説明

球状包装容器

【課題】 搬送が容易であり、被包装物を水平に保つことができる包装容器を提供する。さらに、収納空間への収納効率を向上させることができる包装容器を提供する。
【解決手段】 球状中空体の第1の容器10と、第1の容器10の内部に収容され、被包装物17を収容する球状中空体の第2の容器12と、第1の容器10と第2の容器12とを、2軸以上の自由度で連結する連結手段11〜16、18とを設ける。第1の容器10の内部に収容されるとともに、第2の容器12を内部に収容する球状中空体の第3の球状容器11を設け、第1の容器10の内表面と第3の容器11の外表面とを、第3の容器11の中心を通る第1の直線上に位置する第1の連結部材13、14で2箇所で連結し、第3の容器11の内表面と第2の容器12の外表面とは、第2の容器12の中心を通り、かつ第1の直線に直交する第2の直線上に位置する第2の連結部材15、16で2箇所で連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物を包装する包装容器に関し、特に球状に形成された球状包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被包装物の搬送や取扱いに際して被包装物の保護を目的として、被包装物を包装容器の内部に収納して包装することが行われている。このような包装容器としては、例えば段ボール箱のような箱状の包装容器が一般的に用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のように多くの包装容器は直方体の箱状であるため、例えば搬送時に持ち上げて運ぶ必要がある。さらに、大きさが異なる箱状包装容器が存在する場合、これらを同一の収納空間に保管しようとすると隙間が多くなり収納効率が低くなるという問題がある。
【0004】
また従来より、板状の枠体に弾性シートを張った一対の支持体で被包装物を上下から挟んで全体を収納容器の中に入れ、被包装物を収納容器内の空間に収納容器の壁から離した状態で保持するハンモック包装が提案されているが、このようなハンモック包装の場合、上下の弾性シートに挟まれた被包装物の位置がずれてしまう可能性があり、水平に保つ必要がある。ところが、従来の包装容器を取扱う際に、傾斜させず完全に水平を保つことは難しいという問題がある。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、搬送が容易であるとともに、さらに被包装物を水平に保つことができる包装容器を提供することを目的とする。さらに、収納空間への収納効率を向上させることができる包装容器を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、球状中空体の第1の容器(10)と、第1の容器(10)の内部に収容され、被包装物(17)を収容する球状中空体の第2の容器(12)と、第1の容器(10)と第2の容器(12)とを、2軸以上の自由度で連結する連結手段(11、13、14、15、16、18)とを備えることを特徴としている。
【0007】
これにより、第1の容器(10)がどのような向きになっても、第2の容器(12)は第1の容器(10)に対して自由に回転することができる。このため、第2の容器(12)の内部に収納された被包装物(17)を常に水平に保つことができる。さらに、搬送の際、作業者は球状包装容器を転がして搬送することができる。したがって、搬送の際に必ずしも球状包装容器を持ち上げる必要がなく、容易に搬送することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、第1の容器(10)の内部に収容されるとともに、第2の容器(12)を内部に収容する球状中空体の第3の球状容器(11)を備え、第1の容器(10)の内表面と第3の容器(11)の外表面とは、第3の容器(11)の中心を通る第1の直線上に位置する第1の回転軸(13)と第1の軸受け(14)からなる第1の連結部材(13、14)により2箇所で連結され、第3の容器(11)の内表面と第2の容器(12)の外表面とは、第2の容器(12)の中心を通り、かつ第1の直線に直交する第2の直線上に位置する第2の回転軸(15)と第2の軸受け(16)とからなる第2の連結部材(15、16)により2箇所で連結されていることを特徴としている。これにより、第2の容器(12)は第1の容器(10)に対して2軸の自由度を持つことができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明では、第2の容器(12)の外表面には、先端に回転可能な球体(18c)を有する支持部材(18)が複数設けられ、支持部材(18)の球体(18c)が第1の容器(10)の内表面に押し当てられていることを特徴としている。さらに、請求項4に記載の発明では、第1の容器(10)の内表面には、先端に回転可能な球体(18c)を有する支持部材(18)が複数設けられ、支持部材(18)の球体(18c)が第2の容器(12)の外表面に押し当てられていることを特徴としている。
【0010】
これにより、球体(18c)が回転することで、第2の容器(12)は第1の容器(10)に対し、あらゆる方向における自由度を持つことができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明では、第2の容器(12)の重心が、被包装物(17)が収納されていない状態で、第2の容器(12)の中心より下方に位置していることを特徴としている。これにより、被包装物(17)が第2の容器(12)の中心に位置する場合でも、重心を第2の容器(12)の中心からずらすことができる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明では、第2の容器(12)は、2つの半球状部材(12a、12b)に分割でき、2つの半球状部材(12a、12b)の開口面には、それぞれ弾性シート(23、24)が張り渡されており、被包装物(17)は、第1の半球状部材(12a)の弾性シート(23)と第2の半球状部材(12b)の弾性シート(24)との間に挟まれて保持されることを特徴としている。このように、いわゆるハンモック包装を用いる場合にも被包装物(17)が傾くことがないので、被包装物(17)が弾性シート(23、24)の間ですれてしまうことを防止できる。
【0013】
また、請求項7に記載の発明では、第1の容器(10)は弾性体からなることを特徴としている。これにより、例えば球状包装容器に外部からの力が加わった場合に、第1の容器(10)で応力を吸収することができるので、内部の被包装物(17)に応力が加わることを防止できる。
【0014】
また、請求項8に記載の発明では、第1の容器(10)の外表面のすべり摩擦係数が0.42以下であることを特徴としている。これにより、複数の球状包装容器を収納容器に収納した場合に、隣り合う球状包装容器同士の摩擦による引っ掛かりを極力少なくすることができ、球状包装容器を収納容器内にスムーズに充填することが可能となる。
【0015】
また、請求項9に記載の発明では、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の球状包装容器を搬送する搬送システムであって、球状包装容器を所定の搬送先に流下させるとともに、下流側で複数の搬送先に向かって分岐する搬送用レーン(200)と、搬送用レーン(200)における分岐点で、球状包装容器を所望の搬送先に導く案内部材(201)と、案内部材(201)を動作させるアクチュエータ(203)と、球状包装容器に内蔵された記憶媒体(26)に記憶されている被包装物(17)の搬送先に関する情報を非接触で読み取る読み取り装置(202)と、読み取り装置(202)にて読み取った搬送先に関する情報に基づいてアクチュエータ(203)を制御する制御装置(205)とを備えることを特徴としている。
【0016】
これにより、搬送用レーン(200)を流下する球状包装容器を目的の行き先に自動的に振り分けることができ、作業者が球状包装容器の仕分け作業を行う必要がなくなる。
【0017】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図6に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本第1実施形態の球状包装容器100の断面図である。図1に示すように、球状包装容器100は、球状中空体の3つの容器10〜12を備えている。容器10〜12は、一番外側に位置する外側容器10と中間に位置する中間容器11と一番内側に位置する内側容器12とからなる。これらの容器10〜12の直径の大きさは、外側容器10>中間容器11>内側容器12の順になっている。図1に示すように、外側容器10の中に中間容器11が収容され、中間容器11の中に内側容器12が収容されている。これらの容器10〜12は、それぞれの中心が一致するように配置されている。
【0020】
また、容器10〜12は、合成樹脂や金属等の剛性を有する材料から構成することができ、本実施形態では剛性を有する合成樹脂を用いている。
【0021】
図1に示すように、外側容器10の内表面および中間容器11の外表面との間は、回転軸13と軸受け14とからなる第1の連結部材13、14を介して2箇所の接続点で接続されている。2つの回転軸13は、中間容器11の中心を通る第1の直線上に位置しており、中間容器11は外側容器10に対して回転自在となっている。
【0022】
同様に、中間容器11の内表面および内側容器12の外表面との間は、回転軸15と軸受け16とからなる第2の連結部材15、16を介して2箇所の接続点で接続されている。2つの回転軸15は、内側容器12の中心を通り、かつ、第1の直線と直交する第2の直線上に位置しており、内側容器12は中間容器11に対して回転自在となっている。
【0023】
これにより、内側容器12は中間容器11、第1、第2の連結部材13、14、15、16を介して外側容器10と連結される。このとき、中間容器11の回転軸13と内側容器12の回転軸15は互いに直交するように配置されるので、内側容器12は外側容器10に対して2軸の回転の自由度を有することとなる。なお、本実施形態の中間容器11、第1の連結部材13、14、第2の連結部材15、16が本発明の連結手段に相当している。
【0024】
内側容器12の内部には、被包装物17が収納される。このとき、被包装物15が内側容器12の内部下方に配置されるので、被包装物17の重量により内側容器12の重心が内側容器12の中心より下方になる。上述のように、内側容器12は外側容器10に対して2軸の回転の自由度を有しているので、外側容器10がどのような向きになっても、内側容器12は自由に回転することができ、常に被包装物17が下方になる。これにより、内側容器12の内部に収納された被包装物17を常に水平に保つことができる。
【0025】
次に、球状包装容器100の開閉について図2に基づいて説明する。図2は、各容器10〜12が開放した状態を示している。
【0026】
図2(a)に示す例では、各容器10〜12がそれぞれ2つの半球に分離できる構成となっている。分離された2つの半球は、一方の開口端部が他方の開口端部にはまり込むように構成されている。また、図2(b)に示す例では、各容器10〜12をそれぞれ構成する2つの半球が1箇所でヒンジ(図示せず)により回動可能に接続されている。
【0027】
図2では、連結部材13〜16の図示を省略しているが、各容器10〜12は、隣接する容器10〜12と接続する2箇所の接続点、すなわち連結部材13〜16が設けられた部位を回避した箇所で2つの半球に分割できるようになっている。外側容器10は第1外側容器10aと第2外側容器10bに分割でき、中間容器11は第1中間容器11aと第2中間容器11bに分割でき、内側容器12は第1内側容器12aと第2内側容器12bに分割できる。
【0028】
図2(a)に示すように、球状包装容器100を開ける際には、外側容器10を開き、次に中間容器11を開き、最後に内側容器12を開く。この状態で内側容器12の内部に被包装物17を出し入れする。次に、球状包装容器100を閉じる際には、内側容器12を閉じ、次に中間容器11を閉じ、最後に外側容器10を閉じる。これにより、球状包装容器100で被包装物17を包装することが可能となる。
【0029】
次に、球状包装容器100の取扱い方法について図3〜図8に基づいて説明する。
【0030】
球状包装容器100は球状であるので、図3に示すように、作業者は球状包装容器100を転がして搬送することができる。したがって、搬送の際に必ずしも球状包装容器100を持ち上げる必要がなく、容易に搬送することができる。さらに、図4に示すように、球状包装容器100を転がして搬送するための搬送用レーン200を設けることができる。この場合、レーン200に傾斜を設けておけば、球状包装容器100は重力により高い側から低い側に自然に転がって搬送される。このように球状包装容器100を転がせた場合でも、内側容器12は常に水平を保つことができる。
【0031】
また、図5に示すように、球状包装容器100を収納する収納容器210に投げ入れることができ、あるいは図6に示すように、作業者が球状包装容器100を足で蹴って他の作業者に受け渡すこともできる。なお、図6では、球状包装容器100を収納する収納容器210の一例として上端が開口した直方体の容器を示しているが、これに限らず、収納容器210として任意の形状の容器を用いることができる。
【0032】
また、図5に示すように、球状包装容器100は収納容器210内で積み重なった状態で収納される。このとき、外側容器10の外表面のすべり摩擦係数が0.42以下であることが望ましい。これにより、隣り合う球状包装容器100同士の摩擦による引っ掛かりを極力少なくすることができ、球状包装容器100を収納容器210内にスムーズに充填することが可能となる。さらに、外側容器10の外表面のすべり摩擦係数を0.42以下とすることで、球状包装容器を設置する床面に対しても滑りやすくなる。これにより、外側容器10が床面に対して回転することで、内部の被包装物17を水平に保ちやすくなる。
【0033】
また、複数の球状包装容器100を収納容器210に収納する場合には、直径の異なる複数種類の球状包装容器100が混在していることが望ましい。これにより、収納容器210に直径が大きな包装容器100を複数収納した場合に生じる隙間に、直径が小さな包装容器100が入り込むことができ、空間充填率を向上させることができる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図7〜図10に基づいて説明する。
【0035】
図7は本第2実施形態の球状包装容器101が閉じた状態を示す斜視図であり、図8は球状包装容器101が開放した状態を示す斜視図である。
【0036】
図7、図8に示すように、球状包装容器101は、外側容器10と内側容器12の2つの容器を備えている。各容器10、12は、それぞれ透明となっており、内部が透けて見えるようになっている。また、内側容器12の外表面には、複数の支持部材18が固定されている、各支持部材18は、内側容器12の外表面に直立するように設けられている。なお、本実施形態の支持部材が本発明の連結手段に相当している。
【0037】
図9は、支持部材18の斜視図である。図9に示すように、支持部材18は、内側容器12の外表面に固定されるナット18aと、ナット18aに嵌合するボルト18bとを備えている。ボルト18bの先端には、球体18cが回転自在に設けられている。ボルト18bを回転させることでナット18aから露出している部分の長さを変更することができ、これにより支持部材18の長さを調整することができる。
【0038】
支持部材18の長さは、外側容器10の内径から内側容器12の外径を差し引いた長さを半分にした長さとなる。内側容器12の外表面に設けられた支持部材18の先端は、外側容器10の内表面に押し当てられた状態となっている。内側容器12は複数の支持部材18で支持され、内側容器12は外側容器10の内部で浮いた状態となる。このとき、支持部材18の球体18cと外側容器10の内表面とが接触しているので、球体18cが回転することで、内側容器12は、外側容器10の内部で外側容器10の向きと無関係に回転することができる。
【0039】
図7、図8に示すように、外側容器10と内側容器12は、それぞれ2つの半球10a、10b、12a、12bに分割可能になっている。第1外側容器10aと第2外側容器10bは、ヒンジ19で回動可能に接続され、止め金具20で固定できるようになっている。同様に、第1内側容器12aと第2内側容器12bは、ヒンジ21で回動可能に接続され、止め金具22で固定できるようになっている。
【0040】
本実施形態の内側容器12には、いわゆるハンモック包装が用いられている。第1内側容器10aと第2内側容器10bには、それぞれの開口部を覆うように弾性シート23、24が張り渡されている。被包装物17は2枚の弾性シート23、24の間に挟まれており、内側容器12の内表面から離れた状態で保持されている。
【0041】
弾性シート23、24は、例えばポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シングルサイト触媒重合ポリオレフィン、ポリブチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネート・アジペートから選んだ材料からなるシートを好適に用いることができる。その他に、天然ゴム又は各種ゴムまたは各種合成ゴム、ポリエチレン、塩素化ポリエチレンあるいはフッ素樹脂なども使用できる。これらの材料は、用途によっては、その特性に応じて、電子線照射による架橋や延伸によって強度を高めることが好ましい。弾性シート23、24の形態は、シートないしフィルムに限定されることなく、ネット(網状)や不織布であってもよい。本明細書中における「シート」とは、シートに限らずネットや不織布をも包含する意味で用いている。
【0042】
また、内側容器12内部の下部、すなわち第2内側容器12bには、所定の重量を有するウェイト25が固定されている。このように、内側容器12の下部にウェイト25を設けることで、内側容器12に被包装物17が収納されていない状態で、内側容器12の重心を内側容器12の中心より下方にすることができる。これにより、被包装物17が内側容器12の中心に位置する場合でも、重心を内側容器12の中心からずらすことができる。
【0043】
図10(a)、(b)は、外側容器10が回転した状態を示している。上述のように、内側容器12は外側容器10に対して自由に回転することができるので、図10(a)、(b)に示すように、外側容器10がどのような向きになっても、常にウェイト25が下方になる。したがって、内側容器12の内部に収納された被包装物17を常に水平に保つことができる。
【0044】
以上の球状包装容器101の構成によっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、2枚の弾性シート23、24で被包装物17を挟み込むハンモック包装では、包装容器12が傾いた場合に被包装物17がずれてしまうという問題があるが、本実施形態のように、包装容器12が常に水平を保つことができるので、被包装物17がずれてしまうことを防止できる。
【0045】
また、本実施形態のように、球状包装容器101を構成する外側容器10と内側容器12を透明にすることで、それぞれの容器10、12を開けることなく、内部の被包装物17の状態を確認することができる。さらに、内側容器12のみを透明にしてもよく、この場合には、外側容器10を開ければ、内側容器12内の被包装物17の状態を確認することができる。
【0046】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図11、図12に基づいて説明する。
【0047】
図11は、本第3実施形態の搬送システムの全体構成を示している。図11に示すように、本第3実施形態の搬送用レーン200は下流側に向かって複数のレーン200a、200b、200cに分岐している。球状包装容器102は、搬送用レーン200の分岐点でいずれかのレーン200a、200b、200cに振り分けられ、異なる行き先に搬送される。本実施形態では、第1のレーン200aは球状包装容器102を車両に搬送するものであり、第2のレーン200bは球状包装容器102を隣の搬送用レーンに搬送するものであり、第3のレーン200cは球状包装容器102を船に搬送するものである。
【0048】
搬送用レーン200の分岐点には、球状包装容器102を目的の行き先に案内するための案内部材201が設けられている。案内部材201は、例えば球状包装容器102の流路に回動可能に配置された板状部材から構成することができる。
【0049】
図12は、搬送システムのブロック構成を示している。図12に示すように、本第3実施形態の球状包装容器102には、ICタグ26が設けられている。ICタグ26は、非接触で電子情報の読み書きが可能な記録媒体であり、被包装物の行き先(搬送先)や種類等の荷物情報が予め記憶されている。
【0050】
また、搬送用レーン200には、読取装置202、アクチュエータ203、通過検知センサ204、制御装置205が設けられている。読取装置202は、ICタグ26に格納された情報を非接触で読み取るものである。読取装置202は、搬送用レーン200における案内部材201より上流側に設けられている。アクチュエータ203は、案内部材201を動作させるものである。通過検知センサ204は、球状包装容器102が案内部材201を通過したことを検知するものである。制御装置205は、読取装置202および通過検知センサ204からの信号に基づいてアクチュエータ203を制御するものである。
【0051】
次に、本実施形態の搬送システムによる球状包装容器102の搬送方法について説明する。
【0052】
まず、球状包装容器102が搬送用レーン200を流下して分岐点に近づくと、読取装置202にて球状包装容器102に内蔵されているICタグ26の荷物情報が読み取られる。そして、制御部205は、荷物情報に含まれる被包装物の行き先(搬送先)に基づいて、球状包装容器102が案内部材201で目的の行き先に案内されるように、アクチュエータ203を制御する。
【0053】
これにより、球状包装容器102は、搬送用レーン200の分岐点で目的の行き先に振り分けられる。そして、通過検知センサ204にて球状包装容器102の通過を検知したら、制御部205は案内部材201の位置を元の状態に戻すようにアクチュエータ203を制御する。
【0054】
以上の構成により、搬送用レーン200を流下する球状包装容器102を目的の行き先に自動的に振り分けることができ、作業者が球状包装容器102の仕分け作業を行う必要がなくなる。
【0055】
また、図11に示すように、第2のレーン200bで球状包装容器102が搬送される搬送用レーン200には、バネ等の弾性部材で球状包装容器102に運動エネルギーを付与する押出装置220が設けられている。作業者が引っ張って圧縮したバネを開放すると、バネの弾性エネルギーによって球状包装容器102に運動エネルギーが付与される。これにより、球状包装容器102は勢いよく押し出され、搬送用レーン200上を転がっていく。このような押出装置220を設けることで、搬送用レーン200が下方に向かって傾斜していない場合でも、重力を利用することなく球状包装容器102を搬送することができる。
【0056】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、球状包装容器の外側容器10を剛性を有する材料から構成したが、これに限らず、外側容器10を弾性を有する材料(例えばゴム、合成樹脂等)から構成することもできる。これにより、球状包装容器に外部からの力が加わった場合に、外側容器10で応力を吸収することができるので、内部の被包装物17に応力が加わることを防止できる。また、例えば上記図6で示したように球状包装容器を足で蹴る場合に球状包装容器が弾みやすくなり、搬送が容易になる。
【0057】
さらに、外側容器10と、その内側に配置される中間容器11あるいは内側容器12との間の隙間に、空気を充填した袋状部材を配置すれば、空気による弾性効果を利用することも可能となる。
【0058】
また、上記第1実施形態では、外側容器10、中間容器11、内側容器12からなる3個の球状容器を用い、各容器間を回転可能な連結部材13〜16で接続し、2軸の回転の自由度を持たせたが、さらに、4個以上の球状容器を用い、各容器間を回転可能な連結部材で接続し、3軸以上の回転の自由度を持たせるように構成することもできる。
【0059】
また、上記第1実施形態のように外側容器10、中間容器11、内側容器12からなる3個の球状容器を用いた構成において、回転軸13、15における軸受け14、16が設けられていない側を完全に固定しないようにすることで、3軸の回転の自由度を持たせることもできる。
【0060】
具体的には、図13に示すように、外側容器10の内表面に回転軸13の先端がはまり込む溝10cを設ける。図13中の破線で示すように、溝10cは外側容器10の内表面の全周に渡って形成されており、回転軸13における軸受け14が設けられていない側の先端は、溝10cに沿って自由に移動することができる。これにより、3個の球状容器を用いた構成において、3軸の回転の自由度を持たせることができる。さらに、外側容器10の内表面の溝10cに代えてあるいは加えて、内側容器12の外表面に回転軸15の先端がはまり込む溝を設けてもよい。
【0061】
また、上記第2実施形態では、内側容器12の外表面に、先端に回転可能な球体18cを有する支持部材18を複数設けたが、これに限らず、外側容器10の内表面に、直立するように支持部材18を複数設けてもよい。この場合、支持部材18の先端に回転自在に設けられた球体18cは内側容器12の外表面に押し当てられることになる。
【0062】
また、上記第2実施形態では、内側容器12の内部にウェイト25を設けることで、内側容器12に被包装物17が収納されていない状態で、内側容器12の重心を内側容器12の中心より下方にしたが、これに限らず、他の手段で内側容器12の重心を内側容器12の中心より下方にしてもよい。例えば、内側容器12における中心より下方に相当する部位の肉厚を厚くすることで、内側容器12の重心を内側容器12の中心より下方にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1実施形態の球状包装容器の断面図である。
【図2】第1実施形態の球状包装容器の開放状態を示す図である。
【図3】球状包装容器の取扱い方法を示す図である。
【図4】球状包装容器の取扱い方法を示す図である。
【図5】球状包装容器の取扱い方法を示す図である。
【図6】球状包装容器の取扱い方法を示す図である。
【図7】第2実施形態の球状包装容器の斜視図である。
【図8】第2実施形態の球状包装容器の開放状態を示す図である。
【図9】図7の支持部材の斜視図である。
【図10】第2実施形態の球状包装容器が回転した状態を示す図である。
【図11】第3実施形態の搬送システムの斜視図である。
【図12】第3実施形態の搬送システムのブロック図である。
【図13】球状包装容器の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0064】
10…外側容器、11…中間容器、12…内側容器、13、15…回転軸、14、16…軸受け、17…被包装物、18…支持部材、23、24…弾性シート、25…ウェイト、100、101、102…球状包装容器、200…搬送用レーン、210…収納容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状中空体の第1の容器(10)と、
前記第1の容器(10)の内部に収容され、被包装物(17)を収容する球状中空体の第2の容器(12)と、
前記第1の容器(10)と前記第2の容器(12)とを、2軸以上の自由度で連結する連結手段(11、13、14、15、16、18)とを備えることを特徴とする球状包装容器。
【請求項2】
前記第1の容器(10)の内部に収容されるとともに、前記第2の容器(12)を内部に収容する球状中空体の第3の球状容器(11)を備え、
前記第1の容器(10)の内表面と前記第3の容器(11)の外表面とは、前記第3の容器(11)の中心を通る第1の直線上に位置する第1の回転軸(13)と第1の軸受け(14)からなる第1の連結部材(13、14)により2箇所で連結され、
前記第3の容器(11)の内表面と前記第2の容器(12)の外表面とは、前記第2の容器(12)の中心を通り、かつ前記第1の直線に直交する第2の直線上に位置する第2の回転軸(15)と第2の軸受け(16)とからなる第2の連結部材(15、16)により2箇所で連結されていることを特徴とする請求項1に記載の球状包装容器。
【請求項3】
前記第2の容器(12)の外表面には、先端に回転可能な球体(18c)を有する支持部材(18)が複数設けられ、前記支持部材(18)の球体(18c)が前記第1の容器(10)の内表面に押し当てられていることを特徴とする請求項1に記載の球状包装容器。
【請求項4】
前記第1の容器(10)の内表面には、先端に回転可能な球体(18c)を有する支持部材(18)が複数設けられ、前記支持部材(18)の球体(18c)が前記第2の容器(12)の外表面に押し当てられていることを特徴とする請求項1に記載の球状包装容器。
【請求項5】
前記第2の容器(12)の重心が、前記被包装物(17)が収納されていない状態で、前記第2の容器(12)の中心より下方に位置していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の球状包装容器。
【請求項6】
前記第2の容器(12)は、2つの半球状部材(12a、12b)に分割でき、前記2つの半球状部材(12a、12b)の開口面には、それぞれ弾性シート(23、24)が張り渡されており、
前記被包装物(17)は、第1の半球状部材(12a)の弾性シート(23)と第2の半球状部材(12b)の弾性シート(24)との間に挟まれて保持されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の球状包装容器。
【請求項7】
前記第1の容器(10)は弾性体からなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の球状包装容器。
【請求項8】
前記第1の容器(10)の外表面のすべり摩擦係数が0.42以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の球状包装容器。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1つに記載の球状包装容器を所定の搬送先に流下させるとともに、下流側で複数の搬送先に向かって分岐する搬送用レーン(200)と、
前記搬送用レーン(200)における分岐点で、前記球状包装容器を所望の搬送先に導く案内部材(201)と、
前記案内部材(201)を動作させるアクチュエータ(203)と、
前記球状包装容器に内蔵された記憶媒体(26)に記憶されている前記被包装物(17)の搬送先に関する情報を非接触で読み取る読み取り装置(202)と、
前記読み取り装置(202)にて読み取った前記搬送先に関する情報に基づいて前記アクチュエータ(203)を制御する制御装置(205)とを備えることを特徴とする搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−16044(P2006−16044A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195490(P2004−195490)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【Fターム(参考)】