説明

生体液を分析する使い捨てチャンバ

第1の平面部材と、第2の平面部材と、少なくとも3つのセパレータとを含む、生体液を分析する装置が提供される。平面部材の少なくとも一方は、透明である。セパレータは、それら平面部材間に配置され、該部材を隔てて、高さを有するチャンバを形成する。部材又はセパレータのうちの少なくとも1つは、チャンバの高さをセパレータの平均サイズに近づけることができるように、十分に可撓性である。使用時には、分析されるべき生体液は、チャンバ内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、生体液を分析するチャンバに関し、詳細には、生体液中の粒子状物質の計数を可能にするチャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
全血中の血球、又は尿若しくは他の生体液中のバクテリア又は他の物質などの、液状媒体中の粒子を計数する典型的な方法は、精密な高さに製造され、精密な寸法の視認可能な刻線領域を有するチャンバを含む、血球計数器である。計数されるべき粒子を含む液体が、チャンバに導入される。粒子の数を扱いやすい数に削減する必要がある場合、液体は、希釈される。次いで、オペレータが、区画された所与の領域内の粒子の数をカウントする。チャンバの面積及び高さが精密にわかっているので、単位体積当たりの粒子数を計算することができる。これらのチャンバは、一般に、既知の面積を区画化するために刻線されているが、かかるチャンバが画像解析装置で使用される場合、そのような刻線の必要はない。画像解析装置があれば、画像から視野を正確に計算できるので、チャンバ自体に刻線は、不要である。
【0003】
精密に製造されるので、血球計数器のチャンバは、比較的高価であり、使い捨て可能なものと考えられていなかった。最新の精密なプラスチック成型技術は、場合によっては使い捨て可能と考えられるほど十分に低いコストで、一部のタイプの血球計数器チャンバの製造を可能にしてきたが、従来の0.1mm未満というかなりの精度及び/又は厚さを必要とするチャンバは、精確に成型するのが非常に困難である。
【0004】
米国特許第4950455号は、剛体ガラススライドと、剛体ガラスカバースリップと、それらの間に含まれるガラスビーズなどの剛体粒子とから形成された計数チャンバを記載している。ビーズは、スライドとカバースリップとの間の薄い間隔を維持し、それによって計数チャンバを形成する。
【0005】
しかし、剛体粒子によって隔てられた上下の剛体パネルから形成される計数チャンバには、重大な限界がある。図1及び図2を参照すると、概略的に2で示された従来技術のアセンブリは、下側のガラススライド3と、上側のガラスカバースリップ4と、複数のガラスビーズ5で形成された封入層とから成る。極微のビーズはいずれも完全に一様ではなく、直径の変動係数が最大10%以上であるので、より大きいビーズ6は、カバースリップ4をいくらか「支持(prop−up)」しており、より小さいビーズ7は、離隔に対する効果がない。ビーズの平均直径を決定且つ/又は制御するのは容易であるが、直径の分散幅が十分には制御されず、システムを望ましいとはいえない確度にするので、ビーズの直径の差は問題である。この結果、上側の層と下側の層との隔たりが、平均ビーズ直径プラス1標準偏差ほどになる。さらに大きな問題は、図2に示した微粒子残骸(debris)の存在である。この残骸(debris)は、チャンバが作製されるときに存在する可能性があり、又は環境によって若しくはサンプルから取り込まれる可能性がある。残骸(debris)8は、カバースリップ4を「支持」し、チャンバ内に体積の増大した大きい領域を作り出して、チャンバの確度を損なう虞がある。
【0006】
このタイプの従来技術のチャンバに関する他の問題は、そのような複数の使い捨て品を、画像解析システムなど、粒子を自動的に走査且つカウントするために使用される器具内でパッケージ化するのが困難なことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
製造に費用がかからず、閉じ込められた微粒子残骸(debris)の影響を比較的受けず、自動試験システムで使用するためにパッケージ化しやすい、流体中の微粒子の計数を含めて、生体液を分析するチャンバを提供する、従来技術の限界を克服するための装置及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、第1の平面部材と、第2の平面部材と、少なくとも3つのセパレータとを含む、生体液を分析する装置が提供される。平面部材の少なくとも一方は、透明である。セパレータは、それら平面部材間に配置され、該部材を隔てて、ある高さを有するチャンバを形成する。部材又はセパレータのうちの少なくとも1つは、チャンバの高さをセパレータの平均サイズに近づけることができるように、十分に可撓性である。使用時には、分析されるべき生体液は、チャンバ内に配置される。
【0009】
本発明の一態様によれば、各平面部材は、リールに巻き付けることのできるテープである。一部の実施形態では、平面部材は、初めは他の平面部材にくっ付いている。他の実施形態では、各平面部材は、初めは他の平面部材から分離されている。
【0010】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの供給リールと少なくとも1つの巻取リールとを有するカセットが提供される。平面部材は、初めは供給リールに巻き付けられていて、装置の動作の間に巻取リールへと移される。供給リールと巻取リールとの間に、分析領域が配置される。平面部材は、装置の動作の間に分析領域を通過する。
【0011】
本発明に付随した多数の利点がある。我々は、平面部材間に配置されたセパレータを使用して計数チャンバが作り出され、平面部材及びセパレータのうちの少なくとも1つが可撓性である場合、該チャンバが、従来技術のデバイスとは異なった挙動をし、その相違がきわめて有利であることを見出した。計数チャンバが液体で満たされるときには、毛管力が上部及び底部の平面部材を1つに引き寄せる傾向にあるので、保持されたセパレータにわずかな圧力が加わる。この圧力は、チャンバの厚さを平均して平面部材間に配置されたセパレータの寸法に近づけるような形で、可撓性要素を変形させる。例えば、上部及び底部の平面部材がともに剛性で、セパレータが可撓性である場合、平均直径よりも大きいセパレータが圧縮され、平面部材は、セパレータが次々に平面部材と接触してそれ以上の接近を妨げるまで接近することになる。セパレータの高さの標準偏差が許容可能であり、且つセパレータが十分に可撓性であれば、その時点で、チャンバの高さは、セパレータの平均高さに近づき、容易に確認可能である。他の実施例では、セパレータが剛性で、上部の平面部材が可撓性である場合、上部の平面部材は、変形し、より大きい各セパレータの周りの小さい領域では「テント状にもち上がり(tented−up)」、より小さいセパレータの上では下がることになる。上部の平面部材が十分に可撓性であれば、チャンバは、セパレータの平均高さにきわめて近い平均高さになる。
【0012】
したがって、本発明の利点は、チャンバの高さがほぼ一様であるので、精確に決定可能な体積を有するチャンバが形成されることである。
【0013】
本発明の他の利点は、安価な形態で製造でき、それでも所望の確度を提供できることである。本発明は、体積を精確に確立するために、精確に機械加工された空隙又はセパレータを必要としない。したがって、本発明を安価に製造でき、それでも所望の確度を提供することができる。さらに、安価に製造できるので、本発明を事実上使い捨て可能な形態で提供することができる。
【0014】
本発明の前述及び他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面に図示された、以下に与える本発明の詳細な説明を考慮すれば明らかになる。
【0015】
本発明の原理は、添付図を参照することによってさらに明確になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図3〜11を参照すると、生体液を分析する本発明の装置10は、第1の平面部材12と、第2の平面部材14と、少なくとも3つのセパレータ16とを含む。平面部材12、14の少なくとも一方は、透明である。セパレータ16は、部材12と14との間に配置され、該平面部材12、14を隔てて、高さ20を有するチャンバ18を形成する。部材12、14のうちの少なくとも1つ、又はセパレータ16は、部材12と14との間のチャンバの高さ20をセパレータ16の平均高さに近づけることができるように、十分に可撓性である。
【0017】
セパレータ16は、平面部材12、14を互いに離隔させる働きが可能な、平面部材12と14との間に配置可能な任意の構造にすることができる。平面部材間を延びるセパレータ16の寸法を、本明細書ではセパレータ16の高さ22と呼ぶ。セパレータ16の高さ22は、通常、互いに正確に等しいわけではないが、類似の分析装置で使用される離隔手段に関する商業的に許容可能な公差内にある。球形のビーズは、許容可能なセパレータ16の一例であり、例えば、米国インディアナ州フィッシャーズ(Fishers)のバングズラボラトリーズ(Bangs Laboratories)から市販されている。
【0018】
一部の実施形態では、セパレータ16は、第1の平面部材12と第2の平面部材14との一方又は両方よりも可撓性の高い材料から成り、すなわち、相対的に言えば、平面部材12、14の一方又は両方を、セパレータ16に比べて剛性と見なすことができ、セパレータ16を、平面部材12、14の一方又は両方に比べて可撓性と見なすことができる。
【0019】
他の実施形態では、セパレータ16は、第1の平面部材12と第2の平面部材14との一方又は両方よりも可撓性の低い材料から成り、すなわち、相対的に言えば、平面部材12、14の一方又は両方を、セパレータ16に比べて可撓性と見なすことができ、セパレータ16を、平面部材12、14の一方又は両方に比べて剛性と見なすことができる。
【0020】
前述した可撓性の特徴を前提として、平面部材12、14の少なくとも一方が透明であれば、該平面部材12、14を様々な材料から作製することができる。アクリル又はポリスチレンから成る透明プラスチックフィルムが、許容可能な平面部材12、14の例である。リールに容易に巻き付けることができるので、テープの形態の平面部材12、14が特に有用である。一部の実施形態では、第1の平面部材と第2の平面部材との一方又は両方が、他方の部材に連結された複数の剛体要素を含む。
【0021】
ここで図3を参照すると、本発明10の一実施形態では、第1の平面部材12と第2の平面部材14とは、球形のビーズの形態をした複数のセパレータ16によって形成されるチャンバ18によって隔てられている。これらのビーズ16は、第1の平面部材12及び第2の平面部材14よりも可撓性の高い材料から形成されており、すなわち、平面部材12、14をビーズ16に比べて剛性と見なすことができ、ビーズ16を平面部材12、14に比べて可撓性と見なすことができる。ポリスチレン、ポリカーボネート、シリコーンなどから形成されたプラスチックビーズ16を使用することができる。この例では、より大きいビーズ16Aは、平面部材12、14の内表面24にほとんどのビーズ16が触れている状態に平面部材12、14が近づいた状態まで圧縮され、それによって、チャンバの高さ20が平均ビーズ直径よりもわずかに小さくなる。
【0022】
図4で、本発明10の他の実施形態では、第1の平面部材12は、球形のビーズ16及び第2の平面部材14よりも可撓性の高い材料から形成され、ビーズ16の上にテント状にかぶさっており、その際、ビーズ16間の領域は、その平面部材12片を支えるビーズ直径によって決定される、ある任意の高さになる。ここに示したように、曲げられるほどに薄いのであれば、アクリルやポリスチレンなど、いずれの透明プラスチックフィルムもうまく機能する。この状況では、局所的な小さい領域が所望のチャンバの高さ20から外れることになるが、テント状領域すべての平均高さが、平均ビーズ直径の高さに非常に近くなることが明らかなはずである。我々の試験は、本発明を使用すると、4μm未満のチャンバ高さで、平均チャンバ高さを1%又はそれ以上うまく制御できることを示している。
【0023】
図5は、1片の微粒子状の残骸(debris)26がとどまっている、図4のチャンバ18を示す。残骸(debris)26の上方の上側平面部材12は、テント状にもち上がっており、残骸(debris)26の下方の領域は、未知の高さであるが、この擾乱は、システム全体が剛性である場合に起こるのとは対照的に、チャンバ18の小さい領域にしか影響しない。
【0024】
図6は、発明10の他の実施形態を示しており、底部の平面部材12が、厚さ約50μmの透明プラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))の幅1インチのストリップから形成され、上部の平面部材14が、底部の平面部材12と同じ材料、ただし厚さ23μmの材料から形成され、それらの間のチャンバ18が、平均直径4μmの複数のプラスチックビーズ16から形成される。上部の平面部材14は、蛍光照明で調べられたときに生存白血球を特異的に着色する、アクリジンオレンジなどの着色剤の内部コーティングを有する。蛍光発光のための他の試薬には、アストロゾンオレンジ(astrozone orange)、FITC、及びローダミンなどが含まれる。白血球を特異的に着色するために透過光とともに使用できる試薬には、アストロゾンオレンジ、メチレンブルー、オキサジン170が含まれる。上部の平面部材14は、一定の間隔で穿孔された複数のポート28(例えば、直径約300μm)を含んでおり、平面部材12、14は、ポート28間のいくつかの地点29で結合されて、一連の分離した分析チャンバ18を形成する。
【0025】
この実施形態では、2つの平面部材12と14との間の離隔は、精密に制御された既知の直径(例えば、直径約4μm)の球形のビーズ16によって達成される。これらのビーズ16は、平面部材12、14の少なくとも一方の上にランダムに分散され、染色物質を含む試薬膜の一部として取り付けることができる。ビーズ16を保持する材料は、ビーズが押し流されないように、少なくとも流体膜の動きが止まってしまうまでビーズが平面部材12、14に貼着されたままになるようなものにすべきである。フィルムをビーズ16でコーティングする許容可能な方法は、フィタゲル(phytagel)の約0.5%溶液にビーズ16を懸濁させ、スプレー又はメニスカスコーティングによって該懸濁液の薄いコーティングを適用することである。ビーズ16の最適濃度は、ビーズのタイプ及びそれらの製造方法、並びに上部及び底部の平面部材12、14の相対剛性によって決まる。この濃度は、使用されるべき平面部材12、14に一連のビーズ濃度を適用し、次いで、使用される液体層の厚さにおいて有用な光学密度を与えることになる、ヘモグロビンなどの染料を含む液体を加えることによって、バッチツーバッチ(batch−to−batch)ベースで経験的に決定することができる。次いで、液体層の平均光学密度をビーズ16の密集度に対してプロットして、それ以上のビーズ濃度が液体層の厚さに有用な変化をもたらさない点、すなわち、チャンバの高さ20がほぼ一様になる点を決定する。セパレータを提供する代替手段は、例えば、ニップローラに孔(pits)をレーザエッチングし、平面部材12、14の一方をニップローラアセンブリに通すことによって、約4μmのほぼ同じ高さを有する突出部を平面部材12、14の一方に逆エンボス加工(negatively emboss)することである。
【0026】
図7は、供給リール34と、巻取リール36と、それらの間を延びるテープ38とがその中に配置された外郭32を有するカセット30を示す。「テープ38」は、図6に示した前述の本発明の実施形態である。初めに、テープ38が供給リール34に巻き付けられる。テープ38の前進は、ローラ40によって制御されており、該ローラ40が、検査エリア42から離れた地点でテープ38に牽引力を加え、供給リール34からテープ38を必要に応じて引き出す働きをすることができる。カセット30は、光学システムがテープ38を通過する照明を提供できるようになる、貫通穴を有する。
【0027】
図8は、カセット32を含む光学式分析システム44を示す。レンズ46、可変波長光源48、及びCCDカメラ50を含め、接合された諸コンポーネントから成る光学式分析システム44は、該光学システム44が検査エリア42内でテープ38に焦点を合わせることができるように、また検査エリア42全体の走査を可能にするためにX−Y移動を提供できるように、3次元で移動可能であり、これらすべてシステムコンピュータ52の制御下にある。サンプルチューブから生体液(例えば、血液)を抜き出して小滴をテープ38上に付着させるサンプリングプローブは、示されていない。このサンプリングデバイスは、生体液サンプルを抜き出して付着させるためにステッピングモータ駆動シリンジを使用する、チューブ穿刺プローブ又は類似のプローブの形態にすることができる。これらのデバイスは、広く使用されており、当該技術分野では周知であるので、本明細書ではこれ以上説明しない。
【0028】
図9は、1滴の生体液54(例えば、血)が平面部材12と14との間に形成されたチャンバ18のサンプル入口ポート28(図6参照)内に付着された直後の、図8のアセンブリを示す。
【0029】
図10は、一般に不規則な境界を有する生体液34のサンプル膜64の面積全体の略図である。この実施例では、生体液は、血液である。サンプル膜64内の白血球がチャンバ18内に容易に封入される傾向にあるので、それら白血球は、一般に数ミリメートルのポート28内に最高の濃度で見つかる。
【0030】
図11は、図10の分析視野66の略図であり、全血サンプルの場合には、すべて血漿62によって取り囲まれた、赤血球56、白血球58、及び血小板60を示す。また、ビーズ16も見られるが、ビーズ16は、それらのサイズ及び屈折率から、他のすべての要素とは容易に区別される。
【0031】
白血球58の特性評価(白血球分画)は、従来の画像処理方法を使用して、又は米国特許第5321975号及び同第6350613号に記載の技術によって白血球に供されるような、個々の白血球58それぞれの分類によって実施され、上記特許の両方を参照により本願に援用する。米国特許第6235536号に記載されているように、異なる白血球58のクラスを特異的に着色するいくつかの超生体染色法が記載されており、上記特許をやはり参照により本願に援用する。白血球58がわずかに圧縮され、容易に画像化されるので、細胞の分類が疑わしい場合、技術者が保存された細胞の画像を見ることができる。
【0032】
本発明の有用性の一例として、サンプル膜64内に見られる白血球58すべてを計数し、その数をサンプル膜64の体積で除すことによって、該サンプル膜64の白血球58のカウントを実施することができる。特定の量のサンプルをチャンバ18内に付着させることが可能であるが、おおよその量を付着させ、体積を間接的に測定することが好ましい。これは、1)米国コネチカット州ミドルフィールド(Middlefield)のザイゴコーポレーション(Zygo Corporation)などの供給元から入手できる光学技術を使用する干渉画像法によって、初めに付着されたときのサンプルの滴の体積を計算できるメカニズム、或いは、2)膜64の面積を測定し、この面積に膜の平均高さを乗じることによって膜形成後のサンプルの体積が計算されるメカニズムなどによって実施することができる。
【0033】
図6Aは、下側の平面部材リール68と、上側の平面部材リール70と、巻取リール72とがその中に配置されたカセット30を含む、本発明10の他の実施形態を含む光学式分析システム44を示す。平面部材12、14の前進は、巻取ニップローラ74によって制御されており、該巻取ニップローラが、検査エリア42から離れた地点で、結合された平面部材12、14に牽引力を加え、平面部材12、14をそれらのリール68、70から必要に応じて引き出す働きをすることができる。レンズ46、可変波長光源48、及びCCDカメラ50を含め、接合された諸コンポーネントから成る光学式分析システム44は、該光学システム44が検査エリア42内で接合平面部材12、14に焦点を合わせることができるように、また検査エリア42全体の走査を可能にするためにX−Y移動を提供できるように、3次元で移動可能であり、これらすべてシステムコンピュータ52の制御下にある。1滴の生体液54(例えば、血液)が、下側の平面部材14上に付着された状態で示されている。ニップローラ74は、該ニップローラ74をちょうどすぎた地点まで平面部材12、14を前進させる働きをすることができ、その地点で、平面部材12と14との間に配置されたセパレータ16が各平面部材12、14と接触し、生体液が各平面部材12、14の内表面24と接触し、広がって薄いサンプル膜64を形成する。次いで、平面部材12、14が、光学式分析システム44によって読取り可能になるように前進される。
【0034】
体積計算法を使用するときには、システム44の全体的な確度がチャンバの高さ20の確度によって決まるので、チャンバの高さ20を正確に計算するために内部標準手段を使用することが好都合な場合がある。内部標準の一例には、サンプルと混和せず、安定且つ一様な既知の濃度の感知可能な光学色素を含む、可撓性又は流動性物質が含まれる。該物質は、染色された可撓性ビーズや染色された油などにすることができ、チャンバ18の1つ又は複数の領域に存在してよい。光学密度が較正物質の厚さに正比例するので、チャンバの高さ20を完全に満たす較正物質の部分の光学密度の測定によって、光学システムの精度性能以内の、正確なチャンバ高さ20の計算が可能になる。
【0035】
このようなチャンバ18の最も頻度の高い用途は、全血中の血球を計数する用途になるであろうが、カウントするのに十分な粒子を有する非希釈流体の検査にも同様に有用である。チャンバの高さ20は、ここに開示の4μmだけに限定されず、様々なセパレータサイズ及び/又は濃度に対応するように、より大きく又はより小さくすることができる。
【0036】
本発明の詳細な諸実施形態に即して、本発明を示し、記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明の形態及び詳細に様々な変更を実施できることが、当業者には理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】すべての要素が剛性であるシステムを使用する、従来技術の発明の概略断面図である。
【図2】すべての要素が剛性で、微粒子残骸(debris)が閉じ込められているシステムを使用する、従来技術の発明の概略断面図である。
【図3】セパレータが上部及び底部の平面部材に比べて可撓性である、本発明の概略断面図である。
【図4】上部の平面部材が他のすべての要素に比べて可撓性である、本発明の概略断面図である。
【図5】上部の平面部材が他のすべての要素に比べて可撓性であり、微粒子残骸(debris)が閉じ込められている、本発明の概略断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の略図である。
【図6A】本発明の第2の実施形態を利用するように設計された器具の略図である。
【図7】本発明の第1の実施形態を含むカセットの略図である。
【図8】本発明の一実施形態を利用するように設計された器具の略図である。
【図9】平面部材にサンプルが追加されている、図6の器具の略図である。
【図10】平面部材間に広がった後のサンプルの略図である。
【図11】分析視野の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体液を分析する装置において、
第1の平面部材と、
第2の平面部材とを含んでおり、前記第1の平面部材及び前記第2の平面部材の少なくとも一方が透明であり、さらに、
前記平面部材間に配置され、前記平面部材を隔てて、前記平面部材間を延びる高さを有するチャンバを形成する、少なくとも3つのセパレータを含んでおり、
前記第1の平面部材、前記第2の平面部材、又は前記セパレータのうちの少なくとも1つが可撓性で、前記チャンバの高さを実質的に一様にすることができる装置。
【請求項2】
前記第1の平面部材及び前記第2の平面部材の少なくとも一方が可撓性プラスチックを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の平面部材及び前記第2の平面部材の両方が可撓性プラスチックを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記セパレータが、前記第1の平面部材及び前記第2の平面部材に比べて可撓性である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記セパレータ、前記第1の平面部材、及び前記第2の平面部材のうちの1つが、前記セパレータ、前記第1の平面部材、及び前記第2の平面部材のうちの他の少なくとも1つに比べてより高い可撓性を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の平面部材が、前記第2の平面部材及び前記セパレータよりも高い可撓性を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記セパレータが、前記第1の平面部材又は前記第2の平面部材の少なくとも一方に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の平面部材又は前記第2の平面部材の少なくとも一方が、連結された剛体要素を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の平面部材又は前記第2の平面部材の一方が、連結された剛体要素を含み、前記第1の平面部材又は前記第2の平面部材の他方が、可撓性プラスチックを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記セパレータが、一様に染色され、わずかに圧縮可能なプラスチックビーズを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記セパレータが、第1の平面部材又は第2の平面部材の少なくとも一方に取り付けられた一様な高さの突出部である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の平面部材又は前記第2の平面部材の一方が、1つ若しくは複数のポート(ports)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
生体液を分析する装置において、
互いに離隔され、不連続な点で結合された第1の平面部材と第2の平面部材とを含み、前記第1の平面部材及び前記第2の平面部材の少なくとも一方が透明であり、前記平面部材間にある高さを有する少なくとも1つのチャンバが形成されており、少なくとも1つの前記チャンバのそれぞれに少なくとも3つのセパレータが配置されているテープであって、前記第1の平面部材、前記第2の平面部材、又は前記セパレータのうちの少なくとも1つが可撓性であって、チャンバの高さを実質的に一様にすることができるテープと、
前記テープをその上に巻き付けることのできる供給リールと、
前記テープをその上に巻き付けることのできる巻取リールとを含む装置。
【請求項14】
少なくとも1つのチャンバがポートを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記セパレータ、前記第1の平面部材、及び前記第2の平面部材のうちの1つが、前記セパレータ、前記第1の平面部材、及び前記第2の平面部材のうちの少なくとも他の1つに比べてより高い可撓性を有する、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の平面部材が、前記第2の平面部材及び前記セパレータよりも高い可撓性を有する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の平面部材及び前記第2の平面部材の少なくとも一方が可撓性プラスチックを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の平面部材及び前記第2の平面部材の両方が可撓性プラスチックを含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記セパレータが、前記第1の平面部材又は前記第2の平面部材の少なくとも一方に取り付けられている、請求項13に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の平面部材又は前記第2の平面部材の一方が、連結された剛体要素を含み、前記第1の平面部材又は前記第2の平面部材の他方が、可撓性プラスチックを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項21】
前記セパレータが、一様に染色され、わずかに圧縮可能なプラスチックビーズを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項22】
生体液を分析する装置において、
第1の平面部材と、
第1の供給リールと、
第2の平面部材と、
第2の供給リールと、
前記第1の平面部材又は前記第2の平面部材のうちの一方に取り付けられた複数のセパレータと、
1対のニップローラと、
前記ニップローラの下流で前記平面部材間に形成されている、ある高さを有する少なくとも1つのチャンバと、
前記平面部材の一方又は両方を受け取る少なくとも1つの巻取リールとを含み、
前記第1の平面部材及び前記第2の平面部材の少なくとも一方が透明であり、
前記1対のニップローラが、前記第1の平面部材及び前記第2の平面部材が前記ニップローラ間に引き込まれるときに前記平面部材を前記セパレータのほぼすべてと接触させる量だけ互いに離隔されており、
前記第1の平面部材、前記第2の平面部材、又は前記セパレータのうちの少なくとも1つが可撓性であり、前記チャンバの高さをほぼ一様にすることができる、装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つのチャンバがポートを含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記セパレータ、前記第1の平面部材、及び前記第2の平面部材のうちの1つが、セパレータ、第1の平面部材、及び第2の平面部材のうちの他の少なくとも1つに比べてより高い可撓性を有する、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記第1の平面部材が、前記第2の平面部材及び前記セパレータよりも高い可撓性を有する、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記第1の平面部材又は前記第2の平面部材の一方が、連結された剛体要素を含み、前記第1の平面部材又は前記第2の平面部材の他方が、可撓性プラスチックを含む、請求項22に記載の装置。
【請求項27】
抗凝固処理された全血サンプルの細胞構成要素若しくは微粒子構成要素を計数する方法において、
第1の平面部材と、第2の平面部材と、少なくとも3つのセパレータとを含む、生体液を分析する装置を準備するステップであって、前記第1の平面部材及び前記第2の平面部材の少なくとも一方が透明であり、前記セパレータが、前記平面部材間に配置されて、前記平面部材を隔てて、前記平面部材間を延びる高さを有するチャンバを形成しており、前記第1の平面部材、前記第2の平面部材、又は前記セパレータのうちの少なくとも1つが可撓性で、チャンバの高さをほぼ一様にすることができる装置を準備するステップと、
ある量の生体液を第1の平面部材表面又は第2の平面部材表面の一方と接触した状態に付着させるステップと、
前記両平面部材を接近させて、セパレータによって隔てられた2つの前記平面部材間に閉じ込められた生体液の層を形成するステップと、
層内に含まれる生体液の体積を決定するステップと、
実質的にすべての膜内の目的とする構成要素すべてを直接的又は間接的に計数するステップと、
計数された前記構成要素を単位体積当たりのカウントとして表すステップとを含む方法。
【請求項28】
前記生体液が血液である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記セパレータを透過した光の平均減衰を測定することによって前記チャンバ高さを計算するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記層内に含まれる生体液の体積を決定する前記ステップが、
層の面積を決定するステップと、
前記チャンバの高さに層の面積を乗じることによって生体液の体積を計算するステップとをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記層の面積を、前記平面部材を接近させる前の、前記平面部材上に付着された生体液の滴の干渉画像法(interferometric imaging)によって計算する、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
抗凝固処理された全血サンプルの細胞構成要素若しくは微粒子構成要素を計数する方法において、
互いに離隔され、不連続な点で結合された第1の平面部材と第2の平面部材とを含むテープであって、前記第1の平面部材及び前記第2の平面部材の少なくとも一方が透明であり、前記平面部材間にある高さを有する少なくとも1つのチャンバが形成されており、前記少なくとも1つのチャンバのそれぞれに少なくとも3つのセパレータが配置されており、前記第1の平面部材、前記第2の平面部材、又は前記セパレータのうちの少なくとも1つが可撓性であり、チャンバの高さを実質的に一様にすることができるテープと、前記テープをその上に巻き付けることのできる供給リールと、前記テープをその上に巻き付けることのできる巻取リールとを準備するステップと、
ある量の生体液を少なくとも1つのチャンバ内に入れるステップと、
少なくとも1つのチャンバの少なくとも一部分内に含まれる生体液の体積を決定するステップと、
生体液の体積内における目的の構成要素を実質的にすべて直接的又は間接的に計数するステップと、
計数された前記構成要素を単位体積当たりのカウントとして表すステップとを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−532881(P2007−532881A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507457(P2007−507457)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/011602
【国際公開番号】WO2005/100539
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(500389210)ウォードロウ パートナーズ エルピー (3)
【出願人】(500417362)
【出願人】(500389195)
【Fターム(参考)】