説明

環境に優しい紙の製造方法およびそのための組成物

【課題】良好な折り畳み性、引裂性、および自然環境における分解性を有する合成紙を提供する。
【解決手段】約56重量%〜80重量%の無機鉱物粉末、約43重量%〜18重量%のポリエチレン、および約1重量%〜2重量%の添加剤を含んでいる組成物から環境に優しい紙を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、約80重量%に及ぶ無機鉱物粉末を有する環境に優しい紙の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、少なくとも1つの押出機およびサーキュラーダイを有する二次成形型の組み合わせを使用することによる、二軸方向の強さを有する紙の製造方法に関する。本発明は、約80重量%に及ぶ無機鉱物粉末を含んでいる環境に優しい紙の製造用組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
非常に多くの合成紙が開発されてきている。主成分としてのポリプロピレンおよび充填材としての無機鉱物粉末を有する単層および多層の紙は、従来のプラスチックフィルムの配合物から生産される。紙は、その方法の間に単層または多層として共押し出しされ、ダイレクトラインダイを有する二次成形型を通して、シートとして形成される。そのシートは、縦方向に延伸された後に、その2つの面上に他のシートをラミネートされ、次に、横方向に延伸される。得られる多層の紙は、二軸延伸された中心層および1方向にのみ延伸された2つの表面層を有する。縦方向に延伸されたシートが横方向の延伸に付される場合には、得られる単層または多層の紙は、その表面において二軸延伸された性質を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−53345号公報
【特許文献2】特公昭57−22008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポリプロピレンからつくられる上記紙にも長所を見出すことができるけれども、それらはまだパルプからつくられる紙に劣っている。ポリプロピレンからつくられる紙の短所は、折り畳み性の悪さ、横と縦とでの引裂強さの差異の大きさ、または引裂性の欠如などを包含している。さらに、ポリプロピレンからつくられる紙は、自然環境においては急速には分解しない。なおそのうえ、合成紙の生産コストはパルプ紙のそれよりもはるかに高い。上記短所の観点から、合成紙は、消費者の要求に十分に応えてはいない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、主成分としての約80重量%に及ぶ無機鉱物粉末、約43重量%〜18重量%のポリエチレン、および2重量%未満の添加剤を含む、環境に優しい紙の製造方法を提供することである。
【0006】
本発明のもう1つの目的は、少なくとも1つの押出機およびサーキュラーダイを有する二次成形型の組み合わせを使用して、それらの構成成分を丸形フィルム管として押し出し、その丸形フィルム管を膨張させて、そのフィルムを同時に二軸方向に延伸する、環境に優しい紙の製造方法を提供することである。
【0007】
本発明のさらにもう1つの目的は、その紙の密度を、それらの原材料の組み合わせの約2g/cm3 から約 0.5g/cm3 程度にまで下げ、約 0.7g/cm3 〜約 0.9g/cm3 のパルプの密度と比較して40容量%に及ぶ量を減じる、環境に優しい紙の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明のさらにもう1つの目的は、その紙が、パルプ紙のそれらと類似の性質、例えば折り畳み性、剛性、不透明度、筆記性、および横および縦の引裂強さを有する、環境に優しい紙の製造方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらにもう1つの目的は、生産された紙を燃やす際に、少量の高密度ポリエチレンしか燃えないために、毒性のガスまたは煙がまったく生じず、生産された紙が再利用可能な、環境に優しい紙の製造方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらにもう1つの目的は、生産された単層の紙が自然環境において分解する、環境に優しい紙の製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の上記特徴および長所は、添付図、詳細な説明および実施例の参照によって、よりよく理解されるであろう。本発明を説明している個々の環境に優しい紙は単なる例示に過ぎず、本発明の制限と見なされるべきものではないということもまた理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による、単層の環境に優しい紙の略断面図である。
【図2】本発明による、単層の環境に優しい紙の製造方法の工程図である。
【図3】本発明による、サーキュラーダイおよび単一の内部通路を有する図2に示されている二次成形型の略断面図である。
【図4】本発明による、サーキュラーダイおよび単一の押出機を有する図2に示されている二次成形型の略平面図である。
【図5】本発明による、2層の環境に優しい紙の略断面図である。
【図6】本発明による、2層の環境に優しい紙の製造方法の工程図である。
【図7】本発明による、サーキュラーダイおよび2つの内部通路を有する図6に示されている二次成形型の略断面図である。
【図8】本発明による、サーキュラーダイおよび2つの押出機を有する図6に示されている二次成形型の略平面図である。
【図9】本発明による、3層の環境に優しい紙の略断面図である。
【図10】本発明による、3層の環境に優しい紙の製造方法の工程図である。
【図11】本発明による、サーキュラーダイおよび3つの内部通路を有する図10に示されている二次成形型の略断面図である。
【図12】本発明による、サーキュラーダイおよび3つの押出機を有する図10に示されている二次成形型の略平面図である。
【図13】本発明による、2つを1つにしたラミネートされた環境に優しい紙の略断面図である。
【図14】本発明による、3つを1つにしたラミネートされた環境に優しい紙の略断面図である。
【図15】本発明による、ラミネート機の略図である。
【図16】本発明による、コートされた単層の環境に優しい紙の構造の略断面図である。
【図17】本発明による、コートされた2層の環境に優しい紙の構造の略断面図である。
【図18】本発明による、コートされた3層の環境に優しい紙の構造の略断面図である。
【図19】本発明による、コートされ、ラミネートされた環境に優しい紙の構造の略断面図である。
【図20】本発明による、2面コーティング機の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
説明として、およびそれに付随する多くの長所を有する本発明のより完全な認識のために、この紙の製造方法に関して、以下の詳細な説明を示す。
【0014】
本発明の単層の環境に優しい紙の製造方法においては、主成分としての約56重量%〜約80重量%の無機鉱物粉末、約43重量%〜約18重量%のポリエチレン、および約1重量%〜約2重量%の添加剤を含んでいる組成物を使用する。それらの無機鉱物粉末は、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、マイカ、酸化亜鉛、ドロマイト、ガラス繊維、中空ガラスミクロビーズ、シリカ、チョーク、タルク、ピグメント、二酸化チタン、二酸化ケイ素、ベントナイト、クレー、珪藻土およびそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも2種の構成成分を包含しており、焼結されていてもいなくてもよい。ポリエチレンは、高密度ポリエチレン、または高密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレン(すなわち、線状低密度ポリエチレン)および低密度ポリエチレンからなる群より選ばれるものの少なくとも1種との組み合わせを包含している。それらの添加剤は当該分野において従来から使用されているもの、例えばカップリング剤、潤滑剤、分散剤、および静電防止剤を包含している。
【0015】
上記カップリング剤は、例えばβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシランのようなシランカップリング剤である。
【0016】
潤滑剤の例は、N-オレイルパルミトアミドである。上記静電防止剤は、例えばN,N-ビス (2-ヒドロキシエチル) ココアミン(N,N-bis(2-hydroxyethyl)cocoamine)またはN,N-ビス (2-ヒドロキシエチル) ステアリルアミンである。
【0017】
混合、押し出し、および練りという一連の処理工程の後、上述の原材料の組み合わせをペレットに変える。図2および3を参照すると、紙フィルムを生産するために、それらのペレットを押出機10(単一押出機)中に供給する。サーキュラーダイを有する二次成形型1は、その表面上に注入口を有する。その注入口は、二次成形型1中に内部通路101を規定し、内部通路101は、二次成形型のダイと通じている。押出機10の温度を上記ペレットの融点より高い温度に設定する場合には(例えば約 150℃〜約 220℃の範囲)、それらのペレットは溶融し、次に、押出機10の2本の回転スクリューから直接来る力により、単一の内部通路101を通して、二次成形型1の注入口に移送される。そのメルトを、二次成形型1のダイから、中空で丸形の紙フィルム管3として成形する。二次成形型1のダイから成形された紙フィルム管3は、 150℃〜 220℃程度に高い温度であり、冷却風により冷却される。これは、二次成形型1のダイの上に備えつけられた冷却手段2から鉛直に吹いている風であるのが好ましい。冷却風を鉛直に吹かせ続けることにより、紙フィルム管3の形状を、二次成形型1のダイの形状と同様に確実に維持することができる。紙フィルム管3の温度は、二次成形型1のダイから約 700mm以内の距離において約80℃〜約 120℃まで冷却するべきであり、そうすることにより、その次の工程を続けることができる。
【0018】
次に、例えば二次成形型1中の通路(示されていない)を通る圧力空気により、紙フィルム管3を膨張させる。同時に、リーディングローラー6により、初めに成形された紙フィルム管の一端を引く。リーディングローラー6の回転速度を制御して、紙フィルム管3を実質的に気密にする。リーディングローラー6の回転速度、押出機10から押し出す材料の量、および紙フィルム管3の必要とされる厚みを制御して、紙フィルム管3を、二次成形型1のダイから約 200mm〜約 700mmの距離において3〜8倍に膨張させるのが好適である。
【0019】
膨張および引き出しの目的は、2方向、すなわち縦および横に同時に紙フィルム管3を延伸し、結果として二軸方向の強さを有する構造を有する環境に優しい紙4とすることである。膨張処理により、環境に優しい紙4の密度を、それらの原材料の組み合わせの約2g/cm3 から約 0.5g/cm3 に下げ、約 0.7g/cm3 〜約 0.9g/cm3 のパルプの密度と比較して約40容量%に及ぶ量を減じることができる。
【0020】
リーディングローラー6からの引き出し力により、リーディングローラー6と冷却手段2との間に備え付けられた折り畳み手段5の中に環境に優しい紙4を引き込み、環境に優しい紙4を対称的に折り畳み、折り畳まれた平判とする。
【0021】
リーディングローラー6の目的は、初めに成形された紙フィルム管3を低い回転速度で引き出し、冷却手段2からの風をその中に均等に吹き込んで、紙フィルム管3を安定化させ、かつ紙フィルム管3を気密に維持して、紙フィルム管3を均等に膨張させることを包含している。
【0022】
また、リーディングローラー6の回転速度は、その紙フィルムの縦延伸および必要とされる厚みについての決定的な要因である。もちろん、その回転速度を調整して、押出機10から押し出されて来る材料の量に合わせるのが好適である。
【0023】
次に、上記折り畳まれた環境に優しい紙を切断手段7に通し、その折り畳まれた紙を2枚の紙に切断する。その環境に優しい紙の得られた2枚のシートを、表面コロナ手段8の処理に各々付し、各々の環境に優しい紙の2つの表面上に非常に多くのミクロボイドを形成させ、それらから、より良好な接着を得ることができる。上記環境に優しい紙を、次に、ロール9上に巻き取る。
【0024】
単層の環境に優しい紙の製造方法の間に、その紙の厚みを約30μm〜約 150μmの範囲内に、その幅を約 0.2m〜約 3.2mに、およびその密度を約 0.4g/cm3〜約1g/cm3 に適当に制御することができる。
【0025】
本発明は、2層の環境に優しい紙の製造方法にも向けられている。この方法と上記単層の紙の方法との間の差異は、2つの点において説明される。
【0026】
2層の環境に優しい紙の製造方法は、二次成形型1の単一の内部通路101および注入口が二次成形型1aの2つの内部通路101および111並びに2つの注入口によって置き換えられていることを除いては、単層の紙の製造方法に類似している。図6、7、および8を参照すると、押出機10および11から押し出す材料を、それぞれ、それらの対応する注入口を通して、内部通路101および111に供給し、次に、シュランケン共通路(shrunken copassage)100において合わせて、結果として2層の材料とする。その2層の材料を、次に、二次成形型1aのダイを通して、中空で丸形の紙フィルム管3に成形する。押し出す材料の量および押出機10および11の内部温度を制御して、それぞれ、内部通路101および111からの材料を合わせて2層の材料とするのが好適である。この方法の以降の工程は単層の紙の製造方法の工程と同一である。
【0027】
この方法のための原材料について、図5を参照すると、上記2層の環境に優しい紙は、押出機10からのA層および押出機11からのB層を含んでいる。そのA層の構成成分は、約56重量%〜80重量%の無機鉱物粉末、約43重量%〜18重量%のポリエチレン、および約1重量%〜2重量%の添加剤を包含している。それらの構成成分の組み合わせを、混合、押し出し、および練りという工程に付し、結果として押出機10に適用すべきペレットとする。そのB層の構成成分は、約56重量%〜80重量%の無機鉱物粉末、約43重量%〜18重量%のポリエチレン、および1重量%〜2重量%の添加剤を包含している。それらの構成成分の組み合わせを、混合、押し出し、および練りという工程に付し、結果として押出機11に適用すべきペレットとする。
【0028】
2層の環境に優しい紙の製造方法によれば、その紙の厚みは約30μm〜約 150μmの範囲にわたり、その密度は約 0.4g/cm3 〜約1g/cm3 の範囲にわたる。上記A層とB層との相対的な厚みは、必要に応じて、例えば20%のA層と80%のB層、50%のA層と50%のB層、80%のA層と20%のB層、のように調整することができる。
【0029】
2層の環境に優しい紙は、印刷、包装、および装飾などに使用することができる。これらの製品の各々の層は、それらに異なるピグメントを添加することにより、必要に応じて異なる色でデザインすることができる(例えば一方の層を明るい赤色とし、他方の層を明るい黄色とする)。2層の環境に優しい紙は、単層の紙と同じ長所を有する。
【0030】
本発明は、3層の環境に優しい紙の製造方法にも向けられている。この方法と単層の環境に優しい紙の製造方法との間の差異は、以下の2つの点において説明される。
【0031】
3層の環境に優しい紙の製造方法は、二次成形型1の単一の内部通路101および注入口が二次成形型1bの3つの内部通路101、111および121並びに3つの注入口によって置き換えられていることを除いては、単層の環境に優しい紙の製造方法に類似している。図10、11、および12を参照すると、押出機10、11および12から押し出す材料を、それぞれ、それらの対応する注入口を通して、内部通路101、111および121に供給し、次に、シュランケン共通路100において合わせて、結果として3層の材料とする。その3層の材料を、次に、中空で丸形の紙フィルム管3に成形する。押し出す材料の量および押出機10、11および12の内部温度を制御して、それぞれ、内部通路101、111および121からの材料を合わせて3層の材料とするのが好適である。この方法の以降の工程は単層の紙の製造方法の工程と同一である。
【0032】
この方法のための原材料について、図9を参照すると、上記3層の環境に優しい紙は、押出機10からのA層、押出機11からのB層、および押出機12からのC層を含んでいる。そのA層の構成成分は、約56重量%〜80重量%の無機鉱物粉末、約43重量%〜18重量%のポリエチレン、および約1重量%〜2重量%の添加剤を包含している。それらの構成成分の組み合わせを、混合、押し出し、および練りという工程に付し、結果として押出機10に適用すべきペレットとする。そのB層の構成成分は、約56重量%〜80重量%の無機鉱物粉末、約43重量%〜18重量%のポリエチレン、および約1重量%〜2重量%の添加剤を包含している。それらの構成成分の組み合わせを、混合、押し出し、および練りという工程に付し、結果として押出機11に適用すべきペレットとする。そのC層の構成成分は、約56重量%〜80重量%の無機鉱物粉末、約43重量%〜18重量%のポリエチレン、および約1重量%〜2重量%の添加剤を包含している。それらの構成成分の組み合わせを、混合、押し出し、および練りという工程に付し、結果として押出機12に適用すべきペレットとする。
【0033】
3層の環境に優しい紙の製造方法によれば、その紙の厚みは約30μm〜約 150μmの範囲にわたる。A層、B層、およびC層の相対的な厚みは、必要に応じて、例えば10%〜25%のA層、80%〜50%のB層、および10%〜25%のC層、のように調整することができる。
【0034】
上記の3層の紙は、印刷、包装、装飾、および袋物などに使用することができる。この製品の各々の表面層、すなわちA層およびC層は、それらに異なるピグメントを添加することにより、必要に応じて異なる色でデザインすることができる。A層、B層、およびC層の構成成分の各々の組み合わせは、例えば、さまざまな目的のために、その紙の引張強さを高めるように調整し、同時にB層に、より多量の無機粉末を使用して、コストを劇的に削減することができる。
【0035】
本発明の方法は、上述の一般的な手順に基づいて、3つ以上の層を有する環境に優しい紙を生産するのに使用することができるということが理解されるべきである。
【0036】
単層の環境に優しい紙、2層の環境に優しい紙、3層の環境に優しい紙、および、各々独立に、約30μm〜約 150μmの範囲の厚みを有し、かつ独立に、同じかまたは異なる構成成分を有する、本発明の3つ以上の層を有する環境に優しい紙でさえ、図15に示されているラミネート機によりラミネートして、約 150μm〜約 450μmの範囲の厚みを有する、(図13に示されている)2層のラミネートされた環境に優しい紙、または(図14に示されている)3層のラミネートされた環境に優しい紙を形成させることができる。
【0037】
上記単層の環境に優しい紙、2層の環境に優しい紙、3層の環境に優しい紙、および、本発明の方法に準じて製造された3つ以上の層を有する環境に優しい紙でさえ、さらにラミネートして、特殊な目的のためのラミネートされた環境に優しい紙を形成させることができる。図15を参照すると、供給ローラー21上の第1の環境に優しい紙を、誘導手段により接着手段13に導き、その第1の環境に優しい紙の一方の表面上に接着剤を適用し、次に、オーブン14に導く。その第1の環境に優しい紙上の接着剤を乾燥した後、ラミネーションローラー15において、その第1の環境に優しい紙を、供給ローラー22から供給された第2の環境に優しい紙とラミネートして2つを1つにした環境に優しいラミネート紙を形成させる。その2つを1つにした環境に優しいラミネート紙を、次に、多数の誘導手段により硬化手段19に導き、その紙を冷却により硬化させる。次に、その2つを1つにした環境に優しいラミネート紙を、張力調整装置20により調整し、続いてローラー24上に巻き取る。あるいは、その2つを1つにした環境に優しいラミネート紙を、硬化手段19に導く前に、多数の誘導手段により接着手段16に導き、接着剤を適用することもできる。接着剤を適用された、その2つを1つにした環境に優しいラミネート紙を、次に、その上の接着剤の乾燥のためにオーブン17に導く。その後に、その2つを1つにした環境に優しいラミネート紙をラミネーションローラー18に導き、供給ローラー23から供給された第3の環境に優しい紙とラミネートし、結果として3つを1つにした環境に優しいラミネート紙とする。得られた環境に優しいラミネート紙を、次に、多数の誘導手段により硬化手段19に導き、その環境に優しい紙を冷却により硬化させる。次に、その3つを1つにした環境に優しいラミネート紙を、張力調整装置20により調整し、続いてローラー24上に巻き取る。
【0038】
本発明に準じて製造された環境に優しい紙は、印刷、包装、および装飾の分野に適用することができる。それらの中には、如何なる前処理も行うこと無く直接使用することができるものもあり、特殊な目的のために、適当な前処理、例えば光沢面処理および曇り面処理を必要とするものもある。本発明を使用して製造された紙をコートするためには、水系コーティングおよび非水系コーティングの両方を使用することができる。水系コーティングの配合物は、アクリル樹脂、イソプロパノール、ポリビニルアルコール、クレー、静電防止剤、28%のアンモニア水、純水、および酢酸ビニルからなる。
【0039】
図20を参照すると、供給ローラー25からの環境に優しい紙を、コロナ手段26に導き、高圧放電により処理して、その紙の2つの面上に非常に多くのミクロボイドを形成させ、コーティングの間、その紙の接着を強める。そのコーティング厚みを好適に制御できるように、2組のコーター27(1組あたり3つのコーター)にその紙を通す。そのコートされた紙を、鏡面仕上処理に付された多数の乾燥ローラー28に導き、その紙のコート面を急速に乾燥し、鏡面効果を得る。あるいは、その紙を曇りローラー29によりプレスし、その紙のコート面に曇り効果を付与することもできる。得られた環境に優しい紙をローラー30に巻き取る。
【0040】
図16に示されている環境に優しい紙は、コートされた単層の紙である。図17に示されている紙は、コートされた2層の紙である。図18に示されている紙は、コートされた3層の紙である。図19に示されている紙は、コートされたラミネート紙である。
【0041】
本発明の環境に優しい紙は、以下の実施例を参照することにより、今ここに、さらに説明されるであろう。
【実施例】
【0042】
実施例1 単層の環境に優しい紙
単層の環境に優しい紙を、60重量%の無機鉱物粉末(28重量%の炭酸カルシウム、7重量%の二酸化チタン、および25重量%の珪藻土)、38重量%のポリエチレン(20重量%の高密度ポリエチレン、10重量%の低密度ポリエチレン、および8重量%の中密度ポリエチレン)、および2重量%の添加剤( 0.8重量%のβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン、 0.4重量%のN-オレイルパルミトアミド、および 0.8重量%のN,N-ビス (2-ヒドロキシエチル) ステアリルアミン)の組み合わせから生産した。その組み合わせを、混合、押し出し、および練りという工程に付し、結果としてペレットとした。それらのペレットを、図2に示されている押出機に供給し、任意のパラメーターによって、各々31μmおよび52μmの厚みを有する単層の環境に優しい紙を生産した。
【0043】
実施例2 単層の環境に優しい紙
単層の環境に優しい紙を、70重量%の無機鉱物粉末(35重量%の炭酸カルシウム、6重量%の二酸化チタン、24重量%の珪藻土、および5重量%のクレー)、28重量%のポリエチレン(20重量%の高密度ポリエチレン、および8重量%の中密度ポリエチレン)、および2重量%の添加剤( 0.8重量%のβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン、 0.4重量%のN-オレイルパルミトアミド、および 0.8重量%のN,N-ビス (2-ヒドロキシエチル) ステアリルアミン)の組み合わせから生産した。その組み合わせを、混合、押し出し、および練りという工程に付し、結果としてペレットとした。それらのペレットを、図2に示されている押出機に供給し、任意のパラメーターによって、各々73μmおよび82μmの厚みを有する単層の環境に優しい紙を生産した。
【0044】
実施例3 単層の環境に優しい紙
単層の環境に優しい紙を、80重量%の無機鉱物粉末(35重量%の炭酸カルシウム、5重量%の二酸化チタン、35重量%の珪藻土、および5重量%のタルク)、18重量%のポリエチレン(高密度ポリエチレン)、および2重量%の添加剤( 0.8重量%のβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン、 0.4重量%のN-オレイルパルミトアミド、および 0.8重量%のN,N-ビス (2-ヒドロキシエチル) ステアリルアミン)の組み合わせから生産した。上記組み合わせを、混合、押し出し、および練りという工程に付し、結果としてペレットとした。それらのペレットを、図2に示されている押出機に供給し、任意のパラメーターによって、各々 102μmおよび 116μmの厚みを有する単層の環境に優しい紙を生産した。
【0045】
実施例4 2層の環境に優しい紙
2層の環境に優しい紙はA層およびB層から構成されている。そのA層を、60重量%の無機鉱物粉末(30重量%の炭酸カルシウム、5重量%の二酸化チタン、および25重量%の珪藻土)、38重量%のポリエチレン(高密度ポリエチレン)、および2重量%の添加剤( 0.8重量%のβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン、 0.4重量%のN-オレイルパルミトアミド、および 0.8重量%のN,N-ビス (2-ヒドロキシエチル) ステアリルアミン)の組み合わせから生産した。その組み合わせを、混合、押し出し、および練りという工程に付し、結果として第1のペレットとした。
【0046】
上記B層を、70重量%の無機鉱物粉末(32重量%の炭酸カルシウム、3重量%の二酸化チタン、32重量%の珪藻土、および3重量%の赤色ピグメント)、28重量%のポリエチレン(18重量%の高密度ポリエチレン、および10重量%の中密度ポリエチレン)、および2重量%の添加剤( 0.8重量%のβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン、 0.4重量%のN-オレイルパルミトアミド、および 0.8重量%のN,N-ビス (2-ヒドロキシエチル) ステアリルアミン)の組み合わせから生産した。その組み合わせを、混合、押し出し、および練りという工程に付し、結果として第2のペレットとした。
【0047】
上記第1および第2のペレットを、図6に示されている押出機10および11にそれぞれ供給した。以降の工程は、実施例1〜3の工程と同じである。任意のパラメーターによって、 100μmの厚みを有する2層の環境に優しい紙を生産した。上記A層は、その環境に優しい紙製品の全厚の40%を構成し、上記B層は、その環境に優しい紙製品の全厚の60%を構成していた。
【0048】
実施例5 3層の環境に優しい紙
3層の環境に優しい紙はA層、B層、およびC層から構成されている。そのA層を、60重量%の無機鉱物粉末(30重量%の炭酸カルシウム、3重量%の二酸化チタン、24重量%の珪藻土、および3重量%の赤色ピグメント)、38重量%のポリエチレン(高密度ポリエチレン)、および2重量%の添加剤( 0.8重量%のβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン、 0.4重量%のN-オレイルパルミトアミド、および 0.8重量%のN,N-ビス (2-ヒドロキシエチル) ステアリルアミン)の組み合わせから生産した。上記組み合わせを、混合、押し出し、および練りという工程に付し、結果として第1のペレットとした。
【0049】
上記B層を、80重量%の無機鉱物粉末(45重量%の炭酸カルシウム、5重量%の二酸化チタン、および30重量%の珪藻土)、18重量%のポリエチレン(中密度ポリエチレン)、および2重量%の添加剤( 0.8重量%のβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン、 0.4重量%のN-オレイルパルミトアミド、および 0.8重量%のN,N-ビス (2-ヒドロキシエチル) ステアリルアミン)の組み合わせから生産した。その組み合わせを、混合、押し出し、および練りという工程に付し、結果として第2のペレットとした。
【0050】
上記C層を、60重量%の無機鉱物粉末(30重量%の炭酸カルシウム、3重量%の二酸化チタン、24重量%の珪藻土、および3重量%の黄色ピグメント)、38重量%のポリエチレン(高密度ポリエチレン)、および2重量%の添加剤( 0.8重量%のβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン、 0.4重量%のN-オレイルパルミトアミド、および 0.8重量%のN,N-ビス (2-ヒドロキシエチル) ステアリルアミン)の組み合わせから生産した。その組み合わせを、混合、押し出し、および練りという工程に付し、結果として第3のペレットとした。
【0051】
上記第1、第2、および第3のペレットを、図10に示されている押出機10、11、および12にそれぞれ供給した。以降の工程は、実施例1〜3の工程と同じである。任意のパラメーターによって、 100μmの厚みを有する3層の環境に優しい紙を生産した。上記B層は、その環境に優しい紙製品の全厚の70%を構成し、上記A層およびC層は、その環境に優しい紙製品の全厚の30%を構成していた。
【0052】
以下の表1は、実施例1〜3の環境に優しい紙の試験結果を提供している。
【0053】
【表1】

【符号の説明】
【0054】
1、1a、1b 二次成形型
2 冷却手段
3 紙フィルム管
4 環境に優しい紙
5 折り畳み手段
6 リーディングローラー
7 切断手段
8 表面コロナ手段
9 ロール
10、11、12 押出機
13、16 接着手段
14、17 オーブン
15、18 ラミネーションローラー
19 硬化手段
20 張力調整装置
21、22、23、25 供給ローラー
24、30 ローラー
26 コロナ手段
27 コーター
28 乾燥ローラー
29 曇りローラー
101、111、121 内部通路
201 押出機10からのA層
202 押出機11からのB層
203 押出機12からのC層
204 コーティングによるD層
205 ラミネート紙
301 ラミネートされた環境に優しい紙を構成している層A’
302 ラミネートされた環境に優しい紙を構成している層B’
303 ラミネートされた環境に優しい紙を構成している層C’

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含んでなる無機鉱物ベースの環境に優しい紙の製造方法:
(i) 混合、押し出し、および練りという工程により、70重量%〜80重量%の無機鉱物粉末、29重量%〜18重量%のポリエチレン、および1重量%〜2重量%の添加剤の組み合わせからペレットを形成させること、
(ii) 前記ペレットを、少なくとも1つの押出機およびサーキュラーダイを有する二次成形型を含み、前記二次成形型が、その表面上に、少なくとも1つの注入口を有しており、前記注入口の各々が、前記二次成形型中に内部通路を規定し、かつ前記二次成形型の前記ダイと通じている、紙フィルム生産手段に適用すること、
(iii) 前記ペレットを前記押出機中で溶融し、当該メルトを前記二次成形型の前記注入口に移送し、そして前記メルトを、前記サーキュラーダイに実質的に対応している中空フィルム管に成形すること、
(iv) 前記フィルム管を冷却すること、並びに
(v) 前記フィルム管が同時二軸延伸し、前記二次成形型のダイから200mm〜700mmの距離において3〜8倍に膨張されるように、前記フィルム管を膨張させ、前記フィルム管の端を引いて、1.49:1〜1:1.44の範囲の、横方向の前記紙の引張強さに対する縦方向の前記紙の引張強さの比、および、1.55:1〜1:1.85の範囲の、横方向の前記紙の引裂強さに対する縦方向の前記紙の引裂強さの比を有する前記紙を作製する。
【請求項2】
前記紙を折り畳み手段に導き、折り畳まれた紙を形成する工程をさらに含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記折り畳まれた紙を切断手段に導き、前記折り畳まれた紙を2枚の紙に切断する工程をさらに含んでいる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記押出機が 150℃〜 220℃の範囲の温度にある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記二次成形型により前記フィルム管を上向きに成形する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記二次成形型の前記ダイから30mm〜 700mmの距離において80℃〜 120℃まで前記フィルム管を冷却する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記紙フィルム生産手段が、1つの押出機と、注入口および内部通路を有する二次成形型とを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記紙フィルム生産手段が、2つの押出機と、2つの注入口および2つの内部通路を有する二次成形型とを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記紙フィルム生産手段が、3つの押出機と、3つの注入口および3つの内部通路を有する二次成形型とを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記紙をラミネートして、150μm〜450μmの厚みを有するラミネート紙を形成することができる、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記紙をさらにコーティングに付す、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記無機鉱物粉末が、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、マイカ、酸化亜鉛、ドロマイト、ガラス繊維、中空ガラスミクロビーズ、シリカ、チョーク、タルク、ピグメント、二酸化チタン、二酸化ケイ素、ベントナイト、クレー、珪藻土およびそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリエチレンが、高密度ポリエチレン、または高密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンからなる群より選ばれるものの少なくとも1種との組み合わせを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記添加剤が、カップリング剤、潤滑剤、静電防止剤、およびそれらの混合物を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法から作られている無機鉱物ベースの環境に優しい紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−31623(P2011−31623A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244034(P2010−244034)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【分割の表示】特願2000−180752(P2000−180752)の分割
【原出願日】平成10年5月19日(1998.5.19)
【出願人】(598065148)ルン メン エンバイロメンタル フレンドリー ペーパー プロダクツ ホンコン (ホールディングス) リミティド (1)
【Fターム(参考)】