説明

生体吸収性ブロックコポリマー

【課題】ハードセグメントおよびソフトセグメントを有する生体吸収性の合成ブロックコポリマーを作製すること。
【解決手段】ハードセグメントおよびソフトセグメントを有する生体吸収性のポリウレタンブロックコポリマーは、リジンエチルエステルジイソシアネートのようなジイソシアネートと、(i)芳香族アミドまたはアミノ酸誘導体および(ii)ポリエーテルグリコールおよび/またはジアルキレングリコールと、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、またはジオキサノンのような環状の生体吸収性モノマーとの反応から誘導される吸収性エラストマーポリマーの混合物との反応によって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2008年1月29日に出願された米国仮特許出願第61/024,296号に基づく利益および優先権を主張しており、その全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、外科用物品の製作における使用のための生体適合性および生体吸収性ブロックコポリマーに、そしてより詳細にはハードセグメントおよびソフトセグメントを有するブロックコポリマーに関する。
【0003】
(2.関連技術の背景)
生体吸収性ポリマーは、外科用縫合糸、クリップ、ステープル、ピン、およびその他のこのような固定デバイスのような外科用物品を製作するためにしばしば用いられる。生体吸収性材料のその他の外科的使用は、骨インプラント、時間放出薬物送達システム、神経チャネル、血管グラフト、創傷を覆うデバイスなどを含む。生物吸収性材料は、それらの除去のための別個の外科的手術の必要性なくして一時的期間、身体中で移植可能であるという利点を有している。それらは、例えば、治癒を可能にするために十分な期間、組織を固定するために用いられ得、その後、この生体吸収性材料は自然に分解し、そして吸収される。
【0004】
腸線縫合糸またはコラーゲンのような天然の生体吸収性材料は、酵素分解の作用下で分解する。ポリグリコリドおよびポリラクチドのような合成ポリマーは、加水分解の作用下で分解する。しかし、いずれの場合においても、生体吸収性材料の分解の副産物が生体適合性であることは重要である。すなわち、この生体吸収性材料の分解産物は、組織炎症または任意のその他の有害な身体反応を引き起こすべきではない。
【0005】
Ward、Jr.による特許文献1は、疎水性成分および親水性成分を含むハードセグメントおよびコポリマーソフトブロックによって特徴付けられるポリマー材料を開示している。これらのポリマー材料は、創傷または火傷用包帯、外科用無菌布、半透膜、および織物用被覆の使用のためにフィルムに形成され得る。
【0006】
Tangらによる特許文献2は、吸収性医療用デバイスの製作における使用のために反復カーボネート結合を含むポリマーを開示している。
【0007】
Cooperらによる特許文献3は、外科用デバイスにおける使用のための芳香族無水物および脂肪族エステルのコポリマーを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,120,813号明細書
【特許文献2】米国特許第5,274,074号明細書
【特許文献3】米国特許第5,321,113号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(要旨)
ハードセグメントおよびソフトセグメントを有する生体吸収性の合成ブロックコポリマーが本明細書中に開示される。この生体吸収性ブロックコポリマーは、生体適合性および生分解性のジイソシアネートを以下の混合物と反応させることにより作製される。このジイソシアネートは、好ましくは、例えば、リジンエチルエステルジイソシアネートのようなアミノ酸の誘導体である。このジイソシアネートと反応される混合物の第1の成分は、以下の分子式(I):
【0010】
【化1】

を有する芳香族化合物を含み、ここで、Xは酸素または硫黄であり、そしてZは1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル部分、7個〜約12個の炭素原子を有するアラルキル部分、分子式(II):
【0011】
【化2】

を有する部分、分子式(III):
【0012】
【化3】

を有する部分、ならびに分子式(IV):
【0013】
【化4】

を有する部分からなる群から選択され、ここで、R、R、R、およびRは1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル部分および7個〜約10個の炭素原子を有するアラルキル基からなる群から独立に選択され、Rは水素または1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル基であり、そしてRは約1個〜約18個の炭素原子のアルキル基である。
【0014】
上記混合物の第2の成分は、脂肪族ポリエーテルグリコールおよび/またはジアルキレングリコールと環状の生体吸収性モノマーとの反応から誘導される吸収性エラストマーポリマーを含む。この環状の生体吸収性モノマーは:トリメチレンカーボネート、ジオキサノン、およびカプロラクトンのうちの少なくとも1つを含む。
【0015】
上記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールから選択される。上記吸収性エラストマーポリマーは、好ましくは、ジエチレングリコールとトリメチレンカーボネートとの反応から誘導される。
【0016】
あるいは、上記生体吸収性ブロックコポリマーは、上記生分解性かつ生体適合性ジイソシアネートを、上記に記載のような第2の混合物成分を含む混合物と、そして分子式(IV):
【0017】
【化5】

を有するアミノ酸誘導体と反応させることにより作製され得、ここで、Xは酸素または硫黄であり、RおよびRは独立に、1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル部分、アリール、または7個〜約12個の炭素原子を有するアルカリールから選択され;Rは水素または1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル部分であり、Yは酸素または−NH−であり、そしてnは1〜約10の整数である。
【0018】
本明細書中に記載される物質および方法に従って作製される生体吸収性ブロックコポリマーは、インプラント、補綴具、外科用ファスナーなどのような、種々のタイプの外科用デバイスを構築するために用いられ得る。さらに、種々の医学上有用な物質は、このブロックコポリマー上に被覆されるか、またはその中に取り込まれ得、治癒を促進し、そして感染を防ぐ。
【0019】
また、本発明は、例えば以下の項目を提供する:
(項目1)ハードセグメントおよびソフトセグメントを有する生体吸収性ブロックコポリマーであって:
a)生分解性かつ生体適合性のジイソシアネート;ならびに
b)以下のi)およびii)の混合物
i)分子式(I):
【0020】
【化12】

を有する芳香族化合物であって、ここでXは酸素または硫黄であり、そしてZは1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル部分、7個〜約12個の炭素原子を有するアラルキル部分、分子式(II):
【0021】
【化13】

を有する部分:
分子式(III):
【0022】
【化14】

を有する部分:および分子式(IV):
【0023】
【化15】

を有する部分からなる群から選択され、ここで、R、R、R、およびRは独立に、1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル基および7〜約10の炭素原子を有するアラルキル基から選択され、Rは水素または1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル基であり、そしてRは約1個〜約18個の炭素原子のアルキル基である、芳香族化合物;ならびに
ii)脂肪族ポリエーテルグリコールおよび/またはジアルキレングリコールと、トリメチレンカーボネート、ジオキサノン、またはカプロラクトンのうちの少なくとも1つを含む環状の生体吸収性モノマーとの反応から誘導される吸収性エラストマーポリマー、
の反応産物を含む、生体吸収性ブロックコポリマー。
(項目2)前記生分解性かつ生体適合性のジイソシアネートが、リジン誘導体である、項目1に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
(項目3)前記リジン誘導体が、リジンエチルエステルジイソシアネートである、項目2に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
(項目4)RおよびRが各々、−CHCH−である、項目1に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
(項目5)前記ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択される、項目1に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
(項目6)前記吸収性エラストマーポリマーが、ジエチレングリコールとトリメチレンカーボネートとの反応から誘導される、項目1に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
(項目7)抗微生物薬剤および組織成長促進剤からなる群から選択される医学上有用な物質をさらに含む、項目1に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
(項目8)項目1に記載のブロックコポリマーから製作される外科用デバイス。
(項目9)前記外科用デバイスが、外科用縫合糸、骨ピン、外科用クリップ、および二部の外科用ファスナーからなる群から選択される、項目8に記載の外科用デバイス。
(項目10)交互のハードセグメントおよびソフトセグメントを有する生体吸収性ブロックコポリマーであって:
a)生分解性かつ生体適合性のジイソシアネート;および
b)以下のi)およびii)の混合物
i)分子式(V)
【0024】
【化16】

を有するアミノ酸誘導体であって、ここで、ここでXは酸素または硫黄であり、RおよびRは独立に、1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル基部分、アリール、または7個〜約12個の炭素原子を有するアルカリール基から選択され;Rは水素または1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル部分であり、Yは酸素または−NH−であり、そしてnは1〜約10の整数である、アミノ酸誘導体;ならびに
ii)脂肪族ポリエーテルグリコールおよび/またはジアルキレングリコールと、トリメチレンカーボネート、ジオキサノン、またはカプロラクトンのうちの少なくとも1つを含む環状の生体吸収性モノマーとの反応から誘導される吸収性エラストマーポリマー、
の反応産物を含む、生体吸収性ブロックコポリマー。
(項目11)前記前記生分解性かつ生体適合性のジイソシアネートが、リジン誘導体である、項目10に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
(項目12)前記リジン誘導体が、リジンエチルエステルジイソシアネートである、項目11に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
(項目13)前記ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択される、項目10に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
(項目14)前記吸収性エラストマーポリマーが、ジエチレングリコールとトリメチレンカーボネートとの反応から誘導される、項目10に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
(項目15)抗微生物薬剤および組織成長促進剤からなる群から選択される医学上有用な物質をさらに含む、項目10に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
(項目16)項目10に記載のブロックコポリマーから製作される外科用デバイス。
(項目17)前記外科用デバイスが、外科用縫合糸、骨ピン、外科用クリップ、および二部の外科用ファスナーからなる群から選択される、項目16に記載の外科用デバイス。
【0025】
種々の実施形態は、図面を参照して以下に説明される。
【0026】
(要約)
ハードセグメントおよびソフトセグメントを有する生体吸収性のポリウレタンブロックコポリマーは、リジンエチルエステルジイソシアネートのようなジイソシアネートと、(i)芳香族アミドまたはアミノ酸誘導体および(ii)ポリエーテルグリコールおよび/またはジアルキレングリコールと、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、またはジオキサノンのような環状の生体吸収性モノマーとの反応から誘導される吸収性エラストマーポリマーの混合物との反応によって形成される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、ニードル−縫合糸組み合わせを示す。
【図2】図2は、骨ピンの斜視図である。
【図3】図3は、外科用クリップの斜視図である。
【図4】図4は、外科用ステープルおよび保持具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
ハードセグメントおよびソフトセグメントを有する生体適合性および生体吸収性の合成ブロックコポリマーは、生体適合性および生体吸収性のジイソシアネートを、(i)および(ii)の混合物と反応させることにより作製され、ここで:
(i)は、式:
【0029】
【化6】

を有する芳香族化合物であり、ここでXは酸素または硫黄であり、そしてZは1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル部分、7個〜約12個の炭素原子を有するアラルキル部分から選択され、そして好ましくは以下の式(II)、(III)、または(IV)を有する群から選択される:
【0030】
【化7】

ここで、R、R、R、およびRは独立に、1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル基および7〜約10の炭素原子を有するアラルキル基から選択され、Rは水素または1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル基であり、そしてRは約1個〜約18個の炭素原子のアルキル基であり;そして
(ii)は、脂肪族ポリエーテルグリコールおよび/またはジアルキレングリコールと、1つ以上の環状の生体吸収性モノマー(例えば、トリメチレンカーボネート、ジオキサノン、およびカプロラクトン)との反応から誘導される吸収性エラストマーポリマーである。
【0031】
式Iを有する好ましい化合物は、4−ヒドロキシフェニルアルカン酸を4−ヒドロキシフェニルアルキルアミンと反応することによって調製される。例えば、4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸を、4−ヒドロキシフェニルエチルアミンと反応させると、式:
【0032】
【化8】

に対応する化合物が生成し、ここで、Xは酸素であり、そしてZは、RおよびRが各々−CHCH−である式IIの基である、式Iに対応する。
【0033】
式Iを有するその他の化合物は、チロシンを、式HO−R−OHを有するジオール化合物と反応させ、式:
【0034】
【化9】

を有する化合物を形成することによって調製され得る。好ましくは、Rが1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル部分であるチロシンの誘導体が用いられる。
【0035】
式Iの化合物の代替として、式Vの化合物が代わりに用いられ得る:
【0036】
【化10】

ここで、Xは酸素または硫黄であり、RおよびRは独立して、1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル部分、または7個〜約12個の炭素原子を有するアルカリールであり;Rは、水素または1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル部分であり、Yは酸素または−NH−であり、そしてnは1〜約10の整数である。
【0037】
式Vの化合物は、例えば、制限されずに、例えば、チロシン(α−アミノ−β−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸)、セリン(α−アミノ−β−ヒドロキシプロピオン酸)、スレオニン(α−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸)、またはシステイン(α−アミノ−β−メルカプトプロピオン酸)のようなアミノ酸のオリゴマーを形成すること、およびこのオリゴマーを、式OH−R−OHを有するジオールと反応することによって調製され得る。好ましくは、Rが1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル基であるチロシン、セリン、スレオニン、またはシステインが用いられる。好ましくは、RおよびRの少なくとも1つは、フェニルのようなアリール部分である。あるいは、上記アミノ酸は、エタノールアミンのようなアミノアルコールと反応され得る。
【0038】
式IまたはVの化合物は、ポリアルキレングリコール、および/またはジアルキレングリコールと、トリメチレンカーボネート、ジオキサノン、およびカプロラクトンから選択される1つ以上の環状の生体吸収性モノマーとの反応から誘導される吸収性エラストマーポリマーと混合される。好ましくは、このポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリプロピレングリコール(「PPG」)、およびポリ(エチレン−プロピレン)グリコール(「ポリ」(EG−PG))から選択される。上記生体吸収性エラストマーポリマーは、好ましくは、ジエチレングリコール(HOCHCHOCHCHOH)とトリメチレンカーボネートとの反応によって形成される。必要に応じて、上記環状の生体吸収性モノマーはさらに、約65重量%までのラクチドおよび/またはグリコリドを含み得る。
【0039】
上記混合物は、次いで、生体適合性および生体吸収性ジイソシアネートと反応され、ウレタン結合を有する生体吸収性ポリマーを形成する。これら材料のインビボ分解産物および最終産物が生体適合性であることが重要な特徴である。本明細書に記載されるポリマーにおける使用のために適切なジイソシアネートは、式
【0040】
【化11】

を有するリジンエチルエステルジイソシアネートである。その他のアミノ酸誘導体が、代わりに用いられ得る。
【0041】
本明細書に記載される生体吸収性材料は、押し出し、延伸、成形などのようなポリマー材料を成形するために従来用いられている任意のプロセスによって、種々の外科用デバイスを製作するために用いられ得る。例えば、上記生体吸収性材料は、モノフィラメントまたはマルチフィラメントの縫合糸のためのフィラメントを形成するために採用され得る。これらフィラメントは織られて、血管グラフト、筋肉グラフト、骨充填剤などのような種々の補綴デバイスを形成するために用いられ得るシートを形成し得る。あるいは、上記フィラメントは、さらなるポリマーマトリックスを用い、または用いずに積層によって不織布に成形され得る。このような不織布は、上記に列挙された織物と同じ目的のために用いられ得る。
【0042】
本発明の生体吸収性コポリマーはまた、補綴デバイス、外科用クリップ、外科用ファスナー、ステープル、骨ピン、骨ねじ、吻合リング、創傷用包帯、薬物送達デバイスなどを形成するために用いられ得る。
【0043】
必要に応じて、本明細書に開示される生体吸収性物質およびこの物質から作製された外科用デバイスは、その機能性を増大する1つ以上の物質、例えば、この物質が生体内に移植されるとき治癒プロセスを加速または有利に改変するような外科的に有用な物質で被覆または含浸され得る。従って、例えば、組織中にゆっくり放出される広域スペクトル抗生物質(硫酸ゲンタマイシン、エリスロマイシンまたは誘導体化糖ペプチド)のような抗微生物薬剤が取り込まれ得、手術または外傷創傷部位における臨床感染および準臨床的感染と戦うことを支援する。
【0044】
創傷修復および/または組織成長を促進するために、1つ、またはいくつかの物質が、本明細書に開示される吸収性材料中に導入され得るか、または生体吸収性材料から作製された織物または補綴具中に含浸され得る。例示の物質は、ヒト成長因子のようなポリペプチドを含む。用語「ヒト成長因子」または「HGF」は、文献中で公知である物質を包含し、これらは、それらの生物学的に活性な緊密に関連する誘導体を含む。これらHGFは、天然に存在する供給源に由来し得、そして好ましくは組換えDNA技法によって産生される。詳細には、有糸分裂活性であり、そしてそれ故、創傷治癒プロセスを刺激し、加速し、可能にするか、またはそうでなければ増大するのに有効な任意のHGFが、本明細書で有用である。本発明の物質における使用のために企図される成長因子は、hEGF(ウロガストロン)、TGF−β、IGF、PDGF、FGFなどを含む。これらの成長因子、それらが得られ得る方法、ならびに創傷治癒を増大するためのそれらの使用を特徴付ける方法および組成物は、種々、とりわけ、米国特許番号第3,883,497号;同第3,917,824号;同第3,948,875号;同第4,338,397号;同第4,418,691号;同第4,528,186号;同第4,621,052号;同第4,743,679号および同第4,717,717号;欧州特許出願第004639号;同第0128733号;同第0131868号;同第0136490号;同第0417178号;同第0150572号;同第0177915号および同第0267015号;PCT国際出願第WO83/04030号;同第WO85/00369号;同第WO85/01284号および同第WO86/02271号ならびに英国特許出願第2092155A号;同第2,162,851A号および同第2172890A号に開示され、これらのすべては本明細書中に参考して援用される。上記で論議されるもののような創傷治癒物質を取り込むとき、少なくとも1つのシェル層を有する複合材料を用いることが有利であり得、これらは比較的高い生体吸収速度を有する生体吸収性材料から形成される。高い速度の生体吸収層中に創傷治癒物質を取り込むことにより、この物質はより迅速に吸収され、その一方、残りの複合材料は、十分に良好な機械的性質をなお保持し、その外科的機能を実行する。
【0045】
例えば、摩耗を低減し、潤滑性を増加するために、上記生体吸収される複合材料は、種々の物質で被覆され得る。グリコリドおよびラクチドおよびポリエチレンオキシドのコポリマー、ステアリン酸カルシウムのようなカルシウム塩、プルロニッククラスの化合物、カプロラクトンのコポリマー、ポリエチレンオキシド(PEO)とのカプロラクトン、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(ポリHEMA)などが用いられ得る。
【0046】
ここで図面を参照して、図1は、ニードル縫合糸組み合わせ100を示し、これは、ニードル102、および本明細書中に記載される生体吸収性ブロックコポリマーから製作される縫合糸101を含む。
【0047】
図2は、本明細書中に記載される生体吸収性ブロックコポリマーから製作される外科用骨ピン120を示す。
【0048】
図3は、本明細書中に記載される生体吸収性ブロックコポリマーから製作される外科用クリップ130を示す。
【0049】
図4は、本明細書中に記載される生体吸収性ブロックコポリマーから製作される二部の外科用ファスナー140を示す。この外科用ファスナー140は、対応する保持具142を有するステープル部分141を含み、この保持具142とこのステープル部分141は係合され得る。
【0050】
種々の改変が本明細書中に開示される実施形態になされ得ることが理解される。従って、上記の説明は、制限するものと解釈されるべきではなく、むしろ、好ましい実施形態の例示である。当業者は、本明細書に添付された請求項の範囲および趣旨内でその他の改変を想定する。
【符号の説明】
【0051】
100 ニードル縫合糸組み合わせ
101 ニードル
102 縫合糸
120 外科用骨ピン
130 外科用クリップ
140 二部の外科用ファスナー
141 ステープル部分
142 保持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードセグメントおよびソフトセグメントを有する生体吸収性ブロックコポリマーであって:
a)生分解性かつ生体適合性のジイソシアネート;ならびに
b)以下のi)およびii)の混合物
i)分子式(I):
【化12】

を有する芳香族化合物であって、ここでXは酸素または硫黄であり、そしてZは1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル部分、7個〜約12個の炭素原子を有するアラルキル部分、分子式(II):
【化13】

を有する部分:
分子式(III):
【化14】

を有する部分:および分子式(IV):
【化15】

を有する部分からなる群から選択され、ここで、R、R、R、およびRは独立に、1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル基および7〜約10の炭素原子を有するアラルキル基から選択され、Rは水素または1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル基であり、そしてRは約1個〜約18個の炭素原子のアルキル基である、芳香族化合物;ならびに
ii)脂肪族ポリエーテルグリコールおよび/またはジアルキレングリコールと、トリメチレンカーボネート、ジオキサノン、またはカプロラクトンのうちの少なくとも1つを含む環状の生体吸収性モノマーとの反応から誘導される吸収性エラストマーポリマー、
の反応産物を含む、生体吸収性ブロックコポリマー。
【請求項2】
前記生分解性かつ生体適合性のジイソシアネートが、リジン誘導体である、請求項1に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
【請求項3】
前記リジン誘導体が、リジンエチルエステルジイソシアネートである、請求項2に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
【請求項4】
およびRが各々、−CHCH−である、請求項1に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
【請求項5】
前記ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択される、請求項1に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
【請求項6】
前記吸収性エラストマーポリマーが、ジエチレングリコールとトリメチレンカーボネートとの反応から誘導される、請求項1に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
【請求項7】
抗微生物薬剤および組織成長促進剤からなる群から選択される医学上有用な物質をさらに含む、請求項1に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
【請求項8】
請求項1に記載のブロックコポリマーから製作される外科用デバイス。
【請求項9】
前記外科用デバイスが、外科用縫合糸、骨ピン、外科用クリップ、および二部の外科用ファスナーからなる群から選択される、請求項8に記載の外科用デバイス。
【請求項10】
交互のハードセグメントおよびソフトセグメントを有する生体吸収性ブロックコポリマーであって:
a)生分解性かつ生体適合性のジイソシアネート;および
b)以下のi)およびii)の混合物
i)分子式(V)
【化16】

を有するアミノ酸誘導体であって、ここで、ここでXは酸素または硫黄であり、RおよびRは独立に、1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル基部分、アリール、または7個〜約12個の炭素原子を有するアルカリール基から選択され;Rは水素または1個〜約6個の炭素原子を有するアルキル部分であり、Yは酸素または−NH−であり、そしてnは1〜約10の整数である、アミノ酸誘導体;ならびに
ii)脂肪族ポリエーテルグリコールおよび/またはジアルキレングリコールと、トリメチレンカーボネート、ジオキサノン、またはカプロラクトンのうちの少なくとも1つを含む環状の生体吸収性モノマーとの反応から誘導される吸収性エラストマーポリマー、
の反応産物を含む、生体吸収性ブロックコポリマー。
【請求項11】
前記前記生分解性かつ生体適合性のジイソシアネートが、リジン誘導体である、請求項10に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
【請求項12】
前記リジン誘導体が、リジンエチルエステルジイソシアネートである、請求項11に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
【請求項13】
前記ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択される、請求項10に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
【請求項14】
前記吸収性エラストマーポリマーが、ジエチレングリコールとトリメチレンカーボネートとの反応から誘導される、請求項10に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
【請求項15】
抗微生物薬剤および組織成長促進剤からなる群から選択される医学上有用な物質をさらに含む、請求項10に記載の生体吸収性ブロックコポリマー。
【請求項16】
請求項10に記載のブロックコポリマーから製作される外科用デバイス。
【請求項17】
前記外科用デバイスが、外科用縫合糸、骨ピン、外科用クリップ、および二部の外科用ファスナーからなる群から選択される、請求項16に記載の外科用デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−179798(P2009−179798A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16030(P2009−16030)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(507156015)コンフルエント サージカル, インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】