説明

現金処理装置

【課題】紙幣収納庫内に常に損券が存在することによる資金効率の低下を抑制し、出金取引時の処理時間を短縮する。
【解決手段】入力部で損券の回収が選択されたとき、紙幣入出金機の紙幣収納庫から紙幣を繰り出して鑑別部に送り、鑑別部で正券と鑑別された紙幣を紙幣入出金機の一時集積部に集積し、損券と鑑別された紙幣を紙幣入出金機の出金口に搬送して出金することでオペレータに損券のみを回収させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関で用いられる現金処理装置に関するもので、特に紙幣入出金機及び紙幣補充回収機、施封小束支払機等を備えた現金処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの現金処理装置として、紙幣入出金機での入金取引時に鑑別部で損券と鑑別された紙幣を正券と共に紙幣収納庫に金種別に収納し、出金取引時に鑑別部で損券と鑑別された紙幣を補充回収機に装着されている補充回収カセットに搬送して回収するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−54603(段落「0014」、段落「0032」〜段落「0042」、図2、図4、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、出金に利用しない損券の紙幣が入金されると、その紙幣が紙幣入出金機の紙幣収納庫内に滞留することになるので、資金効率が低下するという問題があり、また出金取引時に損券の鑑別が必要となるので、出金の取引処理時間が長くなるという問題もある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そのため、本発明は、取引選択の操作等を行う入力部と、入金時に鑑別部で入金可能と鑑別された紙幣を正券、損券に拘らず一時集積部に集積した後、この一時集積部の紙幣をすべて紙幣収納庫に収納し、出金時には前記紙幣収納庫から繰出した紙幣を前記鑑別部で鑑別して、出金可能と鑑別された正券の紙幣のみを出金口から出金する紙幣入出金機とを備えた現金処理装置において、前記入力部で損券の回収が選択されたとき、前記紙幣入出金機の紙幣収納庫から紙幣を繰り出して前記鑑別部に送り、鑑別部で正券と鑑別された紙幣を前記一時集積部に集積し、損券と鑑別された紙幣を前記出金口に搬送して出金するよう制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
このようにした本発明は、前記入力部で損券の回収が選択されると紙幣入出金機の紙幣収納庫から紙幣を繰り出して損券のみ出金口から出金するようにしているため、オペレータは現金処理装置の空き時間に損券を回収することができ、そのため紙幣収納庫内に常に損券が存在することによる資金効率の低下を抑制することができると共に、損券回収後に行われる出金取引については、その取引処理に要する時間を短縮できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して本発明による現金処理装置の実施例を説明する。
【実施例】
【0007】
図1〜図3は第1の実施例を示す損券回収動作時のフローチャート、図4は本発明による現金処理装置の構成を示すブロック図、図5は本発明における主要現金処理ユニットの内部構成を示す概略側面図である。
まず、図4に示す現金処理装置の構成について説明すると、この現金処理装置は、金融機関の店舗内に設置され、金融機関のオペレータが操作して入出金等の取引を行うもので、紙幣入出金機1、紙幣補充回収機2、施封小束支払機3、及び図示しない新券紙幣支払機、棒金支払機、硬貨入出金機等の各現金処理ユニットと、キーボード等による入力部4、CRTやLCD等による表示部5、プリンタ6、第1の記憶部7、第2の記憶部8、通信部9、制御部10等によって構成されている。
【0008】
ここで、紙幣入出金機1、紙幣補充回収機2、施封小束支払機3は、それぞれ独立した現金処理ユニットとして構成され、互いに隣接するように横一列に配置されるもので、 その配列順序は任意であるが、ここでは、例えば紙幣補充回収機2を間に挟んでその左右に紙幣入出金機1と施封小束支払機3を配置したものとする。
入力部4はオペレータが現金処理装置使用する際、入金、出金、施封等の取引の選択や、選択された取引の処理に必要な情報等のを入力操作を行うもので、キーボードやポインティングデバイス等が用いられ、また表示部5はオペレータに対する操作誘導表示や、入力部4から入力された情報を表示するもので、LCD(液晶表示装置)等が用いられる。
【0009】
プリンタ6は制御部10の指示により当該装置で処理した内容等を必要に応じて用紙に印字し、出力する。
第1の記憶部7は制御プログラム(ソフトウエア)や各取引において表示部に表示する画面の情報等を格納したメモリ、第2の記憶部8は入力部から入力された情報や通信部を介して他の装置から受信した情報等を記憶するメモリで、制御部10は第1の記憶部7に格納された制御プログラムに基づいて前記各現金処理ユニットの動作を制御すると共に画面情報に基づいて必要な画面を表示部5に表示するものとなっている。
【0010】
この制御部10は、各現金処理ユニットの収納庫等に収納されている現金の在高を金種別に記憶する現金在高カウンタ(在高記憶部)10aと、紙幣入出金機1等の紙幣収納庫から繰り出した紙幣を金種別に記憶する繰出枚数カウンタ(繰出枚数記憶部)10bを有している。
通信部9は、店舗内に構築されるLANなどのネットワークに接続されており、制御部10はこの通信部9を介して図示しない窓口端末や顧客操作用のATMと情報の通信を行うものとなっている。
【0011】
次に、図5により紙幣入出金機1と紙幣補充回収機2と施封小束支払機3の構成について説明する。
紙幣入出金機1は、入金取引時に紙幣を投入する入金口21、投入された紙幣の真偽、金種、表裏、正損等を鑑別及び真券紙幣の計数等を行う第1の鑑別部22、この第1の鑑別部22で金種不明等のリジェクト券と鑑別された紙幣を返却する入金リジェクト口(以下、入金RJ口)23、出金用の紙幣を金種別に収納する紙幣収納庫24a〜24d、各紙幣収納庫24a〜24d上に設けられた一時集積部25a〜25d、出金取引時に各紙幣収納庫24a〜24dの下部から繰り出された紙幣の真偽、金種、表裏、正損等を鑑別及び真券紙幣の計数等を行う第2の鑑別部26、この第2の鑑別部26で金種不明等のリジェクト券と鑑別された紙幣を収納する出金リジェクト収納庫(以下、出金RJ庫)27、第2の鑑別部26で正常と鑑別された紙幣を集積して出金する出金口28、これらの間で紙幣を搬送する搬送路29を備えている。
【0012】
尚、紙幣収納庫24a〜24dのうち、紙幣収納庫24aは万円紙幣を収納するものとし、また、紙幣収納庫24bは五千円紙幣を、紙幣収納庫24cは二千円紙幣を、紙幣収納庫24dは千円紙幣をそれぞれ収納するものとする。
一方、紙幣補充回収機2は、着脱可能な補充回収カセット31、補充回収カセット31上に設けられた一時集積部32、補充回収カセット31の上部から繰り出された紙幣の真偽、金種、表裏、正損等を鑑別及び真券紙幣の計数等を行う鑑別部33、補充回収カセット31の上部と鑑別部33及び鑑別部33と補充回収カセット31の下部を結んでこれらの間で紙幣を搬送する搬送路34を備えており、補充回収カセット31から紙幣を繰り出して自動計数する機能、及び紙幣入出金機1等から送られてくる補充用の紙幣を補充回収カセット31に収納する機能を有している。
【0013】
また、施封小束支払機3は金種別に紙幣を集積する複数の集積部41、紙幣入出金機1等からの紙幣を各集積部41に搬送する搬送路42、各集積部41に集積された一定枚数(例えば100枚)の紙幣を紙等の帯で施封して小束を作成する施封部43、施封部43で作成された小束を小束出金口45に搬送する小束搬送路44等を備えている。
これら紙幣入出金機1、紙幣補充回収機2、及び施封小束支払機3は前述の特許文献1に示される回転搬送路と接続用搬送路からなる紙幣搬送手段を備えており、この紙幣搬送手段によって紙幣入出金機1と紙幣補充回収機2と施封小束支払機3の間で紙幣を1枚ずつ搬送して互いに授受できるようになっている。
【0014】
ここで、現金処理装置の入金動作について図5を用いて説明する。
尚、図中の太い線は紙幣の流れを示している。
金融機関のオペレータが表示部5に表示されている取引のメニュー画面を見て、入力部4により入金取引を選択すると制御部10により紙幣入出金機1に入金処理の指示が送られる。
【0015】
これにより紙幣入出金機1は、入金口21のシャッターを開くので、オペレータが入金口に紙幣をセットすると、シャッターが閉じ、分離手段により紙幣が1枚ずつ分離して取り込まれ、搬送路29により第1の鑑別部22に搬送されて真偽、金種、表裏、正損等の鑑別が行われる。
その結果、偽券(金種不明券)等と鑑別されたリジェクト紙幣は搬送路29により入金RJ口23に搬送されて集積され、オペレータに返却される。
【0016】
第1の鑑別部22で真券と鑑別された紙幣は正券、損券に拘らず金種別に計数され、搬送路29により紙幣収納庫24a〜24dに向かって搬送され、一時集積部25a〜25dに金種別に振り分けて集積される。
そして入金口21の紙幣がすべて繰り出されて鑑別され、真券の紙幣がすべて一時集積部25a〜25dに集積されると、それらの紙幣の計数結果が表示部5に表示される。
【0017】
これをみて、オペレータが入力部4により取引承認の情報を入力すると、一時集積部25a〜25dに集積された紙幣は紙幣収納庫24a〜24dに収納され、そして制御部10により今回入金された紙幣の金額が金種毎に紙幣入出金機用の現金在高カウンタ10aの値に加算され、カウンタ値が更新される。
次に、出金動作について説明する。
【0018】
オペレータが表示部5に表示されている取引のメニュー画面を見て、入力部4により出金取引を選択し、紙幣の金種毎の枚数(または金額)を入力すると、制御部10がその紙幣の情報と出金指示を紙幣入出金機1に送信する。
これにより現金処理装置1の紙幣収納庫24a〜24dのうちの指定金種に該当する収納庫の下部から繰出手段により紙幣が1枚ずつ繰り出されて搬送路29により第2の鑑別部26に搬送され、真偽、金種、表裏、正損等の鑑別が行われる。
【0019】
その結果、偽券等と鑑別されたリジェクト紙幣は搬送路29により出金RJ庫27に搬送されて収納される。
第2の鑑別部26により真券でかつ出金可能な正券と鑑別された紙幣は、金種別に計数されてから搬送路29により出金口28に搬送されて集積される。
また、第2の鑑別部26により出金に利用できない損券と鑑別された紙幣は、回転搬送路及び接続用搬送路により紙幣補充回収機2に送り込まれ、この紙幣補充回収機2内の搬送路34により補充回収カセット31上の一時集積部32に送られて収納される。
【0020】
前記出金口28にオペレータが指定した金種、枚数の紙幣が集積されると、この出金口28のシャッターが開いて、紙幣がオペレータに出金され、そして制御部10により今回出金された紙幣の金額と補充回収カセットに収納した金額が金種毎に紙幣入出金機用の現金在高カウンタ10aの値から減算され、カウンタ値が更新される。
このようにして、入金と出金が繰り返されると、紙幣補充回収機2の補充回収カセット31に損券が徐々に溜まって行くが、その一方で紙幣入出金機1の紙幣収納庫24a〜24dには常に損券が存在し、この紙幣収納庫24a〜24d内の損券が資金効率を低下させ、また出金取引時の処理時間を長引かせる要因となっている。
【0021】
そこで、本発明は紙幣入出金機1の紙幣収納庫24a〜24d内の損券を現金処理装置の空き時間等に回収するものである。
その第1の実施例を図1〜図3のフローチャートと共に、図4及び図6を参照して説明する説明する。
図6は損券回収時の紙幣の流れを示す説明図である。
【0022】
尚、以下の説明は、図1〜図3のフローチャートにSで示したステップに従って行う。
現金処理装置が使用されていない空き時間に、表示部5には取引のメニュー画面が表示されている。
本実施例では、特に紙幣入出金機1の空き時間にオペレータが入力部4を操作してメニュー画面に表示されている損券回収を選択すると、制御部10は損券回収画面を表示部5に表示する(S1)。
【0023】
図7はこのときの損券回収画面例を示す図で、損券を出金口28に排出する旨等のメッセージと共に、全金種を一括して指定するキーや金種毎に指定するキー、回収枚数、回収金額を表示するエリアA、動作開始を指定するキーB、回収完了を指定するキーC等と共に表示されている
この損券回収画面を見てオペレータが入力部4を操作して損券回収を行う金種を指定する(S2)。この場合、金種の指定は任意であるが、ここでは金種毎のキーをクリックすることで「万」と「千」を指定したものとする。
【0024】
この金種指定後、動作開始を指示するためにオペレータが入力部4を操作して動作開始キーBを押下すると(S3)、これを受けて制御部10は紙幣入出金機1に回収動作の開始を指示し、これにより紙幣入出金機1は紙幣収納庫24aの下部から図示しない繰り出し手段により万円券を1枚ずつ繰り出す(S4)。
繰り出された紙幣は図示しないセンサにより検知され、その検知信号により制御部10は万円紙幣用の繰出枚数カウンタ10bで紙幣の繰出枚数をカウントする。この繰出枚数カウンタ10bの値は予め「0」にクリアされており、紙幣が繰り出される毎に値を「1」ずつ加算して行く。
【0025】
また、繰り出された紙幣は搬送路29により第2の鑑別部に搬送して金種、正損等の鑑別を行う(S5)。
その結果、万円の正券ならば計数後、紙幣収納庫24aの上部にある一時集積部25aへ搬送路29により搬送して集積し(S6)、また鑑別した紙幣が万円の損券なら計数後、搬送路29により出金口28に搬送して集積(S7)すると共に、前記図7に示した損券回収画面のエリアAに金種別の回収枚数、金種別の回収金額、合計金額を表示する。
【0026】
更に、鑑別した紙幣が繰り出し失敗等に起因する重ね送りや異金種などの場合は、リジェクト券として搬送路29により出金RJ庫27へ搬送して収納する(S8)。
制御部10は前記のように一時集積部25aに紙幣を集積したとき、一時集積部25aに設けられている図示しないフル検知センサの出力に基づいて一時集積部25aがフル(満杯)になったか否かを判断し(S9)、フルの場合は一旦紙幣の繰り出し動作を停止して(S10)、一時集積部25aの紙幣を紙幣収納庫24aに収納した後(S11)、繰り出し動作を再開する(S12)。
【0027】
また、制御部10は前記のように出金口28に損券を集積したとき、出金口28に設けられている図示しないフル検知センサの出力に基づいて出金口28がフル(満杯)になったか否かを判断し(S13)、フルの場合は一旦紙幣の繰り出し動作を停止して(S14)、出金口28のシャッターを開き、更に出金口28から損券を抜き取るよう促す画面を表示部5に表示したり、音声で抜き取りを誘導する(S15)。
【0028】
これによりオペレータが出金口28から損券を抜き取ると、制御部10は出金口28のシャッターを閉じ、紙幣の繰り出し動作を再開させる(S16)。
尚、このとき表示部5には、再び損券回収画面を表示する。
更に、制御部10は前記のように出金RJ庫27にリジェクト券を収納したとき、出金RJ庫27に設けられている図示しないフル検知センサの出力に基づいて出金RJ庫27がフル(満杯)になったか否かを判断し(S17)、フルの場合は一旦紙幣の繰り出し動作を停止して(S18)、出金RJ庫27からリジェクト券を回収するように促す画面を表示部5に表示したり、音声で回収を誘導する処理を行う(S19)。
【0029】
これによりオペレータが出金RJ庫27からリジェクト券を回収し、その後、入力部4をリジェクト券の回収を終了した旨の入力を行うと、制御部10は紙幣の繰り出し動作を再開させる(S20)。
この場合も表示部5に損券回収画面を再び表示する。
尚、上記フルの判定(S7、S13、S17)は、フル検知センサによる他、各々予め決められた枚数に達したときとしてもよい。
【0030】
次に制御部10は、紙幣収納庫24a内の紙幣がエンドになったか否かを、紙幣収納庫24aに設けられている図示しないフル検知センサの出力に基づいて判断し、また万円券用の繰出枚数カウンタ10bの値による金額が万円券用の現金在高カウンタ10aの値以上になったか否かを判断して(S21)、エンドではなく、万円券用の繰出枚数カウンタ10bの値による金額が万円券用の現金在高カウンタ10aの値以上でもない場合、S4からの処理を繰り返す。
【0031】
エンドまたは万円券用の繰出枚数カウンタ10bの値による金額が万円券用の現金在高カウンタ10aの値以上になった場合は、紙幣収納庫24a内からの紙幣の繰り出しを停止し、このとき一時集積部25aに紙幣が集積されていれば、その紙幣を紙幣収納庫24aに収納する(S22)。
続いて、制御部10は別の金種の指定があるか否かを判断する(S23)。
【0032】
本実施例では前記のように回収紙幣の金種として千円が指定されているので、S4に戻り繰り出し対象を千円紙幣用の紙幣収納庫24dに変更して、前記万円紙幣の場合と同様に千円紙幣の損券を回収する。
尚、千円紙幣の損券を回収する前に出金口28に端数の万円紙幣の損券が集積されている場合、その損券を抜き取らせるようにしてもよい。
【0033】
そして、指定したすべての金種における損券の回収が終了すると、制御部10は前記損券回収画面に回収結果を確認して完了キーを押下するように促すメッセージを表示し(S24)、出金口28のシャッターを開いて損券の抜き取りを誘導する(S25)。
これによりオペレータは出金口8から損券を抜き取り、損券回収画面のエリアAに表示されている回収枚数、回収金額を確認した後、入力部4を操作して前記損券回収画面の完了キーCを押下する(S26)。
【0034】
尚、途中でリジェクト券の抜き取った場合(例えば、S8、S17〜S20の処理が実行された場合)、オペレータはそのリジェクト券の処理を行う。この処理としては抜き取ったリジェクト券を手で計数して回収するか、または金種別に分けて紙幣収納庫24a〜24d内に戻す等のことを行う。
制御部10はカウンタ登算を行う(S27)。すなわち、今回の損券の処理によりオペレータに回収させた損券の金種別の金額を該当金種の現金在高カウンタ10aの値から減算し、減算した値を現金在高カウンタ10aの値として更新する。
【0035】
続いて制御部10は、オペレータに回収させた損券の明細をプリンタ6により伝票に印字させ、オペレータに放出することで損券回収の処理を終了し、表示部5に取引のメニュー画面を表示する。
尚、上記の説明では社会一般に流通量の多い万円紙幣と千円紙幣を対象として損券の回収を行う例を説明したが、五千円紙幣及びニ千円紙幣についても同様に損券を回収することが可能である。
【0036】
以上説明したように、第1の実施例では、現金処理装置の紙幣入出金機の空き時間に紙幣入出金機の紙幣収納庫から損券のみを回収するようにしているため、紙幣収納庫内に常に損券が存在することによる資金効率の低下を抑制することができ、また、損券回収後に行われる出金取引について、その取引処理に要する時間を短縮できるという効果が得られる。
【0037】
また、損券は紙幣入出金機の出金口に送ってオペレータに回収させるため、損券の回収処理を紙幣入出金機のみで行うことができ、ほかのオペレータが紙幣入出金機以外の現金処理ユニットで行う処理の妨げにならないという利点もある。
次に第2の実施例について説明する。
この第2の実施例は現金処理ユニットとして紙幣入出金機1と補充回収機2を用いて現金処理装置の空き時間に損券の回収処理を行うものである。
【0038】
図8〜図10は第2の実施例を示す損券回収動作時のフローチャート、図11は損券回収時の紙幣の流れを示す説明図であり、以下に第2の実施例を図8〜図10のフローチャートと共に、図4及び図11を参照して説明する。
尚、以下の説明は、図8〜図10のフローチャートにSで示したステップに従って行う。
【0039】
まず、図8に示したS1で損券回収画面が表示されるが、この損券回収画面には第1の実施例で説明した損券を出金口28に排出する旨等のメッセージに代えて、損券を補充回収カセットに移動させる旨のメッセージが表示される。
この画面で金種の指定が第1の実施例と同様に行われると、続いてS2からS6まで第1の実施例と同様の処理が行われる。
【0040】
S5で鑑別した紙幣が万円の損券の場合、回転搬送路及び接続用搬送路により紙幣補充回収機2へ搬送し(S7a)、この紙幣補充回収機2内の搬送路34により補充回収カセット31の一時集積部32に送って集積すると共に、表示部5の損券回収画面のエリアAに金種別の回収枚数、金種別の回収金額、合計金額を表示する。
S8からS12までの処理も第1の実施例と同様に行われる。
【0041】
制御部10は前記のように補充回収カセット31の一時集積部32に損券を集積したとき、一時集積部32に設けられている図示しないフル検知センサの出力に基づいて一時集積部32がフル(満杯)になったか否かを判断し(S13a)、フルの場合は一旦紙幣の繰り出し動作を停止して(S14a)、一時集積部32の損券を補充回収カセット31内に落下させて収納(S15a)した後、紙幣の繰り出し動作を再開させる(S16a)。
【0042】
但し、前記S15aにおいて損券を補充回収カセット31内に収納することで補充回収カセット31がフルになった場合は、それ以上紙幣を収納できないので、カセットフル発生のメッセージを表示して処理を中断し、S24へ移行する。
前記S16aでの繰り出し動作再開後、S17からS24まで第1の実施例と同様に処理が行われた後、一時集積部32に損券が集積されていれば、その損券を補充回収カセット31内に落下させて収納(S25a)するが、S23で別の金種の指定があると判断したとき、その金種の損券を回収する際、一時集積部32に端数の損券が集積されている場合は、その損券を補充回収カセット31内に収納した後、次の金種の損券の回収に移るようにしてもよい。
【0043】
以後、S26からS28まで第1の実施例と同様に処理が行われて処理終了となる。
尚、この実施例においても万円紙幣及び千円紙幣と同様に五千円紙幣及びニ千円紙幣の損券を回収することが可能である。
以上説明した第2の実施例も、現金処理装置の空き時間に紙幣入出金機の紙幣収納庫から損券のみを回収するようにしているため、紙幣収納庫内に常に損券が存在することによる資金効率の低下を抑制することができ、また、損券回収後に行われる出金取引について、その取引処理に要する時間を短縮できるという効果が得られる。
【0044】
また、この第2の実施例では、損券を補充回収機に装着された補充回収カセットに収納するため、損券を装置から取り出す場合、補充回収カセット毎取り出すことができ、損券に人手を触れることなく回収が可能になるため、高いセキュリティー性が得られるという利点がある。
次に第3の実施例について説明する。
【0045】
この第3の実施例は現金処理ユニットとして紙幣入出金機1と補充回収機2と施封小束支払機3を用いて現金処理装置の空き時間に損券の回収処理を行うものである。
図12〜図14は第3の実施例を示す損券回収動作時のフローチャート、図15は損券回収時の紙幣の流れを示す紙幣入出金機1と補充回収機2と施封小束支払機3の概略側面図であり、以下に第2の実施例を図12〜図14のフローチャートと共に、図4及び図15を参照して説明する説明する。
【0046】
尚、以下の説明は、図12〜図14のフローチャートにSで示したステップに従って行う。
まず、図12に示したS1で損券回収画面が表示されるが、この損券回収画面には第1の実施例で説明した損券を出金口28に排出する旨等のメッセージに代えて、損券を施封小束支払機3で施封して排出する旨のメッセージが表示される。
【0047】
この画面で金種の指定が第1の実施例と同様に行われると、続いてS2からS6まで第1の実施例と同様の処理が行われる。
S5で鑑別した紙幣が万円の損券の場合、回転搬送路及び接続用搬送路により紙幣補充回収機2を経由させて施封小束支払機3へ搬送し(S7b)、この施封小束支払機3内の搬送路により集積部41に送って集積すると共に、表示部5の損券回収画面のエリアAに金種別の回収枚数、金種別の回収金額、合計金額を表示する。
【0048】
この実施例でもS8からS12までの処理は第1の実施例と同様に行われる。
制御部10は前記のように施封小束支払機3の集積部41に損券を集積したとき、集積部41に搬送された紙幣が一定枚数(例えば100枚)になったか否かを判断し(S13b)、100枚になった場合は損券の搬送先を複数ある他の集積部41に変更する(S14b)。
【0049】
そして、集積部41の100枚の損券を施封部43に送って施封し(S15b)、施封された損券の小束を小束搬送路44により小束出金口45に搬送してオペレータに放出する(S16b)。
その後、S17からS24まで第1の実施例と同様に処理が行われた後、集積部41に端数の損券が集積されていれば、その損券を集積部41から抜き取るよう促す画面を表示部5に表示したり、音声で抜き取りを誘導する(S25b)。
【0050】
その後、別の金種の指定があれば、同様にその金種の損券の回収を繰り返す。
以後、S26からS28まで第1の実施例と同様に処理が行われて処理終了となる。
この実施例においても万円紙幣及び千円紙幣と同様に五千円紙幣及びニ千円紙幣の損券を回収することが可能である。
以上説明した第3の実施例でも、現金処理装置の空き時間に紙幣入出金機の紙幣収納庫から損券のみを回収するようにしているため、紙幣収納庫内に常に損券が存在することによる資金効率の低下を抑制することができ、また、損券回収後に行われる集金取引について、その取引処理に要する時間を短縮できるという効果が得られる。
【0051】
また、この第3の実施例では、損券を施封小束支払機で施封し、小束にしてオペレータに放出するため、回収した損券の取り扱いが容易になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1の実施例を示す損券回収動作時のフローチャート
【図2】第1の実施例を示す損券回収動作時のフローチャート
【図3】第1の実施例を示す損券回収動作時のフローチャート
【図4】本発明による現金処理装置のブロック図
【図5】主要現金処理ユニットの内部構造を示す概略側面図
【図6】第1の実施例における損券回収動作時の紙幣の流れを示す説明図
【図7】損券回収画面の1例を示す図
【図8】第2の実施例を示す損券回収動作時のフローチャート
【図9】第2の実施例を示す損券回収動作時のフローチャート
【図10】第2の実施例を示す損券回収動作時のフローチャート
【図11】第2の実施例における損券回収動作時の紙幣の流れを示す説明図
【図12】第3の実施例を示す損券回収動作時のフローチャート
【図13】第3の実施例を示す損券回収動作時のフローチャート
【図14】第3の実施例を示す損券回収動作時のフローチャート
【図15】第3の実施例における損券回収動作時の紙幣の流れを示す説明図
【符号の説明】
【0053】
1 紙幣入出金機
2 補充回収機
3 施封小束支払機
4 入力部
5 表示部
6 プリンタ
7 第1の記憶部
8 第2の記憶部
9 通信部
10 制御部
10a 現金在高カウンタ
10b 繰出枚数カウンタ
21 入金口
22 第1の鑑別部
23 入金RJ口
24a〜24d 紙幣収納庫
25a〜25d 一時集積部
26 第2の鑑別部
27 出金RJ庫
28 出金口
29 搬送路
31 補充回収カセット
32 一時集積部
33 鑑別部
34 搬送路
41 集積部
42 搬送路
43 施封部
44 小束搬送路
45 小束出金口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引選択の操作等を行う入力部と、入金時に鑑別部で入金可能と鑑別された紙幣を正券、損券に拘らず一時集積部に集積した後、この一時集積部の紙幣をすべて紙幣収納庫に収納し、出金時には前記紙幣収納庫から繰り出した紙幣を前記鑑別部で鑑別して、出金可能と鑑別された正券の紙幣のみを出金口から出金する紙幣入出金機とを備えた現金処理装置において、
前記入力部で損券の回収が選択されたとき、前記紙幣入出金機の紙幣収納庫から紙幣を繰り出して前記鑑別部に送り、鑑別部で正券と鑑別された紙幣を前記一時集積部に集積し、損券と鑑別された紙幣を前記出金口に搬送して出金するよう制御する制御手段を備えたことを特徴とする現金処理装置。
【請求項2】
取引選択の操作等を行う入力部と、入金時に鑑別部で入金可能と鑑別された紙幣を正券、損券に拘らず一時集積部に集積した後、この一時集積部の紙幣をすべて紙幣収納庫に収納し、出金時には前記紙幣収納庫から繰り出した紙幣を前記鑑別部で鑑別して、出金可能と鑑別された正券の紙幣のみを出金口から出金する紙幣入出金機と、着脱自在な補充回収カセットを有する補充回収機とを備えた現金処理装置において、
前記入力部で損券の回収が選択されたとき、前記紙幣入出金機の紙幣収納庫から紙幣を繰り出して前記鑑別部に送り、鑑別部で正券と鑑別された紙幣を前記一時集積部に集積し、損券と鑑別された紙幣を前記補充回収機の補充回収カセットに搬送して収納させるよう制御する制御手段を備えたことを特徴とする現金処理装置。
【請求項3】
取引選択の操作等を行う入力部と、入金時に鑑別部で入金可能と鑑別された紙幣を正券、損券に拘らず一時集積部に集積した後、この一時集積部の紙幣をすべて紙幣収納庫に収納し、出金時には前記紙幣収納庫から繰り出した紙幣を前記鑑別部で鑑別して、出金可能と鑑別された正券の紙幣のみを出金口から出金する紙幣入出金機と、紙幣を施封して小束にする施封部及び小束出金口を有する施封小束支払機とを備えた現金処理装置において、
前記入力部で損券の回収が選択されたとき、前記紙幣入出金機の紙幣収納庫から紙幣を繰り出して前記鑑別部に送り、鑑別部で正券と鑑別された紙幣を前記一時集積部に集積し、損券と鑑別された紙幣を前記施封小束支払機に搬送して前記施封部で小束に施封した後、小束出金口に搬送して出金するよう制御する制御手段を備えたことを特徴とする現金処理装置。
【請求項4】
請求項1、または請求項2、請求項3において、
前記制御手段は、損券の回収時、前記鑑別手段で正券と鑑別された紙幣を前記一時集積部に集積して、一定枚数集積する毎に前記紙幣収納庫に収納させることを特徴とする現金処理装置。
【請求項5】
請求項1、または請求項2、請求項3において、
前記紙幣収納庫内の現金の在高を記憶した在高記憶部段と、前記紙幣収納庫から繰り出される紙幣の枚数を1枚ずつ加算して記憶する繰出枚数記憶部段とを備え、
前記制御手段は、損券の回収時、繰出枚数記憶部段に記憶された枚数が前記在高記憶部に記憶された値に達したとき前記紙幣収納庫からの紙幣の繰り出しを終了させることを特徴とする現金処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−268605(P2006−268605A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87612(P2005−87612)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】