説明

球状ハロゲン化マグネシウムの付加物、ならびに、該付加物から調製されるオレフィン重合のための触媒成分および触媒

式(I)で表わされるハロゲン化マグネシウムの付加物を開示する。
MgX・mROH・nE・pHO (I)
(ただし、Xは、塩素、臭素、炭素数が1〜12のアルコキシ、炭素数が3〜10のシクロアルコキシ、または、炭素数が6〜10のアリールオキシであるが、少なくとも1つのXは塩素または臭素であって、Rは、炭素数が1〜12のアルキル、炭素数が3〜10のシクロアルキル、または、炭素数が6〜10のアリールであって、Eは式(II)で表わされるo−アルコキシ安息香酸エステル化合物であり、
【化1】


ただし、R基およびR基は互いに独立して、炭素数が1〜12の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基、炭素数が6〜10のアリール基、炭素数が7〜10のアルカリル基、または、炭素数が7〜10のアラルキル基であって、R基およびR基はR基と同一または異なり、mは1.0〜5.0の範囲にあって、nは0.001〜0.5の範囲にあって、pは0〜0.8の範囲にある。)
(1)上記ハロゲン化マグネシウムの付加物と、(2)チタン化合物と、任意に(3)電子供与体化合物との反応生成物を含有する、オレフィン重合において有用な触媒成分も開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、球状ハロゲン化マグネシウムの付加物に関し、さらに、該付加物から担持体として調製され、オレフィン重合(特にプロピレン重合)において有用な触媒成分および触媒に関する。より具体的には、本発明は、少なくとも三つの成分(ハロゲン化マグネシウム、アルコール、および、o−アルコキシ安息香酸エステル化合物)を含有する球状ハロゲン化マグネシウムの付加物、該付加物とチタン化合物(さらに任意に内部電子供与体化合物)との反応生成物を含有する触媒成分、および、該触媒成分の使用に関する。
【0002】
〔背景技術〕
チタン化合物および電子供与体化合物を活性ハロゲン化マグネシウムの担持体上に担持することによってチーグラー・ナッタ触媒を調製することは、当該技術分野において周知である。
【0003】
ハロゲン化マグネシウムとアルコールとの付加物は活性ハロゲン化マグネシウムの担持体として使用されることが多く、ハロゲン化チタンおよび電子供与体化合物と反応して球状の触媒成分を生成する。この触媒成分は、共触媒(さらに、任意に外部電子供与体化合物)と共に触媒を構成する。オレフィン重合(特にプロピレン重合)において使用されると、この触媒は比較的高い重合活性および高い立体特異性を示す。
【0004】
公知のハロゲン化マグネシウム・アルコール付加物は、一般に、二塩化マグネシウムとアルコールとの二つの成分を含有する。一部の公知のアルコール付加物は微量の水をさらに含有する。このようなアルコール付加物は、例えば、噴霧乾燥プロセス、噴霧冷却プロセス、高圧押出しプロセス、高速攪拌プロセスなどの公知のプロセスによって調製すればよい。二塩化マグネシウム・アルコール付加物については、例えば、US4,421,674、US4,469,648、WO8707620、WO9311166、US5,100,849、US6,020,279、US4,399,054、EP0 395 383、US6,127,304、US6,323,152などに記載されている。
【0005】
このような二塩化マグネシウム・アルコール付加物から調製された触媒をオレフィン重合において使用した場合、触媒粒子において、さらに重合体粒子においてもクラッキング現象が容易に発生し、その結果、重合体の微粉が過剰になることが分かっている。主な理由は、上記付加物とハロゲン化チタンおよび電子供与体化合物とが反応することによって付加物担持体中に形成される触媒活性部位が、一様に分布していないからではないかと考えられる。この短所を解消するために、二塩化マグネシウム・アルコール付加物担持体の調製時に、電子供与体化合物を導入しようという試みがなされている。例えば、中国特許ZL02136543.1およびCN1563112Aに開示されている手法では、担持体の調製時に当該技術分野において周知の内部電子供与体(例えばフタル酸エステル)を導入して、球状の「二塩化マグネシウム−アルコール−フタル酸エステル」多成分担持体を形成し、この多成分担持体が四塩化チタンと反応して触媒成分を形成する。ただし、この球状の多成分担持体は調製時には粘稠性を有する可能性が高いので、所望の粒径を有する球状の粒子を形成することは困難である(開示されている球状担持体の平均粒径D50は70μm〜200μmの範囲である)。また、プロピレン重合において使用すると、上記触媒はせいぜい406gPP/gcat.の触媒活性しか示さない。したがって、この触媒は不十分である。
【0006】
中国特許出願CN101050245Aには、一般式MgX・mROH・nE・pHO(ただし、Eはgem−ジヒドロカルビルオキシ炭化水素の化合物である)で表わされる球状の付加物担持体が開示されている。この担持体の方が、粒径分布が狭く、担持体の平均粒径を容易に制御することができる。該付加物担持体をチタン化合物と反応させることによって調製した触媒成分は、オレフィン重合(特にプロピレン重合)において使用すると、水素に対して良好な応答性を示し、その結果得られる重合体は良好な粒子形態を有する。ただし、この触媒成分をプロピレン重合において水素濃度を上げて使用する場合には、その立体特異性、特に高いメルト・インデックスを有して得られた重合体のイソタクチシチー・インデックス(isotacticity index)をさらに向上させる必要がある。
【0007】
中国特許出願CN85101441Aには、(a)プロ触媒(procatalyst)、(b)共触媒、および、(c)選択性制御剤を含有し、担持体を有するある種の配位触媒系の存在下で、α−モノオレフィンを重合するためのプロセスが開示されている。さらに、同開示によると、(a)は二塩化マグネシウム、四塩化チタン、および、電子供与体を含有する固体組成物であって、(b)はアルミニウムトリアルキルであって、(c)は強い選択性制御剤と弱い選択性制御剤との組み合わせである。この強い選択性制御剤は、例えばアルコキシ安息香酸エステル(好ましくはp−アルコキシ安息香酸エステル)であればよく、弱い選択性制御剤は例えばエーテルまたは三級アミンであればよい。ただし、プロピレン重合の場合には、アルコキシ安息香酸エステルを単独で使用するか、または、強い選択性制御剤と弱い選択性制御剤との組み合わせを使用すると、その結果得られる重合体のイソタクチシチー・インデックスが低下する。
【0008】
中国特許出願CN1743347Aには、o−アルコキシ安息香酸エステル化合物を内部電子供与体としてオレフィン重合触媒成分に組み込むことが開示されている。この特許出願には、o−アルコキシ安息香酸エステル化合物とフタル酸エステル化合物との組み合わせを内部電子供与体として使用すると、その結果得られる触媒の水素に対する応答性を改善することができることが開示されている。ただし、このような触媒を使用することによって、高いメルト・インデックスを有して得られたポリプロピレンのイソタクチシチー・インデックスは低下する。
【0009】
こうすることによって、比較的高い重合活性、高い立体特異性、および、水素濃度を上げると高いメルト・インデックスを有し、イソタクチシチー・インデックス(isotactic index)がより高いポリプロピレンを得ることができる性能を示し、かつ、良好な粒子形態およびより高い容積密度を有する重合体を生成するオレフィン重合のための触媒が依然必要とされている。
【0010】
〔発明の概要〕
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、o−アルコキシ安息香酸エステル化合物をハロゲン化マグネシウム・アルコール付加物担持体に組み込めば、該化合物が内部で形成されるか、あるいは、該化合物として添加されるかに関わらず、o−アルコキシ安息香酸エステル化合物を一切使用しない場合、または、固体触媒成分をハロゲン化マグネシウム・アルコール付加物担持体から調製する際にo−アルコキシ安息香酸エステル化合物を導入する場合に比較して、優れた結果が得られることを見出した。例えば、この結果得られる担持体は良好な粒子形態を有し、オレフィン重合(特にプロピレン重合)において使用すると、このようなo−アルコキシ安息香酸エステルを含有する担持体から調製される触媒は、例えより高いメルト・インデックスを有する重合体を調製するために水素濃度を上げても、比較的高い立体特異性を示す。より高いメルト・インデックスおよびより高いイソタクチシチー・インデックスを有するこのような重合体は、良好な機械的特性および良好な加工性を有するので、望ましい。さらに、オレフィン重合(特にプロピレン重合)において使用すると、上記o−アルコキシ安息香酸エステルを含有する担持体から調製される触媒は、より高い重合活性を示し、その結果として得られる重合体は良好な粒子形態を有し、微粉の発生が減少し、その結果、この触媒はポリプロピレンの産業規模での製造に非常に適している。
【0011】
したがって、本発明の一つの目的は、ハロゲン化マグネシウムと、アルコールと、o−アルコキシ安息香酸エステル化合物とを含有する球状ハロゲン化マグネシウムの付加物を提供することである。
【0012】
本発明のもう一つの目的は、本発明に係る球状ハロゲン化マグネシウムの付加物を調製するプロセスを提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、本発明の球状ハロゲン化マグネシウムの付加物と、チタン化合物と、任意に内部電子供与体との反応生成物を含有する、オレフィン重合のためのチタン含有触媒成分を提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、a)本発明に係るチタン含有触媒成分と、b)アルキルアルミニウム共触媒と、c)任意の外部電子供与体との反応生成物を含有する、オレフィン重合のための触媒を提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、本発明に係る触媒に、重合条件下で、式CH=CHR(ただし、Rは、H、または、炭素数が1〜6のアリールもしくはアルキル)で表わされるオレフィンを接触させることを含む、オレフィンを重合するプロセスを提供することである。
【0016】
〔好適な実施形態の詳細な説明〕
ここでは、「重合」という用語は、単独重合および共重合を包含する。
【0017】
ここでは、「重合体」という用語は、単独重合体、共重合体、および、三元重合体を包含する。
【0018】
ここでは、「触媒成分」という用語は、従来の共触媒(例えばアルキルアルミニウム)および任意に外部電子供与体化合物と共に、オレフィン重合のための触媒を構成する、主な触媒成分またはプロ触媒(procatalyst)を意味する。
【0019】
ここでは、「触媒」という用語は、「触媒系」という用語と同義であって、触媒成分、共触媒、および、任意に外部電子供与体化合物を包含する。
【0020】
第1の態様では、本発明は、式(I)で表わされるハロゲン化マグネシウムの付加物を提供する。
【0021】
MgX・mROH・nE・pHO (I)
(ただし、Xは、塩素、臭素、炭素数が1〜12のアルコキシ、炭素数が3〜10のシクロアルコキシ、または、炭素数が6〜10のアリールオキシであるが、
少なくとも1つのXは塩素または臭素であって、
Rは、炭素数が1〜12のアルキル、炭素数が3〜10のシクロアルキル、または、炭素数が6〜10のアリールであって、
Eは式(II)で表わされるo−アルコキシ安息香酸エステル化合物であり、
【0022】
【化1】

ただし、R基およびR基は互いに独立して、炭素数が1〜12の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基、炭素数が6〜10のアリール基、炭素数が7〜10のアルカリル基、または、炭素数が7〜10のアラルキル基であって、
基およびR基はR基と同一または異なり、
mは1.0〜5.0、好ましくは1.5〜3.5の範囲にあって、
nは0.001〜0.5、好ましくは0.005〜0.2の範囲にあって、
pは0〜0.8の範囲にある。)
式(I)において、Xは好ましくは塩素である。上記ハロゲン化マグネシウムの付加物の調製において有用なハロゲン化マグネシウムMgXの例としては、二塩化マグネシウム、二臭化マグネシウム、フェノキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウムなどが挙げられ、二塩化マグネシウムが好ましいが、これらの例に限定されるものではない。これらのハロゲン化マグネシウムは単独で使用しても、組み合わせて使用してもかまわない。
【0023】
上記ハロゲン化マグネシウムの付加物の調製において有用なアルコールは、例えば、式ROHで表わされる。ただし、Rは、炭素数が1〜12のアルキル、炭素数が3〜10のシクロアルキル、または、炭素数が6〜10のアリールであって、好ましくは炭素数が1〜4のアルキルである。これらのアルコールの例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
【0024】
式(II)において、RおよびRは互いに独立して、炭素数が1〜12の直鎖状または分岐鎖状アルキル、炭素数が3〜10のシクロアルキル、炭素数が6〜10のアリール、炭素数が7〜10のアルカリル(alkaryl)、または、炭素数が7〜10のアラルキルであって、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、インデニル、ベンジル、または、フェニルエチルである。好ましくは、RおよびRは互いに独立して、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状アルキル、炭素数が3〜6のシクロアルキル、または、炭素数が6〜10のアリールである。より好ましくは、RおよびRは互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、または、ペンチルである。
【0025】
式(II)で表わされるo−アルコキシ安息香酸エステル化合物の例としては、o−メトキシ安息香酸メチル、o−メトキシ安息香酸エチル、o−メトキシ安息香酸n−プロピル、o−メトキシ安息香酸イソプロピル、o−メトキシ安息香酸n−ブチル、o−メトキシ安息香酸イソブチル、o−エトキシ安息香酸メチル、o−エトキシ安息香酸エチル、o−エトキシ安息香酸n−プロピル、o−エトキシ安息香酸イソプロピル、o−エトキシ安息香酸n−ブチル、o−メトキシ安息香酸イソブチルなどが挙げられる。
【0026】
好適な実施形態では、本発明に係るハロゲン化マグネシウムの付加物は、式(I)で表わされる組成を有する。
【0027】
MgX・mROH・nE・pHO (I)
(ただし、Xは塩素であって、Rは炭素数が1〜4のアルキルであって、mは1.5〜3.5の範囲にあって、nは0.005〜0.2の範囲にあって、Eは式(II)で表わされるo−アルコキシ安息香酸エステル化合物であり、
【0028】
【化2】

ただし、Rはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、または、イソブチルであって、RはRと同一または異なり、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、または、イソブチルであって、pは上述のように規定される。)
上記付加物は、例えば、噴霧乾燥プロセス、噴霧冷却プロセス、高圧押し出プロセス、高速攪拌プロセス、超重力回転床(super−gravity rotary bed)プロセス(例えばCN1580136Aに記載のプロセス)などの当該技術分野において周知のプロセスによって調製されてもかまわない。
【0029】
一般に、ハロゲン化マグネシウム、アルコール、および、o−アルコキシ安息香酸エステルまたはその前駆物質(例えば、塩化o−アルコキシベンゾイルなどのハロゲン化o−アルコキシベンゾイル)は、まず、不活性液体媒体の存在下または非存在下において高温で相互反応して、最終的には反応混合物を融解させるために十分に高い温度(好ましくは100℃〜140℃の範囲の温度)になる。上記不活性液体媒体は、一般には、例えばケロシン、パラフィン油、ワセリン油、白油、ヘキサン、ヘプタンなどの不活性な脂肪族炭化水素溶媒であって、必要であれば、任意に有機ケイ素化合物(例えばジメチルシリコーンオイルなどの有機シリコン油および/または界面活性物質)を含有する。次に、得られた融解物を冷却媒体中で固化して、固体粒子を形成する。なお、この冷却媒体は、例えば、沸点が比較的低い不活性炭化水素溶媒であればよく、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ガソリン、石油エーテルなどが例として挙げられ、さらに、ハロゲン化マグネシウムの付加物の融解物流に接触する前に−60℃〜30℃、好ましくは−40℃〜0℃の温度に制御されればよい。
【0030】
好適な実施形態では、本発明に係るハロゲン化マグネシウムの付加物は、以下の二つのステップを含むプロセスによって調製されてもよい。すなわち、
(i)上記ハロゲン化マグネシウムと、アルコールと、o−アルコキシ安息香酸エステルまたはその前駆物質(例えば、塩化o−アルコキシベンゾイルなどのハロゲン化o−アルコキシベンゾイル)と、不活性液体媒体とを閉じた反応器中で混合し、その結果得られる混合物を攪拌しながら100℃〜140℃の温度まで加熱して、ハロゲン化マグネシウムの付加物の融解物を形成することによって、ハロゲン化マグネシウムの付加物の融解物を調製するステップ。
(ただし、上記ハロゲン化マグネシウムは上記不活性液体媒体1L当たり0.1mol〜1.0molの量で添加され、
上記アルコールおよびo−アルコキシ安息香酸エステルまたはその前駆物質は、ハロゲン化マグネシウム1mol当たり、それぞれ1mol〜5molおよび0.001mol〜0.5molの量で添加され、
上記不活性液体媒体は上述の通りであり、
上記ハロゲン化マグネシウムおよび/またはアルコールが含有するわずかな量の水が、上記付加物を形成する反応に関与してもよく、
上記ハロゲン化マグネシウムの付加物の調製において、個々の原料を添加する順序は任意である。)
(ii)上記ハロゲン化マグネシウムの付加物の融解物に剪断作用を加え、次に上記ハロゲン化マグネシウムの付加物の融解物を冷却媒体中に排出して、該ハロゲン化マグネシウムの付加物の球状粒子を形成することによって、上記ハロゲン化マグネシウムの付加物の球状粒子を形成するステップ。
(なお、上記剪断作用は、例えば、高速攪拌プロセス(例えば、CN1330086を参照)、噴霧プロセス(例えば、US6,020,279を参照)、超重力回転床プロセス(例えば、CN1580136Aを参照)、または、乳化装置プロセス(例えば、CN1463990Aを参照)などの従来の方法で加えられればよく、
上記冷却媒体は上述の通りである。)
不活性炭化水素溶媒で洗浄し、乾燥した後に、上述のように調製された球状付加物粒子は、オレフィン重合のための触媒成分の調製において使用されてもかまわない。
【0031】
第2の態様では、本発明は、(1)本発明の球状ハロゲン化マグネシウムの付加物と、(2)チタン化合物と、任意に(3)内部電子供与体化合物との反応生成物を含有する、オレフィン重合のためのチタン含有触媒成分を提供する。
【0032】
このチタン化合物は、例えば、式TiXまたはTi(OR4−m(ただし、Rは互いに独立して炭素数が1〜14の脂肪族ヒドロカルビル基であって、Xは互いに独立してF、CaCl、Br、または、Iであって、mは1〜4の整数である)で表わされる化合物から選択されればよい。このチタン化合物の例としては、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、テトラブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラブトキシ塩化チタン、ジブトキシ二塩化チタン、ブトキシ三塩化チタン、トリエトキシ塩化チタン、ジエトキシ二塩化チタン、エトキシ三塩化チタン、三塩化チタン、および、これらの混合物などが挙げられ、四塩化チタンが好ましいが、これらの例に限定されるものではない。
【0033】
本発明に係るオレフィン重合のためのチタン含有触媒成分は、当該技術分野において公知の方法で、例えば、上記微粒子状ハロゲン化マグネシウムの付加物をチタン化合物と反応させることによって調製されればよい。好適な実施形態では、チタン含有触媒成分は以下のステップを含む方法で調製される。すなわち、本発明のハロゲン化マグネシウムの付加物を、冷却した四塩化チタンまたは四塩化チタンと不活性溶媒との混合物中で、この液体の温度をほぼ−30℃〜0℃、好ましくは−20℃〜−10℃の範囲に維持しながら懸濁するステップと、次に、この結果として得られる混合物を40℃〜130℃、好ましくは60℃〜120℃の温度まで加熱し、その温度で0.5時間〜2.0時間維持するステップと、次に、上記混合物のうち液体を濾過分離して固体を回収するステップとである。四塩化チタンを用いたこのような処理を1回以上、好ましくは2回〜4回、実施すればよい。上記不活性溶媒は、好ましくは脂肪族または芳香族炭化水素であって、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエンなどである。
【0034】
上記ハロゲン化マグネシウムの付加物とチタン化合物との反応前、反応中、または、反応後に、少なくとも1つの内部電子供与体化合物を任意に使用して、ハロゲン化マグネシウムの付加物を処理してもかまわない。オレフィン重合のための触媒成分中において内部電子供与体化合物を使用することは、当該技術分野において周知である。特に、内部電子供与体化合物をプロピレン重合のための触媒成分中に組み込むことは、高いイソタクチシチー・インデックスを有するプロピレン重合体を得るために、非常に必要である。当該技術分野において広く使用される内部電子供与体化合物は、すべて本発明で使用可能である。
【0035】
適切な内部電子供与体化合物としては、エステル、エーテル、ケトン、アミン、シランなどが挙げられる。単一塩基性および多塩基性の脂肪族および芳香族カルボン酸エステル、ジオールエステル、および、ジエーテルが好ましい。
【0036】
具体的に、単一塩基性および多塩基性の脂肪族および芳香族カルボン酸のエステルとしては、安息香酸エステル、フタル酸エステル、マロン酸エステル、コハク酸エステル、グルタル酸エステル、ピバル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、ナフタレンジカルボン酸エステル、トリメット酸エステル、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸エステル、ピロメリット酸エステル、炭酸エステルなどが挙げられる。例としては、安息香酸エチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジブチル、コハク酸ジエチル2,3−ジイソプロピル、コハク酸ジイソブチル2,3−ジイソプロピル、コハク酸ジ−n−ブチル2,3−ジイソプロピル、コハク酸ジメチル2,3−ジイソプロピル、コハク酸ジイソブチル2,2−ジメチル、コハク酸ジイソブチル2−エチル−2−メチル、コハク酸ジエチル2−エチル−2−メチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、ナフタレンジカルボン酸ジエチル、ナフタレンジカルボン酸ジブチル、トリメット酸トリエチル、トリメット酸トリブチル、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸トリエチル、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸トリブチル、ピロメリット酸テトラエチル、ピロメリット酸テトラブチルなどが挙げられる。
【0037】
具体的に、ジオールのエステル化合物としては、式(III)で表わされる化合物などが挙げられる。
【0038】
【化3】

(ただし、R〜RおよびR〜R2nは、互いに同一または異なり、水素、ハロゲン、または、任意に置換された炭素数が1〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、任意に置換された炭素数が3〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のシクロアルキル基、任意に置換された炭素数が6〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状の単環もしくは多環アリール基、任意に置換された炭素数が7〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキルアリール基、任意に置換された炭素数が7〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアリールアルキル基、任意に置換された炭素数が2〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または、任意に置換された炭素数が2〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のエステル基であるが、
およびRは水素ではなく、
〜RおよびR〜R2nは、窒素、酸素、硫黄、シリコン、リン、および、ハロゲンからなる群より選択される、炭素もしくは水素または両方を置換した1つ以上のヘテロ原子を任意に含有し、
1つ以上のR〜RとR〜R2nとが相互に結合して環を形成してもよく、
nは0〜10の範囲の整数である。)これはCN1436766に開示されており、この特許文献の内容は全て参照によってここに引用されるものとする。
【0039】
上記ジオールのエステル化合物の中で好ましい化合物は、式(IV)で表わされる化合物および式(V)で表わされる化合物である。
【0040】
【化4】

(ただし、R〜R、R、および、Rは、式(III)について規定した通りである。)
【0041】
【化5】

(ただし、R基〜R基は、式(III)について規定した通りであり、
各R’は同一または互いに異なり、水素、ハロゲン、炭素数が1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル、炭素数が3〜20の直鎖状または分岐鎖状シクロアルキル、炭素数が6〜20の直鎖状または分岐鎖状アリール、炭素数が7〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキルアリール、または、炭素数が7〜20の直鎖状または分岐鎖状アリールアルキルを表わしている。)
ジオールのエステル化合物の例としては、以下に列挙する化合物が挙げられる。すなわち、プロパン−1,3−ジオールジベンゾエート、2−メチル−プロパン−1,3−ジオールジベンゾエート、2−エチル−プロパン−1,3−ジオールジベンゾエート、2−プロピル−プロパン−1,3−ジオールジベンゾエート、2−ブチル−プロパン−1,3−ジオールジベンゾエート、2,2−ジメチル−プロパン−1,3−ジオールジベンゾエート、(R)−1−フェニル−プロパン−1,3−ジオールジベンゾエート、(S)−1−フェニル−プロパン−1,3−ジオールジベンゾエート、1,3−ジフェニル−プロパン−1,3−ジオールジベンゾエート、1,3−ジフェニル−2−メチル−プロパン−1,3−ジオールジベンゾエート、1,3−ジフェニル−プロパン−1,3−ジオールジプロピオネート、1,3−ジフェニル−2−メチル−プロパン−1,3−ジオールジプロピオネート、1,3−ジフェニル−2−メチル−プロパン−1,3−ジオールジアセテート、1,3−ジフェニル−2,2−ジメチル−プロパン−1,3−ジオールジベンゾエート、1,3−ジフェニル−2,2−ジメチル−プロパン−1,3−ジオールジプロピオネート、1,3−ジ−tert−ブチル−2−エチル−プロパン−1,3−ジオールジベンゾエート、1,3−ジフェニル−プロパン−1,3−ジオールジアセテート、1,3−ジイソプロピル−プロパン−1,3−ジオールジ(4−ブチルベンゾエート)、2−アミノ−1−フェニル−プロパン−1,3−ジオールジベンゾエート、2−メチル−1−フェニル−ブタン−1,3−ジオールジベンゾエート、2−メチル−1−フェニル−ブタン−1,3−ジオールジピバレート、3−ブチル−ペンタン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,3−ジメチル−ペンタン−2,4−ジオールジベンゾエート、(2S,4S)−(+)−ペンタン−2,4−ジオールジベンゾエート、(2R,4R)−(+)−ペンタン−2,4−ジオールジベンゾエート、ペンタン−2,4−ジオールジ(p−クロロベンゾエート)、ペンタン−2,4−ジオールジ(m−クロロベンゾエート)、ペンタン−2,4−ジオールジ(p−ブロモベンゾエート)、ペンタン−2,4−ジオールジ(o−ブロモベンゾエート)、ペンタン−2,4−ジオールジ(p−メチルベンゾエート)、ペンタン−2,4−ジオールジ(p−tert−ブチルベンゾエート)、ペンタン−2,4−ジオールジ(p−ブチルベンゾエート)、2−メチル−ペンタン−1,3−ジオールジベンゾエート、2−メチル−ペンタン−1,3−ジオールジ(p−クロロベンゾエート)、2−メチル−ペンタン−1,3−ジオールジ(p−メチルベンゾエート)、2−ブチル−ペンタン−1,3−ジオールジ(p−メチルベンゾエート)、2−メチル−ペンタン−1,3−ジオールジ(p−tert−ブチルベンゾエート)、2−メチル−ペンタン−1,3−ジオールジピバレート、2−メチル−ペンタン−1,3−ジオールジベンゾエート、2−エチル−ペンタン−1,3−ジオールジベンゾエート、2−プロピル−ペンタン−1,3−ジオールジベンゾエート、2−アリル−ペンタン−1,3−ジオールジベンゾエート、2−ブチル−ペンタン−1,3−ジオールジベンゾエート、ペンタン−1,3−ジオールジ(p−クロロベンゾエート)、ペンタン−1,3−ジオールジ(m−クロロベンゾエート)、ペンタン−1,3−ジオールジ(p−ブロモベンゾエート)、ペンタン−1,3−ジオールジ(o−ブロモベンゾエート)、ペンタン−1,3−ジオールジ(p−メチルベンゾエート)、ペンタン−1,3−ジオールジ(p−tert−ブチルベンゾエート)、ペンタン−1,3−ジオールジ(p−ブチルベンゾエート)、ペンタン−1,3−ジオールモノベンゾエートモノシンナメート、ペンタン−1,3−ジオールジシンナメート、ペンタン−1,3−ジオールジプロピオネート、2−メチル−ペンタン−1,3−ジオールモノベンゾエートモノシンナメート、2,2−ジメチル−ペンタン−1,3−ジオールジベンゾエート、2,2−ジメチル−ペンタン−1,3−ジオールモノベンゾエートモノシンナメート、2−メチル−ペンタン−1,3−ジオールモノベンゾエートモノシンナメート、2,2,4−トリメチル−ペンタン−1,3−ジオールジベンゾエート、2,2,4−トリメチル−ペンタン−1,3−ジオールジ(イソプロピル−フォルメート)、1−トリフルオロメチル−3−メチル−ペンタン−2,4−ジオールジベンゾエート、ペンタン−2,4−ジオールジ(p−フルオロメチルベンゾエート)、ペンタン−2,4−ジオールジ(2−フランカルボキシレート)、3−ブチル−3−メチル−ペンタン−2,4−ジオールジベンゾエート、2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオールジベンゾエート、2−プロピル−ヘキサン−1,3−ジオールジベンゾエート、2−ブチル−ヘキサン−1,3−ジオールジベンゾエート、4−エチル−ヘキサン−1,3−ジオールジベンゾエート、4−メチル−ヘキサン−1,3−ジオールジベンゾエート、3−メチル−ヘキサン−1,3−ジオールジベンゾエート、3−エチル−ヘキサン−1,3−ジオールジベンゾエート、2,2,4,6,6−ペンタメチル−ヘキサン−3,5−ジオールジベンゾエート、ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、2−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、4−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、5−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、6−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3−エチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、4−エチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、5−エチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、6−エチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、4−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、5−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、6−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3−ブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、4−ブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、5−ブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、6−ブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,5−ジメチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,5−ジエチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,5−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,5−ジブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,3−ジメチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,3−ジエチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,3−ジプロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,3−ジブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3−エチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、4−エチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、5−エチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、3−プロピル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、4−プロピル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、3−ブチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、2,3−ジメチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、2,4−ジメチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、2,5−ジメチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、2,6−ジメチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、3,3−ジメチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、4,4−ジメチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、4,5−ジメチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、4,6−ジメチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、4,4−ジメチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、6,6−ジメチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、3−エチル−2−メチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、4−エチル−2−メチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、5−エチル−2−メチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、3−エチル−3−メチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、4−エチル−3−メチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、5−エチル−3−メチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、3−エチル−4−メチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、4−エチル−4−メチル−ヘプタン−3,5−ジオールジベンゾエート、9,9−ビス(ベンゾイルオキシメチル)フルオレン、9,9−ビス((m−メトキシベンゾイルオキシ)メチル)フルオレン、9,9−ビス((m−クロロベンゾイルオキシ)メチル)フルオレン、9,9−ビス((p−クロロベンゾイルオキシ)メチル)フルオレン、9,9−ビス(シンナモイルオキシメチル)フルオレン、9−(ベンゾイルオキシメチル)−9−(プロピオニルオキシメチル)フルオレン、9,9−ビス(プリピオニルオキシメチル)フルオレン、9,9−ビス(アクリルオキシメチル)フルオレン、9,9−ビス(ピバロイルオキシメチル)フルオレンなどである。
【0042】
これらのジオールエステル化合物は、CN1453298A、CN1436796A、CN1436766A、WO03/068828、および、WO03/068723に詳細に開示されており、これらの特許文献の内容は全て参照によってここに引用されるものとする。
【0043】
好ましいエーテル化合物には、式(VI)で表わされる1,3−ジエーテル化合物を含める。
【0044】
【化6】

(ただし、R、RII、RIII、RIV、R、および、RVIは互いに独立し、水素、ハロゲン、炭素数が1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル、炭素数が3〜20の直鎖状または分岐鎖状シクロアルキル、炭素数が6〜20の直鎖状または分岐鎖状アリール、炭素数が7〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキルアリール、および、炭素数が7〜20の直鎖状または分岐鎖状アリールアルキルからなる群より選択され、
VIIおよびRVIIIは互いに独立し、炭素数が1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル、炭素数が3〜20の直鎖状または分岐鎖状シクロアルキル、炭素数が6〜20の直鎖状または分岐鎖状アリール、炭素数が7〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキルアリール、および、炭素数が7〜20の直鎖状または分岐鎖状アリールアルキルからなる群より選択され、R基〜RVI基のうちの2つ以上が、任意に相互に結合して環を形成する。)RVIIおよびRVIIIが互いに独立し、炭素数が1〜4のアルキルである1,3−ジエーテルが好ましい。
【0045】
ジエーテル化合物の例としては、2−(2−エチルヘキシル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−sec−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−フェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2−(2−フェニルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(2−シクロヘキシルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(p−クロロフェニル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(ジフェニルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジ−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジ−シクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジ−エチル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2,2−ジ−プロピル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2,2−ジ−ブチル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−メチル−2−プロピル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−メチル−2−ベンジル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−メチル−2−エチル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−メチル−2−フェニル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−メチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2,2−ジ(2−シクロヘキシルエチル)−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−メチル−2−(2−エチルヘキシル)−1,3−ジ−メトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2,2−ジ−フェニル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2,2−ジ−ベンジル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2,2−ジ(シクロヘキシルメチル)−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−(1−メチルブチル)−2−イソプロピル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−フェニル−2−イソプロピル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−フェニル−2−sec−ブチル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−ベンジル−2−イソプロピル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−シクロペンチル−2−イソプロピル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−シクロペンチル−2−sec−ブチル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−シクロヘキシル−2−イソプロピル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−シクロヘキシル−2−sec−ブチル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−イソプロピル−2−sec−ブチル−1,3−ジ−メトキシプロパン、2−シクロヘキシル−2−シクロヘキシルメチル−1,3−ジ−メトキシプロパンなどが挙げられる。
【0046】
これらのジエーテル化合物は、CN1020448C、CN100348624C、および、CN1141285Aに詳細に開示されており、これらの特許文献の内容は全て参照によってここに引用されるものとする。
【0047】
本発明に係るチタン含有触媒成分の調製において、上記チタン化合物は、ハロゲン化マグネシウムの付加物中のハロゲン化マグネシウム1mol当たり、5mol〜50molの量で使用される。また、内部電子供与体化合物は、ハロゲン化マグネシウムの付加物中のハロゲン化マグネシウム1mol当たり、0mol〜0.8mol、好ましくは0.01mol〜0.5molの量で使用される。
【0048】
第3の態様では、本発明は、以下の成分a)〜c)の反応生成物を含有する、オレフィン重合のための触媒を提供する。すなわち、
a)本発明に係るチタン含有触媒成分(活性成分)。
【0049】
b)式AlR”3−nで表わされる、共触媒としてのアルキルアルミニウム化合物。
(ただし、R”は互いに独立して、炭素数が1〜8の直鎖状または分岐鎖状の環状アルキルであり、
Xは互いに独立してハロゲン、好ましくは塩素であり、
n=1、2または3である。また、好ましいアルキルアルミニウム化合物は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、アルキル塩化アルミニウム(例えばAlEtCl)などである。これらのアルキルアルミニウム化合物は単独で使用しても、組み合わせて使用してもかまわない。一般に、上記アルキルアルミニウム化合物は、Al/Tiのmol比が1〜1000の範囲になるような量で使用される。)
c)任意に、外部電子供与体化合物(例えば、アルキルアルミニウム化合物1mol当たり、0.005mol〜0.5mol、好ましくは0.01mol〜0.25molの範囲の量の、単官能性または多官能性カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、ラクトン、有機リン化合物、および、有機ケイ素化合物)。
【0050】
好ましい外部電子供与体化合物としては、式RSi(ORで表わされるケイ素化合物を含める(ただし、aおよびbは互いに独立し、0〜2の整数であり、cは1〜3の整数であり、(a+b+c)の合計は4であり、R、R、および、Rは互いに独立し、炭素数が1〜18のヒドロカルビル基であって、任意にヘテロ原子を含有する)。これらのケイ素化合物の中で、aが1であって、bが1であって、cが2であり、RおよびRのうちの少なくとも一方が、炭素数が3〜10の分岐鎖状アルキル、アルケニル、シクロアルキル、または、アリールからなる群より選択され、さらに、任意にヘテロ原子を含有し、Rが、炭素数が1〜10のアルキル(特にメチル)であるケイ素化合物が特に好ましい。このようなケイ素化合物の例としては、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルtert−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、2−エチルピペリジノtert−ブチルジメトキシシラン、1,1,1−トリフルオロ−プロパン−2−イル−2−エチルピペリジノジメトキシシラン、および、1,1,1−トリフルオロ−プロパン−2−イルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。また、aが0であって、cが3であって、Rが分岐鎖状アルキルまたはシクロアルキルであって、任意にヘテロ原子を含有し、Rがメチルであるケイ素化合物も好ましい。このようなケイ素化合物の例としては、シクロヘキシルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、および、tert−ヘキシルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0051】
上記アルキルアルミニウム共触媒b)および任意な外部電子供与体化合物c)は、別々にまたは混合物として、活性成分a)に接触して反応してもかまわない。
【0052】
本発明の触媒は、オレフィンCH=CHR(ただし、Rは、H、または、炭素数が1〜6のアルキルもしくはアリール)、または、該オレフィンと必要であれば少量のジエンとを含有する供給物の重合において有用である。
【0053】
したがって、第4の態様では、本発明は、本発明の触媒に、重合条件下で、式CH=CHRで表わされるオレフィンを接触させることを含む、オレフィンを重合するプロセスを提供する(ただし、Rは、H、または、炭素数が1〜6のアリールまたはアルキルであって、上記オレフィンは、共単量体として、該オレフィンとは別種類のオレフィンを任意に含んでいてもよく、第2の共単量体として、ジエンを任意に含んでいてもよい。)。
【0054】
オレフィンの重合は、自体公知のプロセスにしたがって、液体オレフィン単量体の液相で実施しても、オレフィン単量体の不活性溶媒溶液で実施しても、気相で実施しても、気相と液相との組み合わせで実施してもかまわない。この重合は一般に、0℃〜150℃、好ましくは60℃〜100℃の温度で常圧または加圧下で実施される。
【0055】
〔実施例〕
以下のように実施例を提供し、本発明についてさらに説明する。ただし、実施例は、決して本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0056】
〔試験方法〕
1. 重合体のメルト・インデックス: ASTM D1238−99。
【0057】
2. 重合体のイソタクチシチー・インデックス: 以下のように実施するヘプタン抽出法によって測定した。すなわち、沸騰しているヘプタンを用いて2gの乾燥重合体試料を抽出器に6時間抽出する。次に、残留物質を恒量まで乾燥させて、残留した重合体の重量(g)の2に対する比をイソタクチシチー・インデックスとみなす。
【0058】
3. 粒径分布:微粒子状ハロゲン化マグネシウムの付加物の平均粒径および粒径分布を、Masters Sizer Model 2000(Malvern Instruments Co., Ltd.社製)を用いて測定する。
【0059】
〔実施例1〕
〔A. 二塩化マグネシウム付加物の調製〕
500mlの反応器に、150mlの白油(25℃における粘性は20mm/s〜25mm/s、Hengshun Petroleum and Chemical Corp.社、 Fushun、Liaoning より入手)と、30gの二塩化マグネシウムと、50mlのエタノールと、3mlの塩化o−メトキシベンゾイルとを仕込んだ。この混合物を、500rpmで攪拌しながら125℃まで加熱し、この温度で2.5時間維持した。次に、混合物を、1000mlの反応器中で120℃まで予備加熱しておいた300mlのジメチルシリコーンオイル(25℃における粘性は250mm/s〜350mm/s、Second Chemical Factory of Beijing社、 Beijing より入手)に添加し、1600rpmで15分間攪拌した。そして、混合物を、3000mlの反応器中で−30℃まで先に冷却しておいた2Lのヘキサン中へ排出した。反応器中の液体を濾過分離した後、固体をヘキサンで5時間洗浄し、続いて真空中で乾燥させて、50gの球状二塩化マグネシウム付加物を得た。この付加物のD50は75μmであった。
【0060】
〔B. 触媒成分の調製〕
300mlのガラス製反応器に100mlの四塩化チタンを仕込み、この内容物を−20℃まで冷却した。次に、上記において調製した球状二塩化マグネシウム付加物(8g)を、反応器に添加した。この混合物を−20℃で30分間攪拌し、続いて3時間かけて110℃まで加熱した。なお、反応器内の温度が20℃に到達したときに、混合物に1.5mlのフタル酸ジイソブチルを添加した。そして、混合物を110℃で0.5時間維持し、続いて混合物中の液体を濾過分離した。残留固体を収納する反応器に80mlの四塩化チタンを添加して内容物を120℃まで加熱し、この温度で30分間維持し、液体を濾過分離した。この四塩化チタンを用いた処理を1回繰り返した。残留固体をヘキサンで、60℃で(80ml×5)洗浄し、続いて真空中で乾燥させて、球状の触媒成分を得た。
【0061】
〔C. プロピレン重合〕
5Lのオートクレーブに、2.5Lのプロピレン、1mmolのトリエチルアルミニウム、0.05mmolのシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)、10mgの上記球状の触媒成分、および、1.5Lの(標準状態における体積)水素を添加した。次に、この内容物を70℃まで加熱して、1時間重合させた。結果を下記の表1および表2に示す。
【0062】
〔実施例2〕
水素の量を5.0L(標準状態における体積)に変更した以外は、実施例1.Cに記載の手順にしたがって、実施例1で調製した触媒成分を使用することによって、プロピレン重合を実施した。結果を下記の表1および表2に示す。
【0063】
〔実施例3〕
水素の量を8.0L(標準状態における体積)に変更した以外は、実施例1.Cに記載の手順にしたがって、実施例1で調製した触媒成分を使用することによって、プロピレン重合を実施した。結果を下記の表1および表2に示す。
【0064】
〔比較例1〕
塩化o−メトキシベンゾイルをハロゲン化マグネシウムの付加物の調製において使用しなかった以外は、実施例1に記載の手順を繰り返した。結果を下記の表1および表2に示す。
【0065】
〔比較例2〕
水素の量を5.0L(標準状態における体積)に変更した以外は、実施例1.Cに記載の手順にしたがって、比較例1で調製した触媒成分を使用することによって、プロピレン重合を実施した。結果を下記の表1に示す。
【0066】
〔比較例3〕
水素の量を8.0L(標準状態における体積)に変更した以外は、実施例1.Cに記載の手順にしたがって、比較例1で調製した触媒成分を使用することによって、プロピレン重合を実施した。結果を下記の表1に示す。
【0067】
〔実施例4〕
触媒成分の調製においてフタル酸ジイソブチルの代わりに1,3−ジメチル−1,3−プロパンジオールジベンゾエートを使用した以外は、実施例1に記載の手順を繰り返した。結果を下記の表1および表2に示す。
【0068】
〔実施例5〕
水素の量を5.0L(標準状態における体積)に変更した以外は、実施例1.Cに記載の手順にしたがって、実施例4で調製した触媒成分を使用することによって、プロピレン重合を実施した。結果を下記の表1および表2に示す。
【0069】
〔比較例4〕
触媒成分の調製においてフタル酸ジイソブチルの代わりに1,3−ジメチル−1,3−プロパンジオールジベンゾエートを使用した以外は、比較例1に記載の手順を繰り返した。結果を下記の表1に示す。
【0070】
〔比較例5〕
水素の量を5.0L(標準状態における体積)に変更した以外は、実施例1.Cに記載の手順にしたがって、比較例4で調製した触媒成分を使用することによって、プロピレン重合を実施した。結果を下記の表1に示す。
【0071】
〔比較例6〕
〔A. 二塩化マグネシウム付加物の調製〕
塩化o−メトキシベンゾイルを2,2−ジ−メトキシプロパンに置き換えた以外は、実施例1.Aに記載の手順にしたがって、二塩化マグネシウム付加物を調製した。
【0072】
〔B. 触媒成分の調製〕
上述のように調製した二塩化マグネシウム付加物を担持体として使用した以外は、実施例1.Bに記載の手順にしたがって、球状の触媒成分を調製した。
【0073】
〔C. プロピレン重合〕
実施例1.Cに記載の手順にしたがって、上述のように調製した触媒成分を使用することによって、プロピレン重合を複数回実施した。ただし、水素の量は、それぞれ、1.5L(標準状態における体積)、5.0L(標準状態における体積)、および、8.0L(標準状態における体積)とした。結果を下記の表1に示す。
【0074】
〔比較例7〕
触媒成分の調製においてフタル酸ジイソブチルの代わりにo−メトキシ安息香酸エチルを使用した以外は、比較例1のステップAおよびステップBに記載の手順にしたがって、触媒成分を調製した。
【0075】
実施例1.Cに記載の手順にしたがって、上述のように調製した触媒成分を使用することによって、プロピレン重合を複数回実施した。ただし、水素の量は、それぞれ、5.0L(標準状態における体積)および8.0L(標準状態における体積)とした。結果を下記の表1に示す。
【0076】
【表1】

表1に示すデータからは、芳香族カルボン酸のエステルを内部電子供与体として使用すれば(実施例1,2,3、および、比較例1,2,3,6)、本発明に係る触媒によって、イソタクチシチー・インデックスが著しく向上した重合体が得られる(特に重合体のメルト・インデックスが高い場合)ことが分かる。すなわち、本発明に係る触媒によれば、高いメルト・インデックスを有する生成重合体は、高いイソタクチシチー・インデックスを依然有している。表1からは、ジオールのエステルを内部電子供与体として使用すれば(実施例4,5、および、比較例4,5)、本発明に係る触媒によって、イソタクチシチー・インデックスがさらに大幅に向上した重合体が得られることが分かる。
【0077】
表1に示す実施例2、実施例3、および、比較例7の結果から、触媒成分の調製時にo−アルコキシ安息香酸エステル化合物を内部電子供与体として導入すれば、その結果得られる触媒は立体特異性が著しく低下し、活性も低下することがわかる。その一方で、o−アルコキシ安息香酸エステル化合物を触媒成分の担持体の内部で形成・導入するか、あるいは、該化合物としてそのまま導入することによって調製される本発明に係る触媒は、プロピレン重合において比較的高い立体特異性を有する。
【0078】
【表2】

表2の結果は、本発明に係る触媒によって、重合体の微粉が大幅に減量された重合体が得られることを示している。
【0079】
本明細書において引用する特許文献、特許出願、および、試験方法は、全て参照によってここに引用されるものとする。
【0080】
例としての実施形態を参照しながら本発明について記載したが、当業者であれば、各種変更および修正を加えても、本発明の精神および技術的範囲から逸脱するものではないことが理解できるであろう。したがって、本発明は、本発明を実施するためのベストモードとして開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、添付した請求項の技術的範囲内のすべての実施形態を含める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表わされるハロゲン化マグネシウムの付加物。
MgX・mROH・nE・pHO (I)
(ただし、Xは、塩素、臭素、炭素数が1〜12のアルコキシ、炭素数が3〜10のシクロアルコキシ、または、炭素数が6〜10のアリールオキシであるが、
少なくとも1つのXは塩素または臭素であって、
Rは、炭素数が1〜12のアルキル、炭素数が3〜10のシクロアルキル、または、炭素数が6〜10のアリールであって、
Eは式(II)で表わされるo−アルコキシ安息香酸エステル化合物であり、
【化1】

ただし、R基およびR基は互いに独立して、炭素数が1〜12の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基、炭素数が6〜10のアリール基、炭素数が7〜10のアルカリル基、または、炭素数が7〜10のアラルキル基であって、
基およびR基はR基と同一または異なり、
mは1.0〜5.0の範囲にあって、
nは0.001〜0.5の範囲にあって、
pは0〜0.8の範囲にある。)
【請求項2】
上記R基が、炭素数が1〜4のアルキルである、請求項1に記載のハロゲン化マグネシウムの付加物。
【請求項3】
上記R基およびR基が互いに独立して、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状アルキルである、請求項1または2に記載のハロゲン化マグネシウムの付加物。
【請求項4】
上記R基およびR基が互いに独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、または、イソブチルである、請求項3に記載のハロゲン化マグネシウムの付加物。
【請求項5】
mが1.5〜3.5の範囲にあり、nが0.005〜0.2の範囲にある、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハロゲン化マグネシウムの付加物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のハロゲン化マグネシウムの付加物を調製するプロセスであって、
(i)ハロゲン化マグネシウムと、アルコールと、o−アルコキシ安息香酸エステルまたはその前駆物質と、不活性液体媒体とを反応器中で混合し、その結果得られる混合物を攪拌しながら100℃〜140℃の温度まで加熱して、ハロゲン化マグネシウムの付加物の融解物を形成することによって、ハロゲン化マグネシウムの付加物の融解物を調製するステップと、
(ただし、上記ハロゲン化マグネシウムは式MgXで表わされ、Xは、塩素、臭素、炭素数が1〜12のアルコキシ、炭素数が3〜10のシクロアルコキシ、または、炭素数が6〜10のアリールオキシであるが、少なくとも1つのXは塩素または臭素であって、
該ハロゲン化マグネシウムは上記不活性液体媒体1L当たり、0.1mol〜1.0molの量で使用され、
上記アルコールは式ROHで表わされ、Rは、炭素数が1〜12のアルキル、炭素数が3〜10のシクロアルキル、または、炭素数が6〜10のアリールであって、該アルコールは上記ハロゲン化マグネシウム1mol当たり、1mol〜5molの量で使用され、
上記o−アルコキシ安息香酸エステル化合物は式(II)で表わされ、
【化2】

ただし、R基およびR基は互いに独立して、炭素数が1〜12の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基、炭素数が6〜10のアリール基、炭素数が7〜10のアルカリル基、または、炭素数が7〜10のアラルキル基であって、
上記o−アルコキシ安息香酸エステルまたはその前駆物質は、ハロゲン化マグネシウム1mol当たり、0.001mol〜0.5molの量で使用され、
上記不活性液体媒体は、例えばケロシン、パラフィン油、ワセリン油、白油、ヘキサン、ヘプタンなどの不活性な脂肪族炭化水素溶媒であって、必要であれば、任意に有機ケイ素化合物(例えば有機シリコン油および/または界面活性物質)を含有する)
(ii)上記ハロゲン化マグネシウムの付加物の融解物に剪断作用を加え、次に上記ハロゲン化マグネシウムの付加物の融解物を−40℃〜10℃の温度の冷却媒体中に排出して、該ハロゲン化マグネシウムの付加物の球状粒子を形成することによって、上記ハロゲン化マグネシウムの付加物の球状粒子を形成するステップとを含むプロセス。
【請求項7】
(1)請求項1〜5のいずれか一項に記載のハロゲン化マグネシウムの付加物と、(2)少なくとも1つのチタン化合物と、任意に(3)少なくとも1つの電子供与体化合物との反応生成物を含有する、オレフィン重合において有用な触媒成分。
【請求項8】
上記チタン化合物が、一般式TiXまたはTi(OR4−m(ただし、Rは互いに独立して炭素数が1〜14の脂肪族ヒドロカルビル基であって、Xは互いに独立してF、CaCl、Br、または、Iであって、mは1〜4の整数である)で表わされる、請求項7に記載の触媒成分。
【請求項9】
上記電子供与体化合物が、エステル、エーテル、ケトン、および、アミンからなる群より選択される少なくとも1つの化合物である、請求項7または8に記載の触媒成分。
【請求項10】
上記電子供与体化合物が、単一塩基性および多塩基性の脂肪族および芳香族カルボン酸のエステル、ジオールのエステル、および、ジエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの化合物である、請求項9に記載の触媒成分。
【請求項11】
上記電子供与体化合物が、安息香酸エステル、フタル酸エステル、マロン酸エステル、コハク酸エステル、グルタル酸エステル、ピバル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、ナフタレンジカルボン酸エステル、トリメット酸エステル、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸エステル、ピロメリット酸エステル、炭酸エステル、式(III)で表わされるジオールのエステル、および、式(VI)で表わされる1,3−ジエーテル化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物である、請求項10に記載の触媒成分。
【化3】

(ただし、R〜RおよびR〜R2nは、互いに同一または異なり、水素、ハロゲン、または、任意に置換された炭素数が1〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、任意に置換された炭素数が3〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のシクロアルキル基、任意に置換された炭素数が6〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状の単環もしくは多環アリール基、任意に置換された炭素数が7〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキルアリール基、任意に置換された炭素数が7〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアリールアルキル基、任意に置換された炭素数が2〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または、任意に置換された炭素数が2〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のエステル基であるが、
およびRは水素ではなく、
任意に、R〜RおよびR〜R2nは、窒素、酸素、硫黄、シリコン、リン、および、ハロゲンからなる群より選択される、炭素もしくは水素または両方を置換する1つ以上のヘテロ原子を含有し、
1つ以上のR基〜R基とR基〜R2n基とが相互に結合して環を形成してもよく、
nは0〜10の範囲の整数である。)
【化4】

(ただし、R、RII、RIII、RIV、R、および、RVIは互いに独立し、水素、ハロゲン、炭素数が1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル、炭素数が3〜20の直鎖状または分岐鎖状シクロアルキル、炭素数が6〜20の直鎖状または分岐鎖状アリール、炭素数が7〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキルアリール、および、炭素数が7〜20の直鎖状または分岐鎖状アリールアルキルからなる群より選択され、
VIIおよびRVIIIは互いに独立し、炭素数が1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル、炭素数が3〜20の直鎖状または分岐鎖状シクロアルキル、炭素数が6〜20の直鎖状または分岐鎖状アリール、炭素数が7〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキルアリール、および、炭素数が7〜20の直鎖状または分岐鎖状アリールアルキルからなる群より選択され、
任意に、R基〜RVI基のうちの2つ以上が、相互に結合して環を形成する。)
【請求項12】
式CH=CHR(ただし、Rは、H、または、炭素数が1〜6のアリールもしくはアルキル)で表わされるオレフィンの重合のための触媒であって、
a)請求項7〜11のいずれか一項に記載の触媒成分と、
b)アルキルアルミニウム共触媒と、
c)任意に、外部電子供与体化合物との反応生成物を含有する、触媒。
【請求項13】
上記アルキルアルミニウム共触媒が、式AlR”3−nで表わされる少なくとも1つの共触媒であり、
(ただし、R”は互いに独立して、炭素数が1〜8の直鎖状または分岐鎖状の環状アルキルであり、
Xは互いに独立してハロゲン、好ましくは塩素であり、
n=1、2、または、3である)、
上記外部電子供与体化合物が、単官能性または多官能性カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、ラクトン、有機リン化合物、および、有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物である、請求項12に記載の触媒。
【請求項14】
請求項13に記載の触媒に、重合条件下で、式CH=CHRで表わされるオレフィンを接触させることを含む、オレフィンを重合するプロセス。
(ただし、Rは、H、または、炭素数が1〜6のアリールもしくはアルキルであって、上記オレフィンは、共単量体として、該オレフィンとは別種類のオレフィンを任意に含んでいてもよく、第2の共単量体として、ジエンを任意に含んでいてもよい。)

【公表番号】特表2012−532896(P2012−532896A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519864(P2012−519864)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/CN2009/000796
【国際公開番号】WO2011/006278
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(512012584)チャイナ ペトロリアム アンド ケミカル コーポレイション (1)
【氏名又は名称原語表記】China Petroleum & Chemical Corporation
【住所又は居所原語表記】22Chaoyangmenbei Street,Chaoyang District,Beijing 100728,China
【出願人】(506343461)ベイジン リサーチ インスティテュート オブ ケミカル インダストリー, チャイナ ペトロリアム アンド ケミカル コーポレイション (2)
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY, CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】No. 14, BEISANHUAN EAST ROAD, CHAOYANG DISTRICT, BEIJING 100013, CHINA
【Fターム(参考)】