説明

生ごみ処理機

【課題】従来の生ごみ処理機の撹拌羽根のロック検知において、駆動モータに流れる電流を検出して、その電流値が所定値以上であれば撹拌羽根がロックしたと判断し、ロック解除動作のために前記駆動モータに通電していたが、駆動モータの巻線の温度上昇によって電流値が低下するため、ロック検知およびロック解除検知の精度があまり高くなかった。
【解決手段】駆動モータ4の電流を検出するための電流検知手段を備え、前記電流検知手段が検出した電流値が、予め設定されたロック判断値を超えると撹拌羽根3がロックしたと判断して、撹拌羽根3の動作を変更してロックの解除を試み、前記ロック解除の動作時間が長い程、撹拌羽根3のロック判断値を小さくする方向に変更することで、駆動モータ4の巻線温度の上昇に伴う電流値の変化に応じて、ロック判断値を適正値に維持できるので、精度の高いロック検知が行えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品などの生ごみを乾燥処理又は微生物分解処理する生ごみ処理機に関するもので、特にその撹拌手段のロック検知に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の生ごみ処理機においては、生ごみを投入する処理槽と、この処理槽内の生ごみを粉砕・撹拌するための撹拌手段と、前記撹拌手段を駆動するためのモータとを有し、前記撹拌手段のロックを検出するために、前記撹拌手段の位置検出手段を設けたり(例えば、特許文献1参照)、前記モータに流れる電流を検出して、その電流が所定値以上であれば前記撹拌手段がロックしていると判断していた(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−41918号公報
【特許文献2】特開2002−263607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら前記従来の構成においては、位置検出手段を設けることで部品点数が増加して、構成が複雑になるという課題や、モータ電流値によって前記撹拌手段のロック判断を行う方式においては、ロック解除動作のために前記モータに通電した場合、前記モータ巻線の温度上昇によってモータ電流値が低下する為に、ロック検知の精度・ロック解除検知の精度があまり高くないという課題があった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、部品点数が少なくシンプルな構成にできる電流検知方式を採用しつつ、モータ巻線温度上昇によるモータ電流値の変化を考慮し、精度の高いロック検知・ロック解除検知を実現した信頼性の高い生ごみ処理機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために本発明は、生ごみを投入する処理槽と、この処理槽内の生ごみを粉砕、撹拌するための撹拌手段と、前記撹拌手段を駆動するためのモータと、前記モータの電流を検出するための電流検知手段と、制御手段とを有し、前記制御手段は、前記電流検知手段が検出した電流値が予め設定されたロック判断値を超えると前記撹拌手段がロックしたと判断し、前記撹拌手段の動作を変更してロックの解除を試み、前記ロック解除の動作時間に応じて、前記撹拌手段のロック判断値を変更することを特徴とする生ごみ処理機とした。
【0006】
通常は、モータのロック等によってモータにかかる負荷が増加した場合、モータに流れる電流は大きくなる。その電流値の増加によってロック判定を行うが、ロック解除動作を繰り返し行う(モータに大電流を繰り返し流す)ことによってモータ巻線温度が上昇し、結果、前記モータに流れる電流は低下して、ロック状態が継続しているにも関わらず「ロックが解除された」と判定してしまったり、前記のような誤判定を回避するために、ロック判断値を高く設定すると、ロック検知が遅くなり、結果、モータ寿命を縮めてしまったりすることになる。
【0007】
しかし、上記本発明の構成によれば、例えば、ロック解除の動作時間に応じて、つまり巻線の温度上昇に応じて、ロック判断値を低くしていくことにより、上記のような不具合が発生しなくなり、精度の高いロック検知が行えるものである。
【発明の効果】
【0008】
部品点数が少なくシンプルな構成にできる電流検知方式を採用しつつ、モータ巻線温度上昇によるモータ電流値の変化を考慮し、精度の高いロック検知、ロック解除検知が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、生ごみを投入する処理槽と、この処理槽内の生ごみを粉砕、撹拌するための撹拌手段と、前記撹拌手段を駆動するためのモータと、前記モータの電流を検出するための電流検知手段と、制御手段とを有し、前記制御手段は、前記電流検知手段が検出した電流値が予め設定されたロック判断値を超えると前記撹拌手段がロックしたと判断し、前記撹拌手段の動作を変更してロックの解除を試み、前記ロック解除の動作時間に応じて、前記撹拌手段のロック判断値を変更することを特徴とする生ごみ処理機としたものであり、ロック解除の動作時間に応じて、つまり巻線の温度上昇に応じて、ロック判断値を変更していく為、ロック状態が継続しているにも関わらず「ロックが解除された」と判定してしまったり、前記のような誤判定を回避するために、ロック判断値を高く設定して、ロック検知が遅くなり、結果、モータ寿命を縮めてしまったりすることもなくなり、精度の高いロック検知が行えるものである。
【0010】
第2の発明は、第1の発明のロック解除の動作時間が長いほど、撹拌手段のロック判断値を小さくする方向に変更することを特徴とするもので、さらに精度の高いロック検知が行えるものである。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明のロック解除動作中のモータ電流値の減少速度が所定値以上であった場合にロック判断値を元に戻す方向に変更することを特徴とするものである。モータ電流値が急激に減少するということは、ロックが解除されたということであるので、ロック判断値を元に戻していくことで、早い段階でロック判定を解除して通常撹拌動作に戻すことができる。これによりロック解除判定の精度も向上するものである。
【0012】
第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明のロック解除の動作中のモータ電流値によって、ロック判断値の変更量に補正を加えることを特徴とするものであり、前記モータに流れる電流値の違いによる巻線温度上昇速度の違いも考慮にいれた判定が行えるため、更に高精度のロック検知が行えるものである。
【0013】
第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明のロック解除の動作を行う時間及び/またはロック解除の動作中のモータ電流値によって、ロック解除動作のパターンを変更することを特徴とするものであり、例えば、ロック解除の動作時間が長い場合、即ち巻線温度が高い場合には、モータに間欠的に通電させるように動作パターンを変更する等により、モータ寿命の低下を極力少なくすることができ、信頼性が向上する。
【0014】
第6の発明は、第1〜第5のいずれか1つの発明のロック解除動作中にモータ電流値がロック判断値を下回った場合、ロック解除動作を終了して撹拌手段の動作を通常動作に戻すと共に、前記ロック解除動作終了からの経過時間に応じて、ロック判断値を元に戻す方向に変更することを特徴とするものであり、ロック解除後の巻線温度低下に応じてロック判断値を戻していく為、ロック解除から巻線温度が安定するまでの間にも高精度のロック検知が行えるものである。
【0015】
第7の発明は、第6の発明のロック解除動作終了後のモータ電流値に応じて、ロック判断値の変更量に補正を加えることを特徴とするものであり、前記モータに流れる電流値の違いによる巻線温度低下速度の違いも考慮にいれた判定が行えるため、更に高精度のロック検知が行えるものである。
【0016】
第8の発明は、第1〜第7のいずれか1つの発明の撹拌手段がロックしていない時には、前記撹拌手段を間欠駆動すると共に、運転状況に応じてその間欠周期及び/または駆動時間を変化させ、前記撹拌手段の単位時間あたりの駆動時間に応じて、ロック判断値を変更することを特徴とするものであり、ロックの巻線温度上昇も考慮にいれた判定が行えるので、高精度のロック検知が行えるものである。
【0017】
第9の発明は、第8の発明の撹拌手段を駆動している時のモータ電流値に応じて、ロック判断値の変更量に補正をかけることを特徴とするものであり、前記モータに流れる電流値の違いによる巻線温度上昇速度の違いも考慮にいれた判定が行えるため、更に高精度のロック検知が行えるものである。
【0018】
第10の発明は、生ごみを投入する処理槽と、この処理槽内の生ごみを粉砕、撹拌するための撹拌手段と、前記撹拌手段を駆動するためのモータと、前記モータの電流を検出するための電流検知手段と、前記モータの巻線温度を検出する温度検出手段と、制御手段とを有し、前記制御手段は、前記電流検知手段が検出した電流値が予め設定されたロック判断値を超えると前記撹拌手段がロックしたと判断して、前記撹拌手段の動作を変更することでロック解除を試み、前記温度検出手段が検出した温度に応じて、前記撹拌手段のロック判断値を変更することを特徴とする生ごみ処理機であり、部品点数は上がるものの、直接巻線温度をモニターしてロック判断値を変更できるため、高精度のロック検知が行えるものである。
【0019】
第11の発明は、第10の発明のロック解除動作中のモータ巻線温度の上昇速度が、予め設定された所定値未満であった時に、ロック判断値を元に戻す方向に変更することを特徴とするものであり、巻線温度の低下を直接モニターするので、高精度のロック解除判定が行えるものである。
【0020】
第12の発明は、第11の発明のロック解除動作中のモータ巻線温度によってロック判断値の変更量に補正を加えることを特徴とするものであり、巻線温度に応じて判断値変更量を変えるので、ロック解除判定の制度が更に向上するものである。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
以下、本発明の第1の実施の形態における生ごみ処理機について図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態における生ごみ処理機の概略を示す断面図である。
【0023】
生ごみを投入する処理槽1と、前記処理槽1内の生ごみを加熱・乾燥するための乾燥ヒータ2と、前記乾燥ヒータ2の熱を前記処理槽1内の生ごみに送るための乾燥ファンモータ10と、前記処理槽1内の生ごみを撹拌するための撹拌羽根3と前記処理槽1の下に設けられ、前記撹拌羽根3を回転させるための駆動モータ4と、前記処理槽1に連通し前記処理槽1内の生ごみから発生する蒸気の脱臭を行う触媒6と、前記触媒6の脱臭能力を高めるための加熱を行う触媒加熱ヒータ7と、前記触媒6の下流側に配置され前記処理槽1内の蒸気を吸引し前記触媒6を経由して機器外に排気するための吸引ファンモータ9を有している。
【0024】
更に、前記乾燥ヒータ2の側近に配置され、前記処理槽1内の温度を検知するための庫内温度センサ5と、前記触媒6側近に配置され、前記触媒6の温度を検知する触媒温度センサ8を有している。又、前記乾燥ヒータ2、乾燥ファンモータ10、駆動モータ4、触媒加熱ヒータ7、吸引ファンモータ9、庫内温度センサ5及び触媒温度センサ8は全て本体後方下部に配置された制御基盤12に電気的に接続されており、前記制御基盤12によって制御されている。
【0025】
図2は前記制御基板12のシステムブロック図であり、商用電源13からの電力供給経路に運転スイッチ14及び前記運転スイッチ14と並列に電源リレー15が設けられており、前記運転スイッチ14又は前記電源リレー15をオンすることによって、前記商用電源13から信号制御手段16及び乾燥ヒータ2、触媒加熱ヒータ7、駆動モータ4、吸引ファンモータ9、乾燥ファンモータ10に電源が供給される構成になっている。又、前記信号制御手段16には、前記駆動モータ4に流れる電流値を検出するための電流検出手段17、庫内温度センサ5、触媒温度センサ8及び各負荷の制御を行うための駆動手段18、切スイッチ19、運転表示20と、電源リレー15が接続されている。
【0026】
次に上記構成による動作及び作用を図3〜図6を参照しながら説明する。
【0027】
図3は本実施の形態における生ごみ処理機の制御動作概要である。
【0028】
ステップ0で、前記信号制御手段16は電力が供給されると同時に前記電源リレー15をオンして運転タイマのカウントアップを開始する。
【0029】
次にステップ1で、前記触媒6の脱臭性能を維持するために触媒温度センサ8が約360℃になるように駆動手段18を介して前記触媒加熱ヒータ7の制御を行う。
【0030】
次にステップ2で、運転タイマが4分を超えていれば(すなわち前記触媒6が十分に加熱されて脱臭能力が発揮される状態になっていれば)前記乾燥ファンモータ10をオンして、加熱乾燥処理を開始すると共に、前記吸引ファンモータ9をオンして処理槽1内の蒸気の排気を行い、ステップ3へ進む。運転タイマが4分以内であれば何もせずにステップ8へ進む。
【0031】
ステップ3では前記駆動モータ4の制御を行って生ごみの撹拌、粉砕処理を行う(詳細は後述する)。
【0032】
次にステップ4で、冷却中(後述)であるかどうかの判断を行い、冷却中であればステップ7へ、冷却中でなければステップ5へ進む。
【0033】
次にステップ5で前記乾燥ヒータ2の制御を行って加熱乾燥処理を行う。乾燥性能を維持するために庫内温度センサ5が約120℃になるように駆動手段18を介して前記乾燥ヒータ2の制御を行う。具体的には前記庫内温度センサ5が120℃未満の時には前記乾燥ヒータ2へはフル通電を行い、120℃以上の時には約30%程度の通電状態とすることで温度を一定に保つようにしている。前記処理槽1内の生ごみが未乾燥である間は蒸気が大量に発生するため、30%程度の通電状態であれば前記処理槽1内の温度は低下して120℃を下回るが、前記処理槽1内の生ごみが十分に乾燥すると、蒸気の量が減少するため30%程度の通電状態であっても処理槽1内の温度は下がらずに上昇し続けるようになる。
【0034】
ステップ6では、上記の特性を利用して乾燥終了判定を行っている。具体的には、処理槽1内の温度が130℃を超えたときに乾燥終了と判断して、以降、前記乾燥ヒータ2をオフして前記処理槽1内の冷却処理を行う。
【0035】
ステップ7が冷却処理の具体的な制御である。冷却中は、前記乾燥ヒータ2への通電は停止し処理槽1内の温度が80℃未満(人が触れてやけどの心配のない温度)になったときに前記運転表示20をオフすると共に、前記電源リレー15をオフしてシステムへの電力供給を停止させる。
【0036】
尚、ステップ8では、切スイッチ19が押されたかどうかの判定を常に行っており、前記切スイッチ8が押されたならば、冷却終了時と同様に前記運転表示20をオフすると共に、前記電源リレー15をオフしてシステムへの電力供給を停止させる。
【0037】
以上が本実施の形態の制御動作の概要であるが、以降、ステップ3の撹拌制御についての詳細説明を図4及び図5を参照しながら説明する。
【0038】
まずステップ3.1で、撹拌タイマのカウントアップ・判定値変更タイマのカウントアップを行うと共に、運転状況によって下表にしたがって撹拌パターンを決定する。
【0039】
【表1】

【0040】
次にステップ3.2で、判定値変更タイマが30分に達するか又は判定値未設定であれば、判定値変更タイマをクリアすると共に、下記手順に従って判定値変更処理1を行う。
【0041】
判定値変更処理1は、下表に示す撹拌パターン毎の「ロック判定下限値」と、現在のロック判定値との関係によって処理を変更する。
【0042】
<判定値変更処理1>
1)「現在のロック判定値>ロック判定下限値」の場合、
(現在のロック判定値)−0.5×(現在のロック判定値−前回駆動モータ4駆動時の電流値)
を新たなロック判定値とする。但し、ここで新たに設定するロック判定値が、下表に示す撹拌パターン毎の「ロック判定下限値」よりも小さい場合は、下表に示す「ロック判定下限値」を新たなロック判定値とする。
【0043】
2)「現在のロック判定値<=ロック判定下限値」の場合
(現在のロック判定値)+0.5×(現在のロック判定値−前回駆動モータ4駆動時の電流値)
を新たなロック判定値とする。但し、ここで新たに設定するロック判定値が、下表に示す撹拌パターン毎の「ロック判定下限値」よりも大きい場合は、下表に示す「ロック判定下限値」を新たなロック判定値とする。
【0044】
3)ロック判定値が未設定の場合は、5Aを新たなロック判定値とする。
【0045】
【表2】

【0046】
次にステップ3.3で、撹拌ロック中かどうかの判定を行い、ロック中であればロック解除動作(詳細は後述する)を行い、ロック中でない場合はステップ3.4に進む。
【0047】
次にステップ3.4〜3.7で、駆動モータ4を前述したステップ3.2で設定した撹拌パターン通りに制御する。即ち、撹拌周期毎に、撹拌正転・逆転を交互に所定の時間行うようにする。
【0048】
更に、このとき前記駆動モータ4を駆動している時には、次のステップ3.8〜ステップ3.9で撹拌ロック判定を行う。前記駆動モータ4駆動開始3秒後(即ち、駆動モータの電流が安定した時点)に前記電流検出手段17の検知した電流値がロック判断値を超えていれば、撹拌羽根3がロックしたと判断し、以降、ロック解除動作(詳細は後述する)を行う。
【0049】
次にロック解除動作の詳細について、図5を参照しながら説明する。
【0050】
ステップ3.3.1で、ロックタイマのカウントアップを行うと共に、下表に従ってロック解除動作の撹拌パターンを決定する。
【0051】
【表3】

【0052】
次にステップ3.3.2で、ロックタイマが30分に達していれば、ロックタイマをクリアすると共に、下記手順に従って判定値変更処理2を行う。
【0053】
<判定値変更処理2>
(現在のロック判定値)−0.5×(前回駆動モータ4駆動時の電流値―現在のロック判定値)
を新たなロック判定値とする。但し、ここで新たに設定するロック判定値が、3A未満になる場合は、3Aを新たなロック判定値とする。
【0054】
次にステップ3.3.3〜ステップ3.3.9で、駆動モータ4を前述したステップ3.1で設定した撹拌パターン通りに制御する。即ち、撹拌周期毎に、撹拌正転、逆転を交互に3秒間行うようにする。
【0055】
更に、このとき撹拌タイマが3秒に達した時点(即ち、駆動モータの電流が安定した時点)でロック解除判定を行う。ステップ3.3.6で、前記電流検出手段17の検知した電流値がロック判断値未満になっていれば、撹拌羽根3のロックが解除されたと判断し、以降、通常動作に復帰する。
【0056】
又、ステップ3.3.6の後、ステップ3.3.7で、前回の駆動モータ4駆動時の電流値と比べて、今回の電流値が1A以上低下していれば、ロックが解除されつつある(ロック度合いが軽くなっている)と判断して、ロック判断値を元に戻す処理を行う。尚、ロック判断値を元に戻す処理は、前述したステップ3.3.2の判定値変更処理1と同様の処理である。
【0057】
以上の構成による作用を以下に示す。
【0058】
ステップ3.3.2において撹拌羽根3がロックしている状態が継続した場合、30分毎にそのロック判断値を低く再設定すると共に、駆動モータ4駆動時の電流に応じて、ロック判断値の変更量を補正しているため、前記撹拌羽根3のロック状態継続によってモータ巻線温度が上昇し、結果、低下してしまう電流値に応じたロック判断値を常に維持できるため、ロック状態が継続しているにも関わらず「ロックが解除された」と判定することがなくなり、精度の高いロック検知を行うことが可能となる。又、ステップ3.3.7では、電流値の低下速度が大きかった場合(即ち、駆動モータ4にかかる負荷が軽くなった場合)に、ロック判断値を元に戻していくことで、早い段階でロック判定を解除して通常撹拌動作に戻すことができ、ロック解除判定の精度も向上する。又、ステップ3.3.1で、現在のロック判断値によって(即ち、ロック継続時間と電流値によって)撹拌パターンを変えており、巻線温度が上昇した場合には、それに応じて駆動モータ4を長時間停止することで、巻線温度の上昇に歯止めをかけ、モータ寿命の低下を防止している。更にステップ3.2において、通常動作中でも常に駆動モータ4の駆動パターン(単位時間あたりの駆動時間)と、その電流値とに従ってロック判定値の再設定を行っているため、ロック解除からのロック解除後の巻線温度低下に応じてロック判断値を戻すことができると共に、通常動作中においても巻線温度上昇速度の違いも考慮にいれた判定が行えるため、更に高精度のロック検知が行えるものである。
【0059】
尚、本実施の形態においては、ロック判定値の変更を30分毎とし、判定値の変更量をモータ電流値に応じて変更するようにしたが、判定値の変更量を変える代わりに、ロック判定値の変更時間を変えても同様の効果が得られる。
【0060】
(実施の形態2)
以下、本発明の第2の実施の形態における生ごみ処理機について図6〜図8を参照しながら説明する。尚、上記実施の形態1と同一構成部品については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
図6は制御基板12のシステムブロック図であり、前記信号制御手段16には、駆動モータ4に内蔵され、前記駆動モータ4の巻線温度を測定するための巻線温度センサ11及び外気温度を測定する外気温度センサ21が接続されている。
【0062】
次に上記構成による動作及び作用を図7及び図8を参照しながら説明する。
【0063】
ステップ03.2で、巻線温度センサ11の温度によって、下表に従ってロック判定値を設定する。(判定値変更処理3)但し、この時、外気温度センサ21の値によって補正をかける。具体的には(外気温度センサ温度−20℃)を下表の巻線温度に上乗せすることで、間接的にロック判定値に補正をかけている。
【0064】
【表4】

【0065】
更に、ステップ03.3.2で、ロックタイマが30分に達したら、上記ステップ03.2と同様の判定値変更処理3を行う。尚、ロック中は判定値変更処理を常時行わず、30分毎に行っているのは、巻線温度が低下するまでの間(30分間)に、後述するステップ03.3.7で設定した判断値を動作に反映するためである。
【0066】
更に、ステップ03.3.7で、前回ロック判定値設定時(30分前)の駆動モータ4駆動時の巻線温度と比べて、今回の巻線温度が10℃以上低下していれば、ロックが解除されつつある(ロック度合いが軽くなっている)と判断して、ロック判断値を元に戻す処理を行う(判定値変更処理4)。このときのロック判定値の変更量は下表に従って設定し、設定された変更量をステップ03.3.1で設定したロック判定値に上乗せする。但し、この時、外気温度センサ21の値によって補正をかける。具体的には(外気温度センサ温度−20℃)を下表の今回巻線温度に上乗せすることで、間接的にロック判定値変更量に補正をかけている。
【0067】
【表5】

【0068】
以上の構成による作用を以下に示す。
【0069】
ステップ03.2及びステップ03.3.1で、巻線温度センサ11の温度によって、下表に従ってロック判定値を設定しているので、直接巻線温度をモニターしてロック判断値を変更できるため、高精度のロック検知が行えるものである。又、ステップ03.3.7で、巻線温度の温度低下量によってロック解除を検出し、ロック判断値を元に戻すので、高精度のロック解除判定が行えるものである。更に、外気温度センサ21によってこれらロック判断値変更に補正をかけているため、外気温度すなわち使用環境によるモータ巻線温度上昇速度の違いも考慮にいれた判定が行え、信頼性の高いロック検知及びロック解除判定が行えるものである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明にかかる生ごみ処理機は、モータ巻線温度上昇によるモータ電流値の変化を考慮し、精度の高いロック検知、ロック解除検知が行えるものであり、誘導モータを用いた撹拌装置を要する他の機器にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態1における生ごみ処理機の概略断面図
【図2】同生ごみ処理機のシステムを示すブロック図
【図3】同生ごみ処理機の制御概要を示す制御フローチャート
【図4】同生ごみ処理機の駆動モータ制御の詳細を示す制御フローチャート
【図5】同生ごみ処理機のロック解除動作の詳細を示す制御フローチャート
【図6】本発明の実施の形態2における生ごみ処理機のシステムを示すブロック図
【図7】同生ごみ処理機の駆動モータ制御の詳細を示す制御フローチャート
【図8】同生ごみ処理気のロック解除動作の詳細を示す制御フローチャート
【符号の説明】
【0072】
1 処理槽
2 乾燥ヒータ
3 撹拌羽根
4 駆動モータ
5 庫内温度センサ
6 触媒
7 触媒加熱ヒータ
8 触媒温度センサ
9 吸引ファンモータ
10 乾燥ファンモータ
11 巻線温度センサ
12 制御基板
13 商用電源
14 運転スイッチ
15 電源リレー
16 信号制御手段
17 電流検出手段
18 駆動手段
19 切スイッチ
20 運転表示
21 外気温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ごみを投入する処理槽と、この処理槽内の生ごみを粉砕、撹拌するための撹拌手段と、前記撹拌手段を駆動するためのモータと、前記モータの電流を検出するための電流検知手段と、制御手段とを有し、前記制御手段は、前記電流検知手段が検出した電流値が予め設定されたロック判断値を超えると前記撹拌手段がロックしたと判断し、前記撹拌手段の動作を変更してロックの解除を試み、前記ロック解除の動作時間に応じて、前記撹拌手段のロック判断値を変更することを特徴とする生ごみ処理機。
【請求項2】
ロック解除の動作時間が長いほど、撹拌手段のロック判断値を小さくする方向に変更することを特徴とする請求項1に記載の生ごみ処理機。
【請求項3】
ロック解除の動作中のモータ電流値の減少速度が所定値以上であった場合に、ロック判断値を元に戻す方向に変更することを特徴とする請求項1または2に記載の生ごみ処理機。
【請求項4】
ロック解除の動作中のモータ電流値によって、ロック判断値の変更量に補正を加えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の生ごみ処理機。
【請求項5】
ロック解除の動作を行う時間及び/またはロック解除の動作中のモータ電流値によって、ロック解除動作のパターンを変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の生ごみ処理機。
【請求項6】
ロック解除の動作中にモータ電流値がロック判断値を下回った場合、ロック解除の動作を終了して撹拌手段の動作を通常の動作に戻すと共に、前記ロック解除の動作終了からの経過時間に応じて、ロック判断値を元に戻す方向に変更することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の生ごみ処理機。
【請求項7】
ロック解除の動作終了後のモータ電流値に応じて、ロック判断値の変更量に補正を加えることを特徴とする請求項6記載の生ごみ処理機。
【請求項8】
撹拌手段がロックしていない時には、前記撹拌手段を間欠駆動すると共に、運転状況に応じてその間欠周期及び/または駆動時間を変化させ、前記撹拌手段の単位時間あたりの駆動時間に応じて、ロック判断値を変更することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の生ごみ処理機。
【請求項9】
撹拌手段を駆動しているときのモータ電流値に応じて、ロック判断値の変更量に補正をかけることを特徴とする請求項8記載の生ごみ処理機。
【請求項10】
生ごみを投入する処理槽と、この処理槽内の生ごみを粉砕、撹拌するための撹拌手段と、前記撹拌手段を駆動するためのモータと、前記モータの電流を検出するための電流検知手段と、前記モータの巻線温度を検出する温度検出手段と、制御手段とを有し、前記制御手段は、前記電流検知手段が検出した電流値が予め設定されたロック判断値を超えると前記撹拌手段がロックしたと判断して、前記撹拌手段の動作を変更することでロック解除を試み、前記温度検出手段が検出した温度に応じて、前記撹拌手段のロック判断値を変更することを特徴とする生ごみ処理機。
【請求項11】
ロック解除の動作中のモータの巻線温度の上昇速度が、予め設定された所定値未満であったときに、ロック判断値を元に戻す方向に変更することを特徴とする請求項10記載の生ごみ処理機。
【請求項12】
ロック解除の動作中のモータの巻線温度によって、ロック判断値の変更量に補正を加えることを特徴とする請求項11記載の生ごみ処理機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−159061(P2006−159061A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352427(P2004−352427)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】