説明

生物活性剤の放出プロファイルを調節するためのインプラントデバイス

少なくとも1つの露出した生分解性内部コア面を含むインプラントデバイスについて記載する。内部コアは部分的に膜シースに取り囲まれ、この膜シースは生物学的適合性ポリマーを含む。生物活性剤を内部コアから放出させることができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2009年9月22日に出願の先行の米国仮特許出願第61/244726号及び2010年8月19日に出願の先行の米国仮特許出願第61/375143号に基づき、またその優先権の利益を主張するものであり、各文献の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
医薬製剤の分野に、1回の投与で所望の時間にわたって生物活性剤を放出するように設計された薬物送達製剤の分野がある。デポー製剤は、このような長時間作用型の製剤を表すのに使用される名称の1つである。デポー製剤は、数多くのやり方で製造することができる。デポー製剤又はインプラントを調製するための典型的な製剤アプローチは、生物活性剤及びポリマー賦形剤を含む固体マトリックスの製造によるものである。インプラントにおいてポリマー賦形剤を使用する目的は水の流入の制限であり、これによって順番に生物活性剤の溶解とそれに続くインプラントマトリックスからの生物活性剤の放出が制御される。生物活性剤の物理的性質及び化学的性質に加えて、インプラント中の生物活性剤の量が生物活性剤の放出速度に寄与する。すなわち、生物活性剤の量を上昇させると放出速度も上昇する。残念なことに、特定の医学的適応に関する用量及び持続時間要件を達成するのに十分な生物活性剤を得るために、インプラント製剤によっては大量の生物活性剤をインプラント内部に必要とする。しかしながら、インプラント内部に大量の生物活性剤を取り込ませると、この生物活性剤の放出が速くなりすぎる場合や、制御不能な速度で放出させてしまいさえする場合がある。
【0003】
このため、依然として満足のいく放出(とりわけ持続放出プロファイル、初期バーストが低い放出プロファイル等)を維持しながらも大量の生物活性剤を担持させることができる新しいインプラントデバイスが必要とされている。本発明は、このようなニーズ及び他のニーズを満たすものである。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、生物活性剤の放出に有用なインプラントデバイスについて記載する。1つの態様において、開示のインプラントデバイスは、膜シースに取り囲まれた表面を有し且つ膜シースに取り囲まれていない露出面を有する内部コアを含み、この内部コアは生物活性剤が溶解又は分散した生分解性ポリマーを含み、膜シースは生物学的適合性ポリマーを含み且つ生物活性剤を実質的に含有せず、露出面は、この露出面の流体処理によって形成される表面形態を有する。
【0005】
更なる態様において、インプラントデバイスは、膜シースに取り囲まれた縦面を有し且つ膜シースに取り囲まれていない露出した近位及び遠位端面を有する内部コアを含み、この内部コアは生物活性剤が溶解又は分散した生分解性ポリマーを含み、膜シースは生物学的適合性ポリマーを含み且つ生物活性剤を実質的に含有せず、露出した近位又は遠位端面の少なくとも1つは、この露出した近位又は遠位端面の流体処理によって形成される表面形態を有する。
【0006】
更なる態様において、インプラントデバイスは、(a)生分解性ポリマーと生物活性剤との混合物から所望の形状を有するコアを形成し、(b)このコアを取り囲む膜シースを形成し、(c)膜シースの少なくとも一部を除去することによって膜シースに取り囲まれていない露出したコア面を得て、(d)この露出したコア面を、露出したコア面の表面形態を変化させるのに十分な量の流体と十分な時間にわたって接触させることを含む工程によって調製される。
【0007】
更なる態様において、インプラントデバイスは、(a)生分解性ポリマーと生物活性剤との混合物から所望の形状を有するコアを形成し、(b)膜シースの形成後にコアに露出面ができるようにコアの一部だけを取り囲む膜シースを形成し、(c)この露出したコア面を、露出したコア面の表面形態を変化させるのに十分な量の流体と十分な時間にわたって接触させることを含む工程によって調製される。
【0008】
更なる態様において、インプラントデバイスは、(a)生分解性ポリマーと生物活性剤との混合物を内方同軸ノズルから押出成形することによってコアを形成し、(b)生物学的適合性ポリマーを外側同軸(outer coaxial)ノズルから同時に共押出成形し、コアを取り囲む実質的に同じ広がりを持つ膜シースを適用することによって、複合ストランドを形成し、(c)ステップ(b)の複合ストランドを、縦面と2つの端面とを含む1つ以上のスラットに切断し、(d)ステップ(c)の1つ以上のスラットの少なくとも1つの端面を、その少なくとも1つの端面の表面形態を変化させるのに十分な量の流体と十分な時間にわたって接触させることによってインプラントデバイスを得ることを含む工程によって調製される。
【0009】
本発明の利点を以下の説明で部分的に示し、一部は説明から明らかとなり、或いは以下に記載の態様の実践を通じて学ぶことができる。以下に記載の利点は、添付の請求項で特に挙げられている要素及びその組み合わせによって実現及び達成される。上述の概要及び以下の詳細な説明が共に例示及び説明上のものに過ぎず限定的ではないことを理解されたい。
【0010】
シースもまた、懸濁又は溶解させたある量の生物活性剤を含有し得る(コア中の生物活性剤と同じ又は異なり得る)。同様に、シースは、本明細書で開示の他の添加剤(医薬品添加物、賦形剤、粘度調整剤等)を含有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
(0011,0012)
【図1】膜シェルに取り囲まれたコアを有する例示的なインプラントデバイスの等角断面図である。
【図2】膜シェルに取り囲まれたコアを有するインプラントデバイスの形成に使用することができる共押出装置の上部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(0013)
本発明の化合物、組成物、複合材料、物品、デバイス及び/又は方法を開示及び記載するに先立って、以下に記載の態様が特定の化合物、組成物、複合材料、物品、デバイス、方法又は用途に限定されないことを理解されたい。当然のことながら、これらは変化し得るからである。また、本明細書で使用の専門用語が特定の態様を説明する目的のためのものに過ぎず、限定を意図してはいないことを理解されたい。
【0013】
(0014)
本明細書及びそれに続く請求項において多数の用語を使用するが、これらは以下の意味を有すると定義されるものとする。
【0014】
(0015)
本明細書全体を通して、文脈上そうではない場合を除いて、用語「含む(comprise)」又はその変化形(含む(comprises)、含んでいる(comprising)等)は、記載されたある整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を含むが他の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を排除しないことを示唆すると理解される。
【0015】
(0016)
本明細書及び添付の請求項で使用の単数形には、文脈上明らかにそうではない場合を除いて複数の指示対象が含まれることに留意しなくてはならない。したがって、例えば「ある生物活性剤」と言う場合、これには2種以上のこのような物質の混合物等が含まれる。
【0016】
(0017)
「任意の(optional)」又は「任意で(optionally)」とは、これらの語に続いて記載されている事象又は状況が起きるかもしれず、又は起きないかもしれず、またその説明にはこの事象又は状況が起きる場合と起きない場合とが含まれることを意味する。
【0017】
(0018)
範囲は、本明細書において「約」ある特定の値から及び/又は「約」別の特定の値までとして表わされ得る。このような範囲が表わされる場合、別の態様は、そのある特定の値から及び/又はもう一方の特定の値までを含む。同様に、接頭語「約」をつけて値を近似値として表わす場合、特定の値は別の態様を構成することが理解される。また、各範囲の端点は、もう一方の端点との関係においても、及びもう一方の端点とは関係なく、重要であることが更に理解される。
【0018】
(0019)
ある成分の質量%は、そうではないと特に明記されない限り、その成分が含まれる製剤又は組成物の総質量に基づく。
【0019】
(0020)
「放出性の物質(releasable agent)」とは、開示のポリマーと混合することができ、続いて例えばそのポリマーの侵食に従ってそのポリマーから放出させることができる物質のことである。
【0020】
(0021)
「生物活性剤(bioactive agent)」とは、生物活性を有する物質のことである。生物学的製剤(biological agent)は、治療、診断、治癒、緩和、防止(すなわち、予防的に)、寛解、調節に使用することができる。或いは、疾患、障害、感染症等に対して別の好適な効果を有し得る。「放出性生物活性剤(releasable bioactive agent)」とは、開示のデバイスから放出させることができるものである。生物活性剤には、患者の身体構造又は身体機能に影響を与える物質、すなわちプロドラッグも含まれ、これらは既定の生理環境に置かれると生理活性性になる又は生理活性性がより高くなる。
【0021】
(0022)
用語「インプラントデバイス」とは、デバイスの少なくとも1つの寸法において長さが1mmより長い任意の物品のことである。更なる態様において、デバイスは、1mm〜50mm、1.2mm〜45mm、1.4mm〜42mm、1.6mm〜40mm、1.8mm〜38mm、2.0mm〜36mm、5.0mm〜33mm又は10mm〜30mmの1つの寸法を有する。更なる態様において、デバイスは3cmを超える、最高10cm又はそれを超えさえする、20cm、30cmもの1つの寸法を有する。
【0022】
(0023)
開示の方法及び組成物に使用することができる、それと共に使用することができる、その調製に使用することができる又はその製品である化合物、組成物及び成分を開示する。これらの及び他の材料を本明細書で開示するが、これらの材料の組み合わせ、部分集合、相互作用、群等が開示され、これらの化合物の様々な各個別の及び集合的な組み合わせ並びに順列が具体的にはっきりと開示されなくても、それぞれが具体的に企図され、また本明細書において記載されるものと理解される。例えば、多数の異なるポリマー及び物質が開示され、論じられる場合、そうではないとの記載が特にない限り、ポリマー及び物質の個々の及び全ての組み合わせ並びに順列が具体的に企図されている。このため、例えば分子A、B、Cから成る集合、分子D、E、Fから成る集合及び組み合わせ分子の一例であるA−Dが開示される場合、それぞれが個別に記載されていなくても、それぞれは個別に且つ集合的に企図される。このため、この例においては、組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E及びC−Fのそれぞれが具体的に企図されていて、またA、B及びC並びにD、E及びF並びに組み合わせ例A−Dの開示から開示されたと見なされるべきである。同様に、これらのいかなる部分集合又は組み合わせも具体的に企図され、また開示される。このため、例えば、A−E、B−F及びC−Eの下位群が具体的に企図され、またA、B及びC並びにD、E及びF並びに組み合わせ例A−Dの開示から開示されたと見なされるべきである。この概念は、開示の組成物の製造及び使用の方法におけるステップを含めた、ただしこれらに限定されないこの開示の全ての態様にあてはまる。このため、行い得る様々な追加ステップがある場合、これらの追加ステップのそれぞれを開示の方法のいずれの特定の実施形態で又は実施形態の組み合わせでも行うことができ、またそのような組み合わせのそれぞれが具体的に企図され、また開示されたと見なされるべきであると理解される。
【0023】
(0024)
1つの態様において、本発明のインプラントデバイスは、膜シースに取り囲まれた表面を有し且つ膜シースに取り囲まれていない露出面を有する内部コアを含み、この内部コアは生物活性剤が溶解又は分散した生分解性ポリマーを含み、膜シースは生物学的適合性ポリマーを含み且つ生物活性剤を実質的に含有せず、露出面は、この露出面の流体処理によって形成される表面形態を有する。このようなインプラントデバイスは、ロッド、ファイバ、ディスク、ウェハ、ビーズ、リボン、シリンダ等の様々な形状を有し得る。
【0024】
(0025)
2つ以上の露出面を開示の流体処理を利用して処理することができ、この流体は、本明細書で更に論じるように、コーティングポリマーを含む。例えば、1つのインプラント端部を速やかに分解するポリマーで処理し、2つ目のインプラント端部(implant dend)をより緩慢に分解するポリマーで処理することによって、異なる端部での二相性の分解及び露出を得ることができる。
【0025】
(0026)
更なる態様において、インプラントデバイスは膜シースに取り囲まれた縦面を有し且つ膜シースに取り囲まれていない露出した近位及び遠位端面を有する内部コアを含み、この内部コアは生物活性剤が溶解又は分散した生分解性ポリマーを含み、膜シースは生物学的適合性ポリマーを含み且つ生物活性剤を実質的に含有せず、露出した近位又は遠位端面の少なくとも1つは、この露出した近位又は遠位端面の流体処理によって形成される表面形態を有する。図1を参照しての例として、インプラントデバイス10は、生物活性剤が溶解又は分散した生分解性ポリマーから構成される内部コア20を含む。内部コア20は、露出した縦面40を有する膜シース30によって取り囲まれる。インプラントデバイス10は、近位端及び遠位端に2つの別の露出面を有する。各端部において、この露出面は、生物活性剤が溶解又は分散した生分解性ポリマーの内方露出面と、実質的に生物活性剤を含有しない膜シースの外方露出面とを含む。インプラントデバイス10の生分解性内部コアは、生物活性剤をインプラントデバイスから、例えばインプラントデバイスを埋め込んだ患者(ヒト等)の周囲組織へと放出することができる。
【0026】
(0027)
本発明のインプラントデバイスを、様々な異なる方法によって調製することができる。1つの態様において、インプラントデバイスを、(a)生分解性ポリマーと生物活性剤との混合物から所望の形状を有するコアを形成し、(b)コアを取り囲む膜シースを形成し、(c)膜シースの少なくとも一部を除去することによって膜シースに取り囲まれていない露出したコア面を得て、(d)この露出したコア面を、露出したコア面の表面形態を変化させるのに十分な量の流体と十分な時間にわたって接触させることを含む工程によって調製することができる。
【0027】
(0028)
インプラントデバイスのコアの形成は、まず少なくとも1種の生分解性ポリマーを少なくとも1種の生物活性剤と混合して混合物を生成することによって達成することができる。生分解性ポリマーと生物活性剤との混合は、当該分野で既知の技法を利用して行うことができる。例えば、ポリマーと生物活性剤とを、例えばパターソン・ケリーV−ブレンダを使用してドライブレンドする(すなわち、ポリマー及び生物活性剤の微粒子の混合)又は所望の形状のコアを形成するに先立って加工ステップ前に顆粒化することができる。他の成分(例えば、賦形剤)を、混合物をコアに加工するに先立ってポリマー及び生物活性剤に混合することも考えられる。
【0028】
(0029)
混合ステップでは溶媒を使用してもよい。しかしながら、他の態様において、生分解性ポリマーと生物活性剤との混合に溶媒の使用は伴わない。混合中に溶媒を使用しないことで数多くの利点を実現することができる。第1に、混合中に溶媒を使用すると、この溶媒を除去する追加の加工ステップが必要となる。第2に、送達系を患者に埋め込む場合、残留溶媒がデバイス中に留まるのならば、選択される溶媒は生物学的適合性でなくてはならない。溶媒が、送達系の全体としての形態に悪影響を及ぼし、これが望ましくない放出パターンにつながる場合がある。溶媒は、製造工程中の生物活性剤の安定性に悪影響を及ぼし得る。最後に、溶媒レベルが規制ガイドラインを満たすのに十分な低さでなくてはならないため、溶媒レベルには制御を必要とする。
【0029】
(0030)
混合物の内部コアへの加工は、生物活性剤が、ポリマー全体又はポリマーの特定の部位だけにしっかりと混ぜ合わされ分散又は溶解するような条件下で行うことができる。混合物は、例えば混合物を所望の形状又は構造に溶融押出、射出成型、圧縮成形又はローラー圧縮するなどの様々な技法によって所望の形状の内部コアに加工することができる。圧縮製造技法には打錠が含まれ得るがこれに限定されない。加工条件に応じて、混合ステップにおいて出発原料として使用される生分解性ポリマーは、最終的なデバイス中に存在するポリマーと同じであり得る又は異なり得る。例えば、加工中のポリマーが重合又は解重合反応を経て、最終的に加工前に使用されたものとは異なるポリマーが生成される場合がある。このため、本明細書で使用の、生物学的適合性ポリマー及び生分解性ポリマーの両方を含む用語「ポリマー」は、出発原料として使用されるポリマー及び最終的なデバイス中に存在する最終的なポリマーをカバーする。
【0030】
(0031)
1つの態様において、所望の形状を有する内部コアはまず上で論じられたように加工され、次にコアを取り囲む膜シースが形成される。以下で論じる他の態様において、内部コア及び膜シースを例えば共押出成形により同時加工してインプラントデバイスを得ることができる。内部コアを最初に形成する場合、続いて膜シースを当該分野で既知の方法を利用して形成することができる。1つの態様において、膜シースを、生物学的適合性ポリマーを含む溶液を内部コア上にスプレー被覆又は浸漬被覆して形成することができる。この態様では膜シースを内部コア全体を取り囲んで形成できることから、内部コアは露出面を有さない。膜シースの形成後、膜シースの一部を、例えば膜シースの一部を溶解させて又は物理的に切断して除去することによって、露出した内部コア面を得ることができる。他の態様において、膜シースの形成後にコアに露出面ができるように、膜シースをコアの一部のみを取り囲んで形成することができる。
【0031】
(0032)
別の態様において、インプラントデバイスを共押出成形、例えば、(a)生分解性ポリマーと生物活性剤との混合物を内方同軸ノズルから押出成形することによってコアを形成し、(b)生物学的適合性ポリマーを外側同軸ノズルから同時に共押出成形し、コアを取り囲む実質的に同じ広がりを持つ膜シースを適用することによって、複合ストランドを形成し、(c)ステップ(b)の複合ストランドを、縦面と2つの端面とを含む1つ以上のスラットに切断し、(d)ステップ(c)の1つ以上のスラットの少なくとも1つの端面を、その少なくとも1つの端面の表面形態を変化させるのに十分な量の流体と十分な時間にわたって接触させることによってインプラントデバイスを得ることを含む工程によって調製することができる。例えば、図1に示されるようなインプラントデバイスを、この方法によって調製することができる。
【0032】
(0033)
図2を参照するが、共押出成形法は、当該分野で既知の様々な共押出装置を使用して達成することができる。図2は、このような装置の断面60を示す。共押出成形工程において、上で論じたようにして生成することができる生物学的適合性ポリマーと生物活性剤との混合物を内方同軸ノズル65に流し、膜シースを形成する生物学的適合性ポリマーを外側同軸ノズル60に流す。次に、内方同軸ノズル65及び外側同軸ノズル60の幅は狭くなって成形セクション68、70となり、ここで生物学的適合性ポリマーと生分解性ポリマー/生物活性剤混合物とが合わさって所望の形状(この例ではシリンダ)のインプラントデバイスへと成形される。次に、この共押出成形された複合ストランドは出口点80から装置の外に出る。共押出成形後、この共押出成形された複合ストランドを、上で論じ且つ図1に示すように、縦面及び2つの端面を含む1つ以上のスラットに切断することができる。このため、共押出成形されたストランドの切断後、そのストランドを個々のスラットに切断することによってインプラントデバイスを形成することができ、上で論じたように、各スラットは縦面並びに近位及び遠位端面を含む。このストランドを所望のスラット数にだけ切断して所望の数のインプラントデバイス又は所望の縦方向長さのインプラントデバイスを製造することができる。
【0033】
(0034)
所望の形状を有するインプラントデバイスを形成した後、このインプラントデバイスの少なくとも1つの露出面を、表面形態を変化させる流体で処理する又はポリマー溶液で被覆することによって露出面を変化させる。インプラントデバイスを流体で処理するとは、デバイスをインプラントデバイスを被覆するポリマー溶液と接触させること又はデバイスを露出面の表面形態を変化させる溶媒と接触させることの両方を意味する。露出面の表面形態を変化させることによって、インプラントデバイスの放出プロファイルを特定の薬物送達用途に合わせて変更又はカスタマイズすることができる。
【0034】
(0035)
1つの態様において、インプラントデバイスの露出面の処理は、インプラントデバイスの露出面、好ましくは内部コアの露出面を溶媒と接触させることを含む。このため、幾つかの態様において、流体とは、実質的に他の成分(ポリマー等)を含有しない溶媒のことである。すなわち、1つの態様において、流体とはポリマーを実質的に含有しない溶媒又は液体であり、したがって、インプラントデバイスは被覆されず、溶媒に曝露される。露出面の表面形態を変化させることができる適切な溶媒の例には、限定することなく、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アニソール、酢酸エチル、酢酸メチル、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、水、2−ピロリドン、クエン酸トリエチル、乳酸エチル、プロピレンカーボネート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、Miglyol810、イソプロパノール、エタノール、超臨界二酸化炭素、アセトニトリル、水又はこれらの混合物が含まれる。幾つかの態様において、溶媒は生物活性剤にとっての非溶媒であり得る又は生物活性剤の溶解性が限定される溶媒であり得る。このような溶媒は当業者によって選択され得て、また一般に生物活性剤の選択に左右される。
【0035】
(0036)
別の態様において、流体は気体を含む。この態様において、流体が追加のポリマーを含有しないこともあり得る。露出面の表面形態を変化させるのに効果的な適切な気体の例には、限定することなく、窒素、エチレンオキシド、ポリフルオロクロロ化合物、水蒸気、有機溶媒の蒸気又はこれらの混合物が含まれる。デバイスは、デバイスの組成及び選択した気体に応じた動作条件(周囲温度、高温、低温等)で気体と接触させることができる。
【0036】
(0037)
更なる態様において、流体はポリマー溶液又は溶解若しくは分散したポリマーを含有する溶媒を含み得る。別の態様において、流体はポリマーだけ(液体ポリマー等)であり得て、また生物活性剤を含むインプラントデバイスの露出した内部コア面に適用することができる。ポリマーは、以下で論じる生分解性又は生物学的適合性ポリマーのいずれをも含む生物学的適合性及び/又は生分解性コーティングポリマーであり得る。
【0037】
(0038)
送達系は、流体に1回又は複数回曝露され得る。別の態様において、接触ステップ後、流体を任意でデバイスから除去することができる。デバイスから除去される流体の量は変化し得て、また達成したい所望の放出プロファイルに左右される。デバイス又は被覆した物品は、当該分野で既知の技法を利用して流体と接触させることができる。更なる態様において、流体が液体の場合、デバイスを液体中に浸漬する又は液体をデバイスに噴霧することによってデバイス又は物品を液体と接触させることができる。別の態様において、接触ステップは連続的であり得て、一定した流体の流れがデバイスと接触する。他の態様において、流体が液体の場合、接触ステップを、エーロゾル溶媒の入った環状リング、パンコーティング又は気相平衡によって行うことができる。流体が気体の場合、更なる態様において、デバイス又は被覆された物品を一定した気体の流れと接触させることができる。或いは、デバイスを、その気体で満たしたチャンバ内に置くことができる。更なる態様において、デバイスのポリマーの露出面全体又は露出面の一部を流体処理することができる。すなわち、特定の態様においては、デバイスの表面全体を処理する必要はない。幾つかの態様においては、インプラントデバイスの内部コアの露出面だけ又はインプラントデバイスの端部だけを処理することが好ましい。例えば、図1を再度参照するが、インプラントデバイスの近位及び/又は遠位端を流体で処理することができ、内部コアの露出面及び/又は近位若しくは遠位端膜シース露出面の表面形態が変化する。
【0038】
(0039)
流体への曝露時間は、流体、表面のポリマー及び達成したい所望の放出パターンに応じて変化し得る。接触ステップの時間はゼロより長く、例えば1秒余りから分単位、時間単位又は数日にわたり得る。様々な態様において、接触時間は0.1秒〜1時間、0.5秒〜30分、1秒〜10分、2秒〜5分、3秒〜60秒又は5秒〜30秒である。別の態様において、接触時間は1秒〜10秒又は1秒〜5秒である。更なる態様においては、異なる流体又は異なる流体混合物を、流体への一連の曝露中に使用することができる。
【0039】
(0040)
更なる態様において、流体が液体の場合、接触ステップの温度は流体の沸点より低い。別の態様において、接触ステップの温度はポリマーの融点より低い。別の態様において、流体が気体の場合、接触ステップの圧力は大気圧又は大気圧より高くなり得る。
【0040】
(0041)
様々な生物学的適合性又は生分解性ポリマーを使用して膜シースを形成することができ、或いは流体のコーティングポリマーとして使用することができる。生物学的適合性ポリマーは生分解性ポリマーでもあり得る。このため、幾つかの態様において、実質的に生物活性剤を含有しない膜シースを形成する生物学的適合性ポリマーは、生分解性内部コアを形成するポリマーと同じであり得る。1つの態様において、生物学的適合性ポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシバレレート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホスフェート、ポリホスホエステル、ポリジオキサノン、ポリホスホエステル、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖又はポリビニルピロリドンの1種以上であり得る。他の非生分解性だが耐久性の生物学的適合性ポリマーには、限定することなく、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の適切な非生分解性ポリマーには、限定することなく、シリコーン及びポリウレタンが含まれる。
【0041】
(0042)
内部コア又はコーティングを形成する生分解性ポリマーには、上で挙げた生分解性ポリマー又は当該分野で既知の他の生分解性ポリマーのいずれもが含まれ得る。更なる態様において、生物学的適合性及び/又は生分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)若しくはポリ(ヒドロキシブタレート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコール及びポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレート若しくはポリヒドロキシバレレートを含有するコポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、これらのコポリマー、ターポリマー、組み合わせ又はブレンドであり得る。
【0042】
(0043)
更に別の態様において、有用な生分解性及び生物学的適合性ポリマーは、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド又はこれらの組み合わせの1つ以上の残基を含むものである。更に別の態様において、有用な生分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン又はこれらの組み合わせの1つ以上の残基を含むものである。
【0043】
(0044)
1つの態様において、有用な生分解性及び生物学的適合性ポリマーは、親水性又は水溶性ポリマー(ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)を含むがこれらに限定されない)の1つ以上のブロックを、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン又はこれらの組み合わせを含む別の生物学的適合性又は生分解性ポリマーの1つ以上のブロックと組み合わせて含むものである。
【0044】
(0045)
特定の態様において、生分解性及び/又は生物学的適合性ポリマーは1つ以上のラクチド残基を含み得る。これを目的として、ポリマーは、全てのラセミ及び立体特異性の形態のラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド、D,L−ラクチドを含むがこれらに限定されない)又はこれらの組み合わせを含めたいずれのラクチド残基も含み得る。ラクチドを含む有用なポリマーには、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)及びポリ(DL−ラクチド)並びにポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)及びポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド)又はこれらのコポリマー、ターポリマー、組み合わせ若しくはブレンドが含まれるがこれらに限定されない。ラクチド/グリコリドポリマーは簡便には、ラクチド及びグリコリドモノマーの開環を通じた溶融重合によって生成することができる。加えて、ラセミ体のDL−ラクチド、L−ラクチド及びD−ラクチドポリマーは市販されている。L−ポリマーはDL−ポリマーより結晶性が高く再吸収が遅い。グリコリド及びDL−ラクチド又はL−ラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチド及びDL−ラクチドのコポリマーが市販されている。ラクチド又はグリコリドのホモポリマーも市販されている。
【0045】
(0046)
生分解性及び/又は生物学的適合性ポリマーがポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)又はポリ(グリコリド)の場合、ポリマー中のラクチド及びグリコリドの量は変化し得る。更なる態様において、生分解性ポリマーは、0〜100モル%、40〜100モル%、50〜100モル%、60〜100モル%、70〜100モル%又は80〜100モル%のラクチド及び0〜100モル%、0〜60モル%、10〜40モル%、20〜40モル%又は30〜40モル%のグリコリドを含有し、ラクチド及びグリコリドの量は100モル%である。更なる態様において、生分解性ポリマーはポリ(ラクチド)、95:5ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)又は50:50ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であり得て、比はモル比である。
【0046】
(0047)
更なる態様において、生分解性及び/又は生物学的適合性ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)又はポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であり得る。1つの態様において、ポリマーはポリ(ラクチド−カプロラクトン)であり得て、様々な態様において、95:5ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)又は50:50ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であり得て、比はモル比である。
【0047】
(0048)
生分解性又は生物学的適合性ポリマーがラクチド系ポリマーを含む場合、このラクチド系ポリマーは、全てのラセミ及び立体特異性の形態のラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド、D,L−ラクチドを含むがこれらに限定されない)又はこれらの組み合わせを含めたいずれのラクチド残基も含み得る。ラクチドを含む有用なポリマーには、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)及びポリ(DL−ラクチド)並びにポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)及びポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド)又はこれらのコポリマー、ターポリマー、組み合わせ若しくはブレンドが含まれるがこれらに限定されない。ラクチド/グリコリドポリマーは、ラクチド及びグリコリドモノマーの開環によって生成することができる。加えて、ラセミ体のDL−ラクチド、L−ラクチド及びD−ラクチドポリマーは市販されている。L−ポリマーはDL−ポリマーより結晶性が高く再吸収が遅い。グリコリド及びDL−ラクチド又はL−ラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチド及びDL−ラクチドのコポリマーが市販されている。ラクチド又はグリコリドのホモポリマーも市販されている。
【0048】
(0049)
幾つかの態様において、得られる組成物の物理的性質を変化させるために(例えば、Tgを低下させる)、開示の生分解性及び/又は生物学的適合性ポリマーを1種以上の可塑剤と接触させる又は混合するのが望ましい場合がある。使用可能な可塑剤にはFDAに認可された全ての可塑剤、例えばベンジルベンゾエート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、クロロブタノール、デキストリン、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジメチル、アセチルフタレート、ジエチルフタレートジブチルフタレート、ジプロピルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノグリセリド、モノ及びジ−アセチル化モノグリセリド、グリセロール、マンニトール、ミネラルオイル及びラノリンアルコール、ワセリン及びラノリンアルコール、ヒマシ油、植物油、ココナッツ油、ポリエチレングリコール、ポリメタクリレート及びそのコポリマー、ポリビニルピロリドン、プロピレンカーボネート、プロピレングリコール、ソルビトール、坐薬基剤、ジアセチン、トリアセチン、トリエタノールアミン、クエン酸のエステル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル並びにリン酸のエステルが含まれる。
【0049】
(0050)
生分解性ポリマーの侵食によってインプラントデバイスの内部コア中の物質の放出が可能になる。様々な放出性の物質を組成物中で使用することができる。一般に、時間の経過に伴った放出が望ましいいずれの物質も使用することができる。このため、放出性の物質は、生物活性剤、化粧物質(ローション等)又は他の物質(農産物等)であり得る。放出性の物質はポリマー中に溶解又は分散させることができ、また任意の適切な量で存在し得て、その量は一般に組成物の意図された用途に左右される。
【0050】
(0051)
多種多様な生物活性剤をインプラントデバイスと共に使用することができる。生物活性剤を、上で論じたように、内部コアの生分解性ポリマーとブレンド、混合又は別の形で合わせることができる。1つの態様において、生物活性剤を、(例えば、糖の噴霧乾燥によって)定義された粒子に予備処方することができる。別の態様においては、生物活性剤の少なくとも一部を生分解性ポリマーに溶解させることができる。更なる態様においては、生物活性剤の少なくとも一部を、内部コアの生分解性ポリマーに分散させることができる。
【0051】
(0052)
生物活性剤とポリマーとの混合は、上で論じたように、追加の溶媒(ポリマー以外)を使用して又は使用せずに行うことができる。組成物に取り込ませる生物活性剤の量は、特定の薬物、所望の治療効果及び所望の時間枠に応じて変化する。様々な組成物は多様な目的に応じた治療のための投薬計画を提供するためのものであることから、組成物に取り込ませる薬物の量に決定的な下限又は上限はない。下限は一般に薬物の活性及びデバイスからのその放出の時間枠に左右される。医薬品分野の当業者なら、所定の薬物の毒性レベル及び最低有効量をもとめることができる。
【0052】
(0053)
インプラントデバイスから患者の体内へと放出可能な様々な形態の生物活性剤を使用することができる。液体又は固体の生物活性剤を本明細書に記載のデバイスに取り込ませることができる。生物活性剤は水溶性又は非水溶性であり得る。幾つかの態様において、生物活性剤は少なくともごくわずかに水溶性であり、好ましくは適度に水溶性である。生物活性剤は、活性成分の塩を含み得る。このため、生物活性剤は酸性、塩基性又は両性の塩であり得る。生物活性剤は、水素結合可能な非イオン性分子、極性分子又は分子複合体であり得る。生物活性剤をデバイスに、例えば非荷電分子、分子複合体、塩、エーテル、エステル、アミド、ポリマー/薬物コンジュゲートの形態又は他の形態で含ませることによって効果的な生物活性又は生理活性を得ることができる。
【0053】
(0054)
デバイスに取り込ませることができる生物活性剤の例には、小分子、ペプチド、タンパク質(例えばホルモン)、酵素、抗体、抗体フラグメント、抗体コンジュゲート、核酸(例えばアプタマー、iRNA、siRNA、DNA、RNA、アンチセンス核酸等、アンチセンス核酸類似体等)、VEGF阻害剤、大環状ラクトン、ドーパミンアゴニスト、ドーパミンアンタゴニスト、低分子量化合物、高分子量化合物又はコンジュゲートされた生物活性剤が含まれるがこれらに限定されない。開示の組成物での使用が企図される生物活性剤には、タンパク質同化剤、制酸剤、抗喘息薬、抗コレステロール及び抗脂質薬、抗凝固薬、抗痙攣薬、止瀉薬、制吐薬、抗感染薬(抗菌薬、抗微生物薬を含む)、抗炎症薬、抗躁薬、代謝拮抗剤、制嘔吐剤、抗悪性腫瘍薬、抗肥満薬、解熱剤及び鎮痛剤、鎮痙薬、抗血栓薬、鎮咳薬、抗尿酸血症薬、抗狭心症薬、抗ヒスタミン剤、食欲抑制薬、生物製剤、脳血管拡張薬、冠動脈拡張薬、気管支拡張薬、細胞障害性薬物、鬱血除去薬、利尿薬、診断薬、赤血球生成剤、去痰薬、胃腸鎮静薬、血糖上昇剤、睡眠薬、血糖降下剤、免疫調節薬、イオン交換樹脂、緩下薬、ミネラルサプリメント、粘液溶解剤、神経筋作用薬、末梢血管拡張薬、向精神薬、鎮静薬、刺激薬、甲状腺剤及び抗甲状腺剤、組織増殖剤、子宮弛緩薬、ビタミン又は抗原物質が含まれる。
【0054】
(0055)
他の生物活性剤には、アンドロゲン阻害剤、多糖、増殖因子、ホルモン、抗血管新生因子、デキストロメトルファン、臭化水素酸デキストロメトルファン、ノスカピン、クエン酸カルベタペンタン、塩酸クロフェジアノール、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸フェニンダミン、マレイン酸ピリラミン、コハク酸ドキシルアミン、クエン酸フェニルトロキサミン、塩酸フェニレフリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸プソイドエフェドリン、エフェドリン、リン酸コデイン、硫酸コデインモルヒネ(codeine sulfate morphine)、ミネラルサプリメント、コレスチラミン(cholestryramine)、N−アセチルプロカインアミド、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、塩酸フェニルプロパノールアミン、カフェイン、グアイフェネシン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、ホルモン、インターフェロン、サイトカイン及びワクチンが含まれる。
【0055】
(0056)
組成物中の生物活性剤として使用することができる代表的な薬物には、ペプチド性薬物、タンパク性薬物、治療用抗体、脱感作物質、抗原、抗感染薬、例えば抗生物質、抗微生物薬、抗ウイルス剤、抗菌薬、抗寄生虫薬、抗真菌物質及びこれらの組み合わせ、抗アレルギー薬、アンドロゲン性ステロイド、鬱血除去薬、睡眠薬、ステロイド系抗炎症剤、抗コリン作用薬、交感神経刺激薬、鎮静薬、縮瞳薬、精神賦活薬、精神安定薬、ワクチン、エストロゲン、プロゲステロン作用薬、液性因子(humoral agent)、プロスタグランジン、鎮痛薬、鎮痙薬、抗マラリア薬、抗ヒスタミン剤、心臓作用剤、非ステロイド系抗炎症剤、抗パーキンソン病薬、降圧薬、□−アドレナリン遮断薬(原文:文字化けで□になっています。たぶんベータと思いますが原文通りです)、栄養剤並びにベンゾフェナントリジンアルカロイドが含まれるがこれらに限定されない。生物活性剤は更に、刺激薬、鎮静薬、睡眠薬、鎮痛薬、抗痙攣薬等として作用可能な物質であり得る。
【0056】
(0057)
他の生物活性剤には、鎮痛薬(例えばアセトアミノフェン、アセチルサリチル酸等);麻酔薬(例えばリドカイン、キシロカイン等);(食欲減退剤、例えばデキサドリン、酒石酸フェンジメトラジン等);(抗関節炎薬、例えばメチルプレドニゾロン、イブプロフェン等);抗喘息薬(例えば硫酸テルブタリン、テオフィリン、エフェドリン等);抗生物質(例えばスルフィソキサゾール、ペニシリンG、アンピシリン、セファロスポリン、アミカシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、イソニアジド、リファンピン等);(抗真菌薬、例えばアンホテリシンB、ナイスタチン、ケトコナゾール等);抗ウイルス薬(例えばアシクロビル、アマンタジン等);抗がん剤(例えばシクロホスファミド、メトトレキサート、エトレチナート等);抗凝固薬(例えばヘパリン、ワルファリン等);抗痙攣薬(例えばフェニトインナトリウム、ジアゼパム等);抗鬱薬(例えばイソカルボキサジド、アモキサピン等);抗ヒスタミン剤(例えば塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等);ホルモン(例えばインスリン、プロゲスチン、エストロゲン、コルチコイド、グルココルチコイド、アンドロゲン等);精神安定薬(例えばトラジン、ジアゼパム、塩酸クロルプロマジン、レセルピン、塩酸クロルジアゼポキシド等);鎮痙薬(例えばベラドンナアルカロイド、塩酸ジシクロミン等);ビタミン及びミネラル(例えば必須アミノ酸、カルシウム、鉄、カリウム、亜鉛、ビタミンB12等);心血管作動薬(例えば塩酸プラゾシン、ニトログリセリン、塩酸プロプラノロール、塩酸ヒドララジン、パンクレリパーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ等);ペプチド及びタンパク質(例えばLHRH、ソマトスタチン、カルシトニン、成長ホルモン、グルカゴン様ペプチド、成長放出因子(growth releasing factor)、アンギオテンシン、FSH、EGF、骨形成因子(BMP)、エリスロポエチン(erythopoeitin(EPO)、インターフェロン、インターロイキン、コラーゲン、フィブリノゲン、インスリン、第VIII因子、第IX因子、Enbrel(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Herceptin(登録商標)、α−グルコシダーゼ、Cerazyme/Ceredose(登録商標)、バソプレシン、ACTH、ヒト血清アルブミン、γ−グロブリン、構造タンパク質、血液製剤タンパク質、複合タンパク質、酵素、抗体、モノクローナル抗体等);プロスタグランジン、核酸、炭水化物、脂肪、麻薬(例えばモルヒネ、コデイン等);精神治療薬、抗マラリア薬、L−ドーパ、利尿薬(例えばフロセミド、スピロノラクトン等);抗潰瘍薬(例えば塩酸ランチジン、塩酸シメチジン等)が含まれるがこれらに限定されない。
【0057】
(0058)
生物活性剤は免疫調節薬でもあり得て、例えばサイトカイン、インターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子等、アレルゲン、例えばネコのフケ、カバノキの花粉、チリダニ、牧草花粉等;細菌(例えば肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、化膿連鎖球菌(Streptococcus Pyrogenes)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphteriae)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、ミュータンス菌(Streptococcus mutans)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、チフス菌(Salmonella typhi)、パラインフルエンザ菌(Haemophilus parainfluenzae)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、野兎病菌(Francisella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、在郷軍人病菌(Legionella pneumophila)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ライ菌(Mycobacterium leprae)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、レプトスピラ・インターロガンス(原文:Leptspirosis interrogans。Leptospira interrogans?)、ライム病ボレリア(原文:Borrelia burgddorferi。Borrelia burgdorferi?)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)等)の抗原;ウイルス(例えば天然痘、インフルエンザA及びB、RSウイルス(原文:respiratory synctial。respiratory syncytial?)、パラインフルエンザ、麻疹、HIV、SARS、水痘−帯状疱疹、単純ヘルペス1及び2、サイトメガロウイルス(cytomeglavirus)、エプスタイン・バー、ロタウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、乳頭腫ウイルス、ポリオウイルス、ムンプス、狂犬病、風疹、コクサッキーウイルス、ウマ脳炎、日本脳炎、黄熱病、リフトバレー熱、リンパ球性脈絡髄膜炎、B型肝炎等)の抗原;真菌、原虫及び寄生生物(例えばクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcuc neoformans))、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、ノカルジア・アステロイデス(Nocardia asteroids)、リケッチア・リケッチ(Rickettsia ricketsii)、リケッチア・チフィ(Rickettsia typhi)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、クラミジア・シタッシ(Chlamyda psittaci)、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、トリパノソーマ・ブルセイ(Trypanasoma brucei)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)等)の抗原を含む。これらの抗原は、不活化全生物体(whole killed organism)、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、炭水化物又はこれらの組み合わせの形態であり得る。
【0058】
(0059)
更なる特定の態様において、生物活性剤は抗生物質を含む。抗生物質は、例えばアミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、アンサマイシン、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、カルバセフェム、ロラカルベフ、カルバペネム、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、メロペネム、セファロスポリン(第1世代)、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン(cefalotin or cefalothin)、セファレキシン、セファロスポリン(第2世代)、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セファロスポリン(第3世代)、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロスポリン(第4世代)、セフェピム、セファロスポリン(第5世代)、セフトビプロール、グリコペプチド、テイコプラニン、バンコマイシン、マクロライド、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシン、モノバクタム、アズトレオナム、ペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、ピペラシリン、チカルシリン、ポリペプチド、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、キノロン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、スルホンアミド、マフェニド、プロントジル(初期)、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルイミド(sulfanilimide)(初期)、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(コトリモキサゾール)(TMP−SMX)、テトラサイクリン(デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン他を含む)、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジナミド、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、リファンピシン(米国ではリファンピン)、チニダゾール、ロピニロール(ropinerole)、イベルメクチン、モキシデクチン、アファメラノチド(Afamelanotide)、シレンギチド又はこれらの組み合わせの1種以上であり得る。1つの態様において、生物活性剤は、リファンピシン(米国ではリファンピン)とミノサイクリンとの組合せであり得る。
【0059】
(0060)
幾つかの態様においては、デバイス自体が担体であってもよく、及び/又は他の担体若しくは添加剤と組み合わせることもできる。他の医薬担体も使用することができる。ポリマー以外の固体担体の例には(固体の場合)、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸が含まれる。ポリマー以外の液体担体の例は(液体の場合)、液糖、ピーナツ油、オリーブ油及び水である。ガス状担体の例には二酸化炭素及び窒素が含まれる。生物活性剤と混合することができる他の薬学的に許容可能な担体又は成分には、例えば脂肪酸、糖、塩が含まれ得る。
【0060】
(0061)
1つの態様において、組成物はキット中に存在し得る。キットは組成物に適したパッケージ又は容器を含み得る。例には滅菌パッケージが限定することなく含まれる。開示の組成物は注射用組成物としての使用に適していることから、キットにはあらかじめ包装された注射器具が同封され得て、この包装済みの注射器具は、インプラントデバイスを装填した注射器具を含む。適切な注射器具には、限定することなくシリンジ、トロカール等が含まれる。
【0061】
(0062)
上で論じたように、インプラントデバイスを使用して、生物活性剤を、例えばその生物活性剤が効果的な疾患を治療するために、それを必要とする患者に投与することができる。組成物は、患者のいずれの組織又は体液にも投与することができる。同様に、投与方法はいずれの適切な方法でもあり得て、例えば皮下注射、経口投与、非経口投与(parental)、腸内投与(enternal)等である。幾つかの態様において、1種以上の低粘度ポリマーを含む液体組成物を患者に注射することができる。投与する組成物の性質は一般に生物活性剤の所望の用量に基づいて選択され、疾患によって大きく異なるが、医薬品分野の当業者なら簡単に求めることができる。
【0062】
(0063)
組成物の「有効量(effective amount)」とは、所望の治療成果を達成できる組成物の量のことである。このため、有効量は、組成物、生物活性剤及び治療中の疾患又は状態に応じて大きく変化する。患者に投与される組成物の投与量の実際の有効量は、物理的要因及び生理学的要因(体重、状態の重症度、治療中の疾患のタイプ、それまでの又は同時進行中の治療介入、患者の特発性疾患等)によって決定することができ、また投与経路に左右され得る。用量及び投与経路に応じて、好ましい用量の投与回数及び/又は有効量は、患者の反応に従って変化し得る。当業者なら、開示の医薬組成物の有効量を決定することができる。
【0063】
(0064)
幾つかの非限定的な例において、用量は、1回の投与あたり約1μg/kg/体重、約5μg/kg/体重、約10μg/kg/体重、約50μg/kg/体重、約100μg/kg/体重、約200μg/kg/体重、約350μg/kg/体重、約500μg/kg/体重、約1mg/kg/体重、約5mg/kg/体重、約10mg/kg/体重、約50mg/kg/体重、約100mg/kg/体重、約200mg/kg/体重、約350mg/kg/体重、約500mg/kg/体重、約1000mg/kg/体重以上を含み得て、またこれらの範囲で誘導可能ないずれの範囲も含み得る。本明細書で挙げた数値から誘導可能な範囲の非限定的な例において、上記の数値に基づいて、約5mg/kg/体重〜約100mg/kg/体重、約5μg/kg/体重〜約500mg/kg/体重等の範囲で投与することができる。
【0064】
(0065)
生物活性剤は、かなり高い質量%の担持量、例えばインプラントデバイス又は生分解性内部コアの質量の最高40%の担持量など、任意の適切な質量%で、インプラントデバイス又は生分解性内部コア中に存在し得る。1つの態様において、インプラントデバイスを使用して生物活性剤の薬物動態を変化させることができる。例えば、ポリマーを使用して生物活性剤の分解を減速することができる。
【0065】
(0066)
組成物はいずれの所望の患者にも投与することができる。患者は脊椎動物、例えば哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類又は両生類であり得る。本明細書で開示の方法の患者は、例えばヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモット又はげっ歯類であり得る。患者という用語は特定の年齢や性別を表わさない。このため、雌雄を問わず成体の及び新生児(仔)の患者並びに胎児もカバーすると意図される。また、組成物はいずれの適切な経路でも投与することができ、とりわけ非経口、経口経路が含まれる。1つの好ましい態様において、組成物を患者に注射することができる。
【0066】
(0067)
様々な改変及び変更を、本明細書に記載の化合物、複合材料、キット、物品、デバイス、組成物及び方法に加えることができる。本明細書に記載の化合物、複合材料、キット、物品、デバイス、組成物及び方法の他の態様は、本明細書に開示の化合物、複合材料、キット、物品、デバイス、組成物及び方法の仕様及び実践を考えると明らかである。仕様及び実施例は例示と見なされることを意図したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントデバイスであって、
膜シースに取り囲まれた表面を有し且つ膜シースに取り囲まれていない露出面を有する内部コアを含み、
前記内部コアが、生物活性剤が溶解又は分散した生分解性ポリマーを含み、
前記膜シースが、生物学的適合性ポリマーを含み且つ前記生物活性剤を実質的に含有せず、
前記露出面が、取り囲まれた内部コア面に比して滑らかにされている、
ことを特徴とするインプラントデバイス。
【請求項2】
前記露出面が、前記露出面の流体処理によって形成された表面形態を有する、請求項1に記載のインプラントデバイス。
【請求項3】
前記露出面が、前記露出面をポリマーを含有しない流体で処理することを含む、前記露出面の流体処理によって形成された表面形態を有する、請求項1又は2に記載のインプラントデバイス。
【請求項4】
前記露出面が、前記露出面を塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アニソール、酢酸エチル、酢酸メチル、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、水、2−ピロリドン、クエン酸トリエチル、乳酸エチル、プロピレンカーボネート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、Miglyol810、イソプロパノール、エタノール、超臨界二酸化炭素、アセトニトリル、水又はこれらの混合物を含む流体で処理することを含む、前記露出面の流体処理によって形成された表面形態を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインプラントデバイス。
【請求項5】
前記露出面が、前記露出面を生分解性又は生物学的適合性コーティングポリマーを含む流体で処理することを含む、前記露出面の流体処理によって形成された表面形態を有する、請求項1又は4に記載のインプラントデバイス。
【請求項6】
前記生分解性又は生物学的適合性コーティングポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)又はこれらのコポリマー、混合物若しくはブレンドを含む、請求項5に記載のインプラントデバイス。
【請求項7】
前記生分解性又は生物学的適合性コーティングポリマーが、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アニソール、酢酸エチル、酢酸メチル、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、水、2−ピロリドン、クエン酸トリエチル、乳酸エチル、プロピレンカーボネート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、Miglyol810、イソプロパノール、エタノール、超臨界二酸化炭素、アセトニトリル、水又はこれらの混合物に溶解又は分散させられる、請求項5又は6に記載のインプラントデバイス。
【請求項8】
ロッド、ファイバ、ディスク、ウェハ、ビーズ、リボン又はシリンダとして成形される、請求項1〜7のいずれかに記載のインプラントデバイス。
【請求項9】
前記内部コア及び/又は膜シースの生物学的適合性及び/又は生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)又はこれらのコポリマー、混合物若しくはブレンドを含む、請求項1〜8のいずれかに記載のインプラントデバイス。
【請求項10】
インプラントデバイスであって、
膜シースに取り囲まれた縦面を有し且つ膜シースに取り囲まれていない露出した近位及び遠位端面を有する内部コアを含み、
前記内部コアが、生物活性剤が溶解又は分散した生分解性ポリマーを含み、
前記膜シースが、生物学的適合性ポリマーを含み且つ前記生物活性剤を実質的に含有せず、
前記露出した近位又は遠位端面の少なくとも1つが、前記露出した近位又は遠位端面の流体処理によって形成される表面形態を有する、
ことを特徴とするインプラントデバイス。
【請求項11】
前記露出した近位又は遠位端面が、前記露出面をポリマーを含有しない流体で処理することを含む、前記露出面の流体処理によって形成された表面形態を有する、請求項10に記載のインプラントデバイス。
【請求項12】
前記露出した近位又は遠位端面が、前記露出面を塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アニソール、酢酸エチル、酢酸メチル、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、水、2−ピロリドン、クエン酸トリエチル、乳酸エチル、プロピレンカーボネート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、Miglyol810、イソプロパノール、エタノール、超臨界二酸化炭素、アセトニトリル、水又はこれらの混合物を含む流体で処理することを含む、前記露出面の流体処理によって形成された表面形態を有する、請求項10又は11に記載のインプラントデバイス。
【請求項13】
前記露出した近位又は遠位端面が、前記露出面を生分解性又は生物学的適合性コーティングポリマーを含む流体で処理することを含む、前記露出面の流体処理によって形成された表面形態を有する、請求項10又は12に記載のインプラントデバイス。
【請求項14】
前記生分解性又は生物学的適合性コーティングポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)又はこれらのコポリマー、混合物若しくはブレンドを含む、請求項13に記載のインプラントデバイス。
【請求項15】
前記生分解性又は生物学的適合性コーティングポリマーが、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アニソール、酢酸エチル、酢酸メチル、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、水、2−ピロリドン、クエン酸トリエチル、乳酸エチル、プロピレンカーボネート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、Miglyol810、イソプロパノール、エタノール、超臨界二酸化炭素、アセトニトリル、水又はこれらの混合物に溶解又は分散させられる、請求項13又は14に記載のインプラントデバイス。
【請求項16】
前記内部コア及び/又は膜シースの生物学的適合性及び/又は生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)又はこれらのコポリマー、混合物若しくはブレンドを含む、請求項10〜15のいずれかに記載のインプラントデバイス。
【請求項17】
インプラントデバイスであって、
(a)生分解性ポリマーと生物活性剤との混合物からの所望の形状を有するコアを形成し、
(b)前記コアを取り囲む膜シースを形成し、
(c)前記膜シースの少なくとも一部を除去することによって前記膜シースに取り囲まれていない露出したコア面を得、
(d)前記露出したコア面を、前記露出したコア面の表面形態を変化させるのに十分な量の流体と十分な時間にわたって接触させる、
ことを含む工程によって調製されることを特徴とするインプラントデバイス。
【請求項18】
ステップ(d)が、前記露出面をポリマーを含有しない流体で処理することを含む、請求項17に記載のインプラントデバイス。
【請求項19】
ステップ(d)が、前記露出面を、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アニソール、酢酸エチル、酢酸メチル、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、水、2−ピロリドン、クエン酸トリエチル、乳酸エチル、プロピレンカーボネート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、Miglyol810、イソプロパノール、エタノール、超臨界二酸化炭素、アセトニトリル、水又はこれらの混合物を含む流体で処理することを含む、請求項17又は18に記載のインプラントデバイス。
【請求項20】
ステップ(d)が、前記露出面を、生分解性又は生物学的適合性コーティングポリマーを含む流体で処理することを含む、請求項17又は19に記載のインプラントデバイス。
【請求項21】
前記生分解性又は生物学的適合性コーティングポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)又はこれらのコポリマー、混合物若しくはブレンドを含む、請求項20に記載のインプラントデバイス。
【請求項22】
前記生分解性又は生物学的適合性コーティングポリマーが、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アニソール、酢酸エチル、酢酸メチル、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、水、2−ピロリドン、クエン酸トリエチル、乳酸エチル、プロピレンカーボネート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、Miglyol810、イソプロパノール、エタノール、超臨界二酸化炭素、アセトニトリル、水又はこれらの混合物に溶解又は分散させられる、請求項20又は21に記載のインプラントデバイス。
【請求項23】
前記内部コア及び/又は膜シースの生物学的適合性及び/又は生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)又はこれらのコポリマー、混合物若しくはブレンドを含む、請求項17〜22のいずれかに記載のインプラントデバイス。
【請求項24】
インプラントデバイスであって、
(a)生分解性ポリマーと生物活性剤との混合物からの所望の形状を有するコアを形成し、
(b)膜シースの形成後に前記コアに露出面ができるように前記コアの一部だけを取り囲む膜シースを形成し、
(c)前記露出したコア面を、前記露出したコア面の表面形態を変化させるのに十分な量の流体と十分な時間にわたって接触させる、
ことを含む工程によって調製されることを特徴とするインプラントデバイス。
【請求項25】
ステップ(d)が、前記露出面をポリマーを含有しない流体で処理することを含む、請求項24に記載のインプラントデバイス。
【請求項26】
ステップ(d)が、前記露出面を、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アニソール、酢酸エチル、酢酸メチル、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、水、2−ピロリドン、クエン酸トリエチル、乳酸エチル、プロピレンカーボネート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、Miglyol810、イソプロパノール、エタノール、超臨界二酸化炭素、アセトニトリル、水又はこれらの混合物を含む流体で処理することを含む、請求項24又は25に記載のインプラントデバイス。
【請求項27】
ステップ(d)が、前記露出面を、生分解性又は生物学的適合性コーティングポリマーを含む流体で処理することを含む、請求項24又は26に記載のインプラントデバイス。
【請求項28】
前記生分解性及び/又は生物学的適合性コーティングポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)又はこれらのコポリマー、混合物若しくはブレンドを含む、請求項27に記載のインプラントデバイス。
【請求項29】
前記生分解性又は生物学的適合性コーティングポリマーが、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アニソール、酢酸エチル、酢酸メチル、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、水、2−ピロリドン、クエン酸トリエチル、乳酸エチル、プロピレンカーボネート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、Miglyol810、イソプロパノール、エタノール、超臨界二酸化炭素、アセトニトリル、水又はこれらの混合物に溶解又は分散させられる、請求項27又は28に記載のインプラントデバイス。
【請求項30】
前記コア及び/又は膜シースの生物学的適合性及び/又は生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)又はこれらのコポリマー、混合物若しくはブレンドを含む、請求項24〜29のいずれかに記載のインプラントデバイス。
【請求項31】
インプラントデバイスであって、
(a)生分解性ポリマーと生物活性剤との混合物を内方同軸ノズルから押出成形することによってコアを形成し、
(b)生物学的適合性ポリマーを外側同軸ノズルから同時に共押出成形し、前記コアを取り囲む実質的に同じ広がりを持つ膜シースを適用することによって、複合ストランドを形成し、
(c)ステップ(b)の前記複合ストランドを、縦面と2つの端面とを含む1つ以上のスラットに切断し、
(d)ステップ(c)の前記1つ以上のスラットの少なくとも1つの端面を、前記少なくとも1つの端面の表面形態を変化させるのに十分な量の流体と十分な時間にわたって接触させることによってインプラントデバイスを得ることを含む工程によって調製される、
ことを特徴とするインプラントデバイス。
【請求項32】
ステップ(d)が、前記露出面をポリマーを含有しない流体で処理することを含む、請求項31に記載のインプラントデバイス。
【請求項33】
ステップ(d)が、前記露出面を、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アニソール、酢酸エチル、酢酸メチル、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、水、2−ピロリドン、クエン酸トリエチル、乳酸エチル、プロピレンカーボネート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、Miglyol810、イソプロパノール、エタノール、超臨界二酸化炭素、アセトニトリル、水又はこれらの混合物を含む流体で処理することを含む、請求項31又は32に記載のインプラントデバイス。
【請求項34】
ステップ(d)が、前記露出面を、生分解性又は生物学的適合性コーティングポリマーを含む流体で処理することを含む、請求項31又は33に記載のインプラントデバイス。
【請求項35】
前記生分解性又は生物学的適合性コーティングポリマーが、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アニソール、酢酸エチル、酢酸メチル、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、水、2−ピロリドン、クエン酸トリエチル、乳酸エチル、プロピレンカーボネート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、Miglyol810、イソプロパノール、エタノール、超臨界二酸化炭素、アセトニトリル、水又はこれらの混合物に溶解又は分散させられる、請求項34に記載のインプラントデバイス。
【請求項36】
前記インプラントデバイスの生分解性ポリマー及び/又は生物学的適合性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)又はこれらのコポリマー、混合物若しくはブレンドを含む、請求項31〜35のいずれかに記載のインプラントデバイス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−505113(P2013−505113A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530987(P2012−530987)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/049753
【国際公開番号】WO2011/037955
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512069658)エボニック デグサ コーポレイション (9)
【Fターム(参考)】