現像装置
【課題】順回転と逆回転の現像ロールを組み合わせた構成の現像装置において、現像ロールへの現像剤供給量を安定させ、高品質な画像が得られる画像記録装置を提供すること。
【解決手段】仕切り部材(3)が、第2現像ロール(2)から第1現像ロール(1)への像可視化剤の受け渡しを案内する上流側面と、第1現像ロール(1)、第2現像ロール(2)のそれぞれの極性反転位置(E1、E2)上に配置された規制部(J1、J2)と、第1現像ロール(1)の中心軸と第2現像ロール(2)の中心軸を結ぶ線分よりも前記第1(1)、第2現像ロール(2)移動方向下流側に突出する突出部(40)とを有することにより解決される。
【解決手段】仕切り部材(3)が、第2現像ロール(2)から第1現像ロール(1)への像可視化剤の受け渡しを案内する上流側面と、第1現像ロール(1)、第2現像ロール(2)のそれぞれの極性反転位置(E1、E2)上に配置された規制部(J1、J2)と、第1現像ロール(1)の中心軸と第2現像ロール(2)の中心軸を結ぶ線分よりも前記第1(1)、第2現像ロール(2)移動方向下流側に突出する突出部(40)とを有することにより解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子写真方式のプリンタ、複写機等の画像記録装置に関するものであり、特に磁性現像剤を用いる現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のプリンタ、複写機等の画像記録装置では、一方向に回転する感光体と呼ばれる像担持体上において、画像形成部を所定電位VR、非画像部を所定電位VOにして形成した静電潜像に、現像装置からトナーと呼ばれる像可視化剤を供給して、前記潜像を可視像とし、この可視像を記録紙上に印刷する。従来、この電子写真方式に適用される現像装置としては、トナーとキャリアと呼ばれる磁性粉体とからなる二成分現像剤を用いた現像装置が多用されている。通常この種の現像装置では、上記二成分現像剤を現像剤収容部で攪拌することにより、該現像剤中のトナーとキャリアが摩擦しあい、それぞれが所定の量に帯電する。該所定の帯電量となった現像剤は、前記現像剤収容部から複数個の磁石を内部に保有する現像ロールと呼ばれる現像体に導かれる。ここで現像剤は現像ロールの回転によって保持搬送され、該現像ロールの一部に設けたドクタブレードと呼ばれる仕切板を通過する。この際、該ドクタブレードは、各現像ロール上での現像剤搬送性を高めるために、ドクタブレードに対して、各現像ロールの回転方向の上流側にある磁極の極性と、該回転方向の下流側にある磁極の極性とが、逆極性となるように配置される。次に、該ドクタブレードによって所定量に規制された現像剤は、現像ロールの回転により前記感光体と接触する位置に搬送される。この時、現像ロールには、感光体上の画像形成部にトナーのみを導くバイアス電位(以下、現像バイアスと記述)VBが印加されており、感光体上の画像形成部に可視画像が形成される。
【0003】
更に詳述すると前記現像方式には、前記現像ロール上の現像剤と感光体との接触部(以下、現像部と記述)において、前記感光体の回転方向と同一方向(以下、順回転と記述)に現像ロールが回転して現像剤を搬送接触する構成、前記感光体の回転方向と逆方向(以下、逆回転と記述)に現像ロールが回転して現像剤を搬送接触する構成、および順回転、逆回転の現像ロールを組み合わせた構成がある。またこれらの構成においては、感光体の回転速度に対する現像ロールの回転速度の比(以下、周速比と記述)が1を越えるように設定されるのが一般的である。上記、二成分現像剤を用いた現像装置のうち、感光体の回転方向の上流側に逆回転、下流側に順回転の現像ロールが隣接して設置され、且つ、逆回転現像ロールと順回転現像ロールの間にドクタブレードを配置した構成の現像装置においては、特公平2−8308号に記載のように、前記ドクタブレードの近傍まで一塊となって搬送した現像剤を、ドクタブレードの先端部で分流し、隣接する2つの現像ロールに分割した後、両者の現像ロールとドクタブレードで形成される間隙(以降、ドクタギャップと記述)を通過させるようになっている。この方式では、前記両現像ロールの中心軸に対し、現像剤が流れる方向の下流側に前記ドクタブレードの先端部を配置し、両現像ロールによって拘束される狭い空間へ現像剤を充填して、現像剤のかさ密度を高めることによって、前記2つの現像ロールへ現像剤を分流する。しかしこの場合、前記ドクタギャップを通過せずに余剰となった現像剤が、両現像ロールの狭い空間に滞留するため、現像剤自体に大きなストレスがかかって寿命が低下する問題があった。この問題を回避するため、特開平7−160123号記載の技術では、前記両現像ロールの中心軸に対し、現像剤が流れる方向の上流側に前記ドクタブレードを配置し、広い空間で両現像ロールへの現像剤の分流を行う方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特公平2−8308号公報
【0005】
【特許文献2】特開平7−160123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ドクタブレードで像可視化剤が層規制される際の負荷によって、ドクタブレードの中央部が各現像ロールの回転方向の下流側に撓み、ドクタギャップ狭くなり、ドクタブレードの奥行き方向の中央部にあたる画像の濃度が、ドクタブレードの両端部にあたる画像の濃度より薄い結果となっていることがわかった。
【0007】
本発明の目的は、上記構成の現像装置において、現像ロールへの現像剤供給量を安定させ、高品質な画像が得られる画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、像担持体との対向部において像担持体の移動方向と逆方向へ移動し内部に複数の磁極を配置した第1現像ロールと、第1現像ロールに対し像担持体移動方向下流側に設けられ、像担持体との対向部において像担持体の移動方向と同方向へ移動し内部に複数の磁極を配置した第2現像ロールと、前記第1現像ロールと第2現像ロールの間に設けられ各現像ロールへの像可視化剤の供給量を規制する仕切り部材とを備えた画像記録装置において、前記仕切り部材は、前記第2現像ロールから第1現像ロールへの像可視化剤の受け渡しを案内する上流側面と、前記第1、第2現像ロールのそれぞれの極性反転位置上に配置された規制部と、前記第1現像ロールの中心軸と第2現像ロールの中心軸を結ぶ線分よりも前記第1、第2現像ロール移動方向下流側に突出する突出部とを有することによって達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明を用いれば、現像ロール間にドクタブレードを設置した構成の現像装置において、現像ロールへの現像剤供給量が安定し、高品質な画像が得られる画像記録装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明における第一の実施形態を主に図1および図2を用いて説明する。但し、図1は本発明の第一の実施形態である現像装置の一部を拡大した概略図、図2は現像装置全体の概略図である。
【0011】
本実施形態は2本の現像ロール1および2が感光体101と呼ばれる像担持体に対向して設置された現像装置104に関するものである。該2本の現像ロールのうち、現像ロール2は図2中の矢印Aで示した感光体101の回転に対して順回転し、感光体101の回転方向の下流に配置される。また現像ロール1は、該感光体101の回転に対して逆回転し、感光体101の回転方向の上流に配置される。尚、本実施形態では2本の現像ロールを持つ現像装置により説明するが、これは例えば、現像ロール1より感光体101の回転方向の上流側に複数本の現像ロールを有する構成、或いは現像ロール2より感光体101の回転方向の下流側に複数本の現像ロールを有する構成であっても構わない。更に、本実施形態では、像担持体としてドラム状の感光体を用いているが、これは例えば、特定の軌道上を周回する感光体ベルトのような構成であっても良い。
【0012】
また前記現像装置104においては、現像ロール1および現像ロール2の間にドクタブレード3と呼ばれる仕切り板が配置されている。該ドクタブレード3は、図1に示すように、現像ロール1上にある現像剤4aおよび現像ロール2上にある現像剤4bの通過量を所定値に規制するため、規制位置J1、J2部分で、現像ロール1、2との間隙長がそれぞれG1、G2となるように設定されている。尚、以降では、この間隙をドクタギャップと記述し、該間隙長G1、G2で表記する。また本実施形態では、該ドクタブレード3は前記現像剤4aおよび4bの通過量規制を一つのブレードで同時に行う一体成形された金属部材を採用している。
【0013】
図1または図2に示した本実施形態においては、現像剤4と呼ばれる像可視化剤は、キャリアと呼ばれる磁性粉体とトナーと呼ばれる前記感光体101上に可視像を形成する粉体とで構成され、全重量の2〜4%の重量比でトナーが混合されている。本実施形態では、前記現像剤4は、図示しない印刷装置の印刷動作によって、現像剤4中のトナーのみが消費されるため、現像装置104内にある現像剤中のトナーの重量比が減少する。このため、図2に示した本実施形態の現像装置104では、トナー貯留供給装置9から現像装置104の内部に供給されたトナー5を現像剤4と混合攪拌する混合攪拌部材7および8が設置されている。該混合攪拌部材7および8は螺旋状のスクリューとなっており、図中の矢印CおよびDの方向に回転することによって、混合攪拌部材7では図中の手前から奥側へ、混合攪拌部材8では奥側から手前へ現像剤4を攪拌搬送する。これによって奥側から手前における現像剤4のトナー重量比が均一となる。また現像剤4中のトナーはこの混合攪拌部材7および8で攪拌搬送されることによって、該現像剤4中のキャリアなどと摩擦しあい、所定の値に帯電する。このトナーの帯電量は本実施形態の場合、−10〜−30μc/gである。
【0014】
このようにして所定のトナー重量比および所定の帯電量に調整された現像剤4は、更に搬送部材6が矢印Bの方向に回転することによって、搬送部材6の上側を図中、右から左に搬送され、現像ロール2の近傍に導かれる。
【0015】
この時、現像ロール1および現像ロール2は、図1に示すように、N3極、S4極、N4極、S5極、N5極の順に着磁したマグネット20aおよび内部にS1極、N1極、S2極、N2極、S3極の順に着磁したマグネット20bが固定して設置されており、現像ロール1および現像ロール2の外周部に回転可能なスリーブ21aおよびスリーブ21bを具備している。このため現像ロール2の近傍にある現像剤4は、前記マグネット20bの磁極S1によって、スリーブ21bの表面に引きつけられ、スリーブ21bの回転に伴って、磁極S1から磁極N1を経て、ドクタブレード3の近傍まで搬送される。
【0016】
ここで現像剤4bは、ドクタブレード3の規制位置J2においてドクタギャップG2を通過することによって所定量に規制され、磁極S2を経て、磁極N2部に配置された現像ロール1の現像部へ導かれる。このときドクタブレード3での通過量規制によって余剰となった現像剤の一部或いは全部は、前記マグネット20aの磁極N3および磁極S4の磁力によってスリーブ21aの表面に引きつけられ、スリーブ21aの回転に伴ってドクタブレード3の規制位置J1においてドクタギャップG1を通過し、所定量に規制された後、磁極S4を経て磁極N4部に配置された現像ロール1の現像部へ導かれる。
【0017】
前記現像ロール1および現像ロール2の現像部では、感光体101の表面のうち画像形成部と非画像形成部が、図示しない帯電、露光の工程により現像部に到達する以前に、所定の電位に調整され、現像ロール1、2に図示しない電源によって、現像ロール1、2上の現像剤からトナーのみを感光体101の画像形成部分に供給する現像バイアスが印加されている。これにより感光体101上の画像形成部にトナーによる可視画像が形成される。
【0018】
その後、感光体101上の可視画像は図示しない転写工程により用紙に印刷された後、図示しない定着工程により用紙上に固着される。以上のような一連の印刷動作において、現像装置104が所定の現像性能を得るためには、現像ロール2で余剰となる現像剤を安定して現像ロール1に導くことが重要であり、この方法を、図3に示した現像ロールの磁極配置を説明する概念図、および、図4に示した現像ロールの磁極配置と、各現像ロール1、2においてドクタブレード3を通過した現像剤量との関係図を用いて説明する。
【0019】
ここで図3における磁極構成のうち、ドクタブレード3に対して、各現像ロール1、2の回転方向の上流にあるN1、N3極、該回転方向の下流にあるS2、S4極、更にN3極とS4極およびN1極とS2極の磁極極性が入れ替わる部分(以降、極性反転位置と記述)E1、E2は、前記現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線の中点に垂直に立てた線(以降、対称線と記述)Hに対して線対称の位置関係を取る。本配置は、各磁極N3とN1、S4とS2、およびE1とE2の位置が、現像ロール1および現像ロール2の間で完全な線対称ではなく、各現像ロールの回転方向の前後に若干ずれた配置となっても構わない。
【0020】
しかし、ドクタブレード3より現像ロール回転方向の下流にある極位置、即ち本実施形態では、S4およびS2極の位置付近において、現像ロール1および現像ロール2間の磁極の組合せがN極とS極で構成された場合、この部分で現像剤の授受が行われることから、現像ロール1、2に対する所定の適正現像剤量が得られなくなり、好ましくない。このため本実施形態のような現像ロール1、2の間にドクタブレード3を設置するような構成の場合、前述した対称線Hに対して線対称に近い構成をとる。このような磁極構成の場合、ドクタブレード3より上流にある磁極N3、N1間では、同一極性の磁力の影響で、現像ロール1、2間の現像剤授受が行われにくくなる。
【0021】
この授受を安定化させるために本発明では、前記極性反転位置E1、E2を有効に利用する。以下にこの方法を詳述する。即ち、搬送部材6によって現像ロール2の近傍に運ばれた現像剤は、まず現像ロール2のS1極に導かれたのち、N1極へ搬送される。次に現像剤は現像ロール2の回転に伴い、N1極からS2極へ搬送されるのであるが、その途中にある極性反転位置E2と現像ロール2の中心軸を結ぶ線分上では、N1極とS2極の磁力が相殺される。このとき、現像ロール1の極性反転位置E1が前述した対称線Hに対して線対称の位置に有るため、現像ロール1、2の極性反転位置E1、E2とそれぞれの現像ロール中心軸を通過する線分は、前記対称線H上で交差する。以降、これを反転位置交差部Fと記述する。
【0022】
図11はドクタブレード3付近の現像剤の状態を示した説明図である。現像ロール1、2の磁力によって拘束される現像剤は、図のように反転位置交差部Fより上流側では、それぞれの現像ロール1、2の磁力の反発によって現像剤は接触しない。一方、反転位置交差部Fでは、2つの現像ロールにある磁力が相殺されるために、反発力が最も弱く、現像剤が互いに接触するようになる。このとき現像ロール2によって搬送されてきた現像剤は、その搬送に伴う力が図中を右下から左上に向かう力が作用しているため、容易に現像ロール2の磁力による拘束圏を離れ、現像ロール1の磁力による拘束圏に導かれる。従って反転位置交差部Fがドクタブレード3よりも上流側にある場合、容易に現像ロール2から現像ロール1への現像剤受け渡しが行える。これに対し、反転位置交差部Fがドクタブレード3よりも下流側にある場合、2つの現像ロールによって拘束される現像剤が接触できず、現像ロール2から現像ロール1への現像剤受け渡しが行えないため、現像ロール1の現像剤量が不足する。
【0023】
図4は、各現像ロール1、2の極性反転位置E1、E2を、それぞれの現像ロール中心軸を中心に所定の角度ψだけ回転して設置した場合に、現像ロール1、2においてドクタブレード3を通過する現像剤の搬送量を実測した結果である。尚、角度ψは、反転位置交差部Fが、ドクタブレード3の上流側面上で交差するときの角度を0°とし、各現像ロールの回転方向を正とした。また現像ロール1、2のドクタギャップG1、G2は、同一の0.06cmとして測定した。その結果、設定角度ψが7.5°のとき、即ち、反転位置交差部Fがドクタブレード3より下流側にあるとき、現像ロール2では十分な現像剤の搬送量が得られているのに対し、現像ロール1では不足している。
【0024】
これに対し、設定角度ψが0°近傍から負になる配置、即ち、反転位置交差部Fがドクタブレード3の上流側面より上流側にあるとき、現像ロール1、2共に十分な現像剤の搬送量が得られている。これらの結果から、現像ロール2から現像ロール1への現像剤受け渡しを安定化するため、前記反転位置交差部Fが、ドクタブレード3より上流側となるように設定した。
【0025】
これに加え、ドクタブレード3を通過する現像剤の量は、ドクタブレード3における現像剤の規制位置J1、J2でも決まる。本実施形態の場合、現像ロール2でのドクタブレード3を通過する現像剤量は、前記反転位置交差部Fの位置によらず、前記規制位置J2のみで決まる。即ち現像ロール2では、図4の結果において、設定角度ψが約10°より大きくなると、搬送量が減少する。また図示はしないが、設定角度ψが−12.5°より小さい場合も同様に搬送量が減少する。
【0026】
本実施形態に用いたドクタブレード3の場合、ψが−2.5°において前記規制位置J1、J2が、現像ロール1、2の極性反転位置Eとそれぞれの現像ロール中心軸を通過する線分上に位置しており、その位置より±10°の範囲において、適正な搬送量を得ることができる。この値は、図3における現像ロール1、2の磁極配置がN1〜S2間、N3〜S4間で60°、E2〜S2間、E1〜S4間で30°となっていることから、極性反転位置E1、E2とS4、S2極間、或いは極性反転位置E1、E2とN3、N1極間における角度の1/3となっている。またこの場合、現像剤の規制位置J1、J2を極性反転位置E1、E2より下流とすることで、前記反転位置交差部Fをドクタブレード3より上流に位置させるための裕度が高まるが、本実施形態では、規制の際に現像剤にかかる負荷を低減するため、現像ロール上の磁力による拘束が最も弱くなる極性反転位置E1、E2上に現像剤の規制位置J1、J2を置いている。
【0027】
この設定において、前述した反転位置交差部Fが、ドクタブレード3より上流側となるように設定するためには、ドクタブレード3の形状も重要となる。これを図5に示すドクタブレードの構成を示す概念図により説明する。図5に示すようにドクタブレード3では、規制位置J1、J2でドクタギャップG1、G2を形成するため、現像剤の規制位置J1、J2より上流側に図中斜線を施した台形状の側板部31が一体となって設けられている。これは、側板部31がない場合、機械強度の小さいくさび型のエッジ部でギャップを形成しなければならず、長期の使用に耐えないためである。但し、この側板部31の厚さTが厚い場合、前記反転位置交差部Fをドクタブレード3より上流側に位置させることが難しくなる。
【0028】
今、現像ロール1、2の直径をD1(=D2)(cm)、現像ロール1、2間の距離をW(cm)、ドクタギャップをG1(=G2)(cm)、現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線分と、現像ロール1、2の中心軸とそれぞれの極性反転位置E1、E2を結ぶ線分との角度をθ1(=θ2)(°)とすると、現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線分からドクタブレード3の上流側面までの距離hは、これらの幾何的な配置から、h={(D1+D2)/2+W}sinθ1sinθ2/sin(θ1+θ2)より小さくなければならない。
【0029】
この時、前記側板部31の厚さの上限Tmaxは、Tmax=h−(D2/2+G2)sinθ2となる。また前記反転位置交差部Fと各現像ロール2との距離Lは、L=h/sinθ2−D2/2となる。但し、θ1、θ2は0°以上90°未満の値である。これは、θ1、θ2が0°より小さくなった場合、前記反転位置交差部Fが現像剤の規制位置J1、J2より各現像ロール1、2の回転方向の下流側に来てしまうためである。尚、 現像剤の規制位置J1、J2が極性反転位置E1、E2上にない場合においても、θ1、θ2が0°より小さいことは、ドクタブレード3より上流側に反転位置交差部Fを置くための設定裕度が少なくなる。更にこの場合、ドクタブレード3のドクタギャップG1、G2を通過せず余剰となった現像剤が、現像ロール1、2の何れかの磁力に拘束されて滞在するための空間が狭くなり、現像剤が圧縮された状態となる。このため現像剤へのストレスが増加し、現像剤寿命を引き下げる原因となるため、好ましくない。
【0030】
また本実施形態では、前記ドクタギャップG1、G2へ現像剤を有効に導くための側板部31が台形状となっているが、これは例えば円弧状であっても構わない。この場合、上記Tmaxは円弧の頂点部に相当する。図6にD=3cm、W=1cm、G=0.1cmとし、上記構成角度θをパラメータとしたときのTmaxを(1)式より算出した結果を示す。この結果において、角度θが大きいほど、厚さの上限Tmaxは大きくとれることがわかる。しかし角度θが大きくなるにつれ、図6に併記した前記反転位置交差部Fと現像ロール2との距離Lも同時に大きくなる。このLの値は、現像ロール2の極性反転位置E2において、現像ロール2から現像ロール1へ現像剤を受け渡すのに最小限必要な現像剤層高さと考えられる。即ち上記角度θが大きい場合、現像ロール2に搬送されてくるべき現像剤量も多くなければならない。この現像剤量は、現像ロール2と搬送部材6との関係により決まる。
【0031】
今、極性反転位置E2上の現像剤の層高さは、現像剤の量に比例する。これは極性反転位置E2においては、磁力によって拘束されていないため、現像剤が自然に現像ロール2上に堆積している状態、即ち現像剤自体の充填密度により前記層の高さが決まることによる。本実施形態の場合、図7の現像剤搬送経路と現像ロールの関係を説明する模式図に示したように、搬送部材6として羽根高さYを持つ羽根車を用いている。本構成の場合、この羽根によって搬送される現像剤は、前記極性反転位置E2上の現像剤と同様に自然に羽根上に堆積している状態であり、現像剤層の充填密度は前記極性反転位置E2上のものと等しい。従って、羽根高さYと羽根の頂点から現像ロール2までの距離との和、即ち少なくとも現像剤搬送経路上の間隙長zが、前記反転位置交差部Fと現像ロール2との距離Lの値以上であることが必要である。但し現像ロール2によってドクタブレード3の近傍まで運ばれた現像剤のうち、余剰分が現像ロール1に供給されることから、前記間隙長zは、前記距離Lの値よりももっと大きな値が必要で、本実施形態で実測した結果、現像ロール1、2においてドクタブレード3を通過する現像剤量を十分な値とするためには、前記間隙長zを前記距離Lの1.5倍以上とする必要があった。
【0032】
また図3に示した磁極S2および磁極S4では、ドクタギャップG1およびG2が0.05cm程度の小さい値であっても、磁力に沿ってできる現像剤の穂の高さが0.2〜0.3cmにまでなる。従って、現像ロール1、2の間隔Wを最小でも0.5cm以上としなければ、現像ロール1、2の穂が乱され、好ましくない。更に、現像ロールによって搬送すべき現像剤は、現像ロール表面での磁力が1000ガウス程度の場合、現像剤の層厚が1.5cm以下、また搬送重量の増大による現像ロール回転負荷を低減するために、現像剤層厚1cm以下とすることが望ましい。
【0033】
これらの場合、前記のように間隙長z、即ち現像剤の層厚を前記距離Lの1.5倍以上とする必要があることから、現像ロール1、2の間隔Wは、前記(3)式から、現像剤の層厚が1.5cmで2cm以下、現像剤層厚1cmで1.3cm以下に設定する必要がある。また現像ロール1、2の間隔Wを1.3cm以下とした場合、現像ロール1、2においてドクタブレード3を通過する現像剤量を十分な値とするために、前記距離Lは0.65cm以下でなければならない。この時、前記磁極S2および磁極S4でできる現像剤の穂高さの関係上、現像ロール1、2の間隔Wは0.5cm以上が必要である。
【0034】
従って通常使用し得る現像ロールの直径D1、D2が2〜5cmのものにおいて、前記現像ロール2の中心軸と極性反転位置E2を結ぶ線分との角度θ2は、式(3)より、D1=D2=2cmにおいて50°未満、D1=D2=3cmにおいて45°未満、D1=D2=5cmにおいて40°未満でなければならず、D1、D2が2〜5cmのものにおいて、少なくとも50°未満、好適には40°未満に設定する必要がある。
【0035】
図12は、各現像ロール1、2の極性反転位置E1、E2を、それぞれの現像ロール中心軸を中心に所定の角度ψ1、ψ2だけ回転して設置した場合に、現像ロール1、2において現像ロール1のドクタギャップG1を通過する現像剤の搬送量を実測した結果であり、各現像ロール1、2の設定角度の差ψ1−ψ2に対する搬送量を各ψ1の値において示している。尚、角度ψ1、ψ2は、反転位置交差部Fが、ドクタブレード3の上流側面上で交差するときの角度を0°とし、各現像ロールの回転方向を正とした。また現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線分からドクタブレード3の上流側面までの距離は0.9cm、現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線分と、現像ロール1、2の中心軸とそれぞれのドクタブレード3における現像剤の規制位置J1、J2を結ぶ線分との角度はそれぞれ28°、現像ロール1、2の直径D1(=D2)を3cm、現像ロール1、2間の距離を0.7cm、現像ロール1、2のドクタギャップG1、G2は、同一の0.065cmであり、現像ロール2へ供給される現像剤の層厚1cmの条件において測定した。
【0036】
その結果、ψ1が2.5°ではψ1−ψ2が−2.5°以下、ψ1が5°ではψ1−ψ2が2.5°以下、ψ1が−2.5°ではψ1−ψ2が0°以下で現像ロール1のドクタギャップG1を通過する搬送量が良好な状態となった。これは図13に示すドクタブレードの構成を示す概念図のように、現像ロール1、2の中心軸とそれぞれの極性反転位置E1、E2を結ぶ線分との角度θ1、θ2(°)が異なる場合、前記反転位置交差部Fが前記現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線の中点に垂直に立てた対称線H上にないことに起因する。即ち図13に示した形態のようにθ1<θ2となる場合、前記反転位置交差部Fは対称線Hより下側になり、前記反転位置交差部Fから現像ロール2までの距離Lが、θ1=θ2のときより小さくなるためである。
【0037】
本実施形態の場合も図5と同様に、現像ロール1、2の直径D1、D2(cm)、現像ロール1、2間の距離W(cm)、ドクタギャップG1、G2(cm)、現像ロール1、2のとすると、現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線分からドクタブレード3の上流側面までの距離hは図5中の(1)式、前記反転位置交差部Fから現像ロール2までの距離Lは図5中の(3)式となる。但し、θ1、θ2は0°以上90°未満の値である。
【0038】
図14(a)は、図12で示した評価条件からθ1=23°+ψ1、θ2=23°+ψ2としてθ1、θ2を求め、図5中の式(1)に代入して算出した前記距離hを、ψ1−ψ2に対して示している。また図14(b)は、図12で示した評価条件からθ1=23°+ψ1、θ2=23°+ψ2としてθ1、θ2を求め、図5中の式(3)に代入して算出した前記距離Lを、ψ1−ψ2に対して示している。
【0039】
図14(a)において、前記図12における現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線分からドクタブレード3の上流側面までの距離が0.9cmであることから、計算された距離hが0.9cmより大きくなければ、前記反転交差部Fがドクタブレード3の上流側面より上流側に位置できない。この条件を満足するためには、ψ1が2.5°のときψ1−ψ2が−1°以下、ψ1が0°のときψ1−ψ2が4°以下、ψ1が−2.5°のときψ1−ψ2が7°以下でなければならない。
【0040】
更に図14(b)においては、前記のように現像ロール1、2の間隔Wを1.3cm以下とした場合(本実施形態ではW=0.9cm)、距離Lが0.65cm以下でなければドクタブレード3を通過する現像剤量を十分な値とできない。この条件は、ψ1が2.5°のときψ1−ψ2が3°以下、ψ1が0°のときψ1−ψ2が2.5°以下、ψ1が−2.5°のときψ1−ψ2が1°以下で満足する。これらの図14(a)および図14(b)の結果を両方満足する条件は、ψ1が2.5°のときψ1−ψ2が−1°以下、ψ1が0°のときψ1−ψ2が2.5°以下、ψ1が−2.5°のときψ1−ψ2が1°以下となり、図12における結果と一致する。
【0041】
このように、角度θ1、θ2の設定が異なった場合でも、前記反転交差部Fがドクタブレード3の上流側面より上流側にあり、前記距離Lが現像ロール2に供給される現像剤量より小さくなるときに、ドクタブレード3を通過する現像剤量を十分な値とできる。
【0042】
また図8は別の形態として実施した現像剤搬送経路と現像ロールの関係を説明する模式図である。本実施形態の場合、搬送部材として現像ロール1、2と同様な構成のマグネットロール10を用いている。この場合、該マグネットロール10と現像ロール2の間隙長zが、距離Lより大きい場合、現像ロール1、2においてドクタブレード3を通過する現像剤量が十分な値となったが、間隙長zが距離Lより小さくなった場合、前記現像ロール1の現像剤量が不足する結果となった。これは、前記間隙長zの間隙を現像剤が通過する際、自然に現像ロール上に堆積したときの現像剤充填密度以上には、該間隙を通過できないためである。従って、本実施形態の場合でも、通過経路の間隙長zを前記反転位置交差部Fと各現像ロール1、2との距離Lの値以上、好ましくは距離Lの値の1.5倍以上とする必要があった。
【0043】
更に図9は、現像ロール2とマグネットロール10の間隙長zに依存しない現像剤搬送経路と現像ロールの構成を示す実施形態の模式図である。本実施形態においては、マグネットロール10上にある現像剤を堰き止める補助板11が設置されている。この補助板11による堰き止めの効果により、前記zが前記Lより小さい場合でも、現像ロール2への現像剤供給量は十分となり、現像ロール2の極性反転位置E2上の現像剤層高さを前記Lよりも大きくでき、現像ロール1、2においてドクタブレード3を通過する現像剤量を十分な値とすることができた。
【0044】
図10は、現像ロール2とマグネットロール10の距離zに依存しない現像剤搬送経路と現像ロールの構成を示す別の実施形態の模式図である。本実施形態においては、マグネットロール10の回転方向を図8および図9のものとは逆方向としている。本構成では、まずS6極に現像剤が補給され、これがマグネットロール10の回転に伴って搬送されN6極で現像ロール2に受け渡される。このとき現像ロール2とマグネットロール10の距離zは比較的小さく設定されているために、前記した自然に現像ロール上に堆積するときの現像剤充填密度以上には、現像剤は通過できない。これにより、この部分に現像剤が堰き止められることから、図9における補助板11の効果と同様に、前記S6極に補給される現像剤量が少ない場合でも、現像ロール2への現像剤供給量が十分となり、現像ロール2の極性反転位置E2上の現像剤層高さを前記Lよりも大きくできるため、現像ロール1、2においてドクタブレード3を通過する現像剤量が十分な値となった。
【0045】
また上記までの実施形態は、現像ロール1、2への現像剤供給において、現像ロール2を介した構成であるが、逆に現像ロール1を介した構成であっても同一の結果となる。更に上記までの実施形態では、ドクタブレード3の上流側側面が、前記対称線Hに対して90°となる配置を取るが、この角度は前後しても構わない。但しこの場合でも、前記反転交差部Fがドクタブレード3の上流側面より上流側に配置し、前記距離Lを現像ロール2に供給される現像剤量より小さくする必要がある。以上のような構成に関しそれぞれ、前記感光体101に負帯電のOPCを用い、感光体101の表面のうち画像形成部と非画像形成部の電位を−50Vおよび−600V、現像ロール1および2のバイアス電位を同一の−300Vとして、印刷を行った。
【0046】
またこのとき、感光体101の周速度を30cm/s、感光体周速度に対する現像ロール1および2の周速比をそれぞれ1.9、感光体101と現像ロール1および2の間隙長を同一の0.1cm、キャリアの真密度を5g/cm3 、現像剤中のトナー重量割合を2.5%とした。この際、ドクタブレード3の断面は図15(a)に示す寸法で、奥行きが30cmであり、材質としてヤング率が7×1010(N/m2 )のアルミニウムを用いた。尚、以降に示される実施形態では、断りがない限り、現像ロール1、2の直径D1、D2をそれぞれ3cm、ロール間の距離Wを7cm、ドクタギャップG1、G2を0.1cm、前記磁極反転位置E1、E2の設定角度θ1、θ2は38°に設定されている。
【0047】
以上の構成で画像を印刷した結果、ドクタブレード3の奥行き方向の中央部にあたる画像の濃度が、該ドクタブレード3の両端部にあたる画像の濃度より薄い結果となった。これは現像剤が、ドクタブレード3で層規制される際の負荷によって、該ドクタブレード3の中央部が各現像ロール1、2の回転方向の下流側に撓み、ドクタギャップG1、G2が狭くなるために起こる。そこで、現像ロール1、2が回転する際のモータにかかる負荷からドクタブレード3にかかる負荷を求めたところ98Nの分布荷重がかかっており、該ドクタブレード3の中央部で、約0.1cm程度の撓みが発生していることがわかった。
【0048】
図16は、このようなドクタブレード3の中央部の撓みδが発生した場合にドクタギャップG1の変動量ΔGを求めるための模式図である。この結果、前記変動量ΔGは図中の式(5)によって表せ、上記図15(a)におけるドクタブレード3では、ΔGが0.04cmにもなることがわかった。また図15(a)のような構成のドクタブレード3では、ヤング率1.9×1011 (N/m2)のSUSを用いた場合でも、撓みδは0.03cm、ドクタギャップG1の変動量ΔGは0.02cmと大きい。
【0049】
そこで、ドクタブレード3の形状を図15(b)のような幅yの突き出し部40を持つ構成に変更し、ドクタブレード自体の長さxが大きくなるようにした。尚、本実施形態では、現像ロール1、2間の距離Wが0.7cmであり、各ロールにできる現像剤の層高さ0.2〜0.3cmを考慮し、前記ドクタギャップG1、G2を0.2cmとした。またドクタブレード3は、図17に示す模式説明図のように、半径rの感光体ドラム101とドクタブレード3の突き出し部40の先端部との間隙が、現像ロール1、2が感光体ドラム101との間で形成する現像ギャップGdevと等しくなる位置に設定した。
【0050】
この場合、ドクタブレード3の長さxのうち、各現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線分より下流側の長さBは式(6)、該線分より上流側の長さhは、磁極の反転位置交差部Fとの関係において図5中の式(1)により求められる。本構成のドクタブレード3においては、ドクタブレード3の長さxは2.3cmとなり、材質がアルミニウムの場合で撓みδ=0.004cm、ギャップ変化量ΔG=0.002cm、材質がSUSの場合で撓みδ=0.002cm、ギャップ変化量ΔG=0.001cmと全く画質への影響はない。しかし本構成では、長時間の印刷動作を行ううちに、図17に示すように、現像剤と接触しないドクタブレード3の上面に、現像剤より離脱したトナー41の堆積が見られた。この多量のトナー41の堆積は、感光体ドラム101に落下し、印刷画像を汚染することから、好ましくない。
【0051】
そこでこのトナー堆積を防ぐために、ドクタブレード3が現像ロール1、2上の現像剤と接触し、常に現像剤で堆積トナーが清掃されるように構成した。詳しくは、前記現像ロール1、2間の距離W=0.7cm、各ロールにできる現像剤の層高さ0.2〜0.3cmに対し、前記ドクタギャップG1、G2を0.3cmとした。またドクタブレード3の突き出し部40の先端部が、現像ロール1の半径の1/2となる位置にくるようにした。本構成により、ドクタブレードの材質がアルミニウムの場合で撓みδ=0.005cm、ギャップ変化量ΔG=0.003cm、材質がSUSの場合で撓みδ=0.002cm、ギャップ変化量ΔG=0.001cmと全く画質への影響がなく、ドクタブレード3の上面へのトナーの堆積がないドクタブレードを得ることができた。
【0052】
また本構成のドクタブレードを現像ロール1、2の直径D1、D2が2cmから5cm、ロール間の距離Wが0.5cmから1.3cmのものに適用した場合に、前記磁極の反転位置交差部Fとの関係において設定可能なドクタブレードの長さx、および前記磁極反転位置E1、E2の角度θ1、θ2を調べた。
【0053】
その結果、現像ロール1、2の直径が5cmの場合、ドクタブレードの材質がSUSの場合でも、アルミニウムの場合でも、ドクタブレードの長さxは1.5cmから2.6cm、角度θ1、θ2は少なくとも40°未満に設定する必要があった。また現像ロール1、2の直径が3cmの場合、ドクタブレードの材質がSUSでは、ドクタブレードの長さxは0.9cmから2.1cm、角度θ1、θ2は少なくとも40°未満に、ドクタブレードの材質がアルミニウムでは、ドクタブレードの長さxは1.6cmから2.1cm、角度θ1、θ2は20°から40°の間に設定する必要があった。更に現像ロール1、2の直径が2cmの場合、ドクタブレードの材質がSUSでは、ドクタブレードの長さxは1cmから1.8cm、角度θ1、θ2は20°から40°の間に設定することができるが、ドクタブレードの材質がアルミニウムでは、設定すべきドクタブレードの長さxおよび角度θ1、θ2はなかった。
【0054】
これらの点より、現像ロール1、2を小径化し、現像装置の小型化を図る場合、ドクタブレードの長さxは1cmから2.1cm、角度θ1、θ2は20°から40°の間に設定し、ドクタブレードとしてヤング率が1011(N/m2)以上の材質であるSUSを用いるのが好ましい。
【0055】
以上を考慮し、図1から図14を用いて説明した現像装置構成に適用し、前記感光体101に負帯電のOPCを用い、感光体101の表面のうち画像形成部と非画像形成部の電位を−50Vおよび−600V、現像ロール1および2のバイアス電位を同一の−300Vとして、印刷を行った。またこのとき、感光体101の周速度を30cm/s、感光体周速度に対する現像ロール1および2の周速比をそれぞれ1.9、感光体101と現像ロール1および2の間隙長を同一の0.1cm、キャリアの真密度を5g/cm3、現像剤中のトナー重量割合を2.5%とした条件において、ドクタブレードの奥行き方向の画質差およびトナー汚れの発生がなく、ベタ画像の反射濃度が1.3以上で均一性が高く、画像端部のかすれがない高品質な画像を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第一の実施形態である現像装置の一部を拡大した概略図。
【図2】第一の実施形態である現像装置全体の概略図。
【図3】現像ロールの磁極配置を説明する概念図。
【図4】現像ロールの磁極配置と現像ロール上に搬送される現像剤量の関係。
【図5】ドクタブレードの構成を示す概念図。
【図6】磁極位置とドクタブレード構成および磁極位置と必要現像剤量の関係。
【図7】現像剤搬送経路と現像ロールの関係を説明する模式図。
【図8】別の実施形態を説明する模式図。
【図9】補助板を設置した場合の実施形態を説明する模式図。
【図10】別の実施形態を説明する模式図。
【図11】ドクタブレード付近の現像剤の状態を示した説明図。
【図12】現像ロールの磁極配置と現像ロール上に搬送される現像剤量の関係。
【図13】ドクタブレードの構成を示す概念図。
【図14】現像ロールの磁極配置と反転位置交差部の位置関係の説明図。
【図15】ドクタブレードの構成図。
【図16】ドクタブレード撓みの説明図。
【図17】ドクタブレード配置の説明図。
【図18】ドクタブレード配置の説明図。
【符号の説明】
【0057】
1、2:現像ロール、3:ドクタブレード、4 :現像剤、5 :トナー、6:搬送部材、7、8:混合攪拌部材、9:トナー貯留供給装置、10:現像剤搬送部材、11:補助板、20:マグネット、21:スリーブローラ、40:突き出し部、101:感光体、104:現像装置。
【技術分野】
【0001】
電子写真方式のプリンタ、複写機等の画像記録装置に関するものであり、特に磁性現像剤を用いる現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のプリンタ、複写機等の画像記録装置では、一方向に回転する感光体と呼ばれる像担持体上において、画像形成部を所定電位VR、非画像部を所定電位VOにして形成した静電潜像に、現像装置からトナーと呼ばれる像可視化剤を供給して、前記潜像を可視像とし、この可視像を記録紙上に印刷する。従来、この電子写真方式に適用される現像装置としては、トナーとキャリアと呼ばれる磁性粉体とからなる二成分現像剤を用いた現像装置が多用されている。通常この種の現像装置では、上記二成分現像剤を現像剤収容部で攪拌することにより、該現像剤中のトナーとキャリアが摩擦しあい、それぞれが所定の量に帯電する。該所定の帯電量となった現像剤は、前記現像剤収容部から複数個の磁石を内部に保有する現像ロールと呼ばれる現像体に導かれる。ここで現像剤は現像ロールの回転によって保持搬送され、該現像ロールの一部に設けたドクタブレードと呼ばれる仕切板を通過する。この際、該ドクタブレードは、各現像ロール上での現像剤搬送性を高めるために、ドクタブレードに対して、各現像ロールの回転方向の上流側にある磁極の極性と、該回転方向の下流側にある磁極の極性とが、逆極性となるように配置される。次に、該ドクタブレードによって所定量に規制された現像剤は、現像ロールの回転により前記感光体と接触する位置に搬送される。この時、現像ロールには、感光体上の画像形成部にトナーのみを導くバイアス電位(以下、現像バイアスと記述)VBが印加されており、感光体上の画像形成部に可視画像が形成される。
【0003】
更に詳述すると前記現像方式には、前記現像ロール上の現像剤と感光体との接触部(以下、現像部と記述)において、前記感光体の回転方向と同一方向(以下、順回転と記述)に現像ロールが回転して現像剤を搬送接触する構成、前記感光体の回転方向と逆方向(以下、逆回転と記述)に現像ロールが回転して現像剤を搬送接触する構成、および順回転、逆回転の現像ロールを組み合わせた構成がある。またこれらの構成においては、感光体の回転速度に対する現像ロールの回転速度の比(以下、周速比と記述)が1を越えるように設定されるのが一般的である。上記、二成分現像剤を用いた現像装置のうち、感光体の回転方向の上流側に逆回転、下流側に順回転の現像ロールが隣接して設置され、且つ、逆回転現像ロールと順回転現像ロールの間にドクタブレードを配置した構成の現像装置においては、特公平2−8308号に記載のように、前記ドクタブレードの近傍まで一塊となって搬送した現像剤を、ドクタブレードの先端部で分流し、隣接する2つの現像ロールに分割した後、両者の現像ロールとドクタブレードで形成される間隙(以降、ドクタギャップと記述)を通過させるようになっている。この方式では、前記両現像ロールの中心軸に対し、現像剤が流れる方向の下流側に前記ドクタブレードの先端部を配置し、両現像ロールによって拘束される狭い空間へ現像剤を充填して、現像剤のかさ密度を高めることによって、前記2つの現像ロールへ現像剤を分流する。しかしこの場合、前記ドクタギャップを通過せずに余剰となった現像剤が、両現像ロールの狭い空間に滞留するため、現像剤自体に大きなストレスがかかって寿命が低下する問題があった。この問題を回避するため、特開平7−160123号記載の技術では、前記両現像ロールの中心軸に対し、現像剤が流れる方向の上流側に前記ドクタブレードを配置し、広い空間で両現像ロールへの現像剤の分流を行う方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特公平2−8308号公報
【0005】
【特許文献2】特開平7−160123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ドクタブレードで像可視化剤が層規制される際の負荷によって、ドクタブレードの中央部が各現像ロールの回転方向の下流側に撓み、ドクタギャップ狭くなり、ドクタブレードの奥行き方向の中央部にあたる画像の濃度が、ドクタブレードの両端部にあたる画像の濃度より薄い結果となっていることがわかった。
【0007】
本発明の目的は、上記構成の現像装置において、現像ロールへの現像剤供給量を安定させ、高品質な画像が得られる画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、像担持体との対向部において像担持体の移動方向と逆方向へ移動し内部に複数の磁極を配置した第1現像ロールと、第1現像ロールに対し像担持体移動方向下流側に設けられ、像担持体との対向部において像担持体の移動方向と同方向へ移動し内部に複数の磁極を配置した第2現像ロールと、前記第1現像ロールと第2現像ロールの間に設けられ各現像ロールへの像可視化剤の供給量を規制する仕切り部材とを備えた画像記録装置において、前記仕切り部材は、前記第2現像ロールから第1現像ロールへの像可視化剤の受け渡しを案内する上流側面と、前記第1、第2現像ロールのそれぞれの極性反転位置上に配置された規制部と、前記第1現像ロールの中心軸と第2現像ロールの中心軸を結ぶ線分よりも前記第1、第2現像ロール移動方向下流側に突出する突出部とを有することによって達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明を用いれば、現像ロール間にドクタブレードを設置した構成の現像装置において、現像ロールへの現像剤供給量が安定し、高品質な画像が得られる画像記録装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明における第一の実施形態を主に図1および図2を用いて説明する。但し、図1は本発明の第一の実施形態である現像装置の一部を拡大した概略図、図2は現像装置全体の概略図である。
【0011】
本実施形態は2本の現像ロール1および2が感光体101と呼ばれる像担持体に対向して設置された現像装置104に関するものである。該2本の現像ロールのうち、現像ロール2は図2中の矢印Aで示した感光体101の回転に対して順回転し、感光体101の回転方向の下流に配置される。また現像ロール1は、該感光体101の回転に対して逆回転し、感光体101の回転方向の上流に配置される。尚、本実施形態では2本の現像ロールを持つ現像装置により説明するが、これは例えば、現像ロール1より感光体101の回転方向の上流側に複数本の現像ロールを有する構成、或いは現像ロール2より感光体101の回転方向の下流側に複数本の現像ロールを有する構成であっても構わない。更に、本実施形態では、像担持体としてドラム状の感光体を用いているが、これは例えば、特定の軌道上を周回する感光体ベルトのような構成であっても良い。
【0012】
また前記現像装置104においては、現像ロール1および現像ロール2の間にドクタブレード3と呼ばれる仕切り板が配置されている。該ドクタブレード3は、図1に示すように、現像ロール1上にある現像剤4aおよび現像ロール2上にある現像剤4bの通過量を所定値に規制するため、規制位置J1、J2部分で、現像ロール1、2との間隙長がそれぞれG1、G2となるように設定されている。尚、以降では、この間隙をドクタギャップと記述し、該間隙長G1、G2で表記する。また本実施形態では、該ドクタブレード3は前記現像剤4aおよび4bの通過量規制を一つのブレードで同時に行う一体成形された金属部材を採用している。
【0013】
図1または図2に示した本実施形態においては、現像剤4と呼ばれる像可視化剤は、キャリアと呼ばれる磁性粉体とトナーと呼ばれる前記感光体101上に可視像を形成する粉体とで構成され、全重量の2〜4%の重量比でトナーが混合されている。本実施形態では、前記現像剤4は、図示しない印刷装置の印刷動作によって、現像剤4中のトナーのみが消費されるため、現像装置104内にある現像剤中のトナーの重量比が減少する。このため、図2に示した本実施形態の現像装置104では、トナー貯留供給装置9から現像装置104の内部に供給されたトナー5を現像剤4と混合攪拌する混合攪拌部材7および8が設置されている。該混合攪拌部材7および8は螺旋状のスクリューとなっており、図中の矢印CおよびDの方向に回転することによって、混合攪拌部材7では図中の手前から奥側へ、混合攪拌部材8では奥側から手前へ現像剤4を攪拌搬送する。これによって奥側から手前における現像剤4のトナー重量比が均一となる。また現像剤4中のトナーはこの混合攪拌部材7および8で攪拌搬送されることによって、該現像剤4中のキャリアなどと摩擦しあい、所定の値に帯電する。このトナーの帯電量は本実施形態の場合、−10〜−30μc/gである。
【0014】
このようにして所定のトナー重量比および所定の帯電量に調整された現像剤4は、更に搬送部材6が矢印Bの方向に回転することによって、搬送部材6の上側を図中、右から左に搬送され、現像ロール2の近傍に導かれる。
【0015】
この時、現像ロール1および現像ロール2は、図1に示すように、N3極、S4極、N4極、S5極、N5極の順に着磁したマグネット20aおよび内部にS1極、N1極、S2極、N2極、S3極の順に着磁したマグネット20bが固定して設置されており、現像ロール1および現像ロール2の外周部に回転可能なスリーブ21aおよびスリーブ21bを具備している。このため現像ロール2の近傍にある現像剤4は、前記マグネット20bの磁極S1によって、スリーブ21bの表面に引きつけられ、スリーブ21bの回転に伴って、磁極S1から磁極N1を経て、ドクタブレード3の近傍まで搬送される。
【0016】
ここで現像剤4bは、ドクタブレード3の規制位置J2においてドクタギャップG2を通過することによって所定量に規制され、磁極S2を経て、磁極N2部に配置された現像ロール1の現像部へ導かれる。このときドクタブレード3での通過量規制によって余剰となった現像剤の一部或いは全部は、前記マグネット20aの磁極N3および磁極S4の磁力によってスリーブ21aの表面に引きつけられ、スリーブ21aの回転に伴ってドクタブレード3の規制位置J1においてドクタギャップG1を通過し、所定量に規制された後、磁極S4を経て磁極N4部に配置された現像ロール1の現像部へ導かれる。
【0017】
前記現像ロール1および現像ロール2の現像部では、感光体101の表面のうち画像形成部と非画像形成部が、図示しない帯電、露光の工程により現像部に到達する以前に、所定の電位に調整され、現像ロール1、2に図示しない電源によって、現像ロール1、2上の現像剤からトナーのみを感光体101の画像形成部分に供給する現像バイアスが印加されている。これにより感光体101上の画像形成部にトナーによる可視画像が形成される。
【0018】
その後、感光体101上の可視画像は図示しない転写工程により用紙に印刷された後、図示しない定着工程により用紙上に固着される。以上のような一連の印刷動作において、現像装置104が所定の現像性能を得るためには、現像ロール2で余剰となる現像剤を安定して現像ロール1に導くことが重要であり、この方法を、図3に示した現像ロールの磁極配置を説明する概念図、および、図4に示した現像ロールの磁極配置と、各現像ロール1、2においてドクタブレード3を通過した現像剤量との関係図を用いて説明する。
【0019】
ここで図3における磁極構成のうち、ドクタブレード3に対して、各現像ロール1、2の回転方向の上流にあるN1、N3極、該回転方向の下流にあるS2、S4極、更にN3極とS4極およびN1極とS2極の磁極極性が入れ替わる部分(以降、極性反転位置と記述)E1、E2は、前記現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線の中点に垂直に立てた線(以降、対称線と記述)Hに対して線対称の位置関係を取る。本配置は、各磁極N3とN1、S4とS2、およびE1とE2の位置が、現像ロール1および現像ロール2の間で完全な線対称ではなく、各現像ロールの回転方向の前後に若干ずれた配置となっても構わない。
【0020】
しかし、ドクタブレード3より現像ロール回転方向の下流にある極位置、即ち本実施形態では、S4およびS2極の位置付近において、現像ロール1および現像ロール2間の磁極の組合せがN極とS極で構成された場合、この部分で現像剤の授受が行われることから、現像ロール1、2に対する所定の適正現像剤量が得られなくなり、好ましくない。このため本実施形態のような現像ロール1、2の間にドクタブレード3を設置するような構成の場合、前述した対称線Hに対して線対称に近い構成をとる。このような磁極構成の場合、ドクタブレード3より上流にある磁極N3、N1間では、同一極性の磁力の影響で、現像ロール1、2間の現像剤授受が行われにくくなる。
【0021】
この授受を安定化させるために本発明では、前記極性反転位置E1、E2を有効に利用する。以下にこの方法を詳述する。即ち、搬送部材6によって現像ロール2の近傍に運ばれた現像剤は、まず現像ロール2のS1極に導かれたのち、N1極へ搬送される。次に現像剤は現像ロール2の回転に伴い、N1極からS2極へ搬送されるのであるが、その途中にある極性反転位置E2と現像ロール2の中心軸を結ぶ線分上では、N1極とS2極の磁力が相殺される。このとき、現像ロール1の極性反転位置E1が前述した対称線Hに対して線対称の位置に有るため、現像ロール1、2の極性反転位置E1、E2とそれぞれの現像ロール中心軸を通過する線分は、前記対称線H上で交差する。以降、これを反転位置交差部Fと記述する。
【0022】
図11はドクタブレード3付近の現像剤の状態を示した説明図である。現像ロール1、2の磁力によって拘束される現像剤は、図のように反転位置交差部Fより上流側では、それぞれの現像ロール1、2の磁力の反発によって現像剤は接触しない。一方、反転位置交差部Fでは、2つの現像ロールにある磁力が相殺されるために、反発力が最も弱く、現像剤が互いに接触するようになる。このとき現像ロール2によって搬送されてきた現像剤は、その搬送に伴う力が図中を右下から左上に向かう力が作用しているため、容易に現像ロール2の磁力による拘束圏を離れ、現像ロール1の磁力による拘束圏に導かれる。従って反転位置交差部Fがドクタブレード3よりも上流側にある場合、容易に現像ロール2から現像ロール1への現像剤受け渡しが行える。これに対し、反転位置交差部Fがドクタブレード3よりも下流側にある場合、2つの現像ロールによって拘束される現像剤が接触できず、現像ロール2から現像ロール1への現像剤受け渡しが行えないため、現像ロール1の現像剤量が不足する。
【0023】
図4は、各現像ロール1、2の極性反転位置E1、E2を、それぞれの現像ロール中心軸を中心に所定の角度ψだけ回転して設置した場合に、現像ロール1、2においてドクタブレード3を通過する現像剤の搬送量を実測した結果である。尚、角度ψは、反転位置交差部Fが、ドクタブレード3の上流側面上で交差するときの角度を0°とし、各現像ロールの回転方向を正とした。また現像ロール1、2のドクタギャップG1、G2は、同一の0.06cmとして測定した。その結果、設定角度ψが7.5°のとき、即ち、反転位置交差部Fがドクタブレード3より下流側にあるとき、現像ロール2では十分な現像剤の搬送量が得られているのに対し、現像ロール1では不足している。
【0024】
これに対し、設定角度ψが0°近傍から負になる配置、即ち、反転位置交差部Fがドクタブレード3の上流側面より上流側にあるとき、現像ロール1、2共に十分な現像剤の搬送量が得られている。これらの結果から、現像ロール2から現像ロール1への現像剤受け渡しを安定化するため、前記反転位置交差部Fが、ドクタブレード3より上流側となるように設定した。
【0025】
これに加え、ドクタブレード3を通過する現像剤の量は、ドクタブレード3における現像剤の規制位置J1、J2でも決まる。本実施形態の場合、現像ロール2でのドクタブレード3を通過する現像剤量は、前記反転位置交差部Fの位置によらず、前記規制位置J2のみで決まる。即ち現像ロール2では、図4の結果において、設定角度ψが約10°より大きくなると、搬送量が減少する。また図示はしないが、設定角度ψが−12.5°より小さい場合も同様に搬送量が減少する。
【0026】
本実施形態に用いたドクタブレード3の場合、ψが−2.5°において前記規制位置J1、J2が、現像ロール1、2の極性反転位置Eとそれぞれの現像ロール中心軸を通過する線分上に位置しており、その位置より±10°の範囲において、適正な搬送量を得ることができる。この値は、図3における現像ロール1、2の磁極配置がN1〜S2間、N3〜S4間で60°、E2〜S2間、E1〜S4間で30°となっていることから、極性反転位置E1、E2とS4、S2極間、或いは極性反転位置E1、E2とN3、N1極間における角度の1/3となっている。またこの場合、現像剤の規制位置J1、J2を極性反転位置E1、E2より下流とすることで、前記反転位置交差部Fをドクタブレード3より上流に位置させるための裕度が高まるが、本実施形態では、規制の際に現像剤にかかる負荷を低減するため、現像ロール上の磁力による拘束が最も弱くなる極性反転位置E1、E2上に現像剤の規制位置J1、J2を置いている。
【0027】
この設定において、前述した反転位置交差部Fが、ドクタブレード3より上流側となるように設定するためには、ドクタブレード3の形状も重要となる。これを図5に示すドクタブレードの構成を示す概念図により説明する。図5に示すようにドクタブレード3では、規制位置J1、J2でドクタギャップG1、G2を形成するため、現像剤の規制位置J1、J2より上流側に図中斜線を施した台形状の側板部31が一体となって設けられている。これは、側板部31がない場合、機械強度の小さいくさび型のエッジ部でギャップを形成しなければならず、長期の使用に耐えないためである。但し、この側板部31の厚さTが厚い場合、前記反転位置交差部Fをドクタブレード3より上流側に位置させることが難しくなる。
【0028】
今、現像ロール1、2の直径をD1(=D2)(cm)、現像ロール1、2間の距離をW(cm)、ドクタギャップをG1(=G2)(cm)、現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線分と、現像ロール1、2の中心軸とそれぞれの極性反転位置E1、E2を結ぶ線分との角度をθ1(=θ2)(°)とすると、現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線分からドクタブレード3の上流側面までの距離hは、これらの幾何的な配置から、h={(D1+D2)/2+W}sinθ1sinθ2/sin(θ1+θ2)より小さくなければならない。
【0029】
この時、前記側板部31の厚さの上限Tmaxは、Tmax=h−(D2/2+G2)sinθ2となる。また前記反転位置交差部Fと各現像ロール2との距離Lは、L=h/sinθ2−D2/2となる。但し、θ1、θ2は0°以上90°未満の値である。これは、θ1、θ2が0°より小さくなった場合、前記反転位置交差部Fが現像剤の規制位置J1、J2より各現像ロール1、2の回転方向の下流側に来てしまうためである。尚、 現像剤の規制位置J1、J2が極性反転位置E1、E2上にない場合においても、θ1、θ2が0°より小さいことは、ドクタブレード3より上流側に反転位置交差部Fを置くための設定裕度が少なくなる。更にこの場合、ドクタブレード3のドクタギャップG1、G2を通過せず余剰となった現像剤が、現像ロール1、2の何れかの磁力に拘束されて滞在するための空間が狭くなり、現像剤が圧縮された状態となる。このため現像剤へのストレスが増加し、現像剤寿命を引き下げる原因となるため、好ましくない。
【0030】
また本実施形態では、前記ドクタギャップG1、G2へ現像剤を有効に導くための側板部31が台形状となっているが、これは例えば円弧状であっても構わない。この場合、上記Tmaxは円弧の頂点部に相当する。図6にD=3cm、W=1cm、G=0.1cmとし、上記構成角度θをパラメータとしたときのTmaxを(1)式より算出した結果を示す。この結果において、角度θが大きいほど、厚さの上限Tmaxは大きくとれることがわかる。しかし角度θが大きくなるにつれ、図6に併記した前記反転位置交差部Fと現像ロール2との距離Lも同時に大きくなる。このLの値は、現像ロール2の極性反転位置E2において、現像ロール2から現像ロール1へ現像剤を受け渡すのに最小限必要な現像剤層高さと考えられる。即ち上記角度θが大きい場合、現像ロール2に搬送されてくるべき現像剤量も多くなければならない。この現像剤量は、現像ロール2と搬送部材6との関係により決まる。
【0031】
今、極性反転位置E2上の現像剤の層高さは、現像剤の量に比例する。これは極性反転位置E2においては、磁力によって拘束されていないため、現像剤が自然に現像ロール2上に堆積している状態、即ち現像剤自体の充填密度により前記層の高さが決まることによる。本実施形態の場合、図7の現像剤搬送経路と現像ロールの関係を説明する模式図に示したように、搬送部材6として羽根高さYを持つ羽根車を用いている。本構成の場合、この羽根によって搬送される現像剤は、前記極性反転位置E2上の現像剤と同様に自然に羽根上に堆積している状態であり、現像剤層の充填密度は前記極性反転位置E2上のものと等しい。従って、羽根高さYと羽根の頂点から現像ロール2までの距離との和、即ち少なくとも現像剤搬送経路上の間隙長zが、前記反転位置交差部Fと現像ロール2との距離Lの値以上であることが必要である。但し現像ロール2によってドクタブレード3の近傍まで運ばれた現像剤のうち、余剰分が現像ロール1に供給されることから、前記間隙長zは、前記距離Lの値よりももっと大きな値が必要で、本実施形態で実測した結果、現像ロール1、2においてドクタブレード3を通過する現像剤量を十分な値とするためには、前記間隙長zを前記距離Lの1.5倍以上とする必要があった。
【0032】
また図3に示した磁極S2および磁極S4では、ドクタギャップG1およびG2が0.05cm程度の小さい値であっても、磁力に沿ってできる現像剤の穂の高さが0.2〜0.3cmにまでなる。従って、現像ロール1、2の間隔Wを最小でも0.5cm以上としなければ、現像ロール1、2の穂が乱され、好ましくない。更に、現像ロールによって搬送すべき現像剤は、現像ロール表面での磁力が1000ガウス程度の場合、現像剤の層厚が1.5cm以下、また搬送重量の増大による現像ロール回転負荷を低減するために、現像剤層厚1cm以下とすることが望ましい。
【0033】
これらの場合、前記のように間隙長z、即ち現像剤の層厚を前記距離Lの1.5倍以上とする必要があることから、現像ロール1、2の間隔Wは、前記(3)式から、現像剤の層厚が1.5cmで2cm以下、現像剤層厚1cmで1.3cm以下に設定する必要がある。また現像ロール1、2の間隔Wを1.3cm以下とした場合、現像ロール1、2においてドクタブレード3を通過する現像剤量を十分な値とするために、前記距離Lは0.65cm以下でなければならない。この時、前記磁極S2および磁極S4でできる現像剤の穂高さの関係上、現像ロール1、2の間隔Wは0.5cm以上が必要である。
【0034】
従って通常使用し得る現像ロールの直径D1、D2が2〜5cmのものにおいて、前記現像ロール2の中心軸と極性反転位置E2を結ぶ線分との角度θ2は、式(3)より、D1=D2=2cmにおいて50°未満、D1=D2=3cmにおいて45°未満、D1=D2=5cmにおいて40°未満でなければならず、D1、D2が2〜5cmのものにおいて、少なくとも50°未満、好適には40°未満に設定する必要がある。
【0035】
図12は、各現像ロール1、2の極性反転位置E1、E2を、それぞれの現像ロール中心軸を中心に所定の角度ψ1、ψ2だけ回転して設置した場合に、現像ロール1、2において現像ロール1のドクタギャップG1を通過する現像剤の搬送量を実測した結果であり、各現像ロール1、2の設定角度の差ψ1−ψ2に対する搬送量を各ψ1の値において示している。尚、角度ψ1、ψ2は、反転位置交差部Fが、ドクタブレード3の上流側面上で交差するときの角度を0°とし、各現像ロールの回転方向を正とした。また現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線分からドクタブレード3の上流側面までの距離は0.9cm、現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線分と、現像ロール1、2の中心軸とそれぞれのドクタブレード3における現像剤の規制位置J1、J2を結ぶ線分との角度はそれぞれ28°、現像ロール1、2の直径D1(=D2)を3cm、現像ロール1、2間の距離を0.7cm、現像ロール1、2のドクタギャップG1、G2は、同一の0.065cmであり、現像ロール2へ供給される現像剤の層厚1cmの条件において測定した。
【0036】
その結果、ψ1が2.5°ではψ1−ψ2が−2.5°以下、ψ1が5°ではψ1−ψ2が2.5°以下、ψ1が−2.5°ではψ1−ψ2が0°以下で現像ロール1のドクタギャップG1を通過する搬送量が良好な状態となった。これは図13に示すドクタブレードの構成を示す概念図のように、現像ロール1、2の中心軸とそれぞれの極性反転位置E1、E2を結ぶ線分との角度θ1、θ2(°)が異なる場合、前記反転位置交差部Fが前記現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線の中点に垂直に立てた対称線H上にないことに起因する。即ち図13に示した形態のようにθ1<θ2となる場合、前記反転位置交差部Fは対称線Hより下側になり、前記反転位置交差部Fから現像ロール2までの距離Lが、θ1=θ2のときより小さくなるためである。
【0037】
本実施形態の場合も図5と同様に、現像ロール1、2の直径D1、D2(cm)、現像ロール1、2間の距離W(cm)、ドクタギャップG1、G2(cm)、現像ロール1、2のとすると、現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線分からドクタブレード3の上流側面までの距離hは図5中の(1)式、前記反転位置交差部Fから現像ロール2までの距離Lは図5中の(3)式となる。但し、θ1、θ2は0°以上90°未満の値である。
【0038】
図14(a)は、図12で示した評価条件からθ1=23°+ψ1、θ2=23°+ψ2としてθ1、θ2を求め、図5中の式(1)に代入して算出した前記距離hを、ψ1−ψ2に対して示している。また図14(b)は、図12で示した評価条件からθ1=23°+ψ1、θ2=23°+ψ2としてθ1、θ2を求め、図5中の式(3)に代入して算出した前記距離Lを、ψ1−ψ2に対して示している。
【0039】
図14(a)において、前記図12における現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線分からドクタブレード3の上流側面までの距離が0.9cmであることから、計算された距離hが0.9cmより大きくなければ、前記反転交差部Fがドクタブレード3の上流側面より上流側に位置できない。この条件を満足するためには、ψ1が2.5°のときψ1−ψ2が−1°以下、ψ1が0°のときψ1−ψ2が4°以下、ψ1が−2.5°のときψ1−ψ2が7°以下でなければならない。
【0040】
更に図14(b)においては、前記のように現像ロール1、2の間隔Wを1.3cm以下とした場合(本実施形態ではW=0.9cm)、距離Lが0.65cm以下でなければドクタブレード3を通過する現像剤量を十分な値とできない。この条件は、ψ1が2.5°のときψ1−ψ2が3°以下、ψ1が0°のときψ1−ψ2が2.5°以下、ψ1が−2.5°のときψ1−ψ2が1°以下で満足する。これらの図14(a)および図14(b)の結果を両方満足する条件は、ψ1が2.5°のときψ1−ψ2が−1°以下、ψ1が0°のときψ1−ψ2が2.5°以下、ψ1が−2.5°のときψ1−ψ2が1°以下となり、図12における結果と一致する。
【0041】
このように、角度θ1、θ2の設定が異なった場合でも、前記反転交差部Fがドクタブレード3の上流側面より上流側にあり、前記距離Lが現像ロール2に供給される現像剤量より小さくなるときに、ドクタブレード3を通過する現像剤量を十分な値とできる。
【0042】
また図8は別の形態として実施した現像剤搬送経路と現像ロールの関係を説明する模式図である。本実施形態の場合、搬送部材として現像ロール1、2と同様な構成のマグネットロール10を用いている。この場合、該マグネットロール10と現像ロール2の間隙長zが、距離Lより大きい場合、現像ロール1、2においてドクタブレード3を通過する現像剤量が十分な値となったが、間隙長zが距離Lより小さくなった場合、前記現像ロール1の現像剤量が不足する結果となった。これは、前記間隙長zの間隙を現像剤が通過する際、自然に現像ロール上に堆積したときの現像剤充填密度以上には、該間隙を通過できないためである。従って、本実施形態の場合でも、通過経路の間隙長zを前記反転位置交差部Fと各現像ロール1、2との距離Lの値以上、好ましくは距離Lの値の1.5倍以上とする必要があった。
【0043】
更に図9は、現像ロール2とマグネットロール10の間隙長zに依存しない現像剤搬送経路と現像ロールの構成を示す実施形態の模式図である。本実施形態においては、マグネットロール10上にある現像剤を堰き止める補助板11が設置されている。この補助板11による堰き止めの効果により、前記zが前記Lより小さい場合でも、現像ロール2への現像剤供給量は十分となり、現像ロール2の極性反転位置E2上の現像剤層高さを前記Lよりも大きくでき、現像ロール1、2においてドクタブレード3を通過する現像剤量を十分な値とすることができた。
【0044】
図10は、現像ロール2とマグネットロール10の距離zに依存しない現像剤搬送経路と現像ロールの構成を示す別の実施形態の模式図である。本実施形態においては、マグネットロール10の回転方向を図8および図9のものとは逆方向としている。本構成では、まずS6極に現像剤が補給され、これがマグネットロール10の回転に伴って搬送されN6極で現像ロール2に受け渡される。このとき現像ロール2とマグネットロール10の距離zは比較的小さく設定されているために、前記した自然に現像ロール上に堆積するときの現像剤充填密度以上には、現像剤は通過できない。これにより、この部分に現像剤が堰き止められることから、図9における補助板11の効果と同様に、前記S6極に補給される現像剤量が少ない場合でも、現像ロール2への現像剤供給量が十分となり、現像ロール2の極性反転位置E2上の現像剤層高さを前記Lよりも大きくできるため、現像ロール1、2においてドクタブレード3を通過する現像剤量が十分な値となった。
【0045】
また上記までの実施形態は、現像ロール1、2への現像剤供給において、現像ロール2を介した構成であるが、逆に現像ロール1を介した構成であっても同一の結果となる。更に上記までの実施形態では、ドクタブレード3の上流側側面が、前記対称線Hに対して90°となる配置を取るが、この角度は前後しても構わない。但しこの場合でも、前記反転交差部Fがドクタブレード3の上流側面より上流側に配置し、前記距離Lを現像ロール2に供給される現像剤量より小さくする必要がある。以上のような構成に関しそれぞれ、前記感光体101に負帯電のOPCを用い、感光体101の表面のうち画像形成部と非画像形成部の電位を−50Vおよび−600V、現像ロール1および2のバイアス電位を同一の−300Vとして、印刷を行った。
【0046】
またこのとき、感光体101の周速度を30cm/s、感光体周速度に対する現像ロール1および2の周速比をそれぞれ1.9、感光体101と現像ロール1および2の間隙長を同一の0.1cm、キャリアの真密度を5g/cm3 、現像剤中のトナー重量割合を2.5%とした。この際、ドクタブレード3の断面は図15(a)に示す寸法で、奥行きが30cmであり、材質としてヤング率が7×1010(N/m2 )のアルミニウムを用いた。尚、以降に示される実施形態では、断りがない限り、現像ロール1、2の直径D1、D2をそれぞれ3cm、ロール間の距離Wを7cm、ドクタギャップG1、G2を0.1cm、前記磁極反転位置E1、E2の設定角度θ1、θ2は38°に設定されている。
【0047】
以上の構成で画像を印刷した結果、ドクタブレード3の奥行き方向の中央部にあたる画像の濃度が、該ドクタブレード3の両端部にあたる画像の濃度より薄い結果となった。これは現像剤が、ドクタブレード3で層規制される際の負荷によって、該ドクタブレード3の中央部が各現像ロール1、2の回転方向の下流側に撓み、ドクタギャップG1、G2が狭くなるために起こる。そこで、現像ロール1、2が回転する際のモータにかかる負荷からドクタブレード3にかかる負荷を求めたところ98Nの分布荷重がかかっており、該ドクタブレード3の中央部で、約0.1cm程度の撓みが発生していることがわかった。
【0048】
図16は、このようなドクタブレード3の中央部の撓みδが発生した場合にドクタギャップG1の変動量ΔGを求めるための模式図である。この結果、前記変動量ΔGは図中の式(5)によって表せ、上記図15(a)におけるドクタブレード3では、ΔGが0.04cmにもなることがわかった。また図15(a)のような構成のドクタブレード3では、ヤング率1.9×1011 (N/m2)のSUSを用いた場合でも、撓みδは0.03cm、ドクタギャップG1の変動量ΔGは0.02cmと大きい。
【0049】
そこで、ドクタブレード3の形状を図15(b)のような幅yの突き出し部40を持つ構成に変更し、ドクタブレード自体の長さxが大きくなるようにした。尚、本実施形態では、現像ロール1、2間の距離Wが0.7cmであり、各ロールにできる現像剤の層高さ0.2〜0.3cmを考慮し、前記ドクタギャップG1、G2を0.2cmとした。またドクタブレード3は、図17に示す模式説明図のように、半径rの感光体ドラム101とドクタブレード3の突き出し部40の先端部との間隙が、現像ロール1、2が感光体ドラム101との間で形成する現像ギャップGdevと等しくなる位置に設定した。
【0050】
この場合、ドクタブレード3の長さxのうち、各現像ロール1、2の中心軸を結ぶ線分より下流側の長さBは式(6)、該線分より上流側の長さhは、磁極の反転位置交差部Fとの関係において図5中の式(1)により求められる。本構成のドクタブレード3においては、ドクタブレード3の長さxは2.3cmとなり、材質がアルミニウムの場合で撓みδ=0.004cm、ギャップ変化量ΔG=0.002cm、材質がSUSの場合で撓みδ=0.002cm、ギャップ変化量ΔG=0.001cmと全く画質への影響はない。しかし本構成では、長時間の印刷動作を行ううちに、図17に示すように、現像剤と接触しないドクタブレード3の上面に、現像剤より離脱したトナー41の堆積が見られた。この多量のトナー41の堆積は、感光体ドラム101に落下し、印刷画像を汚染することから、好ましくない。
【0051】
そこでこのトナー堆積を防ぐために、ドクタブレード3が現像ロール1、2上の現像剤と接触し、常に現像剤で堆積トナーが清掃されるように構成した。詳しくは、前記現像ロール1、2間の距離W=0.7cm、各ロールにできる現像剤の層高さ0.2〜0.3cmに対し、前記ドクタギャップG1、G2を0.3cmとした。またドクタブレード3の突き出し部40の先端部が、現像ロール1の半径の1/2となる位置にくるようにした。本構成により、ドクタブレードの材質がアルミニウムの場合で撓みδ=0.005cm、ギャップ変化量ΔG=0.003cm、材質がSUSの場合で撓みδ=0.002cm、ギャップ変化量ΔG=0.001cmと全く画質への影響がなく、ドクタブレード3の上面へのトナーの堆積がないドクタブレードを得ることができた。
【0052】
また本構成のドクタブレードを現像ロール1、2の直径D1、D2が2cmから5cm、ロール間の距離Wが0.5cmから1.3cmのものに適用した場合に、前記磁極の反転位置交差部Fとの関係において設定可能なドクタブレードの長さx、および前記磁極反転位置E1、E2の角度θ1、θ2を調べた。
【0053】
その結果、現像ロール1、2の直径が5cmの場合、ドクタブレードの材質がSUSの場合でも、アルミニウムの場合でも、ドクタブレードの長さxは1.5cmから2.6cm、角度θ1、θ2は少なくとも40°未満に設定する必要があった。また現像ロール1、2の直径が3cmの場合、ドクタブレードの材質がSUSでは、ドクタブレードの長さxは0.9cmから2.1cm、角度θ1、θ2は少なくとも40°未満に、ドクタブレードの材質がアルミニウムでは、ドクタブレードの長さxは1.6cmから2.1cm、角度θ1、θ2は20°から40°の間に設定する必要があった。更に現像ロール1、2の直径が2cmの場合、ドクタブレードの材質がSUSでは、ドクタブレードの長さxは1cmから1.8cm、角度θ1、θ2は20°から40°の間に設定することができるが、ドクタブレードの材質がアルミニウムでは、設定すべきドクタブレードの長さxおよび角度θ1、θ2はなかった。
【0054】
これらの点より、現像ロール1、2を小径化し、現像装置の小型化を図る場合、ドクタブレードの長さxは1cmから2.1cm、角度θ1、θ2は20°から40°の間に設定し、ドクタブレードとしてヤング率が1011(N/m2)以上の材質であるSUSを用いるのが好ましい。
【0055】
以上を考慮し、図1から図14を用いて説明した現像装置構成に適用し、前記感光体101に負帯電のOPCを用い、感光体101の表面のうち画像形成部と非画像形成部の電位を−50Vおよび−600V、現像ロール1および2のバイアス電位を同一の−300Vとして、印刷を行った。またこのとき、感光体101の周速度を30cm/s、感光体周速度に対する現像ロール1および2の周速比をそれぞれ1.9、感光体101と現像ロール1および2の間隙長を同一の0.1cm、キャリアの真密度を5g/cm3、現像剤中のトナー重量割合を2.5%とした条件において、ドクタブレードの奥行き方向の画質差およびトナー汚れの発生がなく、ベタ画像の反射濃度が1.3以上で均一性が高く、画像端部のかすれがない高品質な画像を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第一の実施形態である現像装置の一部を拡大した概略図。
【図2】第一の実施形態である現像装置全体の概略図。
【図3】現像ロールの磁極配置を説明する概念図。
【図4】現像ロールの磁極配置と現像ロール上に搬送される現像剤量の関係。
【図5】ドクタブレードの構成を示す概念図。
【図6】磁極位置とドクタブレード構成および磁極位置と必要現像剤量の関係。
【図7】現像剤搬送経路と現像ロールの関係を説明する模式図。
【図8】別の実施形態を説明する模式図。
【図9】補助板を設置した場合の実施形態を説明する模式図。
【図10】別の実施形態を説明する模式図。
【図11】ドクタブレード付近の現像剤の状態を示した説明図。
【図12】現像ロールの磁極配置と現像ロール上に搬送される現像剤量の関係。
【図13】ドクタブレードの構成を示す概念図。
【図14】現像ロールの磁極配置と反転位置交差部の位置関係の説明図。
【図15】ドクタブレードの構成図。
【図16】ドクタブレード撓みの説明図。
【図17】ドクタブレード配置の説明図。
【図18】ドクタブレード配置の説明図。
【符号の説明】
【0057】
1、2:現像ロール、3:ドクタブレード、4 :現像剤、5 :トナー、6:搬送部材、7、8:混合攪拌部材、9:トナー貯留供給装置、10:現像剤搬送部材、11:補助板、20:マグネット、21:スリーブローラ、40:突き出し部、101:感光体、104:現像装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体との対向部において像担持体の移動方向と逆方向へ移動し内部に複数の磁極を配置した第1現像ロールと、第1現像ロールに対し像担持体移動方向下流側に設けられ、像担持体との対向部において像担持体の移動方向と同方向へ移動し内部に複数の磁極を配置した第2現像ロールと、前記第1現像ロールと第2現像ロールの間に設けられ各現像ロールへの像可視化剤の供給量を規制する仕切り部材とを備えた画像記録装置において、前記仕切り部材は、前記第2現像ロールから第1現像ロールへの像可視化剤の受け渡しを案内する上流側面と、前記第1、第2現像ロールのそれぞれの極性反転位置上に配置された規制部と、前記第1現像ロールの中心軸と第2現像ロールの中心軸を結ぶ線分よりも前記第1、第2現像ロール移動方向下流側に突出する突出部とを有したことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記突出部の長さ(B)が前記第1現像ロールまたは第2現像ロールの半径の1/2以下であることを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記線分上にある前記第1現像ロールと第2現像ロールの磁極が同極であることを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記第1現像ロールの中心軸と第1現像ロールにおける前記極性反転位置とを結ぶ直線の延長線と、前記第2現像ロールの中心軸と第2現像ロールにおける前記極性反転位置とを結ぶ直線の延長線との交点(F)を、前記仕切り部材の上流側面よりも現像ロール移動方向上流側に設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかひとつの請求項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記第1現像ロールおよび第2現像ロールの直径を2cm〜5cmに規定し、前記第1現像ロールおよび第2現像ロール間の距離(W)を0.5cm以上1.3cm以下に規定したことを特徴とする請求項1から4のいずれかひとつの請求項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記線分と前記前記第1現像ロールの中心軸と前記交点(F)を結ぶ直線とがなす角度をθ1、前記線分と前記2現像ロールの中心軸と前記交点(F)を結ぶ直線とがなす角度をθ2としたとき、角度θ1および角度θ2を40°未満に規定したことを特徴とする請求項4記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記仕切り部材の長さ(x)を0.9cmから2.6cmの間に設定したことを特徴とする請求項4記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記仕切り部材を、ヤング率1011(N/m2)以上のSUSで形成したことを特徴とする請求項4記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記交点(F)から第2現像ロール外周面までの距離(L)を、第2現像ロールへ像可視化剤を回転搬送する部材から第2現像ロール外周面までの距離(Z)よりも小さい値に規定したことを特徴とする請求項4記載の画像記録装置。
【請求項10】
第2現像ロールへ像可視化剤を回転搬送する部材の近傍に、像可視化剤を堰き止める補助部材を設けたことを特徴とする請求項4記載の画像記録装置。
【請求項11】
像可視化剤を堰き止めるように、像可視化剤を回転搬送する部材と前記第1または第2現像ロールとを配置したことを特徴とする請求項4記載の画像記録装置。
【請求項1】
像担持体との対向部において像担持体の移動方向と逆方向へ移動し内部に複数の磁極を配置した第1現像ロールと、第1現像ロールに対し像担持体移動方向下流側に設けられ、像担持体との対向部において像担持体の移動方向と同方向へ移動し内部に複数の磁極を配置した第2現像ロールと、前記第1現像ロールと第2現像ロールの間に設けられ各現像ロールへの像可視化剤の供給量を規制する仕切り部材とを備えた画像記録装置において、前記仕切り部材は、前記第2現像ロールから第1現像ロールへの像可視化剤の受け渡しを案内する上流側面と、前記第1、第2現像ロールのそれぞれの極性反転位置上に配置された規制部と、前記第1現像ロールの中心軸と第2現像ロールの中心軸を結ぶ線分よりも前記第1、第2現像ロール移動方向下流側に突出する突出部とを有したことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記突出部の長さ(B)が前記第1現像ロールまたは第2現像ロールの半径の1/2以下であることを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記線分上にある前記第1現像ロールと第2現像ロールの磁極が同極であることを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記第1現像ロールの中心軸と第1現像ロールにおける前記極性反転位置とを結ぶ直線の延長線と、前記第2現像ロールの中心軸と第2現像ロールにおける前記極性反転位置とを結ぶ直線の延長線との交点(F)を、前記仕切り部材の上流側面よりも現像ロール移動方向上流側に設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかひとつの請求項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記第1現像ロールおよび第2現像ロールの直径を2cm〜5cmに規定し、前記第1現像ロールおよび第2現像ロール間の距離(W)を0.5cm以上1.3cm以下に規定したことを特徴とする請求項1から4のいずれかひとつの請求項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記線分と前記前記第1現像ロールの中心軸と前記交点(F)を結ぶ直線とがなす角度をθ1、前記線分と前記2現像ロールの中心軸と前記交点(F)を結ぶ直線とがなす角度をθ2としたとき、角度θ1および角度θ2を40°未満に規定したことを特徴とする請求項4記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記仕切り部材の長さ(x)を0.9cmから2.6cmの間に設定したことを特徴とする請求項4記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記仕切り部材を、ヤング率1011(N/m2)以上のSUSで形成したことを特徴とする請求項4記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記交点(F)から第2現像ロール外周面までの距離(L)を、第2現像ロールへ像可視化剤を回転搬送する部材から第2現像ロール外周面までの距離(Z)よりも小さい値に規定したことを特徴とする請求項4記載の画像記録装置。
【請求項10】
第2現像ロールへ像可視化剤を回転搬送する部材の近傍に、像可視化剤を堰き止める補助部材を設けたことを特徴とする請求項4記載の画像記録装置。
【請求項11】
像可視化剤を堰き止めるように、像可視化剤を回転搬送する部材と前記第1または第2現像ロールとを配置したことを特徴とする請求項4記載の画像記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−146286(P2006−146286A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59410(P2006−59410)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【分割の表示】特願平10−277812の分割
【原出願日】平成10年9月30日(1998.9.30)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【分割の表示】特願平10−277812の分割
【原出願日】平成10年9月30日(1998.9.30)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】
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