説明

生体情報測定センサおよび生体情報測定装置

【課題】簡便な操作で確実に正確な測定が可能な生体情報測定用センサを提供する。
【解決手段】生体情報測定用センサ1は、採取された血液または体液が接触されて生体情報に関する電気情報を検出する検出部11と、検出部11からの電気情報の処理方法を指示する識別情報を有する識別部13とを備え、検出部11が生体情報測定装置に電気情報を検出可能に接続されることにより、識別部13が当該生体情報測定装置において識別情報を読み取り可能に接続される。したがって、センサ1を生体情報測定装置に正しく装着する操作により、識別情報をも生体情報測定装置に提供することができ、簡単な操作によって正しい処理による測定が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報、例えば血糖値に関する情報を測定するためのセンサ及び装置に関し、特に生体情報を電気的な情報として検出して測定するためのセンサ及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病患者が受けるインシュリンを投与する治療には、1日に数回、患者自身が手指等から血液を採取して血糖値測定装置に読み取らせ、血糖値に応じた量のインシュリンを投与する方法がある。個人的に行うことができる市販の血糖値測定装置を用いる場合、血糖値測定のステップには、採血装置への針の装着、採血装置による採血、血糖値測定装置へのセンサチップの装着、センサチップ特性に合わせた血糖値測定装置の測定準備、血糖値測定装置への血液の導入など複数の操作がある。これらの操作のうち、センサチップ特性に合わせた血糖値測定装置の測定準備は、主にセンサの応答レベルに関連して検出値の処理方法を選択、あるいは決定するものである。具体的な操作としては、センサ特性を表す記号、信号などの手入力や、これらの情報が入力されたチップの血糖値測定装置への装着がある。しかしながら、これらの操作を行ったかどうかは、新品の採血用の針やセンサチップを装着したかどうかと異なり、ひと目で判別できるものではなく、また、怠った場合にも不適正な処理による誤った値が得られてしまう可能性が高い。したがって、誤った値に基づいてインシュリン投与量を決定してしまう可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明では、簡便な操作で確実に正確な測定が可能な生体情報測定用センサを提供することを課題とする。
また、本発明では、簡便な操作で確実に正確な測定が可能な生体情報測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、採取された血液または体液が接触されて生体情報に関する電気情報を検出する検出部と、この検出部からの電気情報の処理方法を指示する識別情報を有する識別部とを備え、検出部が生体情報測定装置に電気情報を検出可能に接続されることにより、識別部が当該生体情報測定装置において識別情報を読み取り可能に接続される、生体情報測定用センサを提供する。
この発明によれば、検出部を備えるセンサ自体に、検出部からの電気情報の処理方法を指示する識別情報を備える識別部が設けられている。そして、生体情報測定装置にセンサを装着して検出部で電気情報を検出できるようにすることで、この識別部の識別情報は生体情報測定装置に読み取り可能となる。したがって、このセンサは、生体情報測定装置に正しく装着する操作により、識別情報をも生体情報測定装置に提供することができ、簡単な操作によって正しい処理による測定が可能となっている。
また、本発明の第2発明は、第1発明において、検出部および識別部は、センサ用ベース材上に付与される導電性配線によって形成されており、この識別部には、前記導電性配線の一部が切断または接続されて所定の識別情報が付与されている生体情報測定用センサである。
この発明によれば、検出部と識別部とを同じ工程で作成することができ、より少ない工程数で作成可能なセンサとなっている。特に、識別部における識別情報は、導電性配線の一部が切断または接続されることによって形成されるため、異なる特性のセンサについても同一の配線パターンから形成することができ、量産が容易である。
本発明の第3発明は、第1発明において、識別部は、センサ用ベース材上に付与される識別情報を含有するICチップを備えている生体情報測定用センサである。
この発明によれば、センサにICチップを載せることでセンサに識別情報を付与できるため、簡単な工程で作成できる識別部を備えるセンサとなっている。例えば、異なる特性のセンサについても、載せるICチップ内へ書き込む情報が異なるだけで、ICチップを付与する位置など機械的な作業は同一でよいため、量産が容易である。
本発明の第4発明は、第1ないし第3発明のいずれかのセンサが装着される装着部と、装着部に装着されたセンサの検出部から電気情報を受信可能な第1の受信部と、装着部に装着されたセンサの識別部から識別情報を受信可能な第2の受信部と、前記第1および第2の受信部からの電気情報および識別情報に基づいて生体情報を処理する処理部と、前記処理部による処理結果を出力する出力部とを備える生体情報測定装置を提供する。
この発明によれば、検出部と識別部とを有するセンサが装着部に装着されると、第1の受信部によって検出部からの電気情報が、第2の受信部によって識別部からの識別情報がそれぞれ受信可能となる。このため、センサの装置への装着により、この検出部に対応する識別情報が受信可能となる。したがって、誤った識別情報の入力を簡単且つ確実に防ぐことができ、検出部からの電気情報を正しい処理方法で処理できる装置となっている。
また、本発明の第5発明は、第4発明に置いて、前記センサの識別情報に基づいてセンサを識別できたことにより、測定可能となる生体情報測定装置である。
この発明によれば、センサを識別できた場合のみ生体情報を測定できるため、誤った識別情報に基づく測定を確実に回避でき、正しい生体情報を提供できる装置となっている。
【発明の効果】
【0005】
本発明では、簡便な操作で確実に正確な測定が可能な生体情報測定用センサを提供することにより、また、簡便な操作で確実に正確な測定が可能な生体情報測定装置を提供することにより、誤操作による測定不良の発生を低減して正しい生体情報を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係る生体情報測定用センサを示す。センサ1は、本実施形態では、血糖値を測定するためのセンサチップである。
センサ1は、全体がプリント基板で形成されており、センサ用ベース材2と複数のプリントによって付与された配線4〜9とを備える。センサ用ベース材2は、木粉、木質繊維などが結合されてなる板や樹脂板、紙など絶縁性の板部材であり、本実施形態では公知のプリント基板において使用される樹脂板である。図1に示すセンサ用ベース材2は、長方形状に形成されている。また、配線4〜9は、本実施形態では、公知の方法、例えば腐食法等によりセンサ用ベース材に付与された銅箔により形成されている。
【0007】
センサ1には、検出部11と識別部13とが設けられている。
検出部11は、2本の配線8,9を有しており、各配線8,9は、生体に関する電気情報を検出するための作用電極及び対電極として作用する。2本の配線8,9は、それぞれ、センサ用ベース材2の長辺に平行に延びており、一端が端子部8a,9aに、他端が接触部8b,9bに形成されている。端子部8a,9aは、後述する血糖値測定装置31に接続される部分であり、センサ用ベース材2の短辺に一片が一致する長方形状に形成されている。また、接触部8b,9bは、センサ用ベース材2の中央に設けられており、一方の接触部8bは長方形に、他方の接触部9bは接触部8bの3辺を囲うコの字状に、それぞれ形成されている。
なお、検出部11は、作用電極、対電極及び参照電極として作用する3本の配線を有していても良いことは、もちろんである。
【0008】
接触部8b,9bは、電圧が印加される部分であり、血液又は体液に接触されて通電可能となる。本実施形態の接触部8b,9bは、この通電時の電流を電気情報として検出するものである。このため、接触部8b,9bのうち、少なくとも一方には、接触される体液又は血液から特定の生体情報、すなわち本実施形態では血糖値に関する情報を電気情報として取得するための加工が施されている。本実施形態では、一方の接触部8bに、血糖値に関する電気情報を得るために、特に図示しないが3層のコーティングが施されている。
【0009】
コーティングのうち、接触部8bの導電性部分、すなわち銅箔に直接接触する第1層は、所定の生体情報を得るための選択層である。選択層は、例えば、所定の成分、例えば糖と電子移動を伴う反応をする酵素を含む層とすることができる。本実施形態では、グルコースオキシダーゼを用いることができる。
第2層は電子メディエータ層であり、接触部に印加される電圧と酵素反応における電位との間の過大な電位差を補償して電位を検出可能としたり、検出精度を向上させたりする。本実施形態では、電子メディエータとして、フェロセンカルボキシアルデヒド−アルブミン共有結合体の一種であるフェロセンカルボキシアルデヒドを用いることができる。なお、電子メディエータ成分は、酵素と混合して選択層中に含有されてもよい。
第3層はカバー層であり、電極部と皮下体液との間で特定物質以外の物質が移動することを制限する。すなわち、血液中または体液中の特定物質(糖)以外の成分が付着したり侵入したりすることを抑制する。本実施形態では、タンパク質など皮下体液内の成分が付着しにくい高分子材料である2−メタクリロイルオキシエチル・ホスホリルコリン(MPC)を用いることができる。
【0010】
なお、これらの層を施した電極は、予め電気分解処理などが施されていても良い。また、体液中又は血液中の所定の成分に係る電気情報を検出するための加工は、上記形態に限定されない。例えば、他の所定の物質と反応する酵素を含む酵素層や、測定しようとする所定の物質を透過し、この所定の物質の電位測定に影響を及ぼす物質を透過しない制限透過膜層などの付与でも良い。
【0011】
識別部13は、センサ1の検出部11から得られる電気情報の処理方法を指示する識別情報を備える部分である。識別部13が保有する識別情報は、センサ1と組み合わされて使用可能な生体情報測定装置において、センサ1の特性に対応する処理方法、すなわち演算式による処理を可能とする情報であり、その種類は特に限定されない。例えば、処理のための演算式そのものでも良いし、生体情報測定装置に予め保有されている演算式に組み込まれる係数や、生体情報測定装置が保有する複数の演算式のうち所定の演算式を指定する記号などでも良い。本実施形態では、例えば、識別情報は検出感度を等級付けしたロットとすることができ、この識別情報により、生体情報測定装置に内蔵されている複数のロットにおける処理形式が選択される。
【0012】
識別部13が保有する識別情報は、典型的には電気情報とされる。本実施形態では、センサ用ベース材2に形成されたパターン配線を有しており、この一部が接続されることによって識別情報が付与されている。具体的には、パターン配線は、4つの導線を有している。第1配線7は、一端が検出部11の配線8,9と同じセンサ用ベース材2の短辺に接して端子部7aを形成しており、3つの枝分かれした端部を備える。第2〜第4配線4〜6は、一端がセンサ用ベース材2の同じ短辺に接する端子部4a,5a,6aに形成されており、他端が第1配線7の各端部に近接して設けられている。この識別部13では、このパターン配線中に、所定の回路を構成することにより識別情報が作成される。具体的には、第1配線7と第2〜第4配線4〜6の少なくとも1つが、互いに対向する端部ではんだ付け等により通電可能な状態とされる。図1では、第1配線7と第3配線5とがはんだ10により接続されて識別情報が形成されている。
【0013】
このセンサ1では、検出部11と識別部13とが、それぞれプリント配線によって同一センサ用ベース材2上に形成されており、より簡単な工程で作成することができる。特に、識別部13は、パターン配線によって形成されているため、異なる種類の検出部11を作成する場合も、配線は、同一で良い。このため、種々のセンサ特性のセンサを量産する場合にも簡単に識別情報を付与できる。また、特に、本発明では、識別情報として、生体情報測定装置に予め入力されている演算を選択するための記号としたため、識別部13が簡単な構成となり、1測定ごとに交換されるセンサが小型かつ少ない材料で形成されており、廃棄材料の増加が良好に低減されている。また、センサ1に識別部13が一体化されているため、センサ1に対して処理情報が取り違えられるおそれが無い。
【0014】
なお、図2に、図1の変形例として異なるパターン配線によって形成されている識別部21を有するセンサを示す。このセンサの識別部21の配線25は、4つの端子部25a,25b,25c,25dを備える1本の連続する配線で構成されている。この識別部21では、1部分以上、例えば、図2では、紙面奥から2番目の配線部分27をレーザー、あるいはカッターなどで切除することにより、識別情報が付与されている。この構成においても、図1のセンサと同様、種々の感度の検出部を作成する場合にも、同一のパターン配線が施されたセンサ用ベース材を使用することができ、量産が容易である。
【0015】
なお、識別情報の電気情報以外の情報形態としては、バーコードなどの光学情報、磁気情報、装置側と所定の係合関係を形成し得る爪などの機械的情報を挙げることができる。また、電気情報においてもコンデンサ、トランジスタ、ICチップなど他の電子部品を備えるより高度の情報集積体を備える構成とされてもよい。例えば、ICチップでは、検出部11が形成されるセンサ用ベース材2のどちらか一方の面に固定することで付与することができる。ICチップを備える識別部は、例えば識別部13と同様にして形成される配線によって測定装置側に接続可能とされて、この接続により識別情報を読み取り可能とすることができる。あるいは、誘導電流等を利用した無線式の送信手段によって測定装置側に非接触で識別情報を読み取り可能とすることもできる。
【0016】
次に、センサ1を使用可能な本発明にかかる生体情報測定値の一実施形態について、図3〜5を参照して説明する。この実施形態の装置31は、血糖値測定装置であり、採血器37と測定器39とが一体化されている。装置31の外形は、図3に示すように、図において左辺中央が左方向に突出している略直方体状の箱状に形成されたケース3により形成されている。測定器39は、装置31の図3における左側の突出部に設けられたセンサ装着部41と、装置31の右側に設けられた出力手段としての表示部42、測定開始等の信号を入力するための操作部43、および装置31に内蔵されている図示しない処理手段とを備える。採血器37は、図3において装置31のセンサ装着部41を除く左側の領域に設けられている。
【0017】
まず、測定器39について説明する。
センサ装着部41は、図4,5に示すように、センサ1が装着される部位である。本実施形態では、センサ装着部41は、ケース33に形成された開口35の内部に開口35からセンサ1を差し込むことによって装着できるように設けられている。センサ装着部41の構成は特に限定されず、公知のプリント基板を電気的に接触した状態で保持するコネクタ受けにより構成される。典型的には、センサ1の端子部4a〜9aが設けられている端部を狭持して電気的に接続可能な構成であり、樹脂製の溝を備えるケースとケースの溝内に弾性変形可能に突出する導電性ばねとで構成される。本実施形態では、センサ装着部41の導電性ばねのうち、センサ1の検出部11の端子部8a,9aに対応するばねは、本発明に係る第1の受信部に相当し、電圧を印加可能、且つ電気情報を受信可能に形成されている。また、導電性ばねのうち、識別部13の第1〜第4配線7〜4の端子部4a〜7aに対応する4つのばねは、本発明に係る第2の受信部に相当し、電気的に接続されて識別情報を受信可能に形成されている。これらの導電性ばねは、図示しない処理手段に電気的に接続されている。
【0018】
処理手段は、公知の種々の血糖値計または生体情報測定装置と同様、受信した電気情報を処理し、出力手段に処理結果を送信する構成とすることができる。処理手段は、センサ装着部41の第1の受信部から送信される電気情報を処理して血糖値を処理結果として求め、また、適宜、他の処理結果、例えば、好ましいインシュリン投与量や所定値を上回ったかどうか、などについて求める。装置31の処理手段は、センサ装着部41の第2の受信部より送信される識別情報に基づいてセンサ1に対応する処理を行う。処理手段は、予め、センサ特性に合わせた演算式を複数内蔵していて、識別情報に基づいて、演算式を選択する形式であってもよいし、予め決められた係数が識別情報として提供されることによって完成される演算式を備える形式であってもよい。あるいは、識別情報が演算式そのものであり、この演算式を組み込むことによって完成される処理ステップを備える形式でもよい。さらに、処理手段は、上記形式の2つ以上を内蔵しており、使用されるセンサ1から得られる識別情報に対応する形式を選択して処理する形式であってもよい。なお、演算方法や処理ステップは特に限定されず公知の形態とすることができるため、詳細な説明は省略する。
【0019】
表示部42は、処理手段による処理結果を、視覚的に出力する部位であり、例えば液晶ディスプレイである。出力手段としては、音声、表示、または電気情報として出力する公知の手段を1つ以上設けることができる。例えば、図示しないが、スピーカーや、パソコンや電話回線などに接続可能な出力端子などを設けることもできる。
操作部43は、測定開始の信号の他、被採血者や採血時間等に関するデータの入力や、入手したいデータの種類などの選択、後述する出力手段からの出力方法の指示などに用いられるボタン44を備えている。
また、装置31には、図示しないがパソコン、電話回線などに接続可能な入出力端子が設けられていても良い。
【0020】
採血器37の構成は、特に限定されず、公知の構成とすることができる。本実施形態では、採血のために皮膚に針を刺し抜きし、且つ血液の滲出を促進するために皮膚表面側を減圧する構成について、図4〜5に示すフローを参照しながら、その作動を中心に簡単に説明する。
【0021】
採血器37は、準備ボタン51と、針発射ボタン53と、穿刺針60が皮膚に向かって突き出される開口35を備える減圧シリンダ55とを備えている。採血器37には、交換可能な穿刺針60を、開口35に向かって針が延びる向きに装着可能とされている。この採血器37を用いて採血するには、まず、図4(a)に示すように穿刺針60を採血器37に装着し、次に、図4(b)に示すように、準備ボタン51を押す。準備ボタン51の押圧により、穿刺針60を減圧シリンダ55から突出しない位置まで降下するとともに、穿刺針60を開口35から突出するように発射させられる下方へ向かう弾発力と、穿刺針60が突出された状態から元の位置に戻す上方へ向かう弾発力とが貯蔵される。
次に、図4(c)に示すように採血しようとする部位の皮膚70に減圧シリンダ55を押し当て、針発射ボタン53を押す。針発射ボタン53の押圧により、まず穿刺針60が図5(a)に示すように開口35から飛び出して皮膚70に刺さり、次いで、上方に引き上げられて皮膚から抜ける。このとき、押し付けられた減圧シリンダ55内の空間は、穿刺針60部分が図4(c)の状態から図4(a)と同じ高さまで戻ることによって減圧される。これにより、皮膚70からの穿刺部分からの出血が促進される。
【0022】
したがって、本実施形態の装置31を使用して血糖値を測定する場合、まず、図4(a)に示すように、穿刺針60を装着し、さらに図4(b)に示すようにセンサ1を開口35内のセンサ装着部41に装着する。さらに、所定の情報などを操作部43から入力した後、図4(b)に示すように準備ボタンを押し、次いで、図4(c)に示すように皮膚に押し当てる。その後、針発射ボタン53を押して図5(a)に示すように穿刺針60を皮膚70に刺してから引き抜き、図5(b)に示す状態で減圧シリンダ55による減圧状態を所定期間だけ保持して、穿刺部分から十分に出血させる。その後、測定器39の操作部43で測定開始を指示し、図5(c)に示すようにセンサ1の検出部11に血液を染み込ませる。これによりセンサ1の検出部11で電気情報が検出されて第1の受信部から処理手段に電気情報が送信され、処理手段が電気情報を処理する。このとき、処理手段は、センサ1を装着時、からこの検出部11からの電気情報を処理するまでの任意の時期に、識別部13の識別情報を第2の受信部から受信し、得られた識別情報が支持する処理方法にしたがって電気情報を処理する。得られた処理結果は、出力手段である表示部42などに出力される。
【0023】
なお、識別情報の受信は、操作部43からの入力信号に基づいて行う形式でもよいが、典型的には、センサ1の装着、測定開始、検出部11からの電気情報の受信など、所定のタイミングで自動的に行うことが好ましい。より好ましくは、識別情報の受信は、センサ1を装置31に挿入したとき、または、電源スイッチがある場合には電源スイッチを入れたとき又はセンサ1を装置31に挿入したときのいずれか遅いときである。また、装置31は、センサ1の識別部13から識別情報を受信し、センサ1を識別できたときにのみ測定可能となる形態が好ましい。この形態であると、識別情報に基づいてセンサ1を識別できなかった場合は測定不可となるため、誤った生体情報が出力されるおそれがない。具体的には、識別情報に基づいてセンサを識別できたときは、出力手段により測定可能である旨、例えばスタンバイの表示などを出力し、測定できない時は、エラーメッセージを出力する形態とされると、測定可能かどうかを使用者が容易に判断できる。
【0024】
この装置31によれば、センサ1を装着する操作により、センサ1の特性に関する識別情報も受信可能な状態にセットされるため、処理手段において識別情報をより確実に受信させることができる。特に、自動的に識別情報を受信する形態とされることにより、処理手段は、確実にセンサ1に対応した処理方法での処理を行うことができる。
【0025】
なお、本発明に係る生体情報測定装置は、上記実施形態に限定されない。採血器を備えない構成であっても良いことはもちろんである。また、例えばセンサ装着部41と処理手段や出力手段とが別体で形成されていてもよい。この形態では、例えば、センサ装着部41に第1の受信部が受信した検出部11から電気情報と第2の受信部が受信した識別部13からの識別情報とを記憶するメモリが設けられ、処理手段は、メモリから電気情報および識別情報を取得する構成とすることができる。この形態では、例えば、処理手段および出力手段は、生体情報測定装置専用のものに限定されず、例えば、他の用途でも利用されるパソコンなどでもよい。また、特に操作部43を設けず、センサ1をセンサ装着部41に装着することで、測定可能な状態とされるとともに、識別部13の識別情報を受信する形態としてもよい。この装置31は、さらに測定のための操作数が減少し、使用方法が簡単である。また、第1及び第2の受信部は、上記実施形態に限定されず、センサの検出部及び識別部の読み取り形式と対応する種々の構成とされる。例えば、非接触式の磁気や光を用いたもの、機械的なもの、電気的なものなど何でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る生体情報測定用センサの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る生体情報測定用センサの別の実施の形態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る生体情報測定装置の一実施の形態を示す平面図である。
【図4】図3の生体情報測定装置において採血準備するようすを示す模式図である。
【図5】図3の生体情報測定装置において採血準備後に採血し血糖値を測定するようすを示す模式図である。
【符号の説明】
【0027】
1 センサ
2 センサ用ベース材
4〜9,25 配線
4a〜9a,25a〜25d 端子部
8b,9b 接触部
10 はんだ
11 検出部
13,21 識別部
27 配線部分
31 装置
33 ケース
35 開口
37 採血器
39 測定器
41 センサ装着部
42 表示部
43 操作部
44 ボタン
51 準備ボタン
53 針発射ボタン
55 減圧シリンダ
60 穿刺針
70 皮膚



【特許請求の範囲】
【請求項1】
採取された血液または体液が接触されて生体情報に関する電気情報を検出する検出部と、
この検出部からの電気情報の処理方法を指示する識別情報を有する識別部と
を備え、
検出部が生体情報測定装置に電気情報を検出可能に接続されることにより、識別部が当該生体情報測定装置において識別情報を読み取り可能に接続される、生体情報測定用センサ。
【請求項2】
検出部および識別部は、センサ用ベース材上に付与される導電性配線によって形成されており、この識別部には、前記導電性配線の一部が切断または接続されて所定の識別情報が付与されている、請求項1に記載の生体情報測定用センサ。
【請求項3】
識別部は、センサ用ベース材上に付与される識別情報を含有するICチップを備えている、請求項1に記載の生体情報測定用センサ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のセンサが装着される装着部と、
装着部に装着されたセンサの検出部から電気情報を受信可能な第1の受信部と、
装着部に装着されたセンサの識別部から識別情報を受信可能な第2の受信部と、
前記第1および第2の受信部からの電気情報および識別情報に基づいて生体情報を処理する処理部と、
前記処理部による処理結果を出力する出力部と
を備える、生体情報測定装置。
【請求項5】
前記センサの識別情報に基づいてセンサを識別できたことにより、測定可能となる、請求項4に記載の生体情報測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−15068(P2006−15068A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198294(P2004−198294)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(392013718)株式会社ニシトモ (6)
【Fターム(参考)】