説明

生ゴミの保管容器、生ゴミの処理システム、及び生ゴミの処理方法

【課題】外部に臭気が漏れず、生ゴミ収集車の真空又は減圧手段による吸引により容器本体内の生ゴミを排出する構造の生ゴミの保管容器と、該保管容器を使用することにより、生ゴミの収集から処理迄の一連の作業・工程において、生ゴミの臭気が外部へ漏出しないか又は漏出しにくい生ゴミの処理システム及び生ゴミの処理方法を提供する。
【解決手段】生ゴミ保管容器1は、上下が閉じた円筒状の容器本体10、容器本体外周に等間隔で四箇所に設けた脚部110、容器本体側面の上部側の箇所に形成された投入口12、投入口を密閉可能に形成された扉14、容器本体底部に設けた排出管16、容器本体天部に設けた開放弁18、容器本体内に散布する散布液の散布装置及び貯蔵タンク(図示省略)を備えている。容器本体10は前記投入口、排出管及び開放弁を機能させる為に形成した開口部又は孔を除き気密になるよう形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミの保管容器、生ゴミの処理システム、及び生ゴミの処理方法に関する。
更に詳しくは、生ゴミ収集車の真空又は減圧状態による吸引によって生ゴミを排出する構造を有し、外部に臭気が漏れないよう密閉できる生ゴミの保管容器と、該保管容器を使用して、生ゴミの収集から処理までの迄の一連の作業又は工程において、生ゴミの臭気が外部へ漏出しないか又は漏出しにくいようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、我が国は循環型社会に向けた取り組みを行っており、その中でも飲食店等での食べ残し・食品製造工程で発生する食品廃棄物等(以下家庭から生じるものも含めて「生ゴミ」と称する。)に関しては「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」が制定されている。
前記法律の対象となるのは飲食店や食品工場等の事業者であるが、真の循環型社会の構築、生ゴミ焼却等により発生するCo等の温室効果ガスの削減及び省エネルギー等を鑑みれば、一般家庭において発生する生ゴミについても再資源化されることが望ましい。
【0003】
そこで、生ゴミのみを回収するためのシステムとして、本発明者は下記特許文献1に示す生ゴミの処理システム及び生ゴミ収集車を提案している。
【0004】
【特許文献1】特許第3816941号公報
【0005】
本発明者は、実際に特許文献1記載の生ゴミ収集車によって各家庭等を巡回して生ゴミの回収を行っており、当該回収システムによれば生ゴミ収集時から最終処分時まで外部に生ゴミの臭気が漏出しないか又は漏出しにくいので、車両及び処分場から悪臭がせず、市民から高い評価を得ている。
更に、本発明者が前記処理システムを実施している熊本県水俣市は経済産業省の認定するエコタウンプランの承認も得ており、他の自治体から視察団が訪れるなど注目度も高い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1にかかる処理システムを運用し、利用者が増加するうちに、
(1)各家庭又は事業所等を巡回して収集すると時間が掛かるので作業効率が悪くなり、
(2)また、利用者に集合場所へ集合してもらって収集作業を行ったとしても、個別の保管容器から生ゴミ収集車に設けられた投入口へ生ゴミを投入するので、人数が多ければ作業効率が悪くなり、
(3)回収箇所が増えることによって毎日の巡回が困難となり、家庭等での生ゴミ保管期間が長くなると、特に夏期には悪臭や虫が発生するおそれがあり、
(4)回収にあたって外に保管容器を置いておくと猫や犬、カラス等が荒らす可能性があるので、このような害を防ぐためには、利用者が収集車巡回時を待って生ゴミ保管容器を出すという手間がかかる、
といった課題が生じた。
【0007】
そこで、本発明者は前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ね、本発明を想到するに至った。
【0008】
(発明の目的)
そこで、本発明の目的は、外部に臭気が漏れず、生ゴミ収集車の真空又は減圧手段による吸引力によって容器本体内の生ゴミを排出する構造の生ゴミの保管容器を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記生ゴミの保管容器を使用することにより、生ゴミの収集から処理迄の一連の作業又は工程において、生ゴミの臭気が外部へ漏出しないか又は漏出しにくい生ゴミの処理システム及び生ゴミの処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。
本発明は、生ゴミの保管容器であって、該容器は、外部に臭気が漏れないよう密閉できる容器本体と、容器本体の底部以外のいずれかの箇所に設けられた生ゴミの投入口と、生ゴミの投入口に開閉可能に設けられ、閉じた後は内部を密閉状態に保つ閉鎖部材と、真空又は減圧吸引手段を備えた生ゴミ収集車の吸引力によって容器本体内の生ゴミを排出する排出部と、生ゴミ排出時に外気を容器本体内に導入する開放弁と、容器本体内の洗浄、消毒、消臭のいずれか又はこれらの組み合わせに使用する液体の貯蔵部と、液体の貯蔵部から前記容器本体内へ前記液体を散布する手段と、を備えた、生ゴミの保管容器である。
【0010】
前記生ゴミの保管容器は、保管容器の投入口を封鎖できる錠を備え、該錠の鍵を保管容器を利用する一又は複数の利用者が管理するものであってもよい。
【0011】
また、本発明は、前記生ゴミの保管容器と、生ゴミの収集車と、生ゴミの処理装置を使用し、生ゴミの収集から処理までの一連の作業において、生ゴミの臭気が外部へ漏出しないか又は漏出しにくい生ゴミの処理システムであって、前記収集車は、外部に臭気が漏れないよう密閉できる生ゴミの収容タンクと、該収容タンクと前記保管容器の排出部を連結する連結体と、前記処理装置と連結可能に設けてある生ゴミの排出部と、真空又は減圧吸引手段と、収容タンク内から排出される空気の消臭装置と、を備えており、前記処理装置は、外部に臭気が漏れないよう密閉できる生ゴミ収容部と、該生ゴミ収容部と前記収集車の排出部を連結する連結体と、該生ゴミ収容部から移送される生ゴミの乾燥処理機と、乾燥機内から排出される空気の消臭装置と、乾燥前または/および乾燥後の生ゴミの破砕又は粉砕手段と、を備え、生ゴミ収容部と乾燥処理機が繋がる箇所は気密となるように形成されている、生ゴミの処理システムである。
【0012】
更に、本発明は、生ゴミの臭気が外部へ漏出しないか又は漏出しにくいようにした、生ゴミの処理方法であって、収集前の生ゴミを外部に臭気が漏れないよう密閉できる保管容器へ投入して、外部に臭気が漏れないよう密閉できる生ゴミの収容タンクを有する収集車による収集時期まで一時的に保管し、前記収集車が保管容器の設置場所を訪れた後、保管容器の排出部と収集車の連結体とを連結し、収集車の真空又は減圧吸引手段を用いて保管容器から収集車の収容タンクへ生ゴミを移送し、生ゴミと一緒に吸引した保管容器内の臭気は、消臭装置を通じて車外へ排出し、生ゴミの保管中または/および収集作業後の保管容器の容器本体内へ貯蔵部に貯蔵された洗浄、消毒、消臭のいずれか又はこれらの組み合わせに使用する液体を散布し、処理場へ到着した生ゴミを積載した収集車は、前記処理装置の連結体と収集車の排出部とを連結し、収集車の真空又は減圧吸引手段を用いて収集車の収容タンク内の生ゴミを処理装置の生ゴミ収容部へ移送し、処理装置では、生ゴミ収容部へ移送された生ゴミを、乾燥処理機へ移送し、乾燥前または/および乾燥後の生ゴミを破砕又は粉砕手段によって破砕又は粉砕し、乾燥処理機によって乾燥処理し、乾燥処理後の無臭の又は臭気が抑制された生ゴミを装置外へ排出し、乾燥処理機内の臭気を処理装置の消臭装置を通じて装置外へ排出する当該処理装置での一連の処理は気密状態で行われる、生ゴミの処理方法である。
【0013】
「容器本体内の洗浄、消毒、消臭のいずれか又はこれらの組み合わせに使用する液体」としては、例えば、乳酸菌、酵母等の各種微生物を含む液体が好適に使用されるが、これに限定するものではなく、乾燥処理後の生ゴミを堆肥化する際に有害物質に変化しないような公知の薬剤等を使用する場合もある。
【0014】
「乾燥前または/および乾燥後」とは、乾燥前または乾燥後のいずれかの場合を指すこともあるし、あるいは、乾燥前および乾燥後のいずれもの場合を指すこともある、という意味で使用している。
【0015】
本明細書及び本願の特許請求の範囲にいう「生ゴミ保管中または/および収集作業後」とは、生ゴミ保管中または収集作業後のいずれかの場合を指すこともあるし、あるいは、生ゴミ保管中および収集作業後のいずれもの場合を指すこともある、という意味で使用している。
【0016】
閉鎖部材としては、例えば、蓋、扉等が挙げられるが、これに限定するものではなく、投入口を閉鎖可能であって開閉容易なものであれば他の公知部材等であってもよい。
【0017】
本明細書及び本願の特許請求の範囲にいう「投入口または/および閉鎖部材」とは、投入口または閉鎖部材のいずれか、あるいは、投入口および閉鎖部材のいずれも、を含む意味で使用している。
【0018】
保管容器に備えられた錠は、例えば、シリンダー錠、南京錠、ダイヤル錠等の公知の錠が挙げられる。
【0019】
(作 用)
本発明に係る生ゴミの保管容器及び生ゴミの収集システムの作用を説明する。
〔収集前〕
利用者は、各家庭又は事業所から廃棄される生ゴミを、設置された生ゴミの保管容器の閉鎖部材を開け、生ゴミを投入口へ投入した後、閉鎖部材を閉じる。閉鎖部材を閉じた後の保管容器は密閉状態となり、外部へ臭気が漏出しない。投入後の生ゴミは、収集車による収集時期まで保管容器内で一時的に保管される。保管中の生ゴミには、容器本体内へ洗浄、消毒、消臭のいずれか又はこれらの組み合わせに使用する液体を散布する手段を用いて、液体を散布してもよい。
【0020】
なお、投入口を封鎖できる錠を備えている生ゴミの保管容器であれば、ゴミ投入時以外は不正使用を防ぐために施錠し、ゴミ投入時には各利用者へ配布された共通の鍵を使用して解錠し、閉鎖部材を開けて投入口に生ゴミを投入する(ダイヤル錠の場合であれば、利用者各人に伝達された共通の番号を入力して解錠する)。
【0021】
〔収集車による生ゴミの収集〕
収集車による保管容器からの生ゴミの収集作業は、以下の通り行う。
(1)収集車にて保管容器の設置場所を訪れる。
(2)保管容器の排出部と収集車の連結体を連結する。
(3)収集車の真空又は減圧吸引手段を作動させると、その吸引力によって、生ゴミが前記排出部と連結体を通じて保管容器内から収集車の収容タンクへ移送される。なお、真空又は減圧吸引手段の作動中は、保管容器の開放弁が開き、外気を保管容器内へ導入する。
(4)真空又は減圧吸引手段を使用した際に、収集車の収容タンク内へ吸引された保管容器内の空気(臭気)は、消臭装置を通じて車外へ排出される。
(5)生ゴミを吸い出した後の容器本体内へ、洗浄、消毒、消臭のいずれか又はこれらの組み合わせに使用する液体を散布する手段を用いて、液体を散布する。
【0022】
〔収集車から処理装置への生ゴミの移送〕
(1)処理場へ到着した生ゴミを積載した収集車は、その排出部と処理装置の連結体とを連結させる。
(2)収集車の真空又は減圧吸引手段を作動させると、その吸引力によって処理装置の生ゴミ収容部内の空気が吸い出され、生ゴミ収容部内部が真空又は減圧状態となり、生ゴミは収集車の収容タンク内から処理装置の生ゴミ収容部へ吸引され移送される。
【0023】
〔処理装置内での生ゴミの処理〕
(1)処理装置の生ゴミ収容部へ移送された生ゴミは、乾燥処理機へ気密状態で移送される。移送された生ゴミは乾燥処理機によって乾燥処理され、処理装置外へ排出される。なお、処理装置における生ゴミは、乾燥前又は乾燥後のいずれかの時点、または、乾燥前及び乾燥後の両方の時点において、破砕又は粉砕手段によって破砕又は粉砕され細片化される。
(2)乾燥処理機内の空気(臭気)を処理装置の消臭装置を通じて装置外へ排出する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、外部に臭気が漏れず、生ゴミ収集車の真空又は減圧状態による吸引力によって容器本体内の生ゴミを排出する生ゴミの保管容器を提供できる。
また、前記生ゴミの保管容器を使用することにより、生ゴミの収集から処理迄の一連の作業又は工程において、生ゴミの臭気が外部へ漏出しないか又は漏出しにくい生ゴミの処理システム及び生ゴミの処理方法を提供できる。
【0025】
その他、本発明の生ゴミの保管容器を使用することにより、
(1)まとまった世帯又は件数の生ゴミをまとめて収集することができるので、一件ずつ巡回するよりも作業効率が向上する、
(2)収集日まで家庭で生ゴミを保管する必要が無くなり、収集車の巡回時を待たずして随時生ゴミの保管容器へ生ゴミを廃棄できるので、当該原因による家庭での悪臭や虫の発生が防止される、
といった利点がある。
【0026】
なお、投入口を封鎖できる錠を備えている生ゴミの保管容器の場合は、錠の鍵を保管容器を利用する一又は複数の利用者が管理することによって、生ゴミ収集業者や自治体等と契約した者以外のゴミの不法廃棄や、子供等のいたずらを防止することができる。
【0027】
また、生ゴミの保管容器内に保管中の生ゴミ又は収集後の容器本体内へ、洗浄、消毒、消臭のいずれか又はこれらの組み合わせに使用する液体を散布することにより、保管中の生ゴミ及び空になった生ゴミの保管容器からの臭気発生が抑制される。
【0028】
前記生ゴミの処理方法又は処理システムにおいて処理された生ゴミは、乳酸菌またはその他の堆肥化の為に有効な細菌又は微生物を加えて発酵させて完熟堆肥とすることができる。つまり、前記生ゴミの処理方法又は処理システムによれば、生ゴミが再資源化されるので、循環型社会の形成に貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施の形態を図面に基づき更に詳細に説明する。
〔生ゴミ処理システムの概観〕
図1は生ゴミ保管容器と生ゴミ収集車を連結し、生ゴミを収集する状態を示す説明図、図2は生ゴミ収集車と生ゴミ処理装置を連結し、収集した生ゴミを取り出す状態を示す説明図である。
本発明に係る生ゴミ処理システムは、一又は数件ごとの家庭又は事業所が使用するために設置された生ゴミ保管容器1と、生ゴミ保管容器1から生ゴミを収集して処理場へ搬送する生ゴミ収集車2と、処理場に設置された生ゴミ処理装置3により構成されており、各構成要素について以下詳述する。
【0030】
〔生ゴミ保管容器1〕
図3は生ゴミ保管容器の正面図、図4は図3に示す生ゴミ保管容器の右側面図、図5は図3に示す生ゴミ保管容器の平面図である。
図3から図5に基づき、生ゴミ保管容器1について説明する。
【0031】
生ゴミ保管容器1は、上部と下部が閉じられた円筒状の容器本体10と、容器本体10外周に等間隔で四箇所に設けられた脚部110と、容器本体10側面の上部寄りの箇所に形成された投入口12と、投入口12を密閉可能に形成された扉14と、容器本体10底部に設けられた排出管16と、容器本体10天部に設けられた開放弁18と、容器本体10内に散布する散布液の散布装置及び貯蔵タンク(図示省略)と、を備えている。
【0032】
容器本体10は、投入口12、排出管16及び開放弁18を機能させる為に形成された開口部又は孔を除き、気密となるよう形成されている。
【0033】
扉14は、投入口12を完全に覆うことができる大きさの板状体である扉本体140を備えている。
扉本体140には、扉本体140正面の上部に設けられた取っ手142と、扉本体140正面の下部に設けられ、扉本体140と容器本体10を開閉可能に取着する蝶番143と、扉本体140の両側部に設けられ、生ゴミ投入時に横方向から零れ出ないよう形成された扇型の側壁144とを備えている。扉本体140正面の側部寄りには、錠141が設けられている。
【0034】
なお、投入口12の周縁部分又は扉本体140背面側にはシール部材(図示省略)が配置され、容器本体10の気密性を高めている。
【0035】
排出管16は、L字状に曲げて形成され、その基端部は容器本体10底部に取着されており、先端側にはフランジ状の連結体161が設けられている。
【0036】
開放弁18は、筒状であって、上方が開口し、下端部に弁本体(図示省略)が取着されており、容器本体10内の気圧が低下すると弁本体が開き、外気を容器本体10内部へ導入する構造となっている。
【0037】
なお、本実施の形態では、生ゴミ保管容器を構成する各部材が主にステンレススチールにより形成されているが、当該素材に限定するものではなく、アルミニウム合金等の他の金属、合成樹脂、他の公知素材またはこれらの組み合わせにより形成されたものであってもよい。
【0038】
〔生ゴミ収集車2〕
図1を参照する。生ゴミ収集車2は、運転席後部に、外部に臭気が漏れないよう密閉された生ゴミの収容タンク20と、ブロワ25と、収容タンク内から排出される空気の消臭装置26と、前記各機器を制御する制御ボックス27が設けられている。
【0039】
収容タンク20には、収容タンク20内へ生ゴミを移送する生ゴミ導入管210と、生ゴミ導入管210先端部に設けられ、生ゴミ保管容器1の排出管16先端に設けられた連結体161と連結可能な連結体211と、収容タンク内底部に設けられたスクリューコンベア220と、スクリューコンベア220に押し出された生ゴミが排出される生ゴミ排出管230と、生ゴミ排出管230先端部に設けられ、後述する生ゴミ処理装置3の生ゴミ導入管312と連結可能な連結体231が設けられている。
また、収容タンク20の後方には、生ゴミを直接投入可能な開口部、開口部を密閉可能な蓋、開口部内に設けられた切断刃(いずれも符号省略)及び収容タンク20に繋がる移送管(符号省略)を備えた投入口構造体240が設けられている。
【0040】
なお、生ゴミ収集車2の構造及び他の箇所の構造は、特開2007−161492公報に記載された生ゴミ収集車にも記載されている公知の構造を有しているので、その詳細な説明は省略する。
【0041】
〔生ゴミ処理装置3〕
図2を参照する。生ゴミ処理装置3は、外部に臭気が漏れないよう密閉されたホッパー31と、ホッパー31下方に設けられており外部に臭気が漏れないよう密閉された生ゴミ貯留室32と、生ゴミ貯留室32に隣接し気密に形成された移送路により繋がったサイクロン乾燥機33と、送気管を通じてサイクロン乾燥機33に繋がった消臭装置34と、生ゴミ処理装置3の各機器を制御する制御ボックス(図示省略)と、を備えている。
【0042】
ホッパー31は、その下方に位置する生ゴミ貯留室32内へ生ゴミを投入する開口部(符号省略)が形成されており、この開口部には投入蓋314が開閉可能に設けられている。
ホッパー31は、その天部に生ゴミ収集車2の連結体211に連結可能な排気管311と電動バルブ313が設けられており、その側面には生ゴミ収集車2の連結体231に連結可能な生ゴミ導入管312が設けられている。
【0043】
生ゴミ貯留室32は、その内底部に貯留された生ゴミをサイクロン乾燥機33側へ押し出すスクリューコンベア321が設けられている。
サイクロン乾燥機33の下方には、乾燥ゴミ片排出口331が設けられている。
【0044】
なお、前記生ゴミ処理装置3の構造及び他の箇所の構造は、特開2007−161492公報に記載された生ゴミ処理システムにも記載されている公知の構造を有しているので、その詳細な説明は省略する。
【0045】
(作 用)
図1から図5を参照して、生ゴミの収集システムの作用を説明する。
なお、本件の生ゴミの収集システムは、後述する収集前及び生ゴミ収集車2による生ゴミD1の収集の工程を除き、特開2007−161492公報に記載された生ゴミ処理システムにも記載されている公知の作用と同様であるため概説のみ行い、その詳細な説明は省略する。
【0046】
〔収集前〕
各利用者は、各家庭又は事業所から廃棄される生ゴミを、設置された生ゴミ保管容器1まで運ぶ。
利用者が所持する鍵を使用して、扉14の錠141を解錠し、投入口12へ生ゴミを投入し、その後扉14を閉じて施錠する。
前記の通り、錠141の鍵は、生ゴミ保管容器1を利用する一又は複数の利用者によって管理されているので、生ゴミ収集業者や自治体等と契約した者以外のゴミの不法廃棄や、子供等のいたずら等が防止される。
【0047】
扉14を閉じた後の生ゴミ保管容器1は密閉状態となるため、生ゴミ収集車2が巡回してくる迄の間に、生ゴミ保管容器1内に貯留され一時的に保管された生ゴミD1(図1における生ゴミ保管容器1内の破線で示している)の臭気が生ゴミ保管容器1内から外部へ漏出しない。
更に、保管中の生ゴミD1に、散布液を散布してもよい。該散布液には生ゴミD1からの臭気発生を抑制する乳酸菌が含まれており、保管中の生ゴミD1からの臭気発生が抑制される。
【0048】
前記の生ゴミ保管容器1を使用することにより、
(1)まとまった世帯又は軒数の生ゴミをまとめて収集することができるので、一軒ずつ巡回するよりも作業効率が向上する、
(2)収集日まで家庭で生ゴミを保管する必要が無くなり、生ゴミ収集車2の巡回時を待たずして随時生ゴミ保管容器1へ生ゴミを廃棄できるので、当該原因による家庭での悪臭や虫の発生が防止される、
といった利点がある。
【0049】
〔生ゴミ収集車2による生ゴミD1の収集〕
生ゴミ収集車2による生ゴミ保管容器1からの生ゴミD1の収集作業は、以下の通り行う。
(1)生ゴミ収集車2にて生ゴミ保管容器1の設置場所を訪れる。
(2)生ゴミ保管容器1の排出管16に設けられた連結体161と、生ゴミ収集車2の生ゴミ導入管210に設けられた連結体211を連結する。
(3)生ゴミ収集車2の制御ボックス27を操作してブロワ25を作動させると、その吸引力によって、生ゴミ保管容器1内の生ゴミD1が、排出管16と生ゴミ収集車2の生ゴミ導入管210を通じて、生ゴミ保管容器1内から生ゴミ収集車2の収容タンク20へ移送される。なお、ブロワ25の作動中は、生ゴミ保管容器1の開放弁18が開き、外気を容器本体10へ導入する。
(4)ブロワ25を使用した際に、生ゴミ収集車2の収容タンク20内へ吸引された生ゴミ保管容器1内の空気(臭気)は、消臭装置26を通じて車外へ排出される。
(5)なお、生ゴミD1を吸い出した後の空になった生ゴミ保管容器1内には、散布液を散布する。前述通り該散布液には生ゴミD1からの臭気発生を抑制する乳酸菌が含まれており、空になった生ゴミ保管容器1の臭気発生が抑制される。
【0050】
〔生ゴミ収集車2から生ゴミ処理装置3への生ゴミD1の移送〕
(1)処理場へ到着した生ゴミD1を積載した生ゴミ収集車2は、その生ゴミ排出管230の連結体231と、生ゴミ処理装置3の生ゴミ導入管312とを連結させる。
(2)生ゴミ収集車2のブロワ25を作動させると、その吸引力によって生ゴミ処理装置3のホッパー31内の空気が吸い出され、ホッパー31内が真空状態となり、生ゴミD1は生ゴミ収集車2の収容タンク20内からホッパー31へ吸引され移送される。
【0051】
〔生ゴミ処理装置3内での生ゴミの処理〕
(1)生ゴミ処理装置3のホッパー31へ移送された生ゴミD1は、生ゴミ貯留室32を経て、サイクロン乾燥機33へ気密状態で移送される。このとき、乾燥前の生ゴミD1はスクリューコンベア321によって破砕又は粉砕されて細片となる。
(2)細片になった生ゴミD1は、サイクロン乾燥機33によって乾燥処理され、乾燥後の生ゴミD2はサイクロン乾燥機33の乾燥ゴミ片排出口331から排出される。
なお、本実施の形態では、サイクロン乾燥機による生ゴミD1の乾燥時間は24時間であり、110℃以上の上記で熱処理及び分解を行う。30〜40%の水分を残した状態で乾燥処理は終了する。この乾燥処理により、生ゴミD1は無臭且つ無菌状態になる。
(3)サイクロン乾燥機33内の空気(臭気)を生ゴミ処理装置3の消臭装置34を通じて生ゴミ処理装置3外へ排出する。
【0052】
(4)排出された生ゴミD2は、乳酸菌またはその他の堆肥化の為に有効な細菌又は微生物を加えて発酵させて完熟堆肥とする。これにより、全ての処理が終了する。
【0053】
前記生ゴミの収集システムによれば、生ゴミ保管容器1へ生ゴミを投入した後、生ゴミ保管容器1内に保管された生ゴミD1を生ゴミ収集車2により収集して処理場へ運搬し、処理場に設置された生ゴミ処理装置3で処理が完了する迄の一連の作業又は工程において、生ゴミの臭気が外部へ漏出しないか又は漏出しにくい。
このため、上記処理方法を行う生ゴミ処理施設を「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第5条」に該当しない小規模なものとすれば、市街地にも建設することができるので、収集場所と処理場所が近くなり、生ゴミの収集及び処理を効率よく行うことができる。また、生ゴミを処理した得られた堆肥は、その使用により循環型社会の形成に貢献する。
【0054】
上記処理システムよれば、各生ゴミ保管容器を定期的に巡回して生ゴミのみを収集するので、ゴミ収集袋等を使用せず済み、省資源化につながる。更に、カラスや野良猫等の動物にゴミを荒らされる被害が無くなり、このような被害の後片付け等の手間も無くなる。
【0055】
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】生ゴミ保管容器と生ゴミ収集車を連結し、生ゴミを収集する状態を示す説明図。
【図2】生ゴミ収集車と生ゴミ処理装置を連結し、収集した生ゴミを取り出す状態を示す説明図。
【図3】生ゴミ保管容器の正面図。
【図4】図3に示す生ゴミ保管容器の右側面図。
【図5】図3に示す生ゴミ保管容器の平面図。
【符号の説明】
【0057】
1 生ゴミ保管容器
10 容器本体
110 脚部
12 投入口
14 扉
140 扉本体
141 取っ手
142 蝶番
143 側壁
144 錠
16 排出管
161 連結体
18 開放弁
2 生ゴミ収集車
20 収容タンク
210 生ゴミ導入管
211 連結体
220 スクリューコンベア
230 生ゴミ排出管
231 連結体
240 投入口構造体
25 ブロワ
26 消臭装置
27 制御ボックス
3 生ゴミ処理装置
31 ホッパー
311 排気管
312 生ゴミ導入管
313 電動バルブ
314 投入蓋
32 生ゴミ貯留室
321 スクリューコンベア
33 サイクロン乾燥機
331 乾燥ゴミ片排出口
34 消臭装置
D1 生ゴミ
D2 乾燥ゴミ片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミの保管容器(1)であって、該容器(1)は、
外部に臭気が漏れないよう密閉できる容器本体(10)と、
容器本体(10)の底部以外のいずれかの箇所に設けられた生ゴミの投入口(12)と、
生ゴミの投入口(12)に開閉可能に設けられ、閉じた後は内部を密閉状態に保つ閉鎖部材(14)と、
真空又は減圧吸引手段を備えた生ゴミ収集車(2)の吸引力によって容器本体(10)内の生ゴミを排出する排出部(16)と、
生ゴミ排出時に外気を容器本体(10)内に導入する開放弁(18)と、
容器本体(10)内の洗浄、消毒、消臭のいずれか又はこれらの組み合わせに使用する液体の貯蔵部と、
液体の貯蔵部から前記容器本体内へ前記液体を散布する手段と、
を備えた、
生ゴミの保管容器。
【請求項2】
保管容器の投入口(12)を封鎖できる錠(141)を備え、該錠(141)の鍵を保管容器(1)を利用する一又は複数の利用者が管理する、
請求項1記載の生ゴミの保管容器。
【請求項3】
請求項1または2記載の生ゴミの保管容器(1)と、生ゴミの収集車(2)と、生ゴミの処理装置(3)を使用し、生ゴミの収集から処理までの一連の作業において、生ゴミの臭気が外部へ漏出しないか又は漏出しにくい生ゴミの処理システムであって、
前記収集車(2)は、
外部に臭気が漏れないよう密閉できる生ゴミの収容タンク(20)と、
該収容タンクと前記保管容器の排出部を連結する連結体(230)と、
前記処理装置と連結可能に設けてある生ゴミの排出部(210)と、
真空又は減圧吸引手段(25)と、
収容タンク内から排出される空気の消臭装置(26)と、
を備えており、
前記処理装置(3)は、
外部に臭気が漏れないよう密閉できる生ゴミ収容部(31,32)と、
該生ゴミ収容部と前記収集車の排出部を連結する連結体(312)と、
該生ゴミ収容部から移送される生ゴミの乾燥処理機(33)と、
乾燥機内から排出される空気の消臭装置(34)と、
乾燥前または/および乾燥後の生ゴミの破砕又は粉砕手段(32)と、
を備え、生ゴミ収容部(31,32)と乾燥処理機(33)が繋がる箇所は気密となるように形成されている、
生ゴミの処理システム。
【請求項4】
生ゴミの臭気が外部へ漏出しないか又は漏出しにくいようにした、生ゴミの処理方法であって、
収集前の生ゴミ(D1)を外部に臭気が漏れないよう密閉できる保管容器(1)へ投入して、外部に臭気が漏れないよう密閉できる生ゴミの収容タンク(20)を有する収集車(2)による収集時期まで一時的に保管し、
前記収集車(2)が保管容器(1)の設置場所を訪れた後、保管容器(1)の排出部(16)と収集車(2)の連結体(210)とを連結し、収集車(2)の真空又は減圧吸引手段(25)を用いて保管容器(1)から収集車(2)の収容タンク(20)へ生ゴミ(D1)を移送し、生ゴミと一緒に吸引した保管容器(1)内の臭気は、消臭装置(26)を通じて車外へ排出し、
生ゴミの保管中または/および収集作業後の保管容器(1)の容器本体(10)内へ貯蔵部に貯蔵された洗浄、消毒、消臭のいずれか又はこれらの組み合わせに使用する液体を散布し、
処理場へ到着した生ゴミ(D1)を積載した収集車(2)は、前記処理装置(3)の連結体(312)と収集車(2)の排出部(230)とを連結し、収集車(2)の真空又は減圧吸引手段(25)を用いて収集車(2)の収容タンク(20)内の生ゴミ(D1)を処理装置(3)の生ゴミ収容部(31,32)へ移送し、
処理装置(3)では、
生ゴミ収容部(31,32)へ移送された生ゴミを、乾燥処理機(33)へ移送し、乾燥前または/および乾燥後の生ゴミを破砕又は粉砕手段(321)によって破砕又は粉砕し、乾燥処理機(33)によって乾燥処理し、乾燥処理後の無臭の又は臭気が抑制された生ゴミ(D2)を装置外へ排出し、乾燥処理機(33)内の臭気を処理装置(3)の消臭装置(34)を通じて装置外へ排出する当該処理装置での一連の処理は気密状態で行われる、
生ゴミの処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−58977(P2010−58977A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2008−272294(P2008−272294)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(505339151)
【Fターム(参考)】