説明

生体情報画像化装置及び方法

【課題】光音響画像と超音波画像とを生成する生体情報画像化装置において、双方の画像を高い分解能で生成可能とする。
【解決手段】超音波探触子103は、複数のプローブ素子を含む。第1の位相整合加算部108は、光音響素子データメモリ107から光音響信号を読み出し、第1の位相整合範囲で位相整合加算する。画像処理部109は、位相整合加算されたデータに基づいて光音響画像を生成する。第2の位相整合加算部111は、信号取込み部106でサンプリングされた反射音響信号を第2の位相整合範囲で位相整合加算する。画像処理部112は、位相整合加算されたデータに基づいて超音波画像を生成する。第1の位相整合範囲は、第2の位相整合範囲よりも広い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報画像化装置に関し、更に詳しくは、生体組織に光を照射し光照射に伴って発生する音響信号に基づいて画像化を行うと共に、生体組織に超音波を照射しその反響に基づいて画像化を行う生体情報画像化装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物の内部の状態を非破壊的に調査できる画像検査法の一種として、超音波検査法が知られている。超音波検査では、超音波の出力及び検出が可能な超音波探触子を用いる。超音波探触子を検査の対象物に接触させて超音波を発生させると、その超音波は対象物の内部を進んでいき、固いものにあたると反射する。超音波探触子でその反射音波を検出し、反射音波が超音波探触子に戻ってくるまでの時間に基づいて距離を計算することで、内部の様子を画像で可視化することができる。
【0003】
また、光音響効果を利用して生体の内部を画像化する光音響イメージングが知られている。一般に光音響イメージングでは、レーザパルスなどのパルスレーザ光を生体内に照射する。生体内部では、パルスレーザ光のエネルギーを吸収した生体組織が、その熱による体積膨張により超音波(光音響信号)が発生する。この光音響信号を超音波プローブなどで検出し、検出信号を解析することで、超音波に基づく生体内の可視化が可能である。
【0004】
超音波画像と光音響画像とを生成し表示する装置が、例えば特許文献1に記載されている。超音波画像の生成では、超音波プローブが有するプローブ素子から生体内部に超音波を出力し、その反射音波を隣接する所定チャネル数のプローブ素子で検出する。検出した反射音波を位相整合加算することで、生体内のどの深さ位置で超音波が反射したかを特定できる。超音波の出力・反射音波の検出を、プローブ素子の1ch分(1ライン分)ずつずらしながら繰り返し実行し、超音波画像を構築する。
【0005】
一方、光音響画像の生成では、光源部からの光を導波部を用いて生体組織まで導き、生体組織にパルスレーザ光を照射する。パルスレーザ光照射後、超音波画像の場合と同様に、超音波プローブが有するプローブ素子のうちの隣接する所定チャネル数のプローブ素子を用いて光音響信号を検出する。検出した光音響信号を位相整合加算することで、生体内のどの深さ位置から光音響信号が発生しているかが特定できる。パルスレーザ光の照射・超音波の検出を、プローブ素子の1ch分(1ライン分)ずつずらしながら繰り返し実行し、光音響画像を構築する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−21380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、超音波画像の生成と光音響画像の生成とで共通する処理の1つに位相整合加算処理がある。双方の画像生成における位相整合加算では、それぞれサンプリング回路にて並列にサンプリングされた反射音波及び光音響信号を入力し、入力された反射音波及び光音響信号をそれぞれ位相整合加算する。通常、サンプリング回路が並列にサンプリング可能なデータの数(チャネル数)は、超音波探触子が有するプローブ素子の数よりも少ない。例えばプローブ素子の総数が128chで、サンプリング回路が64ch分のデータを並列にサンプリング可能である。この場合、双方の画像生成における位相整合加算では64chのプローブ素子からのデータがそれぞれ位相整合加算される。
【0008】
超音波画像と光音響画像の双方を生成可能な装置において、双方の画像の生成の際に位相整合の範囲をどのように設定するかは、これまであまり議論されてこなかった。本発明者は、超音波画像の生成と光音響画像の生成とで位相整合の範囲を同一としたときに、生成される超音波画像と光音響画像との双方を高分解能化できないことを見出した。
【0009】
本発明は、上記に鑑み、超音波画像と光音響画像との双方を高い分解能で生成可能な生体情報画像化装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、生体組織に光を照射する光照射部と、それぞれが生体組織に対して音響信号を出力可能であると共に、前記光照射部による光照射により生体組織で生じた光音響信号と、前記生体組織に対して出力された音響信号に対する生体組織からの反射音響信号とを検出する複数のプローブ素子を含む超音波探触子と、前記プローブ素子で検出された光音響信号を第1の位相整合範囲で位相整合加算する第1の位相整合加算部と、前記第1の位相整合加算部で位相整合加算されたデータに基づいて光音響画像を生成する第1の画像処理部と、前記プローブ素子で検出された反射音響信号を、前記第1の位相整合範囲よりも狭い第2の位相整合範囲で位相整合加算する第2の位相整合加算部と、前記第2の位相整合加算部で位相整合加算されたデータに基づいて超音波画像を生成する第2の画像処理部とを備えることを特徴とする生体情報画像化装置を提供する。
【0011】
本発明の生体情報画像化装置が、前記プローブ素子が検出した光音響信号と反射音響信号とをサンプリングする信号取込み部を備えており、前記第1の位相整合加算部が前記信号取込み部でサンプリングされた光音響信号を位相整合加算し、第2の位相整合加算部が前記信号取込み部でサンプリングされた反射音響信号を位相整合加算する構成を採用することができる。
【0012】
また、本発明の生体情報画像化装置が、前記生体組織の画像化する範囲が複数の部分領域に分割されており、該部分領域を順次に選択する領域選択部を更に備え、前記光照射部が少なくとも前記選択された部分領域を含む範囲に光を照射し、前記信号取込み部が前記選択された部分領域に対応するプローブ素子が検出した光音響信号をサンプリングして光音響素子データメモリに格納し、前記第1の位相整合加算部が前記光音響素子データメモリから前記第1の位相整合範囲分の前記プローブ素子で検出された光音響信号を読み出して位相整合加算を行う構成を採用することもできる。
【0013】
前記第1の位相整合範囲は、前記信号取込み部が並列にサンプリング可能なデータの数よりも多いこととすることができる。また、各部分領域に対応するプローブ素子の数は、前記信号取込み部が並列にサンプリング可能なデータの数以下としてよい。更に各部分領域の幅は、前記信号取込み部が並列にサンプリング可能なデータの数のプローブ素子に対応する領域の幅と等しくてよい。
【0014】
前記第1の位相整合加算部は、前記領域選択部が全ての部分領域を選択し、かつ、前記信号取込み部が前記生体組織の画像化する範囲のプローブ素子が検出した光音響信号をサンプリングして前記光音響素子データメモリに格納した後に、前記光音響素子データメモリから前記光音響信号を読み出して位相整合加算を行うこととすることができる。
【0015】
前記第2の位相整合範囲は、前記信号取込み部が並列にサンプリング可能なデータの数と等しい幅とすることができる。
【0016】
前記超音波探触子が前記プローブ素子から前記生体組織の所定の範囲に出力範囲を順次にずらしながら音響信号を出力し、前記信号取込み部が前記音響信号が出力された範囲に対応するプローブ素子が検出した反射音響信号をサンプリングして超音波素子データメモリに格納し、前記第2の位相整合加算部が前記超音波素子データメモリから前記第2の位相整合範囲分のプローブ素子で検出された反射音響信号を読み出して位相整合加算を行う構成とすることができる。
【0017】
上記の場合、前記第2の位相整合加算部は、前記超音波探触子が前記生体組織の画像化する範囲に音響信号を出力し、かつ、前記信号取込み部が前記生体組織の画像化する範囲のプローブ素子が検出した反射音響信号をサンプリングして前記超音波素子データメモリに格納した後に、前記超音波素子データメモリから前記反射音響信号を読み出して位相整合加算を行うこととすることができる。
【0018】
上記に代えて、前記超音波探触子が前記プローブ素子から前記生体組織の所定の範囲に出力範囲を順次にずらしながら音響信号を出力し、前記信号取込み部が前記音響信号が出力された範囲に対応するプローブ素子が検出した反射音響信号をサンプリングし、前記第2の位相整合加算部が前記信号取込み部が並列にサンプリングした反射音響信号を位相整合加算する構成を採用することもできる。
【0019】
本発明は、また、生体組織に光を照射するステップと、複数のプローブ素子を含む超音波探触子を用いて、前記照射された光により発生する光音響信号を検出するステップと、前記検出された光音響信号を第1の位相整合範囲で位相整合加算するステップと、位相整合加算された光音響信号に基づいて光音響画像を生成するステップと、生体組織に音響信号を出力するステップと、前記超音波探触子を用いて、前記出力された音響信号に対する生体組織からの反射音響信号を検出するステップと、前記検出された反射音響信号を、前記第1の位相整合範囲よりも狭い第2の位相整合範囲で位相整合加算するステップと、位相整合加算された反射音響信号に基づいて超音波画像を生成するステップとを有する生体組織画像化方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の生体情報画像化装置及び方法では、超音波探触子のプローブ素子で検出された光音響信号を第1の位相整合範囲で位相整合加算して光音響画像を生成すると共に、プローブ素子で検出された反射音響信号を、第1の位相整合範囲よりも狭い第2の位相整合範囲で位相整合加算して超音波画像を生成する。光音響信号の検出特性と超音波信号の検出特性とに応じて、第1の位相整合範囲を第2の位相整合範囲よりも広くすることで、双方の画像を高い分解能で生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態の生体情報画像化装置を示すブロック図。
【図2】超音波探触子を示す斜視図。
【図3】光音響画像生成の際の超音波探触子と生体組織とを模式的に示す図。
【図4】超音波画像生成際の超音波探触子と生体組織とを模式的に示す図。
【図5】光音響素子データメモリに格納されるデータを示すブロック図。
【図6】本発明の第2実施形態の生体情報画像化装置を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の生体情報画像化装置を示している。生体情報画像化装置100は、レーザドライバ101、レーザ光源102、超音波探触子103、領域選択部104、処理選択部105、信号取込み部106、光音響素子データメモリ107、第1の位相整合加算部108、第1の画像処理部109、画像メモリ110、第2の位相整合加算部111、ラインデータメモリ112、第2の画像処理部113、画像メモリ114、及び画像表示部115を有する。
【0023】
レーザドライバ101は、レーザ光源102を駆動する。レーザ光源102は、光音響画像生成の際に、被検体である生体組織に照射するパルスレーザ光を生成する。レーザ光源102には、例えばQスイッチ固体レーザを用いることができる。レーザドライバ101にはトリガー信号が入力され、レーザドライバ101はトリガー信号に応答してレーザ光源102を駆動する。
【0024】
超音波探触子103は、複数チャネルの超音波探触子素子(プローブ素子)を有する。プローブ素子は、生体組織の画像化する範囲に対応して設けられている。例えば超音波探触子103は、192個のプローブ素子を有する。各プローブ素子は、生体組織に向けて超音波(音響信号)を出力可能である。超音波探触子103は、生体組織にパルスレーザ光が照射されることで発生した生体組織内からの超音波(以下、光音響信号とも呼ぶ)を検出する。また、超音波探触子103は、出力した超音波に対する生体組織からの反射音波(以下、反射音響信号とも呼ぶ)を検出する。各プローブ素子は、検出した光音響信号及び反射音響信号を電気信号に変換して出力する。
【0025】
信号取込み部106は、超音波探触子103からの電気信号をサンプリングする。すなわち、信号取込み部106は、超音波探触子103のプローブ素子が検出した光音響信号と反射音響信号とをサンプリングする。信号取込み部106は、超音波探触子103からの電気信号を所定の計測期間にわたって複数回サンプリングする。信号取込み部106は、例えば微小信号を増幅するプリアンプや、アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器を含む。信号取込み部106が、並列に取り込める信号の数(ch数)は、超音波探触子103が有するプローブ素子の総数(総チャネル数)よりも少ない。例えば超音波探触子103が192個のプローブ素子を有するとき、信号取込み部106が並列に取り込み可能なチャネル数は64chであるとする。
【0026】
処理選択部105は、光音響画像生成と超音波画像生成との何れかを選択する。信号取込み部106は、処理選択部105が光音響画像生成を選択しているときは、サンプリングした所定チャネル数分の光音響信号を光音響素子データメモリ107へ格納する。信号取込み部106は、処理選択部105が超音波画像生成を選択しているときは、サンプリングした所定チャネル数分の反射音響信号を第2の位相整合加算部111に出力する。
【0027】
超音波探触子103の複数のプローブ素子に対応する範囲(生体組織の画像化する範囲)は、光音響信号生成に関連して複数の部分領域に分割されている。領域選択部104は、処理選択部105が光音響画像生成を選択すると、部分領域のうちの1つを選択する。例えば、生体組織の画像化する範囲は、領域A、領域B、及び領域Cの3つの部分領域に分かれている。領域A、領域B、及び領域Cは互いに重複していないとする。各部分領域の幅は、信号取込み部106が並列にサンプリング可能なデータの数のプローブ素子に対応する領域の幅とする。例えば信号取込み部106で64ch分のデータが並列にサンプリング可能な場合、領域A、領域B、及び領域Cの各部分領域の幅は、64個のプローブ素子に対応した幅であるとする。
【0028】
領域選択部104は、レーザドライバ101及び超音波探触子103に対してそれぞれ部分領域の選択情報を通知する。レーザドライバ101は、レーザ光源102が少なくとも選択された部分領域を含む範囲にパルスレーザ光を照射するようにレーザ光源102を駆動する。一方、超音波探触子103は、図示しないマルチプレクサなどを用いて、選択された部分領域に対応するプローブ素子と信号取込み部106とを接続させる。信号取込み部106は、部分領域に光が照射された後、接続されたプローブ素子からの光音響信号を所定の計測期間にわたって複数回サンプリングし、光音響素子データメモリ107に格納する。
【0029】
領域選択部104は、選択した部分領域に対応するプローブ素子からの光音響信号のサンプリングデータが光音響素子データメモリ107に格納されると、次の部分領域を選択する。領域選択部104は、生体組織の画像化する範囲の全範囲が選択されるまで、部分領域を順次に選択していく。領域選択部104が部分領域を順次に選択することで、光音響素子データメモリ107には、超音波探触子103が有する全てのプローブ素子からの光音響信号のサンプリングデータが光音響素子データメモリ107に格納される。例えば、領域選択部104が領域A、領域B、領域Cを順次に選択し、信号取込み部106が各領域64ch分ずつの光音響信号を複数回サンプリングすることで、光音響素子データメモリ107には計192ch分の光音響信号のサンプリングデータが格納される。
【0030】
第1の位相整合加算部108は、超音波探触子103のプローブ素子で検出された光音響信号を第1の位相整合範囲で位相整合加算する。第1の位相整合加算部108は、光音響素子データメモリ107から第1の位相整合範囲分の光音響信号のサンプリングデータを読み出して位相整合加算を行う。第1の位相整合範囲は、信号取込み部106が並列にサンプリング可能なデータの数よりも多い(広い)とする。第1の位相整合加算部108は、領域選択部104が全ての部分領域を選択し、かつ、信号取込み部106が生体組織の画像化する範囲のプローブ素子が検出した光音響信号をサンプリングして光音響素子データメモリ107に格納した後に、光音響素子データメモリ107から光音響信号のサンプリングデータを読み出して位相整合加算を行う。
【0031】
第1の画像処理部109は、第1の位相整合加算部108で位相整合加算されたデータに基づいて光音響画像を生成する。第1の画像処理部109の機能は、例えばコンピュータが所定のプログラムに従って動作することで実現可能である。或いは第1の画像処理部109の機能を、DSP(digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などで実現してもよい。第1の画像処理部109は、生成した光音響画像を画像メモリ110に格納する。
【0032】
第2の位相整合加算部111は、超音波探触子103のプローブ素子で検出された反射音響信号を、第2の位相整合範囲で位相整合加算する。第2の位相整合加算部111は、信号取込み部106が並列にサンプリングした反射音響信号を位相整合加算する。つまり、第2の位相整合範囲は、前記信号取込み部106が並列にサンプリング可能なデータの数と等しい。超音波探触子103は、処理選択部105が超音波画像生成を選択すると、プローブ素子から生体組織の所定の範囲に出力範囲を順次にずらしながら音響信号を出力する。信号取込み部106は、音響信号が出力された範囲に対応するプローブ素子が検出した反射音響信号をサンプリングし、第2の位相整合加算部111に出力する。第2の位相整合加算部111は、信号取込み部106から出力された反射音響信号を位相整合加算する。
【0033】
第2の位相整合加算部111は、位相整合加算の結果をラインデータメモリ112に格納する。第2の画像処理部113は、ラインデータメモリ112からデータを読み出し、第2の位相整合加算部111で位相整合加算されたデータに基づいて超音波画像を生成する。第2の画像処理部113の機能は、例えばコンピュータが所定のプログラムに従って動作することで実現可能である。或いは第2の画像処理部113の機能を、DSPやFPGAなどで実現してもよい。第2の画像処理部113は、生成した超音波画像を画像メモリ114に格納する。
【0034】
画像表示部115は、画像メモリ110から光音響画像を読み出し、表示モニタなどに表示する。また、画像表示部115は、画像メモリ114から超音波画像を読み出し、表示モニタなどに表示する。画像表示部115は、光音響画像と超音波画像とを同時に表示モニタなどに表示してもよい。その際、光音響画像と超音波画像とを重ねて表示してもよい。
【0035】
図2は、超音波探触子103を示している。超音波探触子103は、複数のプローブ素子131を有している。プローブ素子131は、例えば所定の方向に沿って1次元的に配列されている。光ファイバ133は、レーザ光源102(図1)からの光を超音波探触子103内に設けられた光照射部132にまで導く。光照射部132は、少なくとも選択された部分領域を含む領域にレーザ光源102からのパルスレーザ光を照射する。光照射部132は、例えば領域A、領域B、及び領域Cのそれぞれに対応して設けられる。その場合、領域Aに対応する光照射部132は領域Aの選択時にパルスレーザ光を少なくとも領域Aに照射する。また、領域Bに対応する光照射部132は領域Bの選択時にパルスレーザ光を少なくとも領域Bに照射し、領域Cに対応する光照射部132は領域Cの選択時にパルスレーザ光を少なくとも領域Cに照射する。
【0036】
図3は、光音響画像生成の際の超音波探触子103と生体組織とを模式的に示している。例えば超音波探触子103は、192ch分のプローブ素子131(図2)を有している。プローブ素子131に対応する幅は、光音響画像生成に関連して3つの部分領域(領域A〜C)に分割されており、各部分領域の幅は64ch分のプローブ素子131に相当する幅であるとする。192chのプローブ素子131に対応する生体組織の幅は57.6mmであったとすると、各部分領域の幅は19.2mmとなる。生体情報画像化装置100は、光音響画像生成の際は、例えば図3に示すように分割された19.2mm幅の部分領域への光照射・データ収集を3回繰り返し行い、全192ch分のデータを取得する。
【0037】
信号取込み部106は、例えば64ch分のデータを並列にサンプリング可能なAD変換器を含む。マルチプレクサ116は、超音波探触子103のプローブ素子と信号取込み部107とを選択的に接続する。マルチプレクサ116は、例えば192chのプローブ素子と接続しており、そのうちの64ch分を信号取込み部106のAD変換器に選択的に接続する。マルチプレクサ116は、例えば領域Aが選択されているときは、領域Aに対応する部分の64chのプローブ素子を信号取込み部106のAD変換器に接続する。また、マルチプレクサ116は、領域Bが選択されているときは、領域Bに対応する部分の64chのプローブ素子を信号取込み部106のAD変換器に接続し、領域Cが選択されているときは、領域Cに対応する部分の64chのプローブ素子を信号取込み部106のAD変換器に接続する。
【0038】
領域Aが選択され、光照射部132(図2)が生体組織の領域Aにパルスレーザ光を照射すると、レーザ光は生体組織内の散乱により、ある程度の広がりを持って進行する。生体組織内に存在する血液等の吸収体はパルスレーザ光のエネルギーを吸収し、音響信号を発生する。この音響信号が各プローブ素子で検出されるまでに要する時間は、音響信号発生地点と各プローブ素子とのX方向の位置関係と、音響信号発生地点のZ方向の位置とに応じて決まる。この音響信号を検出するために、マルチプレクサ116が選択したプローブ素子131が出力する電気信号を、AD変換器にて所定の計測期間にわたって複数回サンプリングする。領域B及び領域Cも同様に、各領域に対してパルスレーザ光を照射し、各領域に対応するプローブ素子が出力する電気信号を所定の計測期間にわたって複数回サンプリングし、音響信号を検出する。
【0039】
上記のような光音響信号のデータ収集を行うことで、光音響素子データメモリ107に、光音響画像を生成するために必要なデータを格納することができる。光音響素子データメモリ107に格納された光音響信号のサンプリングデータを第1の位相整合加算部108で位相整合加算し、第1の画像処理部109で位相整合加算の結果を用いて画像構築を行うことで、光音響画像が得られる。
【0040】
図4は、超音波画像生成の際の超音波探触子と生体組織とを模式的に示している。なお、図4では図示を省略しているが、超音波探触子103は、図3と同様にマルチプレクサ116を介して信号取込み部106と接続している。超音波探触子103が有するプローブ素子の数は、上記と同様に192chであるとする。また、信号取込み部106が64ch分のデータを並列にサンプリング可能なAD変換器を含むものとする。
【0041】
マルチプレクサ116は、超音波画像の生成では、192chのプローブ素子のうちの互いに隣接する64ch分を信号取込み部106のAD変換器に選択的に接続する。マルチプレクサ116は、音響信号の出力、反射音響信号の検出、第2の位相整合加算部111における位相整合加算が終わると、選択するプローブ素子を例えば1chずつずらす。例えば、はじめマルチプレクサ116は1番目から64番目までの64chのプローブ素子を信号取込み部106に接続する。第2の位相整合加算部111は、1番目から64番目までの64chのプローブ素子で検出された反射音響信号を位相整合加算する。マルチプレクサ116は、次いで、2番目から65番目までの64chのプローブ素子を信号取込み部106に接続し、第2の位相整合加算部111は、その64chのプローブ素子で検出された反射音響信号を位相整合加算する。
【0042】
上記のような反射音響信号のデータ収集を、選択するプローブ素子を1chずつ順次にずらしながらプローブ素子の全範囲で行う。192chのプローブ素子の全範囲で、音響信号の出力及び反射音響信号の検出を行い、そのそれぞれで反射音響信号の位相整合加算を行うことで、超音波画像の生成に必要なデータをラインデータメモリ112(図1)に格納できる。第2の画像処理部113がラインデータメモリ112から位相整合加算の結果を読み出し画像構築を行うことで、超音波が得られる。
【0043】
図5は、光音響素子データメモリ107に格納されるデータを示している。各領域におけるサンプリング開始の時刻をt=0と定義する。t=0で1回目のサンプリングが行われ、信号取込み部106がサンプリング期間の間に所定のサンプリングレートでn回のサンプリングを行うとすると、信号取込み部106は、時刻t=0からt=n−1までの間にn個の光音響信号をサンプリングする。光音響素子データメモリ107は、各チャネルについて、t=0からt=n−1までの時刻に対応するn個のサンプリングデータを格納する。
【0044】
光音響画像の生成において、領域選択部104が領域A、領域B、領域Cを順次に選択するものとする。信号取込み部106は、まず領域Aに対応するプローブ素子(例えば64chのプローブ素子)のn回のサンプリングデータを取り込み、光音響素子データメモリ107の領域Aのt=0からt=n−1の各時刻に対応した場所(アドレス)にn回のサンプリングデータを格納する。信号取込み部106は、次いで領域B及び領域Cも同様に、64chのプローブ素子のn回のサンプリングデータを取り込み、光音響素子データメモリ107の各領域のt=0からt=n−1の各時刻に対応した場所(アドレス)にn回のサンプリングデータを格納する。必要に応じて、光音響素子データメモリ107における時間軸を部分領域ごとに補正してデータ格納を行ってもよい。
【0045】
超音波画像の生成に用いられる第2の位相整合加算部111が信号取込み部106で並列にサンプリング可能な64chのプローブ素子からの反射音響信号を位相整合加算するものとすると、超音波画像生成の際の位相整合範囲(第2の位相整合範囲)は、光音響画像生成の際の各領域の幅と一致する。これに対し、光音響信号はいったん光音響素子データメモリ107に格納され、その後位相整合加算が行われるため、光音響画像生成の際の位相整合範囲(第1の位相整合範囲)は、部分領域の幅、すなわち信号取込み部106で並列にサンプリング可能なデータの数よりも広くできる。具体的に、第1の位相整合範囲を96chとした場合、第1の位相整合加算部108は、例えば領域Bの64chのプローブ素子のサンプリングデータと領域Cの範囲の32chのプローブ素子のサンプリングデータとを位相整合加算することができる。
【0046】
本発明者は、光音響信号と反射音響信号とを実験的に評価した結果、以下に示すことを見出した。まず、光音響画像について考察すると、点状の吸収体から発生する光音響信号は全方向に広がり、超音波探触子103の広い範囲のプローブ素子で意味のある信号が得られる。一方、超音波画像では、超音波探触子103のプローブ素子で、プローブ素子から出力した音響信号に対する反射音響信号を検出しているため、点状の反射体でも、音響信号を出力したプローブ素子以外ではほとんど意味がある信号が得られない。つまり、反射された音響信号は指向性が高く、反射音響信号の広がりは狭い。
【0047】
上記のことから、超音波画像の生成では、位相整合する信号の数を多くしても、画像の高分解能化には効果が薄いと考えられる。そればかりか、広い範囲で位相整合を行うと、周辺部分のプローブ素子での反射音響信号がノイズ成分としてはたらき、画質の低下につながることがわかった。一方、光音響信号の生成では、光音響信号が広い範囲に広がり、超音波探触子103の広い範囲のプローブ素子で意味のある信号が得られることから、位相整合する信号の数を多く取ることで、画像の高分解能化が可能である。そこで、本実施形態では、光音響画像生成の際に行う位相整合加算の位相整合範囲(第1の位相整合範囲)を、超音波画像生成の際に行う位相整合加算の位相整合範囲(第2の位相整合範囲)よりも広くする。このようにすることで、光音響画像と超音波画像との双方で、高い分解能の画像を得ることができる。
【0048】
ここで特許文献1の段落0113には、光ファイバを用いて光を被検体に照射した場合、照射光は細い幅を維持したまま直進するため強い指向性を有していると記載されている。また、受信した光音響信号の位相整合加算を行わなくても光音響画像の生成が可能であると記載されている。特許文献1では、被検体の内部で発生した光音響信号を6つのプローブ素子で電気信号に変換した後、マルチプレクサを介してそのうちの2つを受信遅延回路に入力し、受信遅延回路が入力した信号をそのまま通過させて、加算器で光音響信号を合成する。しかしながら、このように光音響画像生成の際の位相整合の範囲を超音波画像生成の際の位相整合の範囲よりも狭くすると、実際には画像を高分解能化させることは不可能である。
【0049】
本実施形態では、生体組織の画像化に利用する範囲が複数の部分領域に分割されており、光音響画像の生成に際して領域選択部104が部分領域を順次に選択し、部分領域ごとに光照射、光音響信号検出を行い、サンプリングした光音響信号を部分領域ごとに光音響素子データメモリ107に格納する。多数のデータを並列かつ高速に取り込む回路は高価である。部分領域に分割しない場合、光音響画像生成のために必要なデータを光音響素子データメモリ107にするためには、信号取込み部106で超音波探触子103が有する全てのプローブ素子に対応した数の信号を並列に取り込む必要がある。本実施形態では、部分領域ごとに光照射、光音響信号検出を行っており、信号取込み部106が並列にサンプリングする信号の数は、光音響画像生成の際の部分領域の幅及び超音波画像生成の際の位相整合範囲(第2の位相整合範囲)のうちの多い方で足りる。従って、信号取込み部106で超音波探触子103が有する全てのプローブ素子に対応した数の信号を並列に取り込み可能とする場合に比して、コストを低減できる。
【0050】
本実施形態では、第1の位相整合加算部108は、光音響素子データメモリ107に格納された光音響信号を第1の位相整合範囲で位相整合加算する。第1の位相整合加算部108は、光音響素子データメモリ107に格納された光音響信号を用いて位相整合加算を行うため、第1の位相整合範囲は、信号取込み部106で並列にサンプリング可能な信号数に依存しない。このため、信号取込み部106は、光音響画像生成の際の各分領域の幅が第2の位相整合加算部111での第2の位相整合範囲と同じであるとすれば、第2の位相整合範囲の分だけ並列に信号をサンプリングできればよく、第1の位相整合範囲分の信号を並列にサンプリングできる必要はない。第2の位相整合範囲は、第1の位相整合範囲よりも狭いため、信号取込み部106で並列にサンプリング可能な信号数は少なくて済む。本実施形態では、信号取込み部106で第1の位相整合範囲のプローブ素子に対応した数の信号を並列に取り込み可能とする場合に比してコストを低減しつつ、第1の位相整合範囲を信号取込み部106で並列にサンプリング可能なデータの数より多くして光音響画像の高分解能化が可能である。
【0051】
本実施形態では、ある部分領域が選択されているとき、少なくともその選択された部分領域に対してパルスレーザ光が照射されればよい。つまり、生体組織の全範囲にレーザ光を照射する必要がない。例えば、光音響イメージングではnsecオーダーのパルスレーザ光が必要であり、そのようなパルスレーザ光の照射に用いる光源としてはQスイッチ固体レーザが想定される。パルスレーザ光が全領域に照射される場合、Qスイッチ固体レーザで20mJ/cmの安全基準のパワーを得ようと思うと、光学系の効率や照射範囲を考慮した場合に60mJ以上のパルス出力が必要となる。これは、装置の高コスト化の要因になる。本実施形態では、部分領域ごとにパルスレーザ光を切り替えて照射することが可能であり、光源のパワーを抑えることができる。このことは、コストの面で有利である。
【0052】
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。図6は、本発明の第2実施形態の生体情報画像化装置を示している。本実施形態は、超音波画像の生成が第1実施形態とは相違する。光音響画像の生成は第1実施形態と同様である。生体情報画像化装置100aは、ラインデータメモリ112に代えて、超音波素子データメモリ117を有する。超音波探触子103は、超音波画像の生成時にプローブ素子から生体組織の所定の範囲に出力範囲を順次にずらしながら音響信号を出力する。信号取込み部106は、音響信号が出力された範囲に対応するプローブ素子が検出した反射音響信号をサンプリングして超音波素子データメモリ117に格納する。
【0053】
第2の位相整合加算部111は、超音波素子データメモリ117から第2の位相整合範囲分のプローブ素子で検出された反射音響信号を読み出して位相整合加算を行う。第2の位相整合加算部111は、超音波探触子103が生体組織の画像化する範囲に音響信号を出力し、かつ、信号取込み部106が生体組織の画像化する範囲のプローブ素子が検出した反射音響信号をサンプリングして超音波素子データメモリ117に格納した後に、超音波素子データメモリ117から反射音響信号を読み出して位相整合加算を行う。第2の画像処理部113は、第2の位相整合加算部111で位相整合加算されたデータに基づいて超音波画像を生成する。
【0054】
本実施形態では、超音波画像も、光音響画像の場合と同様に、超音波素子データメモリ117に超音波画像を生成するために必要なデータを格納する。超音波素子データメモリ117に格納された反射音響信号のサンプリングデータを第2の位相整合加算部111で位相整合加算し、第2の画像処理部113で位相整合加算の結果を用いて画像構築を行うことで、超音波画像が得られる。この場合でも、第1の位相整合範囲を第2の位相整合範囲よりも広く取ることで、第1実施形態と同様な効果、すなわち、光音響画像と超音波画像との双方で、高い分解能の画像を得ることができる。
【0055】
なお、上記各実施形態では、光音響画像生成の際の各部分領域に対応するプローブ素子の数と、信号取込み部106で並列にサンプリング可能なデータの数とを同数としたが、これには限定されない。部分領域に対応するプローブ素子の数は、信号取込み部106で並列にサンプリング可能ンデータの数よりも少なくてもよい。また、各部分領域の幅は相互に一致している必要はない。例えばある部分領域が64chのプローブ素子に対応した幅であるとき、別のある部分領域が60chのプローブ素子に対応した幅であってもよい。
【0056】
上記実施形態では、光音響画像生成の際の部分領域が部分領域間で重複する領域を持たないこととしたが、これには限定されない。各部分領域は、他の部分領域と重複する領域を有していてもよい。例えば超音波探触子103が128chのプローブ素子を有しているとき、画像化する範囲を5つの部分領域に分割し、1番目から64番目までのプローブ素子を領域A、32番目から96番目までのプローブ素子を領域B、64番目から128番目までのプローブ素子を領域C、96番目から160番目までのプローブ素子を領域D、128番目から192番目までのプローブ素子を領域Eとしてもよい。この場合、例えば32番目から64番目までのプローブ素子は領域Aと領域Bとで重複し、64番目から96番目までのプローブ素子は領域Bと領域Cとで重複することになる。
【0057】
上記のように領域が重複する場合、例えば32番目から64番目までのプローブ素子は領域Aと領域Bとで重複するため、重複範囲のプローブ素子からは、領域Aにパルスレーザ光を照射してサンプリングされたデータと、領域Bにパルスレーザ光を照射されたデータとが得られる。重複領域のデータは、複数回分のサンプリングデータを平均するなどすることで、SN比の向上が可能である。ただし、部分領域の重複が増加するほど、パルスレーザ光照射・データサンプリングの回数が増加することになるため、画像化の速度は低下する。部分領域の重複範囲のあり・なし、或いはどの程度の範囲を重複させるかは、画像化の速度などに応じて適宜設定すればよい。
【0058】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の生体情報画像化装置及び方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
100:生体情報画像化装置
101:レーザドライバ
102:レーザ光源
103:超音波探触子
104:領域選択部
105:処理選択部
106:信号取込み部
107:光音響素子データメモリ
108:第1の位相整合加算部
109:第1の画像処理部
110:画像メモリ
111:第2の位相整合加算部
112:ラインデータメモリ
113:第2の画像処理部
114:画像メモリ
115:画像表示部
116:マルチプレクサ
117:超音波素子データメモリ
131:プローブ素子
132:光照射部
133:光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織に光を照射する光照射部と、
それぞれが生体組織に対して音響信号を出力可能であると共に、前記光照射部による光照射により生体組織で生じた光音響信号と、前記生体組織に対して出力された音響信号に対する生体組織からの反射音響信号とを検出する複数のプローブ素子を含む超音波探触子と、
前記プローブ素子で検出された光音響信号を第1の位相整合範囲で位相整合加算する第1の位相整合加算部と、
前記第1の位相整合加算部で位相整合加算されたデータに基づいて光音響画像を生成する第1の画像処理部と、
前記プローブ素子で検出された反射音響信号を、前記第1の位相整合範囲よりも狭い第2の位相整合範囲で位相整合加算する第2の位相整合加算部と、
前記第2の位相整合加算部で位相整合加算されたデータに基づいて超音波画像を生成する第2の画像処理部とを備えることを特徴とする生体情報画像化装置。
【請求項2】
前記プローブ素子が検出した光音響信号と反射音響信号とをサンプリングする信号取込み部を備えており、
前記第1の位相整合加算部が前記信号取込み部でサンプリングされた光音響信号を位相整合加算し、第2の位相整合加算部が前記信号取込み部でサンプリングされた反射音響信号を位相整合加算するものであることを特徴とする請求項1に記載の生体情報画像化装置。
【請求項3】
前記生体組織の画像化する範囲が複数の部分領域に分割されており、該部分領域を順次に選択する領域選択部を更に備え、
前記光照射部が少なくとも前記選択された部分領域を含む範囲に光を照射し、前記信号取込み部が前記選択された部分領域に対応するプローブ素子が検出した光音響信号をサンプリングして光音響素子データメモリに格納し、前記第1の位相整合加算部が前記光音響素子データメモリから前記第1の位相整合範囲分の前記プローブ素子で検出された光音響信号を読み出して位相整合加算を行うものであることを特徴とする請求項2に記載の生体情報画像化装置。
【請求項4】
前記第1の位相整合範囲が、前記信号取込み部が並列にサンプリング可能なデータの数よりも多いことを特徴とする請求項3に記載の生体情報画像化装置。
【請求項5】
各部分領域に対応するプローブ素子の数が、前記信号取込み部が並列にサンプリング可能なデータの数以下である請求項3又は4に記載の生体情報画像化装置。
【請求項6】
各部分領域の幅が、前記信号取込み部が並列にサンプリング可能なデータの数のプローブ素子に対応する領域の幅であることを特徴とする請求項3から5何れかに記載の生体情報画像化装置。
【請求項7】
前記第1の位相整合加算部が、前記領域選択部が全ての部分領域を選択し、かつ、前記信号取込み部が前記生体組織の画像化する範囲のプローブ素子が検出した光音響信号をサンプリングして前記光音響素子データメモリに格納した後に、前記光音響素子データメモリから前記光音響信号を読み出して位相整合加算を行うものであることを特徴とする請求項3から6何れかに記載の生体情報画像化装置。
【請求項8】
前記第2の位相整合範囲が、前記信号取込み部が並列にサンプリング可能なデータの数と等しいことを特徴とする請求項2から7何れかに記載の生体情報画像化装置。
【請求項9】
前記超音波探触子が前記プローブ素子から前記生体組織の所定の範囲に出力範囲を順次にずらしながら音響信号を出力し、前記信号取込み部が前記音響信号が出力された範囲に対応するプローブ素子が検出した反射音響信号をサンプリングして超音波素子データメモリに格納し、前記第2の位相整合加算部が前記超音波素子データメモリから前記第2の位相整合範囲分のプローブ素子で検出された反射音響信号を読み出して位相整合加算を行うものであることを特徴とする請求項2から8何れかに記載の生体情報画像化装置。
【請求項10】
前記第2の位相整合加算部が、前記超音波探触子が前記生体組織の画像化する範囲に音響信号を出力し、かつ、前記信号取込み部が前記生体組織の画像化する範囲のプローブ素子が検出した反射音響信号をサンプリングして前記超音波素子データメモリに格納した後に、前記超音波素子データメモリから前記反射音響信号を読み出して位相整合加算を行うものであることを特徴とする請求項9に記載の生体情報画像化装置。
【請求項11】
前記超音波探触子が前記プローブ素子から前記生体組織の所定の範囲に出力範囲を順次にずらしながら音響信号を出力し、前記信号取込み部が前記音響信号が出力された範囲に対応するプローブ素子が検出した反射音響信号をサンプリングし、前記第2の位相整合加算部が前記信号取込み部が並列にサンプリングした反射音響信号を位相整合加算するものであることを特徴とする請求項2から8何れかに記載の生体情報画像化装置。
【請求項12】
生体組織に光を照射するステップと、
複数のプローブ素子を含む超音波探触子を用いて、前記照射された光により発生する光音響信号を検出するステップと、
前記検出された光音響信号を第1の位相整合範囲で位相整合加算するステップと、
位相整合加算された光音響信号に基づいて光音響画像を生成するステップと、
生体組織に音響信号を出力するステップと、
前記超音波探触子を用いて、前記出力された音響信号に対する生体組織からの反射音響信号を検出するステップと、
前記検出された反射音響信号を、前記第1の位相整合範囲よりも狭い第2の位相整合範囲で位相整合加算するステップと、
位相整合加算された反射音響信号に基づいて超音波画像を生成するステップとを有する生体組織画像化方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−5623(P2012−5623A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143375(P2010−143375)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】