説明

生体認証装置

【課題】 指静脈認証装置において、ユニットのサイズを小さくすると共に、認証精度を高める。
【解決手段】
指を置く指置き台と、指に光を照射する光源31と、指を透過する透過光を受光して撮像するセンサ(撮像部)34と、センサ34にて取得された指の血管画像について演算処理を行い、静脈パターンの特徴抽出を行なう特徴抽出部37と、特徴抽出部37にて抽出された特徴情報を記憶する記憶部35と、新たに撮像された血管画像から抽出された特徴情報と記憶部35に記憶されている特徴情報とを比較照合し、2つの特徴情報が同一の指を撮影して得られた特徴情報か否か判断する照合部38とを具備する生体認証装置であって、センサ34は指の内側及びその左右側面を包み込むような形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は個人認証システムにおいて使用される生体認証装置に関し、特に指の静脈の画像パターンを用いて生体認証を行う生体認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本人か否かを認証する方法として従来から、印鑑、カード、暗証番号など様々な認証方法があるが、これらは正確ではあるもののコピーや偽造などが可能であり、セキュリティとしては万全ではなくなってきた。
【0003】
このため最近は個人認証として生体認証装置が普及してきた。特に指紋認証装置はかなりの広まりを見せており、例えば銀行のATM端末機にも採用され、暗証番号に加えて指紋認証も行える端末機も増えている。またパソコンに搭載された指紋認証装置もある。
他の認証方法としては、虹彩(目の虹彩パターン)認証、顔認証、声紋認証、血管パターン認証などがある。本発明は血管パターン、特に指の静脈パターンを利用する静脈認証装置に関するものである。
【0004】
静脈認証は一般的に、静脈を含めた血管パターンは、双子を含めて万人不同といわれており、大きな怪我がない限り、血管の太さ以外は経年変化がない安定した情報といわれている。このような特長があるため、静脈認証装置は最近いろいろ出現し、次第に普及しつつある(特許文献1)。
【0005】
図4は、従来の指静脈認証装置の概要である。指の静脈パターンを撮影するためにセンサ41にレンズ42が組みつけられ、レンズ42と指44との間に距離43が必要になっている。また、指44の静脈パターンを立体的に撮影するためには、図4(a)に示すように、センサ41とレンズ42が複数セット必要となったり、図4(b)に示すように、センサ41とレンズ42が矢印48の方向(又はその逆方向)に移動することが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−059249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に静脈認証装置は、静脈パターンを映し出すセンサとしてCCDカメラやCMOSセンサを使っている。そして前記の如く、レンズの焦点距離などの制約でレンズと指との間に所定の距離が必要となる。
このためユニットのサイズが大きくなることと光学系の位置調整がやりにくく製造コストが大きくなる要因となっている。
【0008】
また、指が立体であるのに対してセンサが平面なので、指の回転などによるひずみを補正することができず、認証率を悪くする要因となっている。立体的な静脈パターンを取得するには、前記の如く、2つもしくは3つのセンサを用いて撮影を行うか、1つのセンサを移動させて撮影を行うことが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
静脈パターンを映し出すセンサの形状を指を包み込むような形状(例えば、半円状)にし、レンズなどを使わずに直接読取れるものにする。
【0010】
静脈パターンを映し出すセンサの形状を、指を包み込むような形状にすることで静脈パターンをより広い面で且つ1つのセンサを固定した状態で撮影でき、指の回転などによる画像のひずみがなくなる。
【発明の効果】
【0011】
静脈パターンを映し出すセンサの形状を指を包み込むような形状(例えば、半円状)にし、レンズなどを使わずに直接読取れるものにすることにより、レンズを使わず直接センサに静脈パターンを写し取るため指との距離をとる必要がなくなり小型化が可能となる。
また、静脈パターンを映し出すセンサの形状を、センサが指を包み込むような形状(例えば、半円状)にすることで、静脈パターンをより広い面で且つ1つのセンサを固定した状態で撮影でき、指の回転などによる画像のひずみがなくなり精度の高い認証が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、かかる説明は、本発明の技術的範囲を下記の実施の形態に限定するものではない。
【0013】
図1及び2は本発明を利用した指静脈認証装置の概観図である。図1(a)に示すように、センサー部11は指12の内側(指を折り曲げたときに内側となる側。図1(a)においてセンサに対向している側。)及びその左右側面を覆うような形状とする。図1(b)は、図1(a)に示す指静脈認証装置10から取り外したセンサ11の形状を示す。
図2に示すように、指静脈認証装置20は、指を置く指置き部21と、指に光を照射する光源22と、照射された指を透過する透過光を受光して撮像するセンサ(撮像部)23と、センサ(撮像部)23にて取得された指の血管画像について演算処理を行い、静脈パターンの特徴抽出を行なう特徴抽出部24を具備する。
さらに、指静脈認証装置20は、特徴抽出部24にて抽出された特徴情報を記憶する記憶部(図示せず)と、新たに撮像され血管画像から抽出された特徴情報と記憶部に既に記憶されている特徴情報とを比較照合し、2つの特徴情報が同一の指を撮影して得られた特徴情報か否か判断する照合部(図示せず)とを具備する。
【0014】
図3は本発明を利用した指静脈認証装置の機構断面イメージ図である。図3は、図1の矢印13が示す方向(指の先端から付け根に向かう方向)から見た図である。
図3(a)に示すようにセンサ34の上に置かれた指33の斜め上方に光源31を設置しても良く、また図3(b)に示すようにセンサ34の上に置かれた指33の横に光源31を設置しても良い。
なお、図3(b)には記憶部35、表示部36などが図示されていないが、図3(a)と同様に記憶部35、表示部36などを必要とする。
【0015】
図3(a)及び(b)のいずれの場合も、指33の静脈を写し出すために光源31から近赤外光32を指33に照射し、指33の内部の静脈を透過光によりセンサ34に写し出し撮影する。この撮影された静脈画像を特徴抽出部37へ送り、ここで静脈パターンを独自のアルゴリズムにて解析し、静脈認証データを抽出する。この認証データは、最初の登録時は照合用データとして記憶部35に保存される。またその際、うまく静脈認証データが抽出できたか否かを表示部36にて表示する。もし、うまく認証登録用データが採取できなかった場合は、表示部36にてその旨のメッセージ(例えば「データをもう一度登録して下さい。」)を表示し再度の静脈データ登録を促す。
照合部38は、新たに撮像された血管画像から特徴抽出部37によって抽出された特徴情報と、記憶部35に記憶されている特徴情報とを比較照合し、2つの特徴情報が同一の指を撮影して得られた特徴情報か否かを判断する。
【0016】
本発明の指静脈認証装置は、従来の指静脈認証装置の欠点を解消するために、静脈パターンを映し出すセンサ34の形状を指12の内側及びその左右側面を包み込むような形状(例えば、センサ34の長手方向に垂直な断面の形状が半円状)にすることにより、指33とセンサ34との間に所定の距離をあける必要がなくなり静脈認証装置の小型化が可能となる。
また、センサ34が指33を包み込むような形状にすることで、静脈パターンをより広い面で且つ1つのセンサを固定した状態で撮影可能となる。
【0017】
また、撮像中(撮像開始直後、撮像終了直前を含む)に光源の光を消すことが可能な光源制御手段(図示せず)を設け、露出時間を短くする又は露出時間を変化させて、血管(静脈)画像を取得するとしても良い。
【0018】
また、小型化が進むと同時にセンサ及びレンズの組み合わせ調整が必要なくなり、量産生産性効果によりコストが下がり販売価格も下がる、という効果もあらわれる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は本発明の実施の形態に係る指静脈認証装置の概観図、(b)はセンサの概観図
【図2】本発明の実施の形態に係る指静脈認証装置の概観図
【図3】本発明の実施の形態に係る指静脈を読み取る静脈読み取り部の機構断面イメージ図であって、(a)は斜め上方に光源を設置する場合、(b)は横に光源を設置した場合
【図4】従来の指静脈認証装置の概要図であって、(a)は3台のセンサを用いて立体撮影する場合、(b)は1台のセンサを移動させて立体撮影する場合
【符号の説明】
【0020】
31・・・光源、32・・・光源照射光、33・・・指の断面、34・・・センサ、35・・・記憶部、36・・・表示部、37・・・特徴抽出部、38・・・照合部、41・・・センサ(撮像部)、42・・・レンズ、43・・・距離(センサとレンズの間隔)、44・・・移動方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
指を置く指置き台と、前記指に光を照射する光源と、前記指を透過する透過光を受光して撮像する撮像部と、前記撮像部にて取得された指の血管画像について演算処理を行い、静脈パターンの特徴抽出を行なう特徴抽出部と、前記特徴抽出部にて抽出された特徴情報を記憶する記憶部と、新たに撮像された血管画像から抽出された特徴情報と前記記憶部に記憶されている特徴情報とを比較照合し、2つの特徴情報が同一の指を撮影して得られた特徴情報か否か判断する照合部とを具備する生体認証装置であって、
前記撮像部が指の内側及びその左右側面を包み込むような形状のセンサであることを特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
前記撮像部はその長手方向に垂直な断面の形状が1つの半円状であることを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項3】
前記光源は前記指の横又は斜め上方から前記指に照射光を照射することを特徴とする請求項1又は2に記載の生体認証装置。
【請求項4】
撮像中に光源の光を消すことが可能な光源制御手段を設け、露出時間を短くする又は露出時間を変化させて血管画像を取得することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の生体認証装置。
【請求項5】
前記照合部での比較結果を表示する表示部をさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−88939(P2012−88939A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235140(P2010−235140)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(507251790)株式会社フィット・デザイン・システム (3)
【Fターム(参考)】