説明

瓶等の除塵搬送装置

【課題】 多数の食品用プラスチックトレーを、押え枠で挟み付け搬送するネットコンベヤの上方からイオン化エアを噴射しトレーを1枚づつ分離させ除塵と集塵を行なう装置があるが、形態やサイズが多様な化粧品用瓶に転用できない。
【解決手段】
梁部材をケーシング内に横方向へ並列させて部材間の幅を可変可能に設け、各部材の両端部にモータ駆動軸とベルト掛けした従動軸を上端部を突出させて垂設し、従動軸の下端部に上下2連のプーリを離隔して設けプーリ間に弾性ベルトを褂架し、該ベルトのテンションロールを梁部材の非対称位置にワークを搬送する無端ベルトの上面から離隔して垂設し、コンベア上のワークを検知するとイオン化エアを噴射しワークが不在になると噴射を停止するセンサと連動するノズルをケーシングに設け、弾性ベルトに挟持され搬送されるワークへイオン化エアを常時噴射する噴射管を無端ベルトの上面から離隔して設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酒瓶、化粧品用瓶、樹脂成形品に帯びている静電気に起因して表面に付着している塵埃を、静電気を除電する高圧のイオン化エアを噴射して吹き飛ばすと共にワークを搬送する瓶等の除塵搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を詰め合わせるプラスチックトレーは、成形過程で素材のプラスチックシートが静電気を帯び易く成形粉や埃が付着し衛生上直ちに使用できない。そこで積み重ねたプラスチックトレー成形品を押さえ枠で挟み付けるようにしたネットコンベヤで搬送中に、上方に設けているエアノズルからイオン化エアを噴射して成形品を1枚づつ分離させると共に塵埃を吹き払い、エアノズルの下方に設けているホッパで集塵している発明がある。例えば特開2002ー346492号公報。
【0003】
また、樹脂成形品の機械加工時に自動車バンパの表面に付着した塵埃を、専用の除塵工程を設けることなくイオン化エア発生手段とイオン化エアを樹脂成形品の表面に吹付けるイオン化エア吹付手段を備えた静電気除去器を、自動車バンパを載置したパレットの搬送方向に沿って自動車バンパの上方及び左右両側からイオン化エアを吹付ける発明がある。例えば特開平7ー22193号公報。
【特許文献1】特開2002ー346492号公報。
【特許文献2】特開平7ー22193号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明は食品を詰め合わせるプラスチックトレーの除塵と集塵を行なう装置であり、プラスチックトレー成形品を押さえ枠で挟み付けるようにしたネットコンベヤで搬送中に成形品を1枚づつ分離させイオン化エアを噴射することを特徴としている。
【0005】
特許文献2の発明は静電気除去器を、自動車バンパを載置したパレットの搬送方向に沿って自動車バンパの上方及び左右両側に設けたことを特徴としている
【課題を解決するための手段】
【0006】
酒瓶、化粧品用瓶、樹脂成形品等が成形加工時に帯びている静電気により表面に塵埃が付着したワークを導入し排出する開口を透明なケーシングの正面側と背面側に設け、ワークを搬送する無端ベルトコンベアをケーシング内から開口の外側ヘ延設し、ケーシング内に対向して設けた幅の拡縮が可能な2本の梁部材の両端部に4本の従動軸を垂直に取り付けると共に各従動軸の下方に上下2連のプーリをそれぞれ離隔して取り付け且つ2本の従動軸へ弾性を有する丸ベルトを上下のプーリへ褂架し、梁部材から上方へ突出させた一方の従動軸のプーリとモータ駆動軸の上位プーリ間にベルトを襷掛けに褂架すると共に他方の従動軸のプーリとモータ駆動軸の下位プーリ間にベルトを平行に褂架し、前記丸ベルトを外側へ張り出させる複数のテンションロールを前記梁部材の非対称位置に垂直に取り付けると共に、その下端をワークを搬送する無端ベルトコンベアの上面から離隔して設け、導入されたワークを検知すると随時に高圧のイオン化エアを噴射し、ワークが不在になると噴射を停止する上下動可能なセンサと連動するノズルを設け、ケーシング内を丸ベルトに挟持されて搬送中のワークへ高圧のイオン化エアを常時噴射する多数の噴射孔を設けた2本の噴射管を無端ベルトコンベアの上面から離隔して設け、且つ噴射管の各噴射孔から噴射するイオン化エアが相互に吹き付け合って噴流の勢いを減殺しないよう噴射管同士をX字形に交差させる方向へ傾斜させて各丸ベルトの回動域内に設け、無端ベルトコンベアの下方にフィルタ付き排気ファンを設けると共にケーシングの開口幅を可変できるシャッターを設けたのであり、酒瓶等のワークの形態とサイズに対して流動的に対応できる省力化した瓶等の自動除塵搬送装置を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0007】
千差万別な形態とサイズを持つ酒瓶、化粧品用瓶、樹脂成形品等が成形加工時に帯びている静電気により表面に塵埃が付着したワークを搬送用の無端ベルトコンベアに載せるだけでケーシングの導入開口へ運び込み、ケーシング内を循環する弾性を持つ丸ベルトを非対称位置に設けているテンションロールで外側へ張り出したことにより、丸ベルト同士で挟み付けることによりワークの形態やサイズに自動的に対応して丸ベルトを膨らまし或は弾縮させて確実に挟持し搬送でき、更に丸ベルトを褂架するプーリを持つ従動軸の幅間隔を適宜に拡大縮小させることで、より流動的にワークの形態やサイズに対応できる。また、ワークを検知し随時高圧のイオン化エアを噴射する上下動可能なセンサと連動するノズルでワークの高さに対応して高さ調整しワークの上方からイオン化エアを噴射して除塵し、更に常時高圧のイオン化エアを噴射する噴射管でワークの側面を除塵できる。除塵され遊離した塵埃はフィルタ付き排気ファンとワークの導入・排出用の開口に設けたシャッタで、イオン化エアの噴射による塵埃の外部への吹き飛ばしを防止できる。また、ケーシングが透明に形成されているためワークの搬送状況を目視できトラブル発生時に素早く対応できると共にケーシング側方に設けているメンテナンス用の透明窓を開放すると作業性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本願装置を示す正面図、図2は同、側面図、図3は本願装置を正面側から視た斜視図、図4は丸ベルトを循環させワークを搬送する駆動手段を示す平面視の説明図であり、酒瓶、化粧品用瓶、樹脂成形品等が成形加工時に帯びている静電気により表面に塵埃が付着したワーク1を導入し排出する開口2を透明なケーシング3の正面側と背面側に設け、ワーク1を搬送する無端ベルトコンベア4をケーシング3内から開口2の外側ヘそれぞれ延設し、ケーシング3内に対向して設けた幅寄せが可能な2本の梁部材5の両端部に4本の従動軸6a、6b及び、6c、6dを垂直に取り付けると共に各従動軸6a、6b、6c及び6dの下方に上下2連のプーリ7、8をそれぞれ離隔して取り付け、対向する2本の従動軸6a、6b間及び6c、6d間に弾性を有する丸ベルト9を各従動軸のプーリ7、8にわたり上下2連に褂架し、梁部材5の上方へ突出させた一方の従動軸6c、6dの上部に取り付けているプーリ10a、10aとモータ11の駆動軸に上下2連に取り付けている上位のプーリ12a間にベルト13を襷掛けに褂架すると共に、梁部材5の上方へ突出させた他方の従動軸6a、6bの上部に取り付けているプーリ10bとモータ11の駆動軸の下位プーリ12b間にベルト14を平行に褂架し、前記丸ベルト9を外側へ張り出させる複数のテンションロール15を前記梁部材5の非対称位置に垂直に取り付けると共に、その下端をワーク1を搬送する無端ベルトコンベア4の上面から離隔して設け、導入されたワーク1を検知すると随時に高圧のイオン化エアを上方から噴射する上下動可能なセンサと連動するノズル16をケーシング3内へ垂設し、排出されワーク1が不在になるとセンサ動作で噴射を停止するように設定する。ケーシング3内を丸ベルト9に挟まれて搬送中のワーク1へ高圧のイオン化エアを常時噴射する多数の噴射孔18を設けた2本の噴射管19を梁部材5に取り付けた吊下げ杆17を用いて無端ベルトコンベア4の上面から離隔して設け、且つ噴射管19の各噴射孔18から噴射する高圧のイオン化エアが相互に吹き付け合って噴流の勢いを減殺しないよう噴射管19、19同士をX字形に交差させる方向へ傾斜させ各丸ベルト9の回動域内に設けて高圧のイオン化エアを常時ワーク1の側方へ噴射する。無端ベルトコンベア4の下方にフィルタ付き排気ファン20を設けると共にケーシング3の開口幅を可変できるシャッター21、22を設け、シャッター21は左右に開閉しシャッター22は上下に開閉する。従動軸6a、6b、6c及び6dを垂設している前記梁部材5、5間の幅を拡縮してワーク1の形態や太さの大小に対し、ワーク1を挟持して搬送する丸ベルト9、9間の幅を拡縮させるため梁部材5、5間にわたりターンバックル付きの幅拡縮調整ネジ付き杆23を横架し、その一端をケーシング3の外側へ突出させて操作摘み23aを取り付ける。尚、数本に分枝している上下動可能なセンサと連動するノズル16は可撓性を有しイオン化エアの噴射範囲を調整できる。24はケーシング3の側方に取り外し可能に取り付けた透明なメンテナンス用カバー、25は無端ベルトの側方に設けた作業用テーブル、26はスイッチ群やボリュームを取付ける操作盤、27はエア供給部材である。
【産業上の利用可能性】
【0009】
形態やサイズが千差万別な酒瓶や化粧品用瓶に付着した塵埃を自動的に払拭できると共に作業員を大巾に削減でき、然もメンテナンスが容易な有用性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本願装置を示す正面図。
【図2】同、側面図。
【図3】本願装置を正面側から視た斜視図。
【図4】丸ベルトを循環させワークを搬送する駆動手段を示す平面視の 説明図。
【符号の説明】
【0011】
1 ワーク 3 ケーシング 4 無端ヘルトコンベア 5 梁部材
6a、6b、6c、6d 従動軸 7 、8 プーリ 9 弾性ベルト
10a、10b モータ駆動軸のプーリ 15 テンションロール
16 センサと連動するノズル 19 噴射管
20 フィルタ付き排気ファン
21、22 シャッタ 23 梁部材の幅拡縮調整ネジ付き杆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酒瓶、化粧品用瓶、樹脂成形品等のワークをケーシング内へ導入し排出する無端ベルトコンベアを設けた除電搬送装置において、梁部材をケーシング内に横方向へ並列し且つ梁部材間の幅を可変可能に設け、各梁部材の両端部に従動軸を上端部を突出させて回動自在に垂設し、各従動軸の下端部に上下2連のプーリをそれぞれ離隔して取り付けると共に対向する上位プーリ間と下位プーリ間にわたり、それぞれ弾性を有するベルトを褂架し、該弾性ベルトを外側へ張り出させる複数のテンションロールを前記梁部材の非対称位置に無端ベルトコンベアの上面から離隔して垂設し、導入されるワークを検知すると随時イオン化エアを噴射しワークが不在になると噴射を停止する上下動可能なセンサと連動するノズルをケーシングに設け、循環する弾性ベルトに挟持され搬送されているワークへイオン化エアを常時噴射する多数の噴射孔を備えている噴射管を無端ベルトコンベアの上面から離隔して設けて成る瓶等の除電搬送装置。
【請求項2】
無端ベルトコンベアの下方にフィルタ付き排気ファンを設けると共にケーシングの開口幅を可変できるシャッターをケーシングに設けて成る請求項1記載の瓶等の除電搬送装置。
【請求項3】
噴射管の各噴射孔から噴射する高圧のイオン化エアが相互に吹き付け合つて噴流の勢いを減殺しないよう噴射管同士をX字形に交差させる方向へ傾斜させ梁部材から吊り下げて成る請求項1記載の瓶等の除電搬送装置。
【請求項4】
センサと連動するノズルが可撓性を有することを特徴とする請求項1記載の瓶等の除電搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−104964(P2008−104964A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290793(P2006−290793)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000200758)浅井硝子株式会社 (2)
【Fターム(参考)】