説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】現像剤搬送部材の回転軸部分を支持する軸受け部及び該回転軸部分を囲繞する現像剤シール部材の昇温を安価に抑制できる。
【解決手段】現像剤搬送部材の回転不良発生を抑制できる現像装置4及びこれを搭載した画像形成装置PRを提供する。現像装置4は、現像剤搬送送部材44から現像剤搬送部材43へ至る現像剤搬送方向切り換わり域A1の側で、搬送部材回転軸431、441を囲繞するシール部材43s、44sに臨む第1域A21、第2域A22に現像剤を入れ換え循環させる副循環装置46を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置に関係しており、特に、該画像形成装置に用いる現像装置に関係している。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置では、静電潜像担持体の表面を帯電装置で帯電させ、該帯電域に露光装置から画像露光を施して静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成できる。
【0003】
このような画像形成装置で用いる現像装置は、種々のタイプのものが知られているが、その中に、画像形成装置の静電潜像担持体上に形成される、形成しようとする画像に応じた静電潜像へトナーを付与する現像剤担持体と、該現像剤担持体に臨設され、回転駆動されることで回転軸方向に現像剤を搬送する第1搬送部材と、回転駆動されることで回転軸方向に、且つ、前記第1搬送部材とは反対方向に現像剤を搬送する第2搬送部材とを含む現像装置がある。
【0004】
このタイプの現像装置では、前記第2搬送部材の現像剤送出側端部から前記第1搬送部材の現像剤送入側端部へ至る現像剤搬送方向切り換わり域及び前記第1搬送部材の現像剤送出側端部から前記第2搬送部材の現像剤送入側端部へ至る現像剤搬送方向切り換わり域での現像剤搬送方向切り換わりを許しつつ該第1及び第2の搬送部材で現像剤を攪拌循環させて該第1搬送部材から前記現像剤担持体へ現像剤を供給する。
【0005】
以下、このタイプの現像装置を「現像剤攪拌循環型現像装置」ということがある。
第1、第2の搬送部材のそれぞれの代表的なものは、回転軸にスクリュー羽根(螺旋羽根)を形成したスクリュー搬送部材である。
【0006】
一方、使用される現像剤としては、代表的には、トナーを主体とする所謂一成分現像剤と、トナー及びキャリアを主体とする所謂二成分現像剤が知られている。
【0007】
2成分現像剤を用いる現像装置は、1成分現像剤を用いる現像装置に比べて長期にわたり画質を安定させることができる等の利点があり、広く利用されている。
【0008】
2成分現像剤は、トナーとキャリアを混合攪拌してトナーを帯電させて現像に供するものであるから、前記現像剤攪拌循環型現像装置は現像剤として2成分現像剤を用いる場合に適している。2成分現像剤を使用する現像装置には現像剤攪拌循環型現像装置が用いられることが多い。
【0009】
いずれにしても、現像剤攪拌循環型現像装置では、前記両現像剤搬送方向切り換わり域のうち少なくとも一方側においては、現像剤循環域の外側へ延在した前記各搬送部材の回転軸部分が軸受け部で支持されるだけでなく、該軸受け部へ現像剤が入り込んで軸受け機能が発揮されなくなる(所謂、軸受けロックが発生する)ことを抑制するために軸受け部に対して現像剤シール手段が設られることがある。
【0010】
例えば、特開平4−69691号公報には、磁性粉を含む現像剤を用いる現像装置において、現像剤搬送部材の回転軸の軸受け部より内側で該回転軸周囲に該磁性粉からなる磁気シールを形成することが記載されている。
【0011】
シール手段としては、このような磁気シールのほか、例えばポリテトラフルオロエチレン等の弾性フッ素系樹脂等からなり、搬送部材回転軸を囲繞する現像剤シール部材が採用されることもある。
【0012】
ところで、現像装置は長時間連続運転すると使用現像剤が昇温する。これは、現像装置部品と現像剤との相互接触による摩擦発熱や現像剤同士の摩擦による発熱、さらには、現像剤搬送部材の回転軸とその軸受け部との間の摩擦による発熱、該回転軸とこれを囲繞していることがある現像剤シール部材との相互摺動による摩擦発熱等によるものである。
【0013】
前記の現像剤攪拌循環型現像装置において、現像剤循環域の外側へ延在した前記搬送部材の回転軸部分が軸受け部で支持されるだけでなく現像剤シール部材で囲繞されている場合、該軸受け部及び現像剤シール部材での摩擦発熱は無視できず、特に、高速画像形成のために高速運転が要求される現像装置では、該軸受け部及び現像剤シール部材での摩擦発熱は大きく、無視できない。
【0014】
このような軸受け部や現像剤シール部材の発熱、高温化は現像剤を高温にし、現像剤劣化や現像剤の凝集物の発生等を招き、形成する画像の品質を低下させることがあり、また、現像剤搬送部材の回転軸とその軸受け部との間や該回転軸とこれを囲繞する現像剤シール部材との間、特に該回転軸と現像剤シール部材との間で現像剤(特にトナー)が熱のために溶融固着し、現像剤搬送部材の回転が困難になることさえある。
【0015】
現像剤凝集物発生による画像品質の低下についてさらに説明すると、静電潜像へトナーを付与するための現像剤担持体へ供給される現像剤は、現像剤担持体に臨む現像剤規制部材の下を通過することで現像剤量が所定量に規制されるのであるが、現像剤凝集物が発生すると、これが現像剤規制部材で止められ、そこより先の現像剤担持体表面に筋状に現像剤不足部分が生じ、これが筋状の画像不良を発生させるのである。
【0016】
このため、これまで、現像剤の高温化を抑制すべく、軸受け部や現像剤シール部材の高温化抑制対策が提案されてきた。
【0017】
例えば、特開2003−57927号公報には、現像剤攪拌循環型現像装置において、現像剤搬送部材の現像剤送出側端部の回転軸部分を支持する軸受け部とそれより現像剤循環域の側に設けられた現像剤シール部材(磁石)との間の空間を通気口を介して外部へ連通させ、該空間を通気冷却できるようにすることで、該軸受け部や現像剤シール部材での発熱高温化を抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平4−69691号公報
【特許文献2】特開2003−57927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、特開2003−57927号公報に記載されているように軸受け部と現像剤シール部材との間の空間を通気口を介して外部へ連通させる場合、該空間を軸受け部や現像剤シール部材の冷却効果を得るほどの大きさのもとすると、それだけ現像装置の大型化を招くことになる。また、該空間を通気冷却するために通気ダクトを設けると、画像形成装置の構成がそれだけ複雑化する。そのようなダクトを設けずに該空間の通気冷却を行うために現像装置の画像形成装置内での配置を工夫すると、現像装置の配置位置に制約がでてきて、現像装置自身や画像形成装置の製作がそれだけ難しくなる。ひいては、これらのために画像形成装置価格が高騰してしまう。
【0020】
そこで本発明は、現像剤攪拌循環型現像装置であり、両現像剤搬送方向切り換わり域のうち少なくとも一方側においては、現像剤循環域の外側へ延在した各搬送部材の回転軸部分が軸受け部で支持されているとともに該軸受け部より現像剤循環域側で現像剤シール部材で囲繞されている現像装置であって、該両現像剤搬送方向切り換わり域のうち少なくとも一方側における前記各搬送部材の回転軸部分を支持する軸受け部及び該回転軸部分を囲繞する現像剤シール部材の昇温を、実用上問題にすべきほどの現像装置製作コスト高騰を招くことなく抑制できるとともに、軸受け部や現像剤シール部材と回転軸との間に現像剤が固着して現像剤搬送部材の回転不良が生じてしまうことを抑制できる現像装置を提供することを課題とする。
【0021】
ここで、「現像剤攪拌循環型現像装置」とは、既述のように、 電子写真方式の画像形成装置において静電潜像担持体に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置であり、
前記静電潜像にトナーを付与するための現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に臨設され、回転駆動されることで回転軸方向に現像剤を搬送する第1搬送部材と、
回転駆動されることで回転軸方向に、且つ、前記第1搬送部材とは反対方向に、現像剤を搬送する第2搬送部材とを含んでおり、
前記第2搬送部材の現像剤の送出側端部から前記第1搬送部材の現像剤の送入側端部へ至る現像剤搬送方向切り換わり域及び前記第1搬送部材の現像剤の送出側端部から前記第2搬送部材の現像剤の送入側端部へ至る現像剤搬送方向切り換わり域での現像剤搬送方向切り換わりを許しつつ該第1及び第2の搬送部材で現像剤を攪拌循環させて該第1搬送部材から前記現像剤担持体へ現像剤を供給できる現像装置である。
【0022】
また本発明は、静電潜像担持体に目的とする画像に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成する画像形成装置であって、少なくとも一つの現像装置においては現像剤の高温化や現像剤の固着による現像剤搬送部材の回転不良の発生が抑制される状態で、それだけ良好な画像を形成できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は前記課題を解決するため、次の現像装置及び画像形成装置を提供する。
(1)現像装置
電子写真方式の画像形成装置において静電潜像担持体に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置であり、
前記静電潜像にトナーを付与するための現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に臨設され、回転駆動されることで回転軸方向に現像剤を搬送する第1搬送部材と、
回転駆動されることで回転軸方向に、且つ、前記第1搬送部材とは反対方向に、現像剤を搬送する第2搬送部材とを含んでおり、
前記第2搬送部材の現像剤の送出側端部から前記第1搬送部材の現像剤の送入側端部へ至る現像剤搬送方向切り換わり域及び前記第1搬送部材の現像剤の送出側端部から前記第2搬送部材の現像剤の送入側端部へ至る現像剤搬送方向切り換わり域での現像剤搬送方向切り換わりを許しつつ該第1及び第2の搬送部材で現像剤を攪拌循環させて該第1搬送部材から前記現像剤担持体へ現像剤を供給できる現像装置であって、
前記両現像剤搬送方向切り換わり域のうち少なくとも一方側においては、現像剤循環域の外側へ延在した前記各搬送部材の回転軸部分が軸受け部で支持されているとともに該軸受け部より現像剤循環域側で現像剤シール部材で囲繞されており、且つ、該現像剤シール部材に臨むエリアのうち搬送部材送入側端部の回転軸部分の現像剤シール部材に臨む第1域と搬送部材送出側端部の回転軸部分の現像剤シール部材に臨む第2域とに、前記現像剤循環域で循環する現像剤の一部を導いて該第1域及び第2域の現像剤を入れ換え循環させる副循環装置を備えている現像装置。
【0024】
(2)画像形成装置
静電潜像担持体に目的とする画像に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成する画像形成装置であり、少なくとも一つの現像装置が本発明に係る現像装置である画像形成装置。
【0025】
本発明に係る現像装置によると、前記両現像剤搬送方向切り換わり域のうち少なくとも一方側では、各搬送部材の回転軸が軸受け部で支持されているとともに現像剤シール部材で囲繞されているのであるが、搬送部材送入側端部の回転軸部分の現像剤シール部材に臨む第1域と搬送部材送出側端部の回転軸部分の現像剤シール部材に臨む第2域とに、現像剤の一部を導いて該第1域及び第2域の現像剤を入れ換え循環させる副循環装置を設けてある。
【0026】
従って、両現像剤搬送方向切り換わり域の少なくとも一方側では、該副循環装置により現像剤シール部材に臨む第1域と第2域に現像剤の入れ換え循環の流れがあり、この現像剤流れが現像剤シール部材や軸受け部での搬送部材回転軸との摩擦熱を奪い、これらの昇温を抑制するので、それだけ現像剤の昇温も抑制されて現像剤の劣化や現像剤の凝集が抑制され、ひいてはそれだけ良好な現像画像を形成できる。
【0027】
また、現像剤シール部材や軸受け部での搬送部材回転軸との摩擦発熱による昇温が抑制されるので、現像剤シール部材や軸受け部での現像剤の溶融固着による現像剤搬送部材の回転不良発生が抑制される。さらに、該シール部材、軸受け部及びそれらに接触する搬送部材回転軸部分の熱による変形や摩耗促進も抑制される。
【0028】
しかも、このような利点をもたらす副循環装置は、特開2003−57927号公報に記載されているように軸受け部と現像剤シール部材との間の空間を通気口を介して外部へ連通させる場合と比べると、該空間を設けるために現像装置の大型化を招いたり、該空間の通気冷却のために通気ダクトが必要になるか或いは現像装置の配置が制約される、というようなこともなく、実用上問題視すべきコスト上昇を伴うことなく比較的安価に設けることができる。
【0029】
本発明に係る画像形成装置では、少なくとも一つの現像装置に本発明に係る現像装置を採用しているから、少なくとも一つの現像装置においては現像剤の高温化や現像剤の固着による現像剤搬送部材の回転不良発生が抑制され、それだけ全体として良好な画像を形成できる。
【0030】
前記副循環装置としては、前記の搬送部材送出側端部から搬送部材送入側端部へ移動する現像剤の一部を前記第1域から第2域へ移動させつつ該第1域及び第2域に現像剤循環域とは逆方向に循環させる装置を例示できる。
【0031】
このような副循環装置のさらに具体例として、
前記第1域及び第2域間を連通させる連通路と、
前記搬送部材送入側端部の回転軸部分に設けられた第1副搬送部材と、
前記搬送部材送出側端部の回転軸部分に設けられた第2副搬送部材とを含んでおり、
該第1副搬送部材が該搬送部材送出側端部から該搬送部材送入側端部へ移動してくる現像剤の一部を前記第1域の方へ搬送し、該第2副搬送部材が該第1域及び前記連通路からの現像剤を該搬送部材送出側端部から該搬送部材送入側端部へ向かう現像剤流れへ戻すようにして現像剤を入れ換え循環させるものを挙げることができる。
【0032】
また、いずれにしても、軸受け部や現像剤シール部材と現像剤搬送部材回転軸との摩擦熱を奪い取りやすくするために、前記副循環装置は、前記第1域及び第2域を移動する現像剤を該第1域及び第2域に臨む現像剤シール部材に接触させつつ移動させるものとしてもよい。
【0033】
また、前記第2副搬送部材は、前記搬送部材送出側端部へ搬送されてきて、さらに第2域へ進入しようとする現像剤の圧力を反対方向からの現像剤搬送で弱めるように前記連通路からの現像剤を戻し搬送するものとすることができる。
【0034】
本発明に係る現像装置は、前記両現像剤搬送方向切り換わり域のそれぞれの側において、現像剤循環域の外側へ延在した各搬送部材の回転軸部分が軸受け部で支持されているとともに該軸受け部より現像剤循環域側で現像剤シール部材で囲繞されていてもよく、前記副循環装置も該両現像剤搬送方向切り替わり域のそれぞれの側に設けられていてもよいが、該両現像剤搬送方向切り換わり域のうち一方側においてだけ各搬送部材の回転軸部分が軸受け部で支持されているとともに現像剤シール部材で囲繞されており、且つ、副循環装置が設けられているだけでもよい。
【0035】
しかし、現像剤攪拌循環型現像装置では、現像剤が第1搬送部材による搬送途中で第1搬送部材から現像剤担持体へ供給される一方、補給トナーの補給は、通常、現像剤担持体に臨んでいない第2搬送部材が配置されたエリアへ行われる。何故なら、補給トナー(新トナー)を含む現像剤がよく攪拌されてから現像に供されることが好ましいからである。
【0036】
この場合、第1搬送部材の現像剤送出側端部から第2搬送部材の現像剤送入側端部へ至る現像剤搬送方向切り換わり域より、第2搬送部材の現像剤送出側端部から第1搬送部材の現像剤送入側端部へ至る現像剤搬送方向切り換わり域における方が現像剤量がより多くなりやすく、現像剤シール部材や軸受け部と搬送部材回転軸との間に現像剤が噛み込まれやすい。
【0037】
また、第1搬送部材が上側に、第2搬送部材が下側に配置される所謂縦型現像装置などのように、第2搬送部材の現像剤送出側端部が第1搬送部材の現像剤送入側端部の下方に配置される場合には、これら搬送部材端部が配置されている現像剤搬送方向切り換わり域では、現像剤が重力に逆らって下方から上方へ移動しなければならないので、このようなエリアでは現像剤に加わるストレスが大きく、特に、下側に位置する第2搬送部材の現像剤送出側端部に臨む現像剤シール部材や軸受け部に現像剤が入り込みやすい。
【0038】
そこで、前記両現像剤搬送方向切り換わり域のうち少なくとも前記第2搬送部材の現像剤送出側端部から前記第1搬送部材の現像剤送入側端部へ至る現像剤搬送方向切り換わり域の側において、前記各搬送部材の回転軸部分が前記軸受け部で支持されているとともに前記現像剤シール部材で囲繞されており、且つ、前記副循環装置が設けられているようにしてもよい。
【0039】
この場合、第2搬送部材の送出側端部は第1搬送部材の送入側端部の下方に配置されていてもよい。
【0040】
また、現像装置は補給トナーの補給が前記第2搬送部材へ行われるように形成されていてもよい。
【0041】
いずれにしても、前記現像剤はトナーを主体とする1成分現像剤でもよいが、本発明に係る現像装置構成により適するものとして、トナーとキャリアを主体とする2成分現像剤を例示できる。
【0042】
現像剤の昇温を一層抑制するために、前記現像剤中に熱伝動率が90〔W/m・K〕以上である粉体が添加されていてもよい。この粉体を添加した現像剤は、該粉体を添加していない現像剤よりも、軸受け部や現像剤シール部材と現像剤搬送部材の回転軸との間に発生する熱を奪いやすく、それだけ現像剤の昇温を一層抑制できる。
【0043】
この冷却用粉体は現像剤担持体へ供給されないように非磁性粉体であることが望ましい。
また、前記現像剤循環域で循環する現像剤を冷却する現像剤冷却部を設けてもよい。
【発明の効果】
【0044】
以上説明したように本発明によると、
現像剤攪拌循環型現像装置であり、両現像剤搬送方向切り換わり域のうち少なくとも一方側においては、現像剤循環域の外側へ延在した前記各搬送部材の回転軸部分が軸受け部で支持されているとともに該軸受け部より現像剤循環域側で現像剤シール部材で囲繞されている現像装置であって、該両現像剤搬送方向切り換わり域のうち少なくとも一方側における前記各搬送部材の回転軸部分を支持する軸受け部及び該回転軸部分を囲繞する現像剤シール部材の昇温を、実用上問題にすべきほどの現像装置製作コスト高騰を招くことなく抑制できるとともに、軸受け部や現像剤シール部材と回転軸との間に現像剤が固着して現像剤搬送部材の回転不良が生じてしまうことを抑制できる現像装置を提供することができる。
【0045】
また本発明によると、静電潜像担持体に目的とする画像に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成する画像形成装置であって、少なくとも一つの現像装置においては現像剤の高温化や現像剤の固着による現像剤搬送部材の回転不良の発生が抑制される状態で、それだけ良好な画像を形成できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る画像形成装置の1例の構成の概略を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置における現像装置の断面構造の概略を示す図である。
【図3】図1の画像形成装置における現像装置を図2において左側から見て、現像装置ハウジングの一部を除去した状態で、概略的に示す図である。
【図4】現像装置の現像剤搬送部材駆動側のハウジング内部構造を拡大して概略的に示す図である。
【図5】現像装置の現像剤搬送部材駆動側のハウジング内部における現像剤の粉圧状態を示す図である。
【図6】現像装置の現像剤搬送部材駆動側の軸受け部及び現像剤シール部材のある部分の内側(現像剤循環域の側)の温度上昇を、該内側域に対して現像剤副循環装置を設けた場合と設けない場合のそれぞれで調べて比較した結果を示す図である。
【図7】現像装置の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の例及びそこで用いられている現像装置について説明する。
図1は画像形成装置の1例PRの構成の概略を示している。画像形成装置PRはタンデム型のフルカラープリンタである。
【0048】
このプリンタPRは、駆動ローラ81とこれに対向するローラ82に巻き掛けられた無端の中間転写ベルト8を有している。転写ベルト8は、図示省略のベルト駆動部により駆動される駆動ローラ81により図中反時計方向(図中矢印方向)CCWに回される。
【0049】
ローラ82には転写ベルト8上の2次転写残トナー等を清掃するクリーニング装置83が臨んでおり、駆動ローラ81には2次転写ローラ9が臨んでいる。クリーニング装置83に回収されるトナー等は図示省略の搬送手段にて廃棄容器へ送られる。
【0050】
2次転写ローラ9の表層部は弾性材料で形成されており、図示省略の押圧手段にて駆動ローラ81に支持された中間転写ベルト8の部分に押圧され、中間転写ベルト8との間にニップ部を形成し、中間転写ベルト8の回転に従動して、或いは、後述するように該ニップ部に送り込まれる記録媒体Sの移動に従動して回転することができる。2次転写ローラ9には、図示省略の電源から2次転写バイアスを印加することができる。
【0051】
中間転写ベルト8及び2次転写ローラ9の上方には定着装置FXが配置されており、下方にはタイミングローラ対TRが配置されており、さらにその下方に、記録紙等の記録媒体Sを収容した記録媒体収容カセット10が配置されている。
【0052】
定着装置FXはハロゲンランプヒータ等の熱源を内蔵した定着加熱ローラとこれに圧接される加圧ローラとを含むものである。
記録媒体収容カセット10に収容された記録媒体Sは、媒体供給ローラ101にて1枚ずつ引き出してタイミングローラ対TRへ供給することができる。
【0053】
中間転写ベルト8を巻き掛けたローラ81、82の間には、転写ベルト8に沿って、ローラ82からローラ81に向けて、イエロー画像形成部Y、マゼンタ画像形成部M、シアン画像形成部C及びブラック画像形成部Kがこの順序で配置されている。
【0054】
Y、M、C、Kの各画像形成部は、静電潜像担持体としてドラム型の感光体1を備えており、該感光体の周囲に帯電器2、露光装置3、現像装置4及びクリーニング装置5がこの順序で配置されている。
【0055】
各画像形成部の感光体1にはベルト8を間にして1次転写ローラ6が対向配置されている。1次転写ローラ6は、図示省略の押圧手段にて感光体1の方向へ押圧され、ベルト8に接触して従動回転するとともにベルト8を感光体1に接触させることができる。
【0056】
1次転写ローラ6には、感光体1上に形成されるトナー像をベルト8へ1次転写するための1次転写バイアスを図示省略の電源から印加できる。
【0057】
露光装置3は、図示省略のパーソナルコンピュータ、画像読取装置等から提供される画像情報に応じて、レーザービームの点滅により感光体1にドット(点)露光で画像露光を施せるものである。
【0058】
各画像形成部における感光体1は、ここでは負帯電性の感光体であり、図示省略の感光体駆動モータにて図中時計方向回りに回転駆動できる。
【0059】
各画像形成部における帯電器2は、本例ではスコロトロン帯電器であり、所定のタイミングで図示省略の電源から帯電用の電圧が印加される。なお、帯電器2は帯電ローラを用いるもの等であってもよい。
【0060】
各画像形成部における現像装置4は、磁性キャリアと負帯電性の非磁性トナーを主成分とする所謂2成分現像剤を用いて、感光体1上に形成される静電潜像を、図示省略の電源から現像バイアスが印加されるローラ形態の現像剤担持体(換言すれば、現像スリーブ或いは現像ローラ)41で反転現像することができる。現像装置4については後ほどさらに説明する。
【0061】
このプリンタによると、Y、M、C、Kの画像形成部のうち1又は2以上を用いて画像を形成することができる。
画像形成部Y、M、C及びKのすべてを用いてフルカラー画像を形成する場合を例にとると、先ず、イエロー画像形成部Yにおいてイエロートナー像を形成し、これを転写ベルト8に1次転写する。
【0062】
すなわち、イエロー画像形成部Yにおいて、感光体1が図中時計方向に回転駆動され、帯電器2にて表面が一様に所定電位に帯電され、該帯電域に露光装置3からイエロー画像用の画像露光が施され、感光体1上にイエロー用静電潜像が形成される。この静電潜像はイエロートナーを有する現像装置4の現像バイアスが印加された現像ローラ41にて現像されて可視イエロートナー像となる。該イエロートナー像は1次転写ローラ6にて転写ベルト8上に1次転写される。このとき、1次転写ローラ6には図示省略の電源から1次転写バイアスが印加される。
【0063】
同様にして、マゼンタ画像形成部Mにおいてマゼンタトナー像が形成されて転写ベルト8に転写され、シアン画像形成部Cにおいてシアントナー像が形成されて転写ベルト8に転写され、ブラック画像形成部Kにおいてブラックトナー像が形成されて転写ベルト8に転写される。
【0064】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像はこれらが中間転写ベルト8上に重ねて転写されるタイミングで形成される。
かくして転写ベルト8上に形成された多重トナー像は転写ベルト8の回動により2次転写ローラ9へ向け移動する。
【0065】
一方、記録媒体Sが記録媒体収容カセット10から媒体供給ローラ101にて引き出され、タイミングローラ対TRへ供給され、待機している。
【0066】
このようにタイミングローラ対TRのところで待機する記録媒体Sは、中間転写ベルト8にて送られてくる多重トナー像に合わせて、転写ベルト8と2次転写ローラ9とのニップ部に供給される。該多重トナー像は図示省略の電源から2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ9にて記録媒体S上に2次転写される。
【0067】
その後記録媒体Sは定着装置FXに通され、そこで多重トナー像が加熱加圧下に記録媒体Sに定着される。記録媒体Sはひき続き、排出ローラ対DRにて排出トレイDTに排出される。
【0068】
トナー像のベルト8への1次転写において感光体1上に残留する転写残トナー等はクリーニング装置5で清掃され、2次転写によりベルト8上に残留する2次転写残トナー等はクリーニング装置83で清掃される。これら清掃除去されたトナーはそれぞれ図示省略の搬送手段にて廃棄容器へ送られる。
【0069】
以上説明したように画像形成されるのであるが、2成分現像剤を用いる現像装置4についてさらに説明する。現像装置4は図2〜図4に示すもので、本発明に係る現像装置の1例である。
【0070】
図2は現像装置4の断面構造の概略を示している。図3は現像装置4を図2において左側から見て、現像装置ハウジング40の一部を除去した状態で、概略的に示している。図4は現像装置4の現像剤搬送部材駆動側のハウジング内部構造の概略を拡大して示している。
【0071】
現像装置4は、現像剤担持体41とその内部に固定配置された磁石体42を有している。現像剤担持体41は、ここでは非磁性材料で形成された断面円形の中空ローラ形態のスリーブであり、磁石体42に外嵌され、図示を省略した左右の軸受け部を介して磁石体42に回転自在に支持されているとともに、左側、右側のうち片方側から図示省略の駆動手段にて図2中時計方向CWに回転駆動可能となっている。磁石体42はここでは概ねローラ形態に形成されている。
【0072】
現像装置4は、さらに現像スリーブ41へ現像剤を攪拌しつつ供給する第1搬送部材43及び第2搬送部材44を含んでいる。第1搬送部材43はここでは回転軸431にスクリュー羽根(螺旋羽根)432を周設したスクリュー搬送部材であり、第2搬送部材44も回転軸441にスクリュー羽根(螺旋羽根)442を周設したスクリュー搬送部材である。
【0073】
現像スリーブ41、搬送部材43、44はいずれも現像装置ハウジング40に収められ、該ハウジングに回転可能に支持されている。現像スリーブ41は、現像装置4が画像形成装置PRに設置されると感光体1に臨むように、一部がハウジング40の外側へ出ている。搬送部材43、44は現像装置ハウジング40内に収容されている。
【0074】
第1搬送部材43は現像スリーブ41に臨んで、現像スリーブと平行に配置されており、第2搬送部材44は隔壁45を間にして第1搬送部材43と平行に、搬送部材43の下方に配置されている。
図3に示すように、隔壁45の左隣には現像剤流通路h1が、右隣には現像剤流通路h2が形成されている。
【0075】
第1搬送部材43の回転軸431の一端部(図3において左側の端部)は、図3及び図4に示すように、現像装置ハウジング40に設けられた軸受け部43aに回転可能に支持されてハウジング外まで突出している。軸受け部の43aの内側(現像剤循環領域側)では現像シール部材43sが回転軸431に摺動可能に接触して該軸を囲繞している。回転軸431の他端部(図3において右側の端部)は、図3に示すように、ハウジング40の一部を兼ねる反対側の軸受け部43bに回転可能に支持されている。
【0076】
第2搬送部材44の回転軸441の一端部(図3において左側の端部)も、図3及び図4に示すように、現像装置ハウジング40に設けられた軸受け部44aに回転可能に支持され支持されてハウジング外まで突出している。軸受け部の44aの内側(現像剤循環領域側)では現像シール部材44sが回転軸441に摺動可能に接触して該軸を囲繞している。回転軸441の他端部(図3において右側の端部)は、図3に示すように、ハウジング40の一部を兼ねる反対側の軸受け部44bに回転可能に支持されている。
【0077】
回転軸431のハウジング外へ突出した部分にはギアg1が、回転軸441のハウジング外へ突出した部分にはギアg2がそれぞれ設けられており、これらギアg1、g2は互いにかみ合っている。現像装置4では、ギアg1、g2が設けられた側が搬送部材駆動側となっている。ギアg2が図示省略の駆動装置により回転駆動されることで、ギアg1も反対方向に駆動される。
【0078】
図3に現像剤循環方向を矢印で示すように、第1、第2の搬送部材43、44が回転駆動されることで、ハウジング40内の現像剤は、第1搬送部材43にて、図3において左側の現像剤送入側端部(現像剤送り込み側端部)から右側の現像剤送出側端部(現像剤送り出し側端部)へ搬送され、該現像剤送出側端部から前記現像剤流通路h2を通って第2搬送部材44の現像剤送入側端部へ重力に助けられつつ落下し、さらに該第2搬送部材44にてその現像剤送出側端部へ向け搬送され、該送出側端部から前記現像剤流通路h1を通って第1搬送部材43の現像剤送入側端部へ上昇移動する。このようにして第1、第2の搬送部材43、44、隔壁45、現像剤流通路h1、h2及びそれらの周囲のハウジング部分により形成される現像剤循環域Aにおいて攪拌循環されつつ、第1搬送部材43から現像スリーブ41へ供給される。
【0079】
図3において現像装置4の右側端部にある第1搬送部材43の現像剤送出側端部及び第2搬送部材44の現像剤送入側端部では、搬送部材回転軸431、441の軸受け部43b、44bの近くまでスクリュー羽根432、442が延びており、図3において点線が囲った範囲Aが概ね現像剤循環域である。
【0080】
現像スリーブ41は内部の磁石体42の作用で現像剤の穂(現像剤からなる磁気ブラシ)を周面に保持して感光体1に臨む現像域へ向け搬送し、その途中で現像剤規制部材400にて現像剤量が規制されて静電潜像の現像に供される。現像に供された現像剤のうち消費されなかったものは現像スリーブ41の回転に伴って第1搬送部材43へ戻される。
【0081】
図1では図示を省略しているが図2に破線で示すトナー補給装置Tから下側の第2搬送部材44へトナー補給できるようになっている。
【0082】
現像装置4について注目すべきは、第2搬送部材44の現像剤送出側端部から第1搬送部材43の現像剤送入側端部へ至る現像剤搬送方向切り換わり域A1側では、現像剤シール部材43s、44sに臨むエリアのうち現像剤シール部材43sに臨む第1域A21と現像剤シール部材44sに臨む第2域A22とに、現像剤循環域Aで循環する現像剤の一部を導いて該第1域及び第2域の現像剤を入れ換え循環させる副循環装置46が設けられている点である。
【0083】
副循環装置46は、ここでは、
第1域A21及び第2域A22間を連通させるように現像装置ハウジング40の一部に形成された連通路461と、
搬送部材43の送入側端部の回転軸431の部分に設けられた第1副搬送部材462と、
搬送部材44の送出側端部の回転軸441の部分に設けられた第2副搬送部材463とを含むものである。
【0084】
副搬送部材462、463は、ここではいずれも回転軸431、441に周設されたスクリュー羽根であり、該各スクリュー羽根は、それとは限定さないが、例えばシール部材43s(44s)及び現像装置ハウジング40の内壁面のそれぞれに対して、0.5mmのクリアランスをおいて設ける場合を挙げることができる。
この第1副搬送部材462は 搬送部材44の送出側端部から搬送部材43送入側端部へ上昇移動してくる現像剤の一部を第1域A21の方へ搬送する。第2副搬送部材463は、第1域A21及び連通路461からの現像剤を、搬送部材44の送出側端部から搬送部材43の送入側端部へ向かう現像剤上昇流れへ戻す。
【0085】
また、第1域A21から連通路461を通って第2域A22へ向かう現像剤は該第1域及び第2域に臨む現像剤シール部材43s、44sに接触しつつ移動する。
【0086】
このときの現像剤搬送に伴う粉圧の方向と大きさについては、図5に矢印の方向と太さで簡略に示してある。第2搬送部材44によりその現像剤送出側端部へ搬送されてくる現像剤の粉圧(1) が高く、これに比べると、現像スリーブ43sに臨む第1域A21へ向かう第1副搬送部材462等による現像剤粉圧(3) は低い。従って、副搬送部材462により現像剤が第1域A21内へ供給されても、現像スリーブ43s、ひいてはその外側の軸受け部43aへの現像剤進入は抑制されている。換言すれば、副搬送部材462は、現像スリーブ43s、ひいてはその外側の軸受け部43aへの現像剤進入が抑制されるように、現像剤搬送を行うものである。
【0087】
また、前記のとおり、第2搬送部材44によりその現像剤送出側端部へ搬送されてくる現像剤の粉圧(1) に比べると、粉圧(1) に対向する第2副搬送部材463による現像剤粉圧(2) は低く、従って、副搬送部材463による現像剤粉圧(2) が現像剤循環を妨げることはなく、それでいて、第2域A22奥へ向かおうとする粉圧(1) の一部を相殺して現像スリーブ44s、ひいてはその外側の軸受け部44aへの現像剤進入を抑制することができるとともに、第2域A22からの現像剤排出を円滑化することができる。換言すれば、副搬送部材463は、そのように現像剤搬送を行うものである。
【0088】
かくして副循環装置46は、駆動側の現像剤搬送方向切り換わり域A1の側で、現像剤シール部材43sに臨む第1域A21と現像剤シール部材44sに臨む第2域A22とに、現像剤の一部を導いて該第1域及び第2域に、現像剤循環域Aとは逆方向に入れ換え循環させることができる。
【0089】
この現像剤入れ換え循環流により、現像剤シール部材43sや軸受け部43aの熱及び現像剤シール部材44sや軸受け部44aの熱を奪って該シール部材や軸受け部の昇温を抑制でき、ひいては、現像剤の昇温を抑制して現像剤の劣化や現像剤の凝集を抑制でき、それだけ良好な現像画像を形成できる。
【0090】
また、シール部材43s、44sや軸受け部43a、44aでの回転軸431、441との摩擦発熱による昇温が抑制されるので、シール部材43s、44sや軸受け部43a、44aでの現像剤の溶融固着による搬送部材43、44の回転不良の発生が抑制される。さらに、該シール部材、軸受け部及びそれらに接触する搬送部材回転軸部分の熱による変形や摩耗促進も抑制される。
【0091】
しかも、このような利点をもたらす副循環装置46は、実用上問題視すべきコスト上昇を伴うことなく比較的安価に設けることができる。
【0092】
画像形成装置PRでは、現像装置としてこのような現像装置4を採用しているから、各現像装置においては現像剤の高温化が抑制され、それだけ画像形成装置全体として良好な画像を形成できる。
【0093】
なお、画像形成装置PRは複数の現像装置のうち少なくとも一つを現像装置4とするだけでも、該現像装置4においては現像剤の高温化が抑制されるので、それだけ画像形成装置全体として、現像剤昇温による画像品質の低下を抑制できる。
【0094】
以上説明した現像装置4にガラス転移点温度が47℃程度であるトナーをキャリアに対して重量比で概ね1:9(トナー1:キャリア9)の割合で混合した2成分現像剤を収容して、周囲環境温度30℃程度で 略1時間連続駆動したときのシール部材43s、44sの内側域A21、A22の温度上昇、並びに、副循環装置46を備えていない点を除けば同じ構成である現像装置についても同じ条件で連続駆動したときのシール部材43s、44sの内側域A21、A22の温度上昇を図6に示す。
【0095】
図6から、本発明に係る現像装置のように副循環装置を設けてシール部材内側のエリアに現像剤を入れ換え循環することで、現像剤の昇温を抑えることができ、ひいては、それだけ良好な画像を形成できることが分かる。
【0096】
ところで、現像装置4では、現像剤中のキャリアが、主としてシール部材43s、44s等の熱を奪う冷媒として働くのであるが、一般的な磁性キャリアの主たる材質は鉄であり、その熱伝導率は84〔W/m・K〕程度であるから、現像剤の昇温を一層確実に抑制するために、現像剤中に熱伝導率が90〔W/m・K〕以上である粉体を添加してもよい。
【0097】
かかる粉体としては、例えば酸化アルミニウムや窒化アルミニウム(熱伝導率150〜200W/m・K)の粉体を例示できる。さらにはカーボンナノチューブ(熱伝導率3000〜5500W/m・K)の粉体も例示できる。
カーボンナノチューブについては適当な母材に添加して用いる場合を例示できる。
【0098】
酸化アルミニウムの粉体のように非磁性の粉体であれば、現像剤に混ぜても固定磁石体42により現像スリーブ41上に供給されることはないため、画質には実質上影響ない。
【0099】
また、以上説明した現像装置4では、シール部材43s、44sだけに着目すると、該シール部材の温度を実用上支障のない現像剤温度近くに抑制しておくことが可能であるとしても、現像装置4全体として発熱量が多く、現像装置全体の温度、ひいては現像剤温度が高くなってしまう場合には、現像剤によるシール部材43s、44s等の冷却効果が得られない。
【0100】
そこで、現像剤循環域Aで循環する現像剤を冷却する現像剤冷却部を設けてもよい。
図7は本発明に係る現像装置の他の例を示している。この現像装置4Aは現像装置において第2搬送部材44が収められている現像剤流路に対して現像剤を冷却する冷却部48を設けたものである。その他の点は現像装置4と同構成であり、装置4と同じ部品、部分等には同じ符号を付してある。冷却部48としては、空冷方式のもの、水冷方式のもの等、各種のものを採用できる。
【0101】
以上説明した現像装置4、4Aでは、現像剤搬送部材の駆動側にだけ現像剤の副循環装置を設けたが、駆動側とは反対側にも同様の副循環装置を設けてもよい。現像装置4、4Aは第1搬送部材43の下方に第2搬送部材44が配置される構造のものであったが、本発明は、両搬送部材が同じ高さ或いは略同じ高さに配置される現像装置にも適用でき、その場合にも、駆動側及びその反対側の少なくとも一方の側に同様の副循環装置を設けることができる。
【0102】
図1を参照して説明した画像形成装置はタンデム型のフルカラープリンタPRであったが、本発明はモノクロ画像形成装置にも適用でき、また、他のタイプの多色画像形成装置等にも適用できる。また、現像装置を複数備えている画像形成装置では、該複数の現像装置の全数より少ない数の現像装置に本発明が適用されているだけでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、現像剤の昇温を抑制してそれだけ良好な画像を形成できる現像装置及び該現像装置を搭載することでそれだけ良好に画像形成できる画像形成装置を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0104】
PR プリンタ
Y イエロー画像形成部
M マゼンタ画像形成部
C シアン画像形成部
K ブラック画像形成部
1 感光体
2 帯電装置 3 画像露光装置
4 現像装置
40 現像装置ハウジング
41 現像剤担持体(現像スリーブ)
42 固定磁石体
43 第1搬送部材
431 回転軸
432 スクリュー羽根
43a、43b 軸受け部
43s 現像剤シール部材
44 第2搬送部材
441 回転軸
442 スクリュー羽根
44a、44b 軸受け部
44s 現像剤シール部材
45 隔壁
h1、h2 現像剤流通開口
400 現像剤規制部材
A 現像剤循環域
A1 駆動側の現像剤搬送方向切り換わり域
A21 シール部材43sに臨む第1域
A22 シール部材44sに臨む第2域
46 副循環装置
461 連通路
462 第1副搬送部材(実施例ではスクリュー羽根)
463 第2副搬送部材(実施例ではスクリュー羽根)
48 冷却部
T トナー補給装置
A 現像剤循環域
5 クリーニング装置
6 1次転写ローラ
8 中間転写ベルト
81 駆動ローラ
82 対向ローラ
83 クリーニング装置
9 2次転写ローラ
10 記録媒体供給カセット
101 記録媒体供給ローラ
TR タイミングローラ対
FX 定着装置
DR 記録媒体排出ローラ対
DT 記録媒体排出トレイ
S 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式の画像形成装置において静電潜像担持体に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置であり、
前記静電潜像にトナーを付与するための現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に臨設され、回転駆動されることで回転軸方向に現像剤を搬送する第1搬送部材と、
回転駆動されることで回転軸方向に、且つ、前記第1搬送部材とは反対方向に、現像剤を搬送する第2搬送部材とを含んでおり、
前記第2搬送部材の現像剤の送出側端部から前記第1搬送部材の現像剤の送入側端部へ至る現像剤搬送方向切り換わり域及び前記第1搬送部材の現像剤の送出側端部から前記第2搬送部材の現像剤の送入側端部へ至る現像剤搬送方向切り換わり域での現像剤搬送方向切り換わりを許しつつ該第1及び第2の搬送部材で現像剤を攪拌循環させて該第1搬送部材から前記現像剤担持体へ現像剤を供給できる現像装置であって、
前記両現像剤搬送方向切り換わり域のうち少なくとも一方側においては、現像剤循環域の外側へ延在した前記各搬送部材の回転軸部分が軸受け部で支持されているとともに該軸受け部より現像剤循環域側で現像剤シール部材で囲繞されており、且つ、該現像剤シール部材に臨むエリアのうち搬送部材送入側端部の回転軸部分の現像剤シール部材に臨む第1域と搬送部材送出側端部の回転軸部分の現像剤シール部材に臨む第2域とに、前記現像剤循環域で循環する現像剤の一部を導いて該第1域及び第2域の現像剤を入れ換え循環させる副循環装置を備えていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記副循環装置は、前記搬送部材送出側端部から前記搬送部材送入側端部へ移動する現像剤の一部を前記第1域から第2域へ移動させつつ該第1域及び第2域に前記現像剤循環域とは逆方向に循環させる装置である請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記副循環装置は、
前記第1域及び第2域間を連通させる連通路と、
前記搬送部材送入側端部の回転軸部分に設けられた第1副搬送部材と、
前記搬送部材送出側端部の回転軸部分に設けられた第2副搬送部材とを含んでおり、
該第1副搬送部材が該搬送部材送出側端部から該搬送部材送入側端部へ移動してくる現像剤の一部を前記第1域の方へ搬送し、該第2副搬送部材が該第1域及び前記連通路からの現像剤を該搬送部材送出側端部から該搬送部材送入側端部へ向かう現像剤流れへ戻すようにして現像剤を入れ換え循環させる請求項2記載の現像装置。
【請求項4】
前記副循環装置により前記第1域及び第2域を移動する現像剤は該第1域及び第2域に臨む前記現像剤シール部材に接触しつつ移動する請求項1、2又は3記載の現像装置。
【請求項5】
前記第2副搬送部材は、前記搬送部材送出側端部へ搬送されてくる現像剤の圧力を該搬送部材送出側端部において反対方向からの現像剤搬送で弱めるように前記連通路からの現像剤を戻し搬送するものである請求項3又は4記載の現像装置。
【請求項6】
前記両現像剤搬送方向切り換わり域のうち少なくとも前記第2搬送部材の現像剤の送出側端部から前記第1搬送部材の現像剤の送入側端部へ至る現像剤搬送方向切り換わり域の側において、前記各搬送部材の回転軸部分が前記軸受け部で支持されているとともに前記現像剤シール部材で囲繞されており、且つ、前記副循環装置が設けられている請求項1から5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記第2搬送部材の現像剤送出側端部は前記第1搬送部材の現像剤送入側端部の下方に配置されている請求項6記載の現像装置。
【請求項8】
補給トナーの補給が前記第2搬送部材へ行われるように形成されている請求項6又は7記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像剤はトナーとキャリアを主体とする2成分現像剤である請求項1から8のいれかに記載の現像装置。
【請求項10】
前記現像剤中に熱伝動率が90〔W/m・K〕以上である粉体が添加されている請求項9記載の現像装置。
【請求項11】
前記現像剤循環域で循環する現像剤を冷却する現像剤冷却部を設けてある請求項1から10のいずれかに記載の現像装置。
【請求項12】
静電潜像担持体に目的とする画像に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成する画像形成装置であり、少なくとも一つの現像装置が請求項1から11のいずれかに記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−164875(P2010−164875A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8472(P2009−8472)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】