の開口が現像剤保持体の移動方向に沿って複数設けられていることを特徴とする現像装置である。
請求項9に係る発明は、請求項1ないし8いずれかに係る現像装置において、前記電極部材のうち第1の開口と第2の開口との間に位置する仕切り部は、当該電極部材の他の部分に比べて像保持体側が凹み且つ現像剤保持体側が突出するように構成されていることを特徴とする現像装置である。
請求項10に係る発明は、請求項1ないし9いずれかに係る現像装置において、前記第1の開口は、像保持体側口が現像剤保持体側口に比べて現像剤保持体の移動方向に変位するように傾斜して設けられ、前記第2の開口は、現像剤保持体側口が像保持体側口に比べて現像剤保持体の移動方向に変位するように傾斜して設けられていることを特徴とする現像装置である。
【0007】
請求項11に係る発明は、静電潜像を保持して移動する像保持体と、この像保持体に対向して離間配置され且つ前記像保持体に保持された静電潜像を現像剤にて現像する請求項1ないし10いずれかに記載の現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項12に係る発明は、請求項11に係る画像形成装置において、像保持体は、移動可能な支持体と、この支持体の移動方向及びこの移動方向に交差する交差方向に沿って画像単位毎に行列配置される画素電極と、各画素電極に対して予め決められた画像信号に基づいた潜像電圧を印加することで静電潜像を書き込む静電潜像書込装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項13に係る発明は、請求項12に係る画像形成装置において、複数の色成分の静電潜像が保持される前記像保持体と、複数の色成分の現像剤を夫々有し且つ前記像保持体に対向して離間配置されて選択的に使用可能に設けられ、前記像保持体に保持された各色成分の静電潜像を対応する現像剤にて現像する複数の前記現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、現像剤保持体と電極部材との間の振動電界により現像剤を振動させて像保持体上の静電潜像側に飛翔させるに当たり、像保持体側に向かう現像剤量を十分に確保し、かつ、像保持体上の静電潜像のうち非画像部への現像剤付着を抑制することができる。
請求項2に係る発明によれば、第1の開口に至る手前の領域にて現像剤保持体に保持された現像剤を振動電界により振動させることができ、振動させられた現像剤を第1の開口を通じて現像に供することができる。
請求項3に係る発明によれば、現像に供する現像剤の電荷量の変化を抑えることができる。
請求項4に係る発明によれば、現像領域に電極部材の導電性部材が及んでいる態様であっても、電極部材のうち現像領域に面した部位に現像剤を付着させることなく、像保持体側に向かう現像剤量を十分に確保し、かつ、像保持体上の静電潜像のうち非画像部への現像剤付着を抑制することができる。
請求項5に係る発明によれば、電極部材の第1の開口を通じて現像剤保持体側から像保持体側へ向かう気流、及び、第2の開口を通じて像保持体側から現像剤保持体側に向かう気流を容易に生成することができ、これに伴って、像保持体側に向かう現像剤量を十分に確保し、かつ、像保持体上の静電潜像のうち非画像部への現像剤付着を抑制することができる。
請求項6に係る発明によれば、電極部材の第1の開口及び第2の開口における気流を現像領域の長手方向に亘って略均一にすることができる。
請求項7に係る発明によれば、電極部材として薄板状部材を使用したとしても、第1の開口及び第2の開口周辺の剛性を確保することができ、第1の開口及び第2の開口の形状変化を抑えることができる。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有していない態様に比べて、像保持体側に向かう現像剤量をより多く確保することができる。
請求項9に係る発明によれば、電極部材の第1の開口及び第2の開口の仕切り部の構造を工夫することで、第1の開口を通じて現像剤保持体側から像保持体側へ向かう気流、及び、第2の開口を通じて像保持体側から現像剤保持体側に向かう気流を生成し易くすることができる。
請求項10に係る発明によれば、電極部材の第1の開口及び第2の開口の形状を工夫することで、第1の開口を通じて現像剤保持体側から像保持体側へ向かう気流、及び、第2の開口を通じて像保持体側から現像剤保持体側に向かう気流を容易に案内することができる。
請求項11に係る発明によれば、現像剤保持体と電極部材との間の振動電界により現像剤を振動させて像保持体上の静電潜像側に飛翔させるに当たり、像保持体側に向かう現像剤量を十分に確保し、かつ、像保持体上の静電潜像のうち非画像部への現像剤付着を抑制することが可能な現像装置を含む画像形成装置を容易に構築することができる。
請求項12に係る発明によれば、像保持体として画素電極を用いた態様であっても、現像剤保持体と電極部材との間の振動電界により現像剤を振動させて像保持体上の静電潜像側に飛翔させるに当たり、像保持体側に向かう現像剤量を十分に確保し、かつ、像保持体上の静電潜像のうち非画像部への現像剤付着を抑制することができる。
請求項13に係る発明によれば、共通の像保持体に対して複数の現像装置を選択的に使用したとしても、像保持体上に先に保持された色成分の現像像を乱すことなく、像保持体に対して各色成分の現像像を重ね現像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)に示す画像形成装置の現像装置の要部を示す説明図である。
【図2】実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【図3】実施の形態1で用いられる像保持体の構成を示す説明図である。
【図4】(a)は画素電極の構成を示す説明図であり、(b)は等価回路を示す説明図である。
【図5】図4に示す画素電極の駆動方式を示す説明図である。
【図6】実施の形態1で用いられる現像装置の構成を示す説明図である。
【図7】(a)(b)は図6で使用可能な現像剤の例を示す説明図である。
【図8】実施の形態1に係る現像装置の要部を示す説明図である。
【図9】(a)は図8で示す電極部材を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図、(c)は図8で示す電極部材の他の例を示す説明図、(d)は(c)中D方向から見た矢視図である。
【図10】(a)は静電潜像パターンと電極部材へ印加される直流電圧との関係を模式的に示す説明図、(b)は静電潜像パターンへの現像剤の付着状態を模式的に示す説明図である。
【図11】(a)は現像ロールと電極部材とを近接する平行板とみなしたモデルにおいて両者間の気流と空気の密度の変化とを示す説明図、(b)は電極部材が長い場合のモデルにおいて両者間の気流と空気の密度の変化とを示す説明図である。
【図12】実施の形態1で用いられる電極部材周辺での現像剤の挙動原理を示す説明図である。
【図13】(a)(b)は比較の形態1,2に係る現像装置の要部を示す説明図である。
【図14】実施の形態1に係る現像装置の変形形態を示す説明図である。
【図15】実施の形態2に係る現像装置の要部を示す説明図である。
【図16】実施の形態2で用いられる電極部材周辺での現像剤の挙動原理を示す説明図である。
【図17】実施の形態3に係る現像装置の要部を示す説明図である。
【図18】(a)は図17で示す電極部材を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図ある。
【図19】実施の形態3で用いられる電極部材周辺での現像剤の挙動原理を示す説明図である。
【図20】実施の形態4に係る現像装置の要部を示す説明図である。
【図21】実施の形態4に係る現像装置の変形形態4−1の要部を示す説明図である。
【図22】(a)は実施の形態4で用いられる電極部材周辺での現像剤の挙動原理を示す説明図、(b)は変形形態4−1で用いられる電極部材周辺での現像剤の挙動原理を示す説明図である。
【図23】実施の形態5に係る現像装置の要部を示す説明図である。
【図24】実施の形態5に係る現像装置の変形形態5−1の要部を示す説明図である。
【図25】(a)は実施の形態5で用いられる電極部材周辺での現像剤の挙動原理を示す説明図、(b)は変形形態5−1で用いられる電極部材周辺での現像剤の挙動原理を示す説明図である。
【図26】比較例1〜4及び実施例1〜6に係る現像装置を用い、静電潜像電位と現像量との関係を調べたグラフ図である。
【図27】比較例1〜4及び実施例1〜6に係る現像装置を用い、静電潜像電位と非画像部領域における現像量(所謂かぶり量)との関係を調べたグラフ図である。
【図28】比較例1〜4及び実施例1〜6に係る現像装置を用い、重ね現像時における現像量を調べたグラフ図である。
【図29】比較例1〜4及び実施例1〜6に係る現像装置を用い、図27における重ね現像時の現像量減衰率を示す説明図である。
【図30】比較例1〜4及び実施例1〜6に係る現像装置を用い、図26〜図29の結果をまとめた説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用される画像形成装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、画像形成装置は、静電潜像zを保持して移動する像保持体10と、この像保持体10に対向して離間配置され且つ前記像保持体10に保持された静電潜像zを現像剤Tにて現像する現像装置11と、を備えたものである。
本実施の形態において、現像装置11は、図1(a)(b)に示すように、静電潜像zが保持された像保持体10に対向して離間配置され、粉体現像剤を外表面に保持し且つ前記像保持体10との対向部にて前記像保持体10の周速vより速い周速vで同方向に移動する現像剤保持体1と、この現像剤保持体1と前記像保持体10との間で前記現像剤保持体1に対向して離間配置され、少なくとも板状の導電性部材2aを有する電極部材2と、この電極部材2の導電性部材2aと前記現像剤保持体1との間に振動電界を形成し且つ前記現像剤保持体1上に保持された現像剤Tを前記電極部材2との間で振動させる振動電界形成装置3と、前記電極部材2のうち、前記像保持体10と前記現像剤保持体1との間で現像に供される現像領域Wに対応して設けられ、前記現像剤保持体1と前記電極部材2との間で振動させられた現像剤Tを前記像保持体10の静電潜像z側に飛翔させる第1の開口5と、前記電極部材2のうち前記現像領域Wに対応し且つ前記第1の開口5よりも現像剤保持体1の移動方向下流側に設けられ、前記第1の開口5を経て前記像保持体10側に飛翔した現像剤Tの一部を現像剤保持体1側に戻す第2の開口6と、を備えたものである。
【0011】
このような技術的手段において、像保持体10は静電潜像zを保持して移動するものであれば、感光体、誘電体の他に画素電極を有する態様など適宜選定して差し支えなく、移動態様は代表的には回転移動であるが、これに限られず、進退移動であっても差し支えない。
また、像保持体10も一つでもよいし、複数でも差し支えない。また、本願の方式の現像装置11は像保持体10に対して少なくとも一つ対向して離間配置されていればよく、本願以外の方式の現像装置と組み合わせて使用してもよい。
更に、現像剤保持体1は、像保持体10に対向して離間配置され、粉体現像剤(所謂トナー)を保持するものであればよいが、本実施の形態では、像保持体10との対向部にて像保持体10の周速vより速い周速vで同方向に移動することを要する。これは、第2の開口6による現像剤Tの一部(現像に供されない余分な現像剤)を戻すための気流AFを生成する上で必要な要件である。これは、例えば両者の周速が同一若しくは逆の関係に設定された場合には、第2の開口6を通じて像保持体10側の現像剤Tの一部を現像剤保持体1に向かわせる気流は生成され難いことによる。
更にまた、電極部材2は少なくとも板状の導電性部材2aを有していればよく、この導電性部材2aとしては現像剤保持体1との間に振動電界を形成する必要がある領域に配設するようにすればよい。具体的には現像領域W(像保持体10と現像剤保持体1との対向部のうち像保持体10上の静電潜像zに対して実質的に現像に寄与する領域)よりも現像剤保持体1の移動方向の上流側に導電性部材2aを少なくとも有していればよく、現像領域W、現像領域Wよりも現像剤保持体1の移動方向下流側に及んで導電性部材2aを配設してもよいことは勿論である。よって、電極部材2全体が導電性部材2aで構成される態様もあるし、電極部材2の一部に導電性部材2aを設けると共に、残りの部分に非導電性部材(絶縁性部材)を設けるようにする態様も含まれる。
また、振動電界形成装置3については、電極部材2の導電性部材2aと現像剤保持体1との間に振動電界を形成するものであれば適宜選定して差し支えない。
【0012】
更に、第1の開口5は振動させられた現像剤Tを像保持体10上に静電潜像zによる電位差に基づく潜像電界によって像保持体10側に導くものであり、現像剤保持体1側から像保持体10側への気流AFに乗って現像剤Tを移動させる。
更にまた、第2の開口6は像保持体10側に導かれた現像剤Tのうち現像に供されなかった余剰現像剤を現像剤保持体1側に導くものであり、主として、像保持体10よりも周速が速い現像剤保持体1の移動に伴って生成される気流に起因して像保持体10側から現像剤保持体1側に向かう気流AFに乗って余剰現像剤を移動させる。
また、第1の開口5,第2の開口6の形状や大きさは適宜選定して差し支えないし、また、第1の開口5及び第2の開口6は現像剤保持体1の移動方向に沿って少なくとも一つ設けられていればよい。例えば第1の開口5、第2の開口6の少なくとも一方を複数設けてもよいし、また、第1の開口5と第2の開口6との間に気流が実質的に移動しない開口を設けても何ら差し支えない。
【0013】
次に、本実施の形態の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、電極部材2の代表的態様としては、少なくとも第1の開口5よりも現像剤保持体1の移動方向上流側に導電性部材2aを有するものが挙げられる。この場合、第1の開口5より現像剤保持体1の移動方向上流側に導電性部材2aを設けておけば、第1の開口5に至る手前の領域で振動電界を形成し、これにより振動させられた現像剤Tを第1の開口5に導くことが可能である。
また、電極部材2の好ましい態様としては、図1(b)に示すように、電極部材2の導電性部材2aの表面露出部のうち、前記現像領域W及び前記振動電界により現像剤Tが振動する領域は絶縁性被覆層2bで被覆されている態様が挙げられる。絶縁性被覆層2bにより導電性部材2aの表面露出部を被覆すると、被覆層がない場合には、表面露出部にて現像剤Tの帯電量がリークする虞れがあるが、本態様では、前述したリークが抑えられる点で好ましい。
更に、図1(b)に示すように、現像領域Wに電極部材2の導電性部材2aが及んでいる態様における振動電界形成装置3の好ましい態様としては、電極部材2の導電性部材2aに対し像保持体10の静電潜像zの画像部電位と非画像部電位との中間電位に相当する直流電圧を重畳させ、電極部材2の導電性部材2aと現像剤保持体1との間に振動電界を形成するものが挙げられる。仮に、振動電界形成装置3のうち現像領域Wに導電性部材2aが及んでいない態様では、少なくとも振動電界を形成するための交流電圧を有するものであればよいが、現像領域Wに導電性部材2aが及んでいる態様では、静電潜像zの画像部電位と非画像部電位との中間電位に相当する直流電圧を重畳することが必要である。これは、このような直流電圧を重畳しない場合には、現像領域Wに面した電極部材2に現像剤Tが付着する懸念があることによる。
更にまた、現像剤保持体1の代表的態様としては、ロール状部材が挙げられる。本態様では、電極部材2と現像剤保持体1との間の隙間が現像領域Wで最も狭く、現像領域Wから離れるにつれて拡開する態様であるから、現像剤保持体1の移動に伴って生成される気流は第1の開口5から押し出され、逆に、第2の開口6からは現像剤保持体1側に引っ張られる点で、気流の流れを生成し易い点で好ましい。
【0014】
また、第1の開口5及び第2の開口6の代表的態様としては、現像領域Wの長手方向に沿って延びる切り口で構成されている態様が挙げられる。本態様では、第1の開口5及び第2の開口6は現像領域Wの途中で仕切られていないため、気流が各開口5,6の中間部位で遮られることがない。
更に、第1の開口5及び第2の開口6の別の代表的態様としては、現像領域Wの長手方向に沿って複数に分割された孔で構成されている態様が挙げられる。本態様では、複数に分割された孔を区画する部分が孔の形状を保持する枠として働く。
更にまた、第1の開口5及び第2の開口6の好ましい態様としては、第1の開口5及び第2の開口6が現像剤保持体1の移動方向に沿って複数設けられている態様が挙げられる。代表的には第1の開口5と第2の開口6とが現像剤保持体1の移動方向に沿って夫々複数設けられていればよいが、スムーズな気流の流れを考慮すれば、例えば第1の開口5,第2の開口6,第1の開口5,第2の開口6のように、夫々が交互に設けられている態様が好ましい。
また、第1の開口5及び第2の開口6の別の好ましい態様としては、電極部材2のうち第1の開口5と第2の開口6との間に位置する仕切り部は、当該電極部材2の他の部分に比べて像保持体10側が凹み且つ現像剤保持体1側が突出するように構成されている態様が挙げられる。本態様では、仕切り部の凹みと突出部が気流の流れを規制する機能部材として働く。
また、第1の開口5及び第2の開口6の更に別の好ましい態様としては、第1の開口5は、像保持体10側口が現像剤保持体1側口に比べて現像剤保持体1の移動方向に変位するように傾斜して設けられ、第2の開口6は、現像剤保持体1側口が像保持体10側口に比べて現像剤保持体1の移動方向に変位するように傾斜して設けられている態様が挙げられる。本態様では、第1の開口5,第2の開口6の形状を気流の流れに合わせることで、気流を案内する機能部材として働く。
【0015】
また、画像形成装置として有効な態様としては、像保持体10が、移動可能な支持体と、この支持体の移動方向及びこの移動方向に交差する交差方向に沿って画像単位毎に行列配置される画素電極と、各画素電極に対して予め決められた画像信号に基づいた潜像電圧を印加することで静電潜像を書き込む静電潜像書込装置と、を備えた態様が挙げられる。この方式は感光体や誘電体を使用した態様に比べて静電潜像の潜像電位が小さいため、現像剤量の増加を確保しつつ、非画像部への現像剤の付着を防止する方式が有効である。
更に、共通の像保持体10に対して複数の現像装置11を選択的に使用する態様で、像保持体10として画素電極を使用する場合には、画素電極を使用した像保持体10では静電潜像zの潜像電位が小さいが、前述した現像装置11は、静電潜像zの画像部に対しては充分に現像剤を供給し、かつ、静電潜像zの非画像部に対しては余剰現像剤を供給しない方式であるため、複数の色成分の静電潜像zが対応する色成分の現像剤にて重ね現像される。
【0016】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
◎実施の形態1
<画像形成装置の全体構成>
図2は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1の全体構成を示す説明図である。
同図において、画像形成装置20は、画像形成装置筐体(以下装置筐体)21内に複数の色成分(イエロ(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K))の画像が作製可能な作像エンジン22を配設し、装置筐体21内の作像エンジン22の下方には記録材を供給するための記録材供給装置23を配設すると共に、装置筐体21の頂部には記録材が排出収容可能な記録材収容受け24を設け、装置筐体21内には記録材供給装置23から供給された記録材が作像エンジン22を通過した後に記録材収容受け24に搬送するための搬送経路25を略鉛直方向に沿って設け、この搬送経路25のうち作像エンジン22に対向する部位には作像エンジン22の画像が記録材側に転写可能な転写装置26を配設し、更に、この搬送経路25の転写装置26の下流側には記録材に転写された画像に対し定着処理が施される定着装置27を配設したものである。
本実施の形態では、作像エンジン22は、電子写真方式を採用したもので、各色成分の静電潜像を保持して回転する像保持体30と、この像保持体30の周囲に設けられ、当該像保持体30に保持された各色成分の静電潜像を対応する色成分の粉体現像剤(本例ではトナー)で選択的に現像する複数の現像装置31(本例では31a〜31d)と、像保持体30と転写装置26との対向部よりも像保持体30の回転方向下流側に設けられ、像保持体30上の残留物(転写後の残留現像剤や記録材の紙粉等)を例えば板状清掃部材32aにて清掃する清掃装置32と、を備えている。
尚、転写装置26としては、例えば像保持体30に対向する転写部材26aに転写バイアスを印加し、搬送経路25内の記録材に対し像保持体30に保持された現像像を静電的に転写する方式が用いられる。また、定着装置27としては、例えば少なくとも表面が加熱される加熱定着部材27aとこれに対向して加圧配置されて接触転動する加圧定着部材27bとを用い、両者27a,27b間に記録材を通過させ、記録材上の未定着像を加熱加圧定着する方式が用いられる。
【0017】
<像保持体>
本実施の形態において、像保持体30は、例えば図3に示すように、可撓性フィルム材上に多数の画素電極34が行列配列状(所謂マトリクス状)に形成された画素電極フィルム33を回転可能な支持体である剛体ドラム35上に巻き付けて固定支持したものとなっている。
本例において、画素電極フィルム33は、所謂IC製造プロセス等で用いられる薄膜技術を利用して製作されたもので、例えばポリイミド製の可撓性フィルム材上に画素電極34を行列配列したものである。そして、このように行列配列された画素電極34は、例えば剛体ドラム35の回転軸方向に沿った方向をデータライン、剛体ドラム35の回転方向に沿った方向を走査ラインとし、各画素電極34に対応するデータライン及び走査ラインはまとめられて適宜数のデータ用ドライバ36及び走査用ドライバ37に接続されている。尚、画素電極フィルム33は画素電極34を覆うように全体が図示外の保護膜で覆われており、また、図中符号35aは、剛体ドラム35の外周面の一部に回転軸方向に沿って開口された溝である。
【0018】
−画素電極の周辺構造−
次に、画素電極フィルム33の画素電極34及びその周辺構造について説明する。
本実施の形態において、画素電極フィルム33の各画素電極34は、図4(a)に示すように、所謂アクティブマトリクス方式で構成され、スイッチング素子として例えばTFT(Thin Film Transistor)38を用い、蓄積容量39及び配線(ソース線Ls、ゲート線Lg等)が夫々付加されている。
そして、各画素電極34間の結線は、データライン毎にTFT38のソースsが結線されるソース線Ls、走査ライン毎にTFT38のゲートgが結線されるゲート線Lgとしてまとめられている。また、TFT38のドレインdには画素電極34と蓄積容量39が並列に接続され、蓄積容量39の一方は走査ライン毎にまとめられ(図示せず)、図4(b)のような等価回路を呈するように構成されている。
【0019】
画素電極34は画素電極フィルム33に対しマトリクス状に多数並べられた構成のために、画素電極34の駆動回路は次のように行われる。
つまり、画素電極フィルム33には、図5に示すように、データライン及び走査ライン毎に予め決めた数の画素電極34が配列されており、各画素電極34をスイッチングするTFT38のソースs側がデータライン毎に夫々データ用ドライバ36へ接続される一方、TFT38のゲートg側が走査ライン毎に夫々走査用ドライバ37に接続されている。また、これらのデータ用ドライバ36及び走査用ドライバ37は、像保持体30に設けられた像書込制御装置80によって駆動され、像書込制御装置80によってデータ用ドライバ36及び走査用ドライバ37を駆動することで、目的の画素電極34に画像信号に基づいた潜像電圧が印加され、蓄積容量39によって保持される。尚、図5では画素電極34は省略しているが、図4(b)に示すように、TFT38と蓄積容量39との間に画素電極34が接続されていることは言うまでもない。
【0020】
<現像装置>
−現像装置の構成例−
本実施の形態において、各色成分の現像装置31(31a〜31d)は、使用する現像剤が異なる以外は略同様な構成を備えている。
本実施の形態に係る現像装置31は、図6に示すように、粉体現像剤T(本実施の形態では導電性の粉体現像剤(所謂トナー)を使用している)が収容される現像容器40を有し、この現像容器40のうち像保持体30に対向した部位に現像用開口40aを開設すると共に、この現像用開口40aに面して像保持体30と離間配置され且つ対向部位で同方向に回転する現像剤保持体としての現像ロール41を配設し、像保持体30と現像ロール41との対向部位にて像保持体30上に形成された静電潜像を現像して可視像化するものである。
更に、現像ロール41の像保持体30側と異なる側には、現像ロール41との間にて現像剤Tに電荷注入を行う電荷注入部材としての電荷注入ロール43が設けられ、互いに軽く接触又は微小間隙をもって支持された状態で対向部位では互いに同方向に回転している。本例では、電荷注入ロール43の周速vが現像ロール41の周速vより速くなるように設定されている。そして、現像ロール41と電荷注入ロール43との間には、両者の対向部位にある現像剤に対して電荷注入を行うための注入電界を形成する注入電源91が設けられている。つまり、本実施の形態では電荷注入ロール43や注入電源91等で現像剤に対する電荷注入がなされ、現像ロール41上には安定した帯電量が与えられた現像剤が供される。
【0021】
また、本実施の形態では、現像ロール41と電荷注入ロール43との対向部位より電荷注入ロール43の回転方向上流側に、電荷注入ロール43上に現像剤の薄層を形成する板状の層規制部材45が設けられており、この層規制部材45によって電荷注入ロール43上の現像剤Tの層厚規制がなされることで、層厚規制がなされた現像剤Tが現像ロール41との対向部位に搬送されて電荷注入がなされる。
更に、現像容器40内の電荷注入ロール43の奥側には現像剤Tを撹拌する撹拌部材としてのアジテータ48が設けられ、電荷注入ロール43側への現像剤Tの供給を行うようになっている。
ここで、本実施の形態における現像ロール41としては、例えばステンレス鋼(SUS)の芯金にシリコーンゴム等の弾性層を設け、その表面を高抵抗のフッ素樹脂系コート層等の被覆層で被覆したものが用いられる。また、層規制部材45としては、例えば厚さ0.03〜0.3mm程度のステンレス製の板ばねに例えばシリコーンゴムやEPDMゴム等の弾性材を接着剤等により固着し、現像容器40の一部に層規制部材45の一端を固定すると共に、現像ロール41の表面に層規制部材45の自由端側を軽く接触させるようにしたものが用いられる。
特に、本実施の形態の現像装置31には、現像ロール41と像保持体30との対向部には電極部材50が配設されており、この電極部材50と現像ロール41との間には振動電界電源90が設けられ、像保持体30に保持された静電潜像に対して現像ロール41に保持された現像剤Tを飛翔させるための振動電界が両者間に形成されるようになっている。
電極部材50及び振動電界電源90の詳細は後述する。
【0022】
−現像剤の構成例−
本実施の形態で用いられる現像剤Tは、絶縁性トナーの表面に、例えばITO微粒子を付着させて導電性基体を得た後、更に、その表面に絶縁性微粉を付着させた構成のものとなっている。具体例としては、絶縁性トナーとして例えば平均粒径が6.5μmの球形状のものを用い、ITO微粒子を15wt%加えて、サンプルミル(協立理工製SK−M10型)にて12000rpmで30秒間混合し、その後、精製したラテックス微粉(絶縁性トナーと同一の樹脂)を加え、水冷されたサンプルミルにて12000rpmで30分間混合することで、現像剤を作製したものが挙げられる。尚、現像剤としては、これに限らず、注入帯電型現像剤であればよく、その作製方法も公知の技術を用いるようにすればよい。
このような現像剤では、高い電界強度の注入電界が作用すると、現像剤相互間では精製したラテックス微粉による絶縁層を介して導電性基体同士が接触する形となり、この絶縁層に高電界が作用することでトンネル効果等によって導通し、現像剤に対する電荷注入がなされる。
【0023】
現像剤Tとしては、これに限らず、例えば図7(a)に示すように、導電性を有する材料からなる導電性トナー基体(導電性コア)81を有し、この導電性コア81の周囲を絶縁性の被覆層(例えば絶縁性樹脂層)82で被覆すると共に、導電性コア81の一部が露出するように絶縁性の被覆層82に適宜数の凹部83を設けたものが用いられる。このような現像剤Tは、重合法や各種公知のカプセル化技術等で作製することができる。このとき、導電性コア81としては、ポリエステル系樹脂やスチレンアクリル系樹脂等に導電性カーボンやITO等の透明導電粉などの導電剤を分散させたり、ポリエステル系樹脂やスチレンアクリル系樹脂等からなる粒子表面を前記導電剤により被覆することによって、作製される。
このような態様の現像剤Tに対し高電界を作用させる低抵抗化する傾向を示す。そして、低抵抗化する電界強度については、現像剤の主として凹部83の占有割合、あるいは、絶縁性の被覆層82の厚さなどに依存する。
このメカニズムについては、次のように推測される。つまり、導電性コア81が絶縁性の被覆層82にて被覆されているため、導電性コア81自体がコア同士接触することや直接電極部材等に接触することが殆どなく、絶縁性の被覆層82を介して一定の微小間隙を保つことになり、この結果、例えば高電界が作用した時、トンネル効果等により導通することによる。
【0024】
また、このような現像剤Tの他の態様としては、例えば図7(b)に示すように、導電性コア81を絶縁性若しくは半導電性の被覆層84にて被覆し、半導電性の被覆層84の厚さhを適宜調整することにより、現像剤の抵抗を調整可能としたものが挙げられる。このとき、半導電性の被覆層84については、それ自体半導電性の材料を用いるようにしてもよいし、例えば絶縁性樹脂に、酸化チタンや酸化すず等の金属酸化物や導電性カーボンを微量含有させた半導電性樹脂を用いるようにしてもよい。そして、導電性コア81としては、例えば通常の絶縁性トナーからなる絶縁性基体(絶縁性コア)の外表面近傍に導電性微粒子を付着させる態様や、絶縁性コアの内部に導電性微粒子を混入させるものなど適宜選定して差し支えない。
【0025】
−電極部材−
本実施の形態において、電極部材50は、例えば図8に示すように、像保持体30と現像ロール41との間で像保持体30及び現像ロール41に対向して離間配置されており、像保持体30と現像ロール41との最近接部位Nを挟んで現像ロール41の回転方向上流側から下流側に向かって延びる板状の導電性部材51を有している。この導電性部材51としては例えばステンレス鋼やりん青銅の矩形形状の板材が用いられる。
本例では、像保持体30と現像ロール41との最近接部位Nの寸法mは150〜500μm程度に設定されており、導電性部材51は厚さ50〜150μmの薄板にて構成されている。
この導電性部材51のうち、像保持体30と現像ロール41との間で現像に供される現像領域W(例えば1〜5mm程度)内には、現像ロール41の回転方向に沿って上流側から順に第1の開口61及び第2の開口62が開設されている。
本例では、図9(a)(b)に示すように、現像領域Wのうち、像保持体30と現像ロール41との最近接部位Nを挟んで第1の開口61及び第2の開口62が設けられており、第1の開口61及び第2の開口62はいずれも現像領域Wの長手方向に沿って延びる切り口(スリット)63として構成されている。
ここで、第1の開口61,第2の開口62の切り口(スリット)63の長手方向に交差する幅寸法をk,kとし、電極部材50のうち第1の開口61及び第2の開口62との間の仕切り部53の長手方向に交差する幅寸法をsとすれば、各開口61,62の幅寸法k,kを同じに設定してもよいし、異なるように設定しても差し支えない。例えばk>k、つまり第2の開口62の幅寸法kに比し第1の開口61の幅寸法kを大きく設定する場合には、第1の開口61面積が相対的に広くなる分現像剤を現像に供する機会を増加させることが可能になり、また、第2の開口62面積が相対的に狭くなる分、第2の開口62を通過する気流を速くすることで余剰現像剤の戻りを促進させる上で好ましい。逆に、k>k、つまり第1の開口61の幅寸法kに比し第2の開口62の幅寸法kを大きく設定する場合には、第1の開口61面積が相対的に狭くなる分第1の開口61を通過する気流を速くすることで現像に供する現像剤の像保持体30に向かう運動量を増加させることが可能になり、また、第2の開口62面積が相対的に広くなる分、第2の開口62に対して余剰現像剤を通過させる機会を増加することが可能である。これらは、像保持体30と電極部材50との隙間および電極部材50と現像ロール41との隙間などに応じて調整することでより最適な条件を選択することができる。
また、両開口61,62間の仕切り部53の幅寸法sについては、後述する第1の開口61を通じた気流AFと第2の開口62を通じた気流AFとが生成可能な範囲で適宜選定して差し支えないが、両者の気流AF,AFを乱さないという観点からすれば、第1の開口61の幅寸法k以上に設定するのが好ましい。
【0026】
更に、本例では、導電性部材51の表裏面及び第1の開口61,第2の開口62の内壁面のうち、現像領域W及び現像領域Wを挟んだ現像ロール41の回転方向上流側、下流側に位置する部位は絶縁性被覆層52にて被覆されている。
この絶縁性被覆層52は、振動若しくは飛翔する現像剤Tが導電性部材51に接触すると、現像剤Tの帯電量がリークする懸念があるため、このリークを抑える働きをする。
本例では、例えば溶剤に可溶した樹脂溶液を塗布して加熱炉で溶剤を蒸発させることで成膜された絶縁性被覆層52が形成される。このような絶縁性被覆層52としては、例えばフェノール、PTFE、PFA、ETFAなどの樹脂を用いるものであってもよいし、樹脂を用いる代わりに例えばチタニア系やアルミナ系のセラミックコートを施すようにしても差し支えない。そして、絶縁性被覆層52の抵抗は、現像剤Tが接触した際に現像剤Tに対して電極部材50からの電荷注入が及ばないように、1012Ω・cm以上の体積抵抗率を有するものが好ましい。尚、このような絶縁性被覆層52を電極部材50の一部に設ける方法については、公知の技術を用いるようにすればよく、例えば一方向からのスプレー塗布やマスキング等の手法を利用すればよい。
【0027】
−振動電界電源−
本実施の形態では、振動電界電源90は、図8に示すように、電極部材50の導電性部材51と現像ロール41との間に交流電圧Vを印加する交流電源90aと、前記両者51,41間に直流電圧Vを印加する直流電源90bとを備え、前記両者51,41間に直流電圧Vを重畳した交流電圧Vが印加されるようになっている。
ここで、交流電圧Vとしては、現像領域Wよりも現像ロール41の回転方向上流側にて導電性部材51と現像ロール41との間で現像剤Tが振動可能な程度の振動電界を形成するものであれば適宜選定して差し支えなく、本例では、例えば周波数が1〜10kHzでVp-p(ピークツウピーク電圧)が0.8〜2kVに設定されている。
また、本例では、導電性部材51が現像領域Wに面した部位に存在するため、負帯電ト
ナーを用いると、図10(a)に示すように、直流電圧Vとしては、像保持体30に保持される静電潜像z(画像部領域z,非画像部領域z)の画像部電位Vと非画像部電位Vとの中間電位になる条件下にて適宜選定して差し支えない。本例では、静電潜像zとしては多階調画像が想定されており、画像部電位Vは多階調濃度に応じて変化するものであるから、最大濃度画像に対応した画像部電位V(max)に限らず、低濃度画像をも含めた範囲の電位を想定し、V<V<Vを満たすように設定されている。
このように設定しておけば、図10(b)に示すように、現像領域Wに対応した部位に電極部材50の導電性部材51が存在したとしても、電極部材50と像保持体30の静電潜像zの画像部領域zとの間には画像部領域z側に現像剤Tを引き寄せる電界が生成されることから、現像剤Tは電極部材50に付着することなく、画像部領域z側に向かって移動し、現像に供される。
【0028】
<画像形成装置の作動>
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
図2に示す画像形成装置において、例えばフルカラーモードの作像処理が行われると仮定すると、先ず、像保持体30に最初の色成分の静電潜像が形成される。ここで、像保持体30で静電潜像を形成する場合には、像保持体30の画素電極34(図4参照)に対して図5に示す像書込制御装置80によって、各色成分の画像信号に応じた潜像電圧を印加するようにすればよい。そしてこの色成分に対応した現像装置31(例えば31a)が働き、像保持体30上の静電潜像が対応する色成分の現像剤にて可視像化される。
この後、次の色成分の静電潜像が形成され、この色成分に対応した現像装置31(例えば31b)が働き、像保持体30上の静電潜像が対応する色成分の現像剤にて可視像化される。この後、他の色成分の画像についても略同様の作像処理が繰り返される。そして、像保持体30上には複数の色成分の現像像が重ね現像される。
この後、像保持体30上の各色成分の現像像は記録材供給装置23から供給された記録材に対し転写装置26によって転写され、定着装置27による定着処理が施される。
【0029】
<現像装置の作動>
現像装置31は、現像剤に対して電荷を注入する電荷注入工程と、注入された現像剤を振動電界にて振動されて現像する現像工程とを実施する。
−電荷注入工程−
次に、図6を用いて現像剤に対する電荷注入工程を中心に説明する。
アジテータ48により撹拌された現像剤Tは、電荷注入ロール43側に供給された後、電荷注入ロール43の回転に伴って搬送され、層規制部材45にてその層厚が規制されて電荷注入ロール43上には例えば単層以下の略均一な現像剤層が形成される。この均一に形成された現像剤層は、電荷注入ロール43と現像ロール41とが対向する対向部位にて互いに同方向に回転する両者間に挟まれた状態で擦られながら、注入電源91による注入電界によって電荷注入される。このとき、特に本実施の形態では、電荷注入ロール43の周速が現像ロール41の周速より速く設定されているため、現像剤への有効な擦りがなされ、良好な電荷注入がなされる。
この場合、電荷注入ロール43と現像ロール41との間に挟まれた現像剤Tは電荷注入ロール43と接触する確率が高められ、しかも、現像剤Tとの接触抵抗を小さくすることが可能になり、現像剤Tの見かけ上の抵抗が小さくなり、現像剤Tは低抵抗な状態のまま有効に電荷注入がなされる。そのため、注入電界としては、比較的低電界であっても現像剤Tには効率的に電荷注入が行われる。
このように、単層以下になった現像剤Tに対して電荷注入を行うことで、現像剤Tに対する電荷注入が効果的になされ、WST(Wrong Sign Toner:トナー本来の帯電極性とは異なる逆極性に帯電されたトナー)の発生が抑えられる。そして、電荷注入ロール43との対向部位を経た現像ロール41上には、略均一な電荷注入がなされた単層以下の現像剤層が形成され、現像ロール41と像保持体30との対向部の現像領域Wに搬送される。尚、このような電荷注入方式にあっては、現像剤層間にせん断力が与えられるため、現像剤同士が分極状態で重なることが防止され、注入電界が仮に高電界の場合であってもWSTの発生は抑えられる。
【0030】
−現像工程−
次に、像保持体30と現像ロール41との対向部の現像領域Wでの現像剤Tの挙動について説明する。
図8に示すように、像保持体30側に現像ロール41に付着している現像剤Tを飛翔させるには、電極部材50と現像ロール41との間の振動電界Eにて現像ロール41から現像剤Tを剥離して両者50,41間で振動させ、振動した現像剤Tをクラウド化させる。
この状態において、クラウド化した現像剤Tは、第1の開口61を通じて気流と共に像保持体30側に飛翔し、像保持体30上の静電潜像zを現像することに供される。
一方、像保持体30側に飛翔した現像剤Tのうち現像に供されない余剰現像剤は第2の開口62を通じて気流と共に現像ロール41側に戻り、現像ロール41の回転に伴って現像ロール41の表面に再付着する。
このように、第1の開口61を通じて像保持体30側に現像剤Tが多く供給されることから、像保持体30上の静電潜像zは充分な現像剤Tにて現像される。一方、現像に供されない余剰現像剤は現像ロール41側に戻るため、像保持体30上の静電潜像zのうち非画像部領域に余剰現像剤が付着するという所謂かぶり現象は抑えられる。
【0031】
ここで、第1の開口61,第2の開口62での現像剤Tの挙動の要因については以下のように推測される。
今、図11(a)に示すように、電極部材50と現像ロール41とを近接した平行板と仮定し、静止した電極部材50面に近接して平行対向部材(現像ロール41に相当)が進行し、空気の流れが定常状態になっているとする。このとき、平行対向部材41の進行方向に電極部材50の始まりAと終わりJがあるとすれば、進行している平行対向部材41の表面によって空気Airは進行方向に引きずられ、それに対向して静止している電極部材50表面によって抵抗を受けるため、基本的には、電極部材50の始まりA付近では空気Airが引き込まれることから周囲の大気よりも気圧Pが低く、終わりJの付近では空気Airの速度vが遅くなる代わりに、運ばれてきた空気Airが集積することから周囲の大気より気圧Pが高くなっている。
また、図11(b)に示すように、静止した電極部材50の長さが長くなると、始まりAから進入した空気Airがより長い時間抵抗を受けるため、終わりJにおける気圧Pはより高くなる。但し、静止した電極部材50が充分に長ければ、気圧は電極部材50の始まりAから終わりJの間のある地点で飽和していると考えられる。飽和地点は、平行対向部材41と電極部材50の表面粗さ、間隙、速度差によって変化する。また、平行対向部材41の速度が速いほど始まりAの気圧は低く、終わりJの気圧は高くなる。
【0032】
また、図12に示すように、電極部材50、像保持体30及び現像ロール41を近接した平行板と仮定し、静止した電極部材50面に近接して平行対向部材である像保持体30が、反対側の面に近接して平行対向部材である現像剤保持体(現像ロール41に相当)が進行し、像保持体30の周速vより現像剤保持体41の周速vが大きいとする。そして、電極部材50には、図のように2箇所の開口(第1の開口61,第2の開口62)があるものとする。
このとき、像保持体30と電極部材50との隙間(Gap)aと、電極部材50と現像剤保持体41との間の隙間(Gap)bに着目すると、図11の説明によれば、平行対向部材(現像剤保持体41又は像保持体30)の速度が速いほど電極部材50の始まりAの気圧は低く終わりJの気圧は高くなるため、電極部材50の始まりAでは気圧がa>bとなるが、第1の開口61の入口B付近に至ると、現像剤保持体41に面したa側の気圧の増加分が像保持体30側に面したb側の気圧の増加分より大きいためにa<bとなる。その気圧差によって実線矢印のようにb→aの気流AFを生じる。次にEにおけるaとbの引き込み力の差は、C−D間が短ければ、C−D間で生成される気圧差は小さく、距離の長いE−J間で生成される気圧差によって、点線矢印のような気流AFを生じるものと推測される。
【0033】
特に、本実施の形態では、電極部材50は現像領域W及び現像剤Tの振動領域には導電性部材51を有するが、導電性部材51の表面露出部は絶縁性被覆層52で被覆されているため、帯電した現像剤Tが不必要にリークする懸念はない。
また、本実施の形態では、現像領域Wに対応した部位に電極部材50の導電性部材51が存在するが、前述したように、導電性部材51へ印加する直流電圧Vのレベルを工夫することで、電極部材50の現像領域Wに面した部位への現像剤Tの付着は有効に抑えられる。
更に、本例では、第1の開口61及び第2の開口62は現像領域Wの長手方向に沿って延びる切り口(スリット)63で構成されているため、現像領域Wの長手方向に沿う気流AF,AFの気圧分布は略均一に保たれる。
【0034】
尚、実施の形態1では、第1の開口61及び第2の開口62はいずれも現像領域Wの長手方向に沿って延びる切り口(スリット)63として構成されているが、これに限られるものではなく、図9(c)(d)に示すように、現像領域Wの長手方向に沿って複数に分割された孔64で構成されていてもよい。尚、本態様では、孔64の数、大きさは適宜選定して差し支えないが、本例では、両者は同じ数、大きさのものが採用されている。
本態様によれば、孔64間を仕切る仕切り部65が孔64の枠として働き、導電性部材51の剛性を高めるように機能するため、導電性部材51の孔64の形状が変形する懸念はない。また、孔64の径寸法dは孔64間の仕切り部65の寸法xに比べて少なくとも大きく設定するようにすれば、第1の開口61,第2の開口62を通過する気流が仕切り部65で広く遮られることがなく、現像領域Wの長手方向に沿って各開口61,62を通過する気流の圧力分布が孔64と仕切り部65との間で大きな差になり難い点で好ましい。
【0035】
◎比較の形態1,2
図13(a)(b)は比較の形態1,2に係る現像装置31’の要部を示す。
同図において、比較の形態1,2に係る現像装置31’の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なる電極部材50’を備えている。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
ここで、比較の形態1で用いられる電極部材50’は、像保持体30と現像ロール41との対向部のうち現像に供する現像領域Wよりも現像ロール41の回転方向上流側に導電性部材51を配設し、導電性部材51の表面露出部を絶縁性被覆層52で被覆したものである。
また、比較の形態2で用いられる電極部材50’は、像保持体30と現像ロール41との対向部のうち現像に供する現像領域Wを含んで延びる導電性部材51を配設し、現像領域Wに対応した箇所に現像領域Wの長手方向に延びるスリット又は長手方向で複数に分割された孔からなる開口67を開設し、この開口67も含めて導電性部材51の表面露出部を絶縁性被覆層52で被覆したものである。
比較の形態1,2によれば、現像ロール41上の現像剤Tは電極部材50’との間で振動させられ、電極部材50’の先端部又は開口67から像保持体30側に飛翔して当該像保持体30の静電潜像z側に供給される。
このとき、現像ロール41の周速を速く設定すれば、現像剤の増量を満たすことは可能であるが、余剰現像剤が像保持体30側に残存してしまうため、像保持体30の静電潜像zの非画像部領域に対して余剰現像剤が付着してしまう懸念は残る。
【0036】
◎変形形態1−1
実施の形態1では、電極部材50は導電性部材51が全体に及んで設けられているが、これに限られるものではなく、例えば図14に示すように、電極部材50は、現像領域Wに対し現像ロール41の回転方向上流側に位置する部位に導電性部材51を設け、現像領域Wを含んで現像ロール41の回転方向下流側に位置する部位に非導電性部材(絶縁性部材)55を設け、非導電性部材55の現像領域Wに対応した部位に第1の開口61及び第2の開口62を開設したものである。本態様では、導電性部材51の現像剤Tの振動領域及び第1の開口61の内面に面した表面露出部は絶縁性被覆層52にて被覆されている。
本態様では、実施の形態1と同様に、電極部材50は、現像ロール41との間で振動電界Eを生成し、現像ロール41上の現像剤Tを振動させた後、第1の開口61を通じて像保持体30側に現像剤Tを供給し、第2の開口62を通じて余剰現像剤を現像ロール41側に戻す。
このとき、電極部材50のうち現像領域Wに面した部位は非導電性部材55で構成されているため、現像領域Wにおいて電極部材50の非導電性部材55が電位を持つことはなく、実施の形態1のように、導電性部材51に像保持体30の静電潜像zの画像部電位と非画像部電位との中間電位に相当する直流電圧V(図8参照)を印加する必要はない。
【0037】
◎実施の形態2
図15は実施の形態2に係る現像装置の要部を示す。
同図において、現像装置31の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なる電極部材50を備えている。尚、実施の形態1と同様な構成については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態において、電極部材50は、実施の形態1と略同様な導電性部材51を有しており、この導電性部材51のうち現像領域Wに対応した部位に、第1の開口61及び第2の開口62を実施の形態1よりも長い仕切り部53を介して開設し、更に、第1の開口61と第2の開口62との間の仕切り部53に第3の開口68を開設したものである。
これらの開口61,62,68については、実施の形態1と同様に、現像領域Wの長手方向に沿って延びる切り口(スリット)63(図9参照)として構成してもよいし、あるいは、現像領域Wの長手方向に沿って複数に分割された孔64(図9参照)として構成して差し支えない。
【0038】
本実施の形態によれば、図16に示すように、電極部材50、像保持体30及び現像ロール41を近接した平行板と仮定し、静止した電極部材50面に近接して平行対向部材としての像保持体30が、反対側の面に近接して平行対向部材としての現像剤保持体(現像ロール41に相当)が進行し、像保持体30の周速vより現像剤保持体41の周速vが大きいとする。そして、電極部材50には、図のように3箇所の開口(第1の開口61,第2の開口62,第3の開口68)があるものとする。
本例では、基本的には実施の形態1の2開口方式と同じ気流AFがB−C間で実線矢印のように発生する。そして、第3の開口68に相当するD−E間の空気の流れは定かではないが、D−E間で隙間a−b間の気圧が平均化されるため、D−E間では第3の開口68を通過する気流は少なく、D−E間の下流に位置するF−G間では、現像剤保持体41の回転に伴って生成される気流に引っ張られて点線矢印のような気流AFを生じるものと推測される。
本例においては、第3の開口68は第1の開口61,第2の開口62としての機能を発揮していないが、例えば第3の開口68の面積を適宜調整したり、第1の開口61又は第2の開口62寄りに第3の開口68の位置をシフトさせることで、第3の開口68を第1の開口61又は第2の開口62として補助的に機能させるようにすることも可能である。
尚、C−D間、E−F間の長さにも依存するが、実施の形態1の2開口方式に比べて、最上流と最下流の開口(第1の開口61,第2の開口62)に挟まれた領域の電極部材50の長さを実施の形態1の2開口方式よりも長く設定可能であるため、現像剤量によっては実施の形態1の2開口方式より現像量を増加させる可能性もあるものと推測される。
【0039】
◎実施の形態3
図17は実施の形態3に係る現像装置の要部を示す。
同図において、現像装置31の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なる電極部材50を備えている。尚、実施の形態1と同様な構成については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態において、電極部材50は、実施の形態1と略同様な導電性部材51を有しており、この導電性部材51のうち現像領域Wに対応した部位に、第1の開口61及び第2の開口62を実施の形態1よりも長い仕切り部53を介して開設し、第1の開口61及び第2の開口62の間の仕切り部53には、更に、現像ロール41の回転方向に沿って第3の開口68,第4の開口69を開設したものである。
これらの開口61,62,68,69については適宜選定して差し支えないが、本例では、これらの開口61,62,68,69は、図18(a)(b)に示すように、現像領域Wの長手方向に沿って複数の長尺孔70を仕切り部71にて仕切りながら分割したものである。特に、本例では、これらの開口61,62,68,69の夫々の仕切り部71は現像領域Wの長手方向において夫々異なる位置に設けられており、現像領域Wの長手方向のうち特定の部位で気流の一部が遮られる事態は有効に抑えられている。尚、本例の仕切り部71は現像ロール41の回転方向に対して斜めに傾斜して設けられているが、これは開口61,62,68,69の長手方向位置によって、仕切り部71の存在する位置と存在しない位置があること、あるいは開口61,68,69,62と進行する間に仕切り部71の存在する開口としない開口の組み合わせが長手方向の位置によって異なることから、これらの違いによる空気流の違いをできる限り軽減する効果を有するものである。
【0040】
本実施の形態によれば、図19に示すように、電極部材50、像保持体30及び現像ロール41を近接した平行板と仮定し、静止した電極部材50面に近接して平行対向部材としての像保持体30が、反対側の面に近接して平行対向部材としての現像剤保持体(現像ロール41に相当)が進行し、像保持体30の周速vより現像剤保持体41の周速vが大きいとする。そして、電極部材50には、図のように4箇所の開口(第1の開口61,第2の開口62,第3の開口68,第4の開口69)があるものとする。
本例では、基本的には、実施の形態2の3開口方式と同じ気流AFがB−C間(第1の開口61)で実線矢印のように発生する。そして、第3の開口68及び第4の開口69に相当するD−G間の空気の流れは定かではないが、D−G間では隙間a−b間の気圧が平均化されるため、D−G間の下流に位置するH−I間(第2の開口62)では、現像剤保持体41の回転に伴って生成される気流に引っ張られて点線矢印のような気流AFを生じるものと推測される。
【0041】
本例においては、D−G間では隙間a−b間の気圧が平均化されるものの、第3の開口68は現像剤保持体41の回転方向上流側に位置する第1の開口61の気流AFの影響を受け、一方、第4の開口69は現像剤保持体41の回転方向下流側に位置する第2の開口62の気流AFの影響を受けると考えられるので、第3の開口68には隙間a→bに向かう気流AF’が生成され易く、また、第4の開口69には隙間b→aに向かう気流AF’が生成され易いと推測される。
この結果、本実施の形態では、図19に示すように、第1の開口61は気流AFに乗って像保持体30側に現像剤Tを供給し、第3の開口68は気流AF’に乗って現像剤保持体41側に余剰現像剤Tの一部を一旦戻すように機能し、更に、第4の開口69は気流AF’に乗って像保持体30側に現像剤Tの一部を再度供給するように機能し、第2の開口62は気流AFに乗って現像剤保持体41側に余剰現像剤Tを戻す。
本例では、例えば第3の開口68,第4の開口69の面積を適宜調整したり、第1の開口61や第2の開口62寄りに第3の開口68又は第4の開口69の位置をシフトさせることで、第3の開口68,第4の開口69による第1の開口61又は第2の開口62として機能の程度を調整することは可能である。
また、本例では、C−D間、E−F間、G−H間の長さにも依存するが、実施の形態1の2開口方式や実施の形態2の3開口方式に比べて、最上流と最下流の開口(第1の開口61,第2の開口62)に挟まれた領域の電極部材50の長さを実施の形態1の2開口方式等よりも長く設定可能であるため、現像剤量によっては実施の形態1,2より現像量を増加させる可能性もあるものと推測される。
【0042】
◎実施の形態4
図20は実施の形態4に係る現像装置の要部を示す。
同図において、現像装置31の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なる電極部材50を備えている。尚、実施の形態1と同様な構成については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態において、電極部材50は、実施の形態1と略同様な導電性部材51を有しており、この導電性部材51のうち現像領域Wに対応した部位に、第1の開口61及び第2の開口62を仕切り部53を介して開設したものであるが、実施の形態1と異なり、前記仕切り部53は、当該電極部材50の他の部分に比べて像保持体30側が表面からcだけ凹む凹部56を有すると共に、現像ロール41側がj(本例ではj=c)だけ突出する凸部57を有している。
本例では、このような電極部材50を製造する場合には、板状の導電性部材51のうち前記仕切り部53を含む領域をプレス加工した後に、このプレス加工部を挟んで又は一部プレス加工部に及んで第1の開口61,第2の開口62を孔開け加工するようにすればよい。
本実施の形態によれば、図22(a)に示すように、実施の形態1と略同様に、第1の開口61を通じて気流AFが生成され、第2の開口62を通じて気流AFが生成され、電極部材50と現像ロール41との間で振動電界Esにより振動した現像剤Tを第1の開口61を通じて気流AFに乗って像保持体30側に供給し、第2の開口62を通じて気流AFに乗って現像ロール41側に戻す。
このとき、第1の開口61及び第2の開口62間の仕切り部53は現像ロール41側の隙間bに対し凸部57が突出しているので、第1の開口61より現像ロール41の回転方向上流側からの空気は前記凸部57にせき止められて第1の開口61側に誘導され易く、また、像保持体30側の隙間aでは、仕切り部53に凹部56を有しているため、第1の開口61を通じて像保持体30側に流れ込んだ空気は仕切り部53の凹部56の部分で拡開した後に第2の開口62縁部にせき止められて第2の開口62へと誘導され易くなり、前述した気流AF,AFが生成され易くなる。
【0043】
◎変形形態4−1
本実施の形態では、電極部材50は2開口方式を採用したもので構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば実施の形態3に示す4開口方式に適用することも可能である。
本例では、電極部材50は、図21に示すように、実施の形態3と略同様に現像領域Wに対応する部位に4つの開口(第1の開口61,第2の開口62,第3の開口68,第4の開口69)を有しているが、実施の形態3と異なり、第1の開口61と第3の開口68との間の仕切り部53a、及び、第4の開口69と第2の開口62との間の仕切り部53cは、像保持体30側に凹部56を有すると共に、現像ロール41側に凸部57を有するように構成されているのに対し、第3の開口68と第4の開口69との間の仕切り部53bは、像保持体30側に凸部57を有すると共に、現像ロール41側に凹部56を有するように構成されている。
このため、本変形形態によれば、図22(b)に示すように、実施の形態3と略同様に、第1の開口61で気流AFが生成され、第2の開口62で気流AFが生成されると共に、第3の開口68で気流AF’が生成され易く、第4の開口69で気流AF’が生成され易い。特に、本形態では、仕切り部53(53a〜53c)には気流AF(又はAF’),AF(又はAF’)を誘導する凹部56,凸部57が設けられているため、実施の形態3に比べて、各開口61,68,69,62の気流AF,AF’,AF’,AFを生成し易い。
【0044】
◎実施の形態5
図23は実施の形態5に係る現像装置の要部を示す。
同図において、現像装置31の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なる電極部材50を備えている。尚、実施の形態1と同様な構成については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態において、電極部材50は、実施の形態1と略同様な導電性部材51を有しており、この導電性部材51のうち現像領域Wに対応した部位に、第1の開口61及び第2の開口62を仕切り部53を介して開設したものであるが、実施の形態1と異なり、第1の開口61は、像保持体30側口が現像ロール41側口に比べて現像ロール41の回転方向に変位するように傾斜した傾斜面75を有し、第2の開口62は、現像ロール41側口が像保持体30側口に比べて現像ロール41の回転方向に変位するように傾斜する傾斜面76を有している。
本実施の形態によれば、図25(a)に示すように、実施の形態1と略同様に、第1の開口61を通じて気流AFが生成され、第2の開口62を通じて気流AFが生成され、電極部材50と現像ロール41との間で振動電界Esにより振動した現像剤Tを第1の開口61を通じて気流AFに乗って像保持体30側に供給し、第2の開口62を通じて気流AFに乗って現像ロール41側に戻す。
このとき、第1の開口61及び第2の開口62はそれぞれ傾斜面75,76を有しているので、第1の開口61より現像ロール41の回転方向上流側からの空気は第1の開口61の傾斜面75に沿って当該第1の開口61側に誘導され易く、また、像保持体30側の隙間aでは、第1の開口61を通じて像保持体30側に流れ込んだ空気は第2の開口62の傾斜面76に沿って当該第2の開口62へと誘導され易くなり、前述した気流AF,AFが生成され易くなる。
特に、本実施の形態では、第1の開口61及び第2の開口62の間の仕切り部53の像保持体30側は傾斜面75,76が隣接する屈曲部77として連なっているため、第1の開口61からの気流AFは第2の開口62への気流AFに移行し易くなっている。
【0045】
◎変形形態5−1
本実施の形態では、電極部材50は2開口方式を採用したもので構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば実施の形態3に示す4開口方式に適用することも可能である。
本例では、電極部材50は、図24に示すように、実施の形態3と略同様に現像領域Wに対応する部位に4つの開口(第1の開口61,第2の開口62,第3の開口68,第4の開口69)を有しているが、実施の形態3と異なり、第1の開口61及び第4の開口69は、像保持体30側口が現像ロール41側口に比べて現像ロール41の回転方向に変位するように傾斜した傾斜面75を有し、第2の開口62及び第3の開口68は、現像ロール41側口が像保持体30側口に比べて現像ロール41の回転方向に変位するように傾斜する傾斜面76を有している。
このため、本変形形態によれば、図25(b)に示すように、実施の形態3と略同様に、第1の開口61で気流AFが生成され、第2の開口62で気流AFが生成されると共に、第3の開口68で気流AF’が生成され易く、第4の開口69で気流AF’が生成され易い。特に、本形態では、各開口61,68,69,62は気流AF,AF’,AF’,AFを誘導する傾斜面75又は76を有するため、実施の形態3に比べて、各開口61,68,69,62の気流AF,AF’,AF’,AFを生成し易い。
このとき、第1の開口61及び第2の開口62はそれぞれ傾斜面75,76を有しているので、第1の開口61より現像ロール41の回転方向上流側からの空気は第1の開口61の傾斜面75に沿って当該第1の開口61側に誘導され易く、また、像保持体30側の隙間aでは、第1の開口61を通じて像保持体30側に流れ込んだ空気は第2の開口62の傾斜面76に沿って当該第2の開口62へと誘導され易くなり、前述した気流AF,AFが生成され易くなる。
特に、本変形形態でも、第1の開口61及び第3の開口68間の仕切り部53a、並びに、第4の開口69及び第2の開口62間の仕切り部53cの像保持体30側は傾斜面75,76が隣接する屈曲部77として連なっており、また、第3の開口68及び第4の開口69間の仕切り部53bの現像ロール41側は傾斜面75,76が隣接する屈曲部77として連なっているため、第1の開口61からの気流AFの一部は第3の開口68への気流AF’に移行し易く、第3の開口68からの気流AF’は第4の開口69への気流AF’に移行し易く、第4の開口69からの気流AF’は開口68,69を通じて移動しなかった気流AFの残りとともに第2の開口62への気流AFに移行し易くなっている。
【実施例】
【0046】
実施の形態1〜5及びその変形形態並びに比較の形態1,2を用いて実施例1〜6並びに比較例1〜4を作成し、静電潜像電位と現像量との関係、非画像部領域へ付着する現像量(所謂かぶり量)、重ね現像時の現像量、重ね現像時の前色現像像の乱れ度合(像乱れ)について測定し、それらの性能を評価するようにした。
◎実施例1
実施の形態1に係る現像装置(2開口方式の電極部材)を以下の条件で使用した。
・電極部材の長手方向に交差する幅寸法:10mm
・電極部材と現像ロールとの最近接距離:150μm
・電極部材と像保持体との最近接距離:100μm
・振動電界Es:周波数10kHz,Vp-p 1.2kV
・像保持体の静電潜像電位:100V
◎実施例2
実施の形態2に係る現像装置(3開口方式の電極部材)を実施例1と同様な条件で使用した。
◎実施例3
実施の形態4に係る現像装置(2開口・仕切り部変形方式の電極部材)を実施例1と同様な条件で使用した。
◎実施例4
実施の形態5に係る現像装置(2開口・傾斜方式の電極部材)を実施例1と同様な条件で使用した。
◎実施例5
変形形態4−1に係る現像装置(4開口・仕切り部変形方式の電極部材)を実施例1と同様な条件で使用した。
◎実施例6
変形形態5−1に係る現像装置(4開口・傾斜方式の電極部材)を実施例1と同様な条件で使用した。
◎比較例1
比較の形態1に係る現像装置(現像領域の上流側のみの電極部材)を実施例1と同様な条件で使用した。
◎比較例2
比較の形態1に係る現像装置(現像領域の上流側のみの電極部材)を比較例1の条件を一部変更して使用した。
変更した条件は以下の通りである。
・振動電界Es:周波数10kHz,Vp-p 1.5kV
◎比較例3
比較の形態1に係る現像装置(現像領域の上流側のみの電極部材)を比較例1の条件を一部変更して使用した。
変更した条件は以下の通りである。
・振動電界Es:周波数10kHz,Vp-p 1.8kV
◎比較例4
比較の形態2に係る現像装置(現像領域の上流側のみの電極部材)を実施例1と同様な条件で使用した。
【0047】
<静電潜像電位と現像量との関係>
実施例1〜6及び比較例1〜4に対し静電潜像電位を変化させて現像量を調べたところ、図26に示す結果が得られた。
同図によれば、比較例1〜4について静電潜像電位を100Vにしたとしても、比較例3のVp-pを大きくすればグレード4以上の許容レベルに至るものはあるが、それ以外についてはいずれも許容レベル以下であった。
これに対し、実施例1〜6について静電潜像電位を変化させて現像量を調べたところ、静電潜像電位を75Vにしたとき、グレード4以上の許容レベルに至ることが理解された。
このとき、実施例1,2はほとんど現像量が同程度であり、これよりも、実施例3,4が多くなり、更に、実施例5,実施例6の順に現像量を増量することが可能であることが確認された。
このように、実施例1〜6については、Vp-pが1.2kV程度の振動電界を用いるだけで、いずれも十分な現像量が供給されることが把握された。
<静電潜像電位とかぶり量との関係>
実施例1〜6及び比較例1〜4に対し静電潜像電位を変化させて非画像部領域(背景部領域)に付着する現像量(かぶり量)を調べたところ、図27に示す結果が得られた。
同図によれば、比較例1〜4については、非画像部領域の静電潜像電位が−50V、−15Vのとき、いずれもグレード1.5以下の許容レベルには至らないことが確認され、実施例1〜6については、非画像部領域の静電潜像電位が−50V、−15V、10Vのとき、いずれもグレード1.5以下の許容レベルであることが把握された。
【0048】
<重ね現像時の現像量>
実施例1〜6及び比較例1〜4に対し、4つの現像装置31(例えば31a〜31d)を用い、予め決められた静電潜像電位(Vcontrast=75V)のソリッド画像を2回現像後に、非画像部領域(Vcontrast=−50V)について2回現像を施す一連のプロセスを行い、1回毎の現像量(g/m)を測定したところ、図28の結果が得られた。
同図によれば、比較例1〜4は現像量が少ないばかりか、特に、比較例2,3については非画像部領域について2回現像を施すと現像量が減少しているという傾向が見られる。
これに対し、実施例1〜6はいずれもソリッド画像に対する現像量は比較例に比べて多く、かつ、非画像部領域について2回現像を施したとしても、比較例のように、現像量が減少するという傾向は見られなかった。
<重ね現像時の前色現像像の乱れ度合>
実施例1〜6及び比較例1〜4に対し、前述した重ね現像時の現像量の測定結果に基づいて、非画像部領域についての2回現像(3回目現像,4回目現像)のときの現像量の減衰率(%)を測定した結果を図29に示す。
同図によれば、比較例2,3は減衰率が10%以下の許容レベルに至らないことが理解される。比較例1,4及び実施例1〜6はいずれも減衰率が10%以下の許容レベル内に収まっているが、実施例1〜6の方が比較例1,4に比べてより減衰率(%)が小さいことが確認される。特に、実施例3〜6が実施例1,2に比べて減衰率(%)はより小さいことが理解される。
この減衰率(%)は、重ね現像時の前色現像像の乱れ度合(掻き取り等)に相当する像乱れを示す指標であることから、減衰率が小さいということは重ね現像時の前色現像像の乱れ度合(像乱れ)が少ないことを意味する。
【0049】
実施例1〜6及び比較例1〜4についての以上の性能評価をまとめたものを図30に示す。
同図において、現像量、かぶり量、像乱れについて、○は許容レベル内である基準を満すことを意味し、×は前記基準を満していないことを意味するものであり、総合評価の欄では、現像量、かぶり量、像乱れのいずれも○である場合を○、一つでも×がある場合を×とした。
同図によれば、実施例1〜6はいずれも総合評価が○であることが理解され、比較例1〜4に比べて、かぶり量、像乱れを抑えながら、現像量を増加させる点で優れていることが把握される。
尚、比較例3を見ると、Vp-pを大きく設定することで現像量の増量は見込まれるが、かぶり量、像乱れとの両立が困難であることが理解される。
別途、比較例1〜4に対し、現像ロール、電極部材、像保持体の各隙間を小さく設定したモデルについても、現像量、かぶり量、像乱れについて同様な実験を行ったが、略同様な結果しか得られなかった。これは、現像剤をクラウド化する振動電界が強いために、像保持体の静電潜像近くまで現像剤が運ばれて現像され易い一方で、像保持体に現像剤が強く衝突して付着してしまうことで現像剤が多くなることや、静電潜像近くまで現像剤をクラウド化する振動電界が達するために、既に現像されている前色に相当する現像像を乱してしまうためと推測される。
【符号の説明】
【0050】
1…現像剤保持体,2…電極部材,2a…導電性部材,2b…絶縁性被覆層,3…振動電界形成装置,5…第1の開口,6…第2の開口,10…像保持体,11…現像装置,AF…第1の開口での気流の向き,AF…第2の開口での気流の向き,v…像保持体の周速,v…現像剤保持体の周速,z…静電潜像,T…現像剤,W…現像領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が保持された像保持体に対向して離間配置され、粉体現像剤を外表面に保持し且つ前記像保持体との対向部にて前記像保持体の周速より速い周速で同方向に移動する現像剤保持体と、
この現像剤保持体と前記像保持体との間で前記現像剤保持体に対向して離間配置され、少なくとも板状の導電性部材を有する電極部材と、
この電極部材の導電性部材と前記現像剤保持体との間に振動電界を形成し且つ前記現像剤保持体上に保持された現像剤を前記電極部材との間で振動させる振動電界形成装置と、
前記電極部材のうち、前記像保持体と前記現像剤保持体との間で現像に供される現像領域に対応して設けられ、前記現像剤保持体と前記電極部材との間で振動させられた現像剤を前記像保持体の静電潜像側に飛翔させる第1の開口と、
前記電極部材のうち前記現像領域に対応し且つ前記第1の開口よりも現像剤保持体の移動方向下流側に設けられ、前記第1の開口を経て前記像保持体側に飛翔した現像剤の一部を現像剤保持体側に戻す第2の開口と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記電極部材のうち、少なくとも第1の開口よりも現像剤保持体の移動方向上流側に前記導電性部材を有するものであることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の現像装置において、
前記電極部材の導電性部材の表面露出部のうち、前記現像領域及び前記振動電界により現像剤が振動する領域は絶縁性被覆層で被覆されていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれかに記載の現像装置において、
前記電極部材は前記現像領域に対応した部位にも前記導電性部材を有し、
前記振動電界形成装置は、前記電極部材の導電性部材に対し像保持体の静電潜像の画像部電位と非画像部電位との中間電位に相当する直流電圧を重畳させ、前記電極部材の導電性部材と現像剤保持体との間に振動電界を形成するものであることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれかに記載の現像装置において、
前記現像剤保持体はロール状部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれかに記載の現像装置において、
前記第1の開口及び前記第2の開口は、前記現像領域の長手方向に沿って延びる切り口で構成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1ないし5いずれかに記載の現像装置において、
前記第1の開口及び前記第2の開口は、前記現像領域の長手方向に沿って複数に分割された孔で構成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれかに記載の現像装置において、
前記第1の開口及び第2の開口が現像剤保持体の移動方向に沿って複数設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれかに記載の現像装置において、
前記電極部材のうち第1の開口と第2の開口との間に位置する仕切り部は、当該電極部材の他の部分に比べて像保持体側が凹み且つ現像剤保持体側が突出するように構成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項1ないし9いずれかに記載の現像装置において、
前記第1の開口は、像保持体側口が現像剤保持体側口に比べて現像剤保持体の移動方向に変位するように傾斜して設けられ、
前記第2の開口は、現像剤保持体側口が像保持体側口に比べて現像剤保持体の移動方向に変位するように傾斜して設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
静電潜像を保持して移動する像保持体と、
この像保持体に対向して離間配置され且つ前記像保持体に保持された静電潜像を現像剤にて現像する請求項1ないし10いずれかに記載の現像装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11記載の画像形成装置において、
像保持体は、移動可能な支持体と、この支持体の移動方向及びこの移動方向に交差する交差方向に沿って画像単位毎に行列配置される画素電極と、各画素電極に対して予め決められた画像信号に基づいた潜像電圧を印加することで静電潜像を書き込む静電潜像書込装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12記載の画像形成装置において、
複数の色成分の静電潜像が保持される前記像保持体と、複数の色成分の現像剤を夫々有し且つ前記像保持体に対向して離間配置されて選択的に使用可能に設けられ、前記像保持体に保持された各色成分の静電潜像を対応する現像剤にて現像する複数の前記現像装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−208189(P2012−208189A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71920(P2011−71920)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】