説明

環状ソマトスタチンアナログ含有医薬組成物

本発明は、ソマトスタチンアナログを含む非経腸医薬組成物および新規なソマトスタチンアナログを記載する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ソマトスタチンアナログ含有非経腸医薬組成物および新規ソマトスタチンアナログに関する。
【0002】
ソマトスタチンは、構造
【化1】

を有するテトラデカペプチドである。
【0003】
ソマトスタチンの単離および特徴付け以来、より強力で、より安定なアナログに関する広範な研究が続いている。
【0004】
ソマトスタチンアナログは、例えばWO97/25977に記載されている。該ソマトスタチンアナログは、式I
【化2】

〔式中、Xは式(a)または(b)
【化3】

(式中、Rは所望により置換されているフェニルであり、
は−Z−CH−R、−CH−CO−O−CH−R
【化4】

であり、ここでZはOまたはSである)
のラジカルであり、そして
はCα側鎖に芳香族性残基を有するα−アミノ酸、またはDab、Dpr、Dpm、His、(Bzl)HyPro、チエニル−Ala、シクロヘキシル−Alaおよびt−ブチル−Alaから選択されるアミノ酸単位であり、該配列の残基Lysは、天然ソマトスタチン−14の残基Lysに対応する。〕
のアミノ酸配列を含む。
【0005】
本明細書で使用するソマトスタチンアナログは、式Iの配列を有し、かつ、さらに1個またはそれ以上のアミノ酸単位が欠失しているおよび/または1個またはそれ以上のアミノ酸ラジカル(複数もある)で置換されているおよび/または1個またはそれ以上の官能基が1個またはそれ以上の他の官能基で置換されているおよび/または1個またはそれ以上の基が1個または数個の他の等配電子基で置換されている、天然に存在するソマトスタチン−14のものに由来する直鎖または環状ペプチドを意味する。一般にこの用語は、下記に定義する通りのソマトスタチン受容体サブタイプの少なくとも1個にnM範囲の結合親和性を有する、上記式Iの配列を含む、天然ソマトスタチン−14のすべての修飾誘導体をカバーする。
【0006】
好ましいのは、ソマトスタチン−14の8位から11位の残基が、上記で定義の式Iの配列で示されるものである、ソマトスタチンアナログである。
【0007】
より好ましいのは、ヘキサペプチド単位を含み、該ヘキサペプチド単位の3位から6位が式Iの配列の配列を含む、上記のソマトスタチンアナログである。より好ましくはソマトスタチンヘキサペプチドのヘキサペプチド単位の1位および2位が当分野で既知の何れかのもの、例えばA. S. Dutta in Small Peptides, Vol.19, 292-354, Elsevier, 1993に記載のもの、またはソマトスタチン−14のPheおよび/またはPheの置換基として既知のものであり得る。
【0008】
よりさらに好ましいのは、環状ソマトスタチンヘキサペプチド、例えば、1から6と番号付けされたヘキサペプチド単位を含み、該ヘキサペプチド単位の3位から6位が、式Iのアミノ配列を有する、環状ソマトスタチンヘキサペプチド、例えば式Ia
【化5】

〔式中、XおよびXは上記で定義の通りであり、
AはPro、
【化6】

(式中、RはNR−C2−6アルキレン、グアニジノ−C2−6アルキレンまたはC2−6アルキレン−COOHであり、R3aはH、C1−4アルキルまたはRに関して定義のものの一つであり、R3bはHまたはC1−4アルキルであり、RはOHまたはNRであり、Rは−(CH)1−3−または−CH(CH)−であり、RはHまたはCHであり、R4aは所望により環置換されたベンジルであり、RおよびRの各々はH、C1−4アルキル、ω−アミノ−C1−4アルキレン、ω−ヒドロキシ−C1−4アルキレンまたはアシルであり、Rは直接結合またはC1−6アルキレンであり、RおよびRの各々はH、C1−4アルキル、ω−ヒドロキシ−C2−4アルキレン、アシルまたはCHOH−(CHOH)−CH−であり、ここでcは0、1、2、3または4であるか、またはRおよびRはそれらが結合している窒素原子と一体となって、さらなるヘテロ原子を含み得るヘテロ環式基を形成し、そしてR11は所望により環置換されたベンジル、−(CH)1−3−OH、CH−CH(OH)−または−(CH)1−5−NRである)
から選択される二価残基であり、そして
ZZは天然または非天然α−アミノ酸単位である。〕
の化合物である。
【0009】
特に好ましいのは、遊離形、塩形または被保護形の、式II
【化7】

(式中、C−2の配置は(R)または(S)またはそれらの混合であり、そして
RはNR−C2−6アルキレンまたはグアニジン−C2−6アルキレンであり、そしてRおよびRの各々は独立してHまたはC1−4アルキルである。〕
の化合物である。
【0010】
好ましくはRはNR−C2−6アルキレンである。好ましい式IIの化合物は、遊離形、塩形または被保護形の、Rが2−アミノ−エチルである化合物、すなわちシクロ[{4−(NH−C−NH−CO−O−)Pro}−Phg−DTrp−Lys−Tyr(4−Bzl)−Phe](本明細書で、化合物Aと呼ぶ)およびシクロ[{4−(NH−C−NH−CO−O−)Pro}−DPhg−DTrp−Lys−Tyr(4−Bzl)−Phe]である。Phgは−HN−CH(C)−CO−およびBzlはベンジルを意味する。
【0011】
遊離形、塩形または被保護形のこれらの化合物は、以後、“本発明の化合物”と呼ぶ。
【0012】
本発明のソマトスタチンアナログのタンパク質分解のために、全身送達、例えば非経腸投与が非常に望まれる。しかしながら、非経腸投与は投与部位が、とりわけ反復投与において、非常に痛いことがある。
【0013】
本発明の化合物および酒石酸を含む非経腸組成物が特に興味深い特性、例えば良好な耐容性および高い安定性を示すことが、本発明により判明した。
【0014】
被保護形の本発明の化合物は、アミノ基の少なくとも1個が保護され、かつ、好ましくは生理学的に除去可能であって、脱保護により式IIの化合物に至る、ソマトスタチンアナログに対応する。適当なアミノ保護基は、例えばその内容を引用により本明細書に包含させる“Protective Groups in Organic Synthesis”, T. W. Greene, J. Wiley & Sons NY (1981), 219-287に記載の通りである。このようなアミノ保護基の例は、アセチルである。
【0015】
本発明の化合物は、例えば遊離形または塩形で存在し得る。塩は、例えば無機酸、ポリマー酸または有機酸との、例えば塩酸、酢酸、乳酸、アスパラギン酸、安息香酸、コハク酸またはパモン酸との酸付加塩を含む。酸付加塩は、例えば1または2酸当量のいずれを添加するかに依存して、一塩または二塩として存在し得る。好ましい塩は、一塩および二塩を含む、乳酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩およびパモン酸塩、より好ましくはアスパラギン酸二塩およびパモン酸一塩である。
【0016】
本発明の化合物は、慣用法にしたがい、製造できる。
第一の局面において、本発明は、本発明の化合物および酒石酸を含む、非経腸組成物を提供する。
【0017】
本発明によって、典型的に本発明の組成物中の本発明の化合物の濃度は、組成物1mlあたり約0.05から約1mg、特に0.1から1mg/mlである。
【0018】
簡便には、本発明の化合物(量は遊離形に対応する)の酒石酸に対する比率は、重量対重量で0.001から約2、好ましくは約0.05から約0.6である。
【0019】
本発明の組成物中の本発明の化合物の量は、製剤の総重量に基づいて、約0.005%から約0.1%である。
【0020】
好ましくは、酒石酸は微細な結晶形である。より好ましくは、結晶D(−)またはL(+)酒石酸を使用する。酒石酸の用量は、好ましくは製剤の約0.01%から約1.5%w/w、好ましくは約0.01%から約0.3%、より好ましくは約0.15%である。好ましくは、最終組成物中の酒石酸のモル濃度は約10mMである。
【0021】
本発明によって、酒石酸および本発明の化合物に加えて、本医薬組成物は、好ましくは酒石酸緩衝化医薬組成物のpHを約4から約4.5のpH、好ましくは約4.2に調節するように選択され、添加される塩基性成分も含む。
【0022】
好ましくは、該塩基性成分は、塩基、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、または塩基性塩、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、または炭酸カリウムである。好ましくは、該塩基性成分を、得られた医薬組成物が上記の通りにpH緩衝化されるような量で添加する。
【0023】
好ましくは、本発明の医薬組成物は水性である。
本発明の組成物は、さらにマンニトール、塩化ナトリウム、グルコース、デキストロース、スクロースまたはグリセリンのような等張化剤を含み得る。好ましくは、等張化剤はマンニトールである。
【0024】
等張化剤の量は、本発明の組成物の等張性を調節するために選択し、例えばマンニトールは、好ましくは組成物の重量の約1%から約5%、好ましくは約4.95%である。簡便には、マンニトールは、マンニトール対酒石酸の約20から約40、好ましくは約33の比率で存在する。
【0025】
本発明の組成物は、必要な安定性および治療効果を提供するために、非経腸組成物で一般に用いられるさらなる賦形剤を含み得る。賦形剤は、例えば抗酸化剤または防腐剤を含み得る。
【0026】
抗酸化剤は、特に加熱滅菌の加速条件下、活性剤を酸化的分解から保護するために使用し得る。抗酸化剤は、当分野で既知の任意のこれらの化合物から選択し得る。同様に、用いる抗酸化剤の量は、慣用の実験を使用して決定できる。好ましくは、本発明の組成物は抗酸化剤を含まない。
【0027】
防腐剤、例えばフェノールは好ましくはそれを多回用量バイアル、カートリッジまたはシリンジとして製剤するとき添加し得る。好ましくは、本発明の組成物は防腐剤を含まない。
【0028】
本明細書に記載のこれらおよび他の賦形剤ならびに方法を対象とする多くの文献を参照、特に、引用により本明細書に包含するHandbook of Pharmaceutical Excipients, Second Edition, Ainley WadeおよびPaul J. Weller編, American Pharmaceutical Association, Washington, USAおよびPharmaceutical Press, London;およびLexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik and angrenzende Gebiete, H.P. Fiedler編, 4th Edition, Editio Cantor, Aulendorfおよび以前の版を参照のこと。
【0029】
好ましくは、本発明の組成物は、活性成分として本発明の化合物、例えば式IIの化合物、例えば化合物Aのみを含む。
【0030】
本発明の組成物の製造に使用し得る方法は当業者に慣用であるか既知であるか、または、例えば、L. Lachman et al. The TheoryおよびPractice of Industrial Pharmacy, 3rd Ed, 1986, H. Sucker et al, Pharmazeutische Technologie, Thieme, 1991, Hager's Handbuch der pharmazeutischen Praxis, 4th Ed. (Springer Verlag, 1971)およびRemington's Pharmaceutical Sciences, 13th Ed., (Mack Publ., Co., 1970)またはそれ以降の版に記載のような方法に基づき得る。
【0031】
典型的に、所望の量の本発明の化合物、酒石酸および所望により記載の他の成分を水性溶媒、好ましくは注射用水に溶解し、そしてpHを塩基で調節する。次いで、得られた溶液を水で希釈し、望む最終容量としてもよい。得られた溶液を、滅菌フィルター、例えばMillipak(登録商標)フィルターを通して濾過し得る。好ましくは、上記製造中、酸素(空気)を、本発明の化合物と接触させない。これは、通常、溶液を入れた容器の、例えば窒素でのパージにより行う。本医薬組成物を、分解を防ぐための二酸化炭素または他の不活性ガス下、好ましくは二酸化炭素下包装でき、例えばバイアル、例えばガラスバイアル、アンプル、例えばガラスアンプル、またはシリンジ、例えば予充填(prefilled)シリンジに入れ、蒸気または加熱滅菌し得る。
【0032】
該溶液は慣用法で無菌条件下凍結乾燥し、注射用粉末を得てよく、それは該粉末と所望の量の溶媒、例えば注射用水と混合することにより、投与直前に非経腸投与用の所望の溶液を再構成するために使用し得る。
【0033】
あるいは、本発明は、別の局面において、約4から約4.5のpH、好ましくは約4.2に緩衝化され、かつ活性成分として化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、例えば乳酸塩、一または二アスパラギン酸塩、コハク酸塩、好ましくはアスパラギン酸二塩を含む、非経腸投与組成物を提供する。
【0034】
これらの組成物は酒石酸を含む組成物に関して上記の同じ成分を含んでよく、ここで、酒石酸/酒石酸塩が、酢酸塩/酢酸、乳酸塩/乳酸およびグリシン/HClのような別の緩衝液に置換されている。
【0035】
本発明の組成物は下記のものに有用である:
a)過剰なGH−分泌および/または過剰なIGF−1を含むかまたは関連する病院の疾患、例えば末端肥大症の処置ならびにI型またはII型糖尿病、とりわけその合併症、例えば血管症、糖尿病性増殖性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、腎症、ニューロパシーおよび曙現象、およびインスリンまたはグルカゴン放出に関連する他の代謝性疾患、例えば肥満、例えば病的肥満または視床下部性または高インスリン血症性肥満の処置、
【0036】
b)腸皮膚および膵臓皮膚瘻、過敏性大腸症候群、炎症性疾患、例えばグレーブス病、炎症性腸疾患、乾癬またはリウマチ性関節炎、多嚢胞性腎疾患、落下症候群、水様性下痢症候群、AIDS関連下痢、化学療法誘発下痢、急性または慢性膵炎および胃腸ホルモン分泌腫瘍(例えばGEP腫瘍、例えばビポーマ、グルカゴノーマ、インスリノーマ、カルチノイドなど)、リンパ球悪性腫瘍、例えばリンパ腫または白血病、肝細胞癌腫ならびに消化管出血、例えば食道静脈瘤出血の処置、
【0037】
c)血管形成、炎症性眼疾患を含む上記のような炎症性障害、黄斑浮腫、例えば類嚢胞黄斑浮腫、特発性類嚢胞黄斑浮腫、滲出性加齢性黄斑変性症、脈絡膜血管新生関連障害および増殖性網膜症の予防または処置、
【0038】
d)例えば、臓器の移植、例えば心臓、肺、複合心肺、肝臓、腎臓または膵臓移植における移植片血管疾患、例えば同種または異種移植血管障害、例えば移植片血管アテローム性動脈硬化症の予防または撲滅、または移植片血管狭窄、再狭窄および/または例えば経皮経管血管形成術、レーザー処置または血管内膜もしくは内皮の完全性を破壊する他の侵襲的方法などのカテーテル法(catherization procedure)または血管掻爬法による血管傷害後の血管閉塞の予防または処置、
【0039】
e)下垂体腫瘍、例えばクッシング症候群、胃腸膵管、カルチノイド、中枢神経系、乳房、前立腺(進行したホルモン難治性前立腺癌を含む)、卵巣または結腸腫瘍、小細胞肺癌、悪性腸閉塞、傍神経節腫、腎臓癌、皮膚癌、神経芽腫、褐色細胞腫、甲状腺髄様癌、骨髄腫、リンパ腫、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、骨腫瘍およびそれらの転移のようなソマトスタチン受容体を発現または蓄積する腫瘍ならびに自己免疫性または炎症性障害、例えばリウマチ性関節炎、グレーブス病または他の炎症性眼疾患の処置。
【0040】
好ましくは、本発明の組成物は末端肥大症および癌、例えばクッシング症候群の処置に有用である。
【0041】
本発明の組成物の活性および特性は、標準臨床試験または動物試験で示し得る。
【0042】
本発明の組成物の適当な投与量は、例えば処置すべき状態(例えば疾病のタイプまたは耐性の性質)、使用する薬剤、所望の効果および投与の形態などに依存して変化するであろう。
【0043】
連続して投与するとき、薬剤の有効量を、非経腸投与、例えば静脈内点滴、筋肉内または皮下注射(複数もある)、または皮下注入、例えば連続皮下注入、好ましくは皮下注射または注入によるように、長時間にわたり2回または3回投与で投与でき、総一日量は投与期間の一部または全投与期間にわたり拡散する。皮下注射により投与するとき、もっとも好ましくは1週間3回から1日3回まで、好ましくは1週間3回から1日1回または2回までで投与する。本発明の化合物は、例えば皮下ボーラス注射の形で投与してもよい。
【0044】
本発明の組成物は、好ましくは皮下注射に適する。
注射後、本発明の組成物は局所的に十分耐容性である。特に、本発明の組成物の非経腸投与、例えば皮下注射は注射部位にもたらす灼熱感が軽いないし無である。
【0045】
注射後の良好な局所耐容性に加えて、本発明の組成物は良好な安定性特性を示す。例えば、60℃で4週間貯蔵後に、2.5%より少ない分解産物が見られた。例えば、遮光しながら2℃から8℃で貯蔵したとき、本発明の組成物は24ヶ月にわたり安定である。特に化合物Aの二アスパラギン酸塩で良好な安定性が観察できる。
【0046】
一般に、満足な結果が、1日4回までに分けて投与して、注射あたり約0.01から約1.2mg、好ましくは約0.1から約0.6mgの本発明の化合物または約0.001から約0.009mg/動物体重kg/日の投与量の程度で投与、例えば皮下投与したときに得られる。患者のための適当な1日量は、約0.1mgから約0.6mgの本発明の化合物、例えば式IIの化合物、例えば化合物Aである。
下記実施例は、本発明の組成物を説明するために提供する。
【0047】
実施例1から7:
酒石酸およびマンニトールを注射用水に溶解し、その間溶液を窒素でパージする。次いで、化合物Aの二アスパラギン酸塩を添加し、溶液を水酸化ナトリウムでpH4.20に調節し、1.0mlまでの注射用水を添加する。無菌条件下で、溶液を0.22μmポアサイズのMillipak-200(登録商標)滅菌フィルターで濾過し、アンプルに充填し、オートクレーブで滅菌する。
【0048】
【表1】

【0049】
さらに別の局面において、本発明は、遊離形、塩形もしくは錯体形、または被保護形の、新規な式IIIの化合物
【化8】

〔式中、RはNR−C2−6アルキレンまたはグアニジン−C2−6アルキレンであり、そして
およびRの各々は、独立してHまたはC1−4アルキルである。〕
の化合物を提供する。
【0050】
好ましくはRはNR−C2−6アルキレンである。好ましい式IIIの化合物は、シクロ[{4−(NH−C−NH−CO−O−)Pro}−DPhg−DTrp−Lys−Tyr(4−Bzl)−Phe]とも呼ばれ、本明細書で化合物Bとも呼ばれる、遊離形、塩形もしくは錯体形、または被保護形の、Rが2−アミノ−エチルである化合物である。PhgおよびBzlは上記で定義の通りである。
【0051】
遊離形、塩形もしくは錯体形、または被保護形のこれらの化合物は、以後、“新規な本発明の化合物”と呼ぶ。
【0052】
被保護形の式IIIの化合物、例えば化合物Bは、少なくとも1個のアミノ基が保護され、かつ、好ましくは生理学的に除去可能であって、脱保護により式IIIの化合物に至る、上記分子に対応する。適当なアミノ保護基は、例えば例えばその内容を引用により本明細書に包含させる“Protective Groups in Organic Synthesis”, T. W. Greene, J. Wiley & Sons NY (1981), 219-287に記載の通りである。このようなアミノ保護基の例は、アセチルである。
【0053】
式IIIの化合物、例えば化合物Bが錯体形で存在するとき、それは、簡便にはProの側鎖アミノ基上にキレート基を担持し、検出可能な元素または放射線療法元素と錯体形成する式IIIの化合物であり得る。キレート基を担持する化合物Bは、本明細書で共役した化合物Bと呼ぶ。
【0054】
キレート基の例は、例えばポリ−アミノポリカルボン酸または無水物由来のもの、例えば非環状リガンド、例えばジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、エチレングリコール−0,0'−ビス(2−アミノエチル)−N,N,N',N'−四酢酸(EGTA)、N,N'−ビス(ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸(HBED)およびトリ−エチレン−テトラアミン六酢酸(TTHA)由来のもの、置換DTPA、例えばp−イソシアナト−ベンジル−DTPA、大環状リガンド、例えば1,4,7,10−テトラ−アザシクロドデカン−N,N',N'',N'''−テトラ酢酸(DOTA)、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラ−デカン−N,N',N'',N'''−テトラ酢酸(TETA)、または1,4,7,10−テトラ−アザシクロ−トリ−デカン−N,N',N'',N'''−テトラ−酢酸(TITRA)由来のものを含む。
【0055】
該キレート基は、直接またはスペーサーを介して、Proの側鎖アミノ基に結合し得る。適当なスペーサーは、例えばGB−A−2,225,579に記載のような、例えばアミノ−カルボン酸の二価残基、例えばβ−Alaまたは6−アミノ−カプロン酸由来の二価残基のような当分野で既知のものを含む。
【0056】
好ましいキレート基はDTPA、DOTAまたはTETA由来のものである。DTPAまたはDOTA由来のキレート基がもっとも好ましい。
【0057】
検出可能な元素は、任意の元素、好ましくは、特性検出可能なインビボ診断技術を示す金属イオン、例えば検出可能な放射線を発する金属イオンまたはNMR緩和特性に影響し得る金属イオンを意味する。放射線療法元素は、処置すべき状態に有利な影響を有する放射線を発する任意の元素を意味する。
【0058】
適当な元素は、例えばCATスキャンニング(コンピュータ断層写真)で使用されているような、例えば重元素または希土類元素、常磁性イオン、例えばGd3+、Fe3+、Mn2+およびCr2+、蛍光金属イオン、例えばEu3+、および放射性核種、例えば放射ランタニド(radiolanthanide)、特にγ−放出核種、β−放出核種、α−放出核種、オージェ−e放出核種または陽子−放出核種、例えば68Ga、18Fまたは86Yを含む。
【0059】
適当なγ−放射放射性核種は診断技術に使用されているものを含む。γ−放射放射性核種は、有利には1時間から40日、好ましくは5時間から4日、より好ましくは12時間から3日の半減期を有する。例は、ガリウム、インジウム、テクネチウム、イッテルビウム、レニウム、テルビウム、ルテチウム、タリウムおよびサマリウムの放射性同位体、例えば67Ga、111In、99mTc、161Tb、169Yb、186Reまたは177Luである。
【0060】
適当なβ−放射放射性核種は、放射線療法適用に有用なもの、例えば90Y、67Cu、186Re、188Re、169Er、121Sn、127Te、177Lu、143Pr、198Au、109Pd、165Dy、142Prまたは153Smを含む。
【0061】
適当なα−放射放射性核種は、治療的処置において使用されるもの、例えば211At、212Biまたは201Tlである。
【0062】
式IIIの化合物、例えば化合物Bは例えば遊離形または塩形で存在し得る。塩は、例えば無機酸、ポリマー酸または有機酸との、例えば塩酸、酢酸、乳酸、アスパラギン酸、安息香酸、コハク酸またはパモン酸との酸付加塩を含む。酸付加塩は、例えば1または2酸当量を、遊離形の化合物Bに添加するかに依存して、一塩または二塩として存在し得る。好ましい塩は、一塩および二塩を含む、乳酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩およびパモン酸塩、より好ましくはアスパラギン酸二塩およびパモン酸一塩である。
【0063】
共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bは、さらに、キレート基中に存在するならばカルボン酸基と得られた塩の形、例えばナトリウムまたはカリウムのようなアルカリ金属塩、または置換または非置換アンモニウム塩で存在し得る。
【0064】
本発明はまた式IIIの化合物、例えば化合物Bの製造法も含む。それは、既知法に準じて製造でき、例えば:
a)被保護形、ポリマー−結合形または非保護形の直鎖ペプチドを、式IIIの化合物、例えば化合物Bが得られるように環化し、次いで所望により保護基(複数もある)を除去し、
b)共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bを製造するために、キレート基と、被保護形または非保護形の式IIIの化合物、例えば化合物Bを互いに連結し、次いで所望により保護基を除去し、
そしてこのようにして得た遊離形、塩形またはまたは所望により検出可能または放射線療法元素と錯体化した式IIIの化合物、例えば化合物B、または共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bを回収する。
【0065】
直鎖状ペプチド中のアミノ酸の配列が、所望の式IIIの化合物、例えば化合物Bのものに対応する限り、直鎖状ペプチドが環化されるため、どのアミノ酸をペプチド鎖を開始するためにC−末端位として選択するかは重要ではない。しかしながら一つの開始アミノ酸が他のものに優先するであろう他の因子が存在し得る。式IIIの化合物、例えば化合物Bを固相合成により製造するとき、第一アミノ酸は好ましくは樹脂、例えば市販のポリスチレン−ベースの樹脂に、適当なリンカー、例えば側鎖保護を無傷で保つための緩和な条件下で開裂可能なリンカー、例えばSASRIN、または所望により置換されているトリチルベースのリンカー、例えばフェニル基が所望により例えばClで置換されていてよい4−(ヒドロキシ−ジフェニル−メチル)−安息香酸を介して結合している。所望のペプチド鎖の構築は、慣用法で、例えば末端アミノ基がFmoc−保護され、側鎖アミノ基が、存在するとき、異なるアミノ保護基、例えばBocまたはCBOで保護されているアミノ酸単位を使用して行い得る。好ましくは直鎖状ペプチドを、Tyr(4−Bzl)−OHとPheの間の結合、例えばPhe−{4−(NHR−C−NH−CO−O−)Pro}−DPhg−DTrp(R)−Lys(ε−NHR)−Tyr(4−Bzl)−OHまたはその機能性誘導体(式中、各R、RおよびRはアミノ保護基である)を産生させるような方法で環化させる。環化工程a)は、簡便には既知方法にしたがい、例えばアジド、活性エステル、混合無水物またはカルボジイミドを介して、行い得る。その後、該保護基を、例えばトリフルオロ酢酸または水素化による、例えば、開裂により、除去する。
【0066】
ペプチドの環化はまた直接固体支持体上で行うことができ、第一アミノ酸はNα−およびC−末端被保護形であり、かつ、側鎖、例えばLysのε−アミノ官能基またはを介して、または骨格固定により結合している。直鎖状配列を、次いで標準固相合成(SPPS)方にしたがい合成する。C−末端保護の開裂後、本ペプチドを例えば上記の通り環化する。その後、本環状ペプチドを樹脂から開裂し、そして脱保護する。
【0067】
所望により、Pro上に存在する側鎖を、ペプチド環化工程a)の前または後にアミノ酸上に挿入してよい。故に、出発アミノ酸としてのProまたは出発直鎖状もしくは環状ペプチド(いずれの場合もProはOHで環置換されている)を、式IIIの化合物、例えば化合物B、または各々所望のPro単位もしくは対応する直鎖状ペプチド(ここで、ProはNHR−C−NH−CO−O−により置換されている)を提供するように置換し得る。
【0068】
共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bの錯体化は、共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bと対応する検出可能な元素または放射線療法元素を産生する化合物、例えば金属塩、好ましくは水溶性塩の反応により行い得る。該反応は、既知法に準じて、例えばPerrin, Organic Ligand, Chemical Data Series 22. NY Pergamon Press (1982); in KrejcaritおよびTucker, Biophys. Biochem. Res. Com. 77: 581 (1977)およびin WagnerおよびWelch, J. Nucl. Med. 20: 428 (1979)に記載の通りに行い得る。
【0069】
下記実施例は、新規な本発明の式IIIの化合物を説明する。すべての温度は℃である。
略語:
【表2】

【0070】
実施例8:シクロ[{4−(NH−C−NH−CO−O−)Pro}−DPhg−DTrp−Lys−Tyr(4−Bzl)−Phe]
a)Fmoc−Pro(4−OCO−NH−CH−CH−NH−Boc)−OHの合成
L−ヒドロキシプロリンメチルエステルヒドロクロライドをFmoc−OSuと、水性1.0N 炭酸ナトリウム/THF中、室温で反応させる。反応完了後、Fmoc−Pro(4−OH)−OMeを沈殿により単離する。Fmoc−Pro(4−OH)−OMeを、次いでトリスホスゲン(0.6当量)のTHF溶液に滴下し、クロロ炭酸中間体を得る。1時間後、ジメチルアミノピリジン(1.0当量)およびN−Boc−ジアミノエタン(6.0当量)を添加し、反応物を室温で撹拌する。反応完了後、溶媒を真空で除去し、得られたFmoc−Pro(4−OCO−NH−CH−CH−NH−Boc)−OMeを酢酸エチル/0.1M HClの2相系から抽出し、祖生成物(MH=554)を得、それを酢酸エチルからの結晶化により精製する。メチルエステルを次いで1N NaOHのジオキサン/水溶液での処理により遊離酸に開裂し、そして生成物Fmoc−Pro(4−OCO−NH−CH−CH−NH−Boc)−OHをシリカゲルで精製する、[(M+Na)]=562)。
【0071】
b)H−Phe−Pro(4−OCO−NH−CH−CH−NH−Boc)−DPhg−DTrp(Boc)−Lys(Boc)−Tyr(Bzl)−OH
市販のFmoc−Tyr(Bzl)−O−CH−Ph(3−OCH)−O−CH−ポリスチレン樹脂(SASRIN−樹脂、2.4mM)を出発物質として使用し、Nα−脱保護(ピペリジン/DMF、2:8)の反復サイクル、反復したDMFでの洗浄およびカップリング(DIPCI:4.8mM/HOBT:6mM、DMF)から成る標準プロトコールを介して行う。下記のアミノ酸−誘導体を連続してカップリングする:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−DTrp(Boc)−OH、Fmoc−DPhg−OH、Fmoc−Pro(4−OCO−NH−CH−CH−NH−Boc)−OH、Fmoc−Phe−OH。カップリング(2当量アミノ酸s)を、完了するまで、すなわち負の‘Kaiser'ニンヒドリン試験によりモニターする残存アミノ基が無くなるまで続けるかまたは繰り返す。完全に集合した保護直鎖状ペプチド形のその樹脂支持体からの開裂前に、最後の残基からのNα−Fmoc保護を除去する。
【0072】
c)H−Phe−Pro(4−OCO−NH−CH−CH−NH−Boc)−DPhg−DTrp(Boc)−Lys(Boc)−Tyr(Bzl)−OH
CHClで洗浄後、ペプチド−樹脂をカラム内または撹拌している吸込フィルター上に移し、該ペプチドフラグメントを2%TFAのCHCl溶液での1時間以内の短い処理により開裂し、溶出する。溶出液を、飽和NaHCO溶液で直ぐに中和する。有機溶液を分離し、蒸発させ、側鎖保護前駆体(MH=1366)をさらに精製することなく環化する。
【0073】
d)シクロ[−Pro(4−OCO−NH−CH−CH−NH)−DPhg−DTrp−Lys−Tyr(Bzl)−Phe−]、トリフルオロ酢酸塩
上記直鎖状フラグメントをDMF(4mM)に溶解し、マイナス5℃に冷却し、2当量DIPEA、次いで1.5当量のDPPAで処理し、完了(約20時間)まで0−4℃で撹拌する。溶媒はほとんど完全に真空で除去した;濃縮物を酢酸エチルで希釈し、NaHCO、水で洗浄し、乾燥させ、真空で蒸発させた。
【0074】
脱保護のために、該残基を0℃でTFA/HO 95:5(約50mM)に溶解し、冷却しながら30分撹拌する。生成物を次いで約10当量HCl含有エーテルで沈殿させ、濾過し、エーテルで洗浄し、乾燥させる。残ったインドール−Nカルバミン(carbaminic)酸を完全に分解するために、生成物を5%AcOHに溶解し、15時間、約5℃の後凍結乾燥する。分取RP−HPLCをC−18 10μm STAGROMAカラム(5−25cm)で、0.5%TFAから0.5%TFAの70%アセトニトリル溶液を使用して、行う。純粋な表題化合物を含むフラクションを合わせ、水で希釈し、凍結乾燥する。凍結乾燥物を水に溶解し、続いて10%NaCOの水溶液で沈殿させる。固体遊離塩基を濾取し、水で洗浄し、真空下、室温で乾燥させる。得られた白色粉末を直接異なる塩のために使用する。
【0075】
実施例9:塩形のシクロ[{4−(NH−C−NH−CO−O−)Pro}−DPhg−DTrp−Lys−Tyr(4−Bzl)−Phe]
a. 酢酸塩
酢酸塩形への変換は、イオン交換樹脂(例えばAG3−X4)を使用して行う。MS(ESI):m/z 524.5 [M+2H]2+
[α]20=−41.6°;c=0.56;AcOH 95%;T=20C;589.3nm
【0076】
b. アスパラギン酸塩
一−または二−アスパラギン酸塩への変換は、1当量の実施例8の化合物と、アセトニトリル/水1:3混合物溶液の1または2当量のアスパラギン酸の反応により得る。得られた混合物を凍結し、凍結乾燥する。
二アスパラギン酸塩はまた実施例8の化合物を水/アセトニトリル4:1に溶解し、濾過し、イオン交換樹脂、例えばBioRad AG4X4カラムに充填し、そして水/アセトニトリル4:1で溶出することにより得ることができる。溶出液を濃縮し、凍結し、凍結乾燥する。
【0077】
c. 安息香酸塩
安息香酸塩への変換は、実施例8の化合物と、アセトニトリル/水1:2混合溶液中に2当量の安息香酸と共に溶解することにより得ることができる。得られた混合物を凍結し、凍結乾燥する。
【0078】
d. パモ酸塩
1当量の実施例8の化合物を、アセトニトリル/THF/水2:2:1の混合溶液中の1当量のエンボニック酸と共に溶解することにより得ることができる。得られた混合物を凍結し、凍結乾燥する。
【0079】
実施例10:シクロ[{4−(DOTA−NH−C−NH−CO−O−)Pro}−DPhg−DTrp−Lys−Tyr(4−Bzl)−Phe
a)シクロ[−Pro(4−OCO−NH−CH−CH−NH)−DPhg−DTrp−Lys(Cbo)−Tyr(Bzl)−Phe−]、トリフルオロ酢酸塩
本化合物は、シクロ[−Pro(4−OCO−NH−CH−CH−NH)−DPhg−DTrp−Lys(Cbo)−Tyr(Bzl)−Phe−]、トリフルオロ酢酸塩と類似の方法で、Fmoc−Lys(Cbo)−OHをFmoc−Lys(Boc)−OHの代わりに使用して合成する。
【0080】
b)400mgの市販のDOTA×2HO(SYMAFEX-France)を20ml 水に溶解する。20ml DMF添加後、170mgのシクロ[−Pro(4−OCO−NH−CH−CH−NH)−DPhg−DTrp−Lys(CBO)−Tyr(Bzl)−Phe−]を、190mgのDCCIおよび60mgのN−ヒドロキシスクシンイミドと共に添加する。得られた懸濁液を室温に72時間保つ。濾過後、溶媒を減圧下除去し、残った粗物質をシリカゲルで精製する(DCM/MeOH/HOAc50%8/2/0.25→7/3/1、移動相として)。
【0081】
c)脱保護のために上記DOTA−共役体を5ml トリフルオロ酢酸/チオアニソール(9/1)で2時間、室温で処理する。その後、該溶液を100ml ジエチルエーテル+5ml 3N HCl/ジエチルエーテルの混合物に注ぎ、得られた沈殿を濾過により単離する。精製を、シリカゲルで、DCM/MeOH/HOAc50%7/4/2→7/5/4を移動相として使用して行う。分析的に純粋な最終生成物を、RP18−HPLCカラム(Spherisorb 250×4.6mm)での0.1%TFAから0.1%TFAの90%CHCN溶液勾配を使用した脱塩工程後に得る。MH:1434.7
【0082】
遊離形または薬学的に許容される塩形もしくは錯体の式IIIの化合物、例えば化合物Bは、インビトロおよびインビボ試験で示されるような価値のある薬理学的特性を示し、したがって、治療に適応される。
【0083】
より特に、式IIIの化合物、例えば化合物Bは、ヒトソマトスタチン受容体(hsst)に対して興味深い結合特性を示す。5つのソマトスタチン受容体サブタイプ、sst1、sst2、sst3、sst4およびsst5がクローン化され、特徴付けされている。hsst1、hsst2およびhsst3およびそれらの配列は、Y. Yamada et al. in Proc. Nat. Acad. Sci., 89, 251-255 (1992)により記載されている。hsst4およびその配列はL. Rohrer et al. in Proc. Acad. Sci., 90, 4196-4200 (1993)により記載されている。hsst5およびその配列はR. Panetta et al. in Mol. Pharmacol. 45, 417-427, 1993により記載されている。
【0084】
結合アッセイは、下記の通り、選択的かつ安定にhsst1、hsst2、hsst3、hsst4またはhsst5を発現する細胞系、例えばCHOまたはCOS細胞由来の膜を使用して行い得る。
【0085】
膜は既知の方法で、例えばC. Bruns et al. in Biochem. J., 1990, 65, page 39-44により記載の通り調製する。hsst選択的細胞系、例えばhsst1またはhsst2またはhsst3またはhsst4またはhsst5を安定に発現するCHOまたはCOS細胞から調製した膜を、トリプリケートで、総量300μlで、22℃で30分、0.5%BSA含有10mmol/l Hepes緩衝液(pH7.6)中の[125I−Tyr11]−SRIF−14の濃度を増加させながらインキュベートする。インキュベーションを急速濾過により停止させ、フィルターをカウンターで計数する。特異的結合は、総結合マイナス1μmol/l ソマトスタチン−14存在下の非特異的結合である。実験をトリプリケートで行う。親和性定数(K)および結合部位の数を適当な統計およびグラフ作成(graphical)プログラムを使用して計算する。
【0086】
式IIIの化合物、例えば化合物Bは、上記結合アッセイにおいて、hsst1、hsst2およびhsst4に対して明白な結合親和性を有さず、hsst3に対して低い結合親和性を有し、そしてhsst5に対して良好な結合親和性を有し、nM濃度範囲のIC50値で示す(IC50=[125I−Tyr11]−SRIF−14を特異的放射リガンドとして使用した競合結合アッセイにおける半分最大阻害の濃度)。
【0087】
【表3】

【0088】
式IIIの化合物、例えば化合物Bは、インビトロで培養下垂体細胞からのGH放出の放出の阻害により示される通り、GH−放出阻害活性を示す。例えば、成熟ラットからの脳下垂体前葉を小片に切断し、20mM HEPES緩衝液中の0.1%トリプシンを使用して分散させる。分散させた細胞を4日間、5%ウシ胎児血清、5%ウマ血清、1mM NaHCO、2.5nM デキサメタゾン、2.5mg/ml インスリンおよび20U/ml ペニシリン/ストレプトマイシン(Pen/Strep)を添加したMEM(Gibco)中で培養する。実験の日に、付着細胞を20mM HEPESで緩衝化し、5mM グルコースおよび0.2%BSAを添加したKrebs-Ringer培地で2回洗浄する。続いて、細胞を3時間、化合物Bと3×10−10M生長ホルモン増殖因子の存在下にインキュベートする。培地に放出された生長ホルモンの量をRIAで測定する。
【0089】
式IIIの化合物、例えば化合物Bは、ラットにおける生長ホルモン(GH)の放出を阻害する。化合物Bを、麻酔したラットにs.c.で注射する。血液を、化合物投与1時間後、断頭した後に採取する。作用時間を、薬剤処置6時間後の基底GH分泌の阻害に基づき概算する。ホルモンレベルを、処置1時間後および6時間後にRIAにより測定する。該ホルモン分泌に関するID50−値を、各実験に関してグラフ的(log−プロビット)に決定し、得られた値を対数的に平均化する。このインビボモデルにおいて、化合物Bは生長ホルモン放出を阻害する。
【0090】
式IIIの化合物、例えば化合物Bはまたhsst3および/またはhsst5を担持する種々の癌細胞系での増殖試験で示される通り、hsst3および/またはhsst5受容体陽性である腫瘍の処置に有用である。
【0091】
式IIIの化合物、例えば化合物Bは、したがって、例えば錯体化した共役した化合物Bに関して下記の通り、hsst3および/またはhsst5の存在もしくは活性化を含むもしくはそれに関連する病因を有する障害、例えば過剰なGH−分泌が関連する障害または疾患の予防もしくは処置、例えば末端肥大症の処置に、または悪性細胞増殖性疾患、例えばhsst3および/またはhsst5を担持する癌腫瘍の処置に有用である。
【0092】
上記のすべての適用症に関して、必要な投与量は、例えば、宿主、投与の方法および処置すべき状態の重症度に依存して、もちろん変化するであろう。一般に、しかしながら、1μgから0.7mg/kg/日の程度の式IIIの化合物、例えば化合物Bの投与により、十分な結果が得られる。患者のための指示される一日量は、約2μgから約50mg、好ましくは約0.01から約40mg、例えば約0.01から約3mg s.c.の本化合物であり、簡便には、例えば約0.5μgから約25mg、例えば約2μgから20mg、例えば2μgから1.5mgの式IIIの化合物、例えば化合物Bを含む単位投与量の1日3回まで投与する。
【0093】
式IIIの化合物、例えば化合物Bは、遊離形または薬学的に許容される塩形または錯体で投与してよい。このような塩および錯体は慣用法で製造し得て、遊離化合物と同程度の活性を示す。本発明はまた遊離塩基形もしくは薬学的に許容される塩形もしくは錯体形の式IIIの化合物、例えば化合物Bを、1個またはそれ以上の薬学的に許容される希釈剤または担体と含む、医薬組成物も提供する。このような組成物は慣用法で製剤できる。式IIIの化合物、例えば化合物Bはまた持続放出形、例えばインプラント、マイクロカプセル、例えば生物分解性ポリマーまたはコポリマーを含むマイクロスフェアもしくはナノスフェアの形、リポソーム製剤の形、またはautogelの形、例えば患者の体液と接触後にゲルを形成できる固体もしくは半固体組成物で投与してよい。
【0094】
式IIIの化合物、例えば化合物B、またはその薬学的に許容される塩もしくは錯体は、任意の慣用の経路で、例えば非経腸的に、例えば注射可能溶液または懸濁液の形で(例えば上記の持続放出形を含む)、慣用の吸収促進剤を使用した経口で、経鼻または坐薬形でまたは局所的に、例えば点眼または結膜下または眼内もしくは眼周囲注射のための、例えば眼科用液体、ジェル、軟膏または懸濁液製剤、例えばリポソーム、マイクロスフェアまたはナノスフェア製剤の形で投与してよい。
【0095】
前記によって、本発明はさらに下記を提供する:
1. 医薬として使用するための式IIIの化合物、例えば化合物B、またはその薬学的に許容される塩もしくは錯体;
2. 処置を必要とする対象における本明細書に示す疾患または障害を予防または処置する方法であり、該対象に有効量の式IIIの化合物、例えば化合物B、またはその薬学的に許容される塩もしくは錯体を投与することを含む、方法;または
3. 上記2.の下に定義した通りの任意の方法に使用するための医薬組成物の製造において使用するための、式IIIの化合物、例えば化合物B、またはその薬学的に許容される塩もしくは錯体。
【0096】
共役した式IIIの化合物、例えば化合物B、またはその薬学的に許容される塩は、標準試験で示される通り、検出可能な元素、例えばγ−または陽電子−放射核種、蛍光金属イオンまたは常磁性イオン、例えば111In、161Tb、177Lu、86Y、68Ga、Eu3+、Gd3+、Fe3+、Mn2+またはCr2+と錯体化したとき、造影剤として、例えばhsst3および/またはhsst5受容体陽性組織および細胞、例えばhsst3および/またはhsst5受容体陽性腫瘍および転移、ソマトスタチン受容体を示す炎症性または自己免疫性障害、結核または移植後の臓器拒絶の可視化に、またはα−もしくはβ−放射核種またはオージェ−eカスケードを有する核種、例えば90Y、161Tb、177Lu、211At、213Biまたは201Tlと錯体化したとき、インビボでのhsst3および/またはhsst5受容体陽性腫瘍および転移、リウマチ性関節炎ならびに重症炎症状態の処置に有用である。
【0097】
特に、共役した化合物Aがソマトスタチン受容体に約8から10のpKi値で結合することが観察される。例えば111In、88Y、90Yまたは177Luと錯体化した実施例10の化合物は、化合物Bの結合特性に一致して、各sstサブタイプにnM範囲で結合する。
【0098】
共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物B、およびその錯体のhsst3および/またはhsst5受容体に対する親和性はまた標準法にしたがったインビボ試験により、例えばGB−A−2,225,579に記載の通りに示すことができる。例えば111In、88Y、90Yまたは177Luと錯体化した、例えば実施例10の化合物は、hsst5受容体を発現する膵外分泌腫瘍を担持するマウスまたはラットに注射した4時間後に、著しい腫瘍蓄積を示す。
【0099】
錯体形の、例えば111In、177Lu、86Yまたは161Tbで放射標識した共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bの、0.1から5mCi、好ましくは0.1から2mCiの放射核種で標識して1から5μg/kgの用量での投与後、腫瘍部位が検出可能となる。
【0100】
本共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bはα−もしくはβ−放出核種またはオージェ−eカスケードを有する核種で標識したとき、例えば、ヌードマウス試験で示される通り、hsst3および/またはhsst5受容体を担持する腫瘍細胞に対して抗増殖性および/または細胞毒性効果を示す。
【0101】
ヌードマウスにhsst5担持腫瘍細胞を接種する。腫瘍が1から2cmの容積に達したとき、動物をコントロールおよび処置群に無作為化する。錯体形の共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bを、i.p.またはi.v.注射により投与する。マウスあたり40mCi/kgまでの用量を投与する。腫瘍のサイズを上記の通りカリパスで測定する。統計的計算のために、ステューデントのt検定を適用する。この試験において、90Yまたは177Luと錯体化した実施例10の化合物の1回投与により、一過性の腫瘍退縮が1週間後に観察され、腫瘍増殖が2週間遅れる。対照的に、コントロール群は腫瘍が増殖し続け、約7日で容積が倍になる。
【0102】
したがって、一連の具体的なまたは代替的な態様において、本発明はまた下記を提供する:
4. 検出可能な元素と錯体化した、共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bの、対象中のhsst3および/またはhsst5陽性細胞および組織、例えばhsst3またはhsst5陽性腫瘍および転移をインビボ検出し、かつ該錯体が標的とする受容体の局在化を記録するための、使用;
5. 対象におけるhsst3および/またはhsst5陽性組織および細胞、例えばhsst3またはhsst5陽性腫瘍および転移のインビボ検出法であり、該対象に検出可能な元素と錯体化した、共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bまたは薬学的に許容される塩形を投与し、そして該錯体が標的とする受容体の局在化を記録することを含む、方法。
【0103】
造影剤として使用する錯体形の共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bは、、例えば注射可能溶液または懸濁液の形、好ましくは1回注射の形で、例えば静脈内に投与し得る。放射標識は、好ましくは対象への投与の直前に行い得る。
【0104】
動物において、指示される投与量範囲は、0.02から0.5mCi γ−放出核種と錯体化した、0.01から1μg/kgの共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bであり得る。大型哺乳類、例えばヒトにおいて、指示される投与量範囲は、例えば、1から100mCi/mの検出可能な元素、例えば111In、86Yまたは177Luと錯体化した、1から100μg/mの共役した化合物Bであり得る。
【0105】
6. hsst3および/またはhsst5陽性腫瘍および転移のインビボ処置のための、α−もしくはβ−放射核種またはオージェ−eカスケードを有する核種と錯体化した、共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bの使用。
7. 処置を必要とする対象における、hsst3および/またはhsst5陽性腫瘍および転移をインビボ処置するための、例えばこのような腫瘍の侵襲性またはこのような腫瘍増殖に関連する症状を処置するための方法であり、該対象に治療的有効量の、α−もしくはβ−放射核種またはオージェ−eカスケードを有する核種と錯体化した、共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bを投与することを含む、方法。
8. 造影剤または放射性医薬組成物の製造における、共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物B、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【0106】
本発明の放射線療法使用の実施において用いる投与量は、例えば処置すべき特定の状態、例えばhsst5を発現する正常臓器への既知の放射毒性、腫瘍の容積および所望の治療に依存して、もちろん変化するであろう。一般に、投与量は、健康な臓器に対して得られた薬物動態および放射活性分布データに基づき、かつ、観察される標的取り込みに基づき、計算する。共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bのβ−放射錯体は、例えば1から3ヶ月の期間にわたり、反復投与し得る。
【0107】
動物において、指示される投与範囲は、15から70mCiのα−もしくはβ−放射核種またはオージェ−eカスケードを有する核種、例えば90Y、177Luまたは161Tbと錯体化した、20から100μg/kgの共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bであり得る。大型哺乳類、例えばヒトにおいて、指示される投与範囲は、例えば1から100mCi/mのα−またはβ−放射核種またはオージェ−eカスケードを有する核種、例えば90Y、177Luまたは161Tbと錯体化した、1から100μg/mの共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bであり得る。
【0108】
放射線療法剤として使用するための錯体形の共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bは、任意の慣用の経路で、例えば、注射可能溶液の形での、例えば、静脈内投与により投与できる。また有利には輸液により、例えば15から60分にわたる輸液により投与し得る。腫瘍部位に依存して、それは、例えばカテーテルの手段により、腫瘍のできるだけ近くに投与し得る。本発明はまた遊離塩基形または薬学的に許容される塩形または検出可能なもしくは放射線療法剤と錯体化した、共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bを、1個またはそれ以上の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物も提供する。
【0109】
錯体形の式IIIの化合物または共役した式IIIの化合物、例えば化合物Bまたは共役した化合物Bは、hsst3および/またはhsst5を発現または蓄積する、例えば下垂体腫瘍、例えば腺腫またはプロラクチノーマ、胃腸膵管腫瘍、カルチノイド、中枢神経系、乳房、前立腺(進行したホルモン難治性前立腺癌を含む)、卵巣または結腸腫瘍、小細胞肺癌、悪性腸閉塞、傍神経節腫、腎臓癌、皮膚癌、神経芽腫、褐色細胞腫、甲状腺髄様癌、骨髄腫、リンパ腫、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、骨腫瘍およびそれらの転移、ならびに自己免疫性または炎症性障害、例えばリウマチ性関節炎、グレーブス病または他の炎症性眼疾患の造影または処置に適し得る。
【0110】
本発明のさらなる局面によって、共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物B、またはその錯体を、1個またはそれ以上の薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物を提供する。このような組成物は慣用法で製造でき、例えば造影のために、、一方は放射核種であり、他方は共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bである2つの別々の製剤を、それらを混合する指示書と共に含む、キットの形として提供され得る。放射線療法のために、錯体形の共役した式IIIの化合物、例えば共役した化合物Bは、好ましくは放射性(hot)液体製剤の形であり得る。
【0111】
錯体形の所望により共役した式IIIの化合物、例えば化合物Bまたは共役した化合物Bは、唯一の活性成分として、または他の医薬と組み合わせて、例えばアジュバントとして投与し得る。例えば、式IIIの化合物、例えば化合物Bを、免疫抑制剤、例えばカルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンA、Isa Tx247またはFK506;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、CCI779、ABT578または40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン;免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えばABT−281、ASM981など;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸またはその塩、例えばMyfortic;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたはその免疫抑制性ホモログ、アナログまたは誘導体;S1P受容体アゴニスト、例えばFTY720;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば、白血球受容体、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD58、CD80、CD86またはそれらのリガンドに対するモノクローナル抗体;他の免疫調節性化合物、例えばCTLA4またはその変異体の細胞外領域の少なくとも一部、例えば非CTLA4タンパク質配列と結合したCTLA4またはその変異体の細胞外領域の少なくとも一部を有する組み換え結合分子、例えばCTLA4Ig(例えば、ATCC68629と命名)またはその変異体、例えばLEA29Y;接着分子阻害剤、例えばLFA−1アンタゴニスト、ICAM−1または−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニストまたはVLA−4アンタゴニストと組み合わせて使用し得る。式IIIの化合物、例えば化合物Bはまた抗炎症剤、GH分泌促進物質受容体調節剤、例えばグレリンまたはヘキサレリン、GH受容体アンタゴニスト、例えばペグビソマントと組み合わせて使用し得る。
【0112】
錯体形の、所望により共役した式IIIの化合物、例えば化合物Bまたは共役した化合物Bはまた抗増殖剤、例えば化学療法剤、例えばパクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラスチン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシルまたはタキソール、ホルモン剤もしくはアンタゴニスト、例えば抗アンドロゲンまたはミトキサントロン(とりわけ前立腺癌の場合)、またはレトロゾールのような抗エストロゲン(とりわけ乳癌の場合)、代謝拮抗剤、植物アルカロイド、生物学的応答修飾剤、好ましくはリンホカインまたはインターフェロン、タンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤、または他のもしくは未知の作用機構を有する薬剤、例えば任意のエポチロンまたはエポチロン誘導体、または、例えば上記のようなmTOR阻害剤と組み合わせて使用し得る。
【0113】
錯体形の所望により共役した式IIIの化合物、例えば化合物Bまたは共役した化合物Bを他の薬剤と組み合わせて投与するとき、併用剤の投与量はもちろん用いる併用投与する剤のタイプ、用いる具体的な薬剤、処置すべき状態などに依存して変化するであろう。本明細書で使用する“併用投与”または“組み合わせ投与”などは、単独の患者への選択した治療剤の投与を包含し、薬剤を必ずしも同じ投与経路でまたは同時に投与するものではない処置レジメンを含むことを意図する。
【0114】
前記によって、本発明はなおさらに下記の局面を提供する:
9. a)錯体形の所望により共役した式IIIの化合物、例えば化合物Bまたは共役した化合物Bおよびb)例えば、上記の通りの併用剤を含む、医薬的組み合わせ。
10. 治療的有効量の、錯体形の所望により共役した式IIIの化合物、例えば化合物Bまたは共役した化合物B、および第2医薬物質(該第2医薬物質は、例えば上記の通りである)を、例えば、同時に、または連続して、併用投与することを含む、上記で定義の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形、塩形または被保護形の、式I
【化1】

〔式中、Xは式(a)または(b)
【化2】

(式中、Rは所望により置換されているフェニルであり、
は−Z−CH−R、−CH−CO−O−CH−R
【化3】

であり、ここで、ZはOまたはSである)
のラジカルであり、そして
はCα側鎖に芳香族性残基を有するα−アミノ酸、またはDab、Dpr、Dpm、His、(Bzl)HyPro、チエニル−Ala、シクロヘキシル−Alaおよびt−ブチル−Alaから選択されるアミノ酸単位であり、該配列の残基Lysは、天然ソマトスタチン−14の残基Lysに対応する。〕
のアミノ酸配列を含むソマトスタチンアナログおよび酒石酸を含む、非経腸投与用医薬組成物。
【請求項2】
ソマトスタチンアナログが、遊離形、塩形または被保護形の、式II
【化4】

〔式中、C−2の配置は(R)または(S)またはそれらの混合であり、そして
RはNR−C2−6アルキレンまたはグアニジン−C2−6アルキレンであり、そしてRおよびRの各々は、独立してHまたはC1−4アルキルである。〕
の化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
ソマトスタチンアナログの化合物がアスパラギン酸二塩形である、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
組成物が約4から約4.5のpHに調整されている、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
約4から約4.5のpHに緩衝化され、かつ活性成分としてシクロ[{4−(NH−C−NH−CO−O−)Pro}−Phg−DTrp−Lys−Tyr(4−Bzl)−Phe]またはその薬学的に許容される塩を含む、非経腸投与用組成物。
【請求項6】
組成物が酢酸塩/酢酸、乳酸塩/乳酸、またはグリシン/HCl緩衝液で緩衝化されている、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
末端肥大症または癌用医薬の製造のための、請求項1から6のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項8】
クッシング症候群用医薬の製造のための、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む、処置を必要とする対象における末端肥大症または癌を処置する方法。
【請求項10】
遊離形、塩形もしくは錯体形、または被保護形の、式III
【化5】

〔式中、RはNR−C2−6アルキレンまたはグアニジン−C2−6アルキレンであり、そして
およびRの各々はHまたはC1−4アルキルである。〕
の化合物、例えばシクロ[{4−(NH−C−NH−CO−O−)Pro}−DPhg−DTrp−Lys−Tyr(4−Bzl)−Phe]。


【公表番号】特表2007−536195(P2007−536195A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516037(P2006−516037)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006794
【国際公開番号】WO2005/000893
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】