現像装置及びカートリッジ
【課題】 高い取り付け精度を必要とせず、長手方向の当接圧ばらつきを防止し、現像剤担持体の局所的な凹みによる画像不良を防止できる現像装置を提供する。
【解決手段】 復元力によって保持部材に保持されたシート状の現像剤量規制部材を現像剤担持体に当接し、押圧部における圧分布において極大値が2つ存在するように現像剤量規制部材を変形させて現像剤担持体に当接させる現像装置。
【解決手段】 復元力によって保持部材に保持されたシート状の現像剤量規制部材を現像剤担持体に当接し、押圧部における圧分布において極大値が2つ存在するように現像剤量規制部材を変形させて現像剤担持体に当接させる現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子写真方式や静電記録方式の画像形成装置に用いられる現像装置及びカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の現像剤として一成分トナーを用いた現像方式としては、接触現像方式と非接触現像方式が広く用いられている。詳しくは、(1)弾性層を有する現像剤担持体である現像ローラを用いた接触現像方式、(2)金属スリーブもしくは弾性層を有する現像剤担持体である現像ローラを用いた非磁性トナーによる非接触現像方式、及び、(3)現像剤担持体である金属スリーブを用いた磁性トナーによる非接触現像方式等が提案されている。これらの現像方式に対し、現像剤担持体上に一成分トナーを薄層形成するために現像剤の量を規制する現像剤量規制部材として、いくつかの方策が提案されている。
【0003】
(1)弾性層を有する現像ローラを用いた接触現像方式(図10)
誘電体層をもつ弾性ローラである現像ローラ3上に、非磁性現像剤を担持し感光ドラム1表面に接触させて現像を行う方式が広く知られている。現像ローラ3への現像剤の供給は、現像ローラ3に接触する供給ローラ5により行われる。供給ローラ5は、現像容器T内から現像剤を搬送し、現像ローラ3に付着させると共に、現像ローラ3に残った現像剤を一旦除去する機能も担っている。
現像ローラ3上に付着した現像剤の層規制及び摩擦帯電による電荷付与は、現像剤量規制部材4−cを、現像ローラ3に当接することにより行われる。現像剤量規制部材4−cとしては、金属薄板であり、この金属薄板は片持ちで支持され、その対向部の腹面を現像ローラ3に当接するブレード形状のものを用いることが提案されている。現像剤量規制部材により現像ローラ3上にコートされた現像剤は、感光ドラム1上に形成された静電潜像と、現像ローラ3上に印加されたバイアスの電位により、前記静電潜像を現像する。
【0004】
(2)金属スリーブもしくは弾性層を有する現像ローラを用いた非磁性トナーによる非接触現像方式(図11)
円筒形の金属、もしくは、その表面に導電性の樹脂層を持つ現像スリーブ3aに現像剤を担持し、近接する感光ドラム1表面に非接触で現像を行う方式が広く知られている。現像スリーブ3aへの非磁性現像剤の供給は、(1)接触現像方式と同様に供給ローラ5により行われる。
現像スリーブ3a上に付着した現像剤の層規制及び摩擦帯電による電荷付与は、現像剤量規制部材4−cを、現像スリーブ3aに当接することにより行われる。弾性層を有する現像ローラを用いる場合、(1)接触現像方式と同様に現像剤量規制部材4−cとして金属薄板を片持ちで支持し、その対向部の腹面を現像ローラに当接するブレード形状のものを用いることが提案されている。また、剛性の高い現像スリーブ3aを用いる場合、現像剤量規制部材4−cとして金属板を用いて現像スリーブ3aに当接することは難しいので、金属薄板にある程度の弾性特性を持つ樹脂層をコートしたもの等を用いることが提案されている。
現像スリーブ3aと感光ドラム1との間には、DCバイアスと共にACバイアスが印加されている。現像剤量規制部材により現像スリーブ3a上にコートされた現像剤は、このACバイアスにより、感光ドラム1と非接触の現像スリーブ3aとの間を飛翔、往復する。また、感光ドラム1上に形成された静電潜像と、現像スリーブ3a上に印加されたDCバイアスの電位と、により静電潜像は現像される。
【0005】
(3)金属スリーブを用いた磁性トナーによる非接触現像方式(図12)
一成分磁性トナーを用いた非接触現像方式が広く知られている。円筒形の現像スリーブ3aを用いる点と、現像剤の層規制及び摩擦帯電による電荷付与は現像剤量規制部材4−cを現像スリーブ3aに当接することにより行われる点は(2)非磁性トナーによる非接触現像方式と同様である。しかしながら、非接触現像方式では、現像スリーブ3aへの現像剤の供給は、現像スリーブ3a内にマグネット3bを設けることで磁力により行われる。
現像スリーブ3aと感光ドラム1との間には、(2)非磁性トナーによる非接触現像方式と同様、DCバイアスとACバイアスが印加され、非接触で現像が行われるものである。このとき、現像スリーブ3a上で帯電性が不十分なトナーが多めであっても、現像部付近に磁極を配することで、前記のトナーが不要に現像することを抑えられる。このため、現像スリーブ3a上の現像剤の帯電性は、(2)非磁性トナーによる非接触現像方式ほどの厳しい制御は要求されない。現像剤量規制部材4−cは、現像スリーブ3aへの当接の安定性を考えて、(2)非磁性トナーによる非接触現像方式などに比べて当接圧が低めのゴム板を用いることが提案されている。
【0006】
従来、現像剤量規制部材としては、薄板弾性部材を片持ち支持し、その対向部の腹面を現像ローラに当接させるブレード形状の現像剤量規制部材が知られている。
【0007】
また、板状弾性体の両端を保持部材に固定して板状弾性体の中央部を現像ローラに当接させるものが特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−250509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の薄板弾性部材を片持ち支持し、その対向部の腹面を現像ローラに当接するブレード形状の現像剤量規制部材は小型化することが難しいという課題があった。現像剤量規制部材を小型化すると、薄板を片持ち支持した支点から現像ローラとの当接点までの距離、すなわち自由長さが短くなる。これにより、当接圧のバネ定数が高くなり、現像剤量規制部材の設定位置がわずかに変化しただけでも当接圧が大きく変化してしまう。そのため、安定した当接圧に設定するためには、高精度な組み立てが必要である。
【0010】
また、薄板弾性部材の自由長さが短くなると、片持ち支持部における接着ムラ等の影響を受けやすくなり、長手方向に渡って均一な当接圧をかけることが難しいため、さらに小型化することが困難となる。
【0011】
また、従来技術における現像剤量規制部材を用いた場合、所望の当接圧最大値に安定して設定することが難しく、現像剤量規制部材の長手方向に渡り当接圧最大値のばらつきが生じ易い。そのため、耐久(現像装置の長期使用)後にトナー劣化具合のばらつきが長手方向に渡って発生し、結果として、耐久後のベタ画像に濃度ムラが長手方向に渡って発生するという課題があった。
【0012】
従来技術における現像剤量規制部材を用いて、トナーを薄層形成する場合、現像剤量規制部材であるブレードの腹面(ブレードのエッジを除いた表面)にて現像剤担持体である現像ローラに圧接される。そのため、ブレードと現像ローラとの当接ニップ部の圧力分布はニップ部中央で当接圧が最大となり、それよりも現像ローラの回転方向に対して上流及び下流になるに従って当接圧が弱くなる放物線状の圧分布になる。
【0013】
前述した放物線状の圧分布を有する現像剤量規制部材の場合、現像装置の組み立てにおける現像ローラ組み込み前のブレードの設定位置と現像ローラ組み込み後の現像ローラ表面位置との仮想距離である、いわゆる‘現像ローラ押し込み量’が増加すると、当接圧最大値は現像ローラ押し込み量に比例して増加する。
【0014】
そのため、組み立てによる現像ローラ押し込み量のばらつきにより、当接圧最大値もばらつくことが予測される。結果、ばらつきの少ない所望の当接圧最大値に安定して設定するためには高い組み立て精度を必要とする。
【0015】
また、生産のばらつきや現像ローラの円周振れ等により、現像ローラの長手方向に渡って現像剤量規制部材と現像ローラとの設定位置のばらつきが生じた場合、即ち、長手方向に渡って現像剤量規制部材に対する現像ローラ押し込み量にばらつきが生じた場合、現像剤量規制部材と現像ローラとの当接圧最大値のばらつきが長手方向に渡って発生する。これにより、特に耐久後にトナー劣化具合のばらつきが長手方向に渡って発生する。その結果として、耐久後のベタ画像に濃度ムラが長手方向に渡って発生する。
【0016】
一方、近年、電子写真装置の消費電力を低減する手段の一つとして、定着過程における消費電力の低減が望まれている。定着過程での低消費電力化を達成するためには、トナーを溶融するのに必要な熱量の低減、すなわちトナーの融点を低くすることが有効である。
【0017】
しかしながら、低融点のトナーは低温定着が容易になる反面、トナーストレスに対する強度が低下する。そのため、従来の一成分現像系では現像剤量規制部材から受ける圧力により、トナーが破砕・溶融し易くなる。このような低融点のトナーを用いた場合、前述したような当接圧最大値のばらつきに対するトナー劣化具合のばらつきがさらに顕著となってしまう。
【0018】
本発明の目的は、以上のような課題を解決し、新たに優れた現像装置及びカートリッジを提供することである。
本発明の他の目的は、小型化に適した現像装置及びカートリッジを提供することである。
本発明の他の目的は、現像剤量規制部材と現像剤担持体との当接圧を安定させることができる現像装置及びカートリッジを提供することである。
本発明の他の目的は、現像剤量規制部材と現像剤担持体との長手方向の当接圧のばらつきを低減できる現像装置及びカートリッジを提供することである。
本発明の他の目的は、画像濃度ムラを抑制した現像装置及びカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明は、現像剤を担持し、像担持体に形成された静電像を現像剤で現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制するための現像剤量規制手段と、を有する現像装置において、前記現像剤量規制手段は、前記現像剤担持体に当接して押圧する押圧部を有する可撓性のシート状の現像剤量規制部材と、該現像剤量規制部材が前記現像剤担持体に当接していない状態において前記現像剤量規制部材が前記現像剤担持体に向けて凸となる曲率形状を有するように前記現像剤量規制部材を保持する保持部材と、を備え、前記保持部材は、前記現像剤量規制部材が前記現像剤担持体に押圧された際に、前記現像剤量規制部材における短手方向の両端部の端面が当接する部分と、前記現像剤量規制部材における前記押圧部が存在する面に当接して前記両端部が広がるのを防ぐ支持部と、を有し、前記現像剤量規制部材は、前記現像剤量規制部材が曲げられた姿勢から戻ろうとすることで生じる復元力によって前記押圧部が存在する面が前記支持部に加圧当接することで、前記保持部材に保持され、前記現像剤量規制手段は、前記現像剤量規制部材を前記現像剤担持体に押圧する際、前記現像剤量規制部材の変形時の前記両端部の広がりを前記支持部が防ぎ、前記押圧部における前記現像剤担持体の回動方向の圧分布において極大値が2つ存在するように前記現像剤量規制部材を変形させるように構成されていることを特徴とする現像装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、現像剤量規制部材は、従来の現像剤量規制部材に対して、小型化時のコストと弊害、画像濃度ムラに対してバランスよく性能向上を図ることが出来る。
本発明によれば、従来技術と比較して、現像装置の小型化が可能であると同時に、簡易な構成による組み立て性の向上が図れるようになった。また、現像剤担持体に対して長期にわたり安定的な現像剤担持量による現像が可能となった。
【0021】
本発明における現像剤量規制部材は、小型化時においても、高い組み立て精度を必要としない。理由は以下の通りと考えられる。現像剤量規制部材に対する現像剤担持体の押し込み量の増加に対して、両者の当接圧の最大値が比例して変化しない領域が存在する。それにより、所望の当接圧最大値を安定して設定できるため、組み立て時に高い精度を必要としない。
【0022】
また本発明において、現像剤量規制部材と現像剤担持体との当接部は、現像剤担持体が押し込まれて当接した結果、現像剤担持体の回転方向に対して上流側及び下流側の2点で当接する状態が形成される。そのため、簡易な組み立てにおいても、常に安定した当接状態を確保できる。
【0023】
また装置の耐久後における現像剤担持体の長手方向の画像濃度ムラに対しては、以下の理由により効果的に抑制できると考えられる。本発明における現像剤量規制部材は、現像剤担持体の押し込み量に対して現像剤量規制部材と現像剤担持体との当接圧の最大値が上昇しない領域が存在する。そのため、この領域の範囲内で使用する限りにおいて、長手方向に渡る現像剤量規制部材に対する現像剤担持体3の押し込み量のばらつきを吸収することができ、耐久後においてもベタ画像の長手画像濃度ムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の現像剤量規制部材の特徴を示す概略図。
【図2】実施例1における画像形成装置本体の概略図。
【図3】実施例1におけるプロセスカートリッジの概略図。
【図4】本発明の現像剤量規制部材における現像ローラ押し込み量と当接圧最大値の関係を示すグラフ。
【図5】本発明の現像剤量規制部材における可撓性シート部材の変形状態の推移を示す概略図。
【図6】本発明の現像剤量規制部材おいて、現像ローラの凹みに対する可撓性シート部材の変形状態を示す概略図。
【図7】実施例2の現像剤量規制部材の特徴を示す概略図。
【図8】実施例1を用いた実施形態2の現像装置の概略図。
【図9】実施例1を用いた実施形態3の画像形成装置本体及び現像装置の概略図。
【図10】背景技術(1)における現像装置の概略図。
【図11】背景技術(2)における現像装置の概略図。
【図12】背景技術(3)における現像装置の概略図。
【図13】比較例1の現像剤量規制部材を示す概略図。
【図14】比較例2の現像剤量規制部材を示す概略図。
【図15】比較例3の現像剤量規制部材を示す概略図。
【図16】比較例4:特開平11−265115号公報に記載された現像装置の現像剤量規制部材周辺の概略図。
【図17】比較例5:特開平9−34247号公報に記載された現像装置の現像剤量規制部材周辺の概略図。
【図18】比較例6:特開平6−95484号公報に記載された現像装置の現像剤量規制部材周辺の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る現像装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0026】
(現像装置の実施形態1)
図1〜3は本発明に従う現像装置を用いた画像形成装置の概略構成図及びそれを説明する詳細図である。図2に示す本画像形成装置Aは、電子写真プロセス利用のフルカラーレーザープリンタである。以下に本実施形態における画像形成装置Aの全体的な概略構成について述べる。
【0027】
本画像形成装置Aは、図3に示すように、帯電装置、現像装置D、クリーニング装置C、及び、感光ドラム1等を一体としたプロセスカートリッジBを、図2に示すようにイエロー、マゼンダ、シアン、黒色の各色について4連に並べている。プロセスカートリッジBのそれぞれは、画像形成装置の本体に対して着脱可能とされている。各色のプロセスカートリッジBで形成されたトナー像は、転写装置の中間転写ベルト20上に転写されることでフルカラートナー画像を形成するものである。各プロセスカートリッジB上における画像の形成工程については、詳細に後述する。
【0028】
各色のプロセスカートリッジBにより、像担持体である感光ドラム1上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト20を挟んで、各色の感光ドラム1の対向位置に設けられた1次転写ローラ22y、22m、22c、22kにより、中間転写ベルト20上で転写される。4色のトナー像は、中間転写ベルトの移動方向下流側に設けられた2次転写ローラ23により、一括して記録紙上に転写される。なお、中間転写ベルト20上の未転写トナーは、中間転写ベルトクリーナー21によって回収される。
【0029】
記録紙Pは画像形成装置A下部のカセット24内に積載されており、印字動作の要求とともに給紙ローラ25により搬送され、2次転写ローラ23位置において、中間転写ベルト20上に形成されたトナー像が記録紙Pに転写される。
【0030】
その後、定着ユニット26により記録紙上のトナー像は記録紙に加熱定着され、排紙部27を経て画像形成装置A外部に排出される。
【0031】
本画像形成装置Aにおいては、各4色のプロセスカートリッジB等を収納する上部ユニットと、転写ユニット、記録紙等を収納する下部ユニットは分離可能になっている。従って、紙詰まり等のジャム処理や、プロセスカートリッジBの交換処理において、上部ユニットと下部ユニットを開放することにより前記処理が行なわれる。
【0032】
なお、本実施形態の画像形成装置Aにおいては、プロセスカートリッジBのトナー容量を含む寿命は、A4用紙印字率5%換算で4000枚相当に設定されているものを使用している。
【0033】
次に、プロセスカートリッジBにおける画像形成プロセスについて説明する。
【0034】
図3は、並列におかれた4つのプロセスカートリッジBの1つ注目し、その近傍の断面を示したものである。
【0035】
画像形成プロセスの中心となる感光ドラム1はアルミニウム製シリンダーの外周面に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光ドラム1を用いている。画像形成プロセスにおいて、感光ドラム1は所定の速度で画像形成装置Aにより図中矢印a方向へ駆動される。
【0036】
帯電装置である帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部を感光ドラム1に加圧接触させて矢印b方向に従動回転する。ここで帯電ローラ2の芯金には、帯電工程として、感光ドラム1に対して−1100Vの直流電圧が印加されており、これにより誘起された電荷によって、感光ドラム1の表面電位は、−550Vとなる一様な暗部電位(Vd)が形成される。
【0037】
この一様な表面電荷分布面に対して、スキャナーユニット10により、画像データに対応して発光されるレーザー光のスポットパターンは、図3中の矢印Lで示すように感光体を露光する。露光された感光体の部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、露光部位は明部電位Vl=−100V、未露光部位は暗部電位Vd=−550Vの静電像(静電潜像)が、感光ドラム1上に形成される。
【0038】
静電潜像は、所定のコート量及び電荷量の、現像剤であるトナーを担持する現像剤担持体としての現像ローラ3上に形成されたトナーコート層を持つ現像装置Dにより現像される。前記トナー層の形成方法については後述するものであるが、現像ローラ3は感光ドラム1に接触しながら、矢印cに示すように感光ドラム1の回転方向に対して順方向に回転している。本実施形態においては、現像ローラ3にDCバイアス=−350Vの電圧が印加され、摩擦帯電によりマイナスに帯電したトナーが、感光ドラム1に接触する現像部において、その電位差から、明部電位部にのみ飛翔して静電潜像を実像化する。即ち、トナーの帯電極性と静電潜像の極性は同じ極性であり、反転現像が行なわれる。
【0039】
各プロセスカートリッジBの感光ドラム1に接触する中間転写ベルト20は、感光ドラム1に対向した1次転写ローラ22y、22m、22c、22kにより感光ドラム1に加圧される。また、1次転写ローラ22y、22m、22c、22kには直流電圧が印加されており、感光ドラム1との間で電界が形成されている。これにより、感光ドラム1上で実像化されたトナー像は、前記の加圧接触する転写領域において、電界の力を受けて感光ドラム1上から中間転写ベルト20上に転写される。一方、感光ドラム1上で中間転写ベルト20に転写されずに残った未転写トナーは、クリーニング装置Cに設置されたウレタンゴム製のクリーニングブレード6により、ドラム表面から掻き落とされ、クリーニング装置C内に収納される。
【0040】
以下、本実施形態1に用いた現像装置の詳細を述べる。
【0041】
図1−aは後述する実施例1の現像装置である。非磁性一成分現像剤を収容する現像容器Tと、感光ドラム1に対して接触しながら順方向cに回転する現像剤担持体である現像ローラ3と、を備える。さらに現像装置は現像ローラ3に対して接触しながら逆方向dに回転する供給ローラ5と、供給ローラ5の下流側で現像ローラ3に当接し、現像ローラ3上の現像剤量を規制する現像剤量規制手段4と、トナーTを撹拌する撹拌部材11を備えている。
【0042】
ここで、現像ローラ3は、本実施例においては、外径φ6mmの芯金に導電性の弾性層3mmを形成したφ12mmの弾性ローラを用いており、弾性層には体積抵抗値106Ωmのシリコーンゴムを用いた。なお、弾性ローラ表層には現像剤への電荷付与機能を持つコート層等を設けるようにしてもよい。本実施例では、感光ドラム1に安定して弾性接触させるために、弾性層の硬度をJIS−Aで45°、また、現像ローラ3の表面粗さとしては、使用するトナーの粒径にもよるが、十点平均粗さRzで3μm〜15μmが好ましい。使用するトナー粒径が平均体積粒径で6μmであれば好適には十点平均粗さRzで5μm〜12μmが使用可能である。十点平均粗さRzは、JIS B0601に示されている定義を用い、測定には小坂研究所製の表面粗さ試験器「SE−30H」を使用した。
【0043】
また、供給ローラ5は、本実施例においては、外径φ5mmの芯金上に発泡骨格構造で比較的低硬度のポリウレタンフォームを5.5mm形成した外径φ16mmの弾性スポンジローラを用いた。供給ローラ5は連泡性の発泡体で構成することにより、過大な圧を加えることなく現像ローラ3と当接し、発泡体表面の適度な凸凹で現像ローラ3上へのトナー供給および現像時に消費されずに残像したトナーの剥ぎ取りを行っている。このセル構造の掻き取り性はウレタンフォームに限定されるものでなく、シリコーンゴムやエチレンプロピレンジエンゴム(EPDMゴム)等を発泡させたゴム等が使用可能である。
【0044】
現像ローラ回転方向(回動方向)cに対して、供給ローラ5と現像ローラ3との接触面の下流側には、現像ローラ3に当接し、現像ローラ3に担持された現像剤量を規制する現像剤量規制手段4が設けられる。現像剤量規制手段4は、現像ローラ3に当接する現像剤量規制部材と、現像剤量規制部材を保持する保持部材と、を備える。
【0045】
現像剤量規制手段4は、現像ローラ3上の前記トナーを感光ドラム1上における現像に適した所定のコート量、及び、所定の電荷量に制御することを目的とする。現像剤量規制手段4については、後述する各実施例及び比較例にて詳細に述べる。
【0046】
(現像装置の実施形態2)
図8は本発明による第二の実施形態を示す現像装置の断面図である。本実施形態はフルカラーレーザープリンタに前記現像装置を適用したものであるが、前記現像装置以外の画像形成装置の構成は、実施形態1と同様である。前述の実施形態1の画像形成装置Aと同様の点については再度の説明を省略し、異なる点について述べる。本実施形態では、現像剤担持体である現像スリーブ3aは感光ドラムとの間隙が300μmになるように対向して設置され、現像スリーブ3a上に担持された非磁性一成分トナーを感光ドラム表面に非接触で現像を行う。
【0047】
具体的には、現像スリーブ3aは矢印cに示すように感光ドラム1と順方向に回転している。現像スリーブ3aには、−350VのDCバイアスと、2400Hz、1600Vppの矩形波のACバイアスと、を備える電圧が印加されている。感光ドラム1上には、実施形態1と同様に、暗部電位Vd=−550V、明部電位Vl=−100Vの静電潜像が形成されている。現像スリーブ3a上でマイナスに摩擦帯電したトナーは、前記のACバイアスにより、感光ドラム1と現像スリーブ3aが近接する現像部で、その間を往復運動することにより感光ドラム1上にトナー像を形成する。
【0048】
(現像装置の実施形態3)
図9は本発明の現像装置を用いた第三の実施形態の画像形成装置を示す概略機構図である。図9−aは画像形成装置であるモノクロレーザープリンタ本体、図9−bは前記モノクロレーザープリンタに用いられる現像装置についての断面図である。
【0049】
本実施例においては、現像剤担持体としての現像スリーブ3aに導電性樹脂をコートした金属スリーブを用いており、現像スリーブ3a内部には所定の磁極配置を持った固定のマグネットローラ7が設けられている。現像容器内の磁性トナーはマグネットローラ7との磁力により、現像スリーブ3a表面に引き寄せられる。現像スリーブ3a表面に付着した磁性トナーは、矢印cに示す現像スリーブ3aの回転により搬送されるが、現像剤量規制手段4との当接部を通過する際に圧力を受け、摩擦帯電すると共に層規制され、帯電したトナーコート層が形成される。
【0050】
本実施形態においては、現像スリーブ3aと感光ドラム1との間は、最近接部において300μmのギャップが保たれている。また、現像スリーブ3aには、−350VのDCバイアスと、2400Hz、1600Vppの矩形波のACバイアスと、を備える電圧が印加されている。感光ドラム1上には、実施形態1と同様に、Vd=−550V、Vl=−100Vの静電潜像が形成されている。現像スリーブ3a上でマイナスに摩擦帯電した磁性トナーは、前記のACバイアスにより、感光ドラム1と現像スリーブ3aが近接する現像部で、その間を往復運動することにより感光ドラム1上にトナー像を形成する。なお、現像スリーブ3a内のマグネットローラには、現像部付近に磁極が設けられている。本実施形態においては、この磁極により現像スリーブ3a表面での磁力を800Gにすることで、前記の電位設定で制御できないような、不適当な電荷を持ったトナーが、誤って暗部Vd部に飛翔することを抑えている。
【0051】
(実施例および比較例)
以下に現像剤量規制手段の実施例および比較例について説明する。
【0052】
(実施例1)
本実施例の現像剤量規制手段4について説明する。図1−bはU字形状に保持された現像剤量規制手段4を現像ローラ3に対して所定の使用位置(現像が行なわれる通常位置)に当接させる前の状態を示している。また、図1−cは本実施例の現像剤量規制手段4を現像ローラ3に所定の押し込み量で所定の使用位置に当接させた時の状態を示している。図1−bに示すように、本実施例の現像剤量規制手段4は、現像剤量規制部材である可撓性シート部材40と、現像剤量規制部材を保持するシート保持部材42と、で構成される。可撓性シート部材40は、シート保持部材42に対して接着等による固定は行われず非固定の状態となっている。ここで、可撓性シート部材40はその長手方向に沿って曲げられることによりU字形状を形成する。可撓性シート部材40の長手方向は、図1−b、図1−cの紙面に対して垂直の方向である。
【0053】
このとき、可撓性シート部材40には、長手方向に沿って曲げられ姿勢から戻ろうとする復元力F−1が働く。そのため、可撓性シート部材40の短手方向両端部の面である第二当接部47がシート保持部材42の凹部内壁の可撓性シート支持部48に加圧当接し、可撓性シート部材40は接着や他の部品から支持がなくても、凹形状のシート保持部材42に安定支持される。さらに、可撓性シート部材40と現像ローラ3が当接する第一当接部46において、現像ローラ3から加圧力F−2を受けるため、可撓性シート部材40は弾性力により安定支持される。また、第一当接部(押圧部)46における加圧力F−2を受けることで可撓性シート部材の端面49はシート保持部材42に当接し、可撓性シート部材40は位置決め規制される。
【0054】
本実施例では、可撓性シート部材40として、硬度がJIS−Aで70°のウレタンゴムを用いており、肉厚0.4mm、短手方向の長さ12.5mmのシート材を、幅5.0mmのシート保持部材42の凹部で受けることにより、U字形状を形成している。仮に現像ローラ3を設けない場合の可撓性シート部材40の先端位置(U字形状の中央部である突出位置)と、現像ローラ3を通常の使用位置にした場合の現像ローラ3表面位置、との距離である仮想のオーバーラップ量を押し込み量とする。このときの現像剤量規制部材と現像ローラ3との当接条件としては、押し込み量を0.8mmにすることで、当接圧が20KPaになるように設定されている。
【0055】
シート保持部材42としては、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂などを用いることができる。
【0056】
なお、前記当接圧の測定方法は、薄膜のシート形状の圧力センサ(例えば、プレスケール;富士写真フイルム社製等)を用いるのが一般的であるが、本実施例においては当接圧が低く、一般的な圧力センサーでは測定が難しかった。そのため、当接圧の測定は、厚さ20μmのSUS304鋼帯のH材を三枚重ねにして、現像剤量規制部材と現像ローラ3との当接部に挿入し、当接面の接線方向に中央の薄板をバネ秤で引き抜き、そのときの引き抜き力を測定する。こうすることで、この圧力測定治具に既知の負荷をかけた場合の引き抜き圧測定による校正値と当接幅とから求めた。
【0057】
ここで、現像ローラ3と可撓性シート部材40の接触領域である当接ニップ内の圧力分布を図1−gに示す。本実施例において、現像ローラ3の回転方向cの上流と下流に当接圧の極大値を持ち、その中間において当接圧の低い領域をもつ2つの当接圧極大値を有する圧分布が形成されている。
【0058】
圧分布測定は、ひずみゲージを利用することで当接圧の変化を電気信号として検出した。具体的には、共和電業製のひずみゲージ「KFG−02−120」を、現像ローラ3と同一直径の中空アクリルローラに設けた穴に貼り付ける。このとき、ひずみゲージの樹脂ベース部分の先端をアクリルローラの表面から0.1mmから0.3mmの範囲ではみ出るように貼り付けている。またひずみゲージのリード線をアクリルローラの中空部分から端部へ出すことによりローラを回転可能にしている。ひずみゲージを貼り付けたアクリルローラを現像剤量規制部材4に当接させて回転させると、ひずみゲージの樹脂ベース部分の先端が現像剤量規制部材4から受ける当接圧により変形する。これにより、当接圧の変化をひずみゲージ自身のひずみ量の変化として、電気信号で検出できる。このとき、電気信号のノイズを減らすため、現像剤量規制部材以外の現像ローラ3と当接する部材は取り除いている。尚、電気信号の検出には共和電業製の「PCD−300A」を使用した。
【0059】
本実施例において、現像剤量規制部のニップ内圧分布において当接圧ピークが複数形成される理由を以下に述べる。
【0060】
U字形状に支持された可撓性シート部材40に対し現像ローラ3を押し込む(現像ローラ3を図1−bにおいて上方へ移動させる)と、可撓性シート部材40はU字形状の中央部に形成された中空状態8を持つ弾性部で現像ローラ3と当接する。このとき、可撓性シート部材40が変形することで弾性力が生じ、現像ローラ3上のトナー量を規制するための当接圧を確保することができる。図1−bに示すように、可撓性シート部材40は第一当接部46において、現像ローラ3からの加圧力F−2を受ける。
【0061】
次に、可撓性シート部材40の両端部の面である第二当接部47は、第一当接部46で現像ローラ3から押し込まれることにより、可撓性シートがU字形状に曲げられた姿勢から戻ろうとする復元力と同じ方向に広がろうとする。しかしながら、シート保持部材42の凹部内壁のシート保持部48に規制される。
【0062】
ここで図1−d、図1−e、図1−fに示すように、可撓性シート部材40がU字形状に保持された状態における円弧形状部分だけを取り出した図を用いて考察する。図1−bの状態から現像ローラ3を上に移動させるにつれて、可撓性シート部材40は、図1−d、図1−e、図1−fと順に変化していく。なお本実施例の可撓性シート部材40の通常の使用位置(現像時の位置)は図1−fの位置である。円弧形状部分は、点線で示す枠から外側へはみ出ることは概ねない。この理由はシート保持部48が可撓性シート部材40の両端部の広がりを規制しているためである。点線で示す枠の幅Wは、おおよそシート保持部48の凹部の溝幅であり、一定値である。また、点線で示す枠の高さHは、ほぼシート保持部材42の凹部外壁の端部から現像ローラ3の表面までの距離であるが、現像ローラ3の押し込み量が増加するに従い減少する。即ち、図1−cにおいて、現像ローラ3を上に移動するにつれて、シート保持部材42の凹部外壁の端部と現像ローラ3表面との距離は減少する。これに対して、図1−dに取り出された可撓性シート部材40の円弧形状部分の長さは、点線で示す枠サイズの変化に関わらず、概ね一定に保たれると考えられる。
【0063】
図1−eに示すように可撓性シート部材40に対する現像ローラ3の押し込み量が小さい場合、現像ローラ3により押し込まれた可撓性シート部材40は、斜線部の空間Sに変形して逃げることで円弧形状部分の長さを概ね一定に保つことができる。
【0064】
次に、本実施例を示す図1−fに示すように現像ローラ3の押し込み量が所定量を超えた場合、斜線部の空間Sが狭まる。そのため、現像ローラ3により押し込まれた可撓性シート部材40は空間Sに変形して逃げることができず、円弧の中央部分においてU字形状の中空部分8に向かって変形することで円弧形状部分の長さは概ね一定に保たれる。このとき、可撓性シート部材40の円弧形状部分には可撓性シート支持部48から受ける反力により圧縮荷重が作用している。この圧縮荷重がシート材円弧部分の中央において、座屈が起こる限界荷重を超えて、座屈が生じた状態で現像ローラ3と当接している。即ち、可撓性シート部材40の中央部が図1−fにおいて、上に変位した状態で現像ローラ3と当接している。これにより図1−cに示すように、現像ローラ3と可撓性シート部材40との当接ニップ部において、当接ニップ上流部に接点領域A1、当接ニップ中央においては当接圧が低く、‘たるみ’7の生じた領域A2、および当接ニップ下流部に接点領域A3が存在する。またこのような構成における当接ニップ部の圧分布は、図1−gに示すように、当接ニップ部の上流と下流に当接圧の極大値をもち、該当接ニップ中央部では当接圧の低い領域をもつ2ピーク圧分布となる。
【0065】
本実施例においては、可撓性シート部材40は長手方向に沿って曲げることによりU字形状の現像剤量規制部材を形成した。
【0066】
また実施例の変形例として図1−hに示すような構成においても、上述した実施例と同様の効果を有する。具体的には、可撓性シート部材40はU字形状ではなく、曲率を持った略L字形状に支持される。現像ローラ3の回転方向下流側では上述したように、可撓性シート部材40を曲げたことにより発生する復元力F−1が第二当接部47において、シート保持部材42の凹部内壁の可撓性シート支持部48に作用する。また現像ローラ3の回転方向上流側では、前記のような復元力を利用することなく、可撓性シート部材40をシート保持部材42に接着することで支持している。この変形例においても同様に、現像ローラ3の押し込み量が一定量を超えた場合、現像ローラ3と可撓性シート部材40との当接ニップ部において、該当接ニップ上流部に接点領域A1、当接ニップ中央においては当接圧が低く、‘たるみ’7の生じた領域A2、および当接ニップ下流部に接点領域A3が存在する。このような構成における該当接ニップ部の圧分布は、図1−gに示すように、当接ニップ部の上流と下流に当接圧の極大値をもち、当接ニップ中央部では当接圧の低い領域をもつ2ピーク圧分布となる。
【0067】
なお、図1−cの例において、可撓性シート部材40を、上流側の第二当接部47と下流側の第二当接部47とのうちの少なくとも一つの箇所で接着等によりシート保持部材48に固定しても良い。
【0068】
(実施例2)
本実施例の現像剤量規制手段4について説明する。実施形態1の現像装置に適用した本実施例を図7に示す。本実施例の現像剤量規制手段4は現像剤量規制部材である無端形状の可撓性チューブ部材41と、現像ローラ3と対向し凹形状でチューブを保持するチューブ保持部材45と、で構成される。
【0069】
本実施例では、可撓性チューブ部材41として、外径5mm、肉厚0.5mm、硬度がJIS−Aで60°のシリコーンゴムを用いており、凹部の幅5.2mmのチューブ保持部材45の凹部で可撓性チューブ部材41を保持している。このときの現像剤量規制部材(可撓性チューブ部材)41と現像ローラ3との当接条件は、次のとおりである。即ち、仮に現像ローラ3を設けない場合の現像剤量規制部材の先端位置と、現像ローラ3を通常の使用位置に設けた場合の現像ローラ3表面と、の距離としての仮想のオーバーラップ量である押し込み量を0.8mmにすることで、当接圧が20KPaになるように設定されている。
【0070】
このときの現像ローラ3と可撓性チューブ部材41が当接するニップ内の圧力分布は、実施例1と同様に現像ローラ3の回転方向cの上流と下流に当接圧の極大値を持ち、その中間において当接圧の低い領域をもつ2つの当接圧極大値を有する圧分布が形成されている。
【0071】
(比較例1)
本比較例1の現像剤量規制手段4について説明する。実施形態1の現像装置に適用した本比較例を図13に示す。本比較例の現像剤量規制手段4は基本的に実施例1記載の現像剤量規制手段4に類似しているが、現像剤量規制部材に対する現像ローラ3の押し込み量を0.3mmとしている。前述の押し込み量設定では、現像ローラ3上のトナーを十分に薄層化するための当接圧が得られないため、本比較例においては、現像剤量規制部材である可撓性シート部材40として実施例1よりも厚い肉厚のシートを使用することにより適正な当接圧を確保している。具体的には、可撓性シート部材40として肉厚1.0mm、硬度はJIS−Aで70°のウレタンゴムを用いている。可撓性シート部材に力を与えない場合、その短手方向の長さは12.5mmであり、凹部の幅5.0mmのシート保持部材42の凹部で保持して、U字形状を形成している。
比較例1の可撓性シート部材40は実施例1のものよりもシート肉厚が厚いため、弾性力が高い。そのため、U字形状に保持された可撓性シート部材40は、その湾曲面の曲率がほとんど変わらない状態で現像ローラ3の表面に当接する。この場合、可撓性シート部材40の座屈は生じない(可撓性シート部材の中央部が現像ローラから離れない)ため、現像ローラ3との当接部における圧分布は、当接ニップ中央部の当接圧を最大とする極大値が1つだけ形成される。
なお、特開平6−250509号公報に示される板状弾性体についても本比較例1と同様に現像剤担持体に対する圧分布として極大値が1つだけ形成されると思われる。
【0072】
(比較例2)
本比較例の現像剤量規制手段について説明する。実施形態1の現像装置に適用した本比較例を図14に示す。本比較例の現像剤量規制手段は実施例1と同様に現像剤量規制部材である可撓性シート部材40と、シート保持部材42と、で構成される。しかしながら、可撓性シート部材40をU字形状に保持する際に、可撓性シート材の短手方向両端部の側面を規制していない点で実施例1と異なる。可撓性シート部材40は短手方向の両端面をシート保持部材42に接着することで保持される。図14−aはU字形状に支持された可撓性シート部材に対して現像ローラ3を押し込んでいない時(可撓性シート部材と現像ローラとの圧力がほぼ0に近い時)の状態を示している。
また、図14−bはU字形状に支持された可撓性シート部材40に対して現像ローラ3を押し込んだ時の状態を示している。可撓性シート部材40はU字形状の中央部に形成された中空状態を持つ弾性部で現像ローラ3と当接し、加圧力F−2を受ける。この構成では、シート保持部材42は凹部ではなく可撓性シート部材40の両端側面を規制しないため、現像ローラ3の押し込み量を増加しても可撓性シート部材40は加圧力F−2に垂直な方向に広がることができる。そのため、現像ローラ3の押し込み量を実施例1と同じ量に設定にしても、可撓性シート部材の座屈は生じにくく、現像ローラ3との当接部における圧分布は、当接ニップ中央部の当接圧を最大とする極大値が1つだけ形成される。
また、比較例2に類似の構成として、特開平11−265115号公報に開示されている現像装置がある。
【0073】
(比較例3)
本比較例の現像剤量規制手段について説明する。図15に示す、本比較例の現像剤量規制手段は現像容器に固定された支持板金によって、リン青銅板やステンレス板などの薄板状弾性部材490を片持ちで支持している。そして現像剤量規制部材である薄板状弾性部材490の対向部の腹面を現像ローラ3に対して当接している。本比較例においては、厚さ1.2mmの鉄板を支持板金として使用し、厚み120μmのリン青銅板を薄板状弾性部材490とし、薄板状弾性部材490を支持板金に接着している。薄板状弾性部材490の片持ち支持部から現像ローラ3との当接部までの距離、いわゆる自由長さは14mmであり、現像ローラ3の薄板状弾性部材490に対する押し込み量は1.5mmである。また、このような構成において、現像ローラ3との当接部における圧分布は、当接ニップ中央部の当接圧を最大とする極大値が1つだけ形成される。
【0074】
(比較例4)
図16に示す本比較例の現像剤量規制手段について述べる。本比較例の現像剤量規制手段は、現像ローラ3の周表面に当接する剛性部材からなる現像剤量規制部材としてのブレード460と、ブレード460の片面を現像ローラ3の周表面に圧接する方向に付勢する弾性付勢手段471と、を備える。剛性部材からなるブレード460は、片面に現像ローラ3の周表面と略同じ曲率を有する接触凹部461を備えている。
これにより現像ローラ3と規制部材の当接ニップ部は、規制部材における接触凹部461の略全面が現像ローラ3の周表面に略均一に接触する。またこのような構成における当接ニップ部の圧分布は、ニップ中央部の当接圧を最大とする極大値が1つだけ形成される。また、本例に類似の構成として、特開平9−34247号公報に開示されている現像装置がある。
【0075】
(比較例5)
本比較例の現像剤量規制手段について述べる。図17に示す、本比較例の現像剤量規制手段は、リン青銅板等の薄板状弾性部材を片持ちで支持している。薄板状弾性部材はその対向部の腹面を現像ローラ3に対して当接する第一の金属ブレード17と、現像ローラ3の回転方向cに対して第一の金属ブレードの下流側に第二の金属ブレード21を有し、現像ローラ3に2箇所で当接する構成である。本構成では、第一のブレード17と第二のブレード21それぞれの現像ローラ3との当接部において、ニップ中央部に極大値が1つずつ形成される圧分布を有する。
また、本例に類似の構成として、特開平6−95484号公報に開示されている現像装置がある。
【0076】
(比較例6)
本比較例の現像剤量規制手段を図18に示す。現像ローラ3と当接する金属ブレード23が、当接部において、弧状の凹部24を有し、現像ローラ3の半径をr、凹部24の曲率半径をRとしたとき、0<R≦rの関係を満足する構成である。このとき金属ブレード23の弧状の凹部24におけるエッジ部が2箇所現像ローラ3に当接している。ここで金属ブレードは剛体であり、可撓性はないとみなす。
このような構成では、現像ローラ3と金属ブレード23の当接ニップ部は、該当接ニップ上流部における第一のエッジ当接部と、当接ニップ中央部において現像ローラ3と接触しない領域と、当接ニップ下流部における第二のエッジ当接部を有する。本比較例における当接ニップ部の圧分布は、当接ニップ部中央に当接圧の発生しない領域が存在し、第一のエッジ当接部と第二のエッジ当接部において急峻なピーク圧を有する、極大値を2つ有する圧分布となる。
また、本例に類似の構成として、特開平6−95484号公報に開示されている現像装置がある。
【0077】
(実施例3、4)
本実施例3、4は、実施例1記載の現像剤量規制手段をそれぞれ実施形態2、実施形態3の現像装置に適用したものである。
【0078】
(比較例7)
本比較例は、比較例3の現像剤量規制手段を、実施形態2記載の現像装置に適用したものである。
【0079】
(比較例8)
本比較例は実施形態3の現像装置に対し、以下に説明する現像剤量規制手段を適用したものである。本比較例の現像剤量規制手段は現像容器に固定された支持板金に、ウレタンゴムなどを片持ちで支持し、その対向部の腹面を現像スリーブに対して当接している。本比較例においては、厚さ1.2mmの鉄板を支持板金として使用し、現像剤量規制部材として厚み0.9mmのウレタンゴム板を支持板金に接着している。ウレタンゴム板の片持ち支持部から現像スリーブとの当接部までの距離、いわゆる自由長さは6.5mmであり、現像スリーブのウレタンゴムに対する押し込み量は3.1mmである。また、このような構成において、現像スリーブとの当接部における圧分布は、当接ニップ中央部の当接圧を最大とする極大値が1つだけ形成される。
【0080】
(各実施例および比較例の評価方法)
a)小型化時に所定圧を設定するための精度とコスト評価
×:小型化時に所定圧を設定するために高精度を要し、高コスト化する。
○:小型化時に所定圧を設定するために高精度を要せず、高コスト化しない。
b)耐久後の長手画像濃度ムラ
画像評価は、全面に黒を印字するベタ画像を出力し、現像剤規制手段の長手方向(レーザー主走査方向)に渡る帯状の画像濃度ムラの有り無しを目視により評価した。
×:長手画像濃度ムラが認識される。
○:長手画像濃度ムラが認識されない。
長手画像濃度ムラ評価は、記録紙4000枚の印字テスト後に行った。印字テストは、画像比率5%の横線の記録画像を連続的に通紙して行った。
c)圧接跡による画像濃度ムラ
現像ローラの凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期で発生する濃度ムラを評価した。プロセススピード及び感光ドラムと現像ローラの周速比などを加味して、現像周期を正確に計算し、同周期の画像不良を抽出して評価した。画像欠陥の大きさは、現像ローラの凹みの大きさによっても異なるが、レーザー副走査方向(現像ローラ回転方向)の長さは1〜2mm程度、レーザー主走査方向(現像剤量規制手段長手方向)の長さは全域に渡るものである。本評価は、全面に黒を印字するベタ画像と中間調画像の2種類の画像を用いた。中間調画像とは、主走査方向の1ラインを記録し、その後1ラインを非記録とする縞模様を意味し、全体として中間調の濃度を表現している。
評価は画像欠陥の有り無しを目視により、以下の基準で評価した。
×:ベタ画像と中間調画像の2種類ともに画像欠陥有り。
△:ベタ画像に画像欠陥は有るが、中間調画像には画像欠陥が無い。
○:ベタ画像と中間調画像の2種類ともに画像欠陥無し。
なお、本評価では常温常湿環境(23℃、50%)下に10ヶ月間放置した現像装置を使用した。
d)ゴースト
画像評価は、25mm四方のパッチを画像先端部(現像ローラ回転1周目)で現像し、現像ローラ回転2周目以下の中間調画像上に現れるパッチ状の濃度差をゴースト画像として評価した。また、プロセススピード及び感光ドラムと現像スリーブの周速比などを加味して、現像周期を正確に計算し、同周期の画像欠陥を抽出した。
評価は画像欠陥の有り無しを目視により、以下の基準で評価した。
×:ゴーストが認識される。
○:ゴーストが認識されない。
評価は記録紙初期100枚時に行った。
e)ピッチムラ
画像評価は、全面に黒を印字するベタ画像を出力し、不特定周期で発生するピッチムラを画像欠陥として評価した。
評価は画像欠陥の有り無しを目視により、以下の基準で評価した。
×:ピッチムラが認識される。
○:ピッチムラが認識されない。
評価は記録紙初期100枚時に行った。
【0081】
評価結果
本実施例及び比較例の評価結果を以下の表にまとめた。
【0082】
【表1】
【0083】
(従来技術に対する優位性)
はじめに、一般的な従来技術である、ブレード形状の現像剤量規制部材に相当する比較例に対する優位性を示す。具体的に、実施例1、3、4と比較例3、7、8について説明する。
【0084】
a)小型化時の精度とコスト
比較例3、7、8は一般的な従来技術であるブレード形状の現像剤量規制部材であるが、小型化することが難しいという課題がある。薄板状弾性部材を片持ちで支持し、その対向部の腹面を現像ローラ3に対して当接している。これらの比較例において小型化すると、薄板を片持ち支持した支点から現像ローラ3との当接点までの距離、すなわち自由長さが短くなる。これにより、現像ローラ3の押し込み量に対する当接圧の変化すなわちバネ定数が高くなる。
【0085】
ここで、図4に現像剤量規制部材に対する現像ローラ3の押し込み量と当接圧最大値との関係を示す。従来構成の現像剤量規制部材では、現像ローラ3との当接圧が最大となる位置は当接ニップ中央部である。このとき、現像ローラ3の押し込み量に対して当接圧の最大値は、それぞれの構成によるバネ定数によって傾きは異なるが、線形的に増加する。
【0086】
このように従来構成の現像剤量規制部材は、設定位置の変化に伴い当接圧最大値が変化してしまう。ブレード形状の現像剤量規制部材は、小型化すると当接圧のバネ定数が高くなるため、高い組み立て精度が必要となる。
【0087】
これに対して、本実施例1、3、4の現像剤量規制部材においては図4に示すように、現像ローラ3の押し込み量に対して現像ローラ3との当接圧の最大値が比例して変化しない領域が存在する。そのため、現像ローラ3の押し込み量に誤差が生じても当接圧の最大値が変化しにくい。即ち、高精度な組み立てを必要としなくても所望の当接圧最大値に安定して設定することが可能である。以下に、現像ローラ3の押し込み量に対して現像ローラ3との当接圧の最大値が比例して変化しない領域が存在する理由を述べる。
【0088】
本実施例1の図1−d、図1−e、図1−f説明において、現像剤量規制部材と現像ローラ3との当接機構を述べた。それによると、現像ローラ3の押し込み量が所定量を超えた場合、当接ニップ中央部において発生する座屈により‘たるみ’部が生じるため、当接ニップ中央部における当接圧が低下する。即ち、図1−eから図1−fに向かって可撓性シート部材40が現像ローラ3から離れていくことによって、当接ニップ中央部における当接圧が低下する。その結果、当接ニップ内の圧分布は極大値が2つとなる。
【0089】
図5−aは現像ローラ押し込み量の増加に対する可撓性シート部材40の変形状態の推移を示している。図5−aの上から下に向かって、実線、点線(短い点線)、破線(長い点線)の順に現像ローラ3の押し込み量が増加する。まず実線で示す現像ローラ押し込み量が小さい場合は当接ニップ中央部において当接圧が最大値となる。次に現像ローラ3押し込み量が増加して点線で示す変形状態になった場合、当接ニップ中央部には‘たるみ’部が生じて当接圧極大値の位置はニップ中央部から現像ローラ回転方向cに対して、上流側及び下流側へと移動する。さらに現像ローラ押し込み量が増加して破線で示す変形状態になった場合、当接圧極大値の位置はさらに現像ローラ回転方向cに対して、上流側及び下流側へと移動する。
【0090】
図5−bは現像ローラ3と可撓性シート部材40の重なり量を示している。図5−bの上から順に実線、点線(短い点線)、破線(長い点線)は図5−aのものとそれぞれ対応している。一定の曲率を有する円弧を重ね合わせると、その重なり量は当接部の中央において最大となり、上流側及び下流側へと移動すると徐々に小さくなることがわかる。しかしながら、本構成においては、本来当接圧が最大となる当接ニップ中央部において、‘たるみ’が生じて当接圧が低くなる。さらに、図5−aについて述べたように、変わって極大値となる位置は重なり量の小さくなる上流側および下流側へと移動する。そのため、図5−a中の点線および破線の変形状態の場合、図5−bで示した、矢印の長さで表す重なり量の変化は小さい。結果、現像ローラ押し込み量の増加に比例して当接圧最大値が変化せず、ほぼ特定の値を維持することができる。以上述べたように、図4に示すような現像ローラ3の押し込み量の増加に対して、当接圧の最大値が比例して変化しない領域が存在する。このように、本実施例は、所望の当接圧最大値を安定して設定できるため、組み立て時に高い精度を必要としない。
【0091】
また、現像ローラ3の押し込み量の増加に対して、当接圧の最大値が比例して変化しない傾向は現像ローラ3を小径化した時、ローラの曲率が大きくなるためさらに顕著になる。そのため、現像装置の小型化に対して非常に有利である。
【0092】
b)耐久後の長手画像濃度ムラ
次に、耐久後における長手画像濃度ムラについて本発明の優位性を述べる。
【0093】
比較例3、7、8の現像剤量規制部材では、耐久後にベタ画像の長手画像濃度ムラが発生する。これは、耐久後の状態において、長手方向に渡ってトナー劣化具合のばらつきが生じていることに起因する。前述したように、従来構成の現像剤量規制部材では、現像ローラ3の押し込み量に対して、当接圧の最大値は線形的に増加する。
【0094】
ここで、現像剤量規制部材と現像ローラ3の当接圧最大値が高くなると、トナーに対する現像剤量規制部材による規制力を高めるためトナーの過剰なスリ抜けの防止に対しては有効である。しかしながら、現像剤量規制部材によるトナーへのストレスが増大する結果、現像剤量規制部材においてトナーが破砕・溶融し易くなり、トナー劣化が促進されて寿命を著しく短くしてしまう。
【0095】
従来構成の現像剤量規制部材において、生産のばらつきや現像ローラ3の円周振れ等により、長手方向に渡って現像剤量規制部材に対する現像ローラ3の押し込み量にばらつきが生じる。それによって、現像剤量規制部材と現像ローラ3の当接圧最大値のばらつきが長手方向に渡って発生すると考えられる。これにより、耐久を通してトナー劣化具合のばらつきが長手方向に渡って発生し、結果として、耐久後にベタ画像の長手画像濃度ムラが発生する。
【0096】
これに対して、本実施例1、3、4の現像剤量規制部材においては、現像ローラ3の押し込み量に対して、現像剤量規制部材と現像ローラ3との当接圧の最大値が上昇しない領域が存在する。そのため、この領域の範囲内で使用する限りにおいて、長手方向に渡る現像剤量規制部材に対する現像ローラ3の押し込み量のばらつきを吸収することができる。これにより、耐久後においてもベタ画像の長手画像濃度ムラを抑制することができる。
【0097】
c)圧接跡による画像濃度ムラ
次に、実施形態1における現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する画像濃度ムラに対する本発明の優位性について実施例1と比較例3と比較した結果を述べる。
【0098】
弾性層を有する現像ローラ3は現像剤量規制部材等に長期間、同一箇所で圧接されると、その圧接部には永久圧縮歪として凹みが発生する。前記凹みの生じた現像ローラ3に対して従来の現像剤量規制部材を適用すると、凹み等の局所的な形状変化を有する部分において、現像ローラ3上の現像剤量であるトナーコート量に変化が生じる。一方、接触現像方式の場合、高い現像効率で現像が行われるため、現像ローラ3上のトナーコート量のムラがそのまま画像上に反映されてしまう。
【0099】
これに対して、実施例1では、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する画像濃度ムラを抑制する。前述したように、実施例1は現像ローラ3と可撓性シート部材40との当接ニップ部において、ニップ上流部での接点領域A1、ニップ中央における当接圧の低い‘たるみ’7の生じた領域A2、およびニップ下流部での接点領域A3を有している。この構成の作用として、可撓性シート部材40が現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に応じた局所的な変形をすることができる。即ち、現像ローラ3の凹みに対して、可撓性シート部材40が追従することができる。
【0100】
以下に、図6を用いてその機構を説明する。図6−aは本実施例における可撓性シート部材40の現像ローラ3に対する当接状態をモデル化して示したものである。L1は現像ローラ3を可撓性シート部材40に対して所定量押し込んだ時の現像ローラ3の周表面を直線で示したものである。また、L2は可撓性シート部材40に対して、現像ローラ3を押し込んでいない状態(可撓性シート部材4と現像ローラ3との圧力がほぼ0の状態)における可撓性シート部材40円弧頂点の位置を示すものである。L1とL2間の距離が現像ローラ3の可撓性シート部材40に対する押し込み量を表す。次に、図6−b、図6−cのL3は現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化した部分における現像ローラ3の周表面を直線で示したものであり、L1とL3間の距離が現像ローラ3の凹み量を表す。
【0101】
まず、図6−cは現像ローラ3の回転に伴い現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化を有する部分が当接ニップ部に入ってきた際の当接状態を示している。可撓性シート部材40のニップ上流部分A1は図6―cに示すように現像ローラ3の形状変化に応じて変形する。このときニップ中央部A2の‘たるみ’7が存在するためにニップ下流部A3には影響を与えずニップ上流部A1は形状変化に応じて変形することができる。
【0102】
次に、図6−bは形状変化を有する部分がニップ内を出て行く際の当接状態を示している。可撓性シート部材40のニップ下流部A3が形状変化に応じて変形する。このときもニップ突入時と同様に、ニップ中央部A2の‘たるみ’7が存在するためニップ上流部A1には影響を与えずニップ下流部A3は形状変化に応じて変形することができる。
【0103】
つまり、シート中央部の‘たるみ’7が存在するために、可撓性シート部材40のニップ上流部分A1およびニップ下流部分A3は現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に追従するように変形することができる。そのため、当接圧や当接ニップ入り口のトナー取り込み幅の変動を著しく抑制できる。これにより、現像ローラ3上のトナーコート量に画像不良が生じるほどの変化を抑制できる。その結果、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の画像濃度ムラを著しく抑制する。
【0104】
一方、比較例3の現像剤量規制部材は、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する濃度ムラがベタ画像と中間調画像の2種類ともに画像欠陥として発生する。比較例3は金属薄板を片持ち支持し現像ローラ3に対して当接している。このような構成において、現像ローラ3の回転に伴い現像ローラ3の局所的な形状変化を有する部分が当接ニップ部に入ってきた場合、金属薄板の有する剛性があるために、現像ローラ3の凹み等の形状変化に応じた局所的な変形をすることができない。そのため、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化を有する部分において、当接圧や当接ニップ入り口のトナー取り込み幅が変動して、現像ローラ上のトナーコート量にムラが生じる。その結果、現像ローラ周期の画像濃度ムラとして画像欠陥が発生する。
【0105】
d)ゴースト
次に、実施形態3における現像剤担持体である現像スリーブの周期に対応して発生するゴースト画像に対する本発明の優位性について実施例4と比較例8と比較した結果を述べる。
【0106】
比較例8は現像スリーブ周期のゴーストが発生する。これは、現像スリーブ3a上のトナーコート量およびトナー帯電量にムラが生じていることに起因する。ここで、感光体の画像部に対応する現像スリーブ3aの部分はトナーが消費されるため、現像スリーブ3a上のトナー量が少なくなる。これに対して、非画像部に対応する現像スリーブ3aの部分のトナーは消費されないので、現像スリーブ3a上のトナー量は変化せず残留する。ところで、実施形態3における現像装置は、現像ローラへ現像剤を供給する供給ローラを有さず、磁気的にトナー供給が行なわれる。供給ローラがないと現像ローラへのトナーの供給が機械的に行われないため、現像部でトナーが消費された場合と消費されない場合において現像剤量規制部材4の直前に供給されるトナー量に差が生じやすい。結果、現像スリーブ周期のゴーストが発生しやすくなる。
【0107】
比較例8においては、供給されたトナー量に対応して現像剤量規制部材の当接圧が変化しやすく、現像履歴に伴うゴースト画像が発生すると考えられる。これに対して、実施例4は現像スリーブ周期のゴーストを著しく抑制する。これは、現像後に現像スリーブ3a上に生じたトナーコート量の差においても、実施例4における現像剤量規制部材4は当接圧を均一にしてトナーコート量を均一にすることができるためである。
【0108】
さらに、磁気的にトナーを供給しているため、現像部でトナーが消費された部分においては現像剤量規制部材4の直前まで未帯電のトナーが供給される。そのため、ゴースト画像を抑制するためには、現像剤量規制部材4の一度の通過でトナーに適正な電荷を与える必要がある。本例においては、上流側のピーク圧と下流側のピーク圧において2回にわたり帯電を行うため、新しく供給された未帯電のトナーに対しても十分帯電することができる。
【0109】
以上述べたように、本実施例においては現像スリーブ周期のゴーストを著しく抑制することができる。
【0110】
(比較技術に対する優位性)
次に、実施形態1における比較技術に対する差異を述べる。具体的には、実施例1と比較例1、2、4〜6とを比較する。
【0111】
a)小型化時の精度とコスト
まず、小型化時の影響に関する本発明の優位性を示す。
【0112】
比較例1は、実施例1よりもシート肉厚が厚いため、弾性力が高い。そのため、U字形状に保持された可撓性シート部材40は、現像ローラ3の押し込み量を増加させた場合においても、その湾曲面の曲率がほとんど変わらない状態で現像ローラ3の表面に当接する。比較例1においては、現像ローラ押し込み量が増加すると当接圧の最大値は、線形的に増加する。そのため、小型化した際に非常に高精度な組み立てが必要となる。
【0113】
次に図14に示す比較例2は、可撓性シート部材40をU字形状に保持する際に、可撓性シート部材40の短手方向両端部の側面を規制していない。そのため、比較例1と同様、現像ローラ押し込み量が増加すると当接圧最大値は線形的に増加するために、当接圧最大値を所定値に安定して設定することが難しい。
【0114】
また比較例2は、前述したように可撓性シート材の短手方向両端部の側面を規制しない。そのため、現像ローラ3との当接部における摩擦力により周方向の力を受けることにより現像ローラ3の回転方向c下流側に倒れが生じる。その結果として、現像剤量規制部材としての可撓性シート部材40の姿勢が変動しやすく、当接位置が安定しにくいという問題が発生しやすい。
【0115】
また、比較例4のように現像ローラ3の周表面と略同じ曲率の接触凹部を有する現像剤量規制部材では、現像ローラ3の周表面に対して、その長手方向に渡り安定して当接させるためには、面精度を確保することが必要である。そのため非常に高精度な加工が必要となる。
【0116】
比較例5は現像ローラ3の回転方向cに対して第一の金属ブレード17と第二の金属ブレード21を有する構成である。各単体の金属ブレードを小型化できない理由は、比較例3と同様である。それに加えて、現像ローラ3の回転方向cに対して金属ブレードが複数存在するために、さらに小型化は困難となる。
【0117】
また、比較例6は現像ローラ3の半径よりも小さな曲率半径をもつ凹部24を有するブレード23を現像ローラ3に当接させるため、1つの当接ニップ内に2箇所のエッジが当接される。
【0118】
可撓性でない金属のブレードの鋭利なエッジ部が現像ローラ3に当接されるために、当接圧の最大値は現像ローラ3の押し込み量の変化に対して過剰に増加してしまう。小型化するとこの影響はより顕著に現れる。
【0119】
また、金属ブレードのエッジ部の当接状態はニップ幅が非常に狭く線接触に限りなく近い。曲率を有する現像ローラ3に対して2箇所のエッジを長手方向に渡り、安定して当接させるためには、非常に高精度な組み立てが必要となる。
【0120】
これに対して、実施例1の現像剤量規制部材4は、図4に示すような現像ローラ3の押し込み量の増加に対して、当接圧の最大値が比例して変化しない領域が存在する。それにより、所望の当接圧最大値を安定して設定できるため、組み立て時に高い精度を必要としない。また実施例1において、現像剤量規制部材4と現像ローラ3との当接部は、現像ローラ3が押し込まれて当接した結果、現像ローラ3の回転方向cに対して上流側及び下流側の2点で当接する状態が形成される。そのため、簡易な組み立てにおいても、常に安定した当接状態を確保できる。以上述べたように、本実施例1における現像剤量規制部材4は小型化時においても、高い組み立て精度を必要としない。
【0121】
b)耐久後の長手画像濃度ムラ
次に、耐久後における長手画像濃度ムラに対する本発明の優位性を述べる。
【0122】
比較例1、2、4〜6の現像剤量規制部材では、耐久後にベタ画像の長手画像濃度ムラが発生する。前述したように、従来構成の現像剤量規制部材では、現像ローラ3の押し込み量に対して、当接圧の最大値は線形的に増加する。
【0123】
従来構成の現像剤量規制部材において、生産のばらつきや現像ローラ3の円周振れ等により、長手方向に渡って現像剤量規制部材に対する現像ローラ3の押し込み量にばらつきが生じた場合、現像剤量規制部材と現像ローラ3の当接圧最大値のばらつきが長手方向に渡って発生してしまう。これにより、耐久を通してトナー劣化具合のばらつきが長手方向に渡って発生し、結果として、耐久後にベタ画像の長手画像濃度ムラが発生する。
【0124】
これに対して、本発明における現像剤量規制部材4においては、現像ローラ3の押し込み量に対して、現像剤量規制部材4と現像ローラ3との当接圧の最大値が上昇しない領域が存在する。そのため、この領域の範囲内で使用する限りにおいて、長手方向に渡る現像剤量規制部材4に対する現像ローラ3の押し込み量のばらつきを吸収することができる。そのため、耐久後においてもベタ画像の長手画像濃度ムラを抑制することができる。
【0125】
c)圧接跡による画像濃度ムラ
次に、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する濃度ムラに対する本発明の優位性を述べる。
【0126】
まず比較例1の現像剤量規制部材は、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の濃度ムラがベタ画像と中間調画像の2種類ともに画像欠陥として発生する。比較例1は現像ローラ3の押し込み量を増加させた場合においても、その湾曲面の曲率がほとんど変わらない状態で現像ローラ3の表面に当接する。このとき、現像ローラ3と可撓性シート部材40との間に形成される当接ニップにおける圧分布は、極大値が1つであり、当接ニップ中央部分において‘たるみ’は存在しない。そのため、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に対して十分に規制部材が追従できないため、現像ローラ3上のトナーコート量にムラが生じる。その結果として、現像ローラ周期の濃度ムラとして画像欠陥が発生する。
【0127】
これに対して、本実施例1の現像剤量規制部材は当接ニップ中央部において‘たるみ’7が存在するために、可撓性シート部材40のニップ上流部分A1およびニップ下流部分A3は現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に追従するように変形することができる。そのため、当接圧や当接ニップ入り口のトナー取り込み幅の変動を著しく抑制できる。これにより、現像ローラ3上のトナーコート量に画像不良が生じるほどの変化を抑制できる。その結果、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の濃度ムラを著しく抑制する。
【0128】
次に比較例2の現像剤量規制部材は、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の濃度ムラがベタ画像では発生するが、中間調画像においては発生しない。比較例2は現像ローラ3の押し込み量を増加させた場合においても、可撓性シート部材の座屈は生じにくく、当接ニップ中央部分において‘たるみ’は存在しない。現像ローラ3との当接部における圧分布は、当接ニップ中央部の当接圧を最大とする極大値が1つ形成される。そのため、実施例1のようにニップの上流側および下流側において、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に対して十分に可撓性シート部材40が追従できないため、現像ローラ3上のトナーコート量にムラが生じる。その結果として、ベタ画像において現像ローラ周期の濃度ムラとして画像欠陥が発生する。ただし、中間調画像において現像ローラ周期の濃度ムラが発生しない。比較例2は可撓性部材を用いており、初期状態からの変形量が大きいため、現像ローラ3の押し込みに対して復元しようとする作用が働く。中間調画像はベタ画像に比べ、現像効率が低いため、トナーコート量変化が小さい場合、トナーコート量変化を反映する濃度ムラが発生しにくくなる。結果、比較例2においては、中間調画像中での濃度ムラが発生するほどのトナーコート量変化が生じにくいと考えられる。
【0129】
次に、比較例4の現像剤量規制部材は、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の濃度ムラがベタ画像と中間調画像の2種類ともに画像欠陥として発生する。比較例4は現像ローラ3と現像剤量規制部材とを面接触させることにより、当接ニップ幅を広く確保して、現像ローラ3上のトナーを規制する例である。しかしながら、材質が可撓性でない剛性部材であり、現像ローラ3との接触面形状が現像ローラ3の周表面と略同じ曲率に形成されていることから、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に応じた変形をすることができない。そのため、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化を有する部分において、当接圧や当接ニップ入り口のトナー取り込み幅が変動して、現像ローラ3上のトナーコート量にムラが生じる。その結果、現像ローラ周期の画像濃度ムラとして画像欠陥が発生する。
【0130】
また、比較例5の現像剤量規制部材は、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の濃度ムラがベタ画像と中間調画像の2種類ともに画像欠陥として発生する。比較例5は現像ローラ3の回転方向cに対して第一の金属ブレード17と第二の金属ブレード21を有する構成である。しかしながら、第一の金属ブレード17と第二の金属ブレード21において、それぞれ単体の金属ブレードが現像ローラ3上のトナーに作用する効果またはメカニズムは比較例3と同様である。そのため、比較例3との比較で説明した理由から、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の画像濃度ムラが発生する。
【0131】
次に、比較例6の現像剤量規制部材は、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の濃度ムラがベタ画像と中間調画像の2種類ともに画像欠陥として発生する。比較例6は現像ローラ3の半径よりも小さな曲率半径をもつ凹部を有するブレードを現像ローラ3に当接させるため、1つの当接ニップ内に2箇所エッジが当接される。このような構成において、当接ニップ部の圧分布は2つの極大値を有する2ピークになる。しかしながら、金属であるためにそれぞれの当接点において、現像ローラ3の形状変化に対し局所的に追従することはなく、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の画像濃度ムラが発生する。
【0132】
さらに、現像ローラ3にブレードのエッジが当接するために過剰に当接圧最大値が高くなる。そのために、長期間放置したときに現像ローラ3の凹みが発生し易くなり、現像ローラ3の凹み起因の画像濃度ムラ抑制には不利である。
【0133】
最後に実施例2について説明する。実施例2の現像剤量規制部材4は、実施例1と同様に現像ローラ3と可撓性チューブ部材41との当接ニップ部において、ニップ上流部での接点領域A1、ニップ中央における当接圧の低い‘たるみ’7の生じた領域A2、およびニップ下流部での接点領域A3を有している。そのため、現像ローラ3の押し込み量に対して現像ローラ3との当接圧の最大値が比例して変化しない領域が存在する。そのため、小型化時においても高精度な組み立てを必要としなくても所望の当接圧最大値に安定して設定することが可能である。
【0134】
また、現像ローラ3の押し込み量に対して、現像剤量規制部材4と現像ローラ3との当接圧の最大値が上昇しない領域の範囲内で使用する限りにおいて、長手方向に渡る現像剤量規制部材4に対する現像ローラ3の押し込み量のばらつきを吸収することができる。そのため、耐久後においてもベタ画像の長手画像濃度ムラを抑制することができる。
【0135】
また、当接ニップ中央部の‘たるみ’7が存在するために、可撓性チューブ部材41のニップ上流部分A1およびニップ下流部分A3は現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に追従するように変形することができる。そのため、当接圧や当接ニップ入り口のトナー取り込み幅の変動を著しく抑制できる。これにより、現像ローラ3上のトナーコート量に画像不良が生じるほどの変化を抑制できる。その結果、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の画像濃度ムラを著しく抑制する。
【0136】
ただし、チューブ形状すなわち無端形状であるため、上流もしくは下流のピーク位置が形状変化に追従する際の動きを裏面で伝達する。それにより、現像ローラ3上のトナーコート量に不特定周期のムラが生じ、結果として画像上にピッチムラが発生してしまう。
【0137】
以上の実施例において、現像剤担持体に対する現像剤量規制部材の圧分布の極大値は2つに限らず、3つ以上あっても良い。
【0138】
以下に上記実施例の作用効果について述べる。本実施例による現像剤量規制部材4は、従来の現像剤量規制部材にある課題(小型化時のコストと弊害、耐久後の長手画像濃度ムラ)に対してバランスよく性能向上を図ることができる。
【0139】
本実施例における現像剤量規制部材4は以下の理由により、小型化時においても、高い組み立て精度を必要としない。現像ローラ3の押し込み量の増加に対して、当接圧の最大値が比例して変化しない領域が存在する。それにより、所望の当接圧最大値を安定して設定できるため、組み立て時に高い精度を必要としない。また本発明において、現像剤量規制部材4と現像ローラ3との当接部は、現像ローラ3が押し込まれて当接した結果、現像ローラ3の回転方向cに対して上流側及び下流側の2点で当接する状態が形成される。そのため、簡易な組み立てにおいても、常に安定した当接状態を確保できる。
【0140】
また耐久後の長手画像濃度ムラに対しては、以下の理由により効果的に抑制できる。本実施例における現像剤量規制部材4は、現像ローラ3の押し込み量に対して現像剤量規制部材4と現像ローラ3との当接圧の最大値が上昇しない領域が存在する。そのため、この領域の範囲内で使用する限りにおいて、長手方向に渡る現像剤量規制部材4に対する現像ローラ3の押し込み量のばらつきを吸収することができ、耐久後においてもベタ画像の長手画像濃度ムラを抑制することができる。
【0141】
本実施例を実施することにより、従来技術と比較して、現像装置の小型化が可能であると同時に、簡易な構成による組み立て性の向上が図れるようになった。また、長期にわたり安定的なトナーコートによる現像が可能となった。
【符号の説明】
【0142】
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
3 現像ローラ
3a 現像スリーブ
4 現像剤量規制部材
40 可撓性シート部材
41 可撓性チューブ部材
42 シート保持部材
45 可撓性チューブ保持部材
46 第一当接部(押圧部)
47 第二当接部
48 可撓性シート支持部
49 可撓性シート端面
5 供給ローラ
7 マグネットローラ
A 画像形成装置本体
B プロセスカートリッジ
C クリーニング装置
D 現像装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子写真方式や静電記録方式の画像形成装置に用いられる現像装置及びカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の現像剤として一成分トナーを用いた現像方式としては、接触現像方式と非接触現像方式が広く用いられている。詳しくは、(1)弾性層を有する現像剤担持体である現像ローラを用いた接触現像方式、(2)金属スリーブもしくは弾性層を有する現像剤担持体である現像ローラを用いた非磁性トナーによる非接触現像方式、及び、(3)現像剤担持体である金属スリーブを用いた磁性トナーによる非接触現像方式等が提案されている。これらの現像方式に対し、現像剤担持体上に一成分トナーを薄層形成するために現像剤の量を規制する現像剤量規制部材として、いくつかの方策が提案されている。
【0003】
(1)弾性層を有する現像ローラを用いた接触現像方式(図10)
誘電体層をもつ弾性ローラである現像ローラ3上に、非磁性現像剤を担持し感光ドラム1表面に接触させて現像を行う方式が広く知られている。現像ローラ3への現像剤の供給は、現像ローラ3に接触する供給ローラ5により行われる。供給ローラ5は、現像容器T内から現像剤を搬送し、現像ローラ3に付着させると共に、現像ローラ3に残った現像剤を一旦除去する機能も担っている。
現像ローラ3上に付着した現像剤の層規制及び摩擦帯電による電荷付与は、現像剤量規制部材4−cを、現像ローラ3に当接することにより行われる。現像剤量規制部材4−cとしては、金属薄板であり、この金属薄板は片持ちで支持され、その対向部の腹面を現像ローラ3に当接するブレード形状のものを用いることが提案されている。現像剤量規制部材により現像ローラ3上にコートされた現像剤は、感光ドラム1上に形成された静電潜像と、現像ローラ3上に印加されたバイアスの電位により、前記静電潜像を現像する。
【0004】
(2)金属スリーブもしくは弾性層を有する現像ローラを用いた非磁性トナーによる非接触現像方式(図11)
円筒形の金属、もしくは、その表面に導電性の樹脂層を持つ現像スリーブ3aに現像剤を担持し、近接する感光ドラム1表面に非接触で現像を行う方式が広く知られている。現像スリーブ3aへの非磁性現像剤の供給は、(1)接触現像方式と同様に供給ローラ5により行われる。
現像スリーブ3a上に付着した現像剤の層規制及び摩擦帯電による電荷付与は、現像剤量規制部材4−cを、現像スリーブ3aに当接することにより行われる。弾性層を有する現像ローラを用いる場合、(1)接触現像方式と同様に現像剤量規制部材4−cとして金属薄板を片持ちで支持し、その対向部の腹面を現像ローラに当接するブレード形状のものを用いることが提案されている。また、剛性の高い現像スリーブ3aを用いる場合、現像剤量規制部材4−cとして金属板を用いて現像スリーブ3aに当接することは難しいので、金属薄板にある程度の弾性特性を持つ樹脂層をコートしたもの等を用いることが提案されている。
現像スリーブ3aと感光ドラム1との間には、DCバイアスと共にACバイアスが印加されている。現像剤量規制部材により現像スリーブ3a上にコートされた現像剤は、このACバイアスにより、感光ドラム1と非接触の現像スリーブ3aとの間を飛翔、往復する。また、感光ドラム1上に形成された静電潜像と、現像スリーブ3a上に印加されたDCバイアスの電位と、により静電潜像は現像される。
【0005】
(3)金属スリーブを用いた磁性トナーによる非接触現像方式(図12)
一成分磁性トナーを用いた非接触現像方式が広く知られている。円筒形の現像スリーブ3aを用いる点と、現像剤の層規制及び摩擦帯電による電荷付与は現像剤量規制部材4−cを現像スリーブ3aに当接することにより行われる点は(2)非磁性トナーによる非接触現像方式と同様である。しかしながら、非接触現像方式では、現像スリーブ3aへの現像剤の供給は、現像スリーブ3a内にマグネット3bを設けることで磁力により行われる。
現像スリーブ3aと感光ドラム1との間には、(2)非磁性トナーによる非接触現像方式と同様、DCバイアスとACバイアスが印加され、非接触で現像が行われるものである。このとき、現像スリーブ3a上で帯電性が不十分なトナーが多めであっても、現像部付近に磁極を配することで、前記のトナーが不要に現像することを抑えられる。このため、現像スリーブ3a上の現像剤の帯電性は、(2)非磁性トナーによる非接触現像方式ほどの厳しい制御は要求されない。現像剤量規制部材4−cは、現像スリーブ3aへの当接の安定性を考えて、(2)非磁性トナーによる非接触現像方式などに比べて当接圧が低めのゴム板を用いることが提案されている。
【0006】
従来、現像剤量規制部材としては、薄板弾性部材を片持ち支持し、その対向部の腹面を現像ローラに当接させるブレード形状の現像剤量規制部材が知られている。
【0007】
また、板状弾性体の両端を保持部材に固定して板状弾性体の中央部を現像ローラに当接させるものが特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−250509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の薄板弾性部材を片持ち支持し、その対向部の腹面を現像ローラに当接するブレード形状の現像剤量規制部材は小型化することが難しいという課題があった。現像剤量規制部材を小型化すると、薄板を片持ち支持した支点から現像ローラとの当接点までの距離、すなわち自由長さが短くなる。これにより、当接圧のバネ定数が高くなり、現像剤量規制部材の設定位置がわずかに変化しただけでも当接圧が大きく変化してしまう。そのため、安定した当接圧に設定するためには、高精度な組み立てが必要である。
【0010】
また、薄板弾性部材の自由長さが短くなると、片持ち支持部における接着ムラ等の影響を受けやすくなり、長手方向に渡って均一な当接圧をかけることが難しいため、さらに小型化することが困難となる。
【0011】
また、従来技術における現像剤量規制部材を用いた場合、所望の当接圧最大値に安定して設定することが難しく、現像剤量規制部材の長手方向に渡り当接圧最大値のばらつきが生じ易い。そのため、耐久(現像装置の長期使用)後にトナー劣化具合のばらつきが長手方向に渡って発生し、結果として、耐久後のベタ画像に濃度ムラが長手方向に渡って発生するという課題があった。
【0012】
従来技術における現像剤量規制部材を用いて、トナーを薄層形成する場合、現像剤量規制部材であるブレードの腹面(ブレードのエッジを除いた表面)にて現像剤担持体である現像ローラに圧接される。そのため、ブレードと現像ローラとの当接ニップ部の圧力分布はニップ部中央で当接圧が最大となり、それよりも現像ローラの回転方向に対して上流及び下流になるに従って当接圧が弱くなる放物線状の圧分布になる。
【0013】
前述した放物線状の圧分布を有する現像剤量規制部材の場合、現像装置の組み立てにおける現像ローラ組み込み前のブレードの設定位置と現像ローラ組み込み後の現像ローラ表面位置との仮想距離である、いわゆる‘現像ローラ押し込み量’が増加すると、当接圧最大値は現像ローラ押し込み量に比例して増加する。
【0014】
そのため、組み立てによる現像ローラ押し込み量のばらつきにより、当接圧最大値もばらつくことが予測される。結果、ばらつきの少ない所望の当接圧最大値に安定して設定するためには高い組み立て精度を必要とする。
【0015】
また、生産のばらつきや現像ローラの円周振れ等により、現像ローラの長手方向に渡って現像剤量規制部材と現像ローラとの設定位置のばらつきが生じた場合、即ち、長手方向に渡って現像剤量規制部材に対する現像ローラ押し込み量にばらつきが生じた場合、現像剤量規制部材と現像ローラとの当接圧最大値のばらつきが長手方向に渡って発生する。これにより、特に耐久後にトナー劣化具合のばらつきが長手方向に渡って発生する。その結果として、耐久後のベタ画像に濃度ムラが長手方向に渡って発生する。
【0016】
一方、近年、電子写真装置の消費電力を低減する手段の一つとして、定着過程における消費電力の低減が望まれている。定着過程での低消費電力化を達成するためには、トナーを溶融するのに必要な熱量の低減、すなわちトナーの融点を低くすることが有効である。
【0017】
しかしながら、低融点のトナーは低温定着が容易になる反面、トナーストレスに対する強度が低下する。そのため、従来の一成分現像系では現像剤量規制部材から受ける圧力により、トナーが破砕・溶融し易くなる。このような低融点のトナーを用いた場合、前述したような当接圧最大値のばらつきに対するトナー劣化具合のばらつきがさらに顕著となってしまう。
【0018】
本発明の目的は、以上のような課題を解決し、新たに優れた現像装置及びカートリッジを提供することである。
本発明の他の目的は、小型化に適した現像装置及びカートリッジを提供することである。
本発明の他の目的は、現像剤量規制部材と現像剤担持体との当接圧を安定させることができる現像装置及びカートリッジを提供することである。
本発明の他の目的は、現像剤量規制部材と現像剤担持体との長手方向の当接圧のばらつきを低減できる現像装置及びカートリッジを提供することである。
本発明の他の目的は、画像濃度ムラを抑制した現像装置及びカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明は、現像剤を担持し、像担持体に形成された静電像を現像剤で現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制するための現像剤量規制手段と、を有する現像装置において、前記現像剤量規制手段は、前記現像剤担持体に当接して押圧する押圧部を有する可撓性のシート状の現像剤量規制部材と、該現像剤量規制部材が前記現像剤担持体に当接していない状態において前記現像剤量規制部材が前記現像剤担持体に向けて凸となる曲率形状を有するように前記現像剤量規制部材を保持する保持部材と、を備え、前記保持部材は、前記現像剤量規制部材が前記現像剤担持体に押圧された際に、前記現像剤量規制部材における短手方向の両端部の端面が当接する部分と、前記現像剤量規制部材における前記押圧部が存在する面に当接して前記両端部が広がるのを防ぐ支持部と、を有し、前記現像剤量規制部材は、前記現像剤量規制部材が曲げられた姿勢から戻ろうとすることで生じる復元力によって前記押圧部が存在する面が前記支持部に加圧当接することで、前記保持部材に保持され、前記現像剤量規制手段は、前記現像剤量規制部材を前記現像剤担持体に押圧する際、前記現像剤量規制部材の変形時の前記両端部の広がりを前記支持部が防ぎ、前記押圧部における前記現像剤担持体の回動方向の圧分布において極大値が2つ存在するように前記現像剤量規制部材を変形させるように構成されていることを特徴とする現像装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、現像剤量規制部材は、従来の現像剤量規制部材に対して、小型化時のコストと弊害、画像濃度ムラに対してバランスよく性能向上を図ることが出来る。
本発明によれば、従来技術と比較して、現像装置の小型化が可能であると同時に、簡易な構成による組み立て性の向上が図れるようになった。また、現像剤担持体に対して長期にわたり安定的な現像剤担持量による現像が可能となった。
【0021】
本発明における現像剤量規制部材は、小型化時においても、高い組み立て精度を必要としない。理由は以下の通りと考えられる。現像剤量規制部材に対する現像剤担持体の押し込み量の増加に対して、両者の当接圧の最大値が比例して変化しない領域が存在する。それにより、所望の当接圧最大値を安定して設定できるため、組み立て時に高い精度を必要としない。
【0022】
また本発明において、現像剤量規制部材と現像剤担持体との当接部は、現像剤担持体が押し込まれて当接した結果、現像剤担持体の回転方向に対して上流側及び下流側の2点で当接する状態が形成される。そのため、簡易な組み立てにおいても、常に安定した当接状態を確保できる。
【0023】
また装置の耐久後における現像剤担持体の長手方向の画像濃度ムラに対しては、以下の理由により効果的に抑制できると考えられる。本発明における現像剤量規制部材は、現像剤担持体の押し込み量に対して現像剤量規制部材と現像剤担持体との当接圧の最大値が上昇しない領域が存在する。そのため、この領域の範囲内で使用する限りにおいて、長手方向に渡る現像剤量規制部材に対する現像剤担持体3の押し込み量のばらつきを吸収することができ、耐久後においてもベタ画像の長手画像濃度ムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の現像剤量規制部材の特徴を示す概略図。
【図2】実施例1における画像形成装置本体の概略図。
【図3】実施例1におけるプロセスカートリッジの概略図。
【図4】本発明の現像剤量規制部材における現像ローラ押し込み量と当接圧最大値の関係を示すグラフ。
【図5】本発明の現像剤量規制部材における可撓性シート部材の変形状態の推移を示す概略図。
【図6】本発明の現像剤量規制部材おいて、現像ローラの凹みに対する可撓性シート部材の変形状態を示す概略図。
【図7】実施例2の現像剤量規制部材の特徴を示す概略図。
【図8】実施例1を用いた実施形態2の現像装置の概略図。
【図9】実施例1を用いた実施形態3の画像形成装置本体及び現像装置の概略図。
【図10】背景技術(1)における現像装置の概略図。
【図11】背景技術(2)における現像装置の概略図。
【図12】背景技術(3)における現像装置の概略図。
【図13】比較例1の現像剤量規制部材を示す概略図。
【図14】比較例2の現像剤量規制部材を示す概略図。
【図15】比較例3の現像剤量規制部材を示す概略図。
【図16】比較例4:特開平11−265115号公報に記載された現像装置の現像剤量規制部材周辺の概略図。
【図17】比較例5:特開平9−34247号公報に記載された現像装置の現像剤量規制部材周辺の概略図。
【図18】比較例6:特開平6−95484号公報に記載された現像装置の現像剤量規制部材周辺の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る現像装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0026】
(現像装置の実施形態1)
図1〜3は本発明に従う現像装置を用いた画像形成装置の概略構成図及びそれを説明する詳細図である。図2に示す本画像形成装置Aは、電子写真プロセス利用のフルカラーレーザープリンタである。以下に本実施形態における画像形成装置Aの全体的な概略構成について述べる。
【0027】
本画像形成装置Aは、図3に示すように、帯電装置、現像装置D、クリーニング装置C、及び、感光ドラム1等を一体としたプロセスカートリッジBを、図2に示すようにイエロー、マゼンダ、シアン、黒色の各色について4連に並べている。プロセスカートリッジBのそれぞれは、画像形成装置の本体に対して着脱可能とされている。各色のプロセスカートリッジBで形成されたトナー像は、転写装置の中間転写ベルト20上に転写されることでフルカラートナー画像を形成するものである。各プロセスカートリッジB上における画像の形成工程については、詳細に後述する。
【0028】
各色のプロセスカートリッジBにより、像担持体である感光ドラム1上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト20を挟んで、各色の感光ドラム1の対向位置に設けられた1次転写ローラ22y、22m、22c、22kにより、中間転写ベルト20上で転写される。4色のトナー像は、中間転写ベルトの移動方向下流側に設けられた2次転写ローラ23により、一括して記録紙上に転写される。なお、中間転写ベルト20上の未転写トナーは、中間転写ベルトクリーナー21によって回収される。
【0029】
記録紙Pは画像形成装置A下部のカセット24内に積載されており、印字動作の要求とともに給紙ローラ25により搬送され、2次転写ローラ23位置において、中間転写ベルト20上に形成されたトナー像が記録紙Pに転写される。
【0030】
その後、定着ユニット26により記録紙上のトナー像は記録紙に加熱定着され、排紙部27を経て画像形成装置A外部に排出される。
【0031】
本画像形成装置Aにおいては、各4色のプロセスカートリッジB等を収納する上部ユニットと、転写ユニット、記録紙等を収納する下部ユニットは分離可能になっている。従って、紙詰まり等のジャム処理や、プロセスカートリッジBの交換処理において、上部ユニットと下部ユニットを開放することにより前記処理が行なわれる。
【0032】
なお、本実施形態の画像形成装置Aにおいては、プロセスカートリッジBのトナー容量を含む寿命は、A4用紙印字率5%換算で4000枚相当に設定されているものを使用している。
【0033】
次に、プロセスカートリッジBにおける画像形成プロセスについて説明する。
【0034】
図3は、並列におかれた4つのプロセスカートリッジBの1つ注目し、その近傍の断面を示したものである。
【0035】
画像形成プロセスの中心となる感光ドラム1はアルミニウム製シリンダーの外周面に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光ドラム1を用いている。画像形成プロセスにおいて、感光ドラム1は所定の速度で画像形成装置Aにより図中矢印a方向へ駆動される。
【0036】
帯電装置である帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部を感光ドラム1に加圧接触させて矢印b方向に従動回転する。ここで帯電ローラ2の芯金には、帯電工程として、感光ドラム1に対して−1100Vの直流電圧が印加されており、これにより誘起された電荷によって、感光ドラム1の表面電位は、−550Vとなる一様な暗部電位(Vd)が形成される。
【0037】
この一様な表面電荷分布面に対して、スキャナーユニット10により、画像データに対応して発光されるレーザー光のスポットパターンは、図3中の矢印Lで示すように感光体を露光する。露光された感光体の部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、露光部位は明部電位Vl=−100V、未露光部位は暗部電位Vd=−550Vの静電像(静電潜像)が、感光ドラム1上に形成される。
【0038】
静電潜像は、所定のコート量及び電荷量の、現像剤であるトナーを担持する現像剤担持体としての現像ローラ3上に形成されたトナーコート層を持つ現像装置Dにより現像される。前記トナー層の形成方法については後述するものであるが、現像ローラ3は感光ドラム1に接触しながら、矢印cに示すように感光ドラム1の回転方向に対して順方向に回転している。本実施形態においては、現像ローラ3にDCバイアス=−350Vの電圧が印加され、摩擦帯電によりマイナスに帯電したトナーが、感光ドラム1に接触する現像部において、その電位差から、明部電位部にのみ飛翔して静電潜像を実像化する。即ち、トナーの帯電極性と静電潜像の極性は同じ極性であり、反転現像が行なわれる。
【0039】
各プロセスカートリッジBの感光ドラム1に接触する中間転写ベルト20は、感光ドラム1に対向した1次転写ローラ22y、22m、22c、22kにより感光ドラム1に加圧される。また、1次転写ローラ22y、22m、22c、22kには直流電圧が印加されており、感光ドラム1との間で電界が形成されている。これにより、感光ドラム1上で実像化されたトナー像は、前記の加圧接触する転写領域において、電界の力を受けて感光ドラム1上から中間転写ベルト20上に転写される。一方、感光ドラム1上で中間転写ベルト20に転写されずに残った未転写トナーは、クリーニング装置Cに設置されたウレタンゴム製のクリーニングブレード6により、ドラム表面から掻き落とされ、クリーニング装置C内に収納される。
【0040】
以下、本実施形態1に用いた現像装置の詳細を述べる。
【0041】
図1−aは後述する実施例1の現像装置である。非磁性一成分現像剤を収容する現像容器Tと、感光ドラム1に対して接触しながら順方向cに回転する現像剤担持体である現像ローラ3と、を備える。さらに現像装置は現像ローラ3に対して接触しながら逆方向dに回転する供給ローラ5と、供給ローラ5の下流側で現像ローラ3に当接し、現像ローラ3上の現像剤量を規制する現像剤量規制手段4と、トナーTを撹拌する撹拌部材11を備えている。
【0042】
ここで、現像ローラ3は、本実施例においては、外径φ6mmの芯金に導電性の弾性層3mmを形成したφ12mmの弾性ローラを用いており、弾性層には体積抵抗値106Ωmのシリコーンゴムを用いた。なお、弾性ローラ表層には現像剤への電荷付与機能を持つコート層等を設けるようにしてもよい。本実施例では、感光ドラム1に安定して弾性接触させるために、弾性層の硬度をJIS−Aで45°、また、現像ローラ3の表面粗さとしては、使用するトナーの粒径にもよるが、十点平均粗さRzで3μm〜15μmが好ましい。使用するトナー粒径が平均体積粒径で6μmであれば好適には十点平均粗さRzで5μm〜12μmが使用可能である。十点平均粗さRzは、JIS B0601に示されている定義を用い、測定には小坂研究所製の表面粗さ試験器「SE−30H」を使用した。
【0043】
また、供給ローラ5は、本実施例においては、外径φ5mmの芯金上に発泡骨格構造で比較的低硬度のポリウレタンフォームを5.5mm形成した外径φ16mmの弾性スポンジローラを用いた。供給ローラ5は連泡性の発泡体で構成することにより、過大な圧を加えることなく現像ローラ3と当接し、発泡体表面の適度な凸凹で現像ローラ3上へのトナー供給および現像時に消費されずに残像したトナーの剥ぎ取りを行っている。このセル構造の掻き取り性はウレタンフォームに限定されるものでなく、シリコーンゴムやエチレンプロピレンジエンゴム(EPDMゴム)等を発泡させたゴム等が使用可能である。
【0044】
現像ローラ回転方向(回動方向)cに対して、供給ローラ5と現像ローラ3との接触面の下流側には、現像ローラ3に当接し、現像ローラ3に担持された現像剤量を規制する現像剤量規制手段4が設けられる。現像剤量規制手段4は、現像ローラ3に当接する現像剤量規制部材と、現像剤量規制部材を保持する保持部材と、を備える。
【0045】
現像剤量規制手段4は、現像ローラ3上の前記トナーを感光ドラム1上における現像に適した所定のコート量、及び、所定の電荷量に制御することを目的とする。現像剤量規制手段4については、後述する各実施例及び比較例にて詳細に述べる。
【0046】
(現像装置の実施形態2)
図8は本発明による第二の実施形態を示す現像装置の断面図である。本実施形態はフルカラーレーザープリンタに前記現像装置を適用したものであるが、前記現像装置以外の画像形成装置の構成は、実施形態1と同様である。前述の実施形態1の画像形成装置Aと同様の点については再度の説明を省略し、異なる点について述べる。本実施形態では、現像剤担持体である現像スリーブ3aは感光ドラムとの間隙が300μmになるように対向して設置され、現像スリーブ3a上に担持された非磁性一成分トナーを感光ドラム表面に非接触で現像を行う。
【0047】
具体的には、現像スリーブ3aは矢印cに示すように感光ドラム1と順方向に回転している。現像スリーブ3aには、−350VのDCバイアスと、2400Hz、1600Vppの矩形波のACバイアスと、を備える電圧が印加されている。感光ドラム1上には、実施形態1と同様に、暗部電位Vd=−550V、明部電位Vl=−100Vの静電潜像が形成されている。現像スリーブ3a上でマイナスに摩擦帯電したトナーは、前記のACバイアスにより、感光ドラム1と現像スリーブ3aが近接する現像部で、その間を往復運動することにより感光ドラム1上にトナー像を形成する。
【0048】
(現像装置の実施形態3)
図9は本発明の現像装置を用いた第三の実施形態の画像形成装置を示す概略機構図である。図9−aは画像形成装置であるモノクロレーザープリンタ本体、図9−bは前記モノクロレーザープリンタに用いられる現像装置についての断面図である。
【0049】
本実施例においては、現像剤担持体としての現像スリーブ3aに導電性樹脂をコートした金属スリーブを用いており、現像スリーブ3a内部には所定の磁極配置を持った固定のマグネットローラ7が設けられている。現像容器内の磁性トナーはマグネットローラ7との磁力により、現像スリーブ3a表面に引き寄せられる。現像スリーブ3a表面に付着した磁性トナーは、矢印cに示す現像スリーブ3aの回転により搬送されるが、現像剤量規制手段4との当接部を通過する際に圧力を受け、摩擦帯電すると共に層規制され、帯電したトナーコート層が形成される。
【0050】
本実施形態においては、現像スリーブ3aと感光ドラム1との間は、最近接部において300μmのギャップが保たれている。また、現像スリーブ3aには、−350VのDCバイアスと、2400Hz、1600Vppの矩形波のACバイアスと、を備える電圧が印加されている。感光ドラム1上には、実施形態1と同様に、Vd=−550V、Vl=−100Vの静電潜像が形成されている。現像スリーブ3a上でマイナスに摩擦帯電した磁性トナーは、前記のACバイアスにより、感光ドラム1と現像スリーブ3aが近接する現像部で、その間を往復運動することにより感光ドラム1上にトナー像を形成する。なお、現像スリーブ3a内のマグネットローラには、現像部付近に磁極が設けられている。本実施形態においては、この磁極により現像スリーブ3a表面での磁力を800Gにすることで、前記の電位設定で制御できないような、不適当な電荷を持ったトナーが、誤って暗部Vd部に飛翔することを抑えている。
【0051】
(実施例および比較例)
以下に現像剤量規制手段の実施例および比較例について説明する。
【0052】
(実施例1)
本実施例の現像剤量規制手段4について説明する。図1−bはU字形状に保持された現像剤量規制手段4を現像ローラ3に対して所定の使用位置(現像が行なわれる通常位置)に当接させる前の状態を示している。また、図1−cは本実施例の現像剤量規制手段4を現像ローラ3に所定の押し込み量で所定の使用位置に当接させた時の状態を示している。図1−bに示すように、本実施例の現像剤量規制手段4は、現像剤量規制部材である可撓性シート部材40と、現像剤量規制部材を保持するシート保持部材42と、で構成される。可撓性シート部材40は、シート保持部材42に対して接着等による固定は行われず非固定の状態となっている。ここで、可撓性シート部材40はその長手方向に沿って曲げられることによりU字形状を形成する。可撓性シート部材40の長手方向は、図1−b、図1−cの紙面に対して垂直の方向である。
【0053】
このとき、可撓性シート部材40には、長手方向に沿って曲げられ姿勢から戻ろうとする復元力F−1が働く。そのため、可撓性シート部材40の短手方向両端部の面である第二当接部47がシート保持部材42の凹部内壁の可撓性シート支持部48に加圧当接し、可撓性シート部材40は接着や他の部品から支持がなくても、凹形状のシート保持部材42に安定支持される。さらに、可撓性シート部材40と現像ローラ3が当接する第一当接部46において、現像ローラ3から加圧力F−2を受けるため、可撓性シート部材40は弾性力により安定支持される。また、第一当接部(押圧部)46における加圧力F−2を受けることで可撓性シート部材の端面49はシート保持部材42に当接し、可撓性シート部材40は位置決め規制される。
【0054】
本実施例では、可撓性シート部材40として、硬度がJIS−Aで70°のウレタンゴムを用いており、肉厚0.4mm、短手方向の長さ12.5mmのシート材を、幅5.0mmのシート保持部材42の凹部で受けることにより、U字形状を形成している。仮に現像ローラ3を設けない場合の可撓性シート部材40の先端位置(U字形状の中央部である突出位置)と、現像ローラ3を通常の使用位置にした場合の現像ローラ3表面位置、との距離である仮想のオーバーラップ量を押し込み量とする。このときの現像剤量規制部材と現像ローラ3との当接条件としては、押し込み量を0.8mmにすることで、当接圧が20KPaになるように設定されている。
【0055】
シート保持部材42としては、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂などを用いることができる。
【0056】
なお、前記当接圧の測定方法は、薄膜のシート形状の圧力センサ(例えば、プレスケール;富士写真フイルム社製等)を用いるのが一般的であるが、本実施例においては当接圧が低く、一般的な圧力センサーでは測定が難しかった。そのため、当接圧の測定は、厚さ20μmのSUS304鋼帯のH材を三枚重ねにして、現像剤量規制部材と現像ローラ3との当接部に挿入し、当接面の接線方向に中央の薄板をバネ秤で引き抜き、そのときの引き抜き力を測定する。こうすることで、この圧力測定治具に既知の負荷をかけた場合の引き抜き圧測定による校正値と当接幅とから求めた。
【0057】
ここで、現像ローラ3と可撓性シート部材40の接触領域である当接ニップ内の圧力分布を図1−gに示す。本実施例において、現像ローラ3の回転方向cの上流と下流に当接圧の極大値を持ち、その中間において当接圧の低い領域をもつ2つの当接圧極大値を有する圧分布が形成されている。
【0058】
圧分布測定は、ひずみゲージを利用することで当接圧の変化を電気信号として検出した。具体的には、共和電業製のひずみゲージ「KFG−02−120」を、現像ローラ3と同一直径の中空アクリルローラに設けた穴に貼り付ける。このとき、ひずみゲージの樹脂ベース部分の先端をアクリルローラの表面から0.1mmから0.3mmの範囲ではみ出るように貼り付けている。またひずみゲージのリード線をアクリルローラの中空部分から端部へ出すことによりローラを回転可能にしている。ひずみゲージを貼り付けたアクリルローラを現像剤量規制部材4に当接させて回転させると、ひずみゲージの樹脂ベース部分の先端が現像剤量規制部材4から受ける当接圧により変形する。これにより、当接圧の変化をひずみゲージ自身のひずみ量の変化として、電気信号で検出できる。このとき、電気信号のノイズを減らすため、現像剤量規制部材以外の現像ローラ3と当接する部材は取り除いている。尚、電気信号の検出には共和電業製の「PCD−300A」を使用した。
【0059】
本実施例において、現像剤量規制部のニップ内圧分布において当接圧ピークが複数形成される理由を以下に述べる。
【0060】
U字形状に支持された可撓性シート部材40に対し現像ローラ3を押し込む(現像ローラ3を図1−bにおいて上方へ移動させる)と、可撓性シート部材40はU字形状の中央部に形成された中空状態8を持つ弾性部で現像ローラ3と当接する。このとき、可撓性シート部材40が変形することで弾性力が生じ、現像ローラ3上のトナー量を規制するための当接圧を確保することができる。図1−bに示すように、可撓性シート部材40は第一当接部46において、現像ローラ3からの加圧力F−2を受ける。
【0061】
次に、可撓性シート部材40の両端部の面である第二当接部47は、第一当接部46で現像ローラ3から押し込まれることにより、可撓性シートがU字形状に曲げられた姿勢から戻ろうとする復元力と同じ方向に広がろうとする。しかしながら、シート保持部材42の凹部内壁のシート保持部48に規制される。
【0062】
ここで図1−d、図1−e、図1−fに示すように、可撓性シート部材40がU字形状に保持された状態における円弧形状部分だけを取り出した図を用いて考察する。図1−bの状態から現像ローラ3を上に移動させるにつれて、可撓性シート部材40は、図1−d、図1−e、図1−fと順に変化していく。なお本実施例の可撓性シート部材40の通常の使用位置(現像時の位置)は図1−fの位置である。円弧形状部分は、点線で示す枠から外側へはみ出ることは概ねない。この理由はシート保持部48が可撓性シート部材40の両端部の広がりを規制しているためである。点線で示す枠の幅Wは、おおよそシート保持部48の凹部の溝幅であり、一定値である。また、点線で示す枠の高さHは、ほぼシート保持部材42の凹部外壁の端部から現像ローラ3の表面までの距離であるが、現像ローラ3の押し込み量が増加するに従い減少する。即ち、図1−cにおいて、現像ローラ3を上に移動するにつれて、シート保持部材42の凹部外壁の端部と現像ローラ3表面との距離は減少する。これに対して、図1−dに取り出された可撓性シート部材40の円弧形状部分の長さは、点線で示す枠サイズの変化に関わらず、概ね一定に保たれると考えられる。
【0063】
図1−eに示すように可撓性シート部材40に対する現像ローラ3の押し込み量が小さい場合、現像ローラ3により押し込まれた可撓性シート部材40は、斜線部の空間Sに変形して逃げることで円弧形状部分の長さを概ね一定に保つことができる。
【0064】
次に、本実施例を示す図1−fに示すように現像ローラ3の押し込み量が所定量を超えた場合、斜線部の空間Sが狭まる。そのため、現像ローラ3により押し込まれた可撓性シート部材40は空間Sに変形して逃げることができず、円弧の中央部分においてU字形状の中空部分8に向かって変形することで円弧形状部分の長さは概ね一定に保たれる。このとき、可撓性シート部材40の円弧形状部分には可撓性シート支持部48から受ける反力により圧縮荷重が作用している。この圧縮荷重がシート材円弧部分の中央において、座屈が起こる限界荷重を超えて、座屈が生じた状態で現像ローラ3と当接している。即ち、可撓性シート部材40の中央部が図1−fにおいて、上に変位した状態で現像ローラ3と当接している。これにより図1−cに示すように、現像ローラ3と可撓性シート部材40との当接ニップ部において、当接ニップ上流部に接点領域A1、当接ニップ中央においては当接圧が低く、‘たるみ’7の生じた領域A2、および当接ニップ下流部に接点領域A3が存在する。またこのような構成における当接ニップ部の圧分布は、図1−gに示すように、当接ニップ部の上流と下流に当接圧の極大値をもち、該当接ニップ中央部では当接圧の低い領域をもつ2ピーク圧分布となる。
【0065】
本実施例においては、可撓性シート部材40は長手方向に沿って曲げることによりU字形状の現像剤量規制部材を形成した。
【0066】
また実施例の変形例として図1−hに示すような構成においても、上述した実施例と同様の効果を有する。具体的には、可撓性シート部材40はU字形状ではなく、曲率を持った略L字形状に支持される。現像ローラ3の回転方向下流側では上述したように、可撓性シート部材40を曲げたことにより発生する復元力F−1が第二当接部47において、シート保持部材42の凹部内壁の可撓性シート支持部48に作用する。また現像ローラ3の回転方向上流側では、前記のような復元力を利用することなく、可撓性シート部材40をシート保持部材42に接着することで支持している。この変形例においても同様に、現像ローラ3の押し込み量が一定量を超えた場合、現像ローラ3と可撓性シート部材40との当接ニップ部において、該当接ニップ上流部に接点領域A1、当接ニップ中央においては当接圧が低く、‘たるみ’7の生じた領域A2、および当接ニップ下流部に接点領域A3が存在する。このような構成における該当接ニップ部の圧分布は、図1−gに示すように、当接ニップ部の上流と下流に当接圧の極大値をもち、当接ニップ中央部では当接圧の低い領域をもつ2ピーク圧分布となる。
【0067】
なお、図1−cの例において、可撓性シート部材40を、上流側の第二当接部47と下流側の第二当接部47とのうちの少なくとも一つの箇所で接着等によりシート保持部材48に固定しても良い。
【0068】
(実施例2)
本実施例の現像剤量規制手段4について説明する。実施形態1の現像装置に適用した本実施例を図7に示す。本実施例の現像剤量規制手段4は現像剤量規制部材である無端形状の可撓性チューブ部材41と、現像ローラ3と対向し凹形状でチューブを保持するチューブ保持部材45と、で構成される。
【0069】
本実施例では、可撓性チューブ部材41として、外径5mm、肉厚0.5mm、硬度がJIS−Aで60°のシリコーンゴムを用いており、凹部の幅5.2mmのチューブ保持部材45の凹部で可撓性チューブ部材41を保持している。このときの現像剤量規制部材(可撓性チューブ部材)41と現像ローラ3との当接条件は、次のとおりである。即ち、仮に現像ローラ3を設けない場合の現像剤量規制部材の先端位置と、現像ローラ3を通常の使用位置に設けた場合の現像ローラ3表面と、の距離としての仮想のオーバーラップ量である押し込み量を0.8mmにすることで、当接圧が20KPaになるように設定されている。
【0070】
このときの現像ローラ3と可撓性チューブ部材41が当接するニップ内の圧力分布は、実施例1と同様に現像ローラ3の回転方向cの上流と下流に当接圧の極大値を持ち、その中間において当接圧の低い領域をもつ2つの当接圧極大値を有する圧分布が形成されている。
【0071】
(比較例1)
本比較例1の現像剤量規制手段4について説明する。実施形態1の現像装置に適用した本比較例を図13に示す。本比較例の現像剤量規制手段4は基本的に実施例1記載の現像剤量規制手段4に類似しているが、現像剤量規制部材に対する現像ローラ3の押し込み量を0.3mmとしている。前述の押し込み量設定では、現像ローラ3上のトナーを十分に薄層化するための当接圧が得られないため、本比較例においては、現像剤量規制部材である可撓性シート部材40として実施例1よりも厚い肉厚のシートを使用することにより適正な当接圧を確保している。具体的には、可撓性シート部材40として肉厚1.0mm、硬度はJIS−Aで70°のウレタンゴムを用いている。可撓性シート部材に力を与えない場合、その短手方向の長さは12.5mmであり、凹部の幅5.0mmのシート保持部材42の凹部で保持して、U字形状を形成している。
比較例1の可撓性シート部材40は実施例1のものよりもシート肉厚が厚いため、弾性力が高い。そのため、U字形状に保持された可撓性シート部材40は、その湾曲面の曲率がほとんど変わらない状態で現像ローラ3の表面に当接する。この場合、可撓性シート部材40の座屈は生じない(可撓性シート部材の中央部が現像ローラから離れない)ため、現像ローラ3との当接部における圧分布は、当接ニップ中央部の当接圧を最大とする極大値が1つだけ形成される。
なお、特開平6−250509号公報に示される板状弾性体についても本比較例1と同様に現像剤担持体に対する圧分布として極大値が1つだけ形成されると思われる。
【0072】
(比較例2)
本比較例の現像剤量規制手段について説明する。実施形態1の現像装置に適用した本比較例を図14に示す。本比較例の現像剤量規制手段は実施例1と同様に現像剤量規制部材である可撓性シート部材40と、シート保持部材42と、で構成される。しかしながら、可撓性シート部材40をU字形状に保持する際に、可撓性シート材の短手方向両端部の側面を規制していない点で実施例1と異なる。可撓性シート部材40は短手方向の両端面をシート保持部材42に接着することで保持される。図14−aはU字形状に支持された可撓性シート部材に対して現像ローラ3を押し込んでいない時(可撓性シート部材と現像ローラとの圧力がほぼ0に近い時)の状態を示している。
また、図14−bはU字形状に支持された可撓性シート部材40に対して現像ローラ3を押し込んだ時の状態を示している。可撓性シート部材40はU字形状の中央部に形成された中空状態を持つ弾性部で現像ローラ3と当接し、加圧力F−2を受ける。この構成では、シート保持部材42は凹部ではなく可撓性シート部材40の両端側面を規制しないため、現像ローラ3の押し込み量を増加しても可撓性シート部材40は加圧力F−2に垂直な方向に広がることができる。そのため、現像ローラ3の押し込み量を実施例1と同じ量に設定にしても、可撓性シート部材の座屈は生じにくく、現像ローラ3との当接部における圧分布は、当接ニップ中央部の当接圧を最大とする極大値が1つだけ形成される。
また、比較例2に類似の構成として、特開平11−265115号公報に開示されている現像装置がある。
【0073】
(比較例3)
本比較例の現像剤量規制手段について説明する。図15に示す、本比較例の現像剤量規制手段は現像容器に固定された支持板金によって、リン青銅板やステンレス板などの薄板状弾性部材490を片持ちで支持している。そして現像剤量規制部材である薄板状弾性部材490の対向部の腹面を現像ローラ3に対して当接している。本比較例においては、厚さ1.2mmの鉄板を支持板金として使用し、厚み120μmのリン青銅板を薄板状弾性部材490とし、薄板状弾性部材490を支持板金に接着している。薄板状弾性部材490の片持ち支持部から現像ローラ3との当接部までの距離、いわゆる自由長さは14mmであり、現像ローラ3の薄板状弾性部材490に対する押し込み量は1.5mmである。また、このような構成において、現像ローラ3との当接部における圧分布は、当接ニップ中央部の当接圧を最大とする極大値が1つだけ形成される。
【0074】
(比較例4)
図16に示す本比較例の現像剤量規制手段について述べる。本比較例の現像剤量規制手段は、現像ローラ3の周表面に当接する剛性部材からなる現像剤量規制部材としてのブレード460と、ブレード460の片面を現像ローラ3の周表面に圧接する方向に付勢する弾性付勢手段471と、を備える。剛性部材からなるブレード460は、片面に現像ローラ3の周表面と略同じ曲率を有する接触凹部461を備えている。
これにより現像ローラ3と規制部材の当接ニップ部は、規制部材における接触凹部461の略全面が現像ローラ3の周表面に略均一に接触する。またこのような構成における当接ニップ部の圧分布は、ニップ中央部の当接圧を最大とする極大値が1つだけ形成される。また、本例に類似の構成として、特開平9−34247号公報に開示されている現像装置がある。
【0075】
(比較例5)
本比較例の現像剤量規制手段について述べる。図17に示す、本比較例の現像剤量規制手段は、リン青銅板等の薄板状弾性部材を片持ちで支持している。薄板状弾性部材はその対向部の腹面を現像ローラ3に対して当接する第一の金属ブレード17と、現像ローラ3の回転方向cに対して第一の金属ブレードの下流側に第二の金属ブレード21を有し、現像ローラ3に2箇所で当接する構成である。本構成では、第一のブレード17と第二のブレード21それぞれの現像ローラ3との当接部において、ニップ中央部に極大値が1つずつ形成される圧分布を有する。
また、本例に類似の構成として、特開平6−95484号公報に開示されている現像装置がある。
【0076】
(比較例6)
本比較例の現像剤量規制手段を図18に示す。現像ローラ3と当接する金属ブレード23が、当接部において、弧状の凹部24を有し、現像ローラ3の半径をr、凹部24の曲率半径をRとしたとき、0<R≦rの関係を満足する構成である。このとき金属ブレード23の弧状の凹部24におけるエッジ部が2箇所現像ローラ3に当接している。ここで金属ブレードは剛体であり、可撓性はないとみなす。
このような構成では、現像ローラ3と金属ブレード23の当接ニップ部は、該当接ニップ上流部における第一のエッジ当接部と、当接ニップ中央部において現像ローラ3と接触しない領域と、当接ニップ下流部における第二のエッジ当接部を有する。本比較例における当接ニップ部の圧分布は、当接ニップ部中央に当接圧の発生しない領域が存在し、第一のエッジ当接部と第二のエッジ当接部において急峻なピーク圧を有する、極大値を2つ有する圧分布となる。
また、本例に類似の構成として、特開平6−95484号公報に開示されている現像装置がある。
【0077】
(実施例3、4)
本実施例3、4は、実施例1記載の現像剤量規制手段をそれぞれ実施形態2、実施形態3の現像装置に適用したものである。
【0078】
(比較例7)
本比較例は、比較例3の現像剤量規制手段を、実施形態2記載の現像装置に適用したものである。
【0079】
(比較例8)
本比較例は実施形態3の現像装置に対し、以下に説明する現像剤量規制手段を適用したものである。本比較例の現像剤量規制手段は現像容器に固定された支持板金に、ウレタンゴムなどを片持ちで支持し、その対向部の腹面を現像スリーブに対して当接している。本比較例においては、厚さ1.2mmの鉄板を支持板金として使用し、現像剤量規制部材として厚み0.9mmのウレタンゴム板を支持板金に接着している。ウレタンゴム板の片持ち支持部から現像スリーブとの当接部までの距離、いわゆる自由長さは6.5mmであり、現像スリーブのウレタンゴムに対する押し込み量は3.1mmである。また、このような構成において、現像スリーブとの当接部における圧分布は、当接ニップ中央部の当接圧を最大とする極大値が1つだけ形成される。
【0080】
(各実施例および比較例の評価方法)
a)小型化時に所定圧を設定するための精度とコスト評価
×:小型化時に所定圧を設定するために高精度を要し、高コスト化する。
○:小型化時に所定圧を設定するために高精度を要せず、高コスト化しない。
b)耐久後の長手画像濃度ムラ
画像評価は、全面に黒を印字するベタ画像を出力し、現像剤規制手段の長手方向(レーザー主走査方向)に渡る帯状の画像濃度ムラの有り無しを目視により評価した。
×:長手画像濃度ムラが認識される。
○:長手画像濃度ムラが認識されない。
長手画像濃度ムラ評価は、記録紙4000枚の印字テスト後に行った。印字テストは、画像比率5%の横線の記録画像を連続的に通紙して行った。
c)圧接跡による画像濃度ムラ
現像ローラの凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期で発生する濃度ムラを評価した。プロセススピード及び感光ドラムと現像ローラの周速比などを加味して、現像周期を正確に計算し、同周期の画像不良を抽出して評価した。画像欠陥の大きさは、現像ローラの凹みの大きさによっても異なるが、レーザー副走査方向(現像ローラ回転方向)の長さは1〜2mm程度、レーザー主走査方向(現像剤量規制手段長手方向)の長さは全域に渡るものである。本評価は、全面に黒を印字するベタ画像と中間調画像の2種類の画像を用いた。中間調画像とは、主走査方向の1ラインを記録し、その後1ラインを非記録とする縞模様を意味し、全体として中間調の濃度を表現している。
評価は画像欠陥の有り無しを目視により、以下の基準で評価した。
×:ベタ画像と中間調画像の2種類ともに画像欠陥有り。
△:ベタ画像に画像欠陥は有るが、中間調画像には画像欠陥が無い。
○:ベタ画像と中間調画像の2種類ともに画像欠陥無し。
なお、本評価では常温常湿環境(23℃、50%)下に10ヶ月間放置した現像装置を使用した。
d)ゴースト
画像評価は、25mm四方のパッチを画像先端部(現像ローラ回転1周目)で現像し、現像ローラ回転2周目以下の中間調画像上に現れるパッチ状の濃度差をゴースト画像として評価した。また、プロセススピード及び感光ドラムと現像スリーブの周速比などを加味して、現像周期を正確に計算し、同周期の画像欠陥を抽出した。
評価は画像欠陥の有り無しを目視により、以下の基準で評価した。
×:ゴーストが認識される。
○:ゴーストが認識されない。
評価は記録紙初期100枚時に行った。
e)ピッチムラ
画像評価は、全面に黒を印字するベタ画像を出力し、不特定周期で発生するピッチムラを画像欠陥として評価した。
評価は画像欠陥の有り無しを目視により、以下の基準で評価した。
×:ピッチムラが認識される。
○:ピッチムラが認識されない。
評価は記録紙初期100枚時に行った。
【0081】
評価結果
本実施例及び比較例の評価結果を以下の表にまとめた。
【0082】
【表1】
【0083】
(従来技術に対する優位性)
はじめに、一般的な従来技術である、ブレード形状の現像剤量規制部材に相当する比較例に対する優位性を示す。具体的に、実施例1、3、4と比較例3、7、8について説明する。
【0084】
a)小型化時の精度とコスト
比較例3、7、8は一般的な従来技術であるブレード形状の現像剤量規制部材であるが、小型化することが難しいという課題がある。薄板状弾性部材を片持ちで支持し、その対向部の腹面を現像ローラ3に対して当接している。これらの比較例において小型化すると、薄板を片持ち支持した支点から現像ローラ3との当接点までの距離、すなわち自由長さが短くなる。これにより、現像ローラ3の押し込み量に対する当接圧の変化すなわちバネ定数が高くなる。
【0085】
ここで、図4に現像剤量規制部材に対する現像ローラ3の押し込み量と当接圧最大値との関係を示す。従来構成の現像剤量規制部材では、現像ローラ3との当接圧が最大となる位置は当接ニップ中央部である。このとき、現像ローラ3の押し込み量に対して当接圧の最大値は、それぞれの構成によるバネ定数によって傾きは異なるが、線形的に増加する。
【0086】
このように従来構成の現像剤量規制部材は、設定位置の変化に伴い当接圧最大値が変化してしまう。ブレード形状の現像剤量規制部材は、小型化すると当接圧のバネ定数が高くなるため、高い組み立て精度が必要となる。
【0087】
これに対して、本実施例1、3、4の現像剤量規制部材においては図4に示すように、現像ローラ3の押し込み量に対して現像ローラ3との当接圧の最大値が比例して変化しない領域が存在する。そのため、現像ローラ3の押し込み量に誤差が生じても当接圧の最大値が変化しにくい。即ち、高精度な組み立てを必要としなくても所望の当接圧最大値に安定して設定することが可能である。以下に、現像ローラ3の押し込み量に対して現像ローラ3との当接圧の最大値が比例して変化しない領域が存在する理由を述べる。
【0088】
本実施例1の図1−d、図1−e、図1−f説明において、現像剤量規制部材と現像ローラ3との当接機構を述べた。それによると、現像ローラ3の押し込み量が所定量を超えた場合、当接ニップ中央部において発生する座屈により‘たるみ’部が生じるため、当接ニップ中央部における当接圧が低下する。即ち、図1−eから図1−fに向かって可撓性シート部材40が現像ローラ3から離れていくことによって、当接ニップ中央部における当接圧が低下する。その結果、当接ニップ内の圧分布は極大値が2つとなる。
【0089】
図5−aは現像ローラ押し込み量の増加に対する可撓性シート部材40の変形状態の推移を示している。図5−aの上から下に向かって、実線、点線(短い点線)、破線(長い点線)の順に現像ローラ3の押し込み量が増加する。まず実線で示す現像ローラ押し込み量が小さい場合は当接ニップ中央部において当接圧が最大値となる。次に現像ローラ3押し込み量が増加して点線で示す変形状態になった場合、当接ニップ中央部には‘たるみ’部が生じて当接圧極大値の位置はニップ中央部から現像ローラ回転方向cに対して、上流側及び下流側へと移動する。さらに現像ローラ押し込み量が増加して破線で示す変形状態になった場合、当接圧極大値の位置はさらに現像ローラ回転方向cに対して、上流側及び下流側へと移動する。
【0090】
図5−bは現像ローラ3と可撓性シート部材40の重なり量を示している。図5−bの上から順に実線、点線(短い点線)、破線(長い点線)は図5−aのものとそれぞれ対応している。一定の曲率を有する円弧を重ね合わせると、その重なり量は当接部の中央において最大となり、上流側及び下流側へと移動すると徐々に小さくなることがわかる。しかしながら、本構成においては、本来当接圧が最大となる当接ニップ中央部において、‘たるみ’が生じて当接圧が低くなる。さらに、図5−aについて述べたように、変わって極大値となる位置は重なり量の小さくなる上流側および下流側へと移動する。そのため、図5−a中の点線および破線の変形状態の場合、図5−bで示した、矢印の長さで表す重なり量の変化は小さい。結果、現像ローラ押し込み量の増加に比例して当接圧最大値が変化せず、ほぼ特定の値を維持することができる。以上述べたように、図4に示すような現像ローラ3の押し込み量の増加に対して、当接圧の最大値が比例して変化しない領域が存在する。このように、本実施例は、所望の当接圧最大値を安定して設定できるため、組み立て時に高い精度を必要としない。
【0091】
また、現像ローラ3の押し込み量の増加に対して、当接圧の最大値が比例して変化しない傾向は現像ローラ3を小径化した時、ローラの曲率が大きくなるためさらに顕著になる。そのため、現像装置の小型化に対して非常に有利である。
【0092】
b)耐久後の長手画像濃度ムラ
次に、耐久後における長手画像濃度ムラについて本発明の優位性を述べる。
【0093】
比較例3、7、8の現像剤量規制部材では、耐久後にベタ画像の長手画像濃度ムラが発生する。これは、耐久後の状態において、長手方向に渡ってトナー劣化具合のばらつきが生じていることに起因する。前述したように、従来構成の現像剤量規制部材では、現像ローラ3の押し込み量に対して、当接圧の最大値は線形的に増加する。
【0094】
ここで、現像剤量規制部材と現像ローラ3の当接圧最大値が高くなると、トナーに対する現像剤量規制部材による規制力を高めるためトナーの過剰なスリ抜けの防止に対しては有効である。しかしながら、現像剤量規制部材によるトナーへのストレスが増大する結果、現像剤量規制部材においてトナーが破砕・溶融し易くなり、トナー劣化が促進されて寿命を著しく短くしてしまう。
【0095】
従来構成の現像剤量規制部材において、生産のばらつきや現像ローラ3の円周振れ等により、長手方向に渡って現像剤量規制部材に対する現像ローラ3の押し込み量にばらつきが生じる。それによって、現像剤量規制部材と現像ローラ3の当接圧最大値のばらつきが長手方向に渡って発生すると考えられる。これにより、耐久を通してトナー劣化具合のばらつきが長手方向に渡って発生し、結果として、耐久後にベタ画像の長手画像濃度ムラが発生する。
【0096】
これに対して、本実施例1、3、4の現像剤量規制部材においては、現像ローラ3の押し込み量に対して、現像剤量規制部材と現像ローラ3との当接圧の最大値が上昇しない領域が存在する。そのため、この領域の範囲内で使用する限りにおいて、長手方向に渡る現像剤量規制部材に対する現像ローラ3の押し込み量のばらつきを吸収することができる。これにより、耐久後においてもベタ画像の長手画像濃度ムラを抑制することができる。
【0097】
c)圧接跡による画像濃度ムラ
次に、実施形態1における現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する画像濃度ムラに対する本発明の優位性について実施例1と比較例3と比較した結果を述べる。
【0098】
弾性層を有する現像ローラ3は現像剤量規制部材等に長期間、同一箇所で圧接されると、その圧接部には永久圧縮歪として凹みが発生する。前記凹みの生じた現像ローラ3に対して従来の現像剤量規制部材を適用すると、凹み等の局所的な形状変化を有する部分において、現像ローラ3上の現像剤量であるトナーコート量に変化が生じる。一方、接触現像方式の場合、高い現像効率で現像が行われるため、現像ローラ3上のトナーコート量のムラがそのまま画像上に反映されてしまう。
【0099】
これに対して、実施例1では、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する画像濃度ムラを抑制する。前述したように、実施例1は現像ローラ3と可撓性シート部材40との当接ニップ部において、ニップ上流部での接点領域A1、ニップ中央における当接圧の低い‘たるみ’7の生じた領域A2、およびニップ下流部での接点領域A3を有している。この構成の作用として、可撓性シート部材40が現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に応じた局所的な変形をすることができる。即ち、現像ローラ3の凹みに対して、可撓性シート部材40が追従することができる。
【0100】
以下に、図6を用いてその機構を説明する。図6−aは本実施例における可撓性シート部材40の現像ローラ3に対する当接状態をモデル化して示したものである。L1は現像ローラ3を可撓性シート部材40に対して所定量押し込んだ時の現像ローラ3の周表面を直線で示したものである。また、L2は可撓性シート部材40に対して、現像ローラ3を押し込んでいない状態(可撓性シート部材4と現像ローラ3との圧力がほぼ0の状態)における可撓性シート部材40円弧頂点の位置を示すものである。L1とL2間の距離が現像ローラ3の可撓性シート部材40に対する押し込み量を表す。次に、図6−b、図6−cのL3は現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化した部分における現像ローラ3の周表面を直線で示したものであり、L1とL3間の距離が現像ローラ3の凹み量を表す。
【0101】
まず、図6−cは現像ローラ3の回転に伴い現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化を有する部分が当接ニップ部に入ってきた際の当接状態を示している。可撓性シート部材40のニップ上流部分A1は図6―cに示すように現像ローラ3の形状変化に応じて変形する。このときニップ中央部A2の‘たるみ’7が存在するためにニップ下流部A3には影響を与えずニップ上流部A1は形状変化に応じて変形することができる。
【0102】
次に、図6−bは形状変化を有する部分がニップ内を出て行く際の当接状態を示している。可撓性シート部材40のニップ下流部A3が形状変化に応じて変形する。このときもニップ突入時と同様に、ニップ中央部A2の‘たるみ’7が存在するためニップ上流部A1には影響を与えずニップ下流部A3は形状変化に応じて変形することができる。
【0103】
つまり、シート中央部の‘たるみ’7が存在するために、可撓性シート部材40のニップ上流部分A1およびニップ下流部分A3は現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に追従するように変形することができる。そのため、当接圧や当接ニップ入り口のトナー取り込み幅の変動を著しく抑制できる。これにより、現像ローラ3上のトナーコート量に画像不良が生じるほどの変化を抑制できる。その結果、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の画像濃度ムラを著しく抑制する。
【0104】
一方、比較例3の現像剤量規制部材は、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する濃度ムラがベタ画像と中間調画像の2種類ともに画像欠陥として発生する。比較例3は金属薄板を片持ち支持し現像ローラ3に対して当接している。このような構成において、現像ローラ3の回転に伴い現像ローラ3の局所的な形状変化を有する部分が当接ニップ部に入ってきた場合、金属薄板の有する剛性があるために、現像ローラ3の凹み等の形状変化に応じた局所的な変形をすることができない。そのため、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化を有する部分において、当接圧や当接ニップ入り口のトナー取り込み幅が変動して、現像ローラ上のトナーコート量にムラが生じる。その結果、現像ローラ周期の画像濃度ムラとして画像欠陥が発生する。
【0105】
d)ゴースト
次に、実施形態3における現像剤担持体である現像スリーブの周期に対応して発生するゴースト画像に対する本発明の優位性について実施例4と比較例8と比較した結果を述べる。
【0106】
比較例8は現像スリーブ周期のゴーストが発生する。これは、現像スリーブ3a上のトナーコート量およびトナー帯電量にムラが生じていることに起因する。ここで、感光体の画像部に対応する現像スリーブ3aの部分はトナーが消費されるため、現像スリーブ3a上のトナー量が少なくなる。これに対して、非画像部に対応する現像スリーブ3aの部分のトナーは消費されないので、現像スリーブ3a上のトナー量は変化せず残留する。ところで、実施形態3における現像装置は、現像ローラへ現像剤を供給する供給ローラを有さず、磁気的にトナー供給が行なわれる。供給ローラがないと現像ローラへのトナーの供給が機械的に行われないため、現像部でトナーが消費された場合と消費されない場合において現像剤量規制部材4の直前に供給されるトナー量に差が生じやすい。結果、現像スリーブ周期のゴーストが発生しやすくなる。
【0107】
比較例8においては、供給されたトナー量に対応して現像剤量規制部材の当接圧が変化しやすく、現像履歴に伴うゴースト画像が発生すると考えられる。これに対して、実施例4は現像スリーブ周期のゴーストを著しく抑制する。これは、現像後に現像スリーブ3a上に生じたトナーコート量の差においても、実施例4における現像剤量規制部材4は当接圧を均一にしてトナーコート量を均一にすることができるためである。
【0108】
さらに、磁気的にトナーを供給しているため、現像部でトナーが消費された部分においては現像剤量規制部材4の直前まで未帯電のトナーが供給される。そのため、ゴースト画像を抑制するためには、現像剤量規制部材4の一度の通過でトナーに適正な電荷を与える必要がある。本例においては、上流側のピーク圧と下流側のピーク圧において2回にわたり帯電を行うため、新しく供給された未帯電のトナーに対しても十分帯電することができる。
【0109】
以上述べたように、本実施例においては現像スリーブ周期のゴーストを著しく抑制することができる。
【0110】
(比較技術に対する優位性)
次に、実施形態1における比較技術に対する差異を述べる。具体的には、実施例1と比較例1、2、4〜6とを比較する。
【0111】
a)小型化時の精度とコスト
まず、小型化時の影響に関する本発明の優位性を示す。
【0112】
比較例1は、実施例1よりもシート肉厚が厚いため、弾性力が高い。そのため、U字形状に保持された可撓性シート部材40は、現像ローラ3の押し込み量を増加させた場合においても、その湾曲面の曲率がほとんど変わらない状態で現像ローラ3の表面に当接する。比較例1においては、現像ローラ押し込み量が増加すると当接圧の最大値は、線形的に増加する。そのため、小型化した際に非常に高精度な組み立てが必要となる。
【0113】
次に図14に示す比較例2は、可撓性シート部材40をU字形状に保持する際に、可撓性シート部材40の短手方向両端部の側面を規制していない。そのため、比較例1と同様、現像ローラ押し込み量が増加すると当接圧最大値は線形的に増加するために、当接圧最大値を所定値に安定して設定することが難しい。
【0114】
また比較例2は、前述したように可撓性シート材の短手方向両端部の側面を規制しない。そのため、現像ローラ3との当接部における摩擦力により周方向の力を受けることにより現像ローラ3の回転方向c下流側に倒れが生じる。その結果として、現像剤量規制部材としての可撓性シート部材40の姿勢が変動しやすく、当接位置が安定しにくいという問題が発生しやすい。
【0115】
また、比較例4のように現像ローラ3の周表面と略同じ曲率の接触凹部を有する現像剤量規制部材では、現像ローラ3の周表面に対して、その長手方向に渡り安定して当接させるためには、面精度を確保することが必要である。そのため非常に高精度な加工が必要となる。
【0116】
比較例5は現像ローラ3の回転方向cに対して第一の金属ブレード17と第二の金属ブレード21を有する構成である。各単体の金属ブレードを小型化できない理由は、比較例3と同様である。それに加えて、現像ローラ3の回転方向cに対して金属ブレードが複数存在するために、さらに小型化は困難となる。
【0117】
また、比較例6は現像ローラ3の半径よりも小さな曲率半径をもつ凹部24を有するブレード23を現像ローラ3に当接させるため、1つの当接ニップ内に2箇所のエッジが当接される。
【0118】
可撓性でない金属のブレードの鋭利なエッジ部が現像ローラ3に当接されるために、当接圧の最大値は現像ローラ3の押し込み量の変化に対して過剰に増加してしまう。小型化するとこの影響はより顕著に現れる。
【0119】
また、金属ブレードのエッジ部の当接状態はニップ幅が非常に狭く線接触に限りなく近い。曲率を有する現像ローラ3に対して2箇所のエッジを長手方向に渡り、安定して当接させるためには、非常に高精度な組み立てが必要となる。
【0120】
これに対して、実施例1の現像剤量規制部材4は、図4に示すような現像ローラ3の押し込み量の増加に対して、当接圧の最大値が比例して変化しない領域が存在する。それにより、所望の当接圧最大値を安定して設定できるため、組み立て時に高い精度を必要としない。また実施例1において、現像剤量規制部材4と現像ローラ3との当接部は、現像ローラ3が押し込まれて当接した結果、現像ローラ3の回転方向cに対して上流側及び下流側の2点で当接する状態が形成される。そのため、簡易な組み立てにおいても、常に安定した当接状態を確保できる。以上述べたように、本実施例1における現像剤量規制部材4は小型化時においても、高い組み立て精度を必要としない。
【0121】
b)耐久後の長手画像濃度ムラ
次に、耐久後における長手画像濃度ムラに対する本発明の優位性を述べる。
【0122】
比較例1、2、4〜6の現像剤量規制部材では、耐久後にベタ画像の長手画像濃度ムラが発生する。前述したように、従来構成の現像剤量規制部材では、現像ローラ3の押し込み量に対して、当接圧の最大値は線形的に増加する。
【0123】
従来構成の現像剤量規制部材において、生産のばらつきや現像ローラ3の円周振れ等により、長手方向に渡って現像剤量規制部材に対する現像ローラ3の押し込み量にばらつきが生じた場合、現像剤量規制部材と現像ローラ3の当接圧最大値のばらつきが長手方向に渡って発生してしまう。これにより、耐久を通してトナー劣化具合のばらつきが長手方向に渡って発生し、結果として、耐久後にベタ画像の長手画像濃度ムラが発生する。
【0124】
これに対して、本発明における現像剤量規制部材4においては、現像ローラ3の押し込み量に対して、現像剤量規制部材4と現像ローラ3との当接圧の最大値が上昇しない領域が存在する。そのため、この領域の範囲内で使用する限りにおいて、長手方向に渡る現像剤量規制部材4に対する現像ローラ3の押し込み量のばらつきを吸収することができる。そのため、耐久後においてもベタ画像の長手画像濃度ムラを抑制することができる。
【0125】
c)圧接跡による画像濃度ムラ
次に、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する濃度ムラに対する本発明の優位性を述べる。
【0126】
まず比較例1の現像剤量規制部材は、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の濃度ムラがベタ画像と中間調画像の2種類ともに画像欠陥として発生する。比較例1は現像ローラ3の押し込み量を増加させた場合においても、その湾曲面の曲率がほとんど変わらない状態で現像ローラ3の表面に当接する。このとき、現像ローラ3と可撓性シート部材40との間に形成される当接ニップにおける圧分布は、極大値が1つであり、当接ニップ中央部分において‘たるみ’は存在しない。そのため、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に対して十分に規制部材が追従できないため、現像ローラ3上のトナーコート量にムラが生じる。その結果として、現像ローラ周期の濃度ムラとして画像欠陥が発生する。
【0127】
これに対して、本実施例1の現像剤量規制部材は当接ニップ中央部において‘たるみ’7が存在するために、可撓性シート部材40のニップ上流部分A1およびニップ下流部分A3は現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に追従するように変形することができる。そのため、当接圧や当接ニップ入り口のトナー取り込み幅の変動を著しく抑制できる。これにより、現像ローラ3上のトナーコート量に画像不良が生じるほどの変化を抑制できる。その結果、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の濃度ムラを著しく抑制する。
【0128】
次に比較例2の現像剤量規制部材は、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の濃度ムラがベタ画像では発生するが、中間調画像においては発生しない。比較例2は現像ローラ3の押し込み量を増加させた場合においても、可撓性シート部材の座屈は生じにくく、当接ニップ中央部分において‘たるみ’は存在しない。現像ローラ3との当接部における圧分布は、当接ニップ中央部の当接圧を最大とする極大値が1つ形成される。そのため、実施例1のようにニップの上流側および下流側において、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に対して十分に可撓性シート部材40が追従できないため、現像ローラ3上のトナーコート量にムラが生じる。その結果として、ベタ画像において現像ローラ周期の濃度ムラとして画像欠陥が発生する。ただし、中間調画像において現像ローラ周期の濃度ムラが発生しない。比較例2は可撓性部材を用いており、初期状態からの変形量が大きいため、現像ローラ3の押し込みに対して復元しようとする作用が働く。中間調画像はベタ画像に比べ、現像効率が低いため、トナーコート量変化が小さい場合、トナーコート量変化を反映する濃度ムラが発生しにくくなる。結果、比較例2においては、中間調画像中での濃度ムラが発生するほどのトナーコート量変化が生じにくいと考えられる。
【0129】
次に、比較例4の現像剤量規制部材は、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の濃度ムラがベタ画像と中間調画像の2種類ともに画像欠陥として発生する。比較例4は現像ローラ3と現像剤量規制部材とを面接触させることにより、当接ニップ幅を広く確保して、現像ローラ3上のトナーを規制する例である。しかしながら、材質が可撓性でない剛性部材であり、現像ローラ3との接触面形状が現像ローラ3の周表面と略同じ曲率に形成されていることから、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に応じた変形をすることができない。そのため、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化を有する部分において、当接圧や当接ニップ入り口のトナー取り込み幅が変動して、現像ローラ3上のトナーコート量にムラが生じる。その結果、現像ローラ周期の画像濃度ムラとして画像欠陥が発生する。
【0130】
また、比較例5の現像剤量規制部材は、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の濃度ムラがベタ画像と中間調画像の2種類ともに画像欠陥として発生する。比較例5は現像ローラ3の回転方向cに対して第一の金属ブレード17と第二の金属ブレード21を有する構成である。しかしながら、第一の金属ブレード17と第二の金属ブレード21において、それぞれ単体の金属ブレードが現像ローラ3上のトナーに作用する効果またはメカニズムは比較例3と同様である。そのため、比較例3との比較で説明した理由から、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の画像濃度ムラが発生する。
【0131】
次に、比較例6の現像剤量規制部材は、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の濃度ムラがベタ画像と中間調画像の2種類ともに画像欠陥として発生する。比較例6は現像ローラ3の半径よりも小さな曲率半径をもつ凹部を有するブレードを現像ローラ3に当接させるため、1つの当接ニップ内に2箇所エッジが当接される。このような構成において、当接ニップ部の圧分布は2つの極大値を有する2ピークになる。しかしながら、金属であるためにそれぞれの当接点において、現像ローラ3の形状変化に対し局所的に追従することはなく、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の画像濃度ムラが発生する。
【0132】
さらに、現像ローラ3にブレードのエッジが当接するために過剰に当接圧最大値が高くなる。そのために、長期間放置したときに現像ローラ3の凹みが発生し易くなり、現像ローラ3の凹み起因の画像濃度ムラ抑制には不利である。
【0133】
最後に実施例2について説明する。実施例2の現像剤量規制部材4は、実施例1と同様に現像ローラ3と可撓性チューブ部材41との当接ニップ部において、ニップ上流部での接点領域A1、ニップ中央における当接圧の低い‘たるみ’7の生じた領域A2、およびニップ下流部での接点領域A3を有している。そのため、現像ローラ3の押し込み量に対して現像ローラ3との当接圧の最大値が比例して変化しない領域が存在する。そのため、小型化時においても高精度な組み立てを必要としなくても所望の当接圧最大値に安定して設定することが可能である。
【0134】
また、現像ローラ3の押し込み量に対して、現像剤量規制部材4と現像ローラ3との当接圧の最大値が上昇しない領域の範囲内で使用する限りにおいて、長手方向に渡る現像剤量規制部材4に対する現像ローラ3の押し込み量のばらつきを吸収することができる。そのため、耐久後においてもベタ画像の長手画像濃度ムラを抑制することができる。
【0135】
また、当接ニップ中央部の‘たるみ’7が存在するために、可撓性チューブ部材41のニップ上流部分A1およびニップ下流部分A3は現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に追従するように変形することができる。そのため、当接圧や当接ニップ入り口のトナー取り込み幅の変動を著しく抑制できる。これにより、現像ローラ3上のトナーコート量に画像不良が生じるほどの変化を抑制できる。その結果、現像ローラ3の凹み等の局所的な形状変化に起因する現像ローラ周期の画像濃度ムラを著しく抑制する。
【0136】
ただし、チューブ形状すなわち無端形状であるため、上流もしくは下流のピーク位置が形状変化に追従する際の動きを裏面で伝達する。それにより、現像ローラ3上のトナーコート量に不特定周期のムラが生じ、結果として画像上にピッチムラが発生してしまう。
【0137】
以上の実施例において、現像剤担持体に対する現像剤量規制部材の圧分布の極大値は2つに限らず、3つ以上あっても良い。
【0138】
以下に上記実施例の作用効果について述べる。本実施例による現像剤量規制部材4は、従来の現像剤量規制部材にある課題(小型化時のコストと弊害、耐久後の長手画像濃度ムラ)に対してバランスよく性能向上を図ることができる。
【0139】
本実施例における現像剤量規制部材4は以下の理由により、小型化時においても、高い組み立て精度を必要としない。現像ローラ3の押し込み量の増加に対して、当接圧の最大値が比例して変化しない領域が存在する。それにより、所望の当接圧最大値を安定して設定できるため、組み立て時に高い精度を必要としない。また本発明において、現像剤量規制部材4と現像ローラ3との当接部は、現像ローラ3が押し込まれて当接した結果、現像ローラ3の回転方向cに対して上流側及び下流側の2点で当接する状態が形成される。そのため、簡易な組み立てにおいても、常に安定した当接状態を確保できる。
【0140】
また耐久後の長手画像濃度ムラに対しては、以下の理由により効果的に抑制できる。本実施例における現像剤量規制部材4は、現像ローラ3の押し込み量に対して現像剤量規制部材4と現像ローラ3との当接圧の最大値が上昇しない領域が存在する。そのため、この領域の範囲内で使用する限りにおいて、長手方向に渡る現像剤量規制部材4に対する現像ローラ3の押し込み量のばらつきを吸収することができ、耐久後においてもベタ画像の長手画像濃度ムラを抑制することができる。
【0141】
本実施例を実施することにより、従来技術と比較して、現像装置の小型化が可能であると同時に、簡易な構成による組み立て性の向上が図れるようになった。また、長期にわたり安定的なトナーコートによる現像が可能となった。
【符号の説明】
【0142】
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
3 現像ローラ
3a 現像スリーブ
4 現像剤量規制部材
40 可撓性シート部材
41 可撓性チューブ部材
42 シート保持部材
45 可撓性チューブ保持部材
46 第一当接部(押圧部)
47 第二当接部
48 可撓性シート支持部
49 可撓性シート端面
5 供給ローラ
7 マグネットローラ
A 画像形成装置本体
B プロセスカートリッジ
C クリーニング装置
D 現像装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持し、像担持体に形成された静電像を現像剤で現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制するための現像剤量規制手段と、を有する現像装置において、
前記現像剤量規制手段は、前記現像剤担持体に当接して押圧する押圧部を有する可撓性のシート状の現像剤量規制部材と、該現像剤量規制部材が前記現像剤担持体に当接していない状態において前記現像剤量規制部材が前記現像剤担持体に向けて凸となる曲率形状を有するように前記現像剤量規制部材を保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記現像剤量規制部材が前記現像剤担持体に押圧された際に、前記現像剤量規制部材における短手方向の両端部の端面が当接する部分と、前記現像剤量規制部材における前記押圧部が存在する面に当接して前記両端部が広がるのを防ぐ支持部と、を有し、
前記現像剤量規制部材は、前記現像剤量規制部材が曲げられた姿勢から戻ろうとすることで生じる復元力によって前記押圧部が存在する面が前記支持部に加圧当接することで、前記保持部材に保持され、
前記現像剤量規制手段は、前記現像剤量規制部材を前記現像剤担持体に押圧する際、前記現像剤量規制部材の変形時の前記両端部の広がりを前記支持部が防ぎ、前記押圧部における前記現像剤担持体の回動方向の圧分布において極大値が2つ存在するように前記現像剤量規制部材を変形させるように構成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記保持部材は凹部を有し、前記端面が当接する部分は前記凹部の底面であり、前記支持部は前記凹部の側面であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
画像形成装置に着脱可能であり、請求項1または2に記載の現像装置を含むことを特徴とするカートリッジ。
【請求項1】
現像剤を担持し、像担持体に形成された静電像を現像剤で現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制するための現像剤量規制手段と、を有する現像装置において、
前記現像剤量規制手段は、前記現像剤担持体に当接して押圧する押圧部を有する可撓性のシート状の現像剤量規制部材と、該現像剤量規制部材が前記現像剤担持体に当接していない状態において前記現像剤量規制部材が前記現像剤担持体に向けて凸となる曲率形状を有するように前記現像剤量規制部材を保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記現像剤量規制部材が前記現像剤担持体に押圧された際に、前記現像剤量規制部材における短手方向の両端部の端面が当接する部分と、前記現像剤量規制部材における前記押圧部が存在する面に当接して前記両端部が広がるのを防ぐ支持部と、を有し、
前記現像剤量規制部材は、前記現像剤量規制部材が曲げられた姿勢から戻ろうとすることで生じる復元力によって前記押圧部が存在する面が前記支持部に加圧当接することで、前記保持部材に保持され、
前記現像剤量規制手段は、前記現像剤量規制部材を前記現像剤担持体に押圧する際、前記現像剤量規制部材の変形時の前記両端部の広がりを前記支持部が防ぎ、前記押圧部における前記現像剤担持体の回動方向の圧分布において極大値が2つ存在するように前記現像剤量規制部材を変形させるように構成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記保持部材は凹部を有し、前記端面が当接する部分は前記凹部の底面であり、前記支持部は前記凹部の側面であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
画像形成装置に着脱可能であり、請求項1または2に記載の現像装置を含むことを特徴とするカートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−288817(P2009−288817A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209535(P2009−209535)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【分割の表示】特願2006−174138(P2006−174138)の分割
【原出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【分割の表示】特願2006−174138(P2006−174138)の分割
【原出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]